磁性ワークベンチ
【課題】加工対象物に応じ使用方式を柔軟に調整し、かつコストダウンを実現させ、応用性を高めることが可能な磁性ワークベンチを提供する。
【解決手段】ワークベンチ本体20と、複数の正極導線および一つの負極導線を有する回路60と、移動できるように前記ワークベンチ本体20に装着され、かつ前記ワークベンチ本体20上の配置位置を変更できる複数の磁気吸引装置30と、を備える。
【解決手段】ワークベンチ本体20と、複数の正極導線および一つの負極導線を有する回路60と、移動できるように前記ワークベンチ本体20に装着され、かつ前記ワークベンチ本体20上の配置位置を変更できる複数の磁気吸引装置30と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の磁性ワークベンチに関し、詳しくはモジュール化され、かつ使用方式を柔軟に調整できる磁性ワークベンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく見掛けられている一般の旋盤、フライス盤、グラインダーまたはマシニングセンタなどの工作機械は、加工対象物を据え付けるワークベンチが必要である。ワークベンチは万力または別の挟み固定工具によって加工対象物を固定する。
【0003】
機械力によって加工対象物を固定するワークベンチのほかに、市販の別のタイプのワークベンチは磁力によって加工対象物をワークベンチに吸着させて固定する。例えば特許文献1は、ホルダー内に複数列の磁石ユニットを配置し、磁石ユニットを通る電流を制御し、かつ隣り合う二列の磁石ユニットの間に磁場を生じさせることによって加工対象物を磁石ユニットに付着させている。
しかしながら、磁石ユニットは満遍なくホルダーに分布するため、磁性ワークベンチのコストが高くなってしまう。
【0004】
一方、市販の別の磁性ワークベンチは、複数の適切な位置に固着した磁気吸引装置を有する。磁気吸引装置はサイズが比較的小さく、構造が上述した磁性ワークベンチに類似しているだけでなく、電流の通過によって磁気吸引力を生じるため、加工対象物は一部分の面積によってのみ磁気吸引装置に吸着することができる。このような磁性ワークベンチはコストが比較的低いが、磁気吸引装置は数が多くなく、配置位置が一定しているため、形およびサイズが特定された加工対象物しか固定することができない。従って応用性が比較的低い。
また、磁気吸引装置はケーブルによって整流器に接続され、かつ電流が制御されるため、このような磁性ワークベンチは回路および制御方法が複雑で消費電力が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案M350429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、加工対象物に応じ使用方式を柔軟に調整し、かつコストダウンを実現させ、応用性を高めることが可能な磁性ワークベンチを提供することを主な目的とする。
【0007】
本発明は、需要に応じてモジュール化することによって数および配置方式を変更することが可能な磁性ワークベンチの回路を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明による磁性ワークベンチはワークベンチ本体と、ワークベンチ本体に配置された複数の磁気吸引装置とを備える。磁性吸引装置は通電によって磁気吸引力を生じ、かつワークベンチ本体上の配置位置が変更されてもよく、総面積がワークベンチ本体の面積の僅かの一部分を占めるため、加工を行う際、加工対象物の形およびサイズによって磁気吸引装置の配置位置を変更することによって加工対象物を磁気吸引装置にしっかり吸着させることができる。従って磁性ワークベンチはコストが低いだけでなく応用性が高い。
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明による磁性ワークベンチの回路は、複数の正極導線、一つの負極導線および複数の永久磁石式電流制御コイル群を備える。永久磁石式電流制御コイル群は複数の相互に電気的に直列接続されるコイルを有する。コイルは永久磁石および磁気誘導体を有する。永久磁石式電流制御コイル群は一端が任意の一つの正極導線に電気的に接続され、他端が負極導線に電気的に接続されるため、永久磁石式電流制御コイル群と磁性ワークベンチの回路とを柔軟に接続し、かつ磁気誘導体の磁性を制御することができる。本発明は上述した構築により、ケーブルによって給電装置に接続する工程を免除し、かつ電流が別々に制御されることを解消することができるため、磁性ワークベンチの回路および制御方法は柔軟性があるだけでなく、比較的簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチを示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチにおいての磁気吸引装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチにおいての磁気吸引装置を示す斜視分解図である。
