説明

磁気パターン検出装置

【課題】磁気センサ素子の切替え時に発生するノイズの乗った信号が、磁気パターンの検出に用いられることを低減できる磁気パターン検出装置を提供すること。
【解決手段】複数の磁気センサ素子40を順次に切り替えるチャンネル切り替え動作を行いながら媒体2の磁気パターンを検出する磁気パターン検出装置1は、各磁気センサ素子40から順次に出力される検出信号を時系列検出信号に合成して増幅する増幅部70と、増幅部70から出力される時系列検出信号に基づいて磁気パターンを検出する磁気パターン検出部100を備える。増幅部70と磁気パターン検出部100はアナログスイッチ101により接続されており、アナログスイッチ101は各磁気センサ素子40の励磁コイル48の励磁開始時点を含む所定時間オフ状態にされる。この結果、時系列検出信号において、チャンネル切り替えに起因するノイズが含まれている期間がマスクされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体が取り付けられた物体や磁気インクで印刷が施された紙幣等といった媒体の磁気パターンを検出する磁気パターン検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁性体が取り付けられたカード等の物体や、磁気インクで印刷が施された紙幣等の媒体から磁気パターンを検出する磁気パターン検出装置では、媒体を着磁位置および読取位置をこの順番で経由する媒体搬送経路に沿って搬送し、着磁位置でマグネットによる媒体の着磁を行い、読取位置で媒体が通過する際の磁束変化を磁気センサ素子で検出し、磁気センサ素子から出力された検出信号を信号処理部で信号処理している。
【0003】
特許文献1に記載の磁気パターン検出装置は媒体の通過方向と直交する方向に複数の磁気センサ素子を搭載しており、これらの磁気センサ素子を一定のタイミングおよび一定の順次で切り替えて、媒体の磁気パターンを検出する。各磁気センサ素子はバイアス磁界を印加した状態における磁束を検出するものであり、バイアス磁界を発生させるための励磁コイルと、磁気パターンを検出するための検出コイルを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−163336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、複数の磁気センサ素子を搭載している多チャンネル型の磁気パターン検出装置では、各磁気センサ素子の励磁コイルを励磁するための励磁信号を増幅するためのアンプと、各磁気センサ素子のそれぞれから出力された検出信号を増幅するためのアンプのそれぞれが磁気センサ素子の数だけ必要となるので、装置の製造コストが上昇するという問題がある。
【0006】
このような問題に対して、励磁信号を増幅するためのアンプを1つとして、マルチプレクサを介してアンプと複数の磁気センサ素子を接続することにより、単一チャンネルの励磁信号を一定のタイミングおよび一定の順次で切り替わる多チャンネルの時分割励磁信号に分割し、各磁気センサ素子の励磁コイルを対応するチャンネルの分割励磁信号によって励磁することが考えられる。また、検出信号を増幅するためのアンプを1つとして、このアンプと複数の磁気センサ素子をマルチプレクサを介して接続することによって、各磁気センサ素子の検出コイルから出力される多チャンネルの検出信号を一定のタイミングおよび一定の順次で切り替えながら合成し、しかる後に増幅して、単一チャンネルの時系列検出信号を出力することが考えられる。しかし、チャンネル切り替えを行いながら磁気センサ素子の励磁コイルを励磁すると、チャンネル切替え時に生じるノイズが時系列検出信号に乗り、磁気パターン検出部に入力されるという問題がある。時系列検出信号にノイズが含まれると、磁気パターン検出部による媒体の磁気パターンの検出精度の低下を招く。
【0007】
本発明の課題は、上記の問題点に鑑みて、複数のチャンネルを切り替えて用いる場合に、切替え時に発生するノイズの乗った信号が磁気パターンの検出に用いられることを回避或いは低減することができる磁気パターン検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
単一チャンネルの励磁信号を発生する励磁信号発生部と、
前記単一チャンネルの励磁信号を、一定のタイミングおよび一定の順次で切り替わる多チャンネルの時分割励磁信号に分割する信号時分割部と、
励磁コイルおよび検出コイルを備えた磁気センサ素子が前記多チャンネルに対応する個数分配置されており、各磁気センサ素子の前記励磁コイルが対応するチャンネルの前記分割励磁信号によって励磁される多チャンネルの磁気検出部と、
前記磁気検出部の各磁気センサ素子の前記検出コイルから出力される多チャンネルの検出信号を、前記一定のタイミングおよび前記一定の順次で切り替えながら合成して単一チャンネルの時系列検出信号を出力する信号合成部と、
前記時系列検出信号に基づいて前記磁気検出部を通過する媒体の磁気パターンを検出する磁気パターン検出部と、
前記信号合成部から前記磁気パターン検出部に対する前記時系列検出信号の供給路を遮断するためのアナログスイッチと、
前記時分割励磁信号による各磁気センサ素子の前記励磁コイルの励磁開始時点において、当該励磁開始時点を含む所定の時間だけ前記アナログスイッチをオフに切り替えて前記供給路を遮断するスイッチ制御部とを有していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、信号合成部から磁気パターン検出部に入力される時系列検出信号は、チャンネル切り替えに起因して生じるノイズが含まれている可能性が高い期間、すなわち、磁気センサ素子の励磁コイルの励磁開始時点を含む所定の時間がアナログスイッチのオフ状態によってマスクされる。従って、チャンネル切替え時に発生するノイズが乗った時系列検出信号が、磁気パターン検出部に入力されて信号処理されることを回避或いは低減できる。よって、媒体の磁気パターンを精度よく検出できる。
【0010】
本発明において、前記信号時分割部は、前記励磁信号を増幅する1つの第1アンプと、前記第1アンプからの出力を分割して前記時分割励磁信号を生成する第1マルチプレクサとを備えており、前記信号合成部は、多チャンネルの前記検出信号を合成する第2マルチプレクサと、前記第2マルチプレクサからの出力を増幅して前記時系列検出信号として出力する1つの第2アンプを備えていることが望ましい。このようにすれば、1つのアンプで励磁信号を増幅することが可能となる。また、1つのアンプで時系列検出信号を増幅することが可能となる。従って、装置の製造コストを抑えることができる。
【0011】
本発明において、前記励磁信号は、交番電流であり、各磁気センサ素子の前記励磁コイルの前記励磁開始時点は、前記交番電流がゼロクロスするゼロクロス時点であり、前記スイッチ制御部は、前記励磁開始時点と一致する第1のゼロクロス時点と、当該第1のゼロクロス時点の次に前記交番電流がゼロクロスする第2のゼロクロス時点を含む前記所定の時間だけ前記アナログスイッチをオフに切り替えることが望ましい。交番電流である励磁電流がゼロクロスするゼロクロス時点でチャンネルを切り替えれば、切り替えられた磁気センサ素子の励磁コイルにおいて励磁電流が急峻に流されることがないので、切り替え時に発生するノイズを抑制することができる。また、チャンネル切り替え時に発生するノイズの大きさは電流変化の時間微分に比例するので、電流変化の小さいゼロクロス時点でチャンネルを切り替えれば、ノイズを小さく抑えることができる。また、信号合成部から磁気パターン検出部へ出力される時系列検出信号を交番電流が2回ゼロクロスする時点を含むようにマスクすれば、時系列検出信号においてチャンネルの切り替えに起因して生じるノイズが含まれている可能性の高い期間を確実にマスクできる。
