説明

磁気ヘッドサスペンション及びその製造方法

【課題】捩れモードの振動における磁気ヘッドスライダのゲインの低減を図りつつ、SWAYモードの共振周波数を有効に上昇させる。
【解決手段】ロードビーム部はサスペンション幅方向に沿ったロードビーム部曲げ線で曲げられ、荷重曲げ部を形成する板バネは基端側曲げ線及び先端側曲げ線で曲げられ、前記両曲げ線での曲げ部によって発生される荷重の合力によって押し付け荷重が画される。支持部の先端エッジからロードビーム部の基端部までの板バネのサスペンション長手方向距離をL、支持部の先端エッジから基端側曲げ線までのサスペンション長手方向距離をL1、支持部の先端エッジから先端側曲げ線までのサスペンションの長手方向距離をL2とした場合に、L1≦0.3×L且つ0.6×L≦L2を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンション及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンションには、前記磁気ヘッドスライダを目的トラックの中心に高速に且つ高精度に位置させることが要求される。
【0003】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンションは、ボイスコイルモータ等のアクチュエータによって基端側が直接又は間接的に揺動中心回りに揺動されることで、先端側において支持する前記磁気ヘッドスライダをディスク面に平行なシーク方向に沿って目的トラックへ向けて移動させる。
【0004】
従って、前記磁気ヘッドスライダを目的トラックに高速に且つ正確に位置させる為には、前記アクチュエータの駆動信号の周波数を高めた場合であっても前記磁気ヘッドスライダの振動を可及的に低減し得るように、前記磁気ヘッドサスペンションを構成する必要がある。
【0005】
ところで、前記アクチュエータによって前記磁気ヘッドサスペンションを揺動させると前記磁気ヘッドサスペンションには種々の振動モードの振動が生じるが、この振動は前記磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する正確な位置決めを阻害する。
特に、前記磁気ヘッドサスペンションに生じ得る種々の振動モードのうち、捩れ1次モード、捩れ2次モード、捩れ3次モード及びSWAYモード(首振りモード)の共振周波数は低周波数帯域に存在する為、これらの振動モードの振動に起因する磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを可及的に防止することが重要となる。
【0006】
この点に関し、捩れ1次〜3次モードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレ量(ゲイン)は、前記磁気ヘッドサスペンションのロードビーム部の中間部に設けられる曲げ部の曲げ角度及び/又は曲げ位置の調整、並びに、前記磁気ヘッドサスペンションの荷重曲げ部に設けられる曲げ部の曲げ位置の調整によって、可及的に低減され得る。
【0007】
即ち、前記ロードビーム部における曲げ部の曲げ角度及び/又は曲げ位置、並びに、前記荷重曲げ部における曲げ部の曲げ位置を最適値に設定することによって、前記磁気ヘッドサスペンションに捩れ1次〜3次モードの何れの振動が生じたとしても、この振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを最小化することができる。
【0008】
例えば、下記特許文献1には、前記荷重曲げ部に2つの曲げ部を設けると共に、この2つの曲げ部の曲げ角度を同一とすることによって、前記磁気ヘッドサスペンションの共振時における前記磁気ヘッドスライダのゲインの低減を図った磁気ヘッドサスペンションが開示されている。
【0009】
これに対し、SWAYモードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレ量(ゲイン)を、前記ロードビーム部における曲げ部の曲げ角度及び/又は曲げ位置の調整、並びに、前記荷重曲げ部における曲げ部の曲げ位置の調整によって低減させることはできない。
【0010】
従って、SWAYモードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを防止又は低減する為には、前記磁気ヘッドサスペンションをSWAYモードの振動が生じ難いように構成する必要がある。つまり、前記磁気ヘッドサスペンションのSWAYモードの共振周波数を可及的に高めることで、前記アクチュエータの駆動信号の周波数を高めたとしても、前記磁気ヘッドサスペンションにSWAYモードの共振が生じることを可及的に防止する必要がある。
【0011】
SWAYモードの共振周波数を高める一般的な方法としては、前記磁気ヘッドサスペンションの幅方向の剛性を高めるべく、前記ロードビーム部の基端側を幅広とすることが考えられる。
【0012】
しかしながら、前記磁気ヘッドサスペンションには、前記磁気ヘッドスライダをディスク面に押し付ける為の荷重を発生させる為の弱剛性の前記荷重曲げ部が必要である。従って、前記ロードビーム部のサスペンション幅方向剛性を高めたとしても、前記荷重曲げ部の存在によって、前記磁気ヘッドサスペンションの全体のサスペンション幅方向剛性はそれ程上昇されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−007740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、捩れモードの振動時における磁気ヘッドスライダのゲインの低減を図り得るようにロードビーム部及び荷重曲げ部に曲げ部が設けられた磁気ヘッドサスペンションにおいて、SWAYモードの共振周波数を有効に上昇させ得る磁気ヘッドサスペンションの提供を目的とする。
又、本発明は、前記磁気ヘッドサスペンションを効率的に製造し得る製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記目的を達成する為に、アクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを含む荷重曲げ部と、前記板バネを介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記磁気ヘッドスライダを支持した状態で前記ロードビーム部及び前記支持部に固着されたフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記ロードビーム部は、サスペンション幅方向に沿ったロードビーム部曲げ線で曲げられており、前記板バネは、基端側曲げ線及び前記基端側曲げ線より先端側に位置する先端側曲げ線で曲げられ、前記両曲げ線での曲げ部によって発生される荷重の合力によって前記押し付け荷重が画され、前記支持部の先端エッジから前記ロードビーム部の基端部までの前記板バネのサスペンション長手方向距離をL、前記支持部の先端エッジから前記基端側曲げ線までのサスペンション長手方向距離をL1、前記支持部の先端エッジから前記先端側曲げ線までのサスペンションの長手方向距離をL2とした場合に、L1≦0.3×L且つ0.6×L≦L2を満たす磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0016】
好ましくは、L1≦0.15×Lとされる。
【0017】
好ましくは、前記基端側曲げ線での基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線での先端側曲げ部は共に前記磁気ヘッドサスペンションの先端側が前記ディスク面に近接するように前記ディスク面とは反対側に凸状を形成しており、前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2が前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1より大きいものとされる。
