説明

磁性粒子を含む液体から該粒子を分離するための装置、およびかかる装置での使用に適した管状容器のアレイ

磁気粒子を含む液体から前記磁気粒子を分離するための装置であって、前記液体は、長軸(12)を有する細長い管状容器(11)内に含まれ、前記管状容器は、その長軸(12)を実質的に垂直な位置にして管状容器ホルダー(13)内に配列され、前記管状容器(11)は、管状容器の底面に向かって小さくなる漸減断面、および前記管状容器(11)の長軸(12)に対して角度をなす外表面側壁(14)を有する装置。この装置は、平坦な外表面(16)を有し、移動経路(25)に沿って移送手段(17)により移動されるように適合された磁石(15)、および前記磁石(15)を前記移動経路(25)に沿って第1の所定の位置と第2の所定の位置との間で移動させるための移送手段(17)を備え、前記磁石(15)および前記移送手段(17)は、前記管状容器(11)に対して、前記移動経路(25)の一部分上で前記磁石の前記平坦な外表面(16)が、前記管状容器(11)の前記下側部分の前記側壁(14)の前記外表面の一部分と接触するように配列される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粒子を含む液体から該粒子を分離するための方法に関し、前記液体は長軸を有する細長い管状容器(vessel)に含まれ、前記管状容器は長軸が実質的に垂直位になるように管状容器ホルダー中に配列され、前記管状容器は該管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する下側部分、および前記管状容器の長軸と角度をなす外表面を有する側壁を有する。
【0002】
本発明はさらに、磁性粒子を含む複数の液体から該粒子を分離するための方法に関し、前記液体のそれぞれは、長軸を有し、管状容器のアレイの一部である伸張された管状容器に含まれ、前記管状容器のアレイ中の管状容器は、その長軸が実質的に垂直位になるように管状容器ホルダー中に配列され、前記管状容器のそれぞれは、管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する下側部分、および前記管状容器の長軸と角度をなす外表面を有する側壁を有する。
【0003】
また、本発明は、磁性粒子を含む液体から該粒子を分離するための装置に関し、前記液体は長軸を有する細長い管状容器に含有され、前記管状容器は、その長軸が実質的に垂直位になるように管状容器ホルダー中に配列され、前記管状容器は、管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する下側部分、および前記管状容器の長軸と角度をなす外表面を有する側壁を有する。
【0004】
本発明はさらに、磁性粒子を含む複数の液体から該粒子を分離するための装置に関し、前記液体のそれぞれぞれは、長軸を有し、管状容器のアレイの一部である細長い管状容器中に含まれ、前記管状容器のアレイ中の管状容器は、その長軸が実質的に垂直位になるように管状容器ホルダー中に配列され、前記管状容器のそれぞれは、管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する下側部分、および前記管状容器の長軸と角度をなす外表面を有する側壁を有する。
【0005】
本発明はさらに、上記で説明されたような種類の装置中で処理される液体試料を含むのに適切な管状容器のアレイに関する。
【0006】
磁性粒子は、いくつかの診断アッセイ、例えば免疫アッセイを行なうための固相として使用される。かかるアッセイは管状容器に含まれる反応溶液中に懸濁した磁性粒子を含む。アッセイが実施される際に、いくつかの工程で、管状容器に含まれる液体から磁性粒子を分離することが必要である。
【0007】
公知の装置において、これは通常、管状容器の外側壁に近接して設置した磁石により磁性粒子を管状容器の壁に引き寄せること、および適切な手段により液体を管状容器から抽出することでなされる。
【0008】
米国特許第6,187,270号に記載されるこの種の装置においては、管状容器としてピペットチップが使用され、ピペットチップの壁の内表面上の所定の位置に磁性粒子の集団を固定するために磁石がピペットチップの壁に近接して設置される。磁性粒子の集団がその位置にある状態で、洗浄水がピペットチップ内に流れ込み洗浄工程が実施される。ピペットチップからこの水を排出して別の部分の新しい水を流し込む。その後、ピペットチップを磁石からゆっくりと離し磁性粒子をピペットチップの先端へと移動させる。
