説明

磁気テープ装置、磁気テープ用循環記録制御方法、及びその制御プログラム

【課題】インデックス情報を有することなく且つテープマークで論理的位置を決定する通常の記録方式を備えた磁気テープに対して、循環的にデータを記憶させること。
【解決手段】走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープ2上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させる磁気テープ装置1であり、各ラップのアーカイブ相互間に付されたテープマーク(TM)の数,及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された始端前TMの合計数を記憶したカートリッジメモリ8を備え、主制御部6が、外部からの書込み指令で作動し、書込み位置が終端領域に位置する場合に前記パーティションの始端,終端を次のラップに移行する始端・終端移行制御機能6Bと、始端の移行により該移行元から移行先迄のラップのTM数を特定し前記始端前TM数に加算処理する機能6Cとを備えていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープ装置に係り、特に記録媒体である磁気テープに対して論理的なパーティションの始端から終端に向かって連続的に循環してデータの書き込みが成される磁気テープ装置、磁気テープ用循環記録制御方法、及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シーケンシャルアクセス媒体に対するデータの書き込みは、媒体の始端から連続的に行われる。パーティション機能をサポートする媒体および装置では、パーティション内において始端から終端に向かって連続的にデータの書き込みが行われる。
【0003】
既にデータが書き込まれた領域に対してデータの書き込みが行われた場合には、後続する領域に書き込まれたデータは、どこからが整合性のとれたデータであるのかの判断がつかない場合が多い。かかる場合には、後続する領域内の全てが無効なデータとして扱わざるを得ない状況となる。
【0004】
そのため、シーケンシャルアクセス媒体を使用して複数世代のデータをバックアップとして記録する場合、保管しておきたい世代数分のデータの総容量が媒体1巻に収まる容量であったとしても、複数巻の媒体が必要となるという不都合がある。
【0005】
このような不都合を改善する技術として、磁気テープ装置内に新規な構成要素となる先読みヘッドを搭載し、磁気テープ上に記録された情報の内容を表すデータであるマップ情報(MAP情報)を先読みヘッドで読み取ると共に、このMAP情報に含まれる循環使用の可否の判定データを参照して、磁気テープ上の特定領域に循環的にデータを記録させる方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また、従来、一般的な磁気テープ装置では、磁気テープへの書込み単位をアーカイブと称し、個々のアーカイブをテープマーク(TM:Tape Mark )と呼ばれる特殊なマークで区切って記録している。このため、磁気ヘッドの現在位置から磁気テープを進行させる(又は巻き戻す)に必要なTMの数をオペレータが設定入力することで、設定入力されたTM数に応じて磁気テープの走行装置が駆動し目的のアーカイブに磁気ヘッドが位置づけられるようになっている。即ち、磁気テープのアクセスされる論理的位置が設定入力されたTM数により決定されるようになっている。
【0007】
このため、実際には、テープマークを正確に読み取るために、磁気ヘッドの位置づけが磁気テープの始端から終端に向けてシーケンシャルに実行されるようになっているが、この手法ではアクセス効率が悪いという不都合がある。
【0008】
このアクセス効率を改善する技術としては、磁気テープの1つのラップに書き込まれるファイル数を1つに限定することで、記録されたファイルの直後に別のファイルが書き込まれることが無く、それによってファイルに上書きが必要になった際に同一のラップ上に上書きが行われ、更にファイルが必ずラップに先頭から書き込まれるため、ファイルアクセスの高速化が可能となるという磁気テープの記録方法が知られている(特許文献2)。
【0009】
更に、磁気テープの記憶領域が、ファイルを記録するファイル領域とファイルの管理情報を記録するディレクトリ領域とに分割され、高速なファイルアクセスが可能となる磁気テープの記録方法が知られている。この技術は、記録されたファイルのファイル名や記録位置、及びその他の管理情報がディレクトリ情報としてディレクトリ領域に記録されると共に、このディレクトリ情報に基づいてファイルアクセスが行われることで、ファイルアクセスの高速化を可能とするものである(特許文献3)。
【0010】
又、これに関連して、近年、磁気テープのファイルシステムとして、例えばLTFS(リニアテープ・ファイルシステム:Linear Tape File System )が提唱されている。これは、磁気テープ規格の一つであるLTO−5(リニア テープ オープン:Linear Tape-Open)からサポートされたパーティショニング機能により磁気テープの記憶領域がコンテンツ領域とインデックス領域に分割され、インデックス領域にはコンテンツ領域のデータの読出しに必要なデータ名や読み出し開始位置等の情報が記憶されることで、追記型の記憶媒体である磁気テープのアクセス効率を改善しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3089860号
【特許文献2】特開2007−265476
【特許文献3】特開昭60−207938
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記関連技術にあっては、引用文献1では新たに特別な構成要素である先読みヘッドを必要とするという不都合があり、引用文献2では書き込み対象のファイルがラップのサイズの整数倍に満たない場合には利用不可能な領域が生じ、容量効率が悪いという不都合がある。
【0013】
又、引用文献3およびLTFSにて知られている技術にあっては、記録形式が一般的なものと異なるため、従来と異なったアクセス方法を必要とするという不都合があり、インデックス情報を記憶することから容量効率も悪いという不都合があった。
【0014】
〔発明の目的〕
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、特にインデックス情報を有することなく且つテープマークで論理的位置を決定する通常の記録方式を備えた磁気テープに対して、循環的にデータを記憶させることを可能とした磁気テープ装置、磁気テープ用循環記録制御方法、及びその制御プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明にかかる磁気テープ装置は、走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッドを駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えている。
【0016】
この磁気テープ装置は、更に、前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された始端前テープマークの合計数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリと、該カートリッジメモリに対する情報の読み書き動作を前記主制御部に付勢されて実行するメモリ用読み書き動作制御手段とを備えている。
【0017】
そして、この磁気テープ装置では、前述した主制御部が、上位装置からの書込み指令が入力された場合に作動し、予め別に装備され前記パーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった記憶領域(終端領域)を検出する終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを判定すると共に当該書込み位置が前記終端領域に位置する場合に前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行する始端・終端移行制御機能と、前記始端の移行により当該移行元から移行先迄のラップにかかるTMの数を前記カートリッジメモリの記憶内容に基づいて特定しこれを前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理するTM数加算処理機能とを備えていることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明にかかる磁気テープテープ用循環記録制御方法は、走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド部を駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えて成る磁気テープ装置にあって、
前記主制御部には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号,前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された合計テープマーク数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリが併設されており、
【0019】
上位装置からの書込み指令が入力され且つ前記ラップ上に構成されたパーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった時の当該残存記憶容量にかかる情報を予め装備された終端領域検出手段が検出した場合に、これを前記主制御部が終端領域として特定し(第1の工程)、次に、前記終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを、前記主制御部が判定し(第2の工程)、
続いて、この書込み位置が前記終端領域に位置する場合、前記主制御部の始端・終端移行制御機能が作動し、前記パーティションの先頭ラップを無効化して当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行制御し(第3の工程)、
最後に、前記無効化されたラップに記録されていたTMの数を、前記主制御部が予め装備されたメモリ用読み書き動作制御手段を介して前記カートリッジメモリ内の始端前TM数に加算処理するようにしたこと(第4の工程)、を特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明にかかる磁気テープ用循環記録制御プログラムは、走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド部を駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えて成る磁気テープ装置にあって、
【0021】
前記主制御部には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号,前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された合計テープマーク数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリが併設されており、
