説明

磁気ディスク検査方法及び磁気ディスク検査装置

【課題】検査条件がそれぞれ異なるグライド検査とサーティファイ検査を同時に行なえるようにする。
【解決手段】所定の回転数で回転中の磁気ディスクの記録面に沿って、サーティファイテスト用ヘッドと熱変形利用機構(マイクロ熱アクチュエータ)を備えたグライドテスト用ヘッドとを同時に移動させることによって、グライドテストとサーティファイテストを同時に行なう。グライドテスト用ヘッドは、磁気ディスクの回転数に応じて浮上高さが決定する。サーティファイテスト時の回転数に応じてグライドテスト用ヘッドの浮上高さが決定した場合に、グライドテスト用ヘッドに設けてある熱変形利用機構の変化量を調整してグライドテスト用ヘッドを所望の浮上高さとなるようにしている。これによって、グライド検査とサーティファイ検査を同時に行なうことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度記録の磁気ディスクを効率よく検査する磁気ディスク検査方法及び磁気ディスク検査装置に係り、特にグライド検査とサーティファイヤ検査を同時に行なうことのできる磁気ディスク検査方法及び磁気ディスク検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクデバイス(HDD)の記録媒体である磁気ディスクは、アルミニウムやガラスなどの円板をベースとし、その表面に磁性膜が塗布され、さらに、その上に保護膜がコーテングされて構成されている。この保護膜の表面は、突起などの凹凸ができるだけ少ない平滑な平面であることが望ましく、磁性膜に対してはその記録性能が良好であることが要求される。従来は、保護膜の平滑度はグライド検査装置によって検査され、磁性膜の記録性能はサーティファイ検査によって検査される。グライド検査とサーティファイ検査を効率よく行なうようにした磁気ディスク検査装置として特許文献1に示すようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−162496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す磁気ディスク検査装置は、バーニッシュやグライド検査を行なういずれかのヘッドとサーティファイ検査を行うヘッドとを、ヘッド移動方向に対して直角な方向に並べて取付けたヘッド移動機構を2つ設けて、ヘッド切換えのための各ヘッドの移動をヘッド移動機構側で行なうのではなく、スピンドル側をヘッドの移動方向に対して直角に移動させることで行うようにしたものである。
特許文献1に記載のものは、ヘッドを切り替えるための移動機構をスピンドル移動機構1つで行なうことができるので、機構部分を簡略化することができ、高精度のヘッド位置決めが可能であり、また、グライド検査及びサーティファイ検査用のヘッドの切り替えを行なうためにヘッドを移動させる必要がないので、ヘッドの横ブレもなく、磁気ディスクに対して高速で高精度の検査を行なうことができるというすぐれたものである。
【0005】
グライド検査は、ピエゾ振動センサを組込んだグライドヘッドを用いて、ディスク上の突起に接触したときにヘッドに生じる振動を検出して検査を行なう。検出すべき突起の高さは、ヘッド浮上高さがディスク回転数に依存することを利用して、ディスク回転数を制御して設定している。一方、サーティファイ検査は、記録再生機能のあるヘッドを用いて、定められた回転数で回転中のディスクに検査信号を記録し、記録された検査信号を再生することによって検査を行なっている。
このように2つの検査は、回転数条件がそれぞれ異なるので、同時に行なうことは不可能であり、ひとつの検査スピンドルでグライド検査を行った後でサーティファイ検査を行なうか、または別々のスピンドルでそれぞれ別々に同時に検査を行なうというのが現状であった。
【0006】
この発明の目的は、上述の点に鑑みなされたものであって、検査条件がそれぞれ異なるグライド検査とサーティファイ検査を同時に行なうことのできる磁気ディスク検査方法及び磁気ディスク検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る磁気ディスク検査方法の第1の特徴は、所定の回転数で回転中の磁気ディスクの記録面に沿って、サーティファイテスト用ヘッドと熱変形利用機構を備えたグライドテスト用ヘッドとを同時に移動させることによって、グライドテストとサーティファイテストを同時に行なうことにある。グライドテスト用ヘッドは、磁気ディスクの回転数に応じて浮上高さが決定する。そこで、この発明では、サーティファイテスト時の回転数に応じてグライドテスト用ヘッドの浮上高さが決定した場合に、グライドテスト用ヘッドに設けてある熱変形利用機構の変化量を調整してグライドテスト用ヘッドを所望の浮上高さとなるようにしている。これによって、グライド検査とサーティファイ検査を同時に行なうことができるようになる。
