説明

磁気ディスク検査装置及び検査方法

【課題】
磁気ディスク検査において、カセットから取り出した磁気ディスクの両面を検査し、検査結果に応じたグレード分けをして再びカセットに戻すまでのトータルをスループットを高い状態を維持しつつ、低発塵環境の中で実施することを可能にする。
【解決手段】
カセットに収納された複数の未検査の基板をカセットから取出し、このカセットから取出した複数の基板を磁気ディスク検査装置の複数の基板取出・供給位置で複数の回転駆動部に載置し複数の検査位置に搬送し、この複数の基板を複数の回転駆動部で回転させながら光を照射して光学的に検査し、光学的な検査を終了した複数の基板を複数の基板取出・供給位置に搬送し、この搬送された複数の基板を取出し、この取出した複数の基板を検査が終了した基板を収納するカセットに光学的な検査の結果に応じて分別して収納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクを検査する検査装置に係り、特に、磁気ディスクの両面の傷や異物などを光学的に検査するのに好適な磁気ディスク検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク(メディア)は、年々記録密度が高くなってきており、それに伴い製造工程で管理すべきディスク表面の欠陥のサイズがより小さくなってきている。一方、スループットは従来にレートを維持して生産しなければならず、微細な欠陥を検出するために検査の時間を十分に確保するためにはディスクを検査装置に出し入れするためのハンドリング時間を短くすると共に、ディスク出し入れ時に微細な異物がディスクの表面に付着するのを極力防止しなければならない。
【0003】
磁気ディスクは、基板の両面に磁性膜が形成されるため、基板の両面を同じ精度で検査しなければならない。この両面を検査する方法として、先ず、基板の一方の面を検査し、次に基板を反転させて他方の面を検査することが行われている。この基板の両面を片方ずつ順次検査する方法として、特許文献1には、ハンドリングロボットを用いて2つのスピンドルを備えた検査装置で第1のスピンドルに装着されて一方の面が検査されたディスクをハンドリングロボットで反転させて第2のスピンドルに装着し、他方の面の検査が終わったら第2のスピンドルから取り外してディスク排出位置へ搬送する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−32415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査のスループットを維持しつつ高い検査精度を確保するためには、ディスクの検査装置への出し入れやディスクを反転させるためのハンドリング時間をできるだけ短くすることが重要になってくる。このディスクの検査装置への出し入れの時間にはカセットからのディスクの取り出しや検査後のディスクを検査結果に応じて仕分けしてそれぞれのカセットに戻す時間も含まれる。
【0006】
然るに、特許文献1に記載されている発明においては、カセットからのディスクの取り出しや検査後のディスクを検査結果に応じて仕分けしてそれぞれのカセットに戻す時間も含んだトータルとしてのスループットを向上させることについては配慮されていない。
【0007】
トータルとしてのスループットを向上させるには、複数の検査ユニットをそろえてそれらを同時に操作する方法が考えられるが、単純に検査ユニットの数を増やしただけでは装置の設置床面積(フットプリント)が広くなってしまい施設を大型化しなければならず、かつ、発塵源が増えて異物欠陥発生の原因となってしまうという不具合が生じてしまう。
【0008】
本発明の目的は、カセットから取り出した磁気ディスクの両面を検査し、検査結果に応じたグレード分けをして再びカセットに戻すまでのトータルをスループットを高い状態を維持しつつ、低発塵環境の中で実施することが可能な磁気ディスク検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、基板上の欠陥を光学的に検出する光学検査ユニットと、基板を載置して回転させる基板回転駆動部を複数備えて基板回転駆動部に載置した基板を光学検査ユニットで検査する位置と基板を取出・供給する位置との間を回転して搬送するテーブルユニットと、検査前の基板を収納するカセットと検査後の基板を収納するカセットとを収容するカセット部と、このカセット部の検査前の基板を収納するカセットから未検査の基板を取り出してテーブルユニットの基板回転駆動部に供給すると共に、光学検査ユニットで両面を検査し終えた基板を基板回転駆動部から取り出してカセット部の検査後の基板を収納するカセットに収納する基板ハンドリングユニットとを備えた磁気ディスク検査装置において、光学検査ユニットとテーブルユニットとを複数備え、基板ハンドリングユニットは複数の光学検査ユニットで検査を終えた複数の基板を複数のテーブルユニットから同時に取出すとともに、未検査の複数の基板を複数のテーブルユニットに同時に供給するように構成した。
