磁気データの読み取り方法
磁気データを有する磁気作用シート製品から磁気データを読み取る方法。製品は一対の薄層状外部シート(131、132)と、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層(130)を備える。データを読み取るために、薄膜の磁気抵抗センサを用いるが、センサの長軸に対して横切る方向にセンサの形状異方性を高める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄層状の(ラミネートされた)磁気を有する紙から磁気データを読み取る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気情報を従来の印刷された情報と同様に保持可能なシート製品(シートプロダクト)は、公知である。例えば、特許文献1は、コーティングを有するシート材料について開示しているが、このコーティングに含まれるキャビティ内には、電気的及び/又は磁気的に作用可能な粒子が配置されている。また、特許文献2は、一対の薄層状の外部シートを含む磁気作用可能なシート製品について開示しているが、このシートの少なくとも一つに顔料(pigment)/結合材(binder)のプリマーコートを、この内側に面する表面上に備えており、これらシートの間で結合母材(binder matrix)内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を含み、さらにこの磁気層の外観がマスクされるのに十分な不透明さを外部シートに備えている。また、特許文献3は、圧力感知型の複写紙システムに用いる磁気作用可能なシート製品について開示している。
【0003】
このような製品は、磁気データの読み取りと書き込みを行うために、従来の設備を用いて利用されるように構成されている。このような設備は、一般に、電磁誘導(inductive)型のヘッドを含む。しかしながら、磁気データを読み取るために電磁誘導ヘッド技術を用いることの短所の一つとして、磁気データを十分に読み取るためには、シート製品内に磁気材料を比較的高濃度で含ませることが必要とされている。そこで、機械の読み取りのレベルを十分に保ちながら、シート製品内の磁気材料の濃度を減少させることが長所になると考えられている。
【0004】
また、磁気抵抗(magnetoresistive)型の読み取りシステムも公知であり、これはより高い信号強度を提供できる。この場合、シート製品内で用いられる磁気材料の濃度をより低くすることができる。しかしながら、このようなヘッドは比較的壊れやすく、磨耗によって簡単に耐用寿命が比較的短くなることが知られている。
【0005】
さらに、特許文献4は、テープ、ディスク及びクレジットカード分野に用いられる読み取りヘッドの新型について開示しているが、これは、薄膜の磁気抵抗センサを含み、このセンサの長軸に対して横切る方向でセンサの形状異方性を高めている。
【0006】
本発明の発明者は、上記センサを用いて、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたシート材料によって保持される磁気データを読み取ることができることを見出した。
【特許文献1】国際公開第01/92961号
【特許文献2】国際公開第03/102926号
【特許文献3】国際公開第03/101744号
【特許文献4】イギリス国特許第2169434号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法を提供するが、この特徴として、薄膜の磁気抵抗センサを用い、このセンサの長軸に対して横切る方向にセンサの形状異方性を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法に用いられるセンサは、特許文献4に開示されたタイプでもよい。このようなセンサは、従前の磁気抵抗ヘッドと比べて、構造が“凸凹状”(又は“ギザギザ状”)である点で区別される。
【0009】
フィルムの長軸に対して横切る方向でフィルムを選択的に延長させることで、このセンサの長軸に対して横切る方向でセンサの形状異方性を高める。このことは、例えば、横方向のフィンを備えるようにフィルムを形成することで達成できる。このような横方向でのフィルムの選択的な延長によって、磁気シート上で幾らか離間して置かれたフィルムの主な感知部に、磁気シートの磁気が効果を及ぼせるようにする。換言すると、フィンは“磁束(フラックス)ガイド”として作用するが、これは、センサから分かれておらず、電気的に絶縁されていないが、センサ自身の一部であり、感度を向上させるように導く。このような構成のさらなる長所として、従前の磁気抵抗ヘッドと比べて、フィルムの主要部を磁気シートから比較的に離間して配置することが可能になるので、センサが磨耗する割合をより低減させることができる。
【0010】
横方向のフィンがセンサの選択的な延長部を与える場合、これらは、幾つかの形態のうちの任意のものでもよい。本発明の方法に用いられるセンサの実施形態の一つでは、磁気シートと近接するフィンの端部は、フィンの長さの残りと比べて広げられており、このため、磁束を一層“集める”ことができる。この手段のため、磁気シートに隣接するフィンの縁は、経路の幅を横切る利用可能な磁束のうちでより多い量に曝される。
【0011】
しかし、本発明の方法に用いられるセンサの好適な実施形態では、フィンは長方形状であって、各フィンの間の隙間は、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さと比べてより小さい。このようなセンサは新しく、本発明に従って、薄膜の磁気抵抗センサを提供するが、これは、基板上に薄膜を含み、このフィルムに長方形状の横方向のフィンを複数備える。この特徴として、各フィンの間の距離を1〜12、好ましくは1〜4、特に、1.5〜2.5μ(ミクロン)の範囲内とし、また、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さを15〜55、好ましくは20〜30μの範囲内とし、また、各フィンの間の距離に対する各フィンの縁の長さの比(つまり、マーク/スペース比)を少なくとも4:1、好ましくは少なくとも8:1とする。好ましくは、フィンを除くセンサの横方向の幅を15〜55、好ましくは20〜30μの範囲内とする。好ましくは、各フィンの横方向の幅を15〜55、好ましくは20〜30μの範囲内とする。フィンは、センサの一方の縁にだけ備えられていてもよいが、好ましくは、センサの双方の縁に備えられる。
【0012】
このタイプの特に好ましいヘッドは、各フィンの間に1.5〜2.5μの範囲内の距離を有し、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さを20〜30μの範囲内とし、各フィンの間の距離に対する各フィンの縁の長さの比を少なくとも8:1とする。好ましくは、フィンを除くセンサの横方向の幅は20〜30μの範囲内とし、また、好ましくは、各フィンの横方向の幅は20〜30μの範囲内とする。
【0013】
長方形状のフィンを用いる場合、これらの間の隙間を比較的小さくすることで、他の構造に比べて長所が得られる。特に、この構造は、ノイズを低くしながら良好な出力を導くことができ、また損傷と磨耗に対し弾力的となる。本発明の新規なヘッドは、磁気材料を比較的に低めの濃度、例えば、1〜4、特に1.5〜2.5gm-2の範囲内で、磁気層を含み、ヘッドと磁気層の間の間隔を40μ〜100μとした、シート製品上に記録されたデータを再生するのに特に適する。
【0014】
また、本発明は、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法も提供する。この方法は、次のステップを含む。即ち、
薄膜の磁気抵抗センサを用い、この際、センサの長軸に対して横切る方向に前記センサの形状異方性を高めて、シート製品上の磁気データから電気信号を得て、
シート製品上の磁気データから得られた電気信号内のピークを検出し、
シート製品上の磁気データから得られた電気信号内のピークを、有効(True)ピーク又は無効(False)ピークに識別し、
シート製品上の磁気データから得られた電気信号内で有効ピークとして識別されたピークを用いて、シート製品上の磁気データを示す出力を与える、各ステップを含む。
【0015】
このような方法は、結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を間に有する一対の薄層状の外部シートから磁気データを読み取る時に、弱い信号と読み取りエラーの問題を克服することに特に利点がある。
【0016】
長所として、この方法はさらに、次のステップを含む。即ち、
ピークがシート製品上に記憶された磁気データを正確に示す場合、このピークが内部に収まらないように窓(領域)を定め、
上記窓に関して生じるピークの場所に従って、有効ピークと無効ピークを識別する、各ステップを含む。
上記窓は、有効ピークを無効ピークから区別するための簡単な方法を提供する。
【0017】
好ましくは、複数の点で電気信号の勾配を決定することによって、シート製品上の磁気データから得られた電気信号内でピークを検出する。
電気信号の勾配の変化は、決定が簡単であり、かつ、ピークの位置の識別を可能にする。
【0018】
長所として、シート製品上の磁気データから得られる電気信号の勾配は、繰返し電気信号をサンプリングして、先のサンプルの値から現在のサンプルの値を引くことで決定される。
これは、信号内のピークを決定する特に簡単な方法である。
【0019】
好ましくは、先のサンプルの値から現在のサンプルの値を引いた結果のサインの変化を用いて、ピークの存在を示す。
勾配のサインの変化により、簡単にピークの存在を識別し、直接的に示すことができる。
【0020】
長所として、各窓は、サンプリング期間の所定の数に対応する。
これは、窓を定める特に簡単な方法を提供する。サンプリング期間の所定の数は、固定されていてもよく、又は、窓の大きさを適合できるように調整可能でもよい。
【0021】
長所として、この方法はさらに、各有効ピークの検出で新しい窓を開始するステップを含む。
これは、無効ピークの識別を非常に簡単にする。
【0022】
好ましくは、シート製品上の磁気データから得られる電気信号をデジタル処理する。
デジタル処理は、比較的にわずかな追加費用で、安価でかつ正確に行うことができる。
【0023】
好ましくは、薄膜の磁気抵抗センサを用いるステップでは、センサの長軸に対して横切る方向で前記センサの形状異方性を高めて、シート製品上の磁気データから電気信号を得る際、シート製品上でセルフ−クロッキングデジタルコードを用いて記録されたデータを読み取るようにセンサを用いる。
セルフ−クロッキングコードを用いることは、読み取りを簡単にし、かつ正確にすることに関し長所がある。
【0024】
好ましくは、この方法は、マンチェスターコードを用いて記録されたデータを読み取るようにセンサを用いるステップを含む。
マンチェスターコードを用いることは、簡単さと正確さに関して、本発明の状況において長所となる。
【0025】
長所として、各窓は、磁気データのコードフォーマットから予期される有効ピーク間の最小の間隔よりも小さく、かつ、有効ピークと無効ピークの間の間隔よりも大きい。
これは、例えば、有効ピーク間のサンプルの予期された数よりも小さく、かつ、無効ピーク間のサンプルの予期された数よりも大きいように、窓を定めることを可能にする。
【0026】
好ましくは、この方法はさらに、増幅手段を用いて、シート製品上の磁気データから得た電気信号を増幅し、増幅手段のゲインを調節して、増幅手段にとってシート製品上の磁気データから得た電気信号が小さ過ぎる場合にはゲインを増大し、また、シート製品上の磁気データから得た電気信号が大き過ぎる場合にはゲインを減少させるステップを含む。
この手段によって、増幅手段のひずみに起因して不正確になることを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付した図を参照して、本発明の方法に用いられる磁気抵抗センサの幾つかの実施形態について説明する。
図1を参照すると、磁気データを保持する磁気シート製品10の一部が示されているが、この製品は、一対の薄層状の外部シートを含み、これらの間で結合母材磁気シート内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を有し、薄膜の磁気抵抗センサの下方で、矢印に示す方向で移動可能となっている。この薄膜は、符号16を用いて示されているように、基板18上に備えられる。但し、理解を容易にするため、図面では、フィルム16の厚さtを誇張して示している。フィルム16は、両端部に外部接続部22を有する主ストリップ20を備える。センサ電流Iは、外部接続部22の一方に供給されてから、外部接続部22の他方から出て、関連する電気回路又は電子回路(図示せず)に流れる。図1に示すように、主ストリップ20は、シートの移動方向に対し直角にシート10を横切るように延び、各々の側に横方向のフィン24を備える。この特定の実施形態では、フィン24は略長方形状として示されており、主ストリップ20の各側で同じ大きさを有する。下方に延びるフィン24の底側の縁は、磁気シート10の表面と接するか、わずかに間隔をあけて、フィルムの主ストリップ20を磁気シート10の表面から離している。横方向のフィン24を備えることで、横切る方向yに対してフィルムの形状異方性を高めている。このフィルム16は、例えば、適当なフォトリソグラフィーを用いて製造できる。このフィン構造によって、シート10からの磁場Hyがフィルムの磁化をより一層回転できるようにする。