【0012】
本発明において、ソフトウエア割り込みによって定期的に生成される切替制御信号を出力する切替制御信号出力部と、ハードタイマと、前記切替制御信号および前記ハードタイマのタイマ信号に基づいて、前記信号時分割部および前記信号合成部において各チャンネルを切り替えるための切替信号を出力する同期出力部とを有しており、前記同期出力部は、前記切替制御信号が出力されると、前記切替制御信号を記憶保持し、しかる後に、前記切替信号として前記タイマ信号に同期させた前記切替制御信号を前記信号時分割部および前記信号合成部に出力することが望ましい。このようにすればチャンネル切り替えのための切替信号を、資源が限られているハードタイマを消費することなく生成することができる。また、ソフトウエア割り込みにより生成された切替制御信号がそのまま信号時分割部および信号合成部のチャンネルを切り替えるための切替信号とした場合には、他の処理の影響によって切替制御信号の生成に遅延が生じ、所定タイミングでチャンネルを切り替えられずジッタが発生することがあるが、生成された切替制御信号は、ハードタイマのタイマ信号に基づいて動作する同期出力部を介して信号時分割部および信号合成部に入力されるので、各チャンネルをタイマ信号に基づく一定のタイミングで確実に切り替えることができる。また、チャンネル切替動作にジッタが発生しないので、ノイズの発生も抑制できる。
【0013】
本発明において、前記アナログスイッチがオフに切り替えられている間、前記供給路の電位を0にクランプするクランプ部を有していることが望ましい。このようにすれば、アナログスイッチがオフ状態となり、増幅部と磁気パターン検出部との間が電気的に遮断状態となったときに、磁気パターン検出部への入力がフローティングとなることを回避できる。また、電位を0にクランプすることにより、磁気パターン検出部への入力をノイズ発生が無い状態と同一のレベルにすることができる。
【0014】
本発明において、各時分割励磁信号は、時系列で次の時分割励磁信号との間が一定時間離れていることが望ましい。このようにすれば、2つの磁気センサ素子の励磁コイルが同時に励磁されることがないので、2つの磁気センサ素子の検出コイルから同時に検出信号が出力され、時系列検出信号として合成される際に加算させて異常値が出力されることを回避できる。また、磁気センサ素子が隣接配置されている場合は、2つの磁気センサ素子の励磁コイルが同時に励磁されることによるノイズの発生を防止できる。
【0015】
本発明において、順次に励磁される前記励磁コイルを備える2つの前記磁気センサ素子は、同一の磁束の変化に対して逆極性の検出信号を出力し、各時分割励磁信号は、時系列で次の時分割励磁信号と一定時間重なっていることが望ましい。このようにすれば、時分割励磁信号の重なり期間によって2つの磁気センサ素子の励磁コイルが同時に励磁された状態となると、2つの磁気センサ素子の検出コイルから逆極性の検出信号が出力され、これらの検出信号が打ち消しあう。従って、異常値の出力やノイズの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アナログスイッチの動作によって、チャンネルの切り替え時に発生するノイズの乗った検出信号が、信号合成部を介して磁気パターン検出部に入力されることを回避或いは低減できる。従って、多チャンネル型の磁気パターン検出装置によって媒体の磁気パターンを精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の磁気パターン検出装置の構成を示す説明図である。
【図2】磁気パターン検出装置が搭載する磁気センサ装置の説明図である。
【図3】磁気センサ装置に用いた磁気センサ素子の説明図である。
【図4】磁気パターン検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】チャンネル切り替え動作のタイムチャートなどである。
【図6】媒体に形成される各種磁気インクの特性等を示す説明図である。
【図7】磁気パターン検出装置において種類の異なる磁気パターンが形成された媒体から磁気パターンの有無を検出する原理を示す説明図である。
【図8】各時分割励磁信号の間を一定時間空けた場合の検出波形の説明図である。
【図9】各時分割励磁信号の間を励磁信号の1周期分の時間空けた場合の説明図である。
【図10】各時分割励磁信号を一定時間重ねた場合の検出波形の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施の形態に係る磁気パターン検出装置を説明する。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明に係る磁気パターン検出装置の構成を示す説明図であり、図1(a)、(b)は、磁気パターン検出装置の要部構成を模式的に示す説明図、および断面構成を模式的に示す説明図である。
【0020】
図1に示す磁気パターン検出装置1は、銀行券、有価証券等の媒体2から磁気を検知して真偽判別や種類の判別を行なう装置であり、ローラやガイド(図示せず)等によってシート状の媒体2を媒体移動路11に沿って移動させる搬送装置10と、この搬送装置10による媒体移動路11の途中位置で媒体2から磁気を検出する磁気センサ装置20とを有している。本形態において、ローラやガイドは、アルミニウム等といった非磁性材料から構成されている。本形態において、磁気センサ装置(磁気検出部)20は、媒体移動路11の下方に配置されているが、媒体移動路11の上方に配置されることもある。いずれの場合も、磁気センサ装置20は、センサ面21を媒体移動路11に向けるように配置される。
【0021】
媒体2には、媒体2の移動方向Xに延在する細幅の磁性領域2aに磁気インクによって磁気パターンが付されており、かかる磁気パターンは、残留磁束密度Brおよび透磁率μが異なる複数種類の磁気インクによる形成されている。例えば、媒体2には、ハード材を含む磁気インキにより印刷された第1の磁気パターンと、ソフト材を含む磁気インキにより印刷された第2の磁気パターンとが形成されている。そこで、本形態の磁気パターン検出装置1は、媒体2における磁気パターン毎の有無を残留磁束密度レベルおよび透磁率レベルの双方に基づいて検出する。また、本形態において、かかる2種類の磁気パターンの検出を行なうための磁気センサ装置20は共通である。
【0022】
(磁気センサ装置の構成)
図2は、本発明に係る磁気センサ装置20の説明図であり、図2(a)、(b)は、磁気センサ装置20における磁気センサ素子の等のレイアウトを示す説明図、および磁気センサ素子の向きを示す説明図である。
【0023】
