説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】撮像条件の編集を簡易に行うことができる磁気共鳴イメージング装を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、設定部と、計算部と、表示制御部とを備える。設定部は、撮像条件に含まれる所定のパラメータについて値の変更をシミュレーションする指示を受け付け、指示を受け付けたパラメータにシミュレーション値を設定する。計算部は、所定のパラメータに設定されたシミュレーション値を用いて、撮像条件に含まれる他のパラメータの値を計算する。表示制御部は、計算の結果に基づいて、所定のパラメータと連動して値が変更し得るパラメータを特定し、特定したパラメータを、撮像条件を編集するための編集画面上で他のパラメータと区別して表示するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置)による撮像は、予め設定された撮像条件に従って行われる。例えば、撮像計画時、MRI装置の操作者は、コンソールに表示された撮像条件編集画面(以下、編集画面)を見ながら撮像条件を編集する。この編集後の撮像条件がMRI装置に設定され、MRI装置は、設定された撮像条件に従って撮像を行う。MRI装置による撮像の種類は様々であるため、撮像条件の編集も、撮像条件に含まれる多数のパラメータに対して細かく行われる。
【0003】
ここで、あるパラメータに対して行われた値の変更が、1つ又は複数の他のパラメータの値に波及することがある。このため、従来のMRI装置には、このようなパラメータの値が変更された場合に、他のパラメータの値を自動的に変更し、変更後の値を異なる色で表示する仕組みが組み込まれている。しかしながら、例えば操作者の熟練度が低い場合、操作者にとって意図しないパラメータの値が変更されてしまう結果となり、撮像条件の編集は難しいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−255189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、撮像条件の編集を簡易に行うことができるMRI装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のMRI装置は、設定部と、計算部と、表示制御部とを備える。前記設定部は、撮像条件に含まれる所定のパラメータについて値の変更をシミュレーションする指示を受け付け、前記指示を受け付けたパラメータにシミュレーション値を設定する。前記計算部は、前記所定のパラメータに設定されたシミュレーション値を用いて、前記撮像条件に含まれる他のパラメータの値を計算する。前記表示制御部は、前記計算の結果に基づいて、前記所定のパラメータと連動して値が変更し得るパラメータを特定し、特定したパラメータを、前記撮像条件を編集するための編集画面上で他のパラメータと区別して表示するように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る計算機システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るパラメータ値設定部による処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るパラメータ値計算部による処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第1の実施形態に係るパラメータ値計算部による計算処理を説明するための図である。
【図10】図10は、第1の実施形態に係るパラメータ値計算部による計算処理を説明するための図である。
【図11】図11は、第1の実施形態に係る編集画面表示制御による処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施形態に係るMRI装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
【図14】図14は、第2の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るMRI装置は、撮像条件に含まれるパラメータの値が変更される前に、変更の影響が及び得る他のパラメータを操作者に通知する。以下、第1の実施形態に係るMRI装置の構成を簡単に説明した後に、第1の実施形態における具体的な処理を詳細に説明する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示すブロック図である。静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から電流の供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源3は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0010】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で、撮像口である傾斜磁場コイル2の空洞内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0011】
送信コイル6は、高周波磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7から高周波パルス(以下、RF(Radio Frequency)パルス)の供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部7は、シーケンス制御部10から送信される制御信号に従って、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル6に送信する。