【0010】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、磁気ディスク検査装置を用いて磁気ディスクを検査する方法において、カセットに収納された複数の未検査の基板をカセットから取出し、このカセットから取出した複数の基板を磁気ディスク検査装置の複数の基板取出・供給位置で複数の回転駆動部に載置し、この複数の回転駆動部に載置した基板を複数の検査位置に搬送し、この複数の検査位置に搬送された複数の基板を前記複数の回転駆動部で回転させながら光を照射して光学的に検査し、光学的に検査した複数の基板を複数の回転駆動部に載置した状態で複数の基板取出・供給位置に搬送し、この複数の基板取出・供給位置に搬送された光学的な検査を終了した複数の基板を取出し、この取出した複数の基板を検査が終了した基板を収納するカセットに光学的な検査の結果に応じて分別して収納するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カセットから取り出した磁気ディスクの両面を検査し、検査結果に応じたグレード分けをして再びカセットに戻す磁気ディスクの検査を、低発塵環境の中で、高いスループットを維持して実施することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の実施例における磁気ディスク検査装置の概略の構成を示す平面図である。
【図1B】本発明の実施例における磁気ディスク検査装置の概略の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例における光学式検査ユニットの概略の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施例における基板ハンドリングユニットのチャック部の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例における基板ハンドリングユニットのチャック部のチャック421Aと421Bの構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例における基板ハンドリングユニットのチャック部のチャック422Aと422Bの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例における基板反転ユニットのチャック部の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例における磁気ディスク検査装置の処理の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の実施例における磁気ディスク検査装置の処理の流れのステップA701及びB707の検査済基板取出・未検査基板装着の処理の詳細な流れを示すフロー図である。
【図9】本発明の実施例における図8に示した処理フローのステップ803と804の処理の詳細な流れを示すフロー図である。
【図10】本発明の実施例における片面の検査を終えた磁気ディスクを反転させる処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1A及び図1Bは、本実施例の磁気ディスク検査装置の全体の構成を示す図である。図1Aは本実施例の磁気ディスク検査装置の概略の構成を示す平面図、図1Bはその正面図である。本実施例においては、検査装置のスループットを向上させるために、2組の光学式の検査装置を用いて2枚の磁気ディスクを同時に検査する方式とした。
【0015】
図1Aにおいて、100Aと100Bは光学式検査ユニット、200Aと200Bはテーブルユニット、300は基板反転ユニット、400は基板ハンドリングユニット,500はカセットユニット、また、図1Bの600は信号処理・制御ユニットである。
