説明

磁気テープ、およびその製造方法

【課題】オフトラックが少ない高品質な磁気テープを提供する。また、作業工数を削減し、製造コストを削減することができる磁気テープの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体にコーティング材料、下層塗料、および磁性塗料を塗布して原反を生成する塗布工程S11と、塗布工程後の原反を加熱加圧処理するカレンダ工程S12と、カレンダ工程後の原反をキュアさせるエージング工程S13と、エージング工程後の原反にサーボパターンを形成するサーボ工程S14と、サーボ工程後の原反を所定幅に切断してパンケーキを生成するスリット工程S15と、パンケーキを所定の長さに切断して磁気テープを生成しリールに巻き付けるローディング工程S16とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともサーボパターンが形成された磁気テープに関する。また、そのような磁気テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープなど様々な用途があるが、特にコンピューターのデータバックアップに使用されるデータバックアップ用テープの分野では、バックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数百GBの記憶容量のものが商品化されている。今後、ハードディスクのさらなる大容量化に対応するため、バックアップテープの高容量化は不可欠である。
【0003】
上記のようなデータバックアップ用テープは、図9に示すような製造工程に基づき製造することができる。図9は、従来の磁気テープの製造工程のフローである。
【0004】
まず、塗布工程(S21)において、ロール状に巻かれたベースフィルム原反を引き出し、引き出したベースフィルム原反の一方の面に、均一にコーティング材料を塗布、乾燥してバックコート層を形成する。また、ベースフィルム原反の他方の面に、均一に下層材料を塗布、乾燥して下層を形成する。次に、下層の上に均一に磁性材料を塗布、乾燥し、磁性層を形成する。各層が形成されたベースフィルム原反は、再びロール状に巻かれ、磁気テープ原反が完成する。
【0005】
次に、カレンダー工程(S22)において、ロール状に巻かれた磁気テープ原反を引き出し、引き出した磁気テープ原反に対して加熱加圧処理を施して、表面を平滑化する。平滑化した磁気テープ原反は、再びロール状に巻かれる。
【0006】
次に、エージング工程(S23)において、ロール状に巻かれた磁気テープ原反を窯内に数日間放置し、架橋促進させる。
【0007】
次に、スリット工程(S24)において、磁気テープ原反をスリッターで所定幅に切断してパンケーキを得る。具体的には、ロール状に巻かれた磁気テープ原反を引き出しながら、磁気テープ原反の表面にスリッターの刃を当接させて切断する。なお、切断幅は、最終的にカートリッジに収容される磁気テープのテープ幅に相当し、例えばLTO規格に準拠した磁気テープ幅は、1/2インチ幅となる。
【0008】
次に、サーボ工程(S25)において、パンケーキから磁気テープを引き出し、磁気テープの磁性層にサーボパターンを形成する。具体的には、まずサーボ信号記録装置に1本のパンケーキを装着し、モータを駆動させてパンケーキを回転させ、パンケーキから磁気テープを引き出す。次に、磁気テープの幅方向エッジ部分の位置を光学的に検出してサーボヘッドを幅方向へ位置調整しながら、サーボヘッドで磁気テープにサーボ信号を記録する。サーボ信号が記録された磁気テープは再び巻き取られ、元のパンケーキとなる。なお、サーボ工程において、サーボ信号記録装置へのパンケーキの着脱は、作業者により手作業で行われる。
【0009】
最後に、ローディング工程(S26)において、パンケーキから所定の長さの磁気テープを引き出し、リールに巻き付ける。所定の長さの磁気テープをリールに巻き付けた後、磁気テープをその幅方向に切断する。リールに巻き付けられた磁気テープは、カートリッジに収容され、磁気テープカートリッジが完成する。なお、磁気テープ1巻当たりの全長は、例えばLTO4規格に準拠した磁気テープであれば約820mである。
【0010】
図10は、図9に示す製造方法によって製造された磁気テープの構成を示す平面図である。図10に示すように、サーボ工程において形成されるサーボパターンは、磁気テープ501の長手方向に対して略「ハ」の字状に形成された2本のストライプ502a及び502bが、磁気テープ501の長手方向に複数形成されてサーボバンド502が形成されている。サーボバンド502は、磁気テープ501の長手方向に沿って例えば5本形成されている。また、各サーボバンド502の間には、記録再生装置(ドライブ)においてデータ信号を記録可能なデータバンド503が形成されている。
【0011】
特許文献1には、図10に示すように形成されたサーボパターンを用いてトラッキングサーボを行う構成が開示されている。
【特許文献1】特開平8−30942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来の構成では、スリット工程においてスリッター等の振動により磁気テープ原反を真っ直ぐに切断できない場合があり、磁気テープの幅方向エッジ部分の直線性が低下する。その場合、サーボ工程において磁気テープにサーボ信号を記録する際、磁気テープのエッジ部分が歪んでいるため、オフトラックが増加してしまうという問題がある。
【0013】
