説明

磁性ワイヤー付与装置およびその方法

【課題】
螺旋形状の針を使用して、ユーザの必要に応じて、用紙の任意の位置に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与装置を提供する。
【解決手段】
磁性ワイヤー付与装置5において、磁性ワイヤー30が先端に固定された螺旋針A−54を投下することで磁性ワイヤー30を用紙15に供給し、螺旋針A−54を螺旋状に用紙15に貫通させることで、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与装置およびその方法に関し、特に、螺旋形状の針を使用して、ユーザの必要に応じて、用紙の任意の位置に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密情報や個人情報等の漏洩防止、有価証券等の不正複写による偽造防止等、セキュリティ強化を目的とする種々の方法や装置が提案されている。
【0003】
有価証券等の偽造防止を目的とする技術としては、用紙にセキュリティスレッド等を挿入することで、本物を特定できる特性を用紙に付与して、偽造防止用紙を作成する技術がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、二層以上の紙層で構成され、円網抄紙機によって用紙を製造する際に、最外部に位置する紙層とその下に位置する紙層の間にセキュリティスレッドを挿入することでカラー複写機による偽造を防止することができる偽造防止用紙が提供されている。
【0005】
また、特許文献2では、長網抄紙機をもちいて、セキュリティスレッドを紙層中の所定の位置に反転やねじれを生じることなく挿入したセキュリティスレッド入り用紙及びその製造方法並びにその製造装置が提供されている。
【0006】
また、特許文献3においても、円網抄紙機を使用して用紙を製造する際に、紙層間にセキュリティスレッドを挿入して製造する偽造防止用紙の製造方法が提案されている。
【0007】
また、特許文献4においては、用紙基材の紙層間に、磁性ワイヤーが漉き込まれた状態でなる万引き防止用ワイヤーが漉き込まれた用紙が提供されている。
【特許文献1】特開平8−311800号公報
【特許文献2】特開2001−131897号公報
【特許文献3】特開平11−034474号公報
【特許文献4】特開2002−317398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及至3によって提供されている技術では、円網抄紙機や長網抄紙機を使用して抄紙する際に、セキュリティスレッド等を挿入することで、偽造防止効果や持ち出し禁止効果を得ることができる用紙を製造することができた。
【0009】
しかし、これらの技術では、円網抄紙機や長網抄紙機を使用して偽造防止効果や持ち出し禁止効果が得られる用紙を製造することはできたが、すでに製造されて印刷に使用する用紙に対して、必要に応じて、特性を付与することで、用紙を偽造防止効果や持ち出し禁止効果が得られるセキュリティ用紙にすることはできなかった。
【0010】
そこで、本発明の磁性ワイヤー付与装置では、既に製造された用紙に対して、必要に応じて、偽造防止や持ち出し禁止を可能とする磁性ワイヤーを付与することのできる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する為、請求項1の発明は、用紙に対して磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与装置において、用紙に前記磁性ワイヤーを供給する磁性ワイヤー供給手段と、前記磁性ワイヤー供給手段で供給された磁性ワイヤーを前記用紙に螺旋状に貫通させて該用紙に前記磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記磁性ワイヤー付与手段は、螺旋形状を有する螺旋針と、前記螺旋針を回転させながら並進させる螺旋針移動手段と、前記螺旋針の先端部に前記磁性ワイヤー供給手段から供給される磁性ワイヤーを固定する固定手段とを具備し、前記固定手段により前記磁性ワイヤーが前記螺旋針の先端部に固定された状態で該螺旋針を前記螺旋針移動手段により前記用紙上を回転させながら並進させることで前記磁性ワイヤーを前記用紙に螺旋状に貫通させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記磁性ワイヤー付与手段は、前記磁性ワイヤーの一端に、前記磁性ワイヤーが前記用紙を貫通することを妨げる結び目或いは折れ目を形成する貫通防止手段を更に具備し、前記固定手段により前記磁性ワイヤーが前記螺旋針の先端部に固定された状態で該螺旋針が前記用紙を螺旋状に貫通した後、更に前記螺旋針が回転しながら並進することで前記磁性ワイヤーが前記貫通防止手段で形成された結び目或いは折れ目により前記用紙に残され、前記用紙から前記螺旋針のみを抜き出すことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記磁性ワイヤー付与手段は、螺旋形状を有する螺旋針と、前記螺旋針を回転させながら並進させる螺旋針移動手段と、前記螺旋針の先端部に前記磁性ワイヤー供給手段から供給される磁性ワイヤーの断面に楔状の切り込みを形成する切込手段とを更に具備し、前記螺旋針が前記用紙を螺旋状に貫通した後、前記螺旋針内に供給された磁性ワイヤーの該螺旋針の先端部にある該磁性ワイヤーに前記切込手段で該磁性ワイヤーの断面に楔状の切り込みを形成し、前記螺旋針を前記螺旋針が前記用紙を螺旋状に貫通した回転方向と並進とは逆方向に回転させて並進させることで前記磁性ワイヤーが前記用紙に残され、前記用紙から前記螺旋針のみを抜き出すことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、用紙に対して磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与方法において、用紙に前記磁性ワイヤーを磁性ワイヤー供給手段により供給し、該磁性ワイヤー供給手段で供給された磁性ワイヤーを該用紙に螺旋状に貫通させて当該用紙に該磁性ワイヤーを磁性ワイヤー付与手段により付与することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の磁性ワイヤー付与装置およびその方法によれば、用紙に磁性ワイヤーを供給する磁性ワイヤー供給手段と、用紙を磁性ワイヤー供給手段で供給された磁性ワイヤーで螺旋状に貫通させて用紙に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与手段とを具備するように構成したので、ユーザの必要に応じて、用紙の任意の位置に磁性ワイヤーを付与することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法は、偽造防止や不正複写、不正持ち出しの防止等のセキュリティ強化を目的として、所定の磁界を与えることで信号を発する磁性ワイヤーを必要に応じて用紙の任意の場所に付与することができるように構成されている。
【0019】
また、磁性ワイヤーを検知する検知装置を備えた複写機や盗難防止装置等が、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法によって用紙に付与された磁性ワイヤーを検知することで、複写禁止あるいは持ち出し禁止の処理動作を行ない、機密情報が印刷された用紙の不正複写または不正持ち出しを防止することができる。
【0020】
なお、用紙に付与される磁性ワイヤーは、バルクハウゼン効果を有する線径が例えば約30μm程度であり、紙の厚さ(80μm〜300μm)よりも細い磁性ワイヤーであって、Fe−Co系アモルファス材で形成される。
【0021】
そして、付与される磁性ワイヤーは、所定の磁界を受けると磁化反転時に急峻な磁気パルスを発するので、用紙に磁性ワイヤーが付与されているか否かは、用紙に対して所定の磁界を与え、その際に磁気パルスが検知されたか否かにより判別することができる。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置を適用した画像形成装置100の要部の構成を示す構成図である。
【0023】
図1において、この画像形成装置100は、給紙トレイ1、ピックローラ2、フィードローラ3、リタードローラ4、磁性ワイヤー付与装置5、露光装置6、感光ドラム7、現像器8、定着器9、転写ドラム10、排紙トレイ11、CPU(Central Processing Unit)12、操作パネル13を備えている。
【0024】
画像形成装置100の要部の動作制御はCPU12によって制御される。
【0025】
給紙トレイ1は、画像形成装置100において印刷に使用される磁性ワイヤーが付与されていない用紙を蓄え、ピックローラ2は、給紙トレイ1より用紙を繰り出す。
【0026】
フィードローラ3、リタードローラ4は互いに対向に配置され、フィードローラ3は用紙の搬送方向に回転し、また、リタードローラ4には当該搬送方向とは逆方向に用紙を戻すトルクがかけられ、ピックローラ2によって繰り出された用紙を一枚ずつ磁性ワイヤー付与装置5に搬送する。
【0027】
磁性ワイヤー付与装置5は、操作パネル13から行われるユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれている場合に、搬送された用紙の指定された位置に磁性ワイヤーを付与する。