【0009】
米国特許第6,187,270号によると、固定磁石を使用し、磁石に対してピペットチップを移動させるための装置を使用して上記のピペットチップの移動を行なう。後者の装置の不利な点は、ピペットチップが磁石から離れるにつれて磁性粒子に作用する磁力が急速に減少するため、磁性粒子のピペットチップ先端への望ましい移送が相対的に遅くなることである。
【0010】
米国特許第6,187,270号に記載される種類の装置のもう1つの不利な点は、複数の管状容器に含まれる液体を並行して処理することが望ましい場合に、管状容器を磁石から離すために、対応する複数の移送手段が必要なことである。
【0011】
従って、本発明の第1の目的は、管状容器中の磁性粒子のより迅速な移送を可能にする方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は、上述の第1の目的を複数の管状容器で同時に達成することを可能にする方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、上述の第2目的を達成することに加えて、先行技術よりも簡単な方法で、複数の管状容器に含まれる廃液の除去を可能にする装置を提供することである。
【0014】
本発明の第4の目的は、上述のような種類の装置での使用に適切な管状容器のアレイを提供することである。
【0015】
本発明の第1の局面によると、請求項1記載の方法および請求項4記載の装置により上述の第1の目的を達成する。後者の方法の好ましい態様は、請求項2および3に規定される。請求項4記載の装置の好ましい態様は、請求項5〜9に規定される。
【0016】
本発明の第3の局面によると、請求項12記載の装置により上述の第3の目的を達成する。
【0017】
本発明の第4の局面によると、請求項10記載の管状容器アレイにより上述の第4の目的を達成する。この管状容器アレイの好ましい態様は請求項11に規定される。
【0018】
本発明の装置は、特に磁性粒子を含む液体であって複数の管状容器に含まれる液体を並行して処理する場合に、上述の型の洗浄工程をより迅速に、より効率的に、かつより効果的な手段を使用して実行する可能性を提供するという利点を付与する。
【0019】
本発明の管状容器アレイは、本発明の第2の局面による装置での使用に特に有利である。
【0020】
次に主題の本発明は、添付の図面を参照して、その好ましい態様に関して記載される。これらの態様は本発明の理解を補助するために記載されるが、限定されるように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0021】
(好ましい態様の詳細な説明)
実施例1:本発明の装置の第1の態様
磁性粒子を含む液体から該粒子を分離するための装置の第1の態様は、図1、2、5および6に関して本明細書の以下に記載される。
【0022】
図1および2に示される装置は管状容器ホルダー13を備える。磁性粒子を含有する液体は、図1および2に示される細長い管状容器11に含まれる。
【0023】
管状容器11は対称な長軸12を有し、管状容器11の底部を含む下側部分を有する。管状容器11の下側部分は、管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する。管状容器11の下側部分は側壁14を有する。側壁14は円錐形状を有する外表面を有する。従って、管状容器11の長軸12を通る面と側壁14の平坦な外表面との交差断面は長軸12と小さい角度をなす。
【0024】
管状容器11は、管状容器11の長軸12が実質的に垂直位になるように管状容器ホルダー13中に配列される。
【0025】
図1および2に示される装置はさらに、平坦な外表面16を有する磁石15、および磁石15を移動経路25に沿って移動させるための移送手段17を有する。図2に示されるように移動経路25は好ましくは移動経路に近接している。
【0026】
移送手段17は、磁石15の実体的な部分を受け、保持するための磁石ホルダー18および磁石ホルダー18を移動させ、それにより磁石15を移動経路25に沿って移動させるためのベルトドライブ19を備える。ベルトドライブの構造は、図2で示される配置で歯車(tooth wheel)27および28ならびに張力滑車29を含む。ベルトドライブ19の初期張力は、張力滑車29の位置および半径の調整によって達成される。
