磁気共鳴イメージング装置
【課題】撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができるようにする。
【解決手段】実施例に係る磁気共鳴イメージング装置は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、撮像条件生成手段と、チャート表示制御手段とを備える。撮像条件生成手段は、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する。チャート表示制御手段は、前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、撮像シーケンスのプリパルスを含むイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させる。
【解決手段】実施例に係る磁気共鳴イメージング装置は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、撮像条件生成手段と、チャート表示制御手段とを備える。撮像条件生成手段は、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する。チャート表示制御手段は、前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、撮像シーケンスのプリパルスを含むイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置は、人体などの被検体の任意の断面をさまざまな組織間コントラストで画像化する装置である。かかる磁気共鳴イメージング装置では、高周波パルスや傾斜磁場パルスを印加するタイミングや、データ収集のタイミングなどを示すイベント(事象)を時系列に定義した、いわゆるパルスシーケンス(パルス系列)と呼ばれる手続きを実行することによって撮像が行われる。
【0003】
磁気共鳴イメージング装置の操作者は、撮像に先立って各種の撮像パラメータを適切に設定し、その検査に要求されるコントラスト、SN比、空間分解能さらには流速や拡散などの情報を得る。ここでいう撮像パラメータとしては、例えば、繰り返し時間(TR:Repetition Time)やエコー時間(TE:Echo Time)、マトリクス数、撮像領域(FOV:Field Of View)、スライス枚数、スライス厚などがある。
【0004】
図11は、従来の磁気共鳴イメージング装置における撮像パラメータを編集するためのユーザインタフェースの一例を示す図である。同図は、各種撮像パラメータを編集項目とした撮像条件編集画面を示している。操作者は、例えば、同図に示す撮像条件編集画面上で数値を入力したり、スライダやボタンなどのユーザインタフェースを操作したりすることによって、必要な撮像パラメータの値を設定する。
【0005】
また、操作者は、上記で例示した撮像パラメータのほかにも、撮像法(スピンエコー法やEPI(Echo Planar Imaging)法などのパルスシーケンス種)や脂肪抑制パルス、反転パルスなどのプリパルスの種類、数、順序、スライス励起順など、目的に応じて撮像条件編集を行う。これらプリパルスや撮像パルスの空間的配置を確認するための技術として、位置決め画像上にスライス領域を表示する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。この技術で用いられる位置決め画像は「グラフィックロケータ」などと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−290171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術では、操作者は、プリパルスや撮像パルスの空間的配置を確認することはできるが、プリパルスや撮像パルスの時間的順序については確認することができない。すなわち、従来の技術では、操作者は、撮像条件を変更した際に、目的の撮像位置がどのタイミングで収集されるか、どのようなプリパルスがどのような順序、頻度で印加されるかなど、得られる画像に影響を与える情報を得ることができない。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、撮像シーケンスのプリパルスを含むイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させるチャート表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、前記データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させ、さらに、前記イベントに係るスライス領域またはパルス印加領域の位置を示す位置決め画像を表示させ、当該位置決め画像におけるスライス領域またはパルス印加領域の表示と前記タイムチャートにおけるイベントの表示とをイベントごとに連動させて制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例1に係るMRI装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施例1に係る計算機システムの詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】撮像条件編集/撮像位置決め部によるタイムチャートの表示を説明するための図である。
【図4】プリサットボタンが押された場合のタイムチャートの表示を説明するための図である。
【図5】インターリーブボタンが押された場合のタイムチャートの表示を説明するための図である。
【図6】本実施例1に係るMRI装置によるタイムチャート表示の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】心電同期を併用した冠状動脈撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。
【図8】セグメント分割型フィールドエコー法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。
【図9】Time−SLIP法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。
【図10】収集データのk空間における位置を表示する場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図11】従来の磁気共鳴イメージング装置における撮像パラメータを編集するためのユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁気共鳴イメージング装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、磁気共鳴イメージング装置を「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」と呼ぶ。
【実施例1】
【0014】
最初に、図1を用いて、本実施例1に係るMRI装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例1に係るMRI装置の全体構成を示す図である。同図に示すように、本実施例1に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、計算機システム10を備える。
【0015】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0016】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0017】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応している。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0018】
傾斜磁場電源3は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル2に電流を供給する装置である。
【0019】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備えた装置であり、後述する寝台制御部5による制御のもと、天板4aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
【0020】
寝台制御部5は、寝台4を制御する装置であり、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向および上下方向へ移動する。
【0021】
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、送信部7から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0022】
送信部7は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する装置であり、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、高周波電力増幅部などを有する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。これらの各部の動作の結果として、送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する。
【0023】
受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、上記の高周波磁場の影響によって被検体から放射される磁気共鳴信号を受信する。この受信RFコイル8は、磁気共鳴信号を受信すると、その磁気共鳴信号を受信部9へ出力する。
【0024】
受信部9は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴信号データを生成する装置である。この受信部9は、磁気共鳴信号データを生成すると、その磁気共鳴信号データを計算機システム10に送信する。
【0025】
計算機システム10は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う装置であり、インタフェース部11、データ収集部12、データ処理部13、記憶部14、表示部15、入力部16および制御部17を有している。
【0026】
インタフェース部11は、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7および受信部9に接続されており、これらの接続された各部と計算機システム10との間で授受される信号の入出力を制御する処理部である。
【0027】
データ収集部12は、インタフェース部11を介して、受信部9から送信される磁気共鳴信号データを収集する処理部である。データ収集部12は、磁気共鳴信号データを収集すると、収集した磁気共鳴信号データを記憶部14に記憶させる。
【0028】
データ処理部13は、記憶部14に記憶されている磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する処理部である。
【0029】
記憶部14は、データ収集部12によって収集された磁気共鳴信号データと、データ処理部13によって生成された画像データなどを、被検体Pごとに記憶する記憶部である。
【0030】
表示部15は、制御部17による制御のもと、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する装置である。この表示部15としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0031】
入力部16は、操作者から各種操作や情報入力を受け付ける装置である。この入力部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0032】
制御部17は、図示していないCPUやメモリ等を有し、MRI装置100を総括的に制御する処理部である。
【0033】
以上、本実施例1に係るMRI装置100の全体構成について説明した。このような構成のもと、本実施例1に係るMRI装置100では、計算機システム10が、設定された撮像条件に基づいて、目的の撮像位置がどのタイミングで収集されるか、どのようなプリパルスがどのような順序、頻度で印加されるかなどを示す「タイムチャート」を表示部15に表示させることによって、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができるようにしている。
【0034】
