説明

磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置

【課題】
この発明は、少なくとも一種類以上の磁性素子で表現された識別情報が付与された媒体の識別情報を目視により識別されることを困難とするとともに、所定の磁界を与えることで媒体に付与された磁性素子が発する信号の検知結果に基づき媒体の識別情報を読み取る磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置を提供する。
【解決手段】
磁界が与えられることにより信号を発生する磁性素子と、磁性素子と同一の大きさと形状を有し磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子を磁性素子に混在させて媒体に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置に関し、特に、少なくとも一種類以上の磁性素子で表現された識別情報が付与された媒体の識別情報を目視により識別されることを困難とするとともに、所定の磁界を与えることで媒体に付与された磁性素子が発する信号の検知結果に基づき媒体の識別情報を読み取る磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密情報や個人情報等の漏洩防止、有価証券等の不正複写による偽造防止等、セキュリティ強化を目的とする種々の方法や装置が提供されている。
【0003】
有価証券等の偽造防止を目的として、例えば特定のパターンや赤外線吸収剤を含有する特殊インク等が潜像された特殊用紙を用いて有価証券等を作成することで、有価証券等の偽造を防止する方法が提案されている。
【0004】
この方法は、特殊用紙で作成された有価証券等がスキャナ(画像読取装置)や複写機等により複写された場合、特殊用紙に潜像された特定のパターン、特殊インク等が目視可能な状態で印刷され、複写物であることが識別されることで偽造が防止できるように構成されている。
【0005】
また、例えば、特許文献1には、カラーコピー機等による偽造や有価証券用紙自体の偽造を極めて困難にする偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券の提案がなされており、特許文献2には、特定原稿の複写行為が行われても、必ず特定のパターンを付加できる画像処理装置及び方法が提案されている。
【0006】
上記特許文献1による提案は、パルプ繊維でなる紙基材に、メタメリックな色料を含有するインキが塗布された紙小片もしくは繊維片と、該メタメリックな色料を含有するインキと太陽光等通常光の下で同色相に見える通常色インキで着色された紙小片もしくは繊維片とが略同量漉き込まれた偽造防止用紙とすることで、カラーコピーされた有価証券類に色相が異なる2種の斑点状が現れ、偽造防止ができるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献2による提案は、原稿からの画像と転写材からの画像とを合わせて原稿の特定性を判定することで、特定性のある原稿の出力画像を必ず加工して出力し、本来複写されるべきでない特定原稿(例えば紙幣)が複写された場合に、複写した装置の所在地を限定する手がかりとすることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2001−159094号公報
【特許文献2】特開平05−219351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に示される提案は、いずれも用紙の画像情報が複写されて印刷出力されることで用紙に付与された特定のパターンが検知される、もしくは特定のパターンが付加されて検知されることで用紙が複写されたことを識別できるように構成されており、用紙をスキャンすることなく瞬時に用紙の複写を不可とする、もしくは特定原稿であるか否かを判別する方法や装置、偽造防止用紙等の提案が望まれる。
【0009】
また、用紙をスキャンして光学的に用紙上に付与された特定のパターンを検知する方法では、特定のパターンが形成された領域にゴミや汚れ等が存在する場合は、特定のパターンが誤検知される場合があり、これらの影響を受けることなく用紙に付与された複写不可の情報を確実に検知して複写防止を行う信頼性の高い装置や方法の提案が望まれる。
【0010】
そこで、本発明は、少なくとも一種類以上の磁性素子で表現された識別情報が付与された媒体の識別情報を目視により識別されることを困難とするとともに、所定の磁界を与えることで媒体に付与された磁性素子が発する信号の検知結果に基づき媒体の識別情報を読み取る磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、磁界が与えられることで信号を発生する少なくとも1つの磁性素子と前記磁性素子と同一の大きさと形状を有し磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子とが付与された媒体に磁界を与え、該磁界により前記磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と、前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子が検知され、該検知された磁性素子で形成される情報を読み取る情報読取手段とを具備することを特徴とする情報読取装置。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させる移動制御手段を更に具備し、前記情報読取手段は、前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子が検知され、該検知された磁性素子で形成される情報を読み取ることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、磁界が与えられることで信号を発生する少なくとも1つの磁性素子と前記磁性素子と同一の大きさと形状を有し磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子とを媒体に付与し、該媒体に励磁検知手段で磁界を与えるとともに、該磁界により前記磁性素子から発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子で形成される情報を読み取ることを特徴とする情報読取方法。