【0018】
一形態においては、前記板バネは、サスペンション幅方向中央に間隙を存しつつ前記幅方向両側に配設され且つ平面視においてサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称とされた一対の第1及び第2板バネ部を有し得る。
この場合、前記基端側曲げ線は、サスペンション幅方向に沿った状態で前記第1板バネ部に設けられた第1基端側曲げ線と、平面視において前記中心線を基準にして前記第1基端側曲げ線と対称となるように前記第2板バネ部に設けられた第2基端側曲げ線とを含み、前記先端側曲げ線は、好ましくは、サスペンション幅方向に対して傾斜された状態で前記第1板バネ部に設けられた第1先端側曲げ線と、平面視において前記中心線を基準にして前記第1先端側曲げ線と対称となるように前記第2板バネ部に設けられた第2先端側曲げ線とを含む。
【0019】
前記一形態において、好ましくは、前記第1及び第2先端側曲げ線は、サスペンション幅方向内方から外方へ行くに従ってサスペンション長手方向先端側に位置するように傾斜される。
【0020】
異なる形態においては、前記板バネは、前記支持部の先端エッジから前記ロードビーム部の基端部のサスペンション幅方向略全域に亘って延びる単一の板状部材によって形成される。
前記フレクシャ部は、前記ロードビーム部及び前記支持部のディスク対向面に接合された状態で固着されるフレクシャ基板を有し、
前記フレクシャ基板は、前記支持部のディスク対向面に固着される支持部固着領域と、前記ロードビーム部のディスク対向面に固着されるロードビーム部固着領域と、前記板バネに重合された状態で前記支持部固着領域及び前記ロードビーム部固着領域の間に延びる荷重曲げ部対応領域とを含む。
前記板バネには、前記荷重曲げ部対応領域と重合し且つ前記基端側曲げ線及び前記先端側曲げ線が位置する領域に開口が設けられる。
【0021】
前記種々の構成において、前記ロードビーム部は、前記ディスク面と対向する平板状の本体部と、前記本体部のサスペンション幅方向両端部から前記ディスク面とは反対側へ延びる一対のフランジ部とを有し得る。
好ましくは、前記本体部のサスペンション幅方向両端部は、基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように略直線状に傾斜される。
【0022】
又、本発明は、前記磁気ヘッドサスペンションを製造する方法であって、前記板バネのうち前記先端側曲げ線に相当する位置よりも基端側の領域を狭圧することで先端側基準領域とした状態で前記先端側曲げ線より先端側を前記先端側基準領域に対して所定角度で折り曲げて前記先端側曲げ線での先端側曲げ部を形成する先端側曲げ工程と、前記先端側曲げ部が形成された板バネのうち前記基端側曲げ線に相当する位置よりも基端側の領域を狭圧することで基端側基準領域とした状態で前記基端側曲げ線より先端側で且つ前記先端側曲げ線より基端側の領域を前記基端側基準領域に対して所定角度で折り曲げて前記基端側曲げ線での基端側曲げ部を形成する基端側曲げ工程とを含む磁気ヘッドサスペンションの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、ロードビーム部がサスペンション幅方向に沿ったロードビーム部曲げ線で曲げられ、荷重曲げ部を形成する板バネが基端側曲げ線及び前記基端側曲げ線より先端側に位置する先端側曲げ線で曲げられて前記両曲げ線での曲げ部によって発生される荷重の合力によって押し付け荷重を画するように構成されているので、前記基端側曲げ線での基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線での先端側曲げ部の何れか一方の曲げ角度によって前記押し付け荷重の設定を可能としつつ、前記各曲げ線の位置、前記ロードビーム部曲げ線での曲げ部の曲げ角度並びに前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部のうち押し付け荷重の設定に用いられない曲げ部の曲げ角度を捩れ1次モード〜捩れ3次モードの捩れ中心線を変位させるパラメータとして利用することができ、捩れモードの振動時における磁気ヘッドスライダのゲインを有効低減できる。従って、捩れモードの振動に起因する磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを有効に防止できる。
【0024】
さらに、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、支持部の先端エッジから前記ロードビーム部の基端部までの前記板バネのサスペンション長手方向距離をL、前記支持部の先端エッジから前記基端側曲げ線までのサスペンション長手方向距離をL1、前記支持部の先端エッジから前記先端側曲げ線までのサスペンションの長手方向距離をL2とした場合に、L1≦0.3×L且つ0.6×L≦L2を満たすように構成したので、捩れモードの共振周波数を低下させることなく、SWAYモードの共振周波数を上昇させることができる。従って、SWAYモードの振動を有効に防止して、SWAYモードの振動に起因する磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図2】図2は、図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図4】図4は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの側面図である。
【図5】図5は、基端側曲げ線の位置と捩れ1次モード及び捩れ2次モードの共振周波数との関係に関する解析結果を示すグラフである。
【図6】図6は、基端側曲げ線の位置とSWAYモードの共振周波数との関係に関する解析結果を示すグラフである。
【図7】図7は、先端側曲げ線の位置と捩れ1次モード及び捩れ2次モードの共振周波数との関係に関する解析結果を示すグラフである。
【図8】図8は、先端側曲げ線の位置とSWAYモードの共振周波数との関係に関する解析結果を示すグラフである。
【図9】図9は、先端側曲げ線の位置及び基端側曲げ線の位置の相対比とSWAYモードの共振周波数との関係に関する解析結果を示すグラフである。
【図10】図10(a)〜図10(d)は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの製造工程を示すフロー図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aの上面図(ディスク面とは反対側から視た平面図)を、図2に図1におけるII-II線に沿った断面図を示す。
さらに、図3及び図4に、それぞれ、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの下面図(前記ディスク面から視た底面図)及び側面図を示す。なお、図3中の○は溶接点を示している。
【0027】
前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、図1〜図4に示すように、ボイスコイルモータ等のアクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部10と、磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部10に連結された板バネ21Aを含む荷重曲げ部20と、前記板バネ21Aを介して前記支持部10に支持され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達するロードビーム部30と、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に支持されるフレクシャ部40とを備えている。
【0028】
