磁性金属円筒体の欠落検出方法およびその装置
【課題】非磁性金属体に多数連設インサートされる磁性金属円筒体を個別に検知して欠落を検出することができる磁性金属円筒体の欠落検出方法およびその装置を目的とする。
【解決手段】 二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石3及びS極磁石4と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサ5とを磁性金属円筒体Rに対して相対的に移動させ、N極磁石3及びS極磁石4によって磁性金属円筒体Rに発生する磁界をMIセンサ5により電圧として検出し、該電圧に基いて磁性金属円筒体Rの欠落を検出する方法と、非磁性金属体Bを通過させる門型フレーム1bに、N極磁石3及びS極磁石4が二等辺三角形の各底角頂点に配設され、磁性金属円筒体Rの欠落を検出するMIセンサ5が二等辺三角形の頂角頂点に配設される検出ヘッド2を取り付けた装置1である。
【解決手段】 二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石3及びS極磁石4と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサ5とを磁性金属円筒体Rに対して相対的に移動させ、N極磁石3及びS極磁石4によって磁性金属円筒体Rに発生する磁界をMIセンサ5により電圧として検出し、該電圧に基いて磁性金属円筒体Rの欠落を検出する方法と、非磁性金属体Bを通過させる門型フレーム1bに、N極磁石3及びS極磁石4が二等辺三角形の各底角頂点に配設され、磁性金属円筒体Rの欠落を検出するMIセンサ5が二等辺三角形の頂角頂点に配設される検出ヘッド2を取り付けた装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体の欠落を検出する磁性金属円筒体の欠落検出方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミ製のエンジンブロックにインサート成形される磁性金属円筒体よりなるシリンダライナの欠落は、目視検査やシリンダライナ内に磁性体が近付くことにより磁界の変化を検知する近接スイッチを挿入配置させて行うのが一般的であった。しかし、目視検査では検査ミスをなくすることが難しいうえに省力化を推進できないという問題があった。さらに、近接スイッチによる検査では移送されてくるエンジンブロックを検査毎に停止させる必要があり、製造ラインの処理速度を低下させるという問題があった。また、磁性体検出装置として磁石と磁気センサとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、MIセンサ(磁気インピーダンス効果型磁気センサ)を振動させて金属を探知するものがある(例えば、特許文献2参照)。さらに、金属検出装置としてMIセンサ(磁気インピーダンス効果型磁気センサ)と永久磁石とを備えたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
しかし、特許文献1のものは、連設される多数の磁性体を個別に検出することは難しいという問題がある。また、特許文献2のものは、MIセンサで金属材を検出するためには金属材に交流電流を流したり、金属材に対してMIセンサを相対的に振動させたりする必要があるため構造が複雑となり高価になるうえに装置が大型化する問題がある。さらに、特許文献3のものも特許文献1と同様に、連設される多数の金属を各別に検出することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平8−304007号公報
【特許文献2】特開平11−248851号公報
【特許文献3】特開2006−98117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非磁性金属体に多数連設インサートされる磁性金属円筒体を個別に検知して欠落を検出することができる磁性金属円筒体の欠落検出方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する方法であって、二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石及びS極磁石と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサとを磁性金属円筒体に対して二等辺三角形の底辺方向に相対的に移動させ、磁性金属円筒体上を移動するN極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界をMIセンサにより電圧として検出し、該電圧に基いて非磁性金属体内に連設インサートされた磁性金属円筒体の欠落を検出する磁性金属筒体の欠落検出方法及び、非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する装置であって、磁性金属円筒体の連設方向に移動する非磁性金属体を通過させる門型フレームに、非磁性金属体の移動方向と直列に配設されるN極磁石及びS極磁石が二等辺三角形の各底角頂点に配設されるとともに、該N極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界を電圧として検出し、該電圧に基いて磁性金属円筒体の欠落を検出するMIセンサが二等辺三角形の頂角頂点に配設される検出ヘッドを取り付けた磁性金属円筒体の欠落検出装置である。