また、サーボ工程において、パンケーキを1本づつサーボ信号記録装置に着脱しないといけないため、作業工数が増加し、製造コストが増加してしまうという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、オフトラックが少ない高品質な磁気テープを提供することである。また、本発明の目的は、作業工数を削減し、製造コストを削減することができる磁気テープの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の磁気テープの製造方法における第1の方法は、支持体に下層塗料、および磁性塗料を塗布、乾燥して原反を生成する塗布工程と、前記塗布工程後の前記原反を加熱加圧処理するカレンダ工程と、前記カレンダ工程後の前記原反を架橋促進させるエージング工程と、前記エージング工程後の前記原反にサーボパターンを形成するサーボ工程と、前記サーボ工程後の前記原反を所定幅に切断してパンケーキを生成するスリット工程と、前記パンケーキを所定の長さに切断して磁気テープを生成し、リールに巻き付けるローディング工程とを備えたものである。
【0016】
本発明の磁気テープの製造方法における第2の方法は、支持体に下層塗料、および磁性塗料を塗布、乾燥して原反を生成する塗布工程と、前記塗布工程後の前記原反を加熱加圧処理するカレンダ工程と、前記カレンダ工程後の前記原反に、振幅サーボが可能なサーボパターンを形成するサーボ工程と、前記サーボ工程後の前記原反を架橋促進させるエージング工程と、前記エージング工程後の前記原反を所定幅に切断してパンケーキを生成するスリット工程と、前記パンケーキを所定の長さに切断して磁気テープを生成し、リールに巻き付けるローディング工程とを備えたものである。
【0017】
本発明の磁気テープは、支持体の一方の面に下層を介して磁性層が形成された磁気テープであって、前記磁性層には、サーボパターンが形成されたサーボバンドと、データ信号を記録可能であるとともにサーボパターンを形成可能な記録領域とを備え、前記サーボバンドは、当該磁気テープの長手方向に沿って、単一の領域で構成されているものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の磁気テープの製造方法によれば、サーボ工程をスリット工程よりも前に実施するため、サーボ工程における作業工数を削減し、製造コストを削減することができる。
【0019】
また、本発明の磁気テープによれば、サーボバンドを1本のみ形成する構成としたので、サーボ工程において原反にサーボパターンを形成する際に、サーボヘッドの数を少なくすることができ、製造コストを削減することができる。例えば、従来のように1本の磁気テープに5本のサーボバンドを形成する構成では、磁気テープ製造時、1本の原反に385本のサーボバンドを形成する必要があった。これに対し本発明では、従来の1/5の77本のサーボバンドを形成するだけでよいため、サーボヘッドの数を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の磁気テープの製造方法は、上記方法を基本として以下のような態様をとることができる。すなわち、磁気テープの製造方法において、前記スリット工程では、前記サーボパターンを読み取りながら、前記磁気テープにおける切断位置を調節することが好ましい。このような方法によれば、スリット工程において磁気テープを切断する際、スリッターの刃の位置を正規の位置に自動調節することができるので、切断部分に歪みがない高品質な磁気テープを得ることができる。
【0021】
(実施の形態)
〔1.磁気テープの構成〕
図1は、本発明の実施の形態における磁気テープの記録面の構成を示す。図1に示すように、磁気テープ1は、その長手方向に連続的にサーボバンド2と空き領域3とを備えている。サーボバンド2には、略「ハ」の字状の2本のストライプ2a及び2bが、連続的に形成されている。ストライプ2a及び2bの間隔や傾斜角は従来と同様である。また、サーボバンド2は、磁気テープ1の幅方向端部において、磁気テープ1の長手方向に沿って1本形成されている。空き領域3には、記録再生装置(ドライブ)によりデータ信号及びサーボ信号を磁気的に記録することができる。なお、図1に示す磁気テープ1は、工場出荷時の状態である。
【0022】
本実施の形態の磁気テープは、工場出荷時の状態において、サーボパターンが形成されたサーボバンドを1本のみ備えていることを特徴としている。
【0023】
〔2.磁気テープの製造方法〕
図2は、図1に示す磁気テープの製造工程を示す。
【0024】
本実施の形態の磁気テープを製造するには、まず、塗布工程(S11)において、ロール状に巻かれたベースフィルム原反(支持体)を引き出し、引き出したベースフィルム原反の一方の面に、均一にコーティング材料を塗布、乾燥してバックコート層を形成する。また、ベースフィルム原反の他方の面に、均一に下層塗料を塗布、乾燥して下層を形成する。次に、下層の上に、均一に磁性塗料を塗布、乾燥して磁性層を形成する。各層が形成されたベースフィルム原反(磁気テープ原反)は、再度ロール状に巻き取られる。
【0025】
次に、カレンダー工程(S12)において、ロール状の磁気テープ原反を引き出し、引き出した磁気テープ原反に対して加熱加圧処理を施し、磁気テープ原反の表面を平滑化する。平滑化された磁気テープ原反は、再度ロール状に巻き取られる。
【0026】
次に、エージング工程(S13)において、磁気テープ原反を窯内に数日間放置し、加熱して架橋促進(キュア)させる。
【0027】
