説明

磁気ブラシクリーニング装置

【目的】 画像形成動作時以外にフィルミング除去動作を行なう磁気ブラシクリーニング装置において、フィルミング動作時にクリーニング剤中のトナー濃度の低下を防止して、クリーニング剤の劣化を低減する。
【構成】 画像形成動作時以外にクリーニングスリーブ5の回転速度を低下させクリーニング領域Xに画像形成時よりも多量の剤を滞留させて感光体ドラム2表面のフィルミング除去動作を行なう。このとき、クリーニングスリーブ5上の剤からトナーを除去する回収ローラ9への印加バイアスを、クリーニングスリーブ5へのそれと同バイアスにしたり、回収ローラ9の回転を停止したりして、クリーニングスリーブ5上の剤からのトナー除去を停止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の磁気ブラシクリーニング装置に係り、詳しくは、潜像担持体上のフィルミング除去装置として機能し得る磁気ブラシクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】潜像担持体に静電潜像を形成し、これをトナーによって可視像化すると共に、そのトナー像を転写材に転写して潜像担持体を繰返し使用する形式の画像形成装置は従来より周知である。係る画像形成装置は例えば電子写真複写機、プリンタ或いはファクシミリ等として構成される。ところで、この種の画像形成装置においては、トナーや紙粉、又は紙に含まれた添加物等が潜像担持体表面に薄い膜状に固着する所謂フィルミング現象が発生する恐れがある。かかる現象が発生するとトナー像の部分的な濃度上昇や、地汚れを生ぜしめ、トナー像の画質を著しく低下させる。そこで従来より潜像担持体上のフィルミングを除去する各種の方法が提案されており、研磨材や研磨ブラシで潜像担持体表面を研磨しながらフィルミングを除去し、或いはブレードを潜像担持体に圧接させてフィルミングを掻き取るごとき方法がその代表例である(例えば特開昭62−119567号公報、特開昭60−107076号公報、特開昭60−119589号公報等を参照)。このような従来例においては、研磨ブラシ等のフィルミング除去用の特別な部材を必要とするため、そのコストが上昇する不具合があるほか、ブラシやブレードが潜像担持体を摩耗させ、すじ状の異常画像を発生させたり、潜像担持体の寿命を縮める恐れがある。
【0003】そこで、本出願人は、画像形成時にトナー像を形成される潜像担持体と、該担持体に対置され、且つキャリアとトナーとの混合物であって、少なくとも一部が磁性体よりなる剤を磁力によって担持しつつこれを搬送するための剤担持体と、潜像担持体と剤担持体との間の領域に搬送される剤の量を規制する規制手段とを有し、潜像担持体にトナー像を形成する画像形成時以外のフィルミング除去動作時に、通常の動作時よりも多量の剤を潜像担持体と剤担持体との間の領域に蓄積する等し、潜像担持体表面に対するクリーニング剤の圧接力を比較的大きくした状態で潜像担持体を作動させつつフィルミング除去動作を実行する画像形成装置における潜像担持体上のフィルミング除去方法を提案した。この潜像担持体上のフィルミング除去方法によれば、研磨ブラシ等のフィルミング除去用の特別な部材を必要とせず、また、フィルミング除去動作時におけるクリーニング領域の剤蓄積量が適正であれば、潜像担持体の過度の摩耗やすじ状の異常画像の発生を防止できる。そして、このフィルミング除去方法を実施する装置例の一つとして、潜像担持体上の残留トナーを除去する磁気ブラシクリーニング装置を用いたものを開示している。具体的には、潜像担持体に対置され、且つキャリアとトナーとの混合物であって、少なくとも一部が磁性体よりなるクリーニング剤を磁界によって担持しつつこれを搬送する剤担持体と、潜像担持体と剤担持体との間の領域に搬送される剤の量を規制する規制手段と、該クリーニング剤中からトナーを除去するトナー除去部材と、該トナー除去部材で除去されたトナーを装置外に排出するトナー排出手段とを有する磁気ブラシクリーニング装置において、画像形成動作時以外のフィルミング除去動作時に、通常の動作時よりも多量の剤を潜像担持体と剤担持体との間の領域に蓄積する等し、潜像担持体を作動させつつフィルミング除去動作をおこなう磁気ブラシクリーニング装置を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この磁気ブラシクリーニング装置において、フィルミング除去動作時に、上記トナー除去部材によるクリーニング剤中からのトナー除去を継続する場合には、通常クリーニング剤中のトナー濃度が例えば1%程度であるものが、例えば0.5%以下に低下する。