磁気シールドパネル
磁気シールドパネルは、磁性材料からなる磁気シールド部材と、金属板又は半透明の板材とを有し、磁気シールド部材は金属板又は半透明の板材に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気を使用する施設から外部への磁気の影響を遮蔽したり、磁気を使用する施設への外部からの磁気の影響を遮蔽したりするために用いる磁気シールドパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一方、特許文献1は、開放型の磁気シールド方法を開示する。磁気シールド室が、各々が複数の短冊形磁気シールド材料を備えた複数の磁気シールド部材が設けられた壁面により画定される。複数の磁気シールド部材は、隣接する磁気シールド部材の対向面間に磁束密度(磁界強度)の減衰が生じるように、互いに平行かつ壁面に沿って垂直に配置される。
【0003】
しかし、多数枚の短冊形磁気シールド部材を、互いに間隔を空けて平行にかつ壁面に垂直に1枚ずつ並べて施工すると、非常に手間がかかったり、磁気シールド部材に外力がかかって変形したりするという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−164686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術の上記の点に鑑みてなされたものであり、磁気シールド部材の施工性及び保形性を向上することができ、また、視認性を確保することによって、磁気シールド室に入ろうとする患者の不安を取り除くことができると共に医師が患者の様子を容易に観察することができる磁気シールドパネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁性材料で形成される磁気シールド部材を金属板に備えて成ることを特徴とする磁気シールドパネルを提供する。
【0007】
本発明の他の態様は、磁性材料で形成される磁気シールド部材を半透明の板材に備えて成ることを特徴とする磁気シールドパネルを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁気シールドパネルは磁気シールド部材を備えるので、磁気シールド部材で磁束を吸収した後、磁束を磁気シールド部材の中に流すことができ、これにより、磁気シールド性を確保することができる。
【0009】
本発明によれば、パネル化により金属板又は半透明板と磁気シールド部材を一体化することにより、磁気シールド部材の適用が容易になる。さらに、金属板又は半透明板により磁気シールド部材を保護して外力による変形や破損を防止することができ、磁気シールド部材の保形性を向上させることができる。
【0010】
特に、半透明板を面板として用いることにより、MRIのような磁場を形成する装置が設置された室内での視認性を確保することができる。従って、磁気シールド室に入ろうとする患者の不安を取り除くことができると共に医師が患者の様子を観察することができる。
【0011】
本明細書において、「半透明」という用語は「透明」を含むものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0013】
図2に本発明の磁気シールド室の一例を示す。この磁気シールド室は天井面10、床面11及び4つの壁面12から成り、4つの壁面のうちの互いに隣接する2つの壁面は磁気シールドパネルAにより形成される。この磁気シールドパネルAは磁気シールド部材2が縦長(上下方向に長く)に形成されている縦型の磁気シールドパネルである。本発明において磁気シールド部材2の長手方向はどのような方向に向いていてもよいが、例えば、シールドすべき磁界の方向と実質的に平行に設定することが好ましい。図2に示す磁気シールド室では、MRI装置等の磁気発生源13から生じる磁界の方向が縦方向であり、この磁界を遮蔽するために縦型の磁気シールドパネルAが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、磁気シールドパネルAで形成されていない天井面10、床面11及び他の壁面12には従来の密閉型を用い、それらの表面には銅箔等の金属箔やステンレス鋼製のメッシュ等を設けて電波シールド性を付与することができる。
【0014】
上記のような本発明の縦型の磁気シールドパネルAは図1に示すようなものであって、一対の半透明の板材1、磁気シールド部材2、弾性部材3及び電波シールド材4を有する。半透明の板材1は、パネルとしての剛性を確保することができかつ半透明であればどのような材質で形成されてもよく、例えば、透明ガラス製の平板や、アクリル樹脂、ポリカーボネート又は塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製の平板が使用可能である。板材1の大きさは所望の磁気シールドパネルAの大きさに応じて適宜設定可能であるが、例えば、縦2384mm×横910mm×厚み8mmが可能である。
【0015】
一対の板材1は、互いに間隔を空けて平行に配置される。一対の板材1の各々の内面(対向面)には、図4に示すように、互いに略平行な複数の溝部14が形成される。溝部14の各々は板材1の上端から下端に至るように上下方向の全長に亘って形成される。溝部14は略等間隔で形成することができるが、必要に応じて部分的に等間隔に形成しない場合もある。また、溝部14の本数は磁気シールド部材2の個数に対応する。尚、後述のように、一対の板材1の間に磁気シールド部材2を配置した場合に弾性部材3の張力で磁気シールド部材2を撓まないように保持することができれば、溝部14は必要ない。しかし、パネルの組立性を考慮すると、溝部14はあった方が好ましい。
【0016】
本発明において、板材1は完全に透明である必要はなく、型板ガラス、すりガラス又はパンチングメタル等の材料から形成されてもよい。また板材1は通気性を有してもよい。さらに板材1は、一部(例えば上部)が半透明であって他の一部(例えば下部)が透視性のないように構成されてもよい。この場合、半透明の部分を透明ガラス又はアクリル樹脂等の合成樹脂で構成し、透視性のない部分を合板や石膏ボードで構成することができる。本発明では上述の複数種類の板材1を適宜組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明で使用する磁気シールド部材2は電磁鋼板、パーマロイ、アモルファス金属又はナノ結晶軟磁性材料(日立金属(社)製の「ファインメット(登録商標)」)等の磁性材料で形成することができる。また図3Aに示すように、磁気シールド部材2は上下方向に長い矩形板状の平板部15と平板部15の上端部及び下端部に設けられた係止部16とを有する。従って磁気シールド部材2は、正面からみたときに略I字形状に形成される。I字形状の磁気シールド部材2は、磁性材料で形成されたストリップ状材料の両端のシールド材2aを係止部16として同方向に折り曲げて形成される。図3Aの構成では、3つのシールド材2aを含む一組のシールド材が互いに重ね合わされ、他の3つのシールド材2aを含む他の組のシールド材が前記一組のシールド材に対し、係止部16が互いに逆方向に突出するように配置されて、I字形状の磁気シールド部材2を形成する。図3Aにおいて、6つのシールド材2aの厚みは0.35mmであるが、本発明はこれに限られず、シールド材2aの個数や厚みは適宜設定することができる。
【0018】
また、磁気シールド部材2は図3Bに示すように、正面視で略Z字形状に形成することもできる。図3Aに示すI字形状では、重ね合わされる各シールド材2aの折り曲げる長さを変えなければならないが、図3Bに示すZ字形状では同じ形状のシールド材2aを使用することができ、磁気シールド部材2の製造の手間を軽減できる。
【0019】
上記の他に、磁気シールド部材2としては各種断面形状、例えば、十字型断面、Y字型断面、円形断面、中空円形断面、方形(矩形)断面、中空方形(矩形)断面、星形断面、H字型断面、I字型断面、T字型断面、半円形断面、三角形断面、渦巻き形断面、内部に多層空間を有する円形断面又は内部に多層空間を有する方形断面に形成することができる。また、磁気シールド部材2は、例えば、単純な短冊型、中膨らみ型、穴あき短冊型、針型、三角型、湾曲短冊型、屈曲短冊型、アングル部材型、捻り短冊型、螺旋型、回転台形型又は変形鉄筋型等の各種形状に形成することができる。さらに、磁気シールド部材2には防錆処理やコーティングを行ってもよい。コーティングとしてはダクロ、有機物、粉体又は静電気を用いた公知のコーティング方法が可能である。
【0020】
電波シールド材4は、金属メッシュ(金網)から形成される。電波シールド材4は、周波数10kHz〜40GHzの電磁波を遮蔽できるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、線材の直径が0.02〜1.9mmであって網目の大きさが1.5〜635メッシュのステンレス鋼製金網が使用可能である。
【0021】
また弾性部材3としては、コイルバネ等のバネを用いることができるが、バネに限定されるものではなく、ゴム等の他の材料を用いてもよい。
【0022】
本発明の磁気シールドパネルAは、上記の板材1に1つ以上の磁気シールド部材2を取り付けることにより形成することができる。すなわち、図1に示すように、本発明の縦型の磁気シールドパネルAは、対向配置した2つの半透明の板材1の間に複数の磁気シールド部材2を介在させて設けることにより形成される。一対の板材1は溝部14を形成した側が互いに対向するように配置され、溝部14には磁気シールド部材2の平板部15の側端部が差し込まれる。また、磁気シールド部材2は、平板部15の平面部分(最も面積が広い面)が互いに平行になるように、2つの板材1の間に所定の間隔で並べられる。ここで、本発明の磁気シールドパネルAは以下の(1)式の条件を満たすことが好ましい。
(Sm・μs)/Sa>1 ・・・(1)
尚、Smは磁気シールド部材2の横断面の面積、μsは磁気シールド部材2の磁性材料の比透磁率、及びSaは隣接する磁気シールド部材2間の空間の横断面積を示す。
【0023】
上記(1)式の条件を満たす磁気シールドパネルAは、特許文献1の場合と同様に、対向して隣接する磁気シールド部材2間の間隙で磁束密度を減衰させることができ、磁気シールド効果を提供することができる。
【0024】
本発明の磁気シールドパネルAにおいて、電波シールド材4は、一対の板材1の一方又は双方の面に貼り付けて設けることができる。この電波シールド材4の表面には、透明なカバー板70を設けることができる。カバー板70は、板材1と同様の方法で形成可能である。
【0025】
本発明の磁気シールドパネルAの上部には、天板17が設けられる。天板17は一対の板材1の上端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の上面開口を塞ぐ。天板17は、板材1と大きさが異なること以外は板材1と同様の方法で形成可能であるが、透明である必要はない。また天板17には、その厚み方向(上下方向)に貫通する複数の通孔18が設けられており、これら通孔18には各磁気シールド部材2の平板部15の上部が挿入される。従って、磁気シールド部材2の上端部の係止部16は天板17よりも上側に位置する。図4に示すように、天板17の上面と磁気シールド部材2の上側の係止部16の下面との間に弾性部材3が配置される。
【0026】
また本発明の磁気シールドパネルAの下部には、底板19が設けられる。底板19は一対の板材1の下端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の下面開口を塞ぐ。底板19は、板材1と大きさが異なること以外は板材1と同様の方法で形成可能であるが、透明である必要はない。また底板19には、その厚み方向(上下方向)に貫通する複数の通孔18が設けられており、これら通孔18には各磁気シールド部材2の平板部15の下部が挿入される。従って、磁気シールド部材2の下端部の係止部16は底板19よりも下側に位置する。底板19の下面と磁気シールド部材2の上側の係止部16の上面との間には、スペーサ23を配置することができる。
【0027】
本実施形態においては、磁気シールド部材2は、板材1に固定されておらず、上下方向に移動可能である。従って、磁気シールド部材2の中間部分が撓んで変形する虞があるが、上述のように弾性部材3により磁気シールド部材2を長手方向に伸びるように付勢することができ、磁気シールドパネルAの磁気シールド性の低下を防ぐことができる。
【0028】
本発明の磁気シールドパネルAの両側端部には、側板20が設けられる。側板20は一対の板材1の側端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の側面開口を塞ぐ。側板20は、板材1と大きさ及び厚みが異なること以外は板材1と同様の方法で形成可能であるが、透明である必要はない。また一方の側板20の外面には嵌合凸部21が形成され、他方の側板20の外面には嵌合凹部22が形成される。
【0029】
尚、本発明の磁気シールドパネルAを組み立てるために、各部材をネジ等の固定具で固定してもよいし、接着剤で互いに接着してもよい。
【0030】
複数の縦型の磁気シールドパネルAを略水平方向に並べて施工することにより、図2に示すような磁気シールド室を形成することができるが、この磁気シールド室は電波シールド材4により電波を遮蔽することもできる。
【0031】
本発明の磁気シールドパネルAを施工するにあたっては、図5A及び5Bに示すように、溝型鋼等で形成される建物の天井構造材25に磁気シールドパネルAをボルト等の固定具26で固定するとともに、溝型鋼等で形成される建物の床構造材27に磁気シールドパネルAをボルト等の固定具77で固定することができる。磁気シールド室の天井裏には上記と同様の磁性材料から製造される天井側磁気シールド板28が設けられ、天井側磁気シールド板28の下面には上記と同様の金属メッシュで形成される天井側電波シールド材29が設けられる。また床下には上記と同様の磁性材料から製造される床下磁気シールド板30が設けられ、床下磁気シールド板30の上面には上記と同様の金属メッシュで形成される床側電波シールド材31が設けられる。