図1および図2(a)に示すように、磁気センサ装置20は、媒体2に磁界を印加する磁界印加用磁石30と、磁界を印加した後の媒体2にバイアス磁界を印加した状態における磁束を検出する磁気センサ素子40と、磁界印加用磁石30および磁気センサ素子40を覆う非磁性のケース25とを備えている。磁気センサ装置20は、媒体移動路11と略同一平面を構成するセンサ面21と、センサ面21に対して媒体2の移動方向の両側に連接する斜面部22、23とを備えており、かかる形状は、ケース25の形状によって規定されている。
【0024】
磁気センサ装置20は、媒体2の移動方向Xと交差する方向に延在しており、磁界印加用磁石30および磁気センサ素子40は、媒体2の移動方向Xと交差する方向に複数、配列されている。本形態において、磁気センサ装置20は、媒体2の移動方向Xと交差する方向のうち、移動方向Xと直交する媒体幅方向Yに延在しており、磁界印加用磁石30および磁気センサ素子40は、移動方向Xと直交する媒体幅方向Yに複数、配列されている。
【0025】
本形態において、磁界印加用磁石30は、磁気センサ素子40に対して媒体2の移動方向の両側に磁界印加用第1磁石31と磁界印加用第2磁石32として配置されており、矢印X1で示す媒体2の移動方向に沿って、磁界印加用第1磁石31、磁気センサ素子40および磁界印加用第2磁石32がこの順に配置されている。また、矢印X2で示す媒体2の移動方向に沿って、磁界印加用第2磁石32、磁気センサ素子40および磁界印加用第1磁石31がこの順に配置されており、媒体2が矢印X1で示す方向および矢印X2で示す方向のいずれの方向に移動した場合でも、媒体2の磁気特性を検出することができる。ここで、磁気センサ素子40は、磁界印加用第1磁石31と磁界印加用第2磁石32との中間位置に配置されており、磁界印加用第1磁石31との磁気センサ素子40との離間距離と、磁界印加用第2磁石32と磁気センサ素子40との離間距離が等しい。なお、磁界印加用第1磁石31、磁気センサ素子40および磁界印加用第2磁石32はいずれも、媒体2の移動方向で重なる位置に配置されている。
【0026】
本形態において、磁界印加用磁石30(磁界印加用第1磁石31および磁界印加用第2磁石32)は、フェライトやネオジウム磁石等の永久磁石35を備えている。磁界印加用第1磁石31および磁界印加用第2磁石32のいずれにおいても、永久磁石35は、センサ面21に位置する側と、センサ面21が位置する側とは反対側とが異なる極に着磁されている。永久磁石35において、センサ面21の側に位置する面が媒体2に対する着磁面350として機能する。
【0027】
磁界印加用磁石30に用いた複数の永久磁石35はいずれも、サイズや形状は同一であるが、各々は、以下の向きに配置されている。まず、磁界印加用第1磁石31および磁界印加用第2磁石32のいずれにおいても、媒体2の移動方向Xと直交する媒体幅方向Yで隣り合う永久磁石35同士は、互いに反対の向きに着磁されている。すなわち、媒体2の移動方向Xと直交する媒体幅方向Yに配列された複数の永久磁石35のうち、1つの永久磁石35は、媒体移動路11側に位置する端部がN極に着磁され、媒体移動路11側とは反対側に位置する端部はS極に着磁されているが、この永久磁石35に対して媒体2の移動方向Xと直交する媒体幅方向Yで隣り合う永久磁石35は、媒体移動路11側に位置する端部がS極に着磁され、媒体移動路11側とは反対側に位置する端部はN極に着磁されている。なお、本形態では、媒体2の移動方向で対向する磁界印加用第1磁石31の永久磁石35と磁界印加用第2磁石32の永久磁石35とは、磁気センサ素子40を挟んで異なる極が対向している。但し、媒体2の移動方向で対向する磁界印加用第1磁石31の永久磁石35と磁界印加用第2磁石32の永久磁石35とは、磁気センサ素子40を挟んで同じ極が対向するように配置されることもある。
【0028】
(磁気センサ素子の構成)
図3は、本発明に係る磁気センサ装置20に用いた磁気センサ素子40の説明図であり、図3(a)、(b)、(c)は、磁気センサ素子40の正面図、この磁気センサ素子40に対する励磁波形の説明図、および磁気センサ素子40からの出力信号の説明図である。なお、図3(a)では、図面に対して垂直な方向で媒体2が移動する状態を示してある。
【0029】
図1(b)に示すように、磁気センサ素子40はいずれも、薄板状であり、幅方向W40のサイズは厚さ方向T40の寸法に比して大である。かかる磁気センサ素子40は、媒体2の移動方向Xに厚さ方向T40を向けて配置されており、媒体2の移動方向Xと直交する媒体幅方向Yには幅方向W40が向いている。
【0030】
磁気センサ素子40は、両面がセラミック等からなる厚さ0.3mm〜1mm程度の薄板状の非磁性部材47により覆われている。かかる磁気センサ素子40は、磁気シールドケース(図示せず)に収納されていることもある。この場合、磁気シールドケースは、媒体移動路が位置する上方が開口しており、磁気センサ素子40は、媒体移動路11に向けて磁気シールドケースから露出した状態にある。
【0031】
図1(b)、図2(a)、(b)、および図3(a)に示すように、磁気センサ素子40は、センサコア41と、センサコア41に巻回された励磁コイル48と、センサコア41に巻回された検出コイル49とを備えている。本形態において、センサコア41は、磁気センサ素子40の幅方向W40に延在する胴部42と、胴部42から媒体2の媒体移動路11の側に向けて突出する集磁用突部43とを備えている。ここで、集磁用突部43は、胴部42の幅方向W40の両端部から媒体2の媒体移動路11の側に向けて突出した2つの集磁用突部431、432として構成されており、2つの集磁用突部431、432は、幅方向W40で離間している。また、センサコア41は、胴部42から集磁用突部43とは反対側に突出した突部44を備えており、本形態において、突部44は、胴部42の幅方向W40の両端部から媒体2の媒体移動路11の側とは反対側に向けて突出した2つの突部441、442として構成されている。
【0032】
このように構成したセンサコア41に対して、励磁コイル48は、胴部42において集磁用突部431、432で挟まれた部分に巻回されている。また、検出コイル49は、集磁用突部43に巻回されており、本形態において、検出コイル49は、センサコア41の2つの集磁用突部43(集磁用突部431、432)のうち、集磁用突部431に巻回された検出コイル491と、集磁用突部432に巻回された検出コイル492とからなる。ここで、2つの検出コイル491、492は、集磁用突部431、432に対して互いに逆方向に巻回されている。また、2つの検出コイル491、492は、1本のコイル線を集磁用突部431、432に対して連続して巻回してなるため、2つの検出コイル491、492は、直列に電気的に接続されている。なお、2つの検出コイル491、492を各々集磁用突部431、432に巻回した後、直列に電気的に接続してもよい。
【0033】
このように構成した磁気センサ素子40は、幅方向W40および集磁用突部43の突出方向(高さ方向V40)の双方に対して直交する厚さ方向T40が媒体2の移動方向Xに向くように配置されており、磁気センサ素子40において集磁用突部43(集磁用突部431、432)および検出コイル49(検出コイル491、492)が離間する幅方向W40は、媒体2の移動方向Xに対して直交する媒体幅方向Yに向いている。
【0034】