以下、かかる計算機システム10が有する機能について具体的に説明してゆく。まず、図2を用いて、本実施例1に係る計算機システム10の詳細な構成について詳細に説明する。図2は、本実施例1に係る計算機システム10の詳細な構成を示す機能ブロック図である。同図は、表示部15、制御部17および記憶部14が有する構成のうち本発明に特に関連する構成、および、インタフェース部11、記憶部14、表示部15、入力部16、制御部17の相互関係を示している。
【0035】
記憶部14は、同図に示すように、本発明に特に関連する情報としては、検査情報14aを記憶している。検査情報14aは、各種撮像の種類に応じた撮像条件を示す情報であり、撮像の種類やスライス(断面)の位置、スライス厚、スライス数など、撮像条件を構成する各種撮像パラメータに設定された値を含んでいる。
【0036】
表示部15は、同図に示すように、本発明に特に関連する機能部としては、撮像条件編集表示部15aと、位置決め表示部15bと、タイムチャート表示部15cとを有している。
【0037】
撮像条件編集表示部15aは、撮像条件に関する情報を表示する表示部である。具体的には、この撮像条件編集表示部15aは、後述する撮像条件編集/撮像位置決め部17aによる制御のもと、撮像条件に関する情報を撮像パラメータごとに入出力するための領域や、操作者から各種操作を受け付けるためのユーザインタフェースなどを有する撮像条件編集画面を表示する。
【0038】
位置決め表示部15bは、撮像されるスライスの位置を決める際の基準となる位置決め画像を表示するとともに、操作者によって設定された撮像条件に基づいて、位置決め画像上にスライス領域を示す図形を表示する表示部である。なお、この位置決め表示部15bは、操作者によって撮像条件が変更された場合には、撮像条件編集表示部15aによる撮像条件の表示と連動して、スライス領域を示す図形の位置や形状を変化させる。
【0039】
タイムチャート表示部15cは、後述する撮像条件編集/撮像位置決め部17aによって生成されるタイムチャートを表示する表示部である。
【0040】
制御部17は、同図に示すように、特に本発明に関連する機能部として、撮像条件編集/撮像位置決め部17aと、撮像パラメータ限界計算部17bと、パルスシーケンス実行データ生成部17cとを有している。
【0041】
撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、撮像条件の編集やスライスの位置決めに関する情報を受け付けるとともに、後述する撮像パラメータ限界計算部17bによって生成された検査情報14aに基づいて、磁気共鳴信号データの収集に際して実行されるイベントの種類および順序を表すタイムチャートを生成してタイムチャート表示部15cに表示させる処理部である。
【0042】
具体的には、この撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、まず、入力部16を介して、操作者から撮像条件編集画面20の表示要求を受け付けた場合には、撮像条件編集表示部15aを制御して撮像条件編集画面20を表示させる。
【0043】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、撮像条件編集画面20の撮像パラメータへ値を設定する操作を操作者から受け付けた場合には、設定された値を撮像パラメータごとに撮像パラメータ限界計算部17bに引き渡す。そして、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、撮像パラメータ限界計算部17bから撮像パラメータの限界値が応答された場合には、撮像条件編集表示部15aを制御して、応答された限界値を撮像パラメータごとに撮像条件編集画面20に表示させる。
【0044】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、操作者からタイムチャートの表示要求を受け付けた場合には、記憶部14によって記憶されている検査情報14aを読み出し、読み出した検査情報14aに基づいて、データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成する。
【0045】
このとき、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、タイムチャートを生成する際には、実行されるイベントの時間間隔が表されるようにタイムチャート30を生成する。そして、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、タイムチャート表示部15cを制御して、生成したタイムチャートを表示させる。
【0046】
ここで、図3を用いて、撮像条件編集/撮像位置決め部17aによるタイムチャートの表示について詳細に説明する。図3は、撮像条件編集/撮像位置決め部17aによるタイムチャートの表示を説明するための図である。同図(a)は、撮像条件編集表示部15aによって表示される撮像条件編集画面20の一例を示している。
【0047】
同図に示すように、例えば、撮像条件編集画面20は、「TR」や「スライス枚数」、「スライス厚」、「積算回数」などの撮像パラメータごとに設定されている値を表示する領域を有している。この撮像条件編集画面20において、設定された繰り返し時間内に撮像可能な最大スライス枚数は、記憶部14に検査情報14aとして記憶されている他の撮像条件やその他の情報(例えば、患者体重や高周波送信電力など)を参照して計算される。同図の例は、2次元のスピンエコー画像をマルチスライス法で収集する場合を示しており、繰り返し時間TR=500ミリ秒中に6枚のスライスが収集される場合を示している。
【0048】
また、撮像条件編集画面20は、操作者から各種操作を受け付けるためのボタンとして、例えば、同図に示すように、プリサットボタン21やインターリーブボタン22、シーケンスチャートボタン23などを有している。プリサットボタン21は、撮像対象の不要な部分からの信号を抑制するためのプリサチュレーションパルスの設定要求を操作者から受け付けるためのボタンである。また、インターリーブボタン22は、繰り返し時間内でのスライス収集順序の入れ替え要求を受け付けるためのボタンである。また、シーケンスチャートボタン23は、タイムチャートの表示要求を受け付けるためのボタンである。
【0049】
かかる撮像条件編集画面20において、入力部16を介して、操作者によってシーケンスチャートボタン23が押された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(b)に示すように、例えば、6スライス分のデータ収集を表す図形を時系列に並べたタイムチャート30を生成する。同図において、「acq」はデータ収集を表しており、「S1」〜「S6」はそれぞれ1番〜6番までのスライス番号を表している。このタイムチャート30は、繰り返し時間内でスライス番号の順で各スライスのデータ収集が行われることを示している。
【0050】
そして、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、操作者によって撮像条件編集画面20のプリサットボタン21が押された場合には、撮像パラメータ限界計算部17bを制御してスライス枚数を再計算させた後に、計算結果に基づいて、撮像条件編集画面20およびタイムチャート30の表示を変更する。
【0051】
具体的には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、操作者によって撮像条件編集画面20のプリサットボタン21が押されると、撮像パラメータ限界計算部17bを制御して、各スライスのデータ収集の直前にプリサチュレーションパルスを追加した場合の、繰り返し時間内で撮像可能なスライス枚数を再計算させ、再計算されたスライス枚数を撮像条件編集画面20に表示させる。
【0052】
図4は、プリサットボタン21が押された場合のタイムチャート30の表示を説明するための図である。プリサットボタン21が押された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、同図(a)に示すように、スライス枚数の表示を「6」から「5」に変更する。
【0053】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、撮像パラメータ限界計算部17bによって再計算されたスライス枚数に基づいて、タイムチャート表示部15cに表示させたタイムチャート30の表示を変更する。
【0054】
例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(b)に示すように、タイムチャート30に表示されているデータ収集を示す図の数を6つから5つに変更し、さらに、データ収集を示す「S1」〜「S5」の直前に、それぞれプリサチュレーションパルスを表す図「p」を追加する。
【0055】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、操作者によってプリサットボタン21が押された場合に、タイムチャート30の表示を変更することによって、操作者は、プリサチュレーションパルスの印加が追加された場合のパルスシーケンスの変化、スライス枚数が減少する過程、プリサチュレーションパルスの印加頻度などを目視により容易に確認することができる。
【0056】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、操作者によって撮像条件編集画面20のインターリーブボタン22が押された場合には、撮像パラメータ限界計算部17bを制御して制御部は繰り返し時間内のスライス収集順序を入れ替えさせた後に、その結果に基づいてタイムチャート30の表示を変更する。
【0057】
図5は、インターリーブボタン22が押された場合のタイムチャート30の表示を説明するための図である。同図(a)に示すように、インターリーブボタン22が押された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、同図(b)に示すように、タイムチャート30に表示されているスライス収集順序を「S1」、「S2」、「S3」、「S4」、「S5」の順から「S1」、「S3」、「S5」、「S2」、「S4」の順に入れ替える。
【0058】
従来、撮像パラメータの変更によるスライス収集順序の変化は容易に確認することができなかった。しかし、本実施例1によれば、同図(b)に示すように、スライス励起の順序が奇数番目を先に収集し偶数番目が後で収集されるように変わったことがタイムチャート30によって明示されるので、図4(b)に示した状態と対比することにより、操作者がスライス収集順序の変化を容易に確認することができるようになる。
【0059】
さらに、本実施例1では、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、位置決め表示部15bによる位置決め画像上の表示と、撮像条件編集画面20およびタイムチャート30の表示とをイベントごとに連動させることによって、撮像条件の変更による画像への影響をより明示的に操作者に知らせることができるようにしている。
【0060】
例えば、図5(c)は、頸部の矢状断の位置決め画像40上に次の横断面の撮像位置を計画する例を示している。同図において、「1」〜「5」の番号が付けられた四角形は、それぞれスライス(スライス領域)の位置を表している。ここで、スライス1は、同図(b)に示すタイムチャート30のスライスS1に対応しており、スライス2は、同じくタイムチャート30のスライスS2に対応している。同様に、スライス3、4、5は、それぞれ、タイムチャート30のスライスS3、S4、S5に対応している。
【0061】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、タイムチャート30におけるスライスと、位置決め画像40におけるスライスとをスライス番号で対応付けて表示することによって、操作者は、ひとつの繰り返し時間内で、スライスの励起が被検者の頭部側から1枚置きに行われ、次いで、間のスライスが励起されることを容易に認識することができるようになる。すなわち、操作者が、スライス特性の理想状態からの乖離によってスライス間での干渉がある場合に、その干渉が軽減されるような励起順になったことを容易に認識することができるようになる。
【0062】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(c)に示すように、プリサチュレーションパルスの位置を示す図形P1を位置決め画像40上に表示する。これにより、操作者は、各スライスデータ取得の前に励起される部分を容易に把握することができる。
【0063】
加えて、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、入力部16を介して、操作者によって位置決め画像40上でスライス3が指定された場合には、タイムチャート30上で、スライス3に対応するスライスS3を強調表示させる。一方、これとは反対に、例えば、操作者によってタイムチャート30上でスライスS3が指定された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、位置決め画像40上で、スライス3に対応するスライスS3を強調表示させる。
