説明

磁場検出装置

【課題】磁場測定精度を向上しつつ、小型化された磁場検出装置の提供。
【解決手段】1軸方向の磁場を検出する第一〜第三感磁部6,7,8を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた第一〜第三磁気センサ素子3,4,5が、信号処理IC2とともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置10であって、前記実装基板上には感磁部を1個備えた磁気センサ素子3,4,5が複数配され、複数の磁気センサ素子3,4,5が備える各々の感磁部6,7,8が互いの近傍に配置され、且つ、複数の磁気センサ素子3,4,5のうち何れか2個の磁気センサ素子が備える各々の感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする磁場検出装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場検出装置、特に3軸磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯用情報機器、電子交換機などの電子機器の小型化が求められており、これらの電子機器に用いられる電子部品においても、小型化、薄型化、軽量化、及び高機能化が強く要求されている。
【0003】
そのような電子機器の一つであるナビゲーション機器では、方位情報を得るために電子コンパスが用いられている。電子コンパスには、磁場を検出する感磁部を備えた磁気センサ素子が配されている。多くの電子コンパスでは、3個の磁気センサ素子を実装基板上に配置する際に、各磁気センサ素子を構成する各感磁部の感磁方向(感度軸方向)が互いに垂直になるように配置される(例えば、特許文献1参照)。すなわち、X軸,Y軸,Z軸の3軸にかかる磁界を、それぞれ個別の磁気センサ素子を用いて測定している(図11参照)。図11では、各磁気センサ素子に備えられた感磁部の長手方向が、感磁方向であるものとして描いている。一般的に、MIセンサやフラックスゲートセンサのような高感度磁気センサの検出感度は、感磁部の長手方向の長さに依存する。
【0004】
図11に示す従来の電子コンパスでは、実装基板面101に対して平行なX軸方向およびY軸方向にかかる磁界を検出する第一磁気センサ素子103および第二磁気センサ素子104と、実装基板面101に対して垂直なZ軸方向にかかる磁界を検出する磁気センサ素子105と、信号処理IC102とが備えられている。
第一磁気センサ素子103および第二磁気センサ素子104を構成する、第一感磁部106および第二感磁部107の感磁方向は実装基板面101に対して平行であり、各磁気センサ素子103,104は、実装基板面101において平置きで備えられている。一方、第三磁気センサ素子105を構成する第三感磁部108の感磁方向は実装基板面101に対して垂直であり、第三磁気センサ素子105は、実装基板面101において縦置きで備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−109378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、実装基板面の垂直軸方向(Z軸方向)にかかる磁界を検出する磁気センサ素子は、磁気検出感度を確保するため、実装基板面の平行軸方向(X軸方向、Y軸方向)にかかる磁界を検出する磁気センサと同程度の大きさである必要があり、かつ、縦置きで配置されるため、平置きに配置された磁気センサ素子よりも背高になってしまい、磁場検出装置(電子コンパス)全体が大型化してしまう問題がある。また、磁場検出装置の磁界測定精度の向上が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁場測定精度を向上しつつ、小型化された磁場検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の磁場検出装置は、1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、前記実装基板上には前記感磁部を1個備えた前記磁気センサ素子が複数配され、前記複数の磁気センサ素子が備える各々の感磁部が互いの近傍に配置され、且つ、前記複数の磁気センサ素子のうち何れか2個の磁気センサ素子が備える各々の感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の磁場検出装置は、請求項1において、前記複数の磁気センサ素子が備える各々の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の磁場検出装置は、請求項1又は2において、各磁気センサ素子が備える各々の感磁部が互いに直交する3軸方向の磁場をそれぞれ検出可能なように、前記磁気センサ素子の三つが3角形をなすように並べて配されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の磁場検出装置は、請求項1又は2において、各磁気センサ素子が備える各々の感磁部が互いに直交する3軸方向の磁場をそれぞれ検出可能なように、前記磁気センサ素子の三つが横一列に並べて配されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の磁場検出装置は、請求項1又は2において、前記磁気センサ素子に加えて、前記感磁部と同機能を有する感磁部が前記信号処理IC上に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁場検出装置によれば、実装基板上に複数配された磁気センサ素子に備えられた感磁部を互いの近傍に集中させて、一極に配置することによって、その一極にかかる磁場をより精度良く測定できる。
さらに、前記実装基板上の2個の磁気センサ素子に備えられた各感磁部の感磁方向を、それぞれ前記実装基板面に対して斜めに配することによって、当該磁気センサ素子を低背化することができるので、当該磁場検出装置を小型化できる。
また、磁気センサ素子に備えられた感磁部と同機能を有する感磁部を、磁気センサ素子の代わりに信号処理IC上に備える場合、磁気センサ素子が実装基板を占有する面積を削減することができるので、当該磁場検出装置をより小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図2】感磁部が実装基板面1から突出した高さを比較する図である。
