説明

磁性粒子を含有するコーティングにおいて磁気誘導されたしるしを作成するための方法および手段

この発明は、シートまたはウェブなどの基板上に塗布された湿ったコーティング層に対し、デザインまたは画像などのしるしを磁気的に転送するための装置に関する。当該コーティング層は少なくとも1つの種類の磁性粒子または磁化可能な粒子を含む。当該装置は、a)レリーフ、型彫りまたは切抜きを有しており、そのレリーフ表面が到達可能なままとなるように装着された少なくとも1つの磁化された永久磁石板(2)と、b)上記少なくとも1つの永久磁石板の下方に配置され、レリーフ、型彫りまたは切抜きとは反対側にある磁石板の表面に面する少なくとも1つの付加的な磁石(3)と、c)部品を固定位置に一緒に保持するための機械的機能を有する保持器(1)とを含む。装置を製造するための方法、装置の使用、および、当該装置で得られる磁気誘導されたデザインも開示されており、これらは、貨幣、有価証券および本人確認書類を保護するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セキュリティドキュメント印刷の分野におけるものであり、セキュリティデザインを磁気インク層、特に、傾けると色が変わる特殊な磁気インク(color-shifting
magnetic ink)層に転送するための装置を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
視角に依存した色効果を示すマーキング(「光学可変デバイス」(OVD:optically variable devices))は、紙幣やセキュリティドキュメントに対する有効なコピー防止手段として用いられている。OVDの中でも、光学可変インク(OVI(登録商標):optically variable ink;EP227,423Bl)は、1987年に貨幣に対して初めて導入されて以来、極めて顕著な地位を獲得してきた。光学可変インクは、光学可変色素(OVP:optically variable pigment)に基づいて作製されるものであり、好ましいタイプのOVPとしては、US4,705,300;US4,705,356;US4,721,217;US4,779,898;US4,930,866;US5,084,351、および関連する開示文献に記載された薄膜の光学干渉片が挙げられる。他の有用なタイプのOVPとしては、US5,624,486およびUS5,607,504に記載される多重コーティングされた粒子、ならびに、US5,807,497およびUS5,824,733に記載される薄膜コレステリック(すなわち、キラルネマティック)液晶色素が含まれる。
【0003】
セキュリティドキュメント、たとえば紙幣、上に光学可変印刷された特徴は、主に、2つ以上の異なる視野角、すなわち、少なくとも直角に近い視野、かつ、かすめに近い視野で光学可変特徴の色を検査することにより人が肉眼で文書を確認することに向けられている。上述の角度依存の色は、真正性についての単純なメッセージであり、写真複写機で複製することはできないが、一般人が迅速かつ容易にチェックできるものである。
【0004】
WO2005/002866A1として公開され、引用によりこの明細書中に含まれている上述の開示において、出願人は、光学可変印刷されたセキュリティ要素に対する改善例を提案している。これは、特別な磁気配向(magnetic orientation)装置を用いた印刷プロセスにおいてコーティング層中の磁気光学可変色素粒子を特定的に高解像度で配向することにある。
【0005】
この目的で使用することのできる磁気光学可変色素は、US4,838,648、EP686,675Bl、さらに好ましくは、WO02/73250A2およびWO03/00801A2に開示されている。
【0006】
コーティング層における磁性粒子の配向のための方法および装置は、US3,676,273;US3,791,864;EP406,667Bl;EP556,449Bl;EP710,508A1;WO02/90002A2に開示されているが、これらの文献はいずれも、高速印刷プロセスにおいて、高解像度の磁気配向パターンを如何にして磁気コーティング層に転送することができるかについては、当業者に示していない。
【0007】
WO2004/007095A2、A3およびWO2004/007096A2、A3の出願は、コーティング層における磁性色素片の配向を開示しており、これは、3次元の物体を想到させる色および反射率の、平坦ではあるが滑らかな変化を示す審美的に訴求力のある鮮やかな光学可変デザイン(optically variable designs)を作成するためのもの
である。これらのコーティングおよび関連する効果は、高速印刷プロセスで得ることができる。しかしながら、これらの方法および装置の欠点は、高解像度のデザインを磁気コーティング層に転送できないことである。
【0008】
他方では、WO2005/002866A1の装置では、高解像度の磁気配向パターンを光学可変磁気コーティング層に転送することが可能となる。しかしながら、その主な欠点は、結果として得られる画像の美観が欠けてしまうことであり、外観が鈍くくすんだものになってしまう。これは、上述の磁気配向装置において必要とされる垂直磁化に起因するものとして、配向されたコーティング層の大部分にわたり、印刷された基板面に対して磁性色素片を垂直配向したことの結果として起こることである。
【0009】
結果として得られるデザインが高度に分解された鮮明な特徴および鮮やかな外観全体を示すようにコーティング層に板状の磁性色素粒子を配向することについての技術的問題は、これまでのところ解決されていない。
