説明

磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置及び検査方法

【課題】磁気ディスクまたは磁気ヘッド検査装置において、従来のサーボ信号検出部では、A/D変換後のディジタルフィルタを狭帯域により検出の高S/N化を行うと、検出までの処理時間が長くなりサーボ制御の応答性が劣化するため、位置決めの高精度化を実現することが困難であった。
【解決手段】本発明では、バーストデータをA/D変換器でデジタルデータに変換し、セクタ信号に同期した任意の開始信号を起点として2(nは整数)個の同デジタルデータに対してFFT演算を実施し、必要であればFFT演算前にバーストデータ信号成分の周波数に相当するデータを中心に設定した窓関数演算し、それらの結果に基づきバーストデータの検出値としてヘッド位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置に関わり、特にサーボ(以下バーストデータと記載)信号の振幅を高精度に検出し、磁気ヘッドの位置決めを高精度に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置では、磁気ヘッドを磁気ディスク上で浮上させ、目標トラック上において同ヘッドを介して試験データの書き込み及び読み出しを行い、読み出した信号の特性を計測して磁気ヘッドまたは磁気ディスクの良否判定などを行う。ここで、ヘッドをディスクの目標トラック上に高精度に位置決めする目的で、従来からヘッドのサーボ制御が行われている。
【0003】
このような目的を達成する従来技術としては、バーストデータの振幅検出信号をバンドパスフィルタ、A/D変換回路、ディジタルフィルタに通す構成としたもの(特許文献1)、バーストデータに異なる複数の周波数成分を持たせ、その各周波数成分の振幅比を検出する目的で高速フーリエ変換(FFT)を用いる技術(特許文献2)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-141807号公報
【特許文献2】特開2007-242152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッド位置決めの高精度化のためには、バーストデータの振幅検出信号のS/Nを向上することが必要となる。従来方式でS/Nを向上するためには、特許文献1のようにA/D変換後にディジタルフィルタを用いると、そのディジタルフィルタの狭帯域化が必要となるが、フィルタを狭帯域にすると検出までのデータ処理時間が長くなりサーボ制御の応答性が劣化するため、最終的に位置決めの高精度化を実現することが困難であった。
【0006】
一方、特許文献2のように単に振幅検出信号にFFT演算を行うと、ディスクリートトラックメディアなど予めバーストデータが書き込まれたディスクを検査する場合には、バーストデータの周波数とA/D変換器のサンプリング周波数が非同期であるため、FFT演算後に周波数スペクトラムリークが発生してバーストデータの信号振幅検出精度が大きく劣化するという問題があった。
【0007】
また、FFT演算を行うためにはその周波数分解を向上させるために高速で複数のA/D変換器の並列制御が必要である。しかし、複数のA/D変換器並列制御時に、各A/D変換器に変換タイミングずれ(クロックスキュー)が発生することにより、バーストデータの信号振幅検出精度が劣化するとういう課題がある。
【0008】
従って、本発明の第一の目的は、バーストデータの振幅検出信号のS/Nを向上させ高精度なヘッド位置決めを実現した磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置及びそれらの方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の第二の目的は、バーストデータの周波数とA/D変換器のサンプリング周波数が非同期の際に、FFT演算やDFT(ディスクリートフーリエ変換)演算時の検出精度を向上した磁気ヘッド検査装置または磁気ディスクの検査装置及びそれらの方法を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明の第三の目的は複数のA/D変換器の並列制御時における各A/D変換器のクロックスキュー(位相ずれ)を低減し、FFT演算時の検出精度を向上した磁気ヘッドまたは磁気ディスク検査装置及びそれらの方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第一の目的を達成するために、磁気ヘッドを介して磁気記録媒体の各セクタに少なくとも2相以上の各サーボ信号を磁気記録媒体に書き込みし、読み出しを行い、前記磁気ヘッドまたは磁気記録媒体の特性を測定する特性計測し、前記読み出しデータに基づいて前記磁気ヘッドの磁気記録媒体上に位置を検出・位置決めする磁気ヘッドまたは磁気記録媒体検査装置又は方法において、前記検出・位置決めは、サーボ信号を量子化し、その後調波解析することで行われることを第一の特徴とする。