【0028】
図2に示すように、センサを効果的にするために、フィン24の端部を磁気シート10に接触させる必要はない。図2では、下方フィン24の端部が、磁気シート10の表面から距離aだけ離れることが示されている。図2に示すような一般的なタイプのフィルム構造を有する薄膜センサの特定な実施形態では、フィルムは、96個の二重のフィンを主ストリップ20に沿って等間隔に有する。各フィン20は、x軸に沿って10μmの長さlを有し、かつx軸に沿って隣接するフィンの間に同様に10μmのスペースdを有し、即ち、マーク/スペースの割合を1:1にする。y軸に沿う各フィン24の幅bは、20μmである。但し、これらの値は、単に例示されたものに過ぎないことを強調しておきたい。特に、幅bは、実施上、20μmより大きくてもよい。2つの磁気ステージから信号が求められるデジタル装置では、これらは図2に示すx軸と図2に示すy軸に沿って磁化されてもよい。磁気シート上の二進(バイナリー)コードの磁化の変化は、2つの状態の間でセンサの磁化を切り替える傾向があり、これは、センサを通る電流I又はセンサを横切る電圧の変化によって出力信号を与える。
【0029】
図3〜5を参照すると、図1及び2に示した長方形状とは異なる、3つの別のフィン構造が示されている。図3に示したフィンは、略三角形状を有し、この下側のフィンは、頂部が切り取られている。図4に示したフィンは、略楕円又は長円形状を有し、同様にこの下側のフィンは、ストレージ媒体に向って平らな面を有している。図5は、一方側にフィンを備えた構造を示しており、このフィルムは、ストレージ媒体に向って連続する直線状の縁を有し、主ストリップの上方側に沿って横方向のフィンを有している。さらに、異なるフィン構造も可能である。
【0030】
図6には、フィン構造のさらなる変更例が示されている。図6では、磁気シート10は移動可能であることが示されている。主ストリップ20は、シートの移動方向に対して直角の軌跡を横切るように延び、各側に横方向のフィン24を備える。上方のフィン24は長方形状であって、図示したものより長くてもよい。この実施形態は、主ストリップ20からシート10に向って延びる下方フィンに関する。シートに近接する各下方フィン24の端部は広げられており、このため、これら下方フィンの各々は逆T字形状を有する。しかし、図6に示すように、広げられたフィン部の高さは、主ストリップ20に対して拡大部を接続する狭いフィン部の高さと実質的に等しくし、狭いフィン部の長さは、拡大部の長さと比例して増大できる。
【0031】
図7は、特に好ましいフィン構造を示している。図7のセンサでは、フィンの2つの列が設けられており、各フィンは長方形状とされている。しかし、各フィンの長さlが各フィンの間の距離dに等しく、各距離が10μmである図2のヘッドとは異なり、図7のヘッドでは、各フィンの間の距離dはより小さい。図7に示す特別なヘッドでは、フィンの間の距離dは2μ、各フィンの長さlは25μ、ストリップwの横方向の幅は25μ、各フィンの幅は25μである。
【0032】
本発明の例では、以下に詳述する紙のシート上にデータがエンコードされ、この際、所定のコードシステムを用いるが、この例では、マンチェスターコードを用いる。マンチェスターコードは、セルフ−クロッキングコードであることに長所があり、データをデコードするために外部のクロック源の必要性を省く。
【0033】
マンチェスターコードでは、2進データビットは、信号の絶対値としてではなく、信号の変化(トランジション)によって示される。データを示すために変化を用いることで、全てのビット期間で変化があることを保証する(これは、データが変わるときにだけ変化が生じる、値を示すためにデータの絶対レベルを用いるコードと対照的である)。
【0034】
図8を参照すると、マンチェスターコードを用いてエンコードされたデータ信号の例が示されている。ビット期間は垂直の破線で示されており、実線は信号を示している。この例では、図8の矢印に示すように、‘0'は、ビット期間の中心における低−高の変化を示し、また‘1'は、ビット期間の中心における高−低の変化を示している。図8から理解できるように、各ビット期間の中心では常に変化があり、各ビット期間の端部又は開始点で変化が起こることもある。
マンチェスターコードの他の特徴として、変化の間の期間は、ビット期間の半分か、ビット期間の全部のいずれかにできる。
【0035】
上述したように、読み取りヘッドから得られる信号を処理し、デコードする例を、ここに示す。図9には、データを処理し、デコードするためのシステムのブロックダイアグラムが示されている。
【0036】
この信号は、まず、適当な増幅器30によって増幅されて、サンプラー31の全スケールとほぼ等しくされる。信号のピークの大きさの変化を調整するため、増幅器のゲインはサンプラーによって制御される。入力信号の大きさを監視することで、サンプラーは、入力が小さ過ぎる場合にはゲインを増大させ、また、入力が大き過ぎる場合にはゲインを減少させる。
【0037】
次に、信号は、サンプラー31によってサンプル処理されて、プロセッサ32によるデジタル処理をデータ処理に利用できるようにする。プロセッサの出力は、タイミング再生(retiming)装置33に送られてから、デコーダー34に送られる。
サンプラーによって固定サンプル比が用いられて、信号内の、特徴、例えば、ピークと移動の位置を、これら特徴の間のサンプル数から決定できる。
【0038】
不完全な信号の読み取りと読み取りシステム内のノイズのため、信号は、エンコードされたデータを完全に示さない場合がある。例えば、図10は、図8に示したデータを読み取る時の、受取られた信号について示している。垂直のダッシュマークは、サンプルの位置を示している。
【0039】
データは、信号の変化によってエンコードされるため、データをデコードするために、変化の位置を検出しなくてはならない。信号内の変化の検出方法として、信号を閾値と比較して、信号が閾値と交差する各時間で変化を行うものがある。しかしながら、この方法は効率的ではなく、MR(magnetoresistance)ヘッドによって信号が読み取られる場合のように、信号の幅とオフセットが可変の場合には、信号の変化に対応するため、閾を移動しなくてはならない。信号内の変化を識別するために、信号内のピークに対応する各変化を利用する。ピークを識別することで、可変な幅とオフセットとともに信号内で識別することよりも簡単なように、変化の位置を決定でき、このため、データをデコードできる。
【0040】
ノイズは、受取られた信号と影響の上、ランダムに、サンプルの大きさの上に生じる。特定な問題として、これは、信号内で無効ピークを検出するように導く場合が起こり得る。
【0041】
図10を参照すると、サンプル41の値に影響を与えるノイズのため、一対の無効ピークが符号40と41に示すように生じている。これらピークが有効ピークとして識別されて、データをデコードするために用いられる場合、デコードは不正確になる。
【0042】
変化(つまり、ピーク)の起こり得る位置は、用いられたコードによって定められる。コードによりピークが許容される前に、他のピークに近接してピークが生じる場合、このようなピークは無効であると識別することができる。このような無効ピークを識別するために、各ピークの後に置かれるように窓を用いる。この窓は、正確なピークの間のサンプル数よりも小さいが、無効ピークの間のサンプルの予期された数よりも大きいように定められる。ピークが他のピークに続く窓内で生じる場合、これは無効であると無視されて、データをデコードする基礎として用いられるピークであるとは識別されない。
【0043】
無効ピークを識別するために用いられる窓の長さは固定値でもよいが、デコードされたデータのエラー比のようなパラメーターに基づいて、動的に変化されてもよい。このエラー比は、デコーダーによって計算されて、プロセッサにフィードバックされる。
【0044】
図11を参照すると、基本のピーク検出アルゴリズムのフローチャートが示されている。このアルゴリズムでは、以下の変数が用いられる。
n:処理されるサンプル数を示すカウンター
Xn:サンプル値
c:最後のピークからサンプル数を示すカウンター
Sn:サンプルnとサンプル(n−1)の間の勾配
【0045】
ステップ51では、アルゴリズムを開始するため、nとcを‘1’にリセットする。ステップ52では、n番のサンプルと(n−1)番のサンプルの間の勾配が計算されるが、これは、n番のサンプルの値から(n−1)番のサンプルの値を引くように行われる。この値は、Snに記録される。ステップ53では、前の勾配のサインに対する現在の勾配のサインの比較に従って決定が行われる(アルゴリズムが最初に開始される時には、第一のサンプルに先立つ開始勾配について仮定する必要があるが、例えば、これを平らであると仮定する)。勾配のサインが同じ場合、このサンプルの対と前のサンプルの対の間にはピークが存在しない。この場合、ステップ54で、nとcの値が増大されて、アルゴリズムがステップ52に戻される。勾配のサインが相違する場合(または、現在の勾配がゼロで、信号が一定であると示す場合)、ピークが検出される。ステップ55で、cの値が、窓の予め定められた長さと比較される。cが窓の長さと同じか、より小さい場合、検出されたピークは無効ピークとなる。この場合、ステップ56で、cとnが増大されて、アルゴリズムがステップ52に戻される。反対に、cが窓の長さよりも大きい場合、ピークは有効ピークとなり、アルゴリズムはステップ57に移される。ステップ57では、n番がピークであると記録されて、そしてステップ58で、cが‘1’にリセットされて、nが増大される。この処理は、次に、ステップ52に戻される。
【0046】
このように、サンプルを通してアルゴリズムのステップが行われて、サンプル内の全ての有効ピークの位置が記録される。この情報は、次にタイミング再生装置33によって用いられて、データ内の変化を位置決めするが、これはデータ内容を示す。
【0047】
図12では、より詳細なフローチャートが示されているが、この例では、MRヘッドによって受取られた、ノイズを含む入力信号を、さらなる処理とデコードに適当となるように、二進のデジタル出力に変換する処理を例示している。以下、同図を参照して、この処理について説明する。
このアルゴリズムでは、次の変数が用いられる。
Max:最後のピークからの最大のサンプルの大きさ
Min:最後のピークからの最小のサンプルの大きさ
Sum:一時的な記録
P_Count:最後の正のピークからのカウント
N_Count:最後の負のピークからのカウント
Window:ピークが無視される際のサンプルの数として定義されるもの
Output:入力信号のレベルを示す二進値
【0048】
ステップ61では、全ての変数をゼロとして開始して、最初のサンプルがアルゴリズムに読み取られる。ステップ62では、現在記録されているMax値が現在のサンプルから引かれて、この結果がSum内に置かれる。ステップ63では、Sumの値がテストされて、この値がゼロよりも小さい場合、信号はこの点で下方勾配であり、またこの値がゼロよりも大きい場合、信号はこの点で上昇勾配であるとされる。これに従い、アルゴリズムが分岐する。
【0049】
Sumがゼロよりも小さくないと仮定すると、アルゴリズムはステップ64に移り、ここでSumをゼロと比較する。Sumがゼロであれば、信号は平らである。
Sumがゼロよりも大きいと仮定すると、アルゴリズムはステップ65に移り、ここで現在のサンプルがMax内に記録される(カーブは上向きの勾配であるため、現在のサンプルが新しい最大値となる)。ステップ66で、P_Countの値(最後の正のピークからのカウント)がゼロにリセットされる。
【0050】
ステップ67では、N_Countの現在の値が窓の値(ピーク間の最小の許容可能な距離を示す)と比較される。N_Countは2で割られるが、これは、N_Countを処理する際の処理の限界に基づく。N_Countの値が窓と等しくない場合、現在のサンプルはピークとなり得ない。
【0051】
N_Count/2が窓より小さいと仮定する場合、アルゴリズムはステップ70に移るが、ここでN_Countは2だけ増大される。次に、アルゴリズムはステップ61に戻されて、次のサンプルを処理する。
【0052】
ステップ67で、N_Countの値が窓と等しい場合、アルゴリズムはステップ68に移り、プロセッサの出力が負の値にセットされるが、これは、真のピークが識別されたからである(ステップ67で‘Output−ve’の形態で示されている)。上述したように、ピークはデータ内の変化を示し、各時間で有効ピークが検出されて、出力が変化を示すように変えられる。ステップ69で、現在のサンプルが可変のMinに変えられて、アルゴリズムはステップ70に戻される。
【0053】
アルゴリズムがステップ63で下方に向う勾配とともに信号を識別した場合、ステップ76〜84が行われる。ステップ76〜84は、上記ステップ62〜70と同様に操作されるが、負のピークを探すため、可変のMinとP_Countが、MaxとN_Countの替わりに用いられる。
【0054】