【図3】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる磁場検出装置の他の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図7】本発明にかかる磁場検出装置の他の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図8】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図10】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図11】従来の磁場検出装置における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<磁場検出装置の第一実施形態>
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明にかかる磁場検出装置の第一実施形態である磁場検出装置10A(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0011】
磁場検出装置10Aは、実装基板面1に、信号処理IC2、第一磁気センサ素子3、第二磁気センサ素子4、および第三磁気センサ素子5を少なくとも備えてなる。
実装基板面1において、第一磁気センサ素子3は平置き(横置き)で配置されており、第二磁気センサ素子4および第三磁気センサ素子5は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第二磁気センサ素子4及び第三磁気センサ素子5は、平置きで配置された第一磁気センサ素子3および信号処理IC2よりも背高であり、実装基板面1からより高い位置まで突き出している。
【0012】
第一磁気センサ素子3を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第一感磁部6が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第一感磁部6の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面1と平行である。第一磁気センサ素子3の第一感磁部6が備えられた基板面は、実装基板面1に対して平行である。
第二磁気センサ素子4を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第二感磁部7が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるY軸方向が第二感磁部7の感磁方向を示す。このY軸方向は、実装基板面1に対して斜めに45°の傾きをなしている。第二磁気センサ素子4の第二感磁部7が備えられた基板面は、実装基板面1に対して垂直である。
第三磁気センサ素子5を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部8が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部8の感磁方向を示す。このZ軸方向は、実装基板面1に対して斜めに45°の傾きをなしている。第三磁気センサ素子5の第三感磁部8が備えられた基板面は、実装基板面1に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0013】
磁場検出装置10Aでは、第一磁気センサ素子3、第二磁気センサ素子4、および第三磁気センサ素子5が、信号処理IC2の近傍において、寄り集まって配置されている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部が互いの近傍に配置されている。すなわち、第一感磁部6は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部7および第三感磁部8が配置されていて、第二感磁部7は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部6および第三感磁部8が配置されていて、第三感磁部8は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部6および第二感磁部7が配置されている。
【0014】
ここで、「各感磁部が互いの近傍に配置される」とは、第一磁気センサ素子3、第二磁気センサ素子4、および第三磁気センサ素子5が、互いの近隣に配置されていることをいう。このとき、各磁気センサ素子間には当該磁気センサ素子以外の部品が挟まれて実装されていない状態となる。このような状態においては、複数の磁気センサ素子同士を、空間内に密集して配置できる。この状態において、さらに、各感磁部はその長手方向の長さの距離範囲内に、少なくとも一つの他の感磁部が配置されていることが好ましい。また、各感磁部が残りの全ての感磁部の長手方向の長さの距離範囲内に配置されていることがより好ましい。
このように、各感磁部が互いの近傍に寄り集まって、一極に集中して配置されることにより、その一極における磁場をより精度良く測定することができる。このメカニズムを以下に説明する。
【0015】
従来の磁場検出装置(例えば図11に示す磁場検出装置100)では、各磁気センサ素子は互いの近傍に配置されていない。すなわち、各磁気センサ素子は、配置された位置が異なるため、それぞれ個別の位置の磁場を測定している。各磁気センサ素子が測定した磁場は、最終的に信号処理IC102によって合成されて、磁場検出装置100全体における磁場(磁場ベクトル)が算出される。
【0016】
このように、互いに離れた位置の磁場を合成して得られた磁場ベクトルは、三つの個別の位置の磁場の平均であるため、各磁気センサ素子が配置された範囲(磁場検出装置100全体)における平均的な磁場を測定しているに過ぎないので、その測定精度は低い。
一般に、磁場検出装置の近傍には磁界を発生するデバイスが設けられていることが多く、磁場検出装置における磁界勾配は顕著である。したがって、各磁気センサ素子が互いに離れて配置されていると、それぞれが異なる磁界勾配を受けることになり、磁場測定の誤差を生じ易くなる。
【0017】
一方、本発明にかかる磁場検出装置(例えば図1に示す磁場検出装置10A)では、各磁気センサ素子が互いの近傍に配置されており、各磁気センサ素子が集中して配された一極(一箇所)の磁場を測定している。各磁気センサ素子が測定した磁場は、最終的に信号処理IC2によって合成されて、前記一極における磁場(磁場ベクトル)が算出される。
【0018】
このように、互いに寄り集まった一極の磁場を合成して得られた磁場ベクトルは、前記一極における局所的な磁場を、X,Y,Z軸方向をそれぞれ検出する三つの磁気センサ素子によって測定したものであるため、磁場検出装置の個々に異なる位置における磁界勾配の違いの影響を受けにくい。したがって、各磁気センサ素子を集合させて配置することにより、磁場の測定精度を高めることができる。
【0019】
また、各磁気センサ素子と信号処理IC2との電気的接続を行う配線(不図示)は、各磁気センサ素子から信号処理IC2へ伝送される信号の劣化を抑制するために、なるべく短くすることが望ましい。このため、各磁気センサ素子は、信号処理ICの近傍に配置されることが好ましい。より具体的には、各磁気センサ素子を構成する基板の長手方向の長さに相当する距離範囲内に、信号処理ICが配置されていることが好ましい。このことは後述する本発明にかかる磁場検出装置のすべてについて当てはまる。