次に、サーボ工程(S14)において、磁気テープ原反を引き出し、引き出した磁気テープ原反の磁性層にサーボパターンを形成する。図3Aは、磁気テープ原反にサーボパターンを形成する状態を示している。図3Aにおいて、磁気テープ原反21は、矢印Bに示す方向へ回転可能に配されている。磁気ヘッド装置22は、磁気テープ原反21に対向する位置に77個のサーボヘッド(不図示)を備えている。図3Aでは、図示を明瞭にするために、10個の磁気ヘッドでサーボパターンを形成する構成とした。磁気ヘッド装置22に備えられているサーボヘッドは、磁気テープ原反21における所定の位置にサーボ信号を記録することができる。図3Aにおいて、磁気テープ原反21を矢印Bに示す方向へ回転させて引き出しながら、磁気ヘッド装置22に搭載されている77個の磁気ヘッドで、磁気テープ原反21の長手方向にサーボパターンを形成する。この時、77本のサーボパターンが同時に形成される。なお、本実施の形態のサーボ工程では、磁気テープ原反21は、磁気テープの製造装置に装着された状態であるため、従来のようにパンケーキを手作業でサーボ信号記録装置へ着脱する作業は不要である。
【0028】
次に、スリット工程(S15)において、前のサーボ工程(S14)でサーボパターンを形成した後に磁気テープ原反を巻き取ることなく引き続いて図3Bに示す磁気テープ原反21を所定の均一幅に切断して、図3Cに示すようなパンケーキ23を得る。具体的には、切断線A−Aに対応する位置に配された刃を磁気テープに当接させて磁気テープを切断する。この時、スリッターにはサーボパターンを読み取るサーボヘッドが搭載されており、磁気テープ原反21の切断を行う際に刃を備えたスリット部の位置を自動調節するように構成されている。すなわち、切断時にスリット部と磁気テープ原反21との間に相対的な位置ズレ(磁気テープ原反21の幅方向の位置ズレ)が生じた場合、サーボパターンに対するサーボヘッドのオフトラック量がゼロになるように、スリット部を含むユニットを磁気テープ原反21の軸方向へ移動させて位置を調節する。これにより、刃が常に磁気テープ原反21の正規の位置(切断線A−A)を切断するように制御することができ、パンケーキ23のエッジ部分の直線性を向上させることができる。スリッターの詳しい構成及び動作については後述する。なお、切断幅Cは、最終的にカートリッジに収容される磁気テープのテープ幅に相当し、例えばLTO規格に準拠した磁気テープ幅は、1/2インチ幅となる。
【0029】
最後に、ローディング工程(S16)において、パンケーキ23から所定の長さの磁気テープを引き出し、リールに巻き付ける。所定の長さの磁気テープをリールに巻き付けた後、磁気テープをその幅方向に切断する。リールに巻き付けられた磁気テープは、ケースに収容され、磁気テープカートリッジが完成する。なお、磁気テープ1巻当たりの全長は、例えばLTO4規格に準拠した磁気テープであれば約820mである。
【0030】
以上の工程により、図1に示す磁気テープ1を作製することができる。
【0031】
〔2−1.スリット工程における動作〕
図4は、磁気テープ切断装置の構成を示す。磁気テープ切断装置は、サーボヘッド31,制御部32,アクチュエーター33,およびスリット部34を備えている。サーボヘッド31は、磁気テープ原反21に形成されているサーボパターンを読み取ることができる。制御部32は、サーボヘッド31で読み取ったサーボパターンに基づき制御信号を生成する。アクチュエーター33は、制御部32で生成された制御信号に基づいて、スリット部34を磁気テープ原反21の幅方向に変位させることができる。スリット部34は、複数の刃を備え、磁気テープ原反21をその長手方向に切断することができる。スリッターユニット35は、サーボヘッド31とスリット部34とを備え、磁気テープ原反21の幅方向に変位可能に配されている。
【0032】
スリット工程(図2のS15)において、磁気テープ原反21を切断する場合は、まずサーボヘッド31で、スリット工程の前段のサーボ工程(S14)において磁気テープ原反21に形成されたサーボパターンを磁気的に読み取る。サーボヘッド31は、磁気的に読み取ったサーボパターンに基づき、電気信号を生成する。その電気信号は、制御部32に出力される。
【0033】
制御部32は、サーボヘッド31から出力される電気信号に基づき、オフトラック量を算出する。また、制御部32は、算出したオフトラック量に基づき、そのオフトラック量がゼロになるようスリッターユニット35を変位させるための制御信号を生成する。生成された制御信号は、アクチュエーター33に出力される。
【0034】
アクチュエーター33は、制御部32から出力される制御信号に基づき、スリッターユニット35を磁気テープ原反21の幅方向へ変位させる。これにより、スリッターユニット35を正規の位置へ移動させることができ、スリット部34で磁気テープ原反21上の正規の位置(図3BのA部)を切断することができる。
【0035】
以上のように、スリッターユニット35にサーボヘッド31を備え、スリット工程の前段のサーボ工程において形成されたサーボパターンを読み取る構成としたことにより、スリット工程においてスリッターユニット35が正規の位置から磁気テープ原反21の幅方向に位置がずれたとしても、制御部32及びアクチュエーター33によってスリッターユニット35を正規の位置へ戻すように制御することができる。よって、切断後の磁気テープ(パンケーキ23)のエッジ部分の直線性を向上させることができる。
【0036】
〔3.記録再生装置の構成〕
図5は、本実施の形態における記録再生装置の構成を示す。
【0037】
図5において、記録制御部52は、入力端子51を介して入力されるデータ信号に基づいて、データ信号を磁気テープに記録可能なようにデータヘッド53aを動作制御するものである。
【0038】