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させ、前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子で形成される情報を読み取ることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、磁界が与えられることにより信号を発生する磁性素子を付与した媒体であって、前記磁性素子と同一の大きさと形状を有し前記磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子が前記磁性素子に混在させて付与されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記磁性素子は、長さが異なる磁性素子を含み、前記磁性素子の数および長さの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項5または6の発明において、前記磁性素子は、磁気特性が異なる磁性素子を含み、前記磁性素子により形成される情報は、該磁性素子の数および長さおよび磁気特性のうちの少なくとも2つの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項5乃至7のいずれかの発明において、前記磁性素子から発生される信号は、前記磁性素子が磁化反転時に発する磁束変化に基づく信号であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項5至7のいずれかの発明において、前記磁性素子から発生される信号は、前記磁性素子が磁歪振動により発する信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明の磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置によれば、磁界が与えられることにより信号を発生する磁性素子と、磁性素子と同一の大きさと形状を有し磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子が磁性素子に混在させて媒体に付与されているので、媒体に付与された磁性素子で表現された媒体の識別情報が目視により識別されて媒体から排除されることを困難とし、高いセキュリティー性が確保された媒体が提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明に係わる磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置は、有価証券等の不正複写による偽造防止、機密情報や個人情報等が印刷された用紙の不正複写による情報漏洩防止、あるいは文書管理等を目的として、例えば印刷機や複写機等に適用される。
【0022】
印刷機に適用する場合は、情報を印刷する用紙を用紙固有を識別する識別情報が磁性素子で表現されて付与された専用紙が用いられ、専用紙の識別情報と、専用紙に印刷された情報とを対応付けて管理することで、文書管理が可能な印刷機として用いられる。
【0023】
また、複写機に適用する場合は、管理された機密情報や有価証券等が複写されようとした場合は、機密情報等が印刷された専用紙または有価証券等に付与された磁性素子を検知することで専用紙や有価証券の複写動作を禁止し、機密情報や有価証券等が不正複写されて情報が漏洩するもしくは偽造されることを防止することができる。
【0024】
本実施例においては、磁性素子で対応付けられて表現された識別情報が付与された媒体と、その媒体の情報読取方法および装置を複写機に適用した場合を例に説明する。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明に係わる磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置を複写機に適用した一例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係わる情報読取装置100を備えた複写機10の概略図であり、図1(a)は複写機10を概略的に示したブロック図、図1(b)は、複写機10の概略的な斜視図である。
【0027】
図1(a)、(b)に示すように、複写機10は、複写機10のプラテンガラス14上に載置された原稿1に付与された磁性素子111を検出し、原稿1が複写可または複写不可の何れの原稿であるかの情報を検知する情報読取装置100と、複写機10の全体を統括制御し、情報読取装置100の検知結果に基づき複写機10による原稿1の複写動作を禁止する制御、もしくは複写動作の制御を行う制御部11と、プラテンガラス14上に載置された原稿1に対して光を投光し、投光による原稿1の反射光を図示せぬ光電変換素子(例えば、CCD=Charge Cuople Device等)で受光して電気信号に変換し、変換された電気信号に基づき原稿1の画情報を読み取り、読み取った画情報に対して所定の画像処理を施す画像読取部12と、画像読取部12により読み取られた原稿1の画情報を用紙トレイ16から給紙される用紙54へ印刷出力して排紙トレイ17へ排紙する画像形成部13を備えている。
【0028】
また、画像形成部13は、画像読取部12で原稿1から読み取った画情報が画像処理後、出力される出力画像データに応じてレーザ光を感光ドラム132へ出射し、感光ドラム132の走査露光制御を行う露光制御部131と、露光制御部131の走査露光制御により感光ドラム132表面上に形成された潜像を各色のトナーで現像してトナー画像を形成する現像器133と、現像器133により感光ドラム132上に形成されたトナー画像を転写する転写ドラム134と、転写ドラム134上に形成されたトナー画像を用紙トレイ16から給紙される用紙54上に定着させる定着装置135とを備えている。
【0029】
また、複写機10のプラテンカバー15内には、プラテンガラス14上に載置された原稿1に付与された磁性素子111を検出するための情報読取装置100の励磁コイル101と検知コイル102とが配置されており、励磁コイル101からは所定の交番磁界が発信され、検知コイル102は、励磁コイル101から発信された交番磁界や磁性素子111から発せられる磁気パルスや電磁波等を受信するとともに情報読取装置100が原稿1に付与された磁性素子111の検出結果に基づき原稿1が複写可か否かの識別情報を検知する。
【0030】
なお、情報読取装置100の構成及び原稿1に付与された磁性素子111の検知方法については後述する。
【0031】
このように構成された複写機10がプラテンガラス14上に載置された原稿1が複写可または複写不可の何れの原稿であるかの識別情報を検知し、検知結果に応じて複写または複写禁止等の処理を行う動作について簡単に説明する。
【0032】
複写機10のプラテンガラス14上に原稿1が載置され、プラテンカバー15を閉じて(図中の矢印方向)、図示せぬ複写開始ボタンを押下されると、複写機10の制御部11は、原稿1を複写する複写動作に先立ち、情報読取装置100を起動して動作させる。
【0033】
情報読取装置100が動作すると、励磁コイル101から所定の交番磁界が発信され、プラテンガラス14上の原稿1に付与された磁性素子111が交番磁界を受けて磁化され、磁化反転時に急峻な磁気パルスを発する、もしくは磁性素子111が磁歪振動し、磁歪振動により磁性素子111から電磁波が発せられる。
【0034】
磁性素子111から発せられる磁気パルス、もしくは電磁波は、検知コイル102で受信され、受信された磁気パルスもしくは電磁波に対応して検出される検出信号に基づき情報読取装置100が原稿1が複写可もしくは複写不可の何れの原稿であるかの識別情報を検知する。
【0035】
磁性素子111が発する磁気パルスもしくは電磁波の検出信号が検出された場合は、原稿1に磁性素子111が付与されていると認識し、原稿1が複写不可の原稿であると検知する。
【0036】
また、磁性素子111が発する磁気パルスもしくは電磁波の検出信号が検出されない場合は、原稿1に磁性素子111が付与されていない認識し、原稿1が複写可の原稿であると検知する。
【0037】
複写機10の制御部11は、情報読取装置100が原稿1を複写不可の原稿と検知した場合は、「この原稿は複写不可です」等の複写禁止を示すメッセージまたは警告音等を出力するとともに複写処理動作を禁止する制御等を行う。
【0038】
また、情報読取装置100が原稿1を複写可の原稿と検知した場合は、複写機10のプラテンガラス14上に載置された原稿1の画情報が画像読取部12により読み取られ、読み取られた画情報が画像形成部13で用紙トレイ16から給紙される用紙54に印刷されて排紙トレイ17へ排紙される。
