説明

磁気アンカー誘導用磁力発生装置、及び、磁気アンカー遠隔誘導システム

【課題】従来より小さい電力で磁気アンカーを吸引制御でき、かつ小さな出力の外部電源を利用できる磁気アンカー誘導用磁力発生装置、及び、磁気アンカー遠隔誘導システムを提供する。
【解決手段】電流が流れることにより磁力を発生するコイルC1と、外部電力の電力をコイルに供給する第1内部電源ES1と、外部電力の電力を蓄電可能、かつ蓄電した電力をコイルに供給可能な第2内部電源ES2と、第2内部電源の電力のコイルへの供給と遮断を切り替える切替手段S1、S2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の体内の配置した磁気アンカーを体外から吸引するための磁力発生装置、及び、磁気アンカー遠隔誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の磁気アンカー遠隔誘導システムでは、磁気アンカーと把持部材(クリップ)を連結ひもを介して接続したアンカー付把持装置を内視鏡を用いてアンカー付把持装置を患者の体内に配置し、かつ把持部材を閉じることにより把持部材によって患部を把持した後に、患者の外部に配置した磁力発生装置に内蔵させたコイルに外部電源で発生した電流を一定の強さで流し、該コイルで発生した磁力によって連結ひもが緊張するまで磁気アンカーを吸引している(引き上げている)。このようにすると、磁気アンカーに引っ張られた把持部材によって患部が持ち上げられるので、処置具によって患部を簡単に切除できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−105247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気アンカーを一旦連結ひもが緊張するまで引き上げると、磁力発生装置(コイル)から磁気アンカーまでの距離が短くなるので、この状態を維持するために必要な磁力は初期の磁力より小さくなる。
その一方で、連結ひもが緊張するまで磁気アンカーを吸引する際には、コイルから大きな磁力を発生させなければならないので、出力の小さい家庭用電源(例えば、100V、15A)を外部電源として利用することが出来なかった。
【0005】
本発明は、従来より小さい電力で磁気アンカーを吸引制御でき、かつ小さな出力の外部電源を利用できる磁気アンカー誘導用磁力発生装置、及び、磁気アンカー遠隔誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の磁気アンカー誘導用磁力発生装置は、対象物内部の対象部位を把持する把持部材に接続する磁気アンカーに、該対象物外部から磁力を及ぼす磁力発生装置において、電流が流れることにより上記磁力を発生するコイルと、外部電力の電力を上記コイルに供給する第1内部電源と、外部電力の電力を蓄電可能、かつ蓄電した電力を上記コイルに供給可能な第2内部電源と、上記第2内部電源の電力の上記コイルへの供給と遮断を切り替える切替手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記コイルは、例えば一つでもよいし、2つであってもよい。
2つの場合、例えば、上記第1内部電源が電力を2つの上記コイルに同時に供給し、上記切替手段が、上記第2内部電源の電力の2つの上記コイルへの同時供給と同時遮断を切り替えるようすることが可能である。
【0008】
また、コイルが2つの場合、上記第1内部電源が電力を一方の上記コイルに供給し、上記切替手段が、上記第2内部電源の電力の他方の上記コイルへの供給と遮断を切り替えてもよい。
さらに、上記切替手段が上記第2内部電源の電力の2つの上記コイルへの供給を遮断しているとき、該切替手段が上記第1内部電源の電力を2つの上記コイルに同時に供給し、上記切替手段が上記第2内部電源の電力を一方の上記コイルへ供給するとき、該切替手段が上記第1内部電源の電力を他方の上記コイルに供給してもよい。
【0009】
また、コイルが2つの場合は、2つのコイルを両者の軸線方向に並べてもよい 。
さらにこの場合に、上記第1内部電源が電力を一方の上記コイルに供給し、上記切替手段が、上記第2内部電源の電力の他方の上記コイルへの供給と遮断を切り替える場合は、2つの上記コイルの一方を上記対象物側に位置させ、他方を該一方のコイルを挟んで上記対象物と反対側に位置させ、上記切替手段が、上記対象物と反対側に位置するコイルに対する上記第2内部電源の電力の供給と遮断を切り替えてもよい。
【0010】
また、コイルが2つの場合は、2つの上記コイルのうちの一方を他方の内周側に位置させてもよい。
さらにこの場合、上記第1内部電源が電力を一方の上記コイルに供給し、上記切替手段が、上記第2内部電源の電力の他方の上記コイルへの供給と遮断を切り替える場合は、上記切替手段が、外周側に位置する上記コイルに対する上記第2内部電源の電力の供給と遮断を切り替えてもよい。
【0011】
磁気アンカー誘導用磁力発生装置を利用した磁気アンカー遠隔誘導システムとして実施することも可能である。
即ち、本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムは、上記把持部材と上記磁気アンカーを接続する紐部材と、該紐部材に固定した2つの指標と、上記紐部材を撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。
この場合、上記撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、上記2つの指標間の距離を検出する距離検出手段を備え、上記切替手段は、上記距離検出手段が検出した上記距離が基準距離以上のときは、上記第2内部電源の電力の上記コイルへの供給を遮断し、上記基準距離より短いときは上記第2内部電源の電力を上記コイルに供給するようにしてもよい。
【0012】
また、磁気アンカー遠隔誘導システムを、上記把持部材と上記磁気アンカーを接続する紐部材と、該紐部材に固定した3つの指標と、上記紐部材を撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、真ん中に位置する上記指標である基準指標と、該基準指標と隣り合う第1比較指標とを結ぶ第1直線の傾斜方向が、上記基準指標を挟んで上記第1比較指標と反対側に位置しかつ基準指標と隣り合う第2比較指標と、上記基準指標とを結ぶ第2直線の傾斜方向と一致しているか否かを判定する判定手段と、を備え、上記切替手段は、上記判定手段が第1直線と第2直線の傾斜方向が一致していると判定したときは、上記第2内部電源の電力の上記コイルへの供給を遮断し、一致していないと判定したときは、上記第2内部電源の電力を上記コイルに供給するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の磁気アンカー誘導用磁力発生装置によれば、外部電力の電力を第1内部電源からコイルに供給でき、さらに外部電力の電力を蓄電した第2内部電源の電力をコイルに供給できる。そのため、磁気アンカーを持ち上げ始めるときは大きな吸引力が必要になるので、第1内部電源及び第2内部電源の電力をコイルに流す。一方、磁気アンカーを必要な位置まで持ち上げた後は、磁気アンカーをこの位置に保持するだけでよいので必要な吸引力は持ち上げ時に比べて小さくなるので、第2内部電源からコイルへの電力の供給を遮断し、第1内部電源の電力のみをコイルに供給する。従って、従来より小さい電力で磁気アンカーを吸引制御できる。
また、第2内部電源は外部電力の電力を蓄電可能、かつ、蓄電した電力をコイルに供給できるで、家庭用電源のような出力の小さい外部電力を利用して磁気アンカーを吸引制御できる。
