磁気ディスク装置および記録方法
【課題】記録電流およびトラック幅を最適化すること。
【解決手段】磁気ディスク装置100は、磁気ディスク110のトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録対象となるデータのビット長が増加した分だけ記録電流を小さくし、データのビット長が減少した分だけ記録電流を大きくする。そして、トラック幅を変化させ、トラック幅を詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトがターゲットエラーレイトを上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスク110にデータを記録する。
【解決手段】磁気ディスク装置100は、磁気ディスク110のトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録対象となるデータのビット長が増加した分だけ記録電流を小さくし、データのビット長が減少した分だけ記録電流を大きくする。そして、トラック幅を変化させ、トラック幅を詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトがターゲットエラーレイトを上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスク110にデータを記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気ディスクを用いてデータを記録する磁気ディスク装置および記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの記憶装置として磁気ディスク装置が広く普及している。この磁気ディスク装置は、磁性体を塗布したアルミニウムやガラスの磁気ディスクを、モータで高速に回転させ、磁気ヘッドによって磁気ディスク上のトラックに磁界を照射することでデータを記録している(例えば、特許文献1参照)。なお、磁気ディスク装置には、磁気ディスクのトラックピッチを固定してデータの記録を行うものの他に、記録密度を高めるべく、トラック幅を詰めながらデータを記録するアーカイブHDD(Hard Disk Drive)などが存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2008−77717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アーカイブHDDのように磁気ディスクのトラック幅を詰めながらデータを記録する従来の方法では、トラック幅の変動によるトラックエッジの影響を受けやすいという問題があった。
【0005】
磁気ディスクのトラック幅は、ビット長が長い場合、データを記録するための記録磁界が強くなるためトラック幅が広がり、ビット長が短い場合、逆に狭くなるという現象が生じる。通常、データは任意のビット長なので、ビット長の長短によってトラック幅の広がり狭まりが生じ、トラック幅が常に変動するため、トラックエッジも滑らかではなく変動する。
【0006】
図7は、従来技術の問題点を説明するための図である。アーカイブHDDでは、トラックピッチを詰めながらデータを記録するので、トラック幅に余裕が無く、トラック幅が変動すると、最悪の場合、以前記録したデータを他のデータによって上書きしてしまう恐れがあった。図7に示す例では、トラックAのトラック幅の狭い領域が、トラックBのトラック幅の広い領域によって上書きされている。
【0007】
すなわち、アーカイブHDDのようにトラックピッチを詰めながらデータを記録して記録密度を高める場合に、トラック幅を最適化することが重要な課題となっている。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、トラックピッチを詰めながらデータを記録して記録密度を高める場合に、トラック幅を最適化することができる磁気ディスク装置及び記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この磁気ディスク装置は、磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出する算出手段と、前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整する調整手段と、前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する記録手段と、を備えたことを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
この磁気ディスク装置によれば、中間ビット長を算出し、中間ビット長と記録対象となるデータのビット長とを基にして、記録電流を算出し、算出した記録電流によってトラック幅を詰めながらデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録するので、効率よく最適な記録電流およびトラック幅を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁気ディスク装置および記録方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、本実施例1にかかる磁気ディスク装置の概要について説明する。本実施例1にかかる磁気ディスク装置は、磁気ディスクのトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録対象となるデータのビット長が増加した分だけ記録電流を小さくし、データのビット長が減少した分だけ記録電流を大きくする。そして、トラック幅を変化させ、トラックピッチを詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスクにデータを書き込む。
【0013】
このように、本実施例1にかかる磁気ディスク装置は、記録電流を調整しつつ、エラーレイトが所定値以上となる直前のトラック幅を判定するので、記録電流やトラック幅を効率よく最適化することができる。
【0014】
次に、本実施例1にかかる磁気ディスク装置の構成について説明する。図1は、本実施例1にかかる磁気ディスク装置の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、この磁気ディスク装置100は、磁気ディスク110と、ヘッド120と、通信制御IF部130と、バッファメモリ140と、記憶部150と、制御部160とを有する。なお、その他の構成は、周知の磁気ディスク装置と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0015】
磁気ディスク110は、磁性体を塗布または蒸着したディスクであり、ヘッド120によって磁気ディスク110上の磁性体を磁化されることで情報を記録する。ヘッド120は、制御部160によって制御され、磁気ディスク110に対してデータの記録・再生を行う手段である。
【0016】
通信制御IF部130は、ホストコンピュータ50との間におけるデータ通信を制御する手段である。バッファメモリ140は、磁気ディスク110に記録するデータまたは磁気ディスク110から読み出したデータを一時的に記憶する記憶手段である。
【0017】
記憶部150は、制御部160による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本実施例1にかかる記憶部150は、初期設定データ150aを記憶している。
【0018】
初期設定データ150aは、算出処理部160bが最適なトラック幅および記録電流を算出するために利用するデータである。具体的に、この初期設定データ150aは、最長ビット長(Naビット)と、最短ビット長(Nbビット)と、初期記録電流値Iwoと、単一トラック幅TWo(TWopt)と、ターゲットエラーレイトERRoとを有する。
【0019】
ここで、最長ビット長は、バッファメモリ140に記録される各データ(磁気ディスク110に記録されるデータ)の内、ビット長が最も長いビット長である。また、最短ビット長は、バッファメモリ140に記録される各データ(磁気ディスク110に記録されるデータ)の内、ビット長が最も短いビット長である。
【0020】
制御部160は、ヘッド120を制御して、磁気ディスク110に対するデータの記録および再生を実行する手段である。特に、本実施例1にかかる制御部160は、トラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、トラック幅および記録電流を最適化する。図1に示すように、この制御部160は、データ記録再生処理部160aと算出処理部160bとを有する。
