説明

磁性粒子を検知する磁気センサ装置及び方法

磁性粒子(15)を検知する磁気センサ装置(300)であって、磁場を発生させるように適合された磁場発生ユニット(12)と、磁場発生ユニット(12)に静電気的な励起信号を供給するように適合された励起信号源(302)と、励起信号源(302)を磁場発生ユニット(12)に電気的に結合させる異なるモード間で切り換えるように適合された励起スイッチユニット(303)と、発生された磁場において磁性粒子(15)の存在を表す信号を検知するように適合された検知ユニット(11)と、を有する磁気センサ装置(300)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粒子を検知する磁性センサ装置に関する。
【0002】
本発明は更に、磁性粒子を検知する方法に関する。
【0003】
更に、本発明は、コンピュータ読み出し可能媒体に関する。
【背景技術】
【0004】
バイオセンサは、物理化学的検出器の構成要素又は物理検出器の構成要素と生物学的構成要素を組み合わせた、検体の検出のための装置である。
【0005】
磁気バイオセンサは、磁性である又は磁気ビーズでラベリングされた生体分子を検出する巨大磁気抵抗効果(GMR)を用いることが可能である。
【0006】
以下、巨大磁気抵抗効果を用いることが可能であるバイオセンサについて説明する。
【0007】
国際公開第2005/010542号パンフレットにおいて、集積された磁気センサ要素又はオンチップ磁気センサ要素を用いる、磁性粒子の存在の検出又は判定について開示されている。その装置は、マイクロアレイ又はバイオチップにおける生体粒子の結合の磁気検出のために用いられることが可能である。特に、国際公開第2005/010542号パンフレットにおいては、少なくとも1つの磁性粒子の存在を判定し、基板における磁気センサ要素と、AC磁場を発生させる磁場発生器と、磁性がAC磁場に関連する少なくとも1つの磁性粒子の磁性を検知する磁気センサ要素を有するセンサ回路と、を有する磁気センサ装置であって、磁場発生器は基板に一体化され、100Hz又はそれ以上の周波数で動作するように備えられている、磁気センサ装置について開示している。
【0008】
国際公開第2005/010543号パンフレットにおいて、基板における磁気センサ要素と、基板において磁場を発生させる少なくとも1つの磁場発生器と、を有する磁気センサ装置であって、クロストーク抑制手段が、磁気センサ要素と少なくとも1つの磁場発生器との間のクロストークを抑制するために存在する、磁気センサ装置について開示されている。
【0009】
しかしながら、クロストークは、不所望の環境下では尚も厄介なことである。
【特許文献1】国際公開第2005/010542号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/010543号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、十分に小さいクロストークを有するセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するように、独立請求項に記載された磁性粒子を検知する磁気センサ、磁性粒子を検知する方法、プログラム要素及びコンピュータ読み出し可能媒体が提供される。
【0012】
本発明の例示としての実施形態に従って、磁性粒子を検知する磁気センサ装置であって、磁気センサ装置が、磁場を発生させるように適合された磁場発生器と、磁場発生ユニットに静電気的な励起信号を供給するように適合された励起信号源と、励起信号源を磁場発生ユニットに電気的に結合させる、異なるモード間で切り換えるように適合された励起スイッチユニットと、発生された磁場で磁性粒子の存在を表す信号を検知するように適合された検知ユニットと、を有する、磁気センサ装置を提供する。
【0013】
本発明の他の例示としての実施形態に従って、磁性粒子を検知する方法であって、磁場発生ユニットが磁場を発生する段階と、静電気的な励起信号を磁場発生ユニットに供給する段階と、磁場発生ユニットに静電気的な励起信号を電気的に結合させる、異なるモード間で切り換える段階と、センサユニットが、発生された磁場において磁性粒子の存在を表す信号を検知する段階と、を有する、方法を提供する。
【0014】
本発明の他の例示としての実施形態に従って、処理器により実行されるときに、上記の特徴を有する磁性粒子を検知する方法を制御する又は実行するように適合されたプログラム要素を提供する。
【0015】
本発明の他の例示としての実施形態に従って、処理器により実行されるときに、上記の特徴を有する磁性粒子を検知する方法を制御する又は実行するように適合されたコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ読み出し可能媒体要素を提供する。
【0016】
本発明の実施形態に従った電気的に検知するスキームは、ソフトウェア構成要素及びハードウェア構成要素による、ハードウェア又はハイブリッド形態における、ソフトウェア又は1つ又はそれ以上の特定の最適な電気回路による、コンピュータプログラムにより実現されることが可能である。
【0017】
例示としての実施形態に従って、クロストークが低減された磁気バイオセンサとして実現され、電流干渉の抑制又は除去を検知することが可能である磁気センサを提供する。そのような磁気センサにおいては、磁場発生器は磁場を発生し、検知ユニット(例えば、GMRセンサ)は、磁場において検出されるべき磁性粒子の有無又は量を検出することができ、それは、そのような磁性粒子が、磁場において検知ユニットにより検出される信号に特徴的に影響する又はその信号を修正することが可能であるためである。そのような磁場発生ユニットは、2つの端子を有するワイヤ、導体又はコイルであることが可能であり、一定の電気的な励起信号、例えば、直流電流(DC)が供給される。時間経過と共に磁場発生器を変調する時間依存性信号を生成するように、磁場の2つの端子は、磁場発生器を介して流れる電流の極性又は流れる方向が励起スイッチユニットの動作周波数により規定される周波数により時間経過につれて変化されることが可能である。また、検知ユニットは、磁場発生器として、類似する様式で(例えば、同じ切り換え周波数で及び/又は同期して)切り換えられることが可能である一定の駆動電流を供給されることが可能である。有利であることに、磁場発生器を介して励起電流の流れる方法の、及び検知ユニットを介して検知電流の流れる方向のスイッチングシーケンスは、スイッチング履歴に関して調整されることが可能である。そのような動作スキームは、寄生LCの寄与を抑制することが可能であり、クロストークを回避することが可能であるために、そのセンサの感度及び精度をかなり改善することが可能である。
【0018】
