説明

磁性膜付着体及びその製造方法

【課題】磁性膜を基体に付着させる際の適切な形成条件を定め、磁性膜の膜厚が2μmを超えるような場合であっても剥離の生じないような磁性膜付着体の製造方法を提供すること。
【解決手段】磁性膜5を基体3に付着してなる磁性膜付着体10の製造方法を提供する。この製造方法は、基体3を準備する工程と、交互に積層された有機物膜6及びフェライト膜7からなる磁性膜5を基体3上に形成する工程とを備える。この製造方法において、磁性膜5を形成する工程は、20μm以下の膜厚を有するフェライト膜7をフェライトメッキ法により形成する工程と、0.1μm以上20μm以下の膜厚を有する有機物膜6であって当該有機物膜6の膜厚tとヤング率Eとの比t/Eが0.025μm/GPa以上である有機物膜6を形成する工程とを交互に行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体に磁性膜、特にスピネル型フェライト膜を付着してなる磁性膜付着体と、磁性膜付着体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェライトメッキ法は、良質のフェライト膜を提供するものであり、例えば、特許文献1に開示されている。フェライトメッキ法は:少なくとも第1鉄イオンを含む特定水溶液を用意するステップと;基体の表面を特定水溶液に接触させて、Fe2+イオン又はFe2+イオンと他の水酸化金属イオンとを基体の表面に吸着させるステップと;吸着したFe2+イオンを酸化させることによりFe3+イオンを得て、Fe3+イオンと特定水溶液中の水酸化金属イオンとでフェライト結晶化反応を起こさせて、基体の表面にフェライト膜を形成するステップ;とを備えている。
【0003】
このフェライトメッキ法によれば、基体が水溶液に対して耐性を有している限り、あらゆる基体を用いることができる。また、フェライトメッキ法は水溶液を介した反応に基づいているため、比較的低温(常温〜水溶液の沸点以下)でスピネル型のフェライト膜を生成することができる。従って、フェライトメッキ法は、他のフェライト膜形成技術と比較して、基体に対する限定が少ないという点で優れている。また、フェライトメッキ法によるフェライト膜は、セラミックスでありながら柔軟であり、取り扱いがしやすいという点で優れている。
【0004】
フェライトメッキ法に関連する文献としては、特許文献2〜特許文献6及び非特許文献1がある。特許文献2は、形成されたフェライト膜の均質化及びフェライト膜の形成工程における反応速度の向上を図る技術を開示している。特許文献3は、基体表面をプラズマ処理により表面変性させることにより基体表面に界面活性を付与して様々な基体に対してフェライト膜を形成しようとする技術を開示している。特許文献4は、フェライト膜の形成速度の向上に関する技術を開示している。特許文献5は、フェライト膜又はその支持体を絶縁性の材料でコーティングすることにより、フェライト膜又はその支持体の絶縁性の向上を図る技術を開示している。特許文献6は、広範囲の周波数帯域に亘って高い透磁率を有するフェライト薄膜に関する技術を開示している。特許文献7は、ひずみ緩和化合物層とフェライト構成原子の層とを積層させることで磁性膜(フェライト膜)を形成する技術を開示している。非特許文献1は、特許文献6の技術に基づくフェライト薄膜を用いたノイズ抑制体に関する技術を開示している。
【特許文献1】特開昭59−111929号公報
【特許文献2】特開昭60−140713号公報
【特許文献3】特開昭61−030674号公報
【特許文献4】特開平02−166311号公報
【特許文献5】特開2005−298875号公報
【特許文献6】特開2005−191098号公報
【特許文献7】特開平1−122929号公報
【非特許文献1】「ポリイミドシート状にめっきしたフェライト薄膜のGHz伝導ノイズ抑制効果」:NEC TOKIN Technical Review vol.31,p.92,2004;近藤幸一、千葉龍矢、小野裕司、吉田栄吉、阿部正紀