前記支持部10は、前記アクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記板バネ21Aを介して前記ロードビーム部30を支持する部材であり、比較的高剛性を有するものとされる。
【0029】
本実施の形態においては、図1、図3及び図4に示すように、前記支持部10は、前記アクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部15を備えたベースプレートとされている。
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
当然ながら、前記支持部10として、基端部が前記アクチュエータの揺動中心に連結されるアームを採用することも可能である。
【0030】
前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記板バネ20Aによって発生される荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
【0031】
図1〜図3に示すように、前記ロードビーム部30は、前記ディスク面と対向する平板状の本体部31と、前記本体部31のサスペンション幅方向両端部からディスク面とは反対側に延びる左右一対のフランジ部32とを有しており、前記フランジ部32によって剛性を向上させている。
前記ロードビーム部30は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0032】
図1及び図3に示すように、前記本体部31には、先端側に、所謂ディンプルと呼ばれる突起33が形成されている。
前記突起33は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.05mm〜0.1mm程度突出されている。この突起33は、前記フレクシャ部40における下記ヘッド搭載領域415の上面(前記磁気ヘッドスライダを支持する支持面とは反対側の裏面)に接触して、この突起33を介して前記荷重を前記フレクシャ部40の前記ヘッド搭載領域415に伝達するようになっている。
【0033】
本実施の形態においては、図1〜図3に示すように、前記ロードビーム部30は、さらに、前記本体部31の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ34を一体的に有している。前記リフトタブ34は、前記磁気ヘッドスライダ50がディスク面の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1Aが前記アクチュエータによって揺動された際に、磁気ディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面と直交するz方向に沿って前記ディスク面から離間させる為の部材である。
【0034】
本実施の形態においては、図1及び図3に示すように、前記ロードビーム部30の前記本体部31のサスペンション幅方向両端部は、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線CLに近接するように略直線状に傾斜されている。
【0035】
斯かる構成によれば、前記ロードビーム部30の先端側における前記中心線CL回りの慣性モーメントを低減でき、捩れモード及びSWAYモードの共振周波数を上昇させることができる。
【0036】
図1及び図3に示すように、本実施の形態においては、前記ロードビーム部30は、サスペンション幅方向に沿ったロードビーム部曲げ線BL回りに曲げられたロードビーム曲げ部を有している。
前記ロードビーム曲げ部は、望まれる性能又は仕様に応じて、先端側を前記ディスク面から離間させる方向への曲げ又は先端側を前記ディスク面に近接させる方向への曲げとされる。
【0037】
前記板バネ21Aは、板面が前記ディスク面に対向する状態で基端部が前記支持部10の先端側に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部30の基端部に連結されている。
前記板バネは曲げ部を有しており、前記磁気ヘッドサスペンション1Aがハードディスク装置に組み込まれる前のフリー状態においては前記曲げ部の保有弾性がゼロの通常姿勢をとっている。
【0038】
一方、前記磁気ヘッドサスペンションが前記ハードディスク装置に組み込まれた際には、前記磁気ヘッドスライダが前記ハードディスク装置における前記ディスク面上に位置するように前記曲げ部が曲げ戻し方向へ弾性変形される。
【0039】
さらに、前記ハードディスク装置が作動状態となって前記ディスク面が回転されると、前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面の回転に伴う空気圧を受けて前記ディスク面から離間する方向へ浮上し、この磁気ヘッドスライダの浮上動作に応じて前記曲げ部がさらに弾性変形する。
【0040】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンションを前記ハードディスク装置へ組み込む際の前記板バネの弾性変形及び前記ディスク面の回転に伴う前記磁気ヘッドスライダの浮上動作による前記板バネの弾性変形によって前記板バネは保有弾性を有する状態となり、この保有弾性が前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面に押し付ける押し付け荷重として作用する。
【0041】
本実施の形態においては、図1及び図3に示すように、前記板バネ21Aは、前記曲げ部として、基端側曲げ線回りBL1に曲げられた基端側曲げ部と前記基端側曲げ線BL1より先端側に位置する先端側曲げ線BL2回りに曲げられた先端側曲げ部とを有している。
前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部は共に、例えば、先端側が前記ディスク面に近接する方向への曲げとされる。
【0042】
このように前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部を有する前記板バネ21Aにおいては、前記磁気ヘッドサスペンションを前記ハードディスク装置へ組み込む際及び前記ディスク面の回転に伴って前記磁気ヘッドスライダが浮上動作する際に、前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部の双方が曲げ戻し方向に弾性変形されて保有弾性を有する状態となり、前記基端側曲げ部が発生する荷重と前記先端側曲げ線が発生する荷重との合力によって前記押し付け荷重が画されることになる。
従って、前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部の何れか一方の曲げ角度を調整することによって、前記押し付け荷重を所望値に設定することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態におけるように、前記ロードビーム部30が前記ロードビーム曲げ線BLでの前記ロードビーム曲げ部を有し、前記板バネ21Aが前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2での前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部を有する場合には、これらの曲げ線の位置及び前記曲げ部の曲げ角度を調整することによって、前記磁気ヘッドサスペンション1Aが捩れモードで振動した際における前記磁気ヘッドスライダ50の目的トラックから位置ズレ量(ゲイン)の低減を図ることができる。
【0044】
即ち、前記アクチュエータの駆動信号を上昇させていくと、ある周波数(第1共振周波数)に達した時点で、前記磁気ヘッドサスペンション1Aに捩れ1次モードの共振が生じる。
【0045】