ヘッドユニット53は、データヘッド53a,第1のサーボヘッド53b,および第2のサーボヘッド53cを備えている。データヘッド53aは、磁気テープにおけるデータバンドに磁気的にデータ信号を記録することができるとともに、磁気テープにおけるデータバンドに記録されているデータ信号を磁気的に読み出すことができる。第1のサーボヘッド53bは、磁気テープに形成されているサーボパターンを磁気的に読み取り、電気信号に変換して出力する。第2のサーボヘッド53cは、磁気テープにおけるサーボバンドにサーボパターンを形成し、磁気的にサーボ信号を記録することができる。
【0039】
図6は、ヘッドユニットの構成を示す。図6に示すように、ヘッドユニット61は、磁気テープに摺接可能な複数のレール62を備え、一部のレール62上に第1のヘッドチップ群63a及び第2のヘッドチップ群63bを備えている。第1のヘッドチップ群63aは、要部拡大図Y1に示すように16個のデータヘッド群64aと、データヘッド群64aの上下両端にそれぞれ配された第1のサーボヘッドチップ65aと第2のサーボヘッドチップ66aとから構成されている。また、第2のヘッドチップ群63bは、要部拡大図Y2に示すように16個のデータヘッド群64bと、データヘッド群64bの上下両端にそれぞれ配された第3のサーボヘッドチップ65bと第4のサーボヘッドチップ66bとから構成されている。本実施の形態では、第1のサーボヘッドチップ65a及び第3のサーボヘッドチップ65bは、サーボ信号の再生のみが可能であり、第2のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bは、サーボ信号の記録と再生が可能である。また、第1のサーボヘッドチップ65a及び第2のサーボヘッドチップ66aは、それぞれヘッドユニット61の長手方向に対して第1の方向に所定角度(例えば−6°)傾斜して配されている。また、第3のサーボヘッドチップ65b及び第4のサーボヘッドチップ66bは、それぞれヘッドユニット61の長手方向に対して第2の方向に所定角度(例えば+6°)傾斜して配されている。各サーボヘッドチップの傾斜角は、磁気テープに形成するサーボパターンの傾斜角と同等である。第1のサーボヘッドチップ65a及び第3のサーボヘッドチップ65bが図5における第1のサーボヘッド53bに対応し、第2のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bが図5における第2のサーボヘッド53cに対応する。なお、データヘッド群64a及び64bに含まれるヘッドチップの数は一例である。
【0040】
図5に戻り、サーボ信号再生部54は、第1のサーボヘッド53bから出力される電気信号に基づいてサーボ信号を生成する。生成されたサーボ信号は、駆動制御部55と同期制御部57に送られる。
【0041】
駆動制御部55は、サーボ信号再生部54から出力されるサーボ信号に基づいてオフトラック量を算出し、そのオフトラック量がゼロになるようにヘッドユニット53を動作させるための制御信号を生成する。生成された制御信号は、アクチュエーター56に送られる。
【0042】
アクチュエーター56は、駆動制御部55から出力される制御信号に基づき、ヘッドユニット53を磁気テープの幅方向へ変位させることができる。
【0043】
同期制御部57は、サーボ信号再生部54から出力されるサーボ信号に同期した同期信号を生成する。生成された同期信号は、サーボ信号生成部58に送られる。
【0044】
サーボ信号生成部58は、同期制御部57から出力される同期信号に同期したサーボ信号を生成し、生成したサーボ信号に基づいて第2のサーボヘッド53cを制御して磁気テープにサーボパターンを形成させる。すなわち、サーボ信号生成部58は、第1のサーボヘッド53bでサーボパターンを読み取るタイミングに同期したタイミングで第2のサーボヘッド53cでサーボパターンを形成するような、サーボ信号を生成する。
【0045】
なお、サーボ信号再生部54、同期制御部57、およびサーボ信号生成部58は、記録制御部の一例である。
【0046】
以下、動作について説明する。
【0047】
磁気テープにデータ信号を記録する際は、記録制御部52は、入力端子51を介して入力されるデータ信号に基づき、データヘッド53aを動作可能な電気信号に変換する。データヘッド53aは、記録制御部52から出力される電気信号に基づき、所定速度で走行している磁気テープに対して、磁気的にデータ信号を記録する。
【0048】
データ信号の記録動作と同時に、サーボ信号再生部54は、第1のサーボヘッド53bで読み取ったサーボパターンに基づく電気信号により、サーボ信号を再生する。再生されたサーボ信号は、駆動制御部55と同期制御部57とに入力される。駆動制御部55は、サーボ信号再生部54から出力されるサーボ信号に基づき、磁気テープとヘッドユニット53とのオフトラック量を算出する。次に、駆動制御部55は、算出したオフトラック量に基づき、そのオフトラック量がゼロになるようにヘッドユニット53を駆動するための制御信号を生成する。生成された制御信号は、アクチュエーター56に入力される。アクチュエーター56は、駆動制御部55から出力される制御信号に基づき、ヘッドユニット53を磁気テープの幅方向へ変位させる。
【0049】
このようなトラッキングサーボを磁気テープに対するデータ信号記録中に継続的に実行することにより、磁気テープに対するヘッドユニット53の相対位置を常に正規の位置に配置することができ、正確にデータ信号の記録を行うことができる。上記説明では、磁気テープに対するデータ信号の記録時の動作について説明したが、磁気テープに記録されているデータ信号を再生する時も同様にトラッキングサーボを行うことで、正確にデータ信号の再生を行うことができる。
【0050】