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献7の技術によれば、磁性膜の膜厚が2μmを超えるような場合であっても、剥離が生じないこととされているが、形成条件によっては、膜厚が2μmを超えるような場合に基体から磁性膜が剥離したり磁性膜自体が損傷したりする恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、磁性膜を基体に付着させる際の適切な形成条件を定め、磁性膜の膜厚が2μmを超えるような場合であっても剥離の生じないような磁性膜付着体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記磁性膜付着体の製造方法によって製造された磁性膜付着体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の側面は、基体を準備する工程と、交互に積層された有機物膜及びフェライト膜からなる磁性膜を前記基体上に形成する工程とを備える磁性膜付着体の製造方法を提供する。この製造方法において、前記磁性膜を形成する工程は、20μm以下の膜厚を有するフェライト膜をフェライトメッキ法により形成する工程と、0.1μm以上20μm以下の膜厚を有する有機物膜であって当該有機物膜の膜厚tとヤング率Eとの比t/Eが0.025μm/GPa以上である有機物膜を形成する工程とを交互に行うものである。
【0009】
本発明の他の側面は、基体と該基体に付着された磁性膜とを備える磁性膜付着体であって、前記磁性膜は、交互に積層された有機物膜とフェライト膜とを備えており、前記有機物膜と前記フェライト膜との密着強度は0.1kN/m以上である、磁性膜付着体を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、適切な形成条件を設定したことから高い密着強度を有するフェライト膜と有機物膜とからなる磁性膜を基体上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態による磁性膜付着体を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態による磁性膜付着体の製造方法において用いた装置を模式的に示す図である。
【図3】図1の磁性膜付着体の変形例を模式的に示す断面図である。
【図4】密着強度の評価方法を模式的に示す図である。
【図5】柔軟性の評価方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に示されるように、本発明の実施の形態による磁性膜付着体10は、基体3と、その基体3に付着された磁性膜5とを備えるものである。ここで、磁性膜3は、交互に積層された有機物膜6とフェライト膜7とを備えており、有機物膜6とフェライト膜7との密着強度は0.1kN/m以上である。特に、本実施の形態による磁性膜付着体10においては、基体3上に直接形成されているのはフェライト膜7ではなく有機物膜6であり、基体3と基体3に直接形成された有機物膜6と密着強度も0.1kN/m以上である。このように、本実施の形態においては、基体3、有機物膜6及びフェライト膜7のいずれの間においても、密着強度を0.1kN/m以上としたため、剥離問題が生じることがない。なお、本実施の形態において密着強度は、規格JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)に従って行った引き剥がし試験により評価した値である。
【0013】
各間の密着強度を0.1kN/m以上とするため、本実施の形態は、フェライト膜7の膜厚、有機物膜6の膜厚、及び有機物膜6の膜厚tとヤング率Eとの比t/Eについての最適条件を次のように規定する。まず、各有機物膜6についてt/Eを0.025μm/GPa以上とする。かかる条件を満たす有機物膜6を用いれば、十分な応力緩和作用を得ることができる。加えて、フェライト膜7間に0.1μm以上の膜厚を有する有機物膜6を介在させる一方で、各フェライト膜7の膜厚を20μm以下とすることにより、前述のような0.1kN/m以上の密着強度を得ることができる。なお、t/Eについては、生産性などを考慮して、1000μm/GPa以下であることが好ましい。また、磁性膜5に含まれるフェライト膜7の総膜厚を1μm以上とすることにより、高い電磁気的な効果を発揮し得る磁性膜5を得ることができる。また、各有機物膜6の膜厚を20μm以下とすることにより、本実施の形態による磁性膜付着体を利用したデバイスの小型化を図ることができる。
【0014】
基体3の材質としては、前述したように、水溶液に対して耐性がある材質であれば特に限定は無い。例えば、ポリイミドシート、ポリエチレンテレフタレートなどの各種プラスチック類、銅、ニッケル、銀、金、タングステン、モリブテン、白金、パラジウム、鉄、鉄合金などの金属類、各種の有機積層板、つまり紙基材エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラス基材ポリエステルなどの積層板、各種ガラス類、セラミックスなどを基体3の材料として用いることができる。