【0006】
なお、請求項2において、MIセンサが移動する磁性金属円筒体のセンター位置に配置され、N極磁石及びS極磁石が磁性金属円筒体のセンターに対して偏倚して配置されるよう門型フレームに取り付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する方法であって、二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石及びS極磁石と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサとを磁性金属円筒体に対して二等辺三角形の底辺方向に相対的に移動させ、磁性金属円筒体上を移動するN極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界をMIセンサにより電圧として検出し、該電圧に基いて非磁性金属体内に連設インサートされた磁性金属円筒体の欠落を検出することにより、非磁性金属体中に多数連設インサートされている各磁性金属円筒体は略サインカーブの電圧としてリアルタイムで検出することができる。このことからサインカーブが形成されない場合は磁性金属円筒体の欠落を示すこととなるため、検出電圧から欠落を高精度、且つ高速で検出することができるので、生産ライン中に磁性金属円筒体の欠落検査工程を組み込めば生産性を大幅に向上させることができる。
【0008】
また、請求項3のように、MIセンサが移動する磁性金属円筒体のセンター位置に配置され、N極磁石及びS極磁石が磁性金属円筒体のセンターに対して偏倚して配置されるよう門型フレームに取り付けることにより、磁界に基く電圧のサインカーブが明確になり各磁性金属円筒体Rをより高精度に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、図3、4に示されるアルミダイカスト成形された非磁性金属体Bとしてのエンジンブロックに連設インサートされる多数の磁性金属円筒体Rとしてのシリンダライナの欠落を検出する装置に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1中、1は磁性金属円筒体Rとしてのシリンダライナの欠落を検出する装置であり、該装置1は非磁性金属体Bを搬送する搬送装置1aを跨ぐ門型フレーム1bの横桁に磁性金属円筒体Rを検出する検出ヘッド2を取り付けている。
【0010】
前記検出ヘッド2は磁性金属円筒体Rに磁界を発生させるN極磁石3及びS極磁石4と、磁性金属円筒体Rに発生した磁界を電圧として検出するMIセンサ(磁気インピーダンス効果型磁気センサ)5とを二等辺三角形の各頂点に配設したものであり、図3に示されるように、二等辺三角形の底角頂点にN極磁石3及びS極磁石4が配設され、頂角頂点にMIセンサ5が配設されている。
【0011】
非磁性金属体Bの搬送方向は二等辺三角形の底辺方向とされるので、検出ヘッド2の底辺頂点に配設されるN極磁石3とS極磁石4は搬送方向に対して直列となる。このためN極磁石3とS極磁石4の下方を移動していく各磁性金属円筒体RにはN極磁石3とS極磁石4とによる磁界が交互に発生する。
【0012】
また、検出ヘッド2に取り付けられたMIセンサは連接方向に移動する磁性金属円筒体Rのセンター位置上を走査するように配置され、検出ヘッド2に取り付けられたN極磁石3及びS極磁石4は移動する磁性金属円筒体Rのセンターより偏倚した位置、即ち、多数の磁性金属円筒体Rの周縁に形成される半円弧状部を飛び石伝い移動する。
【0013】
磁性金属円筒体Rに発生する磁界はN極磁石3とS極磁石4とにより向きが異なるうえに、磁性金属円筒体RとN極磁石3及びS極磁石4との配置により発生する磁束は変動する。発生するN極とS極による磁束は互いに打ち消し合うので、N極とS極による磁束が等しければMIセンサ5は磁界を検出しないが、磁束が異なれば磁束の多い極の磁界をプラス電圧またはマイナス電圧として検出する。このため隣接される磁性金属円筒体RをN極磁石3とS極磁石4とが跨ぐとき、N極磁石3側に位置する磁性金属円筒体RとS極磁石4側に位置する磁性金属円筒体Rとに分かれることとなる。
【0014】
そして、N極磁石3とS極磁石4とが隣接する磁性金属円筒体Rの中間位置に達すると磁束は打ち消しあい磁界はゼロとなるので、MIセンサ5による検出電圧はゼロ(基準電圧)となる。また、N極磁石3とS極磁石4とが隣接する磁性金属円筒体Rのいずれか一方寄り、例えば、N極磁石3寄りになれば、N極磁界が優位となりプラス電圧が検出され、逆に、S極磁石4寄りになれば、S極磁界が優位となりマイナス電圧が検出されることとなる。このため、各磁性金属円筒体Rはプラス電圧とマイナス電圧とゼロ電圧とからなるサインカーブとして確実に検出することができる。
