説明

磁化曲線の算定方法

【課題】磁性体コアを励磁することにより取得される計測結果に基づいて算定する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】磁性体コア10の1次巻線に第1の励磁電流を印加して、該第1の励磁電流、及び磁性体コアの2次巻線に生じる第1の2次電圧を測定して、第1の磁化曲線、及び第1の最大磁束密度を算定し、磁路中にギャップを有しないギャップなし磁性体コア20の1次巻線に第2の励磁電流を印加して、該第2の励磁電流、及びギャップなし磁性体コアの2次巻線に生じる第2の2次電圧を測定して、第2の磁化曲線、及び第2の最大磁束密度を算定することを有し、第1の最大磁束密度と、第2の最大磁束密度とが同一になるように、第2の励磁電流を調整することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化曲線の算定方法に関する。より詳細には、本発明は、リアクトルの磁路中にギャップを有する磁性体コアの磁化曲線の算定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インバ−タ、及びコンバ−タなどの電気機器は、力率を改善し、高調波を低減し、かつサ−ジを抑制するために、リアクトルを備える。このような用途に使用されるリアクトルに流れる電流は、振幅が比較的大きな直流電流、又は振幅が比較的大きな低周波交流電流に、振幅が比較的小さな高周波リップルが重畳した波形を有する。この結果、比較的大きな電流がリアクトルに印加されるために、リアクトルの磁性体コアには、大きな磁界が印加される。したがって、リアクトルの磁性体コアには、大きな磁界の下でも磁気飽和を起こさないことが要求される。磁気飽和が生じると透磁率が低下し、リアクトルのインダクタンスが低下するために、リアクトルとして動作しなくなるからである。
【0003】
磁性体コアが磁気飽和することを防止するために、一般にリアクトルの磁性体コアの磁路中にギャップ(空隙)が設けられる。磁性体コアの磁路中にギャップが設けられることにより、磁気抵抗が大きくなり、磁性体コアが磁気飽和することを防止できるためである。しかしながら、磁路中のギャップでは、磁束が磁路の外側に漏れ出す現象が生じる。この現象は、一般にフリンジング磁束と称される。フリンジング磁束は、磁性体コアが導体の場合には、ギャップ近傍の磁性体コア側面に渦電流を生じさせ、また、ギャップ近傍に巻線がある場合には、巻線導体に渦電流を生じさせ、いずれの場合も局部損失を増大させるという問題がある。また、フリンジング磁束が周囲に配置される電気閉回路と鎖交し、電気閉回路にノイズが生じる問題がある。
【0004】
また近年は、必要なギャップ長を得るために、複数個のギャップを磁路中に分散して設けることがある。これによって、1つ当たりのギャップ長が狭くなり、1つ当たりのギャップから生じるフリンジング磁束を抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ギャップを有する磁性体コアの磁界の強さ、透磁率、及び磁束密度などの磁気特性値、並びに実効磁路長、及び実効断面積などの試料定数を算定するため、ギャップ、及び磁性体それぞれの磁気特性値、及び試料定数を算定する必要がある。しかしながら、従来はこれらを計測し算定することが困難であった。このため、従来は、ギャップ、及び磁性体コア中の磁界の強さ、及び磁束密度を予測するためには、有限要素法等を応用した電磁界解析シミュレ−ションによる予測値を用いることしかできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、磁路中にギャップを有する磁性体コアのギャップ、及び磁性体コア中の磁界の強さと、磁束密度との間の関係を示す磁化曲線を、シミュレ−ションを使用することなく、磁性体コアを励磁することにより取得される計測結果に基づいて算定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る方法は、少なくとも1つのギャップを磁路中に有する磁性体コアの磁化曲線を算定する方法であって、磁性体コアの1次巻線に第1の励磁電流を印加して、該第1の励磁電流、及び磁性体コアの2次巻線に生じる第1の2次電圧を測定して、第1の磁化曲線、及び第1の最大磁束密度を算定する第1算定ステップと、磁路中にギャップを有しないギャップなし磁性体コアの1次巻線に第1の励磁電流と同一の周波数を有する第2の励磁電流を印加して、該第2の励磁電流、及びギャップなし磁性体コアの2次巻線に生じる第2の2次電圧を測定して、第2の磁化曲線、及び第2の最大磁束密度を算定する第2算定ステップであって、第1の最大磁束密度と、第2の最大磁束密度とが同一になるように、第2の励磁電流を調整する第2算定ステップと、を有し、磁性体コアの断面積、及び断面形状は、磁路に亘り一定であり、ギャップなし磁性体コアは、磁性体コアの磁性体と同一の磁性体から形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁化曲線の算定方法によれば、磁路中にギャップを有する磁性体コアのギャップ、及び磁性体の各々での磁界の強さと磁束密度との関係を示す磁化曲線を、シミュレ−ションではなく、計測結果に基づいて容易に算定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る磁化曲線の算定方法の原理を示す図である。