磁気センサ素子40において、励磁コイル48には、図4を参照して後述する励磁回路50から交番電流(図3(b)参照)からなる励磁信号が印加される。このため、図3(a)に示すように、センサコア41の周りには、バイアス磁界が形成されるとともに、検出コイル49からは、検出信号として、図3(c)に示す検出波形の信号が出力されることになる。ここで、図3(c)に示す検出波形は、励磁信号により発生する磁束の時間的な微分信号であり、励磁信号の時間的な微分信号に近いものとなる。
【0035】
本形態において、磁気センサ素子40のセンサコア41は、図1(b)に示すように、非磁性の第1基板41aと非磁性の第2基板41bとの間に磁性材料層41cが挟まれた構造になっている。本形態において、磁性材料層41cは、第1基板41aの一方面に接着層(図示せず)によって接着されたアモルファス(非晶質)金属の磁性材料からなる薄板状のアモルファス金属箔からなり、かかる第1基板41aの一方面には、磁性材料層41cを間に挟むように第2基板41bが接着層によって接合されている。
【0036】
(信号処理部の構成)
図4は、本発明に係る磁気パターン検出装置1の電気的構成を示すブロック図であり、図4(a)、(b)は、回路部の要部全体の構成を示す説明図、および回路部のうち、増幅部周辺の構成を示す説明図である。
【0037】
図4(a)、(b)に示す回路部5は、図3(b)に示す交番電流を各磁気センサ素子40の励磁コイル48に励磁信号として印加する励磁回路(信号時分割部)50と、検出コイル49に電気的に接続された信号処理部60とを備えている。信号処理部60は検出コイル49から出力される検出信号から、残留磁束密度レベルに対応する第1信号S1、および透磁率レベルに対応する第2信号S2を生成する。信号処理部60は、磁気センサ素子40から出力された検出信号を増幅する増幅部(信号合成部)70と、増幅部70から出力された信号からピーク値およびボトム値を抽出する抽出部80と、A/Dコンバータ91を備えたデジタル信号処理部(励磁信号発生部)90とを有している。抽出部80およびデジタル信号処理部90は媒体2の磁気パターンを検出する磁気パターン検出部100を構成しており、増幅部70と磁気パターン検出部100はアナログスイッチ101およびゼロクランプ部102を介して接続されている。
【0038】
励磁回路50は、励磁信号の供給を受ける1つの励磁用ドライバアンプ51と、励磁用ドライバアンプ51の後段に接続されたマルチプレクサ52を備えている。励磁回路50は、単一チャンネルの励磁信号を増幅し、しかる後に、一定のタイミングおよび一定の順次で切り替わる多チャンネルの時分割励磁信号に分割する。すなわち、マルチプレクサ52は、切替信号に基づいて、増幅された増幅励磁信号を時分割して各磁気センサ素子40の励磁コイル48に一定のタイミングおよび一定の順次で供給する。切替信号は、デジタル信号処理部90からフリップフロップ(同期出力部)53を介してマルチプレクサ52に入力される。
【0039】
増幅部70は、複数の磁気センサ素子40に接続されたマルチプレクサ71と、マルチプレクサ71の後段に接続されたアンプ72を備えている。増幅部70は、磁気センサ装置20の各磁気センサ素子40の検出コイル49から出力される多チャンネルの検出信号を、一定のタイミングおよび一定の順次で切り替えながら合成し、しかる後に増幅して、単一チャンネルの時系列検出信号を出力する。すなわち、マルチプレクサ71は、切替信号に基づいて、検出信号が出力される磁気センサ素子40を、複数の磁気センサ素子40の中から一定のタイミングおよび一定の順次でアンプ72に接続する。切替信号は、フリップフロップ53からマルチプレクサ71に入力される。
【0040】
アナログスイッチ101は、増幅部70から磁気パターン検出部100に対する時系列検出信号の供給路101aを所定の時間遮断するためのものである。アナログスイッチ101は、スイッチ切替信号に基づいて制御され、時分割励磁信号による各磁気センサ素子40の励磁コイル48の励磁開始時点において、この励磁開始時点を含む所定時間オフに切り替えられて供給路101aを電気的に遮断する。スイッチ切替信号は、フリップフロップ53およびタイミング調整部54を介してアナログスイッチ101に入力されている。
【0041】
ゼロクランプ部102は、接地されたアナログスイッチ103を備えている。アナログスイッチ103は、スイッチ切替信号に基づいて制御され、アナログスイッチ101がオフ状態となる所定期間、供給路101aの電位を0にクランプする。スイッチ切替信号は、フリップフロップ53およびタイミング調整部54を介してアナログスイッチ103に入力される。
【0042】
抽出部80は、クランプ回路82と、クランプ回路82から出力された信号のオフセット調整を行なうオフセット調整部83とを備えている。クランプ回路82は、増幅部70から出力された時系列検出信号を整流する第1ダイオード821と、増幅部70から出力された時系列検出信号の極性反転を行なう極性反転回路822と、極性反転回路822において極性反転された信号を整流する第2ダイオード823とを備えている。従って、オフセット調整部83は、第1ダイオード821からの出力に対する第1オフセット調整回路831と、第2ダイオード823からの出力に対する第2オフセット調整回路832とを備えており、第1オフセット調整回路831および第2オフセット調整回路832は、オフセット調整用基準電圧生成回路831a、832aと、オペアンプ831b、832bとを備えている。オフセット調整部83には、デジタル信号処理部90からのタイマ信号が入力される。オフセット調整部83は、タイマ信号に基づいて、磁気センサ素子40が切り替えられる毎に、オフセットを更新する。
【0043】
また、抽出部80は、オフセット調整部83の後段にホールド回路84を備えており、ホールド回路84の後段にゲイン設定部85を備えている。ホールド回路84は、第1オフセット調整回路831からの出力信号のピーク値をホールドする第1ピークホールド回路841と、第2オフセット調整回路832からの出力信号のピーク値をホールドする第2ピークホールド回路842とを備えている。ここで、第2オフセット調整回路832には、増幅部70から出力された信号を極性反転回路822で極性反転した後、第2ダイオード823で整流した後の信号が入力されている。このため、第2ピークホールド回路842は、増幅部70から出力された増幅信号のボトム値をホールドするボトムホールド回路に相当する。
【0044】
ゲイン設定部85は、第1ピークホールド回路841でホールドされた値のゲインを設定するゲイン設定用第1アンプ851(メインアンプ)と、第2ピークホールド回路842(ボトムホールド回路)でホールドされた値のゲインを設定するゲイン設定用第2アンプ852(メインアンプ)とを備えており、第1ピークホールド回路841および第2ピークホールド回路842でホールドされた値を所定のゲインに設定してデジタル信号処理部90のA/Dコンバータ91に出力する。ゲイン設定部85には、デジタル信号処理部90からのタイマ信号が入力される。ゲイン設定部85は、タイマ信号に基づいて、磁気センサ素子40が切り替えられる毎に、ゲインを更新する。
【0045】