【0020】
磁場検出装置10Aにおいて、第二感磁部7の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部7の感磁軸)と第三感磁部8の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部8の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第二感磁部7を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部8を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0021】
磁場検出装置10Aの実装基板面1における各磁気センサ素子のレイアウトは、信号処理IC2の近傍において、第一〜第三磁気センサ素子の三つが3角形をなすように並べて配されている。つまり、第一〜第三磁気センサ素子を構成する基板の下面(実装基板面1に面して設置された面)の重心を結んだ時、各重心を頂点とする3角形が描かれるように並べて配置されている。磁場検出装置10Aにおいては、該3角形は不等辺3角形である。該3角形を二等辺3角形、正3角形、又は直角3角形にしてもよい。
【0022】
このように第一〜第三磁気センサ素子の三つが3角形をなすように並べて配することによって、各磁気センサ素子に備えられた各感磁部を互いの近傍に集合させることが容易になるので好ましい。前記レイアウトとしては、前記各重心を頂点とする3角形の各辺の長さがなるべく短くなるようにすると、各磁気センサ素子に備えられた各感磁部を互いの近傍に集合させることが容易になるので好ましい。
【0023】
磁場検出装置10Aでは、第二磁気センサ素子4および第三磁気センサ素子5を構成する第二感磁部7の感磁方向および第三感磁部8の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面1に対して45°の傾きをなしている。さらに、第一磁気センサ素子3を構成する第一感磁部6の感磁方向は実装基板面1に対して平行であり、第二感磁部7および第三感磁部8の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置10Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0024】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各磁気センサ素子が測定する3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC2によって算出することができる。
【0025】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC2における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0026】
第二感磁部7が実装基板面1となす角θと、第三感磁部8が実装基板面1となす角φは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第二感磁部7の感磁方向と第三感磁部8の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0027】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第二感磁部7の感磁方向と第三感磁部8の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第二感磁部7を備えた第二磁気センサ素子4、および第三感磁部8を備えた第三磁気センサ素子5を低背化することができる。この低背化について、以下に説明する。
【0028】
前述のように、第三磁気センサ素子5は、第三感磁部8が備えられた基板面を実装基板面1に対して垂直に立てた縦置きで配置されている。このため、第三磁気センサ素子5は、平置きで配置された第一磁気センサ素子3および信号処理IC2よりも背高である。このとき、第三磁気センサ素子5を構成する第三感磁部8は、実装基板面1から高さhで突き出している(図1参照)。この高さhが最も高くなるのは、第三感磁部8が実装基板面1となす角φが90°(垂直)の場合である。この場合における第三感磁部8の高さhは、従来の磁場検出装置100における第三感磁部108の高さHに相当する(図11参照)。
【0029】
第三感磁部8のなす角φを90°から45°へ変化させるにつれて、第三感磁部8の高さhおよび第三磁気センサ素子5の高さを徐々に低くすることができる(図2参照)。具体的には、なす角φを45°にした場合、なす角φが90°の場合よりも、その高さhを0.75倍に低背化することができる。
【0030】
第三感磁部8のなす角φを45°よりもさらに0°側へ変化させた場合、第三感磁部8の高さhおよび第三磁気センサ素子5の高さをさらに低背化することができる。しかし、前述のように、第二感磁部7のなす角θと第三感磁部8のなす角φの和を90°にすることが好ましいため、なす角φを45°よりも小さい角度にすると、なす角θが45°よりも大きくなってしまい、第二感磁部7の高さhおよび第二磁気センサ素子4の高さが高くなってしまう。
【0031】
したがって、実装基板面1上に縦置きで配置されている第二磁気センサ素子4および第三磁気センサ素子5の高さを共に低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置10Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0032】
また、図3〜5に示した磁場検出装置10B(10),10C(10),10D(10)のように、第一磁気センサ素子3における第一感磁部6の配置を変更しても、前述と同様に、各磁場検出装置の測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0033】
図3は、本発明の第一実施形態にかかる磁場検出装置10B(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置10A(10)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0034】
磁場検出装置10B(10)においては、第一〜第三の磁気センサ素子の三つが、信号処理IC2の近傍において、3角形をなすように並べて配されている。つまり、第一〜第三磁気センサ素子を構成する基板の下面(実装基板面1に面して設置された面)の重心を結んだ時、各重心を頂点とする3角形が描かれるように並べて配置されている。磁場検出装置10Bにおいては、該3角形は不等辺3角形である。該3角形を二等辺3角形、正3角形、又は直角3角形にしてもよい。