ステップ71〜75は、信号が平らな時(例えば、サンプルに対する入力が高過ぎて、ピーク値がサンプラーによって‘クリップ’される場合)、ピークの位置を識別するために用いられる。上記ステップ67〜70と同様の操作となるが、例外として、ステップ71と75を組み合わせるため、ピークの中心を識別するために、カウンターはサンプル毎に1だけ増大される。ステップ85〜89は、ステップ71〜75と同様に操作される。
【0055】
図13を参照すると、典型的な入力信号100と、上記アルゴリズムによって生じる、関連した出力信号101が示されている。これから理解できるように、出力信号は各ピークで置かれる変化を有するが、前のピークの後であまりにも急に生じるピークを除く。ピーク102は、前のピークの後に置かれる窓103内に収まるため、無効ピークとして識別される。
【0056】
上記アルゴリズムの出力は、各有効ピークの位置で変化を含む二進波形となる。
前のピークに対してあまりにも近くで生じるピークは、上記アルゴリズムによって除かれるが、これはピーク(つまり、変化)の正確な位置が決定されていない場合にも起こり得る。
【0057】
読み取りヘッド、増幅器及びサンプリング装置内を信号が通る際に、信号が低下するため、信号内のピークが、これらの有効な位置と比べてシフト移動することがある。このようなシフト移動は、シンボル間干渉(inter-symbol interference: ISI)として知られている。ピークの位置を修正することで、信号の質、つまりデコードされたデータの精度を向上することができる。サンプラー31とプロセッサ32を通り過ぎた後、プロセッサ32からの二進信号がタイミング再生装置33に渡されて、これによって変化の位置が監視されて、調整される。
【0058】
マンチェスターコードでは、変化の間の期間は、上述したように、常に期間の全部か、又は期間の半分のいずれかであるため、変化の間のある期間と、変化の間のこれに続く期間の比は、常に2:1、1:1又は1:2となる。そして、変化の間の近接する期間の2つの間の比が決定されて、起こり得る比と比較される。起こり得る比に対して、結果が近似するものの、正確に等しくない場合、最後の変化が不正確な位置であるとマークされる。例えば、比が1.1:1の場合、この最後の変化が遅過ぎると記録されて、この比が1:1であるべきだとされることがある。これは、データをデコードする時に、変化が調整可能であると記録される。
【0059】
他の処理装置では、変化の位置は、検出されたら、マークされるのではなく、すぐに変えられる。さらに、上述したように前の一つについてだけではなく、複数の変化にわたって比較されて、変化の間の複数の前の期間に基づいて、変化の位置を調整することも可能である。
一度、信号がタイミング再生されると、この信号は、信号からデータを引出すデコーダー34に渡される。
【0060】
本発明の方法を用いるシート製品は、特許文献2に記載のように形成されてもよい。例えば、外部シートの一方又は双方の内側に面する表面上にコートされるように磁気層を形成してもよく、又は、ラミネートプレスや同様の装置内で2つの外部シートをつなげる際かこの直前に、ラミネート粘着物として加えられるように形成してもよい。
【0061】
磁気層は、磁気作用可能な材料を用いて形成することができ、例えば、二酸化クロム、酸化鉄、多結晶ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム又はコバルト−サマリウム合金、又はバリウム−フェライトを用いてもよい。また、用いられる結合材は、例えば、ポリビニルアルコール、ラテックス、澱粉(スターチ)又は蛋白質結合材、例えばソイプロテイン誘導体から選択可能である。好ましくは、スチレン−ブタジエンやアクリル樹脂や他のラテックスである。必要とされる磁気信号のレベルに従って、加えられるコート重量を変化させてもよい。磁気層は、必要であれば、炭酸カルシウムのようなエキステンダーを含むことができ、これによって費用の削減を可能にするだけでなく、磁気層が暗くなることも減らすことができる。
【0062】
ラミネート結合材や粘着物は、通常、シートを一体に、磁気層を挟持させるように固定させて、ラミネートを形成するために用いられる。このような結合材は、例えば、ポリビニルアルコール、ラテックス、澱粉又は蛋白質の結合材、例えばソイプロテイン誘導体でもよい。
【0063】
好適な実施形態では、このような製品内の一方又は双方の外部シートは、内側に面する表面上に顔料/結合材のプリマーコートを備える。このプリマーコートは、典型的に、製紙産業で用いられる通常のコーティング顔料、例えば、炭酸カルシウム(特に沈降炭酸カルシウム)、白土(カオリン)又は他のクレイ(特に焼成クレイ(calcined clays))及び/又は、高い不透明度が求められて、さらなる費用を追加できる場合には、二酸化チタンでもよい。用いられる結合材は通常のものでもよく、例えば、ラテックス(特にスチレン−ブタジエンやアクリルラテックス)、澱粉や澱粉誘導体、ポリビニルアルコール及び/又はソイプロテイン誘導体や他の蛋白質材料でもよい。プリマーコート重量は、典型的に、約5〜15gm-2の範囲内にあるが、これは必要とされるマスク効果と、用いられる外部シートの重量に従って変化できる(通常、より重い原紙(ベースペーパー)は、より低いプリマーコート重量を必要とする)。製品が、内側に面するプリマーコートを有する外部シートを一つだけ含む場合には、磁気データは、好ましくは、プリマーコートを有する製品の側に書き込まれて、この側から読み取られる。
【0064】
好ましくは、本発明に従う方法に用いられるシート製品は、十分に不透明な外部シートを用いて構成されて、最終製品では、磁気層の外観をマスクする。外部シートは、好ましくは紙から形成されるが、紙の特徴と類似するプラスチックシート材料(所謂、“合成紙”)を替わりに用いることは可能である。外部シートに用いられる材料は、好ましくは、十分なマスク効果と、望ましさと、良好な最終製品の外観を与える。外部シートは原紙でもよく、薄層状にされる時、最終製品が過度に厚くなったり、重くなったりしないようにする。一般に、外部シートは、磁気層の外観をマスクするために十分な範囲(カバレッジ)/不透明度を有すると考えられており、最終製品を眺めた場合、紫外線(UV)光の高まりを用いてElrepho3000装置上で計測すると、Lスケール上で元の原紙の5ポイント内になるようにする。好ましくは、製品を製造するため、元の原紙の眺め方を利用する。
【0065】
本発明のプロセスに用いられるシート製品は、製品の使用意図に基づいて、一つ又は複数の付加的な層を含んでいてもよい。例えば、圧力感知型の複写システムに用いられるシートを製造するために、一つ又は二つのさらなるコート層を含んでいてもよい。例えば、シートは、CF層、CB層、又は自生の(autogenous)層を、単一のコートを介して含んでいてもよい。CFBシートは、CBとCFコート層を、シートの反対側に加えるように含んでいてもよい。従って、本発明の方法に用いられるシート製品は、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えることができ、また、少なくとも一つの外部シートの外側に面する表面上にコートを備えてもよいが、これは、少なくとも一つの色素材料の溶液を含むマイクロカプセルか、又は圧力で破裂可能なマトリックス内に少なくとも一つの色素材料を含む分散液滴か、カラーデベロッパー成分、又は、少なくとも一つの色素材料を含むマイクロカプセルとカラーデベロッパーの双方でもよい。このようなシートは、特許文献3に開示されている。
【0066】
あるいは、本発明の方法に用いられるシート製品は、磁気データと同様に、サーマルプリンタによって加えられる可視的な情報を記録できる製品を製造するため、サーマルコート又はサーマルインクの層を含んでいてもよい。好ましくは、このような製品は、(i)一対の薄層状の外部シートであって、これら間に結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたものと、(ii)外部シートの一つの外側に面する表面に加えられる少なくとも一つの層であって、顔料と結合材を含むものと、(iii)上記層(ii)に加えられるサーマルコート又はサーマルインクを含む。例えば、本発明の製品の層(ii)の顔料は、固体の多孔性粒子形態でもよい。顔料は、好ましくは、白土又は他のクレイ、特に焼成クレイや炭酸カルシウム(特に沈降形態であって、多孔性で高吸収性のもの)、シリカ、及び/又は、二酸化チタンでもよい。あるいは、又は、これに加えて、コートは、中空の球状の形態で、プラスチック顔料を含んでいてもよい。層(ii)に用いられる結合材は、一般のものでもよく、例えば、ラテックス(特にスチレン−ブタジエンやアクリルラテックス)、澱粉や澱粉誘導体、ポリビニルアルコール及び/又はソイプロテイン誘導体、又は他の蛋白質材料でもよい。層(iii)のサーマルコートやサーマルインクは、カラーデベロッパー、カラー形成体又は感光剤を含む。
【0067】
図16を参照すると、本発明に用いることができるシート製品の一例が示されている。この例では、結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層130を、紙131と132の2つのシートとともに薄層状にしている。シート131は、選択的に外部シート133を有するが、これは、例えば、CFやCBやサーマル層である。シート131は、選択的に内側の顔料・結合材層134と、外側の上部コート層135、例えば光沢(グロス)層を有する。
【0068】
一般に、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたシート製品上の磁気データを読み取るために、通常の電磁誘導式の磁気読み取りシステムを用いる時、外部の紙のシートの各々が約60μmの厚さを有する場合、通常の電磁誘導式の磁気読み取りシステムに十分な磁気信号を与えるために、約8〜10gm-2の磁性顔料が必要になる。さらに、より厚い外部の紙のシートを用いることは、磁気層からの電磁誘導ヘッドの距離に関し、信号の強度が急速に低下するため、好ましくない。但し、本発明の方法を用いることで、1〜7gm-2、例えば、1〜4.5gm-2、幾つかの場合では、1〜2gm-2程の小さな磁性顔料の層を用いることができ、また、顔料の層と読み取りヘッドの間により大きなスペースを用いることができ、このため、必要に応じて、より厚い外部シートが利用可能になる。
【0069】
また、本発明を用いることで、低めの保磁力の、磁性顔料を用いることができる。好ましくは、磁気作用可能な材料は低めの保磁力、即ち、1000エルステッドよりも小さく、好ましくは、500エルステッドよりも小さい保磁力を有する。高めの保磁力の材料を用いる場合、材料の磁気をなくすことが困難になり、また環境内の漂浮磁界の影響を受けにくい。但し、このような材料は高価であり、また磁気情報を書き込むために、高度な磁場を必要とするという技術的な短所がある。本発明を用いることで、公知なシステムと異なり、漂浮磁界の影響を受けにくく、かつ低度の保磁力の材料を利用することができる。
以下、本発明の具体例について説明する。
【0070】
例1
一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたシート製品のサンプルの幾つかを、特許文献2に開示された一般的な方法を用いて製造した。用いられた2つのシートは、以下の特徴を有する。
シート1:60μmの厚さのベースで、プレコートを備える(プレコートの形成は、5〜10gm-2の炭酸カルシウムとラテックスによる)
シート2:80gm-2のノーカーボンCF
【0071】
これらシートは薄層上で薄層状にされるが、磁性顔料インク(PyralのDWFPN022)とスチレン−ブタジエン・ラテックスの薄層(ラミネート)接着剤とを、1:1(ドライ)混合で用いた、水性接着ロールアプリケーションシステムを介して、約3〜14gm-2の範囲内で様々なドライの磁性顔料のコート重量とする。
【0072】
75bpiで書き込めるように修正されたタリー・ジェニコム(Tally Genicom)のT5200チケットプリンターを用いて、これらサンプルの各々にデータトラックを書き込む。次に、同じT5200チケットプリンター(これは電磁誘導ヘッドを含む)上で磁気データが読み取れるか、これらサンプルのチェックを行う。様々な磁気を有する紙上に書き込まれたデータ信号を再生させるため、読み取り表面から約100μmのプロファイルで、2mmの幅の凸凹状の磁気抵抗ヘッド(MRヘッド)を用いる。MRヘッド上のサーマル効果を除くため、10Hzの高パスフィルタを用いる。また、高周波ノイズを除くため、低パスフィルタを用いる。図14には、実験用のセットアップのダイアグラムが示されている。
この結果は、次の表のようになる。
【0073】
【表1】
【0074】
これから理解できるように、通常の電磁誘導読み取りヘッドを用いると、磁性顔料に比較的に高いコート重量が必要になる。反対に、MRヘッドを用いると、全く3gm-2以下まで、164mVのピーク対ピーク出力で十分に読み取れるように、満足できる読み取りを行うことができる。
【0075】
例2
図15に、この例で用いられる実験用のセットアップが示されている。このセットアップは、例1に示したものと同様で、動的に読み取りを行うMRヘッドと同じ追加のMRヘッドを導入しており、ノイズ/サーマルの補償を与え、つまり、共通モードの電気及び磁気のノイズをキャンセルしている。この補償ヘッドは、動的MRヘッドの下方の所定距離で、直角に置かれる。