従って、例示としての実施形態に従って、サンプルチャンバ及び少なくとも1つの関連磁気センサ要素の別個の調査領域において励磁磁場を発生する少なくとも1つの磁場発生器を有する磁気センサ装置を提供する。更に、そのような磁気センサ装置を、少なくとも1つの磁気的相互作用粒子の検出のために用いることが可能である。そのようなセンサは、例えば、磁気ビーズでラベリングされた生体分子の検出のためのマイクロ流体バイオセンサにおいて用いることが可能であるマイクロセンサ装置として適合されることが可能である。
【0019】
次に、本発明の更なる例示としての実施形態について説明する。以下、磁気センサ装置の更なる例示としての実施形態について説明する。しかしながら、それらの実施形態はまた、プログラム要素及びコンピュータ読み出し媒体について、磁性粒子を検知する方法にも適用される。
【0020】
磁気センサ装置は更に、検知ユニットに静電気的な検知信号を供給するように適合された検知信号源を有することが可能である。検知スイッチユニットは、検知信号源を検知ユニットに結合する異なるモード間で切り換えるように適合されることが可能である。従って、2つの異なる結合モードを表す、検知ユニットを介する静電気的な検知信号の流れる方向が変えられるように、一定の検知電気信号(例えば、直流電流(DC))を検知ユニットの2つの端子に容易に結合する検知スイッチを用いて、時間依存性ソース信号が時間的に変化する信号に変換されることが可能である様式で、その検知電流の生成はまた、操作されることが可能である。このように行うことにより、特に、そのような磁場発生器の動作と組み合わせて、効果的に測定スペクトルからクロストークを抑制すること、及びアーティファクトを除去する様式で、センサを変調することが可能である。
【0021】
磁気センサ装置は更に、励起スイッチユニットを検知スイッチユニットと同期するように適合された同期ユニットを有することが可能である。特に、励起スイッチユニット及び検知スイッチユニットは、共通スイッチング周波数で動作可能である(同期の有無に拘わらず)。同期ユニットは、共通スイッチング周波数を用いて、励起スイッチユニット及び検知スイッチユニットを制御することにより、励起スイッチユニットを検知スイッチユニットと同期するように適合させることが可能である。検知スイッチユニット及び励起スイッチユニットの性能を調整することにより、励起信号及び検知信号の適用の時間依存性が、互いに対して適切な相互関係になり、更には、センサの測定の品質を改善することが可能である。例えば、全く同じスイッチング周波数及びスイッチング履歴が、磁場発生器及び検知ユニットを制御するために適用されることが可能である。
【0022】
特に、共通スイッチング周波数は、磁気センサ装置の1/fノイズが、実質的に、熱ホワイトノイズに等しい周波数であることが可能である。かなり低い周波数においては、センサの1/fのノイズの寄与が、実質的に周波数に依存しない熱ホワイトノイズを支配する。共通スイッチユニットの適切な動作モードは、一のノイズの寄与も他のノイズの寄与もそれ程支配的でない領域にあることが可能である。共通スイッチング周波数が、例えば、GMRの1/fノイズスペクトルのすぐ外側の100kHzにおいて選択されることが可能である。このことは、フィルタリングについての必要な分離のために、周波数(図8におけるf1)が、例えば、10MHzにおいて選択される場合に比べて、100分の1のクロストーク電圧(即ち、40dB)を与えることが可能である。
【0023】
静電気的な励起信号及び静電気的な検知信号は直流電流(DC)信号であることが可能ある。交流電流が磁場発生器及び検知ユニットに適用される従来の方法とは対照的に、本発明の実施形態は、それらの装置に対して時間の経過と共に一定の振幅を有する直流電流の信号を容易に適用することができる。そのスイッチユニットは、その場合、それらのユニットの第1方向における一の半周期において、及び反対方向に対する他の半周期において、この直流を適用するディジタルスイッチとして又は変調器として機能することが可能である。
【0024】
励起信号源を磁場発生器に電気的に結合する異なるモードは、磁場発生ユニットを介して静電気的な励起信号の流れる方向に関して、異なることが可能である。換言すれば、同一の電流が、第1半周期において、電流が第1端子から第2端子に流れ、そして第2半周期において、電流が第2端子から第1端子に流れる様式で、磁場発生器の2つの端子に又は検知端子に適用されることが可能である。
【0025】
検知信号源を検知ユニットに電気的に結合する異なるモードは、検知ユニットを介して静電気的な検知信号の流れる方向に関して異なることが可能である。励起信号源を磁場発生ユニットに電気的に結合させる異なるモードについて上で説明したことはまた、検知信号源を検知ユニットに電気的に結合させる異なるモードについてもまた、適用できる。
【0026】
磁気センサ装置は、検知センサが検知する信号を電気的に評価するように適合された評価ユニットを有する。評価ユニットは、検出される磁性粒子の有無、特に、それらの磁性粒子の濃度又は量についての情報をもたらすように検知された信号を処理する、ある処理能力を有する電気回路であることが可能である。従って、そのような評価ユニットは、測定結果の定量的評価又は定性的評価を可能にする。そのような評価を基礎として、検知された信号は、GMRセンサであることが可能である検知ユニットにおいて止められることが可能である。検知ユニットはまた、センサ表面において又はセンサ表面近傍において測定される粒子の磁気的特徴の検出に基づく何れかの適切なセンサを有することが可能である。従って、そのセンサは、コイル、磁気抵抗センサ、磁気制限センサ、ホールセンサ、プレーナホールセンサ、フラックスゲートセンサ、SQUID(Semiconductor Superconducting Quantum Interference Device)、磁気共鳴センサ、又は磁場により動作される他のセンサとして設計可能である。
【0027】
評価ユニットは、検知ユニットが検知する信号を増幅する増幅器を有することが可能である。そのような増幅器は、検知された信号の振幅を大きくするのに有用であり、その増幅器においては、クロストーク又は寄生容量及びインダクタンスの攪乱影響は既に抑制されている。
【0028】
評価ユニットは、評価のための検知ユニットにより検知される信号を選択的に結合する又はデカップリングする評価スイッチユニットを有することが可能である。また、評価ユニットは、励起スイッチユニット及び検知スイッチユニットと同期されることが可能である。上記の3つのスイッチングユニットのスイッチング周波数を調整することにより、それらの機能の好ましい調整が得られ、センサの感度が向上する。
【0029】
評価スイッチユニット、励起スイッチユニット及び検知スイッチユニットはCMOSチョッパ回路を有することが可能である。そのようなCMOSチョッパユニットは、適切な精度のスイッチング回路の低コストの実施を得ることが可能である。
【0030】
