説明

確率調整機能を備えた抽選システム

【課題】景品の当選個数が適切な時期に目標値に達するように確率を調整することが可能な抽選システムを提供する。
【解決手段】当選個数の目標値が設定された景品を、その景品と対応付けられた確率の設定値に従って抽選する抽選システムにおいて、景品の当選個数が目標値に満たない段階で、過去の所定期間に実施された抽選の回数と、その過去の所定期間における景品の当選個数とに基づいて、以降の所定期間にて残された個数の景品を当選させるために適用されるべき新たな確率を演算し(S35)、新たな確率の演算結果に基づいて確率の設定値を更新する(S36)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選における確率を適宜に調整する抽選システムに関する。
【背景技術】
【0002】
店頭に設置される購入端末機、あるいは、携帯電話やパーソナルコンピュータ等のユーザ端末をサーバ装置とネットワークを介して接続し、端末に対するユーザの指示に基づいてサーバ装置が所定の景品の群からいずれかの景品を抽選し、当選した景品をユーザに提供する抽選システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−42233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抽選の実施による集客効果の向上等を目的として、抽選期間及び景品の当選個数(当選回数)を限定したキャンペーンあるいはイベントといった位置付けで抽選が開催されることがある。その場合、確率の設定と、景品の当選個数との関係に問題が生じることがある。例えば、抽選期間内における抽選回数を予測し、その予測された回数内で目標とする個数の景品が当選するように抽選の確率を設定することが考えられる。しかし、実際の抽選回数とその予測値との間には誤差が生じることが通例である。実際の抽選回数が予測値よりも多ければ、抽選期間が終了するよりも早い段階で当選個数が目標値に達し、それ以降は目標値を超えて景品を当選させるか、あるいは抽選を早期に締め切るといった対応が必要であるが、目標値を超えて景品を当選させるときは景品の提供者の負担が増加し、抽選を早期に締め切ればユーザの不満が募るといった不都合がある。一方、実際の抽選回数が予測値よりも少ない場合には、抽選期間が満了しても景品が余り、当初に想定した利益をユーザに対して供与することができず、抽選イベント等の開催によって意図した効果が十分に得られないといった不都合がある。
【0005】
あるいは、複数の景品が設定され、各景品の当選個数の目標値が景品の価値に応じて差別化されている場合には、景品間の当選個数の比率に準じて確率を設定することが考えられる。しかし、この場合でも、抽選回数が予測よりも多ければ抽選が早期に終了し、抽選回数が少なければ景品が余った状態で抽選が終了するおそれがあって、上記と同様の問題が生じ得る。
【0006】
そこで、本発明は、景品の当選個数が適切な時期に目標値に達するように確率を調整することが可能な抽選システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の抽選システム(1)は、当選個数の目標値が設定された景品を、当該景品と対応付けられた確率の設定値に従って抽選する抽選手段(24、S25;17、S13A)と、前記景品の当選個数が前記目標値に満たない段階で、過去の所定期間に前記抽選手段が実施した抽選の回数と、前記過去の所定期間における前記景品の当選個数とに基づいて、以降の所定期間にて前記目標値に対する残り個数の景品を当選させるために適用されるべき新たな確率を演算し、該新たな確率の演算結果に基づいて前記確率の設定値を更新する確率調整手段(24、S31〜S36;24、S31〜37)と、を備えている。
【0008】
過去の所定期間における抽選の回数が判れば、その期間と回数との関係から単位期間における抽選回数を判別し、その判別値に基づいて、以降の所定期間にどの程度の抽選が行われるかを予測することができる。以降の所定期間で残り個数の景品を当選させるためには、その所定期間における抽選回数の予測値に対する残り個数の比率を求めればよく、残り個数は過去の所定期間における当選個数を当初の目標値から減算すれば割り出すことができる。したがって、過去の所定期間に前記抽選手段が実施した抽選の回数と、前記過去の所定期間における前記景品の当選個数とに基づいて以降の所定期間に適用されるべき新たな確率を演算することができる。新たな確率は、過去の抽選実績を踏まえて演算された値であるから、その精度や信頼性は抽選開始時点、つまり、抽選回数の実績値が存在しない段階で定められるべき確率の設定値よりも高い。そのため、新たな確率の演算結果に基づいて確率の設定値を更新し、それ以降は更新された確率の設定値に従って抽選手段が抽選を実施すれば、以降の所定期間内に残り個数の景品が当選するように抽選が進行し、景品の当選個数が適切な時期に目標値に達するように確率を適宜に調整することができる。当選個数が目標値に満たない段階で確率の設定値が更新されることにより、当選個数が早期に目標値に達する不都合も回避される。
【0009】
本発明の一形態において、前記確率調整手段は、前記過去の所定期間に前記抽選手段が実施した抽選の回数に基づいて前記以降の所定期間における抽選回数を予測し、予測した値と前記残り個数とに基づいて前記新たな確率を演算してもよい。この形態によれば、過去の抽選回数を踏まえて以降の所定期間における抽選回数を予測し、その予測値と景品の残り個数とから以降の所定期間に適用されるべき適切な確率を演算することができる。
【0010】
本発明において、景品の抽選を実施する期間は抽選開始当初から定められてもよいし、抽選開始後の適当な時期(ただし、景品の当選個数が目標値に満たない時期)に設定されてもよい。いずれの場合でも、過去の所定期間は、抽選開始から新たな確率の演算時期までの期間から適宜に設定すれば足りる。以降の所定期間の終了時期に関しては、抽選期間が予め定められている場合にはその抽選期間の終了時期とすればよい。すなわち、抽選期間を予め定める場合には、当選個数の目標値が、その抽選期間に前記景品を当選させるべき個数として設定され、前記抽選手段は前記抽選期間に限って前記景品の抽選を実施し、前記確率調整手段は、前記確率の設定値の更新時期から前記抽選期間が終了時期までの期間を前記以降の所定期間として前記新たな確率を演算すればよい。一方、抽選期間を予め定めない場合でも、抽選が適度に進行した段階でその抽選期間の終了時期を決定し、その後は、確率調整手段により確率の設定値を更新する時期から抽選期間の終了時期までを以降の所定期間として新たな確率を演算すればよい。
【0011】
また、本発明の一形態において、前記確率調整手段は所定の周期で前記新たな確率を演算し、前記過去の所定期間が、一以上の周期に相当する期間であってもよい。これによれば、過去の所定期間における抽選の回数から単位周期辺りの抽選回数の実績値や平均値を求め、その値から以降の所定期間における抽選回数を容易に予測することができる。
【0012】
本発明の一形態において、抽選システムは、前記抽選に関するユーザからの指示を受け付け、かつ前記ユーザに対して抽選結果を通知する複数の抽選端末装置(2;40)と、前記複数の抽選端末装置のそれぞれとネットワーク(5)を介して接続されたサーバ装置(3)とを含み、前記抽選手段は、各抽選端末装置におけるユーザの指示に応答して前記抽選を実施し(S25;S13A)、前記当選個数の目標値は、前記複数の抽選端末装置の群の全体に対する当選個数の目標値として設定され、前記確率調整手段は、前記複数の抽選端末装置の群の全体を集計範囲として前記抽選の回数及び前記景品の当選個数を集計し(S32)、かつ前記抽選の回数及び前記当選個数のそれぞれの集計値に基づいて前記新たな確率を演算し(S35)、前記確率の設定値は、各ユーザからの指示に基づいて実施されるべき抽選のそれぞれに共通して適用されてもよい。
【0013】
上記の形態によれば、複数の抽選端末装置の群の全体に対して景品の当選個数の目標値が設定され、それらの群内で実施された抽選の回数と景品の当選個数とが集計されて新たな確率が演算される。演算された確率は以降に群内で実施される抽選において共通に適用される。これにより、ネットワークを利用した抽選システムにおいても、景品の当選個数が適切な時期に目標値に達するように確率の設定値を調整することができる。
【0014】
上記の形態においては、前記抽選手段(24)が前記サーバ装置に設けられ、前記抽選端末装置は、ユーザの指示に基づいて前記抽選手段に抽選の実施を要求し(S11)、前記抽選手段は、各抽選端末装置からの要求に応答して抽選を実施してその抽選結果を前記サーバ装置の記憶手段(21)に記録するとともに前記抽選端末装置に通知し(S25〜S27)、前記確率調整手段は、前記サーバ装置の記憶手段に記録された前記抽選結果に基づいて前記過去の所定期間における抽選の回数及び前記景品の当選個数を集計してもよい。この場合は、サーバ装置にて実施された抽選の結果が抽選端末装置に通知される。サーバ装置は自らが実施した抽選の結果に基づいて過去の所定期間における抽選の回数及び当選個数を集計し、確率を調整することができる。
