説明

磁力を使用して材料に力を印加するための装置及び方法

【課題】磁石を有するローラーを、ローラーのハンドルにより磁力を使用して力を印加、圧縮、又は材料を切断する。
【解決手段】ハンドル12、軸14及び16、磁石18、及びローラー20を備える。ハンドル12は、穴26及び28を備える。軸16は、ハブ40及び棒42を備える。棒42は円形断面を有する。棒42は、ハンドル12の穴28に嵌合しハブ40の軸方向穴44まで貫通し、ハブ34に対向する位置でハンドル12のU字型開口部内の適所でハブ40を保持する。ローラー20は円筒形状で、円形空洞46は、ローラー20の対向する端部48及び50の間で広がる。磁石18は、ローラー20の対向する端部48及び50の間で、且つ、軸14及び16の対向するハブ34及び40の間で、空洞46の中心部52においてローラー20の円形空洞46内に嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁力を使用して力を印加する、圧縮する、又は材料を切断する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料に力を印加するために、ユーザは一般的にツールを使用して材料に力を印加する。たとえば、真空バッグと複合レイアップツールとの間に両面粘着テープを圧縮し、真空バッグを複合レイアップツールに密閉する一の方法は、手で保持するヘラ形状の装置を使用する。ユーザは、圧縮力を印加しながら、真空バッグ上で手で保持するヘラ形状の装置を動かすことにより、真空バッグと複合レイアップツールとの間に粘着テープを圧縮させ、真空バッグを複合レイアップツールに密閉する。この工程では、25ポンドのユーザにより印加される圧縮力が要求され、その圧縮力は84フィートにもなりうる複合レイアップツール表面全体の周囲に印加されなければならない。この工程では、かなりの時間を必要とし、コストを増加させ、ユーザの疲労を引き起こす可能性があり、又、他の種類の人間工学的問題を引き起こすかもしれない。
【0003】
そこで、従来技術の一又は複数の問題を解決する装置及び方法が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、磁石を有するローラーが提供される。有利には、磁石は、少なくとも100ポンドの引力を生成するとされる。有利には、ローラーは、切断部材をさらに備える。有利には、ローラーは、非磁性体から作られる。
【0005】
有利には、ローラーは空洞を有し、且つ、磁石は空洞内に配置される。有利には、ローラーは、ローラー周囲に延びる溝を有する。有利には、磁石は、対向する軸の間のローラーの空洞内に配置される。
【0006】
本発明のさらなる一態様によれば、ハンドル、ローラー、及び磁石を備える装置が提供される。
【0007】
有利には、磁石は、ローラーの空洞内に配置される。有利には、ハンドルは、ローラーに取り付けられる。有利には、装置は少なくとも一の軸をさらに有し、ハンドルは少なくとも一の軸に取り付けられ、且つ、少なくとも一の軸はローラーに取り付けられる。有利には、装置は、切断部材をさらに備える。有利には、磁石は、少なくとも100ポンドの引力を生成するとされる。有利には、ローラーは、非磁性体から作られる。有利には、ローラーは、ローラー周囲に延びる溝を有する。
【0008】
本発明のさらなる一態様によれば、材料に力を印加する方法が提供される。一のステップでは、材料は、ローラーを備える装置と磁気的に影響を受けやすい表面との間に配置される。ローラーは、磁石を有する。別のステップでは、材料に力を印加するために、材料が磁石を有するローラーと磁気的に影響を受けやすい表面との間に配置された状態で、磁石を有するローラーが、材料上でローリングされる。
【0009】
有利には、材料はテープを含み、磁気的に影響を受けやすい表面は複合レイアップツールを含む。有利には、装置は付加的に切断部材を備えており、且つ、方法は切断部材で材料を切断するステップをさらに含む。有利には、方法は、ローラーの溝に材料を並べるステップをさらに含む。有利には、方法は、ローリング中にハンドルでローラーを移動させるステップをさらに含む。
【0010】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様及び有利な点は、続く図面、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照し、より理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】力を印加するための装置の一実施形態による正面図を示す。
【図2】図1の装置の線2−2を通る断面図を示す。
【図3】分解された状態の図1の装置の側面斜視図を示す。
【図4】材料に力を印加するために使用される図1の装置の正面図を示す。
【図5】材料に力を印加する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】材料に力を印加するために使用される装置の別の実施形態の正面図を示す。