【0032】
本発明の磁気シールドパネルAと床、天井及び壁面とは、磁気シールド部材2と床下磁気シールド板30及び天井側磁気シールド板28との隙間が2mm以下、好ましくは0.5mm以下となるように接合される。本実施形態においては、磁気シールド部材2は略I字又はZ字形状に構成されるので、磁気シールド部材2の上端面及び下端面は、天井側磁気シールド板28及び床下磁気シールド板30の表面に略平行となる。従って、天井側磁気シールド板28及び床下磁気シールド板30は係止部16に良好に接続され、磁気シールド性能が確保される。尚、天井構造材25の下面には天井板33がボルト等の固定具34により固定され、床構造材27の上面には床板35がボルト等の固定具36により固定される。
【0033】
図6A及び6Bに示すように、水平方向(横方向)に互いに隣接する複数の磁気シールドパネルAは嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合により接続される。このとき、図7に示すように、隣接する磁気シールドパネルA間の側板20間に磁気シールドパネルAの側端部から導出される電波シールド材4の側端部が挟まれ、隣接する磁気シールドパネルAの電波シールド材4同士が接続されることになる。
【0034】
図8に示すように、磁気シールド室の出隅部では、柱部材37を介して互いに直角方向に隣接する2つの磁気シールドパネルAが接続される。このとき、柱部材37の一側面には嵌合凸部38が形成され、嵌合凸部38は磁気シールドパネルAの嵌合凹部22と嵌合する。また柱部材37の他の側面には嵌合凹部39が形成され、嵌合凹部39は磁気シールドパネルAの嵌合凸部21と嵌合する。柱部材37を介して互いに接続される磁気シールドパネルAにおいても、柱部材37の一部によって電波シールド材4が互いに接続される。
【0035】
柱部材37を介して互いに接続される2つの磁気シールドパネルAにおいて、最も柱部材37に近い位置にある2つの磁気シールド部材2の間の距離bは、1つの磁気シールドパネルAの一対の板材1の間に配置された2つの磁気シールド部材2の間の距離aよりも短いことが好ましく、これにより磁気シールド室の磁気シールド性能の低下を防止することができる。
【0036】
図9A及び9Bに示すように、磁気シールド部材2が内蔵された柱部材37用いることも可能である。この柱部材37は中空に構成されており、その内部に形成された収容空間51に磁気シールド部材2が収容される。この柱部材37は、図8に示す中実のものと同様の形状に構成されている。中空の柱部材37は複数の柱板材60と、断面が略コの字形状の凹部材53と、断面が略凸状の凸部材54とを組み合わせて形成することができる。この場合、凹部材53を嵌合凹部39として形成し、凸部材54を嵌合凸部38として形成することができる。柱部材60、凹部材53及び凸部材54は、上記板材1と同様の透明又は不透明な材料から製造することができる。柱部材37の2つの外面(嵌合凹部39及び嵌合凸部38と反対側の面)には、上記カバー板70と同様の方法で形成される柱カバー板61が設けられる。
【0037】
収容空間51の上下方向の略全長に亘って磁気シールド部材2が収容されているが、この場合、図9Aに示すように磁気シールド部材2を凸部材54の内面に沿って配置してもよいし、あるいは図9Bに示すように凹部材53の内面に沿って配置してもよい。図9Aと図9Bとでは磁気シールド部材2の向きが平面視で90°異なるが、いずれにおいても、柱部材37に接続される2つの磁気シールドパネルAのうちの一方の磁気シールド部材2の平板部15と柱部材37内の磁気シールド部材2の平板部15とが対向するように配置される。磁気シールド部材2の端部は、柱板材60の内面及び凸部材54の内面に設けられた溝部14に挿入される。このように柱部材37に磁気シールド部材2を設けることによって、柱部材37による磁気シールド性の低下を防止することができる。
【0038】
磁気シールド室に関して、天井10、床面11及び壁面12の少なくとも1つの面の一部又は全部を、上述の磁気シールドパネルAにより構成することができる。この場合、磁気シールドパネルAを通して、室内から室外の様子の視認又はその逆の視認を行うことができ、故に磁気シールド室を病院のMRI装置室として好適に使用することができる。
【0039】
図10及び図11は、磁気シールドパネルAの他の実施形態を示す。磁気シールドパネルAにおいて、板材1、カバー板70、天板17、床板19及び側板20が透明なガラス板から構成される。上述のように、板材1は予め定めた大きさに形成される。この構成では、板材1の2つの部材が一組として使用されるが、板材1は上述の溝部14に相当する構造は具備しておらず、すなわち板材1の内面(互いに対向する面)は平坦面である。磁気シールド部材2、弾性部材3及び電波シールド材4は、前述の実施形態と同様の方法で構成可能である。
【0040】
天板17は、複数の天板材17aから構成される。天板材17aは、所定の間隔で並べられたときに、一対の板材1の上端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の上面開口を塞ぐ。互いに隣接する天板材17aの間の隙間は、天板17に設けられた通孔18として形成される。
【0041】
また底板19は、複数の床板材19aから構成される。床板材19aは、所定の間隔19bで並べられたときに、一対の板材1の下端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の下面開口を塞ぐ。互いに隣接する天板材19aの間の隙間は、底板19に設けられた通孔18として形成される。さらに、側板20には嵌合凸部21及び嵌合凹部22が形成されておらず、すなわち側板20は平板状に形成される。また側板20の外面には、複数の間隙部材63が設けられる。
【0042】
板材1、カバー板70、天板材17a、底板材19a、側板20、磁気シールド部材2、弾性部材3及び電波シールド材4を上記と同様にして組み立てることにより磁気シールドパネルAを形成することができるが、図11A及び11Bに示すように、板材1、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20を組み立てるときは連結具64が使用される。各連結具64は、L字状のアングル鋼材65及び複数の連結ネジ66から構成されており、アングル鋼材65の両端部には、連結ネジ66と螺合可能なネジ孔67が設けられる。また板材1、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20には、厚み方向に貫通する貫通孔68が設けられる。
【0043】
連結具64を用いて上述の板材1等の部材を連結する方法について以下に説明する。先ず、連結具64により連結すべき部材間にアングル鋼材65を配置する。すなわち、図12A及び12Bに示すように、板材1と天板材17aとの間、板材1と底板材19aとの間、板材1と側板20との間、側板20と天板材17aとの間、及び側板20と底板材19aとの間に、アングル鋼材65が配置される。このとき、アングル鋼材65はカバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20の内面側に配置される。またカバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20に設けられた貫通孔68はネジ孔67に位置合わせされる。
【0044】
次に、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20の外面側から貫通孔68に連結ネジ66を差し込むとともに、連結ネジ66の先端をアングル鋼材65のネジ孔67に螺合する。このとき、板材1の外面にカバー板70を設けている場合は、カバー板70の外面からカバー板70及び板材1の貫通孔68を通して連結ネジ66が差し込まれる。このようにして、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20が互いに連結される。尚、一対の板材1は互いに真正面には対向せず、互いにいくらか横方向にずれた位置で対向しており、これにより、板材1の側板20から外側に突出した側端部によって突出片69が形成される。
【0045】
図10のような磁気シールドパネルAは、上述と同様の方法により、天井構造材25及び床構造材27に固定可能である。しかし、水平方向(横方向)に隣接する磁気シールドパネルAは、嵌合によって互いに接続されるのではなく、側板20同士を突き合わせて互いに固定される。また水平方向(横方向)に隣接する磁気シールドパネルAを突き合わせて固定するときに、間隙部材63により磁気シールドパネルAの上下方向の位置決めを行うことができる。尚、間隙部材63の厚みは突出片69の側板20からの突出長さとほぼ同じであり、連結ネジ66の頭部の厚みは間隙部材63の厚みよりも小さい。
【0046】
図13は、本発明の磁気シールド室の他の実施形態を示す。この磁気シールド室においては、天井面10、床面11及び4つの壁面12のうち2つの壁面が本発明の磁気シールドパネルAで形成される。磁気シールドパネルAは、磁気シールド部材2が水平方向(すなわち横方向)に形成されている横型の磁気シールドパネルである。図13に示す磁気シールド室では、磁気発生源13により生じる磁界の方向は横方向(略水平)である。この磁界を遮蔽するために横型の磁気シールドパネルAが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の構成が可能である。すなわち、磁気シールドパネルAで形成されていない天井面10、床面11及び他の壁面12には従来の密閉型を用い、それらの表面には銅箔等の金属箔やステンレス鋼製のメッシュを設けて電波シールド性を付与することができる。
【0047】
横型の磁気シールドパネルAは、一対の半透明の板材1、磁気シールド部材2及び電波シールド材4を有する。板材1及び溝部14の長手方向が略水平であることを除けば、横型の磁気シールドパネルは上述の縦型の磁気シールドパネルと同様に形成される。すなわち、溝部14は板材1の長手方向の全長に亘って(板材1の一端から他端まで)形成される。横型の磁気シールドパネルAで使用される磁気シールド部材2は、水平方向に長い矩形形状に形成されることを除けば、上述の縦型の磁気シールドパネルのものと同様に形成される。すなわち、磁気シールド部材2は水平方向に長い短冊状の平板部15と、平板部15の長手方向の両端部に隣接する先端部40とを有する。上述の実施形態が有する係止部16は、磁気シールド部材2に形成されていない。横型の磁気シールドパネルAで使用される電波シールド材4は、上述の縦型の磁気シールドパネルのものと同様である。尚、横型の磁気シールドパネルAは弾性部材3及び側板20を有していない。
【0048】
横型の磁気シールドパネルAは、磁気シールド部材2が水平方向に長く延びることを除けば、上述の縦型の磁気シールドパネルと同様に形成可能である。すなわち、互いに対向配置された一対の板材1の間に複数の磁気シールド部材2が配置される。一対の板材1は、溝部14を形成した一方の面が互いに対向するように配置され、また溝部14には磁気シールド部材2の平板部15の側端部が挿入される。これにより磁気シールド部材2は、一対の板材1の間に所定の間隔で配置され、磁気シールド部材2の平板部15の平面部分(最も面積が広い部分)が互いに対向する。横型の磁気シールドパネルAにおいても、上術の(1)式の条件を満たすことが好ましく、それにより磁気シール性能が得られる。
【0049】
横型の磁気シールドパネルAは、縦型の磁気シールドパネルのものと同様の電波シールド材4を有し、その表面には透明なカバー板70が設けられる。横型の磁気シールドパネルAも、上述の実施形態と同様に天板17及び底板19を有するが、天板17及び底板19に上記の通孔18は設けられていない。
【0050】
さらに、横型の磁気シールドパネルAは、縦型の磁気シールドパネルが有する側板20を有しておらず、一対の板材1の間は磁気シールドパネルAの側面において開口し、この開口から一対の板材1間に配置された磁気シールド部材2の先端部40が突出している。横型の磁気シールドパネルAにおいて、磁気シールド部材2は板材1には固定されず、水平方向に移動可能である。磁気シールド部材2は、溝部14に挿入されたときに、その中央部分が曲がることなく一対の板材1の間で保持可能である。従って、横型の磁気シールドパネルAの磁気シールド性の低下が防止される。
【0051】
複数の横型の磁気シールドパネルAを縦横に並べて配置することにより、図13に示す磁気シールド室が形成される。上述と同様に、この磁気シールド室は電波シールド材4により電波も遮蔽することができる。横型の磁気シールドパネルAの施工は、縦型の磁気シールドパネルと同様に行うことができる。最も上及び最も下に配置された横型の磁気シールドパネルAは、それぞれ天井構造材25及び床構造材27に固定され、水平方向に互いに隣接する磁気シールドパネルAはアクセサリ46によって互いに接続される。すなわち、図14A及び14Bに示すように、磁気シールドパネルAの表裏それぞれにおいて、板材1の側端部の間に継ぎ目(間隙)45が形成され、この継ぎ目45には、断面が略T字形状のアクセサリ46が配置される。磁気シールドパネルAはこのアクセサリ46により固定可能である。アクセサリ46としては、アルミニウム等の金属の成形品が可能であるが、他の材質でもよい。またアクセサリ46は、ベース部材47及びカバー部材48を備える。ベース部材47は、ネジ等の固定具49により板材1に取り付けられ、カバー部材48は、ネジ等の固定具50によりベース部材47に取り付けられる。
【0052】