本実施の形態では、磁気テープにデータ信号を記録しているのと同時に、磁気テープにサーボパターンを形成している。具体的には、第1のサーボヘッド53bで読み出され、サーボ信号再生部54で再生されたサーボ信号は、同期制御部57にも入力され、同期制御部57は、サーボ信号再生部54から出力されるサーボ信号に同期した同期信号を生成して、サーボ信号生成部58へ出力している。サーボ信号生成部58は、同期制御部57から出力される同期信号に同期するサーボ信号を生成する。また、サーボ信号生成部58は、生成したサーボ信号に基づき第2のサーボヘッド53cの動作を制御して、磁気テープにサーボパターンを形成するよう制御している。ここで、第2のサーボヘッド53cによって磁気テープに形成されるサーボパターンは、第1のサーボヘッド53bで読み出されているサーボ信号にタイミングが同期している。また、第2のサーボヘッド53cによって形成されるサーボパターンは、同じタイミングで第1のサーボヘッド53bで読み出されているサーボ信号が記録されているサーボバンドとは、異なる場所に形成される。すなわち、既に磁気テープに形成されているサーボパターンを再生しながら、新たにサーボパターンを形成している。
【0051】
図7A〜図7Gを参照して、具体的なサーボ信号記録動作について説明する。図7A〜図7Gは、本実施の形態の記録再生装置によるサーボパターン形成の遷移を示す。前述のように、実際はデータ信号とサーボ信号とを同時に記録するが、説明をわかりやすくするためにデータ信号に基づいて形成されるパターンの図示は簡略化する。
【0052】
まず、工場出荷状態における磁気テープは、図7Aに示すように、磁気テープ1の幅方向端部のみにサーボバンド2を備えている。サーボバンド2は、磁気テープ1の長手方向に連続的に形成されたサーボパターンを備えている。また、空き領域3には、情報は記録されていない。なお、図7Aに示す磁気テープ1に対するヘッドユニット61の位置は、磁気テープ1の始端近傍とする。
【0053】
この状態から、磁気テープ1を矢印Eに示す方向(終端に向かう方向)へ走行させて、ヘッドユニット61で磁気テープ1のデータバンド103にデータ信号を記録する際、第1のサーボヘッドチップ65a及び第3のサーボヘッドチップ65bによって、磁気テープ1のサーボバンド2に既に記録されているサーボパターン2a及び2bを読み取り、トラッキングサーボを開始する。
【0054】
それとともに、図7Bに示すように、現在読み取っているサーボパターン2a及び2bに同期するように、第2のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bによって、磁気テープ1にサーボパターン102a及び102bを形成する。この時形成されるサーボパターン102a及び102bは、図示のように各パターンの上端部分のみである。磁気テープ1の終端までデータ信号の記録が行われると、ヘッドユニット61を矢印Fに示す方向へ少し移動させるとともに、磁気テープ1の走行方向を矢印Dに示す方向(始端へ向かう方向)へ反転させる。
【0055】
磁気テープ1を矢印Dに示す方向へ走行させながらデータ信号の記録を行うと、図7Cに示すように、サーボバンド102には、サーボバンド2に形成されているサーボパターン2a及び2bに同期したサーボパターン102c及び102dが形成される。なお、図7Cに示す状態では、ヘッドユニット61が矢印Fに示す方向へ変位した状態でサーボパターンを形成するため、サーボパターン102cは、図7Bに示すように上端のみ形成されたサーボパターン102aの下側に追加結合するように形成される。サーボパターン102dについても、上記と同様にサーボパターン102bの下側に追加結合するように形成される。次に、磁気テープ1の始端までデータ信号の記録が行われると、ヘッドユニット61をさらに矢印Fに示す方向へ少し移動させるとともに、磁気テープ1の走行方向を矢印Eに示す方向へ反転させる。
【0056】
磁気テープ1を矢印Eに示す方向へ走行させながらデータ信号の記録を行うと、図7Dに示すように、サーボバンド102には、サーボバンド2に形成されているサーボパターン2a及び2bに同期したサーボパターン102e及び102fが形成される。なお、図7Dに示す状態では、ヘッドユニット61が矢印Fに示す方向へ変位した状態でサーボパターンを形成するため、サーボパターン102eは、図7Cに示すように形成されたサーボパターン102cの下側に追加結合するように形成される。サーボパターン102fについても、上記と同様にサーボパターン102dの下側に追加結合するように形成される。次に、磁気テープ1の終端までデータ信号の記録が行われると、ヘッドユニット61をさらに矢印Fに示す方向へ少し移動させるとともに、磁気テープ1の走行方向を矢印Dに示す方向へ反転させる。
【0057】
磁気テープ1を矢印Dに示す方向へ走行させながらデータ信号の記録を行うと、図7Eに示すように、サーボバンド102には、サーボバンド2に形成されているサーボパターン2a及び2bに同期したサーボパターン102g及び102hが形成される。なお、図7Eに示す状態では、ヘッドユニット61が矢印Fに示す方向へ変位した状態でサーボパターンを形成するため、サーボパターン102gは、図7Dに示すように形成されたサーボパターン102eの下側に追加結合するように形成される。サーボパターン102hについても、上記と同様にサーボパターン102fの下側に追加結合するように形成される。
【0058】
磁気テープ1の始端までデータ信号の記録が行われると、データバンド103へのデータ信号の記録が完了する。同時に、サーボバンド102へのサーボパターンの形成が完了する。磁気テープ1のサーボバンド102に形成されたサーボパターンは、既にサーボバンド2に形成されているサーボパターン2a及び2bと同形状である。
【0059】