【0014】
請求項2のように、コイルを一つとすれば、磁気アンカー誘導用磁力発生装置の構成が簡単になるので、低コストで実現できるようになる。
【0015】
請求項3から5のように、コイルを2つ具備する場合は、仮に一方のコイルが何らかの原因によって故障した場合であっても、残りのコイルで発生する磁力によって磁気アンカーを吸引制御できる。
【0016】
請求項6のように構成した場合は、磁力発生装置をコイルの径方向に小型化することが可能になる。
さらに請求項7のように構成すると、磁気アンカーを必要な位置まで持ち上げた後に第2内部電源から対象物と反対側のコイルへの電力の供給を遮断すると、対象物側のコイルで発生する磁力のみによって磁気アンカーを吸引制御することになる。しかし、対象物側のコイルは対象物と反対側のコイルに比べて磁気アンカーまでの距離が近いので、対象物側のコイルで発生する磁力が大きくなくても、該磁力を磁気アンカーに確実に及ぼすことが可能になる。
【0017】
請求項8のように構成した場合は、磁力発生装置をコイルの軸線方向に小型化することが可能になる。
さらに請求項9のように構成すると、磁気アンカーを必要な位置まで持ち上げた後に第2内部電源から外周側に位置するコイルへの電力の供給を遮断すると、内周側に位置するコイルで発生する磁力のみによって磁気アンカーを吸引制御することになる。しかし、内周側及び外周側のコイルの磁力を利用して磁気アンカーを吸引すると、磁気アンカーは内外のコイルの軸線の延長方向上(内周側のコイルの直下)に位置するので、内周側のコイルの磁力の方が外周側のコイルの磁力よりも磁気アンカーに及びやすい。従って、内周側のコイルで発生する磁力が大きくなくても、該磁力を磁気アンカーに確実に及ぼすことが可能になる。
【0018】
請求項10記載の磁気アンカー遠隔誘導システムによれば、把持部材と磁気アンカーを接続する紐部材に2つの指標を設けているので、表示手段に映し出された2つの指標の位置関係を頼りに紐部材が直線状態にあるか否か(磁気アンカーが目的の位置に達しているか否か)を識別できる。
従って、第2内部電源からコイルへの電力の遮断を的確なタイミングで行い易くなるので、無駄な電力の消費をより効果的に抑えることができる。
【0019】
請求項11記載のように構成すると、距離検出手段が検出した2つの指標間の距離に応じて、切替手段が、第2内部電源からコイルへの電力の供給と遮断を自動的に制御するので、磁気アンカーの吸引制御がより簡単になる。
【0020】
請求項12記載のように構成すると、第1直線の傾斜方向と第2直線の傾斜方向が一致しているか否かを判定し、その結果に基づいて。切替手段が、第2内部電源からコイルへの電力の供給と遮断を自動的に制御するので、磁気アンカーの吸引制御がより簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態のアンカー付把持装置の縦断面図である。
【図2】くびれ部を形成する前の牽引分離部材の平面図である。
【図3】くびれ部を形成する前の牽引分離部材の側面図である。
【図4】牽引分離部材の正面図である。
【図5】磁気アンカーを省略して示す図1のV−V矢線に沿う断面図である。
【図6】図5のVI−VI矢線に沿う断面図である。
【図7】把持部材が全開状態にあるときの図5と同様の断面図である。
【図8】把持部材が全閉状態になったときの図5と同様の断面図である。
【図9】内視鏡の全体図である。
【図10】挿入部の先端から、挿入管、規制管、及びフック部材が突出した状態を示す、内視鏡先端部の拡大縦断側面図である。
【図11】磁気アンカー誘導装置を患者の頭部側から見た図である。
【図12】磁気アンカー誘導装置の側面図である。
【図13】磁力発生装置の電気回路図である。
【図14】アンカー付把持装置を操作装置に接続した状態を示す拡大縦断側面図である。
【図15】アンカー付把持装置の内視鏡の挿入部への装着が完了したときの挿入部、アンカー付把持装置及び操作装置の拡大縦断側面図である。
【図16】臓器内において、把持部材及び磁気アンカーを挿入管から外部に押し出し、かつ把持部材を開いた状態を示す、挿入部、アンカー付把持装置及び操作装置の拡大縦断側面図である。
【図17】把持部材が患部を把持したときの挿入部、アンカー付把持装置及び操作装置の拡大縦断側面図である。
【図18】牽引分離部材の接続片が分離したときの挿入部、アンカー付把持装置及び操作装置の拡大縦断側面図である。
【図19】アンカー付把持装置が内視鏡から完全に切り離されたときの挿入部、アンカー付把持装置及び操作装置の拡大縦断側面図である。
【図20】体内に位置するアンカー付把持装置に体外に配置した磁力発生装置の磁力を及ぼし始めたときの状態を示す、患者の体(臓器)を断面視して示す側面図である。
【図21】体内に位置するアンカー付把持装置に体外に配置した磁力発生装置の磁力を及ぼし始めたときの電流の流れを説明するための電気回路図である。
【図22】体内に位置する磁気アンカーが磁力発生装置側に吸引され、連結ひもが緊張状態になったときの状態を示す、図20と同様の側面図である。
【図23】体内に位置する磁気アンカーが磁力発生装置側に吸引され、連結ひもが緊張状態になったときの電流の流れを説明するための電気回路図である。
【図24】本発明の第2の実施形態の磁力発生装置と、その電気回路図である。
【図25】第2の実施形態の変形例の磁力発生装置と、その電気回路を模式的に示すブロック図であり、(a)は下側のコイルのみに通電しているときの図、(b)は上下のコイルに通電しているときの図である。
【図26】第2の実施形態の別の変形例の磁力発生装置と、その電気回路図を模式的に示すブロック図であり、(a)は下側のコイルのみに通電しているときの図、(b)は上下のコイルに通電しているときの図である。
【図27】第2の実施形態のさらに別の変形例の磁力発生装置と、その電気回路図を示す図であり、(a)は供給電流量が少ないときの図、(b)は供給電流量を多くしたときの図である。
【図28】第2の実施形態のさらに別の変形例の磁力発生装置と、その電気回路を模試的に示すブロック図であり、(a)は下側のコイルのみに通電しているときの図、(b)は上下のコイルに通電しているときの図である。
【図29】本発明の第3の実施形態の磁力発生装置と、その電気回路を模試的に示すブロック図であり、(a)は供給電流量が少ないときの図、(b)は供給電流量を多くしたときの図である。
【図30】本発明の第3の実施形態の変形例の磁力発生装置と、その電気回路を模試的に示すブロック図であり、(a)は内側のコイルのみに通電しているときの図、(b)は内外のコイルに通電しているときの図である。
【図31】本発明の第3の実施形態のさらに変形例の磁力発生装置と、その電気回路を模試的に示すブロック図であり、(a)は内側のコイルのみに通電しているときの図、(b)は内外のコイルに通電しているときの図である。
【図32】第4の実施形態のテレビモニタを示す図である。
【図33】同実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図34】第5の実施形態のテレビモニタを示す図である。
【図35】同実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1から図23を参照しながら詳しく説明する。
本実施形態のアンカー付把持装置10Aは、内視鏡50の内部に挿入した操作装置60を介して病変部Xに取り付けられるものであり、かつ患者Aの体外に配置した磁気アンカー誘導装置70の磁力によって吸引制御されるものである。
【0023】