【0076】
上記タリーの電磁誘導再生ヘッドを用いて、例1と同様に薄層のシート上に、2つの異なるデータコードトラックを書き込むが、シート1を用いて準備し、2gm-2のドライの磁性顔料のコート重量を用いる。データトラックを読み取るため、3つの別体の凸凹状のヘッドを用いる。即ち、(i)図7に示したヘッドであって、各フィンの間の距離が2μ、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さが25μ、フィンを除くセンサの横方向の幅が25μ、各フィンの横方向の幅が25μのヘッドと、(ii)同様のヘッドであって、各フィンの間の距離が10μ、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さが50μ、フィンを除くセンサの横方向の幅が50μ、各フィンの横方向の幅が50μのヘッドと、(iii)同様のヘッドであって、各フィンの間の距離が2μ、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さが25μ、フィンを除くセンサの横方向の幅が50μ、各フィンの横方向の幅が25μのヘッドを用いる。
【0077】
各々の場合で、読み取りヘッドからの信号出力は、図12を参照して上述したアルゴリズムに従って処理される。
得られた結果は、優れた読み取り性を示し、かつ同様のMRヘッドと紙のサンプルを用いた時に優れた応答性を示した。ヘッド(i)は、特に好ましいことを示した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の方法に用いられる薄膜の磁気抵抗センサの第一の実施形態を示す図である。
【図2】図1に示した構成の変更例を示す図であり、磁気シート製品の表面からフィルムを離した状態を示す図である。
【図3】横方向のフィンを異なる形状にしたフィルムの変更例を示す図である。
【図4】横方向のフィンを異なる形状にしたフィルムの変更例を示す図である。
【図5】横方向のフィンを異なる形状にしたフィルムの変更例を示す図である。
【図6】異なるフィン構成を有するセンサのさらなる実施形態を示す図である。
【図7】好適な実施形態のセンサの端部を示す図である。
【図8】マンチェスターエンコードを用いて、データ信号をエンコードする例を示す図である。
【図9】信号を処理し、デコードするブロックダイアグラムを示す図である。
【図10】図8に示したデータを読み取る時に受取られる信号の例を示した図である。
【図11】基本のピーク検出アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【図12】MRヘッドから受取られたノイズのある入力信号を二進出力に変換する処理のフローチャートを示す図である。
【図13】図12に示した処理に対する入力信号と、この処理の出力信号を例示した図である。
【図14】明細書の例1に示した実験の構成を示す図である。
【図15】明細書の例2に示した実験の構成を示す図である。
【図16】本発明に用いることができる磁気シート製品の一例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄層状の(ラミネートされた)磁気を有する紙から磁気データを読み取る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気情報を従来の印刷された情報と同様に保持可能なシート製品(シートプロダクト)は、公知である。例えば、特許文献1は、コーティングを有するシート材料について開示しているが、このコーティングに含まれるキャビティ内には、電気的及び/又は磁気的に作用可能な粒子が配置されている。また、特許文献2は、一対の薄層状の外部シートを含む磁気作用可能なシート製品について開示しているが、このシートの少なくとも一つに顔料(pigment)/結合材(binder)のプリマーコートを、この内側に面する表面上に備えており、これらシートの間で結合母材(binder matrix)内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を含み、さらにこの磁気層の外観がマスクされるのに十分な不透明さを外部シートに備えている。また、特許文献3は、圧力感知型の複写紙システムに用いる磁気作用可能なシート製品について開示している。
【0003】
このような製品は、磁気データの読み取りと書き込みを行うために、従来の設備を用いて利用されるように構成されている。このような設備は、一般に、電磁誘導(inductive)型のヘッドを含む。しかしながら、磁気データを読み取るために電磁誘導ヘッド技術を用いることの短所の一つとして、磁気データを十分に読み取るためには、シート製品内に磁気材料を比較的高濃度で含ませることが必要とされている。そこで、機械の読み取りのレベルを十分に保ちながら、シート製品内の磁気材料の濃度を減少させることが長所になると考えられている。
【0004】
また、磁気抵抗(magnetoresistive)型の読み取りシステムも公知であり、これはより高い信号強度を提供できる。この場合、シート製品内で用いられる磁気材料の濃度をより低くすることができる。しかしながら、このようなヘッドは比較的壊れやすく、磨耗によって簡単に耐用寿命が比較的短くなることが知られている。
【0005】
さらに、特許文献4は、テープ、ディスク及びクレジットカード分野に用いられる読み取りヘッドの新型について開示しているが、これは、薄膜の磁気抵抗センサを含み、このセンサの長軸に対して横切る方向でセンサの形状異方性を高めている。
【0006】
本発明の発明者は、上記センサを用いて、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたシート材料によって保持される磁気データを読み取ることができることを見出した。
【特許文献1】国際公開第01/92961号
【特許文献2】国際公開第03/102926号
【特許文献3】国際公開第03/101744号
【特許文献4】イギリス国特許第2169434号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法を提供するが、この特徴として、薄膜の磁気抵抗センサを用い、このセンサの長軸に対して横切る方向にセンサの形状異方性を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法に用いられるセンサは、特許文献4に開示されたタイプでもよい。このようなセンサは、従前の磁気抵抗ヘッドと比べて、構造が“凸凹状”(又は“ギザギザ状”)である点で区別される。
【0009】
フィルムの長軸に対して横切る方向でフィルムを選択的に延長させることで、このセンサの長軸に対して横切る方向でセンサの形状異方性を高める。このことは、例えば、横方向のフィンを備えるようにフィルムを形成することで達成できる。このような横方向でのフィルムの選択的な延長によって、磁気シート上で幾らか離間して置かれたフィルムの主な感知部に、磁気シートの磁気が効果を及ぼせるようにする。換言すると、フィンは“磁束(フラックス)ガイド”として作用するが、これは、センサから分かれておらず、電気的に絶縁されていないが、センサ自身の一部であり、感度を向上させるように導く。このような構成のさらなる長所として、従前の磁気抵抗ヘッドと比べて、フィルムの主要部を磁気シートから比較的に離間して配置することが可能になるので、センサが磨耗する割合をより低減させることができる。
【0010】
横方向のフィンがセンサの選択的な延長部を与える場合、これらは、幾つかの形態のうちの任意のものでもよい。本発明の方法に用いられるセンサの実施形態の一つでは、磁気シートと近接するフィンの端部は、フィンの長さの残りと比べて広げられており、このため、磁束を一層“集める”ことができる。この手段のため、磁気シートに隣接するフィンの縁は、経路の幅を横切る利用可能な磁束のうちでより多い量に曝される。
【0011】
しかし、本発明の方法に用いられるセンサの好適な実施形態では、フィンは長方形状であって、各フィンの間の隙間は、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さと比べてより小さい。このようなセンサは新しく、本発明に従って、薄膜の磁気抵抗センサを提供するが、これは、基板上に薄膜を含み、このフィルムに長方形状の横方向のフィンを複数備える。この特徴として、各フィンの間の距離を1〜12、好ましくは1〜4、特に、1.5〜2.5μ(ミクロン)の範囲内とし、また、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さを15〜55、好ましくは20〜30μの範囲内とし、また、各フィンの間の距離に対する各フィンの縁の長さの比(つまり、マーク/スペース比)を少なくとも4:1、好ましくは少なくとも8:1とする。好ましくは、フィンを除くセンサの横方向の幅を15〜55、好ましくは20〜30μの範囲内とする。好ましくは、各フィンの横方向の幅を15〜55、好ましくは20〜30μの範囲内とする。フィンは、センサの一方の縁にだけ備えられていてもよいが、好ましくは、センサの双方の縁に備えられる。
【0012】
このタイプの特に好ましいヘッドは、各フィンの間に1.5〜2.5μの範囲内の距離を有し、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さを20〜30μの範囲内とし、各フィンの間の距離に対する各フィンの縁の長さの比を少なくとも8:1とする。好ましくは、フィンを除くセンサの横方向の幅は20〜30μの範囲内とし、また、好ましくは、各フィンの横方向の幅は20〜30μの範囲内とする。
【0013】
長方形状のフィンを用いる場合、これらの間の隙間を比較的小さくすることで、他の構造に比べて長所が得られる。特に、この構造は、ノイズを低くしながら良好な出力を導くことができ、また損傷と磨耗に対し弾力的となる。本発明の新規なヘッドは、磁気材料を比較的に低めの濃度、例えば、1〜4、特に1.5〜2.5gm-2の範囲内で、磁気層を含み、ヘッドと磁気層の間の間隔を40μ〜100μとした、シート製品上に記録されたデータを再生するのに特に適する。
【0014】
また、本発明は、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法も提供する。この方法は、次のステップを含む。即ち、
薄膜の磁気抵抗センサを用い、この際、センサの長軸に対して横切る方向に前記センサの形状異方性を高めて、シート製品上の磁気データから電気信号を得て、
シート製品上の磁気データから得られた電気信号内のピークを検出し、
シート製品上の磁気データから得られた電気信号内のピークを、有効(True)ピーク又は無効(False)ピークに識別し、
シート製品上の磁気データから得られた電気信号内で有効ピークとして識別されたピークを用いて、シート製品上の磁気データを示す出力を与える、各ステップを含む。
【0015】
このような方法は、結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を間に有する一対の薄層状の外部シートから磁気データを読み取る時に、弱い信号と読み取りエラーの問題を克服することに特に利点がある。
【0016】
長所として、この方法はさらに、次のステップを含む。即ち、
ピークがシート製品上に記憶された磁気データを正確に示す場合、このピークが内部に収まらないように窓(領域)を定め、
上記窓に関して生じるピークの場所に従って、有効ピークと無効ピークを識別する、各ステップを含む。
上記窓は、有効ピークを無効ピークから区別するための簡単な方法を提供する。
【0017】
好ましくは、複数の点で電気信号の勾配を決定することによって、シート製品上の磁気データから得られた電気信号内でピークを検出する。
電気信号の勾配の変化は、決定が簡単であり、かつ、ピークの位置の識別を可能にする。
【0018】
長所として、シート製品上の磁気データから得られる電気信号の勾配は、繰返し電気信号をサンプリングして、先のサンプルの値から現在のサンプルの値を引くことで決定される。
これは、信号内のピークを決定する特に簡単な方法である。
【0019】
好ましくは、先のサンプルの値から現在のサンプルの値を引いた結果のサインの変化を用いて、ピークの存在を示す。
勾配のサインの変化により、簡単にピークの存在を識別し、直接的に示すことができる。
【0020】
長所として、各窓は、サンプリング期間の所定の数に対応する。
これは、窓を定める特に簡単な方法を提供する。サンプリング期間の所定の数は、固定されていてもよく、又は、窓の大きさを適合できるように調整可能でもよい。
【0021】
長所として、この方法はさらに、各有効ピークの検出で新しい窓を開始するステップを含む。
これは、無効ピークの識別を非常に簡単にする。
【0022】
好ましくは、シート製品上の磁気データから得られる電気信号をデジタル処理する。
デジタル処理は、比較的にわずかな追加費用で、安価でかつ正確に行うことができる。
【0023】
好ましくは、薄膜の磁気抵抗センサを用いるステップでは、センサの長軸に対して横切る方向で前記センサの形状異方性を高めて、シート製品上の磁気データから電気信号を得る際、シート製品上でセルフ−クロッキングデジタルコードを用いて記録されたデータを読み取るようにセンサを用いる。