【0015】
本実施の形態において、有機物膜6を用いた目的は、フェライト膜7同士の絶縁やフェライト膜7と外部との絶縁をとることではない。従って、有機物膜6の材料としては、あらゆる比抵抗の物質を用いることが可能である。例えば、有機物膜6は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド等の樹脂からなるものであっても良いし、それら樹脂中に金属粉末を含有したものであっても良い。また、有機物膜6は、樹脂に磁性体粉末を含有してなるものであっても良い。磁性体粉末の材料としては、例えば、フェライト、Fe、Fe−Co合金、Fe−Si合金、Fe−Si−AlなどのFe基合金やNi、Ni−Fe合金などのNi基合金がある。更に、有機物膜6は、カーボンや金属粉末などを樹脂に含有してなる高誘電率の材料であっても良い。
【0016】
本実施の形態において、有機物膜6の成膜方法には特に制限はない。例えば、適度の流動性を持たせた樹脂などをスピンコーターなどの塗布装置で塗布して有機物膜6を成膜しても良いし、スパッタ等の成膜装置で有機物膜6を成膜しても良い。
【0017】
本実施の形態において、フェライト膜7は、フェライトメッキ法により形成されたものである。ここでフェライトメッキ形成には、例えば、図2に示されるような成膜装置を用いることができる。図示された成膜装置は、基体3に対してフェライト膜を形成するための装置であり、反応液ノズル1と、酸化液ノズル2と、回転テーブル4を備えている。回転テーブル4は、その軸の周りに回転可能なテーブルであり、基体3は、回転テーブル4の回転に伴って移動する。反応液ノズル1は、少なくとも第1鉄イオンを含む反応液を回転テーブル4側に向けて供給するためのものであり、回転テーブル4の上方に固定されている。酸化液ノズル2は、少なくとも酸化剤を含む酸化液を回転テーブル4側に向けて供給するためのものであり、回転テーブル4の上方に固定されている。図示された成膜装置において、反応液ノズル1は、静止状態にある回転テーブル4の一方のハーフ領域上に位置しており、酸化液ノズル2は、静止状態にある回転テーブル4の他方のハーフ領域状に位置している。反応液ノズル1から反応液を供給し且つ酸化液ノズル2から酸化液を供給しつつ回転テーブル4を回転させると、基体3には反応液と酸化液とが交互に供給される一方で余分な反応液と酸化液は遠心力で除去されることとなる。その結果、基体3上にはフェライトメッキ法ベースのフェライト膜が形成される。なお、フェライト膜7は互いに組成が異なっていても良い。
【0018】
本実施の形態において、基体3に直接形成されていたのは、フェライト膜7ではなかったが、例えば、図3に示されるように、磁性膜付着体10aは、基体3に直接フェライト膜7を形成してなる磁性膜5aを備えることとしても良い。この場合、基体3は、有機物からなるものであってもよい。この場合の基体3の有機物についても有機物膜6の場合と同様に、t/Eが0.025μm/GPa以上であることが望ましい。このようにすると、有機物からなる基体3とそこに直接形成されたフェライト膜7との密着強度も0.1kN/m以上とすることができる。なお、基体3の有機物に関しても、1000μm/GPa以下であることが望ましい。
【0019】
磁性膜付着体の特性評価のため、以下の表に示すような磁性膜付着体を形成した。ここで、実施例1〜5は夫々本実施の形態による条件を満たす磁性膜付着体であり、比較例1〜5は夫々本実施の形態による条件を満たさない磁性膜付着体である。
【0020】
【表1】

【0021】
以下、表に記載された各実施例についてサイズは製造条件について補足説明する。
【0022】
ガラス板からなる基体3のサイズは、50mm×50mm×1mmであり、ポリイミドシートからなる基体3のサイズは、50mm×50mm×25μmである。前者の例は、実施例1〜3と比較例1〜3であり、後者の例は、実施例4及び5と比較例4である。
【0023】
