磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置及び方法
本発明は、運搬表面12上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズ10を運搬する装置24に関する。装置は、流体28内に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズ10を含むチャンバ26と、前記ビーズ10がその上で運搬される前記運搬表面12を、前記チャンバ26内に含む運搬素子14と、前記運搬素子14の前記運搬表面12と反対の側に配置されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの組20a、20b、20cを含む電流ワイヤ構造20であって、前記少なくとも2つの組20a、20b、20cが少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤ構造と、前記運搬表面12上での前記ビーズ10の運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流Ia、Ib、Icを個別に切り替える切り替えユニット32と、を有する。好適な実施形態において、運搬表面12とほぼ平行な方向のほぼ一様な静磁界30が付加的に提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置及び対応する方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作する、特にDNAシーケンス装置のようなマイクロフルイディック装置に関する。
【背景技術】
【0003】
液体に埋め込まれる磁性粒子(「ビーズ」)は、それらの表面上に、相補的な標的分子と特異的に相互作用するプローブ分子(例えば相補標的DNAと相互作用する一本鎖プローブDNA)を保持するために使用されることができることが知られている。プローブされるべき分子と反応するとき、例えば光学的又は電気化学的測定を使用して、ビーズ上の又はビーズを含む特定のボリューム内の標的分子の量が決定されることができる。磁性ビーズを使用する際の関心は、それらが流体運動に関係なく磁界を使用して操作可能であることである。このようにして、流体に対するビーズの重要な相対運動、及びゆえに標的分子をビーズ表面上に固定されたプローブ分子に結合する大きい可能性が与えられることができる。検出/収集の場所にビーズを磁気的に抽出することが可能である。歴史的に、ビーズは、外部磁石を使用することによって局所的に固定され、又は機械的に移動する外部磁石を使用して運搬されている。後者のプロシージャは、例えば、混合装置を製造するために及び免疫測定方法において使用されることができる。
【0004】
ここで及び以下において、100ミクロンより小さい粒子が検討され、それらは、多くの場合ビーズとも呼ばれる。ビーズは、一般に、0.1乃至50ミクロンのレンジのサイズを有し、例えば1ミクロンのレンジのサイズを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁性ビーズの「分離(separation)」は、ビーズを含む液体フローが、大きい磁界(勾配)を有するゾーンを通り過ぎ、磁性ビーズが、磁界によってフィルタ抽出される(分離される)ことを意味する。ビーズの磁気的運搬は、マイクロフルイディック回路内の良好に規定された位置に、例えば磁性ビーズ検出装置の近くに、ビーズを持ってくるために重要である。「運搬(transport)」は、ビーズが、通過する液体溶液から磁界によって保持されるだけでなく(=分離(separation))、磁気力(すなわち磁界を使用すること)によって効果的に移動されることをも意味する。それにもかかわらず、(超)常磁性ビーズの有効相対磁化率はかなり弱く(多くは球状である粒子の消磁効果により一般に<<1である)、粒子の磁気ボリュームが小さいので、これらのビーズの操作及び特に運搬は、困難な作業である。これは、(機械的に移動する)永久磁石又は大きい電磁石の大きい磁界が磁性ビーズの分離、運搬及び位置付けのために多く使用されている理由を説明する。他の研究において、大きい電流によって作動されるマイクロパターン化された導体が、磁性ビーズの捕捉及び運搬のための有用なソリューションを提示するために説明されている。これらの装置は、正確な位置付け、及び単一の作動イベントで10−100μmの距離の運搬を可能にする。
【0006】
米国特許第2005/284817A1号明細書は、毛管チャンバ内で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置であって、永久的な磁気モーメントをビーズに与えるために、毛管チャンバをほぼ一様な磁界に曝露させるための永久磁石又は電磁石を有する装置を開示している。少なくとも1つの平面コイル及び好適には重なり合うコイルのアレイが、前記ほぼ一様な磁界に平行な又は逆平行な相補的な磁界をビーズに印加して、ビーズを駆動するために、毛管チャンバに隣り合って位置する。生成される磁界を反転させて、ビーズに対し駆動のための引力又は斥力を選択的に与えるために、コイルに印加される電流を切り替える装置が提供される。装置は、例えば医療診断目的の臨床的な化学アッセイにおいて行われているような化学及び生化学反応又はアッセイを実施するためにビーズを運搬するために使用可能である。
【0007】
1990年代の終わり、全ヒトゲノムのシークエンシングを開始するNIH(National Health Institute)プロジェクト以来、シークエンシング技術の技術開発は非常に急速に進んでいる。特に2005年、454 Life Sciences社(現ロシュ)によるシークエンシングマシンの第2の世代の導入(M. Margulies, M. Egholm et al., Nature, 437 (2005) 376-380を参照)以来、開発が強化されている。今日、複数の他の会社が、第2世代のシークエンシングマシンを発売しているが、例えばDNAシークエンシングが癌の解析の臨床ツールになるように、DNAシークエンシングの費用を一層低減したいという要望がある。
【0008】
費用を一層低減するための一般的な戦略の1つは、特にマイクロフルイディクス装置におけるシークエンシングに必要な工程の集積化によって、シークエンシング装置を小型化することである。このようなアプローチにおいては、シークエンスされるべきDNA及びシークエンシング反応に関係する試薬が、サブミリメートル寸法のマイクロチャネル及びチャンバ内で操作される。操作は、さまざまなやり方で行われることができ、例えばマイクロポンプ及びバルブ、集積化されたマイクロアクチュエータ、動電学的駆動力若しくは磁気駆動力を用いて、又は表面張力を利用することによって、行われることができる。
【0009】
次世代のシークエンシングアプローチのあるものにおいて、磁性マイクロビーズは、シークエンスされるべきDNA鎖のための基板として使用される。特に、理想的には、各々の単一ビーズが、当該ビーズにアタッチされる1つのユニークなDNA鎖を有し、かかるDNA鎖は、(PCRを使用して)同じビーズ上で何百万倍にも複製される。一般に、信号対雑音比を高めるために、単一ビーズ上で同じ鎖を何倍にも増殖するために、エマルジョンビーズPCR増殖(emPCR)が使用される。このようなアプローチを小型化する場合、装置内で局所的に生成される磁界を使用して、制御されるやり方でビーズを操作することが可能であることが、非常に有利である。これは、当該ビーズにアタッチされる特異的な鎖をもつビーズを、それらの正確な位置を監視しながら、装置内の特定のロケーションに運搬する機会を提供する。
【0010】
本発明の目的は、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置及び方法であって、力の生成のために必要とされる電気信号及び接続の数が最小限にされながらも、ビーズ操作の大きな柔軟性を提供する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の見地において、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置であって、
−流体中に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むチャンバと、
−前記ビーズがその上で運搬される前記運搬表面を前記チャンバ内に含む運搬素子と、
−前記運搬素子の前記運搬表面と反対側に配置される少なくとも2つの組のミアンダ状の電流ワイヤを含む電流ワイヤ構造であって、前記少なくとも2つの組が少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤ構造と、
−前記運搬表面上で前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替える切り替えユニットと、
を有する装置が提示される。
【0012】
本発明の別の見地において、対応する方法が提示される。
【0013】
本発明の更に別の見地において、特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作する、特にDNAシークエンチング装置のようなマイクロフルイディック装置であって、本発明による、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置を有するマイクロフルイディック装置が提示される。
【0014】
本発明の好適な実施形態は従属請求項に規定される。請求項に記載の方法及び請求項に記載のマイクロフルイディック装置は、請求項に記載の装置及び依存請求項に記載のものと同様の及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解されるべきである。
【0015】
本発明は、互いに空間的にずらされており、装置によって制御された態様でビーズを駆動する磁気力を生成するために特定の駆動スキームを使用して駆動される、ミアンダ状の電流ワイヤの電流ワイヤ構造を使用するという考えに基づく。ミアンダ状の電流ワイヤの空間的なずれ、及び駆動電流の適当な供給すなわち個別のミアンダ状の電流ワイヤに供給される電流の適当な切り替えを用いることによって、ビーズの移動の方向及びスピードが達成されることができる。このようにして、電気信号の数及び力の生成に必要とされる接続が最小限にされ、それにもかかわらずビーズ操作の大きな柔軟性が達成される。
【0016】
本発明は、特に、所望の軌道に沿って、運搬表面上で超常磁性ビーズを集合的に操作することを可能にする。構造は、ミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つのペアを有し、ビーズ移動の完全な自由度を実現するために4つの電気的接続のみを必要とする。好適な実施形態に従って提案されるような適切な駆動スキームを適用する場合、ビーズは、任意のパスに沿って移動されることができるだけでなく、運搬表面上で「ホップ」し又は運搬表面上の(マイクロ)ウェルの間でジャンプするようにされることもできる。
【0017】
本発明は、制御された態様でビーズが表面上で集合的に操作される必要がある任意の(マイクロフルイディック)システムにとって有用である。特に、本発明は、関係するシークエンシングステップ及び核酸テスティングのための試料調製のステップを制御するために、DNAシークエンシング装置に適用されることができる。更に、本発明による装置、システム又は方法は、例えばバインディング/アンバインディングアッセイ、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、移動アッセイ、酵素アッセイ、免疫測定法等の幾つかの生化学アッセイタイプに関して使用される磁気バイオセンサにおいて、使用されることができる。このような磁気バイオセンサシステム又は装置は、分子生物学的標的を検出することができる。分子標的は、多くの場合、例えばセル、ウィルス、セル又はウィルスの断片、組織抽出物等のより大きいモイエティの濃度及び/又は存在を決定することに注意されたい。
【0018】