【0010】
したがって、色素粒子の磁気配向により、鮮やかで高解像度のデザインまたは画像を光学可変磁気コーティング層に転送することを可能にする改善された磁気配向装置が必要とされる。当該装置はさらに、信頼性が高く、実現が容易で、高速の印刷速度で機能できるものでなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の技術的問題は、独立クレームに従って、表面のレリーフ、型彫り(engravings)または切抜きを有する磁石板を付加的な磁気素子と組合せることによって解決される。この発明はさらに、実現が容易で、非常に確実な方法で印刷物上に、顧客別の高解像度磁気デザインを実現する際の問題に対処する。
【0012】
この開示の文脈において、「磁気、磁性(magnetic)」という語は、それ自体が磁界の源となる材料を指している。「磁化可能な(magnetizable)」という語は、その源なしに磁界に反応する材料を指している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の磁気配向装置は、WO2005/002866A1に開示されているような、レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する到達可能な表面を備えた少なくとも1つの永久磁石板と、上述のレリーフ磁石板の下に配置された、すなわち、たとえば図1に概略的に示されるように、レリーフ表面とは反対側側の磁石板の表面に面する、永久磁石または電磁石であり得る少なくとも1つの付加的な磁石とを含む。少なくとも1つの磁石板および少なくとも1つの付加的な磁石は、保持器に機械的に固定される。
【0014】
上述のレリーフ永久磁石板は、この明細書中では、レリーフ表面に対してほぼ垂直な方向に磁化され、上述のレリーフが、WO2005/002866A1に開示されるようなその磁界の局所的な乱れを引起す。レリーフ表面はさらに、平坦であってもまたは湾曲していてもよい。上述の付加的な磁石の磁化方向は同じであっても、または異なっていてもよく、レリーフ磁石板の磁化方向と合致していても、または合致していなくてもよい。上述のとおり、永久磁石板は、レリーフ、型彫りもしくは切抜き、またはそれらの組合せを有し得る。切抜かれた磁石板は、型彫りの極端な変形例として見ることもでき、型彫りの深さは板の厚さと等しくなっている。当業者に理解されるように、切抜かれた磁石板は、その異なる部分の相互の配置を維持するために、支持部上に装着される必要があるかもしれない。レリーフ板は、さらに、材料のアブレーション、成形、重合などの、当業者にとって公知であるあらゆる方法によって得ることができる。
【0015】
発明者は、本発明の効果を得るために、レリーフ磁石板および上述の付加的な磁石が、いずれの場合にも、「強制的」に、すなわち、それらの自然な磁気引力によりとることとなる位置とは異なる相互の位置において組立てられなければならないことを発見した。
【0016】
この開示の文脈においては、湾曲した表面は、第1の次元(a first dimension)においてのみ湾曲しており、当該第1の次元に垂直な第2の次元(a second dimension)においては湾曲していない面として規定される。ほぼ垂直とは、当該表面に対する法線方向からのずれが30°を越えないものとして理解されるべきである。
【0017】
磁気配向装置は、こうして、a)レリーフ、型彫りまたは切抜きを有し、そのレリーフ表面が到達可能なままとなるように装着された少なくとも1つの磁化された永久磁石板(2)と、b)上記少なくとも1つの永久磁石板の下方に配置され、レリーフとは反対側の磁石板の表面に面する少なくとも1つの付加的な磁石(3)と、c)固定された位置で部品をともに保持するための機械的機能を有する保持器(1)とを含む。
【0018】
上述の少なくとも1つの付加的な磁石は、永久磁石材料からできていてもよく、たとえば、コバルト、鉄およびそれらの合金、二酸化クロム、一般の磁性酸化物スピネル、一般の磁性ガーネット、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのヘキサフェライト(それぞれ、CaFe12O19、SrFe12O19、BaFe12O19)を含む一般の磁性フェライト、一般のアルニコ合金、一般のサマリウム−コバルト(SmCo)合金、および一般の希土類鉄ボロン合金(NdFeBなど)、ならびに、(一般という語で示されるような)その永久磁石の化学的誘導体、およびそれらを含有する混合物を含む。これはさらに、ポリマー結合された複合磁性材料でできていてもよい。これに加えて、磁石は、当業者に公知のような電流コイルを含む電磁石として具体化されてもよい。
【0019】
磁石はまた、磁界を誘導するために存在する補助的な磁化可能材料を含み得る。電磁石の場合、磁化可能な材料は鉄心などであってもよく、その極は所望の形状および大きさに形作られている。
【0020】
上述の少なくとも1つの付加的な磁石は、上述のレリーフ磁石板の磁化方向に垂直に、もしくは代替的には当該磁化方向に沿って、または、場合によっては、特定の磁石設計によって課される技術要件に応じて任意の磁化方向に沿って磁化される。
【0021】
上述の少なくとも1つの付加的な磁石はまた、整列した磁化、相互に対向している磁化、任意の磁化またはこれらの組合せを有する複数の磁石によって具体化され得る。
【0022】