【0008】
本発明に係る磁気ディスク検査方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の磁気ディスク検査方法において、前記グライドテスト用ヘッド及び前記サーティファイテスト用ヘッドが同一半径とならないように前記グライドテスト用ヘッドの半径方向の移動を前記サーティファイテスト用ヘッドより先行させ、前記グライドテスト用ヘッドで不良ディスクの突起を検出したときにサーティファイテストを中断することにある。これは、グライドテスト用ヘッドの半径方向の移動をサーティファイテスト用ヘッドよりも先行させて、両ヘッドが同一半径とならないように、すなわち両ヘッドにそれぞれ異なるトラックをトレースさせることによって、グライドテスト用ヘッドが先に不良ディスクの突起を検出したときにサーティファイテストを中断させるようにしたものである。これによって、グライドテスト用ヘッドが先に不良ディスクの突起を検出することができるので、サーティファイテスト用ヘッドは不良ディスクの突起によるダメージを受けることなく、検査を行うことができる。
【0009】
本発明に係る磁気ディスク検査方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の磁気ディスク検査方法において、前記熱変形利用機構が、マイクロ熱アクチュエータから構成され、このマイクロ熱アクチュエータに供給される印加電力に応じて前記グライドテスト用ヘッドと前記磁気ディスクの記録面との間の距離(浮上高さ)を調整することによって前記グライドテストを実行することにある。これは、熱変形利用機構がマイクロ熱アクチュエータであり、このマイクロ熱アクチュエータに供給される印加電力を調整して、その変形量を調整して浮上高さを調整するようにしたものである。
【0010】
本発明に係る磁気ディスク検査装置の第1の特徴は、磁気ディスクを装着状態で回転させるスピンドル手段と、熱変形利用機構を備えたグライドテスト用ヘッドを前記スピンドルに装着された前記磁気ディスクの記録面に沿って移動させる第1のヘッド移動手段と、サーティファイテスト用ヘッドを前記スピンドルに装着された前記磁気ディスクの記録面に沿って移動させる第2のヘッド移動手段と、前記第1及び第2のヘッド移動手段によって前記グライドテスト用ヘッド及び前記サーティファイテスト用ヘッドを前記磁気ディスクの記録面に沿って同時に移動させて、グライドテストとサーティファイテストを同時に行なうように制御する制御手段とを備えたことにある。これは、前記磁気ディスク検査方法の第1の特徴に対応した磁気ディスク検査装置の発明である。
【0011】
本発明に係る磁気ディスク検査装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の磁気ディスク検査装置において、前記制御手段は、前記グライドテスト用ヘッド及び前記サーティファイテスト用ヘッドが同一半径とならないように前記グライドテスト用ヘッドの半径方向の移動を前記サーティファイテスト用ヘッドより先行させ、前記グライドテスト用ヘッドで不良ディスクの突起を検出したときにサーティファイテストを中断することにある。これは、前記磁気ディスク検査方法の第2の特徴に対応した磁気ディスク検査装置の発明である。
【0012】
本発明に係る磁気ディスク検査装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の磁気ディスク検査装置において、前記熱変形利用機構が、マイクロ熱アクチュエータから構成され、このマイクロ熱アクチュエータに供給される印加電力に応じて前記グライドテスト用ヘッドと前記磁気ディスクの記録面との間の距離(浮上高さ)を調整することによって前記グライドテストを実行することにある。これは、前記磁気ディスク検査方法の第3の特徴に対応した磁気ディスク検査装置の発明である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検査条件がそれぞれ異なるグライド検査とサーティファイ検査を同時に行なうことができるという効果がある。これによって、検査装置の小型化及びスループットの大幅な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の磁気ディスク検査装置の概略構成であるヘッドローディング機構部を上側から見た上面図である。
【図2】図1の側面図とその制御系を示す図である。
【図3】磁気ディスク検査装置における磁気ディスクの回転数とグライドヘッドの浮上高さとの関係をマイクロ熱アクチュエータの印加電力をパラメータとして示す特性図である。