【図4】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチにおいてのコネクタを示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの回路を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの別の回路を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの別の回路を示す模式図である。
【図8】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図10】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図11】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図12】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図13】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による磁性ワークベンチを図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1に示すように、本発明の一実施形態による磁性ワークベンチ10は、ワークベンチ本体20、複数の磁気吸引装置30および給電装置40を備える。磁気吸引装置30は移動できるようにワークベンチ本体20に装着され、かつ回路60によって相互に電気的に接続される。給電装置40は回路60に電気的に接続される。
【0012】
ワークベンチ本体20は、円盤状を呈し、かつ表面22と、表面22を陥没させて形成した複数のレール24とを有する。レール24はワークベンチ本体20の中心部26から放射線状に伸びる。
【0013】
図2および図3に示すように、磁気吸引装置30は、座体32と、座体32の相互に向かい合う両側を貫通する固定ユニット34とを有する。座体32は内部に永久磁石式電流制御コイル群68を有する。本実施形態において、永久磁石式電流制御コイル群68は相互に電気的に接続される八つのコイル35と、コイル35内に配置される八つの第一永久磁石36と、第一永久磁石36に被さる八つの磁気誘導体37と、磁気誘導体37の周りを囲む複数の第二永久磁石38とを有する。磁気誘導体37と座体32との間の隙間および磁気誘導体37の間の隙間はコロイド材料を凝固させて形成した遮蔽ユニット39によって塞がれる。
【0014】
磁気吸引装置30は、固定ユニット34によってレール24に装着される。固定ユニット34がレール24に緩く締め付けられる際、磁気吸引装置30はレール24に沿ってワークベンチ本体20上の配置位置を変更することができる。固定ユニット34がレール24に完全に締め付けられる際、磁気吸引装置30はワークベンチ本体20に固定される。ユーザーは上述した構造により加工対象物(図中未表示)の形およびサイズによって磁気吸引装置30の配置位置を変更することによって加工対象物を磁気誘引装置30にしっかり吸着させることができる。従って、磁性ワークベンチ10は応用性が高い。一方、磁気吸引装置30の総面積はワークベンチ本体20の僅かの一部分を占めるため、本発明による磁性ワークベンチ10はコスト全体が比較的低い。
【0015】
図1から図4に示すように、磁気吸引装置30の座体32は相互に向かい合う両側にコネクタ70を有する。コネクタ70は複数の端子72を有する。端子72の間は複数の導線によって相互に電気的に接続される。磁気吸引装置30の間はコネクタ70に連結されたケーブル74によって相互に電気的に接続される。ケーブル74は内部に複数の導線を有する。図5に示すように磁気吸引装置30内の端子72の間を連絡する導線とケーブル74内の導線とを電気的に接続することによって本発明に用いる回路60内の複数の正極導線62、一つの負極導線64および一つの接地導線66を構成することができる。本実施形態において、端子72は数が六つである。そのうちの四つの端子72は正極導線62に電気的に接続され、一つの端子72は負極導線64に電気的に接続され、別の一つの端子72は接地導線66に電気的に接続される。磁気吸引装置30の永久磁石式電流制御コイル群68は一端によって磁気吸引装置30内の任意の一つの正極導線62を導通させ、他端によって負極導線64を導通させることによって磁気吸引装置30を電気的に並列接続することができる。
【0016】
給電装置40は、回路60に電気的に接続されることによって永久磁石式電流制御コイル群68に電力を供給し、かつ磁気吸引装置30の電流を制御することによって磁気誘導体37に磁力を生じさせる。
【0017】
必要に応じてモジュール化をすることによって磁気吸引装置の数および配置方式を変更するために、磁気吸引装置30はモジュール化され、異なる数で結合することができる。図1に示すように、本実施形態は三つの磁気吸引装置群50を採用する。磁気吸引装置群50は隣り合うレール24に配置される四つの磁気吸引装置30を有する。磁気吸引装置30は同一の負極導線64および同一の接地導線66に電気的に接続される。同一の磁気吸引装置群50の磁気吸引装置30は同じ正極導線62によって相互に並列接続され、導通する。続いて異なる磁気吸引装置群50の磁気吸引装置30は異なる正極導線62によって相互に並列接続され、そののち給電装置40と結合すると回路が形成される。図6および図7に示すように、同じ回路60はそれぞれ八台の磁気吸引装置30と13台の磁気吸引装置30に接続されるため、ケーブルによって磁気吸引装置30と給電装置40とを接続する工程を免除し、電流が別々に制御されることを解消することができる。従って、磁性ワークベンチ10は回路および制御方法が比較的簡単である。