セルフ−クロッキングコードを用いることは、読み取りを簡単にし、かつ正確にすることに関し長所がある。
【0024】
好ましくは、この方法は、マンチェスターコードを用いて記録されたデータを読み取るようにセンサを用いるステップを含む。
マンチェスターコードを用いることは、簡単さと正確さに関して、本発明の状況において長所となる。
【0025】
長所として、各窓は、磁気データのコードフォーマットから予期される有効ピーク間の最小の間隔よりも小さく、かつ、有効ピークと無効ピークの間の間隔よりも大きい。
これは、例えば、有効ピーク間のサンプルの予期された数よりも小さく、かつ、無効ピーク間のサンプルの予期された数よりも大きいように、窓を定めることを可能にする。
【0026】
好ましくは、この方法はさらに、増幅手段を用いて、シート製品上の磁気データから得た電気信号を増幅し、増幅手段のゲインを調節して、増幅手段にとってシート製品上の磁気データから得た電気信号が小さ過ぎる場合にはゲインを増大し、また、シート製品上の磁気データから得た電気信号が大き過ぎる場合にはゲインを減少させるステップを含む。
この手段によって、増幅手段のひずみに起因して不正確になることを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付した図を参照して、本発明の方法に用いられる磁気抵抗センサの幾つかの実施形態について説明する。
図1を参照すると、磁気データを保持する磁気シート製品10の一部が示されているが、この製品は、一対の薄層状の外部シートを含み、これらの間で結合母材磁気シート内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を有し、薄膜の磁気抵抗センサの下方で、矢印に示す方向で移動可能となっている。この薄膜は、符号16を用いて示されているように、基板18上に備えられる。但し、理解を容易にするため、図面では、フィルム16の厚さtを誇張して示している。フィルム16は、両端部に外部接続部22を有する主ストリップ20を備える。センサ電流Iは、外部接続部22の一方に供給されてから、外部接続部22の他方から出て、関連する電気回路又は電子回路(図示せず)に流れる。図1に示すように、主ストリップ20は、シートの移動方向に対し直角にシート10を横切るように延び、各々の側に横方向のフィン24を備える。この特定の実施形態では、フィン24は略長方形状として示されており、主ストリップ20の各側で同じ大きさを有する。下方に延びるフィン24の底側の縁は、磁気シート10の表面と接するか、わずかに間隔をあけて、フィルムの主ストリップ20を磁気シート10の表面から離している。横方向のフィン24を備えることで、横切る方向yに対してフィルムの形状異方性を高めている。このフィルム16は、例えば、適当なフォトリソグラフィーを用いて製造できる。このフィン構造によって、シート10からの磁場Hyがフィルムの磁化をより一層回転できるようにする。
【0028】
図2に示すように、センサを効果的にするために、フィン24の端部を磁気シート10に接触させる必要はない。図2では、下方フィン24の端部が、磁気シート10の表面から距離aだけ離れることが示されている。図2に示すような一般的なタイプのフィルム構造を有する薄膜センサの特定な実施形態では、フィルムは、96個の二重のフィンを主ストリップ20に沿って等間隔に有する。各フィン20は、x軸に沿って10μmの長さlを有し、かつx軸に沿って隣接するフィンの間に同様に10μmのスペースdを有し、即ち、マーク/スペースの割合を1:1にする。y軸に沿う各フィン24の幅bは、20μmである。但し、これらの値は、単に例示されたものに過ぎないことを強調しておきたい。特に、幅bは、実施上、20μmより大きくてもよい。2つの磁気ステージから信号が求められるデジタル装置では、これらは図2に示すx軸と図2に示すy軸に沿って磁化されてもよい。磁気シート上の二進(バイナリー)コードの磁化の変化は、2つの状態の間でセンサの磁化を切り替える傾向があり、これは、センサを通る電流I又はセンサを横切る電圧の変化によって出力信号を与える。
【0029】
図3〜5を参照すると、図1及び2に示した長方形状とは異なる、3つの別のフィン構造が示されている。図3に示したフィンは、略三角形状を有し、この下側のフィンは、頂部が切り取られている。図4に示したフィンは、略楕円又は長円形状を有し、同様にこの下側のフィンは、ストレージ媒体に向って平らな面を有している。図5は、一方側にフィンを備えた構造を示しており、このフィルムは、ストレージ媒体に向って連続する直線状の縁を有し、主ストリップの上方側に沿って横方向のフィンを有している。さらに、異なるフィン構造も可能である。
【0030】
図6には、フィン構造のさらなる変更例が示されている。図6では、磁気シート10は移動可能であることが示されている。主ストリップ20は、シートの移動方向に対して直角の軌跡を横切るように延び、各側に横方向のフィン24を備える。上方のフィン24は長方形状であって、図示したものより長くてもよい。この実施形態は、主ストリップ20からシート10に向って延びる下方フィンに関する。シートに近接する各下方フィン24の端部は広げられており、このため、これら下方フィンの各々は逆T字形状を有する。しかし、図6に示すように、広げられたフィン部の高さは、主ストリップ20に対して拡大部を接続する狭いフィン部の高さと実質的に等しくし、狭いフィン部の長さは、拡大部の長さと比例して増大できる。
【0031】
図7は、特に好ましいフィン構造を示している。図7のセンサでは、フィンの2つの列が設けられており、各フィンは長方形状とされている。しかし、各フィンの長さlが各フィンの間の距離dに等しく、各距離が10μmである図2のヘッドとは異なり、図7のヘッドでは、各フィンの間の距離dはより小さい。図7に示す特別なヘッドでは、フィンの間の距離dは2μ、各フィンの長さlは25μ、ストリップwの横方向の幅は25μ、各フィンの幅は25μである。
【0032】
本発明の例では、以下に詳述する紙のシート上にデータがエンコードされ、この際、所定のコードシステムを用いるが、この例では、マンチェスターコードを用いる。マンチェスターコードは、セルフ−クロッキングコードであることに長所があり、データをデコードするために外部のクロック源の必要性を省く。
【0033】
マンチェスターコードでは、2進データビットは、信号の絶対値としてではなく、信号の変化(トランジション)によって示される。データを示すために変化を用いることで、全てのビット期間で変化があることを保証する(これは、データが変わるときにだけ変化が生じる、値を示すためにデータの絶対レベルを用いるコードと対照的である)。
【0034】
図8を参照すると、マンチェスターコードを用いてエンコードされたデータ信号の例が示されている。ビット期間は垂直の破線で示されており、実線は信号を示している。この例では、図8の矢印に示すように、‘0'は、ビット期間の中心における低−高の変化を示し、また‘1'は、ビット期間の中心における高−低の変化を示している。図8から理解できるように、各ビット期間の中心では常に変化があり、各ビット期間の端部又は開始点で変化が起こることもある。
マンチェスターコードの他の特徴として、変化の間の期間は、ビット期間の半分か、ビット期間の全部のいずれかにできる。
【0035】
上述したように、読み取りヘッドから得られる信号を処理し、デコードする例を、ここに示す。図9には、データを処理し、デコードするためのシステムのブロックダイアグラムが示されている。
【0036】
この信号は、まず、適当な増幅器30によって増幅されて、サンプラー31の全スケールとほぼ等しくされる。信号のピークの大きさの変化を調整するため、増幅器のゲインはサンプラーによって制御される。入力信号の大きさを監視することで、サンプラーは、入力が小さ過ぎる場合にはゲインを増大させ、また、入力が大き過ぎる場合にはゲインを減少させる。
【0037】
次に、信号は、サンプラー31によってサンプル処理されて、プロセッサ32によるデジタル処理をデータ処理に利用できるようにする。プロセッサの出力は、タイミング再生(retiming)装置33に送られてから、デコーダー34に送られる。
サンプラーによって固定サンプル比が用いられて、信号内の、特徴、例えば、ピークと移動の位置を、これら特徴の間のサンプル数から決定できる。
【0038】
不完全な信号の読み取りと読み取りシステム内のノイズのため、信号は、エンコードされたデータを完全に示さない場合がある。例えば、図10は、図8に示したデータを読み取る時の、受取られた信号について示している。垂直のダッシュマークは、サンプルの位置を示している。
【0039】
データは、信号の変化によってエンコードされるため、データをデコードするために、変化の位置を検出しなくてはならない。信号内の変化の検出方法として、信号を閾値と比較して、信号が閾値と交差する各時間で変化を行うものがある。しかしながら、この方法は効率的ではなく、MR(magnetoresistance)ヘッドによって信号が読み取られる場合のように、信号の幅とオフセットが可変の場合には、信号の変化に対応するため、閾を移動しなくてはならない。信号内の変化を識別するために、信号内のピークに対応する各変化を利用する。ピークを識別することで、可変な幅とオフセットとともに信号内で識別することよりも簡単なように、変化の位置を決定でき、このため、データをデコードできる。
【0040】
ノイズは、受取られた信号と影響の上、ランダムに、サンプルの大きさの上に生じる。特定な問題として、これは、信号内で無効ピークを検出するように導く場合が起こり得る。
【0041】
図10を参照すると、サンプル41の値に影響を与えるノイズのため、一対の無効ピークが符号40と41に示すように生じている。これらピークが有効ピークとして識別されて、データをデコードするために用いられる場合、デコードは不正確になる。
【0042】
変化(つまり、ピーク)の起こり得る位置は、用いられたコードによって定められる。コードによりピークが許容される前に、他のピークに近接してピークが生じる場合、このようなピークは無効であると識別することができる。このような無効ピークを識別するために、各ピークの後に置かれるように窓を用いる。この窓は、正確なピークの間のサンプル数よりも小さいが、無効ピークの間のサンプルの予期された数よりも大きいように定められる。ピークが他のピークに続く窓内で生じる場合、これは無効であると無視されて、データをデコードする基礎として用いられるピークであるとは識別されない。
【0043】
無効ピークを識別するために用いられる窓の長さは固定値でもよいが、デコードされたデータのエラー比のようなパラメーターに基づいて、動的に変化されてもよい。このエラー比は、デコーダーによって計算されて、プロセッサにフィードバックされる。
【0044】
図11を参照すると、基本のピーク検出アルゴリズムのフローチャートが示されている。このアルゴリズムでは、以下の変数が用いられる。
n:処理されるサンプル数を示すカウンター
Xn:サンプル値
c:最後のピークからサンプル数を示すカウンター
Sn:サンプルnとサンプル(n−1)の間の勾配
【0045】
ステップ51では、アルゴリズムを開始するため、nとcを‘1’にリセットする。ステップ52では、n番のサンプルと(n−1)番のサンプルの間の勾配が計算されるが、これは、n番のサンプルの値から(n−1)番のサンプルの値を引くように行われる。この値は、Snに記録される。ステップ53では、前の勾配のサインに対する現在の勾配のサインの比較に従って決定が行われる(アルゴリズムが最初に開始される時には、第一のサンプルに先立つ開始勾配について仮定する必要があるが、例えば、これを平らであると仮定する)。勾配のサインが同じ場合、このサンプルの対と前のサンプルの対の間にはピークが存在しない。この場合、ステップ54で、nとcの値が増大されて、アルゴリズムがステップ52に戻される。勾配のサインが相違する場合(または、現在の勾配がゼロで、信号が一定であると示す場合)、ピークが検出される。ステップ55で、cの値が、窓の予め定められた長さと比較される。cが窓の長さと同じか、より小さい場合、検出されたピークは無効ピークとなる。この場合、ステップ56で、cとnが増大されて、アルゴリズムがステップ52に戻される。反対に、cが窓の長さよりも大きい場合、ピークは有効ピークとなり、アルゴリズムはステップ57に移される。ステップ57では、n番がピークであると記録されて、そしてステップ58で、cが‘1’にリセットされて、nが増大される。この処理は、次に、ステップ52に戻される。
【0046】
このように、サンプルを通してアルゴリズムのステップが行われて、サンプル内の全ての有効ピークの位置が記録される。この情報は、次にタイミング再生装置33によって用いられて、データ内の変化を位置決めするが、これはデータ内容を示す。
【0047】
図12では、より詳細なフローチャートが示されているが、この例では、MRヘッドによって受取られた、ノイズを含む入力信号を、さらなる処理とデコードに適当となるように、二進のデジタル出力に変換する処理を例示している。以下、同図を参照して、この処理について説明する。
このアルゴリズムでは、次の変数が用いられる。
Max:最後のピークからの最大のサンプルの大きさ
Min:最後のピークからの最小のサンプルの大きさ
Sum:一時的な記録
P_Count:最後の正のピークからのカウント