【0021】
データ記録再生処理部160aは、ヘッド120を制御して磁気ディスク110に対するデータの記録再生を実行する手段である。このデータ記録再生処理部160aがデータの記録を実行する場合には、算出処理部160bによって算出される最適なトラック幅と記録電流に基づいてデータの記録を実行する。記録対象となるデータは、バッファメモリ140に記憶されている。また、データ記録再生処理部160aは、磁気ディスク110に記録されたデータを読み出し、読み出したデータをバッファメモリ140に記憶する。
【0022】
算出処理部160bは、磁気ディスク110にデータを記録する場合のトラック幅および記録電流を算出する手段である。この算出処理部160bは、算出したトラック幅および記録電流の情報をデータ記録再生処理部160aに出力する。以下において、算出処理部160bの処理を具体的に説明する。まず、算出処理部160bは、バッファメモリ140に記録された各データ(磁気ディスク110に記録するデータ)を取得し、最長ビット長と最短ビット長とを求め、初期設定データ150aに登録する。
【0023】
続いて、算出処理部160bは、最適な記録電流を導出するために変化させる記録電流の変化量(以下、電流変化量ΔIwと表記する)を算出する。電流変化量ΔIwは、
ΔIw=Iwo/ΔN・・・(1)
によって算出することができる。ここで、Iwoは、初期設定データ150aに登録された初期記録電流値Iwoであり、ΔNは、最長ビット長と最短ビット長との差分である(ΔN=Na−Nb)。
【0024】
算出処理部160bは、最適なトラック幅を導出するために変化させるトラック幅の変化量(以下、トラック幅変化量ΔTW)を算出する。トラック幅変化量ΔTWは、
ΔTW=TWo/M・・・(2)
によって算出することができる。ここで、TWoは、初期設定データ150aに登録された単一トラック幅TWoであり、Mは管理者によって設定される任意の数である。
【0025】
続いて、算出処理部160bは、記録対象となるデータのビット長に合わせた記録電流を算出する。記録電流Iwは、
Iw=Iwo+S(Nm−K)ΔIw・・・(3)
によって算出することができる。ここで、Sは重みであり、Nmは、最長ビット長と最短ビット長との中間ビット長Nmである(Nm=(Na+Nb)/2)。また、Kは、記録対象となるデータのビット長である(Nb≦K≦Na)。
【0026】
式(3)によれば、例えば、記録対象となるデータのビット長が増加し、中間ビット長よりも大きくなった場合には、初期記録電流値が減算され、その分記録電流値が弱くなる。一方、記録対象となるデータのビット長が減少し、中間ビット長よりも小さくなった場合には、初期記録電流値が加算され、その分電流値が強くなる。このように記録電流を調整することで、トラック幅の変動を抑えることができる。
【0027】
続いて、算出処理部160bは、データを磁気ディスク110に記録する際の最適なトラック幅を求める。算出処理部160bは、単一のトラック幅TWoに対し、ΔTWだけシフトさせて、ランダムデータのビット長に合わせた記録電流Iwを用い、n個(例えば、3個)のトラックを新たなトラック幅(TW=TW−ΔTW)で追記記録する。
【0028】
算出処理部160bは、追記記録したトラックの内、真中のトラックのエラーレイト(EER)を検出し、検出したエラーレイトがターゲットエラーレイト(ERRo)よりも小さい場合、更にトラック位置をΔTWシフトさせてトラック幅を詰め、その詰めたトラック幅で再度、n個のトラックを追記記録する。
【0029】
算出処理部160bは、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となるまで繰り返し追記記録を行い、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となる一つ前のトラック幅をトラック最小幅TWminとして設定する。
【0030】
そして、算出処理部160bは、設定したトラック最小幅TWminがトラック幅の最適値TWoptより小さい場合、このTWminの値と、TWoptの値とを新たに置き換え、式(3)の重みSを変更して、再度、記録電流およびトラック最小幅TWminを求める。なお、トラック幅の最適値TWoptの初期値は、管理者が設定しておく。
【0031】
一方、設定したトラック最小幅TWminがトラック幅の最適値TWopt以上である場合には、かかるトラック幅TWoptを最適トラック幅としてデータ記録再生処理部160aに出力する。また、かかる最適トラック幅TWoptを算出した条件下での記録電流を最適な記録電流Iwoptとして、データ記録再生処理部160aに出力する。
【0032】
次に、本実施例1にかかる磁気ディスク装置100の処理手順について説明する。図2は、本実施例1にかかる磁気ディスク装置100の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、磁気ディスク装置100は、算出処理部160bが初期設定を行う(ステップS101)。ステップS101において、算出処理部160bは、バッファメモリ140に記憶された各データに基づいて、最長ビット長と最短ビット長とを求め、初期設定データ150aに登録する。
【0033】
続いて、算出処理部160bは、記録電流Iwを初期記録電流値Iwoに設定し(ステップS102)、最長ビット長と最短ビット長とのビット長差ΔNを算出し(ステップS103)、中間ビット長Nmを算出する(ステップS104)。
【0034】
そして、算出処理部160bは、式(1)に基づいて、記録電流の変化量ΔIwを算出し(ステップS105)、重みSを0に設定し(ステップS106)、式(2)に基づいて、トラック幅の変化幅ΔTWを算出し(ステップS107)、式(3)に基づいて、ビット長に合わせた記録電流Iwを算出する(ステップS108)。
【0035】
算出処理部160bは、トラック幅TWを、単一トラックの幅TWoに設定し(ステップS109)、TWminをTWに設定し(ステップS110)、トラック位置をΔTWシフトし(ステップS111)、ランダムデータのビット長にあわせた記録電流を用いて3トラックの追記記録を実行する(ステップS112)。
【0036】
算出処理部160bは、追記記録した真中トラックのエラーレイトを検出し(ステップS113)、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上か否かを判定する(ステップS114)。エラーレイトがターゲットエラーレイト未満の場合には(ステップS115,No)、ステップS110に移行する。
【0037】
一方、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上の場合には(ステップS115,Yes)、算出処理部160bは、TWminがTWopt以上か否かを判定する(ステップS116)。
【0038】
TWminがTWopt未満の場合には(ステップS117,No)、TWoptの値をTWminの値に設定し(ステップS118)、重みSを変更し(ステップS119)、ステップS108に移行する。ステップS119において、算出処理部160bは、重みSをどのように変更しても構わないが、例えば、予め設定される所定値を重みSに加算することで、重みSを変更しても良い。
【0039】
一方、TWminがTWopt以上の場合には(ステップS117,Yes)、最適記録電流をIwに設定し(ステップS120)、最適トラック幅をTWoptに設定する(ステップS121)。
【0040】
上述してきたように、本実施例1にかかる磁気ディスク装置100は、磁気ディスク110のトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録対象となるデータのビット長が増加した分だけ記録電流を小さくし、データのビット長が減少した分だけ記録電流を大きくする。そして、トラック幅を変化させ、トラック幅を詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトがターゲットエラーレイトを上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスク110にデータを記録するので、記録電流やトラック幅を効率よく最適化することができる。
【実施例2】
【0041】
次に、本実施例2にかかる磁気ディスク装置の概要について説明する。本実施例2にかかる磁気ディスク装置は、記録対象となるデータの周波数成分を抽出し、周波数成分にビット長を対応させ、ビット長と記録電流との組合せを複数種類記憶した記録電流管理テーブルを有し、かかる記録電流管理テーブルを利用して、記録電流の最適化を図る。
【0042】