【0018】
上述した一実施形態による磁性ワークベンチ10は縦式旋盤に適用される。レール24は磁気吸引装置30をワークベンチ本体20の径方向に沿って移動させ、サイズが異なる加工対象物76を固定することができるように配置される。図8から図13に示すように、本発明による磁気ワークベンチ10は構造が異なる加工対象物の加工および異なる加工方式に対応することができる。ワークベンチ本体20は円盤状を呈するが、これに限らない。レール24は放射状に配列されるが、これに限らない。複数の磁気吸引装置30は同一のレール24に配置されてもよい。つまり加工対象物の構造特徴によって磁気吸引装置30の数を決め、そののち磁気吸引装置30をワークベンチ本体20に装着すればよい。同時に加工対象物の形によって磁気吸引装置30の配置位置を変更し、そののち電気的に接続された磁気吸引装置30を接着し、磁気吸引装置30を相互に並列接続し、それらと給電装置40とを接続すれば電流の回路を構成することができる。続いて、加工対象物を磁気吸引装置30に据え付け、給電装置40によって磁気吸引装置30の永久磁石式電流制御コイル群68を帯磁させ、磁気吸引力を生じれば加工対象物をワークベンチ本体20に固定することができる。
【0019】
上述した内容をまとめると、本発明の長所は下記の通りである。
<1>本発明は特に永久磁石式電流制御コイルに適用され、かつ永久磁石の磁力強度および反応特性によって帯磁を瞬間的に完成させることができるだけでなく、給電を持続させることを必要とせず、磁力を十分に生じて加工対象物を固定することができる。また本発明は電力を大量消費することがなく、磁気吸引効果が良好であるため、比較的な良好なエネルギー効果を果たし、環境保全および省エネルギーの要求を満足させることができる。
<2>本発明は同一の回路構築を採用するため、ユーザーは別途に設備を購入する必要なく、必要に応じて磁気吸引装置の数を変更できるだけでなく、節約およびコストの削減を達成できる。
<3>本発明は磁気吸引装置をモジュール化する配置方式を採用するため、異なる加工対象物の形または加工方式に対応し、磁気吸引装置の数、位置および距離を柔軟に調整できるだけでなく、加工対象物を固定する際の柔軟性および互換性を向上させることができる。
【0020】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0021】
10:磁性ワークベンチ
20:ワークベンチ本体
22:表面
24:レール
26:中心部
30:磁気吸引装置
32:座体
34:固定ユニット
35:コイル
36:第一永久磁石
37:磁気誘導体
38:第二永久磁石
39:遮蔽ユニット
40:給電装置
50:磁気吸引装置群
60:回路
62:正極導線
64:負極導線
66:接地導線
68:永久磁石式電流制御コイル群
70:コネクタ
72:端子
74:ケーブル
76:加工対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の磁性ワークベンチに関し、詳しくはモジュール化され、かつ使用方式を柔軟に調整できる磁性ワークベンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく見掛けられている一般の旋盤、フライス盤、グラインダーまたはマシニングセンタなどの工作機械は、加工対象物を据え付けるワークベンチが必要である。ワークベンチは万力または別の挟み固定工具によって加工対象物を固定する。
【0003】
機械力によって加工対象物を固定するワークベンチのほかに、市販の別のタイプのワークベンチは磁力によって加工対象物をワークベンチに吸着させて固定する。例えば特許文献1は、ホルダー内に複数列の磁石ユニットを配置し、磁石ユニットを通る電流を制御し、かつ隣り合う二列の磁石ユニットの間に磁場を生じさせることによって加工対象物を磁石ユニットに付着させている。
しかしながら、磁石ユニットは満遍なくホルダーに分布するため、磁性ワークベンチのコストが高くなってしまう。
【0004】
一方、市販の別の磁性ワークベンチは、複数の適切な位置に固着した磁気吸引装置を有する。磁気吸引装置はサイズが比較的小さく、構造が上述した磁性ワークベンチに類似しているだけでなく、電流の通過によって磁気吸引力を生じるため、加工対象物は一部分の面積によってのみ磁気吸引装置に吸着することができる。このような磁性ワークベンチはコストが比較的低いが、磁気吸引装置は数が多くなく、配置位置が一定しているため、形およびサイズが特定された加工対象物しか固定することができない。従って応用性が比較的低い。
また、磁気吸引装置はケーブルによって整流器に接続され、かつ電流が制御されるため、このような磁性ワークベンチは回路および制御方法が複雑で消費電力が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案M350429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、加工対象物に応じ使用方式を柔軟に調整し、かつコストダウンを実現させ、応用性を高めることが可能な磁性ワークベンチを提供することを主な目的とする。