デジタル信号処理部90は、第1ピークホールド回路841でホールドされた値と、第2ピークホールド回路842でホールドされた値とを加算して第1信号S1を生成する加算回路92と、第1ピークホールド回路841でホールドされた値と、第2ピークホールド回路842でホールドされた値とを減算して第2信号S2を生成する減算回路93とを備えている。また、デジタル信号処理部90は、制御信号出力部(切替制御信号出力部)94と、タイマ信号を出力するハードタイマ95を備えている。
【0046】
制御信号出力部94は、ソフトウエア割り込みにより定期的に生成される切替制御信号をフリップフロップ53に出力する。フリップフロップ53にはハードタイマ95のタイマ信号が入力されており、フリップフロップ53はこの切替制御信号を、タイマ信号に同期させた切替信号としてマルチプレクサ52およびマルチプレクサ71に出力する。
【0047】
ここで、切替制御信号をタイマ信号に同期させた切替信号は、タイミング調整部54を介することにより、スイッチ切替信号としてアナログスイッチ101およびアナログスイッチ103に入力される。タイミング調整部54は、アナログスイッチ101をオフ状態に維持するとともに、アナログスイッチ103をオン状態に維持する所定時間を設定している。すなわち、制御信号出力部94、ハードタイマ95、フリップフロップ53、およびタイミング調整部54によって、アナログスイッチ101およびアナログスイッチ103を制御するスイッチ制御部が構成されている。
【0048】
このように構成したデジタル信号処理部90からは、上位の制御部(図示せず)に対して第1信号S1および第2信号S2が出力され、上位の制御部では、第1信号S1および第2信号S2に基づいて媒体2の真偽を判定する。より具体的には、上位の制御部には、第1信号S1および第2信号S2を磁気センサ素子40と媒体2との相対位置情報に関係づけて、記録部に予め記録されている比較パターンとの照合を行って媒体2の真偽を判定する判定部を備えており、かかる判定部は、ROM或いはRAM等といった記録部(図示せず)に予め記録されているプログラムに基づいて所定の処理を行い、媒体2の真偽を判定する。
【0049】
(チャンネル切り替え動作)
次に、図5を参照して、複数の磁気センサ素子40の中から駆動する磁気センサ素子40を順次に切り替えるチャンネル切り替え動作を説明する。図5(a)は、ハードタイマ95、オフセット調整部83によるオフセットの更新、ソフトウエア割り込みによって生成される切替制御信号、チャンネルの切替時点を示すタイミングチャートであり、図5(b)は、図5(a)と同一の時間軸における時分割励磁信号および時系列検出信号の波形の説明図であり、図5(c)は、図5(a)と同一の時間軸におけるアナログスイッチのスイッチ切替信号を示すタイミングチャートである。本例では、図5(b)に示すように、増幅磁信号をマルチプレクサ52によって時分割することにより生成されている各時分割励磁信号は時系列で連続している。従って、チャンネルの切り替え時点t1と、新たに駆動される磁気センサ素子40の励磁開始時点が一致している。
【0050】
図5(a)に示すように、タイマ信号は、所定周期で一定時間だけ信号レベルをHighからLowに変化させる。オフセット調整部83は、タイマ信号の立ち下り時点t0でオフセットを更新する。切替制御信号はタイマ信号の立ち上がり時点t1の直前までにソフトウエア割り込みにより生成されて、制御信号出力部94からフリップフロップ53に出力される。
【0051】
ここで、フリップフロップ53は、入力されている切替制御信号をタイマ信号の立ち上がり時点t1で切替信号としてマルチプレクサ52およびマルチプレクサ71に出力している。この結果、タイマ信号の立ち上がり時点t1がチャンネルの切り替え時点となり、次の磁気センサ素子40の励磁コイル48の励磁開始時点となる。チャンネルの切替時点は、図5(a)、(b)に示すように、交番電流である時分割励磁信号の値が0となる第1のゼロクロス時点U1に一致している。
【0052】
次に、スイッチ切替信号は、図5(c)に示すように、タイマ信号の立ち下り時点t0で信号レベルがLowからHighに移行し、その後、所定時間だけHigh状態が維持された後に、Lowに戻る。アナログスイッチ101はスイッチ切替信号がHighのときに、オフとされ、増幅部70と磁気パターン検出部100の間の供給路101aを電気的に遮断する。本例では、アナログスイッチ101がオフ状態に維持される所定時間は、タイミング調整部54によって調整され、交番電流である時分割励磁信号が2回ゼロクロスする時間よりも長く設定されている。この結果、アナログスイッチは、チャンネルが切り替わる第1のゼロクロス時点U1と、この第1のゼロクロス時点U1の次に時分割励磁信号がゼロクロスする第2のゼロクロス時点U2を含む間、オフ状態とされる。
【0053】
ここで、アナログスイッチ101が供給路101aを遮断している間、ゼロクランプ部102は供給路101aの電位を0にクランプしている。
【0054】
(検出原理)
図6は、本発明に係る磁気パターン検出装置1において媒体2に形成される各種磁気インクの特性等を示す説明図である。図7は、本発明に係る磁気パターン検出装置1において種類の異なる磁気パターンが形成された媒体2から磁気パターンの有無を検出する原理を示す説明図である。
【0055】
まず、図1および図2に示す矢印X1の方向に媒体2が移動する際に媒体2の真偽を判定する原理を説明する。本形態において、媒体2の磁性領域2aには、残留磁束密度Brおよび透磁率μが異なる複数種類の磁気パターンが形成されている。より具体的には、媒体2には、ハード材を含む磁気インキにより印刷された第1の磁気パターンと、ソフト材を含む磁気インキにより印刷された第2の磁気パターンとが形成されている。ここで、ハード材を含む磁気インキは、図6(b1)にヒステリシスループによって、残留磁束密度Brや透磁率μ等を示すように、磁界を印加したときの残留磁束密度Brのレベルは高いが、透磁率μは低い。これに対して、ソフト材を含む磁気インキは、図6(c1)にそのヒステリシスループを示すように、磁界を印加したときの残留磁束密度Brのレベルは低いが、透磁率μは高い。
【0056】
従って、以下に説明するように、残留磁束密度Brと透磁率μとを測定すれば、磁気インキの材質の判別を行なうことができる。より具体的には、透磁率μは保磁力Hcと相関性を有しているので、本形態では、残留磁束密度Brと保磁力Hcとを測定していることになり、かかる残留磁束密度Brと保磁力Hcとの比は、磁気インキ(磁性材料)によって相違する。それ故、磁気インキの材質の判別を行なうことができる。また、残留磁束密度Brおよび透磁率μ(保磁力Hc)の測定値は、インキの濃淡や、媒体2と磁気センサ装置20との距離により変動するが、本形態では、磁気センサ装置20が同一位置で残留磁束密度Brおよび透磁率μ(保磁力Hc)を測定するため、残留磁束密度Brと保磁力Hcとの比によれば、磁気インキの材質を確実に判別することができる。
【0057】
本形態の磁気パターン検出装置1において、媒体2が矢印X1で示す方向に移動して磁気センサ装置20を通過する際、まず、磁界印加用第1磁石31から媒体2に磁界が印加され、磁界が印加された後の媒体2が磁気センサ素子40を通過する。それまでの間、磁気センサ素子40の検出コイル49からは、図6(a3)に示すように、図6(a2)に示すセンサコア41のB−Hカーブに対応する信号が出力される。従って、図4に示す加算回路92から出力される第1信号S1、および減算回路93から出力される第2信号S2は各々、図6(a4)に示す通りである。
