説明

磁気データの復調方法および磁気データの復調装置

【課題】磁気データの読取エラー率を低減させるとともに、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる磁気データの復調方法を提供する。
【解決手段】この復調方法は、アナログ状の磁気データの読取信号から矩形波状のデジタル信号を生成してデジタル信号の反転時間間隔を取得する反転時間取得ステップS1と、反転時間取得ステップS1で取得された反転時間間隔と第1判定基準時間とを比較することで復調データを生成する第1復調データ生成ステップS2と、第1復調データ生成ステップS2で生成された復調データの正否を判定する第1正否判定ステップS3と、第1正否判定ステップS3で復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間と異なる第2判定基準時間と反転時間取得ステップS1で取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する第2復調データ生成ステップS4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取って復調データを生成する磁気データの復調方法および磁気データの復調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取って復調データを生成するための磁気ストライプ読取装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気ストライプ読取装置等は、一般に、磁気ヘッドで磁気ストライプに記録された磁気データを読み取り、磁気ヘッドから出力されるアナログ状の磁気データの読取信号に基づいて矩形波状のデジタル信号を生成し、このデジタル信号の反転時間間隔と判定基準時間とを比較することで、復調データを生成している。特許文献1に記載されているように、復調データを生成する際には、固定値と反転時間間隔とを比較する固定サンプリング方式、または、判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の1ビット分の反転時間間隔と判定基準時間とを比較するビット追従サンプリング方式とが一般的に利用されている。
【0003】
特許文献1に記載の磁気ストライプ読取装置では、磁気データを磁気ヘッドで読み取って反転時間間隔を取得し、ビット追従サンプリング方式で復調データを生成している。また、この磁気ストライプ読取装置では、ビット追従サンプリング方式によって生成された復調データの正否を確認し、読取エラーが発生した場合には、再び、磁気データを磁気ヘッドで読み取って反転時間間隔を取得し、固定サンプリング方式で復調データを生成している。このように、特許文献1に記載の磁気ストライプ読取装置では、ビット追従サンプリング方式で復調データを生成したときに読取エラーが発生すると、固定サンプリング方式で復調データを生成しているため、ビット追従サンプリング方式の欠点および固定サンプリング方式の欠点を互いに補うことが可能であり、その結果、磁気データの読取エラー率を低減させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−40326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の磁気ストライプ読取装置では、ビット追従サンプリング方式で復調データを生成したときに読取エラーが発生すると、再び、磁気データを磁気ヘッドで読み取って反転時間間隔を取得してから、固定サンプリング方式で復調データを生成しているため、ビット追従サンプリング方式で復調データを生成したときに読取エラーが発生すると、磁気データの読取処理に時間がかかる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、磁気データの読取エラー率を低減させるとともに、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる磁気データの復調方法を提供することにある。また、本発明の課題は、磁気データの読取エラー率を低減させるとともに、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能な磁気データの復調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気データの復調方法は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを磁気ヘッドで読み取って復調データを生成する磁気データの復調方法において、磁気情報記録媒体または磁気ヘッドを移動させながらアナログ状の磁気データの読取信号を取得するとともに取得された読取信号から矩形波状のデジタル信号を生成してデジタル信号の反転時間間隔を取得する反転時間取得ステップと、反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔と判定基準時間とを比較することで復調データを生成する復調データ生成ステップとを備え、復調データ生成ステップは、判定基準時間としての第1判定基準時間と反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する第1復調データ生成ステップと、第1復調データ生成ステップで生成された復調データの正否を判定する第1正否判定ステップと、第1正否判定ステップで復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間と異なる判定基準時間としての第2判定基準時間と反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する第2復調データ生成ステップと、第2復調データ生成ステップで生成された復調データの正否を判定する第2正否判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の磁気データの復調方法では、第1復調データ生成ステップで、第1判定基準時間と反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成するとともに、第1復調データ生成ステップで生成された復調データが正しくない場合に、第2復調データ生成ステップで、第1判定基準時間と異なる第2判定基準時間と反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成している。すなわち、本発明では、異なる2つの判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成することが可能になっている。そのため、本発明では、第1判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する場合の欠点と、第2判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する場合の欠点とを互いに補うことが可能になる。したがって、本発明では、磁気データの読取エラー率を低減させることが可能になる。