【0015】
このように構成された装置は、搬送装置1aにより搬送されてくる磁性金属円筒体Rを連設インサートした非磁性金属体Bが門型フレーム1bを通過する際、検出ヘッド2の二等辺三角形の各頂点に配設されたMIセンサ5とN極磁石3及びS極磁石4により、磁性金属筒体Rに発生した磁界はMIセンサ5により電圧として検出される。
【0016】
以下、図3、4に示されるアルミダイカスト成形された非磁性金属体Bとしてエンジンブロックにインサートされる多数の磁性金属円筒体Rとしてのシリンダライナの検出方法を詳細に説明する。
【0017】
図6、7に示されるように、非磁性金属体Bが図面上右方向に搬送されていくとき、磁性金属円筒体R(以下、No4シリンダライナという)の半円弧状部にN極磁石3が位置し、S極磁石4はNo4シリンダライナから離れ、MIセンサ5がNo4シリンダライナの中心に近付きつつあるA点に達したとき、N極磁石3の磁界はMIセンサ5を上向きに通過することとなる。この磁界の通過により、図5にAで示されるようにMIセンサ5には約1.2Vの電圧が出力されることとなる。磁界ゼロ時の基準電圧は2.5Vであるので1.2Vはマイナス電圧となる。
【0018】
また、図8、9に示されるように、No4シリンダライナの半円弧状部にN極磁石3とS極磁石4とが位置し、MIセンサ5がNo4シリンダライナの中心に位置したB点に移動したとき、N極磁界3の磁界はNo4シリンダライナを経てS極磁石4に向かいMIセンサ5を通らないので、図5にBで示されるように電圧は2.5V(磁界ゼロ)のゼロ電圧となる。
【0019】
さらに、図10、11に示されるように、磁性金属円筒体R(以下、No3シリンダライナという)の半円弧状部にN極磁石3が位置し、No4シリンダライナの半円弧状部にS極磁石4が位置し、MIセンサ5がNo3シリンダライナとNo4シリンダライナの隣接部に近付いたC点に移動したとき、N極磁石3の磁界はループを形成するが、S極磁石4の磁界はMIセンサ5を下向きに通過するので、図5にCで示されるようにMIセンサ5は約2.8Vのプラス電圧を出力することとなる。
【0020】
また、図12、13に示されるように、No3シリンダライナの半円弧状部にN極磁石3が位置し、No4シリンダライナの半円弧状部にS極磁石4が位置し、MIセンサ5がNo3シリンダライナとNo4シリンダライナとの中間に位置したD点に移動したとき、N極磁石3の磁界はNo3シリンダライナとNo4シリンダライナを経てS極磁石4に向かうものと、N極磁石3からMIセンサ5を上向きに通過するものと、MIセンサ5を下向きに通過してS極磁石4に向かうものとができる。このため図5にD点で示されるように磁界は相殺されて電圧は2.5Vのゼロ電圧となる。
【0021】
さらに、図14、15に示されるように、No3シリンダライナの半円弧状部にN極磁石3が位置し、No4シリンダライナの半円弧状部にS極磁石4が位置し、MIセンサ5がNo3シリンダライナとNo4シリンダライナとのNo3シリンダライナ寄り隣接部に位置したE点に移動したとき、S極磁石4はループを形成してMIセンサ5を通過しないが、N極磁石3の磁界はMIセンサ5を上向きに通過するため、図5にEで示されるようにMIセンサ5は約1.5Vのマイナス電圧を出力することとなる。
【0022】
また、図16、17に示されるように、N極磁石3が磁性金属円筒体R(以下、No1シリンダライナという)より離れて位置し、S極磁石4がNo1シリンダライナの半円弧状部に位置し、MIセンサ5がNo1シリンダライナより少し外れ始めたF点に移動したとき、N極磁石3の磁界はループを形成してMIセンサ5と通過しないが、S極磁石4の磁界はMIセンサ5を下向きに通過するので、図5にFで示されるように3.5Vのプラス電圧を出力することとなる。
【0023】
そして、図18、19に示されるように、No2シリンダライナとNo4シリンダライナが欠落したエンジンブロックを用いて実験を行なったところ、図5に示されるように点線(No4シリンダライナ)及び細点線(No2シリンダライナ)で示されるようにサインカーブが形成されない欠落電圧が検出されるので、磁性金属円筒体Rの欠落を検出できることとなる。
【0024】
なお、実施形態においては非磁性金属体Bが検出ヘッド2に対して移動するものとしているが、検出ヘッド2が移動するものとしてもよく、要は、検出ヘッド2と非磁性金属体Bとが相対的に移動すればよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】非磁性金属体に対するMIセンサとN極磁石及びS極磁石の検出位置を示す平面図である。
【図4】同じく一部切欠正面図である。
【図5】磁性金属円筒体に生じる磁界を検出したMIセンサの出力電圧を示すグラフである。
【図6】磁性金属円筒体(No4シリンダライナ)のA点における測定状態を示す正面図である。