【0058】
ここで、フェライト粉等のハード材を含む磁気インキにより第1の磁気パターンが媒体2に形成されていると、かかる第1の磁気パターンは、図6(b1)に示すように、高レベルの残留磁束密度Brを有する。このため、図7(a1)に示すように、磁界印加用磁石30を媒体2が通過した際、第1の磁気パターンは、磁界印加用磁石30からの磁界により、磁石となる。このため、磁気センサ素子40の検出コイル49から出力される信号は、図6(b2)に示すように、第1の磁気パターンから直流的なバイアスを受けて、図6(b3)および図7(a2)に示す波形に変化する。すなわち、信号S0のピーク電圧およびボトム電圧が矢印A1、A2で示すように、同一の方向にシフトするとともに、ピーク電圧のシフト量とボトム電圧のシフト量が相違する。しかも、かかる信号S0は、媒体2の移動に伴って変化する。従って、図4に示す減算回路93から出力される第1信号S1は、図6(b4)に示す通りであり、磁気センサ素子40を媒体2の第1の磁気パターンが通過するたびに変動する。ここで、ハード材を含む磁気インクにより形成された第1の磁気パターンは、透磁率μが低いため、信号S0のピーク電圧およびボトム電圧のシフトに影響しているのは、第1の磁気パターンの残留磁束密度Brだけと見做すことができる。それ故、図4に示す加算回路92から出力される第2信号S2は、磁気センサ素子40を媒体2の第1の磁気パターンが通過しても変動せず、図6(b4)に示す信号と同様である。
【0059】
これに対して、軟磁性ステンレス紛等のソフト材を含む磁気インキにより第2の磁気パターンが媒体2に形成されていると、かかる第2の磁気パターンのヒステリシスループは、図6(c1)に示すように、図6(b1)に示すハード材を含む磁気インクによる第1の磁気パターンのヒステリシスカーブの内側を通り、残留磁束密度Brのレベルが低い。このため、磁界印加用磁石30を媒体2が通過した後も、第2の磁気パターンは、残留磁束密度Brのレベルが低い。但し、第2の磁気パターンは透磁率μが高いため、図7(b1)に示すように、磁性体として機能する。このため、磁気センサ素子40の検出コイル49から出力される信号は、図6(c2)に示すように、第2の磁気パターンの存在によって透磁率μが高くなっている分、図6(c3)および図7(b2)に示す波形に変化する。すなわち、信号S0のピーク電圧は矢印A3で示すように高い方にシフトする一方、ボトム電圧は、矢印A4で示すように低い方にシフトする。その際、ピーク電圧のシフト量とボトム電圧のシフト量は絶対値が略等しい。しかも、かかる信号S0は、媒体2の移動に伴って変化する。従って、図4に示す加算回路92から出力される第2信号S2は、図6(c4)に示す通りであり、磁気センサ素子40を媒体2の第2の磁気パターンが通過するたびに変動する。ここで、ソフト材を含む磁気インクにより形成された第2の磁気パターンは、残留磁束密度Brが低いため、信号のピーク電圧およびボトム電圧のシフトに影響しているのは、第2の磁気パターンの透磁率μだけと見做すことができる。それ故、図4に示す減算回路93から出力される第1信号S1は、磁気センサ素子40を媒体2の第2の磁気パターンが通過しても変動せず、図6(c4)に示す信号と同様である。
【0060】
このように、本形態の磁気パターン検出装置1では、減算回路93において磁気センサ素子40から出力される信号のピーク値とボトム値とを減算した第1信号S1は、磁気パターンの残留磁束密度レベルに対応する信号であり、かかる第1信号S1を監視すれば、ハード材を含む磁気インキにより形成された第1の磁気パターンの有無および形成位置を検出することができる。また、加算回路92において磁気センサ素子40から出力される信号のピーク値とボトム値とを加算した第2信号S2は、磁気パターンの透磁率μに対応する信号であり、かかる第2信号S2を監視すれば、ソフト材を含む磁気インキにより形成された第2の磁気パターンの有無および形成位置を検出することができる。それ故、磁界を印加したときの残留磁束密度Brおよび透磁率μが異なる複数種類の磁気パターンの媒体2における磁気パターン毎の有無および形成位置を残留磁束密度レベルおよび透磁率レベルの双方に基づいて識別することができる。
【0061】
また、磁気特性が第1の磁気パターンと第2の磁気パターンの中間に位置するような磁気パターンについては、図6(d1)に示すように、ヒステリシスループが、図6(b1)に示すハード材の磁気パターンのヒステリシスループと図6(c1)に示すソフト材の磁気パターンのヒステリシスループとの中間に位置するので、図6(d4)に示す信号パターンを得ることができ、かかる磁気パターンについても、有無や形成位置を検出することができる。
【0062】
(作用効果)
【0063】
本例では、励磁用ドライバアンプ51の後段にマルチプレクサ52が設けられ、マルチプレクサ52の後段に複数の磁気センサ素子40が設けられている。従って、励磁用ドライバアンプ51から出力された増幅励磁信号は、マルチプレクサ52によっての複数の磁気センサ素子40のそれぞれに順次出力される。よって、1つの励磁用ドライバアンプ51で複数の磁気センサ素子40に増幅励磁信号を供給することができる。
【0064】
また、本例では、複数の磁気センサ素子40の後段にマルチプレクサ71が設けられ、マルチプレクサ71の後段にアンプ72が設けられている。従って、複数の磁気センサ素子40から出力された検出信号は、マルチプレクサ71によって合成されてアンプ72に順次出力される。よって、複数の磁気センサ素子40から出力された検出信号を1つのアンプ72で増幅することができる。
【0065】
さらに、本例では、励磁信号(励磁電流)がゼロクロスする第1のゼロクロス時点U1でチャンネルを切り替えている。この結果、切り替えられた磁気センサ素子40において、励磁コイル48に励磁電流が急峻に流されることがないので、チャンネル切り替え時に発生するノイズを抑制することができる。また、このようなチャンネル切り替え時のノイズの大きさは電流変化の時間微分に比例するので、電流変化の小さい第1のゼロクロス時点U1でチャンネルを切り替えることによって、ノイズを小さく抑えることができる。
【0066】
また、本例は、増幅部70と磁気パターン検出部100の間の供給路101aにアナログスイッチ101が配置されており、増幅部70から出力される時系列検出信号は、磁気センサ素子40の切り替えに起因して生じるノイズが含まれている可能性が高い期間、すなわち、磁気センサ素子40の励磁開始時点を含む所定の時間がアナログスイッチ101のオフ状態によってマスクされる。この結果、磁気センサ素子40の切り替え時に発生するノイズの乗った時系列検出信号が、磁気パターン検出部100に入力されることを回避或いは低減できるので、媒体2の磁気パターンを精度よく検出できる。
【0067】
さらに、本例では、増幅部70から磁気パターン検出部100へ出力される時系列検出信号を、交番電流が2回ゼロクロスする第1のゼロクロス時点U1および第2のゼロクロス時点U2を含むようにマスクしているので、時系列検出信号において磁気センサ素子40の切り替えに起因して生じるノイズが含まれている可能性の高い期間を確実にマスクできる。