このようにクリーニング剤中のトナー濃度が低下しすぎるとクリーニング剤中のキャリア同士の衝突などによって例えばキャリア表面のコート層の脱落等が生じてクリーニング剤の寿命が短くなる恐れがある。又、剤担持体表面の移動速度を低下させ、剤担持体表面と潜像担持体表面との間の領域(以下、クリーニング領域という)から剤を持ち出す剤担持体の搬送力を低下させて、クリーニング領域に画像形成動作時よりも多量の剤を蓄積する等し、これにより、この剤と潜像担持体表面との圧接力を増大させる場合に、潜像担持体の駆動トルクの増大によってロック(潜像担持体の移動停止)や駆動モータのヒューズ切れが発生する恐れがある。
【0005】本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その第1の目的は、フィルミング除去動作時にクリーニング剤中のトナー濃度の低下を防止できる磁気ブラシクリーニング装置を提供することであり、その第2の目的は、フィルミング除去動作時に潜像担持体の過度のトルク増大を防止できる磁気ブラシクリーニング装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の第1の目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体に対置され、且つキャリアとトナーとの混合物であって、少なくとも一部が磁性体よりなるクリーニング剤を磁界によって担持しつつこれを搬送する剤担持体と、潜像担持体と剤担持体との間の領域に搬送される剤の量を規制する規制手段と、該クリーニング剤中からトナーを除去するトナー除去部材と、該トナー除去部材で除去されたトナーを装置外に排出するトナー排出手段とを有する磁気ブラシクリーニング装置において、画像形成動作時以外に潜像担持体表面を移動させながら行なうフィルミング除去動作時に、潜像担持体と剤担持体との間の領域に在るクリーニング剤の潜像担持体表面に対する圧接力を画像形成動作時よりも増加させる圧接力増加手段と、該フィルミング除去動作時に上記トナー除去部材の動作を停止させるトナー除去停止手段とを設けたことを特徴とするものであり、請求項2の発明は、上記トナー除去部材が、上記剤担持体との電位差に基づく静電気力でクリーニング剤中からトナーを除去する請求項1の磁気ブラシクリーニング装置において、上記トナー除去停止手段が、上記トナー除去部材の電位を上記剤担持体と同電位に切り替える切り替え手段からなることを特徴とするものであり、請求項3の発明は、上記トナー除去部材が、回転ローラからなる請求項1の磁気ブラシクリーニング装置において、上記トナー除去停止手段が、該回転ローラの回転を停止する回転停止手段からなることを特徴とするものである。上記第1及び第2の目的を達成するために、請求項4の発明は、請求項1の磁気ブラシクリーニング装置において、上記剤担持体表面を、該表面の移動方向に凹凸を繰り返す形状であって凹部の幅の方が比較的広い形状にしたことを特徴とするものであり、請求項5の発明は、請求項4の磁気ブラシクリーニング装置において、上記凹凸の凸部の形状を、上記移動方向下流側の端面が上記凹部の周面から比較的急激に立ち上がったのこぎり歯形状にしたことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明は、画像形成動作中には、剤担持体上のクリーニング剤で潜像担持体上の残留トナーを除去し、トナー除去部材で該クリーニング剤中からトナーを除去し、トナー排出手段で該トナー除去部材で除去したトナーを磁気ブラシクリーニング装置外に排出し、これにより、潜像担持体上のクリーニングを行なう。一方、画像形成動作時以外に、圧接力増加手段で潜像担持体と剤担持体との間の領域に在るクリーニング剤の潜像担持体表面に対する圧接力を画像形成動作時よりも増加させ、この状態で潜像担持体表面を移動させながら潜像担持体上のフィルミング除去動作を行なう。