【0039】
なお、情報読取装置100による原稿1が複写可または複写不可の何れの原稿であるかの検知は、原稿1が複写機10のプラテンガラス14上に載置された後、複写機10に対して複写開始指示後、もしくは複写開始指示前のどちらでもよく、特に限定されるものではない。
【0040】
また、原稿1に付与される磁性素子の種類、本数、配置位置及び形状は、特に限定されるものではなく、原稿1を識別するために付与された原稿1の識別情報に応じて磁性素子は、一つでもよく、複数種類の複数の磁性素子が付与されてもよい。
【0041】
図2は、本発明に係わる情報読取装置100の要部の構成を示すブロック図である。
【0042】
なお、図2に示す情報読取装置100は、原稿1に付与された磁性素子が所定の磁界を受けると磁化反転時に急峻な磁気パルスを発する、所謂大バルクハウゼン効果の特性を有する磁性素子である場合に適用される情報読取装置である。
【0043】
図2に示すように、情報読取装置100は、励磁コイル101を介して所定の交番磁界を発生させるための制御を行う励磁回路103と、励磁コイル101から発せられた所定の交番磁界を原稿1に付与された磁性素子111が受けることで磁性素子111が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスを検知コイル102を介して検出する検知回路104と、検知回路104が検出する交番磁界や磁性素子111が発する磁気パルスに対応した検出信号を信号処理する信号処理部106と、信号処理部106で信号処理された信号に基づき原稿1が複写可もしくは複写不可のいずれの原稿であるかの検知結果を出力するビット出力部107と、交番磁界の周期に応じたタイミングで交番磁界や磁気パルスを検知回路104が検知できるように励磁回路103と検知回路104とのタイミング制御を行うタイミング制御部105とを備えている。
【0044】
このように構成された情報読取装置100が原稿1に付与された磁性素子111を検知する動作について図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
図3は、原稿1に付与された磁性素子111の磁気特性を示す図であり、図4は、磁性素子111が磁化反転時に発する磁気パルスに対応して情報読取装置100で検出される検出信号を示す図である。
【0046】
なお、図3において、図3(a)は、磁性素子111が付与された原稿1を示す図、図3(b)は、磁性素子111の磁気特性を示す図である。
【0047】
また、図4において、図4(a)は、情報読取装置100の検知回路104で検出された交番磁界401と磁性素子111が発する磁気パルスの検出信号402を示す図、図4(b)は、検知回路104で検出された検出信号402に基づき信号処理部106で検出される磁気パルスに対応した検出パルス信号403を示す図である。
【0048】
図3(a)及び(b)に示すように、原稿1に付与された磁性素子111は、例えば、Co−Fe系アモルファス軟磁性材の磁性材ワイヤーであり、磁性素子111は、線径や長さに応じて磁性素子111固有の保磁力を有する。
【0049】
また、図3(b)に示すように、磁性素子111は、磁気履歴曲線310で示されるような長方形状の磁気特性を有しており、磁気履歴曲線310に示されるように保磁力H1を有している。
【0050】
保磁力H1を有する磁性素子111は、磁界強度がH1もしくは−H1を超える交番磁界を受けることで磁化反転し、その際に急峻な磁気パルスを発する。
【0051】
情報読取装置100の励磁回路103が例えば周波数1kHzの電流を励磁コイル101へ流す制御を行うことにより、周波数1kHzの交番磁界が励磁コイル101の形状に対応した所定の空間に発生する。
【0052】
タイミング制御部105は、励磁回路103で生成された周波数1kHzの電流の立ち上がり方向で電流値が0になる時間、すなわち電流の向きが負から正へ逆転する時の時間を検出し、この検出した時間に交番磁界の一周期に一回のタイミングで検知回路104へ基準信号を出力する。
【0053】
検知回路104は、タイミング制御部105から出力された基準信号のタイミングに基づき検知コイル102で受信された信号を検出信号として検出する。
【0054】
具体的には、保磁力H1を有する磁性素子111は、図4(a)の検出信号402に示されるように、タイミング制御部105から出力された基準信号からの時間ta近傍で磁界強度が略H1を超える交番磁界を受けることで磁化反転し、その際に磁性素子111が発する急峻な磁気パルスがパルス信号Aで検出され、時間tb近傍で磁界強度が略−H1を超える交番磁界を受けることで磁化反転し、その際に磁性素子111が発する急峻な磁気パルスがパルス信号Bで検出される。
【0055】
情報読取装置100の検知回路104で検出された検出信号402は、信号処理部106へ出力され、信号処理部106が検出信号402から交番磁界成分の信号401(以下、「交番磁界信号401」という。)を除去したパルス信号A、Bを含む信号を検出し、更に正の信号成分のみを抽出し、抽出した正の信号成分を増幅し、ノイズ成分除去後、図4(b)に示すような検出パルス信号Aを検出する。
【0056】
信号処理部106で検出された検出パルス信号Aは、ビット出力部107へ出力され、ビット出力部107が検出パルス信号Aに基づき複写不可を示す識別情報「1」の値に変換して出力する。
【0057】
なお、ビット出力部107での検出パルス信号Aと識別情報との対応付けは一例を示したものであり、この方法に限定されるものではない。
【0058】
このように、情報読取装置100を備えた複写機10は、複写機10のプラテンガラス14上に載置された原稿に対して所定の交番磁界を与え、磁性素子が発する磁気パルスが検出されたか否かに基づき原稿が複写可もしくは複写不可のいずれの原稿であるかの識別し、複写動作もしくは複写動作禁止の制御を行うことができる。
【0059】
ところが、原稿に付与された磁性素子を故意に排除する等の不正が行われると、本来複写不可の原稿が複写不可と検知されずに不正複写される場合が考えられる。
【0060】
そこで本発明に係わる磁性素子を付与した媒体は、媒体に付与された識別情報を示す磁性素子の存在が目視により識別困難となるように磁性素子の他に情報読取装置100で検知されず、かつ磁性素子と同一の大きさと形状を有する複数の擬似素子が付与されて磁性素子の存在がカモフラージュされている。
【0061】
図5は、本発明に係わる磁性素子を付与した媒体の一例を示す図である。
【0062】
図5(a)は、磁性素子が媒体に付与されているか否かに応じて媒体が複写可または複写不可の何れであるかを識別する識別情報が付与された媒体の一例を示す図であり、図5(b)は、媒体固有を識別するために複数種類の複数の磁性素子が付与された媒体の一例を示す図である。
【0063】
図5(a)に示すように、媒体である用紙50には、複写不可を示す識別情報として付与された磁性素子501と、磁性素子501と同一の大きさと形状を有し、情報読取装置100で検知されない複数の擬似素子502が付与されている。
【0064】
磁性素子501の他に複数の擬似素子502が用紙50に付与されることで磁性素子501の存在がカモフラージュされ、用紙50に付与された磁性素子501が目視により識別が困難となるように構成されている。
【0065】