図3は、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この磁気ディスク装置200は、磁気ディスク210と、ヘッド220と、通信制御IF部230と、バッファメモリ240と、記憶部250と、制御部260とを有する。なお、その他の構成は、周知の磁気ディスクと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
磁気ディスク210は、磁性体を塗布または蒸着したディスクであり、ヘッド220によって磁気ディスク210上の磁性体を磁化されることで情報を記録する。ヘッド220は、制御部260によって制御され、磁気ディスク210に対してデータの記録・再生を行う手段である。
【0044】
通信制御IF部230は、ホストコンピュータ50との間におけるデータ通信を制御する手段である。バッファメモリ240は、磁気ディスク210に記録するデータまたは磁気ディスク210から読み出したデータを一時的に記憶する記憶手段である。
【0045】
記憶部250は、制御部260による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本実施例2にかかる記憶部250は、初期設定データ250aと、ビット長管理テーブル250bと、記録電流管理テーブル250cとを有する。
【0046】
初期設定データ250aは、算出処理部260cが最適なトラック幅および記録電流を算出するために利用するデータである。具体的に、この初期設定データ250aは、最長ビット長(Naビット)と、最短ビット長(Nbビット)と、初期記録電流値Iwoと、単一トラック幅TWo(TWopt)と、ターゲットエラーレイトERRoとを有する。
【0047】
ここで、最長ビット長、最短ビット長、初期記録電流Iwo、単一トラック幅TWoと、ターゲットエラーレイトERRoに関する説明は、実施例1に示した最長ビット長、最短ビット長、初期記録電流Iwo、単一トラック幅TWoと、ターゲットエラーレイトERRoと同様である。
【0048】
ビット長管理テーブル250bは、周波数とビット長とを対応付けるためのテーブルである。図4は、本実施例2にかかるビット長管理テーブル250bのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このビット長管理テーブル250bは、周波数と、ビット長とを対応付けて記憶している。
【0049】
記録電流管理テーブル250cは、ビット長と記録電流とを対応付けて管理するテーブルである。なお、記録電流管理テーブル250cは、ビット長と記録電流との組合せを複数種類保持している。図5は、本実施例2にかかる記録電流管理テーブル250cのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、この記録電流管理テーブル250cは、グループ毎にビット長と記録電流との組合せを記憶している。
【0050】
制御部260は、ヘッド220を制御して、磁気ディスク210に対するデータの記録および再生を実行する手段である。特に、本発明にかかる制御部260は、トラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、トラック幅および記録電流を最適化する。図3に示すように、この制御部260は、データ記録再生処理部260aと、周波数成分抽出部260bと、算出処理部260cとを有する。
【0051】
データ記録再生処理部260aは、ヘッド220を制御して磁気ディスク210に対するデータの記録再生を実行する手段である。このデータ記録再生処理部160aがデータの記録を実行する場合には、算出処理部260cによって算出される最適なトラック幅と記録電流に基づいてデータの記録を実行する。記録対象となるデータは、バッファメモリ240に記憶されている。また、データ記録再生処理部260aは、磁気ディスク210に記録されたデータを読み出し、読み出したデータをバッファメモリ240に記憶する。
【0052】
周波数成分抽出部260bは、バッファメモリ240に記憶された各データの周波数成分を抽出する手段である。周波数成分抽出部260bがデータから周波数を抽出する方法はどのような周知技術を用いても構わない。
【0053】
データの周波数成分は、同じビットが連続する場合(例えば、「1111111」)には、周波数が低くなり、異なるビットが交互に含まれる場合(例えば、「10101010」)には周波数が高くなる。周波数成分抽出部260bは、データから抽出した周波数の情報を算出処理部260cに出力する。
【0054】
算出処理部260cは、磁気ディスク210にデータを記録する場合のトラック幅および記録電流を算出する手段である。算出処理部260bは、算出したトラック幅および記録電流の情報をデータ記録再生処理部260aに出力する。以下において、算出処理部260cの処理を具体的に説明する。
【0055】
まず、算出処理部260cは、各データの周波数を取得し、磁気ディスク210に記録するデータの周波数と、ビット長管理テーブル250bとを比較して、記録するデータのビット長を判定する。そして、算出処理部260cは、判定したビット長と、記録電流管理テーブル250cとを比較して、記録電流を求める。なお、初期段階において、算出処理部260cは、グループ1に記憶されたビット長と記録電流との関係から記録電流を求める。そして、求めた記録電流を他の記録電流に変更する場合には、グループを変更(例えば、グループ2に変更する)し、変更したグループのビット長と記録電流の関係から、新たに記録電流を求める。
【0056】
続いて、算出処理部260cは、データを磁気ディスク210に記録する際の最適なトラック幅を求める。算出処理部260cは、単一のトラック幅TWoに対し、ΔTWだけシフトさせて、ランダムのデータのビット長に合わせた記録電流Iwを用い、n個(例えば、3個)のトラックを新たなトラック幅(TW=TW−ΔTW)で追記記録する。
【0057】
算出処理部260cは、追記記録したトラックの内、真中のトラックのエラーレイト(ERR)を検出し、検出したエラーレイトがターゲットエラーレイト(ERRo)よりも小さい場合、更にトラック位置をΔTWシフトさせてトラック幅を詰め、その詰めたトラック幅で再度、n個のトラックを追記記録する。
【0058】
算出処理部260cは、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となるまで繰り返し追記記録を行い、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となる一つ前のトラック幅をトラック最小幅TWminとして設定する。
【0059】
そして、算出処理部260cは、設定した最小幅TWminがトラック幅の最適値TWoptより小さい場合、このTWminの値と、TWoptの値とを新たに置き換え、記録電流を変更し(記録電流管理テーブルを現在のグループから、他のグループに変更し、再度、ビット長に対応する記録電流を求める)、再度、記録電流およびトラック最小幅TWminを求める。なお、トラック幅の最適値TWoptの初期値は、管理者が設定しておく。
【0060】
一方、設定したトラック最小幅TWminがトラック幅の最適値TWopt以上である場合には、かかるトラック幅TWoptを最適トラック幅としてデータ記録再生処理部260aに出力する。また、かかる最適トラック幅TWoptを算出した条件下での記録電流を最適な記録電流Iwoptとして、データ記録再生処理部260aに出力する。
【0061】
次に、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200の処理手順について説明する。図6は、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、磁気ディスク装置200は、算出処理部260cが初期設定を行い(ステップS201)、記録電流Iwを初期記録電流Iwoに設定し(ステップS202)、式(2)に基づいて、トラック幅の変化幅ΔTWを算出する(ステップS203)。
【0062】
そして、周波数成分抽出部260bが、ビット長に対する周波数を抽出し(ステップS204)、算出処理部260cは周波数に対応したビット長と記録電流の組(記録電流管理テーブル250cのグループに含まれる組)から記録電流を判定する(ステップS205)。
【0063】
算出処理部260cは、トラック幅TWを、単一トラックの幅TWoに設定し(ステップS206)、TWminをTWに設定し(ステップS207)、トラック位置をΔTWシフトし(ステップS208)、ランダムデータのビット長に合わせた記録電流を用いて、3トラックの追記記録を実行する(ステップS209)。
【0064】