運搬素子は、チャンバ内の別個の素子でありうるが、それは、チャンバ壁の一部であってもよく、すなわち、運搬表面が、チャンバ壁の内部表面であってもよい。更に、特に運搬表面がチャンバ壁の内部表面である場合、電流ワイヤ構造は、チャンバ内に又はチャンバ外に配置されることができる。
【0019】
好適な実施形態によれば、ミアンダ状の電流ワイヤの前記組は、前記運搬表面と平行なワイヤ面内に実質的に配置され、特に前記運搬素子の前記運搬表面と反対側の表面に配置される。それゆえ、電流ワイヤは、運搬表面及び運搬されるべきビーズのできるだけ近くに位置する。概して、ミアンダ状の電流ワイヤの組は、すべての3つの空間方向においてずらされることが可能であるが、更に好適には、ミアンダ状の電流ワイヤの組は、前記ワイヤ面内の直交する2方向においてずらされる。当然ながら、異なる組のワイヤの間の短絡は、回避されなければならず、それゆえ、異なる組のワイヤとの交差箇所に、このような短絡を回避するための適当な手段が提供される。例えば、絶縁材料が、それらの交差箇所の、ワイヤ間に配置され、又はワイヤの1つが、短絡を回避するために交差箇所において第3の方向に局所的にずらされる。
【0020】
ずれ(displacement)のサイズは、ビーズのサイズ、ワイヤのサイズ及び電流強度(電流ワイヤを流れる電流によってそれぞれ生成されるべき力)に依存する。1ミクロンの一般的なサイズのビーズの場合、ずれの典型的な値は、10乃至50ミクロンである。概して、典型的なずれは、ビーズサイズより1桁大きい。
【0021】
ビーズ運搬を最適化するためのさまざまな実施形態がある。例えば、一実施形態において、電流ワイヤ構造は、前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配置されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも3つの組を含み、前記少なくとも3つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされる。このようにして、ビーズに対する力の良好に規定された方向が達成されることができる。
【0022】
別の実施形態によれば、装置は、運搬表面とほぼ平行な方向にほぼ一様な静磁界を生成する静磁界生成手段を有し、前記電流ワイヤ構造は、ミアンダ状の電流ワイヤの2つの組を有する。一様な外部静磁界は、例えば外部の永久磁石又は電磁石構造(例えばコイル構造)によって生成されることができる。
【0023】
3組構造の利点は、ビーズの動き制御の完全な柔軟性を達成するために付加の外部磁界が生成される必要がないことである。2組構造の利点は、駆動スキーム及び駆動エレクトロニクスがより簡素であることである。付加の外部磁界の利点は、それがビーズの磁化を増大させ、それにより、達成可能なビーズ速度が、外部磁界なしの場合よりも約1桁大きくなることである。
【0024】
ビーズのそのような移動に依存して、又はビーズが運搬表面上で操作されるべき態様に依存して、電流ワイヤの組に個別に供給される電流を切り替えるための適当な切り替えスキームが適応される。スキームは、例えば、ユーザにより選択可能なそれぞれ異なる固定の切り替えスキームでありうるが、一実施形態において、ユーザが、切り替えスキームの設定を個別に変更し、電流ワイヤのさまざまな組に供給される電流を個別に制御するための自由度及びオプションを有することも可能である。付加の外部磁界を使用する実施形態において、例えば電磁石が外部磁界を生成するために使用される場合、ユーザが外部磁界の強度及び/又は方向を操作する付加の自由度を有することも可能である。
【0025】
運搬表面上におけるビーズの一方向の運搬は、一実施形態に従って達成される。その実施形態によれば、切り替えユニットは、電流ワイヤの前記組が非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替えるように適応され、この場合、電流ワイヤの個別の組に対する電流信号は、非負の電流が一度に1つの電流信号にのみ存在するように、時間的にずらされる。電流信号の形状は、概して方形波であるが、正弦、三角又は鋸波形状もまた可能である。非ゼロ電流の極性は、以下に説明される特定の実施形態に依存して正又は負のいずれかでありうる。
【0026】
好適には、前記個別の組に供給される電流信号は、同一であるが、時間的にずらされ、時間的なずれは、その時間的なずれが、最も遠くにずらされている組に供給される電流信号に関して最も大きくなるように、運搬方向における電流ワイヤの組のずれと相関する。
【0027】
ビーズは、特定の切り替え周波数まで所望の方向をたどることが分かった。個別の電流ワイヤに供給される電流の切り替え周波数があまりに高すぎる場合、ビーズは、磁気力及び粘性ドラッグの均衡によってもたらされるそれらが達成可能な制限された速度により、もはやついていくことができない。この臨界のスピード/周波数は、一般には実験的に決定されるが、例えば、デフォルトとして、さまざまなビーズについて使用されるべき事前設定が提供されることもできる。実際、最も効果的な運搬のために、可能な最高運搬スピードを達成するようにこの臨界の切り替え周波数(又はそのやや下)での駆動が望ましい。
【0028】
概して、外部磁界は静的である。しかしながら、外部磁界を生成するために電磁コイルが使用される場合、電磁コイルを制御するための自由度が存在する。これは、ワイヤの電流の方向が切り替えられる状況において、外部磁界の方向が、同じ効果を達成するために、(電流ワイヤ方向に代わって)反転されてもよいことを意味する。その場合、外部磁界の切り替えは、ワイヤ電流の間の切り替えにあわせて適切にタイミングを調節されなければならない。
【0029】
この場合、すなわち、外部磁界が電磁石によって提供される場合、ビーズの運搬が必要であるときのみ外部磁界をオンに切り替えることも可能である。ビーズの運搬が必要でない場合、外部磁界は、エネルギーを節約するために、オフに切り替えられることができる。運搬中、外部磁界は、オンに切り替えられ、(ほぼ一様な)静的な状態にされることができるが、ある時間にわたって(すなわち外部磁界がオン及びオフに切り替えられる時間の間)、外部磁界は、その時間において完全に静的であると考えられないことがある。
【0030】
他の好適な実施形態において、対話的に、ビーズの運搬方向を選択し及び/又はビーズの運搬方向を変更することが可能である。これを達成するために、切り替えユニットは、電流信号の極性を選択し及び/又は少なくとも1つの電流信号の極性を切り替えることにより、ビーズの運搬の方向の所望の選択又は変更を与えるように適応される。
【0031】
ビーズの1次元の運搬を達成するだけでなく、運搬表面上で任意の所望の2次元の方向にビーズを運搬する自由度を有するように、前記電流ワイヤ構造は、前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配置される少なくとも2つの第1の組のミアンダ状の電流ワイヤの第1のグループであって、前記少なくとも2つの第1の組が、少なくとも2方向において互いにずらされる、第1のグループと、前記運搬素子の同じ側に配置される少なくとも2つの第2の組のミアンダ状の電流ワイヤの第2のグループであって、前記少なくとも2つの第2の組が、少なくとも2方向において互いにずらされる、第2のグループと、を有し、電流ワイヤの前記第1のグループ及び前記第2のグループは、前記運搬表面に対して垂直な回転軸を中心に具体的には90°互いに対して回転されて配置される。
【0032】
他のアプリケーションにおいて、運搬表面上でビーズを「ホップ」させ又は「ジャンプ」させて小さいウェルに入る又はそこから出るようにすることが望ましいことがある。これを達成するために、切り替えユニットは、好適には、電流ワイヤの組が、正の電流をもつフェーズ及び負の電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替えるように適応され、この場合、異なる電流信号の、特に隣り合う電流ワイヤに供給される電流信号の正及び/又は負のフェーズが互いに重なり合うように、個別の組に対する電流信号が、時間的にずらされる。電流信号の形状は、概して方形波であるが、正弦、三角又は鋸波形状もまた可能である。
【0033】
別の実施形態によれば、運搬表面とほぼ平行な方向に、ほぼ一様な磁界を生成するコイルの組と、運搬表面に平行な面内で磁界の方向を変えるようにコイルの組を制御するコイル制御手段であって、特に2つの逆の方向の間で磁界の方向を反転させるコイル制御手段と、が提供される。それゆえ、他の実施形態において提供されるようにワイヤを駆動する電流ではなく、外部磁界の極性が切り替えられることができる。
【0034】
別の見地によれば、本発明は、本発明による運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置に駆動電流を供給するための駆動ユニットに関する。前記駆動ユニットは、前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替えるように適応され、この場合、前記駆動ユニットは、前記電流ワイヤの組が、非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、前記電流を切り替えるように適応される。上記で説明され、添付の図面を参照して後述されるように、さまざまな実施形態が、駆動電流を制御する、特に電流ワイヤに供給される電流を切り替える駆動ユニットに関して存在する。
【0035】
本発明のこれら及び他の見地は、以下に記述される(複数の)実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】図1Bと共に、電流ワイヤを用いることによる運搬表面上でのビーズの運搬を示す図。
【図1B】図1Aと共に、電流ワイヤを用いることによる運搬表面上でのビーズの運搬を示す図。
【図2A】図2Bと共に、3組の電流ワイヤを示す図。
【図2B】図2Aと共に、3組の電流ワイヤを示す図。
【図2C】図2A及び図2Bに示される3組の電流ワイヤの電流に関する適当な駆動スキームを示す図。
【図3A】付加の外部磁界の効果を示す図。
【図3B】付加の外部磁界の効果を示す図。
【図4A】3組のミアンダ状の電流ワイヤを含む本発明による装置の第1の実施形態の断面図。
【図4B】図4Aに示される本発明の第1の実施形態において用いられる電流ワイヤ構造を示す図。
【図4C】図4A及び図4Bに示される本発明の第1の実施形態による適当な電流駆動スキームを示す図。
【図5A】2組のミアンダ状の電流ワイヤを含む本発明による装置の第2の実施形態の断面図。
【図5B】図5Aに示される本発明による装置の第2の実施形態において用いられる電流ワイヤ構造を示す図。
【図5C】図5A及び図5Bに示される本発明の第2の実施形態による適当な電流駆動スキームを示す図。
【図6】本発明の第3の実施形態による電流駆動スキームを示す図。
【図7】本発明の第4の実施形態による電流駆動スキームを示す図。
【図8】本発明の第5の実施形態による2組のミアンダ状の電流ワイヤの2つのペアの組み合わせを示す図。
【図9】本発明の第5の実施形態による電流駆動スキームを示す図。
【図10】本発明によるDNAシークエンシングのためのマイクロフルイディックシステムの一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
単一の電流ワイヤは、ワイヤの方へ超常磁性ビーズを引き寄せる磁界を生成することが良く知られている。従って、図1Aに示されるように、基板17上に堆積された複数の集積化された電流ワイヤ16a、16b、16c、16dを使用して、運搬素子14の運搬表面12上で磁性ビーズ10を運搬することが可能である。
【0038】
電流ワイヤ16a、16b、16c、16dを順次にアドレスすることによって、局所的な磁界B1が生成され、それにより、ビーズ10が、個々の電流ワイヤ16a、16b、16c、16dによって引き寄せられる。従って、ビーズは、運搬表面12上を左から右に移動する。図1Aに示されるように、ワイヤ16a、16b、16c、16dは、運搬素子14として働く絶縁フィルムによって覆われることができる。フィルムの最上部が、運搬表面12である。
【0039】