【図4】磁気ディスク検査装置における磁気ディスクの回転数とグライドヘッドの浮上高さとの関係をマイクロ熱アクチュエータの印加電力をパラメータとして示す別の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の磁気ディスク検査装置の概略構成であるヘッドローディング機構部を上側から見た上面図である。図2は、図1の側面図とその制御系を示す図である。図1において、磁気ディスク検査装置10は、ベース12、スピンドル14、駆動モータ16、グライド検査部20、サーティファイ検査部30及び制御装置40から構成される。
【0016】
ベース12は、略矩形状をしており、その中央部に駆動モータ16が設けられ、その両側にグライド検査部20とサーティファイ検査部30が設けられている。スピンドル14は駆動モータ16の回転軸に結合されている。駆動モータ16の下側には制御装置40が設けられており、駆動モータ16は制御装置40からの制御信号に応じて駆動制御される。駆動モータ16の上側にスピンドル14が結合され、その下側周囲がベース12に固定されている。スピンドル14の上側には、被検査対象となる磁気ディスク1の中心部に設けられた孔の内径に係合するチャックが設けられている。このチャックは、発明に直接関係していないので説明を省略する。
【0017】
グライド検査部20は、キャリッジ22、移動台24及びグライドヘッド26から構成される。サーティファイ検査部30は、キャリッジ32、移動台34及びサーティファイヘッド36から構成される。グライド検査部20のキャリッジ22と、サーティファイ検査部30のキャリッジ32は、スピンドル14の両側でスピンドル14の回転中心に対してほぼ点対称に配置され、ベース12上面に固定されている。サーティファイ検査部30のキャリッジ32はグライドヘッド26を、サーティファイ検査部30のキャリッジ32はサーティファイヘッド36を、図中の左右方向(X方向)にスライド移動させる。なお、図ではキャリッジ22,32の内部構造について発明とは直接関係ないので、図示を省略してあるが、内部には、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータが内蔵されていて、このアクチュエータにより移動台24,34が駆動されるようになっている。
【0018】
この実施の形態では、グライド検査とサーティファイ検査を同時に行なうために、グライドヘッド26に、正圧型のテストヘッドであって、マイクロ熱アクチュエータなどの熱膨張により記録再生部分の素子を磁気ディスク1側に変位させる機構を搭載したものを用いている。
【0019】
制御装置40は、ディスク回転制御部42、サーティファイ回転数指示部44、マイクロ熱アクチュエータ電力値指示部及びサーティファイ&グライド同時検査部48から構成される。サーティファイ回転数指示部44は、スピンドル14上に載置された磁気ディスク1のサーティファイテスト時の回転数をそれぞれディスク回転制御部42、マイクロ熱アクチュエータ電力値指示部及びサーティファイ&グライド同時検査部48に出力する。ディスク回転制御部42は、サーティファイ回転数指示部44からのサーティファイテスト時の回転数となるようにスピンドル14の回転数を制御する。サーティファイ&グライド同時検査部48は、スピンドル14の回転数が所望の回転数に達した時点で、キャリッジ32,34の駆動を制御して、サーティファイテスト及びグライドテストを実行する。すなわち、サーティファイ&グライド同時検査部48は、キャリッジ32,34に制御信号を出力し、その制御信号に応じて磁気ディスク1に対してグライドヘッド26及びサーティファイヘッド36を移動させてサーティファイテスト及びグライドテストを実行し、テストが終了した場合には磁気ディスク1から各ヘッドを退避させて、検査を終了する。
【0020】
この実施の形態に係るグライドヘッド26にはマイクロ熱アクチュエータが搭載されているので、マイクロ熱アクチュエータ電力値指示部46は、グライドヘッド26に搭載されているマイクロ熱アクチュエータへの印加電力の値を、サーティファイ回転数指示部44からのサーティファイテスト時の回転数に基づいて制御している。すなわち、マイクロ熱アクチュエータは、その印加電力値の大きさに応じて表面形状変化量すなわちグライドヘッド26の記録再生部分の磁気ディスク1表面に対する浮上高さを調整することができる。マイクロ熱アクチュエータ電力値指示部46からマイクロ熱アクチュエータへ供給される印加電力を大きくすると、それに応じてグライドヘッド26の表面形状変化量(突出量)が増加し、それに従って磁気ディスク1の表面とグライドヘッド26との間隔が狭まることになる。逆に、マイクロ熱アクチュエータ電力値指示部46からマイクロ熱アクチュエータへ供給中の印加電力を小さくすると、それに応じてグライドヘッド26の表面形状変化量(突出量)が減少し、それに従って磁気ディスク1の表面とグライドヘッド26との間隔が広まることになる。
【0021】