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。
磁場検出装置10Aと異なるのは、第一感磁部6が、第一磁気センサ素子3を構成する基板の下面に備えられている点である。
この場合においても、前述と同様に、磁場検出装置10Bの測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0035】
図4は、本発明の第一実施形態にかかる磁場検出装置10C(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置10A(10)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0036】
磁場検出装置10C(10)においては、第一〜第三の磁気センサ素子の三つが、信号処理IC2の近傍において、3角形をなすように並べて配されている。つまり、第一〜第三磁気センサ素子を構成する基板の下面(実装基板面1に面して設置された面)の重心を結んだ時、各重心を頂点とする3角形が描かれるように並べて配置されている。磁場検出装置10Cにおいては、該3角形は不等辺3角形である。該3角形を二等辺3角形、正三角形、又は直角3角形にしてもよい。
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。
磁場検出装置10Aと異なるのは、第一感磁部6が、第一磁気センサ素子3を構成する基板の上面のエッジ側(信号処理IC2側)に寄せて備えられている点である。
【0037】
この場合においても、前述と同様に、磁場検出装置10Cの測定精度を高めつつ小型化することができる。また、第一感磁部を基板のエッジ側に寄せたことにより、第一感磁部6と第三感磁部8との離間距離を小さくすることができ、さらに、該離間距離と第一感磁部6と第二感磁部7との離間距離を等しくすることができる。この結果、磁場勾配の影響を一層受けなくなり、磁場検出装置10Cの測定精度を一層高めることができる。
【0038】
図5は、本発明の第一実施形態にかかる磁場検出装置10D(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置10A(10)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0039】
磁場検出装置10D(10)においては、第一〜第三の磁気センサ素子の三つが、信号処理IC2の近傍において、3角形をなすように並べて配されている。つまり、第一〜第三磁気センサ素子を構成する基板の下面(実装基板面1に面して設置された面)の重心を結んだ時、各重心を頂点とする3角形が描かれるように並べて配置されている。磁場検出装置10Dにおいては、該3角形は不等辺3角形である。該3角形を二等辺3角形、正三角形、又は直角3角形にしてもよい。
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。
磁場検出装置10Aと異なるのは、第一感磁部6が、第一磁気センサ素子3を構成する基板の下面に備えられ、且つ、エッジ側(信号処理IC2側)に寄せて備えられている点である。
【0040】
この場合においても、前述と同様に、磁場検出装置10Dの測定精度を高めつつ小型化することができる。また、第一感磁部を基板のエッジ側に寄せたことにより、第一感磁部6と第三感磁部8との離間距離を小さくすることができ、さらに、該離間距離と第一感磁部6と第二感磁部7との離間距離を等しくすることができる。この結果、磁場勾配の影響を一層受けなくなり、磁場検出装置10Dの測定精度を一層高めることができる。
【0041】
磁場検出装置10Dにおいて、第一感磁部6の感磁軸と、第二感磁部7の感磁軸と、第三感磁部8の感磁軸とは全て互いに交差している。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、全ての感磁部の感磁軸が一点で交差することがより好ましい。この場合、その交差点における磁場をより一層精度良く測定することができる。
【0042】
本発明にかかる磁場検出装置の基板の材質としては、例えばガラス、サファイア、プラスチック、セラミックス等の絶縁体や、シリコン(Si)等の半導体が挙げられる。
本発明にかかる磁場検出装置に用いる磁気センサ素子としては、MI素子(Magneto−Impedance素子)、平行フラックスゲートセンサ素子、直交フラックスゲートセンサ素子等の公知のものが適用できる。該MI素子、該平行フラックスゲートセンサ素子、および該直交フラックスゲートセンサ素子を構成する感磁部としては、短冊形状にパターニングされた磁性体膜が用いられる。該磁性体膜は、例えば零磁歪アモルファス組成であるCoNbZrが用いられる。
【0043】
<磁場検出装置の第二実施形態>
図6は、本発明にかかる磁場検出装置の第二実施形態である磁場検出装置20A(20)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0044】
磁場検出装置20Aは、実装基板面11に、信号処理IC12、第一磁気センサ素子13、第二磁気センサ素子14、および第三磁気センサ素子15を少なくとも備えてなる。
実装基板面11において、第一磁気センサ素子13は平置き(横置き)で配置されており、第二磁気センサ素子14および第三磁気センサ素子15は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第二磁気センサ素子14及び第三磁気センサ素子15は、平置きで配置された第一磁気センサ素子13および信号処理IC12よりも背高であり、実装基板面11からより高い位置まで突き出している。
【0045】
第一磁気センサ素子13を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、は短冊形で示した第一感磁部16が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第一感磁部16の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面11と平行である。第一磁気センサ素子13の第一感磁部16が備えられた基板面は、実装基板面11に対して平行である。
第二磁気センサ素子14を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第二感磁部17が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるY軸方向が第二感磁部17の感磁方向を示す。このY軸方向は、実装基板面11に対して斜めに45°の傾きをなしている。第二磁気センサ素子14の第二感磁部17が備えられた基板面は、実装基板面11に対して垂直である。