【0009】
また、本発明の磁気データの復調方法では、第2復調データ生成ステップにおいて、反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔と第2判定基準時間とを比較することで復調データを生成しているため、第1復調データ生成ステップで生成された復調データが正しくない場合であっても、再度、磁気ヘッドで磁気データを読み取って、磁気ヘッドから出力される読取信号に基づいてデジタル信号を生成して反転時間間隔を取得する必要がない。したがって、本発明では、第1復調データ生成ステップで生成された復調データが正しくない場合であっても、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる。
【0010】
本発明において、第1判定基準時間は、固定値であり、第2判定基準時間は、第2判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔に基づいて算出される値であることが好ましい。この場合には、一般に、2つの判定基準時間の中で、読取エラーの発生確率が低いと推定される第1判定基準時間を用いて、第1復調データ生成ステップが実行されるため、磁気データの読取処理時間を効果的に短くすることが可能となる。
【0011】
本発明において、復調データ生成ステップは、第2正否判定ステップで復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間および第2判定基準時間と異なる判定基準時間としての第3判定基準時間と反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する第3復調データ生成ステップと、第3復調データ生成ステップで生成された復調データの正否を判定する第3正否判定ステップとを備えることが好ましい。
【0012】
このように構成すると、異なる3つの判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成することが可能になるため、磁気データの読取エラー率をより低減させることが可能になる。なお、このように構成する場合であっても、第2復調データ生成ステップで生成された復調データが正しくない場合に、再度、磁気ヘッドで磁気データを読み取って、磁気ヘッドから出力される読取信号に基づいてデジタル信号を生成して反転時間間隔を取得する必要がないため、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる。
【0013】
本発明において、第1判定基準時間は、固定値であり、第2判定基準時間は、第2判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔に基づいて算出される値であり、第3判定基準時間は、第3判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との平均値に基づいて算出される値であることが好ましい。この場合には、一般に、3つの判定基準時間の中で、読取エラーの発生確率が最も低いと推定される第1判定基準時間を用いて、第1復調データ生成ステップが実行され、読取エラーの発生確率が2番目に低いと推定される第2判定基準時間を用いて、第2復調データ生成ステップが実行されるため、磁気データの読取処理時間を効果的に短くすることが可能となる。
【0014】
本発明において、復調データ生成ステップは、第3正否判定ステップで復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間、第2判定基準時間および第3判定基準時間と異なる判定基準時間としての第4判定基準時間と反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成する第4復調データ生成ステップと、第4復調データ生成ステップで生成された復調データの正否を判定する第4正否判定ステップとを備えることがより好ましい。
【0015】
このように構成すると、異なる4つの判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成することが可能になるため、磁気データの読取エラー率をより低減させることが可能になる。なお、このように構成する場合であっても、第3復調データ生成ステップで生成された復調データが正しくない場合に、再度、磁気ヘッドで磁気データを読み取って、磁気ヘッドから出力される読取信号に基づいてデジタル信号を生成して反転時間間隔を取得する必要がないため、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる。
【0016】
本発明において、第1判定基準時間は、固定値であり、第2判定基準時間は、第2判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔に基づいて算出される値であり、第3判定基準時間は、第3判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との平均値に基づいて算出される値であり、第4判定基準時間は、第4判定基準時間と比較される反転時間間隔の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔の倍数と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との和を3で割った値に基づいて算出される値であることが好ましい。この場合には、一般に、4つの判定基準時間の中で、読取エラーの発生確率が最も低いと推定される第1判定基準時間を用いて、第1復調データ生成ステップが実行され、読取エラーの発生確率が2番目に低いと推定される第2判定基準時間を用いて、第2復調データ生成ステップが実行され、読取エラーの発生確率が3番目に低いと推定される第3判定基準時間を用いて、第3復調データ生成ステップが実行されるため、磁気データの読取処理時間を効果的に短くすることが可能となる。
【0017】
本発明において、磁気データの復調方法は、第4正否判定ステップで復調データが正しくないと判定された場合に、反転時間取得ステップでの移動方向と逆方向へ磁気情報記録媒体または磁気ヘッドを移動させて磁気データの読取信号を取得するとともに取得された読取信号からデジタル信号を生成してデジタル信号の反転時間間隔を取得する第2の反転時間取得ステップを備えることが好ましい。このように構成すると、第2の反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔を用いて、再度、復調データを生成することが可能になる。したがって、磁気データの読取エラー率をより低減させることが可能になる。