この磁気ディスク検査装置10の動作を説明する。スピンドル14の回転中心が点O1の位置(第1の位置)にあるとする。サーティファイ&グライド同時検査部48からの制御信号に応じて、各キャリッジ32,34と共にグライドヘッド26とサーティファイヘッド36はそれぞれX方向(図2の左右方向)において磁気ディスク1の半径方向にその表面に沿って移動される。グライドヘッド26とサーティファイヘッド36は同一(又は異なる)トラックをトレースして、グライドテストとサーティファイテストを同時に行う。サーティファイ&グライド同時検査部48によってキャリッジ32,34が同時に制御され、グライドヘッド26とサーティファイヘッド36とが磁気ディスク1の半径方向にその表面に沿って移動することによって、磁気ディスク1の全領域についてグライドテストとサーティファイテストを同時に実施することができる。これによって、グライドテストとサーティファイテストを個々に行なう場合に比べて、その検査時間を約半分にすることができる。また、グライドヘッド26の半径方向の移動をサーティファイヘッド36よりも先行させ、両ヘッドが同一半径とならないように、すなわち両ヘッドに異なるトラックをトレースさせることにより、グライドヘッド26が先に不良ディスクの突起を検出したときにサーティファイテストを中断させる。このようにグライドヘッド26の半径方向の移動をサーティファイヘッド36よりも先行させることによって、グライドヘッド26が先に不良ディスクの突起を検出することとなるので、サーティファイヘッド36は不良ディスクの突起によるダメージを受けることなく、検査を行うことができるという効果がある。
【0022】
通常、サーティファイテストを行なう場合は、磁気記録媒体である磁気ディスク1の回転数すなわちスピンドル14の回転数を約5000〜6000[rpm]の範囲に設定して行なう必要がある。サーティファイテスト時の回転数は、時期記録媒体が実際の使用される場合の回転数に依存している。現在では、15000〜20000[rpm]のような高速なハードディスクも存在する。この場合は、その実際に使用される回転数でサーティファイテストを行なう必要がある。
【0023】
一方、グライドテストにおけるグライドヘッド26の浮上高さは種々の要素で決まる。すなわち、浮上高さは主に空気流の流速とスライダの浮上レール幅、荷重によって決まる。浮上レール幅と荷重はグライドヘッドによって決まっているため、磁気ディスク1の回転数と磁気ディスク1上のグライドヘッド26の位置によって決まる線速度で浮上高さが決まる。従って、磁気ディスクの回転数を変えて、線速度を磁気ディスク1の面内で一定とすることで、磁気ディスク1上に一定の浮上高さをもってグライドヘッド26を浮上させることができる。すなわち、グライドテストを行なう場合は、磁気記録媒体である磁気ディスク1の回転数すなわちスピンドル14の回転数がグライドヘッド26の浮上高さを決定する重要なファクタとなっている。従って、この実施の形態では、グライドヘッド26に、正圧型のものを用いている。また、グライドヘッド26の浮上高さをいくらにするかで、磁気記録媒体である磁気ディスク1の回転数すなわちスピンドル14の回転数は必然的に決まってくる。この実施の形態では、グライドヘッド26に搭載されたマイクロ熱アクチュエータに供給する印加電力値を調整することによって、グライドヘッド26の表面形状、すなわち、グライドヘッド26の磁気ディスク1の表面からの浮上高さを変位させているので、スピンドル14の回転数とグライドヘッドの浮上高さを任意に調整することができる。
【0024】
図3は、この実施の形態に係る磁気ディスク検査装置における磁気ディスクの回転数とグライドヘッドの浮上高さとの関係をマイクロ熱アクチュエータの印加電力をパラメータとして示す特性図である。図において、横軸は磁気ディスク1すなわちスピンドル14の回転数[rpm]、縦軸はグライドヘッド26の磁気ディスク表面からの浮上高さ[μm]である。曲線P0はマイクロ熱アクチュエータへ印加電力を供給しない場合の浮上高さ、曲線P2はマイクロ熱アクチュエータへ最大の印加電力を供給した場合の浮上高さ、曲線P1は、マイクロ熱アクチュエータへ最大値の約半分の印加電力を供給した場合の浮上高さをそれぞれ示す。図3に示すように、マイクロ熱アクチュエータへの印加電力を適宜調整することによって、グライドヘッド26の浮上高さを調整することができる。
図4は、この実施の形態に係る磁気ディスク検査装置の磁気ディスクの回転数とグライドヘッドの浮上高さとの関係をマイクロ熱アクチュエータの印加電力をパラメータとして示す別の特性図である。図4の特性図は図3のものに比べて、全体的にスピンドル14の回転数に対応した浮上高さが小さくなっている。
【0025】