ビーズ10に対する磁気力は、図1Bに示されるように、電流ワイヤ16a、16b、16c、16dによって生成される局所的な磁界B1に加えて、例えば永久磁石のような外部ソース18を使用して一様な磁界Heを印加することによって、増大されることができる。この外部磁界Heの利点は、(一様な)外部磁界Heが、超常磁性ビーズ10の磁化を増大し、それによって、ビーズ10のスピードを大幅に、具体的には一桁増大させることである。表面上で磁性ビーズ10を運搬するこのやり方は知られており、マイクロフルイディック装置において磁性ビーズ10を操作するために使用されている。
【0040】
この原理を知ることは、磁性ビーズの集合的な運搬を実現するための以下の提案をトリガする。図2A及び図2Bは、運搬表面上に堆積されたミアンダ状の電流ワイヤの3つの組20a、20b、20cを示している。図2Aは、概略図を示し、図2Bは、実現されるワイヤ(一例として、ワイヤが5μmの幅及び1μmの間隔を有する)の光学的顕微鏡写真を示す。例えば曲り角22のような曲り角において、ワイヤは、電気短絡を回避するために「ブリッジ」を通じて交差する。
【0041】
図2Cに示すような適当な電流駆動スキームによりワイヤの3つの組20a、20b、20cを順次に且つ個別にアドレスすることによって、ビーズが運搬表面上で左から右へ運搬される。時間tに関して図示されている電流Ia、Ib、Icが、ミアンダ状の電流ワイヤの3つの組20a、20b、20cにそれぞれ供給され、一度に、電流Ia、Ib、Icのただ1つが非ゼロであり、他の2つの電流がゼロであるように、制御される、このアプローチの利点は、たった3つの電気ワイヤ(すなわちミアンダ状の電流ワイヤの3組20a、20b、20c)のみが外界に接続される必要があることである。
【0042】
このアプローチは、付加の外部磁界が印加されない場合に有効であり、これは実験的に証明された。しかしながら、外部磁界が印加される場合、状況は異なる。その場合、すなわち、磁気力の性質は、外部磁界の方向に対するワイヤ内の電流の向きに依存する。これは、図3を参照して説明されることができる。図3Aは、電流Iがページに入っていく方向である電流ワイヤ22の断面を示す;すなわち、ワイヤ22によって生成される局所的な磁界B1は、時計回りである。更に、外部磁界Heは、左から右へ向いている。全体の磁界(外部磁界プラス局所的な磁界)の結果として、表面に(この場合は例えばワイヤ22より1μm上に)位置する超常磁性ビーズは、水平位置xの関数として、図3Aの図に示されるような磁気力Fxを受ける。ここで、位置0はワイヤ22の中心にある。ここで、正の力Fxは、(正の)x方向の力を意味する。従って、ビーズは、ワイヤ22の方へ引き寄せられる。
【0043】
図3Bに示すように、電流Iがページから出てくる方向にある場合、状況は異なる。局所的な磁界B1は、ここでは、反時計回りの向きであり、力は、実際、ワイヤ22から離れるほうへビーズを追いやる。
【0044】
この効果は、図2に示される装置の動作の結果を有する。ワイヤ20a、20b、20cのミアンダ状の構造により、電流(及びゆえに局所的な磁界の向き)は、各々の曲り角で変化し、従って、一様な外部静磁界に対してその方向を変える。従って、外部磁界に加えて、各々曲り角において、状況は、図3Aに示されるものと図3Bに示されるものとで異なる。すなわち、状況は引力から斥力へ変わり、その逆も同様である。これは、図2Cに示される駆動スキームの使用が左から右へのビーズの移動を生じさせないことを意味する。むしろ、各サイクルで生じることは、ビーズが右へ2ステップ(組20aのワイヤから隣りの組20bのワイヤまで、及び該組20bのワイヤから隣りの組20cのワイヤまで)進み、次に、より大きいステップ戻るほうへ進み、組20aの元のワイヤまで戻るということである。これは、実験的にも認められた。
【0045】
それゆえ、本発明の更なる認識は、電流方向が適時に変えられる場合、ビーズを、運搬表面と平行な一方向へ、例えば図2Aの左から右へ移動させることが可能なことである。これは、図4を参照してより詳しく説明される。図4は、本発明による装置24の第1の実施形態の断面図(図4A)と、この実施形態に用いられる電流ワイヤ構造20(図4B)及び電流駆動スキーム(図4C)とを示している。
【0046】
図4Aに示される装置24は、流体28の磁性ビーズ又は磁化可能なビーズ10を含むチャンバ26を有する。前記ビーズ10がその上を運搬される前記運搬表面12を含む運搬素子14が、前記チャンバ26内に配置される。前記運搬素子14の前記運搬表面12と反対の側に、ミアンダ状の電流ワイヤの3組20a、20b、20cを含む電流ワイヤ構造20が配置される。図4Bに見られるように、前記3つの組20a、20b、20cは、少なくとも2方向において、特に、運搬表面12に平行なワイヤ平面30を形成するx及びy方向において、互いにずらされている。
【0047】
基板17が、チャンバ26の内部側壁と置き換えられることができ、電流ワイヤが内部側壁上に直接堆積されることも可能であることに注意すべきである。更に、電流ワイヤが、チャンバ26の外部側壁上に堆積されることができ、チャンバ26の対向する内部側壁が運搬表面の役目を果たすことも可能である。
【0048】
電流駆動スキームに従って電流ワイヤの前記組20a、20b、20cに個別に印加される電流Ia、Ib、Icを生成し、個別に切り替えるために、切り替えユニット32が提供される。前記切り替えユニット32は、電流ワイヤに駆動電流を供給する駆動ユニットと考えられることもできる。
【0049】
対応する駆動スキームが、電流ワイヤの3つの組20a、20b、20cに印加される3つの電流Ia、Ib、Icに関して図4Cに示されている。電流Ia、Ib、Icを正から負に切り替えることによって、特定のワイヤセグメントの磁気力の性質は、斥力から引力に反転され、前記運搬表面12上で前記ビーズ10のx方向の運搬を生じさせる。
【0050】
従って、磁気力の性質の、電流の相対的な向きへの依存及び付加的に提供される実施形態における一様な外部静磁界が、電流を適切に駆動することによって有利に使用されることができる。
【0051】
例示的に、本発明によって使用される構成要素の幾つかの寸法が与えられる:
【0052】
磁性ビーズは、磁化可能なビーズ又は磁性ビーズ、特に超常磁性ビーズでありうる。好適な実施形態において、マグネタイトナノ粒子をその中に有するポリマビーズが使用される。サイズの一般的なレンジは、0.5μm乃至50μmであり、特に1μm乃至20μmである。
【0053】
ワイヤは、使用される相対的に大きい電流(密度)の理由で、導電性材料で、好適には金属(例えばCu又はAl)で作られる。ワイヤの一般的な幅は、1μm乃至10μmである。一般的な間隔は、1μm乃至10μmである。一般的な厚さは、0.5μm乃至5μmである。ワイヤは、既存の薄膜堆積及び構造化技術を用いて、それぞれ異なる層により基板(ガラス又はシリコン)上に生成されることができる。
【0054】
使用される一般的な電流は、5mA乃至100mA(例えば10乃至30mA)であり、これは、ワイヤ周囲に局所的に生成される一様でない円形磁界をもたらす。ワイヤ間の切り替えの一般的な周波数は、0.1乃至10Hzである。
【0055】
外部磁界は、一般に500乃至5000Oe(1Oe=(1000/(4pi))A/m)のレンジの磁界強度、又は50乃至500mTの磁束Bを有する。
【0056】
図5に示される別の実施形態によれば、ミアンダ状の電流ワイヤのただ2つの組36a、36bが、運搬表面12上でラインに沿った任意の方向にビーズ10を移動させるために使用される。しかし、更に、外部静磁界Heは、例えば永久磁石、電磁石又はコイル構造のような外部磁気ソース18によって印加される。図5Aは、装置34のこの実施形態の断面図を示し、図5Bは、2つのミアンダ状のワイヤ36a、36bを含む電流ワイヤ構造36、及びこの装置34において使用されるビーズ10の初期位置を示す。図5Cは、この実施形態において使用される電流駆動スキームを示し、すなわちワイヤに印加される時間tの関数としての駆動電流Ia、Ibを示す。
【0057】
時間ゼロにおいて、ワイヤ36aは、「オンに切り替えられ」、ビーズ10は、図3を参照して説明される原理に従って、正電流+Iaによって引き起こされる局所的な磁界He及び外部静磁界の組み合わせにより、ビーズが位置付けられるワイヤ36aによって引き寄せられる。その後、ワイヤ36aは、「オフに切り替えられ」、ワイヤ36bが、(正電流+Ibによって)オンに切り替えられる。電流Ib及び外部磁界Heが向けられる態様によって、ビーズ10は、ワイヤ36bのワイヤセグメント36b1によってその左へ反発される一方、ビーズ10は、ワイヤ36bのワイヤセグメント36b2によって右へ引き寄せられる。従って、ビーズ10は右へ移動する。次に、ワイヤ36bは、「オフに切り替えられ」、ワイヤ36aが再び「オンに切り替えられる」が、電流−Iaは、第1のステップと比較して逆の方向に流れる。これは、再び、ビーズ10を右へ移動させる。図5Cに示される駆動スキームによって規定される次のステップは、常にビーズ10を右へ駆動させる。これは実験的にも証明された。
【0058】
同じようにして、ビーズ10は、図6に示されるように、駆動スキームの変化によって、左へ移動するようにされることができる。この駆動スキームは、図5Bに示される電流ワイヤ構造36に適用されることができる。図5Cに示される駆動スキームとの違いは、単に電流信号Ia、Ibの極性である。
【0059】
上述の図に示される駆動スキームの組み合わせは、図7に示されるように、電流ワイヤ方向に対し垂直なラインに沿った任意の方向において、ビーズの水平移動を可能にする。時間ゼロから始まって、駆動スキームは、ビーズ10が左から右へまず移動するものである。しかしながら、時間t1において、駆動信号Ia、Ibの両方の極性が反転され、ビーズ10は、左へ移動し始める。事実、任意の時点に、ビーズ10の移動方向は、駆動スキームの適切な調整によって変更されることができる。
【0060】
ビーズの平均スピードは、ワイヤの切り替え期間を変えることによって及びワイヤを通る電流の大きさを変えることによって、変更されることができる。例えば電磁コイルのような調整可能な手段が外部磁界を生成するために使用される場合、ビーズの移動は、印加される外部磁界の変化によって変更されることもできる。
【0061】
電流ワイヤ構造38の別の実施形態が図8に示されている。これは、電流ワイヤの2組40a、40b及び42a、42bの2つのペア40、42と、一様な外部静磁界Heとの組み合わせを含む。2つのペア40、42は、互いに垂直に指向されている(しかし、2つのペアの平面に対し垂直な回転軸を中心に90°より大きい別の角度変位が可能でもある)。これは、運搬表面上でビーズ10の移動の完全な自由度を与える。ワイヤの駆動スキームの適切な切り替えによって、ビーズ10は、任意の軌道に沿って運搬表面上で移動されることができる。
【0062】
図9は、図5Bに示される電流ワイヤ構造36の実施形態によって使用されることができる駆動スキームの一実施形態を示す。この実施形態では、ビーズ10を、表面上で「ホップ」させ、又はウェルに入りウェルから出るようにジャンプさせることも可能であり、これは、後述されるシークエンシングアプリケーションにとって重要である。その理由は、図3Bに示される状況において、斥力が、垂直方向だけでなく、水平方向にも働き、すなわち、ビーズが、電流ワイヤがその下に組み込まれている運搬表面から離れるほうへ「揚力」を受けるからである。図9に示される駆動スキームは、運搬表面上でビーズ10をホップさせる。
【0063】
時間ゼロ(t0)に、ワイヤ36aは、オンに切り替えられ、図示される磁性ビーズ10は、それが位置するワイヤセグメントによって引き寄せられる。時間t1に、ワイヤ36aを通る電流方向が変更され、すなわち、その結果、ビーズ10が反発されるようにし、すなわちそれが位置するワイヤ36aから離れ、表面から離れて上方へ押しやられるようにする。同時に、ワイヤ36bが、(正電流+Ibによって)オンに切り替えられ、それによってビーズ10を右へ引き寄せる。つまり、ビーズ10は、それがワイヤ36bに最も近いワイヤセグメントに到達するまで、右へ「ホップする」。次に、時間t2に、ワイヤ36bの電流方向が反転され、それにより、ビーズ10が、ワイヤ36bから反発される。ワイヤ36aの電流Iaがなおオンに切り替えられ、その結果、この例では同時に右に働く力を引き起こす。それゆえ、ビーズ10は再び右へホップする。
【0064】