【0007】
本発明は、需要に応じてモジュール化することによって数および配置方式を変更することが可能な磁性ワークベンチの回路を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明による磁性ワークベンチはワークベンチ本体と、ワークベンチ本体に配置された複数の磁気吸引装置とを備える。磁性吸引装置は通電によって磁気吸引力を生じ、かつワークベンチ本体上の配置位置が変更されてもよく、総面積がワークベンチ本体の面積の僅かの一部分を占めるため、加工を行う際、加工対象物の形およびサイズによって磁気吸引装置の配置位置を変更することによって加工対象物を磁気吸引装置にしっかり吸着させることができる。従って磁性ワークベンチはコストが低いだけでなく応用性が高い。
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明による磁性ワークベンチの回路は、複数の正極導線、一つの負極導線および複数の永久磁石式電流制御コイル群を備える。永久磁石式電流制御コイル群は複数の相互に電気的に直列接続されるコイルを有する。コイルは永久磁石および磁気誘導体を有する。永久磁石式電流制御コイル群は一端が任意の一つの正極導線に電気的に接続され、他端が負極導線に電気的に接続されるため、永久磁石式電流制御コイル群と磁性ワークベンチの回路とを柔軟に接続し、かつ磁気誘導体の磁性を制御することができる。本発明は上述した構築により、ケーブルによって給電装置に接続する工程を免除し、かつ電流が別々に制御されることを解消することができるため、磁性ワークベンチの回路および制御方法は柔軟性があるだけでなく、比較的簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチを示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチにおいての磁気吸引装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチにおいての磁気吸引装置を示す斜視分解図である。
【図4】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチにおいてのコネクタを示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの回路を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの別の回路を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの別の回路を示す模式図である。
【図8】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図10】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図11】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図12】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【図13】本発明の一実施形態による磁性ワークベンチの応用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による磁性ワークベンチを図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1に示すように、本発明の一実施形態による磁性ワークベンチ10は、ワークベンチ本体20、複数の磁気吸引装置30および給電装置40を備える。磁気吸引装置30は移動できるようにワークベンチ本体20に装着され、かつ回路60によって相互に電気的に接続される。給電装置40は回路60に電気的に接続される。
【0012】
ワークベンチ本体20は、円盤状を呈し、かつ表面22と、表面22を陥没させて形成した複数のレール24とを有する。レール24はワークベンチ本体20の中心部26から放射線状に伸びる。
【0013】
図2および図3に示すように、磁気吸引装置30は、座体32と、座体32の相互に向かい合う両側を貫通する固定ユニット34とを有する。座体32は内部に永久磁石式電流制御コイル群68を有する。本実施形態において、永久磁石式電流制御コイル群68は相互に電気的に接続される八つのコイル35と、コイル35内に配置される八つの第一永久磁石36と、第一永久磁石36に被さる八つの磁気誘導体37と、磁気誘導体37の周りを囲む複数の第二永久磁石38とを有する。磁気誘導体37と座体32との間の隙間および磁気誘導体37の間の隙間はコロイド材料を凝固させて形成した遮蔽ユニット39によって塞がれる。
【0014】