【0064】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、タイムチャート30上のスライスと位置決め画像40上のスライスとの対応関係が示されるように、タイムチャート30または位置決め画像40のスライスの表示を変化させることによって、データ収集の空間的配置と時間的配置とを互いに関連付けて操作者に示すことが可能になる。
【0065】
図2にもどって、撮像パラメータ限界計算部17bは、撮像パラメータの限界値の計算や、磁気共鳴信号データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する処理部である。具体的には、この撮像パラメータ限界計算部17bは、撮像条件編集/撮像位置決め部17aから撮像パラメータの値が引き渡されると、その撮像パラメータの値に依存する他の撮像パラメータの限界値を計算する。
【0066】
そして、撮像パラメータ限界計算部17bは、計算した撮像パラメータの限界値を撮像条件編集/撮像位置決め部17aに返却するとともに、その都度、引き渡された撮像パラメータの値および計算した撮像パラメータの値に基づいて、磁気共鳴信号データの収集に関する撮像条件を示す検査情報14aを生成し、記憶部14に記憶させる。
【0067】
パルスシーケンス実行データ生成部17cは、記憶部14に記憶されている検査情報14aを用いて撮像を実行させる処理部である。具体的には、このパルスシーケンス実行データ生成部17cは、入力部16を介して、操作者から撮像の開始指示を受け付けた場合には、記憶部14に検査情報14aとして記憶されている撮像条件に基づいてパルスシーケンス実行データ17dを生成し、生成したパルスシーケンス実行データ17dをインタフェース部11を介して送出することによって、傾斜磁場電源3、送信部7および受信部9に撮像を実行させる。
【0068】
次に、本実施例1に係るMRI装置100によるタイムチャート表示の処理手順について説明する。図6は、本実施例1に係るMRI装置100によるタイムチャート表示の処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
同図に示すように、このMRI装置100では、操作者から撮像条件編集画面20の表示要求を受け付けると、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、撮像条件編集表示部15aを制御して撮像条件編集画面20を表示させ(ステップS101)、撮像条件の設定を受け付ける(ステップS102)。
【0070】
そして、操作者によって撮像条件編集画面20から撮像条件が設定されると、撮像パラメータ限界計算部17bが、設定された撮像条件に基づいて検査情報14aを生成する(ステップS103)。
【0071】
その後、操作者によって撮像条件編集画面20のシーケンスチャートボタン23が押された場合には(ステップS104,Yes)、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、撮像パラメータ限界計算部17bによって生成された検査情報14aに基づいてタイムチャート30を生成した後に、タイムチャート表示部15cを制御して、生成したタイムチャート30を表示させる(ステップS105)。
【0072】
ここで、操作者によって撮像条件編集画面20のプリサットボタン21が押された場合には(ステップS106,Yes)、撮像パラメータ限界計算部17bが、スライス枚数を再計算し(ステップS107)、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、再計算されたスライス枚数に基づいてタイムチャート30の表示を変更する(ステップS108)。
【0073】
また、操作者によって撮像条件編集画面20のインターリーブボタン22が押された場合には(ステップS109,Yes)、撮像パラメータ限界計算部17bが、スライス収集順序を入れ替え(ステップS110)、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、入れ替えられたスライス収集順序に基づいてタイムチャート30の表示を変更する(ステップS111)。
【0074】
上述してきたように、本実施例1では、撮像パラメータ限界計算部17bが、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、磁気共鳴信号データの収集に関する撮像条件を示す検査情報14aを生成し、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、撮像パラメータ限界計算部17bによって生成された検査情報14aに基づいて、磁気共鳴信号データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャート30を生成してタイムチャート表示部15cに表示させるので、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができる。
【実施例2】
【0075】
ところで、上記実施例1では、図3〜5を用いて、2次元のスピンエコー画像をマルチスライス法で収集する場合のタイムチャート30の表示について説明したが、タイムチャート30の表示形態は図3〜5に示したものに限られるわけではなく、撮像の種類ごとに適した表示形態が用いられてもよい。そこで、以下では実施例2として、撮像の種類に応じたタイムチャート30の変形例について説明する。なお、本実施例2では、撮像条件編集/撮像位置決め部17aによって行われる処理を中心に説明する。
【0076】
(1)心電同期を併用した冠状動脈撮像
まず、心電同期を併用した冠状動脈撮像に関するタイムチャートの表示について説明する。心電同期を併用した冠状動脈撮像では、通常、T2コントラストを付与するためのプリパルスや、体動を検出して動きを補正するためのデータ収集、関心領域外の不要な信号を抑制するためのプリサチュレーションパルス、脂肪信号を抑制するためのパルス、定常状態を促進するためのダミーパルスなど、さまざまなプリパルスが実際のデータ収集に先立って印加される。
【0077】
そこで、記憶部14から読み出した検査情報14aが心電同期を併用した冠状動脈撮像の撮像条件を示すものであった場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、上述した各種のプリパルスを表示したタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0078】
図7は、心電同期を併用した冠状動脈撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。同図に示すように、例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、T2コントラストを付与するためのプリパルスを示す図形「T2prep」や、体動を検出して動きを補正するためのデータ収集を示す図形「Nav」、関心領域外の不要な信号を抑制するためのプリサチュレーションパルスを示す図形「p」、脂肪信号を抑制するためのパルスを示す図形「F」、定常状態を促進するためのダミーパルスを示す図形「D」などを、データ収集を示す「acq」の前に配置したタイムチャート130をタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0079】
なお、心電同期を併用した冠状動脈撮像は、被検者の心電図波形に同期して行われるため、常に、R波からの相対時刻で各イベントが発生する。そこで、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図に示すように、タイムチャート130上に模擬心電図波形を併せて表示させ、さらに、模擬心電図波形にR−R間隔の時間(同図に示す「R−R=950」)を表示させる。さらに、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、R波からT2コントラストを付与するためのプリパルスまでの遅延時間(同図に示す「Td=200」)を表示させる。
【0080】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、タイムチャート130とともに、心電図波形、R−R間隔の時間、および、R波からの遅延時間を表示させることによって、操作者は、R波から200ミリ秒の遅延時間の後に各プリパルスが所定の期間印加され、次いでダミーパルスの印加が行われた後に拡張期に相当する時相にデータ収集が行われるパルスシーケンスが組み立てられた様子を目視により容易に確認することができる。
【0081】
また、心電同期を併用した冠状動脈撮像では、画質を左右する要因として、データ収集が心臓の動きの比較的少ない拡張期に行われること、一心拍内のデータ収集時間が全撮像時間内の許される範囲でできるだけ短く設定されていること、脂肪抑制パルス「F」、動きを検出するためのデータ収集「Nav」などができるだけデータ収集「acq」に近いタイミングで実行されることなどがある。
【0082】
従来、これら要因となる撮像パラメータが適切に設定されているか否かは、操作者にとって撮像条件設定画面だけでは理解が困難であった。しかし、本実施例によれば、タイムチャート130とともに、心電図波形、R−R間隔の時間、および、R波からT2コントラストを付与するためのプリパルスまでの遅延時間がまとめて表示されるので、撮像パラメータが適切に設定されているか否かを操作者が容易に判断することができるようになる。
【0083】
さらに、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、表示されたタイムチャート130において操作者から指定された一部分をさらに拡大して詳細に表示するようにしてもよい。同図に示すチャート拡大図131は、データ収集部「acq」を拡大した図を示しており、「acq」が、4回の連続したフィールドエコー収集より構成されていることを示している。
【0084】
通常、撮像条件設定の操作においては、同図に示したチャート拡大図131よりも詳細なパルスシーケンスの情報を知ることは必ずしも要求されない。しかし、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、チャート拡大図131をさらに拡大して詳細を表示する(例えば、高周波パルス、スライス選択用の傾斜磁場パルス、位相エンコード用の傾斜磁場パルス、周波数エンコード用の傾斜磁場パルスなど、パルスの種類ごとにパルスシーケンスを表示する)ようにしてもよい。その場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、操作者の資格に応じて、どこまで詳細な情報を開示するかを制御する。
【0085】
(2)分割型フィールドエコー法による撮像
次に、セグメントと呼ばれる複数の単位にk空間を分割し、セグメントごとにプリパルスの印加や心電同期を行うセグメント分割型フィールドエコー法による撮像に関するタイムチャートの表示について説明する。
【0086】
具体的には、記憶部14から読み出した検査情報14aが分割型フィールドエコー法による撮像の撮像条件を示すものであった場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、脂肪抑制プリパルスを示す図形とセグメントを示す図形とを交互に並べたタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0087】
図8は、セグメント分割型フィールドエコー法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図であり、脂肪抑制プリパルスが併用される場合を示している。同図(a)に示すように、例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、セグメント数が2である場合には、脂肪抑制プリパルスを示す「F」、ひとつ目のセグメントを示す図形「Seg1」、脂肪抑制プリパルスを示す「F」、ふたつ目のセグメントを示す「Seg2」を順番に並べたタイムチャート230を表示させる。
【0088】
そして、例えば、操作者によってセグメント数が8に変更された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(b)に示すように、セグメントを示す図形を8つに増やし、各セグメントを示す図形「Seg1」〜「Seg8」それぞれの直前に脂肪抑制プリパルス「F」が配置された状態となるようにタイムチャート230の表示を変更する。
