説明

磁性体フレーク含有塗膜形成方法

【課題】 磁石の形状に対応して超立体感を発現しつつ、つやびけを防止して塗装品表面の質感を向上させることができる磁性体フレーク含有塗膜形成方法、磁性体フレーク含有塗膜及び塗装物品を提供すること。
【解決手段】 板状の被塗装品の表面に磁界を形成しうる板状の磁石を、該被塗装品の裏面に配置し、該被塗装品の表面に、アクリル樹脂、ニトロセルロース及び磁性体フレークを含有し、ニトロセルロースの固形分含有量がアクリル樹脂の固形分100質量部に対し50〜110質量部であり、且つ磁性体フレークの含有量がアクリル樹脂及びニトロセルロースの合計樹脂固形分100質量部に対し3〜50質量部である塗料を、塗装固形分が3〜25質量%となるように有機溶剤で希釈して乾燥膜厚が3〜25μmとなるように塗布し、磁石の輪郭形状に対応した模様を発現させた塗膜を形成せしめることからなる磁性体フレーク含有塗膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の塗装物品の表面に所望の模様を発現させて塗膜を形成しうる磁性体フレーク含有塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗装品の塗装面の裏側にシート状マグネット(板状の磁石)を配置し、塗装面に磁性体フレークを含む塗料を塗布することにより、塗料中の磁性体フレークを配向させて磁石の形状に対応した模様を発現させる塗装方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この塗装方法では、被塗装品の裏面に1枚の両面磁極の磁石を配置して、被塗装品の表面に所定の磁界を形成した状態で、当該表面に磁性体フレークを含む塗料を、塗装機によって塗布し、塗料を硬化して、磁石の輪郭に対応する磁石端面対応位置に模様を発現させている。また、上記の磁性体フレークを含む塗料として、熱可塑性樹脂、低沸点溶剤、高沸点溶剤を含む模様形成用塗料等が種々提案されている(例えば特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−154034号公報
【特許文献2】特開2007−291144号公報
【特許文献3】特開2003−176452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の塗料を用いた模様形成では、模様の輪郭線は明るくそれ以外の部分は暗くなるコントラストは得られるが、輪郭線のみが明るくなるので、立体感が不十分であるという問題がある。
【0005】
その上、従来の1枚の両面磁極の磁石を用いた構成では、磁石端面対応位置の磁束密度を高く設定した場合、塗装時に、広範囲で磁性体フレークが起立して硬化し、例えば、磁性体フレークが塗膜表面から飛び出して塗装品の表面がざらついて見える現象(以下、「つやびけ」という)が広範囲に生じるという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、上記の如き問題を克服し、磁石の形状に対応して超立体感を発現しつつ、つやびけを防止して塗装品表面の質感を向上させることができる磁性体フレーク含有塗膜形成方法、磁性体フレーク含有塗膜及び塗装物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、板状の被塗装品の表面に磁界を形成しうる板状の磁石を、該被塗装品の裏面に配置し、該被塗装品の表面に、アクリル樹脂、ニトロセルロース及び磁性体フレークを含有し、ニトロセルロースの固形分含有量がアクリル樹脂の固形分100質量部に対し50〜110質量部であり、且つ磁性体フレークの含有量がアクリル樹脂及びニトロセルロースの合計樹脂固形分100質量部に対し3〜50質量部である塗料を、塗装固形分が3〜25質量%となるように有機溶剤で希釈して乾燥膜厚が3〜25μmとなるように塗布し、磁石の輪郭形状に対応した模様を発現させた塗膜を形成せしめることを特徴とする磁性体フレーク含有塗膜形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁性体フレーク含有塗膜形成方法によれば、磁石の形状に対応して超立体感を発現しつつ、つやびけを防止して塗装品表面の質感を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の磁性体フレーク含有塗膜形成方法についてさらに詳細に説明する。
【0010】
本発明において塗装対象となりうる被塗装品は板状の非磁性体である。被塗装品として、例えば、板厚2〜3mmの樹脂板で構成された車両のカバー部品を用いることができる。樹脂板はABS樹脂等の素材からなるものであることができ、前処理や下地塗装等が施されていてもよく、また導電プライマー層が形成されていてもよい。被塗装品の表面は、通常、完成品の塗色と異なる色を有するが、表面には完成品の塗色の塗料が塗布されていてもよいし、成形材料に配合される顔料により着色されていてもよい。なお、被塗装品は、ABS樹脂等の樹脂のほか、ゴムやFRP等を含め種々の樹脂で形成されていてもよい。