一対の板材1の側端部の外側に突出する磁気シールド部材2の先端部40は、水平方向に隣接する横型の磁気シールドパネルAに隣接するととともに、後述するように互いに接続される。図15A及び15Bに示すように、ある磁気シールドパネルAから突出する磁気シールド材2aの先端部40と、隣接する他の磁気シールドパネルAから突出する磁気シールド材2aの先端部40とは、所定の間隔L1(2mm以下、好ましくは0.5mm)を有して互いに対向配置される。次に、互いに対向する先端部40は、一対の当て板41の間に配置され、図15Cに示すように、クリップ等の挟持具42によって当て板41とともに鉛直方向に把持される。ここで、当て板41は磁気シールド材2aと同じ材料から作製され、好ましくは50mm以上の長さを有する。この長さとは、磁気シールド材2aの長手方向と同方向の寸法を指す。
【0053】
磁気シールド部材2を構成する複数の磁気シールド材2aは、長手方向に所定の距離L3(好ましくは10mm以上)ずつずれて配置されることが好ましい。これにより、磁気シールド部材2のシールド材2aの端部は鉛直方向に直線状に並ばず、傾いた線上に配置される。さらに、横型の磁気シールドパネルAの側端部から突出する、水平方向に互いに隣接する電波シールド材4の側端部は、接続部材52によって互いに接続される。電波シールド材4の側端部の接続は、アクセサリ46の裏側の継ぎ目45で行われる。
【0054】
磁気シールド室は、縦型及び横型の磁気シールドパネルAの双方を用いて構成することもできる。この場合、縦型の磁気シールドパネルの板材1が横型の磁気シールドパネルの板材1に対向するように、縦型及び横型の磁気シールドパネルが前後に配置される。これにより、縦方向及び横方向だけでなく全ての方向の磁界を遮蔽することができるようになる。
【0055】
上述の実施形態では、磁気シールド室はその2つの壁面が磁気シールドパネルAで形成されているが、天井面10、床面11及び4つの壁面12を含む6面全てを本発明の磁気シールドパネルAで形成することも可能である。この場合、図16Aに示す磁気シールドユニット55が使用される。図16B、16C及び16Dに示すように、磁気シールドユニット55は、それぞれが開口部を両端に備えた3つの角筒体56a、56b及び56cを有する。角筒体56a、56b及び56cの各々の4つの面は、周方向に長い複数の磁気シールドパネルAから構成される。角筒体56a、56b及び56cは、それぞれの寸法が互いに異なり、図16B、16C及び16Dに示すように、互いに直交する3つの異なる方向に開口させた状態で入れ子式に組み合わされる。磁気シールドユニット55では、縦型及び横型の磁気シールドパネルAが前後に並んで配置され、これにより縦方向及び横方向だけでなく全ての方向の磁界を遮蔽することができるようになる。
【0056】
上述の実施形態では、磁気シールドパネルAは一対の板材1を含むものとして説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば1つの板材1に磁気シールド部材2を設けて磁気シールドパネルAを構成してもよい。さらに、3つ以上の板材1を磁気シールドパネルAに使用することも可能である。例えば、図17に示すように、互いに対向配置された3つの板材1に複数の磁気シールド部材2を設けて磁気シールドパネルAを構成することができ、この場合、真中の板材1は主に補強材として使用される。
【0057】
次に、図18及び図19を参照して、本発明のさらなる他の実施形態について説明する。この実施形態では、磁気シールドパネルAの内側に断熱部材71が収容される。例えば図19に示すように、断熱部材71は直方体形状に成形可能である。板材1と同様に、断熱部材71は完全に透明であってもよいし、不透明でもよい。断熱部材71は、天然ゴム又は合成ゴム等の弾性体からなる中空部材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン等の合成樹脂からなる中空部材から作製される。
【0058】
断熱部材71は、互いに隣接する磁気シールド部材2の間に充填され、接着剤によって板材1の内面(互いに対向する面)に接着される。磁気シールド部材2及び断熱部材71が互いに密着することによって、磁気シールド部材2は隣接する断熱部材71の間に挟持されて所定の位置に保持される。
【0059】
次に、本発明のさらなる他の実施形態について説明する。図21は、本発明の磁気シールド室の一例を示す図である。図2に示す実施形態と同様に、この磁気シールド室は天井面210、床面211及び4つの壁面212のうちの2つが本発明の磁気シールドパネルBにより形成される。本実施形態では、磁気シールドパネルBは磁気シールド部材202が鉛直方向に長く形成されている縦型の磁気シールドパネルである。本発明において磁気シールド部材202の長手方向はどのような方向に向いていてもよいが、例えば、シールドすべき磁界の方向と平行に設定することができる。図21に示す磁気シールド室では、MRI装置等の磁気発生源213から生じる磁界の方向が縦方向であり、この磁界を遮蔽するために縦型の磁気シールドパネルBが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、磁気シールドパネルBで形成されていない天井面210、床面211及び他の壁面212には従来の密閉型を用い、それらの表面には銅箔等の金属箔やステンレス鋼製のメッシュ等を設けて電波シールド性を付与することができる。
【0060】
図20に示すように、磁気シールドパネルBは、互いに平行に離隔配置された一対の金属板201、図3A及び3Bを参照して説明した磁気シールド部材2と同様の方法で形成される磁気シールド部材202、及び磁気シールドパネルBに設けられる断熱部材203を有する。金属板201は、パネルとしての剛性が確保されるように0.25〜1.6mmの厚さであってかつ周波数10kHz〜40GHzの電磁波を遮蔽する電波シールド性能を有する限り、どのような材料から作製されてもよく、例えば、鉄板、鋼板、ステンレス鋼板、塗装板、亜鉛鍍金鋼板、アルミニウム−亜鉛鍍金鋼板、及びアルミニウム平板がある。特には、金属板201は鉄、銅又はアルミニウム等の高電導性材料から作製されることが好ましい。特許文献1に記載の磁気シールド性能は、交流については直流よりも劣る。しかし、金属板201を上記材料から作製することにより、渦電流の遮蔽効果によって交流での磁気シールド性能が高められる。金属板201は、パンチングメタルのような孔を有する金属板でもよい。金属板1の大きさは所望の磁気シールドパネルBの大きさに応じて適宜設定可能であり、例えば、縦2384mm×横910mmが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0061】
断熱部材203は、一般に使用される断熱材料から作製可能であり、その例としては岩石繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維等の無機繊維、ウレタンフォーム又はフェノールフォーム等の発泡樹脂がある。岩石繊維又はガラス繊維は、断熱性及び耐火性が高く、断熱部材203への使用に好適である。断熱部材203は、角柱のようなブロック形状に成形可能である。断熱部材203の密度は、通常、20〜400kg/m3であり、好ましくは120〜200kg/m3である。
【0062】
磁気シールドパネルBは、図20に示すように、互いに平行になるように対向配置された一対の金属板201の間に複数の磁気シールド部材202及び断熱部材203を介在させて設けることにより形成可能である。磁気シールド部材202は、それらの平板部215の平面部分(最も面積が広い面)が互いに平行になるように、一対の金属板201の間に所定の間隔で並べられる。また磁気シールドパネルBも、上述の(1)式の条件を満たすことが好ましい。
【0063】
本実施形態においては、断熱部材203は磁気シールドパネルBの磁気シールド部材202の間に充填され、金属板201の内面(互いに対向する面)に接着される。図30に示すように、複数の断熱部材203は磁気シールドパネルB上にジグザグ状に配置され、故に継ぎ目203aは一直線上に配置されない。この構成は、磁気シールドパネルBの機械的強度を維持する観点からは好ましい。
【0064】
本実施形態においては、磁気シールド部材202は、上述の実施形態の磁気シールド部材2と同様に、金属板201に固定されず、故に長手方向(鉛直方向)に移動可能である。磁気シールド部材202の両側部はその全長に亘って断熱部材203に挟まれるので、磁気シールド部材202がその中央部において曲げられ又は変形することはない。従って、磁気シールドパネルBの磁気シールド性能の低下が防止される。
【0065】
図23に示すように、磁気シールド部材202の側端部が金属板201の内面からいくらか(好ましくは3〜10mm)離れ、かつ磁気シールド部材202が断熱部材203により保持されることにより、磁気シールド部材202を介して熱が一方の金属板201から他方の金属板201へ伝導するいわゆるヒートブリッジの発生が防止される。
【0066】
断熱部材203が岩石繊維のような繊維から作製される場合は、その繊維は主として磁気シールドパネルBの厚み方向(金属板201の表面に垂直な方向)に向くことが好ましい。これにより、磁気シールドパネルBの機械的強度の低下が防止される。
【0067】
本実施形態の磁気シールドパネルBは、その一方の側端部に形成された嵌合凸部221と、他方の側端部に形成された嵌合凹部222とを有する。図22及び図23に示すように、嵌合凸部221は、金属板201の一方の側端部を曲げることにより形成された凸部側突片221aが、挿入された断熱部材203に関して互いに反対側に配置されて形成される。嵌合凹部222は、金属板201の凸部側突片221aと反対側の側端部を曲げることにより形成された凹部側突片222aが、挿入された断熱部材203に関して互いに反対側に配置されて形成される。従って、金属板201の間の断熱部材203の側部は、凸部側突片221a及び凹部側突片222aによって保護される。
【0068】
磁気シールド部材202は、磁気シールド部材202の係止部216が金属板201の上端部及び下端部から突出するように、金属板201の間に配置される。断熱部材203の上面及び下面は、一対の金属板201の間から露出する。
【0069】
複数の縦型の磁気シールドパネルBを略水平方向に並べた構成により、図21の磁気シールド室が形成される。この磁気シールド室は、金属板201により電波も遮蔽することができる。
【0070】
図5A及び5Bを参照して説明した実施形態と概ね同様にして、ボルト等の固定具を用いて本実施形態の磁気シールドパネルBを建物の天井構造体及び床構造体に固定することができる。
【0071】
図24A及び24Bに示すように、水平方向(横方向)に互いに隣接する磁気シールドパネルBは、嵌合凸部221を嵌合凹部222に嵌合させることによって互いに接続される。嵌合凹部222に嵌合した嵌合凸部221においては、磁気シールドパネルBの金属板201のコーティングが剥離されることが好ましい。これにより、嵌合凸部221と嵌合凹部222との嵌合によって、ある磁気シールドパネルBの金属板201はそれに隣接する磁気シールドパネルBの金属板201に電気的に接続される。従って、金属板201に吸収された電波は多数の金属板201に拡散し、電波シールド性能が高められる。
【0072】
図25に示すように、磁気シールド室の角部において直角を成すように配置された2つの磁気シールドパネルBは、柱部材237を介して互いに接続される。このとき、柱部材237の一側面には嵌合凸部238が形成され、嵌合凸部38は磁気シールドパネルBの嵌合凹部222と嵌合する。また柱部材37の他の側面には嵌合凹部239が形成され、嵌合凹部239は磁気シールドパネルBの嵌合凸部221と嵌合する。
【0073】
柱部材237を介して互いに接続される2つの隣接する磁気シールドパネルBにおいて、最も柱部材237に近い位置にある2つの磁気シールド部材202の間の距離bは、1つの磁気シールドパネルBの一対の金属板201の間に配置された2つの磁気シールド部材202の間の距離aよりも短いことが好ましく、これにより磁気シールド室の磁気シールド性能の低下を防止することができる。磁気シールド室において、天井面210、床面211及び壁面212のうち少なくとも1つの面の一部又は全部を、上述の磁気シールドパネルBにより形成することができる。
【0074】
図26A及び26Bに示すように、磁気シールド部材202が内蔵された柱部材237用いることも可能である。この柱部材237は、縦方向に長い中空の柱外形部材237aを有し、その内部に磁気シールド部材202が配置される。また断熱部材203は、柱外形部材237aの内部に充填される。柱外形部材237aの外形は、図25に示す中実の柱部材の外形と同様である。
【0075】
柱外形部材237aは、金属板201と同様の金属板を曲げて形成することができる。嵌合凹部239及び嵌合凸部238は曲げによって形成可能である。磁気シールド部材202は、その縦方向の全長に亘って柱外形部材237aの内部に収容される。図26Aに示すように、磁気シールド部材202は嵌合凸部238の内側に配置可能である。あるいは、図26Bに示すように、磁気シールド部材202は嵌合凹部239の内側に配置されてもよい。図26A及び26Bに示す実施形態においては、磁気シールド部材202の向きは互いに約90°異なる。しかしいずれの実施形態においても、柱部材237に接続された2つの磁気シールドパネルBのうちの1つの磁気シールド部材202は、他の磁気シールド部材202の平板部に対向する。磁気シールド部材202が上述の柱部材237に設けられたときは、柱部材237の磁気シールド性能は低下しない。
【0076】
図27は、本発明の磁気シールド室の他の実施形態を示す図である。図13を参照して説明した実施形態と概ね同様にして、この磁気シールド室は天井面210、床面211及び4つの壁面212のうちの2つが本発明の磁気シールドパネルBにより形成される。本実施形態では、磁気シールドパネルBは磁気シールド部材202が水平方向に長く形成されている横型の磁気シールドパネルである。
【0077】
横型の磁気シールドパネルBは、一対の金属板201、磁気シールド部材202及び断熱部材203を有する。横型の磁気シールドパネルBは、磁気シールド部材202が水平方向に長い短冊形状であって係止部216を有さない点を除けば、縦型の磁気シールドパネルと概ね同様に形成可能である。金属板201は、その長手方向が略水平である点を除けば、縦型の磁気シールドパネルの金属板と概ね同様に形成可能である。