算出処理部260cは、追記記録した真中トラックのエラーレイトを検出し(ステップS210)、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上か否かを判定する(ステップS211)。エラーレイトがターゲットエラーレイト未満の場合には(ステップS212,No)、ステップS207に移行する。
【0065】
一方、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上の場合には(ステップS212,Yes)、算出処理部260cは、TWminがTWopt以上か否かを判定する(ステップS213)。
【0066】
TWminがTWopt未満の場合には(ステップS214,No)、算出処理部260cは、TWoptの値をTWminの値に設定し(ステップS215)、記録電流管理テーブル250cのグループを変更することにより、ビット長と記録電流との組合せを別の組合せに変更して、新たな記録電流を求め(ステップS216)、ステップS204に移行する。
【0067】
一方、TWminがTWopt以上の場合には(ステップS214,Yes)、最適記録電流をIwに設定し(ステップS217)、最適トラック幅をTWoptに設定する(ステップS218)。
【0068】
上述してきたように、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200は、磁気ディスク210のトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録電流管理テーブル250cに基づいて記録電流を調整すると共に、トラック幅を変化させ、トラック幅を詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトがターゲットエラーレイトを上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスク210にデータを記録するので、記録電流やトラック幅を効率よく最適化することができる。
【0069】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
以上の実施例1,2を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出する算出手段と、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整する調整手段と、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
【0072】
(付記2)前記記録手段は、前記磁気ディスクの基準となるトラック幅を規定数で割った値をトラック幅の変化幅とし、当該変化幅に基づいてトラック幅を変化させ、前記記録電流によって複数のトラックに対してデータの記録を行い、データを記録した複数のトラックのうち、一部のトラックに記録されたデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録することを特徴とする付記1に記載の磁気ディスク装置。
【0073】
(付記3)前記算出手段は、前記第1のビット長と前記第2のビット長との差分を差分ビット長として算出し、前記調整手段は、前記記録電流の初期値を前記差分ビット長で割った値を変化幅として前記記録電流を調整することを特徴とする付記1または2に記載の磁気ディスク装置。
【0074】
(付記4)前記磁気ディスクに記録する各データの周波数成分を抽出する抽出手段と、前記周波数成分にビット長を対応させ、当該ビット長と記録電流との組合せを複数種類記録した記録電流管理手段とを更に備え、前記記録手段は、前記抽出手段の抽出結果と前記記録電流管理手段の情報を基にして、前記記録電流の強さを調整することを特徴とする付記1に記載の磁気ディスク装置。
【0075】
(付記5)磁気ディスクにデータを記録する磁気記録装置が、
前記磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出するステップと、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整するステップと、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録するステップと、
を有することを特徴とする記録方法。
【0076】
(付記6)前記磁気ディスクの基準となるトラック幅を規定数で割った値をトラック幅の変化幅とし、当該変化幅に基づいてトラック幅を変化させ、前記記録電流によって複数のトラックに対してデータの記録を行い、データを記録した複数のトラックのうち、一部のトラックに記録されたデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する付記5に記載の記録方法。
【0077】
(付記7)前記第1のビット長と前記第2のビット長との差分を差分ビット長として算出し、前記記録電流の初期値を前記差分ビット長で割った値を変化幅として、前記記録電流を調整することを特徴とする付記5または6に記載の記録方法。
【0078】
(付記8)前記周波数成分にビット長を対応させ、記録装置に、前記ビット長と記録電流との組合せを複数種類記録し、前記磁気ディスクに記録する各データの周波数成分を抽出し、周波数成分の抽出結果と前記記録装置の情報とを基にして、前記記録電流の強さを調整することを特徴とする付記5に記載の記録方法。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施例1にかかる磁気ディスク装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施例1にかかる磁気ディスク装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施例2にかかる磁気ディスク装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施例2にかかるビット長管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本実施例2にかかる記録電流管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】本実施例2にかかる磁気ディスク装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】従来技術の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0080】
50 ホストコンピュータ
100,200 磁気ディスク装置
110,210 磁気ディスク
120,220 ヘッド
130,230 通信制御IF部
140,240 バッファメモリ
150,250 記憶部
150a,250a 初期設定データ
250b ビット長管理テーブル
250c 記録電流管理テーブル
160,260 制御部
160a,260a データ記録再生処理部
160b,260c 算出処理部
260b 周波数成分抽出部
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気ディスクを用いてデータを記録する磁気ディスク装置および記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの記憶装置として磁気ディスク装置が広く普及している。この磁気ディスク装置は、磁性体を塗布したアルミニウムやガラスの磁気ディスクを、モータで高速に回転させ、磁気ヘッドによって磁気ディスク上のトラックに磁界を照射することでデータを記録している(例えば、特許文献1参照)。なお、磁気ディスク装置には、磁気ディスクのトラックピッチを固定してデータの記録を行うものの他に、記録密度を高めるべく、トラック幅を詰めながらデータを記録するアーカイブHDD(Hard Disk Drive)などが存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2008−77717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アーカイブHDDのように磁気ディスクのトラック幅を詰めながらデータを記録する従来の方法では、トラック幅の変動によるトラックエッジの影響を受けやすいという問題があった。
【0005】
磁気ディスクのトラック幅は、ビット長が長い場合、データを記録するための記録磁界が強くなるためトラック幅が広がり、ビット長が短い場合、逆に狭くなるという現象が生じる。通常、データは任意のビット長なので、ビット長の長短によってトラック幅の広がり狭まりが生じ、トラック幅が常に変動するため、トラックエッジも滑らかではなく変動する。