【0012】
受信コイル8は、磁気共鳴信号(以下、MR(Magnetic Resonance)信号)を受信する。具体的には、受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから放射されるMR信号を受信する。また、受信コイル8は、受信したMR信号を受信部9に出力する。
【0013】
受信部9は、シーケンス制御部10から送られる制御信号に従って、受信コイル8から出力されたMR信号に基づきMR信号データを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8から出力されたMR信号をデジタル変換することによってMR信号データを生成し、生成したMR信号データを、シーケンス制御部10を介して計算機システム20に送信する。なお、受信部9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2などを備える架台装置側に備えられていてもよい。
【0014】
シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9を制御する。具体的には、シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されたパルスシーケンス実行データに基づく制御信号を、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。
【0015】
計算機システム20は、インタフェース部21と、画像再構成部22と、記憶部23と、入力部24と、表示部25と、制御部26とを備える。インタフェース部21は、シーケンス制御部10に接続され、シーケンス制御部10と計算機システム20との間で送受信されるデータの入出力を制御する。画像再構成部22は、シーケンス制御部10から送信されたMR信号データから画像データを再構成し、再構成した画像データを記憶部23に格納する。
【0016】
記憶部23は、撮像条件に含まれるパラメータに設定された値、画像再構成部22によって格納された画像データや、MRI装置100において用いられるその他のデータを記憶する。例えば、記憶部23は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどである。
【0017】
入力部24は、撮像条件を編集するための各種指示や撮像指示などを操作者から受け付ける。例えば、入力部24は、撮像条件に含まれるパラメータに対する値の変更指示や、値の変更をシミュレーションする指示などを受け付ける。例えば、入力部24は、マウス、キーボードなどである。表示部25は、編集画面や画像データなどを表示する。例えば、表示部25は、液晶ディスプレイなどである。
【0018】
制御部26は、上述した各部を制御することによってMRI装置100を総括的に制御する。例えば、制御部26は、撮像条件の編集を操作者から受け付けると、受け付けた撮像条件に基づいてパルスシーケンス実行データを生成し、生成したパルスシーケンス実行データをシーケンス制御部10に送信する。例えば、制御部26は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0019】
ところで、第1の実施形態に係るMRI装置100は、上述したように、撮像条件に含まれるパラメータの値(以下、パラメータ値)が変更される前に、変更の影響が及び得る他のパラメータを操作者に通知する。
【0020】
図2〜5は、第1の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。なお、図2〜5において、色を表現することが困難であるため、説明の便宜上円で囲むなどして説明する。
【0021】
第1の実施形態に係るMRI装置100は、例えば、図2の符号aに示すように、パラメータ『No Slice(スライス数)』について、下限方向への値の変更をシミュレーションする指示を受け付けると、図3の符号bに示すように、変更の影響が及び得るパラメータとしてパラメータ『TR(Repetition Time:繰り返し時間)』のパラメータ値を他のパラメータのパラメータ値と異なる色で表示する。例えば、MRI装置100は、『266.0』の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。これは、パラメータ『No Slice』の値を下限方向に変更すると、パラメータ『TR』に影響が及ぶことを操作者に通知するものである。
【0022】
また、第1の実施形態に係るMRI装置100は、例えば、図4の符号cに示すように、パラメータ『No Slice』について、上限方向への値の変更をシミュレーションする指示を受け付けると、図5の符号dに示すように、変更の影響が及び得るパラメータとしてパラメータ『TR』のパラメータ値を他のパラメータのパラメータ値と異なる色で表示するとともに、符号eに示すように、変更の影響が及び得るパラメータが属する編集画面のタブとしてタブ『SAR(Specific Absorption Rate:比吸収率)』を他のタブと異なる色で表示する。例えば、MRI装置100は、『266.0』の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示するとともに、タブ『SAR』の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のタブは白色)で表示する。これは、パラメータ『No Slice』の値を上限方向に変更すると、タブ『SAR』に属するパラメータに影響が及ぶことを操作者に通知するものである。
【0023】