【0078】
互いに対向配置された一対の金属板201の間には、複数の磁気シールド部材202及び断熱部材203が配置される。磁気シールド部材202は、金属板201に垂直になるように金属板201の間に配置される。この場合、横型の磁気シールドパネルBも(1)式を満たすことが好ましく、それにより磁気シールド性能が効果的に得られる。
【0079】
横型の磁気シールドパネルBの場合、上側及び下側で互いに隣接する磁気シールドパネルBは、縦型の磁気シールドパネルを互いに横方向に接続するときと同様の嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合によって、互いに接続可能である。磁気シールドパネルBの嵌合凸部及び嵌合凹部の形状は、図20に示した場合と同様である。一対の金属板201の間に配置された断熱部材203の端面は、磁気シールドパネルBの両端面の開口部から露出する。磁気シールド部材202の先端部240は、その端面の開口部から突出する。
【0080】
横型の磁気シールドパネルBにおいては、磁気シールド部材202は、金属板201に固定されないので、横方向に移動可能である。従って、磁気シールド部材202の中央部分は曲げられ又は変形する可能性があるが、上述のように、磁気シールド部材202が隣接する断熱部材203間に配置することにより、磁気シールド部材202の撓みは防止され、磁気シールドパネルBの磁気シールド性能の低下が防止される。
【0081】
図13を参照して上述した実施形態と同様に、複数の横型の磁気シールドパネルBを縦横に並べて配置することにより、図27に示す磁気シールド室が形成される。この磁気シールド室も、金属板201によって電波を遮蔽することができる。
【0082】
横型の磁気シールドパネルBの施工は、縦型の磁気シールドパネルBと概ね同様に行われる。最も上及び最も下に配置された磁気シールドパネルBは、それぞれ天井構造材25及び床構造材27(図5A及び5B参照)に固定され、水平方向に互いに隣接する磁気シールドパネルBはアクセサリ246によって互いに接続される。すなわち、図28A及び28Bに示すように、磁気シールドパネルBの表裏それぞれにおいて、一対の金属板201の側端部の間に継ぎ目(間隙)245が形成され、この継ぎ目245には、断面が略T字形状のアクセサリ246が配置される。磁気シールドパネルBはこのアクセサリ246により固定可能である。アクセサリ246としては、アルミニウム等の金属の成形品が可能であるが、他の金属でもよい。またアクセサリ246は、ベース部材247及びカバー部材248を備える。ベース部材247は、ネジ等の固定具249により金属板201に取り付けられ、カバー部材248は、ネジ等の固定具250によりベース部材247に取り付けられる。
【0083】
一対の金属板201の端部の外側に突出する磁気シールド部材202の先端部240は、水平方向に隣接する横型の磁気シールドパネルBに隣接する。図15A、15B及び15Cを参照して後述するように、先端部240は互いに接続される。
【0084】
次に、他の実施形態を図29A及び29Bに示す。この実施形態の磁気シールドパネルBでは、断熱部材203は中空に形成される。本実施形態の他の構成は、図20〜図28を参照して説明された実施形態と同様である。例えば、図19に示すように、中空の断熱部材203は直方体に形成される。断熱部材203は、天然ゴム又は合成ゴム等の弾性体からなる中空部材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン等の合成樹脂からなる中空部材から作製される。また断熱部材203は、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0085】
断熱部材203は、互いに隣接する磁気シールド部材202の間に充填され、接着剤によって金属板201の内面(互いに対向する面)に接着される。磁気シールド部材202及び断熱部材203が互いに密着することによって、磁気シールド部材202は隣接する断熱部材203の間に挟持されて所定の位置に保持される。中空の断熱部材203をこのように使用することにより、磁気シールドパネルBの重量を、中実の断熱部材を使用する場合と比べて軽くすることができる。磁気シールドパネルBの剛性を高めることが必要な場合は、剛性が比較的高い断熱部材203が使用される。
【0086】
次に、図31を参照して、磁気シールドパネルBの製造方法について説明する。先ず、断熱部材203及び磁気シールド部材202が金属板201上の所定の位置に配置される。この配置のために、断熱部材203及び磁気シールド部材202は金属板201上に交互に配置することができる。あるいは、断熱部材203及び磁気シールド部材202を交互に配置してユニットを形成し、そのユニットを金属板201上に配置してもよい。
【0087】
断熱部材203及び磁気シールド部材202が配置された金属板201は、昇降式保持装置103に保持される。次に、別の金属板201が反転装置104によって反転させられ、昇降式保持装置103に保持された金属板201上の断熱部材203の上に配置される。反転させられる金属板201には、接着剤が塗布される。このようにして、断熱部材203及び磁気シールド部材202を一対の金属板201の間に配置することができる。
【0088】
尚、断熱部材203及び磁気シールド部材202は、金属板201が昇降式保持装置103に保持されているときにその金属板201上に配置されてもよいし、金属板201が昇降式保持装置103に保持されていないときにその金属板201上に配置されてもよい。昇降式保持装置103は、断熱部材203を配置すべき金属板201を所定の場所で保持するための保持具105を有することが好ましい。反転装置104は、磁石又は真空吸引パッドから成る吸引具106を有する。また、反転すべき金属板201を所定の場所に保持するための保持具107が、反転装置104に関連付けて設けられる。さらに、断熱部材203の端部を押圧して金属板201を断熱部材203上に配置しやすくするための押圧装置108が設けられる。
【0089】
図20〜図29を参照して説明された磁気シールドパネルBに関して、図16A〜図16Dに示す磁気シールド室は、縦型の磁気シールドパネルBと横型の磁気シールドパネルBとを組み合わせて構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の磁気シールドパネルの好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の磁気シールドパネルが使用される磁気シールド室の一例を示す概略図である。
【図3A】図1の磁気シールドパネルの磁気シールド部材の斜視図である。
【図3B】磁気シールド部材の変形例の斜視図である。
【図4】図1の磁気シールドパネルの一部を示す斜視図である。カメラの視体積モデルと周辺物とが干渉している状態を示す図である。
【図5A】図2の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図5B】図2の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図6A】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す正面図である。
【図6B】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す断面図である。
【図7】互いに接続された2つの磁気シールドパネルの一部を示す断面図である。
【図8】互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図9A】他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図9B】さらなる他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図10】本発明の磁気シールドパネルの他の実施形態を示す斜視図である。
【図11A】図10の磁気シールドパネルを示す部分側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気を使用する施設から外部への磁気の影響を遮蔽したり、磁気を使用する施設への外部からの磁気の影響を遮蔽したりするために用いる磁気シールドパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一方、特許文献1は、開放型の磁気シールド方法を開示する。磁気シールド室が、各々が複数の短冊形磁気シールド材料を備えた複数の磁気シールド部材が設けられた壁面により画定される。複数の磁気シールド部材は、隣接する磁気シールド部材の対向面間に磁束密度(磁界強度)の減衰が生じるように、互いに平行かつ壁面に沿って垂直に配置される。
【0003】
しかし、多数枚の短冊形磁気シールド部材を、互いに間隔を空けて平行にかつ壁面に垂直に1枚ずつ並べて施工すると、非常に手間がかかったり、磁気シールド部材に外力がかかって変形したりするという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−164686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術の上記の点に鑑みてなされたものであり、磁気シールド部材の施工性及び保形性を向上することができ、また、視認性を確保することによって、磁気シールド室に入ろうとする患者の不安を取り除くことができると共に医師が患者の様子を容易に観察することができる磁気シールドパネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁性材料で形成される磁気シールド部材を金属板に備えて成ることを特徴とする磁気シールドパネルを提供する。
【0007】
本発明の他の態様は、磁性材料で形成される磁気シールド部材を半透明の板材に備えて成ることを特徴とする磁気シールドパネルを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁気シールドパネルは磁気シールド部材を備えるので、磁気シールド部材で磁束を吸収した後、磁束を磁気シールド部材の中に流すことができ、これにより、磁気シールド性を確保することができる。
【0009】
本発明によれば、パネル化により金属板又は半透明板と磁気シールド部材を一体化することにより、磁気シールド部材の適用が容易になる。さらに、金属板又は半透明板により磁気シールド部材を保護して外力による変形や破損を防止することができ、磁気シールド部材の保形性を向上させることができる。
【0010】
特に、半透明板を面板として用いることにより、MRIのような磁場を形成する装置が設置された室内での視認性を確保することができる。従って、磁気シールド室に入ろうとする患者の不安を取り除くことができると共に医師が患者の様子を観察することができる。
【0011】
本明細書において、「半透明」という用語は「透明」を含むものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0013】
図2に本発明の磁気シールド室の一例を示す。この磁気シールド室は天井面10、床面11及び4つの壁面12から成り、4つの壁面のうちの互いに隣接する2つの壁面は磁気シールドパネルAにより形成される。この磁気シールドパネルAは磁気シールド部材2が縦長(上下方向に長く)に形成されている縦型の磁気シールドパネルである。本発明において磁気シールド部材2の長手方向はどのような方向に向いていてもよいが、例えば、シールドすべき磁界の方向と実質的に平行に設定することが好ましい。図2に示す磁気シールド室では、MRI装置等の磁気発生源13から生じる磁界の方向が縦方向であり、この磁界を遮蔽するために縦型の磁気シールドパネルAが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、磁気シールドパネルAで形成されていない天井面10、床面11及び他の壁面12には従来の密閉型を用い、それらの表面には銅箔等の金属箔やステンレス鋼製のメッシュ等を設けて電波シールド性を付与することができる。
【0014】
上記のような本発明の縦型の磁気シールドパネルAは図1に示すようなものであって、一対の半透明の板材1、磁気シールド部材2、弾性部材3及び電波シールド材4を有する。半透明の板材1は、パネルとしての剛性を確保することができかつ半透明であればどのような材質で形成されてもよく、例えば、透明ガラス製の平板や、アクリル樹脂、ポリカーボネート又は塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製の平板が使用可能である。板材1の大きさは所望の磁気シールドパネルAの大きさに応じて適宜設定可能であるが、例えば、縦2384mm×横910mm×厚み8mmが可能である。
【0015】
一対の板材1は、互いに間隔を空けて平行に配置される。一対の板材1の各々の内面(対向面)には、図4に示すように、互いに略平行な複数の溝部14が形成される。溝部14の各々は板材1の上端から下端に至るように上下方向の全長に亘って形成される。溝部14は略等間隔で形成することができるが、必要に応じて部分的に等間隔に形成しない場合もある。また、溝部14の本数は磁気シールド部材2の個数に対応する。尚、後述のように、一対の板材1の間に磁気シールド部材2を配置した場合に弾性部材3の張力で磁気シールド部材2を撓まないように保持することができれば、溝部14は必要ない。しかし、パネルの組立性を考慮すると、溝部14はあった方が好ましい。
【0016】