さらに、図7Fに示すように、データバンド203にデータ信号を記録する場合は、磁気テープ1を矢印Eに示す方向(終端に向かう方向)へ走行させて、ヘッドユニット61で磁気テープ1のデータバンド203にデータ信号を記録する。この時、第1のサーボヘッドチップ65a及び第3のサーボヘッドチップ65bによって、磁気テープ1のサーボバンド102に形成されているサーボパターン102a及び102bを読み取り、トラッキングサーボを開始する。
【0060】
それとともに、現在読み取っているサーボパターン102a及び102bに同期するように、第2のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bによって、磁気テープ1にサーボパターン202a及び202bを形成する。この時形成されるサーボパターン202a及び202bは、各サーボパターンの上端部分のみである。以降、上記と同様の手順で、磁気テープ1にデータ信号及びサーボ信号を記録していく。
【0061】
図7Gは、本実施の形態の記録再生装置によって磁気テープ1の幅方向全域にサーボパターンが形成された状態を示す。図7Gに示すように磁気テープに形成されたサーボパターンは、図9に示すように従来の磁気テープに形成されているサーボパターンと同形状及び同配置であるため、従来と同様のトラッキングサーボ方式を用いて、データ信号の記録(オーバーライトのみ)およびデータ信号の再生を行うことができる。
【0062】
以上のように本実施の形態の記録再生装置は、工場出荷時に磁気テープ1に記録されているサーボパターン2a及び2bを基準にトラッキングサーボを行いながらデータ信号を記録するとともに、新たなサーボパターンを形成する。また、新たに形成したサーボパターンを基準にトラッキングサーボを行いながらデータ信号を記録するとともに、さらに新たなサーボパターンを形成することを特徴とする。
【0063】
また、上記記述のサーボパターンは、タイミングベースサーボの「ハ」の字に限らず、その他のタイミングベースサーボ、振幅サーボ、タイミングベースサーボと振幅サーボの複合サーボのサーボパターンにも適用できる。
【0064】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態の磁気テープの製造方法によれば、磁気テープ原反にサーボパターンを含むサーボバンドを形成するため、スリット工程(S15)においてサーボパターンを読み取りながら磁気テープ原反の切断を行うことができる。したがって、磁気テープ(パンケーキ)のエッジの直線性を向上させることができ、オフトラックを低減させることができる。つまり、従来のスリット工程(トラッキングサーボを行わずに磁気テープ原反を切断)の場合、切断中に磁気テープ原反あるいは刃の位置が変動してしまうと、切断後の磁気テープのエッジが本来長手方向に直線となっていないといけないにもかかわらず、湾曲していたり波打っていたりする状態となる。このような磁気テープを記録再生装置に装着してデータ信号の記録または再生を行う際、磁気テープはガイドローラーの上下に配されたフランジによって磁気テープの幅方向の位置が規制されるため、走行中の磁気テープはその幅方向の位置変動が大きくなり、オフトラック量が大きくなってしまう。本実施の形態では、高い直線性により形成されたサーボバンドに基づきスリッターの刃の位置を調節しながら切断を行うため、磁気テープのエッジの直線性を向上させることができ、オフトラック量を小さくすることができる。
【0065】
また、本実施の形態の磁気テープの製造方法によれば、磁気テープ原反にサーボパターンを含むサーボバンドを形成するため、従来のサーボ工程において必要だったサーボ信号記録装置へのパンケーキ23の着脱作業が不要となるため、作業工数を削減することができ、製造コストを削減することができる。
【0066】
また、本実施の形態の磁気テープの製造方法によれば、磁気テープのエッジ部分の直線性を向上させることができるため、スリット工程における切断の失敗を少なくすることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0067】
また、本実施の形態の磁気テープの製造方法によれば、従来のスリット工程においては、切断後の磁気テープのエッジの直線性を確認するために、磁気テープ原反の試し切りを行っていたが、本実施の形態では高い直線性により切断することができるため、磁気テープ原反の試し切りが不要となる。したがって、製造コストを削減することができるとともに、作業工数を削減することができる。
【0068】
また、本実施の形態の磁気テープによれば、サーボバンドを1本のみ形成する構成としたので、サーボ工程において磁気テープ原反にサーボパターンを形成する際に、サーボヘッドの数を少なくすることができ、製造コストを削減することができる。例えば、従来のように1本の磁気テープに5本のサーボバンドを形成する構成では、磁気テープ製造時、1本の磁気テープ原反に385本のサーボバンドを形成する必要があったので、サーボヘッドも385個必要であった。これに対し本発明では、1本の磁気テープ原反に従来の1/5である77本のサーボバンドを形成するだけでよいため、サーボヘッドも77個で済む。したがって、サーボヘッドの数を少なくすることができるため、製造コストを削減することができる。
【0069】
また、本実施の形態の磁気テープの切断装置によれば、磁気テープ原反に形成されているサーボパターンを読み取ることができるサーボヘッドを備えたことにより、磁気テープ原反を切断する際(スリット工程)、前段の工程で既に磁気テープ原反に記録されているサーボパターンを読み取ってトラッキングサーボを行いながら磁気テープ原反の切断を行うことができるため、真っ直ぐに磁気テープ原反を切断することができる。よって、高品質な磁気テープを得ることができる。