また、図5(b)に示すように、媒体である用紙51には、媒体固有を識別する識別情報510(破線で囲まれた部分)が3本の磁性素子511、512、513で表現されて付与されており、識別情報を示す3本の磁性素子511、512、513の他に3本の磁性素子511、512、513の存在をカモフラージュするための各磁性素子と同一の大きさと形状を有し、情報読取装置100で検知されない複数の擬似素子521、522、523が識別情報を示す3本の磁性素子511、512、513の配置パターンと同様な配置パターンで付与されている。
【0066】
なお、磁性素子511、512、513の線径は同一で長さが磁性素子511、512、513の順で長く、磁性素子511と擬似素子521、磁性素子512と擬似素子522、磁性素子13と擬似素子523とがそれぞれ同一の線径と長さを有している。
【0067】
また、複数種類の複数の磁性素子で表現された識別情報の検知方法の詳細については後述する。
【0068】
図6は、図2で示した情報読取装置100とは他の構成で媒体に付与された識別情報を読み取るように構成された情報読取装置200の要部の構成を示すブロック図である。
【0069】
なお、図6に示す情報読取装置200は、原稿に付与された磁性素子が所定の磁界を受けると磁歪振動する特性を有する磁性素子である場合に適用される情報読取装置である。
【0070】
図6に示すように、情報読取装置200は、励磁コイル101を介して低周波から高周波へ順次変化する所定の交番磁界を発信させるための制御を行う励磁回路203と、励磁コイル101から発信された所定の交番磁界を複写機10のプラテンガラス14上の原稿2に付与された磁性素子112(以下、説明の便宜上、「磁歪振動素子112」という。)が磁化されて磁歪振動し、その際に発せられる電磁波を検知コイル102を介して電圧信号で検出する検知回路204と、検知回路204で検出された検出信号に基づき原稿2に付与された磁歪振動素子112の存在有無の検知結果をビット出力するビット出力部207と、励磁回路203及び検知回路204との周波数制御を行う周波数制御回路205を備えている。
【0071】
なお、周波数制御回路205は、励磁回路203で生成した交番磁界の周波数に対応して検知回路204の図示せぬバンドパスフィルター回路等の設定周波数を帯域制限等の制御動作を行う。
【0072】
また、原稿2に付与された磁歪振動素子112の検知は、周波数が低周波から高周波へ順次変化する交番磁界を間欠的に発信して磁歪振動素子112に与え、励磁コイル101から交番磁界が発信されていない間に磁歪振動素子112が磁歪振動により発する電磁波を検出するように構成されている。
【0073】
また、励磁コイル101から間欠的に発信される交番磁界は、所定の低周波から所定の高周波へ順次変化し、所定の高周波に達したら再び所定の低周波から所定の高周波へ順次変化しながら間欠的に発信する動作が繰り返されるように構成されている。
【0074】
このように構成された情報読取装置200が原稿2に付与された磁歪振動素子112を検知する動作について図7を参照しながら詳細に説明する。
【0075】
図7において、図7(a)は、情報読取装置200で検知される磁歪振動素子112が付与された原稿2の一例を示す図であり、図7(b)は、磁歪振動素子112が磁歪振動により発する電磁波が情報読取装置200で検出される検出信号を示す図である。
【0076】
図7(a)に示すように、原稿2には、複写不可を示す識別情報として付与された磁歪振動素子112が付与されている。
【0077】
磁歪振動素子112は、フェライトやアモルファス等の薄箔状の素子であり、外部から所定の磁界を与えることで寸法変化を起こすような、いわゆる磁歪特性を有している。
【0078】
磁歪振動素子112に対して低周波から高周波へ、もしくは高周波から低周波へ順次変化する所定の交番磁界を与えることで磁歪振動素子112が特定の周波数の交番磁界を受けた時に最も大きく磁歪振動する。
【0079】
また、磁歪振動素子112が最も大きく磁歪振動する交番磁界の周波数は、磁歪振動素子112の大きさや形状等に応じて特定される固有の周波数(以下、「共振周波数」という。)を有する。
【0080】
なお、ここでは、磁歪振動素子112の共振周波数がf2であるものとして説明する。
【0081】
また、磁歪振動素子112が磁歪振動することで、磁歪振動素子112が寸法変化を起こし、磁歪振動素子112から電磁波が発せられる。
【0082】
このことから、原稿2に付与された磁歪振動素子112に対して磁歪振動素子112固有の共振周波数に対応した交番磁界を与えて磁歪振動させ、磁歪振動素子112が発する電磁波を検出することで原稿2に付与された磁歪振動素子112の存在を検出することができる。
【0083】
情報読取装置200が原稿2に付与された磁歪振動素子112を検知する場合は、励磁回路203の図示せぬ電圧制御発振回路(例えば、VCO=Voltage Controlled Oscillator等)に電圧を供与し、電圧制御発振回路で制御された電圧に応じた波形信号を生成し、生成された波形信号を電力増幅して励磁コイル101を介して低周波から高周波へ変化する交番磁界を間欠的に発信する制御を行う。
【0084】
具体的には、低周波の交番磁界を一定時間発信後、一定時間発信を停止し、次に高い周波数の交番磁界を一定時間発信後、一定時間発信を停止して順次同様な発信と発信停止を所定の低周波から所定の高周波に達するまで繰り返し、交番磁界の周波数が所定の高周波に達したら、再び所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界の発信と発信停止の動作を繰り返す。
【0085】
この動作により励磁コイル101から発信された周波数f2の交番磁界を原稿2に付与された磁歪振動素子112が受けることで磁歪振動素子112が最も大きく磁歪振動し、その際に磁歪振動素子112から発せられる電磁波が検知コイル102を介して電圧信号の受信信号として検出され、検知回路204の図示せぬバンドパスフィルター回路等で濾波され、図示せぬ増幅回路等で増幅されて図7(b)に示すように磁歪振動素子112の共振周波数f2に対応したパルス信号700で検出される。
【0086】
検知回路204で検出されたパルス信号700は、ビット出力部207へ出力され、ビット出力部207が検出されたパルス信号700に基づき複写不可を示す「1」の値の識別情報に変換して出力する。
【0087】
なお、ビット出力部207は、磁歪振動素子112が発する電磁波に対応したパルス信号が検知回路204で検出されない場合は、複写可を示す「0」の値の識別情報に変換して出力する。
【0088】
このように、情報読取装置200を備えた複写機10のプラテンガラス14上に載置された原稿2に対して所定の交番磁界を与えることにより、原稿に磁歪振動素子112が付与されているか否かに応じて磁歪振動素子112が磁歪振動して発する電磁波が検出される、または検出されないとの検知結果を得ることができ、この検知結果に基づき複写機10のプラテンガラス14上に載置された原稿が複写可もしくは複写不可のいずれの原稿であるかを識別することができる。
【0089】
図8は、本発明に係わる磁歪振動素子を付与した媒体の一例を示す図である。
【0090】
図8(a)は、磁歪振動素子が媒体に付与されているか否かに応じて媒体が複写可または複写不可の何れであるかを識別する識別情報が付与された媒体の一例を示す図であり、図8(b)は、媒体固有を識別するために複数種類の複数の磁歪振動素子が付与された媒体の一例を示す図である。
【0091】
図8(a)に示すように、媒体である用紙52には、複写不可を示す識別情報として付与された磁歪振動素子525と、磁歪振動素子525と同一の大きさと形状を有し、情報読取装置200で検知されない複数の擬似素子526が付与されている。
【0092】