評価ユニットは、励起スイッチユニット及び検知スイッチユニットを有する群の少なくとも1つにより実行されるスイッチが存在していることにより、所定の時間遅延値だけ信号評価を遅延させる信号評価遅延ユニットを有することが可能である。そのようなスイッチングの後、測定スペクトルは、実際の評価が開始されるまで、所定の待機時間の間、待機することが推薦可能であるように、アーティファクトとしてピーク又はスパイクを有する可能性がある。測定スペクトルを評価するそのような(遅延)時間間隔の遅延又は選択により、より意味のある結果が得られる。
【0031】
信号評価遅延ユニットは、サンプル及びホールドアナログ−ディジタル変換器、高速アナログ−ディジタル変換器、チョッパユニット及びシグマデルタ変換器を有する群の少なくとも1つを有することが可能である。そのような内蔵された時間窓は、信号変換前に、干渉スパイクが安定化するように空間を与えることが可能である。それ故、そのような信号は、その場合、サンプル及びホールドAD変換器、サンプルの廃棄又は平均化を伴う高速AD変換器、ガードタイムを有するチョッパ、ガードタイム後にオンに切り換えられるシグマデルタ変換器等により、ディジタル領域に変換されることが可能である。
【0032】
検知ユニットは、検知信号源を検知ユニットに結合させて組み合わせる異なるモードで検知される信号を評価し、それにより、誘導性クロストーク及び容量性クロストークを有する群の少なくとも1つを抑制することにより磁性粒子を検知するように適合されることが可能である。磁場発生器の動作及び検知ユニットの動作の支援及び調整により、上記の
攪乱影響が効果的に抑制され、そのセンサの性能を改善することが可能である。
【0033】
検知ユニットは、巨大磁気抵抗効果(GMR)に基づいて、磁性粒子を検知するように適合されることが可能である。磁気バイオセンサは、交互の強磁性層及び非磁性金属層より成る薄膜構造において観測される量子力学的効果である巨大磁気抵抗効果(GMR)を用いることが可能である。その効果は、隣接する(強)磁性層の磁性が層間の弱い反強磁性結合のために、反平行であるときのゼロ磁場状態から、隣接する層の磁性が印加された外部磁場のためにアライメントするときのより低い抵抗レベルへの、抵抗における顕著な減少としてそれ自体、明らかである。そのようなGMRセンサをどのように実現するかについての一般的な特徴については、国際公開第2005/010542号パンフレット及び国際公開第2005/010543A1号パンフレットに、GMR磁気センサ、特に、バイオセンサに関連する全ての特徴に関して記載されていて、それらの特許文献の援用により、本明細書の説明の一部を代替する。
【0034】
検知ユニットは、磁性粒子を定性的に検知するように適合されることが可能である。従って、評価ユニットは、最終的な結果として、磁性粒子又は検出される磁気的にラベリングされた粒子の濃度又は量が推定されることが可能である様式で、信号の振幅を評価することが可能である。これは、(生体)分子の特定の種又は部分の有無がどうであるかについての純粋に定量的な結果に比べて、より有意味な結果を得ることが可能である。
【0035】
磁気センサ装置は、生体分子に付けられた磁気ビーズを検知するように適合されることが可能である。従って、例えば、リンカー分子を用いて、常磁性ビーズ又は強磁性ビーズが、磁気的測定を可能にする又は促進するように、生体分子(核酸、DNAストランド、蛋白質、ポリペプチド、ホルモン等のような)に直接付けられることが可能である。しかしながら、生体分子自体の磁気特性は、磁気ラベルを用いることなく、検出のための基準として用いられることが可能である。
【0036】
特に、磁気センサ装置は、磁気バイオセンサ装置として、即ち、生体分子の有無又は濃度を検出するように、適合されることが可能である。
【0037】
磁気センサ装置の少なくとも一部は、基板、特に、半導体基板であって、更には、シリコン基板においてモノリシック集積された回路であることが可能である。しかしながら、本発明の実施形態はまた、ガリウム砒素のようなIII−V属半導体群の関連で適用されることが可能である。そのようなモノリシック集積は、バイオセンサの寸法を、それ故、分析されるサンプルの必要な体積をかなり小さくすることが可能である。更に、信号処理経路は、集積された解決方法においては短く且つ小さく、それ故、信号が撹乱影響により悪影響される導電路の長さを減少させることが可能である。従って、そのようなモノリシック集積バイオセンサは、特に有利である。
【0038】
本発明の上記の特徴及び更なる特徴については、以下に詳述する例示としての実施形態から明らかになり、それらの例示としての実施形態に関連付けて説明される。
【0039】
本発明については、以下、例示としての実施形態に関連付けて詳述されるが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図は模式的なものである。異なる図における類似の又は同一の要素には、同様の参照番号が付けられている。
【0041】
第1実施形態においては、本発明に従った装置はバイオセンサであり、図1及び図2に関連付けて説明される。そのバイオセンサは、流体、液体、気体、粘弾性流体、ゲル又は組織サンプル等のようなサンプルにおける磁性粒子を検出する。磁性粒子は小さい寸法を有することが可能である。ナノ粒子とは、0.1nm乃至1000nm、好適には、3nm乃至500nm、更に好適には、10nm乃至300nmの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する粒子を意味している。磁性粒子は、印加される磁場(例えば、常磁性である)のために磁気モーメントをもたらす。磁性粒子は混合物である、例えば、非磁性材料の内部の又は非磁性粒子材料に付けられた1つ又はそれ以上の小さい磁性粒子から成ることが可能である。それらの粒子が、変調された磁場に対して非ゼロを生成する限り、即ち、それらの粒子が磁化率又は透磁率を生成するとき、それらの粒子を用いることができる。
【0042】
その装置は、基板10及び回路、例えば、集積回路を有することが可能である。
【0043】
装置の測定表面は、図1及び図2における破線で表されている。本発明の実施形態において、用語“基板”は、用いられることが可能である何れかの下地材料を有することが可能であり、その下地材料上に、装置、回路又はエピタキシャル層が形成されることが可能である。他の代替の実施形態においては、この“基板”は、例えば、ドーピングされたシリコン、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム砒素リン(GaAsP)、インジウム燐(InP)、ゲルマニウム(Ge)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板のような半導体基板を含む。“基板”は、例えば、半導体基板部分に加えて、SiO層又はSi層等の絶縁性層を有することが可能である。従って、用語“基板”はまた、ガラス、プラスチック、セラミック、SOG(Silicon on Glass)及びSOS(Silicon on Sapphire)基板を含む。また、“基板”は、層が形成される何れかの他の基体、例えば、ガラス又は金属層であることが可能である。以下の関連事項は、シリコン半導体が通常、用いられるために、シリコン処理に対して行われるものであるが、本発明が他の半導体材料のデバイスに基づいて実行されることが可能であり、当業者が下で説明される誘電性材料及び導電性材料と等価なものである適切な材料を選択することが可能であることを、当業者は理解することができるであろう。