第三磁気センサ素子15を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部18が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部18の感磁方向を示す。このZ軸方向は、実装基板面11に対して斜めに45°の傾きをなしている。第三磁気センサ素子15の第三感磁部18が備えられた基板面は、実装基板面11に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0046】
磁場検出装置20Aでは、第一磁気センサ素子13、第二磁気センサ素子14、および第三磁気センサ素子15が、信号処理IC12の近傍において、寄り集まって配置されている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部が互いの近傍に配置されている。すなわち、第一感磁部16は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部17および第三感磁部18が配置されていて、第二感磁部17は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部16が配置されていて、第三感磁部18は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部16が配置されている。
【0047】
磁場検出装置20Aにおいて、第二感磁部17の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部17の感磁軸)と第三感磁部18の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部18の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第二感磁部17を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部18を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0048】
磁場検出装置20Aの実装基板面11における各磁気センサ素子のレイアウトは、信号処理IC12の近傍において、第一〜第三磁気センサ素子の三つが横一列に並べて配されている。つまり、第一〜第三磁気センサ素子を構成する基板の下面(実装基板面11に面して設置された面)の各重心が、ほぼ一直線上に載るように並べて配置されている。これに代えて、第一〜第三感磁部の各重心が、ほぼ一直線上に載るように並べて配置されてもよい。
【0049】
このように第一〜第三磁気センサ素子の三つを横一列に並べて配することによって、各磁気センサ素子に備えられた各感磁部を互いの近傍に集合させることが容易になるので好ましい。前記レイアウトとしては、前記各重心間の距離(離間距離)がなるべく短くなるようにすると、各磁気センサ素子に備えられた各感磁部を互いの近傍に集合させることが容易になるので好ましい。
各磁気センサ素子に備えられた各感磁部を互いの近傍に集合させることによって、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置20Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0050】
磁場検出装置20Aでは、第二磁気センサ素子14および第三磁気センサ素子15を構成する第二感磁部17の感磁方向および第三感磁部18の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面11に対して45°の傾きをなしている。さらに、第一磁気センサ素子13を構成する第一感磁部16の感磁方向は実装基板面11に対して平行であり、第二感磁部17および第三感磁部18の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置20Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0051】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各磁気センサ素子が測定する3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC12によって算出することができる。
【0052】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC12における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0053】
第二感磁部17が実装基板面11となす角θと、第三感磁部18が実装基板面11となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第二感磁部17の感磁方向と第三感磁部18の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0054】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第二感磁部17の感磁方向と第三感磁部18の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第二感磁部17を備えた第二磁気センサ素子14、および第三感磁部18を備えた第三磁気センサ素子15を低背化することができる。この低背化についての説明は、前述の第一実施形態と同様である。
【0055】
実装基板面11上に縦置きで配置されている第二磁気センサ素子14および第三磁気センサ素子15の高さを共に低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置20Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0056】
また、図7に示した磁場検出装置20B(20)のように、第一磁気センサ素子13における第一感磁部16の配置を変更しても、前述と同様に、磁場検出装置の測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0057】
図7は、本発明の第二実施形態にかかる磁場検出装置20B(20)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置20A(20)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置20B(20)においては、第一〜第三の磁気センサ素子の三つが、信号処理IC2の近傍において、横一列に並べて配されている。また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。