【図7】同じく平面図である。
【図8】磁性金属円筒体(No4シリンダライナ)のB点における測定状態を示す正面図である。
【図9】同じく平面図である。
【図10】磁性金属円筒体(No4シリンダライナ)のC点における測定状態を示す正面図である。
【図11】同じく平面図である。
【図12】磁性金属円筒体(No3、No4シリンダライナ)のD点における測定状態を示す正面図である。
【図13】同じく平面図である。
【図14】磁性金属円筒体(No3、No4シリンダライナ)のE点における測定状態を示す正面図である。
【図15】同じく平面図である。
【図16】磁性金属円筒体(No1シリンダライナ)のF点における測定状態を示す正面図である。
【図17】同じく平面図である。
【図18】磁性金属円筒体(No2シリンダライナ)の欠落をS極磁石で検出した状態を示す正面図である。
【図19】磁性金属円筒体(No2シリンダライナ)の欠落をN磁極により検出した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 装置
2 検出ヘッド
3 N極磁石
4 S極磁石
5 MIセンサ
B 非磁性金属体
R 磁性金属円筒体
【技術分野】
【0001】
本発明は非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体の欠落を検出する磁性金属円筒体の欠落検出方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミ製のエンジンブロックにインサート成形される磁性金属円筒体よりなるシリンダライナの欠落は、目視検査やシリンダライナ内に磁性体が近付くことにより磁界の変化を検知する近接スイッチを挿入配置させて行うのが一般的であった。しかし、目視検査では検査ミスをなくすることが難しいうえに省力化を推進できないという問題があった。さらに、近接スイッチによる検査では移送されてくるエンジンブロックを検査毎に停止させる必要があり、製造ラインの処理速度を低下させるという問題があった。また、磁性体検出装置として磁石と磁気センサとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、MIセンサ(磁気インピーダンス効果型磁気センサ)を振動させて金属を探知するものがある(例えば、特許文献2参照)。さらに、金属検出装置としてMIセンサ(磁気インピーダンス効果型磁気センサ)と永久磁石とを備えたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
しかし、特許文献1のものは、連設される多数の磁性体を個別に検出することは難しいという問題がある。また、特許文献2のものは、MIセンサで金属材を検出するためには金属材に交流電流を流したり、金属材に対してMIセンサを相対的に振動させたりする必要があるため構造が複雑となり高価になるうえに装置が大型化する問題がある。さらに、特許文献3のものも特許文献1と同様に、連設される多数の金属を各別に検出することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平8−304007号公報
【特許文献2】特開平11−248851号公報
【特許文献3】特開2006−98117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非磁性金属体に多数連設インサートされる磁性金属円筒体を個別に検知して欠落を検出することができる磁性金属円筒体の欠落検出方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する方法であって、二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石及びS極磁石と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサとを磁性金属円筒体に対して二等辺三角形の底辺方向に相対的に移動させ、磁性金属円筒体上を移動するN極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界をMIセンサにより電圧として検出し、該電圧に基いて非磁性金属体内に連設インサートされた磁性金属円筒体の欠落を検出する磁性金属筒体の欠落検出方法及び、非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する装置であって、磁性金属円筒体の連設方向に移動する非磁性金属体を通過させる門型フレームに、非磁性金属体の移動方向と直列に配設されるN極磁石及びS極磁石が二等辺三角形の各底角頂点に配設されるとともに、該N極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界を電圧として検出し、該電圧に基いて磁性金属円筒体の欠落を検出するMIセンサが二等辺三角形の頂角頂点に配設される検出ヘッドを取り付けた磁性金属円筒体の欠落検出装置である。
【0006】