【0089】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、操作者によって設定されたセグメント数に基づいてタイムチャート230の表示を変えることによって、操作者は、脂肪抑制パルスの数が増えた結果、セグメント数以外の撮像条件が全て同じであっても、全体の撮像時間が増加し、その代わりに脂肪抑制パルスの頻度が上がるために脂肪抑制効果が向上することを容易に確認することができる。
【0090】
このような撮像条件の変更による撮像時間や画質に与える影響は、パルスシーケンスのタイミングを示すことにより始めて説明できるものである。このことは、通常、装置の取扱説明書などに記述されているが、上記のように、撮像条件の編集時に撮像条件変更と同時にその変化を示すことによって、操作者が画質への影響をよりよく理解できるようになる。
【0091】
(3)ASL(Arterial Spin Labeling)による血管撮像
次に、ASLによる血管撮像に関するタイムチャートの表示について説明する。なお、ここでは、ASL法の一手法であるTime−SLIP法と呼ばれる手法について説明する。このTime−SLIP法は、特定の血管のみを選択的に描出するために、撮像領域と独立に選択的反転パルスの領域を設定することを特徴とした手法である。
【0092】
具体的には、記憶部14から読み出した検査情報14aがTime−SLIP法による撮像の撮像条件を示すものであった場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、反転パルスやデータ収集などを表示したタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0093】
図9は、Time−SLIP法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。同図は、反転パルスを印加して一定時間が経過した後にデータ収集を行うことによって、撮像領域内に流入する動脈血のみを描出する場合を示している。また、同図の例では、同じ時間に流入する静脈血からの信号を抑制するために別の領域にプリサチュレーションパルスを併せて印加している。
【0094】
同図(a)に示すように、例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、反転パルスを示す図形「IR」や、プリサチュレーションパルスを示す図形「p」、データ収集を示す「acq」の前に配置したタイムチャート330を表示させる。また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、タイムチャート330上に模擬心電図波形を併せて表示させ、さらに、模擬心電図波形にR−R間隔の時間(同図に示す「R−R=900」)と、反転パルスからデータ収集までの時間(同図に示す「TI=600」)を表示させる。
【0095】
ASL法により特定の血管の描出を行う場合には、血管の走行とおおよその血流速、各パルスのタイミングと位置を全て勘案して撮像条件を適切に設定することが重要であるが、本実施例によれば、タイムチャート330とともに、心電図波形、R−R間隔の時間、および、反転パルスからデータ収集までの時間がまとめて表示されるので、撮像パラメータが適切に設定されているか否かを操作者が容易に判断することができるようになる。
【0096】
なお、反転パルスを示す図形「IR」、プリサチュレーションパルスを示す図形「P」、データ収集を示す図形「acq」をタイムチャート330に表示させる際、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、パルスの種類ごとに異なる色、階調あるいは網掛けなどのパターンで図形を表示させるようにしてもよい。そして、その上で、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、同図(b)に示すように、各パルスを示す図形と同じ色または階調、パターンで位置決め画像340上にその場所を示す図形(ここでは、四角形)を表示させてもよい(同図(b)の例では、色や階調、パターンを変える代わりに、四角形の線種を変えている)。これにより、各パルスの空間的位置と時間的順序との対応を操作者が容易に理解することができるようになる。
【0097】
(4)収集データのk空間における位置の表示
MRI装置では、収集されたデータの実空間(k空間と呼ばれる)における位置によって、当該データをフーリエ変換して得られる画像に与える影響が異なる。具体的には、k空間の中心付近、すなわち、低周波領域に配置された信号は画像のコントラストに影響を与え、画像の輪郭はk空間の外側、すなわち、高周波領域に配置された信号に支配されることが良く知られている。
【0098】
したがって、MRI装置による撮像では、k空間上に配置されるデータをどのような順序で収集するかが重要になる場合がある。そこで、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、収集データのk空間における位置をタイムチャートとともにタイムチャート表示部15cに表示させるようにしてもよい。
【0099】
図10は、収集データのk空間における位置を表示する場合のタイムチャートの一例を示す図である。同図は、造影剤を静脈から注入した後に撮像を連続的に繰り返す、いわゆるダイナミック撮像におけるタイムチャートの一例を示している。
【0100】
具体的には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、記憶部14から読み出した検査情報14aがダイナミック撮像の撮像条件を示すものであった場合には、連続する撮像すなわちデータ収集の実行タイミングを示す時刻を表示したタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0101】
例えば、同図(a)に示すように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、5つの時相におけるデータ収集の幅示す図形「ph.1」〜「ph.5」を、データ収集が開始される時刻とともに配置したタイムチャート430を表示させる。ここで、「ph.1」〜「ph.5」を表示する際、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、k空間中心からあらかじめ設定された割合(例えば、25%)以内に含まれるデータが収集される部分については、他の部分とは異なる色または階調あるいはパターンで表示する。
【0102】
フーリエ変換によって得られる画像のコントラストは、k空間中心のデータが収集されるタイミングで決まる。そのため、k空間中心のデータが収集される、造影剤注入の開始からの時刻を知ることは、適切なコントラストの画像を得るために、各時相のデータ収集全体の時刻を知ることと同じく重要である。
【0103】
本実施例によれば、ダイナミック撮像における時相ごとに、データ収集の幅を示す「ph.1」〜「ph.5」が時間とともに表示され、さらに、「ph.1」〜「ph.5」それぞれには、収集データのk空間における位置が表示されるので、適切なコントラスの画像を得るために必要な撮像条件が正しく設定されているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0104】
なお、同図(a)では、収集データをk空間中心から25%以内の領域とそれ以外の領域の2つに分割して表示する例を示したが、領域を分割する数は2つに限られるわけではなく、より細かく分割してもよい。その場合、データ収集の幅を示す図形の表示は、例えば、同図(b)に示すように、より詳細なものとなる。なお、同図(c)は、(b)に示した図形により示される収集データのk空間における位置を示している。
【0105】
なお、上記で説明した実施例では、撮像条件の編集過程でタイムチャートを表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、装置の実装上、パルスシーケンス実行データが生成される際に検査情報が更新されるような場合には、パルスシーケンス実行データが生成された後に、タイムチャートを表示することができるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、撮像条件の変更による画像への影響を確認する場合に有用であり、特に、データ収集に際して実行されるイベントの時間的順序を確認する場合に適している。
【符号の説明】
【0107】
1 静磁場磁石
2 傾斜磁場コイル
3 傾斜磁場電源
4 寝台
4a 天板
5 寝台制御部
6 送信RFコイル
7 送信部
8 受信RFコイル
9 受信部
10 計算機システム
11 インタフェース部
12 データ収集部
13 データ処理部
14 記憶部
14a 検査情報
15 表示部
15a 撮像条件編集表示部
15b 位置決め表示部
15c タイムチャート表示部
16 入力部
17 制御部
17a 撮像条件編集/撮像位置決め部
17b 撮像パラメータ限界計算部
17c パルスシーケンス実行データ生成部
17d パルスシーケンス実行データ
20 撮像条件編集画面
21 プリサットボタン
22 インターリーブボタン
23 シーケンスチャートボタン
30,130,230,330,430 タイムチャート
40,340 位置決め画像
100 MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)
131 チャート拡大図
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置は、人体などの被検体の任意の断面をさまざまな組織間コントラストで画像化する装置である。かかる磁気共鳴イメージング装置では、高周波パルスや傾斜磁場パルスを印加するタイミングや、データ収集のタイミングなどを示すイベント(事象)を時系列に定義した、いわゆるパルスシーケンス(パルス系列)と呼ばれる手続きを実行することによって撮像が行われる。
【0003】
磁気共鳴イメージング装置の操作者は、撮像に先立って各種の撮像パラメータを適切に設定し、その検査に要求されるコントラスト、SN比、空間分解能さらには流速や拡散などの情報を得る。ここでいう撮像パラメータとしては、例えば、繰り返し時間(TR:Repetition Time)やエコー時間(TE:Echo Time)、マトリクス数、撮像領域(FOV:Field Of View)、スライス枚数、スライス厚などがある。
【0004】
図11は、従来の磁気共鳴イメージング装置における撮像パラメータを編集するためのユーザインタフェースの一例を示す図である。同図は、各種撮像パラメータを編集項目とした撮像条件編集画面を示している。操作者は、例えば、同図に示す撮像条件編集画面上で数値を入力したり、スライダやボタンなどのユーザインタフェースを操作したりすることによって、必要な撮像パラメータの値を設定する。
【0005】
また、操作者は、上記で例示した撮像パラメータのほかにも、撮像法(スピンエコー法やEPI(Echo Planar Imaging)法などのパルスシーケンス種)や脂肪抑制パルス、反転パルスなどのプリパルスの種類、数、順序、スライス励起順など、目的に応じて撮像条件編集を行う。これらプリパルスや撮像パルスの空間的配置を確認するための技術として、位置決め画像上にスライス領域を表示する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。この技術で用いられる位置決め画像は「グラフィックロケータ」などと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−290171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術では、操作者は、プリパルスや撮像パルスの空間的配置を確認することはできるが、プリパルスや撮像パルスの時間的順序については確認することができない。すなわち、従来の技術では、操作者は、撮像条件を変更した際に、目的の撮像位置がどのタイミングで収集されるか、どのようなプリパルスがどのような順序、頻度で印加されるかなど、得られる画像に影響を与える情報を得ることができない。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、撮像シーケンスのプリパルスを含むイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させるチャート表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、前記データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させ、さらに、前記イベントに係るスライス領域またはパルス印加領域の位置を示す位置決め画像を表示させ、当該位置決め画像におけるスライス領域またはパルス印加領域の表示と前記タイムチャートにおけるイベントの表示とをイベントごとに連動させて制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例1に係るMRI装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施例1に係る計算機システムの詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】撮像条件編集/撮像位置決め部によるタイムチャートの表示を説明するための図である。