それゆえ、図9に示される駆動スキームによって、ビーズ10は、右へホップし続ける。ホッピングの方向は、切り替えの時点にビーズが位置していないワイヤを通る電流の極性を変えることによって、適時に変更されることができる。電流ワイヤ36a、36bがマイクロウェルの中又は下に位置している場合、ビーズを1つのウェルから隣りのウェルまでジャンプさせることが可能でありうる。
【0065】
上述の実施形態の全てにおいて、外部磁界は静的であるものとする。しかしながら外部磁界を生成するために電磁コイルが使用される場合、電磁コイルを適時に制御するための自由度が存在する。つまり、例えば図4、5、6、7、9の実施形態のようにワイヤの電流の方向が切り替えられる状況において、外部磁界の方向は、(電流ワイヤ方向に代わって、)同じ効果を達成するように反転されることができる。この場合、外部磁界の切り替えは、ワイヤ電流間の切り替えに合わせて適切にタイミングを調整されなければならない。
【0066】
上述の概念は、磁性ビーズが制御されたやり方で表面上で集合的に操作される必要がある任意のアプリケーションにとって有用である。特に、ビーズがDNA鎖の基板である場合、図10に示されるように、シークエンシングステップのために必要とされる試薬が規則的なパターンで表面上に準備されるように、表面がパターン化されることができる。図10は、特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作するためのマイクロフルイディック装置44、特にDNAシークエンシング装置を示し、マイクロフルイディック装置44は、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置を含む。
【0067】
図10に示される装置44の実施形態は、任意の2次元方向におけるビーズ10の移動を可能にする図8に示されるようなワイヤ構造38を有する。更に、ミアンダ状の電流ワイヤのすべての組40a、40b、42a、42bのための電流を生成し、切り替えるための切り替えユニット32、及び外部磁界Heを生成する(及び好適には変更する)ための磁界生成手段18が、図示されている。
【0068】
磁界生成手段18は概して永久磁石でありうるが、本実施例において、好適には、磁界生成手段が電磁コイルによって実現され、それにより、磁界Heが変更されることができる。この目的のために、コイル制御ユニット46が更に提供され、コイル制御ユニット46によって、コイルの制御電流が制御されることができる。従って、好適には、磁界Heの方向(及び/又は強度)が、ユーザによって変更可能である。代替として又は付加的に、ミアンダ状の電流ワイヤに対する電流が、好適には、インタフェース(図示せず)を通じてユーザによって設定され又は変更されることができる。
【0069】
このようなコイル及びコイル制御手段が他の実施形態においても提供されることができ、外部磁界Heの方向(及び/又は強度)が変更されることが注意されるべきである。
【0070】
このような装置によれば、試薬は、表面(すなわち疎水性−親水性エリア)の表面エネルギーパターニングによって、表面上に配置される液滴に包含されることができ、又はそれらは、表面に存在するマイクロウェルに存在してもよい。ビーズ及びゆえにシークエンスされるべきDNA鎖は、あるシークエンシング位置から他のシークエンシング位置へ運搬されることができ、シークエンシング反応が行われることができる。シークエンシングアプローチは、ヌクレオチドの成功裏の包含が蛍光信号を生成する「パイロシークエンシング」でありうる。(光学的)検出によって、プロセスが記録されることができ、DNAシークエンスが推定される。代替として、シークエンシングプロセスは、蛍光標識化されたヌクレオチドの取り込みを必要としうる。更に、シークエンシングプロセスは、ナノポアシークエンシングによって行われることができる。この例のシークエンシングプロセスでは、ビーズがナノポアを通過するには大きすぎるので、DNAが、ビーズから分離されるべきである。それでも、ビーズによる運搬は、ナノポアシークエンシングユニットに個別の鎖を運ぶために、装置にある態様で含まれることができる。
【0071】
従って、本発明は、制御される態様でビーズが表面上で集合的に操作される必要がある任意の(マイクロフルイディック)システムにおいて広く適用されることができる。特に、本発明は、関係するシークエンシングステップ及び例えば核酸テスティングのDNA抽出ステップのような試料調製ステップを制御するために、DNAシークエンシング装置において適用されることができる。更に、本発明は、幾つかの生化学アッセイタイプに使用される磁気バイオセンサに適用されることができる。
【0072】
本発明は、図面及び上述の説明において詳しく図示され記述されているが、このような図示及び記述は、制限的でなく、説明的又は例示的なものであると考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に制限されない。開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、当業者によって、請求項に記載の本発明を実施する際に理解され達成されることができる。
【0073】
請求項において、「含む、有する」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外しない。単一の構成要素又は他のユニットが、請求項に列挙される幾つかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0074】
請求項における参照符号は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置及び対応する方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作する、特にDNAシーケンス装置のようなマイクロフルイディック装置に関する。
【背景技術】
【0003】
液体に埋め込まれる磁性粒子(「ビーズ」)は、それらの表面上に、相補的な標的分子と特異的に相互作用するプローブ分子(例えば相補標的DNAと相互作用する一本鎖プローブDNA)を保持するために使用されることができることが知られている。プローブされるべき分子と反応するとき、例えば光学的又は電気化学的測定を使用して、ビーズ上の又はビーズを含む特定のボリューム内の標的分子の量が決定されることができる。磁性ビーズを使用する際の関心は、それらが流体運動に関係なく磁界を使用して操作可能であることである。このようにして、流体に対するビーズの重要な相対運動、及びゆえに標的分子をビーズ表面上に固定されたプローブ分子に結合する大きい可能性が与えられることができる。検出/収集の場所にビーズを磁気的に抽出することが可能である。歴史的に、ビーズは、外部磁石を使用することによって局所的に固定され、又は機械的に移動する外部磁石を使用して運搬されている。後者のプロシージャは、例えば、混合装置を製造するために及び免疫測定方法において使用されることができる。
【0004】
ここで及び以下において、100ミクロンより小さい粒子が検討され、それらは、多くの場合ビーズとも呼ばれる。ビーズは、一般に、0.1乃至50ミクロンのレンジのサイズを有し、例えば1ミクロンのレンジのサイズを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁性ビーズの「分離(separation)」は、ビーズを含む液体フローが、大きい磁界(勾配)を有するゾーンを通り過ぎ、磁性ビーズが、磁界によってフィルタ抽出される(分離される)ことを意味する。ビーズの磁気的運搬は、マイクロフルイディック回路内の良好に規定された位置に、例えば磁性ビーズ検出装置の近くに、ビーズを持ってくるために重要である。「運搬(transport)」は、ビーズが、通過する液体溶液から磁界によって保持されるだけでなく(=分離(separation))、磁気力(すなわち磁界を使用すること)によって効果的に移動されることをも意味する。それにもかかわらず、(超)常磁性ビーズの有効相対磁化率はかなり弱く(多くは球状である粒子の消磁効果により一般に<<1である)、粒子の磁気ボリュームが小さいので、これらのビーズの操作及び特に運搬は、困難な作業である。これは、(機械的に移動する)永久磁石又は大きい電磁石の大きい磁界が磁性ビーズの分離、運搬及び位置付けのために多く使用されている理由を説明する。他の研究において、大きい電流によって作動されるマイクロパターン化された導体が、磁性ビーズの捕捉及び運搬のための有用なソリューションを提示するために説明されている。これらの装置は、正確な位置付け、及び単一の作動イベントで10−100μmの距離の運搬を可能にする。
【0006】
米国特許第2005/284817A1号明細書は、毛管チャンバ内で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置であって、永久的な磁気モーメントをビーズに与えるために、毛管チャンバをほぼ一様な磁界に曝露させるための永久磁石又は電磁石を有する装置を開示している。少なくとも1つの平面コイル及び好適には重なり合うコイルのアレイが、前記ほぼ一様な磁界に平行な又は逆平行な相補的な磁界をビーズに印加して、ビーズを駆動するために、毛管チャンバに隣り合って位置する。生成される磁界を反転させて、ビーズに対し駆動のための引力又は斥力を選択的に与えるために、コイルに印加される電流を切り替える装置が提供される。装置は、例えば医療診断目的の臨床的な化学アッセイにおいて行われているような化学及び生化学反応又はアッセイを実施するためにビーズを運搬するために使用可能である。
【0007】
1990年代の終わり、全ヒトゲノムのシークエンシングを開始するNIH(National Health Institute)プロジェクト以来、シークエンシング技術の技術開発は非常に急速に進んでいる。特に2005年、454 Life Sciences社(現ロシュ)によるシークエンシングマシンの第2の世代の導入(M. Margulies, M. Egholm et al., Nature, 437 (2005) 376-380を参照)以来、開発が強化されている。今日、複数の他の会社が、第2世代のシークエンシングマシンを発売しているが、例えばDNAシークエンシングが癌の解析の臨床ツールになるように、DNAシークエンシングの費用を一層低減したいという要望がある。
【0008】
費用を一層低減するための一般的な戦略の1つは、特にマイクロフルイディクス装置におけるシークエンシングに必要な工程の集積化によって、シークエンシング装置を小型化することである。このようなアプローチにおいては、シークエンスされるべきDNA及びシークエンシング反応に関係する試薬が、サブミリメートル寸法のマイクロチャネル及びチャンバ内で操作される。操作は、さまざまなやり方で行われることができ、例えばマイクロポンプ及びバルブ、集積化されたマイクロアクチュエータ、動電学的駆動力若しくは磁気駆動力を用いて、又は表面張力を利用することによって、行われることができる。
【0009】
次世代のシークエンシングアプローチのあるものにおいて、磁性マイクロビーズは、シークエンスされるべきDNA鎖のための基板として使用される。特に、理想的には、各々の単一ビーズが、当該ビーズにアタッチされる1つのユニークなDNA鎖を有し、かかるDNA鎖は、(PCRを使用して)同じビーズ上で何百万倍にも複製される。一般に、信号対雑音比を高めるために、単一ビーズ上で同じ鎖を何倍にも増殖するために、エマルジョンビーズPCR増殖(emPCR)が使用される。このようなアプローチを小型化する場合、装置内で局所的に生成される磁界を使用して、制御されるやり方でビーズを操作することが可能であることが、非常に有利である。これは、当該ビーズにアタッチされる特異的な鎖をもつビーズを、それらの正確な位置を監視しながら、装置内の特定のロケーションに運搬する機会を提供する。
【0010】
本発明の目的は、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置及び方法であって、力の生成のために必要とされる電気信号及び接続の数が最小限にされながらも、ビーズ操作の大きな柔軟性を提供する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の見地において、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置であって、