【0016】
図1Bにおいては、光学式検査ユニット100Aとテーブルユニット200Aとの組合せを示している。
【0017】
光学式検査ユニット100A及び光学式検査ユニット100Bは、図2に示すように、検査対象の磁気ディスク1の表面に斜方から光を照射する照明光学系101と照明光学系により光が照射された磁気ディスク1の表面からの反射光を検出する検出光学系102を備えている。照明光学系101と検出光学系102とは、フレーム103に支持されている。また、光学式検査ユニット100A及び光学式検査ユニット100Bは、フレーム103を載置して少なくとも図1Bの矢印Aで示した一方向に移動可能なテーブル部110により一方向に連続的に移動しながら磁気ディスク1を検査することができる。光学式検査ユニット100A及び光学式検査ユニット100Bで磁気ディスク1からの反射光を検出して得た信号は信号処理・制御ユニット600で処理されて磁気ディスク1の傷や異物などの欠陥が検出される。
【0018】
信号処理・制御ユニット600では、検出された傷や異物などの大きさや数(密度)に応じて検査した磁気ディスク1の欠陥のグレード分けを行い、検査した磁気ディスク1に対応させて記憶しておく。
【0019】
テーブルユニット200A、テーブルユニット200Bは、それぞれモータ201Aと201Bに駆動されて回転可能なテーブル202A、テーブル202Bを備えている。また、テーブル202Aにはテーブル回転駆動モータ203Aと204Aとが固定されており、モータ203Aにはスピンドル205Aが、モータ204Aにはスピンドル206Aが接続されていて、それぞれモータ203A及び204Aにより回転駆動される。更に、スピンドル205A及びスピンドル206Aの先端部分は、検査対象の磁気ディスク1の中央部の穴と勘合して磁気ディスク1を保持できるように形成されている。
【0020】
テーブル202Bについても同様に、モータ203Bと204Bとが固定されており、モータ203Bにはスピンドル205Bが、モータ204Bにはスピンドル206Bが接続されていて、それぞれモータ203B及び204Bにより回転駆動される。
【0021】
テーブル202Aはモータ201Aで駆動されて180度往復回転し、スピンドル205Aと206Aとの位置を光学検査ユニット100Aによる検査位置250A(図1Aで磁気ディスク1の位置)と基板受渡・反転位置260A(図1Aで磁気ディスク1’の位置)との間を移動させる。
【0022】
テーブル202Bも同様にモータ201Bで駆動されて180度往復回転する。
【0023】
基板ハンドリングユニット400は、多関節ロボット410と、この多関節ロボット410の先端部分に取り付けられたチャック部420を備えている。チャック部420は、テーブル202Aとテーブル202Bとに対応するチャックをそれぞれ上下2段に装着している。
【0024】
図3にチャック部420の構成を示す。下段にはテーブル202Aとテーブル202Bとに対応するチャック421Aと421Bとが装着され、上段にはチャック422Aと422Bとが装着されている。
【0025】
図4に下段のチャック421Aと421Bとの構成を示す。チャック421Aは1対の爪4211Aと4212Aとを備えている。1対の爪4211Aと4212Aとは爪駆動部423Aで駆動されて、図4の矢印E及びFの方向に開閉動作して磁気ディスク1を挟持したり開放したりする。
【0026】
チャック421Bも同様に1対の爪4211Bと4212Bとを備え、1対の爪4211Bと4212Bとは爪駆動部423Bで駆動されて、図4の矢印G及びHの方向に開閉動作して磁気ディスク1を挟持したり開放したりする。
【0027】
チャック421Aと421Bとは共通の支持板424に固定され、支持板424は、ベースプレート426に固定された第1のアームシリンダ425により前後方向(矢印Jの方向)に駆動される。
【0028】
図5には、チャック422Aの構成を示す。チャック422Aは1対の爪4221Aと4222Aとを備えている。1対の爪4221Aと4222Aとは爪駆動部427Aで駆動されて、図5の矢印K及びLの方向に開閉動作して磁気ディスク1を挟持したり開放したりする。爪駆動部427Aはベースプレート426に固定された第2のアームシリンダ429Aにより前後方向(矢印Nの方向:矢印Jの方向と平行)に駆動される。