N_Count:最後の負のピークからのカウント
Window:ピークが無視される際のサンプルの数として定義されるもの
Output:入力信号のレベルを示す二進値
【0048】
ステップ61では、全ての変数をゼロとして開始して、最初のサンプルがアルゴリズムに読み取られる。ステップ62では、現在記録されているMax値が現在のサンプルから引かれて、この結果がSum内に置かれる。ステップ63では、Sumの値がテストされて、この値がゼロよりも小さい場合、信号はこの点で下方勾配であり、またこの値がゼロよりも大きい場合、信号はこの点で上昇勾配であるとされる。これに従い、アルゴリズムが分岐する。
【0049】
Sumがゼロよりも小さくないと仮定すると、アルゴリズムはステップ64に移り、ここでSumをゼロと比較する。Sumがゼロであれば、信号は平らである。
Sumがゼロよりも大きいと仮定すると、アルゴリズムはステップ65に移り、ここで現在のサンプルがMax内に記録される(カーブは上向きの勾配であるため、現在のサンプルが新しい最大値となる)。ステップ66で、P_Countの値(最後の正のピークからのカウント)がゼロにリセットされる。
【0050】
ステップ67では、N_Countの現在の値が窓の値(ピーク間の最小の許容可能な距離を示す)と比較される。N_Countは2で割られるが、これは、N_Countを処理する際の処理の限界に基づく。N_Countの値が窓と等しくない場合、現在のサンプルはピークとなり得ない。
【0051】
N_Count/2が窓より小さいと仮定する場合、アルゴリズムはステップ70に移るが、ここでN_Countは2だけ増大される。次に、アルゴリズムはステップ61に戻されて、次のサンプルを処理する。
【0052】
ステップ67で、N_Countの値が窓と等しい場合、アルゴリズムはステップ68に移り、プロセッサの出力が負の値にセットされるが、これは、真のピークが識別されたからである(ステップ67で‘Output−ve’の形態で示されている)。上述したように、ピークはデータ内の変化を示し、各時間で有効ピークが検出されて、出力が変化を示すように変えられる。ステップ69で、現在のサンプルが可変のMinに変えられて、アルゴリズムはステップ70に戻される。
【0053】
アルゴリズムがステップ63で下方に向う勾配とともに信号を識別した場合、ステップ76〜84が行われる。ステップ76〜84は、上記ステップ62〜70と同様に操作されるが、負のピークを探すため、可変のMinとP_Countが、MaxとN_Countの替わりに用いられる。
【0054】
ステップ71〜75は、信号が平らな時(例えば、サンプルに対する入力が高過ぎて、ピーク値がサンプラーによって‘クリップ’される場合)、ピークの位置を識別するために用いられる。上記ステップ67〜70と同様の操作となるが、例外として、ステップ71と75を組み合わせるため、ピークの中心を識別するために、カウンターはサンプル毎に1だけ増大される。ステップ85〜89は、ステップ71〜75と同様に操作される。
【0055】
図13を参照すると、典型的な入力信号100と、上記アルゴリズムによって生じる、関連した出力信号101が示されている。これから理解できるように、出力信号は各ピークで置かれる変化を有するが、前のピークの後であまりにも急に生じるピークを除く。ピーク102は、前のピークの後に置かれる窓103内に収まるため、無効ピークとして識別される。
【0056】
上記アルゴリズムの出力は、各有効ピークの位置で変化を含む二進波形となる。
前のピークに対してあまりにも近くで生じるピークは、上記アルゴリズムによって除かれるが、これはピーク(つまり、変化)の正確な位置が決定されていない場合にも起こり得る。
【0057】
読み取りヘッド、増幅器及びサンプリング装置内を信号が通る際に、信号が低下するため、信号内のピークが、これらの有効な位置と比べてシフト移動することがある。このようなシフト移動は、シンボル間干渉(inter-symbol interference: ISI)として知られている。ピークの位置を修正することで、信号の質、つまりデコードされたデータの精度を向上することができる。サンプラー31とプロセッサ32を通り過ぎた後、プロセッサ32からの二進信号がタイミング再生装置33に渡されて、これによって変化の位置が監視されて、調整される。
【0058】
マンチェスターコードでは、変化の間の期間は、上述したように、常に期間の全部か、又は期間の半分のいずれかであるため、変化の間のある期間と、変化の間のこれに続く期間の比は、常に2:1、1:1又は1:2となる。そして、変化の間の近接する期間の2つの間の比が決定されて、起こり得る比と比較される。起こり得る比に対して、結果が近似するものの、正確に等しくない場合、最後の変化が不正確な位置であるとマークされる。例えば、比が1.1:1の場合、この最後の変化が遅過ぎると記録されて、この比が1:1であるべきだとされることがある。これは、データをデコードする時に、変化が調整可能であると記録される。
【0059】
他の処理装置では、変化の位置は、検出されたら、マークされるのではなく、すぐに変えられる。さらに、上述したように前の一つについてだけではなく、複数の変化にわたって比較されて、変化の間の複数の前の期間に基づいて、変化の位置を調整することも可能である。
一度、信号がタイミング再生されると、この信号は、信号からデータを引出すデコーダー34に渡される。
【0060】
本発明の方法を用いるシート製品は、特許文献2に記載のように形成されてもよい。例えば、外部シートの一方又は双方の内側に面する表面上にコートされるように磁気層を形成してもよく、又は、ラミネートプレスや同様の装置内で2つの外部シートをつなげる際かこの直前に、ラミネート粘着物として加えられるように形成してもよい。
【0061】
磁気層は、磁気作用可能な材料を用いて形成することができ、例えば、二酸化クロム、酸化鉄、多結晶ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム又はコバルト−サマリウム合金、又はバリウム−フェライトを用いてもよい。また、用いられる結合材は、例えば、ポリビニルアルコール、ラテックス、澱粉(スターチ)又は蛋白質結合材、例えばソイプロテイン誘導体から選択可能である。好ましくは、スチレン−ブタジエンやアクリル樹脂や他のラテックスである。必要とされる磁気信号のレベルに従って、加えられるコート重量を変化させてもよい。磁気層は、必要であれば、炭酸カルシウムのようなエキステンダーを含むことができ、これによって費用の削減を可能にするだけでなく、磁気層が暗くなることも減らすことができる。
【0062】
ラミネート結合材や粘着物は、通常、シートを一体に、磁気層を挟持させるように固定させて、ラミネートを形成するために用いられる。このような結合材は、例えば、ポリビニルアルコール、ラテックス、澱粉又は蛋白質の結合材、例えばソイプロテイン誘導体でもよい。
【0063】
好適な実施形態では、このような製品内の一方又は双方の外部シートは、内側に面する表面上に顔料/結合材のプリマーコートを備える。このプリマーコートは、典型的に、製紙産業で用いられる通常のコーティング顔料、例えば、炭酸カルシウム(特に沈降炭酸カルシウム)、白土(カオリン)又は他のクレイ(特に焼成クレイ(calcined clays))及び/又は、高い不透明度が求められて、さらなる費用を追加できる場合には、二酸化チタンでもよい。用いられる結合材は通常のものでもよく、例えば、ラテックス(特にスチレン−ブタジエンやアクリルラテックス)、澱粉や澱粉誘導体、ポリビニルアルコール及び/又はソイプロテイン誘導体や他の蛋白質材料でもよい。プリマーコート重量は、典型的に、約5〜15gm-2の範囲内にあるが、これは必要とされるマスク効果と、用いられる外部シートの重量に従って変化できる(通常、より重い原紙(ベースペーパー)は、より低いプリマーコート重量を必要とする)。製品が、内側に面するプリマーコートを有する外部シートを一つだけ含む場合には、磁気データは、好ましくは、プリマーコートを有する製品の側に書き込まれて、この側から読み取られる。
【0064】
好ましくは、本発明に従う方法に用いられるシート製品は、十分に不透明な外部シートを用いて構成されて、最終製品では、磁気層の外観をマスクする。外部シートは、好ましくは紙から形成されるが、紙の特徴と類似するプラスチックシート材料(所謂、“合成紙”)を替わりに用いることは可能である。外部シートに用いられる材料は、好ましくは、十分なマスク効果と、望ましさと、良好な最終製品の外観を与える。外部シートは原紙でもよく、薄層状にされる時、最終製品が過度に厚くなったり、重くなったりしないようにする。一般に、外部シートは、磁気層の外観をマスクするために十分な範囲(カバレッジ)/不透明度を有すると考えられており、最終製品を眺めた場合、紫外線(UV)光の高まりを用いてElrepho3000装置上で計測すると、Lスケール上で元の原紙の5ポイント内になるようにする。好ましくは、製品を製造するため、元の原紙の眺め方を利用する。
【0065】
本発明のプロセスに用いられるシート製品は、製品の使用意図に基づいて、一つ又は複数の付加的な層を含んでいてもよい。例えば、圧力感知型の複写システムに用いられるシートを製造するために、一つ又は二つのさらなるコート層を含んでいてもよい。例えば、シートは、CF層、CB層、又は自生の(autogenous)層を、単一のコートを介して含んでいてもよい。CFBシートは、CBとCFコート層を、シートの反対側に加えるように含んでいてもよい。従って、本発明の方法に用いられるシート製品は、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えることができ、また、少なくとも一つの外部シートの外側に面する表面上にコートを備えてもよいが、これは、少なくとも一つの色素材料の溶液を含むマイクロカプセルか、又は圧力で破裂可能なマトリックス内に少なくとも一つの色素材料を含む分散液滴か、カラーデベロッパー成分、又は、少なくとも一つの色素材料を含むマイクロカプセルとカラーデベロッパーの双方でもよい。このようなシートは、特許文献3に開示されている。
【0066】
あるいは、本発明の方法に用いられるシート製品は、磁気データと同様に、サーマルプリンタによって加えられる可視的な情報を記録できる製品を製造するため、サーマルコート又はサーマルインクの層を含んでいてもよい。好ましくは、このような製品は、(i)一対の薄層状の外部シートであって、これら間に結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたものと、(ii)外部シートの一つの外側に面する表面に加えられる少なくとも一つの層であって、顔料と結合材を含むものと、(iii)上記層(ii)に加えられるサーマルコート又はサーマルインクを含む。例えば、本発明の製品の層(ii)の顔料は、固体の多孔性粒子形態でもよい。顔料は、好ましくは、白土又は他のクレイ、特に焼成クレイや炭酸カルシウム(特に沈降形態であって、多孔性で高吸収性のもの)、シリカ、及び/又は、二酸化チタンでもよい。あるいは、又は、これに加えて、コートは、中空の球状の形態で、プラスチック顔料を含んでいてもよい。層(ii)に用いられる結合材は、一般のものでもよく、例えば、ラテックス(特にスチレン−ブタジエンやアクリルラテックス)、澱粉や澱粉誘導体、ポリビニルアルコール及び/又はソイプロテイン誘導体、又は他の蛋白質材料でもよい。層(iii)のサーマルコートやサーマルインクは、カラーデベロッパー、カラー形成体又は感光剤を含む。
【0067】
図16を参照すると、本発明に用いることができるシート製品の一例が示されている。この例では、結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層130を、紙131と132の2つのシートとともに薄層状にしている。シート131は、選択的に外部シート133を有するが、これは、例えば、CFやCBやサーマル層である。シート131は、選択的に内側の顔料・結合材層134と、外側の上部コート層135、例えば光沢(グロス)層を有する。
【0068】
一般に、一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたシート製品上の磁気データを読み取るために、通常の電磁誘導式の磁気読み取りシステムを用いる時、外部の紙のシートの各々が約60μmの厚さを有する場合、通常の電磁誘導式の磁気読み取りシステムに十分な磁気信号を与えるために、約8〜10gm-2の磁性顔料が必要になる。さらに、より厚い外部の紙のシートを用いることは、磁気層からの電磁誘導ヘッドの距離に関し、信号の強度が急速に低下するため、好ましくない。但し、本発明の方法を用いることで、1〜7gm-2、例えば、1〜4.5gm-2、幾つかの場合では、1〜2gm-2程の小さな磁性顔料の層を用いることができ、また、顔料の層と読み取りヘッドの間により大きなスペースを用いることができ、このため、必要に応じて、より厚い外部シートが利用可能になる。
【0069】
また、本発明を用いることで、低めの保磁力の、磁性顔料を用いることができる。好ましくは、磁気作用可能な材料は低めの保磁力、即ち、1000エルステッドよりも小さく、好ましくは、500エルステッドよりも小さい保磁力を有する。高めの保磁力の材料を用いる場合、材料の磁気をなくすことが困難になり、また環境内の漂浮磁界の影響を受けにくい。但し、このような材料は高価であり、また磁気情報を書き込むために、高度な磁場を必要とするという技術的な短所がある。本発明を用いることで、公知なシステムと異なり、漂浮磁界の影響を受けにくく、かつ低度の保磁力の材料を利用することができる。