【0044】
回路は、センサ要素としての磁気抵抗センサ11と、導体12の形での磁場発生器と、を有することが可能である。磁気抵抗センサ11は、例えば、GMR型センサ又はTMR型センサであることが可能である。磁気抵抗センサ11は、例えば、細長い、例えば、長くて細いストライプの幾何学的構成を有することが可能であるが、これに限定されるものではない。センサ11及び導体12は、近接距離gの範囲内で互いに対して隣接するように位置付けられることが可能である。センサ11と導体12との間の距離gは、例えば、1nm乃至1mmの範囲内にあり、例えば、3μmであることが可能である。最小距離はIC処理により決定される。
【0045】
図1及び図2において、座標装置が、センサ装置がxy平面において位置付けられている場合に、センサ11は主に、磁場のx成分を検出する、即ち、x方向はセンサ11の感応方向であることを示すように、導入される。図1及び図2の矢印13は、本発明に従った磁気抵抗センサ11の感応X方向を表している。センサ11は、センサ装置の面に対して垂直な方向には殆ど感応しないため、それらの図において、導体12を通って流れる電流によりもたらされる鉛直方向又はz方向における磁場は、磁性ナノ粒子15が存在しない場合には、センサ11により検出されない。磁性ナノ粒子15が存在しない場合に導体12に対して電流を印加することにより、センサ11の信号を較正することが可能である。この較正は、好適には、何れかの測定に先行して実行される。
【0046】
磁性材料(これは、例えば、磁性イオン、分子、ナノ粒子15、固体材料又は磁気成分を有する流体)が導体12に隣接しているとき、図2における自力線により表される磁気モーメントmが発達する。
【0047】
磁気モーメントmは、その場合、双極性漂遊磁場を生成し、その漂遊磁場は、センサ11の位置において面内磁場成分17を有する。従って、ナノ粒子15は、磁場14を、矢印13(図2)で表されているセンサの感応性x方向に偏向させる。センサ11の感応性x方向にある磁場Hxのx成分は、センサ11により検知され、磁性ナノ粒子15の数及び導体電流Icに依存する。
【0048】
そのようなセンサの一般的な構造の更なる詳細については、国際公開第2005/010542号パンフレット及び国際公開第2005/010543号パンフレットを参照することができる。
【0049】
図1及び図2における参照番号20は、検知ユニット11及び磁場発生器12の動作モードを調整する制御ユニットを示している。そのような制御エンティティ20の実施形態については、図3、8乃至21を参照して、下で説明する。
【0050】
続いて、図3を参照して、本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置300について説明する。
【0051】
磁気センサ装置300は、検出される生体分子301に付けられた磁性粒子15を検知するように適合されている。例えば、生体分子301は、磁気ビーズ15が付けられた部分を有するDNAストランドである。更に、磁場14を発生するように適合された磁場発生ユニット12が示されている。更に、励起信号源302、即ち、第1直流電流(DC)源が、磁場発生ユニット12に静電気的は励起信号、即ち、直流電流を供給するために備えられている。
【0052】
励起スイッチユニット303が、励起信号源302を磁場発生ユニット12に電気的に結合する異なるモード間で切り換えるように備えられている。図3から理解できるように、磁場発生ユニット12は、第1端子304と第2端子305とを有する。励起信号源302は、第1端子306と第2端子307とを有する。励起スイッチユニット303は、期間の第1半周期において、磁場発生ユニット12の第1端子304が励起スイッチユニット303の第1端子306に結合され、磁場発生ユニット12の第2端子305が励起信号源302の第2端子307に結合されるように、励起信号源302を磁場発生ユニット12に結合させる。第2半周期において、励起スイッチユニット302は、磁場発生ユニット12の第1端子304が励起信号ユニット302の第2端子307に結合され、磁場発生ユニット12の第2端子305が励起信号源302の第1端子306に結合されるように、端子304乃至307間の接続を切り換える。
【0053】
更に、磁気センサ装置300は、発生した磁場において磁性粒子15の存在を示す信号を検知する検知ユニット11(GMRセンサ)を有する。検知信号源308は、更なる直流電流(DC)源として備えられ、検知ユニット11に静電気的な検知信号、即ち、更なる直流電流を供給するように適合されている。検知スイッチユニット309が備えられ、検知信号源308を検知ユニット11に結合する異なるモード間で切り換えられるように適合されている。特に、検知ユニット11は、第1端子312と第2端子313とを有する。期間の第1半周期において、スイッチングユニット309は、第1端子310が第1端子312に結合され、第2端子311が第2端子313に結合されるように、検知ユニット11を検知信号源308に結合する。第2半周期において、第1端子310は第2端子313に結合され、第2端子311は第1端子312に結合される。
【0054】
更に、スイッチングが同期されて行われるように、励起スイッチユニット303及び検知スイッチユニット309の動作を同期させる同期ユニット314が備えられている。更に、同期スイッチ314は、スイッチングユニット303及び309が同じスイッチング周波数を有するようにする。
【0055】
更に、評価ユニット315は、検知ユニット11が検知する信号を電気的に評価する。従って、分析される信号は、検知ユニット11の端子312又は313の一をオフにする。評価ユニット315は、増幅器、アナログ−ディジタル変換器、フィルタ等のような構成要素を有することが可能である。評価ユニット315は、スイッチユニット303及び309により規定される2つの動作モードにおいて検出される信号を評価することが可能である。
【0056】
下で、図4乃至7を参照して、磁気センサ装置で生じる可能性がある課題について説明する。
【0057】
ミクロセンサシステムにおいてもたらされる可能性がある電子エラーは、一般に、3つの群、即ち、ランダムエラー、系統的エラー及びマルチパスエラーに分類される。バイオセンサに基づくGMRにおける最も大きいランダムエラーの原因は、GMRの固有の1/fノイズである。
【0058】