磁歪振動素子525の他に複数の擬似素子526が用紙52に付与されることで磁歪振動素子525の存在がカモフラージュされ、用紙52に付与された磁歪振動素子525が目視により識別されることが困難となるように構成されている。
【0093】
また、図8(b)に示すように、媒体である用紙53には、媒体固有を識別する識別情報530(破線で囲まれた部分)が2本の磁歪振動素子531、532で表現されて付与されており、識別情報を示す2本の磁歪振動素子531、532の他に2本の磁歪振動素子531、532の存在をカモフラージュするために各磁歪振動素子と同一の大きさと形状を有し、情報読取装置200で検知されない複数の擬似素子541、542が識別情報を示す2本の磁歪振動素子531、532の配置パターンと同様な配置で付与されている。
【0094】
なお、磁歪振動素子532は、磁歪振動素子531よりも大きく、磁歪振動素子531と擬似素子541、磁歪振動素子532と擬似素子542とは同一の大きさと形状を有している。
【0095】
また、複数種類の複数の磁歪振動素子で表現された識別情報の検知方法の詳細については後述する。
【0096】
このように媒体の識別情報を示す磁歪振動素子の他に磁歪振動素子と同一の大きさと形状を有する複数の擬似素子が媒体に付与されることで媒体の識別情報を示す磁歪振動素子の存在がカモフラージュされ、媒体に付与された磁歪振動素子が目視により識別されることが困難となる。
ここまでは、予め磁性素子または磁歪振動素子が付与された媒体と、媒体に付与された磁性素子または磁歪振動素子に所定の交番磁界を与えることで磁性素子が磁化反転時に発する磁気パルスもしくは磁歪振動素子の磁歪振動により発せられる電磁波の検知結果に基づき媒体の情報を検知する情報読取方法および装置について説明した。
【0097】
ここからは、前述した情報読取装置100及び200を備えた複写機において、原稿から読み取った画情報を印刷する用紙に対して必要に応じて磁性素子を付与して識別情報を形成し、識別情報が形成された用紙に原稿から読み取った画情報を印刷し、原稿から読み取った画像情報と当該画像情報が印刷された用紙の識別情報とを対応付けて管理するように構成された複写機を例に説明する。
【0098】
図9は、情報読取装置100、200を適用した複写機20の要部の構成を概略的に示したブロック図である。
【0099】
図9に示す複写機20は、図1で示した複写機10において用紙トレイ16から給紙される用紙54に対して用紙54の識別情報を示す磁性素子または磁歪振動素子と、磁性素子または磁歪振動素子と同一の大きさと形状を有する複数の擬似素子を必要に応じて付与する磁性素子付与装置900を新たに配設し、情報読取装置100もしくは情報読取装置200の励磁コイル101及び検知コイル102を排紙トレイ17近傍に配設し、情報読取装置100もしくは情報読取装置200が用紙54に付与された磁性素子または磁歪振動素子の検知結果に基づき認識した用紙54の識別情報と当該用紙54に印刷された画情報とを対応付けて記憶管理する図示せぬデータベースとを配設した他は、複写機10と同様に構成されている。
【0100】
なお、図9において、複写機10と同様な構成及び動作する複写機20の各装置、各部については、複写機10と同一の符号を付し、説明の便宜上、複写機10との重複説明を避けるべく、複写機20の要部の構成及び動作についてのみ説明する。
【0101】
図9に示すように複写機20には、用紙54が用紙トレイ16から画像形成部13へ搬送される搬送経路の途上に磁性素子付与装置900が配設されており、複写機20のプラテンガラス14上に原稿1を載置後、プラテンカバー15を閉じて識別情報付与及び複写開始が指示されることで用紙トレイ16から給紙される用紙54が磁性素子付与装置900により磁性素子または磁歪振動素子と、擬似素子とが付与され、用紙54に磁性素子または磁歪振動素子と擬似素子とが付与された用紙55(以下、「識別情報付与済用紙55」という)が画像形成部13へ搬送される。
【0102】
画像形成部13は、搬入された識別情報付与済用紙55上に画像読取部12が出力される原稿1から読み取った画情報を印刷出力し排紙トレイ17へ排紙する。
【0103】
識別情報付与済用紙55に原稿1から読み取られた画情報が熱定着されて印刷出力された印刷物56は、排紙トレイ17へ排紙される途上で排紙トレイ17近傍に配設された情報読取装置100もしくは情報読取装置200の励磁コイル101と検知コイル102のそれぞれが形成する空間内を移動し、その際に印刷物56に形成された識別情報に対応付けされた磁性素子または磁歪振動素子が励磁コイル101から発せられる所定の交番磁界を受けて磁化され、磁性素子が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスもしくは磁歪振動素子の磁歪振動により発する電磁波が検知コイル102を介して検出され、検出結果に基づき印刷物56に付与された識別情報が情報読取装置100もしくは情報読取装置200により読み取られる。
【0104】
情報読取装置100もしくは情報読取装置200により読み取られた識別情報は、制御部110へ出力され、制御部110が情報読取装置100もしくは情報読取装置200で読み取られた印刷物56の識別情報と、画像読取部12で読み取られた原稿1の画情報とを対応付けて図示せぬデータベースへ記憶管理し、文書管理を行う。
【0105】
このように動作する複写機20を用いることにより、原稿1の画情報と画情報が印刷された印刷物56の識別情報とを対応付けて文書管理することができる。
【0106】
図10は、磁性素子付与装置900(一点鎖線で囲まれた部分)の概略的な構成を示す構成図である。
【0107】
図10(a)は、磁性素子付与装置900の概略の平面図であり、図10(b)は、磁性素子付与装置900の概略の側面図である。
【0108】
図10(a)に示すように、磁性素子付与装置900(一点鎖線で囲まれた部分)は、磁性素子付与制御部910と、磁性素子付与部920とを備えており、磁性素子付与制御部910は、複写機20の制御部110からの指令信号に基づき磁性素子付与装置900全体を制御するとともに、給紙トレイ16から画像形成部13へ搬送される用紙54に対して識別情報を付与する制御を行うか、もしくは識別情報を付与せずに用紙54をそのまま磁性素子付与装置900を通過させ画像形成部13へ搬送させるかの制御を行う。
【0109】
磁性素子付与部920は、図10(b)に示すように、用紙54の搬送経路に対する磁性素子付与部920の給紙トレイ16側に一対の用紙送りローラ925が配設され、磁性素子付与部920の画像形成部13側に一対の用紙送りローラ926配設されており、給紙トレイ16から給紙された用紙54は、用紙送りローラ925により磁性素子付与部920内部に取り込み、取り込んだ用紙54が用紙送りローラ926により磁性素子付与部920外部へ搬送する。
【0110】
各ローラ925、926の間の発熱抵抗体922の対向する位置には、ガイド用ローラ927が設置されており、給紙トレイ16から給紙された用紙54は、一対の用紙送りローラ925、発熱抵抗体922とガイド用ローラ927との間、一対の用紙搬出ローラ926を通過して磁性素子付与部920から画像形成部13へ搬送される。
【0111】
また、磁性素子付与部920は、磁性素子と擬似素子とを含む熱転写シート921が十分に巻き付けられたシート送りローラ923または磁歪振動素子と擬似素子とを含む熱転写シート941が十分に巻き付けられたシート送りローラ944と、熱転写シート921の端部に取り付けられたシート巻取ローラ924または熱転写シート941の端部に取り付けられたシート巻取ローラ944を備えている。