【図7】切断部材により印加される切断力を材料に印加するために使用される装置の別の実施形態の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続く詳細な説明は、本開示の実行における現時点で熟考された最良の形態である。この詳細な説明は、限定的な意味を取るものではなく、本開示の範囲が特許請求の範囲により最良に定義されるように、本開示の一般的な原理を示すためだけになされるものである。
【0013】
図1は、力を印加するための装置10の一実施形態による正面図を示す。図2は、図1の装置10の線2−2を通る断面図を示す。図3は、分解された状態の図1の装置10の側面斜視図を示す。図1、2及び3に集合的に示されるように、装置10は、ハンドル12、軸14及び16、磁石18、及びローラー20を備える。ハンドル12は、矩形開口部22、U字型開口部24、及び対向部分30及び32を介して配置される穴26及び28を備える。矩形開口部22により、ユーザは指を矩形開口部22に挿入してハンドル12を握ることができる。ハンドル12は、ナイロンで作られる。他の実施形態では、ハンドル12は、様々な形状、構成、方向付け、サイズ、または材料で作ることができる。
【0014】
軸14は、ハブ34及び棒36を備える。ハブ34は、ハブ34を介して延びる軸方向穴38を有する円筒形状である。棒36は円形断面を有する。棒36は、ハンドル12の穴26に嵌合しハブ34の軸方向穴38まで貫通し、ハンドル12のU字型開口部24内の適所でハブ34を保持する。ハブ34及び棒36は、好適には強磁性体から作られる。他の実施形態では、ハブ34及び棒36は、様々な形状、構成、方向付け、サイズまたは材料で作ることができる。
【0015】
軸16は、ハブ40及び棒42を備える。ハブ40は、ハブ40を介して延びる軸方向穴44を有する円筒形状である。棒42は円形断面を有する。棒42は、ハンドル12の穴28に嵌合しハブ40の軸方向穴44まで貫通し、ハブ34に対向する位置でハンドル12のU字型開口部24内の適所でハブ40を保持する。ハブ40及び棒42は、好適には強磁性体から作られる。他の実施形態では、ハブ40及び棒42は、様々な形状、構成、方向付け、サイズまたは材料で作ることができる。
【0016】
磁石18は円筒形状で、130から135ポンドの引力とされる希土類元素ネオジム磁石であり、且つ、以下のリンクで示される部品番号22049として、アームストロングマグネティック社から入手可能である。
http://www.armsmag.com/neodymium_stock_size.htm

他の実施形態では、磁石18は、鉄、ホウ素、又は他の種類の材料など、種々の材料から作ることができる。付加的な実施形態では、磁石18は、少なくとも100ポンドの引力を生成するとされる。さらなる実施形態では、磁石18は、様々な量、形状、構成、方向付け、サイズ、材料、又は磁場の強度の種々の磁石を含むことができる。
【0017】
ローラー20は円筒形状である。円形空洞46は、ローラー20の対向する端部48及び50の間で広がる。磁石18は、ローラー20の対向する端部48及び50の間で、且つ、軸14及び16の対向するハブ34及び40の間で、空洞46の中心部52においてローラー20の円形空洞46内に嵌合する。ハブ34は、ローラー20の端部48で、円形空洞46内に嵌合する。ハブ40は、ローラー20の端部50で、円形空洞46内に嵌合する。ハブ34及び40は、ローラー20の円形空洞46内で、磁石18の対向する表面54及び56に対して隣接する。このような方法において、ローラー20は、ハンドル12の穴26及び28を貫通して延びる取り付けられた棒36及び42により適所で保持される取り付けられたハブ34及び40により、ハンドル12のU字型開口部24内の適所で保持される。
【0018】
ローラー20は、壁の厚さ57を有する。壁の厚さ57は、磁石18が磁気的に影響を受けやすい表面66(図4参照)に印加する力63(図4参照)の量を制御するために選択することができる。壁の厚さ57が大きくなればなるほど、磁石18と磁気的に影響を受けやすい表面66(図4参照)の分離距離が増加するため、より大きな力63(図4参照)が磁気的に影響を受けやすい表面66(図4参照)に印加される。他の実施形態では、磁石18と磁気的に影響を受けやすい表面66(図4参照)との間の分離距離を制御するために、たとえば、磁気的に影響を受けやすい表面66(図4参照)に対して磁石18を移動させるためのラチェット機構、又はそれらの相対的な場所を変更するための他の種類の移動機構などの、他の手段を使用することができる。
【0019】