−流体中に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むチャンバと、
−前記ビーズがその上で運搬される前記運搬表面を前記チャンバ内に含む運搬素子と、
−前記運搬素子の前記運搬表面と反対側に配置される少なくとも2つの組のミアンダ状の電流ワイヤを含む電流ワイヤ構造であって、前記少なくとも2つの組が少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤ構造と、
−前記運搬表面上で前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替える切り替えユニットと、
を有する装置が提示される。
【0012】
本発明の別の見地において、対応する方法が提示される。
【0013】
本発明の更に別の見地において、特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作する、特にDNAシークエンチング装置のようなマイクロフルイディック装置であって、本発明による、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置を有するマイクロフルイディック装置が提示される。
【0014】
本発明の好適な実施形態は従属請求項に規定される。請求項に記載の方法及び請求項に記載のマイクロフルイディック装置は、請求項に記載の装置及び依存請求項に記載のものと同様の及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解されるべきである。
【0015】
本発明は、互いに空間的にずらされており、装置によって制御された態様でビーズを駆動する磁気力を生成するために特定の駆動スキームを使用して駆動される、ミアンダ状の電流ワイヤの電流ワイヤ構造を使用するという考えに基づく。ミアンダ状の電流ワイヤの空間的なずれ、及び駆動電流の適当な供給すなわち個別のミアンダ状の電流ワイヤに供給される電流の適当な切り替えを用いることによって、ビーズの移動の方向及びスピードが達成されることができる。このようにして、電気信号の数及び力の生成に必要とされる接続が最小限にされ、それにもかかわらずビーズ操作の大きな柔軟性が達成される。
【0016】
本発明は、特に、所望の軌道に沿って、運搬表面上で超常磁性ビーズを集合的に操作することを可能にする。構造は、ミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つのペアを有し、ビーズ移動の完全な自由度を実現するために4つの電気的接続のみを必要とする。好適な実施形態に従って提案されるような適切な駆動スキームを適用する場合、ビーズは、任意のパスに沿って移動されることができるだけでなく、運搬表面上で「ホップ」し又は運搬表面上の(マイクロ)ウェルの間でジャンプするようにされることもできる。
【0017】
本発明は、制御された態様でビーズが表面上で集合的に操作される必要がある任意の(マイクロフルイディック)システムにとって有用である。特に、本発明は、関係するシークエンシングステップ及び核酸テスティングのための試料調製のステップを制御するために、DNAシークエンシング装置に適用されることができる。更に、本発明による装置、システム又は方法は、例えばバインディング/アンバインディングアッセイ、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、移動アッセイ、酵素アッセイ、免疫測定法等の幾つかの生化学アッセイタイプに関して使用される磁気バイオセンサにおいて、使用されることができる。このような磁気バイオセンサシステム又は装置は、分子生物学的標的を検出することができる。分子標的は、多くの場合、例えばセル、ウィルス、セル又はウィルスの断片、組織抽出物等のより大きいモイエティの濃度及び/又は存在を決定することに注意されたい。
【0018】
運搬素子は、チャンバ内の別個の素子でありうるが、それは、チャンバ壁の一部であってもよく、すなわち、運搬表面が、チャンバ壁の内部表面であってもよい。更に、特に運搬表面がチャンバ壁の内部表面である場合、電流ワイヤ構造は、チャンバ内に又はチャンバ外に配置されることができる。
【0019】
好適な実施形態によれば、ミアンダ状の電流ワイヤの前記組は、前記運搬表面と平行なワイヤ面内に実質的に配置され、特に前記運搬素子の前記運搬表面と反対側の表面に配置される。それゆえ、電流ワイヤは、運搬表面及び運搬されるべきビーズのできるだけ近くに位置する。概して、ミアンダ状の電流ワイヤの組は、すべての3つの空間方向においてずらされることが可能であるが、更に好適には、ミアンダ状の電流ワイヤの組は、前記ワイヤ面内の直交する2方向においてずらされる。当然ながら、異なる組のワイヤの間の短絡は、回避されなければならず、それゆえ、異なる組のワイヤとの交差箇所に、このような短絡を回避するための適当な手段が提供される。例えば、絶縁材料が、それらの交差箇所の、ワイヤ間に配置され、又はワイヤの1つが、短絡を回避するために交差箇所において第3の方向に局所的にずらされる。
【0020】
ずれ(displacement)のサイズは、ビーズのサイズ、ワイヤのサイズ及び電流強度(電流ワイヤを流れる電流によってそれぞれ生成されるべき力)に依存する。1ミクロンの一般的なサイズのビーズの場合、ずれの典型的な値は、10乃至50ミクロンである。概して、典型的なずれは、ビーズサイズより1桁大きい。
【0021】
ビーズ運搬を最適化するためのさまざまな実施形態がある。例えば、一実施形態において、電流ワイヤ構造は、前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配置されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも3つの組を含み、前記少なくとも3つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされる。このようにして、ビーズに対する力の良好に規定された方向が達成されることができる。
【0022】
別の実施形態によれば、装置は、運搬表面とほぼ平行な方向にほぼ一様な静磁界を生成する静磁界生成手段を有し、前記電流ワイヤ構造は、ミアンダ状の電流ワイヤの2つの組を有する。一様な外部静磁界は、例えば外部の永久磁石又は電磁石構造(例えばコイル構造)によって生成されることができる。
【0023】
3組構造の利点は、ビーズの動き制御の完全な柔軟性を達成するために付加の外部磁界が生成される必要がないことである。2組構造の利点は、駆動スキーム及び駆動エレクトロニクスがより簡素であることである。付加の外部磁界の利点は、それがビーズの磁化を増大させ、それにより、達成可能なビーズ速度が、外部磁界なしの場合よりも約1桁大きくなることである。
【0024】
ビーズのそのような移動に依存して、又はビーズが運搬表面上で操作されるべき態様に依存して、電流ワイヤの組に個別に供給される電流を切り替えるための適当な切り替えスキームが適応される。スキームは、例えば、ユーザにより選択可能なそれぞれ異なる固定の切り替えスキームでありうるが、一実施形態において、ユーザが、切り替えスキームの設定を個別に変更し、電流ワイヤのさまざまな組に供給される電流を個別に制御するための自由度及びオプションを有することも可能である。付加の外部磁界を使用する実施形態において、例えば電磁石が外部磁界を生成するために使用される場合、ユーザが外部磁界の強度及び/又は方向を操作する付加の自由度を有することも可能である。
【0025】
運搬表面上におけるビーズの一方向の運搬は、一実施形態に従って達成される。その実施形態によれば、切り替えユニットは、電流ワイヤの前記組が非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替えるように適応され、この場合、電流ワイヤの個別の組に対する電流信号は、非負の電流が一度に1つの電流信号にのみ存在するように、時間的にずらされる。電流信号の形状は、概して方形波であるが、正弦、三角又は鋸波形状もまた可能である。非ゼロ電流の極性は、以下に説明される特定の実施形態に依存して正又は負のいずれかでありうる。
【0026】
好適には、前記個別の組に供給される電流信号は、同一であるが、時間的にずらされ、時間的なずれは、その時間的なずれが、最も遠くにずらされている組に供給される電流信号に関して最も大きくなるように、運搬方向における電流ワイヤの組のずれと相関する。
【0027】
ビーズは、特定の切り替え周波数まで所望の方向をたどることが分かった。個別の電流ワイヤに供給される電流の切り替え周波数があまりに高すぎる場合、ビーズは、磁気力及び粘性ドラッグの均衡によってもたらされるそれらが達成可能な制限された速度により、もはやついていくことができない。この臨界のスピード/周波数は、一般には実験的に決定されるが、例えば、デフォルトとして、さまざまなビーズについて使用されるべき事前設定が提供されることもできる。実際、最も効果的な運搬のために、可能な最高運搬スピードを達成するようにこの臨界の切り替え周波数(又はそのやや下)での駆動が望ましい。
【0028】
概して、外部磁界は静的である。しかしながら、外部磁界を生成するために電磁コイルが使用される場合、電磁コイルを制御するための自由度が存在する。これは、ワイヤの電流の方向が切り替えられる状況において、外部磁界の方向が、同じ効果を達成するために、(電流ワイヤ方向に代わって)反転されてもよいことを意味する。その場合、外部磁界の切り替えは、ワイヤ電流の間の切り替えにあわせて適切にタイミングを調節されなければならない。
【0029】
この場合、すなわち、外部磁界が電磁石によって提供される場合、ビーズの運搬が必要であるときのみ外部磁界をオンに切り替えることも可能である。ビーズの運搬が必要でない場合、外部磁界は、エネルギーを節約するために、オフに切り替えられることができる。運搬中、外部磁界は、オンに切り替えられ、(ほぼ一様な)静的な状態にされることができるが、ある時間にわたって(すなわち外部磁界がオン及びオフに切り替えられる時間の間)、外部磁界は、その時間において完全に静的であると考えられないことがある。
【0030】
他の好適な実施形態において、対話的に、ビーズの運搬方向を選択し及び/又はビーズの運搬方向を変更することが可能である。これを達成するために、切り替えユニットは、電流信号の極性を選択し及び/又は少なくとも1つの電流信号の極性を切り替えることにより、ビーズの運搬の方向の所望の選択又は変更を与えるように適応される。
【0031】
ビーズの1次元の運搬を達成するだけでなく、運搬表面上で任意の所望の2次元の方向にビーズを運搬する自由度を有するように、前記電流ワイヤ構造は、前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配置される少なくとも2つの第1の組のミアンダ状の電流ワイヤの第1のグループであって、前記少なくとも2つの第1の組が、少なくとも2方向において互いにずらされる、第1のグループと、前記運搬素子の同じ側に配置される少なくとも2つの第2の組のミアンダ状の電流ワイヤの第2のグループであって、前記少なくとも2つの第2の組が、少なくとも2方向において互いにずらされる、第2のグループと、を有し、電流ワイヤの前記第1のグループ及び前記第2のグループは、前記運搬表面に対して垂直な回転軸を中心に具体的には90°互いに対して回転されて配置される。
【0032】
他のアプリケーションにおいて、運搬表面上でビーズを「ホップ」させ又は「ジャンプ」させて小さいウェルに入る又はそこから出るようにすることが望ましいことがある。これを達成するために、切り替えユニットは、好適には、電流ワイヤの組が、正の電流をもつフェーズ及び負の電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替えるように適応され、この場合、異なる電流信号の、特に隣り合う電流ワイヤに供給される電流信号の正及び/又は負のフェーズが互いに重なり合うように、個別の組に対する電流信号が、時間的にずらされる。電流信号の形状は、概して方形波であるが、正弦、三角又は鋸波形状もまた可能である。
【0033】