この発明に従った磁気配向装置を用いることにより、磁性粒子または磁化可能な粒子、好ましくは磁気光学可変色素を含むコーティングにおいて磁気誘導された画像(しるし(indicia))を作成することができる。
【0023】
この発明の磁気配向装置を組立てるプロセスは、交換可能なステップ、すなわち、a)表面レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する少なくとも1つの磁化された永久磁石板(2)を、そのレリーフ表面が到達可能なままとなるように保持器(1)に固定するステップと、b)少なくとも1つの付加的な磁石(3)を、当該磁石がリリーフとは反対側にある磁石板の表面に面するように、そして、磁石および板の相互の位置がそれらの自然な磁気相互作用によってとることとなる位置とは異なるように、上記保持器(1)に固定するステップとを含む。
【0024】
磁気配向装置は、印刷機または他の工業機器の一部であり得、特に、枚葉給紙式または
連続的なロール・ツー・ロール式(roll-to-roll)の印刷プロセスにおける高速の連続運転を可能にするために回転シリンダに搭載することができる。
【0025】
磁気的に配向されたデザインまたは画像を作成するプロセスは、連続的なステップ、すなわち、a)平坦な基板またはウェブ(S)の第1の表面上にコーティング層(I)を塗布するステップを含み、当該コーティングは磁化された粒子または磁化可能な粒子を含み、当該プロセスはさらに、b)コーティングが湿っている間、この発明に従った磁気配向装置のレリーフ表面に対してコーティングを露出し、これにより、コーティングにおいて磁性粒子または磁化可能な粒子を配向するステップと、c)配向されたコーティング層を固め、これにより、磁気誘導された画像を永久的に固定するステップとを含む。当該露出するステップは、当該コーティングを当該レリーフ表面に接近させることにより、または、当該コーティングを有する当該第1の表面とは反対側にある基板(S)の第2の表面を当該レリーフ表面と接触させることにより実行される。
【0026】
湿ったコーティングとは、この開示の文脈においては、まだ固められていないかまたは硬化されていない、ペースト状または液状で基板に施されるコーティング組成を意味する。
【0027】
コーティングは、当業者に公知のように、たとえば、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、凹版印刷、バーコーティングによって、および、対応するインクを用いるさらに他のコーティングプロセスによって、基板に塗布することができる。好ましい塗布方法には、特別に企図されたインクを用いたスクリーン印刷があり、当該出願人の係属中の出願であるEP06113891.3(2006年5月12月)に開示されている。
【0028】
硬める(硬化させる)ステップは、当業者に公知のとおり、たとえば、物理的乾燥(溶媒の蒸発)、UV硬化、電子ビーム硬化、ヒートセット、酸化重合を通じて、またはその組合せにより、またはさらに他の硬化メカニズムにより、実行することができる。この発明の文脈においては、迅速で安価であるUV照射による硬化が好ましい。
【0029】
磁性粒子または磁化可能な粒子、好ましくは光学可変磁性色素粒子を含むコーティング層においてこの発明に従って生成された磁気的に配向されたデザインは、紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙などのセキュリティ要素として、ならびに製品のセキュリティ用途のために用いることができる。
【0030】
好ましい光学可変色素の具体的な実施例には、当業者にとって公知である、US4,838,648に記載される5層型のもの、たとえばCr/MgF2/M/MgF2/Cr、または、WO02/73250に記載される7層型のもの、たとえばCr/MgF2/A1/M/A1/MgF2/Crが挙げられる。この明細書中では、「M」は磁性材料を表す。金属/誘電体/金属(Cr/MgF2/M、それぞれ、Cr/MgF2/Al)のファブリ・ペロ(Fabry-Perot)積層は、色および角度に依存した色ずれをもたらし、磁性中心層(M)は磁気特性をもたらす。
【0031】
結果として、この発明に従って作成された磁気的に配向されたデザインまたは画像を有する紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベル、窓、箔、スレッド(threads)を保護するのためのセキュリティ要素も主張される。
【0032】
さらに、この発明に従って作成された磁気的に配向されたデザインまたは画像を有する紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベルまたは製品のセキュリティ応用例などのセキュリティドキュメントも主張される。
【0033】
この発明に従った装置のさらなる利点は、転送すべきしるしが、レリーフの適切な選択や、下にある磁石の位置によって随意に規定可能になることである。当該装置は、可鍛金属またはポリマーのマトリクス中に脆い永久磁石粉を含有する永久磁石複合材料などの、機械的に作用可能な永久磁石材料を用いて実現することができる。さらに、当該装置は、永久磁石材料のポリマー結合体(プラストフェライト(Plastoferrite))におけるレリーフとして最も容易に実現することができる。当該装置のさらなる利点は、レリーフデザインの性質および付加的な磁石配置の性質に関して完全に個別に設計できることである。
【0034】