本発明において、板材1は完全に透明である必要はなく、型板ガラス、すりガラス又はパンチングメタル等の材料から形成されてもよい。また板材1は通気性を有してもよい。さらに板材1は、一部(例えば上部)が半透明であって他の一部(例えば下部)が透視性のないように構成されてもよい。この場合、半透明の部分を透明ガラス又はアクリル樹脂等の合成樹脂で構成し、透視性のない部分を合板や石膏ボードで構成することができる。本発明では上述の複数種類の板材1を適宜組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明で使用する磁気シールド部材2は電磁鋼板、パーマロイ、アモルファス金属又はナノ結晶軟磁性材料(日立金属(社)製の「ファインメット(登録商標)」)等の磁性材料で形成することができる。また図3Aに示すように、磁気シールド部材2は上下方向に長い矩形板状の平板部15と平板部15の上端部及び下端部に設けられた係止部16とを有する。従って磁気シールド部材2は、正面からみたときに略I字形状に形成される。I字形状の磁気シールド部材2は、磁性材料で形成されたストリップ状材料の両端のシールド材2aを係止部16として同方向に折り曲げて形成される。図3Aの構成では、3つのシールド材2aを含む一組のシールド材が互いに重ね合わされ、他の3つのシールド材2aを含む他の組のシールド材が前記一組のシールド材に対し、係止部16が互いに逆方向に突出するように配置されて、I字形状の磁気シールド部材2を形成する。図3Aにおいて、6つのシールド材2aの厚みは0.35mmであるが、本発明はこれに限られず、シールド材2aの個数や厚みは適宜設定することができる。
【0018】
また、磁気シールド部材2は図3Bに示すように、正面視で略Z字形状に形成することもできる。図3Aに示すI字形状では、重ね合わされる各シールド材2aの折り曲げる長さを変えなければならないが、図3Bに示すZ字形状では同じ形状のシールド材2aを使用することができ、磁気シールド部材2の製造の手間を軽減できる。
【0019】
上記の他に、磁気シールド部材2としては各種断面形状、例えば、十字型断面、Y字型断面、円形断面、中空円形断面、方形(矩形)断面、中空方形(矩形)断面、星形断面、H字型断面、I字型断面、T字型断面、半円形断面、三角形断面、渦巻き形断面、内部に多層空間を有する円形断面又は内部に多層空間を有する方形断面に形成することができる。また、磁気シールド部材2は、例えば、単純な短冊型、中膨らみ型、穴あき短冊型、針型、三角型、湾曲短冊型、屈曲短冊型、アングル部材型、捻り短冊型、螺旋型、回転台形型又は変形鉄筋型等の各種形状に形成することができる。さらに、磁気シールド部材2には防錆処理やコーティングを行ってもよい。コーティングとしてはダクロ、有機物、粉体又は静電気を用いた公知のコーティング方法が可能である。
【0020】
電波シールド材4は、金属メッシュ(金網)から形成される。電波シールド材4は、周波数10kHz〜40GHzの電磁波を遮蔽できるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、線材の直径が0.02〜1.9mmであって網目の大きさが1.5〜635メッシュのステンレス鋼製金網が使用可能である。
【0021】
また弾性部材3としては、コイルバネ等のバネを用いることができるが、バネに限定されるものではなく、ゴム等の他の材料を用いてもよい。
【0022】
本発明の磁気シールドパネルAは、上記の板材1に1つ以上の磁気シールド部材2を取り付けることにより形成することができる。すなわち、図1に示すように、本発明の縦型の磁気シールドパネルAは、対向配置した2つの半透明の板材1の間に複数の磁気シールド部材2を介在させて設けることにより形成される。一対の板材1は溝部14を形成した側が互いに対向するように配置され、溝部14には磁気シールド部材2の平板部15の側端部が差し込まれる。また、磁気シールド部材2は、平板部15の平面部分(最も面積が広い面)が互いに平行になるように、2つの板材1の間に所定の間隔で並べられる。ここで、本発明の磁気シールドパネルAは以下の(1)式の条件を満たすことが好ましい。
(Sm・μs)/Sa>1 ・・・(1)
尚、Smは磁気シールド部材2の横断面の面積、μsは磁気シールド部材2の磁性材料の比透磁率、及びSaは隣接する磁気シールド部材2間の空間の横断面積を示す。
【0023】
上記(1)式の条件を満たす磁気シールドパネルAは、特許文献1の場合と同様に、対向して隣接する磁気シールド部材2間の間隙で磁束密度を減衰させることができ、磁気シールド効果を提供することができる。
【0024】
本発明の磁気シールドパネルAにおいて、電波シールド材4は、一対の板材1の一方又は双方の面に貼り付けて設けることができる。この電波シールド材4の表面には、透明なカバー板70を設けることができる。カバー板70は、板材1と同様の方法で形成可能である。
【0025】
本発明の磁気シールドパネルAの上部には、天板17が設けられる。天板17は一対の板材1の上端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の上面開口を塞ぐ。天板17は、板材1と大きさが異なること以外は板材1と同様の方法で形成可能であるが、透明である必要はない。また天板17には、その厚み方向(上下方向)に貫通する複数の通孔18が設けられており、これら通孔18には各磁気シールド部材2の平板部15の上部が挿入される。従って、磁気シールド部材2の上端部の係止部16は天板17よりも上側に位置する。図4に示すように、天板17の上面と磁気シールド部材2の上側の係止部16の下面との間に弾性部材3が配置される。
【0026】
また本発明の磁気シールドパネルAの下部には、底板19が設けられる。底板19は一対の板材1の下端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の下面開口を塞ぐ。底板19は、板材1と大きさが異なること以外は板材1と同様の方法で形成可能であるが、透明である必要はない。また底板19には、その厚み方向(上下方向)に貫通する複数の通孔18が設けられており、これら通孔18には各磁気シールド部材2の平板部15の下部が挿入される。従って、磁気シールド部材2の下端部の係止部16は底板19よりも下側に位置する。底板19の下面と磁気シールド部材2の上側の係止部16の上面との間には、スペーサ23を配置することができる。
【0027】
本実施形態においては、磁気シールド部材2は、板材1に固定されておらず、上下方向に移動可能である。従って、磁気シールド部材2の中間部分が撓んで変形する虞があるが、上述のように弾性部材3により磁気シールド部材2を長手方向に伸びるように付勢することができ、磁気シールドパネルAの磁気シールド性の低下を防ぐことができる。
【0028】
本発明の磁気シールドパネルAの両側端部には、側板20が設けられる。側板20は一対の板材1の側端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の側面開口を塞ぐ。側板20は、板材1と大きさ及び厚みが異なること以外は板材1と同様の方法で形成可能であるが、透明である必要はない。また一方の側板20の外面には嵌合凸部21が形成され、他方の側板20の外面には嵌合凹部22が形成される。
【0029】
尚、本発明の磁気シールドパネルAを組み立てるために、各部材をネジ等の固定具で固定してもよいし、接着剤で互いに接着してもよい。
【0030】
複数の縦型の磁気シールドパネルAを略水平方向に並べて施工することにより、図2に示すような磁気シールド室を形成することができるが、この磁気シールド室は電波シールド材4により電波を遮蔽することもできる。
【0031】
本発明の磁気シールドパネルAを施工するにあたっては、図5A及び5Bに示すように、溝型鋼等で形成される建物の天井構造材25に磁気シールドパネルAをボルト等の固定具26で固定するとともに、溝型鋼等で形成される建物の床構造材27に磁気シールドパネルAをボルト等の固定具77で固定することができる。磁気シールド室の天井裏には上記と同様の磁性材料から製造される天井側磁気シールド板28が設けられ、天井側磁気シールド板28の下面には上記と同様の金属メッシュで形成される天井側電波シールド材29が設けられる。また床下には上記と同様の磁性材料から製造される床下磁気シールド板30が設けられ、床下磁気シールド板30の上面には上記と同様の金属メッシュで形成される床側電波シールド材31が設けられる。
【0032】
本発明の磁気シールドパネルAと床、天井及び壁面とは、磁気シールド部材2と床下磁気シールド板30及び天井側磁気シールド板28との隙間が2mm以下、好ましくは0.5mm以下となるように接合される。本実施形態においては、磁気シールド部材2は略I字又はZ字形状に構成されるので、磁気シールド部材2の上端面及び下端面は、天井側磁気シールド板28及び床下磁気シールド板30の表面に略平行となる。従って、天井側磁気シールド板28及び床下磁気シールド板30は係止部16に良好に接続され、磁気シールド性能が確保される。尚、天井構造材25の下面には天井板33がボルト等の固定具34により固定され、床構造材27の上面には床板35がボルト等の固定具36により固定される。
【0033】
図6A及び6Bに示すように、水平方向(横方向)に互いに隣接する複数の磁気シールドパネルAは嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合により接続される。このとき、図7に示すように、隣接する磁気シールドパネルA間の側板20間に磁気シールドパネルAの側端部から導出される電波シールド材4の側端部が挟まれ、隣接する磁気シールドパネルAの電波シールド材4同士が接続されることになる。
【0034】
図8に示すように、磁気シールド室の出隅部では、柱部材37を介して互いに直角方向に隣接する2つの磁気シールドパネルAが接続される。このとき、柱部材37の一側面には嵌合凸部38が形成され、嵌合凸部38は磁気シールドパネルAの嵌合凹部22と嵌合する。また柱部材37の他の側面には嵌合凹部39が形成され、嵌合凹部39は磁気シールドパネルAの嵌合凸部21と嵌合する。柱部材37を介して互いに接続される磁気シールドパネルAにおいても、柱部材37の一部によって電波シールド材4が互いに接続される。
【0035】
柱部材37を介して互いに接続される2つの磁気シールドパネルAにおいて、最も柱部材37に近い位置にある2つの磁気シールド部材2の間の距離bは、1つの磁気シールドパネルAの一対の板材1の間に配置された2つの磁気シールド部材2の間の距離aよりも短いことが好ましく、これにより磁気シールド室の磁気シールド性能の低下を防止することができる。
【0036】
図9A及び9Bに示すように、磁気シールド部材2が内蔵された柱部材37用いることも可能である。この柱部材37は中空に構成されており、その内部に形成された収容空間51に磁気シールド部材2が収容される。この柱部材37は、図8に示す中実のものと同様の形状に構成されている。中空の柱部材37は複数の柱板材60と、断面が略コの字形状の凹部材53と、断面が略凸状の凸部材54とを組み合わせて形成することができる。この場合、凹部材53を嵌合凹部39として形成し、凸部材54を嵌合凸部38として形成することができる。柱部材60、凹部材53及び凸部材54は、上記板材1と同様の透明又は不透明な材料から製造することができる。柱部材37の2つの外面(嵌合凹部39及び嵌合凸部38と反対側の面)には、上記カバー板70と同様の方法で形成される柱カバー板61が設けられる。
【0037】
収容空間51の上下方向の略全長に亘って磁気シールド部材2が収容されているが、この場合、図9Aに示すように磁気シールド部材2を凸部材54の内面に沿って配置してもよいし、あるいは図9Bに示すように凹部材53の内面に沿って配置してもよい。図9Aと図9Bとでは磁気シールド部材2の向きが平面視で90°異なるが、いずれにおいても、柱部材37に接続される2つの磁気シールドパネルAのうちの一方の磁気シールド部材2の平板部15と柱部材37内の磁気シールド部材2の平板部15とが対向するように配置される。磁気シールド部材2の端部は、柱板材60の内面及び凸部材54の内面に設けられた溝部14に挿入される。このように柱部材37に磁気シールド部材2を設けることによって、柱部材37による磁気シールド性の低下を防止することができる。
【0038】
磁気シールド室に関して、天井10、床面11及び壁面12の少なくとも1つの面の一部又は全部を、上述の磁気シールドパネルAにより構成することができる。この場合、磁気シールドパネルAを通して、室内から室外の様子の視認又はその逆の視認を行うことができ、故に磁気シールド室を病院のMRI装置室として好適に使用することができる。
【0039】
図10及び図11は、磁気シールドパネルAの他の実施形態を示す。磁気シールドパネルAにおいて、板材1、カバー板70、天板17、床板19及び側板20が透明なガラス板から構成される。上述のように、板材1は予め定めた大きさに形成される。この構成では、板材1の2つの部材が一組として使用されるが、板材1は上述の溝部14に相当する構造は具備しておらず、すなわち板材1の内面(互いに対向する面)は平坦面である。磁気シールド部材2、弾性部材3及び電波シールド材4は、前述の実施形態と同様の方法で構成可能である。
【0040】
天板17は、複数の天板材17aから構成される。天板材17aは、所定の間隔で並べられたときに、一対の板材1の上端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の上面開口を塞ぐ。互いに隣接する天板材17aの間の隙間は、天板17に設けられた通孔18として形成される。
【0041】
また底板19は、複数の床板材19aから構成される。床板材19aは、所定の間隔19bで並べられたときに、一対の板材1の下端部の間に配置され、一対の板材1の間の空間の下面開口を塞ぐ。互いに隣接する天板材19aの間の隙間は、底板19に設けられた通孔18として形成される。さらに、側板20には嵌合凸部21及び嵌合凹部22が形成されておらず、すなわち側板20は平板状に形成される。また側板20の外面には、複数の間隙部材63が設けられる。
【0042】