【0029】
チャック422Bの構成は図5で説明したチャック422Aと同じであるので、図5の各構成の番号の下に括弧を付けて表示した。
【0030】
カセットユニット500は、供給用カセット510、検査にとり良品と判定された磁気ディスクを収納する良品用カセット520、一方の面が不良と判定された磁気ディスクを収納する片面不良カセット530、両面とも不良と判定された磁気ディスクを収納する両面不良カセット540とを有し、それらはレール550又は560に沿って移動可能になっている。
【0031】
このような構成において、チャック部420は多関節ロボット410で駆動されて、チャック421Aとチャック421Bとで供給用カセット510に収納されている磁気ディスク1をチャックして、光学検査ユニットA100aの基板受渡・反転位置260Aで待機しているスピンドル205Aと光学検査ユニットB100bの基板受渡・反転位置260Bで待機しているスピンドル205Bに装着する。この場合、チャック421Aとチャック421Bとは同じ動作を同時に行うので、チャック421Aとチャック421Bとが図4のJ方向への移動のための駆動源は、第1のアームシリンダ425を共用することができる。
【0032】
一方、チャック422Aとチャック422Bとは、光学検査ユニット100A及び光学検査ユニット100Bで検査されて基板受渡・反転位置260Aで及び260Bに搬送された磁気ディスク1を、反対側の面を検査するためにチャックしてスピンドル205Aとスピンドル205Bとから外して反転させてから再びスピンドル205Aとスピンドル205Bと装着する。
【0033】
また、チャック421Aとチャック421Bとは、光学検査ユニット100A及び光学検査ユニット100Bで両側の面が検査されて基板受渡・反転位置260Aで及び260Bに搬送された磁気ディスク1をチャックしてスピンドル205Aとスピンドル205Bとから外して、検査の結果に応じて良品用カセット520、片面不良カセット530、及び両面不良カセット540の何れかに収納する。このとき、チャック421Aで挟持した磁気ディスクとチャック421Bで挟持した磁気ディスクとが同じ検査結果であるとは限らないので、各カセットへ収納するときのチャック421Aとチャック421Bとの動作は異なる場合がある。このため、チャック421Aとチャック421Bとは別々に第2のアームシリンダ429Aまたは第3のアームシリンダ429Bに駆動されるような構成になっている。
【0034】
基板反転ユニット300は、1対の基板チャック部310Aと310Bと、基板チャック部310Aと310Bとを保持するチャック部ベース320、チャック部ベース320を載置して上下方向に移動可能なテーブル部330とを備えている。
【0035】
基板チャック部310Aの詳細な構成を図6に示す。基板チャック部310Aは、1対の爪311Aと312A、1対の爪311Aと312Aを開閉駆動する爪駆動部313A、爪駆動部313Aと1対の爪311Aと312Aとを180度回転させる回転駆動部314Aを備えて構成されている。基板チャック部310Bも基板チャック部310Aと同様な構造であるので、説明を省略する。基板チャック部310Aの回転駆動部314Aと基板チャック部310Bの回転駆動部314Bとは支持板315に固定され、この支持板315は第4のアームシリンダ316で前後方向に駆動される。第4のアームシリンダ316はチャック部ベース320に固定されて保持されている。
【0036】
上記した構成において、基板ハンドリングユニッ430でカセットユニット500から磁気ディスク1を取り出してテーブルユニット200A及びテーブルユニット200Bに磁気ディスク1を供給して光学検査ユニット100A及び光学検査ユニット100Bで検査して再びカセットユニット500へ戻すまでの一連の動作について図7乃至10を用いて説明する。
【0037】
先ず、図1Aに示した装置構成で、磁気ディスクを順次検査する手順を図7を用いて説明する。光学式検査ユニット100Aとテーブル202Aとの組合せで行う処理と光学式検査ユニット100Bとテーブル202Bとの組合せで行う処理とは同じ処理であるので、ここでは説明を簡単にするために、光学式検査ユニット100Aとテーブル202Aとの組合せで行う処理について説明する。図7で、Aはスピンドル207Aで保持した基板(磁気ディスク)に対して行う処理、Bはスピンドル206Aで保持した基板(磁気ディスク)に対して行う処理を示す。