この捩れ1次モードの共振とは、前記支持部10の先端エッジの位置及び前記ロードビーム部30の前記ディンプル33の位置が前記ディスク面に直交するz方向に関し変位ゼロ(即ち、節)とされた状態で前記2つの節の間のサスペンション長手方向略中央部分がz方向変位最大(即ち、腹)となるように主として前記ロードビーム部30のみがサスペンション長手方向中心線CLに沿った捩れ1次モード中心線回りに捩れる振動形態である。
【0046】
そして、前記駆動信号の周波数を前記第1共振周波数からさらに高めていくと、ある周波数(第2共振周波数)に達した時点で、前記磁気ヘッドサスペンション1Aには捩れ2次モードの共振が生じる。
【0047】
前記捩れ2次モードの共振とは、前記支持部10のうちz方向に関し強固に固定される位置(前記支持部10がベースプレートの場合には、前記アクチュエータに連結されたキャリッジアームにかしめを介して固定される前記ボス部15の位置、以下、支持部固定位置という)と前記ディンプル33の位置と前記支持部固定位置及び前記ディンプル位置の間のサスペンション長手方向略中央に位置するロードビーム部30の中途位置との3箇所が節とされた状態で、前記支持部固定位置及び前記ロードビーム部30の中途位置の間のサスペンション長手方向略中央部分と前記ロードビーム部30の中途位置及び前記ディンプル33の位置の間のサスペンション長手方向略中央部分との2箇所が腹となるように、前記支持部固定位置及び前記中途位置の間の第1部分がサスペンション長手方向中心線CLに沿った捩れ2次モード中心線回り一方側の第1方向にねじれ、前記中途位置及び前記ディンプル33の間の第2部分が前記捩れ中心線回り他方側の第2方向にねじれる振動形態である。
【0048】
そして、前記駆動信号の周波数を前記第2共振周波数からさらに高めていくと、ある周波数(第3共振周波数)に達した時点で、前記磁気ヘッドサスペンション1Aには捩れ3次モードの共振が生じる。
【0049】
前記捩れ3次モードの共振とは、前記支持部固定位置と前記荷重曲げ部20の位置と前記ディンプル33の位置と前記荷重曲げ部20の位置及び前記ディンプル位置の間のサスペンション長手方向略中央に位置するロードビーム部30の中途位置との4箇所が節とされた状態で、前記支持部固定位置及び前記荷重曲げ部20の位置の間に位置する第1部分がサスペンション長手方向中心線CLに沿った捩れ3次モード中心線回り一方側の第1方向にねじれ、前記荷重曲げ部20の位置及び前記ロードビーム部30の中途位置の間に位置する第2部分が前記捩れ3次モード中心線回り他方側の第2方向にねじれ、前記ロードビーム部30の中途位置及び前記ディンプル位置の間の第3部分が前記捩れ3次モード中心線回りに前記第1方向に捩れる形態の振動形態である。
【0050】
ここで、前記捩れ1次モード中心線、前記捩れ2次モード中心線及び前記捩れ3次モード中心線を前記ディンプルの頂点に可及的に近接させれば、前記磁気ヘッドサスペンション1Aに捩れ1次モード〜捩れ3次モードの振動が生じても、この振動に起因する前記磁気ヘッドスライダのゲインを低減させることができる。
【0051】
そして、前記捩れ1次モード中心線、前記捩れ2次モード中心線及び前記捩れ3次モード中心線は、前記曲げ線の位置BL、BL1、BL2及び前記曲げ部の曲げ角度を調整することによって変位させることができる。
【0052】
なお、前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部の何れか一方の曲げ角度の調整は前記押し付け荷重の設定に利用される。
従って、前記ロードビーム部曲げ線BLの位置、前記ロードビーム曲げ部の曲げ角度、前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2の位置、並びに、前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部の他方の曲げ角度が、前記捩れ1次モード中心線、前記捩れ2次モード捩れ中心線及び前記捩れ3次モード中心線の位を設定する為のパラメータとして利用される。
【0053】
即ち、前記3つの中心線の全てが前記ディンプルの頂点に近接するように前記のパラメータを設定すれば、前記磁気ヘッドサスペンション1Aに捩れ1次〜3次モードの振動が生じたとしても前記磁気ヘッドスライダ50が目的トラックから変位することを可及的に防止することができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、図1及び図3に示すように、前記板バネ21Aは、サスペンション幅方向中央に間隙を存しつつ前記幅方向両側に配設された一対の第1及び第2板バネ部21A(1)、21A(2)であって、平面視においてサスペンション長手方向中心線CLを基準にして互いに対して対称とされた一対の第1及び第2板バネ部21A(1)、21A(2)を有している。
【0055】
この場合には、前記基端側曲げ線BL1は、前記第1板バネ部21A(1)に設けられた第1基端側曲げ線BL1(1)と前記第2板バネ部21A(2)に設けられた第2基端側曲げ線BL1(2)とを含み、前記第1及び第2基端側曲げ線BL1(1)、BL1(2)は、平面視において前記中心線CLを基準にして互いに対して対称とされている。
【0056】
同様に、前記先端側曲げ線BL2は、前記第1板バネ部21A(1)に設けられた第1先端側曲げ線BL2(1)と前記第2板バネ部21A(2)に設けられた第2先端側曲げ線BL2(2)とを含み、前記第1及び第2先端側曲げ線BL2(1)、BL2(2)は、平面視において前記中心線CLを基準にして互いに対して対称とされている。
【0057】
前記板バネ21Aは、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって形成される。
なお、本実施の形態においては、前記板バネ21Aは前記ロードビーム部30を形成するロードビーム形成部材300に一体形成されている。
【0058】
詳しくは、本実施の形態においては、図1及び図3に示すように、前記ロードビーム部形成部材300は、前記ロードビーム部30を形成するロードビーム形成領域301と、前記ロードビーム形成領域301から基端側へ延びる板バネ形成領域305とを一体的に有しており、前記板バネ形成領域305はサスペンション幅方向中央に間隙が設けられることで前記一対の第1及び第2板バネ部21A(1)、21A(2)を形成している。
【0059】
前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に溶接等によって固着される。
【0060】
詳しくは、前記フレクシャ部40はフレクシャ基板410を有している。
前記フレクシャ基板410は、図3に示すように、前記支持部10に溶接等によって固着される支持部固着領域411と、前記ロードビーム部30に溶接等によって固着されるロードビーム部固着領域412と、前記支持部固着領域411及び前記ロードビーム部固着領域412の間に延びて、サスペンション長手方向に関し前記荷重曲げ部20を通過する荷重曲げ部対応領域418と、前記ロードビーム部固着領域412の先端部におけるサスペンション幅方向両側からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対の支持片413と、前記一対の支持片413によって支持された前記ヘッド搭載領域415とを有している。
【0061】
前記ヘッド搭載領域415は、図4に示すように、前記ディスク面と対向する下面において前記磁気ヘッドスライダ50を支持している。
前述の通り、前記ヘッド搭載領域415の上面には前記突起33が接触しており、従って、前記ヘッド搭載領域415は前記突起33を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
【0062】
前記フレクシャ基板410は、前記ヘッド搭載領域415がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム部30よりも低剛性とされる。