空洞46の中心部52の中心に配置される、任意の溝58は、ローラー20の外側表面60の周囲に延びる。溝58は、0.075インチの奥行き62及び0.600インチの幅64を有することができる。ローラー20は、非磁性体とすることができ、且つ、ナイロンから作ることができる。他の実施形態では、空洞46及び溝58を有するローラー20は、様々な形状、構成、方向付け、サイズまたは材料で作ることができる。さらなる実施形態では、装置10は、様々な形状、構成、方向付け、サイズ、または材料で作ることができる。たとえば、一の代替的な実施形態では、磁石18は、磁石18を貫通して延びる軸方向穴を有することができ、且つ、棒36及び42は、単独の棒と置き換えることができる。
【0020】
図4は、材料64に力63を印加するために使用される図1の装置10の正面図を示す。力63は、圧縮力を含むことができる。材料64は、両面粘着テープを含む。材料64は、磁気的に影響を受けやすい表面66上に且つそれに対して配置される。磁気的に影響を受けやすい表面66は、インバールで作られる複合レイアップツールを含むことができる。磁気的に影響を受けやすい表面66は、非磁気的に影響を受けやすい層またはコーティングを含むことができる。材料64が磁気的に影響を受けやすい表面66と部材68との間に配置された状態で、部材68は材料64の上に且つそれに対して、及び磁気的に影響を受けやすい表面66に対して配置される。部材68は真空バッグを含む。ローラー20は、部材68、材料64及び磁気的に影響を受けやすい表面66の各々の上で部材68に対して配置される。材料64は、ローラー20の溝58内に部分的に配置される。材料64は、0.250インチの奥行き70及び0.500インチの幅72を有することができる。溝58は、ユーザ70が装置10のハンドル12を握り、部材68、材料64、及び磁気的に影響を受けやすい表面66の(ページに対して垂直に位置合わせされた)長さ73上でローラー20を回転/ローリングし、ローラー20が材料64上で位置合わせされたままの状態で、部材68、材料64及び磁気的に影響を受けやすい表面66に力63を印加するために、装置10を移動させるのに役立つ。
【0021】
ローラー20が、部材68、材料64、及び磁気的に影響を受けやすい表面66上で、部材68に対して回転する間に、ローラー20の空洞46(図2参照)内の中心に位置付けられる磁石18(図2参照)は、磁石18(図2参照)の磁場の結果として、磁石18(図2参照)の方へ磁気的に影響を受けやすい表面66を引きつける(図2参照)。磁気を帯びたハブ34及び40(図2参照)及び磁気を帯びた軸14及び16(図2参照)の磁気を帯びた棒36及び42は、磁石18(図2参照)とともに作動し、磁場の方向付けに役立つ。この磁力は、部材68と磁気的に影響を受けやすい表面66との間で材料64を圧縮し、材料64を部材68及び磁気的に影響を受けやすい表面66の両方に付着させ、これにより、部材68を磁気的に影響を受けやすい表面66に密閉する。磁力により、ユーザ70は、わずか5ポンドの力を印加するだけで、部材68、材料64及び磁気的に影響を受けやすい表面66上でローラー20を移動させ/押し/引き、部材68と磁気的に影響を受けやすい表面66との間に材料64を圧縮することができる。装置10の磁力とともにユーザ70に必要とされる5ポンドの力は、ユーザ70が装置10の磁力なしに印加しなければならない力より80パーセント少ない。他の実施形態では、部材68と磁気的に影響を受けやすい表面66との間に材料64を圧縮するために、ユーザ70が種々の対応するユーザにより印加される力を印加している状態で、装置10は種々の磁力を印加することができる。さらに他の実施形態では、材料64、磁気的に影響を受けやすい表面66及び部材68は、種類、形状、構成、方向付け、サイズ、または材料において、変更することができる。
【0022】
図5は、材料に力を印加する方法80の一実施形態を示すフローチャートである。ステップ82では、材料は、磁石を有するローラーと磁気的に影響を受けやすい表面との間に配置される。材料は、テープ又は別の種類の材料を含むことができる。磁気的に影響を受けやすい表面は、複合レイアップツールまたは別の種類の表面を含むことができる。一の実施形態では、ステップ82は、ローラーの溝内に材料を並べるステップをさらに含むことができる。ステップ84では、材料に力を印加するために、材料が磁石を有するローラーと磁気的に影響を受けやすい表面との間に配置された状態で、磁石を有するローラーが、材料上でローリングされる。印加される力は、圧縮力、切断力、又は別の種類の力を含むことができる。一の実施形態では、ステップ84は、材料上でローラーをローリングするために、ハンドルでローラーを移動する/押すステップをさらに含むことができる。
【0023】
別の実施形態では、ステップ82は、真空バッグと複合レイアップツールとの間にテープを配置するステップを含むことができ、ステップ84は、真空バッグを複合レイアップツールにテープで密閉するために、真空バッグ、テープ及び複合レイアップツール上で、磁石を有するローラーをローリングするステップを含むことができる。さらに別の実施形態では、付加的なステップは、装置の切断部材で材料を切断するステップを含むことができる。
【0024】