このフィルミング除去動作時に、トナー除去停止手段で上記トナー除去部材の動作を停止させ、これにより、クリーニング剤中からのトナー除去を行なわないようにする。ここで、剤担持体表面を、該表面の移動方向に凹凸を繰り返す形状であって凹部の幅の方が比較的広い形状にしておけば、潜像担持体と対向している剤担持体表面の凹部内のクリーニング剤の一部が、これから外に還流されて剤担持体移動方向下流側に搬送されにくくなり、これにより、潜像担持体の駆動トルクの増加を比較的抑えることができる。
【0008】
【実施例】本発明を電子写真複写機の磁気ブラシクリーニング装置(以下、クリーニング装置という)に適用した実施例について説明する。図1は本発明を適用できるクリーニング装置1の概略構成図である。図1において、クリーニング装置1は潜像担持体であるドラム状の感光体2の表面に対向するように配設されている。この感光体ドラム2の周囲には、クリーニング装置1の他に図示しない、帯電装置、潜像形成用光学装置、現像装置、転写装置等が配設され、周知の電子写真プロセスにより画像形成動作を行なうように構成されている。感光体2は矢印方向に回転し、この回転方向に対し、転写部の下流側にはプレクリーニングチャージャ3が感光体2と対向するように設けられている。このプレクリーニングチャージャ3は、トナー像の転写後の感光体2上に残されたトナーにコロナ放電を付与し、トナー粒子がクリーニングされ易いように、ある極性(図の例では正)の電荷を付与するものである。そして、プレクリーニングチャージャ3の下流側には内部に主極4等の複数の磁石を設けた、例えばアルミニウム等の導電性の非磁性体より成るクリーニングスリーブ5が配設されている。個々の磁石にはP1乃至P6の符号を付してあり、各磁石のクリーニングスリーブ5を向いた側の磁極は交互に異極性となっている。クリーニングスリーブ5は剤担持体の一構成例をなすものであって、本例ではこのスリーブ5が、固定された磁石に対し、図1には示していない駆動モータによって矢印方向(時計方向)に回転駆動されるようになっている。符号6で示すものはクリーニング装置1のクリーニングケースであり、このケース6の感光体2を向いた側は開口し、クリーニングスリーブ5の一部がこの開口にて露出し、この露出部分が感光体2と対向している。
【0009】一方、クリーニングスリーブ5の周面には、クリーニング用の磁性キャリアとトナーより成るクリーニング剤Cが前述の複数の磁石の磁力によって担持され、キャリアによる磁気ブラシが形成されている。より詳しく言えば、クリーニング剤Cは互いに異極性に摩擦帯電したキャリアとトナーとの粉体から成り、磁性体よりなるキャリアの粒子が磁力によってスリーブ5上に担持され、該粒子にトナーが静電的に付着している。トナーは、トナー粒子のみから成るものと、これに添加剤を加えたものがあることは周知の通りである。このようなクリーニング剤Cが、クリーニングスリーブ5の回転によって該スリーブ5の回転方向に搬送され、クリーニングスリーブ5に対向して位置する感光体2の表面に、クリーニング領域Xにて摺擦する。
【0010】プレクリーニングチャージャ3により電荷を付与された残留トナーが、クリーニングスリーブ5と対向するクリーニング領域Xに来ると、ここで、残留トナーが、電源7によりバイアス電圧(図の例では負)を印加されたクリーニングスリーブ5上の、負の電荷をもったクリーニング用キャリアへ、静電気的吸着力と機械的スキャベンジング力をもって付着する。このように感光体2上のトナーが除去されてクリーニングが行なわれる。
【0011】次いで、トナーが付着したキャリアは、磁力によりクリーニングスリーブ5上に担持されて磁気ブラシを形成しつつ搬送され、例えば、金属製のものより成り所定極性(図の例では負)のバイアス電圧が電源8により印加されたトナー回収ローラ9と対向する部位で、このローラ9に接触し、このときトナーが回収ローラ9の方に静電気的に付着する。その際、或る量のトナーはクリーニングスリーブ5側に残され、これがクリーニング剤C中のトナーとなる。この回収ローラ9はトナー除去部材の位置構成例をなすものであって、本例ではこのローラ9が、図1には示していない駆動モータによって矢印方向(時計方向)に回転駆動される。そして該ローラ9には弾性ゴム又は弾性金属板等より成る回収ブレード10が当接するようになっていて、これにより、回収ローラ9上の付着トナーが下へ掻き落される。この掻き落されたトナーは排出用のスクリューコンベア11によりクリーニング装置外に排出される。
【0012】一方、クリーニングスリーブ5上のクリーニング剤Cはさらに搬送され、ドクターブレード部12のところで、クリーニング剤Cの厚みが例えば0.5乃至2.0mm程度となるように規制され、再びクリーニング領域Xに入り、かかる動作が繰り返される。このドクターブレード部12は、適正なクリーニングが行なわれるように、感光体2とクリーニングスリーブ5との間のクリーニング領域Xに搬送されるクリーニング剤の量を規制する規制手段の一構成例をなすものである。
【0013】以上の如く、図1に示したクリーニング装置1は、画像形成動作時にトナー像を形成される感光体ドラム2に対置され、かつ磁力によってクリーニング剤Cを担持しつつこれを搬送するためのクリーニングスリーブ5と、感光体2とスリーブ5との間の領域Xに搬送されるクリーニング剤Cの量を規制するドクターブレード部12と、クリーニング剤C中からトナーを除去する回収ローラ9と、ケース6外にトナーを排出するスクリューコンベヤ11を有している。
【0014】以上、クリーニング装置1の一般構成を説明したが、このようなクリーニング装置1において、感光体2からクリーニングスリーブ5側に移行したトナーのうち、帯電量の低いトナーや、プレクリーニングチャージャ3の帯電作用にもかかわらず、正に帯電しきれなかったトナーがクリーニングスリーブ5から離れて浮遊し、これが再び感光体に付着することがある。またクリーニング装置1に限らず、図示しない現像装置等から浮遊したトナーや、転写紙の紙粉又はこれに含まれた添加物等が感光体2の表面に付着する。このように付着したトナーや紙粉等は、経時的に感光体表面に、薄い膜状に固着する恐れがある。これが先にも説明したフィルミング現象であり、これが発生すると感光体2に感度むらができ、その表面に形成されるトナー像の濃度むら、或いは地汚れが発生する。従って感光体に形成されたフィルミングは早期に除去し、或いはフィルミングの発生を未然に防止する必要がある。
【0015】本実施例は、クリーニング装置1を利用してフィルミングを除去するように構成されている。すなわち、感光体2上に前述の如くトナー像を形成する画像形成時以外の時期に、クリーニング領域Xにクリーニング動作よりも多量のクリーニング剤Cを詰め込んだ状態にして感光体2を作動させる。このようにすれば、クリーニング領域Xにて剤溜りができ、クリーニング剤C中のキャリアの粒子が、回転する感光体2の表面に強く擦り付けられ、感光体表面に形成された前述のフィルミングを掻き取ることができる。すなわちクリーニング剤Cより成る磁気ブラシと感光体表面との接触圧と摩擦係数を高め、フィルミングの除去効果を高めることができるのである。このように画像形成動作時以外の適時に、フィルミング除去動作を所定時間実行し、感光体2上のフィルミングを取り去り、ないしはフィルミングの発生を未然に防止することができる。またドラム状の感光体2に多少の偏心があったとしても、クリーニング領域Xにクリーニング剤の溜りができ、これがフィルミングを除去するので、フィルミング除去むらを生じることもない。
【0016】図示したクリーニング装置1のように磁石4を固定し、クリーニングスリーブ5を回転駆動することにより該スリーブ5上のクリーニング剤Cを搬送するクリーニング装置において、前述の如くクリーニング領域Xへのクリーニング剤Cの溜り量を増大させるには、クリーニングスリーブ5の回転速度を通常のクリーニング動作時よりも遅くすればよい。例えば感光体ドラム2の周速が226mm/Secで画像形成を行ない、この感光体ドラム2の周速はそのままで、クリーニングスリーブ5の回転数を画像形成動作中の1/6である80乃至100r.p.mに切り替えてフィルミング除去を行なう。クリーニングスリーブの線速が遅くなればX部での剤の搬送性(下流側への搬送力=X部を通過する能力)が低下するため剤が溜る。
【0017】フィルミング除去動作を行う時期は、複写機の特性に応じて適宜設定でき、例えば、複写機の主電源投入後の定着装置の定着加熱手段の温度立ち上げ期間、一定コピー枚数(例えば、300枚)毎に所定時間(例えば10分)等に設定することができる。尚、このフィルミング除去動作中には、上記の定着加熱手段の温度立ち上げ期間のような他のユニット上の制約が無い限り、操作者によるコピー開始の指示を受け付けるリロード状態にしておいて、該指示によりフィルミング除去動作を停止して、いつでも複写が行えるようにしても良いし、フィルミング除去動作中にはコピー不可の表示をしてコピー開始の指示を受け付けないようにしても良い。
【0018】以上のフィルミング除去動作を実行する場合に、上述のように上記回収ローラ9によるクリーニング剤C中からのトナー除去を継続する場合には、クリーニング剤C中のトナー濃度が低下しすぎてクリーニング剤Cの寿命が短くなる恐れがある。そこで、本実施例においては、フィルミング除去動作中に回収ローラ9によるクリーニング剤C中からのトナー除去が行なわれないようにする。このため図2に示すように、回収ローラ9への印加電圧を切り替える切り替えスイッチ20を設け、画像形成動作中にはトナーがクリーニングスリーブ5から回収ローラ9に移動する電界を発生させる電源8に回収ローラ9を接続し、フィルミング除去動作時にはクリーニングスリーブ5と同一の電源7に切り替えて接続し、両者が同電位になるようにする。これにより、フィルミング除去動作中に静電気力による回収ローラ9でのトナー除去が行なわれないようにできる。
【0019】また、フィルミング除去動作中に回収ローラ9によるクリーニング剤C中からのトナー除去が行なわれないようにする為には、上記の構成に代え、又はこれに加え、フィルミング除去動作中に回収ローラ9の回転を停止しても良い。図3(a)はその為の第1の構成例を示すものである。同図において、クリーニングスリーブ5の駆動用のモータ30とは別に回収ローラ9の駆動用のモータ31を設け、画像形成動作中には両モータ30,31を駆動し、フィルミング除去動作中には、前者の駆動モータ30のみを駆動して、後者の駆動モータ31を停止する。これにより、回収ローラ9の回転をフィルミング除去動作中に停止することによってクリーニング剤Cからのトナー除去を停止することができる。なお、図中、符号32は駆動モータ制御装置、符号33はフィルミング除去動作中信号発生装置、符号34は駆動モータ用電源を示している。
【0020】図3(b)はフィルミング除去動作中に回収ローラ9の回転を停止する第2の構成例を示すものである。同図において、回収ローラ9は、クリーニングスリーブ5の駆動用のモータ30からギヤ列30a,35a、及び電磁クラッチ35を介して駆動力を伝達されるように構成されている。そして、この電磁クラッチ35を電磁クラッチ制御装置36でON・OFF制御することによって、上記駆動力の遮断・伝達を制御する。画像形成動作中には電磁クラッチ35を連結して駆動モータ30による駆動力で回収ローラ9を回転駆動し、フィルミング除去動作中には電磁クラッチ35を遮断して回収ローラ9の回転を停止することができる。
【0021】以上、本実施例によれば、フィルミング除去動作中に回収ローラ5によるクリーニング剤Cからのトナー除去を中止するので、クリーニング剤C中のトナー濃度が低下しすぎてクリーニング剤の寿命が短くなるのを防止できる。
【0022】なお、上記実施例においては、フィルミング除去動作中にクリーニングスリーブ5の速度を低下させ、クリーニング領域Xに画像形成動作時よりも多量のクリーニング剤Cを蓄積して、この剤Cと感光体ドラム2表面との圧接力を増大させているので、感光体ドラム2の駆動トルクの増大によってロックや駆動モータのヒューズ切れが発生する恐れがある。そこで、上記の先願にも記載されているように、フィルミング除去動作中に例えば0.3mSecの高速回転を間歇的に行なって、クリーニング領域Xに溜り過ぎたクリーニング剤Cを適宜減らすようにしても良い。
【0023】また、これに代え、又はこれに加え、クリーニングスリーブ5の表面形状によって感光体ドラム2の駆動トルクの過度の増大を防止することができる。図4R>4(a)はこの為のクリーニングスリーブ5の表面形状の第1の構成例を示す概略図である。同図に示す例では、クリーニングスリーブ5表面に軸方向に伸びる凹凸が形成されている。この凹部の周方向の幅W2は凸部の周方向の幅W1よりも広くなるように設定されている。この構成によれば、凸部のクリーニングスリーブ5回転方向下流側の端面(クリーニングスリーブ5の半径方向に立った面)でクリーニング剤を主に搬送し、凹部内のクリーニング剤が一部凹部外に還流して搬送されにくくなるので、感光体ドラム2のトルクの増加を抑制することができる。図4(c)は横軸にドクタブレード部12とクリーニングスリーブ5との間隔を取り、縦軸に感光体ドラム2のトルクを取って、上記凸部と凹部との周方向の幅の比(W1:W2)を1:1,1:2,1:3のそれぞれに設定した場合(但し、W1=1mm)の測定結果を示すものである。このグラフからも判るように、比が1:2,1:3の場合には比が1:1の場合には比して大幅に感光体ドラム2のトルクを低減できる。
【0024】図4(b)は感光体ドラム2の駆動トルクの過度の増大を防止するためのクリーニングスリーブ5表面形状の第2の構成例を示すものである。同図に示す例においても、図4(a)の構成例と同様に軸方向に伸びる凹凸が形成され、かつ、この凹部の周方向の幅W2は凸部の周方向の幅W1よりも広くなるように設定されている。そして、この例では凸部の形状がクリーニングスリーブ5回転方向下流側の端面が上記凹部の周面から比較的急激に立ち上がったのこぎり歯形状に設定されている。これによれば、図4(a)の表面形状に比して凹部が大きくなるので、クリーニング剤の還流がより促進されて感光ドラム2のトルクの増加をより良好に抑制することができる。
【0025】なお、上記実施例においては、フィルミング除去動作時に、クリーニングスリーブ5の回転速度を低下させることによって、クリーニング剤Cの感光体ドラム2表面への圧接力を増大させているが、これに代え、感光体ドラム2表面を移動させながら、クリーニングスリーブ5の回転を停止することによってクリーニング剤の感光体ドラム2表面への圧接力を増加させても良い。また、クリーニング領域Xにクリーニングスリーブ5内の磁石とともに磁界を形成する位置と、このような磁界を形成しない位置とに選択的に移動可能な永久磁石を設け、フィルミング除去動作中にこの永久磁石を前者の位置に移動させ、これにより、上記磁界をクリーニング領域Xに形成してクリーニング剤Cを保持せしめて感光体ドラム2表面のフィルミング除去動作を実行し、フィルミング除去動作時以外は、この永久磁石を後者の位置に退避させるようにしても良い。前者の位置としては、例えば感光体ドラム2内のクリーニング領域Xに対向する位置を選択することができ、この場合後者の位置としては、感光体ドラム2内の比較的クリーニング領域Xから離間した位置を選択する。また、この永久磁石に代え、前者の位置に電磁石を配置し、フィルミング除去動作時にはこの電磁石をONし、これ以外のときに電磁石をOFFするようにしても良い。また、感光体ドラム2の回転速度を画像形成時に比して高速に切り替えてクリーニング領域のクリーニング剤Cの感光体ドラム2表面に対する圧接力を増加させても良い。
【0026】
【発明の効果】請求項1乃至5の発明によれば、画像形成動作時以外に、圧接力増加手段で潜像担持体と剤担持体との間の領域に在るクリーニング剤の潜像担持体表面に対する圧接力を画像形成動作時よりも増加させ、この状態で潜像担持体表面を移動させながら潜像担持体上のフィルミング除去動作を行ない、このフィルミング除去動作時に、トナー除去停止手段で上記トナー除去部材の動作を停止させて、クリーニング剤中からのトナー除去を行なわれないようにし、これにより、フィルミング除去動作時にクリーニング剤中のトナー濃度の低下を防止するので、クリーニング剤によるフィルミング除去動作を行ないながらクリーニング剤の寿命を比較的長くすることができるという優れた効果がある。更に、請求項4又は5の発明によれば、剤担持体表面を、該表面の移動方向に凹凸を繰り返す形状であって凹部の幅の方が比較的広い形状であることから、潜像担持体と対向している剤担持体表面の凹部内のクリーニング剤の一部が、これから外に還流されて剤担持体移動方向下流側に搬送されにくく、これにより、潜像担持体の駆動トルクの増加を比較的抑えることができるので、潜像担持体の駆動トルクの増大によってロックや駆動モータのヒューズ切れが発生するのを防止できる。