【0018】
また、上記の課題を解決するため、本発明の磁気データの復調装置は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドと、磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調して復調データを生成するデータ復調部とを備え、データ復調部は、磁気ヘッドから出力されるアナログ状の磁気データの読取信号から生成される矩形波状のデジタル信号の反転時間間隔が記憶される記憶部と、記憶部に記憶された反転時間間隔と判定基準時間とを比較することで復調データを生成する演算部とを備え、演算部は、判定基準時間としての第1判定基準時間と記憶部に記憶された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成し、生成された復調データの正否を判定するととともに、第1判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくないと判定した場合に、第1判定基準時間と異なる判定基準時間としての第2判定基準時間と記憶部に記憶された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成し、生成された復調データの正否を判定することを特徴とする。
【0019】
本発明の磁気データの復調装置では、演算部は、第1判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成するとともに、生成された復調データが正しくない場合に、第1判定基準時間と異なる第2判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成している。すなわち、本発明では、異なる2つの判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成することが可能になっている。そのため、本発明では、磁気データの読取エラー率を低減させることが可能になる。
【0020】
また、本発明の磁気データの復調装置では、記憶部に記憶された反転時間間隔と第2判定基準時間とを比較することで復調データを生成しているため、第1判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくない場合であっても、再度、磁気ヘッドで磁気データを読み取って、磁気ヘッドから出力される読取信号に基づいてデジタル信号を生成して反転時間間隔を取得する必要がない。したがって、本発明では、第1判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくない場合であっても、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる。
【0021】
本発明において、演算部は、第2判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくないと判定した場合に、第1判定基準時間および第2判定基準時間と異なる判定基準時間としての第3判定基準時間と記憶部に記憶された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成し、生成された復調データの正否を判定することが好ましい。
【0022】
また、本発明において、演算部は、第3判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくないと判定した場合に、第1判定基準時間、第2判定基準時間および第3判定基準時間と異なる判定基準時間としての第4判定基準時間と記憶部に記憶された反転時間間隔とを比較することで復調データを生成し、生成された復調データの正否を判定することがより好ましい。
【0023】
このように構成すると、異なる3つの判定基準時間、または、異なる4つの判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで復調データを生成することが可能になるため、磁気データの読取エラー率をより低減させることが可能になる。なお、このように構成する場合であっても、第2判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくない場合や、第3判定基準時間と反転時間間隔とを比較することで生成された復調データが正しくない場合に、再度、磁気ヘッドで磁気データを読み取って、磁気ヘッドから出力される読取信号に基づいてデジタル信号を生成して反転時間間隔を取得する必要がないため、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明の磁気データの復調方法および磁気データの復調装置では、磁気データの読取エラー率を低減させるとともに、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態にかかる磁気データの復調装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す復調回路での磁気データの復調方法を説明するための図である。
【図3】図1に示す磁気データの復調装置での磁気データの復調方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(磁気データの復調装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる磁気データの復調装置1の概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す復調回路6での磁気データの復調方法を説明するための図である。
【0028】
本形態の磁気データの復調装置1は、磁気情報記録媒体としてのカード2に記録された磁気データを読み取って復調データを生成するための装置であり、たとえば、カード2を搬送しながらカード2の磁気データを読み取るカード搬送式のカードリーダである。この復調装置1は、カード2に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッド3と、カード2を搬送する搬送機構4と、磁気ヘッド3に接続される再生回路5と、再生回路5に接続されるデータ復調部としての復調回路6とを備えている。本形態では、F2F周波数変調方式によって、カード2に磁気データが記録されている。