【0070】
また、本実施の形態の記録再生装置によれば、磁気テープにサーボ信号を磁気的に記録可能なサーボヘッドを備えたことにより、サーボバンドが1本のみ形成された磁気テープに対して、複数トラックのデータ信号を記録することができる。すなわち、磁気テープにデータ信号を記録する際、サーボバンドを増やしながらデータ信号を記録する構成であるため、磁気テープにおける記録領域を効率的に使用することができる。
【0071】
また、本実施の形態の記録再生装置によれば、サーボ信号の自己録再が可能であるため、磁気テープに対する温度及び湿度による膨張の影響が少ない。すなわち、従来のように磁気テープの製造段階で全てのサーボパターンを形成する構成であれば、製造場所の環境と、使用場所の環境とが異なっていた場合、磁気テープが温度や湿度の影響で膨張したり収縮したりすることがある。このような場合、磁気テープの製造段階で高精度にサーボパターンを形成したとしても、使用場所において磁気テープの形状や寸法が変動し、磁気テープに記録されているサーボパターンの形状や寸法も変動してしまう。したがって、トラッキングサーボの精度を低下させてしまう。これに対して本実施の形態では、記録再生装置でサーボパターンの形成とトラッキングサーボの実行とが可能であるため、たとえ磁気テープが温度や湿度の影響で寸法や形状が変動したとしても、変動後の磁気テープに対してサーボパターンを形成することとなり、磁気テープの寸法や形状の変動がサーボパターンに影響を与えず、トラッキングサーボの精度を低下させることがない。
【0072】
また、本実施の形態の記録再生装置によれば、磁気テープにサーボ信号を記録可能な構成を、従来からヘッドユニットに搭載されている再生専用のサーボヘッドチップに代えて、サーボ信号を記録及び再生可能なサーボヘッドチップを搭載するだけで実現できるので、大幅なコストアップをせずに実現することができる。
【0073】
なお、本実施の形態の磁気テープの製造方法では、サーボ工程(S14)は、エージング工程(S13)とスリット工程(S15)との間に配したが、カレンダ工程(S12)とエージング工程(S13)との間に配しても、同様の効果が得られる。すなわち、塗布工程,カレンダ工程,サーボ工程,エージング工程,スリット工程、ローディング工程の順番にしても、同様の効果が得られる。
【0074】
また、本実施の形態の磁気テープの製造方法では、サーボ工程(S14)において、77本のサーボパターンを同時に形成する構成としたが、複数回(77回未満)に分けて形成する構成としてもよい。
【0075】
また、本実施の形態の磁気テープは、図1に示すように磁気テープ1の幅方向上端にのみサーボバンド2を備えたが、磁気テープ1の幅方向下端のみにサーボバンドを備える構成としてもよい。その場合は、図6における第1のサーボヘッドチップ65a及び第3のサーボヘッドチップ65bを、サーボ信号を記録可能なヘッドチップで構成することで、本実施の形態と同様にデータ信号及びサーボ信号を記録することができる。
【0076】
〔5.実施の形態の他例〕
本実施の形態の記録再生装置では、サーボバンド間のデータバンドにデータ信号を記録する構成としたが、図8A及び図8Bに示すようにサーボバンド2におけるサーボパターン2a及び2bに重ならない部分にもデータ信号(パターン3a)を記録することができる。なお、図8Bは、図8AにおけるH部を拡大した図である。図8Aと図8Bとでパターン3aの本数が異なるが、これは図8Aにおけるパターン3aの描画を明瞭にするためであり、実際は同じ本数である。
【0077】
図8Aに示すように、サーボバンド2に記録されるデータ信号は、第3のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bで記録することができる。この時、第1のサーボヘッドチップ65a及び第2のサーボヘッドチップ65bで、磁気テープ1の幅方向端部のサーボバンド(以下第1のサーボバンドと称する)に形成されたサーボパターン2a及び2bを読み取って、第1のサーボヘッドチップ65a及び第2のサーボヘッドチップ65bと第3のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bとで同期をとり、第3のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bとで第1のサーボバンドの次段のサーボバンド2(以下第2のサーボバンドと称する)にサーボパターン2a及び2bを形成する。すなわち、サーボバンド2にデータ信号を記録している時は、データ信号に基づくパターン3aとサーボパターン2a及び2bとを交互に形成している。以降、磁気テープ1を往復走行させながら磁気ヘッドユニット61(図7Aなど参照)を矢印Fに示す方向へ移動させることで、サーボバンド2におけるテープ幅方向にデータ信号に基づくパターン3aを形成することができる。
【0078】
ここで、サーボパターン2a及び2bに基づくサーボ信号は、データ信号に比べて記録波長が十分に長い。したがって、第1のサーボヘッドチップ65a及び第2のサーボヘッドチップ65bで、データ信号に基づくパターン3aが混在したサーボバンド2からサーボパターン2a及び2bを容易に認識することができる。
【0079】
さらに、サーボパターン2a及び2bに基づくサーボ信号の出力レベルは、パターン3aに基づいて読み出されるデータ信号の出力レベルに比べて十分に大きいため、容易にデータ信号とサーボ信号との判別を行うことができる。
【0080】
