説明

磁気テープ

【課題】電磁変換特性に優れると共に耐久性にも優れる磁気テープを提供する。
【解決手段】非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一方の面上の磁性層とを少なくとも有する磁気テープであって、
前記磁性層は、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含み、
前記磁性層表面には、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝が形成され、前記凹状溝の深さは1nm以上10nm以下である磁気テープ。互いに隣り合う前記凹状溝同士の間隔は、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープに関し、より詳しくは、電磁変換特性に優れると共に耐久性にも優れる磁気テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録データ量の増大に対応すべく、磁気記録媒体の高密度記録化が求められている。特に、コンピュータのデータ記録に用いられるLTOR (登録商標:Linear Tape Open)、DLTR (登録商標:Digital Linear Tape)と称される磁気テープ等の磁気記録媒体の高密度記録化が求められている。高密度記録化のために記録波長が短波長化され、磁性層が薄膜化されている。また、記録波長の短波長化に伴い、スペーシングロスの観点から、磁性層表面はより平滑であることが要求される。
【0003】
一方で、磁性層表面が平滑すぎると、磁気テープ走行時の摩擦が大きくなり、磁気テープの耐久性が悪化する不具合が発生する。つまり、磁性層の表面平滑性と、磁気テープの耐久性とはトレードオフの関係にある。
【0004】
特開平11−242814号公報には、支持体の一方の面上に磁性層が設けられ、前記支持体の他方の面上にバックコート層が設けられた磁気テープにおいて、前記支持体と前記バックコート層との間に光反射層が設けられ、前記光反射層と前記バックコート層との間に、光学的にコントラストを生じさせ得る所定形状パターンを有する中間層が設けられ、該パターンからの光情報に基づき前記磁性層のデータトラッキングのサーボトラッキングが行われるようになされている磁気テープが開示されている(請求項1)。そして、前記中間層に、テープ長手方向に沿う一本又は複数本の連続な直線状凹凸部が形成されており、前記中間層の厚みを0.05〜1μmとし、該凹部の幅を0.25〜30μmとし且つ深さを該中間層の厚みの5〜99%とした磁気テープが開示されている(請求項2)。前記中間層の直線状凹凸部は、前記バックコート層の表面には現れない。
【0005】
特開平5−54366号公報には、基体表面に磁性層が設けられ、前記基体の裏面に走行方向に連続した凸状の筋を表面に有するバックコート層が設けられた磁気テープが開示され(請求項1)、前記凸状の筋の高さが10〜30nmであること(請求項2)、前記凸状の筋の間隔が150〜500μmであること(請求項3)、前記凸状の筋間の表面粗さが中心線平均粗さRaで0.015μm以下であること(請求項4)が開示されている。段落[0004]には、走行方向に連続した凸状の筋を表面に有するバックコート層を設けることによって、バックコート層表面の摩擦係数を低減し、磁気テープの十分な走行安定性が得られることが開示されている。段落[0005]には、前記凸状の筋の高さについて、10nmよりも小さいと所期の効果が得られず、30nmよりも大きい場合は、テープをロール状にあるいはリールに巻き取った際に磁性層に変形を生じ、磁気ヘッドとのスペーシングロスが大きくなって出力の低下を招く恐れがあることが開示されている。
【0006】
特開2001−266331号公報には、支持体の一方の面上に磁性層が設けられ、前記支持体の他方の面上にバックコート層が設けられ、該バックコート層表面に凹状の溝が形成された磁気テープが開示されている(請求項1)。凹状の溝は、磁気テープ走行方向に伸びる連続又は不連続の溝であり(段落[0023])、溝の幅は、同伴エアーの排除のために1〜20μmの範囲であることが開示されている(段落[0031])。
【0007】
特開平6−333232号公報には、非磁性支持体の一方の面上に磁性塗料を塗布して形成された磁性層を有し、前記支持体の他方の面に、磁気テープの長手方向に長尺エッチング溝が形成された磁気テープが開示されている(請求項1)。
【0008】
特開平5−143976号公報には、記録媒体表面上、情報トラックの進行方向と直交方向が規則的に凹凸形状に形成された基板と、上記基板の凹部形状の情報トラックの進行方向に伸びた底面に設けられたデータ記録用磁性層とから構成された磁気記録媒体が開示されている(請求項1)。この磁気記録媒体は回転ディスクであり(請求項6)、上記磁性層表面と凸形状上部の起伏差が0.1μm以下であり(請求項2)、上記磁性層はスパッタリング膜又はスピン塗布膜で形成することが開示されている(段落[0004])。上記凸形状上部表面はスライダ材料、耐摩耗性材料、又は固体潤滑材料で構成されており(請求項7)、上記凸形状部には磁性層は設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−242814号公報
【特許文献2】特開平5−54366号公報
【特許文献3】特開2001−266331号公報
【特許文献4】特開平6−333232号公報
【特許文献5】特開平5−143976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電磁変換特性に優れると共に耐久性にも優れる磁気テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、磁性層の表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びたナノストラクチャーの多数の凹状溝を形成することにより、磁性層の表面平滑性を維持しつつ、磁気テープの耐久性を向上することができることを見いだした。
【0012】
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一方の面上の磁性層とを少なくとも有する磁気テープであって、
前記磁性層は、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含み、
前記磁性層表面には、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝が形成され、前記凹状溝の深さは1nm以上10nm以下である磁気テープ。
【0013】
(2) 互いに隣り合う前記凹状溝同士の間隔は、100nm以上1000nm以下である、上記(1)に記載の磁気テープ。
【0014】
(3) AFM(原子間力顕微鏡)を用いてAFMのプローブを磁気テープの幅方向にスキャンすることにより測定された前記磁性層表面の中心線平均粗さRa値(これをAFM中心線平均粗さRa値と称する)は、1.5nm以上3.0nm以下である、上記(1)又は(2)に記載の磁気テープ。
【0015】
(4) 前記磁性層は、0.30μm以下の厚さを有する、上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載の磁気テープ。
【0016】
(5) 前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤を少なくとも含む非磁性層を有する、上記(1)〜(4)のうちのいずれかに記載の磁気テープ。