【0028】
露光装置6は、感光ドラム7に静電潜像を形成する。
【0029】
感光ドラム7では、露光装置6によって形成された静電潜像が現像器8によって現像され、トナー像が形成される。
【0030】
転写ドラム10は、感光ドラム7に形成されたトナー像を用紙に転写する。
【0031】
定着器9は、転写ドラム10によって転写された用紙上のトナー像を定着させる。
【0032】
排紙トレイ11は、定着器9よりトナー像が定着されて排紙される用紙を蓄積する。
【0033】
このように、画像形成装置100においては、転写ドラム10において画像が形成される前の工程に、磁性ワイヤー付与装置5が位置しており、ユーザの磁性ワイヤーを付与する指示に応じて、磁性ワイヤーが付与され印刷が行われる。
【0034】
次に、磁性ワイヤー付与装置5について図2を参照して説明を行う。
【0035】
図2は、磁性ワイヤー付与装置5の要部の構成を示した構成図である。
【0036】
磁性ワイヤー付与装置5は、固定台51、回転機構部52、針ガイド53を備えている。
【0037】
固定台51は、磁性ワイヤー付与装置5に搬送された用紙を固定する。
【0038】
また、固定台51は、磁性ワイヤーを用紙に付与する際に使用される螺旋針(詳細は、後述する)が突き刺さらない程度以上の強度を有している。
【0039】
針ガイド53は、細く硬い線状であり、針ガイド53の両端は回転機構部52に配置されているが、回転機構部52より着脱可能となっている。
【0040】
回転機構部52からは、磁性ワイヤーが先端に固定された螺旋針、螺旋針を用紙に埋め込む針押しチューブ、螺旋針を用紙から抜き出す針受けチューブに針ガイド53を通すようにして、螺旋針、針押しチューブ、針受けチューブを投下させることができる。
【0041】
そして、針ガイド53を有する回転機構部52は、図示しない移動装置によって、固定台51上に配置された用紙15上の任意の位置に配置されることが可能で、それによって、用紙15上の任意の位置に磁性ワイヤーを付与することが可能となる。
【0042】
また、回転機構部52内部には、磁性ワイヤーを螺旋針に設置する磁性ワイヤー設置装置50を備えている。
【0043】
次に、用紙15に磁性ワイヤーを埋め込む螺旋の形状を有する螺旋針について図3を参照して説明を行う。
【0044】
図3は、用紙15に磁性ワイヤーを埋め込む、螺旋の形状を有する螺旋針A−54と、螺旋針A−54に設置された磁性ワイヤー30を示す模式図である。
【0045】
図3(a)に螺旋針A−54を示す。
【0046】
図3(a)に示すように、螺旋針A−54は螺旋の形状を有している。
【0047】
螺旋針A−54の強度は、螺旋針A−54が回転しながら固定台51と接触しても、しなりを発生させて変形しながら回転を維持できる程度の強度を持つ。
【0048】
図3(b)には、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54を示す。
【0049】
図3(b)に示すように、磁性ワイヤー30は、螺旋針A−54の先端付近に固定されて、螺旋針−54に設置される。
【0050】
図3(c)、(d)には、螺旋針A−54に設置される磁性ワイヤー30の後端部を示す。
【0051】
図3(c)、(d)に示すように、螺旋針A−54に設置される磁性ワイヤー30の後端は、磁性ワイヤー30が用紙15に引っかかって、用紙15から抜けないように、図3(c)に示すように結び目33、もしくは、図3(d)に示すように折り目34が回転機構部の内部で形成される。
【0052】
この結び目33もしくは折り目34により、螺旋針A−54が用紙15から抜け出された際に、磁性ワイヤー30が用紙15に残される。
【0053】
次に、回転機構部52の内部の磁性ワイヤー設置装置50で螺旋針A−54に磁性ワイヤーを供給して、螺旋針A−54に磁性ワイヤーを設置する状態について図4を参照して説明する。
【0054】
図4は、回転機構部52内部において螺旋針A−54に磁性ワイヤーを供給して、螺旋針A−54に磁性ワイヤーを設置する磁性ワイヤー設置装置50を示した模式図である。
【0055】
図4に示すように、磁性ワイヤー設置装置50は、回転機構部52内部に、リール20、磁性ワイヤー21、繰り出し機構部22、切断部23、結び目形成部24、固定装置25、輪26、針押し棒27、凹部28、凸部29、磁性ワイヤー設置台31を備えている。
【0056】
リール20は、螺旋針A−54に設置する磁性ワイヤーが巻かれており、繰り出し機構部22は、リール20に巻かれた磁性ワイヤー21を切断部23、結び目形成部24、固定装置25、輪26に繰り出すことで、磁性ワイヤー21を螺旋針A−54に供給する。
【0057】
結び目形成部24に繰り出された磁性ワイヤー21は、固定装置25に導かれる。
【0058】
切断部23は、磁性ワイヤーを所定の長さ(2cm程度)に切断し、結び目形成部24は、螺旋針A−54に先端部が固定されて切断部23で切断された磁性ワイヤーの端に結び目33もしくは折り目34を形成する。
【0059】
固定装置25は、螺旋針A−54の先端部分に繰り出し機構部22によって繰り出された磁性ワイヤー21を着脱可能な方法で固定する。
【0060】
なお、固定装置25による固定方法は、例えば、熱溶融剤を使用して、螺旋針A−54と磁性ワイヤー21とを固定する方法でもよい。
【0061】
輪26は、先端に磁性ワイヤー21が固定された螺旋針A−54と磁性ワイヤー21を共に通すことで、螺旋針A−54に磁性ワイヤー21を設置する。
【0062】
針押し棒27は、凹部28に配置された螺旋針A−54を針押し棒27の先端に位置する電磁石の凸部29で固定して、凹部28に沿って回転させながら輪26方向に押すことで、磁性ワイヤー21が固定された螺旋針A−54を輪26に通す。
【0063】
凹部28には、磁性ワイヤー21が設置される螺旋針A−54が配置され、同じく凹部28上に設置されている針押し棒27が回転しながら螺旋針A−54を押すことで、螺旋針A−54を凹部28に沿って回転させながら移動させることができる。
【0064】
凸部29は、針押し棒27の螺旋針A−54と接する先端部分に設置されて、電磁石で構成されており、針押し棒27が螺旋針A−54を回転しながら押す際に、螺旋針A−54の後端部分を引っ掛けて、螺旋針A−54が針押し棒27の回転とずれて空回するのを防止する役目を果たす。
【0065】
磁性ワイヤー設置台31には、針押し棒27の移動によって、螺旋針A−54が回転しながら移動する凹部28が形成されている。
【0066】
螺旋針A−54に磁性ワイヤーが設置される際には、凹部28に螺旋針A−54が配置され、そして、針押し棒27が一定方向に回転しながら凹部28に沿って移動し、螺旋針A−54の後端部が針押し棒27の凸部29に引っかかると、凸部29の電磁石を作動させ、螺旋針A−54と針押し棒27を固定させる。
【0067】
針押し棒27は、螺旋針A−54の先端部分が輪26を通り抜けて固定装置25に接するように移動する。
【0068】
螺旋針A−54と固定されている針押し棒27の移動によって、螺旋針A−54の先端部分が固定装置25に接すると、繰り出し機構部22からリール20に巻かれた磁性ワイヤー21が切断部23、結び目形成部24を通って固定装置25に導かれる。
【0069】
そして、固定装置25に導かれた磁性ワイヤー21の先端が、固定装置25に接している螺旋針A−54の先端に固定される。
【0070】
磁性ワイヤー21と螺旋針A−54が固定されると、螺旋針A−54は、輪26を通り抜けたまま針押し棒27によって、螺旋針A−54の先端以降の部分も輪26を次々と通り抜けるように回転しながら押される。
【0071】
螺旋針A−54が針押し棒27によって押されながら回転して、輪26を通り抜けていく際には、繰り出し機構部22によって磁性ワイヤー21が繰り出され、磁性ワイヤー21と螺旋針A−54とが共に輪26を通り抜ける状態となる。
【0072】
磁性ワイヤー21が繰り出し機構部22によって繰り出されながら、螺旋針A−54と磁性ワイヤー21が共に輪26を通り抜けていき、繰り出し機構部22より繰り出される磁性ワイヤー21の長さが所定の長さに達すると、針押し棒27は一旦停止し、繰り出し機構部22は磁性ワイヤー21の繰り出しを停止し、切断部23が磁性ワイヤー21を切断して、結び目形成部24が切断部23によって切断されて螺旋針A−54に設置されている磁性ワイヤーの端に結び目33もしくは折り目34を形成する。
【0073】
結び目形成部24で形成された結び目33もしくは折り目34が輪26を通り、針押し棒27によって螺旋針A−54が針押し棒27の凸部29付近まで輪26を通ると、凸部29の電磁石の磁性が消去され、針押し棒27と螺旋針A−54の固定が解除される。
【0074】
輪26を通っていない螺旋針A−54の部分は、固定装置25の移動によって、螺旋針A−54が輪26を通り抜ける。
【0075】
このようにして、リール20より磁性ワイヤーが供給されて、螺旋針A−54に設置される。
【0076】
次に、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が回転機構部52から投下される状態について図5を参照して説明する。
【0077】
図5は、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が投下される状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