磁性材料のポリマー結合体は、この開示の文脈においては、構造的バインダとしてのゴム状またはプラスチック状のポリマーと、増量剤または「充填剤」としての永久磁石粉末材料とを含む複合材料である。好ましいポリマーバインダには、ゴム状の可撓性材料、たとえば、ニトリルゴム、ノーデル(Nordel)(登録商標)(EPDM炭化水素ゴム)、およびナトシン(Natsyn)(登録商標)(ポリイソプレン)、さらに、ナイロン(Nylon)6(ポリカプロラクタム(poly-caprolactam))、ナイロン12(ポリラウロラクタム(poly-laurolactam))、ポリアミド、ポリフェニレン・スルフィド(PPS)、エポキシ樹脂およびハイパロン(Hypalon)(登録商標)(クロロスルホン化ポリエチレン)などが含まれる。
【0035】
好ましい永久磁石粉末材料には、コバルト、鉄およびそれらの合金、二酸化クロム、一般の磁性酸化物スピネル、一般の磁性ガーネット、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのヘキサフェライト(それぞれ、CaFe12O19、SrFe12O19、BaFe12O19)を含む一般の磁性フェライト、一般のアルニコ合金、一般のサマリウム−コバルト(SmCo)合金、および一般の希土類鉄ボロン合金(NdFeBなど)、ならびに、(一般という語で示されるような)その永久磁石の化学的誘導体、およびそれらを含む混合物が含まれる。磁性材料のポリマー結合体は、多くの異なる供給源、たとえばグループ・アーノルド(Group ARNOLD)(Plastiform(登録商標))、または、イタリア(Italy)、ミラノ(Milano)のアルバイラーテ(Albairate)にあるマテリアリ・マグネチック(Materiali Magnetici)から入手可能である。代替的には、特別に設計されたポリマー/磁石複合物を用いることができる。
【0036】
上述の磁性粉末材料は磁気的に等方性であり得るか、または磁気的に異方性であり得る。磁気的に異方性の粉末材料の場合、磁性粉末粒子は、上述のレリーフを有する磁気シートの延在した表面に対して垂直に選択された好ましい磁化方向を決定するために、好ましくはマトリクスまたはバインダにおいて配向される。また、磁性材料の等方性ポリマー結合体は、すべての方向に等しく十分に磁化され得る。
【0037】
永久磁石複合材料体は、有利には、他の点では脆く十分に作用し得ないフェライト、アルニコ、希土類またはさらに他の磁石がもつ所望の磁気特性(高い保磁力)を、可鍛金属またはプラスチック材料がもつ所望の機械的特性(可撓性、機械加工性、耐衝撃性)と組合せている。
【0038】
磁気複合材料体は、一般に入手可能である機械的なアブレーション工具および機械、ならびに空気もしくは液体ジェットアブレーションまたはレーザアブレーション工具を用いて、たとえば適切な大きさおよび形状に切断され、たとえば曲げて機械的に作動させることができる薄く可撓性のある板として、所望の大きさおよび形状で得ることができる。
【0039】
複合永久磁石材料体のレリーフが実現され得るのは、当該技術において公知の如何なる方式および方法であってもよく、成形によって、手作業の型彫りによって、機械的な型彫り機によって、さらには、コンピュータ制御された型彫りステーションによってなされて
もよく、これにより、機械的工具の助けを借りて、または研磨剤の気体もしくは液体ジェットで、または、たとえばCO2レーザ、Nd−YAGレーザもしくはエキシマレーザを用いたレーザアブレーションによって型彫りがなされてもよい。
【0040】
当業者に理解されるように、永久磁石板はまた、型彫りではなく切削または成型によって特定の大きさおよび形状にすることもできる。そこから穴が切抜かれてもよく、または、切抜かれた部品が支持部の上で組立てられてもよい。さらに、少なくとも1つの磁石板と下にある少なくとも1つの付加的な磁石との間には予め定められた如何なる大きさ関係もあるべきではないことも理解される。
【0041】
本発明に従うと、複合永久磁石材料、好ましくは異方的に配向された材料のシート状体または板状体は、好ましくはシートのレリーフ表面に実質的に垂直な方向に型彫りまたは成形されて、次いで磁化される。この開示の文脈においては、実質的に垂直とは、垂直方向からのずれが30°を越えない方向を意味し、実質的に平行とは、平行方向からのずれが30°を越えない方向を意味する。
【0042】
本発明に従うと、ユーザによって規定されたしるしは、上述の永久磁石複合材料体のもつ少なくとも1つの表面に型彫り、切削または成形して設けられる。レリーフはここでは、磁化作業の前または後に作成することができる。レリーフは、局所的な磁界の著しい乱れを表面に引起こすために十分に深くなければならない。上述の局所的な磁界の乱れは、磁性材料が局所的に欠如していることによるものであるが、磁界線がレリーフの下方部分へと下向きに曲がった部分に現れ、印刷物上の湿ったコーティング層において磁性粒子を対応して配向させる。このとき、このコーティング層は、当該装置に十分に近づけられており、たとえばレリーフ磁気装置の上部に配置されている。
【0043】
本発明は、いかなるタイプのインプリント可能なシートまたはウェブ材料に対して、特に、紙幣、有価証券、公文書、消費税印紙、ラベル、箔、スレッドまたは転写紙を作成するのに用いられる材料に対しても実施可能である。インプリント可能なシートまたはウェブ材料はさらに、紙またはポリマー(PE、PPまたはPVCなど)であってもよく、単層および多重層を含んでいてもよい。
【0044】
ここで、図およびいくつかの具体的な実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】保持器(1)が、垂直磁化を有するレリーフ磁石板(2)と、水平磁化を有する付加的な磁石(3)とを含んでいる、本発明の装置の実施例を概略的に示す図である。