【0068】
また、本例では、ゼロクランプ部102によって、アナログスイッチ101のオフ状態のときに、増幅部70と磁気パターン検出部との間の供給路101aの電位を0にクランプしている。従って、アナログスイッチ101がオフ状態となり、増幅部70と磁気パターン検出部100の間が電気的に遮断状態となっているときに、磁気パターン検出部100への入力がフローティングとなることを回避できる。また、電位を0にクランプすることにより、磁気パターン検出部100への入力をノイズ発生が無い状態と同一のレベルにすることができる。
【0069】
さらに、本例では、マルチプレクサ52およびマルチプレクサ71がチャンネルを切り替えるための切替信号は、ソフトウエア割り込みによる切替制御信号を、タイマ信号に同期させて出力したものである。従って、資源が限られているハードタイマの消費を抑えることができる。また、ソフトウエア割り込みにより生成された切替制御信号がそのままマルチプレクサ52およびマルチプレクサ71のチャンネルを切り替えるための切替信号としている場合には、他の処理の影響によって切替制御信号の生成に遅延が生じ、所定タイミングでチャンネルを切り替えられずジッタが発生することがあるが、生成された切替制御信号は、ハードタイマ95のタイマ信号に基づいて動作するフリップフロップ53を介してマルチプレクサ52およびマルチプレクサ71に出力されるので、磁気センサ素子40をタイマ信号に基づくタイミングで確実に切り替えることができる。この結果、チャンネルを切り替えるチャンネル切り替え動作でジッタが発生しないので、ノイズの発生も抑制できる。
【0070】
また、本例では、ソフトウエア割り込みによる切替制御信号をハードタイマ95のタイマ信号と同期させた切替信号をスイッチ切替信号としてアナログスイッチ101に出力してアナログスイッチ101のオン・オフのタイミングを決定している。従って、チャンネル切り替えタイミングとアナログスイッチ101のオフのタイミングの時間的相互関係が一定となり、励磁信号の2つのゼロクロスを確実に含んだ期間、アナログスイッチ101をオフにすることができる。
【0071】
(その他の実施の形態)
上記の例では、励磁信号をマルチプレクサ52によって時分割することにより生成されている各時分割励磁信号は時系列で連続しているが、各時分割励磁信号を、時系列で次の時分割励磁信号との間が一定時間離れているものとしてもよい。
【0072】
図8(a)は、各時分割励磁信号が、時系列で次の時分割励磁信号との間に励磁信号の1/4周期分の時間よりも短い一定時間を空けて生成された場合における時分割励磁信号の波形の説明図であり、図8(b)は図8(a)に示す場合における各磁気センサ素子40の検出コイル49からの検出信号の波形の説明図である。本例では、各時分割励磁信号を、時系列で次の時分割励磁信号との間に時間を空けて生成したので、駆動している磁気センサ素子40(Nch)の励磁コイル48の励磁終了時点V1が、励磁電流のゼロクロス時点U1よりも早い時点となり、次に駆動される磁気センサ素子40(N+1ch)の励磁開始時点V2が励磁電流のゼロクロス時点U1よりも遅い時点となっている。
【0073】
本例によれば、図8(b)に示すように、2つの磁気センサ素子40の励磁コイル48が同時に励磁されることがないので、2つの磁気センサ素子40の検出コイル49から同時に検出信号が出力され、時系列検出信号として合成される際に加算されて異常値が出力されることを回避できる。また、2つの磁気センサ素子40が隣接配置されている場合は、2つの磁気センサ素子40の励磁コイル48が同時に励磁されることによるノイズの発生を防止できる。
【0074】
図9に示す例は、各時分割励磁信号が、時系列で次の時分割励磁信号との間に励磁信号の1周期分の時間を空けて生成される場合を示している。図9(a)は、本例の磁気パターン検出装置1Aの電気的構成を示すブロック図であり、増幅部周辺の構成を示す説明図である。図9(b)は、各時分割励磁信号が、時系列で次の時分割励磁信号との間に励磁信号の1周期分の時間を空けて生成された場合における時分割励磁信号の波形の説明図であり、図9(c)は図9(b)に示す場合における各磁気センサ素子40の検出コイル49からの検出信号の波形の説明図である。なお、本例の本例の磁気パターン検出装置1Aは、励磁回路50の前段に追加したスイッチ部55を除いて上記の磁気パターン検出装置1と同様の構成を備えているので、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0075】
図9(a)に示すように、スイッチ部55は、励磁用ドライバアンプ51の前段に接続された前段第1マルチプレクサ56を備えている。前段第1マルチプレクサ56は、スイッチ制御信号に基づいて制御され、励磁用ドライバアンプ51への励磁信号の供給路55aを一定のタイミングで励磁信号の1周期分の時間T0遮断する。また、スイッチ部55は、接地された前段第2マルチプレクサ57を備えている。前段第2マルチプレクサ57はスイッチ制御信号に基づいて制御され、前段第1マルチプレクサ56がオフ状態となり励磁信号の供給路55aを遮断している間、供給路55aの電位を0にクランプする。
【0076】
本例では、図9(b)に示すように、駆動している磁気センサ素子40(Nch)の励磁コイル48の励磁終了時点V1が、励磁電流のゼロクロス時点U1よりも当該励磁信号の1/2周期分の時間だけ早い時点となり、次に駆動される磁気センサ素子40(N+1ch)の励磁開始時点V2が励磁電流のゼロクロス時点U1よりも当該励磁信号の1/2周期分の時間だけ遅い時点となっている。従って、励磁コイル48(Nch)の励磁終了時点V1と、磁気センサ素子40(N+1ch)の励磁開始時点V2との間には、励磁信号の1周期分の時間T0が空いている。
【0077】
本例によれば、図9(c)に示すように、2つの磁気センサ素子40の励磁コイル48が同時に励磁されることがないので、2つの磁気センサ素子40の検出コイル49から同時に検出信号が出力され、時系列検出信号として合成される際に加算されて異常値が出力されることを回避できる。また、2つの磁気センサ素子40が隣接配置されている場合は、2つの磁気センサ素子40の励磁コイル48が同時に励磁されることによるノイズの発生を防止できる。さらに、本例によれば、励磁電流の値が0となっている時間が長く、この励磁電流の値が0となっている励磁信号の1周期分の時間T0の間にチャンネルを切り替えればよいので、切替信号によるチャンネル切り替えタイミングに関する規制を緩めることができる。
【0078】
次に、複数の磁気センサ素子40において、順次に切り替えられえる2つの磁気センサ素子40が同一の磁束の変化に対して逆極性の検出信号を出力するように構成しておき、各時分割励磁信号を、時系列で次の時分割励磁信号と一定時間重なるように生成してもよい。ここで、2つの磁気センサ素子40が同一の磁束の変化に対して逆極性の検出信号を出力するように構成するためには、連続して駆動される2つの磁気センサ素子40の間で、センサコアに対する励磁コイル48の巻き回し方向や検出コイル49の巻き回し方向を異なるものに変更する。
【0079】