板材1、カバー板70、天板材17a、底板材19a、側板20、磁気シールド部材2、弾性部材3及び電波シールド材4を上記と同様にして組み立てることにより磁気シールドパネルAを形成することができるが、図11A及び11Bに示すように、板材1、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20を組み立てるときは連結具64が使用される。各連結具64は、L字状のアングル鋼材65及び複数の連結ネジ66から構成されており、アングル鋼材65の両端部には、連結ネジ66と螺合可能なネジ孔67が設けられる。また板材1、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20には、厚み方向に貫通する貫通孔68が設けられる。
【0043】
連結具64を用いて上述の板材1等の部材を連結する方法について以下に説明する。先ず、連結具64により連結すべき部材間にアングル鋼材65を配置する。すなわち、図12A及び12Bに示すように、板材1と天板材17aとの間、板材1と底板材19aとの間、板材1と側板20との間、側板20と天板材17aとの間、及び側板20と底板材19aとの間に、アングル鋼材65が配置される。このとき、アングル鋼材65はカバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20の内面側に配置される。またカバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20に設けられた貫通孔68はネジ孔67に位置合わせされる。
【0044】
次に、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20の外面側から貫通孔68に連結ネジ66を差し込むとともに、連結ネジ66の先端をアングル鋼材65のネジ孔67に螺合する。このとき、板材1の外面にカバー板70を設けている場合は、カバー板70の外面からカバー板70及び板材1の貫通孔68を通して連結ネジ66が差し込まれる。このようにして、カバー板70、天板材17a、底板材19a及び側板20が互いに連結される。尚、一対の板材1は互いに真正面には対向せず、互いにいくらか横方向にずれた位置で対向しており、これにより、板材1の側板20から外側に突出した側端部によって突出片69が形成される。
【0045】
図10のような磁気シールドパネルAは、上述と同様の方法により、天井構造材25及び床構造材27に固定可能である。しかし、水平方向(横方向)に隣接する磁気シールドパネルAは、嵌合によって互いに接続されるのではなく、側板20同士を突き合わせて互いに固定される。また水平方向(横方向)に隣接する磁気シールドパネルAを突き合わせて固定するときに、間隙部材63により磁気シールドパネルAの上下方向の位置決めを行うことができる。尚、間隙部材63の厚みは突出片69の側板20からの突出長さとほぼ同じであり、連結ネジ66の頭部の厚みは間隙部材63の厚みよりも小さい。
【0046】
図13は、本発明の磁気シールド室の他の実施形態を示す。この磁気シールド室においては、天井面10、床面11及び4つの壁面12のうち2つの壁面が本発明の磁気シールドパネルAで形成される。磁気シールドパネルAは、磁気シールド部材2が水平方向(すなわち横方向)に形成されている横型の磁気シールドパネルである。図13に示す磁気シールド室では、磁気発生源13により生じる磁界の方向は横方向(略水平)である。この磁界を遮蔽するために横型の磁気シールドパネルAが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の構成が可能である。すなわち、磁気シールドパネルAで形成されていない天井面10、床面11及び他の壁面12には従来の密閉型を用い、それらの表面には銅箔等の金属箔やステンレス鋼製のメッシュを設けて電波シールド性を付与することができる。
【0047】
横型の磁気シールドパネルAは、一対の半透明の板材1、磁気シールド部材2及び電波シールド材4を有する。板材1及び溝部14の長手方向が略水平であることを除けば、横型の磁気シールドパネルは上述の縦型の磁気シールドパネルと同様に形成される。すなわち、溝部14は板材1の長手方向の全長に亘って(板材1の一端から他端まで)形成される。横型の磁気シールドパネルAで使用される磁気シールド部材2は、水平方向に長い矩形形状に形成されることを除けば、上述の縦型の磁気シールドパネルのものと同様に形成される。すなわち、磁気シールド部材2は水平方向に長い短冊状の平板部15と、平板部15の長手方向の両端部に隣接する先端部40とを有する。上述の実施形態が有する係止部16は、磁気シールド部材2に形成されていない。横型の磁気シールドパネルAで使用される電波シールド材4は、上述の縦型の磁気シールドパネルのものと同様である。尚、横型の磁気シールドパネルAは弾性部材3及び側板20を有していない。
【0048】
横型の磁気シールドパネルAは、磁気シールド部材2が水平方向に長く延びることを除けば、上述の縦型の磁気シールドパネルと同様に形成可能である。すなわち、互いに対向配置された一対の板材1の間に複数の磁気シールド部材2が配置される。一対の板材1は、溝部14を形成した一方の面が互いに対向するように配置され、また溝部14には磁気シールド部材2の平板部15の側端部が挿入される。これにより磁気シールド部材2は、一対の板材1の間に所定の間隔で配置され、磁気シールド部材2の平板部15の平面部分(最も面積が広い部分)が互いに対向する。横型の磁気シールドパネルAにおいても、上術の(1)式の条件を満たすことが好ましく、それにより磁気シール性能が得られる。
【0049】
横型の磁気シールドパネルAは、縦型の磁気シールドパネルのものと同様の電波シールド材4を有し、その表面には透明なカバー板70が設けられる。横型の磁気シールドパネルAも、上述の実施形態と同様に天板17及び底板19を有するが、天板17及び底板19に上記の通孔18は設けられていない。
【0050】
さらに、横型の磁気シールドパネルAは、縦型の磁気シールドパネルが有する側板20を有しておらず、一対の板材1の間は磁気シールドパネルAの側面において開口し、この開口から一対の板材1間に配置された磁気シールド部材2の先端部40が突出している。横型の磁気シールドパネルAにおいて、磁気シールド部材2は板材1には固定されず、水平方向に移動可能である。磁気シールド部材2は、溝部14に挿入されたときに、その中央部分が曲がることなく一対の板材1の間で保持可能である。従って、横型の磁気シールドパネルAの磁気シールド性の低下が防止される。
【0051】
複数の横型の磁気シールドパネルAを縦横に並べて配置することにより、図13に示す磁気シールド室が形成される。上述と同様に、この磁気シールド室は電波シールド材4により電波も遮蔽することができる。横型の磁気シールドパネルAの施工は、縦型の磁気シールドパネルと同様に行うことができる。最も上及び最も下に配置された横型の磁気シールドパネルAは、それぞれ天井構造材25及び床構造材27に固定され、水平方向に互いに隣接する磁気シールドパネルAはアクセサリ46によって互いに接続される。すなわち、図14A及び14Bに示すように、磁気シールドパネルAの表裏それぞれにおいて、板材1の側端部の間に継ぎ目(間隙)45が形成され、この継ぎ目45には、断面が略T字形状のアクセサリ46が配置される。磁気シールドパネルAはこのアクセサリ46により固定可能である。アクセサリ46としては、アルミニウム等の金属の成形品が可能であるが、他の材質でもよい。またアクセサリ46は、ベース部材47及びカバー部材48を備える。ベース部材47は、ネジ等の固定具49により板材1に取り付けられ、カバー部材48は、ネジ等の固定具50によりベース部材47に取り付けられる。
【0052】
一対の板材1の側端部の外側に突出する磁気シールド部材2の先端部40は、水平方向に隣接する横型の磁気シールドパネルAに隣接するととともに、後述するように互いに接続される。図15A及び15Bに示すように、ある磁気シールドパネルAから突出する磁気シールド材2aの先端部40と、隣接する他の磁気シールドパネルAから突出する磁気シールド材2aの先端部40とは、所定の間隔L1(2mm以下、好ましくは0.5mm)を有して互いに対向配置される。次に、互いに対向する先端部40は、一対の当て板41の間に配置され、図15Cに示すように、クリップ等の挟持具42によって当て板41とともに鉛直方向に把持される。ここで、当て板41は磁気シールド材2aと同じ材料から作製され、好ましくは50mm以上の長さを有する。この長さとは、磁気シールド材2aの長手方向と同方向の寸法を指す。
【0053】
磁気シールド部材2を構成する複数の磁気シールド材2aは、長手方向に所定の距離L3(好ましくは10mm以上)ずつずれて配置されることが好ましい。これにより、磁気シールド部材2のシールド材2aの端部は鉛直方向に直線状に並ばず、傾いた線上に配置される。さらに、横型の磁気シールドパネルAの側端部から突出する、水平方向に互いに隣接する電波シールド材4の側端部は、接続部材52によって互いに接続される。電波シールド材4の側端部の接続は、アクセサリ46の裏側の継ぎ目45で行われる。
【0054】
磁気シールド室は、縦型及び横型の磁気シールドパネルAの双方を用いて構成することもできる。この場合、縦型の磁気シールドパネルの板材1が横型の磁気シールドパネルの板材1に対向するように、縦型及び横型の磁気シールドパネルが前後に配置される。これにより、縦方向及び横方向だけでなく全ての方向の磁界を遮蔽することができるようになる。
【0055】
上述の実施形態では、磁気シールド室はその2つの壁面が磁気シールドパネルAで形成されているが、天井面10、床面11及び4つの壁面12を含む6面全てを本発明の磁気シールドパネルAで形成することも可能である。この場合、図16Aに示す磁気シールドユニット55が使用される。図16B、16C及び16Dに示すように、磁気シールドユニット55は、それぞれが開口部を両端に備えた3つの角筒体56a、56b及び56cを有する。角筒体56a、56b及び56cの各々の4つの面は、周方向に長い複数の磁気シールドパネルAから構成される。角筒体56a、56b及び56cは、それぞれの寸法が互いに異なり、図16B、16C及び16Dに示すように、互いに直交する3つの異なる方向に開口させた状態で入れ子式に組み合わされる。磁気シールドユニット55では、縦型及び横型の磁気シールドパネルAが前後に並んで配置され、これにより縦方向及び横方向だけでなく全ての方向の磁界を遮蔽することができるようになる。
【0056】
上述の実施形態では、磁気シールドパネルAは一対の板材1を含むものとして説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば1つの板材1に磁気シールド部材2を設けて磁気シールドパネルAを構成してもよい。さらに、3つ以上の板材1を磁気シールドパネルAに使用することも可能である。例えば、図17に示すように、互いに対向配置された3つの板材1に複数の磁気シールド部材2を設けて磁気シールドパネルAを構成することができ、この場合、真中の板材1は主に補強材として使用される。
【0057】
次に、図18及び図19を参照して、本発明のさらなる他の実施形態について説明する。この実施形態では、磁気シールドパネルAの内側に断熱部材71が収容される。例えば図19に示すように、断熱部材71は直方体形状に成形可能である。板材1と同様に、断熱部材71は完全に透明であってもよいし、不透明でもよい。断熱部材71は、天然ゴム又は合成ゴム等の弾性体からなる中空部材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン等の合成樹脂からなる中空部材から作製される。
【0058】
断熱部材71は、互いに隣接する磁気シールド部材2の間に充填され、接着剤によって板材1の内面(互いに対向する面)に接着される。磁気シールド部材2及び断熱部材71が互いに密着することによって、磁気シールド部材2は隣接する断熱部材71の間に挟持されて所定の位置に保持される。
【0059】
次に、本発明のさらなる他の実施形態について説明する。図21は、本発明の磁気シールド室の一例を示す図である。図2に示す実施形態と同様に、この磁気シールド室は天井面210、床面211及び4つの壁面212のうちの2つが本発明の磁気シールドパネルBにより形成される。本実施形態では、磁気シールドパネルBは磁気シールド部材202が鉛直方向に長く形成されている縦型の磁気シールドパネルである。本発明において磁気シールド部材202の長手方向はどのような方向に向いていてもよいが、例えば、シールドすべき磁界の方向と平行に設定することができる。図21に示す磁気シールド室では、MRI装置等の磁気発生源213から生じる磁界の方向が縦方向であり、この磁界を遮蔽するために縦型の磁気シールドパネルBが使用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、磁気シールドパネルBで形成されていない天井面210、床面211及び他の壁面212には従来の密閉型を用い、それらの表面には銅箔等の金属箔やステンレス鋼製のメッシュ等を設けて電波シールド性を付与することができる。
【0060】
図20に示すように、磁気シールドパネルBは、互いに平行に離隔配置された一対の金属板201、図3A及び3Bを参照して説明した磁気シールド部材2と同様の方法で形成される磁気シールド部材202、及び磁気シールドパネルBに設けられる断熱部材203を有する。金属板201は、パネルとしての剛性が確保されるように0.25〜1.6mmの厚さであってかつ周波数10kHz〜40GHzの電磁波を遮蔽する電波シールド性能を有する限り、どのような材料から作製されてもよく、例えば、鉄板、鋼板、ステンレス鋼板、塗装板、亜鉛鍍金鋼板、アルミニウム−亜鉛鍍金鋼板、及びアルミニウム平板がある。特には、金属板201は鉄、銅又はアルミニウム等の高電導性材料から作製されることが好ましい。特許文献1に記載の磁気シールド性能は、交流については直流よりも劣る。しかし、金属板201を上記材料から作製することにより、渦電流の遮蔽効果によって交流での磁気シールド性能が高められる。金属板201は、パンチングメタルのような孔を有する金属板でもよい。金属板1の大きさは所望の磁気シールドパネルBの大きさに応じて適宜設定可能であり、例えば、縦2384mm×横910mmが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0061】