【図2】水平磁化および対向する極を有する2つの付加的な磁石(3a,3b)を含む、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図3】垂直磁化および交流極を有する2つの付加的な磁石(3a,3b)を含む、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図4】垂直磁化および対向する極を有する2つの付加的な磁石(3a,3b)を含み、対向する極が磁石板の極とも対向している、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図5】垂直磁化および交流極を有する2つのレリーフ磁石板(2a,2b)と、水平磁化を有し、磁石板の極に対向している極を有する付加的な磁石(3)とを含む、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図6】視野方向に沿って配置され、部分的に対向している極を有する種々の付加的な磁石(3)を含む、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図7】視野方向に沿って配置され、整列した極を有する2つの付加的な磁石(3)を含む、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図8】視野方向に沿って配置され、対向する極を有する2つの付加的な磁石(3)を含む、本発明の装置の代替的な実施例を概略的に示す図である。
【図9】アルミニウムから切削され、印刷機の回転ドラムに搭載されるよう設計されており、下方面において断面が10×30mmの2つの永久磁石と、上方面において断面が40×30mmのレリーフ永久磁石板とを有し得る保持器(1)の実施例を示す上面図である。
【図10】a)WO2005/002866A1に従ったレリーフ磁石板装置における;b)本願に従ったレリーフ磁石板と付加的な磁石とを組合せた装置における、算定された磁界を示す図である。
【図11】a)WO2005/002866に従った装置で得られる;b)この発明に従ったレリーフ磁石板と付加的な磁石とを組合せた装置で得られる、コーティング層における磁気光学可変色素片の配向されたパターンを示す概略図である。
【図12】a)WO2005/002866に従った装置で配向された磁気コーティング層における画像;b)この発明に従ったレリーフ磁石板と付加的な磁石とを組合せた装置で配向された磁気コーティング層における画像、の複製を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
具体的な実施例
具体的な実施例においては、図7、図8に従い、特に図9を参照すると、アルミニウムの塊から切抜かれた保持器(1)は、SrFe1219のセラミックで作られた10×l0×30mmの2本の永久磁石棒(3a,3b)を下方面に含むよう作製されている。これらの永久磁石は、圧搾メカニズムおよびねじによって適所に固定および保持される。2つの永久磁石の極が図7または図8に図示のとおり配置される。上述の永久磁石棒の上には、「プラストフェライト」でできた40×30×3mmのレリーフ永久磁石板(2)が、そのレリーフが到達可能なままになるように(すなわち、上部から見えるように)適所に配置され、固定される。
【0047】
プラストフェライト板は、機械的な型彫り工具を用いて、または好ましくは、自動式のCO2レーザまたはYAGレーザの型彫り工具を用いて、所望の高解像度パターンで型彫りされる。
【0048】
保持器(1)は、枚葉給紙型の高速印刷/画像転送機の回転式画像転送シリンダに嵌合するような形状にされる。基板シート(S)の上面には、当該出願人の係属中の出願EP06113891.3(2006年5月12日)において開示されているタイプの光学可変スクリーン印刷インクを用いて、前のステップで、磁気光学可変インク層(I)がインプリントされる。印刷されたインク層(I)がまだ湿っている間に、インプリントされたシート(S)の下方面を、上記シリンダの半回転分だけ、回転式画像転送シリンダと接触させる。
【0049】
レリーフ磁石板の磁界に対する付加的な磁石の影響の例が図10に示される。図10aは、先行技術(WO2005/002866)に従ったレリーフ磁石板の磁界を示す。レリーフ上方の磁界線は、レリーフの縁端部を除いて、板に対して実質的に垂直である。板のN極は、レリーフを有する表面にあり、そのS極はその反対側にある。図10bは、図10aにおけるのと同じレリーフ磁石板を含む装置の磁界を示しているが、当該装置は付加的な永久磁石も有しており、当該付加的な永久磁石は、図の左側にS極を有し、図の右側にN極を有するようにレリーフ表面とは反対側に固定されている。
【0050】
レリーフ上方の磁界線は、図の左側に対して実質的に平行であり(ここでは、付加的な磁石のS極はレリーフ磁石板のS極に面しており、反発相互作用を引起している)、図の
右側に実質的に垂直である(ここでは、付加的な磁石のN極はレリーフ磁石板のS極に面しており、引力相互作用を引起している)。磁石板のレリーフにおける高解像度の磁界の変化は、依然として存在している。反発磁気相互作用のある側で板上方の磁界が平坦化していることが明確に示されている。
【0051】
図11は、上述の企図された両方の場合について、レリーフ上方に配置されたコーティングにおいて結果として得られた磁気薄片の配向を概略的に示す。図11aは、先行技術(WO2005/002866)に従ったレリーフ磁石板がもたらす薄片の配向を概略的に示す。レリーフ板の高解像度のデザインは、垂直な薄片配向の広い背景(区域D)において水平の薄片配向(区域A、B、C)の狭いゾーンとして現れる。これら後者は、鈍いゾーン(dull zones)として光学的に現れる。図11bは、上述の図10bに対応する、付加的な磁石と組合されたレリーフ磁石板を有する装置がもたらす薄片の配向を概略的に示す。レリーフ板の高解像度のデザインはさらに、薄片配向が異なっている狭いゾーン(ゾーンA、B、C)として現れるが、背景の薄片配向は、磁石板と付加的な磁石との間において反発相互作用の側から引力相互作用の側に移動するとき、水平(ゾーンD1)から、漸進的な傾斜(ゾーンD2、D3)を経て、垂直(ゾーンD4)へと徐々に変化する。
【0052】
この発明の装置を用いて磁気コーティングにもたらすことのできる訴求力のある光学的効果についての実施例の図が、先行技術と比較して図12に示される。図12aは、先行技術(WO2005/002866)に従った装置で得られるような「蝶(butterfly)」のロゴの光学可変画像を示す。図12bは、磁界の方向を制御するために付加的な磁石と組合わされた場合に、同じレリーフ磁石板で得られる訴求力のある光学的効果を示す。
【0053】
この発明は、こうして、コーティングに適したシートまたはウェブなどの基板(S)上に層として塗布される湿ったコーティング組成(I)に対してしるしを磁気的に転送するための装置を主張している。当該コーティング組成(I)は、少なくとも1つの種類の磁性色素片または磁化可能な色素片を含み、当該装置は、第1の磁界を有し、その表面上に当該しるしを示す表面レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する少なくとも1つの磁化された磁石板(2)と、第2の磁界を有する少なくとも1つの付加的な磁石(3,3a,3b)とを含む。当該付加的な磁石(3,3a,3b)は、それらの磁界の実質的な部分的重なりをもたらすように、磁石板(2)の近傍に固定して位置決めされる。
【0054】
実質的な部分的重なりとは、少なくとも1つの付加的な磁石が、磁石板のレリーフ表面の一地点における全磁界に対して少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%の寄与をもたらすことを意味する。
【0055】
磁石板(2)および付加的な磁石(3,3a,3b)は、好ましくは、レリーフを持たない少なくとも1つの表面区域における当該レリーフ表面の面に対して45°未満の角度を有する磁界を生成するように配置される。
【0056】
磁石板(2)は、好ましくは、磁化された永久磁石板(2)であり、その表面(S)が到達可能なままとなるように装着されており、付加的な磁石(3)または磁石(3a,3b)は、レリーフ、型彫りまたは切抜きとは反対側にある永久磁石板の表面に面し当該永久磁石板(2)に近接して、好ましくその下方に配置されている。当該装置はさらに、磁石(3,3a,3b)および板(2)をそれらの位置で保持するための固定手段を含み、当該固定手段は、好ましくは、保持器(1)および/または接着剤(1a)および/または成形されたポリマー基板(1b)を含む。
【0057】
レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する永久磁石板(2)、および、付加的な磁石(3,3a,3b)は、好ましくは、それらの間において作用する固有の磁力に対して保持さ
れる位置で装着される。
【0058】
レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する永久磁石板(2)は、好ましくは、構造的バインダとしてのポリマー、好ましくはゴム状またはプラスチック状のポリマー、および充填剤としての永久磁石粉を含む複合材料である。
【0059】
付加的な磁石(3)は、好ましくは、永久磁石板(2)の磁化方向と実質的に垂直に、または、永久磁石板(2)の磁化方向と実質的に平行に磁化される。
【0060】
上記少なくとも1つの付加的な磁石(3)は、整列した磁化、相互に対向している磁化、任意の磁化またはこれらの組合せを有する複数の磁石(3c)を含む。
【0061】
本発明に従った装置は、磁性粒子または磁化可能な粒子、好ましくは磁気光学可変色素片を含むコーティングにおいて磁気誘導されたしるしを作製するのに用いることができる。
【0062】
少なくとも1つのコーティング層(I)を有する基板(S)がさらに主張されており、当該コーティング層(I)は、少なくとも1つの種類の磁性色素片または磁化可能な色素片を含み、しるしは、湿ったコーティング層(I)を上述の装置の磁界に対して露出し、次いで、コーティング層(I)を固めるかまたは硬化させることにより、磁性色素片または磁化可能な色素片を選択的に配向することで、コーティング層(I)において具体化される。好ましくは、しるしを有さないコーティングの少なくとも1つの区域における色素片は、実質的に、少なくとも1つの表面区域における上記コーティング層(I)の面に対して45°未満の角度をとるように配向される。
【0063】
基板(S)は、好ましくは、磁気的に配向されたデザインまたはしるしを有する紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベル、窓、箔、スレッド、製品、包装材料を保護するためのセキュリティ要素である。
【0064】
代替的な実施例においては、基板(S)は、好ましくは、磁気的に配向されたデザインまたはしるしを有する紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベルまたは製品などのセキュリティドキュメントである。
【0065】
基板(S)においては、好ましくは、色素のうち50%を上回る色素が、基板(S)の表面に対して45°未満の角度で整列させられる。
【0066】
シートまたはウェブなどの基板(S)にしるしを転送するための方法がさらに主張される。当該方法は、a)少なくとも1つの種類の磁性色素片または磁化可能な色素片を含むコーティング組成(I)の層を、基板(S)の第1の表面のうち少なくとも一部に塗布するステップと、b)コーティングされた基板(S)を、コーティングが湿っている間に、装置の磁界に対して露出するステップとを含み、当該装置は、第1の磁界を有し、その表面上に上記しるしを示す表面レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する少なくとも1つの磁化された磁石板(2)と、第2の磁界を有する少なくとも1つの付加的な磁石(3,3a,3b)とを含み、付加的な磁石(3,3a,3b)は、それらの磁界の実質的な部分的重なりをもたらすように磁石板(2)の近傍に固定して位置決めされる。当該方法はさらに、c)コーティング組成(I)を固めるかまたは硬化させ、これにより、配向された磁性色素片または磁化可能な色素片の配向を不可逆的に固定するステップを含む。
【0067】
上述の方法においては、磁石板(2)および付加的な磁石(3,3a,3b)は、好ましくは、レリーフを有さない少なくとも1つの表面区域における上記レリーフ表面の面に
対して45°未満の角度を有する磁界を生成するように配置される。
【0068】
上述の方法においては、露出するステップは、当該コーティング組成(I)を上記磁石板の上記レリーフ表面に接近させるオプション、および、上記コーティング組成(I)を有する上記第1の表面とは反対側の基板(S)の第2の表面を上記磁石板の上記レリーフ表面に接触させるオプションから選択される。
【0069】
上述の方法は、好ましくは、印刷機上の回転可能なシリンダ上に、固定して位置決めされた磁石板(2)および付加的な磁石(3)を装着するステップをさらに含む。
【0070】
請求項13から16のいずれかに従って作製された、磁気的に配向されたデザインは、紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベル上の、および製品のためのセキュリティ要素として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングに適したシートまたはウェブなどの基板(S)上に層として塗布される湿ったコーティング組成(I)に対し、しるしを磁気的に転送するための装置であって、前記コーティング組成(I)は、少なくとも1つの種類の磁性色素片または磁化可能な色素片を含み、前記装置は、
第1の磁界を有し、その表面上に前記しるしを示す表面レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する少なくとも1つの磁化された磁石板(2)と、
第2の磁界を有する少なくとも1つの付加的な磁石(3,3a,3b)とを含み、前記付加的な磁石(3,3a,3b)は、それらの磁界の実質的な部分的重なりをもたらすように、磁石板(2)の近傍に固定して位置決めされ、
レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する永久磁石板(2)、および、付加的な磁石(3,3a,3b)は、それらの間において作用する固有の磁力に対して保持される位置で装着される、装置。
【請求項2】
磁石板(2)および付加的な磁石(3,3a,3b)は、レリーフを持たない少なくとも1つの表面区域における前記レリーフ表面の面に対して45°未満の角度を有する磁界を生成するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
磁石板(2)は、磁化された永久磁石板(2)であり、その表面(S)が到達可能なままとなるように装着されており、付加的な磁石(3)または磁石(3a,3b)は、レリーフ、型彫りまたは切抜きとは反対側にある永久磁石板の表面に面し前記永久磁石板(2)に近接して、好ましく前記永久磁石板(2)の下方に配置されており、前記装置はさらに、磁石(3,3a,3b)および板(2)をそれらの位置で保持するための固定手段を含み、前記固定手段は、好ましくは、保持器(1)および/または接着剤(1a)および/または成形されたポリマー基板(1b)を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する永久磁石板(2)は、構造的バインダとしてのポリマー、好ましくはゴム状またはプラスチック状のポリマー、および充填剤としての永久磁石粉を含む複合材料である、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
付加的な磁石(3)は、永久磁石板(2)の磁化方向と実質的に垂直に、または、永久磁石板(2)の磁化方向と実質的に平行に磁化される、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの付加的な磁石(3)は、整列した磁化、相互に対向している磁化、任意の磁化またはこれらの組合せを有する複数の磁石(3c)を含む、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