【0022】
そして、上位装置から書込み指令が入力された場合に作動し前記ラップ上に構成されたパーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった時の当該残存記憶容量にかかる情報が予め装備された終端領域検出手段で検出され出力された場合に、これを終端領域として設定する終端領域設定機能、
前記終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前述した終端領域に位置するか否かを判定する書込み位置判定処理機能、
当該書込み位置が前記終端領域に位置すると判定された場合、前記パーティションの先頭ラップを無効化して当該パーティションの始端及び終端にかかる位置情報を次のラップに移行処理する始端・終端移行処理機能、
および前記無効化されたラップに記録されていたTMの数を前記カートリッジメモリに基づいて特定すると共に、これを前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理する始端前TM数加算処理機能、を設け、
これらの各処理機能を前記主制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上述したように構成したので、これによると、上位装置からのデータの書き込み指令に対して、インデックス情報を有せず且つテープマークで論理的位置を決定する通常の記録方式を備えた磁気テープであっても、これを受信して循環的にデータを記憶させることができ、特に、パーティションの始端側のラップを必要に応じて終端側にずらすと同時に削除されたテープマークの数を計数して保持することによってBOPから目的データまでのテープマーク数が変わらないように構成したので、特にインデックス情報を有せず且つテープマークで論理的位置を決定する通常の記録方式を備えた磁気テープであっても、循環的にデータを記憶させることができるという優れた磁気テープ装置、磁気テープ用循環記録制御方法、及びその制御プログラムを提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る磁気テープ装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した磁気テープ装置の要部を成す磁気テープの記憶領域の区分を示す説明図である。
【図3】図1に開示した磁気テープ装置の構成要素の一部を示す図で、図3(A)はカートリッジメモリの記憶領域の利用状況を示す説明図、図3(B)は主制御部の動作制御機能の一部を示す説明図である。
【図4】図1に開示した磁気テープ装置のデータ書込み動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に開示した磁気テープ装置の要部を成す磁気テープにおける記憶領域の区分の具体例を示す説明図である。
【図6】図5に示す磁気テープの利用状況を記憶したカートリッジメモリの記憶内容を示す説明図である。
【図7】図6に開示した磁気テープにおける記憶領域の区分の再設定された場合の具体例を示す説明図である。
【図8】図7に示す磁気テープの利用状況を記憶したカートリッジメモリの記憶内容を示す説明図である。
【図9】図1に開示した磁気テープ装置の磁気ヘッドに対するパーティションの始端への位置づけ動作の手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に開示した位置づけ動作の他の例を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る磁気テープ装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る磁気テープ装置の第2実施形態を示す図で、図12(A)はカートリッジメモリに記憶された磁気テープの利用状況を示す説明図、図12(B)は主制御部の動作制御機能の一部を示す説明図である。
【図13】図10に開示した第2実施形態におけるデータ書込み処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る磁気テープ装置の第3実施形態を示すブロック図である。
【図15】図14に開示した磁気テープ装置が備えているカートリッジメモリの記憶領域の利用状況を示す説明図である。
【図16】図14に開示した磁気テープ装置が備えている主制御部の動作制御機能の一部を示す説明図である。
【図17】図14に開示した磁気テープ装置が備えている主制御部のデータ書込み処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図18】図14に開示した磁気テープ装置が備えている主制御部のデータ書込み時の終端処理の実行手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施形態〕
【0026】
図1乃至図8に、本発明の第1実施形態を示す。
最初に、本発明の特徴的内容について説明する。本発明にかかる磁気テープ装置は、磁気テープ媒体上の論理的なパーティションの始端(BOP:Beginning Of Partition)および終端(EOP:End Of Partition)の位置をずらした後、BOP直後に削除された数と同数分のテープマークがあるように見せかけて、アーカイブ位置が変わらないようにし、これにより、循環的に磁気テープ媒体にデータを記録できるようにすると共に、磁気テープ媒体に記録されたデータの読み出しをBOP,EOPをずらす前と同様に行えるようにした点に特徴を有する。
【0027】
ここで、本発明におけるアーカイブ位置とは、磁気テープへの書き込み単位をアーカイブとし、アーカイブとアーカイブの境界にテープマーク(TM:Tape Mark )が配置される構成において、BOPから何番目のTM後にあるアーカイブであるかを表す位置情報とする。
【0028】
以下、これを詳細に説明する。
まず、図1において、本第1実施形態は、磁気テープ装置1に対して、リードコマンドおよびライトコマンドを発行する上位装置100を備えている。
磁気テープ装置1は、この上位装置100からのリード/ライトコマンドを受け取り、予め装備した磁気テープ媒体(以下「磁気テープ」という)2に対してデータの読み出し又は書き込みを実行するように構成されている。
【0029】
この磁気テープ装置1は、走行方向に沿って記憶領域である複数のラップ(本第1実施形態では、#0〜#09の10行)が設けられた磁気テープ2と、この磁気テープ2に対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープ2の走行動作に合わせて実行する磁気ヘッド5と、磁気テープ2の前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド5を駆動制御する主制御部6とを備えている。
【0030】
この主制御部6には、当該主制御部6に付勢されて磁気テープ2を走行駆動する磁気テープ送り機構4と、前記磁気ヘッド5のラップ相互間の移動を付勢するシーク機構11と、このシーク機構11の動作を前記主制御部6に付勢されて制御するヘッド位置づけ制御手段11Aとが併設されている。そして、この磁気テープ送り機構4,シーク機構11およびヘッド位置づけ制御手段11Aの各々を介して、前記磁気ヘッド5を移送制御し前述した磁気テープ2の各ラップに対する位置づけ動作を設定制御する位置づけ設定制御機能6Aを、前述した主制御部6が備えている。
【0031】
又、上記磁気テープ装置1は、前記各ラップ(Wrap )のアーカイブ相互間に記録されたテープマークの数(TM数)および前記パーティションの始端前の各ラップに記録された始端前テープマークの合計数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリ8と、該カートリッジメモリ8に対する情報の読み書き動作を前記主制御部6に付勢されて実行するメモリ用読み書き処理制御手段9とを備えている。
ここで、本第1実施形態では、上記カートリッジメモリ8と前述した磁気テープ2とにより、カートリッジ3が構成されている。
【0032】
上記主制御部6は、図3(B)に示すように本第1実施形態では各構成要素の動作を個別に制御する機能を備えている。
具体的には、まず、上位装置100からの書込み指令(ライトコマンド)が入力された場合に作動し、予め別に装備された終端領域検出手段10からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを判定すると共に、当該書込み位置が前記終端領域に位置する場合に前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行する始端・終端移行制御機能6Bを備えている。
【0033】
更に、この主制御部6は、前記始端の移行と共に当該移行元から移行先迄のラップにかかるTMの数を前記カートリッジメモリ8の記憶内容に基づいて特定しこれを前記カートリッジメモリ8内の前記始端前TM数に加算処理するTM数加算処理機能6Cとを備えている。
【0034】
これにより、パーティションの始端及び終端の移行制御と当該移行に伴う磁気テープ2上の位置情報とが当該移行制御に連携して、カートリッジメモリ8内に記録されるようになっている。
【0035】
ここで、上述したカートリッジメモリ8には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号が予め記憶されている。
そして、主制御部6は、前記始端・終端移行制御機能6Bの稼働により前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行制御した場合に、当該始端及び終端の移行に対応して機能し、前記カートリッジメモリ8内に予め格納されている前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号を、対応する次の移行先のラップ番号に更新するラップ番号更新制御機能6Dを備えている。
【0036】
また、主制御部6の前述した位置づけ設定制御機能6Aは、主制御部6に上位装置100から特定の前記アーカイブ部分にかかる読出し指令が入力された場合に機能し、前記始端前TM数と前記読出し指令にかかる特定のアーカイブの指定TM数とを比較すると共に当該指定TM数が前記始端前TM数よりも大きい場合に、前記指定TM数から前記始端前TM数を減算して得られる差TM数を、前記パーティションの始端から計数し、対応する箇所のTMの後へ前記磁気ヘッド5を位置づけ制御する機能を備えている。この位置づけ制御は、具体的には、磁気テープ送り機構4及びヘッド位置づけ制御手段11Aを介して実行される。
【0037】
この主制御部6は、更に、指定TM数が前記始端前TM数よりも小さかった場合に機能し、磁気ヘッド5の現在位置を変更せずに現在の始端位置にかかるテープマークの位置のみを更新して位置づけを完了するTM情報更新制御機能6Eを備えている。
【0038】
ここで、上記磁気テープ2上のパーティション及びテープマークと当該各情報を記憶するカートリッジメモリ8との関係について説明する。
【0039】
図2に示すように、カートリッジメモリ8には、磁気テープ2上の論理的なパーティション(必要記憶領域)の始端と終端とが、それぞれ何番目のラップにあるかを示すBOP位置情報81及びEOP位置情報82と、前記BOP位置情報81に書かれているように見せかけるテープマーク数を表すBOP前TM数情報83と、各ラップに記録されたTM数情報84とが、予めそれぞれ格納されている。