【0029】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカードには、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カードには、ICチップが固定されたり、データ通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0030】
搬送機構4は、カード2に当接してカード2を搬送する駆動ローラ7を備えている。駆動ローラ7は、駆動ローラ7を駆動させる駆動機構に連結されている。また、駆動ローラ7には、パッドローラ8が対向配置されており、パッドローラ8は、駆動ローラ7に向かって付勢されている。
【0031】
再生回路5は、フィルタ回路、増幅回路、および、微分回路(または積分回路)等によって構成されている。この再生回路5は、磁気ヘッド3から出力されるアナログ状の読取信号に基づいて、図2に示すような矩形波状のデジタル信号SGを生成する。
【0032】
復調回路6は、演算部としてのCPU11と、記憶部としてのRAM12と、ROM13とを備えており、磁気ヘッド3で読み取った磁気データを復調して、“0”データと“1”データとからなる復調データを生成する。CPU11は、再生回路5から入力されるデジタル信号SGの反転時間間隔T〜Tn−3を算出(取得)して、RAM12に記憶(格納)する。また、CPU11は、ROM13に記憶されるプログラムデータに基づいて、RAM12に記憶される反転時間間隔T〜Tn−3と所定の判定基準時間とを比較することで復調データを生成する。以下、復調装置1における磁気データの復調方法を説明する。
【0033】
(磁気データの復調方法)
図3は、図1に示す磁気データの復調装置1での磁気データの復調方法を説明するためのフローチャートである。
【0034】
搬送機構4によって所定方向へ移動するカード2の磁気データを磁気ヘッド3が読み取って、再生回路5が読取信号に基づいてデジタル信号SGを生成し、CPU11が反転時間間隔T〜Tn−3を取得してRAM12に記憶すると(ステップS1)、CPU11は、図2(A)に示すように、固定値である第1判定基準時間αTと、反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する(ステップS2)。すなわち、CPU11は、ステップS2において、固定サンプリング方式で復調データを生成する。ここで、「T」は、搬送機構4の搬送速度とカード2の磁気データの記録密度とから定まる固定値であり、たとえば、ROM13に記憶されている。また、「α」は、0よりも大きな1未満の数であり、たとえば、0.7等である。
【0035】
その後、CPU11は、ステップS2で生成された復調データの正否を判定する(ステップS3)。すなわち、ステップS3において、CPU11は、磁気データの読取エラーが発生したか否かを判定する。このステップS3では、CPU11は、パリティチェック等のデータフォーマットごとに定められたエラーチェック方法で読取エラーが発生したか否かを判定する。なお、図2に示す例では、正しい復調データは、“0”、“1”、“0”である。
【0036】
ステップS3で、磁気データの読取エラーが発生しなかった場合(ステップS3で“No”の場合)には、磁気データが正常に復調されたため、復調装置1による磁気データの復調処理が正常終了する。
【0037】
一方、ステップS3で、磁気データの読取エラーが発生した場合(すなわち、ステップS2で生成された復調データが正しくないと判定された場合、ステップS3で“Yes”の場合)には、CPU11は、図2(B)に示すように、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3と、反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する(ステップS4)。ここで、「tn−1」は、第2判定基準時間αtn−1と比較される反転時間間隔Tの1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔であり、「tn−2」は、第2判定基準時間αtn−2と比較される反転時間間隔Tn−2の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔であり、「tn−3」は、第2判定基準時間αtn−3と比較される反転時間間隔Tn−3の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔である。すなわち、CPU11は、ステップS4において、直前1ビット分の反転時間間隔を基準としたビット追従サンプリング方式で復調データを生成する。
【0038】
その後、CPU11は、ステップS4で生成された復調データの正否を判定する(ステップS5)。すなわち、ステップS5において、CPU11は、磁気データの読取エラーが発生したか否かを判定する。このステップS5では、ステップS3と同様に、CPU11は、パリティチェック等のエラーチェック方法で読取エラーが発生したか否かを判定する。
【0039】
ステップS5で、磁気データの読取エラーが発生しなかった場合(ステップS5で“No”の場合)には、磁気データが正常に復調されたため、復調装置1による磁気データの復調処理が正常終了する。
【0040】
一方、ステップS5で、磁気データの読取エラーが発生した場合(すなわち、ステップS4で生成された復調データが正しくないと判定された場合、ステップS5で“Yes”の場合)には、CPU11は、図2(C)に示すように、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する(ステップS6)。ここで、「(tn−2+tn−1)/2」は、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2と比較される反転時間間隔Tの1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との平均値であり、「(tn−3+tn−2)/2」は、第3判定基準時間α(tn−3+tn−2)/2と比較される反転時間間隔Tn−2の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との平均値であり、「(tn−4+tn−3)/2」は、第3判定基準時間α(tn−4+tn−3)/2と比較される反転時間間隔Tn−3の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との平均値である。すなわち、CPU11は、ステップS6において、直前2ビット分の反転時間間隔の相加平均を基準としたビット追従サンプリング方式で復調データを生成する。
【0041】