【0012】
また、記第一の目的を達成するために、第一の特徴に加え、前記量子化されたサーボ信号はn(nは2の乗数)個のデータからなり、セクタ信号を基準としたタイミング信号から生成された演算開始信号に基づいて前記調波解析を開始することを第ニの特徴とする。
【0013】
さらに、上記第二の目的を達成するために、本発明は、第二の特徴に加え、前記量子化は前記タイミング信号に基づいて行われ、前記量子化データに対し窓関数演算を行い、その後FFT演算またはDFT演算することを第三の特徴とする。
【0014】
また、上記第三の目的を達成するために本発明は、第一の特徴に加え、前記検出・位置決めは、N個(Nは2以上)のA/D変換器で量子化されたサーボ信号によって行われ、既知の周波数fを持つ基準信号を前記N個のA/D変換器に印加して前記N個のA/D変換器間の位相ずれを検出し、前記位相ずれに基づいて前記N個のA/Dの変換タイミングを設定することを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、バーストデータの振幅検出信号のS/Nを向上させ高精度なヘッド位置決めを実現した磁気ヘッド検査装置及び磁気ディスク検査装置及びそれらの方法を提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、バーストデータの周波数とA/D変換器のサンプリング周波数が非同期の際にも、FFT演算時の検出精度を向上した磁気ヘッド検査装置及び磁気ディスク検査装置及びそれらの方法を提供することができる。
【0017】
さらに、本発明によれば、複数のA/D変換器の並列制御時における各A/D変換器のクロックスキュー(位相ずれ)を低減し、FFT演算またはDFT演算等による調波解析時の検出精度を向上した磁気ヘッド検査装置及び磁気ディスク検査装置及びそれらの方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す概略図である。
【図2】FFT演算部の出力データ例である。
【図3】セクタサーボ信号の例である。
【図4】本発明の第二の実施形態を示す概略図である。
【図5】第二の実施形態の動作波形例1である。
【図6】第二の実施形態の動作波形例2である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の最良の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の磁気ヘッド検査装置または磁気ディスク検査装置のシステムブロック図を示す。同検査装置では、ディスク回転部15は磁気ディスク14を保持して回転し、磁気ヘッド13を同ディスク上に浮上させる。ライト信号発生部19の出力で生成された試験データは、ライトアンプ18を介して、磁気ディスク14内の目標とするトラック上に記録される。次に、記録した試験データを磁気ヘッド13で読み出し、リードアンプ17で増幅して再生信号として特性計測部20とサーボ制御部23に入力する。特性計測部20は再生信号のS/Nなどの電気特性を計測してテスタバス21を介して検査装置のホストコンピュータ22に出力し、ホストコンピュータ22は同出力データをもとにして被試験対象である磁気ヘッドまたは磁気ディスクの良否判定やクラス分けを行う。
【0020】
ここで、磁気ディスク14上には、検査開始前にあらかじめ磁気ヘッド13を目標トラック上に位置決めするためのサーボ制御を行うため、各セクタに例えば図2(a)に示すようなサーボ信号であるバーストデータ信号を書き込む。ここで、バーストデータA〜Dの各振幅値は磁気ヘッド13がバーストデータに対してどの位置にあるかによって異なり、例えば、図2(b)に示すように、バーストデータAの中心を通過する場合はAの振幅が最大となり、BとDはほぼ中間値、Cは最小値を示すため、サーボ制御部23はこのバーストデータA〜Dの振幅値に基づいて、磁気ヘッド13を目標トラックの中心または任意位置に位置決めするための位置制御を行う。具体的には、バーストデータA〜Dは、まずサーボ制御部23内のサーボ信号検出部1に入力される。バンドパスフィルタ2は、バーストデータの信号成分fin以外の周波数成分(雑音)を除去し、信号をA/D変換器3に出力する。A/D変換器3は、クロック信号源4の周波数fのタイミングで入力信号をデジタルデータに変換して窓関数演算部5へ出力する。