断熱部材203は、一般に使用される断熱材料から作製可能であり、その例としては岩石繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維等の無機繊維、ウレタンフォーム又はフェノールフォーム等の発泡樹脂がある。岩石繊維又はガラス繊維は、断熱性及び耐火性が高く、断熱部材203への使用に好適である。断熱部材203は、角柱のようなブロック形状に成形可能である。断熱部材203の密度は、通常、20〜400kg/m3であり、好ましくは120〜200kg/m3である。
【0062】
磁気シールドパネルBは、図20に示すように、互いに平行になるように対向配置された一対の金属板201の間に複数の磁気シールド部材202及び断熱部材203を介在させて設けることにより形成可能である。磁気シールド部材202は、それらの平板部215の平面部分(最も面積が広い面)が互いに平行になるように、一対の金属板201の間に所定の間隔で並べられる。また磁気シールドパネルBも、上述の(1)式の条件を満たすことが好ましい。
【0063】
本実施形態においては、断熱部材203は磁気シールドパネルBの磁気シールド部材202の間に充填され、金属板201の内面(互いに対向する面)に接着される。図30に示すように、複数の断熱部材203は磁気シールドパネルB上にジグザグ状に配置され、故に継ぎ目203aは一直線上に配置されない。この構成は、磁気シールドパネルBの機械的強度を維持する観点からは好ましい。
【0064】
本実施形態においては、磁気シールド部材202は、上述の実施形態の磁気シールド部材2と同様に、金属板201に固定されず、故に長手方向(鉛直方向)に移動可能である。磁気シールド部材202の両側部はその全長に亘って断熱部材203に挟まれるので、磁気シールド部材202がその中央部において曲げられ又は変形することはない。従って、磁気シールドパネルBの磁気シールド性能の低下が防止される。
【0065】
図23に示すように、磁気シールド部材202の側端部が金属板201の内面からいくらか(好ましくは3〜10mm)離れ、かつ磁気シールド部材202が断熱部材203により保持されることにより、磁気シールド部材202を介して熱が一方の金属板201から他方の金属板201へ伝導するいわゆるヒートブリッジの発生が防止される。
【0066】
断熱部材203が岩石繊維のような繊維から作製される場合は、その繊維は主として磁気シールドパネルBの厚み方向(金属板201の表面に垂直な方向)に向くことが好ましい。これにより、磁気シールドパネルBの機械的強度の低下が防止される。
【0067】
本実施形態の磁気シールドパネルBは、その一方の側端部に形成された嵌合凸部221と、他方の側端部に形成された嵌合凹部222とを有する。図22及び図23に示すように、嵌合凸部221は、金属板201の一方の側端部を曲げることにより形成された凸部側突片221aが、挿入された断熱部材203に関して互いに反対側に配置されて形成される。嵌合凹部222は、金属板201の凸部側突片221aと反対側の側端部を曲げることにより形成された凹部側突片222aが、挿入された断熱部材203に関して互いに反対側に配置されて形成される。従って、金属板201の間の断熱部材203の側部は、凸部側突片221a及び凹部側突片222aによって保護される。
【0068】
磁気シールド部材202は、磁気シールド部材202の係止部216が金属板201の上端部及び下端部から突出するように、金属板201の間に配置される。断熱部材203の上面及び下面は、一対の金属板201の間から露出する。
【0069】
複数の縦型の磁気シールドパネルBを略水平方向に並べた構成により、図21の磁気シールド室が形成される。この磁気シールド室は、金属板201により電波も遮蔽することができる。
【0070】
図5A及び5Bを参照して説明した実施形態と概ね同様にして、ボルト等の固定具を用いて本実施形態の磁気シールドパネルBを建物の天井構造体及び床構造体に固定することができる。
【0071】
図24A及び24Bに示すように、水平方向(横方向)に互いに隣接する磁気シールドパネルBは、嵌合凸部221を嵌合凹部222に嵌合させることによって互いに接続される。嵌合凹部222に嵌合した嵌合凸部221においては、磁気シールドパネルBの金属板201のコーティングが剥離されることが好ましい。これにより、嵌合凸部221と嵌合凹部222との嵌合によって、ある磁気シールドパネルBの金属板201はそれに隣接する磁気シールドパネルBの金属板201に電気的に接続される。従って、金属板201に吸収された電波は多数の金属板201に拡散し、電波シールド性能が高められる。
【0072】
図25に示すように、磁気シールド室の角部において直角を成すように配置された2つの磁気シールドパネルBは、柱部材237を介して互いに接続される。このとき、柱部材237の一側面には嵌合凸部238が形成され、嵌合凸部38は磁気シールドパネルBの嵌合凹部222と嵌合する。また柱部材37の他の側面には嵌合凹部239が形成され、嵌合凹部239は磁気シールドパネルBの嵌合凸部221と嵌合する。
【0073】
柱部材237を介して互いに接続される2つの隣接する磁気シールドパネルBにおいて、最も柱部材237に近い位置にある2つの磁気シールド部材202の間の距離bは、1つの磁気シールドパネルBの一対の金属板201の間に配置された2つの磁気シールド部材202の間の距離aよりも短いことが好ましく、これにより磁気シールド室の磁気シールド性能の低下を防止することができる。磁気シールド室において、天井面210、床面211及び壁面212のうち少なくとも1つの面の一部又は全部を、上述の磁気シールドパネルBにより形成することができる。
【0074】
図26A及び26Bに示すように、磁気シールド部材202が内蔵された柱部材237用いることも可能である。この柱部材237は、縦方向に長い中空の柱外形部材237aを有し、その内部に磁気シールド部材202が配置される。また断熱部材203は、柱外形部材237aの内部に充填される。柱外形部材237aの外形は、図25に示す中実の柱部材の外形と同様である。
【0075】
柱外形部材237aは、金属板201と同様の金属板を曲げて形成することができる。嵌合凹部239及び嵌合凸部238は曲げによって形成可能である。磁気シールド部材202は、その縦方向の全長に亘って柱外形部材237aの内部に収容される。図26Aに示すように、磁気シールド部材202は嵌合凸部238の内側に配置可能である。あるいは、図26Bに示すように、磁気シールド部材202は嵌合凹部239の内側に配置されてもよい。図26A及び26Bに示す実施形態においては、磁気シールド部材202の向きは互いに約90°異なる。しかしいずれの実施形態においても、柱部材237に接続された2つの磁気シールドパネルBのうちの1つの磁気シールド部材202は、他の磁気シールド部材202の平板部に対向する。磁気シールド部材202が上述の柱部材237に設けられたときは、柱部材237の磁気シールド性能は低下しない。
【0076】
図27は、本発明の磁気シールド室の他の実施形態を示す図である。図13を参照して説明した実施形態と概ね同様にして、この磁気シールド室は天井面210、床面211及び4つの壁面212のうちの2つが本発明の磁気シールドパネルBにより形成される。本実施形態では、磁気シールドパネルBは磁気シールド部材202が水平方向に長く形成されている横型の磁気シールドパネルである。
【0077】
横型の磁気シールドパネルBは、一対の金属板201、磁気シールド部材202及び断熱部材203を有する。横型の磁気シールドパネルBは、磁気シールド部材202が水平方向に長い短冊形状であって係止部216を有さない点を除けば、縦型の磁気シールドパネルと概ね同様に形成可能である。金属板201は、その長手方向が略水平である点を除けば、縦型の磁気シールドパネルの金属板と概ね同様に形成可能である。
【0078】
互いに対向配置された一対の金属板201の間には、複数の磁気シールド部材202及び断熱部材203が配置される。磁気シールド部材202は、金属板201に垂直になるように金属板201の間に配置される。この場合、横型の磁気シールドパネルBも(1)式を満たすことが好ましく、それにより磁気シールド性能が効果的に得られる。
【0079】
横型の磁気シールドパネルBの場合、上側及び下側で互いに隣接する磁気シールドパネルBは、縦型の磁気シールドパネルを互いに横方向に接続するときと同様の嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合によって、互いに接続可能である。磁気シールドパネルBの嵌合凸部及び嵌合凹部の形状は、図20に示した場合と同様である。一対の金属板201の間に配置された断熱部材203の端面は、磁気シールドパネルBの両端面の開口部から露出する。磁気シールド部材202の先端部240は、その端面の開口部から突出する。
【0080】
横型の磁気シールドパネルBにおいては、磁気シールド部材202は、金属板201に固定されないので、横方向に移動可能である。従って、磁気シールド部材202の中央部分は曲げられ又は変形する可能性があるが、上述のように、磁気シールド部材202が隣接する断熱部材203間に配置することにより、磁気シールド部材202の撓みは防止され、磁気シールドパネルBの磁気シールド性能の低下が防止される。
【0081】
図13を参照して上述した実施形態と同様に、複数の横型の磁気シールドパネルBを縦横に並べて配置することにより、図27に示す磁気シールド室が形成される。この磁気シールド室も、金属板201によって電波を遮蔽することができる。
【0082】
横型の磁気シールドパネルBの施工は、縦型の磁気シールドパネルBと概ね同様に行われる。最も上及び最も下に配置された磁気シールドパネルBは、それぞれ天井構造材25及び床構造材27(図5A及び5B参照)に固定され、水平方向に互いに隣接する磁気シールドパネルBはアクセサリ246によって互いに接続される。すなわち、図28A及び28Bに示すように、磁気シールドパネルBの表裏それぞれにおいて、一対の金属板201の側端部の間に継ぎ目(間隙)245が形成され、この継ぎ目245には、断面が略T字形状のアクセサリ246が配置される。磁気シールドパネルBはこのアクセサリ246により固定可能である。アクセサリ246としては、アルミニウム等の金属の成形品が可能であるが、他の金属でもよい。またアクセサリ246は、ベース部材247及びカバー部材248を備える。ベース部材247は、ネジ等の固定具249により金属板201に取り付けられ、カバー部材248は、ネジ等の固定具250によりベース部材247に取り付けられる。
【0083】
一対の金属板201の端部の外側に突出する磁気シールド部材202の先端部240は、水平方向に隣接する横型の磁気シールドパネルBに隣接する。図15A、15B及び15Cを参照して後述するように、先端部240は互いに接続される。
【0084】
次に、他の実施形態を図29A及び29Bに示す。この実施形態の磁気シールドパネルBでは、断熱部材203は中空に形成される。本実施形態の他の構成は、図20〜図28を参照して説明された実施形態と同様である。例えば、図19に示すように、中空の断熱部材203は直方体に形成される。断熱部材203は、天然ゴム又は合成ゴム等の弾性体からなる中空部材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン等の合成樹脂からなる中空部材から作製される。また断熱部材203は、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0085】
断熱部材203は、互いに隣接する磁気シールド部材202の間に充填され、接着剤によって金属板201の内面(互いに対向する面)に接着される。磁気シールド部材202及び断熱部材203が互いに密着することによって、磁気シールド部材202は隣接する断熱部材203の間に挟持されて所定の位置に保持される。中空の断熱部材203をこのように使用することにより、磁気シールドパネルBの重量を、中実の断熱部材を使用する場合と比べて軽くすることができる。磁気シールドパネルBの剛性を高めることが必要な場合は、剛性が比較的高い断熱部材203が使用される。
【0086】
次に、図31を参照して、磁気シールドパネルBの製造方法について説明する。先ず、断熱部材203及び磁気シールド部材202が金属板201上の所定の位置に配置される。この配置のために、断熱部材203及び磁気シールド部材202は金属板201上に交互に配置することができる。あるいは、断熱部材203及び磁気シールド部材202を交互に配置してユニットを形成し、そのユニットを金属板201上に配置してもよい。
【0087】
断熱部材203及び磁気シールド部材202が配置された金属板201は、昇降式保持装置103に保持される。次に、別の金属板201が反転装置104によって反転させられ、昇降式保持装置103に保持された金属板201上の断熱部材203の上に配置される。反転させられる金属板201には、接着剤が塗布される。このようにして、断熱部材203及び磁気シールド部材202を一対の金属板201の間に配置することができる。
【0088】
尚、断熱部材203及び磁気シールド部材202は、金属板201が昇降式保持装置103に保持されているときにその金属板201上に配置されてもよいし、金属板201が昇降式保持装置103に保持されていないときにその金属板201上に配置されてもよい。昇降式保持装置103は、断熱部材203を配置すべき金属板201を所定の場所で保持するための保持具105を有することが好ましい。反転装置104は、磁石又は真空吸引パッドから成る吸引具106を有する。また、反転すべき金属板201を所定の場所に保持するための保持具107が、反転装置104に関連付けて設けられる。さらに、断熱部材203の端部を押圧して金属板201を断熱部材203上に配置しやすくするための押圧装置108が設けられる。
【0089】