磁場検出装置20Aと異なるのは、第一感磁部16が、第一磁気センサ素子13を構成する基板の下面に備えられている点である。
この場合においても、前述と同様に、磁場検出装置20Bの測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0058】
<磁場検出装置の第三実施形態>
図8は、本発明にかかる磁場検出装置の第三実施形態である磁場検出装置30A(30)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0059】
磁場検出装置30Aは、実装基板面31に、信号処理IC32、第一磁気センサ素子34、および第二磁気センサ素子35を少なくとも備えてなる。
実装基板面31において、第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子34及び第二磁気センサ素子35は、平置きで配置された信号処理IC32よりも背高であり、実装基板面31からより高い位置まで突き出している。
【0060】
信号処理IC32を構成する基板には短冊形で示した第三感磁部36が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部36の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面31と平行である。信号処理IC32の第三感磁部36が備えられた基板面は、実装基板面31に対して平行である。
第一磁気センサ素子34を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第一感磁部37が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるY軸方向が第一感磁部37の感磁方向を示す。このY軸方向は、実装基板面31に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子34の第一感磁部37が備えられた基板面は、実装基板面31に対して垂直である。
第二磁気センサ素子35を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第二感磁部38が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第二感磁部38の感磁方向を示す。このZ軸方向は、実装基板面31に対して斜めに45°の傾きをなしている。第二磁気センサ素子35の第二感磁部38が備えられた基板面は、実装基板面31に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0061】
磁場検出装置30Aでは、第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35が、信号処理IC32の近傍において、寄り集まって配置されている。このため、各感磁部が互いの近傍に配置されている。すなわち、第三感磁部36は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部37および第二感磁部38が配置されていて、第一感磁部37は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部38および第三感磁部36が配置されていて、第二感磁部38は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部37および第三感磁部36が配置されている。
【0062】
このように各感磁部を互いの近傍に配置することによって、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置30Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0063】
磁場検出装置30Aにおいて、第一感磁部37の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部37の感磁軸)と第二感磁部38の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部38の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部37を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部38を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0064】
磁場検出装置30Aでは、第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35を構成する第一感磁部37の感磁方向および第二感磁部38の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面31に対して45°の傾きをなしている。さらに、信号処理IC32の上面に配された第三感磁部36の感磁方向は実装基板面31に対して平行であり、第一感磁部37および第二感磁部38の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置30Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0065】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各磁気センサ素子が測定する3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC32によって算出することができる。
【0066】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC32における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0067】
第一感磁部37が実装基板面31となす角θと、第二感磁部38が実装基板面31となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部37の感磁方向と第二感磁部38の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0068】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部37の感磁方向と第二感磁部38の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部37を備えた第一磁気センサ素子34、および第二感磁部38を備えた第二磁気センサ素子35を低背化することができる。この低背化についての説明は、前述の第一実施形態と同様である。