磁気吸引装置30は、固定ユニット34によってレール24に装着される。固定ユニット34がレール24に緩く締め付けられる際、磁気吸引装置30はレール24に沿ってワークベンチ本体20上の配置位置を変更することができる。固定ユニット34がレール24に完全に締め付けられる際、磁気吸引装置30はワークベンチ本体20に固定される。ユーザーは上述した構造により加工対象物(図中未表示)の形およびサイズによって磁気吸引装置30の配置位置を変更することによって加工対象物を磁気誘引装置30にしっかり吸着させることができる。従って、磁性ワークベンチ10は応用性が高い。一方、磁気吸引装置30の総面積はワークベンチ本体20の僅かの一部分を占めるため、本発明による磁性ワークベンチ10はコスト全体が比較的低い。
【0015】
図1から図4に示すように、磁気吸引装置30の座体32は相互に向かい合う両側にコネクタ70を有する。コネクタ70は複数の端子72を有する。端子72の間は複数の導線によって相互に電気的に接続される。磁気吸引装置30の間はコネクタ70に連結されたケーブル74によって相互に電気的に接続される。ケーブル74は内部に複数の導線を有する。図5に示すように磁気吸引装置30内の端子72の間を連絡する導線とケーブル74内の導線とを電気的に接続することによって本発明に用いる回路60内の複数の正極導線62、一つの負極導線64および一つの接地導線66を構成することができる。本実施形態において、端子72は数が六つである。そのうちの四つの端子72は正極導線62に電気的に接続され、一つの端子72は負極導線64に電気的に接続され、別の一つの端子72は接地導線66に電気的に接続される。磁気吸引装置30の永久磁石式電流制御コイル群68は一端によって磁気吸引装置30内の任意の一つの正極導線62を導通させ、他端によって負極導線64を導通させることによって磁気吸引装置30を電気的に並列接続することができる。
【0016】
給電装置40は、回路60に電気的に接続されることによって永久磁石式電流制御コイル群68に電力を供給し、かつ磁気吸引装置30の電流を制御することによって磁気誘導体37に磁力を生じさせる。
【0017】
必要に応じてモジュール化をすることによって磁気吸引装置の数および配置方式を変更するために、磁気吸引装置30はモジュール化され、異なる数で結合することができる。図1に示すように、本実施形態は三つの磁気吸引装置群50を採用する。磁気吸引装置群50は隣り合うレール24に配置される四つの磁気吸引装置30を有する。磁気吸引装置30は同一の負極導線64および同一の接地導線66に電気的に接続される。同一の磁気吸引装置群50の磁気吸引装置30は同じ正極導線62によって相互に並列接続され、導通する。続いて異なる磁気吸引装置群50の磁気吸引装置30は異なる正極導線62によって相互に並列接続され、そののち給電装置40と結合すると回路が形成される。図6および図7に示すように、同じ回路60はそれぞれ八台の磁気吸引装置30と13台の磁気吸引装置30に接続されるため、ケーブルによって磁気吸引装置30と給電装置40とを接続する工程を免除し、電流が別々に制御されることを解消することができる。従って、磁性ワークベンチ10は回路および制御方法が比較的簡単である。
【0018】
上述した一実施形態による磁性ワークベンチ10は縦式旋盤に適用される。レール24は磁気吸引装置30をワークベンチ本体20の径方向に沿って移動させ、サイズが異なる加工対象物76を固定することができるように配置される。図8から図13に示すように、本発明による磁気ワークベンチ10は構造が異なる加工対象物の加工および異なる加工方式に対応することができる。ワークベンチ本体20は円盤状を呈するが、これに限らない。レール24は放射状に配列されるが、これに限らない。複数の磁気吸引装置30は同一のレール24に配置されてもよい。つまり加工対象物の構造特徴によって磁気吸引装置30の数を決め、そののち磁気吸引装置30をワークベンチ本体20に装着すればよい。同時に加工対象物の形によって磁気吸引装置30の配置位置を変更し、そののち電気的に接続された磁気吸引装置30を接着し、磁気吸引装置30を相互に並列接続し、それらと給電装置40とを接続すれば電流の回路を構成することができる。続いて、加工対象物を磁気吸引装置30に据え付け、給電装置40によって磁気吸引装置30の永久磁石式電流制御コイル群68を帯磁させ、磁気吸引力を生じれば加工対象物をワークベンチ本体20に固定することができる。
【0019】
上述した内容をまとめると、本発明の長所は下記の通りである。
<1>本発明は特に永久磁石式電流制御コイルに適用され、かつ永久磁石の磁力強度および反応特性によって帯磁を瞬間的に完成させることができるだけでなく、給電を持続させることを必要とせず、磁力を十分に生じて加工対象物を固定することができる。また本発明は電力を大量消費することがなく、磁気吸引効果が良好であるため、比較的な良好なエネルギー効果を果たし、環境保全および省エネルギーの要求を満足させることができる。
<2>本発明は同一の回路構築を採用するため、ユーザーは別途に設備を購入する必要なく、必要に応じて磁気吸引装置の数を変更できるだけでなく、節約およびコストの削減を達成できる。
<3>本発明は磁気吸引装置をモジュール化する配置方式を採用するため、異なる加工対象物の形または加工方式に対応し、磁気吸引装置の数、位置および距離を柔軟に調整できるだけでなく、加工対象物を固定する際の柔軟性および互換性を向上させることができる。
【0020】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0021】
10:磁性ワークベンチ