【0027】
移送手段17は、第1の所定の位置と第2の所定の位置の間で磁石15を移動経路25に沿って移動させるように適合される。図2に示されるように第1の所定の位置は、例えば管状容器11の下側部分の中心部とほぼ同じ高さであり、第2の所定の位置は、例えば管状容器11の底に近接している。
【0028】
磁石15および移送手段17は管状容器11に関してそのように配置されるので、移動手段17が第1の所定の位置から第2の所定の位置へと伸びる移動経路25の一部に沿って磁石15を移動させるが、磁石15の平坦な外表面16は管状容器11の下側部分の側壁14の該表面の一部に接触している。移動経路25がそのように配置されるので、磁石15が前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置へと移動経路25に沿って移動される場合、磁石15は管状容器11の長軸12の下方および管状容器11の長軸12に向かって移動される。
【0029】
図5および6に示されるように、磁石ホルダー18は磁石15の一部を受ける空洞21を有する。
【0030】
好ましい態様において、磁石15の一部は、図6に示されるように磁石ホルダー18の空洞21に配置され、ぴったりと収まる。この態様において、移動手段17は必要な大きさになるので、磁石15がベルトドライブと管状容器11の間に配置され、移動経路25に沿って移動する場合、ベルトドライブ19の初期張力は磁石15を側壁14に押し付け、磁石15の平坦な外表面16と管状容器11の下側部分の側壁14の平坦な外表面の接触を確実にするのに充分な力を磁石15にかける。
【0031】
図5に示される磁石ホルダー18の別の好ましい態様において、このホルダーの構造は磁石15と磁石ホルダー18の間に配置される板バネ22および23を含む。この態様において、管状容器11の下側部分の側壁14の外表面に磁石15を押し付ける力は、ベルトドライブ19の初期張力により生じる力と板バネ22および23によりかけられる力の合計である。この合計により生じる力は、管状容器11の下側部分の側壁14の外表面がベルトドライブと管状容器11の間に設置され、移動経路25に沿って移動する場合、磁石15の平坦な外表面16と管状容器11の下側部分の側壁14の平坦な外表面の良好な接触を確実にする。
【0032】
好ましい態様において図5に示されるように、磁石15は、磁石15の平坦な外表面16と45°の角度をなす磁軸24を有する。
【0033】
実施例2:本発明による第1の態様
磁性粒子を含む液体から該粒子を分離するための方法は、図1、2、5および6に関して上述の実施例1の装置態様で本発明に従って実行され得る。この方法によると、平坦な外表面16を有する磁石15は、移動経路25に沿って自動的に移動されるので、磁石15が移動経路25の一部沿って移動される場合、前述の第1の所定の位置から第2の所定の位置まで伸びる移動経路25の一部分上で、磁石15の平坦な外表面16は管状容器11の下側部分の側壁14の外表面の一部と接触し、磁石15は管状容器11の長軸12の下方に長軸12に向かって移動される。
【0034】
好ましい態様において、磁石15は前述の移動経路25の部分に沿って移動しながら、磁石15の平坦な外表面16を管状容器11の下側部分の側壁14の外表面に押し付けるために磁石15に力がかけられる。
【0035】
好ましい態様において、移動経路25は閉鎖移動経路である。
【0036】
実施例3:本発明の装置の第2の態様
磁性粒子を含む複数の液体から該粒子を分離するための装置の第2態様は、図1〜7に関して以下に記載される。
【0037】
図1および2に示される装置は、管状容器11のアレイ31を受けるために適合された管状容器ホルダー13を備える。磁性粒子を含む液体のそれぞれは管状容器11の1つに含まれる。
【0038】
それぞれの管状容器11は、対称な長軸12および管状容器11の底部を含む下側部分を有する。管状容器11の下側部分は、管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する。管状容器11の下側部分は側壁14を有する。側壁14は円錐形を有する外表面を有する。管状容器11の長軸12を通る面と側壁14の平坦な外表面との交差断面は、長軸12と小さな角度をなす。