【0038】
最初に、基板受渡・反転位置260Aで、両面を検査し終えた基板(磁気ディスク)をスピンドル207Aから取外して新たな基板をスピンドル207Aに装着する(A701)。一方、検査位置250Aで光学式検査ユニット100Aを用いてスピンドル206Aで保持した基板の一方の面(上面)を検査する(B701)。次にテーブル202Aを180度回転させて、基板受渡・反転位置260Aでスピンドル207Aに新たに装着した基板を検査位置250Aに移動させ、検査位置250Aで検査を終了したスピンドル206Aで保持された基板を基板受渡・反転位置260Aへ移動させる(AB702)。
【0039】
次に、スピンドル207Aで保持された基板は検査位置250Aで光学式検査ユニット100Aを用いて基板の一方の面が検査され(A703)、スピンドル206Aで保持された基板は基板受渡・反転位置260Aでスピンドル206Aから取外され反転されて検査されていない側の面が上を向いた状態でスピンドル206Aで再び保持される(B703)。次に、テーブル202Aを180度逆回転させて、検査位置250Aで一方の面が検査された基板を保持するスピンドル207Aを基板受渡・反転位置260Aに移動させ、反転させた基板を保持するスピンドル206Aを検査位置250Aに移動させる(AB704)。
【0040】
次に、基板受渡・反転位置260Aでスピンドル207Aに保持された一方の面が検査された基板はスピンドル207Aから取外され反転されて検査されていない側の面が上を向いた状態でスピンドル207Aで再び保持される(A705)。一方、検査位置250Aでは、スピンドル207Aに保持された一方の面がすでに検査されている基板の他方の面を検査する(B705)。次に、テーブル202Aを180度回転させて、反転させた基板を保持しているスピンドル207Aを検査位置250Aに移動させ、両方の面の検査を終えた基板を保持しているスピンドル206Aを基板受渡・反転位置260Aに移動させる(AB706)。
【0041】
次に、検査位置250Aでは反転されてスピンドル207Aに保持された基板を光学式検査ユニット100Aを用いて検査する(A707)。一方、基板受渡・反転位置260Aではスピンドル206Aに保持された両方の面が検査された基板をスピンドル206Aから取外して新たな基板をスピンドル206Aに装着する(B707)。次に、テーブル202Aを180度逆回転させて、検査位置250Aで両方の面が検査された基板を保持するスピンドル207Aを基板受渡・反転位置260Aに移動させ、新たに供給された基板を保持するスピンドル206Aを検査位置250Aに移動させる(AB708)。以下、A701及びB701からAB708までの動作を繰返す。
【0042】
B701,A703,B705,A707で実施される基板上面検査は、検査位置250Aでスピンドル206Aがモータ204Aで駆動されて回転している状態で図2に示した光学式検査ユニット100Aのテーブル部110を基板1の半径方向に連続的に移動させながら、テーブル部110に載置した照明光学系101から照明光を基板1の表面に照射して基板1からの反射光を検出光学系102で検出し、この検出光学系102で検出した信号は信号処理・制御ユニット600に入力され、信号は信号処理・制御ユニット600に予め設定しておいたしきい値と比較して欠陥を検出し、テーブル部110の位置情報、及びスピンドル206Aの回転位置情報とを用いてこの検出した欠陥の位置情報を得る。更に、検出した欠陥の信号や位置情報を用いて欠陥の種類や大きさ、欠陥密度などの情報を抽出し、許容できる程度の欠陥であるか否かを判定し、検査した基板のグレード(基板の良品・不良品の別)を決定する。
【0043】
図8には、図7で説明した処理フローの中のA701,B707で実行される、両面が検査済みの基板をスピンドル206A又は207Aから取外して新たな基板をスピンドル206A又は207Aに装着する工程に関し、基板ハンドリングユニッ430の動作の詳細なフロー図を示す。図8のフロー図には、テーブルユニット200Bのスピンドル206B及び207Bに基板を受渡する動作も含んで説明する。
【0044】