有機物膜6として例示されているもののうち、「ポリイミドA」は比較的高いヤング率(ヤング率4GPa)を有するポリイミド膜であり、「ポリイミドB」は比較的低いヤング率(ヤング率3GPa)を有するポリイミド膜である。ポリイミド膜の形成方法について、ガラス板状に形成した場合を例にとり説明する。まず、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸に希釈剤を加えて、それらを混合した。次いで、スピンコーターを用いて先程の混合物をガラス板の表面に塗布した。塗布厚は溶液の粘度とスピンコーターの回転数等により調整した。その後、溶液を塗布したガラス板を90℃で5分間加熱した後、320℃で60分間加熱し、ガラス板上にポリイミド膜を形成した。この形成時の条件を調整すると、高ヤング率(4GPa)のポリイミドAや低ヤング率(3GPa)のポリイミドBからなる有機物膜6を形成できる。
【0024】
実施例5の有機物膜6は、エポキシ樹脂とFeの混合物である。この有機物膜6は、エポキシ樹脂のプレポリマーに平均粒径3μmのFe粒子を45vol%混合し、更に硬化剤を混合した。次いで、その混合物を平均厚さ20μmとなるように塗布した。更に、塗布膜を100℃に6時間保持して硬化させた。このようにして、形成されたエポキシ樹脂とFeの混合物の比抵抗は約100Ωcmであった。
【0025】
フェライト膜7は、次のようにして形成した。まず、前処理として、基体3を回転テーブル4上に設置し、その回転テーブル4を回転させた状態で、脱酸素イオン交換水を供給しつつ90℃まで加熱した。次に、成膜装置内に窒素ガスを導入し、脱酸素雰囲気を形成した。次いで、反応液を反応液ノズル1から基体3上に供給するステップと、酸化液を酸化液ノズル2から基体3に供給するステップとを回転テーブル4を回転させた状態で行った。即ち、反応液を供給するステップと、酸化液を供給するステップとを交互に繰り返した。この際、反応液と酸化液の供給の際の流量は、いずれも40ml/minとした。また、反応液は、FeCl−4HO、NiCl−6HO、ZnClを脱酸素イオン交換水中に溶かして形成した。一方、酸化液は、NaNoとCHCOONHを脱酸素イオン交換水中に溶かして形成した。反応液及び酸化液は、例えば、US2009−0047507A1やUS2007−0231614A1などを参照して形成しても良い。なお、ここでは、基体3上にフェライト膜7を形成する場合を例にとり説明したが、有機物膜6上にフェライト膜7を形成する場合も同様の手法により行った。
【0026】
表に示される実施例1〜5と比較例1〜4におけるフェライト膜の化学組成について、誘電結合プラズマ発光分光(ICPS)法により評価した。その結果、いずれのフェライト膜の平均的な組成もNi0.2Zn0.3Fe2.5であった。膜厚の測定のような構造解析には、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。
【0027】
密着強度の評価は、JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)規格に従って行い、引き剥がし強さを密着強度とした。詳しくは、図4に示されるように、得られた磁性膜付着体10を両面テープ22で設置台20に固定した。また、最上層のフェライト膜7に両面テープ22でPETフィルム24を貼り付けた。その状態において、PETフィルム24を90°の方向に引き剥がした。剥離した層間の位置とそのときのフォースゲージの目盛を記録し、この値を密着強度とした。
【0028】
柔軟性の評価は、JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)規格に従って行った。詳しくは、図5に示されるように、まず、屈曲半径Rを3mmとして得られた磁性膜付着体10を折り曲げた。また、磁性膜付着体10の端部をそれぞれ固定板30と振動板32に取り付けた。その状態において、振動板32に30mmのストロークを2往復/sの周期で与えて、10万回往復させた屈曲試験を行った。10万回往復させた屈曲試験後の各層間における剥離の有無を目視にて調査した。その結果、剥離が無い場合に、柔軟性は良好であるものと判定した。なお、この屈曲試験は、基体がガラス板の場合には折り曲げが出来ないため、基体がポリイミドの磁性膜付着体のみについて行った。これらの評価結果も前述の表に示されている。
【0029】
表の内容から明らかなように、実施例1〜5の磁性膜付着体においては、各有機物膜6の膜厚が0.1μm以上20μm以下であり、各有機物膜6の膜厚tとヤング率Eとの比t/Eが0.025μm/GPa以上であり、各フェライト膜7の膜厚が20μm以下であることから基体3、有機物膜6及びフェライト膜7の各間における密着強度が0.1kN/m以上となっている。そのため、磁性膜付着体10における剥離は生じていない。
【0030】