【0021】
窓関数演算部5は、磁気ヘッドまたは磁気ディスク検査装置内の基準信号であるセクタ信号に基づいてタイミング制御部7から出力されるバーストデータA〜Dの各相の開始信号を起点とし、各相n(nは2の乗数)個のデジタルデータD(n)と、予め設定された窓関数データW(n)の乗算を行う。乗算後のデータD’(n)を式(1)に示す。
【0022】
D’(n)=D(n)× W(n) (1)
ここで窓関数処理は、再生したバーストデータの信号周波数とクロック信号源4(サンプリング周波数)が非同期である場合には必須であるが、再生したバーストデータの信号周波数とクロック信号源4の間にコヒーレントな関係が成り立つ場合には不要である。
【0023】
使用する窓関数の特性は、目標とする信号検出精度によって決まり、具体的には窓関数のメインローブ内の信号総和を信号成分とした場合のS/N比か、または、異なる複数の周波数成分の弁別するために必要な周波数分解能かによって決める必要があり、例えばブラックマン−ハリス窓関数などを用いるとS/N比を向上することが出来る。
【0024】
FFT演算部6はタイミング制御部7から出力されるバーストデータA〜Dの各相の開始信号を起点とし、窓関数演算部5のn個の出力データD’(n)を用いてFFT演算を行い、FFT後のデータF(n)をデータ加算部8に出力する。ここで、バーストデータの信号成分finの周期数を表すmは、サンプリングクロック周波数f、FFT演算に用いるデジタルデータ数nを用いて式(2)のようになる。
【0025】
m =(n x fin)/f (2)
ここで、mは整数に限定しない正の数である。図3にF(n)の例を示す。窓関数を用いたことで、finの信号成分は使用した窓関数のメインローブを示す範囲に広がりを持つ。図3では例として、窓関数によりm±3となるデータ範囲内に信号成分が広がった場合を示しており、例えばm=8.5の場合、F(6)、F(7)、F(8)、F(9)、F(10)、F(11)に広がる。finの元の振幅値は、メインローブ内の信号データの2乗加算に等しく、データ加算部8はfin、f、nの値から式(2)で決まる信号範囲を算出し、同範囲内の信号の2乗加算を計算し、その結果をヘッド位置検出および制御部9に出力する。ここで、窓関数処理を行わない場合は、信号成分を示すデータを検出振幅データとすれば良く、窓関数処理時のように近傍データとの2乗加算は必要無い。
【0026】
ヘッド位置検出および制御部9はバーストデータA〜Dの各相の振幅データを収集し、同データに基づいて磁気ヘッド13の位置を検出し、目標位置とのずれを補正するための位置信号を、D/A変換器10および出力アンプ11を介してステージ12に出力する。この動作をセクタごとに繰り返すことにより、磁気ヘッド13の位置決めを高精度に行うことができる。
【0027】
ここで、FFT演算部6の出力データにおいて各データの周波数分解能ΔfはfS/nであり、図3のmを中心とした破線内で示すデータ範囲がkである場合、データ加算部の信号帯域幅fBWは式(3)で表すことができる。
【0028】
BW = kΔf= kfS/n (3)
例えばfS=200MHz、n=256、k=6とすると、fBW≒4.7MHzで検出できる。ここで、kは窓関数のメインローブ内データ数であり使用する窓関数によって値が異なる。また窓関数処理を行わない場合はk=1である。
【0029】
よってfS、n、kの値を調整することで、バーストデータの周波数成分によらず、容易に狭帯域の信号成分抽出ができるため、バーストデータの振幅検出S/Nを向上し、高精度なヘッド位置決めが可能となる。
【0030】
次に本発明の第2の実施形態を図4を用いて説明する。第1の実施形態のシステムで、バーストデータ周波数finの信号検出S/Nを向上するためには、A/D変換器のサンプリングレートの高速化による信号成分抽出を狭帯域化が必要であり、高速サンプリングの実現手段としてA/D変換器の並列制御が挙げられる。しかしA/D並列制御においては、サンプリングクロックスキューにより信号振幅検出精度が劣化する問題がある。そこで本実施例では、高速かつ高精度なA/D変換部を実現することを目的とした、サンプリングクロックスキューのキャリブレーション方式について説明する。
【0031】
図5において、サーボ信号検出部1は、バンドパスフィルタ2、A/D変換器並列制御部50、窓関数演算部5、FFT演算部6、データ加算部8、タイミング制御部7およびスキュー検出部57から構成される。
【0032】
A/D変換器並列制御部50において、バンドパスフィルタ2の出力はA/D変換器