【0017】
(6) 前記非磁性層は、0.3μm以上1.3μm以下の厚さを有する、上記(5)に記載の磁気記録媒体。
【0018】
(7) 上記(1)〜(6)のうちのいずれかに記載の磁気テープの製造方法であって、
非磁性支持体の一方の面上に、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含む磁性層用塗料を塗布、乾燥して磁性層を形成する工程と、
磁性層の形成後に、カレンダーロールを用いてカレンダー加工する工程とを含み、
カレンダー加工する際に、表面にロール回転方向に略平行に伸びた複数の凸状部が形成されているカレンダーロールを用いて、前記磁性層表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝を形成する工程を行う、磁気テープの製造方法。
【0019】
(8) 上記(5)に記載の磁気テープの製造方法であって、
非磁性支持体の一方の面上に、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤を少なくとも含む非磁性層用塗料を塗布して非磁性層を形成する工程と、
前記非磁性層上に、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含む磁性層用塗料を塗布、乾燥して磁性層を形成する工程と、
磁性層の形成後に、カレンダーロールを用いてカレンダー加工する工程とを含み、
カレンダー加工する際に、表面にロール回転方向に略平行に伸びた複数の凸状部が形成されているカレンダーロールを用いて、前記磁性層表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝を形成する工程を行う、磁気テープの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、磁性層の表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びたナノストラクチャーの複数の凹状溝が形成されているので、磁性層の表面平滑性を維持しつつ、磁気テープの耐久性を向上することができる。磁性層の表面平滑性及び電磁変換特性に優れると共に耐久性にも優れる磁気テープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の磁気テープの概略構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の磁気テープの磁性層表面の様子を示すテープ幅方向の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0022】
(1) :非磁性支持体
(2) :非磁性層
(3) :磁性層
(4) :バックコート層
(G) :凹状溝
(L) :凸状部
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照して、本発明の磁気テープは、非磁性支持体(1) と、非磁性支持体(1) の一方の面上の磁性層(3) とを少なくとも有し、非磁性支持体(1) の他方の面上のバックコート層(4) を通常有し、好ましくは、前記非磁性支持体(1) と前記磁性層(3) との間に非磁性層(2) を有する。
【0024】
前記非磁性層(2) は例えば厚さ0.3〜2.5μmであり、好ましくは0.3〜1.3μmであり、前記磁性層(3) は例えば厚さ0.30μm以下、好ましくは0.03〜0.30μmであり、前記バックコート層(4) は例えば厚さ0.3〜0.8μmであり、磁気テープの全厚は好ましくは4.0〜10.0μmである。なお、前記磁性層(3) 上に潤滑剤塗膜や磁性層保護用の各種塗膜などが必要に応じて設けられてもよい。また、非磁性支持体(1) の磁性層(3) が設けられる前記一方の面には、前記磁性層(3) 又は前記非磁性層(2) と非磁性支持体(1) との接着性の向上等を目的として、下塗り層(易接着層)が設けられてもよい。その際、下塗り層の厚さは0.05〜0.30μmが好ましい。接着性向上等の効果が発現するために下塗り層の厚さは0.05μm以上が好ましく、0.05μm以上0.30μm以下の厚さで十分な効果が得られる。
【0025】
[非磁性層]
下層の非磁性層(2) は、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤を少なくとも含む。
【0026】
下層非磁性層に含まれるカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜600m2 /g、DBP吸油量は30〜400ml/100g、粒子径は10〜100nmが好ましい。使用できるカーボンブラックは具体的には「カーボンブラック便覧」、カーボンブラック協会編を参考にすることができる。
【0027】
カーボンブラックの配合量は、下層非磁性層において5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%である。
【0028】
下層非磁性層に含まれるカーボンブラック以外の非磁性無機粉末としては、例えば、α−酸化鉄(α−Fe2 3 )、α−オキシ水酸化鉄(α−FeO(OH))、CaCO3 、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al2 3 等の無機粉末が挙げられる。これらのうち、α−酸化鉄、及びα−オキシ水酸化鉄の少なくとも一方が含まれることが好ましい。また、α−酸化鉄、及びα−オキシ水酸化鉄は針状のものが好ましい。
【0029】
カーボンブラックと前記カーボンブラック以外の非磁性無機粉末の配合比率は、質量比(カーボンブラック/カーボンブラック以外の非磁性無機粉末)で95/5〜5/95が好ましい。カーボンブラックの配合比率が5質量部を下回ると、表面電気抵抗に問題が生じることがある。カーボンブラック以外の非磁性無機粉末の配合比率が5質量部を下回ると、下層非磁性層の表面平滑性の悪化(下層非磁性層と上層磁性層との界面の均一性の低下)、及び機械的強度の低下の可能性がある。下層非磁性層の表面平滑性の悪化は、上層磁性層の表面平滑性の悪化の原因となる。
【0030】
下層非磁性層の結合剤樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、放射線(電子線又は紫外線)硬化性樹脂等が、媒体の特性、工程条件に合わせて適宜組み合わせて選択されて使用される。これらのうち、電子線硬化性樹脂が好ましく、以下に示すような電子線線硬化性の塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン樹脂の組み合わせで使用することが好ましく、以下に示すような電子線硬化性樹脂が好ましい。
【0031】
塩化ビニル系共重合体としては、塩化ビニル含有量60〜100質量%、特に60〜90質量%のものが好ましく、その平均重合度は100〜900程度であることが好ましく、100〜600程度であることがより好ましい。特に塩化ビニルとエポキシ(グリシジル)基を含有する単量体との共重合体が好ましい。電子線線硬化性の塩化ビニル系共重合体は、公知の手法により(メタ)アクリル系二重結合等を導入して電子線感応変性を行ったものである。
【0032】