【図4】プリサットボタンが押された場合のタイムチャートの表示を説明するための図である。
【図5】インターリーブボタンが押された場合のタイムチャートの表示を説明するための図である。
【図6】本実施例1に係るMRI装置によるタイムチャート表示の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】心電同期を併用した冠状動脈撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。
【図8】セグメント分割型フィールドエコー法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。
【図9】Time−SLIP法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。
【図10】収集データのk空間における位置を表示する場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図11】従来の磁気共鳴イメージング装置における撮像パラメータを編集するためのユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁気共鳴イメージング装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、磁気共鳴イメージング装置を「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」と呼ぶ。
【実施例1】
【0014】
最初に、図1を用いて、本実施例1に係るMRI装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例1に係るMRI装置の全体構成を示す図である。同図に示すように、本実施例1に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、計算機システム10を備える。
【0015】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0016】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0017】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応している。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0018】
傾斜磁場電源3は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル2に電流を供給する装置である。
【0019】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備えた装置であり、後述する寝台制御部5による制御のもと、天板4aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
【0020】
寝台制御部5は、寝台4を制御する装置であり、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向および上下方向へ移動する。
【0021】
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、送信部7から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0022】
送信部7は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する装置であり、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、高周波電力増幅部などを有する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。これらの各部の動作の結果として、送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する。
【0023】
受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されたコイルであり、上記の高周波磁場の影響によって被検体から放射される磁気共鳴信号を受信する。この受信RFコイル8は、磁気共鳴信号を受信すると、その磁気共鳴信号を受信部9へ出力する。
【0024】
受信部9は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴信号データを生成する装置である。この受信部9は、磁気共鳴信号データを生成すると、その磁気共鳴信号データを計算機システム10に送信する。
【0025】
計算機システム10は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う装置であり、インタフェース部11、データ収集部12、データ処理部13、記憶部14、表示部15、入力部16および制御部17を有している。
【0026】
インタフェース部11は、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7および受信部9に接続されており、これらの接続された各部と計算機システム10との間で授受される信号の入出力を制御する処理部である。
【0027】
データ収集部12は、インタフェース部11を介して、受信部9から送信される磁気共鳴信号データを収集する処理部である。データ収集部12は、磁気共鳴信号データを収集すると、収集した磁気共鳴信号データを記憶部14に記憶させる。
【0028】
データ処理部13は、記憶部14に記憶されている磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する処理部である。
【0029】
記憶部14は、データ収集部12によって収集された磁気共鳴信号データと、データ処理部13によって生成された画像データなどを、被検体Pごとに記憶する記憶部である。
【0030】
表示部15は、制御部17による制御のもと、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する装置である。この表示部15としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0031】
入力部16は、操作者から各種操作や情報入力を受け付ける装置である。この入力部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0032】
制御部17は、図示していないCPUやメモリ等を有し、MRI装置100を総括的に制御する処理部である。
【0033】
以上、本実施例1に係るMRI装置100の全体構成について説明した。このような構成のもと、本実施例1に係るMRI装置100では、計算機システム10が、設定された撮像条件に基づいて、目的の撮像位置がどのタイミングで収集されるか、どのようなプリパルスがどのような順序、頻度で印加されるかなどを示す「タイムチャート」を表示部15に表示させることによって、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができるようにしている。
【0034】
以下、かかる計算機システム10が有する機能について具体的に説明してゆく。まず、図2を用いて、本実施例1に係る計算機システム10の詳細な構成について詳細に説明する。図2は、本実施例1に係る計算機システム10の詳細な構成を示す機能ブロック図である。同図は、表示部15、制御部17および記憶部14が有する構成のうち本発明に特に関連する構成、および、インタフェース部11、記憶部14、表示部15、入力部16、制御部17の相互関係を示している。
【0035】
記憶部14は、同図に示すように、本発明に特に関連する情報としては、検査情報14aを記憶している。検査情報14aは、各種撮像の種類に応じた撮像条件を示す情報であり、撮像の種類やスライス(断面)の位置、スライス厚、スライス数など、撮像条件を構成する各種撮像パラメータに設定された値を含んでいる。
【0036】
表示部15は、同図に示すように、本発明に特に関連する機能部としては、撮像条件編集表示部15aと、位置決め表示部15bと、タイムチャート表示部15cとを有している。
【0037】
撮像条件編集表示部15aは、撮像条件に関する情報を表示する表示部である。具体的には、この撮像条件編集表示部15aは、後述する撮像条件編集/撮像位置決め部17aによる制御のもと、撮像条件に関する情報を撮像パラメータごとに入出力するための領域や、操作者から各種操作を受け付けるためのユーザインタフェースなどを有する撮像条件編集画面を表示する。
【0038】
位置決め表示部15bは、撮像されるスライスの位置を決める際の基準となる位置決め画像を表示するとともに、操作者によって設定された撮像条件に基づいて、位置決め画像上にスライス領域を示す図形を表示する表示部である。なお、この位置決め表示部15bは、操作者によって撮像条件が変更された場合には、撮像条件編集表示部15aによる撮像条件の表示と連動して、スライス領域を示す図形の位置や形状を変化させる。
【0039】
タイムチャート表示部15cは、後述する撮像条件編集/撮像位置決め部17aによって生成されるタイムチャートを表示する表示部である。
【0040】
制御部17は、同図に示すように、特に本発明に関連する機能部として、撮像条件編集/撮像位置決め部17aと、撮像パラメータ限界計算部17bと、パルスシーケンス実行データ生成部17cとを有している。
【0041】
撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、撮像条件の編集やスライスの位置決めに関する情報を受け付けるとともに、後述する撮像パラメータ限界計算部17bによって生成された検査情報14aに基づいて、磁気共鳴信号データの収集に際して実行されるイベントの種類および順序を表すタイムチャートを生成してタイムチャート表示部15cに表示させる処理部である。
【0042】
具体的には、この撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、まず、入力部16を介して、操作者から撮像条件編集画面20の表示要求を受け付けた場合には、撮像条件編集表示部15aを制御して撮像条件編集画面20を表示させる。
【0043】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、撮像条件編集画面20の撮像パラメータへ値を設定する操作を操作者から受け付けた場合には、設定された値を撮像パラメータごとに撮像パラメータ限界計算部17bに引き渡す。そして、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、撮像パラメータ限界計算部17bから撮像パラメータの限界値が応答された場合には、撮像条件編集表示部15aを制御して、応答された限界値を撮像パラメータごとに撮像条件編集画面20に表示させる。
【0044】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、操作者からタイムチャートの表示要求を受け付けた場合には、記憶部14によって記憶されている検査情報14aを読み出し、読み出した検査情報14aに基づいて、データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成する。
【0045】
このとき、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、タイムチャートを生成する際には、実行されるイベントの時間間隔が表されるようにタイムチャート30を生成する。そして、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、タイムチャート表示部15cを制御して、生成したタイムチャートを表示させる。
【0046】
ここで、図3を用いて、撮像条件編集/撮像位置決め部17aによるタイムチャートの表示について詳細に説明する。図3は、撮像条件編集/撮像位置決め部17aによるタイムチャートの表示を説明するための図である。同図(a)は、撮像条件編集表示部15aによって表示される撮像条件編集画面20の一例を示している。
【0047】