最初に、多関節ロボット410を駆動してチャック部420を良品用カセット420の位置へ移動させて、良品用カセット420内に垂直方向に立って並んでいる磁気ディスクをチャック421Aとチャック421Bとで1枚ずつチャックして良品用カセット420から取り出す(S801)。次に、多関節ロボット410は旋回して、良品用カセット420から取り出した磁気ディスクをテーブルユニット200A及びテーブルユニット200Bの基板受渡・反転位置260Aおよび260Bまで搬送する(S802)。
【0045】
次に、両面が検査済みの磁気ディスクをスピンドル207Aと207Bから取り外し(S803)、良品用カセット420から搬送してきた新たな磁気ディスクをスピンドル207Aと207Bに装着する(S804)。次に、スピンドル207Aと207Bから取外した両面の検査が完了した磁気ディスクを、検査の結果に応じて良品用カセット520、片面不良カセット530、両面不良カセット540を何れかのカセットに収納する(S705)。
【0046】
次に、全て基板について検査装置への搬入が終了したかをチェックし、まだ検査すべき基板が残っている場合にはS801に戻って処理を続ける。一方、全て基板について搬入が終了した場合には、最後に搬入した基板の検査が完了した時点でこの基板をスピンドル207A又は207Bから取外し、この取外した基板を検査の結果に応じて良品用カセット520、片面不良カセット530、両面不良カセット540を何れかのカセットに収納し(S705)、検査を終了する。
【0047】
図9には、図8で説明した、S803の両面が検査済みの磁気ディスクをスピンドル207Aと207Bから取外す工程と、S804の良品用カセット420から搬送してきた新たな磁気ディスクをスピンドル207Aと207Bに装着する工程におけるチャック部420の動作の詳細なフローを示す。
【0048】
先ず、S803のステップにおいて、全体制御部600で多関節ロボット410を制御して、チャック部420のチャック422Aと422Bとがそれぞれテーブル202Aとテーブル202Bの基板受渡・反転位置260A及び260Bと対向させた状態で、第2のアームシリンダ429Aと第3のアームシリンダ429Bとを作動させてチャック422Aとチャック422Bとを前進させ(S8031)、爪駆動部427Aと427Bとによりそれぞれ爪4221Aと4222A及び爪4221Bと4222Bとを閉じるように作動させて基板受渡・反転位置260Aおよび260Bでスピンドル207Aと207Bに保持されている両面が検査済みの磁気ディスクを挟持させる(S8032)。
【0049】
次に、基板を挟持した状態で多関節ロボット410を制御して、チャック422Aとチャック422Bとそれぞれ上昇させて(S8033)(チャック421Aと421Bとに保持された新たな基板の位置がスピンドル207Aと207Bよりも高くなるまで上昇する)、それぞれの基板をスピンドル207Aと207Bから取外す。次に、第2のアームシリンダ429Aと第3のアームシリンダ429Bとを作動させてチャック422Aとチャック422Bとを後退させる(S8034)。
【0050】
次に、S804のステップにおいて、第1のアームシリンダ425を作動させてチャック421Aと421Bとに保持されている新たな基板がスピンドル207Aと207Bの真上に来るまで前進させる(S8041)。次に多関節ロボット410を制御して、チャック421Aとチャック421Bとそれぞれ下降させて(S8042)チャック421Aと421Bとに保持されている新たな基板をそれぞれスピンドル207Aと207Bとに移し変え、爪駆動部427Aと427Bとによりそれぞれ爪4221Aと4222A及び爪4221Bと4222Bとを開くように作動させてチャックを開放する(S8043)。次に、第1のアームシリンダ425を作動させてチャック421Aと421Bとを後退させて(S8044)新たな基板のスピンドル207Aと207Bへのロードを完了する。
【0051】
本実施例によれば、1台の多関節ロボット410に装着したチャック部で2つのスピンドルに同時に基板を供給することができるので、比較的小さいフットプリントで、より多くの基板を処理することが可能になる。また、多関節ロボット410が1台で処理できるので、それぞれの検査ユニットに対して専用の基板ハンドリング手段を設けた場合に比べてよりすくない可動機構で処理することが可能になり、基板を汚染する異物の発生を低減させることができる。
【0052】
次に、図7のステップB703,A705で行う基板反転処理について、図10を用いて説明する。
【0053】