【0078】
回転機構部52から、磁性ワイヤー設置装置50で磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が、針ガイド53を螺旋針A−54の螺旋部分に通すように投下される。
【0079】
螺旋針A−54が投下されると、図5に示すように、回転機構部52の下部に下向き凸の形状を有している針ガイド53の最下部分に螺旋針A−54は静止する。
【0080】
そして、用紙15上の針挿入点32に螺旋針A−54の針先端が接するように、回転機構部52が、図5に示す矢印31方向に移動する。
【0081】
次に、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、螺旋針A−54の先端が用紙15の針挿入点32に接触する状態について図6を参照して説明する。
【0082】
図6は、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、螺旋針A−54の先端が用紙15の針挿入点32に接触する状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
【0083】
図6に示すように、回転機構部52が移動することによって、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54の先端が用紙15の針挿入点32に接触している。
【0084】
このように磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が磁性ワイヤー付与装置5より投下されて、用紙15に磁性ワイヤー30が供給される
針ガイド53は、図6に示すように、回転機構部52によって用紙15に押し付けられて変形している。
【0085】
次に、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する目的で、螺旋針A−54を回転させる為に針押しチューブ55が回転機構部52より投下される状態について図7を参照して説明する。
【0086】
図7は、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する目的で、回転機構部52より、用紙15に接している螺旋針A−54を回転させる為に、針押しチューブ55が投下される、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
【0087】
図7(a)に示すように、螺旋針A−54の先端が針挿入点32に接触すると、図7に示すように、針押しチューブ55が回転機構部52より投下され、図7の矢印33で示す螺旋針A−54の後端部分に針押しチューブ55が接触する。
【0088】
また、図7(b)に示すように、針押しチューブ55の螺旋針A−54と接触する部分は、針押しチューブ55の断面に放射状に凸部分57が形成されており、凸部分に区切られて、針押しチューブ55の断面に凹部分58が形成されている。
【0089】
針押しチューブ55が回転しながら螺旋針A−54の後端部分を押すことで、螺旋針−54の該後端部分が針押しチューブ55の凹部分58にはまった後、凸部分に引っかかり、螺旋針A−54は、針押しチューブ55の回転と共に回転されて用紙15に進入する。
【0090】
針押しチューブ55は、回転機構部52によって、螺旋針A−54を用紙15に埋め込む回転方向に回転しながら螺旋針A−54を押す。
【0091】
次に、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、針押しチューブ55が螺旋針A−54を押しながら回転することによって、螺旋針A−54が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通して用紙15に埋め込まれる状態について図8を参照して説明する。
【0092】
図8は、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、針押しチューブ55が螺旋針A−54を押しながら回転することによって、螺旋針A−54が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通して用紙15に埋め込まれる状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
【0093】
図8に示すように、針押しチューブ55が螺旋針A−54を押しながら回転することによって、螺旋針A−54は、用紙15を貫通して固定台51と接触し、しなりを発生させて変形しながら回転して、用紙15を螺旋状に貫通し、用紙15に埋め込まれる。
【0094】
次に、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、螺旋針A−54を用紙15から回転しながら引き抜く針受けチューブ56が投下される状態について図9を参照して説明する。
【0095】
図9は、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、螺旋針A−54を用紙15から回転しながら引き抜く針受けチューブ56が投下される状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
針押しチューブ55と磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54を針ガイド53が貫通している図8に示す状態から、針受けチューブ56が針押しチューブ55が投下された針ガイド53の端とは反対側の端より、回転機構部52から投下される。
【0096】
回転機構部52から投下された針受けチューブ56は、針押しチューブ55によって回転している螺旋針A−54の針先に接触する。
【0097】
螺旋針A−54の針先に針受けチューブ56が接触すると、針受けチューブ56によって、螺旋針A−54と磁性ワイヤー30との固定が解除され、針受けチューブ56が回転すると螺旋針A−54も共に回転するように、針受けチューブ56と螺旋針A−54の先端が固定される。
【0098】
なお、螺旋針A−54と磁性ワイヤー30との固定方法は、例えば、熱溶融剤を使用して、回転機構部52の内部で螺旋針A−54と磁性ワイヤー30とを固定し、また、螺旋針A−54と磁性ワイヤー30との固定の解除方法は、針受けチューブの先端部分に発熱抵抗体を設置して、該発熱抵抗体による温度上昇により、螺旋針A−54と磁性ワイヤー30とが固定されている熱溶融剤を溶融させて、固定を解除するようにしてもよい。
【0099】
針受けチューブ56と螺旋針A−54の先端との固定方法は、例えば、針受けチューブ56を2重構造にして、外側の針受けチューブの内側に螺旋針A−54の先端を挿入させ、その後、内側チューブを投入することによって、外側の針受けチューブと内側の針受けチューブとで螺旋針A−54の先端を挟んで固定する方法が考えられるが、その方法に限らず、針受けチューブ56と螺旋針A−54の先端との固定方法は、針受けチューブ56と螺旋針A−54の先端とを固定することができ用紙15への磁性ワイヤー付与処理に影響を及ぼさない方法であればよい。
【0100】
針受けチューブ56と螺旋針A−54の先端とが固定されると、図9に示すように、針押しチューブ55が回転機構部52に回収され、回転機構部52に設置されている針ガイド53の一端が外れ、針ガイド53は、針受けチューブ56が投入される側の回転機構部52に回収される。
【0101】
次に、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、針受けチューブ56によって、螺旋針A−54が用紙15から抜き取られる状態について図10を参照して説明する。
【0102】
図10は、磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、針受けチューブ56によって、螺旋針A−54が用紙15から抜き取られる状態を示した、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
【0103】
図10に示すように、回転機構部52が螺旋針A−54を抜き取り易いように用紙15に向って降下し、回転機構部52によって、針受けチューブ56が回転機構部52側に引かれながら回転されるので、針受けチューブ56に固定されている螺旋針A−54が用紙15から抜き取られる。
【0104】
針受けチューブ56によって、螺旋針A−54が用紙15から抜き取られるが、螺旋針A−54に設置された磁性ワイヤー30の後端には、結び目33もしくは折り目34が形成されているので、螺旋針A−54が用紙15から抜き取られても、磁性ワイヤー30は、結び目33もしくは折り目34が用紙15上の針挿入点32に引っかかるので、磁性ワイヤー30は用紙15の内部に残される。
【0105】
次に、螺旋針A−54が針受けチューブ56によって用紙15から抜き取られ、用紙15に磁性ワイヤー30が残った状態について図11を参照して説明する。
【0106】
図11は、螺旋針A−54が針受けチューブ56によって用紙15から抜き取られ、用紙15に磁性ワイヤー30が残った状態を示した、磁性ワイヤー付与装置5の模式図である。
【0107】
図11に示すように、針受けチューブ56によって螺旋針A−54が用紙15から抜き取られており、用紙15には、螺旋針A−54に設置された磁性ワイヤー30が残っている。