図10(a)は、各時分割励磁信号を、時系列で次の時分割励磁信号と一定時間重なるようにした場合の時分割励磁信号の波形の説明図であり、図10(b)は図10(a)に示す場合における各磁気センサ素子40の検出コイル49からの検出信号の波形の説明図である。本例では、各時分割励磁信号を、時系列で次の時分割励磁信号と一定時間重なるように生成した結果、駆動されている磁気センサ素子40(Nch)の励磁コイル48の励磁終了時点V3が、励磁電流のゼロクロス時点U1よりも遅い時点となり、次に駆動される磁気センサ素子40(N+1ch)の励磁開始時点V4が励磁電流のゼロクロス時点U1よりも早い時点となっている。
【0080】
本例では、2つの磁気センサ素子40の励磁コイル48が同時に励磁された状態となると、2つの磁気センサ素子40の検出コイル49から逆極性の検出信号が出力されるので、これらの検出信号が打ち消しあう。従って、時系列検出信号が生成される際に異常値が出力されることを防止できる。
【符号の説明】
【0081】
1・磁気パターン検出装置、2・媒体、2a・磁性領域、5・回路部、10・搬送装置、11・媒体移動路、20・磁気センサ装置、21・センサ面、22・斜面部、25・ケース、30・磁界印加用磁石、31・磁界印加用第1磁石、32・磁界印加用第2磁石、35・永久磁石、40・磁気センサ素子、41・センサコア、41a・第1基板、41b・第2基板、41c・磁性材料層、42・胴部、43・集磁用突部、44・突部、47・非磁性部材、48・励磁コイル、49・検出コイル、50・励磁回路、50・励磁部、51・マルチプレクサ(第1切替素子)、51・励磁用ドライバアンプ、52・マルチプレクサ(第2切替素子)、53・フリップフロップ(同期出力部)、54・タイミング調整部、55・スイッチ部、55a・供給路、56・前段第1マルチプレクサ、57・前段第2マルチプレクサ、60・信号処理部、70・増幅部、71・マルチプレクサ、72・アンプ、80・抽出部、82・クランプ回路、83・オフセット調整部、84・ホールド回路、85・ゲイン設定部、90・デジタル信号処理部、91・コンバータ、92・加算回路、93・減算回路、94・制御信号出力部(切替制御信号出力部)、95・ハードタイマ、100・磁気パターン検出部、101・アナログスイッチ、102・ゼロクランプ部、103・アナログスイッチ、350・着磁面、431・432・集磁用突部、441・442・突部、491・492・検出コイル、821・ダイオード、822・極性反転回路、823・ダイオード、831・第1オフセット調整回路、831a・オフセット調整用基準電圧生成回路、831b・オペアンプ、832・第2オフセット調整回路、841・第1ピークホールド回路、842・第2ピークホールド回路、851・ゲイン設定用第1アンプ、852・ゲイン設定用第2アンプ、Br・残留磁束密度、Hc・保磁力、S0・信号、S1・第1信号、S2・第2信号、t0・タイマ信号の立ち下がり時点、t1・タイマ信号の立ち上がり時点、T40・厚さ方向、U1・第1のゼロクロス時点、U2・第2ゼロクロス時点、V40・高さ方向、W40・幅方向、X・移動方向、X1・矢印、X2・矢印、Y・媒体幅方向、μ・透磁率


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一チャンネルの励磁信号を発生する励磁信号発生部と、
前記単一チャンネルの励磁信号を、一定のタイミングおよび一定の順次で切り替わる多チャンネルの時分割励磁信号に分割する信号時分割部と、
励磁コイルおよび検出コイルを備えた磁気センサ素子が前記多チャンネルに対応する個数分配置されており、各磁気センサ素子の前記励磁コイルが対応するチャンネルの前記分割励磁信号によって励磁される多チャンネルの磁気検出部と、
前記磁気検出部の各磁気センサ素子の前記検出コイルから出力される多チャンネルの検出信号を、前記一定のタイミングおよび前記一定の順次で切り替えながら合成して単一チャンネルの時系列検出信号を出力する信号合成部と、
前記時系列検出信号に基づいて前記磁気検出部を通過する媒体の磁気パターンを検出する磁気パターン検出部と、
前記信号合成部から前記磁気パターン検出部に対する前記時系列検出信号の供給路を遮断するためのアナログスイッチと、
前記時分割励磁信号による各磁気センサ素子の前記励磁コイルの励磁開始時点において、当該励磁開始時点を含む所定の時間だけ前記アナログスイッチをオフに切り替えて前記供給路を遮断するスイッチ制御部とを有していることを特徴とする磁気パターン検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記信号時分割部は、前記励磁信号を増幅する1つの第1アンプと、前記第1アンプからの出力を分割して前記時分割励磁信号を生成する第1マルチプレクサとを備えており、
前記信号合成部は、多チャンネルの前記検出信号を合成する第2マルチプレクサと、前記第2マルチプレクサからの出力を増幅して前記時系列検出信号として出力する1つの第2アンプを備えていることを特徴とする磁気パターン検出装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記励磁信号は、交番電流であり、
各磁気センサ素子の前記励磁コイルの前記励磁開始時点は、前記交番電流がゼロクロスするゼロクロス時点であり、
前記スイッチ制御部は、前記励磁開始時点と一致する第1のゼロクロス時点と、当該第1のゼロクロス時点の次に前記交番電流がゼロクロスする第2のゼロクロス時点を含む前記所定の時間だけ前記アナログスイッチをオフに切り替えることを特徴とする磁気パターン検出装置。
【請求項4】
請求項3において、
ソフトウエア割り込みによって定期的に生成される切替制御信号を出力する切替制御信号出力部と、
ハードタイマと、
前記切替制御信号および前記ハードタイマのタイマ信号に基づいて、前記信号時分割部および前記信号合成部において各チャンネルを切り替えるための切替信号を出力する同期出力部とを有しており、
前記同期出力部は、前記切替制御信号が出力されると、前記切替制御信号を記憶保持し、しかる後に、前記切替信号として前記タイマ信号に同期させた前記切替制御信号を前記信号時分割部および前記信号合成部に出力することを特徴とする磁気パターン検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記アナログスイッチがオフに切り替えられている間、前記供給路の電位を0にクランプするクランプ部を有していることを特徴とする磁気パターン検出装置。
【請求項6】
請求項1または2において、
各時分割励磁信号は、時系列で次の時分割励磁信号との間が一定時間離れていることを特徴とする磁気パターン検出装置。
【請求項7】
請求項1または2において、
順次に励磁される前記励磁コイルを備える2つの前記磁気センサ素子は、同一の磁束の変化に対して逆極性の検出信号を出力し、
各時分割励磁信号は、時系列で次の時分割励磁信号と一定時間重なっていることを特徴とする磁気パターン検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−123756(P2012−123756A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276304(P2010−276304)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】