別の実施形態によれば、運搬表面とほぼ平行な方向に、ほぼ一様な磁界を生成するコイルの組と、運搬表面に平行な面内で磁界の方向を変えるようにコイルの組を制御するコイル制御手段であって、特に2つの逆の方向の間で磁界の方向を反転させるコイル制御手段と、が提供される。それゆえ、他の実施形態において提供されるようにワイヤを駆動する電流ではなく、外部磁界の極性が切り替えられることができる。
【0034】
別の見地によれば、本発明は、本発明による運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置に駆動電流を供給するための駆動ユニットに関する。前記駆動ユニットは、前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替えるように適応され、この場合、前記駆動ユニットは、前記電流ワイヤの組が、非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、前記電流を切り替えるように適応される。上記で説明され、添付の図面を参照して後述されるように、さまざまな実施形態が、駆動電流を制御する、特に電流ワイヤに供給される電流を切り替える駆動ユニットに関して存在する。
【0035】
本発明のこれら及び他の見地は、以下に記述される(複数の)実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】図1Bと共に、電流ワイヤを用いることによる運搬表面上でのビーズの運搬を示す図。
【図1B】図1Aと共に、電流ワイヤを用いることによる運搬表面上でのビーズの運搬を示す図。
【図2A】図2Bと共に、3組の電流ワイヤを示す図。
【図2B】図2Aと共に、3組の電流ワイヤを示す図。
【図2C】図2A及び図2Bに示される3組の電流ワイヤの電流に関する適当な駆動スキームを示す図。
【図3A】付加の外部磁界の効果を示す図。
【図3B】付加の外部磁界の効果を示す図。
【図4A】3組のミアンダ状の電流ワイヤを含む本発明による装置の第1の実施形態の断面図。
【図4B】図4Aに示される本発明の第1の実施形態において用いられる電流ワイヤ構造を示す図。
【図4C】図4A及び図4Bに示される本発明の第1の実施形態による適当な電流駆動スキームを示す図。
【図5A】2組のミアンダ状の電流ワイヤを含む本発明による装置の第2の実施形態の断面図。
【図5B】図5Aに示される本発明による装置の第2の実施形態において用いられる電流ワイヤ構造を示す図。
【図5C】図5A及び図5Bに示される本発明の第2の実施形態による適当な電流駆動スキームを示す図。
【図6】本発明の第3の実施形態による電流駆動スキームを示す図。
【図7】本発明の第4の実施形態による電流駆動スキームを示す図。
【図8】本発明の第5の実施形態による2組のミアンダ状の電流ワイヤの2つのペアの組み合わせを示す図。
【図9】本発明の第5の実施形態による電流駆動スキームを示す図。
【図10】本発明によるDNAシークエンシングのためのマイクロフルイディックシステムの一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
単一の電流ワイヤは、ワイヤの方へ超常磁性ビーズを引き寄せる磁界を生成することが良く知られている。従って、図1Aに示されるように、基板17上に堆積された複数の集積化された電流ワイヤ16a、16b、16c、16dを使用して、運搬素子14の運搬表面12上で磁性ビーズ10を運搬することが可能である。
【0038】
電流ワイヤ16a、16b、16c、16dを順次にアドレスすることによって、局所的な磁界B1が生成され、それにより、ビーズ10が、個々の電流ワイヤ16a、16b、16c、16dによって引き寄せられる。従って、ビーズは、運搬表面12上を左から右に移動する。図1Aに示されるように、ワイヤ16a、16b、16c、16dは、運搬素子14として働く絶縁フィルムによって覆われることができる。フィルムの最上部が、運搬表面12である。
【0039】
ビーズ10に対する磁気力は、図1Bに示されるように、電流ワイヤ16a、16b、16c、16dによって生成される局所的な磁界B1に加えて、例えば永久磁石のような外部ソース18を使用して一様な磁界Heを印加することによって、増大されることができる。この外部磁界Heの利点は、(一様な)外部磁界Heが、超常磁性ビーズ10の磁化を増大し、それによって、ビーズ10のスピードを大幅に、具体的には一桁増大させることである。表面上で磁性ビーズ10を運搬するこのやり方は知られており、マイクロフルイディック装置において磁性ビーズ10を操作するために使用されている。
【0040】
この原理を知ることは、磁性ビーズの集合的な運搬を実現するための以下の提案をトリガする。図2A及び図2Bは、運搬表面上に堆積されたミアンダ状の電流ワイヤの3つの組20a、20b、20cを示している。図2Aは、概略図を示し、図2Bは、実現されるワイヤ(一例として、ワイヤが5μmの幅及び1μmの間隔を有する)の光学的顕微鏡写真を示す。例えば曲り角22のような曲り角において、ワイヤは、電気短絡を回避するために「ブリッジ」を通じて交差する。
【0041】
図2Cに示すような適当な電流駆動スキームによりワイヤの3つの組20a、20b、20cを順次に且つ個別にアドレスすることによって、ビーズが運搬表面上で左から右へ運搬される。時間tに関して図示されている電流Ia、Ib、Icが、ミアンダ状の電流ワイヤの3つの組20a、20b、20cにそれぞれ供給され、一度に、電流Ia、Ib、Icのただ1つが非ゼロであり、他の2つの電流がゼロであるように、制御される、このアプローチの利点は、たった3つの電気ワイヤ(すなわちミアンダ状の電流ワイヤの3組20a、20b、20c)のみが外界に接続される必要があることである。
【0042】
このアプローチは、付加の外部磁界が印加されない場合に有効であり、これは実験的に証明された。しかしながら、外部磁界が印加される場合、状況は異なる。その場合、すなわち、磁気力の性質は、外部磁界の方向に対するワイヤ内の電流の向きに依存する。これは、図3を参照して説明されることができる。図3Aは、電流Iがページに入っていく方向である電流ワイヤ22の断面を示す;すなわち、ワイヤ22によって生成される局所的な磁界B1は、時計回りである。更に、外部磁界Heは、左から右へ向いている。全体の磁界(外部磁界プラス局所的な磁界)の結果として、表面に(この場合は例えばワイヤ22より1μm上に)位置する超常磁性ビーズは、水平位置xの関数として、図3Aの図に示されるような磁気力Fxを受ける。ここで、位置0はワイヤ22の中心にある。ここで、正の力Fxは、(正の)x方向の力を意味する。従って、ビーズは、ワイヤ22の方へ引き寄せられる。
【0043】
図3Bに示すように、電流Iがページから出てくる方向にある場合、状況は異なる。局所的な磁界B1は、ここでは、反時計回りの向きであり、力は、実際、ワイヤ22から離れるほうへビーズを追いやる。
【0044】
この効果は、図2に示される装置の動作の結果を有する。ワイヤ20a、20b、20cのミアンダ状の構造により、電流(及びゆえに局所的な磁界の向き)は、各々の曲り角で変化し、従って、一様な外部静磁界に対してその方向を変える。従って、外部磁界に加えて、各々曲り角において、状況は、図3Aに示されるものと図3Bに示されるものとで異なる。すなわち、状況は引力から斥力へ変わり、その逆も同様である。これは、図2Cに示される駆動スキームの使用が左から右へのビーズの移動を生じさせないことを意味する。むしろ、各サイクルで生じることは、ビーズが右へ2ステップ(組20aのワイヤから隣りの組20bのワイヤまで、及び該組20bのワイヤから隣りの組20cのワイヤまで)進み、次に、より大きいステップ戻るほうへ進み、組20aの元のワイヤまで戻るということである。これは、実験的にも認められた。
【0045】
それゆえ、本発明の更なる認識は、電流方向が適時に変えられる場合、ビーズを、運搬表面と平行な一方向へ、例えば図2Aの左から右へ移動させることが可能なことである。これは、図4を参照してより詳しく説明される。図4は、本発明による装置24の第1の実施形態の断面図(図4A)と、この実施形態に用いられる電流ワイヤ構造20(図4B)及び電流駆動スキーム(図4C)とを示している。
【0046】
図4Aに示される装置24は、流体28の磁性ビーズ又は磁化可能なビーズ10を含むチャンバ26を有する。前記ビーズ10がその上を運搬される前記運搬表面12を含む運搬素子14が、前記チャンバ26内に配置される。前記運搬素子14の前記運搬表面12と反対の側に、ミアンダ状の電流ワイヤの3組20a、20b、20cを含む電流ワイヤ構造20が配置される。図4Bに見られるように、前記3つの組20a、20b、20cは、少なくとも2方向において、特に、運搬表面12に平行なワイヤ平面30を形成するx及びy方向において、互いにずらされている。
【0047】
基板17が、チャンバ26の内部側壁と置き換えられることができ、電流ワイヤが内部側壁上に直接堆積されることも可能であることに注意すべきである。更に、電流ワイヤが、チャンバ26の外部側壁上に堆積されることができ、チャンバ26の対向する内部側壁が運搬表面の役目を果たすことも可能である。
【0048】
電流駆動スキームに従って電流ワイヤの前記組20a、20b、20cに個別に印加される電流Ia、Ib、Icを生成し、個別に切り替えるために、切り替えユニット32が提供される。前記切り替えユニット32は、電流ワイヤに駆動電流を供給する駆動ユニットと考えられることもできる。
【0049】
対応する駆動スキームが、電流ワイヤの3つの組20a、20b、20cに印加される3つの電流Ia、Ib、Icに関して図4Cに示されている。電流Ia、Ib、Icを正から負に切り替えることによって、特定のワイヤセグメントの磁気力の性質は、斥力から引力に反転され、前記運搬表面12上で前記ビーズ10のx方向の運搬を生じさせる。
【0050】
従って、磁気力の性質の、電流の相対的な向きへの依存及び付加的に提供される実施形態における一様な外部静磁界が、電流を適切に駆動することによって有利に使用されることができる。
【0051】
例示的に、本発明によって使用される構成要素の幾つかの寸法が与えられる:
【0052】
磁性ビーズは、磁化可能なビーズ又は磁性ビーズ、特に超常磁性ビーズでありうる。好適な実施形態において、マグネタイトナノ粒子をその中に有するポリマビーズが使用される。サイズの一般的なレンジは、0.5μm乃至50μmであり、特に1μm乃至20μmである。
【0053】
ワイヤは、使用される相対的に大きい電流(密度)の理由で、導電性材料で、好適には金属(例えばCu又はAl)で作られる。ワイヤの一般的な幅は、1μm乃至10μmである。一般的な間隔は、1μm乃至10μmである。一般的な厚さは、0.5μm乃至5μmである。ワイヤは、既存の薄膜堆積及び構造化技術を用いて、それぞれ異なる層により基板(ガラス又はシリコン)上に生成されることができる。
【0054】
使用される一般的な電流は、5mA乃至100mA(例えば10乃至30mA)であり、これは、ワイヤ周囲に局所的に生成される一様でない円形磁界をもたらす。ワイヤ間の切り替えの一般的な周波数は、0.1乃至10Hzである。
【0055】
外部磁界は、一般に500乃至5000Oe(1Oe=(1000/(4pi))A/m)のレンジの磁界強度、又は50乃至500mTの磁束Bを有する。
【0056】
図5に示される別の実施形態によれば、ミアンダ状の電流ワイヤのただ2つの組36a、36bが、運搬表面12上でラインに沿った任意の方向にビーズ10を移動させるために使用される。しかし、更に、外部静磁界Heは、例えば永久磁石、電磁石又はコイル構造のような外部磁気ソース18によって印加される。図5Aは、装置34のこの実施形態の断面図を示し、図5Bは、2つのミアンダ状のワイヤ36a、36bを含む電流ワイヤ構造36、及びこの装置34において使用されるビーズ10の初期位置を示す。図5Cは、この実施形態において使用される電流駆動スキームを示し、すなわちワイヤに印加される時間tの関数としての駆動電流Ia、Ibを示す。
【0057】