なお、請求項2において、MIセンサが移動する磁性金属円筒体のセンター位置に配置され、N極磁石及びS極磁石が磁性金属円筒体のセンターに対して偏倚して配置されるよう門型フレームに取り付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する方法であって、二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石及びS極磁石と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサとを磁性金属円筒体に対して二等辺三角形の底辺方向に相対的に移動させ、磁性金属円筒体上を移動するN極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界をMIセンサにより電圧として検出し、該電圧に基いて非磁性金属体内に連設インサートされた磁性金属円筒体の欠落を検出することにより、非磁性金属体中に多数連設インサートされている各磁性金属円筒体は略サインカーブの電圧としてリアルタイムで検出することができる。このことからサインカーブが形成されない場合は磁性金属円筒体の欠落を示すこととなるため、検出電圧から欠落を高精度、且つ高速で検出することができるので、生産ライン中に磁性金属円筒体の欠落検査工程を組み込めば生産性を大幅に向上させることができる。
【0008】
また、請求項3のように、MIセンサが移動する磁性金属円筒体のセンター位置に配置され、N極磁石及びS極磁石が磁性金属円筒体のセンターに対して偏倚して配置されるよう門型フレームに取り付けることにより、磁界に基く電圧のサインカーブが明確になり各磁性金属円筒体Rをより高精度に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、図3、4に示されるアルミダイカスト成形された非磁性金属体Bとしてのエンジンブロックに連設インサートされる多数の磁性金属円筒体Rとしてのシリンダライナの欠落を検出する装置に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1中、1は磁性金属円筒体Rとしてのシリンダライナの欠落を検出する装置であり、該装置1は非磁性金属体Bを搬送する搬送装置1aを跨ぐ門型フレーム1bの横桁に磁性金属円筒体Rを検出する検出ヘッド2を取り付けている。
【0010】
前記検出ヘッド2は磁性金属円筒体Rに磁界を発生させるN極磁石3及びS極磁石4と、磁性金属円筒体Rに発生した磁界を電圧として検出するMIセンサ(磁気インピーダンス効果型磁気センサ)5とを二等辺三角形の各頂点に配設したものであり、図3に示されるように、二等辺三角形の底角頂点にN極磁石3及びS極磁石4が配設され、頂角頂点にMIセンサ5が配設されている。
【0011】
非磁性金属体Bの搬送方向は二等辺三角形の底辺方向とされるので、検出ヘッド2の底辺頂点に配設されるN極磁石3とS極磁石4は搬送方向に対して直列となる。このためN極磁石3とS極磁石4の下方を移動していく各磁性金属円筒体RにはN極磁石3とS極磁石4とによる磁界が交互に発生する。
【0012】
また、検出ヘッド2に取り付けられたMIセンサは連接方向に移動する磁性金属円筒体Rのセンター位置上を走査するように配置され、検出ヘッド2に取り付けられたN極磁石3及びS極磁石4は移動する磁性金属円筒体Rのセンターより偏倚した位置、即ち、多数の磁性金属円筒体Rの周縁に形成される半円弧状部を飛び石伝い移動する。
【0013】
磁性金属円筒体Rに発生する磁界はN極磁石3とS極磁石4とにより向きが異なるうえに、磁性金属円筒体RとN極磁石3及びS極磁石4との配置により発生する磁束は変動する。発生するN極とS極による磁束は互いに打ち消し合うので、N極とS極による磁束が等しければMIセンサ5は磁界を検出しないが、磁束が異なれば磁束の多い極の磁界をプラス電圧またはマイナス電圧として検出する。このため隣接される磁性金属円筒体RをN極磁石3とS極磁石4とが跨ぐとき、N極磁石3側に位置する磁性金属円筒体RとS極磁石4側に位置する磁性金属円筒体Rとに分かれることとなる。
【0014】
そして、N極磁石3とS極磁石4とが隣接する磁性金属円筒体Rの中間位置に達すると磁束は打ち消しあい磁界はゼロとなるので、MIセンサ5による検出電圧はゼロ(基準電圧)となる。また、N極磁石3とS極磁石4とが隣接する磁性金属円筒体Rのいずれか一方寄り、例えば、N極磁石3寄りになれば、N極磁界が優位となりプラス電圧が検出され、逆に、S極磁石4寄りになれば、S極磁界が優位となりマイナス電圧が検出されることとなる。このため、各磁性金属円筒体Rはプラス電圧とマイナス電圧とゼロ電圧とからなるサインカーブとして確実に検出することができる。
【0015】
このように構成された装置は、搬送装置1aにより搬送されてくる磁性金属円筒体Rを連設インサートした非磁性金属体Bが門型フレーム1bを通過する際、検出ヘッド2の二等辺三角形の各頂点に配設されたMIセンサ5とN極磁石3及びS極磁石4により、磁性金属筒体Rに発生した磁界はMIセンサ5により電圧として検出される。