なお、図2及び図4に示すように、第1の実施形態において、編集画面は、各編集画面に付されたタブが選択されると、選択されたタブが付された編集画面に切り替えて表示される編集画面群である。例えば、図2及び図4に示すように、『Basic』のタブが付された編集画面、『SAR』のタブが付された編集画面、及び『Advance』のタブが付された編集画面の編集画面群である。
【0024】
このようなMRI装置100の機能は、第1の実施形態において、計算機システム20によって実現される。そこで、以下では、第1の実施形態に係る計算機システム20を詳細に説明する。
【0025】
図6は、第1の実施形態に係る計算機システム20の構成を示すブロック図である。図6に示すように、計算機システム20の記憶部23は、編集画面情報記憶部23aと、パラメータ値記憶部23bとを備える。
【0026】
編集画面情報記憶部23aは、編集画面の定義情報などを記憶する。また、パラメータ値記憶部23bは、プリセットされたパラメータ値や、撮像条件が編集された後のパラメータ値などを記憶する。編集画面情報記憶部23a及びパラメータ値記憶部23bによって記憶された各種情報は、後述するパラメータ値計算部26bや編集画面表示制御部26cによる処理に利用される。
【0027】
制御部26は、パラメータ値設定部26aと、パラメータ値計算部26bと、編集画面表示制御部26cとを備える。
【0028】
(パラメータ値設定部26a)
パラメータ値設定部26aは、撮像条件の編集操作として、パラメータ値の変更指示、又は、パラメータ値の変更をシミュレーションする指示(以下、シミュレーション指示)を、入力部24を介して受け付ける。例えば、図2及び図4に示すように、パラメータ値設定部26aは、例えば、パラメータ『No Slice』の横に配置された上向きの三角ボタン又は下向きの三角ボタンにおいて、マウスの左クリック又は右クリックを受け付ける。
【0029】
また、パラメータ値設定部26aは、受け付けた編集操作が通常の変更指示である場合は、変更指示を受け付けたパラメータに、変更指示後のパラメータ値を設定し、設定後のパラメータ値をパラメータ値記憶部23bに格納する。一方、パラメータ値設定部26aは、受け付けた編集操作がシミュレーション指示である場合は、シミュレーション指示を受け付けたパラメータにシミュレーション値を設定する。
【0030】
そして、パラメータ値設定部26aは、変更指示又はシミュレーション指示を受け付けたパラメータ、このパラメータに設定されたパラメータ値又はシミュレーション値、及び、変更指示であるかシミュレーション指示であるかを示すシミュレーションフラグを、パラメータ値計算部26bに送る。
【0031】
図7は、第1の実施形態に係るパラメータ値設定部26aによる処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、パラメータ値設定部26aは、入力部24を介して編集操作を受け付けると(ステップS101)、受け付けた操作が、入力部24であるマウスの右クリックであったか否かを判定する(ステップS102)。すなわち、第1の実施形態において、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション指示の受け付けを、通常の変更指示を受け付けるボタンと同一のボタン(例えば、図2及び図4に示す三角ボタン)において受け付けるが、変更指示の操作である左クリックと異なる操作である右クリックによって受け付ける。
【0032】
左クリックの場合(ステップS102否定)、パラメータ値設定部26aは、通常の変更指示であるので、編集画面上で押下されたボタンの種類及び回数を取得し(ステップS103)、該当するパラメータのパラメータ値に、種類及び回数に応じたパラメータ値を設定する(ステップS104)。
【0033】
例えば、パラメータ値設定部26aは、編集画面上で押下されたボタンの種類が、パラメータ『No Slice』に対応する上向きの三角ボタンであること、及び、押下された回数が『5回』であることを取得する。そして、パラメータ値設定部26aは、パラメータ『No Slice』のパラメータ値に、現在設定されているパラメータ値『20』に『5』を加えたパラメータ値『25』を設定し、設定後のパラメータ値『25』をパラメータ値記憶部23bに格納する。
【0034】
その後、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション指示であることを示すシミュレーションフラグを「OFF」に設定し(ステップS105)、変更指示を受け付けたパラメータ、このパラメータに設定されたパラメータ値、及びシミュレーションフラグをパラメータ値計算部26bに送り、処理を終了する。
【0035】
一方、ステップS102において、右クリックの場合(ステップS102肯定)、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション指示であるので、続いて、上向きの三角ボタンであるか否かを判定する(ステップS106)。すなわち、第1の実施形態において、パラメータ値設定部26aは、パラメータ値の上限方向への変更をシミュレーションするシミュレーション指示、又は、下限方向への変更をシミュレーションするシミュレーション指示のいずれかを、区別して受け付ける。そして、パラメータ値設定部26aは、受け付けた方向に応じたシミュレーション値を、該当するパラメータのパラメータ値に設定する。
【0036】
図4の符号cに示すように、上向きの三角ボタンである場合(ステップS106肯定)、パラメータ値の上限方向への変更をシミュレーションするシミュレーション指示であるので、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション値として、該当するパラメータの許容設定範囲に含まれる最大値を、シミュレーション指示を受け付けたパラメータに設定する(ステップS107)。