【0040】
そして、上位装置100から磁気テープ装置1に対して発行したリード/ライトコマンドを主制御部6が受信すると、まず、主制御部6は磁気ヘッド5を駆動制御して磁気テープ2に対して、データの読み出し/書き込みを行う。
【0041】
磁気テープ2は、前述したように長手方向にデータ記録用の複数列のラップを有しており、磁気ヘッド5によるデータの記録(読み書き)は磁気テープ2上で複数回往復することによって行われる。ここで、磁気ヘッド5は、本第1実施形態では、消去用ヘッド、書き込み用ヘッド、および読み出し用ヘッドを含む複数のヘッドにより構成されている。
【0042】
前述した終端領域検出手段(EOP領域検出手段)10は、現在処理中のパーティションに記録できる残り容量が予め設定された一定の容量以下であるか否かを判定すると共に残り容量が一定の容量以下である場合に、これを主制御部6に報告する機能を備えている。ここで、一定の残り容量に対応する記録領域のことを、ここではEOP領域という。
【0043】
上記終端領域検出手段10におけるEOP領域の検出は、本第1実施形態では、磁気ヘッド5が位置するラップ位置と磁気テープ2の走行方向とによって検出され特定されるようになっている。尚、このEOP領域の検出については、或いは磁気テープ2の巻き取りリールの回転数から計算される残りのテープ長から計算するなど、他に種々の方法があり、その何れでもよい。
【0044】
ここで、上記各構成内容を、更に具体的に説明する。
前述したように、主制御部6は、上位装置100からのリード(READ)/ライト(WRITE )コマンドに従い、磁気テープ2に対してデータの読み書きを行う。リードコマンドは読み出し指令であり、ライトコマンドは書き込み指令である。
【0045】
また、主制御部6は、上位装置100からのスペース (SPACE)コマンドに従い、磁気テープ2をスペースコマンド内で指定された量だけ走行制御することで磁気ヘッド5を位置づけする。
【0046】
ここで、スペースコマンド内で指定される磁気テープ2の走行量は、磁気テープ2に記録されたデータの区切りを示す区切記録としてのテープマークを基準とし、磁気ヘッド5の現在位置から進める(又は巻き戻す)磁気テープ2のTM数で、指定されるようになっている。
【0047】
図2に、複数のラップを備えた磁気テープ2の記憶領域の区分例を示す。この区分例では、往路方向のトラックと復路方向のトラックを1セットにして1つのラップが形成され、各種のデータは、磁気テープ2を往復移動させながら論理的なパーティションの始端から論理的なパーティションの終端に向けて連続的に書き込まれるようになっている。
【0048】
このとき、各種のデータは、既に書き込まれているデータの終端(EOD:End Of Data )の位置から当該データの終端を上書きして書き込み、書き込み終了位置に新たにデータの終端が配置されるようになっている。
【0049】
また、磁気テープ2へのデータの書き込み単位は、前述したようにこれをアーカイブとし、このアーカイブは、前後を前述したテープマークによって囲まれ、このテープマークによって他のアーカイブと区切られている。
【0050】
このため、磁気テープ装置1は、パーティションの始端から何番目のテープマーク後にあるアーカイブにアクセスするかを外部から指定されることで、アクセスするアーカイブを特定することができる。アーカイブ番号は論理的にパーティションの始端から何番目のテープマーク後のアーカイブであるかを示す値である。
【0051】
また、磁気テープ2への1回のデータの書き込み単位をアーカイブとしているのに対して、磁気テープ装置1が直接取り扱うデータの単位は、ブロック(図示せず)となっている。アーカイブは少なくとも1つのブロックからなる。
【0052】
磁気テープ装置1が稼働して成される磁気テープ2への1回のデータ書き込みは、書き込むデータをブロック単位に分けて、磁気テープ2へ書き込んだ後、最後に書き込んだブロックの後ろにテープマークを書き込み、これにより、書き込んだデータをアーカイブ化する。
【0053】
カートリッジメモリ8には、図3(A)に示すように各種パーティション情報が記憶されている。このカートリッジメモリ8には、少なくとも、主制御部6の始端・終端移行制御機能6Bによって更新されたパーティションのBOPが設定されたラップのラップ番号を記憶するBOP位置情報記憶領域81と、更新されたパーティションのEOPが設定されたラップのラップ番号を記憶するEOP位置情報記憶領域82と、パーティションが更新されたことにより削除されたTM数を記憶する削除済み区切記録数記憶領域としてのBOP前TM数記憶領域83が設けられている。
【0054】
このBOP前TM数記憶領域83に記憶される削除されたTM数は、つまり上位装置100にBOP位置に存在すると認識させるテープマーク数である。
また、本第1実施形態では、カートリッジメモリ8に、各ラップに記録されたTM数を記憶するTM数記憶領域84が設けられている。
【0055】
ここで、BOP位置およびEOP位置は、磁気テープ2上で分割された領域の物理的な始端および終端ではなく、その領域内のどのラップに論理的なパーティションの始端および終端があるのかを示す情報である。
【0056】
又、制御部用メモリ7には、パーティションの論理構成の更新が必要であるか否かを残存記憶領域(終端領域)に基づいて主制御部6が判定する際に閾値として利用する記憶容量の設定値と、主制御部6がパーティションをずらす際に利用するラップ単位のパーティションのずらし量の設定値と、主制御部6の位置づけ設定制御機能6Aが磁気ヘッド5を位置づけ制御する際に利用する論理的現在位置のTM数(磁気ヘッド5の論理的な現在位置として当該磁気ヘッド5がパーティションの始端から論理的に進んだTM数)とが、パラメータの一種として格納されており、主制御部6によってその記憶および削除が自在になされるようになっている。
【0057】
ここで、主制御部6の始端・終端移行制御機能6Bは、磁気テープ2のパーティションの始端および終端をずらす処理を行う際、パーティションの始端については、パーティションの始端をずらす先のラップの始端から最も近くに位置するテープマークの直前に設定し、パーティションの終端については、パーティションの終端をずらす先のラップの終端に設定する。
【0058】
主制御部6の備える位置づけ設定制御機能6Aは、上位装置100により位置づけの目的位置として磁気テープ2を進めるよう指定された指定TM数と、制御部用メモリ7に格納されている磁気ヘッド5の論理的現在位置情報である論理現在位置TM数と、カートリッジメモリ8に記憶されているBOP前TM数およびその他の各種パーティション情報とに基づいて、前述したように位置づけ制御を行うように構成されている。
【0059】
具体的には、この主制御部6の位置づけ設定制御機能6Aは、指定TM数と論理現在位置TM数を加算した値からBOP前TM数を減じた値を目標TM数とし、この目標TM数が負であればパーティションの始端に位置づけ制御を行い、目標テープマーク数が正であれば目標テープマーク数から論理的現在位置TM数を減じた数だけ磁気テープ2を進めるようにして位置づけ制御を行う。
【0060】
〔動作説明〕
次に、上記第1の実施形態の動作を、図4乃至図10に基づいて説明する。
【0061】
(パーティションにおける始端・終端の移動処理)
最初に、図4,図9及び図10のフローチャートに基づいてデータ書き込み時のBOP(記録領域の始端)及びEOP(記録領域の終端)の位置移動処理について説明する。
【0062】
まず、主制御部6は、上位装置100からのライトコマンドを受け取ると(図4:S101)、EOP領域検出手段10からEOP領域にかかる情報(残記憶容量)を取得し(終端領域設定工程)、現在の書き込み位置がEOP領域内か否かを判断する(図4:S102/書込み位置判定工程)。
【0063】
このステップS102で、現在の書き込み位置がEOP領域でない場合には(図4:S102/いいえ)、パーティションのデータ記憶領域を増長する必要はない。よって、主制御部6は、パーティションの論理構成を現状に維持し、従来と同様、上位装置100からのライトコマンドに従って、前回のデータ書き込み終了位置に続けてデータを書き込む(図4:S104)。
【0064】
この場合、主制御部6は、今回のデータ書き込み終了位置にテープマークを書き込むと共に、今回テープマークの書き込まれたラップのテープマーク数についてカートリッジメモリ8のTM数記憶領域84を更新する。
【0065】
一方、図4のステップS102で現在の書き込み位置がEOP領域内にある場合には(図4:S102/はい)、パーティションのデータ記憶領域を増長する必要があることを意味する。
【0066】
この場合、主制御部6は、始端・終端移行制御機能6Bを稼働させてパーティションを構成するラップを、ラップ単位で循環的にパーティション始端側から終端側にずらして、当該パーティションの論理構成を更新する(図4:S103/始端・終端移行制御工程)。
【0067】
このとき、主制御部6は、更新されたパーティションの始端とされたラップおよび終端とされたラップのラップ番号をカートリッジメモリ8のBOP位置情報記憶領域81およびEOP位置情報記憶領域82に更新して記憶させ、また、パーティションが更新されたことにより無効化された領域にあって削除されたテープマーク数をカートリッジメモリ8のBOP前TM数記憶領域83の値に加算し更新して記憶させる(始端前TM数加算処理工程)。
【0068】
その後、同様にして、主制御部6は、上位装置100からのライトコマンドに従って、前回のデータ書き込み終了位置に続けてデータを書き込む(図4:S104)。そして、主制御部6が今回のデータ書き込み終了位置にテープマークを書き込むと共に、テープマークの書き込まれたラップのテープマーク数について、カートリッジメモリ8のTM数記憶領域84を更新する。
【0069】
これをまとめると、以下のようになる。
即ち、現在の書き込み位置がEOP領域内であった場合(図4:S102/はい)、当該パーティションの先頭ラップを無効化し、BOPおよびEOPを、主制御部6が次のラップに移動すると共に、無効化したラップに記録されていたテープマーク数を、主制御部6がBOP前TM数83に加算してカートリッジメモリ8を更新する(図4:ステップS103)。
【0070】
例えば、図5のように、先頭ラップがラップ#0、最終ラップがラップ#9、BOP前TM数が0で、ラップ#0内に記録されたテープマーク数の合計が3であった場合、ステップS103の処理では、カートリッジメモリ8の論理BOP位置情報81をラップ#1に、論理EOP情報82をラップ#0に、BOP前TM数を0+3=3へと変更する(図示せず)。
【0071】
このように、書き込み位置がEOP領域内にある時に、図4のステップS103の処理を行うことで、パーティションの末端に新たなラップを連結して残容量を増やすことができる。以上の処理により、磁気テープ2へ循環してデータが書き込まれる。
【0072】
(書き込み処理の具体例)
ここで、図5〜図8を参照してデータ書き込み処理の具体例を、更に詳述する。
まず、図5〜図6に、上位装置100からライトコマンドを受信した図4のステップS101の時点における磁気テープ2の区分内容及びカートリッジメモリ8の記録内容の一例を示す。
【0073】