GMR11は図4に示され、検知回路電流Isense401により従来通りに駆動されることが可能である。図4の参照番号410から分かるように、かなり低い周波数においては、1/fノイズが支配的であり、より高い周波数値においては、実質的に一定であるホワイトノイズが支配的になる。
【0059】
このノイズスペクトルを回避して、センサ要素のみの熱ノイズフロアにより信号対ノイズ比が決定されることを可能にするように、GMRの1/fノイズのコーナー周波数以上に、周波数スペクトルにおける励起電流を大きくするように変調することが可能である。
【0060】
そのようなシナリオについて、図5に示す。
【0061】
図5は、励起電流源500と検知電流源401とを示している。増幅器501は、その結果を評価することが可能である。図5の参照番号510から理解できるように、動作周波数f>fを用いることにより、磁気検知の寄与511が、ノイズの寄与からより良好に分離されることが可能である。次の式のように、大きく変調された励起電流により生成された高周波数の磁場H(t)は、センサ11に近接する超常磁性ナノ粒子(即ち、ビーズ15)の量に依存する大きさ
【0062】
【数1】

を有する周波数fと共に時間経過につれてセンサ抵抗値RGMRが変化するようにする。
【0063】
in−plane(t)∝sin(2πft)
【0064】
【数2】

ここで、sGMRは単位を(ΩmA−1)とするGMRであり、Hin−plane(t)は、単位を(Am−1)とする、ビーズ15からもたらされる漂遊磁場の面内成分である。
【0065】
避けられない容量性結合及び誘導性結合(寄生容量600及び寄生インダクタンス601、602により図6において記号で表されている)のために、LCクロストーク干渉が、電流線からセンサ11に結合される。典型的には、図6の参照番号610で示されている、このクロストーク成分603は、磁気センサ信号511に比べて10000倍大きく、そのことは、周波数fにおいて大きいダイナミックレンジをもたらす。
【0066】
LCクロストーク電圧は、磁気信号511に対して90°位相がシフトされていて、原理的に、系統的なエラーであるが、上記のダイナミックレンジは、fにおける検出を実現することを困難にする。
【0067】
この課題を回避するために、図7に示すように、磁気信号511が、第2周波数fにおける電子的に検知される電流変調の適用によりLCクロストーク成分603から周波数領域において分離されることが可能である。
【0068】
図7の参照番号710は検知された電流700を示している。次式のように、オームの法則の結果として、信号分離がGMR要素11において生じ、磁気信号スペクトル成分が、周波数f及びfの和及び差において現れる。
【0069】
【数3】

1/fノイズスペクトルはまた、基本的抵抗値変動が磁気基点を有するように示されている(実験により)ため、fの周囲で変調される。
【0070】
上記に照らして、前置き増幅器A501を飽和に容易にさせることが可能であるf700において、検知電流の電子変調が大きい干渉信号をもたらす問題が存在する。その場合、相互変調積及び歪み積は、測定に伴って大きな干渉をもたらす。
【0071】
これを回避するように、検知電流成分の拒絶が、例えば、周波数領域におけるフィルタリングにより要求されることが可能である。
【0072】
しかしながら、この測定は、集積回路の面積及び複雑性をかなり増加させるオンチップハイパスフィルタリングを必要とする、特に、次の付加的構成であって、検知電流の変調のための手段と、システムにおける第2周波数と、ハイパスフィルタとが必要とされる。
【0073】
特に、ハイパスフィルタは集積することが困難であり、広帯域前置き増幅器A501における結合容量のために大きい面積が必要である。後者は、fにおける検知電流干渉が、f±fにおいて必要な磁気信号に比べて百万倍大きいためである。単純な(例えば、一次)フィルタによるf成分の十分な抑制を得るために、大きいf及びf周波数分離が必要である。
【0074】
それらの認識に基づいて、本発明の例示としての実施形態は、オンチップハイパスフィルタリングの必要性を回避する単一周波数測定のための要素及び複雑でないアーキテクチャを提供する。
【0075】
本発明の例示としての実施形態に従った解決方法について、図8に示され、そして下で説明される。
【0076】
上記の構成要素に付加して、図8に示されている磁気センサ装置800は、増幅器801及び信号処理ブロック802を有する評価ユニット315を示している。
【0077】
励起電流及び検知電流が互いに対して実質的に等しく、静電気的であることにより、容量性クロストーク成分及び誘導性クロストーク成分はかなり減少されることが可能である。
【0078】
例示としての実施形態に従って、信号電圧はスイッチング回路の反対側で検知され、そのスイッチング回路の反対側において、磁気センサは接続されている。このことは、所定の周波数において、その信号エネルギーをDCに、更に、高調波に置き換えることにより、LCクロストークを減少させる又は削除することが可能である。更に、検知電流干渉が抑制され、又はオンチップハイパスフィルタリングがもはや、必要でない結果、完全に除去されることさえ、可能である。
【0079】
下で、図9及び図10を参照して、そのような実施形態について詳細に説明する。
【0080】
次に、磁気信号の特徴について説明する。
【0081】
DC励起電流源302は、期間の1つの部分の間に、端子1(図3の第1端子304)を介して先ず、磁場発生ワイヤ12に電流を供給する。この第1位相について、図9に示している。
【0082】
同時に、DC検知電流源308は、端子3(図3の第1端子310)を介してGMRセンサ11に電流を供給する。
【0083】
磁気ビーズ15からもたらされる漂遊磁場は、センサ11に近接するビーズ15の量に比例する大きさにより、自由層900の磁化がピンド層901に対して平行にアライメントされるようにする。その平行なアライメントは、GMR抵抗がゼロ磁場抵抗Rに比べて小さくなるようにする。
【0084】
前置き増幅器801に印加される電圧uGMR(t)は、この位相の間、DC値Isenseより小さい。
【0085】
図9においてはまた、抵抗RGMRの磁場H依存性を示す図910及び時間tの電圧uGMR(t)依存性を示す第2図920が示されている。
【0086】
ブロック802は、周波数fにおいて検出を実行する。
【0087】
全ての電圧は、接地を基準としている、例えば、uGMR(t)はノードuGMRから接地ノードまでの電圧である。
【0088】
期間の第2部分を図10に示している。
【0089】
この動作状態においては、励起電流は反転され、自由層900がピンド層901に対して反平行にアライメントされる。上記の電流は、ここで、端子2及び4をそれぞれ介して供給される(図3における第2端子305及び311に対応している)。反平行方位はGMR抵抗を増加させ、それ故、この位相中に、電圧uGMR(t)は、DC値Isenseより大きいことが前提とされている。
【0090】
従って、前置き増幅器801に印加される電圧uGMR(t)は、周波数fと共に時間経過につれて変化し、センサ11の近傍の磁気ビーズ15の量についての測定値である大きさを有する。