【0015】
あるいは、前記抽選手段(17)が各抽選端末装置に設けられ、前記抽選手段は抽選結果を前記サーバ装置に通知し(S13B)、前記サーバ装置には、各抽選端末装置から通知される抽選結果を当該サーバ装置の記憶手段(21)に記録する抽選結果記録手段(24、S27)が設けられ、前記確率調整手段は、前記サーバ装置の記憶手段に記録された抽選結果に基づいて、前記過去の所定期間における抽選の回数及び前記景品の当選個数を集計して前記新たな確率を演算し(S35)、該新たな確率を各抽選端末装置に通知し(S37)、各抽選端末装置の抽選手段は、前記確率調整手段から通知された確率に従って抽選を実施するものとしてもよい。これによれば、各抽選端末装置が個別に抽選を実施する場合であっても、抽選の結果をサーバ装置が取得して抽選に回数及び当選個数を集計することにより、サーバ装置が複数の抽選端末装置の群に対して一元的に確率を管理することができる。
【0016】
サーバ装置と抽選端末装置とを含む形態においては、所定の施設(4)に設置され、プレイ料金の支払いと引き換えに、ユーザに対して前記プレイ料金に対応した範囲でゲームをプレイさせる複数の商業用のゲーム機が前記ネットワークを介して前記サーバ装置に接続されてもよい。その場合、前記景品は、前記ゲーム機のゲームと関連付けられてもよい。これによれば、商業用のゲーム機のゲームと関連付けられた景品、例えば、ゲームで使用することが可能なゲーム要素、ゲームと関連付けられた限定的なキャラクタ商品等を獲得することを目的の一つとしてユーザが施設に足を運ぶようになる。したがって、商業用のゲーム機をプレイするモチベーションを向上させる手段として抽選システムを活用することができる。この場合、ゲーム機を抽選端末装置として機能させてもよいし、前記施設に設置され、かつ前記ゲーム機とは物理的に異なる装置(40)を前記抽選端末装置として機能させてもよい。前者の場合には、商業用ゲーム機を運営する者が、ゲーム機に追加して抽選端末装置を設置する負担を強いられない利点がある。後者の場合には、商業用のゲーム機が、本来の用途であるゲームのプレイとは異なる抽選用途で占有されるおそれを排除できる利点がある。なお、施設とは、ゲーム機を稼動させる設備を備えた場所であれば足り、設置の目的が商業的、公共的、又は個人的のいずれであるかを問わない。
【0017】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
以上に説明したように、本発明の抽選システムによれば、過去の所定期間における抽選の回数と景品の当選個数とに基づいて以降の所定期間に残り個数の景品を当選させるために適した新たな確率を演算するようにしたので、景品の当選個数が適切な時期に目標値に達するように確率を適宜に調整することができる。当選個数が目標値に満たない段階で確率の設定値が更新されることにより、当選個数が早期に目標値に達する不都合も回避される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一形態に係る抽選システムが適用されたゲームシステムの全体構成を示す図。
【図2】第1の形態に係るゲームシステムの要部における機能ブロック図。
【図3】プレイデータの構成の一例を示す図。
【図4】確率データの構成の一例を示す図。
【図5】景品個数データの構成の一例を示す図。
【図6】景品データの構成の一例を示す図。
【図7】抽選期間データの構成の一例を示す図。
【図8】第1の形態において景品を抽選するためにゲーム機の制御ユニット及びセンターサーバの制御ユニットがそれぞれ実行する景品抽選処理の手順を示すフローチャート。
【図9】第1の形態においてセンターサーバの制御ユニットが実行する確率調整処理の手順を示すフローチャート。
【図10】第2の形態に係る抽選システムが適用されたゲームシステムの要部における機能ブロック図。
【図11】第2の形態において景品を抽選するためにゲーム機の制御ユニット及びセンターサーバの制御ユニットがそれぞれ実行する景品抽選処理の手順を示すフローチャート。
【図12】第2の形態においてゲーム機の制御ユニット及びセンターサーバの制御ユニットがそれぞれ実行する確率調整処理の手順を示すフローチャート。
【図13】変形例に係るゲームシステムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の形態)
本発明の抽選システムをゲームシステムに適用した第1の形態について説明する。本形態は、ゲーム機が抽選端末装置として機能し、そのゲーム機に対するユーザの指示に基づいてサーバ装置の抽選手段が景品を抽選する形態の一例である。まず、図1を参照して、ゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、複数のゲーム機2とセンターサーバ3とを含む。各ゲーム機2は、店舗4等の施設に設置され、プレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。各店舗4には適宜数のゲーム機2が設置される。図1では、ゲーム機2を区別せずに描いているが、ゲーム機2で実行されるゲームの内容は適宜に選択されてよい。ゲーム機2間でゲームが相違していてもよい。ゲーム機2は、特定のゲームに適合する物理的構成(例えば操作部等)を備えた専用機として構成されてもよいし、ソフトウエアの書き換えにより種々のゲームをプレイさせることが可能な汎用機として構成されてもよい。センターサーバ3は、複数のサーバユニット3A、3B…が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニットによりセンターサーバ3が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にセンターサーバ3が構成されてもよい。
【0021】
ゲーム機2及びセンターサーバ3は、ネットワーク5を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク5は、WAN(ワイドエリアネットワーク)5Aと、店舗4毎に構築されてそれらのゲーム機2を収容するLAN(ローカルエリアネットワーク)5Bと、センターサーバ3のサーバユニット3A、3B…を収容してそれらのサーバユニット3A、3Bを相互に接続するLAN5Cとを含んでいる。WAN5Aには、一例として、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するインターネットが用いられる。LAN5B、5CもTCP/IPプロトコルを利用するイントラネットによって構築される。LAN5B、5Cはルータ6を介してWAN5Aに接続される。なお、ゲーム機2と店舗4のルータ6との間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機2がセンターサーバ3と通信可能に接続されてもよい。センターサーバ3のサーバユニット3A、3B…はLAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aにより相互に接続される場合もある。
【0022】
店舗4のLAN5Bには、管理用PC(パーソナルコンピュータの略であり、以下同様とする。)7も接続される場合がある。管理用PC7は、店舗4の運営者(オペレータと呼ぶことがある。)がゲーム機2を管理し、あるいはセンターサーバ3にアクセスして各種の情報を送受信する目的で設けられる。また、ゲームシステム1においては、ユーザ端末8からセンターサーバ3へのネットワーク5を介したアクセスが可能とされる。ユーザ端末8は、例えばPC8a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)8bのように、ネットワーク接続が可能な個人用の通信端末装置として機能するコンピュータ装置であれば適宜にこれを利用してよい。なお、本明細書において、ユーザとは、ゲーム機2のプレイヤとなり得る者である。ユーザがゲーム機2を操作するときに、当該ユーザを特にプレイヤと称することがある。また、センターサーバ3を運営してゲーム機2、あるいはユーザ端末8に向けた各種のサービスを提供する事業者をサービス事業者と呼ぶことがある。オペレータは、店舗4にてゲーム機2を運営する事業者であって、サービス事業者と概念的には区分される。
【0023】
ゲーム機2及びセンターサーバ3には、ネットワーク5上でそれらを識別するためのユニークなIPアドレスが付されている。ゲーム機2同士あるいはゲーム機2とセンターサーバ3との間の通信では、そのIPアドレスを利用して通信相手が特定される。WAN5Aがインターネットのように公開性のあるネットワークの場合には、各ルータ6にWAN5A上でユニークな固定アドレスが設定される。ゲーム機2には、その固定アドレスとの組み合わせによってネットワーク5上でゲーム機2を一意に識別するためのプライベートアドレスがIPアドレスとして設定される。この場合、ゲーム機2とセンターサーバ3との間、あるいはゲーム機2同士の間には仮想プライベートネットワーク(VPN)が構築され、そのVPN上で各ゲーム機2がプライベートアドレスを用いて一意に特定される。管理PC7に関しても同様である。ユーザ端末8にもネットワーク5上でユーザ端末8を一意に識別するためのユニークなIPアドレスが付与される。そのIPアドレスは、ネットワーク5への接続される毎に変化するいわゆる動的アドレスでもよいし、不変の固定アドレスであってもよい。以下では、ゲーム機2、センターサーバ3、管理PC7及びユーザ端末8をネットワーク5上で識別するための情報をアドレス情報と呼ぶ。ネットワーク5を介した通信では、特に断りのない限り、そのアドレス情報に基づいて通信すべき相手が特定されることを前提とする。ゲームシステム1では、上述したアドレス情報とは別に、店舗4のそれぞれに対して店舗4毎にユニークな店舗IDが設定され、ゲーム機2のそれぞれに対してゲーム機2毎にユニークな筐体IDが設定される。センターサーバ3は、通信相手のゲーム機2から店舗ID及び筐体IDを受け取ることにより、その通信相手のゲーム機2が所属する店舗4及びそのゲーム機2を一意に特定することができる。
【0024】
センターサーバ3は、ゲーム機2、ユーザ(プレイヤ)及びオペレータに対し、ネットワーク5を介して各種のサービスを提供する。例えば、センターサーバ3は、ゲーム機2又はそのプレイヤに対して各種のゲームサービスを提供する。ゲームサービスとしては、例えば、ゲーム機2からプレイヤの識別情報を受け取ってそのプレイヤを認証し、そのプレイヤのプレイデータをゲーム機2から受け取って保存し、あるいはゲーム機2に提供するサービス、ネットワーク5を介してゲーム機2のプログラムあるいはデータを更新するサービス、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングさせるサービス等がある。また、センターサーバ3は、ネットワーク5を介してアクセスするユーザ端末8に各種のWebサービスを提供する。Webサービスとしては、例えば、Webサイトを通じてゲームに関する各種の情報をユーザに提供するゲーム情報サービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービスといったサービスがある。さらに、センターサーバ3は、ユーザに対して、ゲーム機2におけるゲームで使用することが可能な景品を抽選して販売するベンダサービス機能も提供する。
【0025】
センターサーバ3には、ユーザに対して、有償サービスを提供する対価としての料金を課金してユーザからその料金を徴収する課金サービス機能も設けられている。課金サービスを実現するため、センターサーバ3上にはユーザ毎の仮想通貨の口座が設けられる。ユーザが現金やクレジットカード等の決済手段を利用してチャージ料金を支払うと、そのチャージ料金に相当する量の仮想通貨がそのユーザの口座にチャージされる。一方、ユーザが有償サービスを利用すると、そのユーザの口座から利用料金に相当する量の仮想通貨が消費される。
【0026】
ゲームシステム1では、ユーザに対して各種のサービスを利用させるために必要な構成要素として、各種のハードウエア及びソフトウエアが用意されている。それらの構成要素の少なくとも一部は、サービス事業者からオペレータに譲渡又は貸与される。一例として、ゲーム機2は、サービス事業者からオペレータに対して有償で譲渡される。一方、ゲーム機2で実行されるべきゲーム用のプログラムあるいはデータといったいわゆるコンテンツは、サービス事業者からオペレータに貸与(提供)される。
【0027】
オペレータは、ユーザがゲームをプレイする際に、その対価としてプレイ料金を徴収する。一方、サービス事業者は、コンテンツを貸与した対価として、ユーザが支払ったプレイ料金、言い換えれば、ユーザがゲームをプレイする際に消費した金銭的価値に応じた料金を、コンテンツの貸与の対価としてオペレータに課金する。つまり、ゲームシステム1では、ゲーム機2にてプレイヤが消費したプレイ料金を収益とし、その収益をゲーム機2が設置された店舗4のオペレータとサービス事業者との間で分配する仕組みが採用されている。そのような仕組みを実現するため、ゲーム機2には、コンテンツ毎のプレイ料金の消費実績を特定するために必要な情報をセンターサーバ3に適時に提供する機能が実装される。また、センターサーバ3には、ゲーム機2から提供された情報に基づいて、店舗4毎のプレイ料金の消費額を特定し、得られた消費額に対する所定率の料金をサービス事業者がオペレータに対して請求すべき利用料金として算出する機能が実装されている。そのような機能を設けることにより、プレイヤから徴収したプレイ料金をサービス事業者とオペレータとの間で分配することができる。
【0028】
次に、図2を参照して、ゲームシステム1のゲーム機2及びセンターサーバ3に関する制御系の主要部の構成を説明する。ゲーム機2には、制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置等の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット10には、入力装置11、出力装置12、カードリーダ13、コイン認証装置14及び記憶装置15が接続されている。入力装置11は、プレイヤ(ユーザ)の操作を受け付け、その操作内容に応じた信号を制御ユニット10に出力する。出力装置12は、制御ユニット10からの指示に従ってゲーム画面等を表示する表示装置、及び制御ユニット10からの指示に従って楽音や音声を出力する音声再生装置等を含む。
【0029】
カードリーダ13は、プレイヤが所持するカード9の情報を読み取ってその情報に対応した信号を制御ユニット10に出力する。カード9には、ICチップ、磁気ストライプといった不揮発性記憶媒体(不図示)が設けられており、その媒体にはカード9毎にユニークなID(以下、カードIDと呼ぶことがある。)等が記録されている。カードIDは、センターサーバ3上に保存されたプレイデータ32を呼び出すために利用される。センターサーバ3は、ユーザ毎にユニークなユーザIDを利用してユーザ(プレイヤ)を識別し、プレイデータ32もそのユーザIDと1対1に対応付けて記録されている。カードIDはユーザIDに対して1対1又は多対1で対応付けられ、センターサーバ3はそのカードIDとユーザIDとの対応関係を判別するためのデータを参照して、プレイヤのユーザIDを特定することができる。つまり、本形態においては、カードID及びユーザIDのいずれもがユーザの識別情報として機能する。なお、カードIDは、カード9にバーコード等の形態で記録されていてもよい。あるいは、カード9に代えて、携帯電話等に実装されたICチップ等の記憶媒体にカードIDが記録されてもよい。
【0030】
コイン認証装置14は、プレイヤがゲーム機2のコイン投入口から投入したコインの真偽を判別し、真正なコインであればそのコインの投入枚数に応じた信号を制御ユニット10に出力する。記憶装置15は、例えばハードディスク記憶装置等、記憶保持が可能な記憶装置である。記憶装置15は、制御ユニット10にて実行されるべきゲーム機用プログラム及びそのプログラムが参照すべき各種のデータを記憶する。記憶装置15に記録されるデータについては後述する。
【0031】
制御ユニット10の内部には、ゲーム制御部16、ベンダ制御部17及び課金管理部18が設けられる。各部16〜18は、いずれも制御ユニット10のコンピュータハードウエアと所定のソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ゲーム制御部16は、ゲーム機2におけるゲームの開始、進行、及び終了の管理といったゲームのプレイに必要な各種の処理を実行する。ベンダ制御部17は、センターサーバ3と協働してプレイヤに対してベンダサービスを提供するための処理を実行する。ベンダサービスとは、ユーザによる所定の抽選料金の支払い(消費)と引き換えに、ゲームで使用可能な景品の群からいずれかの景品を抽選し、当選した景品をユーザに払い出すサービスである。ベンダサービスの詳細は後述する。課金管理部18は、プレイヤに対する料金の課金に関連した各種の処理を実行する。その処理には、プレイヤによるプレイ料金等の消費実績を記録し、その記録された消費実績をセンターサーバ3に適時に送信する処理が含まれる。
【0032】
なお、プレイヤにプレイ料金相当の金銭的価値を消費させる方法としては、コインを媒介とする方法と、上述したセンターサーバ3の課金サービス機能を利用する方法とが選択可能とされている。前者の方法においては、プレイヤに対して有償で貸与されるコインをプレイヤがゲーム機2に投入すると、その投入枚数に応じた値の「クレジット」がプレイヤの保持する金銭的価値として計上される。一例として、100円硬貨が1枚投入された場合に1クレジットが計上される。プレイヤが1クレジットの消費をゲーム機2に対して指示すると、ゲーム機2では100円相当の金銭的価値が消費されたものと判断され、その消費量に対応した範囲におけるゲームのプレイが許可される。つまり、コインを媒介としてプレイ料金が支払われる場合、金銭的価値の消費量は1クレジットを単位として計数される。一方、後者の方法、すなわち仮想通貨を消費させる場合には、プレイヤによる金銭的価値の消費量は「クレジット」よりも小さい単位で計数される。仮想通貨の量(又は額)を計数する単位を「ポイント」とすれば、一例として1ポイントが1円と等価に設定されている。その場合、100円のプレイ料金が必要な場合、100ポイントの仮想通貨が消費される。1ポイントは1円に必ずしも対応させる必要はないが、1ポイント(つまり仮想通貨の消費単位)は1クレジットよりも一桁以上小さい金銭的価値に相当するように設定される。
【0033】
センターサーバ3には、制御ユニット20と、記憶装置21とが設けられている。制御ユニット20は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置(不図示)とを備えたコンピュータユニットである。制御ユニット20には、キーボード等の入力装置と、モニタ等の出力装置とが接続されるが、それらの図示は省略した。記憶装置21は、制御ユニット20にて実行されるべきサーバプログラム及びそのプログラムが参照すべき各種のデータを記憶する。記憶装置21に記録されるデータについては後述する。
【0034】
制御ユニット20の内部には、ゲームサービス管理部22、Webサービス管理部23、ベンダサービス管理部24、及び口座管理部25が設けられる。各部22〜25は、いずれも制御ユニット20のコンピュータハードウエアと所定のソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ゲームサービス管理部22は上述したゲームサービスに関連する処理を実行し、Webサービス管理部23は上述したWebサービスに関連する処理を実行し、ベンダサービス管理部24は上述したベンダサービスに関連する処理を実行する。口座管理部25は、ゲームサービス管理部22、Webサービス管理部23又はベンダサービス管理部24からの要求に従って、ユーザの口座からサービスの利用料金に相当する量の仮想通貨を消費させる処理を実行する。また、口座管理部25は、Webサービス管理部23からの要求に従って、ユーザの口座に仮想通貨をチャージする処理を実行する。なお、センターサーバ3には、上記の他にも、ゲーム機2から送られる消費実績に基づいてサービス事業者がオペレータに請求すべき利用料金を演算する機能等も実装されるが、その詳細は省略する。
【0035】
次に、記憶装置15、21に記録されているデータの詳細を説明する。ゲーム機2の記憶装置15には、ゲームデータ31、及びプレイデータ32が記録されている。ゲームデータ31は、制御ユニット10のゲーム制御部16がゲーム用プログラムに従ってゲームを実行する際に適宜に参照するデータである。例えば、ゲーム画面の背景、キャラクタ、ステージ、アイテム等の画像を描画するための画像データ、ゲームのBGM、効果音等を再生するための音声データがゲームデータ31に含まれる。ゲームデータ31には、さらにゲームにて使用可能な複数のアイテム(ゲーム要素の一種である。)に関する使用の許可又は禁止を管理するためのデータも含まれる。一例として、ゲーム要素として複数のアイテムが予め用意され、それらのアイテムをゲームで使用するとプレイヤに有利な影響が生じるようにゲームが構成されている場合について説明する。なお、有利な影響としては、一例として、ゲームにおけるプレイヤのランクの昇格、プレイヤが使用するキャラクタの経験値、体力といったパラメータの向上、キャラクタが特別な技や武器を使用できるようになる、といった態様があり得る。この場合、各アイテムをプレイヤが獲得できる条件(つまり、プレイヤによるアイテムの使用が許可される条件)、アイテム獲得の効果等を記述したデータがゲームデータ31に含まれる。アイテムの獲得条件は、適宜に設定されてよい。一部のアイテムについては、ゲーム2機に対するプレイヤの指示に基づいて実行されるべき抽選によってのみ獲得可能な景品として設定されてもよい。言い換えれば、ゲーム機2を利用した抽選でプレイヤが引き当てない限りそのアイテムが使用できないように獲得条件が設定されてもよい。
【0036】
アイテムは、プレイヤ、又はプレイヤが操作するキャラクタがゲームにて使用する道具、装備、武器といったゲーム上で使用可能なゲーム要素である。アイテム以外にも、ゲームで用いられる各種のゲーム要素が景品として設定されてよい。例えば、プレイデータ32に含まれている経験値、ランクといった各種のパラメータを向上させるようなゲーム要素を設定して、それらが景品として設定されてよい。ゲームに登場するキャラクタ、音楽ゲームにおける楽曲、ステージ、モードといった様々なゲーム要素を景品として設定してもよい。さらに、ゲーム上の隠し要素の出現を解禁させるための権利の全部又は一部が景品として設定されてもよい。さらに、景品はゲームの仮想世界で通貨として使用可能なポイント等として設定されてもよい。
【0037】
プレイデータ32は、プレイヤのプレイ履歴に関連した情報をそのプレイヤのユーザIDと対応付けて記録したデータであって、プレイヤに前回の続きからゲームをプレイさせること等を目的として保存されるデータである。プレイデータは、ゲームの種別(タイトル等と呼ばれることがある。)毎に生成される。ゲーム2機の記憶装置15には、そのゲーム機2にて提供されるゲームに関してプレイヤが保存したプレイデータ32がセンターサーバ3から呼び込まれて保存される。プレイデータ32の一例を図3に示す。図3のプレイデータ32には、プレイヤのプレイログ、ベンダログ、ステータス、複数のリプレイ情報等が含まれている。
【0038】
プレイログは、プレイヤの過去のプレイ回数、対戦成績といったプレイヤの過去のプレイ内容を記録した情報である。ベンダログは、ベンダサービスの利用履歴を記録した情報である。例えば、ベンダサービスの利用回数、利用日時、獲得した景品等の情報がベンダログに記録される。ステータスは、プレイヤのゲーム上の状況を記録した情報である。例えば、プレイヤがゲームを繰り返しプレイすることよって獲得したスキルや強さの指標を示すランク、プレイヤが過去のプレイで獲得した経験値、プレイヤが所有するアイテム等を特定する情報がステータスとして記録される。アイテムの情報としては、例えばアイテム毎にユニークなアイテム番号、アイテムコード等が記録される。リプレイ情報は、例えばプレイヤの特定のプレイ内容を再現するために記録される情報である。例えば、ターン制のゲームにおけるプレイヤ及び対戦相手の手番毎の選択内容、あるいは特定のゲームにおける動画データ等がリプレイ情報として記録されてよい。
【0039】
図2に戻って、センターサーバ3の記憶装置21には、プレイデータ32の群、ベンダデータ34の群、及び口座データ35の群が記録されている。プレイデータ32は、ユーザID毎に、かつゲームの種別毎に作成され、それらの集合がプレイデータ32の群である。いずれかのゲーム機2でプレイヤがゲームをプレイする際には、そのプレイヤがゲーム機2に認識させたカードIDがセンターサーバ3に提供され、そのカードIDに関連付けられたユーザIDに対応するプレイデータ32であって、かつ当該ゲーム機2のゲーム種別に対応するプレイデータ32がセンターサーバ3からゲーム機2に提供されて当該ゲーム機2の記憶装置15に記憶される。口座データ35は、上述したように、ユーザIDとそのユーザが保有する仮想通貨の量(残高)とを対応付けて記録したデータである。
【0040】
ベンダデータ34は、ベンダサービス管理部24による景品の抽選を管理するためのデータである。ベンダデータ34はゲームの種別毎に作成され、それらの集合がベンダデータ34の群である。ベンダデータ34は、図4に例示した確率データ36、図5に例示した景品個数データ37、図6に例示した景品データ38、及び図7に例示した抽選期間データ39を含む。図4の確率データ36は、ゲームに対応付けて用意された景品と、その景品が抽選で引かれるべき確率とを対応付けて記録したデータテーブルである。図4の例では、景品A〜景品Nに対して確率Pa〜Pnがそれぞれ設定されている。確率データ36に記述された確率Pa〜Pnは、後述する確率調整処理(図9)により適宜に更新される。抽選開始時点では、抽選期間内における抽選回数が適当に予測され、その抽選回数内で各景品を所定の目標値に相当する個数当選させるために必要な確率が演算され、その演算値が確率の初期値として設定される。景品A〜景品Nが一つのゲームに対応付けて用意された景品の群である。以下では、一つのゲームに対応する景品の群を景品セットと呼ぶことがある。なお、図4〜図6では、データ36〜38に対して景品セットXの用語を共通して付すことにより、それらのデータ36〜38が同一のゲームに対応して用意された景品セットに関連するデータであることを示している。
【0041】