前記フレクシャ基板410は、例えば、厚さ0.01mm〜0.025mm程度のステンレス等の金属材料によって好適に形成される。
【0063】
好ましくは、前記フレクシャ部40には、図3に示すように、前記磁気ヘッドスライダ50を外部部材に電気的に接続する為の配線構造体420が一体的に備えられる。
【0064】
詳しくは、前記配線構造体420は、前記フレクシャ基板410における前記ディスク面と対向する下面に積層される絶縁層と前記絶縁層における前記ディスク面と対向する面に積層される信号配線とを含み得る。
好ましくは、前記配線構造体は、前記信号配線を囲繞する絶縁性のカバー層を有し得る。
【0065】
図1に示すように、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、さらに、前記ロードビーム部30の前記本体部31における前記ディスク面とは反対側の上面に固着された制振材60を有している。
【0066】
前記制振材60は、前記本体部31のディスク面とは反対側の上面に固着される粘弾性材からなる第1層と前記第1層のディスク面とは反対側の上面に固着される第2層とを有し得る。
【0067】
前記第1層としては、例えば、アクリルポリマーやシリコンが好適に使用される。
前記第2層としては、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属材料、若しくは、ポリエチレン・テレフタレート等の樹脂材料が好適に使用される。
【0068】
前述の通り、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、前記ロードビーム部曲げ線BLの位置、前記ロードビーム曲げ部の曲げ角度、前記基端側曲げ線BL1の位置、前記先端側曲げ線BL2の位置並びに前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部の何れか一方の曲げ角度をパラメータとして調整することによって、捩れ1次モード〜捩れ3次モードの振動時における前記磁気ヘッドスライダ50のゲインの低減を図り得るようになっているが、これらの調整によってSWAYモードの振動時における前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを低減させることはできない。
【0069】
従って、SWAYモードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダ50の目的トラックからの位置ズレを可及的に防止する為には、前記磁気ヘッドサスペンション1AにSWAYモードの振動自体が生じ難くする必要がある。
【0070】
この点に関し、本願発明者は、前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2の位置とSWAYモードの共振周波数とに何らかの関係が存在するのではないかという仮説を立て、有限要素法を用いて下記解析を行った。
【0071】
本解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの基本寸法は下記の通りである。
前記ロードビーム部30を0.025mmのSUSとし、前記フランジ部32の高さH(図2参照)及び角度θ(図2参照)を0.275mm及び70degとした。
前記支持部10における前記ボス部15の中心から前記ディンプル33までのサスペンション長手方向距離D1(図1参照)を11mm、前記支持部10の先端エッジから前記ディンプル33までのサスペンション長手方向距離D2(図1参照)を6.2mmとし、且つ、前記板バネ21Aのサスペンション長手方向距離L(図1参照)を0.664mm(=0.11×D2)とした。
【0072】
斯かる基本寸法の磁気ヘッドサスペンションにおいて、前記支持部10の先端エッジから前記基端側曲げ線BL1までのサスペンション長手方向距離L1(図1参照)及び前記支持部10の先端エッジから前記先端側曲げ線BL2までのサスペンションの長手方向距離L2(図1参照)と捩れモード及びSWAYモードの共振周波数との関係を有限要素法を用いて解析した。
【0073】
まず、前記基端側曲げ線BL1の位置に関して行った第1の解析について説明する。
第1の解析として、L2を0.60×L(=0.40mm)で一定に固定した状態で、L1を、それぞれ、0(ゼロ)、0.15×L(=0.1mm)、0.30×L(=0.2mm)、0.45×L(=0.3mm)、0.60×L(=0.4mm)とした複数の磁気ヘッドサスペンション1a〜1eを用意した。
なお、前記基端側曲げ線BL1での前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線BL2での前記先端側曲げ部は共に、先端側が前記ディスク面に近接する方向への曲げとした。
【0074】
L1=0(前記磁気ヘッドサスペンション1a)は、前記基端側曲げ線BL1が前記支持部10の先端エッジと同一位置に位置されていることを意味し、L1がL2と同じ0.60×Lであること(前記磁気ヘッドサスペンション1e)は、前記基端側曲げ線BL1が前記先端側曲げ線BL2と同一位置に位置されていること、即ち、前記支持部10の先端エッジから0.60×Lだけ離間された位置に1本の曲げ線だけが設けられていることを意味する。
【0075】
前記複数の磁気ヘッドサスペンション1a〜1eにおいては、前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2を5degに固定し且つ前記磁気ヘッドスライダ50の下面(ディスク対向面)と前記支持部固定位置の上面との間のディスク面に直交するz方向の距離(ハードディスク組み付け高さであり、以下、「設定高さ」という)ZH(図2参照)を0.57mmとした状態で、前記先端側曲げ部によって発生される荷重及び前記基端側曲げ部によって発生される荷重の合力によって画される前記押し付け荷重が2.5gfとなるように前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1を調整した。
【0076】
前記磁気ヘッドサスペンション1a〜1eのそれぞれにおいて、捩れ1次モード、捩れ2次モード及びSWAYモードの共振周波数を有限要素法に基づいて求めた。
その結果を図5及び図6に示す。
【0077】
図5から、前記基端側曲げ線BL1の位置を変化させても、捩れ1次モード及び捩れ2次モードの共振周波数に大きな変化が生じないことが確認される。
【0078】
一方、Swayモードの共振周波数は、図6に示されるように、前記基端側曲げ線BL1が前記先端側曲げ線BL2と同一位置に位置されている構成(即ち、前記板バネ21Aに単一の曲げ線のみが設けられている構成(前記磁気ヘッドサスペンション1e))の共振周波数を基準周波数とすると、前記基端側曲げ線BL1をサスペンション長手方向基端側へ移動させるに従って前記基準周波数から減少し、L1=0.45×L近傍で最小値となる。
【0079】
SWAYモードの共振周波数が最小値となる位置から前記基端側曲げ線BL1をサスペンション長手方向基端側へ移動させるに従って、SWAYモードの共振周波数は上昇してL1=0.3×L近傍で前記基準周波数と略一致し、L1=0.15×L近傍で最高値に達する。
【0080】
このことから、前記基端側曲げ線BL1をL1≦0.3×L、より好ましくは、L1≦0.15×Lとすることにより、捩れ1次モード及び捩れ2次モードの共振周波数を低下させることなく、SWAYモードの共振周波数を高め得ることが理解される。
【0081】
次に、前記先端側曲げ線BL2の位置に関して行った第2の解析について説明する。
第2の解析として、L1を0.15×L(=0.10mm)で一定に固定した状態で、L2を、それぞれ、0.15×L(=0.1mm)、0.45×L(=0.3mm)、0.60×L(=0.4mm)、0.75×L(=0.5mm)、0.85×L(=0.56mm)及び0.96×L(=0.64mm)とした複数の磁気ヘッドサスペンション1f〜1kを用意した。