【0112】
熱転写シート921または熱転写シート941は、磁性素子付与制御部910による駆動制御によりシート送りローラ923から送り出され、シート巻取ローラ924により巻き取られる、またはシート送りローラ943から送り出され、シート巻取ローラ924により巻き取られる。
【0113】
その間、熱転写シート921または熱転写シート941は、磁性素子付与制御部910による制御に基づいて発熱抵抗体922とガイド用ローラ927との間を用紙54と共に通過するように構成されている。
【0114】
シート送りローラ923及びシート巻取ローラ924またはシート送りローラ943及びシート巻取ローラ944は、それぞれ軸止されて取り付けられている。
【0115】
また、発熱抵抗体922は、シート送りローラ923、発熱抵抗体922及びシート巻取ローラ924が連動することで、熱転写シート921に含まれる磁性素子と擬似素子が用紙54上に熱転写され、用紙54の識別情報を示す磁性素子と、磁性素子の存在をカモフラージュする擬似素子が用紙54上に形成される。
【0116】
また、発熱抵抗体922は、シート送りローラ943、発熱抵抗体922及びシート巻取ローラ944が連動することで、熱転写シート941に含まれる磁歪振動素子と擬似素子が用紙54上に熱転写され、用紙54の識別情報を示す磁歪振動素子と、磁歪振動素子の存在をカモフラージュする擬似素子が用紙54上に形成される。
【0117】
図11は、シート送りローラ923に巻き付けられた状態の熱転写シート921の構成を示す図である。
【0118】
図11(a)は、熱転写シート921の基本構成を示す図であり、図11(b)は、熱転写シート921の構成の拡大図である。
【0119】
図11(a)及び(b)に示すように、熱転写シート921は、シート基板930と、熱溶融材で構成された熱溶融層931と、粘着層932の3層で構成されており、粘着層932は、磁性素子611、612、613と複数の擬似素子621、622、623と粘着材で構成されている。
【0120】
また、熱溶融層931及び粘着層932は、紙搬送方向と直交する方向に所定間隔に分割されており、分割された熱転写シート921の各領域921a、921bには磁性素子611、612、613と複数の擬似素子621、622、623が含まれる。
【0121】
シート基板930としてはアセトートフィルムを、また粘着材としてはアクリル樹脂系粘着材を用いることができる。
【0122】
なお、磁性素子の数、種類、配置パターンは、図11に示すパターンに限られるものではなく、所望の磁性素子の種類と数と配置とのパターンと磁性素子のパターンに対応した擬似素子のパターンが任意選択可能である。
【0123】
この熱転写シート921の磁性素子611、612、613と複数の擬似素子621、622、623を用紙54に熱転写する基本的な処理について簡単に説明する。
【0124】
図12は、熱転写シート921の各磁性素子611、612、613及び擬似素子621、622、623を用紙54に熱転写する基本的な処理を説明する図であり、図12を参照しながら説明する。
【0125】
磁性素子付与装置900の磁性素子付与部920において、用紙送りローラ925より給紙トレイ16から搬送された用紙54が発熱抵抗体922の位置まで搬送されると、シート送りローラ923およびシート巻取ローラ924の動作を制御し、必要に応じて発熱抵抗体922を発熱させ各磁性素子611、612、613及び擬似素子621、622、623を用紙54上に熱転写して付与する。
【0126】
この発熱抵抗体922の発熱により発熱時点において図12(a)に示すような発熱抵抗体922の位置にあった熱溶融層931(破線の部分の熱溶融層)は溶融し、その溶融した熱溶融層931に対応する位置の粘着層932がはがれ、並行して搬送している用紙54上に粘着する。
【0127】
なお、発熱抵抗体922の発熱時点においては、熱転写シート921と用紙54の各搬送速度が同速に制御されている。
【0128】
このようにして図12(b)に示されるように用紙54に付与される識別情報に対応付けられた複数の磁性素子611、612、613と、磁性素子の存在をカモフラージュする複数の擬似素子621、622、623とが用紙54上に付与される。
【0129】
図13は、図11で示した熱転写シート921とは他の熱転写シート941の構成を示す図である。
【0130】
図13(a)は、熱転写シート941の基本構成を示す図であり、図13(b)は、熱転写シート941の構成の拡大図である。
【0131】
図13(a)及び(b)に示すように、熱転写シート941は、シート基板950と、熱溶融材で構成された熱溶融層951と、識別情報を構成する磁歪振動素子641、642と複数の擬似素子651、652と粘着材で構成された粘着層952の3層で構成されている。
【0132】
熱溶融層951及び粘着層952は、紙搬送方向と直交する方向に所定間隔に分割されている。
【0133】
分割された熱転写シート941の領域951cには識別情報を示す磁歪振動素子641、642が含まれ、各領域951a、951b、951d、951eには複数の擬似素子651、652が含まれる。
【0134】
シート基板950としてはアセトートフィルムを、また粘着材としてはアクリル樹脂系粘着材を用いることができる。
【0135】
なお、磁歪振動素子の数、種類、配置パターンは、図13に示すパターンに限られるものではなく、所望の磁歪振動素子の種類と数と配置とのパターンと磁歪振動素子のパターンに対応した擬似素子のパターンが任意選択可能である。
【0136】
磁性素子付与装置900の磁性素子付与部920において、用紙送りローラ925より給紙トレイ16から搬送された用紙54が発熱抵抗体922の位置まで搬送されると、シート送りローラ943およびシート巻取ローラ944の動作を制御し、必要に応じて発熱抵抗体922を発熱させ各磁歪振動素子641、642及び擬似素子651、652を用紙54上に熱転写して付与する。
【0137】
この発熱抵抗体922の発熱により発熱抵抗体922の位置にあった熱溶融層951は溶融し、その溶融した熱溶融層951に対応する位置の粘着層952がはがれ、並行して搬送している用紙54上に粘着され、図13(c)に示されるように用紙54の識別情報640に対応付けられた複数の磁歪振動素子641、642と、磁歪振動素子641、642の存在をカモフラージュする複数の擬似素子651、652とが用紙54上に付与される。
図14は、情報読取装置100が長さの異なる複数の磁性素子で表現された識別情報の検知方法を説明する説明図である。
【0138】
図14(a)は、印刷物56に付与された3本の磁性素子711、712、713と擬似素子721、722、723の配置状態を示す図であり、図14(b)は、情報読取装置100が印刷物56から検出する検出パルス信号パターン700と検出パルス信号パターン700に基づき検知する識別情報を示す図である。
【0139】
なお、印刷物56に付与された擬似素子721、722、723は、説明の便宜上、破線で示してある。
【0140】
また、印刷物56に付与される磁性素子の種類と数は、特に限定されるものではないが、図14においては、説明の便宜上、三種類の磁性素子を3本を組み合わせて表現された識別情報が付与された用紙56の場合を例として示し、各磁性素子711、712、713の線径は同一で長さは、磁性素子711、712、713の順に長いものとする
図14(a)に示すように、印刷物56には、印刷物56の識別情報710を示す3本の磁性素子711、712、713が付与されており、各磁性素子の保磁力は、磁性素子の長さに応じて磁性素子711が保磁力Hc、磁性素子712が保磁力Hd、磁性素子713が保磁力Heを有している。