図5の景品個数データ37は、景品セットXに含まれる景品と、それらの景品の個数とを対応付けて記録したデータテーブルである。図5の例では、景品Aに対して個数Na、景品Bに対して個数Nbといったように景品毎に個数が設定されている。個数は、景品を払い出す予定の個数であり、払い出し実績に応じて徐々に減少する。確率が低い景品ほど個数の初期値が小さく設定される。各景品に対応付けられて設定される個数の初期値が、抽選期間内における景品の当選個数の目標値である。ただし、景品Nについては個数に制限がなく、個数の値として無限数が設定されている。無限数が設定された景品Nについては、払い出し実績に応じた個数の低減処理は適用されない。無限数の景品Nに代えて、「外れ」が設定されてもよい。
【0042】
図6の景品データ38は、景品の群を特定するための情報(景品内容)を、プレイデータ32に含まれている情報と関連付けて記述したデータである。図6の例では景品Aの内容がプレイヤのランクRa〜Rxに応じて個別に設定されている。景品B〜景品Nについても、同様にプレイヤのランクに応じた景品の群が設定されている。上述したように、景品はゲームで使用可能なゲーム要素から適宜に選択されて設定される。一例として、特定のアイテムの獲得が景品の内容として設定される。図7の抽選期間データ39は、複数の景品セットと、それらの景品セットが抽選に供される期間(抽選期間)とを対応付けて記録したデータテーブルである。例えば、景品セットXに対しては、抽選開始時期及び抽選終了時期が記述されている。
【0043】
上述した各データは、記憶装置15、21に記録されるデータの一例に過ぎない。記憶装置15、21には、図示のデータ以外にもゲームの実行やプレイ料金等の徴収、オペレータとサービス事業者との間における収益の分配といった処理に必要な各種のデータが記録されるが、それらの説明は省略する。また、本発明を実施するためには、少なくとも一部の景品セットに関して景品の当選個数の目標値及び抽選期間が設定されていれば足り、全ての景品セットに対して景品の当選個数の目標値及び抽選期間が設定されていることは要しない。一部の景品セットに関しては、当選個数の目標値が設定されることなく、確率データ36に記述された確率に従っていずれかの景品が抽選され、当選した景品が払い出されてもよい。その場合、抽選期間が設定されていれば、その期間に限って抽選を実行すればよい。あるいは、景品の当選個数に目標値が設定される一方で、抽選期間が設定されていない景品セットが存在していてもよい。その場合には、当選個数が目標値に達した景品が生じたとき、その景品に対する抽選の確率がゼロとなるように確率データ36を更新し、残った景品間で抽選が継続されるようにすればよい。
【0044】
次に、図8を参照して、景品を抽選するためにゲーム機2の制御ユニット10及びセンターサーバ3の制御ユニット20がそれぞれ実行する処理を説明する。なお、ゲーム機2における処理は制御ユニット10のベンダ制御部17が主として担当し、センターサーバ3における処理は制御ユニット20のベンダサービス管理部24が主として担当するが、以下では各処理の実行主体を制御ユニット10、20として説明する。また、図8の処理は、カード9のカードIDをカードリーダ13が読み取ってプレイヤを認証し、そのプレイヤのユーザIDとゲーム機2のゲームに対応するプレイデータ32がセンターサーバ3からゲーム機2に呼び込まれて記憶装置15に保存された後に実行される処理である。また、以下では、抽選対象の景品セットに対して抽選期間データ39に記述された抽選期間内に抽選が実行される場合について説明する。抽選期間外の場合には、ゲーム機2にて抽選を指示不可能とするか、又は抽選を指示してもその処理が許否されるようにすればよい。
【0045】
ゲーム機2にて、ベンダサービスによる抽選を開始するための抽選開始条件が成立すると、ゲーム2機の制御ユニット10は図8の景品抽選処理を開始する。抽選開始条件は、例えば、ゲーム開始前又は開始後の適当な時期にプレイヤがゲーム機2の入力装置11を介して抽選開始を指示した場合に成立するよう設定することができる。あるいは、抽選開始条件は、プレイデータに記録された情報が所定の条件を満たすときにプレイヤに抽選を希望するか否か確認を求め、プレイヤからの抽選開始の指示が確認できたときに成立するよう設定されてもよい。例えば、プレイヤのランクが昇格したときに抽選希望の有無を確認する機会が設けられてもよい。いずれにしても、抽選開始条件は、ゲーム機2のプレイヤが入力装置11を介して抽選開始を指示した場合に成立するよう設定される。
【0046】
ゲーム2機の制御ユニット10は、景品抽選処理を開始すると、まずステップS11でセンターサーバ3に対して、抽選処理の開始を通知する、その通知には、プレイヤを特定するためのユーザID(又はカードIDでもよい。)、及び抽選対象に含まれるべき景品セットを特定するために必要な情報が含まれる。例えば、景品セットがゲームの種別に応じて異なる場合には、ゲームの種別を特定する情報が通知される。ただし、センターサーバ3が筐体IDを手掛かりとしてゲーム機2で実行されるべきゲームの種別を特定可能な場合には、ゲームの種別を特定する情報の通知が省略されてもよい。また、プレイデータ32に含まれている情報に応じて景品セット内の景品の群がさらに細分されている場合には、プレイデータ32の情報(図6の例ではプレイヤのランクの情報が該当する。)が、景品の群を特定するために必要な情報として通知される。ただし、ステップS11の実行時点で記憶装置15に記録されている最新のプレイデータ32の全体を、プレイデータに含まれる情報としてセンターサーバ3に送信し、ユーザIDと対応付けて記憶装置21に記録されているプレイデータ32をその最新のプレイデータ32で更新してもよい。
【0047】
センターサーバ3の制御ユニット20は、ゲーム機2からの抽選開始通知を受け取ると図8の景品抽選処理を開始し、まずステップS21にてゲーム機2から送られた情報に基づいて抽選の内容を特定する。ここでは、ゲーム機2から送られた情報に基づいて、景品の群を決めるために必要なベンダデータ34を特定する。続くステップS22で、制御ユニット20は、口座管理部25を利用して、景品の抽選に必要な料金(抽選料金と呼ぶことがある。)に相当する量の仮想通貨を、ステップS21で取得したユーザIDに対応する口座データ35から消費させる処理を試みる。抽選料金は、コインを媒介としてプレイ料金を支払うときの消費単位である1クレジットに相当する額よりも小額に設定される。一例として、一回のゲームで100円相当の金銭的価値を消費させる場合、抽選料金は10円程度の金銭的価値に相当する値に設定される。したがって、コインを介して抽選料金を支払うことは不可能である。ステップS22の消費処理が成功しない限り、プレイヤは景品を獲得することができない。
【0048】
なお、抽選料金は、ゲームの種類に関わりなく一定料金に設定されてもよいし、ゲーム毎に異なる料金が設定されてもよい。抽選料金を判別するためのデータは、ベンダデータ34に含めればよい。プレイヤのプレイデータ32に記述されたステータスやプレイ回数等に応じて抽選料金を変動させてもよい。プレイヤが少ない閑散時期又は時間帯には料金を相対的に低下させ、プレイヤが多い繁忙時期又は時間帯には料金が上昇するといったように、景品抽選の時期に応じて抽選料金を変動させてもよい。なお、仮想通貨の消費を試みる際、ゲーム機2からプレイヤに対して抽選料金の徴収に対する確認を求め、確認が得られた場合に消費を実行するものとしてもよい。
【0049】
続くステップS23において、制御ユニット20は、抽選料金の消費処理の結果をゲーム機2に通知する。この通知は、消費の成功又は失敗を識別する情報を含む。次のステップS24において、センターサーバ3の制御ユニット20は抽選料金の消費に成功したか否か判別し、失敗していれば景品抽選を終える。ゲーム機2の制御ユニット10は、ステップS12でセンターサーバ3からの通知を受け取り、該通知内容に基づいて抽選料金の消費に成功したか否かを判別する。そして、消費に失敗していた場合、制御ユニット10も景品抽選を終える。
【0050】
ステップS24にて抽選料金相当の仮想通貨の消費に成功していた場合、センターサーバ3の制御ユニット20はステップS25に進み、プレイデータ32に含まれている情報とベンダデータ34とに基づいて景品を抽選する処理を実施する。具体的には、ステップS21にて特定したベンダデータ34に含まれている確率データ36に基づいて、景品A〜Nのいずれかを抽選し、かつ当選した景品の内容をプレイデータ32に含まれるランクの情報と景品データ38とに基づいて決定する。抽選は、乱数その他のコンピュータを利用した抽選処理で用いられる各種の公知の抽選処理に従って実施することができる。なお、抽選処理は確率データ36に基づいて行われるが、所定の条件が満たされたときに、確率データ36に記述された確率を変動させる処理が行われてもよい。一例として、所定のボーナス条件が満たされたときに、価値の高い景品が引き当てられる確率を一時的に上昇させるといった処理が行われてもよい。ステップS25の処理を実行することにより、制御ユニット20のベンダサービス管理部24は本発明の抽選手段として機能する。