【0039】
アレイ31の管状容器11は、その長軸が実質的に垂直となる位置で管状容器ホルダー13内に配列される。
【0040】
図1および2に示す装置は、さらに、各々が平坦な外表面16を有する磁石15のアレイ33、および磁石のアレイ33の各磁石を移動経路25に沿って移動させるための移送手段17を備える。図2に示されるように、移動経路25は、好ましくは閉鎖移動経路である。
【0041】
移送手段17は、各々が磁石15の実体的な部分を受けて保持するように適合された磁石ホルダー18のアレイ34、および磁石ホルダー18のアレイ33を移動させ、それにより、磁石15のアレイ33の磁石15を移動経路25に沿って移動させるためのベルトドライブ19を備える。
【0042】
図3は、互いにしっかりと接続され、各々が磁石15を保持する個々の磁石ホルダー18を備える磁石ホルダーのアレイ34の第1の態様を示す。
【0043】
図4は、各々が磁石15を保持するように適合された複数の空洞を有する単一の本体を備える磁石ホルダーのアレイ34の第2の態様を示す。
【0044】
移送手段17は、各磁石15を移動経路25に沿って第1の所定の位置と第2の所定の位置との間で移動させるように適合される。図2に示されるように、第1の所定の位置は、例えば、対応する管状容器11の下側部分の中央部分とほぼ同じ高さに位置し、第2の所定の位置は、例えば、その管状容器11の底面付近である。
【0045】
磁石15のアレイ33および移送手段17は、管状容器11のアレイ31に対して、移送手段17が各磁石15を移動経路25の第1の所定の位置から第2の所定の位置まで延びる部分に沿って移動させる間に、磁石15の平坦な外表面16が、対応する管状容器11の下側部分の側壁14の外表面の一部分と接触するように配列される。移動経路25は、磁石15が移動経路25に沿って前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置まで移動されるとき、各磁石15が、対応する管状容器11の長軸12に向かって下方に移動されるように配列される。
【0046】
図5および6に示されるように、各磁石ホルダー18は、磁石15の一部分を受けるための空洞21を有する。
【0047】
好ましい態様において、図6に示されるように、磁石15の一部分は、磁石ホルダー18の空洞21内に配列され、該空洞内にぴったりと(snuggly)嵌め込まれる。この態様において、移送手段17は、磁石15がベルトドライブと管状容器11との間に位置し、移動経路25に沿って移動するとき、磁石を側壁14に対して押し付け、磁石15の平坦な外表面16と管状容器11の下側部分の側壁14の外表面との接触を確保するのに充分な力であるベルトドライブ19の初期張力が磁石15に対して負荷されるような寸法である。
【0048】
図5に示される磁石ホルダー18の別の好ましい態様において、このホルダーの構造は、磁石15と磁石ホルダー18との間に配列される板バネ22および23を含む。この態様において、磁石15を管状容器11の下側部分の側壁14の外表面に対して押し付ける力は、ベルトドライブ19の初期張力によって生じる力と、板バネ22および23によって負荷されるさらなる力の和である。この和によって生じる力により、外表面16がベルトドライブと管状容器11との間に位置し、移動経路25に沿って移動するとき、磁石15の平坦な外表面16と管状容器11の下側部分の側壁14の外表面との良好な接触が確保される。
【0049】
図5に示されるように、好ましい態様において、磁石15は、磁石15の平坦な外表面16に対して45度の角度をなす磁軸24を有する。
【0050】
図1〜6に関して上記の装置の好ましい態様は、さらに、管状容器11のアレイ31を廃棄物容器75に接続するための図1、2および7に示された廃棄物接続部(connector)または廃棄物接続デバイス71を含み、管状容器のアレイ31の管状容器11内に含まれた廃液を処分する機能を果たす。廃棄物接続部71は、上側部分73および下側部分74を備える。廃棄物接続部71の上側部分73は、上記の管状容器ホルダー13および空洞72を含み、該空洞の各々は、先端61からの廃液を廃棄物接続部71の下側部分74に流体により接続される廃棄物チャンバ75へと送達中に、ピペットチップ61を受けるように適合されている。廃棄物接続部71により、種々の管状容器11内に生じた廃液を廃棄物容器75に送達することが可能になる。ある1つの管状容器11内に生じた廃液の廃棄物接続部71への移動、それによる廃棄物容器75への移動は、その管状容器と作動可能に結合したピペットチップ61により行なわれる。