【0108】
螺旋針A−54は針受けチューブ56によって引かれながら回転させられ、用紙15から抜き取られるが、螺旋針A−54に設置された磁性ワイヤー30は、後端の結び目33もしくは折り目34が用紙15に引っかかるので、用紙15から抜き出されずに、用紙15内に残される。
【0109】
このように、用紙15内に磁性ワイヤー30が付与される。
【0110】
次に、画像形成装置100において、磁性ワイヤー30が付与されて印刷が行われる処理、或いは、磁性ワイヤー30が付与されなで印刷が行われる処理について図12を参照して説明を行う。
【0111】
図12は、画像形成装置100における、磁性ワイヤー30が付与されて印刷が行われる処理、或いは、磁性ワイヤーが付与されないで印刷が行われる処理の処理フローについて示したフローチャートである。
【0112】
画像形成装置100において、操作パネル13よりユーザからの印刷指示が受け付けられると(ステップ1401)、ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを用紙に付与する指示が含まれているかどうかが判断される(ステップ1402)。
【0113】
ユーザからの印刷指示は、操作パネル13より行われ、ユーザが印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示を含める場合には、用紙に磁性ワイヤーを付与する場所についての指示も含めることができる。
【0114】
ステップ1402において、ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていた場合には(ステップ1402でYES)、画像形成装置100内で、給紙トレイ1から用紙15が磁性ワイヤー付与装置5に搬送され、磁性ワイヤー付与装置5において、磁性ワイヤー30が用紙15に付与される(ステップ1403)。
【0115】
磁性ワイヤー付与装置5によって用紙15に磁性ワイヤー30が付与されると、磁性ワイヤー30が付与された用紙15は、磁性ワイヤー付与装置5から転写ドラム10に搬送される。
【0116】
画像形成装置100内では、ユーザからの印刷指示に含まれる印刷する画像データを用紙15に印刷するために、露光装置6によって感光ドラム7に静電潜像が形成され、現像器8によって静電潜像が現像されて感光ドラム7にトナー像が形成され、転写ドラム10によって、感光ドラム7に形成されたトナー像が、磁性ワイヤーが付与された用紙15に転写される。
【0117】
トナー像が転写された用紙15は定着器9によってトナーが定着され、磁性ワイヤー30が付与された用紙15に印刷が行われる(ステップ1404)。
【0118】
印刷が行われた用紙15は排紙トレイ11に排紙される(ステップ1405)。
【0119】
このように、画像形成装置100において、用紙15に磁性ワイヤー30が付与されて、印刷が行われる。
【0120】
また、ステップ1402において、操作パネル13によるユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていない場合には(ステップ1402でNO)、給紙トレイ1から給紙された用紙は転写ドラム10に搬送され、転写ドラム10、定着器9等により印刷が行われて(ステップ1404)、排紙トレイ11に排紙される(ステップ1405)。
【0121】
このようにして、画像形成装置100において、磁性ワイヤー30が付与されずに、印刷が行われる。
【0122】
ここで、ステップ1403の処理である、磁性ワイヤー付与装置5において用紙15に磁性ワイヤー30が付与される処理について、図13のフローチャートを参照して説明を行う。
【0123】
図13は、図12に示したフローチャート1403における磁性ワイヤー付与処理の詳細を示すフローチャートである。
【0124】
ユーザの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていた場合、磁性ワイヤー付与装置5に用紙15が搬送されると、磁性ワイヤー付与装置5において、ユーザによって指定された場所に磁性ワイヤー30を付与する為に、固定台51に配置された用紙15の上を回転機構部52が図示しない移動装置によって移動する。
【0125】
磁性ワイヤー30をユーザによって指定された場所に付与する為に回転機構部52が移動すると、次に、回転機構部52内において、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が針ガイド53を螺旋部分に通すように投下される(ステップ1501)。
【0126】
磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が針ガイド53に投下されると、ユーザが指定した場所に磁性ワイヤー30を付与する為に、螺旋針A−54を用紙15に挿入する点である用紙15上の針挿入点32に螺旋針A−54の先端が接するように、回転機構部52が移動する。
【0127】
回転機構部52が移動すると、螺旋針A−54の先端が用紙15の針挿入点32に接して(ステップ1502)、次に、螺旋針A−54を用紙15に埋め込むために、針押しチューブ55が回転機構部52から投下される(ステップ1503)。
【0128】
針押しチューブ55は投下されると、針ガイド53によって螺旋針A−54に導かれ、針押しチューブ55の先端部分が螺旋針A−54の後端部分に接する。
【0129】
螺旋針A−54の後端部分が針押しチューブ55の先端部分の段差に引っかかり、針押しチューブ55が回転することによって、螺旋針A−54が回転する。
【0130】
回転機構部52によって、針押しチューブ55が螺旋針A−54を押しながら回転するので、螺旋針A−54が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通する(ステップ1504)。
【0131】
螺旋針A−54が用紙15を螺旋状に貫通して、螺旋針A−54が用紙15内部に埋め込まれると、回転機構部52から針受けチューブ56が針ガイド53を針受けチューブ56の穴に通すように投下され、針受けチューブ56の先端が螺旋針A−54の先端と接し、螺旋針A−54と磁性ワイヤー30の固定が解除され、螺旋針A−54の先端と針受けチューブ56とが固定される。
【0132】
螺旋針A−54の先端と針受けチューブ56とが固定されると、針押しチューブ55が回転機構部52に回収される(ステップ1505)。
【0133】
そして、針ガイド53が螺旋針A−54から抜き取られて回転機構部52に回収される(ステップ1506)。
【0134】
針ガイド53が回収されると、針受けチューブ56が、回転機構部52によって、螺旋針A−54を引っ張りながら回転され、用紙15から螺旋針A−54が抜き取られる(ステップ1507)。
【0135】
用紙15から螺旋針A−54が抜き取られると、用紙15に磁性ワイヤー30が残った状態となり、このようにして用紙15に磁性ワイヤー30が付与される。
【0136】
抜き取られた螺旋針A−54は、回転機構部52内部の図4を参照して説明した凹部28に搬送され、回転機構部52に回収された針ガイド53は、図示しないローラによって排出されて、次回の磁性ワイヤー付与の為に回転機構部52に再配置される。
【0137】
なお、螺旋針A−54を回転させる針押しチューブ55と螺旋針A−54を抜き取る針受けチューブ56は同じ回転方向に回転して、螺旋針A−54を用紙15に埋め込み、また、螺旋針A−54を用紙15から抜き取る。
【0138】
これまでは、用紙上に磁性ワイヤーを付与した後に、用紙に印刷を行う画像形成装置100について説明したが、画像形成装置内において、用紙に印刷を行った後に、印刷が行われた用紙に対して磁性ワイヤーを付与するように画像形成装置を構成してもよい。
【0139】
図14は、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した、画像形成装置100とは異なる画像形成装置150の要部の構成を示す構成図である。
【0140】
なお、図14において、画像形成装置150は、画像形成装置150の磁性ワイヤー付与装置5が図1に示した画像形成装置100の磁性ワイヤー付与装置5が配置された位置とは異なる位置に配置されて、画像形成装置内の要部の動作制御を行うCPUが異なる他は、画像形成装置100と同様に構成されており、説明の便宜上、画像形成装置100と同様の各部には画像形成装置100と同一の番号を付すと共に、説明は省略する。
【0141】
図14に示すように、画像形成装置150においては、磁性ワイヤー付与装置5が、定着器9の後の工程に設置されており、また、画像形成装置150の要部の動作制御はCPU14により制御される。
【0142】
画像形成装置150において行われる処理については、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0143】
図15は、画像形成装置150において行われる処理フローについて示したフローチャートである。
【0144】
画像形成装置150において、操作パネル13からユーザの印刷指示を受け付けると(ステップ1701)、給紙トレイ1から給紙された用紙が転写ドラム10に搬送され、印刷指示に含まれる画像データの印刷が行われて定着器9より磁性ワイヤー付与装置5に搬送される(ステップ1702)。
【0145】
ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示等が含まれていた場合には(ステップ1703でYES)、印刷された用紙が磁性ワイヤー付与装置5に搬送され、磁性ワイヤー付与装置5において用紙に磁性ワイヤーが付与される(ステップ1704)。
【0146】
そして、磁性ワイヤー付与装置5において磁性ワイヤーが付与された用紙は排紙トレイ11に排紙される(ステップ1705)。
【0147】
このように、画像形成装置150において、印刷が行われた用紙に磁性ワイヤーが付与される処理が行われる。
【0148】
また、ステップ1703において、ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていない場合には(ステップ1703でNO)、印刷が行われた用紙は磁性ワイヤー付与装置5において磁性ワイヤーが付与されずに排紙トレイ11に排紙される(ステップ1705)。
【0149】
このように、画像形成装置150において、用紙に印刷が行われ、磁性ワイヤーが付与されない処理が行われる。
【0150】
ここで、画像形成装置150の磁性ワイヤー付与装置5において用紙に磁性ワイヤーを付与する処理(ステップ1704)は、図13を参照して説明した画像形成装置100の磁性ワイヤー付与装置5において用紙に磁性ワイヤーを付与する処理と同様であるので、ステップ1704における画像形成装置150の磁性ワイヤー付与装置5による磁性ワイヤーを付与する処理の説明は、説明の便宜上省略する。
【0151】
なお、画像形成装置150において、定着器9から磁性ワイヤー付与装置5への搬送経路の途中に、定着器9から搬送される用紙の裏面が磁性ワイヤー付与装置5の固定台51の上で表面として配置されるように搬送する紙送り機構を設けて、磁性ワイヤー付与装置5において、印刷された用紙の裏面から螺旋針A−54を挿入するようにしてもよい。
【0152】
なお、本実施例において、螺旋針A−54を使用するのではなく、図16に示すように先端に磁性ワイヤー30を通す穴を具備した螺旋針B−60を使用しても良い。
【0153】
図16は、磁性ワイヤー付与装置5で使用される螺旋針B−60を示した模式図である。
【0154】
図16(a)に、螺旋針B−60を示す。
【0155】
図16(a)に示すように螺旋針B−60の先端は、磁性ワイヤー30を通す穴61を具備しており、螺旋針B−60は螺旋の形状を有している。
【0156】
また、螺旋針B−60の強度は、螺旋針A−54と同様に、螺旋の形状を有している螺旋針B−60が固定台51と接触しても、しなりを発生させて変形しながら回転できる程度の強度を持つ。
【0157】
また、螺旋針A−54と同様に、螺旋針B−60の後端部に針押しチューブ55段差に引っかかり、針押しチューブ55が回転することによって、螺旋針B−60が回転する。
【0158】
そして、図16(b)に、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針B−60を示す。
【0159】
螺旋針B−60の穴61に磁性ワイヤー30が通され、磁性ワイヤー30は穴61から折り返され、磁性ワイヤー30の結び目33もしくは折り目34がある方の端を長くするようにして螺旋針B−60に設置される。
【0160】
この、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針B−60が回転しながら用紙15を貫通して用紙15から抜き取られる際には、設置された磁性ワイヤー30の後端に付けられた結び目33もしくは折り目34が用紙15に引っかかり、磁性ワイヤー30の結び目33もしくは折り目34が無い方の端が螺旋針B−60の穴61から抜けて、螺旋針B−60が用紙から抜き取られると、磁性ワイヤー30が用紙15に残る状態となる。
【0161】
なお、本実施例において、螺旋針A−54を使用するのではなく、図17に示すように螺旋針の内部に磁性ワイヤー30を挿入する空洞が形成されている螺旋針C−62を使用しても良い。
【0162】
螺旋針C−62について図17を参照して説明する。
【0163】
図17は、内部に磁性ワイヤー30を挿入することができる空洞63が形成された螺旋の形状を有する針である螺旋針C−62の模式図である。
【0164】
図17(a)に示すように、螺旋針C−62は、螺旋の形状をしており、磁性ワイヤー30を挿入することができる空洞63が形成されており、螺旋針C−62の後端から磁性ワイヤー30を挿入することが可能となっている。
【0165】
図17(b)に、螺旋針C−62に磁性ワイヤー30が挿入された状態を示す。
【0166】
図17(b)示すように、螺旋針C−62には、後端から磁性ワイヤー30を内部に挿入することが出来、磁性ワイヤー30の後端に存在する折り目34が螺旋針C−62の後端から出ている。
【0167】
なお、螺旋針C−62に挿入する磁性ワイヤーの後端部は、折り目34ではなく、結び目33を形成してもよい。
【実施例2】
【0168】
本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した画像形成装置200について添付図面を参照して説明を行う。
【0169】
画像形成装置200には、実施例1とは違って、磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与装置において螺旋状の針を用紙から抜き取るときの回転が、針を埋め込むときとは逆向きの回転によって用紙から針が抜き取られる、磁性ワイヤー付与装置201が適用されている。
【0170】
図18は、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した画像形成装置200の要部の構成を示す構成図である。
【0171】
画像形成装置200は、給紙トレイ1、ピックローラ2、フィードローラ3、リタードローラ4、磁性ワイヤー付与装置201、露光装置6、感光ドラム7、現像器8、定着器9、転写ドラム10、排紙トレイ11、操作パネル13、CPU213を備えている。
【0172】
画像形成装置200の要部の動作制御はCPU213によって制御される。
【0173】
なお、画像形成装置200を構成する、画像形成装置100と同様の要部については、画像形成装置100において説明した番号と同一の番号を記しており、重複を避ける為、詳しい説明は省略する。
【0174】
給紙トレイ1から磁性ワイヤー付与装置201に用紙が給紙され、磁性ワイヤー付与装置201において用紙に磁性ワイヤーが付与される。
【0175】
次に、ワイヤー付与装置201について図19を参照して説明する。
【0176】
図19は、ワイヤー付与装置201の要部の構成を示した構成図である。
【0177】
磁性ワイヤー付与装置201は、固定台51、回転機構部202、螺旋針D−203を備えている。
【0178】
固定台51は、螺旋針D−203が突き刺さらない程度以上の強度を有している。
【0179】
そして、回転機構部202は、図示しない移動装置によって、固定台51に配置された用紙15上の任意の位置に磁性ワイヤーを付与するように移動可能である。
【0180】
次に、回転機構部202に設置されている螺旋針D−203について図20を参照して説明を行う。
【0181】
図20は、回転機構部202に設置されている螺旋針D−203を示した模式図である。
【0182】
図20(a)に示すように、螺旋針D−203には、螺旋針D−203の内部に挿入している磁性ワイヤーを押し出すことができる穴205が先端部分に形成されている。
【0183】
図20(b)に螺旋針D−203の先端部分の断面図を示す。
【0184】
図20(b)に示すように、螺旋針D−203には、内部に磁性ワイヤー208を挿入することができる空洞204を備えており、螺旋針D−203の先端部分には、磁性ワイヤー208を押し出すことができる穴205が螺旋針D−203の側面に形成されている。
【0185】
また、螺旋針D−203は、挿入した磁性ワイヤー208を引き戻した際に、用紙に引っかかる楔状の切り込み207を磁性ワイヤー208に形成することができる切り込み形成機構部206を備える。
【0186】
螺旋針D−203の後端部は、磁性ワイヤー208を挿入できる空洞204が先端部の穴205から繋がっており、磁性ワイヤー208は後端部に位置する空洞204より螺旋針D−203の内部に挿入される。
【0187】
図20(c)は、螺旋針D−203に、磁性ワイヤー208が挿入されて引き戻され、磁性ワイヤー208に切り込み207が形成されている状態を示す、磁性ワイヤー208の先端部分の断面図である。
【0188】
螺旋針D−203の後端部に位置する空洞204より磁性ワイヤー208が挿入され、磁性ワイヤー208の先端部分が切り込み形成機構部206を過ぎた後に磁性ワイヤー208が引き戻され、切り込み形成機構部206により磁性ワイヤー208に切り込み207が形成される。
【0189】
螺旋針D−203が用紙15から抜き取られる際に、螺旋針D−203の穴205から磁性ワイヤーに形成された切り込み207を突出させ、螺旋針D−203を用紙から埋め込むときとは逆回転で引き抜くと、磁性ワイヤーの切り込み207が用紙15に引っかかることによって、螺旋針D−203が抜けても磁性ワイヤーは用紙に残る。
【0190】
次に、螺旋針D−203に磁性ワイヤーが挿入される状態について図21を参照して説明する。
【0191】
図21は、螺旋針D−203に磁性ワイヤーが挿入される状態について示した螺旋針D−203と回転機構部202の要部の構成を示す構成図である。