なお、前記基端側曲げ線BL1での前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線BL2での前記先端側曲げ部は共に、先端側が前記ディスク面に近接する方向への曲げとした。
【0082】
L2がL1と同じ0.15×Lであること(前記磁気ヘッドサスペンション1f)は、前記先端側曲げ線BL2が前記基端側曲げ線BL1と同一位置に位置されていること、即ち、前記支持部10の先端エッジから0.15×Lだけ離間された位置に1本の曲げ線だけが設けられていることを意味する。
【0083】
前記複数の磁気ヘッドサスペンション1f〜1kにおいては、前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2を5degに固定し且つ前記磁気ヘッドスライダ50の設定高さZH(図2参照)を0.57mmとした状態で、前記先端側曲げ部によって発生される荷重及び前記基端側曲げ部によって発生される荷重の合力によって画される前記押し付け荷重が2.5gfとなるように前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1を調整した。
【0084】
前記磁気ヘッドサスペンション1a〜1eのそれぞれにおいて、捩れ1次モード、捩れ2次モード及びSWAYモードの共振周波数を有限要素法に基づいて求めた。
その結果を図7及び図8に示す。
【0085】
図7から、捩れ1次モードの共振周波数は前記先端側曲げ線BL2の位置に拘わらず略一定であるのに対し、捩れ2次モードの共振周波数は、前記先端側曲げ線BL2が前記基端側曲げ線BL1と同一位置に位置されている構成(即ち、前記板バネ21Aに単一の曲げ線のみが設けられている構成(前記磁気ヘッドサスペンション1f))の共振周波数を基準周波数とすると、前記先端側曲げ線BL2をサスペンション長手方向先端側へ移動させるに従って前記基準周波数から上昇してL2=0.6×L近傍で最高値となることが理解される。
【0086】
又、図8から、L2≧0.6×Lとすれば、SWAYモードの共振周波数を上昇させ得ることが理解される。
【0087】
以上の点から、前記ロードビーム部30が前記ロードビーム部曲げ線BLで曲げられ、前記荷重曲げ部20を形成する前記板バネ21Aが前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2で曲げられている磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前記曲げ線BL、BL1、BL2の位置及び前記曲げ線BL、BL1、BL2での曲げ部の曲げ角度を調整することによって捩れモードの振動における磁気ヘッドスライダ50のゲインを有効に低減させることができ、さらに、前記板バネ21Aのサスペンション長手方向長さをL、前記支持部10の先端エッジから前記基端側曲げ線BL1までのサスペンション長手方向距離をL1及び前記支持部10の先端エッジから前記先端側曲げ線BL2までのサスペンション長手方向距離をL2とした場合に、L1≦0.3×L(より好ましくはL1≦0.15×L)で且つL2≧0.6×Lとすれば、捩れモードの共振周波数の低下を防止しつつSWAYモードの共振周波数を上昇させることが理解される。
【0088】
さらに、本願発明者は、前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1及び前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2の相対比とSWAYモードの共振周波数とに何らかの関係が存在するのではないかという仮説を立て、有限要素法を用いて下記第3の解析を行った。
【0089】
この第3の解析においては、前記基本寸法を有し、且つ、L1=0.15×L(=0.1mm)、L2=0.85×L(=0.56mm)とされた複数の磁気ヘッドサスペンション1m〜1qであって、前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2がそれぞれ1.0deg、3.0deg、5.0deg、7.0deg、9.0degとされた複数の磁気ヘッドサスペンション1m〜1qを用意した。
【0090】
前記複数の磁気ヘッドサスペンション1m〜1qにおいて、設定高さZH(図2参照)が0.57mmで、且つ、前記先端側曲げ部によって発生される荷重及び前記基端側曲げ部によって発生される荷重の合力によって画される前記押し付け荷重が2.5gfとなるように前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1を調整した。
なお、前記基端側曲げ線BL1での前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線BL2での前記先端側曲げ部は共に、先端側が前記ディスク面に近接する方向への曲げとした。
【0091】
前記複数の磁気ヘッドサスペンション1m〜1qにおいて、前記曲げ角度θ1は、それぞれ、7.9deg、6.1deg、4.3deg、2.4deg、0.6degであり、θ2/θ1は、それぞれ、0.13、0.49、1.18、2.88、14.7であった。
【0092】
この磁気ヘッドサスペンション1m〜1qのそれぞれにおいて、SWAYモードの共振周波数を有限要素法に基づいて求めた。
その結果を図9に示す。
【0093】
図9から、前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2を前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1より大きくすれば、SWAYモードの共振周波数を有効に上昇させ得ることが理解される。
【0094】
前記板バネ21Aに前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ部の2ヶ所の曲げ部が設けられている本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、例えば、前記板バネ21Aのうち前記先端側曲げ線BL2に相当する位置BL2’よりも基端側の領域を狭圧することで先端側基準領域25とした状態で前記位置BL2’より先端側の領域を前記先端側基準領域25に対して所定角度で折り曲げて前記先端側曲げ部を形成する先端側曲げ工程(図10(a)参照)と、前記先端側曲げ部が形成された板バネ21Aのうち前記基端側曲げ線BL1に相当する位置BL1’よりも基端側の領域を狭圧することで基端側基準領域27とした状態で前記位置BL1’より先端側で且つ前記先端側曲げ線BL2より基端側の領域を前記基端側基準領域27に対して所定角度で折り曲げて前記基端側曲げ部を形成する基端側曲げ工程(図10(c)参照)とを含む方法によって好適に形成される。
【0095】
このように、前記先端側曲げ部を先に形成し、その後に、前記基端側曲げ部を形成することによって、前記先端側基準領域25を水平とさせた状態で前記先端側曲げ部を形成でき、且つ、前記基端側基準領域27を水平とさせた状態で前記基端側曲げ部を形成できる。
従って、前記先端側曲げ部及び前記基端側曲げ部の曲げ角度の精度を向上させることができる。
【0096】
なお、図10に示すように、前記先端側曲げ部を先に形成し、その後に、前記基端側曲げ部を形成する場合には、前記先端側曲げ部が発生する荷重及び前記基端側曲げ部が発生する荷重の合力によって画される前記押し付け荷重の調整は、前記基端側曲げ部の曲げ角度によって行われる。
【0097】
図10に示す方法においては、前記先端側曲げ工程は前記板バネ21Aを挟んで互いに対向配置される先端側金型210及び先端側パンチ220を用いて行われている。
【0098】