51、52に分配されて入力される。A/D変換器51および52は、それぞれクロック発生部53の出力クロックを可変遅延回路54および55を介して受け、同クロックのタイミングによりバンドパスフィルタ2の出力信号をデジタルデータに変換する。ここで、可変遅延回路54および55は遅延回路制御部56からの制御信号により回路の入出力遅延時間の可変制御が可能であり、この出力クロック間の位相を180度(遅延時間を1/2f)ずらして設定することで、A/D変換器並列制御部のサンプリングクロックをA/D変換器51,52のサンプリングクロックの2倍に高速化できる。しかし、可変遅延回路54,55の遅延時間差やA/D変換器51,52のアパーチャずれにより、A/D変換器51,52のサンプリングクロックスキューが生じる(位相がずれる)と、入力周波数finに対してf/2の周波数変調を行うように動作し、finの検出精度が劣化する。
【0033】
図5にクロックスキューが生じたときのFFT演算結果を示す。同図に示すように、A/D変換器51,52への入力周波数finのときに(f/2)−finのスプリアスが発生する。このスプリアスの電力はfinの電力が分散されて生成されるため、finの検出値が低下してしまう。
【0034】
そこで、サンプリングクロックの遅延制御量を補正する。補正モードにおいて切替部59は、ヘッド位置検出および制御部9からの制御信号を受けて、入力周波数範囲内の既知の単一周波数(f)を出力する基準信号源58の出力信号をサーボ信号検出部1に入力し、A/D変換器並列制御部50はバンドパスフィルタ2の出力信号のサンプリングを行う。ここで、遅延回路制御部56はヘッド位置検出および制御部9からの制御信号により、例えば可変遅延回路54を任意の遅延時間に固定し、可変遅延回路55の遅延時間を変えながら、FFT処理を行うこととする。
【0035】
次にヘッド位置検出および制御部9はタイミング制御部7に対してFFT処理を実行するためのゲート信号を出力し、同信号を開始信号として、A/D変換器並列制御部50の出力データは、窓関数演算部5、FFT演算部6、データ加算部8で処理される。ここで、データ加算部8は、fの信号成分と(f/2)−fの周波数成分を演算して、スキュー検出部57に出力する。スキュー検出部57は、可変遅延回路55の設定値ごとにデータ加算部8の出力を保持する。この値を可変遅延回路55の遅延時間を横軸とし、fの信号成分と(f/2)−fの周波数成分の電力を縦軸として表すと図6のようになる。
【0036】
図6において、fの信号成分であれば極大値、(f/2)−fの周波数成分であれば極小値となる点が、遅延時間設定が最適値であり、スキュー検出部57は、fまたは(f/2)−fのどちらかの信号を観測して遅延時間の最適値をヘッド位置検出および制御部9へ出力する。ここで図6からも分かるように、スプリアス成分である(f/2)−fの電力の方が、遅延時間設定値に対する感度が高く、最適値を検出し易い。決められた補正設定量範囲のデータ処理が終了した時点で、ヘッド位置検出および制御部9はスキュー検出部57から最適な遅延時間設定値を受けて保持し、遅延時間設定を最適値に固定するように遅延回路制御部を制御し、切替部59を切替えてリードアンプ17からのバーストデータをサーボ信号検出部1に入力する。
【0037】
このように動作によりA/D変換器並列制御でのサンプリングクロックスキューを容易に補正でき、A/D変換の高速かつ高精度化により、バーストデータの振幅検出S/N向上し、高精度なヘッド位置決めが可能となる。
【0038】
ここで、本実施例ではA/D変換器2つを並列制御した場合について述べたが、並列数が3以上(特に2の累乗)の場合でも、同様にしてサンプリングクロックスキューを補正することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1:サーボ信号検出部、 2:バンドパスフィルタ
3、51,52:A/D変換器 4,53:クロック発生部
5:窓関数演算部 6:FFT演算部 7:タイミング制御部
8:データ加算部 9:ヘッド位置検出および制御部
10:D/A変換器 11:出力アンプ 12:ステージ
13:磁気ヘッド 14:磁気ディスク 15:ディスク回転部
16:回転制御部 17:リードアンプ 18:ライトアンプ
19:ライト信号発生部 20:特性計測部
21:テスタバス 22:ホストコンピュータ
23:サーボ制御部 29:ディジタルフィルタ
50:A/D変換器並列制御部 54,55…可変遅延回路
56:遅延回路制御部 57:クロックスキュー検出部