同図に示すように、例えば、撮像条件編集画面20は、「TR」や「スライス枚数」、「スライス厚」、「積算回数」などの撮像パラメータごとに設定されている値を表示する領域を有している。この撮像条件編集画面20において、設定された繰り返し時間内に撮像可能な最大スライス枚数は、記憶部14に検査情報14aとして記憶されている他の撮像条件やその他の情報(例えば、患者体重や高周波送信電力など)を参照して計算される。同図の例は、2次元のスピンエコー画像をマルチスライス法で収集する場合を示しており、繰り返し時間TR=500ミリ秒中に6枚のスライスが収集される場合を示している。
【0048】
また、撮像条件編集画面20は、操作者から各種操作を受け付けるためのボタンとして、例えば、同図に示すように、プリサットボタン21やインターリーブボタン22、シーケンスチャートボタン23などを有している。プリサットボタン21は、撮像対象の不要な部分からの信号を抑制するためのプリサチュレーションパルスの設定要求を操作者から受け付けるためのボタンである。また、インターリーブボタン22は、繰り返し時間内でのスライス収集順序の入れ替え要求を受け付けるためのボタンである。また、シーケンスチャートボタン23は、タイムチャートの表示要求を受け付けるためのボタンである。
【0049】
かかる撮像条件編集画面20において、入力部16を介して、操作者によってシーケンスチャートボタン23が押された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(b)に示すように、例えば、6スライス分のデータ収集を表す図形を時系列に並べたタイムチャート30を生成する。同図において、「acq」はデータ収集を表しており、「S1」〜「S6」はそれぞれ1番〜6番までのスライス番号を表している。このタイムチャート30は、繰り返し時間内でスライス番号の順で各スライスのデータ収集が行われることを示している。
【0050】
そして、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、操作者によって撮像条件編集画面20のプリサットボタン21が押された場合には、撮像パラメータ限界計算部17bを制御してスライス枚数を再計算させた後に、計算結果に基づいて、撮像条件編集画面20およびタイムチャート30の表示を変更する。
【0051】
具体的には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、操作者によって撮像条件編集画面20のプリサットボタン21が押されると、撮像パラメータ限界計算部17bを制御して、各スライスのデータ収集の直前にプリサチュレーションパルスを追加した場合の、繰り返し時間内で撮像可能なスライス枚数を再計算させ、再計算されたスライス枚数を撮像条件編集画面20に表示させる。
【0052】
図4は、プリサットボタン21が押された場合のタイムチャート30の表示を説明するための図である。プリサットボタン21が押された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、同図(a)に示すように、スライス枚数の表示を「6」から「5」に変更する。
【0053】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、撮像パラメータ限界計算部17bによって再計算されたスライス枚数に基づいて、タイムチャート表示部15cに表示させたタイムチャート30の表示を変更する。
【0054】
例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(b)に示すように、タイムチャート30に表示されているデータ収集を示す図の数を6つから5つに変更し、さらに、データ収集を示す「S1」〜「S5」の直前に、それぞれプリサチュレーションパルスを表す図「p」を追加する。
【0055】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、操作者によってプリサットボタン21が押された場合に、タイムチャート30の表示を変更することによって、操作者は、プリサチュレーションパルスの印加が追加された場合のパルスシーケンスの変化、スライス枚数が減少する過程、プリサチュレーションパルスの印加頻度などを目視により容易に確認することができる。
【0056】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、入力部16を介して、操作者によって撮像条件編集画面20のインターリーブボタン22が押された場合には、撮像パラメータ限界計算部17bを制御して制御部は繰り返し時間内のスライス収集順序を入れ替えさせた後に、その結果に基づいてタイムチャート30の表示を変更する。
【0057】
図5は、インターリーブボタン22が押された場合のタイムチャート30の表示を説明するための図である。同図(a)に示すように、インターリーブボタン22が押された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、同図(b)に示すように、タイムチャート30に表示されているスライス収集順序を「S1」、「S2」、「S3」、「S4」、「S5」の順から「S1」、「S3」、「S5」、「S2」、「S4」の順に入れ替える。
【0058】
従来、撮像パラメータの変更によるスライス収集順序の変化は容易に確認することができなかった。しかし、本実施例1によれば、同図(b)に示すように、スライス励起の順序が奇数番目を先に収集し偶数番目が後で収集されるように変わったことがタイムチャート30によって明示されるので、図4(b)に示した状態と対比することにより、操作者がスライス収集順序の変化を容易に確認することができるようになる。
【0059】
さらに、本実施例1では、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、位置決め表示部15bによる位置決め画像上の表示と、撮像条件編集画面20およびタイムチャート30の表示とをイベントごとに連動させることによって、撮像条件の変更による画像への影響をより明示的に操作者に知らせることができるようにしている。
【0060】
例えば、図5(c)は、頸部の矢状断の位置決め画像40上に次の横断面の撮像位置を計画する例を示している。同図において、「1」〜「5」の番号が付けられた四角形は、それぞれスライス(スライス領域)の位置を表している。ここで、スライス1は、同図(b)に示すタイムチャート30のスライスS1に対応しており、スライス2は、同じくタイムチャート30のスライスS2に対応している。同様に、スライス3、4、5は、それぞれ、タイムチャート30のスライスS3、S4、S5に対応している。
【0061】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、タイムチャート30におけるスライスと、位置決め画像40におけるスライスとをスライス番号で対応付けて表示することによって、操作者は、ひとつの繰り返し時間内で、スライスの励起が被検者の頭部側から1枚置きに行われ、次いで、間のスライスが励起されることを容易に認識することができるようになる。すなわち、操作者が、スライス特性の理想状態からの乖離によってスライス間での干渉がある場合に、その干渉が軽減されるような励起順になったことを容易に認識することができるようになる。
【0062】
また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(c)に示すように、プリサチュレーションパルスの位置を示す図形P1を位置決め画像40上に表示する。これにより、操作者は、各スライスデータ取得の前に励起される部分を容易に把握することができる。
【0063】
加えて、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、入力部16を介して、操作者によって位置決め画像40上でスライス3が指定された場合には、タイムチャート30上で、スライス3に対応するスライスS3を強調表示させる。一方、これとは反対に、例えば、操作者によってタイムチャート30上でスライスS3が指定された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、位置決め画像40上で、スライス3に対応するスライスS3を強調表示させる。
【0064】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、タイムチャート30上のスライスと位置決め画像40上のスライスとの対応関係が示されるように、タイムチャート30または位置決め画像40のスライスの表示を変化させることによって、データ収集の空間的配置と時間的配置とを互いに関連付けて操作者に示すことが可能になる。
【0065】
図2にもどって、撮像パラメータ限界計算部17bは、撮像パラメータの限界値の計算や、磁気共鳴信号データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する処理部である。具体的には、この撮像パラメータ限界計算部17bは、撮像条件編集/撮像位置決め部17aから撮像パラメータの値が引き渡されると、その撮像パラメータの値に依存する他の撮像パラメータの限界値を計算する。
【0066】
そして、撮像パラメータ限界計算部17bは、計算した撮像パラメータの限界値を撮像条件編集/撮像位置決め部17aに返却するとともに、その都度、引き渡された撮像パラメータの値および計算した撮像パラメータの値に基づいて、磁気共鳴信号データの収集に関する撮像条件を示す検査情報14aを生成し、記憶部14に記憶させる。
【0067】
パルスシーケンス実行データ生成部17cは、記憶部14に記憶されている検査情報14aを用いて撮像を実行させる処理部である。具体的には、このパルスシーケンス実行データ生成部17cは、入力部16を介して、操作者から撮像の開始指示を受け付けた場合には、記憶部14に検査情報14aとして記憶されている撮像条件に基づいてパルスシーケンス実行データ17dを生成し、生成したパルスシーケンス実行データ17dをインタフェース部11を介して送出することによって、傾斜磁場電源3、送信部7および受信部9に撮像を実行させる。
【0068】
次に、本実施例1に係るMRI装置100によるタイムチャート表示の処理手順について説明する。図6は、本実施例1に係るMRI装置100によるタイムチャート表示の処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
同図に示すように、このMRI装置100では、操作者から撮像条件編集画面20の表示要求を受け付けると、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、撮像条件編集表示部15aを制御して撮像条件編集画面20を表示させ(ステップS101)、撮像条件の設定を受け付ける(ステップS102)。
【0070】
そして、操作者によって撮像条件編集画面20から撮像条件が設定されると、撮像パラメータ限界計算部17bが、設定された撮像条件に基づいて検査情報14aを生成する(ステップS103)。
【0071】
その後、操作者によって撮像条件編集画面20のシーケンスチャートボタン23が押された場合には(ステップS104,Yes)、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、撮像パラメータ限界計算部17bによって生成された検査情報14aに基づいてタイムチャート30を生成した後に、タイムチャート表示部15cを制御して、生成したタイムチャート30を表示させる(ステップS105)。
【0072】
ここで、操作者によって撮像条件編集画面20のプリサットボタン21が押された場合には(ステップS106,Yes)、撮像パラメータ限界計算部17bが、スライス枚数を再計算し(ステップS107)、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、再計算されたスライス枚数に基づいてタイムチャート30の表示を変更する(ステップS108)。
【0073】
また、操作者によって撮像条件編集画面20のインターリーブボタン22が押された場合には(ステップS109,Yes)、撮像パラメータ限界計算部17bが、スライス収集順序を入れ替え(ステップS110)、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、入れ替えられたスライス収集順序に基づいてタイムチャート30の表示を変更する(ステップS111)。
【0074】
上述してきたように、本実施例1では、撮像パラメータ限界計算部17bが、操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、磁気共鳴信号データの収集に関する撮像条件を示す検査情報14aを生成し、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、撮像パラメータ限界計算部17bによって生成された検査情報14aに基づいて、磁気共鳴信号データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャート30を生成してタイムチャート表示部15cに表示させるので、撮像パラメータの変更による画像への影響を操作者が容易に確認することができる。