【0011】
本発明では、板状の被塗装品の表面に磁界を形成しうる板状の磁石を、該被塗装品の裏面に配置した状態で、該被塗装品の表面に、アクリル樹脂、磁性体フレーク及びニトロセルロースを含有する塗料を塗布する。
【0012】
上記アクリル樹脂は、アクリレートモノマー及び/又はメタクリレートモノマーを含有するモノマー混合物を、常法に従って共重合することにより得られるアクリル共重合体である。使用し得るモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜24のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物や、該モノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合してなる化合物等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製)、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の紫外線吸収性もしくは紫外線安定性重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらの化合物はそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。ここで「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタアクリレート」を意味するものとする。
【0013】
上記塗料中に硬化剤としてポリイソシネート化合物を配合するか、或いは上記塗料による塗膜上にイソシアネート硬化型のクリヤ塗料を塗布する場合には、上記アクリル樹脂は水酸基を有することが望ましい。
【0014】
上記モノマー成分を重合して共重合体を得るための重合方法は、特に限定されるものではなく、それ自体既知の重合方法、例えばラジカル重合開始剤の存在下において溶液重合法を用いて行なうことができる。
【0015】
得られるアクリル樹脂は、一般に20〜90℃、好ましくは30〜70℃のガラス転移温度;一般に3,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000の重量平均分子量及び一般に160mgKOH/g以下、好ましくは30〜150mgKOH/gの水酸基価を有することが好適である。
【0016】
上記磁性体フレークは、液体中に混合して磁場を作用させると磁力により配向(向きを変化)する鱗片状または薄板状の微細な粉末であり、例えば、鉄、ニッケル、鉄の含有率が高いステンレススチール、コバルト、クロム、酸化鉄等の金属または金属酸化物の粉末;、これらの金属または金属酸化物を被覆又は含有せしめた樹脂粉末等挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上併用することができる。
【0017】
上記磁性体フレークの含有量は、アクリル樹脂及びニトロセルロースの合計樹脂固形分100質量部に対し3〜50質量部、好ましくは10〜35質量部であることができる。この含有量範囲を外れると、立体模様の発現が不十分となり望ましくない。
【0018】
上記ニトロセルロースは、特に限定されるものではなく、従来から塗料分野で用いられている周知のものを用いることができる。
【0019】
上記ニトロセルロースの含有量は、固形分で、アクリル樹脂100質量部に対し50〜110質量部、好ましくは60〜100質量部であることができる。この含有量範囲を外れると、立体模様の発現が不十分となり望ましくない。
【0020】
上記塗料は、さらに有機溶剤を含み、後述する塗装固形分になるように希釈するのに使用することができる。有機溶剤としては、特に制限なくそれ自体既知の溶剤を使用することができ、例えば、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、グリコールエーテル系などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0021】
上記塗料には、必要に応じて、他の樹脂成分や硬化剤を配合することができる。他の樹脂成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、セルロースアセテートブチレート、エチレン−酢酸ビニル樹脂等が挙げられ、硬化剤としてはポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0022】
上記塗料には、さらに必要に応じて、樹脂粒子、着色顔料、光輝顔料、体質顔料等の顔料類;紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、顔料分散剤、硬化触媒等の塗料用添加剤を適宜組み合わせて配合することができる。
【0023】