一方、比較例1〜3の磁性膜付着体の場合、有機物膜の膜厚やヤング率、フェライト膜の膜厚などの条件を満たしていないことから、磁性膜付着体内において密着強度が0.1kN/m以下となっており、磁性膜付着体10のいずれかの層間において剥離が生じている。また、比較例4の場合、10万回の屈曲試験後に剥離が見られた。この原因は、有機物からなる基体3に対して単層のフェライト膜7が形成されたためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明による磁性膜付着体は、インダクタンス素子、インピーダンス素子、磁気ヘッド、マイクロ波素子、磁歪素子、及び電磁干渉抑制体などの高周波磁気デバイスにおいて用いることができる。特に、フェライト膜を含む磁性膜を比較的厚くしたい場合に好適である。ここで、電磁干渉抑制体とは、高周波領域において不要電磁波の干渉によって生じる電磁障害を抑制するためのものである。
【符号の説明】
【0032】
1 反応液ノズル
2 酸化液ノズル
3 基体
4 回転テーブル
5,5a 磁性膜
6 有機物膜
7 フェライト膜
10,10a 磁性膜付着体
20 設置台
22 両面テープ
24 PETフィルム
30 固定板
32 振動板
R 屈曲半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体を準備する工程と、交互に積層された有機物膜及びフェライト膜からなる磁性膜を前記基体上に形成する工程とを備える磁性膜付着体の製造方法であって、
前記磁性膜を形成する工程は、
20μm以下の膜厚を有するフェライト膜をフェライトメッキ法により形成する工程と、
0.1μm以上20μm以下の膜厚を有する有機物膜であって当該有機物膜の膜厚tとヤング率Eとの比t/Eが0.025μm/GPa以上である有機物膜を形成する工程とを交互に行うものである
磁性膜付着体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法であって、前記磁性膜を形成する工程は、前記基体上に一層の前記有機物膜を形成する工程を含んでいる、製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の製造方法であって、前記磁性膜を形成する工程は、前記基体上に一層の前記フェライト膜を形成する工程を含んでいる、製造方法。
【請求項4】
基体と該基体に付着された磁性膜とを備える磁性膜付着体であって、
前記磁性膜は、交互に積層された有機物膜とフェライト膜とを備えており、
前記有機物膜と前記フェライト膜との密着強度は0.1kN/m以上である
磁性膜付着体。
【請求項5】
請求項4記載の磁性膜付着体であって、
前記基体上には前記磁性膜の前記有機物膜が直接形成されており、
該直接形成された前記有機物膜と前記基体との密着強度は0.1kN/m以上である
磁性膜付着体。
【請求項6】
請求項4記載の磁性膜付着体であって、
前記基体は有機物よりなるものであり、
前記基体上には前記磁性膜の前記フェライト膜が直接形成されており、
該直接形成された前記フェライト膜と前記基体との密着強度は0.1kN/m以上である
磁性膜付着体。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の磁性膜付着体であって、
前記フェライト膜の夫々は、20μm以下であり、
前記有機物膜の夫々は、0.1以上20μm以下の厚みを有しており、
前記有機物膜の夫々の膜厚tと当該有機物膜のヤング率Eとの比t/Eは、0.025μm/GPa以上である
磁性膜付着体。
【請求項8】
請求項7記載の磁性膜付着体であって、
前記磁性膜に含まれる前記フェライト膜の総膜厚は1μm以上である
磁性膜付着体。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の磁性膜付着体であって、
前記フェライト膜は、フェライトメッキ法により形成されたものである
磁性膜付着体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−138484(P2010−138484A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176210(P2009−176210)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【特許番号】特許第4416178号(P4416178)
【特許公報発行日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】