【0006】
図7は、従来技術の問題点を説明するための図である。アーカイブHDDでは、トラックピッチを詰めながらデータを記録するので、トラック幅に余裕が無く、トラック幅が変動すると、最悪の場合、以前記録したデータを他のデータによって上書きしてしまう恐れがあった。図7に示す例では、トラックAのトラック幅の狭い領域が、トラックBのトラック幅の広い領域によって上書きされている。
【0007】
すなわち、アーカイブHDDのようにトラックピッチを詰めながらデータを記録して記録密度を高める場合に、トラック幅を最適化することが重要な課題となっている。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、トラックピッチを詰めながらデータを記録して記録密度を高める場合に、トラック幅を最適化することができる磁気ディスク装置及び記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この磁気ディスク装置は、磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出する算出手段と、前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整する調整手段と、前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する記録手段と、を備えたことを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
この磁気ディスク装置によれば、中間ビット長を算出し、中間ビット長と記録対象となるデータのビット長とを基にして、記録電流を算出し、算出した記録電流によってトラック幅を詰めながらデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録するので、効率よく最適な記録電流およびトラック幅を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁気ディスク装置および記録方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、本実施例1にかかる磁気ディスク装置の概要について説明する。本実施例1にかかる磁気ディスク装置は、磁気ディスクのトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録対象となるデータのビット長が増加した分だけ記録電流を小さくし、データのビット長が減少した分だけ記録電流を大きくする。そして、トラック幅を変化させ、トラックピッチを詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスクにデータを書き込む。
【0013】
このように、本実施例1にかかる磁気ディスク装置は、記録電流を調整しつつ、エラーレイトが所定値以上となる直前のトラック幅を判定するので、記録電流やトラック幅を効率よく最適化することができる。
【0014】
次に、本実施例1にかかる磁気ディスク装置の構成について説明する。図1は、本実施例1にかかる磁気ディスク装置の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、この磁気ディスク装置100は、磁気ディスク110と、ヘッド120と、通信制御IF部130と、バッファメモリ140と、記憶部150と、制御部160とを有する。なお、その他の構成は、周知の磁気ディスク装置と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0015】
磁気ディスク110は、磁性体を塗布または蒸着したディスクであり、ヘッド120によって磁気ディスク110上の磁性体を磁化されることで情報を記録する。ヘッド120は、制御部160によって制御され、磁気ディスク110に対してデータの記録・再生を行う手段である。
【0016】
通信制御IF部130は、ホストコンピュータ50との間におけるデータ通信を制御する手段である。バッファメモリ140は、磁気ディスク110に記録するデータまたは磁気ディスク110から読み出したデータを一時的に記憶する記憶手段である。
【0017】
記憶部150は、制御部160による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本実施例1にかかる記憶部150は、初期設定データ150aを記憶している。
【0018】
初期設定データ150aは、算出処理部160bが最適なトラック幅および記録電流を算出するために利用するデータである。具体的に、この初期設定データ150aは、最長ビット長(Naビット)と、最短ビット長(Nbビット)と、初期記録電流値Iwoと、単一トラック幅TWo(TWopt)と、ターゲットエラーレイトERRoとを有する。
【0019】
ここで、最長ビット長は、バッファメモリ140に記録される各データ(磁気ディスク110に記録されるデータ)の内、ビット長が最も長いビット長である。また、最短ビット長は、バッファメモリ140に記録される各データ(磁気ディスク110に記録されるデータ)の内、ビット長が最も短いビット長である。
【0020】
制御部160は、ヘッド120を制御して、磁気ディスク110に対するデータの記録および再生を実行する手段である。特に、本実施例1にかかる制御部160は、トラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、トラック幅および記録電流を最適化する。図1に示すように、この制御部160は、データ記録再生処理部160aと算出処理部160bとを有する。
【0021】
データ記録再生処理部160aは、ヘッド120を制御して磁気ディスク110に対するデータの記録再生を実行する手段である。このデータ記録再生処理部160aがデータの記録を実行する場合には、算出処理部160bによって算出される最適なトラック幅と記録電流に基づいてデータの記録を実行する。記録対象となるデータは、バッファメモリ140に記憶されている。また、データ記録再生処理部160aは、磁気ディスク110に記録されたデータを読み出し、読み出したデータをバッファメモリ140に記憶する。
【0022】
算出処理部160bは、磁気ディスク110にデータを記録する場合のトラック幅および記録電流を算出する手段である。この算出処理部160bは、算出したトラック幅および記録電流の情報をデータ記録再生処理部160aに出力する。以下において、算出処理部160bの処理を具体的に説明する。まず、算出処理部160bは、バッファメモリ140に記録された各データ(磁気ディスク110に記録するデータ)を取得し、最長ビット長と最短ビット長とを求め、初期設定データ150aに登録する。
【0023】
続いて、算出処理部160bは、最適な記録電流を導出するために変化させる記録電流の変化量(以下、電流変化量ΔIwと表記する)を算出する。電流変化量ΔIwは、
ΔIw=Iwo/ΔN・・・(1)
によって算出することができる。ここで、Iwoは、初期設定データ150aに登録された初期記録電流値Iwoであり、ΔNは、最長ビット長と最短ビット長との差分である(ΔN=Na−Nb)。
【0024】
算出処理部160bは、最適なトラック幅を導出するために変化させるトラック幅の変化量(以下、トラック幅変化量ΔTW)を算出する。トラック幅変化量ΔTWは、
ΔTW=TWo/M・・・(2)
によって算出することができる。ここで、TWoは、初期設定データ150aに登録された単一トラック幅TWoであり、Mは管理者によって設定される任意の数である。
【0025】
続いて、算出処理部160bは、記録対象となるデータのビット長に合わせた記録電流を算出する。記録電流Iwは、
Iw=Iwo+S(Nm−K)ΔIw・・・(3)
によって算出することができる。ここで、Sは重みであり、Nmは、最長ビット長と最短ビット長との中間ビット長Nmである(Nm=(Na+Nb)/2)。また、Kは、記録対象となるデータのビット長である(Nb≦K≦Na)。
【0026】
式(3)によれば、例えば、記録対象となるデータのビット長が増加し、中間ビット長よりも大きくなった場合には、初期記録電流値が減算され、その分記録電流値が弱くなる。一方、記録対象となるデータのビット長が減少し、中間ビット長よりも小さくなった場合には、初期記録電流値が加算され、その分電流値が強くなる。このように記録電流を調整することで、トラック幅の変動を抑えることができる。
【0027】