【0141】
励磁コイル101及び検知コイル101内を一定の搬送速度Vで印刷物56が移動すると、印刷物56に付与された各磁性素子711、712、713は、印刷物56の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から順次形成されている磁性素子711、712、713の順序で励磁コイル101から発せられる交番磁界を受けて磁化し、各磁性素子が磁化反転時に発する磁気パルスが検知コイル102を介して図14(b)に示すような検出パルス信号パターン800として検出される。
【0142】
検出パルス信号パターン800には磁界強度Haを超える交番磁界を受けた時の磁性素子711が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスが検出時間tc、検出出力Vcの検出パルス信号Cで検出され、交番磁界の磁界強度がHdを超える時の磁性素子712が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスが検出時間td、検出出力Vdの検出パルス信号Dで検出され、交番磁界の磁界強度がHeを超える時の磁性素子713が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスが検出時間te、検出出力Veの検出パルス信号Eで検出される。
【0143】
このように印刷物56に付与された各磁性素子に対応した検出時間tと検出出力Vの各検出パルス信号が検出されるので、この検出結果に基づき印刷物56の識別情報を検知する。
【0144】
検出パルス信号と識別情報との対応付けの一例として、例えば磁性素子711が発した磁気パルスに対応して検出された最も検出出力が小さな検出パルス信号Cが検出パルス信号パターン800に含まれる3個の検出パルス信号C、D、Eのうちの何番目に検出されているかに応じて対応付ける。
【0145】
具体的には、識別情報を検出パルス信号パターン800に含まれる検出パルス信号C、D、Eの個数に応じて3ビット情報とし、検出パルス信号Cが1番目に検出されている場合の識別情報を「100」、2番目に検出されている場合の識別情報を「010」、3番目に検出されている場合の識別情報を「001」と対応付けることで検出パルス信号パターン800に基づき印刷物56の識別情報を「100」と検知する。
【0146】
また、図15(a)に示す印刷物57のように、3本の磁性素子711、712、713が印刷物57の搬送方向の最前方側から磁性素子712、711、713の順で付与されている場合は、検出パルス信号パターン801で検出され、検出パルス信号パターン801の場合は、検出パルス信号Cが2番目に検出されているので印刷物57の識別情報を「010」と検知する。
【0147】
また、図15(b)に示す印刷物58のように、3本の磁性素子711、712、713が印刷物58の搬送方向の最前方側から磁性素子712、713、711の順で付与されている場合は、検出パルス信号パターン802で検出され、検出パルス信号パターン802の場合は、検出パルス信号Cが3番目に検出されているので印刷物58の識別情報を「001」と検知する。
【0148】
なお、検出パルス信号パターンに含まれる検出パルス信号の個数と識別情報を対応付けてもよく、特定の時間近傍での検出パルス信号の有無に対応付けてもよく、検出出力値のパターンに対応付けてもよい。
【0149】
図16は、二種類の複数の磁性素子で表現された識別情報が付与された印刷物59から識別情報を情報読取装置200が読み取る方法の一例を示す図である。
【0150】
図16(a)は、印刷物58に付与された識別情報750に対応付けされた2本の磁歪振動素子751、752の配置状態を示す図であり、図16(b)、(c)は、励磁コイル101及び検知コイル102内を印刷物59が一定の搬送速度Vで移動することで情報読取装置200で検出される印刷物59の検出信号を示す図、図16(b)は、情報読取装置200が印刷物59から検出する検出パルス信号パターン803と検出パルス信号パターン803に基づき検知する識別情報を示す図である。
【0151】
なお、印刷物59に付与された擬似素子761、762は、説明の便宜上、破線で示してある。
【0152】
また、印刷物59に予め付与された識別情報750に対応付けられた磁歪振動素子は、複数種類の複数の磁歪振動素子を組み合わせて付与することが可能であるが、図16においては、説明の便宜上、二種類の磁歪振動素子751、752を用いた例で示してある。 図16(a)に示すように、印刷物59には、所定周波数の交番磁界を受けて磁歪振動する特性を有する長さの異なる細い薄箔状の磁歪振動素子751、752で対応付けられた識別情報が付与されており、また、各磁歪振動素子の他に各磁歪振動素子と同一の大きさと形状を有する擬似素子761、762が磁歪振動素子の配置パターンと同様に複数付与されている。
【0153】
なお、磁歪振動素子751、752の共振周波数は、それぞれ磁性素子751がf2、磁性素子752がf1であるものとして説明する。
【0154】
励磁コイル101及び検知コイル101内を一定の搬送速度Vで印刷物59が移動すると、印刷物59に付与された各磁歪振動素子751、752は、励磁コイル101から発せられる交番磁界を受けて磁歪振動し、その際に各磁歪振動素子751、752から発せられる電磁波が検知コイル102を介して図16(b)に示すような検出パルス信号パターン803として検出される。
【0155】
検出パルス信号パターン803には、励磁コイル101からf1近傍の周波数の交番磁界が発信された時に磁歪振動素子751が磁歪振動し、磁歪振動素子751から発せられた電磁波が検出周波数f1の検出パルス信号Fで検出され、f4近傍の周波数の交番磁界が発信された時に磁歪振動素子752が磁歪振動し、磁歪振動素子752から発せられた電磁波が検出周波数f2の検出パルス信号Gで検出される。
【0156】
このように印刷物59に所定周波数の交番磁界を与えることで印刷物59に付与された各磁歪振動素子固有の共振周波数に対応した交番磁界の周波数近傍で各磁歪振動素子が発する電磁波に対応した検出パルス信号が検出されるので、この検出結果に基づき印刷物59の識別情報を検知する。
【0157】
検出パルス信号と識別情報との対応付けの一例として、例えば印刷物59の識別情報を磁歪振動素子751、752で表現して付与する場合は、磁歪振動素子の種類に応じたビット数とし、磁歪振動素子751の検出有無を1ビット目の情報、磁歪振動素子752の検出有無を2ビット目の情報として対応付け、検出パルス信号F、Gが検出された場合は、識別情報を「11」と検知し、検出パルス信号Fのみを検知した場合は、識別情報を「10」と検知し、検出パルス信号Gのみを検知した場合は、識別情報を「01」と検知する。
【0158】
このように、原稿から読み取った画情報を印刷する用紙に対して必要に応じて磁性素子もしくは磁歪振動素子を付与して識別情報を形成し、識別情報が形成された用紙に原稿から読み取った画情報を印刷し、原稿から読み取った画像情報と当該画像情報が印刷された用紙の識別情報とを対応付けて管理することで、よりセキュリティーを強化した文書管理を行うことができる。
【0159】
なお、情報読取装置100、200を複写機20の他に図17に示すような複写機21に適用することも可能である。
【0160】