20:ワークベンチ本体
22:表面
24:レール
26:中心部
30:磁気吸引装置
32:座体
34:固定ユニット
35:コイル
36:第一永久磁石
37:磁気誘導体
38:第二永久磁石
39:遮蔽ユニット
40:給電装置
50:磁気吸引装置群
60:回路
62:正極導線
64:負極導線
66:接地導線
68:永久磁石式電流制御コイル群
70:コネクタ
72:端子
74:ケーブル
76:加工対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークベンチ本体と、
複数の正極導線および一つの負極導線を有する回路と、
移動できるように前記ワークベンチ本体に装着され、かつ前記ワークベンチ本体上の配置位置を変更できる複数の磁気吸引装置と、を備え、
前記磁気吸引装置は、永久磁石式電流制御コイル群を有し、前記永久磁石式電流制御コイルは複数の相互に電気的に直列接続されるコイルを有し、前記コイルは永久磁石および磁気誘導体を有し、前記永久磁石式電流制御コイル群は一端が任意の一つの前記正極導線に電気的に接続され、他端が前記負極導線に電気的に接続されるため、電流が前記正極導線および前記負極導線を導通させることによって前記磁気誘導体の磁性を制御することができることを特徴とする磁性ワークベンチ。
【請求項2】
前記磁性ワークベンチは、さらに少なくとも一つの磁気吸引装置群を備え、前記磁気吸引装置群は複数の相互に電気的に並列接続される前記磁気吸引装置を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性ワークベンチ。
【請求項3】
前記正極導線および前記負極導線は、前記磁気吸引装置内の導線および前記磁気吸引装置の間に電気的に接続されたケーブルから構成されることを特徴とする請求項1に記載の磁性ワークベンチ。
【請求項4】
加工対象物によって前記磁気吸引装置の数を決めるステップaと、
前記磁気吸引装置を前記ワークベンチ本体に装着するステップbと、
磁気吸引装置を電気的に接続し、かつ前記磁気吸引装置の間を相互に電気的に並列接続し、それらと給電装置とを結合させることによって電流の回路を構成するステップcと、
前記加工対象物を前記磁気吸引装置に据え付け、前記磁気吸引装置の生じた磁力によって前記加工対象物を前記ワークベンチ本体に固定するステップdと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性ワークベンチを用いる加工方法。
【請求項1】
ワークベンチ本体と、
複数の正極導線および一つの負極導線を有する回路と、
移動できるように前記ワークベンチ本体に装着され、かつ前記ワークベンチ本体上の配置位置を変更できる複数の磁気吸引装置と、を備え、
前記磁気吸引装置は、永久磁石式電流制御コイル群を有し、前記永久磁石式電流制御コイルは複数の相互に電気的に直列接続されるコイルを有し、前記コイルは永久磁石および磁気誘導体を有し、前記永久磁石式電流制御コイル群は一端が任意の一つの前記正極導線に電気的に接続され、他端が前記負極導線に電気的に接続されるため、電流が前記正極導線および前記負極導線を導通させることによって前記磁気誘導体の磁性を制御することができることを特徴とする磁性ワークベンチ。
【請求項2】
前記磁性ワークベンチは、さらに少なくとも一つの磁気吸引装置群を備え、前記磁気吸引装置群は複数の相互に電気的に並列接続される前記磁気吸引装置を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性ワークベンチ。
【請求項3】
前記正極導線および前記負極導線は、前記磁気吸引装置内の導線および前記磁気吸引装置の間に電気的に接続されたケーブルから構成されることを特徴とする請求項1に記載の磁性ワークベンチ。
【請求項4】
加工対象物によって前記磁気吸引装置の数を決めるステップaと、
前記磁気吸引装置を前記ワークベンチ本体に装着するステップbと、
磁気吸引装置を電気的に接続し、かつ前記磁気吸引装置の間を相互に電気的に並列接続し、それらと給電装置とを結合させることによって電流の回路を構成するステップcと、
前記加工対象物を前記磁気吸引装置に据え付け、前記磁気吸引装置の生じた磁力によって前記加工対象物を前記ワークベンチ本体に固定するステップdと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性ワークベンチを用いる加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−46056(P2013−46056A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130751(P2012−130751)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(508292132)儀辰企業股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(508292132)儀辰企業股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
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