その後、CPU11は、ステップS6で生成された復調データの正否を判定する(ステップS7)。すなわち、ステップS7において、CPU11は、磁気データの読取エラーが発生したか否かを判定する。このステップS7では、ステップS3と同様に、CPU11は、パリティチェック等のエラーチェック方法で読取エラーが発生したか否かを判定する。
【0042】
ステップS7で、磁気データの読取エラーが発生しなかった場合(ステップS7で“No”の場合)には、磁気データが正常に復調されたため、復調装置1による磁気データの復調処理が正常終了する。
【0043】
一方、ステップS7で、磁気データの読取エラーが発生した場合(すなわち、ステップS6で生成された復調データが正しくないと判定された場合、ステップS7で“Yes”の場合)には、CPU11は、図2(D)に示すように、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する(ステップS8)。ここで、「(tn−2+2tn−1)/3」は、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3と比較される反転時間間隔Tの1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔の倍数と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との和を3で割った値であり、「(tn−3+2tn−2)/3」は、第4判定基準時間α(tn−3+2tn−2)/3と比較される反転時間間隔Tn−2の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔の倍数と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との和を3で割った値であり、「(tn−4+2tn−3)/3」は、第4判定基準時間α(tn−4+tn−3)/3と比較される反転時間間隔Tn−3の1つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔の倍数と2つ前の復調データ1ビット分の反転時間間隔との和を3で割った値である。すなわち、CPU11は、ステップS8において、直前1ビット目の反転時間間隔に2、直前2ビット目の反転時間間隔に1の重み付けをした反転時間間隔の加重平均を基準としたビット追従サンプリング方式で復調データを生成する。
【0044】
その後、CPU11は、ステップS8で生成された復調データの正否を判定する(ステップS9)。すなわち、ステップS9において、CPU11は、磁気データの読取エラーが発生したか否かを判定する。このステップS9では、ステップS3と同様に、CPU11は、パリティチェック等のエラーチェック方法で読取エラーが発生したか否かを判定する。
【0045】
ステップS9で、磁気データの読取エラーが発生しなかった場合(ステップS9で“No”の場合)には、磁気データが正常に復調されたため、復調装置1による磁気データの復調処理が正常終了する。一方、ステップS9で、磁気データの読取エラーが発生した場合(すなわち、ステップS8で生成された復調データが正しくないと判定された場合、ステップS9で“Yes”の場合)には、磁気データが正常に復調されないとして、復調装置1による磁気データの復調処理がエラー終了する。
【0046】
このように本形態では、CPU11は、ステップS3で磁気データの読取エラーが発生すると、固定サンプリング方式から直前1ビット分の反転時間間隔を基準としたビット追従サンプリング方式へ自動で切り替えて、復調データを生成し、ステップS5で磁気データの読取エラーが発生すると、直前1ビット分の反転時間間隔を基準としたビット追従サンプリング方式から直前2ビット分の反転時間間隔の相加平均を基準としたビット追従サンプリング方式へ自動で切り替えて、復調データを生成し、ステップS7で磁気データの読取エラーが発生すると、直前2ビット分の反転時間間隔の相加平均を基準としたビット追従サンプリング方式から直前1ビット目の反転時間間隔に2、直前2ビット目の反転時間間隔に1の重み付けをした反転時間間隔の加重平均を基準としたビット追従サンプリング方式へ自動で切り替えて、復調データを生成している。
【0047】
なお、本形態のステップS1は、カード2を移動させてアナログ状の磁気データの読取信号を取得するとともに取得された読取信号からデジタル信号SGを生成してデジタル信号SGの反転時間間隔T〜Tn−3を取得する反転時間取得ステップであり、ステップS2〜S9は、ステップS1で取得された反転時間間隔T〜Tn−3と判定基準時間とを比較することで復調データを生成する復調データ生成ステップである。
【0048】
また、本形態のステップS2は、第1判定基準時間αTと反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する第1復調データ生成ステップであり、ステップS3は、ステップS2で生成された復調データの正否を判定する第1正否判定ステップである。また、ステップS4は、ステップS3で復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間αTと異なる第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する第2復調データ生成ステップであり、ステップS5は、ステップS4で生成された復調データの正否を判定する第2正否判定ステップである。
【0049】
さらに、本形態のステップS6は、ステップS5で復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間αTおよび第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3と異なる第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する第3復調データ生成ステップであり、ステップS7は、ステップS6で生成された復調データの正否を判定する第3正否判定ステップである。また、ステップS8は、ステップS7で復調データが正しくないと判定された場合に、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3および第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2と異なる第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する第4復調データ生成ステップであり、ステップS9は、ステップS8で生成された復調データの正否を判定する第4正否判定ステップである。
【0050】
なお、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、および、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3の「α」のそれぞれは、等しい値であっても良いし、異なっていても良い。