【0016】
以下、図3、4に示されるアルミダイカスト成形された非磁性金属体Bとしてエンジンブロックにインサートされる多数の磁性金属円筒体Rとしてのシリンダライナの検出方法を詳細に説明する。
【0017】
図6、7に示されるように、非磁性金属体Bが図面上右方向に搬送されていくとき、磁性金属円筒体R(以下、No4シリンダライナという)の半円弧状部にN極磁石3が位置し、S極磁石4はNo4シリンダライナから離れ、MIセンサ5がNo4シリンダライナの中心に近付きつつあるA点に達したとき、N極磁石3の磁界はMIセンサ5を上向きに通過することとなる。この磁界の通過により、図5にAで示されるようにMIセンサ5には約1.2Vの電圧が出力されることとなる。磁界ゼロ時の基準電圧は2.5Vであるので1.2Vはマイナス電圧となる。
【0018】
また、図8、9に示されるように、No4シリンダライナの半円弧状部にN極磁石3とS極磁石4とが位置し、MIセンサ5がNo4シリンダライナの中心に位置したB点に移動したとき、N極磁界3の磁界はNo4シリンダライナを経てS極磁石4に向かいMIセンサ5を通らないので、図5にBで示されるように電圧は2.5V(磁界ゼロ)のゼロ電圧となる。
【0019】
さらに、図10、11に示されるように、磁性金属円筒体R(以下、No3シリンダライナという)の半円弧状部にN極磁石3が位置し、No4シリンダライナの半円弧状部にS極磁石4が位置し、MIセンサ5がNo3シリンダライナとNo4シリンダライナの隣接部に近付いたC点に移動したとき、N極磁石3の磁界はループを形成するが、S極磁石4の磁界はMIセンサ5を下向きに通過するので、図5にCで示されるようにMIセンサ5は約2.8Vのプラス電圧を出力することとなる。
【0020】
また、図12、13に示されるように、No3シリンダライナの半円弧状部にN極磁石3が位置し、No4シリンダライナの半円弧状部にS極磁石4が位置し、MIセンサ5がNo3シリンダライナとNo4シリンダライナとの中間に位置したD点に移動したとき、N極磁石3の磁界はNo3シリンダライナとNo4シリンダライナを経てS極磁石4に向かうものと、N極磁石3からMIセンサ5を上向きに通過するものと、MIセンサ5を下向きに通過してS極磁石4に向かうものとができる。このため図5にD点で示されるように磁界は相殺されて電圧は2.5Vのゼロ電圧となる。
【0021】
さらに、図14、15に示されるように、No3シリンダライナの半円弧状部にN極磁石3が位置し、No4シリンダライナの半円弧状部にS極磁石4が位置し、MIセンサ5がNo3シリンダライナとNo4シリンダライナとのNo3シリンダライナ寄り隣接部に位置したE点に移動したとき、S極磁石4はループを形成してMIセンサ5を通過しないが、N極磁石3の磁界はMIセンサ5を上向きに通過するため、図5にEで示されるようにMIセンサ5は約1.5Vのマイナス電圧を出力することとなる。
【0022】
また、図16、17に示されるように、N極磁石3が磁性金属円筒体R(以下、No1シリンダライナという)より離れて位置し、S極磁石4がNo1シリンダライナの半円弧状部に位置し、MIセンサ5がNo1シリンダライナより少し外れ始めたF点に移動したとき、N極磁石3の磁界はループを形成してMIセンサ5と通過しないが、S極磁石4の磁界はMIセンサ5を下向きに通過するので、図5にFで示されるように3.5Vのプラス電圧を出力することとなる。
【0023】
そして、図18、19に示されるように、No2シリンダライナとNo4シリンダライナが欠落したエンジンブロックを用いて実験を行なったところ、図5に示されるように点線(No4シリンダライナ)及び細点線(No2シリンダライナ)で示されるようにサインカーブが形成されない欠落電圧が検出されるので、磁性金属円筒体Rの欠落を検出できることとなる。
【0024】
なお、実施形態においては非磁性金属体Bが検出ヘッド2に対して移動するものとしているが、検出ヘッド2が移動するものとしてもよく、要は、検出ヘッド2と非磁性金属体Bとが相対的に移動すればよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】非磁性金属体に対するMIセンサとN極磁石及びS極磁石の検出位置を示す平面図である。
【図4】同じく一部切欠正面図である。
【図5】磁性金属円筒体に生じる磁界を検出したMIセンサの出力電圧を示すグラフである。
【図6】磁性金属円筒体(No4シリンダライナ)のA点における測定状態を示す正面図である。
【図7】同じく平面図である。
【図8】磁性金属円筒体(No4シリンダライナ)のB点における測定状態を示す正面図である。
【図9】同じく平面図である。
【図10】磁性金属円筒体(No4シリンダライナ)のC点における測定状態を示す正面図である。
【図11】同じく平面図である。
【図12】磁性金属円筒体(No3、No4シリンダライナ)のD点における測定状態を示す正面図である。
【図13】同じく平面図である。
【図14】磁性金属円筒体(No3、No4シリンダライナ)のE点における測定状態を示す正面図である。