前記先端側金型210は、前記先端側基準領域25に対応した先端側水平面211と、前記水平面211より先端側に位置し且つ前記水平面に対して所定角度で傾斜された先端側傾斜面212とを一体的に有している。
【0099】
前記先端側パンチ220は、前記先端側水平面211と共働して前記先端側基準領域25を狭持する先端側水平押圧面221を有する先端側第1パンチ220(1)と、前記先端側傾斜面212と共働して前記板バネ21Aのうち前記先端側曲げ線BL2より先端側に位置する部分を狭持する先端側傾斜押圧面222を有する先端側第2パンチ220(2)とを含んでいる。
当然ながら、前記先端側水平面211を有する部材と前記先端側傾斜面212を有する部材とを別体とすることも可能である。
【0100】
又、図10に示す方法においては、前記基端側曲げ工程は前記板バネ21Aを挟んで互いに対向配置される基端側金型230及び基端側パンチ240を用いて行われている。
【0101】
前記基端側金型230は、前記基端側基準領域27に対応した基端側水平面231と、前記水平面231より先端側に位置し且つ前記水平面231に対して所定角度で傾斜された基端側傾斜面232とを一体的に有している。
【0102】
前記基端側パンチ240は、前記基端側水平面231と共働して前記基端側基準領域27を狭持する基端側水平押圧面241を有する基端側第1パンチ240(1)と、前記基端側傾斜面232と共働して前記板バネ21Aのうち前記基端側曲げ線BL1より先端側で且つ前記先端側曲げ線BL2より基端側に位置する部分を狭持する基端側傾斜押圧面242を有する基端側第2パンチ240(2)とを含んでいる。
当然ながら、前記基端側水平面231を有する部材と前記基端側傾斜面232を有する部材とを別体とすることも可能である。
【0103】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図11に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bの上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)を示す。
なお、図中、前記実施の形態1における同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0104】
本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bは、平面視における前記先端側曲げ線BL2の向きが変更されている点においてのみ、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aと相違している。
【0105】
詳しくは、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bは、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aに比して、前記板バネ21Aの代わりに板バネ21Bを有している。
【0106】
前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aの前記板バネ21Aにおいては、図1及び図3に示すように、前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2の双方共にサスペンション幅方向に沿っている。
【0107】
これに対し、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bの前記板バネ21Bにおいては、図11に示すように、前記基端側曲げ線BL1はサスペンション幅方向に沿っているものの、前記先端側曲げ線BL2はサスペンション幅方向に対して傾斜されている。
【0108】
詳しくは、前記板バネ21Bは、前記実施の形態1におけると同様に、サスペンション幅方向中央に間隙を存しつつ前記幅方向両側に配設され且つ平面視においてサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称とされた一対の第1及び第2板バネ部21(1)、21B(2)を有している。
【0109】
前記基端側曲げ線BL1は、前述の通り、サスペンション幅方向に沿っている。
前記板バネ21Bが前記一対の第1及び第2板バネ部21(1)、21B(2)を有している本実施の形態においては、前記基端側曲げ線BL1は、サスペンション幅方向に沿った状態で前記第1板バネ部21B(1)に設けられた第1基端側曲げ線BL1(1)と、平面視において前記中心線CLを基準にして前記第1基端側曲げ線BL(1)と対称となるように前記第2板バネ部21B(2)に設けられた第2基端側曲げ線BL1(2)とを含んでいる。
【0110】
一方、前記先端側曲げ線BL2は、図11に示すように、サスペンション幅方向に対して傾斜された状態で前記第1板バネ部21B(1)に設けられた第1先端側曲げ線BL2(1)と、平面視において前記中心線CLを基準にして前記第1先端側曲げ線BL2(1)と対称となるように前記第2板バネ部21B(2)に設けられた第2先端側曲げ線BL2(2)とを含んでいる。
【0111】
サスペンション幅方向に対して傾斜され且つ互いに対して前記中心線CLを基準にして対称に配置された前記第1及び第2先端側曲げ線BL2(1)、BL2(2)回りに曲げることにより、前記ロードビーム部30の本体部31の基端側が前記ディスク面に直交するz方向に凸状となる。
【0112】
従って、前記実施の形態1における効果を得つつ、前記ロードビーム部30の本体部31のシーク方向の剛性及びサスペンション長手方向中心線CLに沿った捩れ中心線回りの剛性を上昇させて、SWAYモード及び捩れモードの共振周波数の上昇を図ることができる。
【0113】
なお、本実施の形態においては、図11に示すように、前記第1及び第2先端側曲げ線BL2(1)、BL(2)は、サスペンション幅方向内方から外方へ行くに従ってサスペンション長手方向先端側に位置するように傾斜されている。
【0114】
又、前記押し付け荷重は、前記基端側曲げ線BL1での前記基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線BL2での前記先端側曲げ部によって発生される荷重の合力によって画される。
前記基端側曲げ線BL1(前記第1及び第2基端側曲げ線BL1(1)、BL1(2))はサスペンション幅方向に沿っており、前記基端側曲げ線BL1での前記基端側曲げ部の曲げ角度は比較的容易に調整できる。
【0115】
従って、前記押し付け荷重の所定値への調整は、サスペンション幅方向に沿っている前記基端側曲げ線BL1(前記第1及び第2基端側曲げ線BL1(1)、BL1(2))での前記基端側曲げ部の曲げ角度の調整によって正確に行うことができる。
【0116】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cの上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2における同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cは、前記板バネ21A、21Bが板バネ21Cに変更されている点において、前記実施の形態1及び2に係る磁気ヘッドサスペンション1A、1Bと相違している。
【0118】
前述の通り、前記実施の形態1及び2に係る磁気ヘッドサスペンション1A、1Bにおいては、前記板バネ21A(21B)は前記一対の第1及び第2板バネ部21A(1)、21A(2)(21B(1)、21B(2))を有している。
【0119】
これに対し、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cにおいては、図12に示すように、前記板バネ21Cは、前記支持部10の先端エッジから前記ロードビーム部30の本体部31の基端部のサスペンション幅方向略全域に亘って延びる単一の板状部材によって形成されている。