この時点では、カートリッジメモリ8のBOP位置情報記憶領域81にラップ番号0が記憶され、且つ、EOP位置情報記憶領域82にラップ番号9が記憶されている。つまり、ラップ番号0のラップを始端とし、且つ、ラップ番号9のラップを終端とするパーティションが利用されている状況となっている(図6参照)。
【0074】
そして、カートリッジメモリ8のBOP前TM数記憶領域83に0が記憶され、且つ、TM数記憶領域84のラップ番号0の欄に3が記憶されている。また、制御部用メモリ7には、ラップ単位のパーティションのずらし量の設定値として値1が設定されていて、磁気テープ2のラップの物理的な総数を10としている。
【0075】
この状況下で、図4のステップS102での判定によりパーティションのデータ記憶領域を増長する必要が生じ、同図ステップS103でのパーティションの再構築が行われ、その後、同図ステップS104でのデータの書き込みが行われた時点の磁気テープ2およびカートリッジメモリ8の具体例を、図7〜図8に示す。
【0076】
図4のステップS103の処理により、カートリッジメモリ8のBOP位置情報記憶領域81にはラップ番号1(0+1=1〔1はずらし量の設定値〕)が更新して記憶され、カートリッジメモリ8のEOP位置情報記憶領域82にはラップ番号0(9+1=10であるが、ラップの物理的な総数は10でありラップ番号は0から9までとなっており、パーティションは循環的にずらされるので10に相当する値は0となる)が更新して記憶されている。
【0077】
また、カートリッジメモリ8のBOP前TM数記憶領域83には、3(0+3=3〔3は削除されたラップ番号0のラップに記録されていたTM数〕)が更新して記憶され、カートリッジメモリ8のTM数記憶領域84のラップ番号0の欄には、0が更新して記録されている。
【0078】
ここで、BOPは、ラップ番号1のラップの始端から最も近くに位置するテープマークの直前に設定され、パーティションの始端位置から最初に位置するアーカイブは、4番目(1+3=4〔1はBOP直後のテープマークであり、3はBOP前TM数〕)のアーカイブとなる。
【0079】
上記図4のステップS104の処理により、ラップ番号9のラップから内容が継続するアーカイブが、ラップ番号0のラップに記録されている。そのアーカイブの終端にテープマークが設定されており、カートリッジメモリ8のTM数記憶領域84のラップ番号0の欄に、1が更新して記録されている(図8参照)。
【0080】
それまで使用していたパーティションの始端を構成していたラップ番号0のラップに記憶されていたデータ、および、新たにパーティションの始端を構成するラップ番号1のラップ上のデータであってパーティションの始端から磁気テープ2の始端側に位置するデータ,即ちラップ番号0のラップから内容が継続しているデータの全ては、パーティションの再構築に関わる同図ステップS103の処理が実行された時点で、無効なデータとなっている。
【0081】
パーティションの始端は、ラップの始端から最も近くに位置するテープマークの直前に設定されており、カートリッジメモリ8のBOP前TM数記憶領域83には、パーティションの再構築により削除されたテープマークの総数が記憶されている。このことにより、パーティションの始端位置に、パーティションの再構築により削除されたテープマークの総数と同数のTMが存在するように見せかけることができる。
【0082】
主制御部6による上述したデータ処理により、論理的なパーティションの終端側に上書き可能領域として残るデータ記憶領域を逐次増長させながら、データを分断させることなく、磁気テープ2に循環的に記憶させることで、データが効率よく記憶される。
【0083】
そして、パーティションの始端位置に削除されたテープマークの総数と同数のテープマークが存在するように見せかけることにより、パーティションの始端からアーカイブまでの間のテープマーク数が変わらない。これにより、磁気テープ2にデータを循環的に記憶させても、アクセス方法が変わらないようにすることができるようになる。
【0084】
主制御部6による上述したデータ処理は、テープマークを用いて実現しているため、インデックス情報を持たない従来の記録形式にも適用することができる。
また、この結果として、最新のデータは、常にパーティションの終端付近に書き込まれ、長時間に亘って確実に保持されることになる。
【0085】
(BOPへの位置づけ処理)
次に、図9のフローチャートを参照して、上記第1実施形態におけるBOPへの位置づけ処理について説明する。
【0086】
上述した磁気テープ装置1が稼働状態に設定され且つ磁気テープ2が走行動作を開始すると、主制御部6は磁気ヘッド5に対して磁気テープ2上のBOP位置へと位置づけ制御を行う。
【0087】
この第1実施形態におけるBOP位置への位置づけ処理では、まず、主制御部6は、カートリッジメモリ8からメモリ用読み書き処理制御手段9を介して論理BOP位置のラップ番号81を読み出すと共に、磁気テープ送り機構4,シーク機構11及びヘッド位置づけ制御手段11Aの動作を制御してそのラップ番号81へ磁気ヘッド5の位置づけを行う(図9:S201)。
【0088】
この場合、主制御部6は当該ラップ番号81の最初のテープマークが書かれた位置の直前に位置づけを行う(図9:S202)。
以上が、本第1実施形態における主制御部6の制御動作によって実行されるBOP位置付け処理となる。
【0089】
従って、図9のフローチャートを用いたBOP位置移動処理およびEOP位置移動処理においては、BOP側の最初のラップを無効化すると共に、次に、BOPとなるラップの最初のTMの直前までのデータを無効化し、最初のTMに続くデータを、磁気テープ2に記録された最初のアーカイブとして扱う。
これにより、データ先頭部がラップの循環により不正なデータとなった部分を、上位装置100は意識することなく処理を行うことができる。
【0090】
次に、図10のフローチャートに基づいて、本第1実施形態におけるBOPからの位置づけ処理について詳述する。
【0091】
まず、上位装置100は、目的のアーカイブを読み込むために、スペースコマンドを発行する(図10:S301)。
このスペースコマンドでは、磁気ヘッド5の現在位置から進める磁気テープ2のテープマーク数、即ち、目的とするアーカイブの数と同じ数のテープマークを指定する。具体的には、1番目のアーカイブであればTM数として1を、5番目のアーカイブであれば、TM数として5を指定する。
【0092】
このスペースコマンドを受信した主制御部6は、カートリッジメモリ8上の符号83にかかるBOP前TM数とスペースコマンドの指定TM数とを比較し、指定TM数の方が大きかった場合(図10:S302/はい)には、指定TM数から符号83にかかるBOP前TM数を減算した数のテープマークをBOPからカウントし、目的のTMの後ろへ、ヘッド位置づけ制御手段11Aおよび磁気テープ送り機構4を介して磁気ヘッド5の位置づけを行う(図10:S304)。
【0093】
また、指定したTM数が符号83にかかるBOP前TM数よりも小さかった場合には(図10:S302/いいえ)、磁気ヘッド5の位置を変更せずに、磁気ヘッド5の論理的現在位置としてカートリッジメモリ8に格納されている論理現在位置のTM数のみを更新し、位置づけを完了する(図10:S303)。
【0094】
以上により、現在位置がBOPに位置づいている場合のスペース処理について説明したが、磁気テープ2の途中に位置づいていた場合についても、同様に目的とするTM位置はBOP前TM数83を減じてBOPから数えた位置へ位置づくものとする。
【0095】
主制御部6による上述したデータ処理により、磁気テープ2のパーティション再構築で削除され無効化された範囲に位置づけを指令された場合であっても、パーティションの始端位置に磁気ヘッド5を位置づけた状態で磁気ヘッド5の論理的現在位置を更新することで、上位装置100に対して指定された位置に位置づけを行ったように見せかけることができる。
【0096】
即ち、パーティションの再構築を行いパーティションのBOP,EOPの位置を移動した後であっても、上位装置100は、既に削除され無効化された範囲のテープマークが移動前と同じように磁気テープ2上にあるものとして、アクセスし位置づけを指令することができる。
【0097】
このため、有効なアーカイブにはパーティションの再構築前と同じ方法でアクセスすることができると共に、無効化されたデータ記憶領域や誤ったデータ記憶領域に磁気ヘッド5を移動させようとする誤動作を未然に防止することができる。
【0098】
また、以上の処理はテープマークを用いて行っているため、インデックス情報を有しない従来からの記録形式にも適用することができる。
【0099】
上位装置100からのスペースコマンドに従い磁気ヘッド5を位置づける際、主制御部6の位置づけ設定制御機能6Aは、カートリッジメモリ8のTM数記憶領域84から各ラップに記録されているテープマーク数を読み取るようにしてもよい。
【0100】
このようにすると、位置づけ設定制御機能6Aが、各ラップのテープマーク数をもとに上位装置100に指定された位置がどのラップであるか判別し、シーク機構11を動作させ磁気ヘッド5をそのラップに移動させるようにすることができる。これにより、上位装置100に指定された位置がどのラップであっても、1ラップ以下の移動で指定された位置に移動でき、アクセス速度が向上する。
【0101】
ここでは、一例として、パーティションの再構築に際してパーティションを構成するラップを1ラップずつずらす場合について説明しているが、パーティションを構成するラップを数ラップずつ循環的にずらすことも可能である。
【0102】
ラップのずらし量は、前述した記憶容量の設定値の場合と同様、取り扱うデータの容量に合わせて適宜的に制御部用メモリ7に更新して設定することができる。
【0103】
ここで、上述したフローチャートで実行される各動作処理工程については、その動作処理内容をプログラム化し、前記主制御部6が備えるコンピュータに実現させるように構成してもよい。第2,第3の実施形態においても同様である。
【0104】
この場合、本プログラム発明は、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリなどに記録させてもよい。その場合、本プログラム発明は、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行されるものとする。
【0105】
以上の処理により、BOP及びEOPの位置を移動した後においても、テープマークが何れも磁気テープ2上に存在するように処理されることから、TM移動前と同じアーカイブ数が磁気テープ2上にあるかのように上位装置100からは見えることとなり、BOP及びEOPの位置の移動前と同じようにアクセスすることができる。
【0106】
〔第1実施形態の効果〕
第1の効果は、先読みヘッド等の特別な構成要素を必要とすることなく磁気テープ2へ循環してデータ書き込みを実行することができる。
その理由は、WRITE時にEOP領域検出手段10が磁気テープ上の残り記録領域が少ないことを検出すると、BOP及びEOPを移動し、記録領域(パーティション)を循環させることにより、追加してデータを書き込めるように構成したことによる。
【0107】
第2の効果は、記録領域を循環しながらデータを記録した場合においても、記録データへのアクセス方法が変わらないことにある。