まず、初期の状態においては、基板ハンドリングユニット400との干渉を避けるために、基板反転ユニット300は基板チャック部310が一番下降した所(下降端)で待機している。この状態で、ステップB703及びA705においては、先ずテーブル部330を動作させて基板チャック部310Aの1対の爪311Aと312A及び基板チャック部310Bの1対の爪311Bと312Bがそれぞれ基板受渡・反転位置260Aおよび260Bでスピンドル207Aと207Bに保持されている上側の面が検査済みの磁気ディスクと対向する位置まで上昇する(S1001)。
【0054】
次に、第4のアームシリンダ316が作動して1対の基板チャック部310Aと310Bとを前進させ(S1002),爪駆動部313Aと313Bとによりそれぞれ爪311Aと312A及び爪311Bと312Bとを閉じるように作動させて基板受渡・反転位置260Aおよび260Bでスピンドル207Aと207B(又はスピンドル206Aと206B)に保持されている上面が検査済みの磁気ディスクを挟持させる(S1003)。次に、基板を挟持した状態でテーブル部330を動作させて、チャック310Aとチャック310Bとそれぞれ上昇させ(S1004)、回転駆動部314Aと314Bとを駆動してチャック310Aとチャック310Bとをそれぞれ180度回転させてチャック310Aとチャック310Bとに挟持されている基板を反転させて未だ検査が行われていない面を上側にする。
【0055】
次に、テーブル部330を動作させて、チャック310Aとチャック310Bとをそれぞれ下降させ(S1006)それぞれのチャックで挟持されている基板をスピンドル207Aと207B(又はスピンドル206Aと206B)に装着する。次に爪駆動部313Aと313Bとによりそれぞれ爪311Aと312A及び爪311Bと312Bとを開くように作動させて基板を開放し(S1007)、第4のアームシリンダ316が作動して1対の基板チャック部310Aと310Bとを後退させる(S1008)。第4のアームシリンダ316が作動が終了した後、テーブル部330を動作させて、チャック310Aとチャック310Bとそれぞれ退避位置まで下降させて(S1009)一連の動作を終了する。
【0056】
以上に説明したように、本実施例によれば、基板ハンドリングユニット400に多関節ロボットを用いた機構を採用し、チャック部を2組の検査ユニットに同時に対応できる構成としたことにより、検査ユニットの数を増やしてもハンドリングユニットを共通化させて装置全体の設置床面積(フットプリント)の増加を抑制することができた。
【0057】
また、複数の検査ユニット間でハンドリングユニットを共通化させたことにより機構数の増加を抑えることができ、高いスループットを維持した状態で、発塵源の増加を抑えて異物欠陥発生の原因を低減することができるようになった。
【符号の説明】
【0058】
1・・・磁気ディスク 100A、100B・・・光学式検査ユニット 200A、200B・・・テーブルユニット 300・・・基板反転ユニット 400・・・基板ハンドリングユニット 410・・・多関節ロボット 420・・・チャック部 500・・・カセットユニット 600・・・信号処理・制御ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の欠陥を光学的に検出する光学検査ユニットと、
前記基板を載置して回転させる基板回転駆動部を複数備えて該基板回転駆動部に載置した前記基板を前記光学検査ユニットで検査する位置と前記基板を取出・供給する位置との間を回転して搬送するテーブルユニットと、
検査前の基板を収納するカセットと検査後の基板を収納するカセットとを収容するカセット部と、
該カセット部の検査前の基板を収納するカセットから未検査の基板を取り出して前記テーブルユニットの前記基板回転駆動部に供給すると共に、前記光学検査ユニットで両面を検査し終えた基板を前記基板回転駆動部から取り出して前記カセット部の検査後の基板を収納するカセットに収納する基板ハンドリングユニットと
を備えた磁気ディスク検査装置であって、
前記光学検査ユニットと前記テーブルユニットとを複数備え、前記基板ハンドリングユニットは該複数の光学検査ユニットで検査を終えた複数の基板を前記複数のテーブルユニットから同時に取出すとともに、未検査の複数の基板を前記複数のテーブルユニットに同時に供給することを特徴とする磁気ディスク検査装置。
【請求項2】