【0091】
下において、端子3及び4の同期反転が、磁気信号が検知されるノードuGMRにおける周波数fからLCクロストーク電圧を除去する、又は少なくともかなり抑制することが示されている。
【0092】
下において、図11及び14を参照して、誘導性クロストークの減少について説明している。
【0093】
多くのセンサの幾何学的構成において、誘導性クロストーク成分は最も大きい寄与を有し、容量性クロストークに比べて数桁大きく、磁気信号に比べて10000倍まで大きい可能性がある。従って、要求される磁気信号として同じ周波数fにある可能性があるこの誘導性クロストーク成分を除去することは重要である。
【0094】
一センサレイアウトについて、図11に示している。
【0095】
図11は、拡大した端子1乃至4と、ワイヤ1100と1102との間に位置しているGMR要素1101の構成を示している。
【0096】
その構成は、図11に示しているように、3つの同心の同一平面内にあるループにより近似される。
【0097】
磁場発生ワイヤを介する反転電流により生成される時間変化磁束密度Bは、表面Aに比例する、GMR端子におけるクロストーク電圧を誘導する。
【0098】
図12はまた、磁場発生ワイヤ1100、1102及びGMR要素1101を有するそのような構成を示している。更に、表面Aは、参照番号1200で表されている。
【0099】
GMR端子において誘導される瞬間的なクロストーク電圧は、次式で表され、
【0100】
【数4】

ここで、Mは磁場発生ワイヤ110、1102とGMR要素1101との間の相互インダクタンスである。相互インダクタンスMは、幾何学的因子のみに依存し、時間依存性である。
【0101】
クロストーク電圧は、主に、励起電流の立ち上がり遷移及び立ち下がり遷移において誘導され、図13における図1300において、Δt及びΔtのそれぞれで示されている。
【0102】
図13における回路図1310及び1320は、立ち上がり遷移中に、電圧eが特定の符号(例えば、正)を有し、その電圧は、前置き増幅器ノードuGMRにおいてまた、正であることを模式的に示している。
【0103】
立ち下がり遷移中、その電圧eの符号は逆(例えば、負)であり、ノードuGMRにおける電圧は、同期センサ極性反転の結果として、正に保たれる。
【0104】
GMR端子において誘導されたクロストーク電圧e(t)及び前置き増幅器の入力uGMR(t)は、図14における図1400及び1410に示しているように、類似する形状を有する。
【0105】
図1400は、同期反転を伴わない状態を示し、図1410は、同期反転を伴う状態を示している。従って、図1410は、誘導クロストークの殆どのエネルギーが、fからDCに、そして2倍の周波数に移行される。
【0106】
Ldisense/dtによる自己誘導電圧はまた、センサの極性の同期反転により、fから取り除かれる。しかしながら、上記の成分の大きさは、励起電流からの誘導電圧に比べて数桁小さい大きさであり、無視することが可能である。
【0107】
下において、図15及び16を参照して、容量性クロストークの減少について説明する。
【0108】
容量性クロストーク電圧は、上記のように、誘導性クロストークを除去するのと同様の変調の原理により、主にfから除去される。しかしながら、付加機構が同時に、fから変調される前に、先ず、誘導された容量性クロストークの量を減少させるように備えられることが可能である。
【0109】
図15を参照するに、DC励起電流源302は、期間の1つの部分(この“第1位相”は図15に示されている)の間、第1端子1を介して磁場発生ワイヤ12に電流を供給する。同時に、DC検知電流源308は、端子3を介してGMRセンサ11に電流を供給する。
【0110】
端子1、2、3及び4における対応する電圧(即ち、V(t)乃至V(t))はまた、図1500、1510、1520、1530のそれぞれにおいて示されている。
【0111】
期間の第2部分、即ち、図16に示されている所謂“位相2”において、磁場発生ワイヤ12及びGMRセンサ11を介して、電流の方向は逆にされる。上記の電流は、ここで、端子2及び4のそれぞれを介して、供給される。
【0112】
結果として得られる端子電圧が、図16の図1500、1510、1520、1530に示されている。
【0113】
容量性クロストークの減少は、クロストーク電圧の振幅が寄生容量Cpar1及びCpar2(参照番号1501及び1502)を介する変位電流に比例する。これは、検知電流及び励起電流の同時反転(それらを互いに対して時間不変にする)により、そしてノード1及び3における電位の大きさを実質的に等しくする(電荷蓄積及び容量を減少させる)ことにより、達成される。
【0114】
例えば、
=Iexc*Rwire=100mA*10Ω=1V
=Isense*RGMR=2mA*500Ω=1V
スイッチング回路の対称性により容易化され、端子2及び4における電圧はまた、実質的に等しくされる。
【0115】
下で、図17及び図18を参照して、単一周波数検出により磁気センサ装置1700の実施形態について説明する。
【0116】
図17の磁気センサ装置1700の実施形態においては、低ノイズDC励起電流源302は、スイッチング回路303を介して磁場発生ワイヤ12に電流を供給し、第2低ノイズDC検知電流源308は、GMRセンサ11に電流を供給する。検知電流源308とスイッチング回路309との間のノードuGMRにおいて接続されている第1増幅器A801は信号電圧を検知する。増幅信号は、復調ユニット1701、増幅ユニットA21702、及びアナログ−ディジタル変換ユニット1703に対して、条件付けする更なる信号を提供する。
【0117】
スイッチング回路303、309は、周波数fにおいて同期するように動作され、その周波数において、磁気信号がまた、得られる。
【0118】
図18は、GMR端子及びノードuGMRにおけるクロストークスパイクスペクトルを示す第1図188及び第2図1810を示している。
【0119】
ノードuGMRにおいて、スパイク信号のエネルギーは、スイッチング回路によりDCに、更にfの高調波に移行される。
【0120】
CMOSチョッパ回路は、スイッチング回路303、309を低コストで実施することが可能である。
【0121】
図17及び18の実施形態においては、オンチップフィルタリングを必要としない有利点を有する。フロントエンドアーキテクチャは、広い周波数範囲に対して透過性である(固定されたフィルタ時定数のために)。周波数fは、例えば、GMRの1/fノイズスペクトルのすぐ外側の100kHzに選択されることが可能である。これは、必要なフィルタリングの分離のために、fが、例えば、10MHzに選択される場合に比べて、1/100(又は、40dB)に小さい、クロストーク電圧(例えば、10kHzにおけるf)を提供する。
【0122】
この実施形態はまた、第1増幅器801についてバイアス点を確立するGMR DC電圧レベルを利用する可能性を与えることが可能である。