その理由は、記録領域の循環時に削除されたTM数を計数して記憶しておき、BOPの直後に同数のTMがあるかのように上位装置100に対してみせかけるように構成したことによる。
【0108】
このように、本第1実施形態にあっては、上述したように構成したので、これによると、上位装置からのデータの書き込み指令に対して、インデックス情報を有せず且つテープマークで論理的位置を決定する通常の記録方式を備えた磁気テープであっても、これを受信して循環的にデータを記憶させることができ、特に、パーティションの始端側のラップを必要に応じて終端側にずらすと同時に削除されたテープマークの数を計数して保持することによってBOPから目的データまでのテープマーク数が変わらないように構成したので、特にインデックス情報を有せず且つテープマークで論理的位置を決定する通常の記録方式を備えた磁気テープであっても、循環的にデータを記憶させることができるという優れた効果を得ることができる。
〔第2の実施形態〕
【0109】
次に、本発明の第2実施形態を、図11乃至図13に基づいて説明する。
ここで、前述した第1実施形態では、EOP領域における書き込み処理において常にBOPとEOPの循環を行なっていたが、本第2実施形態では、更に、指定アーカイブ数が常に磁気テープ上に記録された状態を保持できるように構成した点に特徴を有する。
ここで、前述した第1実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0110】
この第2実施形態において、磁気テープ装置21は、走行方向に沿って記憶領域である複数のラップ(本第1実施形態では、#0〜#09の10行)が設けられた磁気テープ2と、この磁気テープ2に対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープ2の走行動作に合わせて実行する磁気ヘッド5と、磁気テープ2の前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド5を駆動制御する主制御部16とを備えている。
【0111】
この主制御部16には、当該主制御部16に付勢されて磁気テープ2を走行駆動する磁気テープ送り機構4と、前記磁気ヘッド5のラップ相互間の移動を付勢するシーク機構11と、このシーク機構11の動作を前記主制御部16に付勢されて制御するヘッド位置づけ制御手段11Aとが併設されている。更に、この主制御部16は、磁気テープ送り機構4,シーク機構11およびヘッド位置づけ制御手段11Aの各々を介して前記磁気ヘッド5を移送制御し前述した磁気テープ2の各ラップに対する位置づけ動作を設定制御する位置づけ設定制御機能6Aを備えている。
【0112】
又、磁気テープ装置21は、前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマークの数および前記パーティションの始端前の各ラップに記録された始端前テープマークの合計数を予め記憶したカートリッジメモリ18と、該カートリッジメモリ18に対する情報の読み書き動作を前記主制御部16に付勢されて実行するメモリ用読み書き処理制御手段9とを備えている。
ここで、カートリッジメモリ18と前述した磁気テープ2とにより、カートリッジ13が構成されている。
【0113】
本第2実施形態における上記カートリッジメモリ18には、図12(A)に示すように、第1実施形態におけるカートリッジ8の内容に加えて、最低アーカイブ数情報を記録する最低アーカイブ数記録領域85が設けられている。
【0114】
この最低アーカイブ数情報は、磁気テープ2内に残しておく有効なアーカイブ数の最小値を表す。この最低アーカイブ数情報は、主制御部16によって上位装置100や他の管理端末などから、予め、取り込んでカートリッジ13内のカートリッジメモリ18に書き込まれるようになっている。
【0115】
そして、前述した主制御部16は、上位装置100から前記終端領域(EOP領域)における書き込み指令があった場合に機能し、カートリッジメモリ18から当該パーティションの先頭ラップを除いた全てのラップのTM数の合計と前記最低アーカイブ数とを比較するアーカイブ数比較演算機能16Aを有する。
【0116】
同時に、この主制御部16は、当該合計TM数が前記最低アーカイブ数よりも大きい場合に前記始端・終端移行制御機能6Bを稼働させて、当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するように設定制御する機能を備えている。
【0117】
ここで、この第2実施形態では、最低アーカイブ数情報を磁気テープ2側のカートリッジメモリ18に保持した例について説明したが、全ての磁気テープ2で同一のパラメータを使用する構成では、磁気テープ2内に最低アーカイブ数情報を保持するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した第1実施形態と同一となっている。
【0118】
(データ書き込み動作)
次に、図13のフローチャートを用いて、本第2実施形態におけるデータの書き込み動作について説明する。
上位装置100から書き込み指令が入力された場合(図13:S401/書込み指令入力工程)、現在の書き込み位置がEOP領域であるか否かが主制御部16によって判定される(図13:S402/EOP領域に判定工程)。そして、EOP領域であった場合に行う処理(図13:S403〜S404)を除いて、その他は前述した第1実施形態と同様とする。
【0119】
本第2実施形態におけるEOP領域での書込み処理(図13:S402/はい)でEOP領域であると判定された場合、続いて、主制御部16はカートリッジメモリ18内の情報から当該パーティションの先頭ラップを除いた全てのラップのアーカイブ数を計数し、その合計と最低アーカイブ数情報の数とを比較する(図13:S403/最低アーカイブ数比較演算工程)。
【0120】
先頭ラップを除いた全ラップのアーカイブ数の合計が最低アーカイブ数情報の数より大きかった場合(図13:S403/はい)は、記録領域を循環させた後も最低アーカイブ数情報の数のアーカイブが磁気テープ2上に記録されていることが保証できるため、前述した第1実施形態の場合と同様に、主制御部16が当該パーティションのBOP,及びEOPを次のラップに移行制御し、記録領域を循環させた後(図13:S404)、書き込み処理が行われる(図13:S405)。
【0121】
先頭ラップを除いたラップのアーカイブ数の合計が最低アーカイブ数情報85の数以下であった場合には(図13:S403/いいえ)、記録領域の循環は行われず書き込み処理が継続される(S405)。その場合、磁気テープ媒体上の残り記憶領域内にデータを書き込むことができた場合には書き込みは正常に行われるが、残り記憶領域に記録できなかった場合には、EOP検出で書き込みエラーとなる。
【0122】
ここで、上記データの書き込み動作にかかる各制御動作の工程にあって、各動作内容をプログラム化し前記主制御部16が備えているコンピュータに実現させるように構成してもよい。
【0123】
以上のようにしても、前述した第1実施形態の場合と同一の目的を達成することができるほか、上述したような動作によって、BOP及びEOPの循環処理を行いながらも、指定したアーカイブ数を保証することができる。
その他の構成、及びその作用効果は、前述した第2実施形態の場合と同一である。
【0124】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図14乃至図18に基づいて説明する。
ここで、前述した第2実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0125】
この第3実施形態における磁気テープ装置31では、磁気テープ2に記録されてから指定された期間を経過していないアーカイブは、記録領域の循環処理によって消去されないようにした点に特徴を有する。更に、この第3実施形態の構成上の特徴としては、前述した第2実施形態の構成に加えて、磁気テープ装置31内に現在時刻取得手段30を設けた点にある(図14参照)。
【0126】
この現在時刻取得手段30は、カレンダチップや他の装置から時刻を主制御部26を介して通知してもらうことにより、現在の時刻を取得するものである。符号28はカートリッジメモリを示す。又、図14において、符号23は、前述した第2実施形態の場合と同様に磁気テープ2およびカートリッジメモリ28を収納したカートリッジを示す。
【0127】
カートリッジメモリ28内には、前述した第2実施形態におけるカートリッジメモリ18に格納された内容(ラップ番号やTM数)に加えて、更に、ラップの最終書込日時情報87と最低保証期間情報86とが設けられている。
【0128】
このラップの最終書込日時情報87は、そのラップに最後にアーカイブを書き込んだ日時を記録する。また、最低保証期間情報86は、磁気テープ2内のアーカイブを保護する期間の最小値を表す。この最低保証期間情報86は、予め、カートリッジメモリ28に対して上位装置100や主制御部26を介して外部からでも指定することができるものとする。
【0129】
ここで、前述した第2実施形態の場合と同様に、全ての磁気テープ2で同一のパラメータを使用する構成では、磁気テープ装置31内に最終書込日時情報87を保持するように構成してもよい。
【0130】
前述した主制御部26は、上位装置100から終端領域における書込み指令を入力した場合に機能し、前記カートリッジメモリ28から当該パーティションの先頭ラップの最終書込日時にかかる情報を取り込むと共に、当該最終書込日時の経過期間を前記現在時刻取得手段30で取得される現在時刻に基づいて算定する経過期間算定機能26Aと、当該経過期間がカートリッジメモリ28に記憶された最低保証期間で指定した期間を経過しているか否かを判定する保証期間判定機能26Bとを有している。
【0131】
そして、この主制御部26は、前記経過期間が前記最低保証期間で指定した期間を経過している場合には、前述した始端・終端移行制御機能6Bを稼働させて、当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するように設定制御する機能を備えている。
【0132】
更に、この主制御部26は、書き込み処理の対象を、データブロック単位に代えて複数のデータブロックを一つにまとめてこれをアーカイブ単位とすると共に、当該主制御部26が、前記アーカイブの終端では前記磁気テープにテープマークを書き込むTM書込み制御機能26Cと、このTMの書き込み制御に連動して前記カートリッジメモリ28内の現在のラップのTM数に1を加算する終端TM加算処理機能26Dと、前記ラップの最終書込日時を前記現在時刻取得手段30から取得される時刻で更新する最終書込日時更新処理機能26Eとを備えている(図16参照)。
その他の構成及びその動作については前述した第2の実施形態と同一となっている。
【0133】
(データ書き込み動作)
次に、この第3実施形態におけるデータ書き込み動作を、図17のフローチャートに基づいて説明する。
磁気テープ装置31が上位装置100からのライトコマンドが、終端領域における書込み指令であった場合に行う処理は、図17のステップS503〜S504を除いて前述した第1実施形態の場合(図4)と同様である。
【0134】
ここで、前述したように、カートリッジメモリ28には、磁気テープ2のラップに書き込まれた最終書込日時と最低保証期間にかかる情報とが予め記憶されており、且つ主制御部26には現在時刻を外部から取得する現在時刻取得手段30が併設されている。