図6は、材料90に力88を印加するために使用される装置86の別の実施形態の正面図を示す。力は、圧縮力を含むことができる。装置86は、ローラー92の空洞96内に配置される磁石94を有するローラー92を備える。装置86は、磁気的に影響を受けやすい表面102上に配置される材料90上にローラー92をローリングするための対向するハンドル98及び100を選択的に備える。磁石94に対する磁気的に影響を受けやすい表面102の引力により、ローラー92は、力88を材料90に印加する。一の実施形態では、装置86は、パンこね台を含む磁気的に影響を受けやすい表面102上でパン生地のような材料90を延ばすキッチンのし棒を備えることができる。他の実施形態では、装置86及び磁気的に影響を受けやすい表面102は、力を種々の材料に印加して種々の機能を果たすために使用することができる。
【0025】
図7は、切断部材108により印加される切断力106を材料110に印加するために使用される装置104の別の実施形態の正面図を示す。装置104は、ローラー112の空洞116内に配置される磁石114を有するローラー112を備える。切断部材108は、ローラー112に取り付けられ、任意の数の刃又は種々の切断部材を備えることができる。装置104は、磁気的に影響を受けやすい表面122上に配置される材料110上でローラー112をローリングするための対向するハンドル118及び120を選択的に備える。磁石114に対する磁気的に影響を受けやすい表面122の引力により、ローラー112は、切断力106を材料110に印加する。装置104は、任意の種類の材料110を切断するために使用してもよい。他の実施形態では、切断部材108を備える装置104、及び磁気的に影響を受けやすい表面122は、数、形状、サイズ、構成、方向付け、又は材料の点で、変更することができる。たとえば、一の実施形態では、切断部材108は、量を変更し、ローラー112の任意の部分又はハンドル118及び120の任意の部分などの、装置104の任意の部分に取り付けることができる。さらに他の実施形態では、装置104及び磁気的に影響を受けやすい表面122は、異なる機能に使用されてもよい。
【0026】
本開示の一又は複数の実施形態は、材料に力を印加する従来の装置により経験される一又は複数の問題を縮小する又は除去することができる。たとえば、本開示の一又は複数の実施形態は、時間を節約することができ、コストを節約することができ、ユーザの疲労を削減することができ、又は他の種類の人間工学の利益をもたらすことができる。
【0027】
もちろん、前述したことは本開示の典型的な実施形態に関するものであり、続く特許請求の範囲で明記される開示の精神及び範囲を逸脱することなく変形することが可能であると、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石(18)を有するローラー(20)。
【請求項2】
磁石(18)は、少なくとも100ポンドの引力を生成するとされる、請求項1に記載のローラー(20)。
【請求項3】
切断部材(108)をさらに有する、請求項1に記載のローラー(20)。
【請求項4】
ローラー(20)は、非磁性体から作られるとする、請求項1に記載のローラー(20)。
【請求項5】
ローラー(20)は空洞(46)を有し、且つ、磁石(18)は空洞(46)内に配置される、請求項1に記載のローラー(20)。
【請求項6】
ローラー(20)は、ローラー(20)周囲に延びる溝(58)を有する、請求項1に記載のローラー(20)。
【請求項7】
材料(64)に力(63)を印加する方法であって、
磁石(18)を有するローラー(20)を備える装置(10)と磁気的に影響を受けやすい表面(66)との間に材料(64)を配置するステップ、及び
力(63)を材料(64)に印加するために、材料(64)が磁石(18)を有するローラー(20)と磁気的に影響を受けやすい表面(66)との間に配置された状態で、磁石(18)を有するローラー(20)を材料(64)上でローリングするステップを含む方法。
【請求項8】
材料(64)はテープを含み、且つ、磁気的に影響を受けやすい表面(66)は複合レイアップツールを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
装置(10)は、付加的に切断部材(108)を備え、且つ、切断部材(108)で材料(64)を切断するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ローラー(20)の溝(58)内に材料(64)を並べるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−87950(P2013−87950A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−227645(P2012−227645)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】