図20〜図29を参照して説明された磁気シールドパネルBに関して、図16A〜図16Dに示す磁気シールド室は、縦型の磁気シールドパネルBと横型の磁気シールドパネルBとを組み合わせて構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の磁気シールドパネルの好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の磁気シールドパネルが使用される磁気シールド室の一例を示す概略図である。
【図3A】図1の磁気シールドパネルの磁気シールド部材の斜視図である。
【図3B】磁気シールド部材の変形例の斜視図である。
【図4】図1の磁気シールドパネルの一部を示す斜視図である。カメラの視体積モデルと周辺物とが干渉している状態を示す図である。
【図5A】図2の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図5B】図2の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図6A】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す正面図である。
【図6B】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す断面図である。
【図7】互いに接続された2つの磁気シールドパネルの一部を示す断面図である。
【図8】互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図9A】他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図9B】さらなる他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図10】本発明の磁気シールドパネルの他の実施形態を示す斜視図である。
【図11A】図10の磁気シールドパネルを示す部分側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料で形成される磁気シールド部材と、前記磁気シールド部材が取り付けられる半透明の板材とを有する、磁気シールドパネル。
【請求項2】
前記磁気シールド部材は半透明の断熱部材に保持される、請求項1に記載の磁気シールドパネル。
【請求項3】
電導性材料で形成される電波シールド材が前記半透明の板材に取り付けられる、請求項1又は2に記載の磁気シールドパネル。
【請求項4】
2つ以上の前記半透明の板材を用いて成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項5】
前記磁気シールド部材は磁界の方向と略平行に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項6】
前記磁気シールド部材の両端部に嵌合部が設けられ、前記磁気シールド部材は略I字又はZ字の形状に形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項7】
磁性材料で形成される磁気シールド部材と、前記磁気シールド部材が取り付けられる金属板とを有する、磁気シールドパネル。
【請求項8】
前記磁気シールド部材は断熱部材に保持される、請求項7に記載の磁気シールドパネル。
【請求項9】
前記断熱部材は耐火性材料で形成される、請求項8に記載の磁気シールドパネル。
【請求項10】
2つ以上の前記金属板を用いて成る、請求項7〜9のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項11】
前記磁気シールド部材は磁界の方向と略平行に配置される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項12】
前記磁気シールド部材の両端部に嵌合部が設けられ、前記磁気シールド部材は略I字又はZ字の形状に形成される、請求項7〜11のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項13】
前記金属板は鉄、銅及びアルミニウムを含むグループから選択された材料で形成される、請求項7〜12のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項1】
磁性材料で形成される磁気シールド部材と、前記磁気シールド部材が取り付けられる半透明の板材とを有する、磁気シールドパネル。
【請求項2】
前記磁気シールド部材は半透明の断熱部材に保持される、請求項1に記載の磁気シールドパネル。
【請求項3】
電導性材料で形成される電波シールド材が前記半透明の板材に取り付けられる、請求項1又は2に記載の磁気シールドパネル。
【請求項4】
2つ以上の前記半透明の板材を用いて成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項5】
前記磁気シールド部材は磁界の方向と略平行に配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項6】
前記磁気シールド部材の両端部に嵌合部が設けられ、前記磁気シールド部材は略I字又はZ字の形状に形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項7】
磁性材料で形成される磁気シールド部材と、前記磁気シールド部材が取り付けられる金属板とを有する、磁気シールドパネル。
【請求項8】
前記磁気シールド部材は断熱部材に保持される、請求項7に記載の磁気シールドパネル。
【請求項9】
前記断熱部材は耐火性材料で形成される、請求項8に記載の磁気シールドパネル。
【請求項10】
2つ以上の前記金属板を用いて成る、請求項7〜9のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項11】
前記磁気シールド部材は磁界の方向と略平行に配置される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項12】
前記磁気シールド部材の両端部に嵌合部が設けられ、前記磁気シールド部材は略I字又はZ字の形状に形成される、請求項7〜11のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【請求項13】
前記金属板は鉄、銅及びアルミニウムを含むグループから選択された材料で形成される、請求項7〜12のいずれか1項に記載の磁気シールドパネル。
【図11A】図10の磁気シールドパネルを示す部分平面図である。
【図12A】他の実施形態に係る磁気シールドパネルの一部を示す平面図である。
【図12B】図12Aの磁気シールドパネルを示す部分側面図である。
【図13】横型の磁気シールドパネルが使用される磁気シールド室の実施形態を示す概略図である。
【図14A】図13の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図14B】図14Aの部分拡大断面図である。
【図15A】図13の磁気シールド室の一部を示す概略図である。
【図15B】図13の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図15C】図13の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図16A】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの一例を示す概略図である。
【図16B】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの角筒体の一例を示す概略図である。
【図16C】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの角筒体の一例を示す概略図である。
【図16D】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの角筒体の一例を示す概略図である。
【図17】本発明の磁気シールドパネルの他の実施形態を示す断面図である。
【図18】図1の磁気シールドパネルの変形例を示す斜視図である。
【図19】図18の磁気シールドパネルに使用される断熱部材の斜視図である。
【図20】本発明の磁気シールドパネルの他の実施形態を示す斜視図である。
【図21】図20の磁気シールドパネルが使用される磁気シールド室の概略図である。
【図22】図20の磁気シールドパネルを示す断面図である。
【図23】図20の磁気シールドパネルの変形例を示す断面図である。
【図24A】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す正面図である。
【図24B】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す断面図である。
【図25】互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図26A】他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図26B】さらなる他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図27】横型の磁気シールドパネルにより形成された磁気シールド室を示す概略図である。
【図28A】図27の磁気シールド室を形成する磁気シールドパネルを示す部分断面図である。
【図28B】図28Aの拡大図である。
【図29A】図20の磁気シールドパネルの変形例を示す断面図である。
【図29B】図29Aとは異なる方向からみた断面図である。
【図30】図20、図29A及び図29Bの磁気シールドパネルに使用される断熱部材の構成を示す概略図である。
【図31】図20、図29A及び図29Bの磁気シールドパネルを製造する装置の一例を示す概略図である。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図12A】他の実施形態に係る磁気シールドパネルの一部を示す平面図である。
【図12B】図12Aの磁気シールドパネルを示す部分側面図である。
【図13】横型の磁気シールドパネルが使用される磁気シールド室の実施形態を示す概略図である。
【図14A】図13の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図14B】図14Aの部分拡大断面図である。
【図15A】図13の磁気シールド室の一部を示す概略図である。
【図15B】図13の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図15C】図13の磁気シールド室の一部を示す断面図である。
【図16A】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの一例を示す概略図である。
【図16B】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの角筒体の一例を示す概略図である。
【図16C】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの角筒体の一例を示す概略図である。
【図16D】本発明の他の実施形態に係る磁気シールドユニットの角筒体の一例を示す概略図である。
【図17】本発明の磁気シールドパネルの他の実施形態を示す断面図である。
【図18】図1の磁気シールドパネルの変形例を示す斜視図である。
【図19】図18の磁気シールドパネルに使用される断熱部材の斜視図である。
【図20】本発明の磁気シールドパネルの他の実施形態を示す斜視図である。
【図21】図20の磁気シールドパネルが使用される磁気シールド室の概略図である。
【図22】図20の磁気シールドパネルを示す断面図である。
【図23】図20の磁気シールドパネルの変形例を示す断面図である。
【図24A】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す正面図である。
【図24B】互いに接続された複数の磁気シールドパネルを示す断面図である。
【図25】互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図26A】他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図26B】さらなる他の実施形態に係る、互いに直角に接続された2つの磁気シールドパネルにより形成された角部を示す部分断面図である。
【図27】横型の磁気シールドパネルにより形成された磁気シールド室を示す概略図である。
【図28A】図27の磁気シールド室を形成する磁気シールドパネルを示す部分断面図である。
【図28B】図28Aの拡大図である。
【図29A】図20の磁気シールドパネルの変形例を示す断面図である。
【図29B】図29Aとは異なる方向からみた断面図である。
【図30】図20、図29A及び図29Bの磁気シールドパネルに使用される断熱部材の構成を示す概略図である。
【図31】図20、図29A及び図29Bの磁気シールドパネルを製造する装置の一例を示す概略図である。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2007−505241(P2007−505241A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526014(P2006−526014)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013598
【国際公開番号】WO2005/026462
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013598
【国際公開番号】WO2005/026462
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】
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