本発明では、上記塗料を塗装固形分が3〜25質量%、好ましくは5〜15質量%となるように有機溶剤で希釈し、乾燥膜厚が3〜25μm、好ましくは7〜15μmとなるように塗布して、磁石の輪郭形状に対応した模様が発現した塗膜を形成せしめる。塗装固形分が3質量%より低いと生産性が低下し、反対に25質量%より高いと膜厚分布が生じ、模様発現が不安定となり望ましくない。また、乾燥膜厚が3μmより薄いと隠蔽が不十分で、模様が安定せず、反対に25μmより厚いと生産性低下となり望ましくない。
【0024】
上記塗料の塗装は、通常の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、刷毛塗装等を行うことができ、スプレー塗装や回転霧化塗装等の塗装においては、静電印加することにより行うこともできる。
【0025】
形成される塗膜は、被塗装品の裏面に沿う板状の磁石の中央部から端部にかけて、乾燥
塗膜内に存在する磁性体フレークの実質的にすべてが、塗面(0°として)に対して一般に60°以内の配向角度を有しており、さらに、磁性体フレークの90%以上が、塗面(0°として)に対して45°以内の配向角度を有することが好適である。このような配向状態になるように磁性体フレークが配向することにより、超立体感を発現する塗膜を得ることができる。
【0026】
さらに、本発明では、被塗装品の裏面に沿う板状の磁石が、その表裏にN極およびS極、もしくはS極およびN極を持つ第1の磁石と、第1の磁石の裏面に対し、N極およびS極が裏返しになるように、その輪郭を一致させて沿う第2の磁石とを備えたものを使用することにより、磁石の形状に対応した模様を明瞭にしつつ、つやびけを防止することが可能となる。
【0027】
板状の磁石は、通常、板厚0.1〜2.0mm程度のマグネットシートであり、ゴム等の成形材料中に多数の微細な磁性体粒子を練りこんでシート状に成形し、磁性体粒子を着磁させて得られるそれ自体既知のマグネットシートである。
【0028】
本発明では、上記塗膜上に、さらに必要に応じてクリヤー塗料を塗装し、前記磁石を貼りつけた状態で、或いは前記磁石を取り外してから、これらを同時に乾燥・硬化させることができる。
【0029】
クリヤー塗料としては、それ自体既知の樹脂成分及び有機溶剤などを含有し、さらに必要に応じて着色顔料、つや消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を配合してなる塗料であって、このクリヤー塗膜を透過して下層塗膜の磁性模様感を視認できる程度の透明性を有するものを使用することができる。該樹脂成分としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基等の架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂等が挙げられ、これらの官能基と反応しうる、メラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物などの架橋剤と組合せて使用することができる。
【0030】
クリヤー塗料の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、刷毛塗装等を用いて行うことができ、スプレー塗装や回転霧化塗装等の塗装においては、静電印加することにより行うこともできる。得られるクリヤー塗膜は、乾燥膜厚で通常5〜100μm、好ましくは20〜50μmの厚さを有することが好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
【0032】
磁性体フレーク含有塗料の作製
作製例1〜10
下記表1の配合組成に従って各成分を順次配合し、混合・攪拌し、30分間分散処理をして、不揮発分18%の各塗料(主剤)を得た。これに表1に示す希釈溶剤を加えて各塗装固形分に調整し、塗装前の各塗料(1)〜(10)を作製した。表1中の(注1)〜(注8)は下記のとおりである。
(注1)アクリル樹脂溶液A: ガラス転移温度33℃、重量平均分子量10,000、水酸基価82のアクリル樹脂の固形分55%溶液。
(注2)アクリル樹脂溶液B: ガラス転移温度60℃、重量平均分子量20,000、水酸基価73のアクリル樹脂の固形分60%溶液。
(注3)ニトロセルロースA: 「HIG 1/2A」、商品名、エス・エヌ・ピー・イ
ージャパン社製、工業用硝化綿。
(注4)ニトロセルロースB: 「HIG 20」、商品名、エス・エヌ・ピー・イージャパン社製、工業用硝化綿。
(注5)セルロースアセテートブチレート: 「CAB551」、商品名、イーストマンケミカル社製。
(注6)鉄フレーク: 「Stapa TA Ferricon 200」、商品名、ECKART社製、固形分70%ペースト。
(注7)ステンレスフレーク: 「ステンレスペースト」、商品名、東洋アルミ社製、固形分90%ペースト。
(注8)硬化剤: 「デスモジュールN3300」、商品名、住化バイエルウレタン社製、ポリイソシネート硬化剤。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例及び比較例
実施例1