以下、本発明の具体例について説明する。
【0070】
例1
一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えたシート製品のサンプルの幾つかを、特許文献2に開示された一般的な方法を用いて製造した。用いられた2つのシートは、以下の特徴を有する。
シート1:60μmの厚さのベースで、プレコートを備える(プレコートの形成は、5〜10gm-2の炭酸カルシウムとラテックスによる)
シート2:80gm-2のノーカーボンCF
【0071】
これらシートは薄層上で薄層状にされるが、磁性顔料インク(PyralのDWFPN022)とスチレン−ブタジエン・ラテックスの薄層(ラミネート)接着剤とを、1:1(ドライ)混合で用いた、水性接着ロールアプリケーションシステムを介して、約3〜14gm-2の範囲内で様々なドライの磁性顔料のコート重量とする。
【0072】
75bpiで書き込めるように修正されたタリー・ジェニコム(Tally Genicom)のT5200チケットプリンターを用いて、これらサンプルの各々にデータトラックを書き込む。次に、同じT5200チケットプリンター(これは電磁誘導ヘッドを含む)上で磁気データが読み取れるか、これらサンプルのチェックを行う。様々な磁気を有する紙上に書き込まれたデータ信号を再生させるため、読み取り表面から約100μmのプロファイルで、2mmの幅の凸凹状の磁気抵抗ヘッド(MRヘッド)を用いる。MRヘッド上のサーマル効果を除くため、10Hzの高パスフィルタを用いる。また、高周波ノイズを除くため、低パスフィルタを用いる。図14には、実験用のセットアップのダイアグラムが示されている。
この結果は、次の表のようになる。
【0073】
【表1】
【0074】
これから理解できるように、通常の電磁誘導読み取りヘッドを用いると、磁性顔料に比較的に高いコート重量が必要になる。反対に、MRヘッドを用いると、全く3gm-2以下まで、164mVのピーク対ピーク出力で十分に読み取れるように、満足できる読み取りを行うことができる。
【0075】
例2
図15に、この例で用いられる実験用のセットアップが示されている。このセットアップは、例1に示したものと同様で、動的に読み取りを行うMRヘッドと同じ追加のMRヘッドを導入しており、ノイズ/サーマルの補償を与え、つまり、共通モードの電気及び磁気のノイズをキャンセルしている。この補償ヘッドは、動的MRヘッドの下方の所定距離で、直角に置かれる。
【0076】
上記タリーの電磁誘導再生ヘッドを用いて、例1と同様に薄層のシート上に、2つの異なるデータコードトラックを書き込むが、シート1を用いて準備し、2gm-2のドライの磁性顔料のコート重量を用いる。データトラックを読み取るため、3つの別体の凸凹状のヘッドを用いる。即ち、(i)図7に示したヘッドであって、各フィンの間の距離が2μ、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さが25μ、フィンを除くセンサの横方向の幅が25μ、各フィンの横方向の幅が25μのヘッドと、(ii)同様のヘッドであって、各フィンの間の距離が10μ、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さが50μ、フィンを除くセンサの横方向の幅が50μ、各フィンの横方向の幅が50μのヘッドと、(iii)同様のヘッドであって、各フィンの間の距離が2μ、センサの長軸と並行な各フィンの縁の長さが25μ、フィンを除くセンサの横方向の幅が50μ、各フィンの横方向の幅が25μのヘッドを用いる。
【0077】
各々の場合で、読み取りヘッドからの信号出力は、図12を参照して上述したアルゴリズムに従って処理される。
得られた結果は、優れた読み取り性を示し、かつ同様のMRヘッドと紙のサンプルを用いた時に優れた応答性を示した。ヘッド(i)は、特に好ましいことを示した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の方法に用いられる薄膜の磁気抵抗センサの第一の実施形態を示す図である。
【図2】図1に示した構成の変更例を示す図であり、磁気シート製品の表面からフィルムを離した状態を示す図である。
【図3】横方向のフィンを異なる形状にしたフィルムの変更例を示す図である。
【図4】横方向のフィンを異なる形状にしたフィルムの変更例を示す図である。
【図5】横方向のフィンを異なる形状にしたフィルムの変更例を示す図である。
【図6】異なるフィン構成を有するセンサのさらなる実施形態を示す図である。
【図7】好適な実施形態のセンサの端部を示す図である。
【図8】マンチェスターエンコードを用いて、データ信号をエンコードする例を示す図である。
【図9】信号を処理し、デコードするブロックダイアグラムを示す図である。
【図10】図8に示したデータを読み取る時に受取られる信号の例を示した図である。
【図11】基本のピーク検出アルゴリズムのフローチャートを示す図である。
【図12】MRヘッドから受取られたノイズのある入力信号を二進出力に変換する処理のフローチャートを示す図である。
【図13】図12に示した処理に対する入力信号と、この処理の出力信号を例示した図である。
【図14】明細書の例1に示した実験の構成を示す図である。
【図15】明細書の例2に示した実験の構成を示す図である。
【図16】本発明に用いることができる磁気シート製品の一例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法であって、薄膜の磁気抵抗センサを用いて、このセンサの長軸に対して横切る方向で前記センサの形状異方性を高めることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記センサは、基板上に薄膜を有し、このフィルムに横方向のフィンを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シート製品と近接する前記フィンの端部は、前記フィンの長さの他と比べて広げられることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィンの各々の間の距離は、1〜12μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも4:1であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記フィンの各々の間の距離は、1.5〜2.5μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、20〜30μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも8:1であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フィンを除く前記センサの横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記センサは基板上に薄膜を有し、前記フィルムの主ストリップを前記磁気シートの表面から離すことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記シート製品の前記外部シートの各々は、紙を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記シート製品の前記外部シートの各々は十分に不透明であって、最終的な製品では、前記磁気層の外観をマスクすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記シート製品の前記磁気層は、二酸化クロム、酸化鉄、多結晶ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム又はコバルト−サマリウム合金、及び/又はバリウム−フェライトを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記シート製品の前記磁気層は、ポリビニルアルコール、ラテックス、澱粉、及び/又は蛋白質の結合材から選ばれる結合材を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記シート製品の前記外部シートの一方又は双方は、内側に面する表面上に顔料/結合材のコートを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記シート製品の前記外部シートの一方又は双方は、外側に面する表面上に少なくとも一つの付加的な層を有し、この層は、少なくとも一つの色素材料の溶液を含むマイクロカプセルか、圧力で破裂可能なマトリックス内に少なくとも一つの色素材料を含む分散液滴、カラーデベロッパー成分、又は、少なくとも一つの色素材料を含むマイクロカプセルとカラーデベロッパーの双方、そして、サーマルコート又はサーマルインクの層から選ばれることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記シート製品の前記磁気層は、1〜7gm-2の磁性顔料を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記磁気層は、1〜4.5gm-2の磁性顔料を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法であって、
薄膜の磁気抵抗センサを用いて、このセンサの長軸に対して横切る方向に前記センサの形状異方性を高めており、前記シート製品上の前記磁気データから電気信号を得て、
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内のピークを検出し、
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内のピークを、有効ピーク又は無効ピークに識別し、
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内の前記有効ピークとして識別されたピークを用いて、前記シート製品上の前記磁気データを示す出力を与える、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記ピークが前記シート製品上で記録された前記磁気データを正確に示す場合、このピークが内部に収まらないように窓を定め、
前記窓に関して前記ピークが生じる場所に従って、前記有効ピークと前記無効ピークの識別を行うステップをさらに含むことを特徴とするホース請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の点で電気信号の勾配を定めることで、前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内のピークを検出することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号の勾配は、繰返して前記電気信号をサンプリングして、前のサンプルの値から現在のサンプルの値を引くことで決定されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記前のサンプルの値から現在のサンプルの値を引いた結果のサインの変化を用いて、前記ピークの存在を示すことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記窓の各々は、サンプリング期間の所定の数に対応することを特徴とする請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、各有効ピークを検出する際に、新しい窓を開始するステップを有することを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記シート製品上の前記磁気データから得られた電気信号を、デジタル処理することを特徴とする請求項17〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記薄膜の磁気抵抗センサを用いるステップでは、このセンサの長軸に対して横切る方向に前記センサの形状異方性を高めており、前記シート製品上の前記磁気データから電気信号を得るため、前記シート製品上のセルフ−クロッキングデジタルコードを用いて記録されたデータを、前記センサを用いて読み取ることを特徴とする請求項17〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記センサを用いるステップでは、マンチェスターコードを用いて記録されたデータを読み取ることを特徴とする請求項16〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記窓の各々は、前記磁気データのコードフォーマットから予期される有効ピークの間の最小の間隔よりも小さく、かつ前記有効ピークと前記無効ピークの間の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