複写機21は、ADF(=Auto Document Feeder:原稿自動送り装置)を備えた複写機であり、複写機20において排紙トレイ近傍に配設された励磁コイル101及び検知コイル102を複写機21のADF内に配設し、ADFにより搬送される原稿が励磁コイル101及び検知コイル102直下を通過するように配置した他は、複写機20の同様に構成されており、複写機20と同様な効果を得ることができる。
【0161】
この場合は、原稿に付与された磁性素子もしくは磁歪振動素子から成る識別情報を検知し、複写機21で複写された原稿情報を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明に係わる情報読取装置100を備えた複写機10の概略図
【図2】情報読取装置100の要部の構成を示すブロック図
【図3】原稿1に付与された磁性素子111の磁気特性を示す図
【図4】情報読取装置100で検出される磁性素子111の検出信号の一例を示す図
【図5】本発明に係わる磁性素子を付与した媒体の一例を示す図
【図6】情報読取装置100とは他の情報読取装置200の構成を示すブロック図
【図7】情報読取装置200で検出される磁歪振動素子112の検出信号例を示す図
【図8】本発明に係わる磁歪振動素子を付与した媒体の一例を示す図
【図9】情報読取装置100、200を適用した複写機20の構成を示すブロック図
【図10】磁性素子付与装置900の概略的な構成を示す構成図
【図11】熱転写シート921の構成を示す図
【図12】熱転写シート921の各磁性素子及び擬似素子を用紙54に熱転写する基本的な処理動作の説明図
【図13】熱転写シート921とは他の熱転写シート941の構成を示す図
【図14】情報読取装置100による複数の磁性素子で表現された識別情報の検知方法を説明する説明図
【図15】複数の磁性素子の検出信号と識別情報との対応についての説明図
【図16】情報読取装置200による複数の磁歪振動素子で表現された識別情報の検知方法を説明する説明図
【図17】情報読取装置100、200を備えた複写機20とは他の複写機21を示す図
【符号の説明】
【0163】
1、2 原稿
10、20、21 複写機
11、110 制御部
12 画像読取部
13 画像形成部
14 プラテンガラス
15 プラテンカバー
16 給紙トレイ
17 排紙トレイ
50、51、52、53、54 用紙
55 識別情報付与済用紙
56、57、58、59 印刷物
100、200 情報読取装置
101 励磁コイル
102 検知コイル
103、203 励磁回路
104、204 検知回路
105 タイミング制御部
106 信号処理部
107、207 ビット出力部
206 周波数制御回路
111、113、501、511、512、513、611、612、613、711、712、713 磁性素
112、525、531、532、641、642、751、752 磁歪振動素子
502、521、522、523、526、541、542、621、622、623、651、652、721、722、723、761、762 擬似素子
131 露光制御装置
132 感光ドラム
133 現像器
134 転写ドラム
135 定着装置
310 磁気履歴曲線
402 検出信号波形
510、530、610、640識別情報
700 検出パルス信号
800、801、802、803 検出パルス信号パターン
900 磁性素子付与装置
910 磁性素子付与制御部
920 磁性素子付与部
921、941 熱転写シート
921a、921b 分割領域
941a、941b、941c、941d、941e 分割領域
922 発熱抵抗体
923 シート送りローラ
924 シート巻取ローラ924
925 用紙送りローラ
926 用紙搬出ローラ
927 ガイド用ローラ
930、950 シート基板
931、951 熱溶融層
932、952 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界が与えられることで信号を発生する少なくとも1つの磁性素子と前記磁性素子と同一の大きさと形状を有し磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子とが付与された媒体に磁界を与え、該磁界により前記磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と、
前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子が検知され、該検知された磁性素子で形成される情報を読み取る情報読取手段と
を具備することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させる移動制御手段
を更に具備し、
前記情報読取手段は、
前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子が検知され、該検知された磁性素子で形成される情報を読み取ること
を特徴とする請求項1記載の情報読取装置。
【請求項3】
磁界が与えられることで信号を発生する少なくとも1つの磁性素子と前記磁性素子と同一の大きさと形状を有し磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子とを媒体に付与し、
該媒体に励磁検知手段で磁界を与えるとともに、該磁界により前記磁性素子から発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子で形成される情報を読み取る
ことを特徴とする情報読取方法。
【請求項4】
前記励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させ、
前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段で検出することで前記媒体に付与された磁性素子で形成される情報を読み取る
ことを特徴とする請求項3記載の情報読取方法。
【請求項5】
磁界が与えられることにより信号を発生する磁性素子を付与した媒体であって、
前記磁性素子と同一の大きさと形状を有し前記磁界が与えられても信号を発生しない複数の擬似素子が前記磁性素子に混在させて付与されている
ことを特徴とする媒体。
【請求項6】
前記磁性素子は、
長さが異なる磁性素子を含み、
前記磁性素子の数および長さの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成する
ことを特徴とする請求項5記載の媒体。
【請求項7】
前記磁性素子は、
磁気特性が異なる磁性素子を含み、
前記磁性素子により形成される情報は、
該磁性素子の数および長さおよび磁気特性のうちの少なくとも2つの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成する
ことを特徴とする請求項5または6記載の媒体。
【請求項8】
前記磁性素子から発生される信号は、
前記磁性素子が磁化反転時に発する磁束変化に基づく信号である
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の媒体。
【請求項9】
前記磁性素子から発生される信号は、
前記磁性素子が磁歪振動により発する信号である
ことを特徴とする請求項5至7のいずれかに記載の媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−268538(P2006−268538A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86612(P2005−86612)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】