そして、上位装置100から書き込み指令が入力された場合(図17:S501/書込み指令入力工程)、EOP領域での書き込みであった場合には(図17:S502/はい)、
【0135】
その後、パーティションの始端・終端を次のラップへ移行制御するに際しては、予め、主制御部26は、カートリッジメモリ28内の情報から当該パーティションの先頭ラップの最終書込日時情報87を取得し(最終書込日時データ取得工程)、続いて、当該最終書込日時の経過期間を、前記現在時刻取得手段30から取得される現在時刻に基づいて算定し(図17:S503/経過期間算定工程)、この算定された経過期間が前記カートリッジメモリ28に記憶された最低保証期間で指定した期間を経過しているか否かを判定する(図17:S503/保証期間経過判定工程)。
【0136】
そして、前記経過期間が前記最低保証期間で指定した期間を経過している場合には、前記パーティションの始端及び終端を次のラップに移行させて循環させた後(図17:S504/始端・終端移行工程)に、磁気テープ2に対する書き込み処理が行われる(図17:S505)。
これらの各処理動作を、前記主制御部26が順次実行するようにした。
【0137】
一方、最低保障期間情報86で指定された期間が経過していない場合(図17:S503/いいえ)は、記録領域の循環は行なわれず、書き込み処理が継続される(図17:ステップS505)。
この場合、磁気テープ2上の残り記憶領域にデータを書き込むことができた場合は書きこみは正常に行われるが、残り記憶領域に記録できなかった場合にはEOP検出で書き込みエラーとなる。
【0138】
以上で磁気テープ2へのデータのブロック単位での書き込み処理を説明した。続いて本第3実施形態におけるアーカイブ終端処理について図15及び図18を用いて説明する。
【0139】
アーカイブの終端では前記磁気ヘッド5を介して前記磁気テープ2にテープマークの書き込み処理を実行し(図18:S601/TM書込み制御工程)、このテープマークの書き込み処理に続いて前記カートリッジメモリ28内の現在のラップのTM数情報84の欄に1を加算する加算処理を実行する(図18:S602/終端TM加算処理工程)。
【0140】
続いて、前記ラップの最終書込日時情報87の前記カートリッジメモリ28への更新に際しては、前記現在時刻取得手段30から取得される時刻に基づいて更新処理する(図18:S602/メモリ更新処理工程)。アーカイブが複数のラップにまたがっている場合は、アーカイブの始端のラップから終端のラップまでのラップの最終書込日時情報87を更新する。
そして、これらの各処理動作を、前記主制御部26が順次実行するようにした。
【0141】
以上のような動作によって、磁気テープ2上の記録領域の循環処理を行いながらも、アーカイブを、指定した期間中、確実に保護することができる。
【0142】
ここで、上記データの書き込み動作にかかる各制御動作の工程にあって、各動作内容をプログラム化し前記主制御部26が備えているコンピュータに実現させるように構成してもよい。
【0143】
このようにしても、前述した第2実施形態の場合と同一の目的を達成することができるほか、上述したような動作によって、BOP及びEOPの循環処理を行いながらも、指定したアーカイブ数を保証することができる。
その他の構成、及びその作用効果は、前述した第2実施形態の場合と同一である。
【0144】
上述した各実施形態については、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下のようになる。
尚、上記実施形態の一部は、新規な技術内容として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0145】
(付記1)
走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッドを駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えた磁気テープ装置であって、
前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された始端前テープマークの合計数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリと、該カートリッジメモリに対する情報の読み書き動作を前記主制御部に付勢されて実行するメモリ用読み書き動作制御手段とを備え、
前記主制御部が、
上位装置からの書込み指令が入力された場合に作動し、予め別に装備され前記パーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった記憶領域(終端領域)を検出する終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを判定すると共に、当該書込み位置が前記終端領域に位置する場合に前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行する始端・終端移行制御機能と、
前記始端の移行と共に当該移行元から移行先迄のラップにかかるTMの数を前記カートリッジメモリの記憶内容に基づいて特定しこれを前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理するTM数加算処理機能とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0146】
(付記2)
付記1記載の磁気テープ装置において、
前記カートリッジメモリには、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号が予め記憶されており、
前記主制御部は、前記始端・終端移行制御機能の稼働により前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行制御した場合に、当該始端及び終端の移行に対応して機能し、前記カートリッジメモリ内に予め格納されている前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号を、対応する次の移行先のラップ番号に更新するラップ番号更新制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0147】
(付記3)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部を介して前記上位装置から特定の前記アーカイブ部分にかかる読出し指令が入力された場合に作動し、前記始端前TM数と前記読出し指令にかかる特定のアーカイブの指定TM数とを比較すると共に当該指定TM数が前記始端前TM数よりも大きい場合に、前記指定TM数から前記始端前TM数を減算して得られる差TM数を前記パーティションの始端から計数し、対応する箇所のTMの後へ前記磁気ヘッドを位置づけ制御するヘッド位置づけ制御手段を、前記主制御部に併設したことを特徴とする磁気テープ装置。
【0148】
(付記4)
付記3に記載の磁気テープ装置において、
前記ヘッド位置づけ制御手段は、前記指定TM数が前記始端前TM数よりも小さかった場合に機能し前記磁気ヘッドの現在位置を変更せずに現在の始端位置にかかるテープマークの位置のみを更新するTM位置更新制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0149】
(付記5)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記カートリッジメモリには、前記磁気テープ上に残して置く有効なアーカイブ数の最小数を最低アーカイブ数として予め記憶されており、
前記主制御部は、
前記上位装置から前記終端領域(EOP領域)における書き込み指令があった場合に機能し、前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップを除いた全てのラップのTM数の合計と前記最低アーカイブ数とを比較するアーカイブ数比較演算機能を有すると共に、
当該合計TM数が前記最低アーカイブ数よりも大きい場合に前記始端・終端移行制御機能を稼働させて、当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するように設定制御することを特徴とした磁気テープ装置。
【0150】
(付記6)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記カートリッジメモリには前記磁気テープのラップに書き込まれた最終書込日時と最低保証期間にかかる情報とが予め記憶されており、且つ前記主制御部には現在時刻を外部から取得する現在時刻取得手段が併設されており、
前記主制御部は、
前記上位装置から前記終端領域における書込み指令があった場合に機能し、前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップの最終書込日時にかかる情報を取り込むと共に当該最終書込日時の経過期間を前記現在時刻取得手段で取得される現在時刻に基づいて算定する経過期間算定機能と、
当該経過期間が前記カートリッジメモリに記憶された最低保証期間で指定した期間を経過しているか否かを判定する保証期間判定機能とを有し、
前記経過期間が前記最低保証期間で指定した期間を経過している場合には、前記始端・終端移行制御機能を稼働させて、当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するように設定制御することを特徴とした磁気テープ装置。
【0151】
(付記7)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部は、書き込み処理の対象を、データブロック単位に代えて複数のデータブロックを一つにまとめてこれをアーカイブ単位とすると共に、
この主制御部が、
前記アーカイブの終端では前記磁気テープにテープマークを書き込むTM書込み制御機能と、このテープマークの書き込み制御に連動して前記カートリッジメモリ内の現在のラップのTM数に1を加算する終端TM加算処理機能と、前記ラップの最終書込日時を前記現在時刻取得手段から取得される時刻で更新する最終書込日時更新処理機能とを備えたことを特徴とする磁気テープ装置。
【0152】
(付記8)
走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド部を駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えて成る磁気テープ装置にあって、
前記主制御部には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号,前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された合計テープマーク数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリが併設されており、
上位装置からの書込み指令が入力され且つ前記ラップ上に構成されたパーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった時の当該残存記憶容量にかかる情報を予め装備された終端領域検出手段が検出した場合に、これを前記主制御部が終端領域として特定し、