【0051】
図12は、廃棄物接続部71の下側部分74の好ましい態様を示す。
【0052】
廃棄物接続部71の下側部分74は、複数の穴81を有し、該穴は各々、ピペットチップ61の先端62を受けるように適合された上側開口部82、および流体により穴81をチャネル84と接続させる下側開口部83を有する。各穴81は、垂直軸に沿って該穴の上側開口部から下方に延びる短い垂直部分、および該垂直軸に対して約20度の角度αをなす軸に沿って延びる部分を有する。この構造により、ピペットチップ61によって送達される液体噴流が、該噴流の軸に対してわずかに角度をなす表面に衝突するという利点が提供される。これにより、ピペットチップから廃棄物接続部への廃液の送達中に、廃液が穴の外側に噴出し得ることが抑制される。
【0053】
図12に示された廃棄物接続部71の上記の構造は、以下の利点を提供する。
・ ピペットチップから廃棄物接続部への廃液の送達中、廃液の噴出が妨げられる。
・ ピペットチップ間の汚染が妨げられる。
・ ピペットチップと廃棄物接続部間の汚染が妨げられる。
【0054】
廃棄物接続部71の下側部分74 は、チャネル84の最下点に位置する排出口85を有する。したがって、チャネル84内に回収された液体は、排出口85を介して廃棄物接続部71を出て、矢印92で示される経路に従って廃棄物容器75内に落下し得る。
【0055】
廃棄物接続部71の下側部分74の好ましい態様において、排出口85は、適当な密封体(図示していない)によって閉鎖されており、下側部分74は、下側部分74の上面部分付近に位置する排出口86、および壁89によって互いに分離されたチャネル部分87と88によって形成されるチャネルを有する。この態様では、排出口86は、流体により吸引ポンプ91に接続され、該ポンプは、チャネル87、88および排出口86を介してチャネル84から吸引した液体を廃棄物容器75に送達する。矢印93は、チャネル84から吸引された液体が従い、ちょうど記載のように廃棄物容器75に送達される経路を示す。この好ましい態様は、廃棄物容器71の内部に生じ得るエーロゾルを有利に除去する。
【0056】
実施例4:本発明による装置における使用に適した管状容器のアレイの態様
図1〜7を参照して上記した種類の装置における使用に適した管状容器のアレイ41の態様を、以下に、図8〜11を参照して記載する。
【0057】
図8は、各々がピペットチップを受けるように適合されたそれぞれの管状容器51内にピペットチップ61が挿入された、本発明による管状容器アレイ41の斜視図を示す。
【0058】
図9は、本発明による管状容器アレイ41の第2の斜視図を示す。
【0059】
図10は、管状容器アレイ41の断面図を示す。
【0060】
図11は、図1および2に示すピペットチップ61の斜視図を示す。
【0061】
管状容器のアレイ41は、試料を受けるための管状容器11の第1の列31、各々がピペットチップ61を受けるように適合された管状容器51の第2の列43を含む。
【0062】
管状容器のアレイ41は、さらに、ほぼ直平行六面体形状を有し、区画46に分割された上側部分45を含む。各区画46は実質的に直平行六面体形状を有し、区画46において底壁48および側壁48に分割されている。試料を受けるための管状容器11は、各区画46の壁48の底面内の開口部52から下方に延びる。ピペットチップ61の下側部分を受けるための管状容器51は、各区画46の壁48の底面内の開口部53から下方に延びる。
【0063】
各区画46は、後側壁55および該後側壁に向かい合って位置する前側壁54を有する。隣接する区画46は、各区画の後側壁と前側壁の間に延びる側壁47 によって互いに分離されている。
【0064】
各区画46の前側壁54は中央開口部56を有し、該開口部は、ピペットチップが管状容器41のアレイ内の位置から管状容器41のアレイの外側の位置に移動されるとき、例えば、管状容器11からの廃液の吸引後、ピペットチップ61が管状容器11から離れて廃棄物接続部71内に位置する位置、例えば、図7に示されるピペットチップ61の位置に向かって移動されるとき、ピペットチップ61の先端62の通過を可能にする。