【0192】
回転機構部202の内部には、磁性ワイヤー208が巻かれたリール209、磁性ワイヤーを切断する切断部210、磁性ワイヤーを繰り出す繰り出し機構部211が配置されている。
【0193】
回転機構部202において、磁性ワイヤー208を螺旋針D−203に挿入する際には、繰り出し機構部211によって、リール209に巻かれた磁性ワイヤー208が螺旋針D−203の後端部に位置する空洞204より挿入され、繰り出し機構部211において繰り出した磁性ワイヤー208の距離を計測して、繰り出した磁性ワイヤー208の先端部分が切り込み形成機構部206を通過した後に磁性ワイヤー208が繰り出し機構部211によって引き戻され、磁性ワイヤー208の先端部分に切り込み207が形成される。
【0194】
また、螺旋針D−203が用紙15から抜き取られる際には、繰り出し機構部211によって磁性ワイヤー208が送り出され、螺旋針D−203の穴205から磁性ワイヤー208の切り込み207が突出され、その後、切断部210によって螺旋針D−203に挿入されている磁性ワイヤーが切断され、螺旋針D−203内に磁性ワイヤー片である磁性ワイヤー212が存在することになり、螺旋針D−203が用紙15から抜き取られた後に、磁性ワイヤー212が用紙15に残される。
【0195】
次に、磁性ワイヤー付与装置201によって用紙15に磁性ワイヤー212が付与される状態について添付図面を参照して説明する。
【0196】
まず、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、磁性ワイヤー付与装置201に用紙15が配置された状態について図22を参照して説明する。
【0197】
図22は、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、磁性ワイヤー付与装置201の固定台51に用紙15が配置された状態を示す、磁性ワイヤー付与装置201の模式図である。
【0198】
ユーザから磁性ワイヤーを付与する印刷が指示された場合には、給紙トレイ1から用紙15が磁性ワイヤー付与装置5に搬送され、図22に示すように、固定台51の上に用紙15が配置される。
【0199】
そして、回転機構部202内で磁性ワイヤー208の繰り出しと引き戻しが行われて、螺旋針D−203の先端部分に切り込み207が形成された磁性ワイヤーが配置され、回転機構部202が回転しながら用紙の針挿入点214に向って斜めに進む。
【0200】
針挿入点214は、ユーザの指定した場所に磁性ワイヤーを付与する為に螺旋針D−203が用紙15に挿入を開始する場所である。
【0201】
次に、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、螺旋針D−203が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通する状態について図23を参照して説明する。
【0202】
図23は、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、回転機構部202によって、螺旋針D−203が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通する状態を示した磁性ワイヤー付与装置201の模式図である。
【0203】
図23に示すように、螺旋針D−203の先端は固定台51に当たってしなりながら回転し、用紙15を螺旋状に貫通する。
【0204】
次に、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、螺旋針D−203が用紙15の内部に埋まった状態について図24を参照して説明する。
【0205】
図24は、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、螺旋針D−203が回転しながら用紙15に進入して、用紙15に埋まった状態である、磁性ワイヤー付与装置201の模式図である。
【0206】
螺旋針D−203は、図24に示すように、回転機構部202によって、回転しながら用紙15に進入し、螺旋針D−203が根元まで用紙15に埋まり、螺旋針D−203の針先は、用紙15から飛び出ている状態となる。
【0207】
螺旋針D−203が根元まで用紙15に埋まり、螺旋針D−203の針先が用紙15から飛び出ている状態から、螺旋針D−203の内部に挿入されている磁性ワイヤー208が回転機構部202内の繰り出し機構部211によって、磁性ワイヤー208の切り込み207が形成されている部分が螺旋針D−203の先端部分の穴205から突出され、回転機構部202内の切断部210によって、磁性ワイヤー208が切断され、螺旋針D−203内部に磁性ワイヤー片である磁性ワイヤー212が存在する状態となる。
【0208】
次に、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、用紙15に埋め込まれた螺旋針D−203が回転機構部202によって、埋め込まれる際とは逆回転で回転され、用紙15から抜かれる状態について、図25を参照して説明を行う。
【0209】
図25は、磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、用紙15に埋め込まれた螺旋針D−203が回転機構部202によって、埋め込まれる際とは逆回転で回転され、用紙15から抜かれる状態を示した、磁性ワイヤー付与装置201の模式図である
用紙15に螺旋針D−203が埋め込まれ、螺旋針D−203の穴205から磁性ワイヤー212の切り込み207を含む先端が突出した状態となると、回転機構部202によって、螺旋針D−203は、用紙に埋め込まれる際とは、逆回転で回転されて、図示しない移動装置によって回転機構部202が針挿入点214から離される。
【0210】
そして、図25に示すように、用紙15に埋め込まれた螺旋針D−203は、用紙15から抜き出されるが、螺旋針D−203の先端から露出した磁性ワイヤー212の先端の切り込み207が用紙15に引っかかり、磁性ワイヤー212は、螺旋針D−203が用紙15から抜かれるに伴って、螺旋針D−203の穴205から排出されて用紙15に埋め込まれたまま残る状態となる。
【0211】
次に、螺旋針D−203が用紙15から抜かれ、磁性ワイヤー212が用紙15に残った状態について図26を参照して説明する。
【0212】
図26は、螺旋針D−203が用紙15から回転しながら引き抜かれ、磁性ワイヤー212が用紙15に付与された状態を示す、磁性ワイヤー付与装置201の模式図である。
【0213】
図26に示すように、螺旋針D−203が、回転機構部202によって用紙15から回転しながら引き抜かれ、用紙15から抜かれた結果、螺旋針D−203内に存在していた磁性ワイヤー212が用紙15に残った状態となっている。
【0214】
このようにして、磁性ワイヤー212が用紙15に付与される。
【0215】
次に、画像形成装置200において、磁性ワイヤー212が付与されて印刷が行われる処理、或いは、磁性ワイヤー208が付与されなで印刷が行なわれる処理について図27を参照して説明を行なう。
【0216】
図27は、画像形成装置200において、磁性ワイヤー208が付与されて印刷が行われる処理、或いは、磁性ワイヤー208が付与されないで印刷が行われる処理の処理フローを示したフローチャートである。
【0217】
画像形成装置200において、操作パネル13よりユーザからの印刷指示が受け付けられると(ステップ2801)、ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを用紙に付与する指示が含まれているかどうかが判断される(ステップ2802)。
【0218】
ユーザからの印刷指示は、操作パネル13より行われ、ユーザが印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示を含める場合には、用紙に磁性ワイヤーを付与する場所についての指示も含めることができる。
【0219】
ステップ2802において、ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていた場合には(ステップ2802でYES)、画像形成装置200内で、給紙トレイ1から用紙15が磁性ワイヤー付与装置201に搬送され、磁性ワイヤー付与装置201において、磁性ワイヤー212が用紙15に付与される(ステップ2803)。
【0220】
磁性ワイヤー付与装置201によって用紙15に磁性ワイヤー212が付与されると、磁性ワイヤー212が付与された用紙15は、磁性ワイヤー付与装置201から転写ドラム10に搬送される。
【0221】
画像形成装置200内では、ユーザからの印刷指示に含まれる画像データを印刷するために、露光装置6によって感光ドラム7に静電潜像が形成され、現像器8によって静電潜像が現像されて感光ドラム7にトナー像が形成され、転写ドラム10によって感光ドラム7に形成されたトナー像が磁性ワイヤー212が付与された用紙15に転写される。
【0222】
トナー像が転写された用紙15は定着器9によってトナーの定着が行われ、磁性ワイヤー212が付与された用紙15に印刷が行なわれた状態となる(ステップ2804)。
【0223】
印刷が行なわれた用紙15は排紙トレイ11に排紙される(ステップ2805)。
【0224】