【0051】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ステップS2において、第1判定基準時間αTと反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成するとともに、ステップS2で生成された復調データが正しくない場合に、ステップS4において、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成している。また、本形態では、ステップS4で生成された復調データが正しくない場合に、ステップS6で、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成している。さらに、本形態では、ステップS6で生成された復調データが正しくない場合に、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成している。すなわち、本形態では、異なる4つの判定基準時間と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成することが可能になっている。そのため、本形態では、異なる4つの判定基準時間のそれぞれと反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成する場合の欠点を互いに補うことが可能になる。したがって、本形態では、磁気データの読取エラー率を効果的に低減させることが可能になる。具体的には、本形態では、磁気データの読取速度の変動に起因する読取エラー率や、傷等の部分的な減磁に起因する読取エラー率等を低減させることが可能になる。
【0052】
本形態では、ステップS4において、ステップS1で取得された反転時間間隔T〜Tn−3と第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3とを比較することで復調データを生成しており、ステップS6において、ステップS1で取得された反転時間間隔T〜Tn−3と第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2とを比較することで復調データを生成しており、ステップS8において、ステップS1で取得された反転時間間隔T〜Tn−3と第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3とを比較することで復調データを生成している。すなわち、本形態では、1回の磁気ヘッド3での読取によって取得された反転時間間隔T〜Tn−3を用いて、ステップS4、S6、S8で復調データを生成している。そのため、ステップS2、S4、S6で生成された復調データが正しくない場合であっても、各ステップの後に、再度、磁気ヘッド3で磁気データを読み取って、磁気ヘッド3から出力される読取信号に基づいてデジタル信号SGを生成して反転時間間隔T〜Tn−3を取得する必要がない。したがって、本形態では、ステップS2、S4、S6で生成された復調データが正しくない場合であっても、磁気データの読取処理時間を短くすることが可能となる。
【0053】
本形態では、一般に、4つの判定基準時間の中で、読取エラーの発生確率が最も低いと推定される第1判定基準時間αTを用いて、ステップS2が実行され、読取エラーの発生確率が2番目に低いと推定される第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3を用いて、ステップS4が実行され、読取エラーの発生確率が3番目に低いと推定される第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2を用いて、ステップS6が実行されている。そのため、本形態では、磁気データの読取処理時間を効果的に短くすることが可能となる。
【0054】
また、本形態では、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、または、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成しているため、比較的簡単な処理で復調データを生成することが可能になる。
【0055】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0056】
上述した形態では、ステップS9で、磁気データの読取エラーが発生した場合、磁気データが正常に復調されないとして、復調装置1による磁気データの復調処理がエラー終了している。この他にもたとえば、ステップS9で、磁気データの読取エラーが発生した場合に、ステップS1での移動方向と逆方向へカード2を移動させて磁気データの読取信号を取得するとともに取得された読取信号からデジタル信号SGを生成してデジタル信号SGの反転時間間隔を取得しても良い(第2の反転時間取得ステップ)。この場合には、第2の反転時間取得ステップの後、ステップS2へ戻って、所定の処理が実行される。この場合には、第2の反転時間取得ステップで取得された反転時間間隔を用いて、再度、復調データを生成することができるため、磁気データの読取エラー率をより低減させることが可能になる。
【0057】
また、ステップS9で、磁気データの読取エラーが発生した場合に、CPU11は、ステップS1でRAM12に記憶された反転時間間隔T〜Tn−3を反対方向から読み出して、固定サンプリング方式、直前1ビット分の反転時間間隔を基準としたビット追従サンプリング方式、直前2ビット分の反転時間間隔の相加平均を基準としたビット追従サンプリング方式、および、直前1ビット目の反転時間間隔に2、直前2ビット目の反転時間間隔に1の重み付けをした反転時間間隔の加重平均を基準としたビット追従サンプリング方式で順次、復調データを生成しても良い。すなわち、ステップS9で、磁気データの読取エラーが発生した場合に、CPU11は、反転時間間隔T〜Tn−3の読み出し方向を変更して、再度、固定サンプリング方式、直前1ビット分の反転時間間隔を基準としたビット追従サンプリング方式、直前2ビット分の反転時間間隔の相加平均を基準としたビット追従サンプリング方式、および、直前1ビット目の反転時間間隔に2、直前2ビット目の反転時間間隔に1の重み付けをした反転時間間隔の加重平均を基準としたビット追従サンプリング方式で順次、復調データを生成しても良い。この場合であっても、再度、復調データを生成することができるため、磁気データの読取エラー率をより低減させることが可能になる。
【0058】