次に、前記終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを、前記主制御部が判定し、
この書込み位置が前記終端領域に位置する場合、前記主制御部の始端・終端移行制御機能が作動し、前記パーティションの先頭ラップを無効化して当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行制御し、
前記無効化されたラップに記録されていたTMの数を、前記主制御部が予め装備されたメモリ用読み書き動作制御手段を介して前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理するようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御方法。
【0153】
(付記9)
付記8に記載の磁気テープ用循環記録制御方法において、
前記上位装置から、前記書き込み指令の対応後に特定の前記アーカイブ部分にかかる読出し指令が入力された場合、
前記始端前TM数と前記読み出し指令にかかる特定のアーカイブの指定TM数とを前記主制御部が比較すると共に、当該指定TM数が前記始端前TM数よりも大きかった場合には、前記主制御部が前記指定TM数から前記始端前TM数を減算して差TM数を算出し、
この差TM数に基づいて、前記主制御部に予め併設されたヘッド位置づけ制御手段が、前記パーティションの始端から計数して対応する箇所のTMの後へ前記磁気ヘッドを位置づけ制御するようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御方法。
【0154】
(付記10)
付記8に記載の磁気テープ用循環記録制御方法において、
前記カートリッジメモリには、前記磁気テープ上に残して置く有効なアーカイブ数の最小数を最低アーカイブ数として予め記憶されており、
前記上位装置から前記終端領域における書き込み指令が入力された場合、
前記パーティションの始端・終端を次のラップへ移行制御するに際しては、予め前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップを除いた全てのラップのTM数の合計と前記最低アーカイブ数とを、前記主制御部が比較演算し、
当該合計TM数が前記最低アーカイブ数よりも大きい場合に、前記主制御部が当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行制御するようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御方法。
【0155】
(付記11)
付記8に記載の磁気テープ用循環記録制御方法において、
前記カートリッジメモリには前記磁気テープのラップに書き込まれた最終書込日時と最低保証期間にかかる情報とが予め記憶されており且つ前記主制御部には現在時刻を外部から取得する現在時刻取得手段が併設されており、
前記上位装置から前記終端領域における書き込み指令が入力された場合で、
前記パーティションの始端・終端を次のラップへ移行制御するに際しては、予め前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップの最終書込日時に係る情報の取り込みを行い、
その後、当該最終書込日時の経過期間を、前記現在時刻取得手段で取得される現在時刻に基づいて算定し、
この算定された経過期間が前記カートリッジメモリに記憶された最低保証期間で指定した期間を経過しているか否かを判定し、
前記経過期間が前記最低保証期間で指定した期間を経過している場合には、前記パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するようにし、
これらの各処理動作を、前記主制御部が順次実行するようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御方法。
【0156】
(付記12)
付記8に記載の磁気テープ用循環記録制御方法において、
前記主制御部は、前記書き込み処理の対象を、データブロック単位に代えて複数のデータブロックを一つにまとめて成るアーカイブ単位とすると共に、
前記アーカイブの終端では前記磁気ヘッドを介して前記磁気テープにテープマークの書き込み処理を実行し、
このテープマークの書き込み処理に連動して前記カートリッジメモリ内の現在のラップのTM数に1を加算する加算処理を実行し、
前記ラップの最終書込日時の前記カートリッジメモリへの更新に際しては、前記現在時刻取得手段から取得される時刻に基づいて更新処理し、
これらの各処理動作を、前記主制御部が順次実行することを特徴とした磁気テープ用循環記録制御方法。
【0157】
(付記13)
走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド部を駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えて成る磁気テープ装置にあって、
前記主制御部には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号,前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された合計テープマーク数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリが併設されており、
上位装置から書込み指令が入力された場合に作動し前記ラップ上に構成されたパーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった時の当該残存記憶容量にかかる情報が予め装備された終端領域検出手段で検出され出力された場合に、これを終端領域として設定する終端領域設定機能、
前記終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを判定する書込み位置判定処理機能、
当該書込み位置が前記終端領域に位置すると判定された場合、前記パーティションの先頭ラップを無効化して当該パーティションの始端及び終端にかかる位置情報を次のラップに移行処理する始端・終端移行処理機能、
および前記無効化されたラップに記録されていたTMの数を前記カートリッジメモリに基づいて特定すると共にこれを前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理する始端前TM数加算処理機能、
を設け、これらの各処理機能を前記主制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御プログラム。
【0158】
(付記14)
付記13に記載の磁気テープ用循環記録制御プログラムにおいて、
前記上位装置から、前記書込み指令の対応後に特定の前記アーカイブ部分にかかる読出し指令が入力された場合、前記始端前TM数と前記読み出し指令にかかる特定のアーカイブの指定TM数とを比較するTM数比較処理機能、
当該指定TM数が前記始端前TM数よりも大きかった場合に前記指定TM数から前記始端前TM数を減算して差TM数を算出する差TM数算出処理機能、
およびこの差TM数に基づいて、前記パーティションの始端から計数し対応する箇所のTMの後へ前記磁気ヘッドを位置づけ制御するヘッド位置づけ設定処理機能、
を設け、これらの各処理機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御プログラム。
【0159】
(付記15)
付記13に記載の磁気テープ用循環記録制御プログラムにおいて、
前記カートリッジメモリには、前記磁気テープ上に残して置く有効なアーカイブ数の最小数を最低アーカイブ数として予め記憶されており、
前記上位装置から前記終端領域における書き込み指令が入力された場合で、前記パーティションの始端・終端を次にラップへ移行制御するに際しては、予め前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップを除いた全てのラップのTM数の合計と前記最低アーカイブ数とを比較する合計TM数比較演算機能、
および前記合計TM数が前記最低アーカイブ数よりも大きい場合に、前記パーティションの始端及び終端を次のラップに移行制御する始端・終端移行制御機能を設け、
これらの各処理機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御プログラム。
【0160】
(付記16)
付記13に記載の磁気テープ用循環記録制御プログラムにおいて、
前記カートリッジメモリには前記磁気テープのラップに書き込まれた最終書込日時と最低保証期間にかかる情報とが予め記憶されており、且つ前記主制御部には現在時刻を外部から取得する現在時刻取得手段が併設されており、
前記上位装置から前記終端領域における書き込み指令が入力された場合で、前記パーティションの始端・終端を次にラップへ移行制御するに際しては、予め前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップの最終書込日時にかかる情報を取り込む最終書込日時取得処理機能、
この取り込んだ最終書込日時の経過期間を、前記現在時刻取得手段で取得される現在時刻に基づいて算定する経過期間算定処理機能、
この算定された経過期間が前記カートリッジメモリに記憶された前記最低保証期間で指定した期間を経過しているか否かを判定する期間経過有無判定機能、
および前記経過期間が前記最低保証期間で指定した期間を経過している場合に、前記パーティションの始端及び終端を次のラップに移行する始端・終端移行処理機能、
を設け、これらの各処理機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御プログラム。
【0161】
(付記17)
付記13に記載の磁気テープ用循環記録制御方法において、
前記主制御部は、前記書き込み処理の対象を、データブロック単位に代えて複数のデータブロックを一つにまとめてなるアーカイブ単位とするものとし、
前記アーカイブの終端では前記磁気ヘッドを介して前記磁気テープにテープマークの書き込み処理を実行するTM書込み制御機能、
このテープマークの書き込み処理に連動して前記カートリッジメモリ内の現在のラップのTM数に1を加算する加算処理を実行する終端TM加算処理機能、
および前記ラップの最終書込日時の前記カートリッジメモリへの更新に際しては、前記現在時刻取得手段から取得される現在時刻に基づいて更新処理する最終書込日時更新処理機能、
を設け、これらの各制御処理機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明によれば、複数のラップをもつ磁気テープ媒体にデータを記録する全ての磁気テープ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1,21,31 磁気テープ装置
2 磁気テープ
3,13,23 カートリッジ
4 磁気テープ送り機構
5 磁気ヘッド
6,16,26 主制御部
6A 位置づけ設定制御機能
6B 始端・終端移行制御機能
6C TM数加算処理機能
6D ラップ番号更新制御機能
6E TM位置更新制御機能
7 制御部用メモリ
8,18,28 カートリッジメモリ
9 メモリ用読み書き処理制御手段
10 終端領域検出手段
11 シーク機構
11A ヘッド位置づけ制御手段
16A アーカイブ数比較演算機能