【0120】
そして、図12に示すように、単一の板状部材によって形成される前記板バネ21Cには、前記フレクシャ基板の前記荷重曲げ部対応領域418(図3参照)と重合し且つ前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2がそれぞれ位置する領域に開口28が設けられている。
【0121】
斯かる構成の磁気ヘッドサスペンション1Cによれば、前記実施の形態1における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0122】
即ち、単一の板状部材によって形成される前記板バネ21Cは、サスペンション幅方向中央に間隙を存しつつ前記幅方向両側に配設された前記一対の第1及び第2板バネ部21A(1)、21A(2)(21B(1)、21B(2))を有する前記板バネ21A(21B))に比して、シーク方向及び捩れ方向に関する剛性を高めることができる。従って、前記実施の形態1及び2に係る磁気ヘッドサスペンション1A、1Bに比して、SWAYモード及び捩れモードの共振周波数を上昇させることができる。
【0123】
さらに、前記開口28によって、前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2での曲げ加工の容易化を図ることができると共に、前記基端側曲げ線BL1及び前記先端側曲げ線BL2での曲げによる前記フレクシャ基板410へのストレスを有効に低減させることができる。
【符号の説明】
【0124】
1A〜1C 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
20 荷重曲げ部
21A〜21C 板バネ
21A(1)、21B(1) 第1板バネ部
21A(2)、21B(2) 第2板バネ部
25 先端側基準領域
27 基端側基準領域
30 ロードビーム部
31 本体部
32 フランジ部
40 フレクシャ部
50 磁気ヘッドスライダ
410 フレクシャ基板
411 支持部固着領域
412 ロードビーム部固着領域
418 荷重曲げ部対応領域
BL ロードビーム部曲げ線
BL1 基端側曲げ線
BL1(1) 第1基端側曲げ線
BL1(2) 第2基端側曲げ線
BL2 先端側曲げ線
BL2(1) 第1先端側曲げ線
BL2(2) 第2先端側曲げ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを含む荷重曲げ部と、前記板バネを介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記磁気ヘッドスライダを支持した状態で前記ロードビーム部及び前記支持部に固着されたフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記ロードビーム部は、サスペンション幅方向に沿ったロードビーム部曲げ線で曲げられており、
前記板バネは、基端側曲げ線及び前記基端側曲げ線より先端側に位置する先端側曲げ線で曲げられ、前記両曲げ線での曲げ部によって発生される荷重の合力によって前記押し付け荷重が画され、
前記支持部の先端エッジから前記ロードビーム部の基端部までの前記板バネのサスペンション長手方向距離をL、前記支持部の先端エッジから前記基端側曲げ線までのサスペンション長手方向距離をL1、前記支持部の先端エッジから前記先端側曲げ線までのサスペンションの長手方向距離をL2とした場合に、L1≦0.3×L且つ0.6×L≦L2を満たすことを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
L1≦0.15×Lとされていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記基端側曲げ線での基端側曲げ部及び前記先端側曲げ線での先端側曲げ部は共に前記磁気ヘッドサスペンションの先端側が前記ディスク面に近接するように前記ディスク面とは反対側に凸状を形成しており、
前記先端側曲げ部の曲げ角度θ2が前記基端側曲げ部の曲げ角度θ1より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記板バネは、サスペンション幅方向中央に間隙を存しつつ前記幅方向両側に配設され且つ平面視においてサスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称とされた一対の第1及び第2板バネ部を有し、
前記基端側曲げ線は、サスペンション幅方向に沿った状態で前記第1板バネ部に設けられた第1基端側曲げ線と、平面視において前記中心線を基準にして前記第1基端側曲げ線と対称となるように前記第2板バネ部に設けられた第2基端側曲げ線とを含み、
前記先端側曲げ線は、サスペンション幅方向に対して傾斜された状態で前記第1板バネ部に設けられた第1先端側曲げ線と、平面視において前記中心線を基準にして前記第1先端側曲げ線と対称となるように前記第2板バネ部に設けられた第2先端側曲げ線とを含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
前記第1及び第2先端側曲げ線は、サスペンション幅方向内方から外方へ行くに従ってサスペンション長手方向先端側に位置するように傾斜されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記板バネは、前記支持部の先端エッジから前記ロードビーム部の基端部のサスペンション幅方向略全域に亘って延びる単一の板状部材によって形成されており、
前記フレクシャ部は、前記ロードビーム部及び前記支持部のディスク対向面に接合された状態で固着されるフレクシャ基板を有し、
前記フレクシャ基板は、前記支持部のディスク対向面に固着される支持部固着領域と、前記ロードビーム部のディスク対向面に固着されるロードビーム部固着領域と、前記板バネに重合された状態で前記支持部固着領域及び前記ロードビーム部固着領域の間に延びる荷重曲げ部対応領域とを含み、
前記板バネには、前記荷重曲げ部対応領域と重合し且つ前記基端側曲げ線及び前記先端側曲げ線が位置する領域に開口が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項7】
前記ロードビーム部は、前記ディスク面と対向する平板状の本体部と、前記本体部のサスペンション幅方向両端部から前記ディスク面とは反対側へ延びる一対のフランジ部とを有し、
前記本体部のサスペンション幅方向両端部は、基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように略直線状に傾斜されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンションを製造する方法であって、
前記板バネのうち前記先端側曲げ線に相当する位置よりも基端側の領域を狭圧することで先端側基準領域とした状態で前記先端側曲げ線より先端側を前記先端側基準領域に対して所定角度で折り曲げて前記先端側曲げ線での先端側曲げ部を形成する先端側曲げ工程と、前記先端側曲げ部が形成された板バネのうち前記基端側曲げ線に相当する位置よりも基端側の領域を狭圧することで基端側基準領域とした状態で前記基端側曲げ線より先端側で且つ前記先端側曲げ線より基端側の領域を前記基端側基準領域に対して所定角度で折り曲げて前記基端側曲げ線での基端側曲げ部を形成する基端側曲げ工程とを含むことを特徴とする磁気ヘッドサスペンションの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−69395(P2013−69395A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209141(P2011−209141)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】