上述した形態では、第1判定基準時間αTを用いて、ステップS2が実行され、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3を用いて、ステップS4が実行され、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2を用いて、ステップS6が実行され、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3を用いて、ステップS8が実行されている。すなわち、上述した形態では、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、および、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3を、この順番で順次用いて、磁気データの復調を行っているが、第1判定基準時間αT〜第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3を任意の順番で順次用いて、磁気データの復調を行っても良い。たとえば、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3、および、第1判定基準時間αTをこの順番で順次用いて、磁気データの復調を行っても良い。
【0059】
上述した形態では、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、および、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3の異なる4つの判定基準時間と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成することが可能となっている。この他にもたとえば、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、および、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3の中から任意に選択される2つまたは3つの異なる判定基準時間と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成することが可能となっていても良い。また、上述した4つの判定基準時間に別の判定基準時間を加えた5つ以上の異なる判定基準時間と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成することが可能となっていても良い。
【0060】
また、第1判定基準時間αT、第2判定基準時間αtn−1〜αtn−3、第3判定基準時間α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2、および、第4判定基準時間α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3以外の判定基準時間と反転時間間隔T〜Tn−3とを比較することで復調データを生成することが可能となっていても良い。
【0061】
上述した形態では、磁気データの復調装置1は、カード搬送式のカードリーダであるが、磁気データの復調装置1は、手動でカード2を移動させながらカード2の磁気データを読み取る手動式のカードリーダであっても良い。また、上述した形態では、F2F周波数変調方式によって、カード2に磁気データが記録されているが、F3F周波数変調方式等の他の磁気記録方式によって、カード2の磁気データが記録されても良い。また、上述した形態では、磁気情報記録媒体は、カード2であるが、磁気情報記録媒体は、通帳等の他の媒体であっても良い。この場合には、停止した媒体の磁気ストライプに磁気ヘッド3が当接しながら移動することで、磁気ヘッド3による磁気データの読取が行われても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 磁気データの復調装置
2 カード(磁気情報記録媒体)
3 磁気ヘッド
6 復調回路(データ復調部)
11 CPU(演算部)
12 RAM(記憶部)
S1 反転時間取得ステップ
S2 第1復調データ生成ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S3 第1正否判定ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S4 第2復調データ生成ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S5 第2正否判定ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S6 第3復調データ生成ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S7 第3正否判定ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S8 第4復調データ生成ステップ(復調データ生成ステップの一部)
S9 第4正否判定ステップ(復調データ生成ステップの一部)
SG デジタル信号
〜Tn−3 反転時間間隔
〜tn−2 復調データ1ビット分の反転時間間隔
αT 第1判定基準時間(判定基準時間)
αtn−1〜αtn−3 第2判定基準時間(判定基準時間)
α(tn−2+tn−1)/2〜α(tn−4+tn−3)/2 第3判定基準時間(判定基準時間)
α(tn−2+2tn−1)/3〜α(tn−4+2tn−3)/3 第4判定基準時間(判定基準時間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報記録媒体に記録された磁気データを磁気ヘッドで読み取って復調データを生成する磁気データの復調方法において、
前記磁気情報記録媒体または前記磁気ヘッドを移動させてアナログ状の前記磁気データの読取信号を取得するとともに取得された前記読取信号から矩形波状のデジタル信号を生成して前記デジタル信号の反転時間間隔を取得する反転時間取得ステップと、前記反転時間取得ステップで取得された前記反転時間間隔と判定基準時間とを比較することで前記復調データを生成する復調データ生成ステップとを備え、
前記復調データ生成ステップは、前記判定基準時間としての第1判定基準時間と前記反転時間取得ステップで取得された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成する第1復調データ生成ステップと、前記第1復調データ生成ステップで生成された前記復調データの正否を判定する第1正否判定ステップと、前記第1正否判定ステップで前記復調データが正しくないと判定された場合に、前記第1判定基準時間と異なる前記判定基準時間としての第2判定基準時間と前記反転時間取得ステップで取得された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成する第2復調データ生成ステップと、前記第2復調データ生成ステップで生成された前記復調データの正否を判定する第2正否判定ステップとを備えることを特徴とする磁気データの復調方法。