時間ゼロにおいて、ワイヤ36aは、「オンに切り替えられ」、ビーズ10は、図3を参照して説明される原理に従って、正電流+Iaによって引き起こされる局所的な磁界He及び外部静磁界の組み合わせにより、ビーズが位置付けられるワイヤ36aによって引き寄せられる。その後、ワイヤ36aは、「オフに切り替えられ」、ワイヤ36bが、(正電流+Ibによって)オンに切り替えられる。電流Ib及び外部磁界Heが向けられる態様によって、ビーズ10は、ワイヤ36bのワイヤセグメント36b1によってその左へ反発される一方、ビーズ10は、ワイヤ36bのワイヤセグメント36b2によって右へ引き寄せられる。従って、ビーズ10は右へ移動する。次に、ワイヤ36bは、「オフに切り替えられ」、ワイヤ36aが再び「オンに切り替えられる」が、電流−Iaは、第1のステップと比較して逆の方向に流れる。これは、再び、ビーズ10を右へ移動させる。図5Cに示される駆動スキームによって規定される次のステップは、常にビーズ10を右へ駆動させる。これは実験的にも証明された。
【0058】
同じようにして、ビーズ10は、図6に示されるように、駆動スキームの変化によって、左へ移動するようにされることができる。この駆動スキームは、図5Bに示される電流ワイヤ構造36に適用されることができる。図5Cに示される駆動スキームとの違いは、単に電流信号Ia、Ibの極性である。
【0059】
上述の図に示される駆動スキームの組み合わせは、図7に示されるように、電流ワイヤ方向に対し垂直なラインに沿った任意の方向において、ビーズの水平移動を可能にする。時間ゼロから始まって、駆動スキームは、ビーズ10が左から右へまず移動するものである。しかしながら、時間t1において、駆動信号Ia、Ibの両方の極性が反転され、ビーズ10は、左へ移動し始める。事実、任意の時点に、ビーズ10の移動方向は、駆動スキームの適切な調整によって変更されることができる。
【0060】
ビーズの平均スピードは、ワイヤの切り替え期間を変えることによって及びワイヤを通る電流の大きさを変えることによって、変更されることができる。例えば電磁コイルのような調整可能な手段が外部磁界を生成するために使用される場合、ビーズの移動は、印加される外部磁界の変化によって変更されることもできる。
【0061】
電流ワイヤ構造38の別の実施形態が図8に示されている。これは、電流ワイヤの2組40a、40b及び42a、42bの2つのペア40、42と、一様な外部静磁界Heとの組み合わせを含む。2つのペア40、42は、互いに垂直に指向されている(しかし、2つのペアの平面に対し垂直な回転軸を中心に90°より大きい別の角度変位が可能でもある)。これは、運搬表面上でビーズ10の移動の完全な自由度を与える。ワイヤの駆動スキームの適切な切り替えによって、ビーズ10は、任意の軌道に沿って運搬表面上で移動されることができる。
【0062】
図9は、図5Bに示される電流ワイヤ構造36の実施形態によって使用されることができる駆動スキームの一実施形態を示す。この実施形態では、ビーズ10を、表面上で「ホップ」させ、又はウェルに入りウェルから出るようにジャンプさせることも可能であり、これは、後述されるシークエンシングアプリケーションにとって重要である。その理由は、図3Bに示される状況において、斥力が、垂直方向だけでなく、水平方向にも働き、すなわち、ビーズが、電流ワイヤがその下に組み込まれている運搬表面から離れるほうへ「揚力」を受けるからである。図9に示される駆動スキームは、運搬表面上でビーズ10をホップさせる。
【0063】
時間ゼロ(t0)に、ワイヤ36aは、オンに切り替えられ、図示される磁性ビーズ10は、それが位置するワイヤセグメントによって引き寄せられる。時間t1に、ワイヤ36aを通る電流方向が変更され、すなわち、その結果、ビーズ10が反発されるようにし、すなわちそれが位置するワイヤ36aから離れ、表面から離れて上方へ押しやられるようにする。同時に、ワイヤ36bが、(正電流+Ibによって)オンに切り替えられ、それによってビーズ10を右へ引き寄せる。つまり、ビーズ10は、それがワイヤ36bに最も近いワイヤセグメントに到達するまで、右へ「ホップする」。次に、時間t2に、ワイヤ36bの電流方向が反転され、それにより、ビーズ10が、ワイヤ36bから反発される。ワイヤ36aの電流Iaがなおオンに切り替えられ、その結果、この例では同時に右に働く力を引き起こす。それゆえ、ビーズ10は再び右へホップする。
【0064】
それゆえ、図9に示される駆動スキームによって、ビーズ10は、右へホップし続ける。ホッピングの方向は、切り替えの時点にビーズが位置していないワイヤを通る電流の極性を変えることによって、適時に変更されることができる。電流ワイヤ36a、36bがマイクロウェルの中又は下に位置している場合、ビーズを1つのウェルから隣りのウェルまでジャンプさせることが可能でありうる。
【0065】
上述の実施形態の全てにおいて、外部磁界は静的であるものとする。しかしながら外部磁界を生成するために電磁コイルが使用される場合、電磁コイルを適時に制御するための自由度が存在する。つまり、例えば図4、5、6、7、9の実施形態のようにワイヤの電流の方向が切り替えられる状況において、外部磁界の方向は、(電流ワイヤ方向に代わって、)同じ効果を達成するように反転されることができる。この場合、外部磁界の切り替えは、ワイヤ電流間の切り替えに合わせて適切にタイミングを調整されなければならない。
【0066】
上述の概念は、磁性ビーズが制御されたやり方で表面上で集合的に操作される必要がある任意のアプリケーションにとって有用である。特に、ビーズがDNA鎖の基板である場合、図10に示されるように、シークエンシングステップのために必要とされる試薬が規則的なパターンで表面上に準備されるように、表面がパターン化されることができる。図10は、特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作するためのマイクロフルイディック装置44、特にDNAシークエンシング装置を示し、マイクロフルイディック装置44は、運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置を含む。
【0067】
図10に示される装置44の実施形態は、任意の2次元方向におけるビーズ10の移動を可能にする図8に示されるようなワイヤ構造38を有する。更に、ミアンダ状の電流ワイヤのすべての組40a、40b、42a、42bのための電流を生成し、切り替えるための切り替えユニット32、及び外部磁界Heを生成する(及び好適には変更する)ための磁界生成手段18が、図示されている。
【0068】
磁界生成手段18は概して永久磁石でありうるが、本実施例において、好適には、磁界生成手段が電磁コイルによって実現され、それにより、磁界Heが変更されることができる。この目的のために、コイル制御ユニット46が更に提供され、コイル制御ユニット46によって、コイルの制御電流が制御されることができる。従って、好適には、磁界Heの方向(及び/又は強度)が、ユーザによって変更可能である。代替として又は付加的に、ミアンダ状の電流ワイヤに対する電流が、好適には、インタフェース(図示せず)を通じてユーザによって設定され又は変更されることができる。
【0069】
このようなコイル及びコイル制御手段が他の実施形態においても提供されることができ、外部磁界Heの方向(及び/又は強度)が変更されることが注意されるべきである。
【0070】
このような装置によれば、試薬は、表面(すなわち疎水性−親水性エリア)の表面エネルギーパターニングによって、表面上に配置される液滴に包含されることができ、又はそれらは、表面に存在するマイクロウェルに存在してもよい。ビーズ及びゆえにシークエンスされるべきDNA鎖は、あるシークエンシング位置から他のシークエンシング位置へ運搬されることができ、シークエンシング反応が行われることができる。シークエンシングアプローチは、ヌクレオチドの成功裏の包含が蛍光信号を生成する「パイロシークエンシング」でありうる。(光学的)検出によって、プロセスが記録されることができ、DNAシークエンスが推定される。代替として、シークエンシングプロセスは、蛍光標識化されたヌクレオチドの取り込みを必要としうる。更に、シークエンシングプロセスは、ナノポアシークエンシングによって行われることができる。この例のシークエンシングプロセスでは、ビーズがナノポアを通過するには大きすぎるので、DNAが、ビーズから分離されるべきである。それでも、ビーズによる運搬は、ナノポアシークエンシングユニットに個別の鎖を運ぶために、装置にある態様で含まれることができる。
【0071】
従って、本発明は、制御される態様でビーズが表面上で集合的に操作される必要がある任意の(マイクロフルイディック)システムにおいて広く適用されることができる。特に、本発明は、関係するシークエンシングステップ及び例えば核酸テスティングのDNA抽出ステップのような試料調製ステップを制御するために、DNAシークエンシング装置において適用されることができる。更に、本発明は、幾つかの生化学アッセイタイプに使用される磁気バイオセンサに適用されることができる。
【0072】
本発明は、図面及び上述の説明において詳しく図示され記述されているが、このような図示及び記述は、制限的でなく、説明的又は例示的なものであると考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に制限されない。開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、当業者によって、請求項に記載の本発明を実施する際に理解され達成されることができる。
【0073】
請求項において、「含む、有する」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外しない。単一の構成要素又は他のユニットが、請求項に列挙される幾つかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0074】
請求項における参照符号は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置であって、
流体中に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むチャンバと、
前記ビーズがその上で運搬される前記運搬表面を、前記チャンバ内に含む運搬素子と、
前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの組を含む電流ワイヤ構造であって、前記少なくとも2つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤ構造と、
前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替える切り替えユニットと、
を有する装置。
【請求項2】
前記ミアンダ状の電流ワイヤの前記組は、前記運搬表面と平行なワイヤ面内に実質的に配され、特に前記運搬表面と反対側の前記運搬素子の表面上に実質的に配される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ミアンダ状の電流ワイヤの前記組は、前記ワイヤ面内の直交する2方向においてずらされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電流ワイヤ構造は、前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも3つの組を含み、前記少なくとも3つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記運搬表面とほぼ平行な方向にほぼ一様な静磁界を生成する静磁界生成手段を更に有し、前記電流ワイヤ構造は、ミアンダ状の電流ワイヤの2つの組を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記切り替えユニットは、前記電流ワイヤの前記組が非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替え、前記個別の組に対する電流信号は、非負の電流が一度に1つの電流信号にのみ存在するように、時間的にずらされる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記個別の組に供給される電流信号は、同一であるが、時間的にずらされ、前記時間的なずれは、前記時間的なずれが最も遠くにずらされた前記組に供給される電流信号に関して最も大きくなるように、前記電流ワイヤの前記組の前記運搬方向におけるずれと相関する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記切り替えユニットは、前記ビーズの前記運搬方向を選択するように前記電流信号の極性を選択する、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記切り替えユニットは、前記ビーズの運搬方向を変更するために、少なくとも1つの電流信号の極性を切り替える、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項10】