【0051】
続くステップS26にて、センターサーバ3の制御ユニット20は、抽選結果をゲーム機2に通知する。この場合、プレイヤが獲得した景品を識別する情報(例えば、当選したアイテムを識別する情報、経験値の加算値を指定する情報等)がゲーム機2に提供される。その後、制御ユニット20はステップS27に進み、抽選結果を反映させるべくデータを更新する。例えば、記憶装置21のユーザIDに対応するプレイデータ32のベンダログに、今回の景品抽選の日時、獲得した景品等が記録される。また、プレイヤがアイテムを獲得した場合には、その獲得したアイテムを所有アイテムに加えるようにプレイデータ32が更新される。景品が、経験値やランクの向上を含むものであった場合には、それらが反映されるようにプレイデータ32が更新される。ステップS27のデータ更新が完了すると、制御ユニット20は図8の景品抽選を終える。
【0052】
一方、ゲーム機2の制御ユニット10は、ステップS12で消費成功と判断した場合、ステップS13に進んでセンターサーバ3からの抽選結果の通知を待ち、通知があるとこれを取得する。続くステップS14にて制御ユニット10は、抽選結果に応じた処理を実行する。例えば、抽選実施時に最新のプレイデータ32がセンターサーバ3に保存された場合には、ステップS27で更新されたプレイデータ32をセンターサーバ3から受け取り、そのプレイデータ32により、記憶装置15のプレイデータ32を置き換える。あるいは、記憶装置15に保持されたプレイデータ32に今回の抽選結果が反映されるように、ベンダログその他の情報が更新されてもよい。続いて、ゲーム機2の制御ユニット10はステップS15に進み、ゲーム機2の画面上に、景品が抽選される様子を表示する。一例として、ゲーム機2の画面上に抽選機構の画像を表示し、その抽選機構が動作して多数の景品の中から一つの景品が選択される様子を描いた動画を表示する。ステップS15における抽選の表示が終わると、制御ユニット10は図8の景品抽選を終える。なお、ステップS12で消費成功と判断された場合、制御ユニット10のベンダ制御部17は、その消費実績を課金管理部18に提供し、課金管理部18はその消費実績を記憶装置15に記録する。記録された消費実績は適宜のタイミングで集計されてセンターサーバ3に提供され、センターサーバ3の制御ユニット20はその消費実績の集計値に基づいて、ベンダサービスの利用に対するオペレータへの請求額を演算する。
【0053】
以上の処理により、確率データ36に記述された確率に基づいて景品セット内のいずれかの景品が抽選され、当選した景品がプレイデータ32の更新という処理を介してプレイヤに払い出される。ところで、景品セットに対して当選個数及び抽選期間が設定されている場合、抽選期間内における抽選回数が予測よりも多ければ抽選期間の終了よりも早い段階で景品(ただし無限数の景品を除く。)の当選個数が目標値に達し、反対に、抽選回数が予測よりも少なければ、抽選期間が終了しても景品が余るおそれがある。そこで、ゲームシステム1では、センターサーバ3にて、図9の確率調整処理を周期的に実行することにより、景品個数データ37の個数を更新し、かつ確率データ36の確率を調整する。その周期は、抽選期間に対して十分に短く設定される。例えば、抽選期間が1週間であれば、図9の処理は毎日、又はそれよりも短い半日単位といった周期で実行される。なお、図9の処理も制御ユニット20のベンダサービス管理部24が担当するが、以下では実行主体を制御ユニット20として説明する。また、以下の説明では、景品セットXに対応付けられた景品個数データ37及び確率データ36を更新する処理を対象とするが、他の景品セットに関しても、抽選期間が設定されている限りにおいて同様の処理が行われる。
【0054】
センターサーバ3の制御ユニット20は、図9の確率調整処理を開始すると、まずステップS31で、景品セットXの抽選実績に関するデータを抽出する。ここで抽出されるデータは、景品セットXに対応するゲームについて、記憶装置21に保存されている全てのプレイデータ32である。続くステップS32において、制御ユニット20は、抽出されたプレイデータ32のベンダログを参照して、確率調整処理の前回の実行時から今回の実行時までの一周期(過去の所定期間に相当する。)にて景品セットXの各景品が払い出された個数を集計する。この場合、無限数が設定された景品Nの個数についても集計対象に含まれる。これらの集計値は、センターサーバ3が景品セットXについての抽選を実施する全てのゲーム機2の群(店舗4の異同を問わない。)を集計範囲として演算される値である。
【0055】
次のステップS33において、制御ユニット20は、景品個数データ37に記録されている個数からステップS32で求めた集計値を減算することにより、景品個数データ37の個数を、現在の残り個数に更新する。続くステップS34において、制御ユニット20は、景品セットXに関して抽選期間データ39に記録されている終了時期と現在の日時とから抽選の残り期間を演算する。その後、制御ユニット20はステップS35に進み、ステップS32で集計した払い出し個数の総和と、景品の残り個数と、抽選の残り期間とに基づいて各景品の確率について演算する。例えば、ステップS32で求めた集計値の総和がSn、景品Aについての残り個数がNa、残り期間(ただし、集計の周期と同一単位系である。)がTrだとすれば、確率Paは以下の式(1)で演算される。
【0056】
【数1】

【0057】
上式(1)において、集計値の総和Snは、確率調整処理の一周期の間において景品セットXを対象として実行された抽選回数の集計値に相当する。そのため、(1)式の右辺括弧内の分母項は、確率調整処理の一周期における抽選回数の集計値に残り期間Trを乗算することにより、残り期間Trにおける抽選回数の予測値を求めていることになる。言い換えれば、(1)式は、景品Aの残り個数Naを、今後の抽選回数の予測値で除算してその商の百分率を求めることにより、景品Aの確率Paを演算する式である。それにより、残り期間Tr内に、残り個数Naの景品Aを払い出すために適用されるべき新たな確率を求めることができる。ただし、抽選開始時期から図9の処理が実行されるまでの期間における抽選回数の総和を抽選開始時期からの経過期間(周期数)で除して一周期あたりの抽選回数の平均値を演算し、その平均値に残り期間を乗算することにより、抽選回数の予測値(つまり、(1)式の括弧内の分母)を求めてもよい。なお、無限数が設定された景品Nの確率Pnは、確率の総和である100から景品N以外の景品の確率の総和を減算した値を新たな確率とすればよい。ステップS35にて確率を演算した後、制御ユニット20はステップS36に進み、確率データ36に記述された確率Pa〜Pnを、ステップS35で演算された新たな確率で置き換えることにより、確率データ36を更新する。データ更新が完了すると、制御ユニット20は図9の処理を終える。その後に図8のステップS25で抽選が実行される場合、その抽選は更新後の確率データ36に基づいて行われる。以上のステップS31〜S36の処理を実行することにより、ベンダサービス管理部24は本発明の確率調整手段として機能する。
【0058】
以上のように、ゲームシステム1では、抽選の残り期間と景品の残り個数とに基づいて、各景品を残り期間内に残り個数当選させるために適した新たな確率が演算され、その新たな確率に基づいて確率データ36が更新される。したがって、景品の払い出し実績に応じて確率を適宜に見直して、抽選期間内における各景品の当選個数の実績値と、当初の目標値である景品個数データ37の初期値との差を低減することができる。それにより、特定の景品が抽選期間の早い段階で終了する、あるいは抽選が終わっても価値の高い景品が余る、といった不都合を解消し、又は軽減することができる。なお、図8のステップS25にて抽選確率を確率データ36のそれから一時的に変動させた場合でも、その後に図9の確率調整処理が行われることにより、確率変動による払い出し個数の変化をも考慮して適切な確率を再設定することができる。確率の演算周期によっては、抽選期間の終了時期と当選個数が目標値に達する時期との間に多少の誤差が生じる可能性があるが、確率が適宜に見直されるため、その誤差は比較的小さい。したがって、抽選期間終了前に当選個数が目標値に達した場合に抽選を打ち切ってもそれによる影響は小さい。目標値を超える当選個数を認めつつ抽選を終了時期まで継続しても当選個数の過剰数は小さく、店舗4の運営者等が過度の負担を強いられるおそれはない。反対に、抽選終了時点で景品に余りがあったとしてもその個数は少ないために、ユーザの利益も過度に損なわれない。その場合、余った景品が当選するまで抽選期間を延長したとしても、その延長期間がさほど長引くこともない。
【0059】
なお、上記の形態では、抽選実施の条件として抽選料金の仮想通貨による消費を必要としているが、抽選料金の消費は不要としてもよい。その場合、図8のステップS12、S21〜S24を省略し、抽選開始条件の成立により直ちに抽選を実施するように処理を変更すればよい。