【0037】
一方、図2の符号aに示すように、下向きの三角ボタンである場合(ステップS106否定)、パラメータ値の下限方向への変更をシミュレーションするシミュレーション指示であるので、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション値として、該当するパラメータの許容設定範囲に含まれる最小値を、シミュレーション指示を受け付けたパラメータに設定する(ステップS108)。
【0038】
その後、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション指示であることを示すシミュレーションフラグを「ON」に設定し(ステップS109)、シミュレーション指示を受け付けたパラメータ、このパラメータに設定されたシミュレーション値、及びシミュレーションフラグをパラメータ値計算部26bに送り、処理を終了する。
【0039】
なお、図7に示した処理手順は一例に過ぎない。例えば、第1の実施形態において、パラメータ値設定部26aは、左クリックであるか右クリックであるかに応じて、通常の変更指示であるかシミュレーション指示であるかを判定した。このような手法によれば、シミュレーション指示のための操作が通常の変更指示と殆ど変らないこと、シミュレーション指示のための特別なボタンを表示する必要がなく、編集画面の設計上好ましいこと、などが利点として挙げられる。なお、右クリックにシミュレーション指示を割り当てる例に限られるものではなく、例えばマウスの中央に操作ボタンがあれば、中央の操作ボタンのクリックにシミュレーション指示を割り当ててもよい。すなわち、何らかの指示が割り当てられていない操作であればよい。
【0040】
もっとも、実施形態にはこれに限られるものではない。例えば、他の操作と通常の操作との組合せによって、通常の変更指示であるかシミュレーション指示であるかを判定する手法であってもよい。例えば、単にマウスの左クリックがなされた場合であるか、マウスの左クリックがなされるとともに、キーボードの「Shiftキー」、「Ctrlキー」、又は「Altキー」などが組み合わせて押下された場合であるかによって判定する手法であってもよい。また、例えば、シミュレーション指示のための特別なボタンや、シミュレーションモードに切り替えるためのメニューなどを、編集画面上に表示する手法であってもよい。
【0041】
また、例えば、第1の実施形態において、パラメータ値設定部26aは、シミュレーション値として、該当するパラメータの許容設定範囲に含まれる最大値や最小値を設定した。このような手法によれば、シミュレーションがシンプルになることなどが利点として挙げられる。もっとも、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、通常の変更指示と同様に、パラメータ値設定部26aは、編集画面上で押下されたボタンの種類及び回数を取得し、取得した種類及び回数に応じたパラメータ値をシミュレーション値として設定してもよい。
【0042】
(パラメータ値計算部26b)
図6に戻り、パラメータ値計算部26bは、パラメータ、パラメータ値又はシミュレーション値、及びシミュレーションフラグを、パラメータ値設定部26aから受け付ける。通常の変更指示の場合は、パラメータに設定されたパラメータ値を用いて、また、シミュレーション指示の場合は、パラメータに設定されたシミュレーション値を用いて、撮像条件に含まれる他のパラメータのパラメータ値を計算する。なお、この計算処理は、後述するように、必要に応じて行われる。
【0043】
そして、パラメータ値計算部26bは、計算処理を行った場合は、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータ及びシミュレーションフラグと、計算結果である各パラメータのパラメータ値とを編集画面表示制御部26cに送る。また、パラメータ値計算部26bは、計算処理を行わなかった場合は、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータ及びシミュレーションフラグを編集画面表示制御部26cに送る。
【0044】
図8は、第1の実施形態に係るパラメータ値計算部26bによる処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、パラメータ値計算部26bは、パラメータ値設定部26aから、パラメータ、パラメータ値又はシミュレーション値、及びシミュレーションフラグを受け付けると(ステップS201)、受け付けたパラメータについて行われるパラメータ値の変更が、他のパラメータのパラメータ値に影響し得るか否かを判定する(ステップS202)。
【0045】
ここで、以下では、パラメータ値の変更が他のパラメータのパラメータ値に影響し得るパラメータ、あるいは、他のパラメータのパラメータ値の変更の影響を受けてパラメータ値が変更し得るパラメータのことを、適宜「連動パラメータ」という。すなわち、ステップS202において、パラメータ値計算部26bは、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータが、連動パラメータであるか否かを判定する。また、第1の実施形態において、パラメータ値計算部26bは、撮像条件に含まれる各パラメータについて、連動パラメータであるか否かを示す情報を、操作者によって事前に登録されることで予め記憶しており、この情報に基づいて連動パラメータであるか否かを判定する。
【0046】
連動パラメータでない場合(ステップS202否定)、パラメータ値計算部26bは、他のパラメータのパラメータ値を計算する計算処理が不要であるので、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータ及びシミュレーションフラグを編集画面表示制御部26cに送り、処理を終了する。