このようにして、画像形成装置200において、用紙15に磁性ワイヤー212が付与されて、印刷が行なわれる。
【0225】
また、ステップ2802において、操作パネル13によるユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていない場合には(ステップ2802でNO)、給紙トレイ1から給紙された用紙は転写ドラム10に搬送され、感光ドラム、定着器9等により印刷が行われて(ステップ2804)、排紙トレイ11に排紙される(ステップ2805)。
【0226】
このようにして、画像形成装置200において、磁性ワイヤー212が付与されずに、印刷が行なわれる。
【0227】
ここで、ステップ2803の処理である、磁性ワイヤー付与装置201において、用紙15に磁性ワイヤー212が付与される処理について、図28を参照して説明を行う。
【0228】
図28は、図27に示したフローチャート2803における磁性ワイヤー付与処理の詳細を示すフローチャートである。
【0229】
ユーザの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていた場合、磁性ワイヤー付与装置201に用紙15が搬送されると、磁性ワイヤー付与装置201において、ユーザによって指定された場所に磁性ワイヤー212を付与する為に、固定台51に配置された用紙15の上を回転機構部が図示しない移動装置によって移動する。
【0230】
そして、回転機構部202内において、磁性ワイヤー208が繰り出し機構部211により螺旋針D−203の空洞204に挿入される(ステップ2901)。
【0231】
螺旋針D−203の切り込み形成機構部206を超えて挿入された磁性ワイヤー208は、繰り出し機構部211に引き戻されることによって、先端部に切り込み207が形成される(ステップ2902)。
【0232】
そして、回転機構部202によって、螺旋針D−203が回転し(ステップ2903)、図示しない移動装置によって回転機構部202が移動して、回転機構部202の先端に配置されている螺旋針D−203が用紙15の針挿入点214に向って回転しながら進む。
【0233】
螺旋針D−203が用紙15の針挿入点214から用紙15を貫通して、固定台51に接触して、しなりを発生させて変形しながら回転を維持して、用紙15を螺旋状に貫通して螺旋針D−203が用紙15に埋め込まれた状態となる(ステップ2904)。
【0234】
螺旋針D−203が用紙15に突入してからの回転数を計測することにより、螺旋針D−203の根元まで用紙15に埋まり螺旋針D−203の先端が用紙15から飛び出た状態になったことが判断されると、繰り出し機構部211により磁性ワイヤー208が送り出され、螺旋針D−203の先端の穴205から磁性ワイヤー208の切り込み207が突出された状態となる(ステップ2905)。
【0235】
そして、磁性ワイヤー208の切り込み207が螺旋針D−203から突出された状態となると、切断部210により磁性ワイヤー208が切断され、螺旋針D−203内に磁性ワイヤー片である磁性ワイヤー212が存在する状態となる(ステップ2906)。
【0236】
磁性ワイヤー208が切断されて、螺旋針D−203内に磁性ワイヤー片である磁性ワイヤー212が存在する状態になると、回転機構部202が螺旋針D−203を埋め込んだ際とは逆回転をして、また、図示しない移動装置によって回転機構部202が針突入点214から離れるので、螺旋針D−203が用紙15から抜き取られる(ステップ2907)。
【0237】
螺旋針D−203は、用紙15から抜き取られるが、螺旋針D−203内に存在する磁性ワイヤー212は、切り込み207が用紙15に引っかかるので、螺旋針D−203の先端の穴205から磁性ワイヤー212が排出されて、用紙15に埋め込まれたまま残る状態となり、磁性ワイヤー212が用紙15に付与される。
【0238】
なお、螺旋針D−203内の切り込み形成機構部206において磁性ワイヤー208に切り込み207が形成されて螺旋針D−203が用紙15を螺旋状に貫通するように説明したが、螺旋針D−203が用紙15を螺旋状に貫通した後に、切り込み形成機構部206において磁性ワイヤー208に切り込み207を形成するようにしてもよい。
【0239】
これまでは、用紙上に磁性ワイヤーを付与した後に、用紙に印刷を行う画像形成装置200について説明したが、画像形成装置内において、用紙に印刷を行った後に、印刷が行われた用紙に対して磁性ワイヤーを付与するように画像形成装置を構成してもよい。
【0240】
図29は、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した、画像形成装置200とは異なる画像形成装置250の要部の構成を示す構成図である。
【0241】
なお、図29において、画像形成装置250は、画像形成装置250の磁性ワイヤー付与装置201が配置された位置が図18に示した画像形成装置200の磁性ワイヤー付与装置201が配置された位置と異なり、画像形成装置内の要部の動作制御を行うCPUが画像形成装置200のCPU213と異なる他は、画像形成装置200と同様に構成されており、説明の便宜上、画像形成装置200と同様の各部には画像形成装置200と同一の番号を付すと共に、説明は省略する。
【0242】
図29に示すように、画像形成装置250においては、磁性ワイヤー付与装置201が、定着器9の後の工程に設置されており、また、画像形成装置250の要部の動作制御はCPU215により制御される。
【0243】
画像形成装置250において行われる処理について、図30のフローチャートを参照して説明する。
【0244】
図30は、画像形成装置250において行なわれる処理フローについて示したフローチャートである。
【0245】
画像形成装置250において、操作パネル13からユーザの印刷指示を受け付けると(ステップ3101)、給紙トレイ1から給紙された用紙が転写ドラム10に搬送され、印刷指示に含まれる画像データの印刷が行われて定着器9より磁性ワイヤー付与装置201に搬送される(ステップ3102)。
【0246】
ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示等が含まれていた場合には(ステップ3103でYES)、印刷された用紙が磁性ワイヤー付与装置201に搬送され、磁性ワイヤー付与装置201において磁性ワイヤーが付与される(ステップ3104)。
【0247】
そして、磁性ワイヤー付与装置201において磁性ワイヤー212が付与された用紙は排紙トレイ11に排紙される(ステップ3105)。
【0248】
このように、画像形成装置250において、印刷が行われた用紙に磁性ワイヤーが付与される処理が行われる。
【0249】
また、ステップ3103において、ユーザからの印刷指示に磁性ワイヤーを付与する指示が含まれていない場合には(ステップ3103でNO)、印刷が行われた用紙は磁性ワイヤー付与装置201において磁性ワイヤーが付与されずに排紙トレイ11に排紙される(ステップ3105)。
【0250】
このように、画像形成装置250において、用紙に印刷が行われ、磁性ワイヤーが付与されない処理が行われる。
【0251】
ここで、画像形成装置250の磁性ワイヤー付与装置201における用紙に磁性ワイヤーを付与する処理(ステップ3104)は、図28を参照して説明した画像形成装置200の磁性ワイヤー付与装置201における用紙に磁性ワイヤーを付与する処理と同様であるので、ステップ3104における画像形成装置250の磁性ワイヤー付与装置201による磁性ワイヤーを付与する処理の説明は、説明の便宜上省略する。
【0252】
なお、画像形成装置250において、定着器9から磁性ワイヤー付与装置201への搬送経路の途中に、定着器9から搬送される用紙の裏面が磁性ワイヤー付与装置201の固定台51の上で表面として配置されるように搬送する紙送り機構を設けて、磁性ワイヤー付与装置201において印刷された用紙の裏面から螺旋針D−203を挿入するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0253】
この発明は、磁性ワイヤーを付与する画像形成装置において利用可能である。
【0254】
この発明によれば、画像形成装置における印刷前後に、必要に応じて、用紙の任意の位置に磁性ワイヤーを付与することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置を適用した画像形成装置100の要部の構成を示す構成図。
【図2】磁性ワイヤー付与装置5の要部の構成を示した構成図。
【図3】用紙15に磁性ワイヤーを埋め込む、螺旋の形状を有する螺旋針A−54と、螺旋針A−54に設置された磁性ワイヤー30を示す模式図。
【図4】回転機構部52内部において螺旋針A−54に磁性ワイヤーを供給して、螺旋針A−54に磁性ワイヤーを設置する磁性ワイヤー設置装置50を示した模式図である。