【0060】
(第2の形態)
本発明の抽選システムをゲームシステムに適用した第2の形態について説明する。なお、本形態は、ゲーム機が抽選端末装置として機能し、そのゲーム機に対するユーザの指示に基づいてゲーム機の抽選手段が景品を抽選する形態の一例である。ゲームシステムの全体構成は図1のゲームシステム1と同様である。以下においては、第1の形態と共通する部分には同一の参照符号を使用し、第1の形態に対する相違点を中心に説明する。
【0061】
図10は第2の形態に係るゲームシステム1のゲーム機2及びセンターサーバ3に関する制御系の主要部の構成を示している。図10に示すように、本形態では、ゲーム機2の記憶装置15に、ゲームデータ31、及びプレイデータ32に加えて、ゲーム機2で実行されるべきゲームの種別に対応するベンダデータ34が記録されている。そのベンダデータ34は、センターサーバ3から適宜のタイミングで配信され、その記憶装置21に記録されている同一ゲームに対応したベンダデータ34と同期されている。ゲーム機2の制御ユニット10に設けられたベンダ制御部17は、記憶装置15に記録されたベンダデータ34とプレイデータ32とに基づいて景品を抽選することにより、本発明の抽選手段として機能する。
【0062】
図11は、第2の形態に係るゲームシステム1において、景品を抽選するためにゲーム機2の制御ユニット10及びセンターサーバ3の制御ユニット20がそれぞれ実行する処理を示している。なお、ゲーム機2における処理は制御ユニット10のベンダ制御部17が主として担当し、センターサーバ3における処理は制御ユニット20のベンダサービス管理部24が担当するが、以下では各処理の実行主体を制御ユニット10、20として説明する。また、図11の処理も、図8の処理と同様に、カード9のカードIDをカードリーダ13が読み取ってプレイヤを認証し、そのプレイヤのユーザIDとゲーム機2のゲームに対応するプレイデータ32がセンターサーバ3からゲーム機2に呼び込まれて記憶装置15に保存された後に実行される処理である。以下、図8と同様の処理に関しては図8と同一の参照符号を使用し、図8の処理に対する相違点を中心として説明する。また、以下でも、抽選対象の景品セットに対して抽選期間データ39に記述された抽選期間内に抽選が実行される場合について説明する。
【0063】
ゲーム機2の制御ユニット10は、所定の抽選開始条件(第1の形態と同じでよい。)が成立すると図11の景品抽選処理を開始してステップS11及びステップS12を順次実行する。また、センターサーバ3はステップS11によるゲーム機2からの通知に対応して図11の景品抽選処理を開始してステップS21〜S24の処理を順次実行する。ゲーム機2の制御ユニット10は、ステップS12で抽選料金に相当する量の仮想通貨の消費に成功したと判断された場合、ステップS13Aに進んで景品を抽選する処理を実施する。具体的には、記憶装置15に記録されているベンダデータ34の確率データ36に基づいて、景品A〜Nのいずれかをプレイヤに払い出すべき景品として抽選し、かつ当選した景品の内容を、記憶装置15のプレイデータ32に含まれるランクの情報と景品データ37とに基づいて決定する。抽選は、乱数その他のコンピュータを利用した抽選処理で用いられる各種の公知の抽選処理に従って実施することができる。この場合も、所定の条件が満たされたときに、確率データ36に記述された確率を変動させる処理が行われてもよい。
【0064】
続くステップS13Bにおいて、制御ユニット10は抽選結果をセンターサーバ3に通知する。この場合、プレイヤが獲得した景品を識別する情報(例えば、当選したアイテムを識別する情報、経験値の加算値を指定する情報等)がセンターサーバ3に提供される。その後、制御ユニット10はステップS14及びS15の処理を順次実行して今回の景品抽選を終える。一方、センターサーバ3の制御ユニット20は、ステップS26Aにてゲーム機2からの抽選結果の通知を取得し、続くステップS27では、抽選結果を反映させるべくデータを更新する。これにより、センターサーバ3の記憶装置21にも、抽選結果が記録される。制御ユニット20のベンダサービス管理部24は、ステップS27の処理を行うことにより、本発明の抽選結果記録手段として機能する。ステップS27のデータ更新が完了すると、制御ユニット20は今回の景品抽選を終える。なお、図11のステップS27でデータが更新されることにより、センターサーバ3側のプレイデータ32に払い出し実績等の抽選結果が記録される。
【0065】
図12は、第2の形態において確率を調整するために実行される確率調整処理を示している。ただし、図9と同様の処理に関しては図9と同一の参照符号を使用し、以下では第1の形態に対する相違点を中心として説明する。また、以下でも、抽選対象の景品セットに対して抽選期間データ39に記述された抽選期間内に抽選が実行される場合について説明する。まず、本形態では、センターサーバ3の制御ユニット20が、図9と同様のステップS31〜S36を実行して確率を演算し、確率データ36を更新する。しかしながら、景品の抽選はセンターサーバ3ではなくゲーム機2にて実行されているので、制御ユニット20は確率データ36の更新後、ステップS37に進んで更新された確率データ36をゲーム機2に配信し、その後、確率調整処理を終える。一方、確率データ36が配信されたゲーム機2の制御ユニット10(より具体的にはベンダ制御部17)は、センターサーバ3から確率データ32が配信されると、図12の確率調整処理を開始し、まずステップS41でセンターサーバ3から配信された確率データ36を取得する。続いて、制御ユニット10は、自らの記憶装置15に記録されているベンダデータ34内の確率データ36を、ステップS41で取得した確率データ36にて更新する。データ更新の完了後、制御ユニット10は図12の確率調整処理を終える。その後に図11のステップS13Aで抽選が実行される場合、その抽選は更新後の確率データ36に基づいて行われる。以上のステップS31〜S37の処理を実行することにより、ベンダサービス管理部24は本発明の確率調整手段として機能する。
【0066】
以上の形態においても、抽選の残り期間と景品の残り個数とに基づいて、各景品を残り期間内に残り個数払い出すために適した確率が演算されて確率データ36が更新されるので、第1の形態と同様の作用効果が得られる。
【0067】
なお、上記の形態でも、抽選実施の条件として抽選料金の仮想通貨による消費を必要としているが、抽選料金の消費は不要としてもよい。その場合、図11のステップS12、S21〜S24を省略し、抽選開始条件の成立により直ちに抽選を実施するように処理を変更すればよい。
【0068】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上記の形態では、ゲーム機2が抽選端末装置として兼用されているが、ゲーム機2とは物理的に異なる装置を抽選端末装置として機能させてもよい。例えば、図13に示すように、店舗4内に、ゲーム機2とは物理的に異なるコンピュータ端末装置としてベンダ装置40を設置し、そのベンダ装置40にて図8の処理、又は図11及び図12の処理と同様の処理を実行することにより、そのベンダ装置40を、ゲーム機2と同一施設に設置されるべき抽選端末装置として機能させてもよい。あるいは、店舗4内のLAN5Bに無線アクセスポイントを設置し、ユーザが店舗4に持ち込んだユーザ端末8が、無線アクセスポイントを介して店舗4のルータ6に接続している場合に限って、そのユーザ端末8を抽選端末装置として機能させてもよい。さらには、店舗4外のユーザ端末8も抽選端末装置として機能させてもよい。上述した第1及び第2の形態においては、店舗4に来店することにより、期間限定の抽選に参加して景品を獲得できることをセンターサーバ3からユーザ端末8に告知してもよい。それにより、店舗4へのユーザの誘引効果を高めることができる。
【0069】
本発明において、景品はゲームと関連付けられたものであれば足り、デジタルデータの形態でユーザに付与される例に限らない。例えば、物理的なコンテンツとしてユーザに付与されるべき景品が用意されてもよい。その場合は、抽選結果に応じて景品を物理的に払い出す装置を抽選端末装置に付加すればよい。画像データ、バーコードデータといったデジタルデータを、ゲーム機が読み取り可能な態様にてカードその他の物理的媒体に出力した景品をユーザに払い出し、その景品のデジタルデータをゲーム機で読み取ってゲームで使用可能としてもよい。抽選手段は物理的な抽選機構を動作させて抽選を実施する構成とすることも可能である。例えば、物理的コンテンツを景品として払い出す場合には、店舗等の施設に物理的な抽選機構を設置し、その抽選機構が抽選可能な景品の群の一部に、当該店舗のゲーム機で使用可能な景品を含めるようにしてもよい。サーバ装置側に抽選手段を設ける場合にも、その抽選手段の一部を物理的な抽選機構によって構成し、その抽選機構が抽選した景品をサーバ装置からベンダ装置に通知するように構成してもよい。また、本発明は複数種類の景品の群を対象として抽選を実施する例に限らず、単一種類の景品を抽選対象とする場合でも、その景品に対する確率を本発明に従って適宜に演算して更新してもよい。