続いて、算出処理部160bは、データを磁気ディスク110に記録する際の最適なトラック幅を求める。算出処理部160bは、単一のトラック幅TWoに対し、ΔTWだけシフトさせて、ランダムデータのビット長に合わせた記録電流Iwを用い、n個(例えば、3個)のトラックを新たなトラック幅(TW=TW−ΔTW)で追記記録する。
【0028】
算出処理部160bは、追記記録したトラックの内、真中のトラックのエラーレイト(EER)を検出し、検出したエラーレイトがターゲットエラーレイト(ERRo)よりも小さい場合、更にトラック位置をΔTWシフトさせてトラック幅を詰め、その詰めたトラック幅で再度、n個のトラックを追記記録する。
【0029】
算出処理部160bは、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となるまで繰り返し追記記録を行い、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となる一つ前のトラック幅をトラック最小幅TWminとして設定する。
【0030】
そして、算出処理部160bは、設定したトラック最小幅TWminがトラック幅の最適値TWoptより小さい場合、このTWminの値と、TWoptの値とを新たに置き換え、式(3)の重みSを変更して、再度、記録電流およびトラック最小幅TWminを求める。なお、トラック幅の最適値TWoptの初期値は、管理者が設定しておく。
【0031】
一方、設定したトラック最小幅TWminがトラック幅の最適値TWopt以上である場合には、かかるトラック幅TWoptを最適トラック幅としてデータ記録再生処理部160aに出力する。また、かかる最適トラック幅TWoptを算出した条件下での記録電流を最適な記録電流Iwoptとして、データ記録再生処理部160aに出力する。
【0032】
次に、本実施例1にかかる磁気ディスク装置100の処理手順について説明する。図2は、本実施例1にかかる磁気ディスク装置100の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、磁気ディスク装置100は、算出処理部160bが初期設定を行う(ステップS101)。ステップS101において、算出処理部160bは、バッファメモリ140に記憶された各データに基づいて、最長ビット長と最短ビット長とを求め、初期設定データ150aに登録する。
【0033】
続いて、算出処理部160bは、記録電流Iwを初期記録電流値Iwoに設定し(ステップS102)、最長ビット長と最短ビット長とのビット長差ΔNを算出し(ステップS103)、中間ビット長Nmを算出する(ステップS104)。
【0034】
そして、算出処理部160bは、式(1)に基づいて、記録電流の変化量ΔIwを算出し(ステップS105)、重みSを0に設定し(ステップS106)、式(2)に基づいて、トラック幅の変化幅ΔTWを算出し(ステップS107)、式(3)に基づいて、ビット長に合わせた記録電流Iwを算出する(ステップS108)。
【0035】
算出処理部160bは、トラック幅TWを、単一トラックの幅TWoに設定し(ステップS109)、TWminをTWに設定し(ステップS110)、トラック位置をΔTWシフトし(ステップS111)、ランダムデータのビット長にあわせた記録電流を用いて3トラックの追記記録を実行する(ステップS112)。
【0036】
算出処理部160bは、追記記録した真中トラックのエラーレイトを検出し(ステップS113)、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上か否かを判定する(ステップS114)。エラーレイトがターゲットエラーレイト未満の場合には(ステップS115,No)、ステップS110に移行する。
【0037】
一方、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上の場合には(ステップS115,Yes)、算出処理部160bは、TWminがTWopt以上か否かを判定する(ステップS116)。
【0038】
TWminがTWopt未満の場合には(ステップS117,No)、TWoptの値をTWminの値に設定し(ステップS118)、重みSを変更し(ステップS119)、ステップS108に移行する。ステップS119において、算出処理部160bは、重みSをどのように変更しても構わないが、例えば、予め設定される所定値を重みSに加算することで、重みSを変更しても良い。
【0039】
一方、TWminがTWopt以上の場合には(ステップS117,Yes)、最適記録電流をIwに設定し(ステップS120)、最適トラック幅をTWoptに設定する(ステップS121)。
【0040】
上述してきたように、本実施例1にかかる磁気ディスク装置100は、磁気ディスク110のトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録対象となるデータのビット長が増加した分だけ記録電流を小さくし、データのビット長が減少した分だけ記録電流を大きくする。そして、トラック幅を変化させ、トラック幅を詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトがターゲットエラーレイトを上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスク110にデータを記録するので、記録電流やトラック幅を効率よく最適化することができる。
【実施例2】
【0041】
次に、本実施例2にかかる磁気ディスク装置の概要について説明する。本実施例2にかかる磁気ディスク装置は、記録対象となるデータの周波数成分を抽出し、周波数成分にビット長を対応させ、ビット長と記録電流との組合せを複数種類記憶した記録電流管理テーブルを有し、かかる記録電流管理テーブルを利用して、記録電流の最適化を図る。
【0042】
図3は、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この磁気ディスク装置200は、磁気ディスク210と、ヘッド220と、通信制御IF部230と、バッファメモリ240と、記憶部250と、制御部260とを有する。なお、その他の構成は、周知の磁気ディスクと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
磁気ディスク210は、磁性体を塗布または蒸着したディスクであり、ヘッド220によって磁気ディスク210上の磁性体を磁化されることで情報を記録する。ヘッド220は、制御部260によって制御され、磁気ディスク210に対してデータの記録・再生を行う手段である。
【0044】
通信制御IF部230は、ホストコンピュータ50との間におけるデータ通信を制御する手段である。バッファメモリ240は、磁気ディスク210に記録するデータまたは磁気ディスク210から読み出したデータを一時的に記憶する記憶手段である。
【0045】
記憶部250は、制御部260による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段である。特に、本実施例2にかかる記憶部250は、初期設定データ250aと、ビット長管理テーブル250bと、記録電流管理テーブル250cとを有する。
【0046】
初期設定データ250aは、算出処理部260cが最適なトラック幅および記録電流を算出するために利用するデータである。具体的に、この初期設定データ250aは、最長ビット長(Naビット)と、最短ビット長(Nbビット)と、初期記録電流値Iwoと、単一トラック幅TWo(TWopt)と、ターゲットエラーレイトERRoとを有する。
【0047】
ここで、最長ビット長、最短ビット長、初期記録電流Iwo、単一トラック幅TWoと、ターゲットエラーレイトERRoに関する説明は、実施例1に示した最長ビット長、最短ビット長、初期記録電流Iwo、単一トラック幅TWoと、ターゲットエラーレイトERRoと同様である。
【0048】
ビット長管理テーブル250bは、周波数とビット長とを対応付けるためのテーブルである。図4は、本実施例2にかかるビット長管理テーブル250bのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このビット長管理テーブル250bは、周波数と、ビット長とを対応付けて記憶している。
【0049】
記録電流管理テーブル250cは、ビット長と記録電流とを対応付けて管理するテーブルである。なお、記録電流管理テーブル250cは、ビット長と記録電流との組合せを複数種類保持している。図5は、本実施例2にかかる記録電流管理テーブル250cのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、この記録電流管理テーブル250cは、グループ毎にビット長と記録電流との組合せを記憶している。
【0050】