上記塩化ビニル系樹脂と併用するポリウレタン樹脂とは、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオール等のヒドロキシ基含有樹脂とポリイソシアネート含有化合物との反応により得られる樹脂の総称であって、数平均分子量5,000 〜200,000 程度で、Q値(質量平均分子量/数平均分子量)1.5〜4程度のものである。電子線線硬化性のポリウレタン樹脂は、公知の手法により(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線感応変性を行ったものである。
【0033】
塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン樹脂に加えて、非磁性層において全結合剤の20質量%以下の範囲で、公知の各種樹脂が含有されてもよい。
【0034】
下層非磁性層に用いる結合剤樹脂の含有量は、下層非磁性層中のカーボンブラックとカーボンブラック以外の前記非磁性無機粉末の合計100質量部に対し、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは12〜30質量部である。結合剤の含有量が少なすぎると、下層非磁性層における結合剤樹脂の比率が低下し、十分な塗膜強度が得られない。結合剤の含有量が多すぎると、テープ幅方向の湾曲が強く起きやすく、ヘッドとの接触が悪くなる傾向にある。
【0035】
結合剤を硬化する架橋剤としては、各種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用いることができ、特に、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナートの1種以上を用いることが好ましい。架橋剤の含有量は、結合剤100重量部に対し、10〜30重量部とすることが好ましい。
【0036】
下層非磁性層には必要に応じて潤滑剤を含有することが好ましい。潤滑剤としては、飽和、不飽和に関わらず、ステアリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸、ブチルステアレート、ブチルパルミテート等の脂肪酸エステル、糖類など公知のものを、単独であるいは2種以上混合して用いることができ、融点の異なる脂肪酸を2種以上混合し用いることや、融点の異なる脂肪酸エステルを2種以上混合し用いることも好ましい。これは、磁気テープの使用される、あらゆる温度環境に応じた潤滑剤を、媒体表面に持続して供給する必要があるからである。
【0037】
下層非磁性層の潤滑剤の含有量は、目的に応じ適宜調整すればよいが、下層非磁性層中のカーボンブラックとカーボンブラック以外の前記非磁性無機粉末の合計質量に対し、1〜20質量%が好ましい。
【0038】
下層非磁性層形成用の塗料は、公知の方法で、上記各成分に有機溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行い調製する。用いる有機溶剤は特に制限はなく、上層磁性層に使用するものと同様のものが使用可能である。有機溶剤の添加量は、カーボンブラック、カーボンブラック以外の各種無機粉末等、結合剤樹脂及び多官能モノマーの合計量100質量部に対し100〜900質量部程度とすればよい。
【0039】
下層非磁性層の厚さは、通常0.3〜2.5μm、好ましくは0.5〜2.0μm、より好ましくは0.3〜1.3μmである。非磁性層が薄すぎると、非磁性支持体の表面粗さの影響を受けやすくなり、その結果、非磁性層の表面平滑性が悪化して磁性層の表面平滑性も悪化しやすくなり、電磁変換特性が低下する傾向にある。また、光透過率が高くなるので、テープ媒体端を光透過率の変化により検出する場合に問題となる。一方、非磁性層をある程度以上厚くしても性能は向上しない。
【0040】
[磁性層]
上層の磁性層(3) は、少なくとも強磁性粉末、及び結合剤を含有する。
【0041】
本発明において、強磁性粉末としては、金属磁性粉末又は六方晶形板状微粉末を用いることが好ましい。
【0042】
金属磁性粉末としては、保磁力Hcが118.5〜278.5kA/m(1500〜3500Oe)、飽和磁化σsが70〜160Am2/kg(emu/g)、平均長軸長が0.02〜0.1μm、平均短軸長が5〜20nm、アスペクト比が1.2〜20であることが好ましい。また、金属磁性粉末を用いて作製した媒体のHcは118.5〜278.5kA/m(1500〜3500Oe)が好ましい。金属磁性粉末としては、例えば、Fe、Co、Pt、Cr、Ndなどの合金で形成されたものを用いることができ、中でも保磁力と飽和磁化とを両立するという観点から、FeまたはCoの合金で形成されたものが好ましい。金属磁性粉末には、目的に応じてNi、Zn、Co、Al、Si、Yなどの希土類元素が添加元素として添加されていてもよい。
【0043】
六方晶形板状微粉末としては、保磁力Hcが79.6〜278.5kA/m(1000〜3500Oe)、飽和磁化σsが40〜70Am2/kg(emu/g)、平均板粒径が15〜80nm、板比が2〜7であることが好ましい。また、六方晶形板状微粉末を用いて作製した媒体のHcは94.8〜318.3kA/m(1200〜4000Oe)が好ましい。六方晶形板状微粉末としては、たとえば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体などの材料で形成されたものを用いることができ、中でも高保磁力の観点から、バリウムフェライトで形成されたものが好ましい。六方晶形板状微粒子には、目的に応じてNi、Co、Ti、Zn、Snなどの希土類元素が添加元素として添加されていてもよい。
【0044】
強磁性粉末は、磁性層を基準として70〜90質量%程度含まれていればよい。強磁性粉末の含有量が多すぎると、結合剤の含有量が減少するためカレンダー加工による表面平滑性が悪化しやすくなり、一方、強磁性粉末の含有量が少なすぎると、高い再生出力を得られない。
【0045】
磁性層の結合剤樹脂材料として、特に制限なく、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、放射線(電子線又は紫外線)硬化性樹脂等が、媒体の特性、工程条件に合わせて適宜組み合わせて選択されて使用される。
【0046】
磁性層に用いる結合剤樹脂の含有量は、強磁性粉末100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部、特に好ましくは10〜30質量部である。結合剤の含有量が少なすぎると、磁性層の強度が低下し、走行耐久性が悪化しやすくなる。一方、結合剤の含有量が多すぎると、強磁性粉末の含有量が低下するため、電磁変換特性が低下する傾向にある。
【0047】
さらに磁性層中には、磁性層の機械的強度を高めるためと、磁気ヘッドの目詰まりを防ぐために、例えばα−アルミナ(モース硬度9)等のモース硬度6以上の研磨材を含有させる。このような研磨材は通常、不定形状であり、磁気ヘッドの目詰まりを防ぎ、塗膜の強度を向上させる。
【0048】
研磨材の平均粒径は、例えば0.01〜0.2μmであり、0.05〜0.2μmであることが好ましい。平均粒径が大きすぎると、磁性層表面からの突出量が大きくなって、電磁変換特性の低下、ドロップアウトの増加、ヘッド摩耗量の増大等を招く。平均粒径が小さすぎると、磁性層表面からの突出量が小さくなって、ヘッド目詰まりの防止効果が不十分となる。
【0049】
平均粒径は、通常、透過型電子顕微鏡により測定する。研磨材の含有量は、強磁性粉末100質量部に対し、3〜25質量部、好ましくは5〜20質量部含有すればよい。
また、磁性層中には、必要に応じ、界面活性剤等の分散剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
【0050】