【0070】
本発明は、抽選端末装置とサーバ装置とがネットワークを介して接続された抽選システムとして構成される例に限らない。サーバ装置を利用せず、店舗等の施設にいわゆるスタンドアローン機として設置された抽選端末装置に本発明を適用することも可能である。例えば、店舗の運営者が複数の景品を用意し、店舗の抽選端末装置を利用して景品を抽選させる場合でも、抽選期間が設定されていれば、抽選端末装置に抽選手段及び確率調整手段を設け、抽選期間内の適宜の時期に、用意された個数の景品を当選させるために適した確率を確率調整手段が演算して確率の設定値を更新するようにしてもよい。あるいは、ネットワークを介して抽選端末装置とサーバ装置とが接続されている場合でも、景品の当選個数の目標値及び抽選期間を店舗の運営者等からの要望に応じて店舗毎に個別に設定し、サーバ装置の確率調整手段が店舗毎に適宜に確率を演算してその設定値を更新するように抽選システムを構成してもよい。これによれば、店舗固有の抽選イベント等を期間限定で気軽に実施することができる。
【0071】
本発明において、抽選期間は抽選開始前に予め定められていることを要しない。例えば過去の所定期間における抽選回数及び景品の当選個数は、抽選開始時期から当選回数等の集計時点までの期間内から適宜に設定すればよい。また、抽選期間の終了時期についても、抽選開始後の来客実績や当選実績の経過に応じて店舗の運営者等が抽選の終了時期を適宜に設定できるようにしてもよい。その場合でも、終了時期が決まれば、抽選開始以降の適宜の期間を抽選回数や当選個数の集計期間として設定し、それらの集計値に応じて、終了時期までに残り個数の景品を当選させるために適した確率を演算して確率設定値を更新すればよい。それにより、終了時期付近で景品の当選個数が目標値に達するように確率を適宜見直すことができる。さらに、抽選期間はユーザに告知されることを必ずしも必要とせず、抽選手段や確率調整手段が把握できる限りにおいて、ユーザに対しては告知されず、あるいは、ユーザに対して曖昧に告知されるようにしてもよい。
【0072】
上記の形態でも説明したように、本発明の抽選システムにおいて、景品の抽選は抽選料金の支払いを要せず、無償で行われるものとしてもよい。ゲーム機が抽選端末装置として兼用されかつ抽選料金を徴収しない場合には、ゲームにて所定の条件が満たされたときの特典として抽選開始条件を成立させ、その成立に応じて抽選が自動的に開始されるようにしてもよい。この場合でも、抽選の少なくとも終了時期が限定されることにより、ユーザが景品獲得を目的の一つとして店舗4に来店し、ゲームのプレイを繰り返すようになるので、ゲーム機2の稼動率の向上や事業者の収益向上を期待することができる。
【0073】
一方、ゲーム機が抽選端末装置として兼用されかつゲームのプレイ料金とは別に抽選料金を徴収する場合、その抽選料金は、ゲームのプレイ開始時にプレイ料金と一括して、言い換えれば外見的にはプレイ料金に含まれるようにして徴収されてもよいし、ゲームのプレイ中の適宜のタイミングで抽選料金が徴収されてもよい。抽選料金を課金する場合でも、その抽選料金は仮想通貨にて支払われることを必ずしも要しない。現金、代替通貨、クレジットカードその他の各種の決済手段を利用して抽選料金を支払うことが可能とされてもよい。仮想通貨の消費によって抽選料金を徴収する場合でも、その消費処理はサーバ装置にて行われる形態に限らない。例えば、ユーザが所持するカードその他の媒体に予め仮想通貨をチャージし、その媒体上の残高からベンダ装置が抽選料金相当の仮想通貨を消費させることにより抽選料金が徴収されてもよい。また、上記の形態ではサーバ装置が管理する口座上に予め仮想通貨をチャージし、その口座から仮想通貨を消費させる、いわゆるプリペイド型のシステムを前提としているが、ポストペイ型のシステムにより仮想通貨が消費されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 ゲームシステム(抽選システム)
2 ゲーム機(抽選端末装置)
3 センターサーバ(サーバ装置)
4 店舗(施設)
5 ネットワーク
10 ゲーム機の制御ユニット
17 ベンダ制御部(抽選手段)
20 センターサーバの制御ユニット
21 センターサーバの記憶装置(サーバ装置の記憶手段)
24 ベンダサービス管理部(抽選手段、確率調整手段、抽選結果記録手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当選個数の目標値が設定された景品を、当該景品と対応付けられた確率の設定値に従って抽選する抽選手段と、
前記景品の当選個数が前記目標値に満たない段階で、過去の所定期間に前記抽選手段が実施した抽選の回数と、前記過去の所定期間における前記景品の当選個数とに基づいて、以降の所定期間にて前記目標値に対する残り個数の景品を当選させるために適用されるべき新たな確率を演算し、該新たな確率の演算結果に基づいて前記確率の設定値を更新する確率調整手段と、
を備えた抽選システム。
【請求項2】
前記確率調整手段は、前記過去の所定期間に前記抽選手段が実施した抽選の回数に基づいて前記以降の所定期間における抽選回数を予測し、予測した値と前記残り個数とに基づいて前記新たな確率を演算する請求項1に記載の抽選システム。
【請求項3】
前記当選個数の目標値は、所定の抽選期間に前記景品を当選させるべき個数として設定され、前記抽選手段は前記抽選期間に限って前記景品の抽選を実施し、前記確率調整手段は、前記確率の設定値の更新時期から前記抽選期間が終了時期までの期間を前記以降の所定期間として前記新たな確率を演算する請求項1又は2に記載の抽選システム。
【請求項4】
前記確率調整手段は所定の周期で前記新たな確率を演算し、前記過去の所定期間が、一以上の周期に相当する期間である請求項1〜3のいずれか一項に記載の抽選システム。
【請求項5】
前記抽選に関するユーザからの指示を受け付け、かつ前記ユーザに対して抽選結果を通知する複数の抽選端末装置と、前記複数の抽選端末装置のそれぞれとネットワークを介して接続されたサーバ装置とを含み、
前記抽選手段は、各抽選端末装置におけるユーザの指示に応答して前記抽選を実施し、
前記当選個数の目標値は、前記複数の抽選端末装置の群の全体に対する当選個数の目標値として設定され、
前記確率調整手段は、前記複数の抽選端末装置の群の全体を集計範囲として前記抽選の回数及び前記景品の当選個数を集計し、かつ前記抽選の回数及び前記当選個数のそれぞれの集計値に基づいて前記新たな確率を演算し、
前記確率の設定値は、各ユーザからの指示に基づいて実施されるべき抽選のそれぞれに共通して適用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抽選システム。
【請求項6】
前記抽選手段が前記サーバ装置に設けられ、前記抽選端末装置は、ユーザの指示に基づいて前記抽選手段に抽選の実施を要求し、前記抽選手段は、各抽選端末装置からの要求に応答して抽選を実施してその抽選結果を前記サーバ装置の記憶手段に記録するとともに前記抽選端末装置に通知し、前記確率調整手段は、前記サーバ装置の記憶手段に記録された前記抽選結果に基づいて前記過去の所定期間における抽選の回数及び前記景品の当選個数を集計する請求項5に記載の抽選システム。
【請求項7】
前記抽選手段が各抽選端末装置に設けられ、前記抽選手段は抽選結果を前記サーバ装置に通知し、前記サーバ装置には、各抽選端末装置から通知される抽選結果を当該サーバ装置の記憶手段に記録する抽選結果記録手段が設けられ、前記確率調整手段は、前記サーバ装置の記憶手段に記録された抽選結果に基づいて、前記過去の所定期間における抽選の回数及び前記景品の当選個数を集計して前記新たな確率を演算し、該新たな確率を各抽選端末装置に通知し、各抽選端末装置の抽選手段は、前記確率調整手段から通知された確率に従って抽選を実施する、請求項5に記載の抽選システム。
【請求項8】
所定の施設に設置され、プレイ料金の支払いと引き換えに、ユーザに対して前記プレイ料金に対応した範囲でゲームをプレイさせる複数の商業用のゲーム機が前記ネットワークを介して前記サーバ装置に接続され、前記景品は、前記ゲーム機のゲームと関連付けられている請求項5〜7のいずれか一項に記載の抽選システム。
【請求項9】
前記ゲーム機が前記抽選端末装置として機能する請求項8に記載の抽選システム。
【請求項10】
前記施設に設置され、かつ前記ゲーム機とは物理的に異なる装置が前記抽選端末装置として機能する請求項8に記載の抽選システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−94505(P2013−94505A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241695(P2011−241695)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】