前記電流ワイヤ構造は、
前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの第1の組の第1のグループであって、前記少なくとも2つの第1の組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤの第1のグループと、
前記運搬素子の同じ側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの第2の組の第2のグループであって、前記少なくとも2つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤの第2のグループと、
を有し、前記電流ワイヤの前記第1のグループ及び前記第2のグループは、特に前記運搬表面に対し垂直な回転軸を中心に互いに90°回転されて配される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記切り替えユニットは、前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替え、それにより、前記組は、正の電流をもつフェーズ及び負の電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給され、前記個別の組に対する電流信号は、それぞれ異なる電流信号の、特に隣り合う電流ワイヤに供給される電流信号の正及び/又は負のフェーズが互いに重なり合うように、時間的にずらされる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記運搬表面とほぼ平行な方向にほぼ一様な磁界を生成するコイルの組と、
前記運搬表面と平行な面内で前記磁界の方向を変えるように前記コイルの組を制御するコイル制御手段であって、特に2つの逆の方向の間で前記磁界の方向を反転させるコイル制御手段と、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する方法であって、
流体中に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを提供するステップと、
前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの組を含む電流ワイヤ構造に電流を印加するステップであって、前記電流ワイヤの前記少なくとも2つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされており、前記運搬素子は、前記ビーズがその上を運搬される前記運搬表面を前記チャンバ内に有する、ステップと、
前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替えるステップと、
を含む方法。
【請求項14】
特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作する、特にDNAシークエンシング装置又は免疫測定装置であるマイクロフルイディック装置であって、請求項1に記載の装置を有するマイクロフルイディック装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置に駆動電流を供給する駆動ユニットであって、
前記駆動ユニットは、前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替え、前記駆動ユニットは、前記電流ワイヤの前記組が非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、前記電流を切り替える、駆動ユニット。
【請求項1】
運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する装置であって、
流体中に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むチャンバと、
前記ビーズがその上で運搬される前記運搬表面を、前記チャンバ内に含む運搬素子と、
前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの組を含む電流ワイヤ構造であって、前記少なくとも2つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤ構造と、
前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替える切り替えユニットと、
を有する装置。
【請求項2】
前記ミアンダ状の電流ワイヤの前記組は、前記運搬表面と平行なワイヤ面内に実質的に配され、特に前記運搬表面と反対側の前記運搬素子の表面上に実質的に配される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ミアンダ状の電流ワイヤの前記組は、前記ワイヤ面内の直交する2方向においてずらされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電流ワイヤ構造は、前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも3つの組を含み、前記少なくとも3つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記運搬表面とほぼ平行な方向にほぼ一様な静磁界を生成する静磁界生成手段を更に有し、前記電流ワイヤ構造は、ミアンダ状の電流ワイヤの2つの組を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記切り替えユニットは、前記電流ワイヤの前記組が非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替え、前記個別の組に対する電流信号は、非負の電流が一度に1つの電流信号にのみ存在するように、時間的にずらされる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記個別の組に供給される電流信号は、同一であるが、時間的にずらされ、前記時間的なずれは、前記時間的なずれが最も遠くにずらされた前記組に供給される電流信号に関して最も大きくなるように、前記電流ワイヤの前記組の前記運搬方向におけるずれと相関する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記切り替えユニットは、前記ビーズの前記運搬方向を選択するように前記電流信号の極性を選択する、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記切り替えユニットは、前記ビーズの運搬方向を変更するために、少なくとも1つの電流信号の極性を切り替える、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項10】
前記電流ワイヤ構造は、
前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの第1の組の第1のグループであって、前記少なくとも2つの第1の組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤの第1のグループと、
前記運搬素子の同じ側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの第2の組の第2のグループであって、前記少なくとも2つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされている、電流ワイヤの第2のグループと、
を有し、前記電流ワイヤの前記第1のグループ及び前記第2のグループは、特に前記運搬表面に対し垂直な回転軸を中心に互いに90°回転されて配される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記切り替えユニットは、前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される前記電流を切り替え、それにより、前記組は、正の電流をもつフェーズ及び負の電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給され、前記個別の組に対する電流信号は、それぞれ異なる電流信号の、特に隣り合う電流ワイヤに供給される電流信号の正及び/又は負のフェーズが互いに重なり合うように、時間的にずらされる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記運搬表面とほぼ平行な方向にほぼ一様な磁界を生成するコイルの組と、
前記運搬表面と平行な面内で前記磁界の方向を変えるように前記コイルの組を制御するコイル制御手段であって、特に2つの逆の方向の間で前記磁界の方向を反転させるコイル制御手段と、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
運搬表面上で磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを運搬する方法であって、
流体中に磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを提供するステップと、
前記運搬素子の前記運搬表面と反対の側に配されるミアンダ状の電流ワイヤの少なくとも2つの組を含む電流ワイヤ構造に電流を印加するステップであって、前記電流ワイヤの前記少なくとも2つの組は、少なくとも2方向において互いにずらされており、前記運搬素子は、前記ビーズがその上を運搬される前記運搬表面を前記チャンバ内に有する、ステップと、
前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替えるステップと、
を含む方法。
【請求項14】
特にシークエンシング又は核酸テスティングのために磁性ビーズ又は磁化可能なビーズを含むサンプルを操作する、特にDNAシークエンシング装置又は免疫測定装置であるマイクロフルイディック装置であって、請求項1に記載の装置を有するマイクロフルイディック装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置に駆動電流を供給する駆動ユニットであって、
前記駆動ユニットは、前記運搬表面上での前記ビーズの運搬を引き起こすように、電流駆動スキームに従って前記電流ワイヤの前記組に個別に印加される電流を個別に切り替え、前記駆動ユニットは、前記電流ワイヤの前記組が非ゼロの電流をもつフェーズ及びゼロ電流をもつフェーズを含む周期的な電流信号を個別に供給されるように、前記電流を切り替える、駆動ユニット。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−504753(P2013−504753A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528482(P2012−528482)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053991
【国際公開番号】WO2011/030272
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053991
【国際公開番号】WO2011/030272
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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