【請求項2】
前記第1判定基準時間は、固定値であり、
前記第2判定基準時間は、前記第2判定基準時間と比較される前記反転時間間隔の1つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔に基づいて算出される値であることを特徴とする請求項1記載の磁気データの復調方法。
【請求項3】
前記復調データ生成ステップは、前記第2正否判定ステップで前記復調データが正しくないと判定された場合に、前記第1判定基準時間および前記第2判定基準時間と異なる前記判定基準時間としての第3判定基準時間と前記反転時間取得ステップで取得された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成する第3復調データ生成ステップと、前記第3復調データ生成ステップで生成された前記復調データの正否を判定する第3正否判定ステップとを備えることを特徴とする請求項1記載の磁気データの復調方法。
【請求項4】
前記第1判定基準時間は、固定値であり、
前記第2判定基準時間は、前記第2判定基準時間と比較される前記反転時間間隔の1つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔に基づいて算出される値であり、
前記第3判定基準時間は、前記第3判定基準時間と比較される前記反転時間間隔の1つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔と2つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔との平均値に基づいて算出される値であることを特徴とする請求項3記載の磁気データの復調方法。
【請求項5】
前記復調データ生成ステップは、前記第3正否判定ステップで前記復調データが正しくないと判定された場合に、前記第1判定基準時間、前記第2判定基準時間および前記第3判定基準時間と異なる前記判定基準時間としての第4判定基準時間と前記反転時間取得ステップで取得された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成する第4復調データ生成ステップと、前記第4復調データ生成ステップで生成された前記復調データの正否を判定する第4正否判定ステップとを備えることを特徴とする請求項3記載の磁気データの復調方法。
【請求項6】
前記第1判定基準時間は、固定値であり、
前記第2判定基準時間は、前記第2判定基準時間と比較される前記反転時間間隔の1つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔に基づいて算出される値であり、
前記第3判定基準時間は、前記第3判定基準時間と比較される前記反転時間間隔の1つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔と2つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔との平均値に基づいて算出される値であり、
前記第4判定基準時間は、前記第4判定基準時間と比較される前記反転時間間隔の1つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔の倍数と2つ前の前記復調データ1ビット分の前記反転時間間隔との和を3で割った値に基づいて算出される値であることを特徴とする請求項5記載の磁気データの復調方法。
【請求項7】
前記第4正否判定ステップで前記復調データが正しくないと判定された場合に、前記反転時間取得ステップでの移動方向と逆方向へ前記磁気情報記録媒体または前記磁気ヘッドを移動させて前記磁気データの前記読取信号を取得するとともに取得された前記読取信号から前記デジタル信号を生成して前記デジタル信号の前記反転時間間隔を取得する第2の反転時間取得ステップを備えることを特徴とする請求項5または6記載の磁気データの復調方法。
【請求項8】
磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドで読み取った前記磁気データを復調して復調データを生成するデータ復調部とを備え、
前記データ復調部は、前記磁気ヘッドから出力されるアナログ状の前記磁気データの読取信号から生成される矩形波状のデジタル信号の反転時間間隔が記憶される記憶部と、前記記憶部に記憶された前記反転時間間隔と判定基準時間とを比較することで前記復調データを生成する演算部とを備え、
前記演算部は、前記判定基準時間としての第1判定基準時間と前記記憶部に記憶された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成し、生成された前記復調データの正否を判定するととともに、前記第1判定基準時間と前記反転時間間隔とを比較することで生成された前記復調データが正しくないと判定した場合に、前記第1判定基準時間と異なる前記判定基準時間としての第2判定基準時間と前記記憶部に記憶された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成し、生成された前記復調データの正否を判定することを特徴とする磁気データの復調装置。
【請求項9】
前記演算部は、前記第2判定基準時間と前記反転時間間隔とを比較することで生成された前記復調データが正しくないと判定した場合に、前記第1判定基準時間および前記第2判定基準時間と異なる前記判定基準時間としての第3判定基準時間と前記記憶部に記憶された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成し、生成された前記復調データの正否を判定することを特徴とする請求項8記載の磁気データの復調装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記第3判定基準時間と前記反転時間間隔とを比較することで生成された前記復調データが正しくないと判定した場合に、前記第1判定基準時間、前記第2判定基準時間および前記第3判定基準時間と異なる前記判定基準時間としての第4判定基準時間と前記記憶部に記憶された前記反転時間間隔とを比較することで前記復調データを生成し、生成された前記復調データの正否を判定することを特徴とする請求項9記載の磁気データの復調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−45471(P2013−45471A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180064(P2011−180064)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】