26A 経過期間算定機能
26B 保証期間判定機能
26C TM書込み制御機能
26D 終端TM加算処理機能
26E 最終書き込み日時更新処理機能
100 上位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッドを駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えた磁気テープ装置であって、
前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された始端前テープマークの合計数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリと、該カートリッジメモリに対する情報の読み書き動作を前記主制御部に付勢されて実行するメモリ用読み書き動作制御手段とを備え、
前記主制御部が、
上位装置からの書込み指令が入力された場合に作動し、予め別に装備され前記パーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった記憶領域(終端領域)を検出する終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを判定すると共に、当該書込み位置が前記終端領域に位置する場合に前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行する始端・終端移行制御機能と、
前記始端の移行と共に当該移行元から移行先迄のラップにかかるTMの数を前記カートリッジメモリの記憶内容に基づいて特定しこれを前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理するTM数加算処理機能とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気テープ装置において、
前記カートリッジメモリには、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号が予め記憶されており、
前記主制御部は、前記始端・終端移行制御機能の稼働により前記パーティションの始端及び終端を予め設定された次のラップに移行制御した場合に、当該始端及び終端の移行に対応して機能し、前記カートリッジメモリ内に予め格納されている前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号を、対応する次の移行先のラップ番号に更新するラップ番号更新制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部は、当該主制御部に対して前記上位装置から特定の前記アーカイブ部分にかかる読出し指令が入力された場合に作動し、前記始端前TM数と前記読出し指令にかかる特定のアーカイブの指定TM数とを比較すると共に当該指定TM数が前記始端前TM数よりも大きい場合に、前記指定TM数から前記始端前TM数を減算して差TM数を算出する位置づけ設定制御機能を有し、
前記位置づけ設定制御機能によって算出された差TM数を前記パーティションの始端から計数して対応する箇所のTMの後へ前記磁気ヘッドを位置づけ制御するヘッド位置づけ制御手段を、前記主制御部に併設したことを特徴とする磁気テープ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気テープ装置において、
前記ヘッド位置づけ制御手段は、前記指定TM数が前記始端前TM数よりも小さかった場合に機能し前記磁気ヘッドの現在位置を変更せずに現在の始端位置にかかるテープマークの位置のみを更新するTM位置更新制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記カートリッジメモリには、前記磁気テープ上に残して置く有効なアーカイブ数の最小数を最低アーカイブ数として予め記憶されており、
前記主制御部は、
前記上位装置から前記終端領域(EOP領域)における書き込み指令があった場合に機能し、前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップを除いた全てのラップのTM数の合計と前記最低アーカイブ数とを比較するアーカイブ数比較演算機能を有すると共に、
当該合計TM数が前記最低アーカイブ数よりも大きい場合に前記始端・終端移行制御機能を稼働させて、当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するように設定制御することを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記カートリッジメモリには前記磁気テープのラップに書き込まれた最終書込日時と最低保証期間にかかる情報とが予め記憶されており、且つ前記主制御部には現在時刻を外部から取得する現在時刻取得手段が併設されており、
前記主制御部は、
前記上位装置から前記終端領域における書込み指令があった場合に機能し、前記カートリッジメモリから当該パーティションの先頭ラップの最終書込日時にかかる情報を取り込むと共に当該最終書込日時の経過期間を前記現在時刻取得手段で取得される現在時刻に基づいて算定する経過期間算定機能と、
当該経過期間が前記カートリッジメモリに記憶された最低保証期間で指定した期間を経過しているか否かを判定する保証期間判定機能とを有し、
前記経過期間が前記最低保証期間で指定した期間を経過している場合には、前記始端・終端移行制御機能を稼働させて、当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行するように設定制御することを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項7】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部は、書き込み処理の対象を、データブロック単位に代えて複数のデータブロックを一つにまとめてこれをアーカイブ単位とすると共に、
この主制御部が、
前記アーカイブの終端では前記磁気テープにテープマークを書き込むTM書込み制御機能と、このテープマークの書き込み制御に連動して前記カートリッジメモリ内の現在のラップのTM数に1を加算する終端TM加算処理機能と、前記ラップの最終書込日時を前記現在時刻取得手段から取得される時刻で更新する最終書込日時更新処理機能とを備えたことを特徴とする磁気テープ装置。
【請求項8】
走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド部を駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えて成る磁気テープ装置にあって、
前記主制御部には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号,前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された合計テープマーク数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリが併設されており、
上位装置からの書込み指令が入力され且つ前記ラップ上に構成されたパーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった時の当該残存記憶容量にかかる情報を予め装備された終端領域検出手段が検出した場合に、これを前記主制御部が終端領域として特定し、
次に、前記終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを、前記主制御部が判定し、
この書込み位置が前記終端領域に位置する場合、前記主制御部の始端・終端移行制御機能が作動し、前記パーティションの先頭ラップを無効化して当該パーティションの始端及び終端を次のラップに移行制御し、
前記無効化されたラップに記録されていたTMの数を、前記主制御部が予め装備されたメモリ用読み書き動作制御手段を介して前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理するようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の磁気テープ用循環記録制御方法において、
前記上位装置から、前記書き込み指令の対応後に特定の前記アーカイブ部分にかかる読出し指令が入力された場合、
前記始端前TM数と前記読み出し指令にかかる特定のアーカイブの指定TM数とを前記主制御部が比較すると共に、当該指定TM数が前記始端前TM数よりも大きかった場合には、前記主制御部が前記指定TM数から前記始端前TM数を減算して差TM数を算出し、
この差TM数に基づいて、前記主制御部に予め併設されたヘッド位置づけ制御手段が、前記パーティションの始端から計数して対応する箇所のTMの後へ前記磁気ヘッドを位置づけ制御するようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御方法。
【請求項10】
走行方向に沿って記憶領域である複数のラップが設けられた磁気テープと、この磁気テープに対する情報の書込み/読出しを当該磁気テープの走行動作に合わせて実行する磁気ヘッドと、前記磁気テープの前記ラップ上に構成される論理的なパーティションにデータを上書きして循環的に記憶させるように前記磁気ヘッド部を駆動制御すると共にシーク機構を介して当該磁気ヘッドの前記ラップに対する位置付けを制御する主制御部とを備えて成る磁気テープ装置にあって、
前記主制御部には、前記パーティションの始端及び終端の現存位置を示すラップ番号,前記各ラップのアーカイブ相互間に記録されたテープマーク数(TM数),及び前記パーティションの始端前の各ラップに記録された合計テープマーク数(始端前TM数)を予め記憶したカートリッジメモリが併設されており、
上位装置から書込み指令が入力された場合に作動し前記ラップ上に構成されたパーティションにおける残存記憶容量が一定量以下となった時の当該残存記憶容量にかかる情報が予め装備された終端領域検出手段で検出され出力された場合に、これを終端領域として設定する終端領域設定機能、
前記終端領域検出手段からの情報に基づいて書込み位置が前記終端領域に位置するか否かを判定する書込み位置判定処理機能、
当該書込み位置が前記終端領域に位置すると判定された場合、前記パーティションの先頭ラップを無効化して当該パーティションの始端及び終端にかかる位置情報を次のラップに移行処理する始端・終端移行処理機能、
および前記無効化されたラップに記録されていたTMの数を前記カートリッジメモリに基づいて特定すると共にこれを前記カートリッジメモリ内の前記始端前TM数に加算処理する始端前TM数加算処理機能、
を設け、これらの各処理機能を前記主制御部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする磁気テープ用循環記録制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−45474(P2013−45474A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180836(P2011−180836)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】