厚さ2.5mmのABS樹脂板の裏面に、文字模様を形成させた0.4mm厚のマグネットシート(A)を貼り付け、表面に乾燥膜厚で5μmになるように「シェルトロンPR450」(商品名、川上塗料社製、溶剤型導電プライマー)をエアスプレー塗装し、30秒間放置した。その上に、上記作製例1で得た塗料(1)を乾燥膜厚で下記表2に示す膜厚となるようにスプレー塗装した。次いで、該塗膜面を指触乾燥後、その上に、「レタンPG2KクリヤーM」(商品名、関西ペイント社製、アクリルウレタン樹脂系クリヤー塗料)を乾燥膜厚で30μmとなるようにスプレー塗装し、5〜10分間放置後に75℃で30分間加熱した。加熱乾燥後、室温までABS板を冷却し、裏面のマグネットシートを取り外し塗装板を得た。
【0035】
実施例2〜5及び比較例1〜5
実施例1において、磁性体含有塗料として下記表2に示す塗料を用いる以外は実施例1と同様にして各塗装板を得た。
【0036】
実施例6〜10
実施例1において、マグネットシート(A)の代わりに、N極およびS極を持つ第1マグネットシートとその裏面に対しN極およびS極が裏返しになるように輪郭を一致させて沿う第2のマグネットシートとを合わせたマグネットシート(B)を用いる以外は実施例1と同様にして各塗装板を得た。
【0037】
評価試験
得られた各塗装板について、磁性模様の立体感を下記基準で目視評価した。さらに、磁性体フレーク含有塗膜内の磁性体の配向角度を塗膜断面を切断し、光学顕微鏡で測定した。また、各塗装板について初期付着性、耐水性を下記のようにして評価した。結果を下記表2に示す。
(*1)磁性模様の立体感:
(目視評価基準)
◎:室内で5m離れた場所からも模様を確認することができ、板を見る角度を正面(90
度)から斜め(15度)まで変化させたときに、模様の立体感、奥行き感を感じるレ
ベル。
○:室内で2m離れた場所からも模様を確認することができ、板を見る角度を正面(90
度)から斜め(15度)まで変化させたときに、模様の立体感、奥行き感を感じるレ
ベル。
△:室内で2m離れた場所から模様は見難いが50cmまで近づくと模様を確認すること
ができ、板を見る角度を正面(90度)から斜め(15度)まで変化させたときに、
模様の立体感、奥行き感を感じるレベル。
×:室内で2m離れた場所からも模様を確認することができるが、模様の輪郭がはっきり
としすぎて立体感に乏しいと感じるレベル。
(配向角度の測定方法)
各塗装板の磁石模様の中央部から端部が得られるように、カッターで塗装板を切断し、その断面を光学顕微鏡にて100倍に拡大し、磁性体フレークが水平に配向した状態を0°として、模様の中央部から端部にかけての磁性体フレークの配向角度を計測した。
(*2)初期付着性:
各試験塗装物の磁石模様部、一般部にそれぞれ素地に達するようにカッターで切り込み線を入れ、大きさ1mm×1mmのマス目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそれを急激に剥離した後の模様部と一般部のマス目の残存塗膜数をそれぞれ調べた。
○:100個(ハガレなし)
△:99〜50個
×:49個以下。
(*3)耐水性:
各試験塗装物を、40℃の温水に10日間浸漬し、引き上げて乾燥してから、上記の初期付着性試験と同様にして付着性試験を行ない、模様部と一般部のマス目の残存塗膜数をそれぞれ調べて上記と同様にして評価した。
【0038】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被塗装品の表面に磁界を形成しうる板状の磁石を、該被塗装品の裏面に配置し、該被塗装品の表面に、アクリル樹脂、ニトロセルロース及び磁性体フレークを含有し、ニトロセルロースの固形分含有量がアクリル樹脂の固形分100質量部に対し50〜110質量部であり、且つ磁性体フレークの含有量がアクリル樹脂及びニトロセルロースの合計樹脂固形分100質量部に対し3〜50質量部である塗料を、塗装固形分が3〜25質量%となるように有機溶剤で希釈して乾燥膜厚が3〜25μmとなるように塗布し、磁石の輪郭形状に対応した模様を発現させた塗膜を形成せしめることを特徴とする磁性体フレーク含有塗膜形成方法。
【請求項2】
板状の磁石が、被塗装品の裏面に沿う板状の磁石であって、その表裏にN極およびS極、もしくはS極およびN極を持つ第1の磁石と、第1の磁石の裏面に対し、N極およびS極が裏返しになるように、その輪郭を一致させて沿う第2の磁石とを備えたものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
被塗装品の裏面に沿う板状の磁石の中央部から端部にかけて、乾燥塗膜内に存在する磁性体フレークの実質的にすべてが塗面に対して60°以内の配向角度を有するものである、請求項1又は2に記載の方法によって得られる磁性体フレーク含有塗膜。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法によって得られる塗装物品。

【公開番号】特開2012−206076(P2012−206076A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75605(P2011−75605)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】