前記基板ハンドリングユニットは、多関節ロボットと、該多関節ロボットの先端部分に取り付けたチャック部とを備え、該チャック部は、前記基板をテーブルユニットに供給するためのチャックと前記検査を終えた基板を前記テーブルユニットから取出すためのチャックとの組を複数備えていることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク検査装置。
【請求項3】
前記複数の組備えたチャックのうち、それぞれの組の前記基板を前記テーブルユニットに供給するためのチャックは、前記基板を前記テーブルユニットに対して前後させるための駆動源を共有していることを特徴とする請求項2記載の磁気ディスク検査装置。
【請求項4】
前記複数の組備えたチャックのうち、それぞれの組の前記検査を終えた基板を前記テーブルユニットから取出すためのチャックは、前記基板を前記テーブルユニットに対して前後させるための駆動源を個別に有していることを特徴とする請求項2記載の磁気ディスク検査装置。
【請求項5】
前記光学検査ユニットにより片面の検査を終えて前記基板回転駆動部に載置されている基板を反転させる基板反転ユニットを更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の磁気ディスク検査装置。
【請求項6】
磁気ディスク検査装置を用いて磁気ディスクを検査する方法であって、
カセットに収納された複数の未検査の基板を該カセットから取出し、
該カセットから取出した複数の基板を前記磁気ディスク検査装置の複数の基板取出・供給位置で複数の回転駆動部に載置し、
該複数の回転駆動部に載置した基板を複数の検査位置に搬送し、
該複数の検査位置に搬送された複数の基板を前記複数の回転駆動部で回転させながら光を照射して光学的に検査し、
該光学的に検査した複数の基板を前記複数の回転駆動部に載置した状態で前記複数の基板取出・供給位置に搬送し、
該複数の基板取出・供給位置に搬送された前記光学的な検査を終了した複数の基板を取出し、
該取出した複数の基板を、検査が終了した基板を収納するカセットに前記光学的な検査の結果に応じて分別して収納する
ことを特徴とする磁気ディスクの検査方法。
【請求項7】
前記複数の未検査の基板を前記カセットから取出して前記複数の回転駆動部に載置することと、前記光学的な検査を終了した複数の基板を取出して検査が終了した基板を収納するカセットに前記光学的な検査の結果に応じて分別して収納することを、前記基板を載置するためのチャックと前記光学的な検査を終了した基板を取出すためのチャックとの組合せを複数備えて多関節ロボットの先端部分に取り付けられたチャック部で行うことを特徴とする請求項6記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項8】
前記チャック部の複数の組のチャックのうち前記基板を載置するためのチャックを前記複数の回転駆動部に対して前後させるための駆動を、共通の駆動源で駆動することを特徴とする請求項7記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項9】
前記チャック部の複数の組のチャックのうち、前記光学的な検査を終了した基板を取出すためのチャックを前記複数の回転駆動部に対して前後させるための駆動を、個別の駆動源で行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項10】
前記複数の回転駆動部で回転させながら光を照射して光学的に検査した複数の基板を複数の基板取出・供給位置に搬送し、該複数の基板取出・供給位置で前記基板を同時に反転させ、該反転させた複数の基板を前記検査位置に搬送して該反転させた複数の基板を検査することにより前記複数の基板の光学的な検査を終了することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の磁気ディスクの検査方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−73155(P2012−73155A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218990(P2010−218990)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】