【図2】本発明に係る1つの実施形態における磁化曲線算定のフローを示す図である。
【図3】本発明に係る1つの実施形態における第1の測定装置を示す図である。
【図4】本発明に係る1つの実施形態における第1の磁化曲線算定のフローを示す図である。
【図5】本発明に係る1つの実施形態における第2の測定装置を示す図である。
【図6】本発明に係る1つの実施形態における第2の磁化曲線算定のフローを示す図である。
【図7】本発明に係る他の実施形態における第1の測定装置を示す図である。
【図8】図7の測定装置を利用する第2の測定装置を示す図である。
【図9】本発明に係る他の実施形態における第2の測定装置を示す図である。
【図10】本発明に係る他の実施形態における第2の磁化曲線算定のフローを示す図である。
【図11】本発明に係る1つの実施例における第1の測定装置を示す図である。
【図12】本発明に係る他の実施例における第1の1次電圧、及び2次電圧の測定結果を示す図である。
【図13】本発明に係る他の実施例における第2の1次電圧、及び2次電圧の測定結果を示す図である。
【図14】本発明に係る1つの実施例における磁化曲線を示す図である。
【図15】本発明に係る1つの実施例における磁化曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る磁化曲線の算定方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の開示において提供される図は、本発明の説明を意図したものであり、適当な縮尺を示すことを意図したものではないことを理解すべきである。また、それぞれの図面において、同一、又は類似する機能を有する構成要素には、同一、又は類似する符号が付される。したがって、先に説明した構成要素と同一、又は類似する機能を有する構成要素に関しては、改めて説明をしないことがある。
【0011】
図1を参照して、本発明に係る磁化曲線の算定方法の原理について説明する。
図1(a)において、測定対象の磁性体コア10が示される。磁性体コア10は、2つのギャップを形成するため、磁性体10a、及び10bを有する。磁性体10a、及び10bの実効磁路長はそれぞれ、Lc/2であり、合計の実効磁路長は、Lcになる。
【0012】
また、磁性体10a、及び10bの磁路に直交する断面(以下、磁路に直交する断面を断面と称する)の実効断面積はそれぞれAcであり、磁性体10a、及び10b内の磁路に亘って一定である。さらに、磁性体10a、及び10bの断面の形状は、磁性体10a、及び10b内の磁路に亘って一定である。さらに、磁性体10a、及び10bの透磁率は、μcである。磁性体コア10に形成される2つのギャップの実効磁路長はそれぞれ、Lgである。また、磁性体コア10に形成される2つのギャップの実効断面積はそれぞれ、Agとする。なお、本明細書で使用する場合、用語「断面積」、「実効断面積」、及び「断面形状」はそれぞれ、磁路に直交する磁性体コアの断面の面積、実効断面積、及び形状をいう。
【0013】
磁性体コア10には、励磁電流i1を印加する1次巻線11と、磁束密度を算定するために使用される2次電圧V2を検出する2次巻線12がそれぞれ、巻回される。1次巻線11、及び2次巻線12の巻数はそれぞれ、N1、及びN2である。また、励磁電流i1は、適当な振幅、及び周波数を有する正弦波にすることができる。
【0014】
図1(b)において、図1(a)の磁性体コア10を、ギャップを有しない磁性体コアであると仮定した磁性体コア10´が示される。すなわち、磁性体コア10´は、図1(a)の磁性体コア10を、実効断面積がAcであり、実効磁路長がLcであり、かつ透磁率がμであるギャップを有しない磁性体コアと仮定したものである。
【0015】
図1(a)の磁性体コア10、及び図1(b)の磁性体コア10´を参照しながら、図1(a)の磁性体コア10を、ギャップを有しない磁性体コア10´であると仮定して、磁界の強さ、及び磁束密度を算定する方法について順に説明する。まず、磁界の強さの算定方法について説明する。
【0016】
図1(a)の磁性体10a、及び10bに印加される磁界の強さをHcとし、ギャップに印加される磁界の強さをHgとすると、アンペールの法則から以下の式(1)の関係が成り立つ。ここで、nは、ギャップの数であり、図1(a)の磁性体コア10では、nは2である。
【数1】

式(1)を磁性体コア10の実効磁路長Lcを抜き出すように変形すると、式(1)は、
【数2】

で示される。
【0017】
一方、図1(b)の磁性体コア10´に印加される磁界の強さをHとすると、アンペールの法則から以下の式(3)の関係が成り立つ。
【数3】

ここで、1次電圧V1は、励磁電流i1を抵抗Rsにより電圧に変換した電圧値である。式(2)、及び(3)から、磁性体コア10´に生じる磁界の強さHは、
【数4】

で示されることが理解される。
【0018】
次に、図1(b)の磁性体コア10´の磁束密度Bについて説明する。磁束密度Bは、磁性体コア10´に生じる磁界の強さHを使用して、
【数5】

で示される。ここで、μは、磁性体コア10´の透磁率である。磁性体コア10´の透磁率μは、磁性体コア10の実効断面積Ac、実効磁路長Lc、及び透磁率μc、並びにギャップの実効断面積Ag、1つ当たりの実効磁路長Lg、透磁率μ0により、以下のように算出される。
【0019】
まず、磁性体コア10´に形成される磁路の磁気抵抗Rcは、
【数6】

で示される。一方、磁性体コア10に形成される磁路の磁気抵抗Rmは、
【数7】

で示される。さらに、磁気抵抗Rmは、磁性体コア10の実効断面積Ac、及び実効磁路長Lcを抜き出すように変形すると、
【数8】

となる。磁性体コア10´は、磁性体コア10をギャップを有しない磁性体コアであると仮定したものである。したがって、磁性体コア10´の磁気抵抗Rmと、磁性体コア10の磁気抵抗Rcとは等しくなる。すなわち、
c = Rm (9)
が成り立つ。式(9)に式(6)、及び(8)を代入すると、
【数9】

となる。これから、両辺からLc、及びAcを除することにより、磁性体コア10´の透磁率μは、
【数10】

となる。
【0020】
このように、磁性体コア10を、ギャップを有しない磁性体コア10´であると仮定することによって、磁性体コア10に励磁電流i1を印加することにより算定される磁化曲線の物理的な意味が明確になる。
【0021】
図1(c)は、磁路中にギャップを有しないギャップなし磁性体コア20が示される。ギャップなし磁性体コア20は、磁路中にギャップを有しない円環状の形状を有する。磁性体コア20の透磁率は、図1(a)の磁性体コア10と同一の透磁率μcである。また、ギャップなし磁性体コア20の断面は、図1(a)の磁性体コア10の断面の面積及び形状と、同一の面積及び形状を有する。したがって、ギャップなし磁性体コア20の断面の実効断面積は、Acである。また、ギャップなし磁性体コア20の実効磁路長は、Lcである。
【0022】
図1(c)のギャップなし磁性体コア20を使用して、透磁率μcを算定することができる。このとき、ギャップなし磁性体コア20の磁束密度の最大値、すなわち最大磁束密度Bcmを、図1(b)の磁性体コア10´の磁化曲線の最大磁束密度Bmに等しくなるように調整する必要がある。これは、以下の理由による。
【0023】
マックスウェルの方程式に示されるように、他の磁路に漏れる漏れ磁束が無い場合、磁路の磁束は保存される。このため、磁性体コア10に生じる磁束もまた保存される。したがって、磁性体コア10に生じる磁束Φは、
Φ=μccc=μ0gg=μHAc (12)
となる。ここで、μcccは、磁性体コア10の磁性体に生じる磁束である。また、μ0ggは、ギャップに生じる磁束である。さらに、μHAcは、磁性体コア10をギャップを有しない磁性体コアであると仮定した磁性体コア10´に生じる磁束である。式(12)では、磁性体コア10の磁性体に生じる磁束μcccと、磁性体コア10´に生じる磁束μHAcが等しいことが示される。ここで、双方の磁束に共通する実効断面積Acを除すると、
μcc=μH (13)
が得られる。ここで左辺は、図1(c)のギャップなし磁性体コア20の磁束密度Bcであり、右辺は、図1(b)のギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性コア10´の磁束密度Bである。これから、ギャップなし磁性体コア20の最大磁束密度Bcmを、ギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性コア10´の最大磁束密度Bmに等しくなるように調整することによって、図1(b)の磁性体コア10´の磁化曲線から磁気特性値、又は試料定数を算定するときに、図1(c)のギャップなし磁性体コア20の磁化曲線から得られる磁気特性値、及び試料定数を援用することができることが理解される。
【0024】
図1(c)のギャップなし磁性体コア20の磁界の強さHcは、励磁電流i1を、
【数11】

に代入することにより算出される。ここで、1次電圧V1は、励磁電流i1を抵抗Rsにより電圧に変換した電圧値である。一方、図1(c)のギャップなし磁性体コア20の磁束密度Bcは、2次電圧V2
【数12】

に代入することにより算出される。ここで、ギャップなし磁性体コア20の最大磁束密度Bcmは、ギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性コア10´の最大磁束密度Bmに等しくなるように調整される。なお、式(15)において、Tは、励磁電流の1周期に相当する。
【0025】
以上、図1を参照して、本発明に係る磁化曲線の算定方法の原理について説明した。次に図2〜6を参照して、本発明に係る1つの実施形態における磁化曲線(B−H曲線)を算定する方法について説明する。図2は、本発明に係る1つの実施形態における磁化曲線算定方法のフローを示す図である。
【0026】
図2に示す方法では、まずステップS101において、測定対象の磁性体コアの1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定して、磁化曲線、及び最大磁束密度を算定する。これは、図1(a)の磁性体コア10に励磁電流を印加して、図1(b)の磁性体コア10´と仮定した磁性体コアの磁化曲線を算定することに対応する。
【0027】
次いで、ステップS102において、処理は、磁路中にギャップを有しないギャップなし磁性体コアの1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定して、磁化曲線を算定する。これは、図1(c)のギャップなし磁性体コア20の磁化曲線を算定することに対応する。
【0028】
そして、ステップS103において、処理は、磁性体コア10の試料定数を算定する。具体的には、ステップS101、及びS102で算定された磁化曲線により、式(4)、又は(12)などを使用して、磁性体コア10のギャップの実効断面積Agを算定することなどが、ステップS103において実施される。
【0029】
以下、ステップS101〜S103のそれぞれのステップについて詳細に説明する。まず、図3、及び4を参照して、ステップS101における磁化曲線、及び最大磁束密度の算定方法を詳細に説明する。
【0030】
図3は、測定対象の磁性体コアの1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定する測定装置1を示す図である。測定装置1は、磁性体コア10と、磁性体コア10に巻回される1次巻線11、及び2次巻線12と、1次巻線11に励磁電流i1を印加する信号発生器30と、1次巻線11に印加される励磁電流i1を1次電圧V1として測定する1次電圧計31と、2次巻線12に発生する2次電圧V2を測定する2次電圧計32と、励磁電流i1を1次電圧V1に変換するシャント抵抗33とを有する。
【0031】
磁性体コア10は、一部が欠切した円環状の形状を有する。磁性体コア10の部材の欠切部は、ギャップである。磁性体コア10の断面の面積及び形状は、一定である。したがって、磁性体コア10の断面の面積は、磁路中のいずれの部分であっても一定である。また、磁性体コア10の断面の形状は、磁路中のいずれの部分であっても同一である。例えば、磁性体コア10として、断面の面積、及び形状が一定のトロイダルコアを使用することができる。
【0032】
1次巻線11は、磁性体コア10に励磁電流i1を印加するために、磁性体コア10に巻回される。また、2次巻線12は、磁束密度を算定するために使用される2次電圧V2を検出するために、磁性体コア10に巻回される。1次巻線11、及び2次巻線12は、被覆導線とすることができる。
【0033】
信号発生器30は、1次巻線11の口出し線に電気的に接続されて、1次巻線11に励磁電流i1を印加する。信号発生器30として、一般に使用されるファンクションジェネレータを使用することができる。
【0034】
1次電圧計31は、1次巻線11の口出し線と信号発生器30との間に電気的に接続されるシャント抵抗33の両端に生じる電圧を測定する。好適には、1次電圧計31は、シャント抵抗33の両端に生じる電圧を経時的に記憶し、かつ表示する機能を有する。
【0035】
2次電圧計32は、2次巻線12の口出し線に電気的に接続されて、2次巻線12の口出し線の両端に生じる電圧を測定する。好適には、2次電圧計32は、2次巻線12の口出し線の両端に生じる電圧を経時的に記憶し、かつ表示する機能を有する。さらに好適には、2次巻線12の口出し線の両端に経時的に生じる電圧を生じる時間に亘って積分した積分値を記憶し、かつ表示する機能を有する。
【0036】
次に図4を参照して、測定装置1により磁化曲線、及び最大磁束密度を算定する方法について、詳細に説明する。図4は、測定装置1により磁化曲線、及び最大磁束密度を算定するフローを示す図である。
【0037】
まず、ステップS201において、処理は、1次巻線11に信号発生器30から励磁電流i1を印加することにより開始される。励磁電流i1は、適当な振幅、及び周波数を有する正弦波にすることができる。
【0038】
次いで、ステップS202において、処理は、1次電圧計31、及び2次電圧計32でそれぞれ測定される1次電圧V1、及び2次電圧V2から、磁性体コア10を、ギャップを有しない磁性体コア10´であると仮定して、磁界の強さH、及び磁束密度Bを算定する。
【0039】
磁性体コア10´の磁界の強さHは、1次電圧計31で測定される1次電圧V1を式(3)に代入することにより算出される。一方、磁性体コア10´の磁束密度Bは、マックスウェルの方程式から導かれる、
【数13】

に2次電圧計32で測定される2次電圧V2を代入することにより算出される。2次電圧計32が、2次電圧V2の経時変化を積分した積分値を記憶する機能を有する場合は、2次電圧計32は、磁性体コア10´の磁束密度Bを算出するために2次電圧V2の複数の積分値を記憶できる。
【0040】
次いで、処理は、ステップS203において、磁性体コア10´の磁化曲線、及び最大磁束密度Bmを算定する。磁性体コア10´の磁化曲線は、時間の関数である磁界の強さHと、磁束密度Bとを励磁電流i1の1周期(式(16)のTに相当)に亘って相関させることにより算定される。また、最大磁束密度Bmは、ステップS202において算出された磁束密度Bの中で最大値を算定することにより算定される。
【0041】
ここまで、図3、及び4を参照して、図2に示されるステップS101において、測定対象の磁性体コアの1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定して、磁化曲線、及び最大磁束密度を算定する処理について説明してきた。次に、図2のステップS102について説明する。
【0042】
図2に示すように、ステップS102において、処理は、磁路中にギャップを有しないギャップなし磁性体コア20の1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定して、磁化曲線を算定する。図5、及び6を参照して、ステップS102における磁化曲線の算定方法を説明する。
【0043】
図5は、ギャップなし磁性体コア20の1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定する測定装置2を示す図である。測定装置2は、ギャップなし磁性体コア20と、ギャップなし磁性体コア20に巻回される1次巻線21、及び2次巻線22と、1次巻線21に励磁電流i1を印加する信号発生器30と、1次巻線21に生じる1次電圧V1を測定する1次電圧計31と、2次巻線22に発生する2次電圧V2を測定する2次電圧計32と、励磁電流i1を1次電圧V1に変換するシャント抵抗33とを有する。
【0044】
ギャップなし磁性体コア20は、磁路中にギャップを有しない円環状の形状を有する。ギャップなし磁性体コア20の断面は、図3に示される測定装置1の磁性体コア10の断面の面積及び形状と、同一の面積及び形状を有する。
【0045】
ギャップなし磁性体コア20は、測定装置1の磁性体コア10と同一の断面を有するように、ギャップを有さないコアとして同一の素材により新たに製造することができる。この場合、ギャップなし磁性体コア20は、漏れ磁束がないため、測定確度が向上する。
【0046】
1次巻線21、及び2次巻線22はそれぞれ、図3に示される測定装置1の1次巻線11、及び2次巻線12と同様な構成、及び機能を有する。
【0047】
次に図6を参照して、測定装置2により磁化曲線を算定する方法について、詳細に説明する。図6は、測定装置2により磁化曲線算定のフローを示す図である。
【0048】
まず、ステップS301に示すように、処理は、1次巻線21に信号発生器30から励磁電流を印加することにより開始される。励磁電流は、適当な振幅を有する正弦波にすることができる。ここで、励磁電流の周波数は、図4に示すステップS201において1次巻線11に印加される励磁電流の周波数の同一とする必要がある。磁性体コアの磁化曲線は、励磁電流の周波数により変化するためである。
【0049】
次いで、ステップS302において、磁性体コア20に発生する最大磁束密度Bcmを算出する。具体的には、式(15)に2次電圧V2を代入することにより、磁性体コア20に発生する磁束密度Bcを1次電圧V1の1周期に亘り複数の時点で算出して、最大磁束密度Bcmを抽出する。
【0050】
次いで、ステップS303において、ステップS302で算出された最大磁束密度Bcmと、ステップS203で算出された最大磁束密度Bmとの差が所定のしきい値以下かであるか否かを判定する。最大磁束密度Bcm、及びBmの差が所定のしきい値より大きい場合、処理は、ステップS304において、ステップS302で算出される最大磁束密度Bcmと、ステップS203で算出された最大磁束密度Bmとの差が小さくなるように、励磁電流を調整する。次いで、処理は、ステップS301に戻る。
【0051】
また、最大磁束密度の差が所定のしきい値以下である場合、ステップS305において、処理は、磁界の強さHc、及び磁束密度Bcを算出する。ステップS202において先に説明したように、磁界の強さHcは、1次電圧計31で測定される1次電圧V1を、式(14)に代入することにより算出される。また、磁束密度Bcは、2次電圧計32で測定される2次電圧V2を、式(15)に代入することにより算出される。
【0052】
そして、ステップS306において、処理は、磁化曲線を算定する。ステップS203において先に説明したように、磁化曲線は、時間の関数である磁界の強さHcと、磁束密度Bcとを励磁電流の1周期に亘って相関させることにより算定される。
【0053】
ここまで、図5、及び6を参照して、図2に示されるステップS102において、ギャップなし磁性体コア20の1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定して、磁化曲線を算定する処理について説明してきた。再び図2を参照して、本発明に係る1つの実施形態における磁化曲線算定のフローの説明を続ける。
【0054】
次に、ステップS103において、処理は、磁性体コア10の試料定数を算定する。具体的には、ステップS103において、磁性体コア10のギャップの実効断面積Agを算定する。
【0055】
まず、磁性体コア10のギャップの実効断面積Agを算定するために、ギャップの磁界の強さHgを算出する。ギャップの磁界の強さHgは、式(4)を変形した式(17)にそれぞれの磁気特性値、及び試料定数を代入することにより算出される。
【数14】

ここで、ギャップなし磁性体コア20の磁路長Lc、1つ当たりのギャップの磁路長Lg、及びギャップの数nは、既知である。また、ギャップを有しない磁性体コアであると仮定した磁性体コア10´の磁界の強さH、及びギャップなし磁性体コア20の磁界の強さHcはそれぞれ、最大磁束密度Bm、及びBcmが同一になるように測定した時の、ギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性体コア10´、及びギャップなし磁性体コア20のそれぞれの磁界の強さである。次いで、ギャップの磁束密度Bgが式(18)から算出される。
【数15】

そして、式(12)を変形した式(19)にそれぞれの磁気特性値、及び試料定数を代入することにより、ギャップの実効断面積Agが算定される。
【数16】

ここで、Acは、ギャップなし磁性体コア20の実効断面積であり、Bは、例えばステップS101で算定された磁化曲線の最大磁束密度Bmであり、Bcは、例えば最大磁束密度Bmに対応するステップS102で算定された磁化曲線の最大磁束密度Bcmである。
【0056】
また、磁性体コア10´の透磁率μと、ギャップなし磁性体コア20の透磁率μcとを使用して、実効断面積Agを算出できる。まず、磁性体コア10´の透磁率μと、ギャップなし磁性体コア20の透磁率μcとを算出する。当業者に周知であるように、透磁率は、磁化曲線、すなわちB−H曲線の傾きから算出される。次いで、算出された透磁率μ、及びμcを式(11)に代入する。式(11)の磁気特性値、及び試料定数の中で、磁性体コア10の実効断面積Ac、及び実効磁路長Lc、並びに1つ当たりのギャップの実効磁路長Lgは既知である。式(11)にこれらの値を代入することにより、ギャップの実効断面積Agが算出される。
【0057】
以上、図2〜6を参照して、本発明の第1の実施形態について説明した。次に、第1の実施形態と異なる種々の実施形態について、説明する。
【0058】
まず、図7、及び8を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、測定対象の磁性体コアの1次電圧V1、及び2次電圧V2を測定する測定装置4を示す図である。磁性体コアを形成する磁性体40a〜40fの断面積及び断面形状は、磁路に亘って同一である。また、磁性体40a〜40fにより、6つのギャップが形成されるが、これらのギャップの実効磁路長は、全て同一である。まず、図2のステップS101において、ギャップを有する磁性体コアの磁化曲線を算定する。
【0059】
次いで、図2のステップS102において、ギャップなし磁性体コアの測定を行うために、磁性体40a〜40fの間に形成されるギャップを詰める。すなわち、磁性体40a〜40fのそれぞれの間に形成されていたギャップの実効磁路長をそれぞれ0にする。図8に、ギャップが詰められた磁性体40a〜40fによる測定装置4を示される。このように、第2の実施形態では、ギャップなし磁性体コアを新たに製造することなく、磁性体40a〜40fの間のギャップを詰めることにより、測定を行うことができる。このため、算定に必要なコストを低減することができる。
【0060】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、ギャップなし磁性体コアの実効磁路長が第1の実施形態と異なる。図9に第3の実施形態におけるギャップなし磁性体コア50を測定する測定装置5を示す。図9に示されるように、ギャップなし磁性体コア50の実効磁路長Lc´は、図3に示す磁性体コア10の実効磁路長Lcよりも長い。本実施形態では、ステップS305において、ギャップなし磁性体コア50の実効磁路長Lc´を使用して磁界の強さが算出される。そして、ステップS306において、ギャップなし磁性体コア50の実効磁路長Lc´を使用して算出された磁界の強さと、磁束密度とを相関させることにより、磁化曲線が算定される。このように、ギャップなし磁性体コアの実効磁路長は、図9の磁性体コア50のように測定対象の磁性体コアの実効磁路長Lcと異なってもよい。しかしながら、ギャップなし磁性体コアの断面積、及び断面形状は、磁路に亘り一定でなければならない。
【0061】
さらに、ギャップなし磁性体コア50の実効断面積Ac´、及びギャップなし磁性体コア50に巻回される2次巻線22の巻数N2´はそれぞれ、ギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性体コア10´の実効断面積Ac、及びギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性体コア10´に巻回される2次巻線12の巻数N2と異なってもよい。いずれの場合も、図6のステップS301〜S304において、ギャップなし磁性体コア20の最大磁束密度Bcmが、ギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性コア10´の最大磁束密度Bmに等しくなるように励磁電流i1を調整すれば所望の磁化曲線を取得できる。さらに、ギャップなし磁性体コア50の断面の形状もまた、磁性体コア10の断面の形状と同一でなくてもよい。
【0062】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、測定装置2により、ギャップなし磁性体コア20の磁化曲線を算定する方法において、第1の実施形態と相違する。以下、図10を参照しながら、第1の実施形態との相違点を簡単に説明する。
【0063】
図10は、第4の実施形態において測定装置2により磁化曲線を算定するフローを示す図である。図10のフローのステップS402、及びS403はそれぞれ、図6のフローのステップS302、及びS303と相違する。すなわち、図6のフローのステップ302では、磁性体コア20に発生する最大磁束密度を算出していたのに対し、図10のフローのステップS402では、2次電圧の最大値を測定する。次いで、ステップS202で測定した2次電圧の最大値と、S402で測定した2次電圧の最大値との差がしきい値以下か否かを判定する。
【0064】
このように、第4の実施形態では、2次電圧の差に基づいて、磁性体コア10、及びギャップなし磁性体コア20の磁束密度の大きさが同一であるか否かが判断される。このため、第4の実施形態では、最大磁束密度を算出する必要がなく、1次量である2次電圧の測定にのみ基づいて励磁電流を調整できる。この結果、第1の実施形態よりも、処理工程が簡便になる。なお、第4の実施形態では、磁性体コア10の実効断面積と、磁性体コア20の実効断面積とが同一であること、及び測定装置1の2次巻線の巻数と、測定装置2の2次巻線の巻数とは、同一であることが必要である。
【0065】
これまで、図1〜10を参照して、本発明の様々な実施形態について説明してきた。しかしながら、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈されるものではない。例えば、上述の実施形態では、信号発生器30、1次電圧計31、2次電圧計32、及びシャント抵抗33は、個別の装置である。しかしながら、これらの装置は、岩通計測(株)から入手可能なB−Hアナライザに代替することができる。
【0066】
また、図2に示すステップS101の前に、ステップS102を実行することができる。この場合、最大磁束密度Bm、及びBcmが同一になるように、ステップS102において励磁電流を調整する代わりに、ステップS101において励磁電流を調整する。
【0067】
さらに、本発明に係る方法は、様々な種類の磁性体コアの磁化曲線を算定することができる。例えば、本発明に係る方法によって、UUコアの磁化曲線を算定することができる。
【実施例1】
【0068】
以下、本発明の実施例について説明する。
図11に本実施例における測定装置6を示す。図11に示すように、被測定試料であるリング状の磁性体10a、及び10bにより形成される磁性体コアは、磁路中に2つのギャップを有する。磁性体10a、及び10bの断面は一辺の長さrが19.87[mm]の正方形で、断面積は磁路に亘って一定である。したがって、磁性体10a、及び10bの実効断面積Acは、395[mm2]である。また、磁性体10a、及び10bの合計の実効磁路長Lcは、191[mm]である。さらに1つ当たりのギャップの実効磁路長Lgは、0.075[mm]であり、透磁率μ0は、4π×10‐7[H/m]である。また、1次巻線、及び2次巻線の巻線数N1、及びN2はそれぞれ、10である。
【0069】
実施例において、磁化曲線の算定は、図2、4、及び6に示すフローに従って実施された。
まず、信号発生器30で1[kHz]の周波数を有する正弦波を発生させて、1次巻線11に励磁電流i1を印加した。図12に1次電圧計31で測定される1次電圧V1と、2次電圧計32で測定される2次電圧V2とを示す。ここで、シャント抵抗33の抵抗値Rsは、1[Ω]である。これらの測定結果を、図4を参照して説明したように処理して算定された磁化曲線を図14の曲線aに示す。図14の曲線aから理解されるように、曲線aで示される磁化曲線の最大磁束密度Bmは、49.0[mT]であった。
【0070】
次いで、磁性体10a、及び10bの端面をそれぞれ密着させることにより、ギャップなし磁性体コア20を形成した。これは、磁性体コア10のギャップをなくし、1つ当たりのギャップの実効磁路長Lgが0になったことに相当する。
【0071】
次いで、信号発生器30で1[kHz]の周波数を有する正弦波を発生させて、1次巻線11に励磁電流i1を印加した。図13に1次電圧計31で測定される1次電圧V1と、2次電圧計32で測定される2次電圧V2とを示す。これらの測定結果を、図6を参照して説明したように処理して算定された磁化曲線を図14、及び15の曲線bに示す。このとき、最大磁束密度Bcmは、測定対象のギャップを有しない磁性体コアと仮定した磁性コア10´の最大磁束密度Bmと同様に、49.0[mT]になるように調整された。
【0072】
また、図15の曲線cは、式(17)、及び(18)から算定されるギャップの磁化曲線である。
【0073】
これらの結果を使用して、図11に示す磁性体コア10のギャップの実効断面積Agを算出する。
図15に示す磁化曲線c上の点xにおいて、磁界の強さHgは、37069[A/m]であり、磁束密度Bgは、46.6[mT]である。また、図14、及び15の磁化曲線b上の点xに時間的に対応する点yにおいて、磁界の強さHcは、17.4[A/m]であり、磁束密度Bcは、48.2[mT]である。これらの値を式(19)に代入することにより、ギャップ部の実効断面積Ag=409[mm2]が得られた。
【0074】
次に、本実施例の算定結果を評価する。本実施例の評価のために以下の式(21)を使用する。
【数17】