例えば、サーティファイ検査時のスピンドル14の回転数が6000[rpm]であって、グライド検査テストを80[nm]付近で行ないたい場合には、図3のような特性を示すマイクロ熱アクチュエータを備えたグライドヘッド26を使用する。一方、サーティファイ検査時のスピンドル14の回転数が8000[rpm]であって、グライド検査テストを80[nm]付近で行ないたい場合には、図4のような特性を示すマイクロ熱アクチュエータを備えたグライドヘッド26を使用する。このように、サーティファイ検査時の回転数とグライド検査時の浮上高さとの関係に基づいて所望の特性を示すグライドヘッド26を適宜選択する。なお、図3及び図4の特性は一例であり、種々の特性を示すものが存在することは言うまでもない。この中からサーティファイ検査とグライド検査とに適したものを選択することになる。
【0026】
なお、上述の実施の形態では、グライドヘッド26が1個の場合を示しているが、図3及び図4のような異なる特性を示すマイクロ熱アクチュエータ装着のグライドヘッドを複数個設け、それをサーティファイテスト時の回転数とグライドテストの浮上高さとに応じて、最適な特性を示すグライドヘッドを選択することが好ましい。
熱変形を利用する機構(マイクロ熱アクチュエータやThermal Fly−height Control、又はDFC:Dynamic Flying Control)に限られるものではなく、浮上面の面外への変形を生じさせられる機構であればよい。
【符号の説明】
【0027】
1…磁気ディスク、
10…磁気ディスク検査装置、
12…ベース、
14…スピンドル、
16…駆動モータ、
20…グライド検査部、
22…キャリッジ、
24…移動台、
26…グライドヘッド、
30…サーティファイ検査部、
32…キャリッジ、
34…移動台、
36…サーティファイヘッド、
40…制御装置、
42…ディスク回転制御部、
44…サーティファイ回転数指示部、
46…マイクロ熱アクチュエータ電力値指示部、
48…サーティファイ&グライド同時検査部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転数で回転中の磁気ディスクの記録面に沿って、サーティファイテスト用ヘッドと熱変形利用機構を備えたグライドテスト用ヘッドとを同時に移動させることによって、グライドテストとサーティファイテストを同時に行なうことを特徴とする磁気ディスク検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気ディスク検査方法において、
前記グライドテスト用ヘッド及び前記サーティファイテスト用ヘッドが同一半径とならないように前記グライドテスト用ヘッドの半径方向の移動を前記サーティファイテスト用ヘッドより先行させ、前記グライドテスト用ヘッドで不良ディスクの突起を検出したときにサーティファイテストを中断することを特徴とする磁気ディスク検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気ディスク検査方法において、
前記熱変形利用機構は、マイクロ熱アクチュエータから構成され、このマイクロ熱アクチュエータに供給される印加電力に応じて前記グライドテスト用ヘッドと前記磁気ディスクの記録面との間の距離(浮上高さ)を調整することによって前記グライドテストを実行することを特徴とする磁気ディスク検査方法。
【請求項4】
磁気ディスクを装着状態で回転させるスピンドル手段と、
熱変形利用機構を備えたグライドテスト用ヘッドを前記スピンドルに装着された前記磁気ディスクの記録面に沿って移動させる第1のヘッド移動手段と、
サーティファイテスト用ヘッドを前記スピンドルに装着された前記磁気ディスクの記録面に沿って移動させる第2のヘッド移動手段と、
前記第1及び第2のヘッド移動手段によって前記グライドテスト用ヘッド及び前記サーティファイテスト用ヘッドを前記磁気ディスクの記録面に沿って同時に移動させて、グライドテストとサーティファイテストを同時に行なうように制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする磁気ディスク検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気ディスク検査装置において、
前記制御手段は、前記グライドテスト用ヘッド及び前記サーティファイテスト用ヘッドが同一半径とならないように前記グライドテスト用ヘッドの半径方向の移動を前記サーティファイテスト用ヘッドより先行させ、前記グライドテスト用ヘッドで不良ディスクの突起を検出したときにサーティファイテストを中断することを特徴とする磁気ディスク検査装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の磁気ディスク検査装置において、
前記熱変形利用機構は、マイクロ熱アクチュエータから構成され、このマイクロ熱アクチュエータに供給される印加電力に応じて前記グライドテスト用ヘッドと前記磁気ディスクの記録面との間の距離(浮上高さ)を調整することによって前記グライドテストを実行することを特徴とする磁気ディスク検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate