説明

磁気ヘッドおよびカードリーダ

【課題】カード挿入部を小型化することが可能となり、かつ、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、妨害磁界発生手段から発生される磁束の密度を高めることが可能となる磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】磁気ヘッド12は、磁気ストライプに記録される磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生手段18を備えている。この磁気ヘッド12がカード挿入口6の近傍に配置されると、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて変動するスキミング用磁気ヘッド31の位置に追従するように、磁気ヘッド12の位置を変動させることが可能になるため、スキミング時のスキミング用磁気ヘッド31の位置の変動に追従するように、妨害磁界発生手段18から発生される磁束の、密度が高い位置を変動させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに形成される磁気ストライプに当接して磁気データを読み取ることが可能な磁気ヘッド、および、この磁気ヘッドを備えるカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気データの読取やカードへの磁気データの記録を行うカードリーダが広く利用されている。この種のカードリーダは、たとえば、銀行等の金融機関に設置されるATM(Automate Teller Machine)等の上位装置に搭載されて使用されている。また、カードリーダが使用される金融機関等の業界では、従来、犯罪者がカードリーダのカード挿入口の前方に磁気ヘッドを取り付けて、この磁気ヘッドでカードの磁気データを不正に取得するいわゆるスキミングが大きな問題となっている。
【0003】
そこで、従来、カード挿入口の前方に取り付けられるスキミング用の磁気ヘッド(以下、「スキミング用磁気ヘッド」とする。)によるカードの磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる磁界発生器を備えたカードリーダが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダでは、カード挿入口が形成されるカード挿入部に、カード挿入口からカードが挿入されたことを検出するためのカード挿入検出用の磁気ヘッド(プリヘッド)が配置されており、磁界発生器は、カード挿入部の、プリヘッドの奥側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3936496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキミング用磁気ヘッドは、カードの幅方向において、カードの磁気ストライプに当接可能な位置に配置される。そのため、妨害磁界を発生させる磁界発生器は、カードの幅方向において、磁気ストライプに対応する位置に配置されることが好ましい。また、プリヘッドも、カードの幅方向において、磁気ストライプに当接可能な位置に配置される。したがって、従来のカードリーダでは、カード挿入部において、磁気ストライプに対応する位置に、かつ、プリヘッドと磁界発生器とが干渉しないように、プリヘッドの設置スペースと磁界発生器の設置スペースとを設ける必要があり、カード挿入部が大型化する。
【0006】
また、スキミング用磁気ヘッドによる磁気データの不正な読取を効果的に防止するためには、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、磁界発生器から発生される磁束の密度が高くなっていることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カード挿入部を小型化することが可能となり、かつ、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、妨害磁界発生手段から発生される磁束の密度を高めることが可能となる磁気ヘッドを提供することにある。また、本発明の課題は、かかる磁気ヘッドを備えるカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気ヘッドは、カードに形成される磁気ストライプに当接して磁気ストライプに記録される磁気データを読取可能な磁気ヘッドにおいて、磁気ストライプに記録される磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の磁気ヘッドは、磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生手段を備えている。そのため、カードが挿入されるカード挿入口の近傍に本発明の磁気ヘッドが配置されていれば、カード挿入口の前方に取り付けられるスキミング用磁気ヘッドでの磁気データの読取を妨害することが可能になる。
【0010】
ここで、カードの磁気データを読み取る磁気ヘッドは、一般に、当接するカードの表面にその磁気ギャップが追従可能となるように、所定のヘッド支持機構によって支持されている。すなわち、カードの磁気データを読み取る磁気ヘッドは、カードの表面に追従して揺動等が可能となるようにヘッド支持機構に支持されている。そのため、カードに当接している磁気ヘッドの位置は、カードの厚みや曲がり具合等に応じて変動する。また、スキミング用磁気ヘッドも同様にヘッド支持機構に支持されることが多いため、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置も、一般に、カードの厚みや曲がり具合等に応じて変動する。
【0011】
本発明では、妨害磁界発生手段が磁気ヘッドの一部を構成しているため、カードが磁気ヘッドに当接しているときには、カードの厚みや曲がり具合等に応じて位置が変動する磁気ヘッドと一緒に妨害磁界発生手段の位置を変動させることが可能になる。すなわち、本発明の磁気ヘッドがカード挿入口の近傍に配置されていれば、カードの厚みや曲がり具合等に応じて磁気ヘッドと略同様の動きをするスキミング用磁気ヘッドの位置の変動に追従するように、妨害磁界発生手段の位置を変動させることが可能になる。したがって、本発明では、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置の変動に追従するように、妨害磁界発生手段から発生される磁束の、密度が高い位置を変動させることが可能になり、その結果、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、妨害磁界発生手段から発生される磁束の密度を高めることが可能になる。
【0012】
また、本発明では、磁気ヘッド自体が妨害磁界発生手段を備えており、妨害磁界発生手段が磁気ヘッドの一部を構成しているため、カードリーダのカード挿入部に磁気ヘッドが配置される場合には、妨害磁界発生手段の設置スペースがカード挿入部に設けられていなくても、磁気ヘッドの設置スペースに妨害磁界発生手段を設置することが可能になる。したがって、本発明では、カード挿入部を小型化することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、妨害磁界発生手段が磁気ヘッドの一部を構成しているため、磁気ヘッドに磁気ストライプが当接しているときに妨害磁界発生手段が妨害磁界を発生させれば、磁気ヘッドでの読取信号にノイズがのる。したがって、磁気ヘッドの端子等に不正にケーブルを取り付けて磁気ヘッドの読取信号を不正に取得するいわゆるタッピングを防止することも可能になる。
【0014】
本発明において、磁気ヘッドは、コイルと、磁性材料で形成されコイルが巻回されるヘッドコアと、コイルおよびヘッドコアが収納されるケース体とを備え、妨害磁界発生手段の少なくとも一部は、ケース体の内部に配置され、妨害磁界発生手段は、コイルおよびヘッドコアとともに封止部材によって封止されていることが好ましい。この場合の封止部材は、たとえば、熱硬化性樹脂である。このように構成すると、磁気ヘッドをばらばらにしないと、犯罪者が妨害磁界発生手段を破壊することは困難になる。したがって、妨害磁界発生手段が破壊されにくくなる。
【0015】
本発明において、妨害磁界発生手段は、たとえば、磁性材料で形成される妨害磁界発生用コアと、妨害磁界発生用コアに巻回される妨害磁界発生用コイルとを備えている。
【0016】
本発明の磁気ヘッドは、カードが挿入されるカード挿入口が形成されるカード挿入部と、磁気ストライプに記録される磁気データの読取および/または磁気ストライプへの磁気データの記録を行う第2の磁気ヘッドとを備えるカードリーダであって、磁気ヘッドが、カード挿入部に配置されて、磁気ストライプを有するカードがカード挿入口から挿入されたことを検出するカードリーダに用いることができる。このカードリーダは、当接するカードの表面に磁気ヘッドの磁気ギャップが追従するように磁気ヘッドを支持するヘッド支持機構を備えることが好ましい。このカードリーダでは、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置の変動に追従するように、妨害磁界発生手段から発生される磁束の、密度が高い位置を変動させることが可能になり、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、妨害磁界発生手段から発生される磁束の密度を高めることが可能になる。また、このカードリーダでは、カード挿入部を小型化することが可能になる。さらに、このカードリーダでは、タッピングを防止することも可能になる。
【0017】
本発明において、妨害磁界発生手段は、磁性材料で形成される妨害磁界発生用コアと、妨害磁界発生用コアに巻回される妨害磁界発生用コイルとを備え、妨害磁界発生用コアの軸線がカード挿入口の前方であってかつカード挿入口から挿入されるカードが通過する位置へ伸びるように、カードの通過方向と平行な方向に対して傾いた状態で配置されていることが好ましい。スキミング用磁気ヘッドは、カード挿入口の前方であってかつカード挿入口から挿入されるカードが通過する位置に設置されるため、このように構成すると、スキミング用磁気ヘッドの位置で磁束の密度が高くなるような妨害磁界を妨害磁界発生手段によって発生させることが可能になる。
【0018】
本発明において、妨害磁界発生手段から発生する電磁波の周波数は、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度とカードリーダ内でのカードの移動速度とによって規定されるデータ周波数の帯域に含まれていることが好ましい。このように構成すると、スキミング用磁気ヘッドから出力される読取信号の中で、カードの磁気データに起因する読取信号と、妨害磁界発生手段が発生させる電磁波に起因する読取信号とを区別しにくくなる。したがって、スキミングを効果的に防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、カードリーダは、磁気ヘッドと磁気ストライプとが当接していない所定のタイミングで、妨害磁界発生手段が発生させる妨害磁界に基づく磁気ヘッドの出力の有無を検出することが好ましい。このように構成すると、妨害磁界発生手段に妨害磁界を発生させようとしているにもかかわらず、磁気ヘッドの出力が検出されない場合には、妨害磁界発生手段が故障している、または、犯罪者によって破壊されていることが推定される。あるいは、磁気ヘッドの出力が検出されない場合には、妨害磁界発生手段以外の磁気ヘッドの所定箇所が故障している、または、犯罪者によって破壊されていると推定される。すなわち、このように構成すると、妨害磁界発生手段が発生させる妨害磁界に基づく磁気ヘッドの出力の有無を検出することで、妨害磁界発生手段を含めた磁気ヘッドが故障している、または、破壊されていることを検出することが可能になる。したがって、妨害磁界発生手段が発生させる妨害磁界に基づく磁気ヘッドの出力が検出されていないことを、カードリーダが搭載される上位装置に知らせること等によって、妨害磁界発生手段を含めた磁気ヘッドの修理の必要性をユーザに示すことが可能になる。その結果、カードリーダの信頼性を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の磁気ヘッドを用いれば、カード挿入部を小型化することが可能となり、かつ、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、妨害磁界発生手段から発生される磁束の密度を高めることが可能になる。また、本発明の磁気ヘッドを備えるカードリーダでは、カード挿入部を小型化することが可能となり、かつ、スキミング時のスキミング用磁気ヘッドの位置で、妨害磁界発生手段から発生される磁束の密度を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの前端部分の断面図である。
【図2】図1に示すプリヘッドおよびその支持機構の断面図である。
【図3】図1に示すプリヘッドおよびその支持機構の斜視図であり、(A)は磁気ギャップ側からプリヘッド等を示す図、(B)は底面側からプリヘッド等を示す図である。
【図4】図1に示すカードリーダの、カードの取込時の動作の一部のフローチャートである。
【図5】図1に示すカードリーダの、カードの排出時の動作の一部のフローチャートである。
【図6】図1に示すカードリーダの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の前端部分の断面図である。
【0024】
本形態のカードリーダ1は、磁気カード2(以下、「カード2」とする)の磁気ストライプに記録された磁気データの読取および/またはカード2の磁気ストライプへの磁気データの記録を行うための装置であり、たとえば、ATM(Automate Teller Machine)等の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路3が形成されている。
【0025】
本形態では、図1に示すX方向にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向(通過方向)である。また、本形態では、X1方向にカード2が挿入され、X2方向にカード2が排出される。また、X方向に略直交する図1のZ方向は、カード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに略直交する図1のY方向は、カード2の幅方向である。なお、以下の説明では、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「手前(前)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0026】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2は、磁気カードであり、カード2の一方の面(下面)には、磁気ストライプが形成されている。なお、カード2には、ICチップが固定されても良いし、通信用のアンテナが内蔵されても良い。すなわち、カード2は、磁気ストライプ付きの接触式ICカードであっても良いし、磁気ストライプ付きの非接触式ICカードであっても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0027】
また、カードリーダ1は、カードリーダ1の内部でカード2を搬送するための搬送ローラ4およびパッドローラ5等を有するカード搬送機構と、カード2が挿入および排出されるカード挿入口6が形成されたカード挿入部7とを備えている。搬送ローラ4およびパッドローラ5は、カードリーダ1の本体部8の内部に配置されており、カード挿入口6からカード2を取り込む機能と排出する機能も果たしている。カード挿入部7は、本体部8の前面に固定されている。
【0028】
カード搬送機構は、搬送ローラ4およびパッドローラ5の他に、複数の搬送ローラ、複数のパッドローラ、搬送ローラ4等を駆動するモータおよびモータの動力を伝達する歯車等を備えている。本体部8の内部には、磁気データの読取および/または磁気データの記録を行う磁気ヘッドが配置されている。この磁気ヘッドは、その磁気ギャップがカード搬送路3の下側からカード搬送路3に臨むように配置されるとともに、カード2の磁気ストライプに当接可能な位置に配置されている。本形態では、この磁気ヘッドは、磁気ストライプに記録される磁気データの読取および/または磁気ストライプへの磁気データの記録を行う第2の磁気ヘッドである。
【0029】
カード挿入部7には、カード搬送路3を閉鎖するためのシャッタ部材11と、カード挿入口6から磁気ストライプが形成されたカード2が挿入されたことを検出するためのプリヘッド12とが配置されている。シャッタ部材11には、ソレノイド13が所定の連結機構を介して連結されている。シャッタ部材11は、ソレノイド13の動力によって、カード搬送路3を閉鎖する閉鎖位置(図1に示す位置)と、カード搬送路3を開放する開放位置との間を移動する。
【0030】
プリヘッド12は、シャッタ部材11よりも手前側に配置されている。このプリヘッド12の詳細については後述する。また、カード挿入部7の、プリヘッド12の手前側には、カード挿入口6からカード2が挿入されたことを検出するためのカード検出機構(図示省略)が配置されている。カード検出機構は、たとえば、カード2の幅方向(Y方向)の端面に当接して回動するレバー部材と、このレバー部材の回動を検出する光学式または機械式のセンサとを備えている。
【0031】
(プリヘッドおよびその支持機構の構成)
図2は、図1に示すプリヘッド12およびその支持機構の断面図である。図3は、図1に示すプリヘッド12およびその支持機構の斜視図であり、(A)は磁気ギャップ12a側からプリヘッド12等を示す図、(B)は底面側からプリヘッド12等を示す図である。
【0032】
プリヘッド12は、カード2の磁気ストライプに当接して磁気ストライプに記録される磁気データを読取可能な磁気ヘッドである。ただし、カードリーダ1においては、プリヘッド12は、上述のように、カード挿入口6から磁気ストライプが形成されたカード2が挿入されたことを検出する機能を果たしている。このプリヘッド12は、その磁気ギャップ12aがカード搬送路3の下側からカード搬送路3に臨むように配置されるとともに、カード2の磁気ストライプに当接可能な位置に配置されている。
【0033】
プリヘッド12は、図2に示すように、磁気ストライプを検出するためのコイル15およびヘッドコア16と、コイル15およびヘッドコア16が収納されるケース体17とを備えている。また、プリヘッド12は、磁気ストライプに記録される磁気データの読取を防止するための妨害磁界を発生される妨害磁界発生手段としての妨害磁界発生器18を備えている。また、プリヘッド12は、ヘッド支持機構としての板バネ19に支持されている。
【0034】
ヘッドコア16は、磁性材料で形成されている。ヘッドコア16の上端には、磁気ギャップ12aが形成されている。また、ヘッドコア16の下端側には、ボビンを介してコイル15が巻回されている。コイル15の両端部のそれぞれは、端子20に固定されている。端子20には、フレキシブルプリント基板(FPC)21が接続されている。FPC21は、ケース体17の下端から引き出されて、図1に示すように、本体部8の内部へ引き回されている。
【0035】
妨害磁界発生器18は、妨害磁界発生用コア23と、妨害磁界発生用コイル24とを備えている。妨害磁界発生用コア23は、磁性材料で形成されている。また、妨害磁界発生用コア23は、棒状に形成されている。たとえば、妨害磁界発生用コア23は、四角柱状等の多角柱状または円柱状に形成されている。この妨害磁界発生用コア23は、コアフレーム25に固定されている。妨害磁界発生用コイル24は、ボビンを介して妨害磁界発生用コア23の外周面に巻回されている。妨害磁界発生用コイル24の両端部のそれぞれは、コアフレーム25の下面に取り付けられる端子26に固定されている。
【0036】
妨害磁界発生器18では、妨害磁界発生用コイル24に電流が供給されると、磁気ストライプに記録された磁気データの読取信号にノイズをのせるための電磁波が発生する。また、妨害磁界発生器18は、棒状に形成される妨害磁界発生用コア23の一方の端面から他方の端面に磁力線が向かう磁界を発生させる。本形態では、妨害磁界発生器18から発生する電磁波の周波数は、カード2の磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度と搬送ローラ4およびパッドローラ5によるカード2の搬送速度とによって規定されるデータ周波数の帯域に含まれている。すなわち、本形態では、妨害磁界発生器18から発生する電磁波の周波数は、カード挿入口6の前方に配置されるスキミング用磁気ヘッド31で読み取られるカード2の磁気データに基づく読取信号の周波数の帯域に含まれている。より具体的には、本形態では、スキミング用磁気ヘッド31で読み取られるカード2の磁気データに基づく読取信号の周波数に妨害磁界発生器18から発生する電磁波の周波数を合わせるように、妨害磁界発生用コイル24に供給される電流の周波数が設定されている。
【0037】
妨害磁界発生器18は、ヘッドコア16の下側に配置されている。また、妨害磁界発生器18の上端側は、ケース体17の内部へ収納されている。妨害磁界発生器18は、コイル15およびヘッドコア16とともに封止部材(図示省略)によって封止されている。本形態の封止部材は、熱硬化性樹脂(より具体的には、熱硬化性の樹脂系接着剤)であり、この熱硬化性樹脂は、ケース体17の内部に充填されるとともに妨害磁界発生器18を覆っている。本形態では、妨害磁界発生器18は、熱硬化性樹脂によって完全に覆われている。
【0038】
本形態では、妨害磁界発生器18は、図1に示すように、棒状に形成される妨害磁界発生用コア23の軸線CLがカード挿入口6の前方であってかつカード挿入口6から挿入されるカード2が通過する位置へ伸びるように、カード2の搬送方向(通過方向)である前後方向に対して傾いた状態で配置されている。すなわち、カード挿入口6の前方であってかつカード挿入口6から挿入されるカード2が通過する位置に設置されるスキミング用磁気ヘッド31に軸線CLが向かうように、妨害磁界発生器18が配置されている。なお、スキミング用磁気ヘッド31は、カード2の幅方向において、カード2の磁気ストライプに当接可能な位置に設置される。
【0039】
板バネ19は、図3に示すように、カード挿入部7のフレームに固定されるフレーム固定部19aと、プリヘッド12が固定されるヘッド固定部19bと、フレーム固定部19aとヘッド固定部19bとを繋ぐバネ部19cとを備えている。板バネ19は、図1に示すように、カード挿入部7にカード2がないときに、プリヘッド12の上端がカード搬送路3の下面よりも上側に突出するようにプリヘッド12を支持している。また、板バネ19は、プリヘッド12の上端に当接するカード2の表面に磁気ギャップ12aが追従するようにプリヘッド12を支持している。具体的には、板バネ19は、カード搬送路3を通過するカード2の厚みに応じてプリヘッド12が上下動するようにプリヘッド12を支持している。また、板バネ19は、カード搬送路3を通過するカード2の曲がり等の変形具合に応じて、プリヘッド12が前後方向を軸方向として揺動するようにプリヘッド12を支持している。
【0040】
(カードリーダの概略動作)
図4は、図1に示すカードリーダ1の、カード2の取込時の動作の一部のフローチャートである。図5は、図1に示すカードリーダ1の、カード2の排出時の動作の一部のフローチャートである。
【0041】
以上のように構成されたカードリーダ1の、カード2の取込時の概略動作と、カード2の排出時の概略動作とを、図4、図5のフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0042】
まず、図4に示すフローチャートに基づいてカード2の取込時の概略動作を説明する。カードリーダ1にカード2が取り込まれていない待機時には、シャッタ部材11はカード搬送路3を閉鎖している。この状態で、カード挿入口6からカード2が挿入され、プリヘッド12の手前側に配置されるカード検出機構によってカード2の挿入が検出される(ステップS1において「Yes」になる)とともに、プリヘッド12でカード2の磁気ストライプが検出される(ステップS2において「Yes」になる)と、妨害磁界発生用コイル24への電流の供給指令が出されて、妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させる(ステップS3)。なお、ステップS2では、たとえば、3〜5ビット程度の磁気データがプリヘッド12で検出されると、カード2の磁気ストライプが検出されたと判断される。
【0043】
その後、シャッタ部材11がカード搬送路3を開放するとともに、カード搬送機構が起動して、カード2の取込を開始する(ステップS4)。その後、カード2の取込が完了してカード搬送機構が停止する(ステップS5において「Yes」になる)と、妨害磁界発生用コイル24への電流の供給が停止され、妨害磁界が消える(ステップS6)。なお、カード2の前端が奥側に向かってシャッタ部材11の配置位置を通過した後の所定のタイミングで、シャッタ部材11は再びカード搬送路3を閉鎖する。
【0044】
続いて、図5に示すフローチャートに基づいてカード2の排出時の概略動作を説明する。カード2の排出時には、カード2の排出動作がスタートすると、まず、妨害磁界発生用コイル24への電流の供給指令が出されて、妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させる(ステップS11)。その後、カード搬送機構が起動して、カード2の排出を開始するとともに、シャッタ部材11がカード搬送路3を開放する(ステップS12)。その後、搬送ローラ4とパッドローラ5との間からカード2の奥端が抜けてカード搬送機構によるカード2の排出が完了したか否かが判断される(ステップS13)。
【0045】
搬送ローラ4とパッドローラ5との間からカード2の奥端が抜けてカード搬送機構によるカード2の排出が完了する(ステップS13で「Yes」になる)と、カード2の奥端側はカード挿入部7の中にあり、ユーザによるカード2の引抜き待ちの状態となるため、カード2の排出が完了すると、カード2の引抜きが検出されたか否かが判断される(ステップS14)。なお、カード2の引抜き待ちの状態では、プリヘッド12の手前側に配置されるカード検出機構によってカード2が検出されている。そのため、ステップS14では、このカード検出機構を利用して、カード2が引き抜かれたか否かが判断される。
【0046】
カード2の引抜きが検出される(ステップS14で「Yes」になる)と、妨害磁界発生器18が発生させている妨害磁界に基づくプリヘッド12の出力が検出されるか否かが判断される(ステップS15)。プリヘッド12の出力が検出される場合(ステップS15で「Yes」の場合)には、妨害磁界発生器18を含むプリヘッド12が正常に動作していると推定されるため、妨害磁界発生用コイル24への電流の供給が停止され、妨害磁界が消える(ステップS16)。
【0047】
一方、プリヘッド12の出力が検出されない場合(ステップS15で「No」の場合)には、妨害磁界発生用コイル24への電流の供給指令が出されているにもかかわらず、妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させていないと推定され、その結果、妨害磁界発生器18が故障している、または、犯罪者によって破壊されていると推定される。あるいは、この場合には、妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させているにもかかわらず、プリヘッド12の出力が検出されていないと推定され、その結果、妨害磁界発生器18以外のプリヘッド12の所定箇所が故障している、または、犯罪者によって破壊されていると推定される。そこで、ステップS15で、プリヘッド12の出力が検出されない場合には、カードリーダ1が搭載される上位装置へアラームを送ってから(ステップS17)、ステップS16へ進む。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード挿入部7に配置されるプリヘッド12は、磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生器18を備えている。そのため、本形態では、図1に示すように、カード挿入口6の前方にスキミング用磁気ヘッド31が取り付けられても、スキミング用磁気ヘッド31による磁気データの読取を妨害することが可能になる。
【0049】
特に、本形態では、外周面に妨害磁界発生用コイル24が巻回される棒状の妨害磁界発生用コア23の軸線CLがカード挿入口6の前方であってかつカード挿入口6から挿入されるカード2が通過する位置へ伸びるように、妨害磁界発生器18が前後方向に対して傾いた状態で配置されており、軸線CLは、スキミング用磁気ヘッド31が設置される位置、すなわち、カード挿入口6の前方であってかつカード挿入口6から挿入されるカード2が通過する位置に向かって伸びている。そのため、本形態では、妨害磁界発生器18は、スキミング用磁気ヘッド31の位置で磁束密度が高くなるような妨害磁界を発生させることが可能になり、スキミング用磁気ヘッド31での磁気データの読取を効果的に妨害することが可能になる。
【0050】
また、本形態では、妨害磁界発生器18から発生する電磁波の周波数は、スキミング用磁気ヘッド31で読み取られるカード2の磁気データに基づく読取信号の周波数の帯域に含まれているため、スキミング用磁気ヘッド31から出力される読取信号の中で、カード2の磁気データに起因する読取信号と、妨害磁界発生器31が発生させる電磁波に起因する読取信号とを区別しにくくなる。したがって、本形態では、スキミング用磁気ヘッド31を用いたスキミングを効果的に防止することが可能になる。
【0051】
本形態では、プリヘッド12は、当接するカード2の表面に追従して上下動および揺動するように板バネ19に支持されている。そのため、カード2に当接しているプリヘッド12の位置は、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて変動する。たとえば、プリヘッド12の位置は、カード2の厚みに応じて、図6の二点鎖線で示すように、下側へ変動する。一方、スキミング用磁気ヘッド31によるカード2の磁気データの確実な読取を可能とするため、スキミング用磁気ヘッド31も板バネ19と同様の機能を備えるヘッド支持機構に支持されることが多いので、スキミング時のスキミング用磁気ヘッド31の位置も、一般に、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて変動する。たとえば、スキミング用磁気ヘッド31の位置は、カード2の厚みに応じて、図6の二点鎖線で示すように、下側へ変動する。
【0052】
本形態では、妨害磁界発生器18は、プリヘッド12の一部を構成しているため、カード2がプリヘッド12に当接しているときには、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて位置が変動するプリヘッド12と一緒に妨害磁界発生器18の位置も変動する。また、本形態では、プリヘッド12は、カード挿入部7に配置されているため、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて、カード挿入口6の近傍の前方に配置されるスキミング用磁気ヘッド31と略同様の動きをする。
【0053】
したがって、本形態では、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて変動するスキミング用磁気ヘッド31の位置に追従するように、妨害磁界発生器18の位置を変動させることが可能になる。たとえば、図6の二点鎖線で示すように、下側へ変動するスキミング用磁気ヘッド31の位置に追従するように、妨害磁界発生器18の位置を下側へ変動させることが可能になり、スキミング中のスキミング用磁気ヘッド31の位置が変動しても、妨害磁界発生用コア23の軸線CLを常にスキミング用磁気ヘッド31に向かわせることが可能になる。そのため、本形態では、スキミング時のスキミング用磁気ヘッド31の位置の変動に追従するように、妨害磁界発生器18から発生される磁束の、密度が高い位置を変動させることが可能になり、その結果、スキミング時のスキミング用磁気ヘッド31の位置で、妨害磁界発生器18から発生される磁束の密度を高めることが可能になる。
【0054】
また、本形態では、カード2の厚みや曲がり具合等に応じて位置が変動するプリヘッド12と一緒に妨害磁界発生器18の位置も変動するため、妨害磁界発生器18が発生させる妨害磁界の範囲を広げることが可能になる。したがって、本形態では、スキミング用磁気ヘッド31での磁気データの読取を効果的に妨害することが可能になる。
【0055】
本形態では、妨害磁界発生器18がプリヘッド12の一部を構成している。そのため、カードリーダ1では、カード挿入部7に妨害磁界発生器18の設置スペースを別途設けなくても、プリヘッド12の設置スペースに妨害磁界発生器18を設置することが可能になる。したがって、本形態では、カード挿入部7を小型化することが可能になる。
【0056】
なお、従来のプリヘッドは妨害磁界発生器18を備えていなかったが、従来のプリヘッドのケース体の大きさは、板バネ19等のヘッド支持機構によってプリヘッドを支持する必要性からプリヘッドをある程度大きくしなければならなかったため、本形態のケース体17の大きさとほぼ同じである。すなわち、ケース体17は、従来のプリヘッドのケース体とほぼ同じ大きさである。また、妨害磁界発生器18の上端側は、ケース体17の内部へ収納されており、従来のプリヘッド(すなわち、妨害磁界発生器18を備えていないプリヘッド)の大きさと本形態のプリヘッド12の大きさとはほぼ同じである。したがって、本形態では、従来のプリヘッドが配置されていたカード挿入部(すなわち、妨害磁界発生器18の設置スペースが設けられていないカード挿入部)をそのままカード挿入部7として流用することができる。また、従来のカード挿入部をカード挿入部7として流用することができるため、カード挿入部7の外観が従来のカード挿入部の外観と変わらない。したがって、本形態では、カード挿入部7に妨害磁界発生器18が配置されていることに犯罪者は気づきにくくなる。
【0057】
本形態では、たとえば、3〜5ビット程度の磁気データがプリヘッド12で検出されると、カード2の磁気ストライプが検出されたと判断されて、妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させている。そのため、プリヘッド12から出力される読取信号の大半部分に妨害磁界に基づくノイズがのる。したがって、本形態では、端子20等に不正にケーブルを取り付けてプリヘッド12の読取信号を不正に取得するいわゆるタッピングを防止することも可能になる。
【0058】
本形態では、妨害磁界発生器18は、コイル15およびヘッドコア16とともに熱硬化性樹脂によって封止されている。そのため、プリヘッド12をばらばらにしなければ、犯罪者が妨害磁界発生器18を破壊することは困難である。したがって、本形態では、妨害磁界発生器18が破壊されにくくなる。
【0059】
本形態では、カード2の排出動作時に、カード2が抜き取られた後も妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させて、プリヘッド12の出力が検出されるか否かを判断し、プリヘッド12の出力が検出されない場合には上位装置へアラームを送っている。そのため、妨害磁界発生器18の異常を検出することができる。したがって、本形態では、妨害磁界発生器18を正常に動作させて、スキミング用磁気ヘッド31を用いたスキミングを効果的に防止することが可能になる。また、カード2が抜き取られた後も妨害磁界発生器18が妨害磁界を発生させて、プリヘッド12の出力が検出されるか否かを判断し、プリヘッド12の出力が検出されない場合には上位装置へアラームを送っているため、妨害磁界発生器18を含むプリヘッド12の修理の必要性をユーザに示すことが可能になる。したがって、カードリーダ1の信頼性を向上させることが可能になる。
【0060】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0061】
上述した形態では、妨害磁界発生器18の上端側がケース体17の内部へ収納されている。この他にもたとえば、妨害磁界発生器18の全体が収納されるようにケース体17が構成されても良い。また、妨害磁界発生器18は、ケース体17の側面に固定されても良い。
【0062】
上述した形態では、カード2の下面に形成される磁気ストライプの磁気データを読み取るため、カード搬送路3の下側からカード搬送路3に臨むようにプリヘッド12が配置されている。この他にもたとえば、カード2の両面に形成される磁気ストライプの磁気データを読み取るために、カード搬送路3の上下の両側からカード搬送路3に臨むようにプリヘッドが配置されても良い。この場合には、カード搬送路3の上下の両側に、妨害磁界発生器18を備えるプリヘッド12が配置されても良いし、カード搬送路3の上側または下側の一方に妨害磁界発生器18を備えるプリヘッド12が配置され、かつ、カード搬送路3の上側または下側の他方に妨害磁界発生器18を備えていない通常のプリヘッドが配置されても良い。
【0063】
上述した形態では、妨害磁界発生器18は、妨害磁界発生用コア23および妨害磁界発生用コイル24等によって構成されている。この他にもたとえば、妨害磁界発生器18は、ヘッドコア16、および、ヘッドコア16に巻回される妨害磁界発生用コイル等によって構成されても良い。
【0064】
上述した形態では、カード2の排出動作時に、カード2が抜き取られた後も妨害磁界発生器18へ電流を供給して妨害磁界を発生させて、プリヘッド12の出力が検出されるか否かを判断することで、妨害磁界発生器18を含むプリヘッド12の異常を検出している。この他にもたとえば、カードリーダ1にカード2が取り込まれていない待機時等に、妨害磁界発生器18へ電流を供給して妨害磁界を発生させて、プリヘッド12の出力が検出されるか否かを判断することで、妨害磁界発生器18を含むプリヘッド12の異常を検出しても良い。すなわち、カード2の磁気ストライプとプリヘッド12とが当接していない所定のタイミングで、妨害磁界発生器18へ電流を供給して妨害磁界を発生させて、プリヘッド12の出力が検出されるか否かを判断することで、妨害磁界発生器18を含むプリヘッド12の異常を検出しても良い。こうすることで、カード挿入部7の周辺の異常や犯罪行為等をより早く検知することが可能になる。
【0065】
上述した形態では、カードリーダ1は、カード搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、本発明の構成が適用されるカードリーダは、ユーザが手動でカード2を移動させながら、磁気データの読取や記録を行う手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、本発明の構成が適用されるカードリーダは、その内部にカード2を挿入する際、あるいは、内部からカード2を抜き取る際に磁気データの読取や記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 カードリーダ
2 カード
6 カード挿入口
7 カード挿入部
12 プリヘッド(磁気ヘッド)
12a 磁気ギャップ
15 コイル
16 ヘッドコア
17 ケース体
18 妨害磁界発生器(妨害磁界発生手段)
19 板バネ(ヘッド支持機構)
23 妨害磁界発生用コア
24 妨害磁界発生用コイル
CL 妨害磁界発生用コアの軸線
X カードの通過方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに形成される磁気ストライプに当接して前記磁気ストライプに記録される磁気データを読取可能な磁気ヘッドにおいて、
前記磁気ストライプに記録される磁気データの読取を妨害するための妨害磁界を発生させる妨害磁界発生手段を備えることを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項2】
コイルと、磁性材料で形成され前記コイルが巻回されるヘッドコアと、前記コイルおよび前記ヘッドコアが収納されるケース体とを備え、
前記妨害磁界発生手段の少なくとも一部は、前記ケース体の内部に配置され、
前記妨害磁界発生手段は、前記コイルおよび前記ヘッドコアとともに封止部材によって封止されていることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記封止部材は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項2記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記妨害磁界発生手段は、磁性材料で形成される妨害磁界発生用コアと、前記妨害磁界発生用コアに巻回される妨害磁界発生用コイルとを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記カードが挿入されるカード挿入口が形成されるカード挿入部と、前記カード挿入部に配置される請求項1から4のいずれかに記載の磁気ヘッドと、前記磁気ストライプに記録される磁気データの読取および/または前記磁気ストライプへの磁気データの記録を行う第2の磁気ヘッドとを備え、
前記磁気ヘッドは、前記磁気ストライプを有する前記カードが前記カード挿入口から挿入されたことを検出することを特徴とするカードリーダ。
【請求項6】
当接する前記カードの表面に前記磁気ヘッドの磁気ギャップが追従するように前記磁気ヘッドを支持するヘッド支持機構を備えることを特徴とする請求項5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記妨害磁界発生手段は、磁性材料で形成される妨害磁界発生用コアと、前記妨害磁界発生用コアに巻回される妨害磁界発生用コイルとを備え、前記妨害磁界発生用コアの軸線が前記カード挿入口の前方であってかつ前記カード挿入口から挿入される前記カードが通過する位置へ伸びるように、前記カードの通過方向と平行な方向に対して傾いた状態で配置されていることを特徴とする請求項5または6記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記妨害磁界発生手段から発生する電磁波の周波数は、前記磁気ストライプに記録された前記磁気データの記録密度と前記カードリーダ内での前記カードの移動速度とによって規定されるデータ周波数の帯域に含まれていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項9】
前記磁気ヘッドと前記磁気ストライプとが当接していない所定のタイミングで、前記妨害磁界発生手段が発生させる前記妨害磁界に基づく前記磁気ヘッドの出力の有無を検出することを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載のカードリーダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−118689(P2012−118689A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266748(P2010−266748)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】