【0065】
管状容器アレイ41の好ましい態様において、その上側部分45は、第1の可塑性材料、例えばポリスチレンの射出成形によって作製され、管状容器の第1および第2の列31、43は、第2の可塑性材料ポリプロピレンの射出成形によって作製され、上側部分45の材料、例えばポリスチレンは、管状容器の第1および第2の列31,43の材料、例えば、ポリスチレンよりも堅い。この材料選択の利点は、得られる管状容器アレイの構造が、操作条件によって、例えば、環境温度の変化よって変形しにくくなることである。
【0066】
実施例5:本発明の方法による第2の態様
磁気粒子を含む液体からかかる粒子を分離するための方法は、図1〜7を参照して上記した実施例3の装置の態様、および図8〜11を参照して上記した実施例4の管状容器のアレイを用い、本発明に従って行なわれ得る。
【0067】
この方法によると、各々が平坦な外表面16を有する磁石15のアレイ33は自動的に移動され、それにより各磁石15が移動経路25に沿って移動され、上記の第1の所定の位置から第2の所定の位置まで延びる移動経路25の一部分上で、各磁石15の平坦な外表面16が管状容器11の下側部分の側壁14の外表面の一部分と接触し、各磁石15は、移動経路25の上記の部分に沿って移動されると、管状容器11の長軸12に向かって下方に移動される。
【0068】
好ましい態様において、磁石15が移動経路25の上記の部分に沿って移動される間に、各磁石の平坦な表面16を対応する管状容器11の下側部分の側壁14の外表面に押し付けるため、磁石のアレイ33の各磁石15に対して力が負荷される。
【0069】
好ましい態様において、移動経路25は閉鎖移動経路である.
【0070】
実施例6:上記の装置および方法が使用されるシステムの態様
この種のシステムは、コンベヤ(添付の図面には図示していない)を備え、例えば、コンベヤは、管状容器アレイを、互いに直行する3次元X-、Y、Zに移動させるように適合される。後者のコンベヤは、実施例4による管状容器41のアレイを自動的に移送し、該アレイを、管状容器ホルダー13内の図1および2に示す位置に配置する機能を果たす。管状容器のアレイ41が該位置にある状態で、各管状容器11内で対応するピペットチップ61によりピペッティング操作が行なわれ、ピペットチップは、使用されていない場合は、管状容器11に隣接する管状容器51内に挿入されて静止している。
【0071】
管状容器11内の廃液が除去されなければならないとき、その目的のために、ピペットチップ61は管状容器11内に自動的に移送され、廃液がピペットチップ61内に吸引され、次いで、この先端が廃棄物接続部71の方に自動的に移送され、その図7に示された位置に配置される。ピペットチップ61が該位置にある状態で、廃液は、先端から廃棄物接続部71内部の回収チャンバ内に噴出される。管状容器11から廃棄物接続部71へのピペットチップ61の移送中、先端61の下側部分は、管状容器アレイ41の後側壁55内の開口部56の1つを通りぬける。
【0072】
本発明の好ましい態様を、具体的な用語を用いて記載したが、かかる記載は単なる例示の目的にすぎず、特許請求の精神または範囲から逸脱することなく、変形および変更が行なわれ得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の装置の斜視図を示す。
【図2】図2は、図1の管状容器11の対称な長軸を通過する面での図1に示された装置の断面図を示す。
【図3】図3は、それぞれが磁石15を保持する磁石ホルダー18の第1の態様のアレイ34の斜視図を示す。
【図4】図4は、複数の磁石15を保持する磁石ホルダー18の第2の態様の斜視図を示す。
【図5】図5は、図1に示される磁石ホルダー18およびそれに挿入された磁石15の第1の態様の断面図を示す。
【図6】図6は、図1に示される磁石ホルダー18およびそれに挿入された磁石15の第2の態様の断面図を示す。
【図7】図7は、本発明の管状容器アレイ41、廃棄物接続部71およびピペットチップ61の、第1の分解斜視図を示す。
【図8】図8は、各々がピペットチップ61を受けるように適合された管状容器51のそれぞれにピペットチップ61が挿入された、本発明の管状容器アレイ41の斜視図を示す。
【図9】図9は、本発明の管状容器アレイ41の第2の斜視図を示す。