【実施例2】
【0075】
ところで、上記実施例1では、図3〜5を用いて、2次元のスピンエコー画像をマルチスライス法で収集する場合のタイムチャート30の表示について説明したが、タイムチャート30の表示形態は図3〜5に示したものに限られるわけではなく、撮像の種類ごとに適した表示形態が用いられてもよい。そこで、以下では実施例2として、撮像の種類に応じたタイムチャート30の変形例について説明する。なお、本実施例2では、撮像条件編集/撮像位置決め部17aによって行われる処理を中心に説明する。
【0076】
(1)心電同期を併用した冠状動脈撮像
まず、心電同期を併用した冠状動脈撮像に関するタイムチャートの表示について説明する。心電同期を併用した冠状動脈撮像では、通常、T2コントラストを付与するためのプリパルスや、体動を検出して動きを補正するためのデータ収集、関心領域外の不要な信号を抑制するためのプリサチュレーションパルス、脂肪信号を抑制するためのパルス、定常状態を促進するためのダミーパルスなど、さまざまなプリパルスが実際のデータ収集に先立って印加される。
【0077】
そこで、記憶部14から読み出した検査情報14aが心電同期を併用した冠状動脈撮像の撮像条件を示すものであった場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、上述した各種のプリパルスを表示したタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0078】
図7は、心電同期を併用した冠状動脈撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。同図に示すように、例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、T2コントラストを付与するためのプリパルスを示す図形「T2prep」や、体動を検出して動きを補正するためのデータ収集を示す図形「Nav」、関心領域外の不要な信号を抑制するためのプリサチュレーションパルスを示す図形「p」、脂肪信号を抑制するためのパルスを示す図形「F」、定常状態を促進するためのダミーパルスを示す図形「D」などを、データ収集を示す「acq」の前に配置したタイムチャート130をタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0079】
なお、心電同期を併用した冠状動脈撮像は、被検者の心電図波形に同期して行われるため、常に、R波からの相対時刻で各イベントが発生する。そこで、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図に示すように、タイムチャート130上に模擬心電図波形を併せて表示させ、さらに、模擬心電図波形にR−R間隔の時間(同図に示す「R−R=950」)を表示させる。さらに、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、R波からT2コントラストを付与するためのプリパルスまでの遅延時間(同図に示す「Td=200」)を表示させる。
【0080】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、タイムチャート130とともに、心電図波形、R−R間隔の時間、および、R波からの遅延時間を表示させることによって、操作者は、R波から200ミリ秒の遅延時間の後に各プリパルスが所定の期間印加され、次いでダミーパルスの印加が行われた後に拡張期に相当する時相にデータ収集が行われるパルスシーケンスが組み立てられた様子を目視により容易に確認することができる。
【0081】
また、心電同期を併用した冠状動脈撮像では、画質を左右する要因として、データ収集が心臓の動きの比較的少ない拡張期に行われること、一心拍内のデータ収集時間が全撮像時間内の許される範囲でできるだけ短く設定されていること、脂肪抑制パルス「F」、動きを検出するためのデータ収集「Nav」などができるだけデータ収集「acq」に近いタイミングで実行されることなどがある。
【0082】
従来、これら要因となる撮像パラメータが適切に設定されているか否かは、操作者にとって撮像条件設定画面だけでは理解が困難であった。しかし、本実施例によれば、タイムチャート130とともに、心電図波形、R−R間隔の時間、および、R波からT2コントラストを付与するためのプリパルスまでの遅延時間がまとめて表示されるので、撮像パラメータが適切に設定されているか否かを操作者が容易に判断することができるようになる。
【0083】
さらに、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、表示されたタイムチャート130において操作者から指定された一部分をさらに拡大して詳細に表示するようにしてもよい。同図に示すチャート拡大図131は、データ収集部「acq」を拡大した図を示しており、「acq」が、4回の連続したフィールドエコー収集より構成されていることを示している。
【0084】
通常、撮像条件設定の操作においては、同図に示したチャート拡大図131よりも詳細なパルスシーケンスの情報を知ることは必ずしも要求されない。しかし、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、チャート拡大図131をさらに拡大して詳細を表示する(例えば、高周波パルス、スライス選択用の傾斜磁場パルス、位相エンコード用の傾斜磁場パルス、周波数エンコード用の傾斜磁場パルスなど、パルスの種類ごとにパルスシーケンスを表示する)ようにしてもよい。その場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、例えば、操作者の資格に応じて、どこまで詳細な情報を開示するかを制御する。
【0085】
(2)分割型フィールドエコー法による撮像
次に、セグメントと呼ばれる複数の単位にk空間を分割し、セグメントごとにプリパルスの印加や心電同期を行うセグメント分割型フィールドエコー法による撮像に関するタイムチャートの表示について説明する。
【0086】
具体的には、記憶部14から読み出した検査情報14aが分割型フィールドエコー法による撮像の撮像条件を示すものであった場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、脂肪抑制プリパルスを示す図形とセグメントを示す図形とを交互に並べたタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0087】
図8は、セグメント分割型フィールドエコー法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図であり、脂肪抑制プリパルスが併用される場合を示している。同図(a)に示すように、例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、セグメント数が2である場合には、脂肪抑制プリパルスを示す「F」、ひとつ目のセグメントを示す図形「Seg1」、脂肪抑制プリパルスを示す「F」、ふたつ目のセグメントを示す「Seg2」を順番に並べたタイムチャート230を表示させる。
【0088】
そして、例えば、操作者によってセグメント数が8に変更された場合には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、同図(b)に示すように、セグメントを示す図形を8つに増やし、各セグメントを示す図形「Seg1」〜「Seg8」それぞれの直前に脂肪抑制プリパルス「F」が配置された状態となるようにタイムチャート230の表示を変更する。
【0089】
このように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、操作者によって設定されたセグメント数に基づいてタイムチャート230の表示を変えることによって、操作者は、脂肪抑制パルスの数が増えた結果、セグメント数以外の撮像条件が全て同じであっても、全体の撮像時間が増加し、その代わりに脂肪抑制パルスの頻度が上がるために脂肪抑制効果が向上することを容易に確認することができる。
【0090】
このような撮像条件の変更による撮像時間や画質に与える影響は、パルスシーケンスのタイミングを示すことにより始めて説明できるものである。このことは、通常、装置の取扱説明書などに記述されているが、上記のように、撮像条件の編集時に撮像条件変更と同時にその変化を示すことによって、操作者が画質への影響をよりよく理解できるようになる。
【0091】
(3)ASL(Arterial Spin Labeling)による血管撮像
次に、ASLによる血管撮像に関するタイムチャートの表示について説明する。なお、ここでは、ASL法の一手法であるTime−SLIP法と呼ばれる手法について説明する。このTime−SLIP法は、特定の血管のみを選択的に描出するために、撮像領域と独立に選択的反転パルスの領域を設定することを特徴とした手法である。
【0092】
具体的には、記憶部14から読み出した検査情報14aがTime−SLIP法による撮像の撮像条件を示すものであった場合、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、反転パルスやデータ収集などを表示したタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0093】
図9は、Time−SLIP法による撮像に関するタイムチャートの一例を示す図である。同図は、反転パルスを印加して一定時間が経過した後にデータ収集を行うことによって、撮像領域内に流入する動脈血のみを描出する場合を示している。また、同図の例では、同じ時間に流入する静脈血からの信号を抑制するために別の領域にプリサチュレーションパルスを併せて印加している。
【0094】
同図(a)に示すように、例えば、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、反転パルスを示す図形「IR」や、プリサチュレーションパルスを示す図形「p」、データ収集を示す「acq」の前に配置したタイムチャート330を表示させる。また、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、タイムチャート330上に模擬心電図波形を併せて表示させ、さらに、模擬心電図波形にR−R間隔の時間(同図に示す「R−R=900」)と、反転パルスからデータ収集までの時間(同図に示す「TI=600」)を表示させる。
【0095】
ASL法により特定の血管の描出を行う場合には、血管の走行とおおよその血流速、各パルスのタイミングと位置を全て勘案して撮像条件を適切に設定することが重要であるが、本実施例によれば、タイムチャート330とともに、心電図波形、R−R間隔の時間、および、反転パルスからデータ収集までの時間がまとめて表示されるので、撮像パラメータが適切に設定されているか否かを操作者が容易に判断することができるようになる。
【0096】
なお、反転パルスを示す図形「IR」、プリサチュレーションパルスを示す図形「P」、データ収集を示す図形「acq」をタイムチャート330に表示させる際、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、パルスの種類ごとに異なる色、階調あるいは網掛けなどのパターンで図形を表示させるようにしてもよい。そして、その上で、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、同図(b)に示すように、各パルスを示す図形と同じ色または階調、パターンで位置決め画像340上にその場所を示す図形(ここでは、四角形)を表示させてもよい(同図(b)の例では、色や階調、パターンを変える代わりに、四角形の線種を変えている)。これにより、各パルスの空間的位置と時間的順序との対応を操作者が容易に理解することができるようになる。
【0097】
(4)収集データのk空間における位置の表示
MRI装置では、収集されたデータの実空間(k空間と呼ばれる)における位置によって、当該データをフーリエ変換して得られる画像に与える影響が異なる。具体的には、k空間の中心付近、すなわち、低周波領域に配置された信号は画像のコントラストに影響を与え、画像の輪郭はk空間の外側、すなわち、高周波領域に配置された信号に支配されることが良く知られている。
【0098】
したがって、MRI装置による撮像では、k空間上に配置されるデータをどのような順序で収集するかが重要になる場合がある。そこで、撮像条件編集/撮像位置決め部17aが、収集データのk空間における位置をタイムチャートとともにタイムチャート表示部15cに表示させるようにしてもよい。
【0099】
図10は、収集データのk空間における位置を表示する場合のタイムチャートの一例を示す図である。同図は、造影剤を静脈から注入した後に撮像を連続的に繰り返す、いわゆるダイナミック撮像におけるタイムチャートの一例を示している。
【0100】