特に、請求項5の発明によれば、上記凹凸の凸部の形状を、上記移動方向下流側の端面が上記凹部の周面から比較的急激に立ち上がったのこぎり歯形状にしているので、潜像担持体と対向している剤担持体表面の凹部内のクリーニング剤の一部が、これから外に還流されやすく、トルクの上記駆動トルクの増加抑制が良好に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用できるクリーニング装置の概略構成図。
【図2】実施例にかかるクリーニング装置の回収ローラへの電圧印加の説明図。
【図3】(a)は実施例にかかるクリーニング装置の回収ローラの駆動機構の説明図、(b)は変形例にかかる同駆動機構の説明図。
【図4】(a)は実施例にかかるクリーニング装置のクリーニングスリーブの断面図、(b)は変形例にかかる同スリーブの一部を示す断面図、(c)は(a)のクリーニングスリーブを用いた場合の感光体ドラム2のトルクの測定結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 クリーニング装置 , 2 感光体ドラム
4 主極 , 5 クリーニングスリーブ
7 クリーニングスリーブバイアス電源
8 回収ローラバイアス電源 , 9 回収ローラ
11 スクリューコンベア , 12 ドクタブレード部
20 切り替えスイッチ
30 クリーニングスリーブ駆動モータ, 31 回収ローラ駆動モータ
32 駆動モータ制御装置 , 35 電磁クラッチ
36 電磁クラッチ制御装置 , X クリーニング領域
C クリーニング剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】潜像担持体に対置され、且つキャリアとトナーとの混合物であって、少なくとも一部が磁性体よりなるクリーニング剤を磁界によって担持しつつこれを搬送する剤担持体と、潜像担持体と剤担持体との間の領域に搬送される剤の量を規制する規制手段と、該クリーニング剤中からトナーを除去するトナー除去部材と、該トナー除去部材で除去されたトナーを装置外に排出するトナー排出手段とを有する磁気ブラシクリーニング装置において、画像形成動作時以外に潜像担持体表面を移動させながら行なうフィルミング除去動作時に、潜像担持体と剤担持体との間の領域に在るクリーニング剤の潜像担持体表面に対する圧接力を画像形成動作時よりも増加させる圧接力増加手段と、該フィルミング除去動作時に上記トナー除去部材の動作を停止させるトナー除去停止手段とを設けたことを特徴とする磁気ブラシクリーニング装置。
【請求項2】上記トナー除去部材が、上記剤担持体との電位差に基づく静電気力でクリーニング剤中からトナーを除去する請求項1の磁気ブラシクリーニング装置において、 上記トナー除去停止手段が、上記トナー除去部材の電位を上記剤担持体と同電位に切り替える切り替え手段からなることを特徴とする請求項1の磁気ブラシクリーニング装置。
【請求項3】上記トナー除去部材が、回転ローラからなる請求項1の磁気ブラシクリーニング装置において、上記トナー除去停止手段が、該回転ローラの回転を停止する回転停止手段からなることを特徴とする請求項1の磁気ブラシクリーニング装置。
【請求項4】上記剤担持体表面を、該表面の移動方向に凹凸を繰り返す形状であって凹部の幅の方が比較的広い形状にしたことを特徴とする請求項1の磁気ブラシクリーニング装置。
【請求項5】上記凹凸の凸部の形状を、上記移動方向下流側の端面が上記凹部の周面から比較的急激に立ち上がったのこぎり歯形状にしたことを特徴とする請求項4の磁気ブラシクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平5−72950
【公開日】平成5年(1993)3月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−263224
【出願日】平成3年(1991)9月13日
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)