【0123】
下で、図19及び図20を参照して、時間窓化特徴を実行した、本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置1900について説明する。
【0124】
図19の実施形態においては、時間窓化が構築され、その時間窓化は、信号変化前に、例えば、3τ後に、干渉スパイクが静められる余地を与える。信号は、その場合、例えば、サンプル及びホールド変換器1901によりディジタル領域に変換される。他の可能性は、サンプルを捨てることを伴う高速A/D変換器、ガード時間を有するチョッパ、ガード時間後にオンに切り換えられるシグマデルタ変換器、又は何れかの他の構成である。
【0125】
図20においては、ガード時間2001をまた表す図2000が示されている。従って、図20は、サンプリング時間の例を示している。信号は、スイッチングによる攪乱が消えた(十分な程度まで)後に、サンプリングされる。
【0126】
これは復調を必要とせず、ハードウェアの量及びハードウェアの複雑性を低減することが可能であるという有利点を有する。更に、サンプラは、サンプリングされた信号と容易に同期されることが可能である。
【0127】
下で、図21を参照して、本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置2100について説明する。
【0128】
図21の実施形態は、“choppermux”の実施形態とみなされる。
【0129】
この実施形態においては、多重機能がスイッチング回路と結合されている。スイッチング位相を同時に1つのチョッパ309のみに適用することにより、必要なGMR11が選択される。
【0130】
同様の原理が、異なる磁場発生ワイヤに対する励起電流源の多重化のために適用されることが可能である。
【0131】
そのような実施形態は、単に複数のGMRセンサについて1つの検知電流源及び1つの前置き増幅器のみを必要とするという有利点を有する。他の必要な多重スイッチは、ここでは、信号経路から取り除かれ、ノイズ性能及び回路の帯域幅が改善されることが可能である。
【0132】
例えば、良好な電源電圧変動除去比(PSRR:Power Supply Rejection Ratio)及び同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)性能を設計し、ガードリングを適用し、共通モード信号分離及び異なるモード信号モードを適用する等により、クロック干渉結合量を減少させることが考慮される必要がある。
【0133】
用語“を有する”は他の要素又は特徴を排除するものではなく、単数表現は複数の存在を排除するものではないことに留意する必要がある。また、異なる実施形態と関連付けて説明されている要素を組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】第1動作可能状態にある、例示としての実施形態に従った磁気センサ装置を示す図である。
【図2】第2動作可能状態にある、図1の磁気センサ装置を示す図である。
【図3】本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置を示す図である。
【図4】対応するノイズ挙動を示す磁気センサ装置を示す図である。
【図5】対応するノイズ挙動を示す磁気センサ装置を示す図である。
【図6】対応するノイズ挙動を示す磁気センサ装置を示す図である。
【図7】対応するノイズ挙動を示す磁気センサ装置を示す図である。
【図8】本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置を示す図である。
【図9】本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置を示す図である。
【図10】本発明の例示としての実施形態に従った磁気センサ装置を示す図である。
【図11】本発明の例示としての実施形態に従った誘導性クロストークの減少を示す図である。
【図12】本発明の例示としての実施形態に従った誘導性クロストークの減少を示す図である。
【図13】本発明の例示としての実施形態に従った誘導性クロストークの減少を示す図である。
【図14】本発明の例示としての実施形態に従った誘導性クロストークの減少を示す図である。
【図15】本発明の例示としての実施形態に従った容量性クロストークの減少を示す図である。
【図16】本発明の例示としての実施形態に従った容量性クロストークの減少を示す図である。
【図17】本発明の例示としての実施形態に従った信号周波数検出を実行する磁気センサ装置を示す図である。
【図18】本発明の例示としての実施形態に従った信号周波数検出を実行する磁気センサ装置を示す図である。
【図19】本発明の例示としての実施形態に従った時間窓化を実行する磁気センサ装置を示す図である。
【図20】本発明の例示としての実施形態に従った時間窓化を実行する磁気センサ装置を示す図である。
【図21】本発明の例示としての実施形態に従ったチョッパ多重化機能を有する磁気センサ装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を検知する磁気センサ装置であって:
磁場を発生させるように適合された磁場発生ユニット;
前記磁場発生ユニットに静電気的な励起信号を供給するように適合された励起信号源;
前記励起信号源を前記磁場発生ユニットに電気的に結合させる異なるモード間で切り換えるように適合された励起スイッチユニット;及び
前記発生された磁場において前記磁性粒子の存在を表す信号を検知するように適合された検知ユニット;
を有する磁気センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記検知ユニットに静電気的な検知信号を供給するように適合された検知信号源;及び
前記検知信号を前記検知ユニットに結合させる異なるモードで切り換えるように適合された検知スイッチユニット;
を更に有する、磁気センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気センサ装置であって:
前記励起スイッチユニットを前記検知スイッチユニットと同期するように適合された同期ユニット;
を有する、磁気センサ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の磁気センサ装置であって:
前記励起スイッチユニット及びを前記検知スイッチユニットは共通スイッチ周波数で動作可能である;
磁気センサ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気センサ装置であって:
前記共通スイッチ周波数は、磁気センサ装置の1/fノイズが実質的に熱ホワイトノイズに等しい;
磁気センサ装置。
【請求項6】
請求項4に記載の磁気センサ装置であって:
前記共通スイッチ周波数は実質的に100kHzである;