【0075】
一般に、磁路中にギャップを有する磁性体コアにおいて、1つ当たりのギャップ長Lgがギャップ面のコア断面積に比べて十分に小さく、かつギャップ面を挟んだコアの構造が対称である場合は、磁束のフリンジング量がLg/2で近似できることが知られる。式(21)は、コアの断面が一辺の長さrの正方形である場合の近似式である。
【0076】
本実施例測定される磁性体コアでは、1つ当たりのギャップ長Lgは、0.075[mm]であり、395[mm2]であるコアの断面積Acに比べて十分に小さい。また、ギャップ面を挟んだコアの構造が対称であり、かつコアの断面が一辺の長さrが、19.87[mm]の正方形である。したがって、本実施例との比較のため、式(21)を用いてギャップの実効断面積agを近似的に算出することが可能である。式(21)に上記の値を代入した結果、ag=398[mm2]が得られた。一方、先に本実施例で算定されたギャップの実効断面積Agは、409[mm2]であった。これから、本実施例により算定されたギャップの実効断面積と、周知の近似式により算出された実効断面積との差異は、約3[%]程度であることが分かる。
【0077】
以上、本明細書で詳細に説明されるように、本発明によれば、磁路中にギャップを有する磁性体コアのギャップ、及びコア中の各々での磁界の強さと磁束密度との関係を示す磁化曲線は、シミュレ−ションによらず、計測結果に基づいて容易に算定することができる。さらに、ギャップの実効断面積もまた算定することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 ギャップあり磁性体コア
11、21 1次巻線
12、22 2次巻線
20、50 ギャップなし磁性体コア
30 信号発生器
31 1次電圧計
32 2次電圧計
33 シャント抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのギャップを磁路中に有する磁性体コアの磁化曲線を算定する方法であって、
前記磁性体コアの1次巻線に第1の励磁電流を印加して、該第1の励磁電流、及び前記磁性体コアの2次巻線に生じる第1の2次電圧を測定して、第1の磁化曲線、及び第1の最大磁束密度を算定する第1算定ステップと、
磁路中にギャップを有しないギャップなし磁性体コアの1次巻線に前記第1の励磁電流と同一の周波数を有する第2の励磁電流を印加して、該第2の励磁電流、及び前記ギャップなし磁性体コアの2次巻線に生じる第2の2次電圧を測定して、第2の磁化曲線、及び第2の最大磁束密度を算定する第2算定ステップであって、前記第1の最大磁束密度と、第2の最大磁束密度とが同一になるように、前記第2の励磁電流を調整する第2算定ステップと、
を有し、前記磁性体コアの断面積、及び断面形状は、前記磁路に亘り一定であり、
前記ギャップなし磁性体コアは、前記磁性体コアの磁性体と同一の磁性体から形成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
演算式
【数1】

を使用して、前記少なくとも1つのギャップの実効断面積を算定する第3算定ステップをさらに有する方法であって、
ここで、Hは、前記第1の磁化曲線を算定するときに算定される磁界の強さであり、
cは、前記磁性体コアを形成する磁性体の実効磁路長であり、
cは、前記第2算出ステップで測定される前記ギャップなし磁性体コアの磁界の強さであり、
nは、前記少なくとも1つのギャップの数であり、
g、及びLgはそれぞれ、前記少なくとも1つのギャップの磁界の強さ、及び1つ当たりの実効磁路長である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
g = μ0g
から前記ギャップの磁束密度Bgを算定する第4算定ステップをさらに有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記磁性体コアが2つ以上のギャップを有するとき、前記2つ以上のギャップそれぞれの磁路長は、互いに等しい請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記磁性体コアの2次巻線の巻数と、前記ギャップなし磁性体コアの2次巻線の巻数とが同一であり、
第1の最大磁束密度と、第2の最大磁束密度とが同一になるように、前記第2の励磁電流を調整することは、前記第1の2次電圧の最大電圧と、前記第2の2次電圧の最大電圧とが同一になるように調整することを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ギャップなし磁性体コアは、第1算定ステップで使用された前記磁性体コアの前記ギャップを埋めることにより形成される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2算定ステップにおいて、第1の最大磁束密度と、第2の最大磁束密度とが同一になるように、前記第2の励磁電流を調整する代わりに、
前記第1算定ステップにおいて、第1の最大磁束密度と、第2の最大磁束密度とが同一になるように、前記第1の励磁電流を調整する1〜6のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−7649(P2013−7649A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140523(P2011−140523)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【出願人】(503103109)岩通計測株式会社 (13)
【Fターム(参考)】