制御部260は、ヘッド220を制御して、磁気ディスク210に対するデータの記録および再生を実行する手段である。特に、本発明にかかる制御部260は、トラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、トラック幅および記録電流を最適化する。図3に示すように、この制御部260は、データ記録再生処理部260aと、周波数成分抽出部260bと、算出処理部260cとを有する。
【0051】
データ記録再生処理部260aは、ヘッド220を制御して磁気ディスク210に対するデータの記録再生を実行する手段である。このデータ記録再生処理部160aがデータの記録を実行する場合には、算出処理部260cによって算出される最適なトラック幅と記録電流に基づいてデータの記録を実行する。記録対象となるデータは、バッファメモリ240に記憶されている。また、データ記録再生処理部260aは、磁気ディスク210に記録されたデータを読み出し、読み出したデータをバッファメモリ240に記憶する。
【0052】
周波数成分抽出部260bは、バッファメモリ240に記憶された各データの周波数成分を抽出する手段である。周波数成分抽出部260bがデータから周波数を抽出する方法はどのような周知技術を用いても構わない。
【0053】
データの周波数成分は、同じビットが連続する場合(例えば、「1111111」)には、周波数が低くなり、異なるビットが交互に含まれる場合(例えば、「10101010」)には周波数が高くなる。周波数成分抽出部260bは、データから抽出した周波数の情報を算出処理部260cに出力する。
【0054】
算出処理部260cは、磁気ディスク210にデータを記録する場合のトラック幅および記録電流を算出する手段である。算出処理部260bは、算出したトラック幅および記録電流の情報をデータ記録再生処理部260aに出力する。以下において、算出処理部260cの処理を具体的に説明する。
【0055】
まず、算出処理部260cは、各データの周波数を取得し、磁気ディスク210に記録するデータの周波数と、ビット長管理テーブル250bとを比較して、記録するデータのビット長を判定する。そして、算出処理部260cは、判定したビット長と、記録電流管理テーブル250cとを比較して、記録電流を求める。なお、初期段階において、算出処理部260cは、グループ1に記憶されたビット長と記録電流との関係から記録電流を求める。そして、求めた記録電流を他の記録電流に変更する場合には、グループを変更(例えば、グループ2に変更する)し、変更したグループのビット長と記録電流の関係から、新たに記録電流を求める。
【0056】
続いて、算出処理部260cは、データを磁気ディスク210に記録する際の最適なトラック幅を求める。算出処理部260cは、単一のトラック幅TWoに対し、ΔTWだけシフトさせて、ランダムのデータのビット長に合わせた記録電流Iwを用い、n個(例えば、3個)のトラックを新たなトラック幅(TW=TW−ΔTW)で追記記録する。
【0057】
算出処理部260cは、追記記録したトラックの内、真中のトラックのエラーレイト(ERR)を検出し、検出したエラーレイトがターゲットエラーレイト(ERRo)よりも小さい場合、更にトラック位置をΔTWシフトさせてトラック幅を詰め、その詰めたトラック幅で再度、n個のトラックを追記記録する。
【0058】
算出処理部260cは、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となるまで繰り返し追記記録を行い、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上となる一つ前のトラック幅をトラック最小幅TWminとして設定する。
【0059】
そして、算出処理部260cは、設定した最小幅TWminがトラック幅の最適値TWoptより小さい場合、このTWminの値と、TWoptの値とを新たに置き換え、記録電流を変更し(記録電流管理テーブルを現在のグループから、他のグループに変更し、再度、ビット長に対応する記録電流を求める)、再度、記録電流およびトラック最小幅TWminを求める。なお、トラック幅の最適値TWoptの初期値は、管理者が設定しておく。
【0060】
一方、設定したトラック最小幅TWminがトラック幅の最適値TWopt以上である場合には、かかるトラック幅TWoptを最適トラック幅としてデータ記録再生処理部260aに出力する。また、かかる最適トラック幅TWoptを算出した条件下での記録電流を最適な記録電流Iwoptとして、データ記録再生処理部260aに出力する。
【0061】
次に、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200の処理手順について説明する。図6は、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、磁気ディスク装置200は、算出処理部260cが初期設定を行い(ステップS201)、記録電流Iwを初期記録電流Iwoに設定し(ステップS202)、式(2)に基づいて、トラック幅の変化幅ΔTWを算出する(ステップS203)。
【0062】
そして、周波数成分抽出部260bが、ビット長に対する周波数を抽出し(ステップS204)、算出処理部260cは周波数に対応したビット長と記録電流の組(記録電流管理テーブル250cのグループに含まれる組)から記録電流を判定する(ステップS205)。
【0063】
算出処理部260cは、トラック幅TWを、単一トラックの幅TWoに設定し(ステップS206)、TWminをTWに設定し(ステップS207)、トラック位置をΔTWシフトし(ステップS208)、ランダムデータのビット長に合わせた記録電流を用いて、3トラックの追記記録を実行する(ステップS209)。
【0064】
算出処理部260cは、追記記録した真中トラックのエラーレイトを検出し(ステップS210)、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上か否かを判定する(ステップS211)。エラーレイトがターゲットエラーレイト未満の場合には(ステップS212,No)、ステップS207に移行する。
【0065】
一方、エラーレイトがターゲットエラーレイト以上の場合には(ステップS212,Yes)、算出処理部260cは、TWminがTWopt以上か否かを判定する(ステップS213)。
【0066】
TWminがTWopt未満の場合には(ステップS214,No)、算出処理部260cは、TWoptの値をTWminの値に設定し(ステップS215)、記録電流管理テーブル250cのグループを変更することにより、ビット長と記録電流との組合せを別の組合せに変更して、新たな記録電流を求め(ステップS216)、ステップS204に移行する。
【0067】
一方、TWminがTWopt以上の場合には(ステップS214,Yes)、最適記録電流をIwに設定し(ステップS217)、最適トラック幅をTWoptに設定する(ステップS218)。
【0068】
上述してきたように、本実施例2にかかる磁気ディスク装置200は、磁気ディスク210のトラック幅を詰めながらデータを記録する場合に、記録電流管理テーブル250cに基づいて記録電流を調整すると共に、トラック幅を変化させ、トラック幅を詰めながら記録電流によってデータを記録し、記録したデータのエラーレイトがターゲットエラーレイトを上回る直前のトラック幅を判定し、判定したトラック幅および調整した記録電流によって磁気ディスク210にデータを記録するので、記録電流やトラック幅を効率よく最適化することができる。
【0069】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
以上の実施例1,2を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出する算出手段と、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整する調整手段と、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
【0072】
(付記2)前記記録手段は、前記磁気ディスクの基準となるトラック幅を規定数で割った値をトラック幅の変化幅とし、当該変化幅に基づいてトラック幅を変化させ、前記記録電流によって複数のトラックに対してデータの記録を行い、データを記録した複数のトラックのうち、一部のトラックに記録されたデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録することを特徴とする付記1に記載の磁気ディスク装置。
【0073】
(付記3)前記算出手段は、前記第1のビット長と前記第2のビット長との差分を差分ビット長として算出し、前記調整手段は、前記記録電流の初期値を前記差分ビット長で割った値を変化幅として前記記録電流を調整することを特徴とする付記1または2に記載の磁気ディスク装置。