また、上記構成は、データ信号とサーボ信号とを同時に記録する構成であるが、既にサーボパターン2a及び2bが形成されている磁気テープ1において、サーボバンド2にデータ信号を記録することもできる。その場合は、第1のサーボヘッドチップ65a及び第2のサーボヘッドチップ65bでサーボパターンを読み出し、読み出したサーボパターンに基づくサーボ信号に同期するタイミングで第3のサーボヘッドチップ66a及び第4のサーボヘッドチップ66bにおけるデータ信号記録動作を停止させる。それ以外のタイミングでは、データ信号記録動作を実行する。このように動作することにより、既にサーボバンド2に形成されているサーボパターン2a及び2bを上書きせずに、サーボバンド2にデータ信号を記録することができる。
【0081】
図8A〜図8Bに示すように、サーボバンド2にデータ信号を記録する構成とすることで、磁気テープ1本当たりの記録可能容量を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の磁気テープおよびその製造方法は、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープなどの各種媒体に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態における磁気テープの構成を示す模式図
【図2】実施の形態における磁気テープの製造工程を示すフローチャート
【図3A】磁気テープ原反と磁気ヘッド装置の構成を示す模式図
【図3B】磁気テープ原反の構成を示す模式図
【図3C】パンケーキの構成を示す模式図
【図4】実施の形態における磁気テープ切断装置の構成を示すブロック図
【図5】実施の形態における記録再生装置の構成を示すブロック図
【図6】実施の形態における磁気ヘッドの構成を示す模式図
【図7A】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図7B】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図7C】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図7D】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図7E】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図7F】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図7G】実施の形態におけるサーボパターン形成の遷移を示す模式図
【図8A】実施の形態における磁気テープの他例の構成を示す平面図
【図8B】図8AにおけるH部の拡大平面図
【図9】従来の磁気テープの製造工程を示すフローチャート
【図10】従来の磁気テープの構成を示す模式図
【符号の説明】
【0084】
1 磁気テープ
2 サーボバンド
2a、2b サーボパターン
31 サーボヘッド
32 制御部
33 アクチュエーター
34 スリット部
35 スリッターユニット
53 ヘッドユニット
53b 第1のサーボヘッド
53c 第2のサーボヘッド
54 サーボ信号再生部
55 駆動制御部
56 アクチュエーター
57 同期制御部
58 サーボ信号生成部
61 ヘッドユニット
65a 第1のサーボヘッドチップ
65b 第2のサーボヘッドチップ
66a 第3のサーボヘッドチップ
66b 第4のサーボヘッドチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体にコーティング材料、下層塗料、および磁性塗料を塗布して原反を生成する塗布工程と、
前記塗布工程後の前記原反を加熱加圧処理するカレンダ工程と、
前記カレンダ工程後の前記原反をキュアさせるエージング工程と、
前記エージング工程後の前記原反にサーボパターンを形成するサーボ工程と、
前記サーボ工程後の前記原反を所定幅に切断してパンケーキを生成するスリット工程と、
前記パンケーキを所定の長さに切断して磁気テープを生成し、リールに巻き付けるローディング工程とを備えた、磁気テープの製造方法。
【請求項2】
支持体にコーティング材料、下層塗料、および磁性塗料を塗布して原反を生成する塗布工程と、
前記塗布工程後の前記原反を加熱加圧処理するカレンダ工程と、
前記カレンダ工程後の前記原反にサーボパターンを形成するサーボ工程と、
前記サーボ工程後の前記原反をキュアさせるエージング工程と、
前記エージング工程後の前記原反を所定幅に切断してパンケーキを生成するスリット工程と、
前記パンケーキを所定の長さに切断して磁気テープを生成し、リールに巻き付けるローディング工程とを備えた、磁気テープの製造方法。
【請求項3】
前記スリット工程では、
前記サーボパターンを読み取りながら、前記磁気テープにおける切断位置を調節する、請求項1または2記載の磁気テープの製造方法。
【請求項4】
支持体の一方の面に下層を介して磁性層が形成された磁気テープであって、
前記磁性層には、
サーボパターンが形成されたサーボバンドと、
データ信号を記録可能であるとともにサーボパターンを形成可能な記録領域とを備え、
前記サーボバンドは、当該磁気テープの長手方向に沿って、単一の領域で構成されている、磁気テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−93738(P2009−93738A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262497(P2007−262497)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】