さらに、増幅手段を用いて、前記シート製品上の前記磁気データから得られた電気信号を増幅し、前記増幅手段のゲインを調節して、前記増幅手段にとって前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号が小さ過ぎる場合には前記ゲインを増大させ、また、前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号が大き過ぎる場合には前記ゲインを減少させるステップを含むことを特徴とする請求項16〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
請求項2〜15のいずれかに記載の特徴を有することを特徴とする請求項16〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法であって、前記シート製品を一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層とから構成し、ここに記載され、かつ添付された図面に示したように行われることを特徴とする方法。
【請求項30】
薄膜の磁気抵抗センサであって、基板上に薄膜を含み、このフィルムには長方形状の横方向のフィンが複数備えられ、前記フィンの各々の間の距離は、1〜12μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも4:1であることを特徴とするセンサ。
【請求項31】
前記フィンの各々の間の距離は、1.5〜2.5μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、20〜30μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも8:1であることを特徴とする請求項30に記載のセンサ。
【請求項32】
前記フィンを除く前記センサの横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあることを特徴とする請求項30又は31に記載のセンサ。
【請求項1】
一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法であって、薄膜の磁気抵抗センサを用いて、このセンサの長軸に対して横切る方向で前記センサの形状異方性を高めることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記センサは、基板上に薄膜を有し、このフィルムに横方向のフィンを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シート製品と近接する前記フィンの端部は、前記フィンの長さの他と比べて広げられることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィンの各々の間の距離は、1〜12μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも4:1であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記フィンの各々の間の距離は、1.5〜2.5μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、20〜30μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも8:1であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フィンを除く前記センサの横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記センサは基板上に薄膜を有し、前記フィルムの主ストリップを前記磁気シートの表面から離すことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記シート製品の前記外部シートの各々は、紙を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記シート製品の前記外部シートの各々は十分に不透明であって、最終的な製品では、前記磁気層の外観をマスクすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記シート製品の前記磁気層は、二酸化クロム、酸化鉄、多結晶ニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム又はコバルト−サマリウム合金、及び/又はバリウム−フェライトを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記シート製品の前記磁気層は、ポリビニルアルコール、ラテックス、澱粉、及び/又は蛋白質の結合材から選ばれる結合材を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記シート製品の前記外部シートの一方又は双方は、内側に面する表面上に顔料/結合材のコートを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記シート製品の前記外部シートの一方又は双方は、外側に面する表面上に少なくとも一つの付加的な層を有し、この層は、少なくとも一つの色素材料の溶液を含むマイクロカプセルか、圧力で破裂可能なマトリックス内に少なくとも一つの色素材料を含む分散液滴、カラーデベロッパー成分、又は、少なくとも一つの色素材料を含むマイクロカプセルとカラーデベロッパーの双方、そして、サーマルコート又はサーマルインクの層から選ばれることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記シート製品の前記磁気層は、1〜7gm-2の磁性顔料を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記磁気層は、1〜4.5gm-2の磁性顔料を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層を備えた、磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法であって、
薄膜の磁気抵抗センサを用いて、このセンサの長軸に対して横切る方向に前記センサの形状異方性を高めており、前記シート製品上の前記磁気データから電気信号を得て、
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内のピークを検出し、
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内のピークを、有効ピーク又は無効ピークに識別し、
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内の前記有効ピークとして識別されたピークを用いて、前記シート製品上の前記磁気データを示す出力を与える、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記ピークが前記シート製品上で記録された前記磁気データを正確に示す場合、このピークが内部に収まらないように窓を定め、
前記窓に関して前記ピークが生じる場所に従って、前記有効ピークと前記無効ピークの識別を行うステップをさらに含むことを特徴とするホース請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の点で電気信号の勾配を定めることで、前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号内のピークを検出することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号の勾配は、繰返して前記電気信号をサンプリングして、前のサンプルの値から現在のサンプルの値を引くことで決定されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記前のサンプルの値から現在のサンプルの値を引いた結果のサインの変化を用いて、前記ピークの存在を示すことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記窓の各々は、サンプリング期間の所定の数に対応することを特徴とする請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、各有効ピークを検出する際に、新しい窓を開始するステップを有することを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記シート製品上の前記磁気データから得られた電気信号を、デジタル処理することを特徴とする請求項17〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記薄膜の磁気抵抗センサを用いるステップでは、このセンサの長軸に対して横切る方向に前記センサの形状異方性を高めており、前記シート製品上の前記磁気データから電気信号を得るため、前記シート製品上のセルフ−クロッキングデジタルコードを用いて記録されたデータを、前記センサを用いて読み取ることを特徴とする請求項17〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記センサを用いるステップでは、マンチェスターコードを用いて記録されたデータを読み取ることを特徴とする請求項16〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記窓の各々は、前記磁気データのコードフォーマットから予期される有効ピークの間の最小の間隔よりも小さく、かつ前記有効ピークと前記無効ピークの間の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
さらに、増幅手段を用いて、前記シート製品上の前記磁気データから得られた電気信号を増幅し、前記増幅手段のゲインを調節して、前記増幅手段にとって前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号が小さ過ぎる場合には前記ゲインを増大させ、また、前記シート製品上の前記磁気データから得られた前記電気信号が大き過ぎる場合には前記ゲインを減少させるステップを含むことを特徴とする請求項16〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
請求項2〜15のいずれかに記載の特徴を有することを特徴とする請求項16〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
磁気データを保持する磁気作用可能なシート製品から磁気データを読み取る方法であって、前記シート製品を一対の薄層状の外部シートと、これらの間で結合母材内に磁気作用可能な粒子を含む磁気層とから構成し、ここに記載され、かつ添付された図面に示したように行われることを特徴とする方法。
【請求項30】
薄膜の磁気抵抗センサであって、基板上に薄膜を含み、このフィルムには長方形状の横方向のフィンが複数備えられ、前記フィンの各々の間の距離は、1〜12μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも4:1であることを特徴とするセンサ。
【請求項31】
前記フィンの各々の間の距離は、1.5〜2.5μの範囲内にあり、前記センサの長軸と並行な前記フィンの各々の縁の長さは、20〜30μの範囲内にあり、前記フィンの各々の間の距離に対する前記フィンの各々の縁の長さの比は、少なくとも8:1であることを特徴とする請求項30に記載のセンサ。
【請求項32】
前記フィンを除く前記センサの横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあり、前記フィンの各々の横方向の幅は、15〜55μの範囲内にあることを特徴とする請求項30又は31に記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−518379(P2008−518379A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538497(P2007−538497)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004099
【国際公開番号】WO2006/046016
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507136659)アルジョ ウィギンズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004099
【国際公開番号】WO2006/046016
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507136659)アルジョ ウィギンズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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