【0074】
(付記4)前記磁気ディスクに記録する各データの周波数成分を抽出する抽出手段と、前記周波数成分にビット長を対応させ、当該ビット長と記録電流との組合せを複数種類記録した記録電流管理手段とを更に備え、前記記録手段は、前記抽出手段の抽出結果と前記記録電流管理手段の情報を基にして、前記記録電流の強さを調整することを特徴とする付記1に記載の磁気ディスク装置。
【0075】
(付記5)磁気ディスクにデータを記録する磁気記録装置が、
前記磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出するステップと、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整するステップと、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録するステップと、
を有することを特徴とする記録方法。
【0076】
(付記6)前記磁気ディスクの基準となるトラック幅を規定数で割った値をトラック幅の変化幅とし、当該変化幅に基づいてトラック幅を変化させ、前記記録電流によって複数のトラックに対してデータの記録を行い、データを記録した複数のトラックのうち、一部のトラックに記録されたデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する付記5に記載の記録方法。
【0077】
(付記7)前記第1のビット長と前記第2のビット長との差分を差分ビット長として算出し、前記記録電流の初期値を前記差分ビット長で割った値を変化幅として、前記記録電流を調整することを特徴とする付記5または6に記載の記録方法。
【0078】
(付記8)前記周波数成分にビット長を対応させ、記録装置に、前記ビット長と記録電流との組合せを複数種類記録し、前記磁気ディスクに記録する各データの周波数成分を抽出し、周波数成分の抽出結果と前記記録装置の情報とを基にして、前記記録電流の強さを調整することを特徴とする付記5に記載の記録方法。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施例1にかかる磁気ディスク装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施例1にかかる磁気ディスク装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施例2にかかる磁気ディスク装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施例2にかかるビット長管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本実施例2にかかる記録電流管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】本実施例2にかかる磁気ディスク装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】従来技術の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0080】
50 ホストコンピュータ
100,200 磁気ディスク装置
110,210 磁気ディスク
120,220 ヘッド
130,230 通信制御IF部
140,240 バッファメモリ
150,250 記憶部
150a,250a 初期設定データ
250b ビット長管理テーブル
250c 記録電流管理テーブル
160,260 制御部
160a,260a データ記録再生処理部
160b,260c 算出処理部
260b 周波数成分抽出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出する算出手段と、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整する調整手段と、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記磁気ディスクの基準となるトラック幅を規定数で割った値をトラック幅の変化幅とし、当該変化幅に基づいてトラック幅を変化させ、前記記録電流によって複数のトラックに対してデータの記録を行い、データを記録した複数のトラックのうち、一部のトラックに記録されたデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記第1のビット長と前記第2のビット長との差分を差分ビット長として算出し、前記調整手段は、前記記録電流の初期値を前記差分ビット長で割った値を変化幅として前記記録電流を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記磁気ディスクに記録する各データの周波数成分を抽出する抽出手段と、前記周波数成分にビット長を対応させ、当該ビット長と記録電流との組合せを複数種類記録した記録電流管理手段とを更に備え、前記記録手段は、前記抽出手段の抽出結果と前記記録電流管理手段の情報とを基にして、前記記録電流の強さを調整することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
磁気ディスクにデータを記録する磁気記録装置が、
前記磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出するステップと、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整するステップと、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録するステップと、
を有することを特徴とする記録方法。
【請求項1】
磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出する算出手段と、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整する調整手段と、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記磁気ディスクの基準となるトラック幅を規定数で割った値をトラック幅の変化幅とし、当該変化幅に基づいてトラック幅を変化させ、前記記録電流によって複数のトラックに対してデータの記録を行い、データを記録した複数のトラックのうち、一部のトラックに記録されたデータのエラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記第1のビット長と前記第2のビット長との差分を差分ビット長として算出し、前記調整手段は、前記記録電流の初期値を前記差分ビット長で割った値を変化幅として前記記録電流を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記磁気ディスクに記録する各データの周波数成分を抽出する抽出手段と、前記周波数成分にビット長を対応させ、当該ビット長と記録電流との組合せを複数種類記録した記録電流管理手段とを更に備え、前記記録手段は、前記抽出手段の抽出結果と前記記録電流管理手段の情報とを基にして、前記記録電流の強さを調整することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
磁気ディスクにデータを記録する磁気記録装置が、
前記磁気ディスクに記録する各データを取得し、取得した各データのビット長のうち、ビット長の最も長い第1のビット長とビット長の最も短い第2のビット長とを基にして、中間ビット長を算出するステップと、
前記中間ビット長と、前記磁気ディスクに記録するデータのビット長との差に基づいて当該データを記録する場合の記録電流の強さを調整するステップと、
前記磁気ディスクのトラック幅を詰めながら前記記録電流によってデータを記録した場合のエラーレイトを検出し、前記エラーレイトが所定値を上回る直前のトラック幅によってデータを記録するステップと、
を有することを特徴とする記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−27121(P2010−27121A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185340(P2008−185340)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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