磁性層形成用の塗料は、公知の方法で、上記各成分に有機溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行い調製する。用いる有機溶剤は特に制限はなく、下層非磁性層に使用するものと同様のものが使用可能である。
【0051】
磁性層の厚さは0.03〜0.30μm、更に好ましくは0.05〜0.25μmとする。磁性層が厚すぎると、自己減磁損失や厚み損失が大きくなる。
【0052】
本発明において、前記磁性層(3) 表面には、磁気テープの長手方向に略平行に伸びたナノストラクチャーの多数の凹状溝(G) が形成されている。前記凹状溝(G) は、該凹状溝(G) の両側にそれぞれ位置しているテープ長手方向に略平行に伸びた凸状部(L) によって形成・画定されている。すなわち、前記磁性層(3) 表面には、テープ長手方向に略平行に伸びたナノストラクチャーの多数の凹状溝(G) 及び凸状部(L) が形成されている。前記凹状溝(G) は、連続した溝又は不連続の溝であってもよい。ナノストラクチャーの多数の凹状溝(G) 及び凸状部(L) は、磁性層(3) の表面平滑性を損ねることなく、磁性層表面と記録再生ヘッドあるいはテープ走行ガイドとの接触点を少なくし、磁性層表面の摩擦係数を低減させる。そのため、磁性層の表面平滑性及び電磁変換特性に優れると共に耐久性にも優れる磁気テープが得られる。
【0053】
なお、ここで言う磁性層の表面平滑性とは、従来から磁気テープ分野で求められている(巨視的な)表面平滑性を意味しており、スペーシングロスを生じることなく、電磁変換特性に優れるための要素である。本発明における磁性層の表面に形成された多数の凹状溝はナノストラクチャーのものであり、従来から一般に言われている磁性層の表面平滑性と矛盾するものではない。
【0054】
前記凹状溝(G) の深さ(Gd)は、1nm以上10nm以下であり、好ましくは3nm以上10nm以下である。凹状溝(G) の深さ(Gd)は、該凹状溝(G) を形成・画定している両側の凸状部(L) の頂点と、該凹状溝(G) の最深点との高低差である。前記凹状溝の深さが1nm未満であると、磁性層表面の摩擦係数の低減効果が得られにくい。前記凹状溝の深さが10nmを超えると、磁性層表面の摩擦係数の低減効果については問題はないが、該凹状溝部分におけるスペーシングロスの問題が生じることがある。前記凹状溝(G) の深さ(Gd)は、実施例において記載する方法により平均の深さとして求められる。
【0055】
凸状部(L) により隔てられた互いに隣り合う前記凹状溝(G) 同士の間隔(Gp)は、100nm以上1000nm以下が好ましく、100nm以上600nm以下がより好ましい。前記凹状溝(G) 同士の間隔(Gp)は、通常、互いに隣り合う前記凸状部(L) 同士の間隔(Lp)に等しい。このような間隔とすることによって、磁性層の表面平滑性を損ねることなく、磁性層表面の摩擦係数のより大きな低減効果が得られやすい。このような間隔とすると、テープの幅方向の50μm中において、前記凹状溝(G) 及び前記凸状部(L) が、それぞれ50〜500本存在することになる。前記凹状溝(G) 同士の間隔(Gp)は、実施例において記載する方法により平均の間隔として求められる。
【0056】
前記凹状溝(G) の長さについては、特に制限されるものではなく、連続した溝又は不連続の溝であってもよい。連続した溝の場合には、最大で磁気テープの全長の長さを有する連続溝となる。また、不連続の溝の場合には、摩擦係数低減効果の観点から、例えば50μm以上の長さを有することが好ましく、200μm以上の長さを有することがより好ましい。
【0057】
前記凹状溝(G) の形状(テープの幅方向断面における形状)については、特に制限されるものではなく、V字、U字等の形状が挙げられる。ナノオーダーレベルの非常に微細な溝であるので、微視的にはV字形状となりやすい。
【0058】
本発明において、AFM(原子間力顕微鏡)を用いてAFMのプローブを磁気テープの幅方向にスキャンすることにより測定された前記磁性層表面の中心線平均粗さRa値(AFM中心線平均粗さRa値)は、1.5nm以上3.0nm以下であることが好ましく、1.5nm以上2.5nm以下であることがより好ましい。このようなAFM中心線平均粗さRa値の範囲であれば、スペーシングロスの問題が生じることがなく、優れた電磁変換特性が得られる。AFM中心線平均粗さRa値の具体的な測定方法は、実施例の項において説明する。
【0059】
前記AFM中心線平均粗さRaとは異なり、従来の触針式の表面粗さ計、例えばタリステップTALYSTEP(テーラーホブソン社製)等の汎用機により測定される磁性層表面の中心線平均粗さRa(測定長500μm)は、好ましくは1.0〜5.0nm、より好ましくは1.0〜4.0nmとする。該Raが1.0nm未満では表面が平滑すぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じやすくなる。一方、該Raが5.0nmを越えると、磁性層表面が粗くなり、MR型ヘッドを用いた再生システムでは、再生出力等の電磁変換特性が劣化する。
【0060】
本発明のナノストラクチャー凹状溝(G) の有無によって、従来の表面粗さ計により測定される磁性層表面の中心線平均粗さRaの値には違いが現れず、磁気テープの幅方向と長手方向の表面粗さRaの値にも違いは現れない。一方、前記AFM中心線平均粗さRaについては、本発明のナノストラクチャー凹状溝(G) によって有意差が現れる。
【0061】
前記磁性層表面への前記凹状溝(G) 及び前記凸状部(L) の形成は、例えば、磁性層の形成後のカレンダー加工工程の際に行うことができる。通常、磁性層の形成後のカレンダー加工において用いられるカレンダーロールとしては、金属ロールと金属ロールの組み合わせ(いわゆるSSカレンダー)、あるいは金属ロールと樹脂ロールの組み合わせ(いわゆるSEカレンダー)を用いることができるが、いずれの組み合わせの場合にも磁性層面側には金属ロールを配置してカレンダー加工を行う。カレンダー加工する際に、磁性層面側に配置する金属ロールとして、表面にロール回転方向に略平行に伸びた多数の凸状部及び凹状部が形成されているカレンダーロールを用いると、磁性層表面を平滑化すると共に、前記磁性層表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた多数のナノストラクチャー凹状溝及び凸状部を形成することができる。前記金属ロール表面の凸状部が磁気テープの凹状溝に対応し、前記金属ロール表面の凹状部が磁気テープの凸状部に対応する。
【0062】
金属ロール表面への凸状部及び凹状部の形成は、種々の方法で行い得る。
従来、磁性層の形成後のカレンダー加工においては、磁性層表面の平滑化、磁性層の充填率アップを目的として、ロール表面が平坦面となされたカレンダーロールが用いられる。その金属ロール表面はCr、Ni、W等の金属鍍金が施されている。特にCr鍍金された金属ロールが好ましく用いられる。そのような金属ロール表面に例えば不織布、または織布を押し当てながらカレンダーロールを回転させることにより、該金属ロール表面に凸状部及び凹状部を形成することができる。不織布、または織布用の繊維としては、綿、羊毛、麻、パルプ、絹、鉱物繊維、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロース、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維、ガラス繊維等を用いることができる。これらの不織布、または織布として、日本バイリーン社製不織布TS507(目付50g/m2 、厚さ0.32mm、生地コットンセルロース100%)、同じくWP8085(目付85g/m2 、厚さ0.42mm、、ポリエステル、ナイロン)、東レ社製織布CCクリーンクロス(ポリエステル、目付70g/m2 、厚さ0.16mm)等が挙げられる。これらの不織布、または織布を金属ロール表面に押し当てながら、不織布、または織布の未使用部分を連続的に供給するとよい。押し当てる際の線圧力は0.50N/cm以上4.5N/cm以下とすると好ましい。線圧力を大きくすると、凸状部及び凹状部の高低差を大きく、間隔を狭く、数を多くすることができる。押し当てる時間を長くすると、連続する凸状部及び凹状部の長さを長くすることができる。
【0063】
また、砥石で金属ロール表面を円筒研磨することによっても、金属ロール表面に凸状部及び凹状部を形成することができる。砥石材質としては、褐色アルミナ研削材、白色アルミナ研削材、淡紅色アルミナ、研削材、解砕形アルミナ研削材、人造エメリー研削材、アルミナジルコニア研削材、黒色炭化けい素研削材、緑色炭化けい素研削材等を用いることができ、研削砥石用研磨材の粒度によって、所望の形状の凸状部及び凹状部を形成することができる。
【0064】
これらの方法を用いて隣り合う凸状部同士の間隔(すなわち隣り合う凹状部同士の間隔)が100nm以上1000nm以下となるように、凸状部(凹状部)がロールの幅方向の50μm中において50〜500本となるように凸状部及び凹状部を形成する。
【0065】
本発明において、前記凹状溝(G) は、磁気テープの長手方向に略平行に伸びたものであるが、長手方向からある程度傾斜した方向(例えばテープの長手方向から45度程度まで傾斜した方向)に伸びたものであってもよいであろう。磁性層表面の摩擦係数低減効果が得られるようにすればよい。
【0066】
[バックコート層]
バックコート層(4) は、走行安定性の改善や磁性層の帯電防止等のために必要に応じて設けられ、特に構造や組成は限定されないが、例えば、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤樹脂を含むものを用いることができる。
【0067】
バックコート層は、バックコート層を基準として30〜80重量%のカーボンブラックを含有することが好ましい。
【0068】
バックコート層には、前記カーボンブラック以外に、機械的強度をコントロールするために、各種非磁性無機粉末を用いることができ、無機粉末として例えば、α−Fe2 3 、CaCO3 、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al2 3 等を挙げることができる。
【0069】
バックコート層形成用の塗料は、公知の方法で、上記各成分に有機溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行い調製する。用いる有機溶剤は特に制限はなく、上層磁性層や下層非磁性層に使用するものと同様のものが使用可能である。
【0070】
バックコート層の厚さ(カレンダー加工後)は、1.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μmである。
【0071】
[非磁性支持体]
非磁性支持体(1) として用いる材料には特に制限はなく、目的に応じて各種可撓性材料、各種剛性材料から選択し、各種規格に応じて所定のテープ形状及び寸法とすればよい。例えば、可撓性材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリカーボネートなどの各種樹脂が挙げられる。非磁性支持体として、PEN、PA、PI、及びPAIから選ばれる樹脂製のフィルムが好ましい。非磁性支持体の厚さは、例えば3.0〜15.0μmであり、2.0〜6.0μmであることが好ましい。
【0072】
[磁気記録媒体の製造]
本発明において、調製された各非磁性層形成用塗料、磁性層形成用塗料、バックコート層形成用塗料を用いて、塗布、乾燥、カレンダー、硬化等により、それぞれの塗膜(塗層)を形成し、磁気テープを製造する。
【0073】
本発明において、下層非磁性層及び上層磁性層は、いわゆるウェット・オン・ドライ塗布方式によって形成してもよく、あるいは、ウェット・オン・ウェット塗布方式によって形成してもよい。ウェット・オン・ドライ塗布方式の場合には、まず、非磁性支持体の一方の面上に、非磁性層用塗料を塗布、乾燥し、必要に応じてカレンダー加工を行い、未硬化の下層非磁性層を得る。その後、未硬化の下層非磁性層を硬化させる。下層非磁性層の結合剤樹脂として放射線(電子線)硬化性樹脂を用いた場合には、放射線(電子線)照射を行い下層非磁性層を硬化させる。次に、硬化された下層非磁性層上に磁性層用塗料を塗布、配向、乾燥して、上層磁性層を形成する。バックコート層の形成の順序は任意であり、すなわち、下層非磁性層の形成前、下層非磁性層の形成後であり上層磁性層の形成前、上層磁性層の形成後のいずれであってもよい。
【0074】
磁気テープにおいて、前記下層非磁性層に含まれる結合剤、及び前記上層磁性層に含まれる結合剤は共に硬化させられている。
【0075】
塗布方法としては、グラビアコート、リバースロールコート、ダイノズルコート、バーコート等の公知の種々の塗布手段を用いることができる。
【0076】
前記磁性層表面に前記凹状溝(G) 及び前記凸状部(L) の形成を行うカレンダー加工(以下、「溝形成カレンダー加工」という)については、金属ロールと金属ロールの組み合わせ(いわゆるSSカレンダー)を用いてもよく、金属ロールと樹脂ロールの組み合わせ(いわゆるSEカレンダー)を用いてもよい。いずれの組み合わせの場合にも、磁性層面側に溝形成された金属ロールを配置して溝形成カレンダー加工を行う。
【0077】
前記溝形成カレンダー加工を実施するタイミングについては、例えば、
・未カレンダー加工の磁気テープを熱硬化し、熱硬化の後に前記溝形成カレンダー加工を行う;
・未カレンダー加工の熱硬化前の磁気テープについて前記溝形成カレンダー加工を行い、その後に熱硬化を行い、熱硬化の後に再度前記溝形成カレンダー加工を行う;
・未カレンダー加工の熱硬化前の磁気テープについて前記溝形成カレンダー加工を行い、その後に熱硬化を行い、熱硬化の後に通常の平坦面カレンダーロールを用いたカレンダー加工(溝形成カレンダー加工ではない)を行う;
・未カレンダー加工の熱硬化前の磁気テープについて前記溝形成カレンダー加工を行い、その後に熱硬化を行い、熱硬化の後に通常の平坦面カレンダーロールを用いたカレンダー加工、及び溝形成カレンダー加工のいずれをも行わない;
などが挙げられる。
【0078】
なお、上記の説明において「未カレンダー加工」とは、磁性層及びバックコート層が共に形成された磁気テープとしてカレンダー加工されていない状態を指している。下層非磁性層形成段階において必要に応じてカレンダー加工が行われていたとしても、磁性層及びバックコート層が共に形成された磁気テープとしてカレンダー加工が未だ行われていなければ、上記の説明においては「未カレンダー加工」の状態に該当する。
【0079】
溝形成カレンダー加工は、線圧力2000N/cm以上4000N/cm以下の加圧、80℃以上120℃以下のカレンダーロール表面温度で行うとよい。また、ニップ回数は4回が好ましく、5ロールのカレンダーロール(5段カレンダー)を用いて行うことができる。これらの条件は、溝形成カレンダー加工以外の通常の平坦面カレンダーロールを用いたカレンダー処理においても同様である。
【実施例】
【0080】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0081】
[実施例1]
(非磁性層用塗料の調製)
非磁性粉末 針状α−FeOOH 80.0質量部
(平均長軸長:0.1μm、結晶子径:12nm)
非磁性粉末 カーボンブラック 20.0質量部
(三菱化学(株)製 商品名:#950B、平均粒径:17nm、BET比表面積:250m2 /g、DBP吸油量:70ml/100g、pH:8)
電子線硬化型結合剤 電子線硬化性塩化ビニル系共重合体 12.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0246、(固形分)塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体、平均重合度:310、過硫酸カリ使用S含有量:0.6%(質量百分率)、2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を使用して日本ゼオン(株)製 MR110をアクリル変性したもの、アクリル含有量:6モル/1モル)
電子線硬化型結合剤 電子線硬化性ポリウレタン樹脂 10.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0216、(固形分)ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール、平均分子量:13,000、P含有量:0.2%(質量百分率)、アクリル含有量:8モル/1モル)
分散剤 リン酸エステル界面活性剤 3.2質量部
(東邦化学工業(株)製 商品名:RE−610)
研磨材 α−アルミナ 5.0質量部
(住友化学(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=33%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1(質量比)
【0082】
上記の材料をニーダーで混練した後、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。その後、さらに、下記潤滑剤材料:
潤滑剤 脂肪酸 0.5質量部
(日本油脂(株)製 商品名:NAA180)
潤滑剤 脂肪酸アマイド 0.5質量部
(花王(株)製 商品名:脂肪酸アマイドS)
潤滑剤 脂肪酸エステル 1.0質量部
(日光ケミカルズ(株)製 商品名:NIKKOLBS)
を添加して、
NV(固形分濃度)=25%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1(質量比)
となるように希釈した後、分散を行った。続いて、得られた塗料をさらに絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、非磁性塗料を作製した。
【0083】
(磁性層用塗料の調製)
強磁性粉末 Fe系針状強磁性粉末 100.0質量部
(Fe/Co/Al/Y=100/24/5/12(原子比)、Hc:188kA/m、σs:140Am2 /kg、BET比表面積値:60m2 /g、平均長軸長:0.45μm)
熱硬化型塩化ビニル樹脂 塩化ビニル共重合体 10.0質量部
(日本ゼオン(株)製 商品名:MR110)
熱硬化型ポリウレタン樹脂 ポリエステルポリウレタン 6.0質量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR8300)
分散剤 リン酸系界面活性剤 3.0質量部
(東邦化学工業(株)製、商品名:RE610)
研磨材 α−アルミナ 10.0質量部
(住友化学(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=70%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=4/4/2(質量比)
【0084】
上記の材料をニーダーで混練した後、混練物をNV(固形分濃度)=30%になるように上記と同じ混合比率の溶剤を用いて希釈し、この希釈物を前分散として、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。
【0085】
その後、さらに、前分散された塗料を、
NV(固形分濃度)=10%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=22.5/22.5/55(質量比)
となるように希釈してから、仕上げ分散を行った。続いて、得られた塗料に熱硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)4質量部を添加混合した後、さらに絶対濾過精度0.5μmのフィルターで濾過して、磁性層用塗料を作製した。
【0086】
(バックコート層用塗料の調製)
カーボンブラック 75.0質量部
(キャボット社製 商品名:BP−800、平均粒径17nm、DBP吸油量68ml/100g、BET比表面積210m2 /g)
カーボンブラック 15.0質量部
(キャボット社製 商品名:BP−130、平均粒径75nm、DBP吸油量69ml/100g、BET比表面積25m2 /g)
炭酸カルシウム
(白石工業(株)製 商品名:白艶華0、平均粒径30nm) 10.0質量部
ニトロセルロース 65.0質量部
(旭化成工業(株)製 商品名:BTH1/2)
ポリウレタン樹脂 35.0質量部
(脂肪族ポリエステルジオール/芳香族ポリエステルジオール=43/57)
NV(固形分濃度)=30%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/1(質量比)
【0087】
上記の材料のうち有機溶剤の一部を除いた状態で、上記材料をニーダーにて高粘度状態で十分に混練処理した。次いで、混練処理された材料に除いておいた有機溶剤を添加して、ディゾルバにて十分に攪拌し、その後、上記材料をニーダーにて混練処理した。その後、前分散として、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。
【0088】
その後、さらに、前分散された材料を、
NV(固形分濃度)=10%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=50.0/40.0/10.0(質量比)となるように希釈してから、仕上げ分散を行った。続いて、得られた塗料に熱硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)10質量部を添加混合した後、さらに絶対濾過精度0.5μmのフィルターで濾過して、バックコート層用塗料を作製した。
【0089】
(非磁性層形成工程/ウェットオンドライ)
厚さ5.0μmのベースフィルム(ポリエチレンナフタレートフィルム)の一方の面上に、カレンダー加工後の厚さが1.1μmになるように、上記の非磁性層用塗料をノズルにより押し出し塗布法で塗布して、乾燥した。その後、照射量4.0Mrad、加速電圧200kVにて電子線照射を行い、下層非磁性層を形成した。
【0090】
(磁性層形成工程)
上記のようにして形成した下層非磁性層上に、上記の磁性層用塗料を、カレンダー加工後の厚さが0.1μmになるようにノズルにより押し出し塗布法で塗布して、配向を行い、乾燥し、上層磁性層を形成した。
【0091】
(バックコート形成工程)
ベースフィルムの他方の面上に、上記のバックコート層用塗料を、加工後の厚さが0.4μmになるようにノズルにより押し出し塗布法で塗布して、乾燥し、バックコート層を形成した。
【0092】
(熱硬化工程)
以上のようにして得られた磁気記録テープ原反を、60℃で48時間熱硬化させた。
【0093】
(溝形成用カレンダーロールの作製工程)
カレンダーロールの磁性層面側に配置すべき金属ロール表面への凸状部及び凹状部の形成を以下のようにして行った。ロール表面が平坦面となされた通常のカレンダーロール(SSカレンダーロール)において磁性層面側に配置する金属ロール表面に不織布を2.0N/cmの線圧力で押し当てながら、金属ロールを回転させ、金属ロール表面へ凸状部及び凹状部を形成した。この際、不織布を金属ロールの回転方向と反対方向に連続的に供給することで常に新しい不織布を金属ロール表面に接触させるようにした。
・カレンダーロールの表面材料:Cr鍍金
・不織布:日本バイリーン社製 TS507(目付50g/m2 、厚さ0.32mm、生地コットンセルロース100%
・不織布を金属ロールに押し当てる時間:60分間
【0094】
溝を形成する前において、ロール表面が平坦面となされた上記通常の金属ロール表面について、東京精密製サーフコム130Aを用いて以下の条件で表面粗さを測定した。
・カットオフ値:0.08mm
・測定速度:0.3mm/s
・測定長:0.4mm
・算出規格:JIS82
以下の表面粗さであった。
・Ra=2.0nm
・Rmax=35nm
・Rt=30nm
(粗さの許容範囲は、Ra=1.5〜3nm、Rmax=25〜40nm、Rt=25〜35nmである)
【0095】
溝を形成した後において、金属ロール表面をAFMにより観察、測定したところ、以下のナノストラクチャーを有するロール回転方向に平行な凹状部及び凸状部が形成されていた。
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):5nm
・凸状部同士の間隔の平均:600nm
・凸状部の本数:83本/50μmロール幅
このようにして、溝形成用カレンダーロールを作製した。
【0096】
(溝形成カレンダー加工工程)
熱硬化後の磁気テープ原反について、溝形成カレンダー加工を以下のようにして行った。
・金属ロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーロールとした。
・ニップ数4回、加工温度110℃、線圧3500N/cmで加工した。
・5段カレンダーの内、磁性層面側に配置される金属ロールは3ロールとした。
・磁性層面側に配置される3つの金属ロールとしては、上記で作製した溝形成用カレンダーロールを使用した。すなわち、凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):5nm、凸状部同士の間隔の平均:600nm、凸状部の本数:83本/50μmロール幅
【0097】
(スリット工程)
次いで、1/2inch(=12.650mm)幅にスリット(裁断)し、実施例1の磁気テープのサンプルを作製した。
【0098】
[実施例2〜4、及び比較例1〜2]
溝形成用カレンダーロールの作製工程において、金属ロール表面に不織布を押し当てる線圧力をそれぞれ表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして磁気テープのサンプルをそれぞれ作製した。
【0099】
実施例2で用いた溝形成用カレンダーロール:
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):1nm
・凸状部同士の間隔の平均:1000nm
・凸状部の本数:50本/50μmロール幅
【0100】
実施例3で用いた溝形成用カレンダーロール:
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):7nm
・凸状部同士の間隔の平均:400nm
・凸状部の本数:125本/50μmロール幅
【0101】
実施例4で用いた溝形成用カレンダーロール:
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):10nm
・凸状部同士の間隔の平均:100nm
・凸状部の本数:500本/50μmロール幅
【0102】
比較例1で用いた溝形成用カレンダーロール:
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):0.3nm
・凸状部同士の間隔の平均:1300nm
・凸状部の本数:38本/50μmロール幅
【0103】
比較例2で用いた溝形成用カレンダーロール:
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):12nm
・凸状部同士の間隔の平均:80nm
・凸状部の本数:625本/50μmロール幅
【0104】
[実施例5]
磁性層面側に配置すべき溝形成用カレンダーロールの作製工程を次のように行った。
ロール表面が平坦面となされた通常のカレンダーロール(SSカレンダーロール)の表面を、砥石を用いて円筒研磨した。砥石材質として粒度#6000の白色アルミナ研削材を使用した。
【0105】
溝を形成した後において、金属ロール表面をAFMにより観察、測定したところ、以下のナノストラクチャーを有するロール回転方向に平行な凹状部及び凸状部が形成されていた。
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):7nm
・凸状部同士の間隔の平均:600nm
・凸状部の本数:83本/50μmロール幅
このようにして、溝形成用カレンダーロールを作製した。
【0106】
上記で作製した溝形成カレンダーロールを使用した以外は、実施例1と同様にして磁気テープのサンプルを作製した。
【0107】
[比較例3]
溝形成用カレンダーロールの作製工程において、砥石材質として粒度#4000の白色アルミナ研削材を使用した以外は、実施例5と同様にして磁気テープのサンプルを作製した。
【0108】
比較例3で用いた溝形成用カレンダーロール:
・凸状部の高さの平均(凹状部と凸状部との高低差):12nm
・凸状部同士の間隔の平均:80nm
・凸状部の本数:625本/50μmロール幅
【0109】
[比較例4]
溝形成用カレンダーロールの作製工程を行わず、ロール表面が平坦面となされた通常のカレンダーロール(SSカレンダーロール)を用いて、通常のカレンダー加工(加工温度110℃)を行った以外は、実施例1と同様にして磁気テープのサンプルを作製した。
【0110】
[比較例5〜6]
カレンダー加工の加工温度を、それぞれ100℃、90℃とした以外は、比較例4と同様にして磁気テープのサンプルをそれぞれ作製した。
【0111】
[磁気テープの評価]
各磁気テープサンプルについて、次の評価を行った。
【0112】
(磁性層表面のAFM中心線平均粗さRa、及び溝の測定方法)
AFM(原子間力顕微鏡)を用いてそのプローブを磁気テープの幅方向にスキャンして測定した。
・測定装置:キーエンス社製 KEYENCE VN−9800
・測定モード:DFM−Lモード
・測定視野:50μm×50μm
・サンプリング数:512ポイント×512ライン、
・スキャンスピード:3.00sec/line、フォースリファレンス:−10、Pゲイン:5、Iゲイン:30
に設定した。
【0113】
これにより高さデータを得た。この高さデータに面傾き補正(自動)とフラット補正を行い、高さデータ2とした。面傾き補正(自動)では、高さデータを元に、最小二乗法で近似平面を求め、求めた近似平面が水平になるように傾きを1次補正する。フラット補正ではそうして補正された各ラインの高さ平均値が等しくなるよう、さらに各ラインの高さにオフセット処理を行なった。このようにして得られた高さデータ2から磁気テープの表面画像と幅方向の断面曲線(水平線プロファイル)を得た。それら表面画像と断面曲線を対応させながら、表面画像で確認できる溝について、その数と深さを計測し、間隔(平均)と深さの平均を算出した。
【0114】
この高さデータ2について測定ライン毎の中心線平均粗さRaを求め、それを平均して磁気テープのAFM中心線平均粗さRaを得た。
【0115】
(磁性層表面のタリステップ中心線平均粗さRa)
「TALYSTEPシステム」(テーラーホブソン社製)を用い、JIS B0601−1982に基づいて、テープの磁性層表面の中心線平均粗さRaの測定を行った。
測定の条件は、フィルター0.18〜9Hz、触針0.1×2.5μmスタイラス、触針圧2mg、測定スピード0.03mm/sec、測定長さ500μmとした。
【0116】
(ビットエラーレートb−ERTの測定)
カートリッジに組み込んだ各磁気テープサンプルについて、磁気記録ヘッドで記録波長0.15μmの単一記録波長を記録し、信号のP−P値(振幅)に対して50%以下のP−P値(振幅)の信号をミッシングパルスとし、4個以上連続したミッシングパルスを欠陥Long Defectとして検出した。基準テープとしての比較例2の磁気テープサンプルの1m当たりのLong Defectの個数をNとし、各磁気テープサンプルの1m当たりのLong Defectの個数をXとし、各磁気テープサンプルについてLog10(X/N)をビットエラーレートとしてそれぞれ算出した。算出した各ビットエラーレートの比較を行った。ビットエラーレートは0.00より小さいと「良」、0.00以上では「不良」と判定する。なお、再生ヘッドとしては、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)を用いた。
【0117】
(磁気テープの耐久摩擦の測定方法)
株式会社横浜システム研究所製の縦型高速引張試験機(High Speed Tension Meter)を使用して、磁気テープの磁性層表面について耐久摩擦試験を次の測定条件で行った。
【0118】
<耐久摩擦測定条件>
抱き角度:90度、荷重:50g、測定速度:30mm/sec、測定長さ:50mm、測定回数:1800サイクル、ピンの材質:SUS302、ピンの直径:2.6mm、測定環境:29℃、80%RH
【0119】
テープ耐久性の評価基準:
1800サイクル中最大値(通常1800pass目)の摩擦係数(Fmax)と1pass目の摩擦係数(F1)との比(Fmax/F1)が1.5未満であるものを「良」、1.5以上であるものを「不良」とした。
【0120】
[金属ロール表面の溝の測定方法]
AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、そのプローブを磁性層面側に配置する金属ロール表面の幅方向にスキャンして測定した。
・測定装置:キーエンス社製 KEYENCE VN−9800
・測定モード:コンタクトモード
・測定視野:50μm×50μm
・サンプリング数:512ポイント×512ライン、
・スキャンスピード:3.00sec/line、フォースリファレンス:+20、Pゲイン:80、Iゲイン:5
に設定した。
【0121】
これにより高さデータを得た。この高さデータに面傾き補正(自動)とフラット補正を行い、高さデータ2とした。面傾き補正(自動)では、高さデータを元に、最小二乗法で近似平面を求め、求めた近似平面が水平になるように傾きを1次補正する。フラット補正ではそうして補正された各ラインの高さ平均値が等しくなるよう、さらに各ラインの高さにオフセット処理を行なった。このようにして得られた高さデータ2から金属ロールの表面画像と幅方向の断面曲線(水平線プロファイル)を得た。それら表面画像と断面曲線を対応させながら、表面画像で確認できる溝について、その数と深さを計測し、間隔(平均)と深さの平均を算出した。
【0122】
以上の結果を表1に示す。
【0123】
表1から分かるように、実施例1〜5において、電磁変換特性に優れると共に耐久性にも優れる磁気テープが得られた。
【0124】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一方の面上の磁性層とを少なくとも有する磁気テープであって、
前記磁性層は、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含み、
前記磁性層表面には、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝が形成され、前記凹状溝の深さは1nm以上10nm以下である磁気テープ。
【請求項2】
互いに隣り合う前記凹状溝同士の間隔は、100nm以上1000nm以下である、請求項1に記載の磁気テープ。
【請求項3】
AFM(原子間力顕微鏡)を用いてAFMのプローブを磁気テープの幅方向にスキャンすることにより測定された前記磁性層表面の中心線平均粗さRa値は、1.5nm以上3.0nm以下である、請求項1又は2に記載の磁気テープ。
【請求項4】
前記磁性層は、0.30μm以下の厚さを有する、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の磁気テープ。
【請求項5】
前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤を少なくとも含む非磁性層を有する、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の磁気テープ。
【請求項6】
前記非磁性層は、0.3μm以上1.3μm以下の厚さを有する、請求項5に記載の磁気テープ。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれかに記載の磁気テープの製造方法であって、
非磁性支持体の一方の面上に、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含む磁性層用塗料を塗布、乾燥して磁性層を形成する工程と、
磁性層の形成後に、カレンダーロールを用いてカレンダー加工する工程とを含み、
カレンダー加工する際に、表面にロール回転方向に略平行に伸びた複数の凸状部が形成されているカレンダーロールを用いて、前記磁性層表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝を形成する工程を行う、磁気テープの製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の磁気テープの製造方法であって、
非磁性支持体の一方の面上に、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤を少なくとも含む非磁性層用塗料を塗布して非磁性層を形成する工程と、
前記非磁性層上に、強磁性粉末、及び結合剤を少なくとも含む磁性層用塗料を塗布、乾燥して磁性層を形成する工程と、
磁性層の形成後に、カレンダーロールを用いてカレンダー加工する工程とを含み、
カレンダー加工する際に、表面にロール回転方向に略平行に伸びた複数の凸状部が形成されているカレンダーロールを用いて、前記磁性層表面に、磁気テープの長手方向に略平行に伸びた複数の凹状溝を形成する工程を行う、磁気テープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−43513(P2012−43513A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185642(P2010−185642)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】