【図10】図10は、管状容器アレイ41の断面図を示す。
【図11】図11は、図1および2に示されたピペットチップ61の斜視図を示す。
【図12】図12は、廃棄物接続部71の下側部分74の好ましい態様の模式的断面図を示す。
【符号の説明】
【0074】
11 管状容器
12 管状容器11の長軸
13 管状容器ホルダー
14 管状容器11の側壁
15 磁石
16 磁石15の平坦な外表面
17 移送手段
18 磁石ホルダー
19 ベルトドライブ
21 磁石ホルダー18の空洞
22 板バネ
23 板バネ
24 磁石15の磁軸
25 移動経路
27 歯車
28 歯車
29 張力滑車
31 試料を受ける管状容器のアレイ
33 磁石のアレイ
34 磁石ホルダーのアレイ
41 管状容器のアレイ
43 ピペットチップを受ける管状容器の列
45 管状容器のアレイ41の上側部分
46 区画
47 側壁
48 底壁
51 ピペットチップを受ける管状容器
52 開口部
53 開口部
54 前側壁
55 後側壁
56 後側壁55の開口部
61 ピペットチップ
62 ピペットチップの先端
71 廃棄物接続部/廃棄物接続デバイス
72 廃棄物接続部71の上側部分の空洞
73 廃棄物接続部71の上側部分
74 廃棄物接続部71の下側部分
75 廃棄物容器
81 穴
82 開口部
83 開口部
84 チャネル
85 排出口
86 排出口
87 チャネル部分
88 チャネル部分
89 壁
91 吸引ポンプ
92 流路を示す矢印
93 流路を示す矢印


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気粒子を含む液体から前記粒子を分離するための方法であって、前記液体は、長軸(12)を有する細長い管状容器(11)内に含まれ、前記管状容器は、その長軸(12)が実質的に垂直となる位置で管状容器ホルダー(13)内に配列され、前記管状容器(11)は、該管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する下側部分および前記管状容器(11)の長軸(12)に対して角度をなす外表面を有する側壁(14)を有し、
平坦な外表面(16)を有する磁石(15)を、移動経路(25)に沿って自動的に移動させる工程を含み、ここで、前記磁石の前記平坦な外表面(16)は、前記管状容器(11)の前記下側部分の前記側壁(14)の前記外表面の一部分と、前記移動経路(25)の一部分上で接触しており、前記磁石(15)は、前記移動経路(25)の前記一部分に沿って移動されるとき、前記管状容器(11)の長軸(12)に向かって下方に移動される、方法。
【請求項2】
前記磁石(15)が移動経路(25)の前記一部分に沿って移動される間に、前記磁石(15)の前記平坦な外表面(16)を、管状容器(11)の前記下側部分の前記側壁(14)の前記外表面上に押し付けるために、前記磁石(15)に対して力が負荷される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記移動経路(25)が閉鎖移動経路である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
磁気粒子を含む液体から前記粒子を分離するための装置であって、前記液体は、長軸(12)を有する細長い管状容器(11)内に含まれ、前記管状容器は、その長軸(12)が実質的に垂直となる位置で管状容器ホルダー(13)内に配列され、前記管状容器(11)は、該管状容器の底に向かって小さくなる漸減断面を有する下側部分および前記管状容器(11)の長軸(12)に対して角度をなす外表面を有する側壁(14)を有し、
(a) 平坦な外表面(16)を有し、移動経路(25)に沿って移送手段(17)により移動されるように適合された磁石(15)、ここで、前記磁石(15)および前記移送手段(17)は前記管状容器(11)に対して、前記移動経路(25)の一部分上で前記磁石の前記平坦な外表面(16)が前記管状容器(11)の前記下側部分の前記側壁(14)の前記外表面の一部分と接触するように配列される、ならびに
(b) 前記磁石(15)を、前記移動経路(25)に沿って第1の所定の位置と第2の所定の位置との間で移動させるための移送手段(17)、ここで、前記移動経路は、前記磁石(15)が、前記移動経路(25)に沿って前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置まで移動されるとき、前記磁石(15)が、前記管状容器(11)の長軸(12)に向かって下方に移動されるように配列される、