58:基準信号源 59:切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドを介して磁気ディスクの各セクタに書かれたサーボ信号を読み出すサーボ信号検出部と、前記サーボ信号検出部に基づいて前記磁気ヘッドの磁気ディスク上の位置を検出・位置決めするヘッド検出・位置決め部とを有するサーボ制御部とを備え、前記磁気ヘッドまたは磁気ディスクの特性を測定する磁気ヘッドまたは磁気ディスク検査装置において、
前記サーボ信号検出部は、
サーボ信号を量子化するN個(Nは2以上)のA/D変換部と、
既知の周波数fを持つ基準信号をN個の前記A/D変換器に印加してN個の前記A/D変換器間の位相ずれを検出し、前記位相ずれに基づいてN個の前記A/D変換器の変換開始時を設定するA/D変換器並列制御部と、
前記A/D変換部により量子化されたサーボ信号の調波解析を行う解析部とを、具備し、
前記A/D変換器並列制御部は、既知の周波数fに設定された基準信号源と、被測定信号と前記基準信号の出力信号を切り替えてN個の前記A/D変換器に出力する切替部と、各前記A/D変換器の変換を行うクロック周波数f信号を発生するクロック信号源と、前記クロック信号が各前記A/D変換部に伝達するまでの時間を制御する伝達時間制御部と、前記伝達時間制御部の伝達時間を制御する制御部とを有することを特徴とする磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記伝達時間制御部の伝達時間を変化させて得られる前記解析部の複数の演算結果から得られる処理結果を基に前記伝達時間を制御することを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置。
【請求項3】
前記処理結果は、前記解析部の複数の演算結果から任意周波数成分(fまたは(Nf/2−f))に相当する任意のデータ振幅を検出し、前記制御部は前記検出値が極大値または極小値となるときの前記伝達時間設定値を検査時の伝達時間設定値とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置。
【請求項4】
N個の前記A/D変換器は、サーボ信号を量子化してn(nは2の乗数)個のデータとし、前記サーボ信号検出部は、さらに当該サーボ信号に対し窓関数演算を行う窓関数演算部を有し、前記解析部は窓関数演算されたn個のデータをFFT演算またはDFT演算することを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査装置。
【請求項5】
磁気ヘッドを介して磁気ディスクの各セクタにサーボ信号を書き込みし、読み出しを行い、前記磁気ヘッドまたは磁気ディスクの特性を測定する特性計測し、前記読み出しデータに基づいて前記磁気ヘッドの磁気ディスク上に位置を検出・位置決めする磁気ヘッドまたは磁気ディスク検査方法において、
前記検出・位置決めは、サーボ信号を量子化し、その後FFT演算またはDFT演算することで行われ、
N個(Nは2以上)の並列制御されるA/D変換器で量子化されたサーボ信号に基づき、既知の周波数fを持つ基準信号をN個の前記A/D変換器に印加してN個の前記A/D変換器間の位相ずれを検出し、N個の前記A/D変換器間の位相ずれを変化させ、変化させて得られる複数のFFT演算またはDFT演算結果に基づいて、N個の前記A/D変換器の変換タイミング差(位相差)時を設定することを特徴とする磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査方法。
【請求項6】
並列制御される前記A/D変換器の変換タイミング差(位相差)の設定は、複数の前記FFT演算またはDFT演算結果の任意周波数成分(fまたは(Nf/2−f))に相当するデータ振幅を検出し、前記検出値が極大値または極小値となる設定値とすることを特徴とする請求項5に記載の磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査方法。
【請求項7】
前記量子化されたサーボ信号に対し窓関数演算を行い、その後前記FFT演算またはDFT演算することを特徴とする請求項5に記載の磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−84228(P2012−84228A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20701(P2012−20701)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2008−204404(P2008−204404)の分割
【原出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】