具体的には、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、記憶部14から読み出した検査情報14aがダイナミック撮像の撮像条件を示すものであった場合には、連続する撮像すなわちデータ収集の実行タイミングを示す時刻を表示したタイムチャートをタイムチャート表示部15cに表示させる。
【0101】
例えば、同図(a)に示すように、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、5つの時相におけるデータ収集の幅示す図形「ph.1」〜「ph.5」を、データ収集が開始される時刻とともに配置したタイムチャート430を表示させる。ここで、「ph.1」〜「ph.5」を表示する際、撮像条件編集/撮像位置決め部17aは、k空間中心からあらかじめ設定された割合(例えば、25%)以内に含まれるデータが収集される部分については、他の部分とは異なる色または階調あるいはパターンで表示する。
【0102】
フーリエ変換によって得られる画像のコントラストは、k空間中心のデータが収集されるタイミングで決まる。そのため、k空間中心のデータが収集される、造影剤注入の開始からの時刻を知ることは、適切なコントラストの画像を得るために、各時相のデータ収集全体の時刻を知ることと同じく重要である。
【0103】
本実施例によれば、ダイナミック撮像における時相ごとに、データ収集の幅を示す「ph.1」〜「ph.5」が時間とともに表示され、さらに、「ph.1」〜「ph.5」それぞれには、収集データのk空間における位置が表示されるので、適切なコントラスの画像を得るために必要な撮像条件が正しく設定されているか否かを容易に確認することができるようになる。
【0104】
なお、同図(a)では、収集データをk空間中心から25%以内の領域とそれ以外の領域の2つに分割して表示する例を示したが、領域を分割する数は2つに限られるわけではなく、より細かく分割してもよい。その場合、データ収集の幅を示す図形の表示は、例えば、同図(b)に示すように、より詳細なものとなる。なお、同図(c)は、(b)に示した図形により示される収集データのk空間における位置を示している。
【0105】
なお、上記で説明した実施例では、撮像条件の編集過程でタイムチャートを表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、装置の実装上、パルスシーケンス実行データが生成される際に検査情報が更新されるような場合には、パルスシーケンス実行データが生成された後に、タイムチャートを表示することができるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、撮像条件の変更による画像への影響を確認する場合に有用であり、特に、データ収集に際して実行されるイベントの時間的順序を確認する場合に適している。
【符号の説明】
【0107】
1 静磁場磁石
2 傾斜磁場コイル
3 傾斜磁場電源
4 寝台
4a 天板
5 寝台制御部
6 送信RFコイル
7 送信部
8 受信RFコイル
9 受信部
10 計算機システム
11 インタフェース部
12 データ収集部
13 データ処理部
14 記憶部
14a 検査情報
15 表示部
15a 撮像条件編集表示部
15b 位置決め表示部
15c タイムチャート表示部
16 入力部
17 制御部
17a 撮像条件編集/撮像位置決め部
17b 撮像パラメータ限界計算部
17c パルスシーケンス実行データ生成部
17d パルスシーケンス実行データ
20 撮像条件編集画面
21 プリサットボタン
22 インターリーブボタン
23 シーケンスチャートボタン
30,130,230,330,430 タイムチャート
40,340 位置決め画像
100 MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)
131 チャート拡大図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、
前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、撮像シーケンスのプリパルスを含むイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させるチャート表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記チャート表示制御手段は、撮像の種類に応じて前記タイムチャートの表示形態を変えることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記タイムチャートは、複数種のプリパルスを含むタイムチャートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記複数種のプリパルスは、T2コントラストを付与するためのプリパルス、体動を検出して動きを補正するためのプリパルス、関心領域外の不要な信号を抑制するためのプリサチュレーションパルス、脂肪信号を抑制するためのパルス、及び定常状態を促進するためのダミーパルスのうちの少なくとも2つであることを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記タイムチャートは、データ収集を示す情報の前に前記複数種のプリパルスを配置したタイムチャートであることを特徴とする請求項3又は4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記チャート表示制御手段は、前記撮像シーケンスが心電同期を併用した冠状動脈撮像であった場合に、前記タイムチャートに心電図波形を併せて表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記チャート表示制御手段は、前記心電図波形に、R−R間隔の時間又はR波からT2コントラストを付与するためのプリパルスまでの遅延時間を併せて表示させることを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記チャート表示制御手段は、前記タイムチャートにおいて操作者から指定された一部分をさらに拡大して詳細に表示させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記チャート表示制御手段は、前記イベントの種類としてのデータ収集部を拡大して詳細に表示させることを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記プリパルスは反転パルスであることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記チャート表示制御手段は、前記タイムチャートに前記反転パルスからデータ収集までの時間を併せて表示させることを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記チャート表示制御手段は、前記反転パルス及びデータ収集の場所を示す図形を含む位置決め画像と併せて前記タイムチャートを表示させることを特徴とする請求項10又は11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、
前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、前記データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させ、さらに、前記イベントに係るスライス領域またはパルス印加領域の位置を示す位置決め画像を表示させ、当該位置決め画像におけるスライス領域またはパルス印加領域の表示と前記タイムチャートにおけるイベントの表示とをイベントごとに連動させて制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項1】
磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、
前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、撮像シーケンスのプリパルスを含むイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させるチャート表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記チャート表示制御手段は、撮像の種類に応じて前記タイムチャートの表示形態を変えることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記タイムチャートは、複数種のプリパルスを含むタイムチャートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記複数種のプリパルスは、T2コントラストを付与するためのプリパルス、体動を検出して動きを補正するためのプリパルス、関心領域外の不要な信号を抑制するためのプリサチュレーションパルス、脂肪信号を抑制するためのパルス、及び定常状態を促進するためのダミーパルスのうちの少なくとも2つであることを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記タイムチャートは、データ収集を示す情報の前に前記複数種のプリパルスを配置したタイムチャートであることを特徴とする請求項3又は4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記チャート表示制御手段は、前記撮像シーケンスが心電同期を併用した冠状動脈撮像であった場合に、前記タイムチャートに心電図波形を併せて表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記チャート表示制御手段は、前記心電図波形に、R−R間隔の時間又はR波からT2コントラストを付与するためのプリパルスまでの遅延時間を併せて表示させることを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記チャート表示制御手段は、前記タイムチャートにおいて操作者から指定された一部分をさらに拡大して詳細に表示させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記チャート表示制御手段は、前記イベントの種類としてのデータ収集部を拡大して詳細に表示させることを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記プリパルスは反転パルスであることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記チャート表示制御手段は、前記タイムチャートに前記反転パルスからデータ収集までの時間を併せて表示させることを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記チャート表示制御手段は、前記反転パルス及びデータ収集の場所を示す図形を含む位置決め画像と併せて前記タイムチャートを表示させることを特徴とする請求項10又は11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
磁気共鳴現象を利用して被検体内に関するデータを収集することにより被検体の画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置であって、
操作者により設定された撮像パラメータの値に基づいて、前記データの収集に関する撮像条件を示す検査情報を生成する撮像条件生成手段と、
前記撮像条件生成手段によって生成された検査情報に基づいて、前記データの収集に際して実行されるイベントの種類および時系列の実行順序を表すタイムチャートを生成して表示部に表示させ、さらに、前記イベントに係るスライス領域またはパルス印加領域の位置を示す位置決め画像を表示させ、当該位置決め画像におけるスライス領域またはパルス印加領域の表示と前記タイムチャートにおけるイベントの表示とをイベントごとに連動させて制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【公開番号】特開2013−106989(P2013−106989A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−48296(P2013−48296)
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2008−93233(P2008−93233)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2008−93233(P2008−93233)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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