【0069】
実装基板面31上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35の高さを共に低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置30Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0070】
また、信号処理IC32の基板の上面に第三感磁部36を配したことによって、前述の第一及び第二実施形態の第一磁気センサ素子3,13に相当する磁気センサ素子は、第三実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置30の実装基板面31における磁気センサ素子は2つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面31における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置30Aを磁場検出装置10,20よりも、さらに小型化することができる。
なお、図9に示した磁場検出装置30B(30)のように、第三感磁部36を配した第三磁気センサ素子33を信号処理IC32の上にスタックさせて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0071】
また、図10に示した磁場検出装置30C(30)のように、第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35を信号処理IC32の基板の上面に配してもよい。
図10は、本発明の第三実施形態にかかる磁場検出装置30C(30)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置30A(30)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置30C(30)では、実装基板面31上に第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35が配されている。ただし、実装基板31と両磁気センサ素子との間に、信号処理IC32が配されている。
【0072】
磁場検出装置30C(30)においても第三感磁部36、第一感磁部37、及び第二感磁部38は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置30Cの測定精度を高められる。さらに、実装基板面31における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置30Cを磁場検出装置10,20,30A,30Bよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35と信号処理IC32との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC32に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0073】
なお、磁場検出装置30A,30Bと比較した場合、磁場検出装置30Cでは実装基板面31の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子34および第二磁気センサ素子35の実装基板面31からの高さは信号処理IC32の厚み分だけ高くなる(図10のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの低背化効果とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置30A,30B,30Cを磁場検出装置10,20よりも小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の磁場検出装置は、ナビゲーション機器、携帯用情報機器等の電子機器において、広範に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…実装基板面、2…信号処理IC、3…第一磁気センサ素子、4…第二磁気センサ素子、5…第三磁気センサ素子、6…第一感磁部、7…第二感磁部、8…第三感磁部、10,10A,10B,10C,10D…磁場検出装置、11…実装基板面、12…信号処理IC、13…第一磁気センサ素子、14…第二磁気センサ素子、15…第三磁気センサ素子、16…第一感磁部、17…第二感磁部、18…第三感磁部、20,20A,20B…磁場検出装置、31…実装基板面、32…信号処理IC、34…第一磁気センサ素子、35…第二磁気センサ素子、36…第三感磁部、37…第一感磁部、38…第二感磁部、30,30A,30B,30C…磁場検出装置、100…従来の磁場検出装置、101…実装基板面、102…信号処理IC、103…第一磁気センサ素子、104…第二磁気センサ素子、105…第三磁気センサ素子、106…第一感磁部、107…第二感磁部、108…第三感磁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、
前記実装基板上には前記感磁部を1個備えた前記磁気センサ素子が複数配され、
前記複数の磁気センサ素子が備える各々の感磁部が互いの近傍に配置され、
且つ、
前記複数の磁気センサ素子のうち何れか2個の磁気センサ素子が備える各々の感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする磁場検出装置。
【請求項2】
前記複数の磁気センサ素子が備える各々の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することを特徴とする請求項1に記載の磁場検出装置。
【請求項3】
前記磁気センサ素子が備える各々の感磁部が互いに直交する3軸方向の磁場をそれぞれ検出可能なように、前記磁気センサ素子の三つが3角形をなすように並べて配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサ素子が備える各々の感磁部が互いに直交する3軸方向の磁場をそれぞれ検出可能なように、前記磁気センサ素子の三つが横一列に並べて配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場検出装置。
【請求項5】
前記磁気センサ素子に加えて、前記感磁部と同機能を有する感磁部が前記信号処理IC上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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