を備える装置。
【請求項5】
前記移送手段(17)が、
前記磁石(15)の一部分を受けるための空洞(21)を有する磁石ホルダー(18)、および
前記磁石ホルダー(18)を移動させ、それにより前記磁石(15)を前記移動経路(25)に沿って移動させるためのベルトドライブ(19)
を備える、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記磁石ホルダー(18)が、前記磁石(15)が前記移動経路(25)の前記一部分上で移動されるとき、前記磁石(15)および前記管状容器(11)の下側部分の側壁(14)の前記外表面に対して所定の力が負荷され、それにより、前記磁石の前記平坦な外表面(16)と前記管状容器(11)の下側部分の側壁(14)の前記外表面との接触が確保されるように適合されたバネ手段(22,23)を備える、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記磁石(15)が、前記磁石ホルダー(18)の空洞内にぴったりと嵌め込まれる、請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記移動経路(25)が閉鎖移動経路である、請求項4記載の装置。
【請求項9】
前記磁石(15)が、該磁石(15)の前記平坦な外表面(16)に対して45度の角度をなす磁軸(24)を有する、請求項4記載の装置。
【請求項10】
解析装置内で処理される液体試料を入れるのに適した管状容器(41)のアレイであって、
(a) 前記試料を受けるための管状容器(11)の第1の列(31)、
(b) 各々がピペットチップ(61)を受けるように適合された管状容器(51)の第2の列(43)、
(c) 実質的に直平行六面体形状を有する上側部分(45)であって、各々が側壁(47)および底壁(48)を有する区画(46)に分けられた上側部分(45)、ここで、試料を受けるための管状容器(11)およびピペットチップ(61)を受けるための管状容器(51)は、前記区画(46)の各々の底壁(48)内のそれぞれの開口部(52, 53)から延びている、
を備え、
前記区画(46)は各々、後側壁(55)および該後側壁に向かい合って位置する前側壁(54)を有し、各々が区画の後側壁と前側壁の間に延びている側壁(47)によって互いに分離されている、ならびに
前記前側壁(54)は各々、ピペットチップ(61)が管状容器(41)のアレイ内の位置から管状容器(41)のアレイの外側の位置に移動されるとき、該ピペットチップの先端(62)の通過を可能にする中央開口部(56)を有する、
管状容器(41)のアレイ。
【請求項11】
前記上側部分(45)が第1の可塑性材料の射出成形によって作製され、管状容器の前記第1の列(31)および管状容器の前記第2の列(43)が、第2の可塑性材料の射出成形によって作製され、前記上側部分(45)の材料が、管状容器の前記第1および第2の列(31, 43)の材料よりも(that)堅い、請求項10記載の管状容器のアレイ。
【請求項12】
磁気粒子を含む複数の液体から前記粒子を分離するための装置であって、前記液体の各々は、管状容器のアレイ(31)の一部である管状容器(11)内に入っており、
(a) 請求項10または11記載の管状容器のアレイ、および
(b) 管状容器(11)の前記アレイ(31)を、管状容器の前記アレイ(31)の管状容器(11)内に含まれた廃液の処分のための手段に接続するための接続デバイス(71)
を備える、装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−531676(P2009−531676A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501913(P2009−501913)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002491
【国際公開番号】WO2007/112862
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】