まず、図1から図6を参照して、磁気アンカー11(連結ひも15)、把持部材18、牽引分離部材28及び収納筒部材38からなるアンカー付把持装置10Aの構成について説明する。
強磁性体(例えば、純鉄、鉄合金のほか、プラチナマグネット、希土類磁石、などの磁石)からなりかつ略三角錐形状をなす磁気アンカー11は、その端部に突部12を有しており、突部12の端面に形成した凹部内に固定した固定部13には、柔軟性を有しかつ全体として環状をなす連結ひも15が接続してある。連結ひも15としては、例えば、手術用縫合糸、釣糸、金属製ワイヤを利用可能である。
図5等に示すように、金属等の弾性材料からなる把持部材18は一対の開閉片19を具備している。一対の開閉片19は共に、略平行な基端部20と、基端部20に連なる中間部21と、中間部21に連なる先端把持部22と、を具備している。中間部21における基端部20に連なる部分は第1傾斜部24となっており、先端把持部22における中間部21に連なる部分は第2傾斜部25となっている。さらに、両先端把持部22の先端には互いに対向する把持爪26が設けてある。なお、把持部材18を3枚以上の開閉片19からなるものすることも可能である。
【0024】
弾性材料である金属からなる牽引分離部材28は、互いに近づく方向に傾斜する一対の傾斜当接部29を有するループ部30と、一対の傾斜当接部29から略平行に延び、かつ側面視における幅がループ部30より広幅(図3参照)である一対の中間広幅部31と、一対の中間広幅部31から略平行に延びかつループ部30と略同幅(図3参照)である一対の先端部32と、を具備している。一対の先端部32の先端には互いに対向する接続片33と接続片34がそれぞれ設けてある。図4に示すように、接続片33の端面は正面視で直線をなす平面であるが、接続片34の端面は正面視略円弧状をなす湾曲面である。接続片33と接続片34は牽引分離部材28自身の弾性力によって互いの端面同士が点接触している。
収納筒部材38は連結ひも15、把持部材18及び牽引分離部材28の一部を収納するための部材であり、図1等に示すように両端が開口する略円筒形をなしている。収納筒部材38は大径部39と小径部40を具備している。大径部39側の開口縁部はテーパ面41となっており、大径部39と小径部40に跨る一本のスリット42が設けてある。さらに、収納筒部材38の内部孔43の内径はその全長にわたって一定である。この収納筒部材38は、例えばステンレスやプラスチックや超弾性合金により成形することができる。
【0025】
磁気アンカー11(連結ひも15)、把持部材18、牽引分離部材28及び収納筒部材38は次の手順により組み立てる。
まず、図2に示す状態にある牽引分離部材28の接続片33と接続片34を牽引分離部材28自身の弾性力に抗して引き離し、接続片33と接続片34の間に形成された隙間を通して把持部材18における一対の基端部20どうしの連結部を牽引分離部材28の内部に通す。そして、接続片33と接続片34同士を接触(点接触)させて、両者の接触部をレーザ溶接、スポット溶接または接着剤により結合する。さらに、離間状態にある一対の先端部32の中間部(図2参照)を互いに近づく方向に塑性変形させることにより、当該部分を互いに接触するくびれ部35とする(図1参照)。先端部32にくびれ部35を形成すると、把持部材18の基端部20がくびれ部35よりループ部30側に移動するのを規制できる。
次に、連結ひも15の一部を収納筒部材38のスリット42を利用して収納筒部材38の内部に挿入し、大径部39の開口部を通して収納筒部材38の外部に引き出す。そして、連結ひも15の当該引き出した部分(ループ状の部分)に把持部材18の一方の開閉片19に通し、このループ状部分を把持部材18における一対の基端部20どうしの連結部に掛ける(図1参照)。
続いて、収納筒部材38の小径部40側の端面開口部から紐あるいは先端にフック部を備える硬質部材からなる棒を挿入し、紐あるいはフック部を収納筒部材38の大径部39側の開口部から突出させる。そして、この紐あるいはフック部を牽引分離部材28のループ部30に引っ掛け、紐あるいは棒を小径部40側の端面側に引っ張る。すると、牽引分離部材28のループ部30が幅を狭める方向に弾性変形しながら内部孔43の内部に引き込まれる。図1に示すようにループ部30が小径部40側の端面開口部から脱出するまで紐あるいは棒を引っ張れば、磁気アンカー11(連結ひも15)、把持部材18、牽引分離部材28及び収納筒部材38の組み付け作業(アンカー付把持装置10Aの構成作業)が完了する。このとき、図1と図5に示すように、一対の傾斜当接部29が収納筒部材38の小径部40側の開口部に接触すると共に把持部材18の一対の第1傾斜部24が収納筒部材38のテーパ面41に接触し、さらに図6に示すように一対の中間広幅部31が内部孔43に接触するので、収納筒部材38に対して把持部材18及び牽引分離部材28が図1の位置に保持される。
【0026】
アンカー付把持装置10Aが図1及び図5に示す状態にあるとき、把持部材18は一対の開閉片19の把持爪26が互いに接触する全閉状態となる。
この状態からループ部30を小径部40から離れる方向に所定の大きさである保持解除荷重以上の力で引くと、図7に示すように牽引分離部材28が塑性変形し、牽引分離部材28の幅が収納筒部材38の内部孔43及び規制管63の小径部65の内周面の内径より短くなる。さらに、把持部材18の一対の第1傾斜部24がテーパ面41に接触しながら互いに近づく方向に弾性変形し、一対の中間部21が内部孔43内に収納される。すると、一対の中間部21が内部孔43の周面に接触することにより互いに近づく方向に弾性変形するので、この動きに連動して一対の把持部材18が開き、把持部材18は図7に示す全開状態となる。
この状態からループ部30をさらに引くと、図8に示すように牽引分離部材28の塑性変形がさらに進行して牽引分離部材28の幅がさらに狭くなり、かつ、把持部材18の一対の第2傾斜部25が収納筒部材38の内部に引き込まれる。第2傾斜部25が内部孔43に接触することにより互いに近づく方向に弾性変形すると、図8に示すように一対の把持爪26が互いに接近するので、把持部材18は再度全閉状態となる。
【0027】
図9は、アンカー付把持装置10Aを装着可能な内視鏡50を示している。
内視鏡50は、術者が把持する操作部51と、操作部51から延びる挿入部52と、操作部51から挿入部52と反対側に向かって延び、端部にプロセッサ(光源装置兼画像処理装置。図示略)に接続するためのコネクタ部54を有するユニバーサルチューブ53と、を具備している。挿入部52の先端面55には、エア及び洗浄水を送るための送気送水ノズルと、切除部及びその周辺を照らすための照明レンズと、切除部及びその周辺を観察するとともに、直後に挿入部52の内部に配設した対物レンズと撮像素子が配置された観察窓と、処置具挿通路56の出口開口57(図10、図14から図19参照)が設けてある。処置具挿通路56の基端側開口部は、操作部51に突設した処置具挿通用突部58の端面に形成してある。
【0028】
図10等に示した操作装置60は、内視鏡50の処置具挿通用突部58から処置具挿通路56の内部に挿入するものであり、挿入管61、挿入コイル62、規制管63及び操作ワイヤ(牽引部材)69を具備している。
挿入管61は可撓性を有する筒状部材であり、挿入コイル62は挿入管61の内部に相対移動可能に挿入してある。規制管63は前部をなす大径部64と、後部をなしかつ挿入コイル62の先端部に嵌合固定される小径部65と、を備えている。大径部64の外径は挿入管61の内径より小さく、かつ、挿入コイル62の外径とほぼ同一に設定してある。さらに、大径部64の内径は小径部65の内径及び収納筒部材38の小径部40の外径より大きく設定してあり、大径部64の内周面と小径部65の内周面の接続部には環状段部66が形成してある。
挿入コイル62の内側には、先端にフック部材68を固定した操作ワイヤ69を相対移動可能に配設してある。
挿入管61、挿入コイル62及び操作ワイヤ69の各基端部は、図示を省略した基端側操作部によって互いに軸方向に相対移動可能として結合してある。
【0029】
次に、図11及び図12を用いて、患者Aの体外において磁気アンカー11を吸引制御する磁気アンカー誘導装置70の構成について説明する。
患者Aを載せるベッド71の両側部には、一対のXYステージ72が配設してある。この一対のXYステージ72は、床面上をベッド71の長手方向に沿って同期しながら直線的にスライド(往復移動)するものであり、両XYステージ72の該長手方向の位置は常に一致する。さらに、ベッド71の上方には、ベッド71の長手方向と直交する平面内において互いに平行をなす、正面視略逆U字形の二つのレール74、レール75からなるフレーム/レール73が配設してあり、このフレーム/レール73の両端部は、左右のXYステージ72にそれぞれ固定してある。内側のレール74には、アンカー付把持装置10Aの磁気アンカー11を患者Aの体外において吸引制御する(磁気アンカー11に磁力を及ぼす)磁力発生装置76が摺動自在に装着してある。磁力発生装置76は、鉄心(図示略)に巻いた金属製のコイルC1を内蔵しており、コイルC1の軸線CAは常にベッド71に載せられた患者A側を向く(図11参照)。
【0030】
磁力発生装置76には図13、図21、及び図23に示す電気回路が内蔵してある。
図11に示すように磁気アンカー誘導装置70は、手術室の壁面に設けたコンセントCSに接続可能なプラグ付きの電気コード78を具備しており、電気コード78は磁気アンカー誘導装置70の内部において上記電気回路に接続している。
この回路は、トランジスタT1からなる第1内部電源ES1と、可変抵抗R2及び蓄電池BT(ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタなど)からなる第2内部電源ES2とを並列状態で備えており、コイルC1と可変抵抗R1は直列状態で接続してある。第2内部電源ES2は、2つのスイッチ片S1、S2を介して当該電気回路に接続している。さらに、当該電気回路は、4つのトランジスタT2を備える蓄電用回路CCを具備している。
そして、以上説明したXYステージ72、フレーム/レール73及び磁力発生装置76が磁気アンカー誘導装置70の構成要素である。
【0031】
次に、患者Aの病変部Xの切除要領について説明する。
切除術の実施に先立っては、まず、図11及び図12に示すように、局所麻酔を施した患者Aをベッド71上に横たわらせる。このとき、磁力発生装置76をフレーム/レール73に沿って切除術開始時位置に移動させる(図11及び図12参照)。
次いで、あらかじめ図示を省略した可撓性を有するオーバーチューブを内視鏡50の挿入部52の手元側に装着した状態で、アンカー付把持装置10A及び操作装置60が装着されていない状態の内視鏡50を患者Aの口から挿入し、挿入部52の先端部を病変部Xに近接させる(図示略)。このようにして内視鏡50の挿入部52の先端を臓器B内に挿入すると、挿入部52の先端面55に設けた上記観察窓から得られた臓器B内の観察像が、上記プロセッサに接続したテレビモニタ(図示略)に写し出される。この状態で、上記オーバーチューブを挿入部52に沿って患者Aの口から所定位置まで挿入する。
次いで内視鏡50の処置具挿通用突部58から、先端部に注射針を具備するチューブ状の処置具(図示略)を挿入し、その注射針を挿入部52の出口開口57から突出させて、注射針を病変部Xの周辺から臓器壁の粘膜下層B1に挿入して生理食塩水を注入し、病変部Xを固有筋層B2から浮き上がらせておく(図16から図19参照)。
【0032】
次に、患者Aの体内から内視鏡50を取り出し、患者Aの体外において内視鏡50にアンカー付把持装置10Aと操作装置60を次の手順で取り付ける。
まず、内視鏡50の処置具挿通路56に操作装置60を挿通し、挿入管61の先端部を挿入部52の出口開口57から外部に僅かに突出させ、さらに規制管63の先端部を挿入管61の先端部から僅かに突出させる(図10参照)。次いで、上記基端側操作部を操作することにより操作ワイヤ69の先端部に固着したフック部材68を規制管63の前方に突出させる(図10参照)。
次いで、フック部材68の直前にアンカー付把持装置10Aの牽引分離部材28のループ部30を位置させ、フック部材68をループ部30に引っ掛ける。そして、上記基端側操作部を操作することによりフック部材68を操作ワイヤ69の基端側に引っ張り、フック部材68によって収納筒部材38の小径部40を環状段部66に当接するまで大径部64の内部に引き込む(図14参照)。このようにして規制管63の内部に小径部40を収納しても、収納筒部材38のスリット42の前端部は規制管63の大径部64より前方に位置するので(図14等参照)、連結ひも15はスリット42の前端部から外部へ引き出すことができる。
続いて、上記基端側操作部を操作することにより挿入管61を前方に押し出すと、図15に示すように把持部材18及び収納筒部材38が挿入管61の内部に収納され、かつ磁気アンカー11の突部12が挿入管61の先端部に嵌合する。
そして、最後に上記状態を保持したまま基端側操作部を操作することにより挿入管61、挿入コイル62及び操作ワイヤ69を基端側に引くと、図15に示すように磁気アンカー11が処置具挿通路56の出口開口57に嵌合するので、アンカー付把持装置10A及び操作装置60が内視鏡50と一体になる。
【0033】
次いで、アンカー付把持装置10A及び操作装置60と一体となった内視鏡50の挿入部52を上記オーバーチューブ内に挿入し、挿入部52の先端部及びアンカー付把持装置10Aを臓器B内に挿入する。そして、挿入部52の先端部を病変部Xに近接させた後にアンカー付把持装置10A及び操作装置60を前方に移動させて、内視鏡50から離間させる。さらに、挿入コイル62と操作ワイヤ69を操作することによって規制管63と共に収納筒部材38を挿入管61に対して前方へ相対移動させると、この動作にともなって把持部材18が収納筒部材38と一緒に前方に移動するので、把持部材18の先端(把持爪26)が磁気アンカー11の突部12の後端面に当接する。収納筒部材38をさらに前方に移動させると、挿入管61の先端部に嵌合している磁気アンカー11が把持部材18(把持爪26)によって前方に押し出され(挿入管61から外れ)、かつ収納筒部材38が挿入管61の前方に突出する(図16参照)。
【0034】
次いで、上記保持解除荷重以上の力で操作ワイヤ69を基端側に引っ張ると、牽引分離部材28及び把持部材18が収納筒部材38に対して後方に相対移動するので、図7に示すように把持部材18の一対の開閉片19が全開状態になる。
次いで、挿入コイル62、規制管63及び操作ワイヤ69を一体的に前方に移動させることにより全開状態となった把持部材18を病変部X側に近づけて、把持部材18の把持爪26が所望の位置に来たところで、操作ワイヤ69を挿入コイル62及び規制管63に対して相対的に後方に移動させる。すると、図8及び図17に示すように把持部材18が全閉状態となるので、把持部材18の一対の把持爪26が病変部Xを把持する(図17参照)。
この状態で、操作ワイヤ69を上記保持解除荷重より大きい所定の分離荷重以上の強い力で後方に引くと、牽引分離部材28の接続片33と接続片34を接合しているレーザ溶接、スポット溶接または接着剤が破断し、かつ接続片33及び接続片34が塑性変形するので、図18に示すように接続片33と接続片34が分離する。そのため、接続片33と接続片34の間に形成された隙間から把持部材18が前方に脱出し、磁気アンカー11、連結ひも15、把持部材18及び収納筒部材38が操作装置60から完全に分離する(図19参照)。
【0035】
続いて、磁気アンカー誘導装置70に設けたメインスイッチMS(図12参照)をOFFからONに切り替えて、コンセントCSの電力を電気コード78を介して磁力発生装置76内の上記電気回路に供給する。このとき、磁気アンカー誘導装置70に設けたブーストスイッチBS(図12参照)はOFFになっているので、図13及び図23に示すように電気回路のスイッチ片S1は接点P1に接触し、かつ、S2は接点P3に接触する。そのため、蓄電用回路CCから蓄電池BTに直流電流が供給され、供給された電力が蓄電池BTに蓄電される。蓄電池BTに蓄電された電力はコイルC1に供給されないが、トランジスタT1によって直流に変換された電力(電流I1)は可変抵抗R1を通ってコイルC1に供給される。すると、コイルC1で発生した磁力(磁束)が磁力発生装置76の端面から患者A側に発射されるので、臓器Bの内面に接触していた磁気アンカー11(図20参照。本図では収納筒部材38を省略している。図22、図32、図34も同様)に該磁力が及ぶ。
しかし、家庭用電源であるコンセントCSは商用電源に比べて電力が弱いので、この磁力(弱レベルの磁力)のみでは連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11を上方(磁力発生装置76)側に吸引できない。そこで、術者がブーストスイッチBSをONに切り替えると、図21に示すようにスイッチ片S1が接点P2に接触し、かつ、スイッチ片S2が接点P4に接触する。すると、蓄電池BTに蓄電された電力が電流I2となって可変抵抗R1を通ってコイルC1に供給されるので、コイルC1に供給される電流は電流I1から電流I1+I2に変化(増大)する。そのため、コイルC1で発生する磁力は、電流I1のみが流れている場合に比べて強い強レベルの磁力となるので、磁気アンカー11は連結ひも15が緊張するまで上方(磁力発生装置76)に吸引される(図22参照)。すると、把持部材18が上方(磁力発生装置76側)に移動するので、把持部材18に掴まれている病変部Xが同方向に確実に引っ張られる。
【0036】
このように連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11を吸引する際は大きな吸引力が必要になるが、一旦磁気アンカー11を引き上げると磁気アンカー11から磁力発生装置76(コイルC1)までの距離が短くなるので、この状態(連結ひも15が緊張する状態)を維持するために必要な磁力は引き上げ時に比べて小さくなる。そのため、連結ひも15が一旦緊張したら、術者はブーストスイッチBSをOFFに切り替える。すると、図13及び図23に示すように電気回路のスイッチ片S1が接点P1に接触し、かつ、スイッチ片S2が接点P3に接触するので、コイルC1には電流I1のみが流れ、コイルC1が発生する吸引力は小さくなる(弱レベルになる)。
このようにして連結ひも15が緊張する状態を維持すると、病変部Xと正常組織との境界部に、十分な大きさの切除部分が形成されるので、挿入管61、挿入コイル62、及び操作ワイヤ69を内視鏡50の処置具挿通路56から取り出し、処置具挿通路56を利用して高周波メスなどの切開具を臓器B内に挿入し、高周波メスで病変部Xを粘膜とともに切除する(図示略)。
【0037】
以上のようにして病変部Xの切除作業を終えると、正常組織から切り離された病変部Xは把持部材18に把持されたままの状態となるので、病変部Xが紛失することが防止される。
切除した病変部Xを回収するには、まずメインスイッチMSをOFFに切り替えて、コイルC1への電力の供給を遮断し磁気アンカー11に掛かっていた吸引力を消失させる。そして、内視鏡50の処置具挿通路56に図示を省略した把持鉗子を挿入し、この把持鉗子によりアンカー付把持装置10A(例えば連結ひも15)を把持し、そのままの状態で内視鏡50を体内から抜き去り、病変部Xをアンカー付把持装置10Aとともに体外に取り出す。そしてその後に、切除した部分の縫合、消毒などの処置を行う。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の磁力発生装置76は、コンセントCSの電力の一部を蓄電池BTに蓄電する機能を有し、かつ、ブーストスイッチBSのON・OFFを切り替えることによりコイルC1で発生する磁力を強レベルと弱レベルに切り替え可能なので、コンセントCSが家庭用電源であるにも拘わらずコイルC1に大電流を供給でき、コイルC1で発生した大きな磁力を利用して磁気アンカー11を連結ひも15が緊張するまで引き上げることができる。しかも、磁気アンカー11を一旦引き上げた後は蓄電池BTからコイルC1への電力供給を遮断することにより、電力を無駄に消費しないようにしている。
さらに、上記電気回路には可変抵抗R1と可変抵抗R2を設けてあるので、磁気アンカー誘導装置70に設けた調整装置(図示略)を調整して電流I1と電流I2を変化させれば、様々な重量の磁気アンカー11に対して適切な大きさの磁力を及ぼすことが可能である。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について、図24を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の大きな特徴は、磁力発生装置76が2つのコイルC2、C3を具備している点にあり、磁力発生装置76は図24に示す電気回路を内蔵している。
コイルC2とコイルC3は略同径かつ同じ巻き数であり、コイルC2とコイルC3は直列に接続している。コイルC2とコイルC3は両者の軸線CA方向(常に患者A側を向く)に並んでおり、コイルC3がコイルC2よりも患者A側(ベッド71側)に位置している。
この磁力発生装置76では、メインスイッチMSをONにすると(ブーストスイッチBSはOFF)、コンセントCSの電力の一部が蓄電池BTに蓄電され、トランジスタT1によって直流に変換された電力(電流I1)が可変抵抗R1を通ってコイルC2及びコイルC3に供給される。しかし、電流I1のみをコイルC2及びコイルC3に供給しただけでは、コイルC2及びコイルC3で発生する磁力の大きさが十分ではないので、連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11を吸引できない。
ブーストスイッチBSをONにして、スイッチ片S1を接点P2に接触させ、かつ、スイッチ片S2を接点P4に接触させると、コイルC2及びコイルC3に電流I1のみならず電流I2も流れるので、コイルC2及びコイルC3で発生する磁力は大きくなる。そのため、当該磁力によって連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11が磁力発生装置76側に吸引される。
そして、一旦連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11を引き上げたら、ブーストスイッチBSをOFFに切り替えて、スイッチ片S1を接点P1に接触させ、かつ、スイッチ片S2を接点P3に接触させる。すると、コイルC2及びコイルC3には電流I1のみが流れ、コイルC2及びコイルC3で発生する吸引力は小さくなる(弱レベルになる)。
このような本実施形態の磁力発生装置76によっても第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、2つのコイルC2、C3を軸線CA方向に並べているので、磁力発生装置76をコイルC2、C3の径方向に小型化することが可能である。
【0040】
図25は第2の実施形態の変形例を示している。
この変形例の電気回路構成は、スイッチ片S1、S2と同様のスイッチ片S3、S4を備える点、及び2つのコイルC2、C3を備える点を除いて第1の実施形態と同じである(スイッチ片S1、スイッチ片S2、可変抵抗R1、及び可変抵抗R2の図示は省略している)。なお、図中の太線は電流の流れを示している(図26、図28、図29、図30、図31も同じ)。
コイルC2とコイルC3は直列に接続しているが、両者の接続部に設けたスイッチ片S4と別の位置に設けたスイッチ片S3の間を配線で繋いでいるので、コイルC3のみに電流を流すことが出来る。即ち、(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、スイッチ片S3とスイッチ片S4の働きによって、トランジスタT1によって直流に変換された電力(電流I1)がコイルC3にのみ供給される。
一方、ブーストスイッチBSをONにしてスイッチ片S1、スイッチ片S2、スイッチ片S3及びスイッチ片S4の接続態様を切り替えると、(b)に示すように、電流I1及び電流I2がコイルC2及びコイルC3に流れるので、(a)のときに比べてより大きな磁力を磁気アンカー11に与えることが可能になる。
このような変形例によっても第2の実施形態と同様の効果が得られる。
しかも、ブーストスイッチBSをOFFにしたときに、コイルC2に比べて磁気アンカー11までの距離が短いコイルC3に電流I1を供給しているので、コイルC2に電流I1を供給する場合に比べて電流I1の大きさを小さくしても、磁気アンカー11を連結ひも15が緊張する状態に保持できる、という利点がある。
また、仮に術中に何らかの理由によりコイルC2が破損したとしても、コイルC3のみを利用して磁力を発生させ続けることが可能なので、コイルが一つの場合に比べて安全性が高い。
【0041】
図26は第2の実施形態の別の変形例を示している。
この変形例の電気回路構成は、スイッチ片S3とスイッチ片S4の位置が異なる点、及び、コイルC2とコイルC3を並列に接続した点を除いて図25の変形例と同じである(スイッチ片S1、スイッチ片S2、可変抵抗R1、及び可変抵抗R2の図示は省略している)。
(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、スイッチ片S3及びスイッチ片S4の働きによって、トランジスタT1によって直流に変換された電力(電流I1)がコイルC3にのみ供給される。
一方、ブーストスイッチBSをONにしてスイッチ片S1、スイッチ片S2、スイッチ片S3及びスイッチ片S4の接続態様を切り替えると、(b)に示すように、電流I1及び電流I2がコイルC2及びコイルC3に流れるので、(a)のときに比べてより大きな磁力を磁気アンカー11に与えることが可能になる。
このような変形例によっても図25の変形例と同様の効果が得られる。
【0042】
図27は第2の実施形態のさらに別の変形例を示している。
この変形例の電気回路構成は、蓄電池BTと可変抵抗R2の並び順が逆である点、コイルC2とコイルC3を並列に接続した点、及び、コイルC2とコイルC3の間にスイッチ片S3、S4を設けた点を除いて図24と同じである。
(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、スイッチ片S3が接点P5に接触し、かつ、スイッチ片S4が接点P7に接触するので、トランジスタT1によって直流に変換された電流I1は1/2・I1となってコイルC2とコイルC3に供給される。
一方、ブーストスイッチBSをONにすると、(b)に示すように、スイッチ片S1が接点P2に接触し、スイッチ片S2が接点P4に接触し、スイッチ片S3が接点P6に接触し、かつ、スイッチ片S4が接点P8に接触するので、トランジスタT1によって直流に変換された電流I1はコイルC3に流れ、蓄電池BTに蓄電された電流I2はコイルC2に流れる。そのため、(a)のときに比べてより大きな磁力を磁気アンカー11に与えることが可能になる。
このような変形例によっても図25の変形例と同様の効果が得られる。
しかも、蓄電池BTからの電力供給を遮断しているときも、コイルC3だけでなくコイルC2にも第1内部電源ES1から電力を供給しているので、2つのコイルの合成の抵抗が減る。そのため、単独のコイルに同じ値の電流を通電する場合に比べて第1内部電源ES1の入力電力量を減らすことが可能である。
【0043】
図28は第2の実施形態のさらに別の変形例を示している。
この変形例ではコイルC2とコイルC3を接続せずに互いに独立させた上で、コイルC2側に蓄電用回路CC(トランジスタT2)、蓄電池BT(第2内部電源ES2)、及びトランジスタT1を備える回路を形成し、コイルC3側にトランジスタT1(第1内部電源ES1)を備える回路を形成している。
(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、図示を省略したスイッチ片の働きにより、一方の回路ではコンセントCSで発生した電流はトランジスタT1によって直流(電流I1)に変換された後にコイルC3に供給され、他方の回路では蓄電池BTに蓄電される。
一方、ブーストスイッチBSをONにすると、(b)に示すように、上記スイッチ片の働きにより、蓄電池BTに蓄電された電流が直流電流I2となってコイルC2に供給されるので、(a)のときに比べてより大きな磁力を磁気アンカー11に与えることが可能になる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態について図29を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の大きな特徴は、磁力発生装置76が2つのコイルC4、C5を具備している点にある。
図示するように、コイルC4とコイルC5は互いに同心をなしており(コイルC4及びコイルC5の軸線CAは常に患者A側を向く)、コイルC4に比べて大径であるコイルC5がコイルC4の外周側に位置している。コイルC4とコイルC5は直列状態で接続してある。
(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、、コンセントCSの電力の一部が蓄電池BTに蓄電され、トランジスタT1によって直流に変換された電力(電流I1)が可変抵抗R1(図示略)を通ってコイルC4及びコイルC5に供給される。
一方、ブーストスイッチBSをONにすると、(b)に示すように、コイルC4及びコイルC5に電流I1のみならず電流I2も流れるので、コイルC4及びコイルC5で発生する磁力が大きくなる。
【0045】
本実施形態のようにコイルC4とコイルC5を同心的に配置すると、磁力発生装置76をコイルC4、C5の軸線CA方向に小型化することが可能になる。
さらに、磁気アンカー11を連結ひも15が緊張する位置まで持ち上げた後に第2内部電源ES2から外周側のコイルC5への電力の供給を遮断すると、内周側のコイルC4で発生する磁力のみによって磁気アンカー11を吸引制御することになる。しかし、コイルC4及びコイルC5の磁力を利用して磁気アンカー11を吸引すると、磁気アンカー11は軸線CA上(内周側のコイルC4の直下)に位置するので、内周側のコイルC4の磁力の方が外周側のコイルC5の磁力よりも磁気アンカー11に及び易くなる。従って、内周側のコイルC4で発生する磁力が大きくなくても、該磁力を磁気アンカー11に確実に及ぼすことが可能になる。
【0046】
図30は第3の実施形態の変形例を示している。
この変形例はコイルC4とコイルC5の配置(両者の接続態様は直列)、及び、スイッチ片S3、S4の配置を除いて図25の変形例と同じである。
(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、コンセントCSの電力の一部が蓄電池BTに蓄電され、トランジスタT1によって直流に変換された電力(電流I1)が可変抵抗R1(図示略)を通ってコイルC4に供給される。
一方、ブーストスイッチBSをONにすると、(b)に示すように、蓄電池BTから電流I2がコイルC4及びコイルC5流れるので、ブーストスイッチBSがOFFのときに比べてより大きな磁力を磁気アンカー11に与えることが可能になる。
なお、図示は省略してあるが、この変形例の回路の配線態様を(コイルC2、C3をコイルC4、C5に代える点、及び、スイッチ片S3、S4の配置を除いて)図26や図27のようにして実施してもよい。
【0047】
図31は第3の実施形態のさらに別の変形例を示している。
この変形例はコイルC4とコイルC5の配置を除いて図28の変形例と同じであり、コイルC4とコイルC5は接続せずに互いに独立させている。
(a)はメインスイッチMSをONにし、かつブーストスイッチBSをOFFにした状態を示している。このとき、図示を省略したスイッチ片の働きにより、一方の回路ではコンセントCSで発生した電流はトランジスタT1によって直流(電流I1)に変換された後にコイルC4に供給され、他方の回路では蓄電池BTに蓄電される。
一方、ブーストスイッチBSをONにすると、(b)に示すように、上記スイッチ片の働きにより、蓄電池BTに蓄電された電流が直流電流I2となってコイルC5に供給されるので、(a)のときに比べてより大きな磁力を磁気アンカー11に与えることが可能になる。
【0048】
最後に、本発明の第4の実施形態(磁気アンカー遠隔誘導システムの実施形態)について図32及び図33を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では図32に示したテレビモニタTMの画像から明らかなように、連結ひも15の両端部に指標M1と指標M2をそれぞれ固定してある。また、連結ひも15を直線状態にしたときの連結ひも15の全長である基準距離Dの値を、予め上記プロセッサの制御部に記憶させてある。さらに、基準距離Dより短い所定の値である下限距離αD(本実施形態ではαを0.95〜1.0のいずれかの数値としているが、この範囲には限定されない)も該制御部に記憶させてある。さらに、当該制御部(距離検出手段)は、内視鏡50の上記撮像素子によって撮像された画像の画像情報から指標M1と指標M2の間の距離dを検出し、かつ、該検出距離dと基準距離D、下限距離αDを比較する機能を有している。
なお、本実施形態では磁力発生装置76に設けたコイルの数や配置、あるいは電気回路の態様はいずれであってもよいが、内視鏡50による観察は磁気アンカー11の吸引方向に対して略直交する方向から行う(図34、図35の変形例も同様)。
【0049】
図33は本実施形態の動作のフローチャートである。
メインスイッチMSをONにすると(START)、ブーストスイッチBSはOFFなのでコイルで発生する磁力は弱レベルとなる。従って、磁気アンカー11を連結ひも15が緊張するまで引き上げることはできないが、上記制御部がブーストスイッチBSを自動的にONに切り替えるので、コイルに供給される電流が増え、コイルで発生する磁力が強レベルになる(ステップ1)。
従って、磁気アンカー11は磁力発生装置76側に引き上げられるが、ここでプロセッサの上記制御部がd≧Dであるか否かを判定する(ステップ2)。ここでd≧Dであると判定した場合(d>Dの場合とは、磁気アンカー11の吸引力によって引っ張られた連結ひも15が自然長より若干長くなった場合のこと)は、連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11が吸引されたと判断し、該制御部がブーストスイッチBSを自動的にOFFに切り替え、コイルが発生する磁力を弱レベルにする(ステップ3)。
一方、ステップ2において上記制御部がd<Dであると判定した場合は、連結ひも15がまだ緊張状態にないと考え、d≧Dとなるまでコイルに流す電流量を維持する。
さらに、ステップ3においてコイルが発生する磁力を弱レベルにした後に、d<αDとなったか否かを上記制御部が判定する(ステップ4)。ここでd<αDであると判定した場合は、連結ひも15が再度弛緩してしまったと判断し、上記制御部がブーストスイッチBSを自動的にONに切り替えるので(ステップ1)、磁気アンカー11が再度引き上げられる。
【0050】
このような本実施形態によれば、弛緩していた連結ひも15が緊張状態になるまで大きな磁力を利用して磁気アンカー11を自動的に吸引でき、しかも連結ひも15が緊張状態になった後はコイルへの供給電力を自動的に小さくすることにより電力の無駄な消費を確実に防止できる。
なお、本実施形態ではプロセッサの制御部がd≧Dであるか否か、及び、d<αDであるか否かを自動的に判断しているが、術者がテレビモニタTMの画像を見ながらこれらの事項を判断し、d≧Dの場合は手動でブーストスイッチBSをOFFにし、d<αDの場合は手動でブーストスイッチBSをONにするようにしてもよい。
【0051】
図34及び図35は第4の実施形態の変形例である。
この変形例では、連結ひも15の両端に指標M1と指標M2を固定し、連結ひも15の中間位置に指標M3を固定している。上記制御部には所定の角度θα(本実施形態ではθαを0°<θα<5°の範囲で設定しているが、この範囲には限定されない)を記憶させてある。さらに上記制御部(判定手段)は、内視鏡50の上記撮像素子によって撮像された画像の画像情報から、指標M1(第1比較指標)と指標M3(基準指標)を結ぶ直線が指標M1を通る水平線に対してなす角θ1と、指標M3と指標M2(第2比較指標)を結ぶ直線が指標M3を通る水平線に対してなす角θ2と、を検出し、かつ、該角θ1と角θ2とを比較する機能、及び、|θ2−θ1|>θαであるか否かを判定する機能を有している。
【0052】
図35は本変形例の動作のフローチャートである。
メインスイッチMSをONにすると(START)、ブーストスイッチBSはOFFなのでコイルで発生する磁力は弱レベルとなるが、上記制御部がブーストスイッチBSを自動的にONに切り替えるので、コイルに供給される電流が増え、コイルで発生する磁力が強レベルになる(ステップ1)。
次いで、プロセッサの上記制御部がθ1=θ2であるか否かを判定する(ステップ2)。ここでθ1=θ2であると判定した場合は、連結ひも15が緊張するまで磁気アンカー11が吸引されたと判断し、該制御部がブーストスイッチBSを自動的にOFFに切り替え、コイルが発生する磁力を弱レベルにする(ステップ3)。
一方、ステップ2において上記制御部がθ1=θ2でないと判定した場合は、連結ひも15がまだ緊張状態にないと考え、θ1=θ2となるまでコイルに流す電流量を維持する。
さらに、ステップ3においてコイルが発生する磁力を弱レベルにした後に、|θ2−θ1|>θαであるか否かを上記制御部が判定する(ステップ4)。ここで|θ2−θ1|>θαであると判定した場合は、連結ひも15が再度弛緩してしまったと判断し、上記制御部がブーストスイッチBSを自動的にONに切り替えるので(ステップ1)、磁気アンカー11が再度引き上げられる。
このような変形例によっても図32及び図33の実施形態と同じ効果が得られる。
【符号の説明】
【0053】
10A アンカー付把持装置
11 磁気アンカー
12 突部
13 固定部
15 連結ひも(紐部材)
18 把持部材
19 開閉片
20 基端部
21 中間部
22 先端把持部
24 第1傾斜部
25 第2傾斜部
26 把持爪
28 牽引分離部材
29 傾斜当接部
30 ループ部
31 中間広幅部
32 先端部
33 34 接続片
35 くびれ部
38 収納筒部材
39 大径部
40 小径部
41 テーパ面
42 スリット
43 内部孔
50 内視鏡
51 操作部
52 挿入部
53 ユニバーサルチューブ
54 コネクタ部
55 先端面
56 処置具挿通路
57 出口開口
58 処置具挿通用突部
60 操作装置
61 挿入管
62 挿入コイル
63 規制管
64 大径部
65 小径部
66 環状段部
68 フック部材
69 操作ワイヤ(牽引部材)
70 磁気アンカー誘導装置
71 ベッド
72 XYステージ
73 フレーム/レール(一平面内動機構)
74 75 レール
76 磁力発生装置
78 電気コード
A 患者(対象物)
A1 頭部
B 臓器
B1 粘膜下層
B2 固有筋層
BS ブーストスイッチ
BT 蓄電池
C1 C2 C3 C4 C5 コイル
CA コイルの軸線
CC 蓄電用回路
CS コンセント(外部電源。交流電源)
ES1 第1内部電源
ES2 第2内部電源
M1 M2 M3 指標
MS メインスイッチ
P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 接点
S1 S2 S3 S4 スイッチ片(切替手段)
T1 T2 トランジスタ
TM テレビモニタ
R1 R2 可変抵抗
X 病変部(対象部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物内部の対象部位を把持する把持部材に接続する磁気アンカーに、該対象物外部から磁力を及ぼす磁力発生装置において、
電流が流れることにより上記磁力を発生するコイルと、
外部電力の電力を上記コイルに供給する第1内部電源と、
外部電力の電力を蓄電可能、かつ蓄電した電力を上記コイルに供給可能な第2内部電源と、
上記第2内部電源の電力の上記コイルへの供給と遮断を切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
上記コイルが一つである磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
上記コイルが2つであり、
上記第1内部電源は電力を2つの上記コイルに同時に供給し、
上記切替手段は、上記第2内部電源の電力の2つの上記コイルへの同時供給と同時遮断を切り替える磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項4】
請求項1記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
上記コイルが2つであり、
上記第1内部電源は電力を一方の上記コイルに供給し、
上記切替手段は、上記第2内部電源の電力の他方の上記コイルへの供給と遮断を切り替える磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項5】
請求項1記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
上記コイルが2つであり、
上記切替手段が上記第2内部電源の電力の2つの上記コイルへの供給を遮断しているとき、該切替手段が上記第1内部電源の電力を2つの上記コイルに同時に供給し、
上記切替手段が上記第2内部電源の電力を一方の上記コイルへ供給するとき、該切替手段が上記第1内部電源の電力を他方の上記コイルに供給する磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
2つの上記コイルを、両者の軸線方向に並べた磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項7】
請求項4に従属する請求項6記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
2つの上記コイルの一方を上記対象物側に位置させ、他方を該一方のコイルを挟んで上記対象物と反対側に位置させ、
上記切替手段は、上記対象物と反対側に位置するコイルに対する上記第2内部電源の電力の供給と遮断を切り替える磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項8】
請求項3から5のいずれか1項記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
2つの上記コイルのうちの一方を他方の内周側に位置させた磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項9】
請求項4に従属する請求項8記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置において、
上記切替手段は、外周側に位置する上記コイルに対する上記第2内部電源の電力の供給と遮断を切り替える磁気アンカー誘導用磁力発生装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記把持部材と上記磁気アンカーを接続する紐部材と、
該紐部材に固定した2つの指標と、
上記紐部材を撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像した画像を表示する表示手段と、
を備える磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項11】
請求項10記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、上記2つの指標間の距離を検出する距離検出手段を備え、
上記切替手段は、上記距離検出手段が検出した上記距離が基準距離以上のときは、上記第2内部電源の電力の上記コイルへの供給を遮断し、上記基準距離より短いときは上記第2内部電源の電力を上記コイルに供給する磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項記載の磁気アンカー誘導用磁力発生装置を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記把持部材と上記磁気アンカーを接続する紐部材と、
該紐部材に固定した3つの指標と、
上記紐部材を撮像する撮像手段と、
該撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、真ん中に位置する上記指標である基準指標と、該基準指標と隣り合う第1比較指標とを結ぶ第1直線の傾斜方向が、上記基準指標を挟んで上記第1比較指標と反対側に位置しかつ基準指標と隣り合う第2比較指標と、上記基準指標とを結ぶ第2直線の傾斜方向と一致しているか否かを判定する判定手段と、
を備え、
上記切替手段は、上記判定手段が第1直線と第2直線の傾斜方向が一致していると判定したときは、上記第2内部電源の電力の上記コイルへの供給を遮断し、一致していないと判定したときは、上記第2内部電源の電力を上記コイルに供給する磁気アンカー遠隔誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−167104(P2010−167104A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12456(P2009−12456)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(502336117)株式会社玉川製作所 (10)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】