【図15】同じく平面図である。
【図16】磁性金属円筒体(No1シリンダライナ)のF点における測定状態を示す正面図である。
【図17】同じく平面図である。
【図18】磁性金属円筒体(No2シリンダライナ)の欠落をS極磁石で検出した状態を示す正面図である。
【図19】磁性金属円筒体(No2シリンダライナ)の欠落をN磁極により検出した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 装置
2 検出ヘッド
3 N極磁石
4 S極磁石
5 MIセンサ
B 非磁性金属体
R 磁性金属円筒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する方法であって、二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石及びS極磁石と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサとを磁性金属円筒体に対して二等辺三角形の底辺方向に相対的に移動させ、磁性金属円筒体上を移動するN極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界をMIセンサにより電圧として検出し、該電圧に基いて非磁性金属体内に連設インサートされた磁性金属円筒体の欠落を検出することを特徴とする磁性金属円筒体の欠落検出方法。
【請求項2】
非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する装置であって、磁性金属円筒体の連設方向に移動する非磁性金属体を通過させる門型フレームに、非磁性金属体の移動方向と直列に配設されるN極磁石及びS極磁石が二等辺三角形の各底角頂点に配設されるとともに、該N極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界を電圧として検出し、該電圧に基いて磁性金属円筒体の欠落を検出するMIセンサが二等辺三角形の頂角頂点に配設される検出ヘッドを取り付けたことを特徴とする磁性金属円筒体の欠落検出装置。
【請求項3】
MIセンサが移動する磁性金属円筒体のセンター位置に配置され、N極磁石及びS極磁石が磁性金属円筒体のセンターに対して偏倚して配置されるよう門型フレームに取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の磁性金属円筒体の欠落検出装置。
【請求項1】
非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する方法であって、二等辺三角形の各底角頂点に配設されるN極磁石及びS極磁石と二等辺三角形の頂角頂点に配設されるMIセンサとを磁性金属円筒体に対して二等辺三角形の底辺方向に相対的に移動させ、磁性金属円筒体上を移動するN極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界をMIセンサにより電圧として検出し、該電圧に基いて非磁性金属体内に連設インサートされた磁性金属円筒体の欠落を検出することを特徴とする磁性金属円筒体の欠落検出方法。
【請求項2】
非磁性金属体に多数連設インサートされる各磁性金属円筒体をMIセンサで検出する装置であって、磁性金属円筒体の連設方向に移動する非磁性金属体を通過させる門型フレームに、非磁性金属体の移動方向と直列に配設されるN極磁石及びS極磁石が二等辺三角形の各底角頂点に配設されるとともに、該N極磁石及びS極磁石によって磁性金属円筒体に発生する磁界を電圧として検出し、該電圧に基いて磁性金属円筒体の欠落を検出するMIセンサが二等辺三角形の頂角頂点に配設される検出ヘッドを取り付けたことを特徴とする磁性金属円筒体の欠落検出装置。
【請求項3】
MIセンサが移動する磁性金属円筒体のセンター位置に配置され、N極磁石及びS極磁石が磁性金属円筒体のセンターに対して偏倚して配置されるよう門型フレームに取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の磁性金属円筒体の欠落検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−103591(P2009−103591A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275949(P2007−275949)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(393011038)菱栄エンジニアリング株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(393011038)菱栄エンジニアリング株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
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