【図5】磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、磁性ワイヤー30が設置された螺旋針A−54が投下される状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図6】磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、螺旋針A−54の先端が用紙15の針挿入点32に接触する状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図7】磁性ワイヤー30を用紙15に付与する目的で、回転機構部52より、用紙15に接している螺旋針A−54を回転させる為に、針押しチューブ55が投下される、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図8】磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、針押しチューブ55が螺旋針A−54を押しながら回転することによって、螺旋針A−54が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通して用紙15に埋め込まれる状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図9】磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、螺旋針A−54を用紙15から回転しながら引き抜く針受けチューブ56が投下される状態を示す、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図10】磁性ワイヤー30を用紙15に付与する為に、針受けチューブ56によって、螺旋針A−54が用紙15から抜き取られる状態を示した、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図11】螺旋針A−54が針受けチューブ56によって用紙15から抜き取られ、用紙15に磁性ワイヤー30が残った状態を示した、磁性ワイヤー付与装置5の模式図。
【図12】画像形成装置100における、磁性ワイヤー30が付与されて印刷が行われる処理、或いは、磁性ワイヤーが付与されないで印刷が行われる処理の処理フローについて示したフローチャート。
【図13】図12に示したフローチャート1403における磁性ワイヤー付与処理の詳細を示すフローチャート。
【図14】本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した、画像形成装置100とは異なる画像形成装置150の要部の構成を示す構成図。
【図15】画像形成装置150において行われる処理フローについて示したフローチャート。
【図16】磁性ワイヤー付与装置5で使用される螺旋針B−60を示した模式図。
【図17】内部に磁性ワイヤー30を挿入することができる空洞63が形成された螺旋の形状を有する針である螺旋針C−62の模式図。
【図18】本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した画像形成装置200の要部の構成を示す構成図。
【図19】ワイヤー付与装置201の要部の構成を示した構成図。
【図20】回転機構部202に設置されている螺旋針D−203を示した模式図。
【図21】螺旋針D−203に磁性ワイヤーが挿入される状態について示した螺旋針D−203と回転機構部202の要部の構成を示す構成図。
【図22】磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、磁性ワイヤー付与装置201の固定台51に用紙15が配置された状態を示す、磁性ワイヤー付与装置201の模式図。
【図23】磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、回転機構部202によって、螺旋針D−203が回転しながら用紙15を螺旋状に貫通する状態を示した磁性ワイヤー付与装置201の模式図。
【図24】磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、螺旋針D−203が回転しながら用紙15に進入して、用紙15に埋まった状態である、磁性ワイヤー付与装置201の模式図。
【図25】磁性ワイヤー212を用紙15に付与する為に、用紙15に埋め込まれた螺旋針D−203が回転機構部202によって、埋め込まれる際とは逆回転で回転され、用紙15から抜かれる状態を示した、磁性ワイヤー付与装置201の模式図。
【図26】螺旋針D−203が用紙15から回転しながら引き抜かれ、磁性ワイヤー212が用紙15に付与された状態を示す、磁性ワイヤー付与装置201の模式図。
【図27】画像形成装置200において、磁性ワイヤー208が付与されて印刷が行われる処理、或いは、磁性ワイヤー208が付与されないで印刷が行われる処理の処理フローを示したフローチャート。
【図28】図27に示したフローチャート2803における磁性ワイヤー付与処理の詳細を示すフローチャート。
【図29】本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法を適用した、画像形成装置200とは異なる画像形成装置250の要部の構成を示す構成図。
【図30】画像形成装置250において行なわれる処理フローについて示したフローチャート。
【符号の説明】
【0256】
1 給紙トレイ
2 ピックローラ
3 フィードローラ
4 リタードローラ
5 磁性ワイヤー付与装置
6 露光装置
7 感光ドラム
8 現像器
9 定着器
10 転写ドラム
11 排紙トレイ
12 CPU
13 操作パネル
14 CPU
15 用紙
20 リール
21 磁性ワイヤー
22 繰り出し機構部
23 切断部
24 結び目形成部
25 固定装置
26 輪
27 針押し棒
28 凹部
29 凸部
30 磁性ワイヤー
31 磁性ワイヤー設置台
32 針挿入点
33 結び目
34 折り目
50 磁性ワイヤー設置装置
51 固定台
52 回転機構部
53 針ガイド
54 螺旋針A
55 針押しチューブ
56 針受けチューブ
57 凸部分
58 凹部分
60 螺旋針B
61 穴
62 螺旋針C
63 空洞
150 画像形成装置
200 画像形成装置
201 磁性ワイヤー付与装置
202 回転機構部
203 螺旋針D
204 空洞
205 穴
206 切り込み形成機構部
207 切り込み
208 磁性ワイヤー
209 リール
210 切断部
211 繰り出し機構部
212 磁性ワイヤー
213 CPU
214 針挿入点
215 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与装置において、
用紙に前記磁性ワイヤーを供給する磁性ワイヤー供給手段と、
前記磁性ワイヤー供給手段で供給された磁性ワイヤーを前記用紙に螺旋状に貫通させて該用紙に前記磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与手段と
を具備することを特徴とする磁性ワイヤー付与装置。
【請求項2】
前記磁性ワイヤー付与手段は、
螺旋形状を有する螺旋針と、
前記螺旋針を回転させながら並進させる螺旋針移動手段と、
前記螺旋針の先端部に前記磁性ワイヤー供給手段から供給される磁性ワイヤーを固定する固定手段と
を具備し、
前記固定手段により前記磁性ワイヤーが前記螺旋針の先端部に固定された状態で該螺旋針を前記螺旋針移動手段により前記用紙上を回転させながら並進させることで前記磁性ワイヤーを前記用紙に螺旋状に貫通させる
ことを特徴とする請求項1記載の磁性ワイヤー付与装置。
【請求項3】
前記磁性ワイヤー付与手段は、
前記磁性ワイヤーの一端に、前記磁性ワイヤーが前記用紙を貫通することを妨げる結び目或いは折れ目を形成する貫通防止手段を
更に具備し、
前記固定手段により前記磁性ワイヤーが前記螺旋針の先端部に固定された状態で該螺旋針が前記用紙を螺旋状に貫通した後、更に前記螺旋針が回転しながら並進することで前記磁性ワイヤーが前記貫通防止手段で形成された結び目或いは折れ目により前記用紙に残され、前記用紙から前記螺旋針のみを抜き出すこと
を特徴とする請求項1記載の磁性ワイヤー付与装置。
【請求項4】
前記磁性ワイヤー付与手段は、
螺旋形状を有する螺旋針と、
前記螺旋針を回転させながら並進させる螺旋針移動手段と、
前記螺旋針の先端部に前記磁性ワイヤー供給手段から供給される磁性ワイヤーの断面に楔状の切り込みを形成する切込手段とを
更に具備し、
前記螺旋針が前記用紙を螺旋状に貫通した後、前記螺旋針内に供給された磁性ワイヤーの該螺旋針の先端部にある該磁性ワイヤーに前記切込手段で該磁性ワイヤーの断面に楔状の切り込みを形成し、前記螺旋針を前記螺旋針が前記用紙を螺旋状に貫通した回転方向と並進とは逆方向に回転させて並進させることで前記磁性ワイヤーが前記用紙に残され、前記用紙から前記螺旋針のみを抜き出すこと
を特徴とする請求項1記載の磁性ワイヤー付与装置。
【請求項5】
用紙に対して磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与方法において、
用紙に前記磁性ワイヤーを磁性ワイヤー供給手段により供給し、
該磁性ワイヤー供給手段で供給された磁性ワイヤーを該用紙に螺旋状に貫通させて当該用紙に該磁性ワイヤーを磁性ワイヤー付与手段により付与する
ことを特徴とする磁性ワイヤー付与方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2006−257601(P2006−257601A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79538(P2005−79538)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】