磁性粒子または磁化可能な粒子、好ましくは磁気光学可変色素片を含むコーティングにおいて磁気誘導されたしるしを作製するための、請求項1から6のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項8】
少なくとも1つのコーティング層(I)を有する基板(S)であって、前記コーティング層(I)は、少なくとも1つの種類の磁性色素片または磁化可能な色素片を含み、しるしは、湿ったコーティング層(I)を請求項1から6のいずれかに記載の装置の磁界に対して露出し、次いで、コーティング層(I)を固めるかまたは硬化させることにより、磁性色素片または磁化可能な色素片を選択的に配向することで、コーティング層(I)において具体化される、基板。
【請求項9】
しるしを有さないコーティングの少なくとも1つの区域における色素片は、実質的に、少なくとも1つの表面区域における前記コーティング層(I)の面に対して45°未満の角度をとるように配向される、請求項8に記載の基板。
【請求項10】
基板(S)は、紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベル、窓、箔、またはスレッドを保護するためのセキュリティ要素である、請求項8または9に記載の基板。
【請求項11】
基板(S)は、紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベルまたは製品などのセキュリティドキュメントである、請求項8または9に記載の基板。
【請求項12】
色素のうち50%を上回る色素が、基板(S)の表面に対して45°未満の角度で整列させられる、請求項8から11のいずれかに記載の基板。
【請求項13】
シートまたはウェブなどの基板(S)にしるしを転送するための方法であって、
a)少なくとも1つの種類の磁性色素片または磁化可能な色素片を含むコーティング組成(I)の層を、基板(S)の第1の表面のうち少なくとも一部に塗布するステップと、
b)コーティングされた基板(S)を、コーティングが湿っている間に、装置の磁界に対して露出するステップとを含み、前記装置は、第1の磁界を有し、その表面上に前記しるしを示す表面レリーフ、型彫りまたは切抜きを有する少なくとも1つの磁化された磁石板(2)と、第2の磁界を有する少なくとも1つの付加的な磁石(3,3a,3b)とを含み、付加的な磁石(3,3a,3b)は、それらの磁界の実質的な部分的重なりをもたらすように磁石板(2)の近傍に固定して位置決めされ、前記方法はさらに、
c)コーティング組成(I)を固めるかまたは硬化させ、これにより、配向された磁性色素片または磁化可能な色素片の配向を不可逆的に固定するステップを含む、方法。
【請求項14】
磁石板(2)および付加的な磁石(3,3a,3b)は、レリーフ、型彫りまたは切抜きを有さない少なくとも1つの表面区域における前記レリーフ表面の面に対して45°未満の角度を有する磁界を生成するように配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記露出するステップは、前記コーティング組成(I)を前記磁石板の前記レリーフ表面に接近させるオプション、および、前記コーティング組成(I)を有する前記第1の表面とは反対側の基板(S)の第2の表面を前記磁石板の前記レリーフ表面に接触させるオプションから選択される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、印刷機上の回転可能なシリンダ上に、固定して位置決めされた磁石板(2)および付加的な磁石(3)を装着するステップをさらに含む、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
紙幣、有価証券、本人確認書類、カード、税納印紙、ラベル上の、および製品のためのセキュリティ要素としての、請求項13から16のいずれかに従って作成された磁気的に配向されたデザインの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a)】
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【図10b)】
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【図11】
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【図12a)】
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【図12b)】
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【公表番号】特表2010−506756(P2010−506756A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532750(P2009−532750)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059818
【国際公開番号】WO2008/046702
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(509100715)エス・アイ・シー・ピー・エイ・ホールディング・ソシエテ・アノニム (3)
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【Fターム(参考)】