磁気センサ装置。
【請求項7】
請求項2に記載の磁気センサ装置であって:
前記静電気的な励起信号及び前記静電気的な検知信号は直流電流信号である;
磁気センサ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記励起信号源を前記磁場発生ユニットに電気的に結合させる前記異なるモードは、前記磁場発生ユニットを介して前記静電気的な励起信号の流れる方向に関して異なる;
磁気センサ装置。
【請求項9】
請求項2に記載の磁気センサ装置であって:
前記励起信号源を前記検知ユニットに電気的に結合させる前記異なるモードは、前記検知ユニットを介して前記静電気的な検知信号の流れる方向に関して異なる;
磁気センサ装置。
【請求項10】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記検知ユニットにより検知される信号を電気的に評価するように適合された評価ユニットを有する;
磁気センサ装置。
【請求項11】
請求項10に記載の磁気センサ装置であって:
前記評価ユニットは、前記検知ユニットにより検知される前記信号を増幅する増幅ユニットを有する;
磁気センサ装置。
【請求項12】
請求項10に記載の磁気センサ装置であって:
前記評価ユニットは、評価のための前記検知ユニットにより検知される前記信号を選択的に結合する又は複合化する評価スイッチユニットを有する;
磁気センサ装置。
【請求項13】
請求項12に記載の磁気センサ装置であって:
前記評価スイッチユニットは、前記励起スイッチユニット及び前記検知スイッチユニットと同期される;
磁気センサ装置。
【請求項14】
請求項12に記載の磁気センサ装置であって:
前記評価スイッチユニット、前記励起スイッチユニット及び前記検知ユニットを有する群の少なくとも1つはCMOSチョッパ回路を有する;
磁気センサ装置。
【請求項15】
請求項10に記載の磁気センサ装置であって:
前記評価ユニットは、前記励起スイッチユニット及び前記検知ユニットを有する前記群の少なくとも1つにより実行されるスイッチングの後、所定の時間遅延値だけ信号評価を遅延させる信号評価遅延ユニットを有する;
磁気センサ装置。
【請求項16】
請求項15に記載の磁気センサ装置であって:
前記信号評価遅延ユニットは、サンプル及びホールドアナログ−ディジタル変換器、高速アナログ−ディジタル変換器、チョッパユニット及びシグマデルタ変換器を有する群の少なくとも1つを有する;
磁気センサ装置。
【請求項17】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記検知ユニットは、前記検知信号源を前記検知ユニットに組み合わせて結合させる前記異なるモードにおいて検知された前記信号を評価し、それにより、誘導性クロストーク及び容量性クロストークを有する群の少なくとも1つを抑制することにより、前記磁性粒子を検知するように適合されている;
磁気センサ装置。
【請求項18】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記検知ユニットは、巨大磁気抵抗効果に基づいて、前記磁性粒子を検知するように適合されている;
磁気センサ装置。
【請求項19】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記検知ユニットは、前記磁性粒子を定量的に検知するように適合されている;
磁気センサ装置。
【請求項20】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
生体分子に付けられた磁気ビーズを検知するように適合されている;
磁気センサ装置。
【請求項21】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
磁気バイオセンサ装置として適合されている;
磁気センサ装置。
【請求項22】
請求項1に記載の磁気センサ装置であって:
前記磁気センサ装置の少なくとも一部は一体的な集積回路として実現されている;
磁気センサ装置。
【請求項23】
磁性粒子を検知する方法であって:
磁場発生ユニットにより磁場を発生させる段階;
静電気的な励起信号を前記磁場発生ユニットに供給する段階;
前記磁場発生ユニットを前記静電気的な励起信号と電気的に結合させる異なるモード間でスイッチングする段階;及び
前記発生された磁場において前記磁性粒子の存在を表す信号を検知ユニットにより検知する段階;
を有する方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって:
前記静電気的な検知信号を前記検知ユニットに供給する段階;及び
前記検知ユニットを前記静電気的な検知信号と前記的に結合する異なるモード間でスイッチングする段階;
を有する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって:
前記磁場発生ユニットを前記静電気的な励起信号と電気的に結合させる前記異なるモード間でのスイッチングと、前記検知ユニットを前記静電気的な検知信号と電気的に結合させる前記異なるモード間でのスイッチングとを同期する段階;
を有する方法。
【請求項26】
処理器により実行されるときに、磁性粒子を検知する方法を制御する又は実行するように適合されたプログラム要素であって、前記方法は:
磁場発生ユニットにより磁場を発生させる段階;
静電気的な励起信号を前記磁場発生ユニットに供給する段階;
前記磁場発生ユニットを前記静電気的な励起信号と電気的に結合させる異なるモード間でスイッチングする段階;及び
前記発生された磁場において前記磁性粒子の存在を表す信号を検知ユニットにより検知する段階;
を有する、プログラム要素。
【請求項27】
処理器により実行されるときに、磁性粒子を検知する方法を制御する又は実行するように適合された、コンピュータプログラムが記憶されている、コンピュータ読み出し可能媒体であって、前記方法は:
磁場発生ユニットにより磁場を発生させる段階;
静電気的な励起信号を前記磁場発生ユニットに供給する段階;
前記磁場発生ユニットを前記静電気的な励起信号と電気的に結合させる異なるモード間でスイッチングする段階;及び
前記発生された磁場において前記磁性粒子の存在を表す信号を検知ユニットにより検知する段階;
を有する、コンピュータ読み出し可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2009−536343(P2009−536343A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508592(P2009−508592)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051577
【国際公開番号】WO2007/132372
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】