【0047】
一方、連動パラメータである場合(ステップS202肯定)、パラメータ値計算部26bは、既存のアルゴリズムを用いた計算処理によって、撮像条件に含まれる他のパラメータのパラメータ値を計算し(ステップS203)、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータ及びシミュレーションフラグと、計算結果である各パラメータのパラメータ値とを、編集画面表示制御部26cに送る。
【0048】
なお、この計算処理に用いられるパラメータ値は、通常の変更指示の場合は、パラメータに設定されたパラメータ値であり、また、シミュレーション指示の場合は、パラメータに設定されたシミュレーション値であるが、パラメータ値計算部26bは、特にこの違いを把握することなく計算処理を行えばよい。すなわち、パラメータ値計算部26bによる計算処理は、既存のアルゴリズムを用いた計算処理に変更を加えることなく、実現することができる。
【0049】
図9及び図10は、第1の実施形態に係るパラメータ値計算部26bによる計算処理を説明するための図である。上述したように、パラメータ値計算部26bは、既存のアルゴリズムを用いた計算処理を行う。撮像条件に含まれるパラメータは多数、かつ、パラメータ間の影響関係は複雑である。既存のアルゴリズムは、相互に影響し合うパラメータ群として予め特定されたパラメータ群について、あるパラメータのパラメータ値が変更された場合に他のパラメータ値を計算するための計算式として予め生成されたものである。なお、パラメータは多数であるので、一般に、既存のアルゴリズムは、複数の計算式を含む。
【0050】
図9に示すように、例えば、パラメータa、パラメータb、パラメータc、及びパラメータxの間に影響関係が存在することが、予め特定されていたとする。この場合、例えば、図9に示すように、パラメータa、パラメータb、又はパラメータcのパラメータ値が変更された場合にパラメータxのパラメータ値を計算するための既存のアルゴリズムとして、x=f(a、b、c)が予め生成される。
【0051】
例えば、パラメータ値設定部26aによってパラメータaに対するシミュレーション指示が受け付けられ、パラメータaに最大値が設定されたとする。この場合、パラメータ値計算部26bは、既存のアルゴリズムを参照し、複数の計算式の中から例えばパラメータaを含む計算式を抽出し、例えば「x=f(a、b、c)」を取得する。次に、パラメータ値計算部26bは、パラメータ値記憶部23bを参照し、関数f(a、b、c)に含まれる他のパラメータb及びパラメータcに現在設定されているパラメータ値(図6において「設定値」)を取得する。
【0052】
そして、パラメータ値計算部26bは、パラメータaには最大値を代入し、パラメータb及びパラメータcには現在設定されているパラメータ値を代入することで、関数f(a、b、c)を計算し、計算結果として、パラメータxのパラメータ値を取得する。このパラメータxのパラメータ値は、パラメータ値設定部26aによって受け付けられた指示がシミュレーション指示である場合、シミュレーション結果となる。
【0053】
既存のアルゴリズムについて、具体的な例を挙げて説明する。撮像条件に含まれるパラメータの一つに『SAR』がある。MRI装置による撮像においては、撮像計画段階においてパラメータ値に適宜制限を加えることで、このSARの値が許容値を超過しないように制御される。このSARの値は、例えば、静磁場の2乗に比例し、フリップ角の2乗に比例し、一定時間内のRFパルスの数に比例することなどが既知である。このため、このような既知の関係から、SARの値と、撮像条件に含まれる複数のパラメータとの数学的な関係も既知となり、既知のアルゴリズムが予め生成される。例えば、パラメータ値計算部26bは、SAR=f(パラメータ『TR』、パラメータ『FA(Flip Angle:フリップ角)』、パラメータ『スライス数』)という計算式を、既知のアルゴリズムとして予め記憶する。
【0054】
また、パラメータ値計算部26bは、このような計算式を、例えば図10に示すようなif文で記述されたプログラムとして記憶する。なお、図10に示す例は、ある計算式について示した一例に過ぎない。例えば、パラメータ『NUM_DUMMY_SHOT』=f(パラメータ『DETAIL_TR』、パラメータ『FLIP_ANGLE』、パラメータ『GATING_METHOD』)という計算式に対応するプログラムである。なお、パラメータ値計算部26bによって記憶される既存のアルゴリズムは、運用の形態に応じて適宜生成されたプログラムであればよい。また、一般に、パラメータ値計算部26bは、このようなプログラムを多数記憶する。
【0055】
(編集画面表示制御部26c)
図6に戻り、編集画面表示制御部26cは、パラメータ値計算部26bにて計算処理が行われた場合、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータ及びシミュレーションフラグと、計算結果である各パラメータのパラメータ値とをパラメータ値計算部26bから受け付ける。また、編集画面表示制御部26cは、パラメータ値計算部26bにて計算処理が行われていない場合、パラメータ値設定部26aから受け付けたパラメータ及びシミュレーションフラグをパラメータ値計算部26bから受け付ける。
【0056】
そして、編集画面表示制御部26cは、パラメータ値計算部26bにて計算処理が行われた場合は、計算結果に基づいて、影響を受けた連動パラメータを特定し、特定した連動パラメータを、編集画面上で他のパラメータと区別して表示するように制御する。
【0057】
図11は、第1の実施形態に係る編集画面表示制御部26cによる処理手順を示すフローチャートである。図11に示すように、編集画面表示制御部26cは、パラメータ値設定部26aからパラメータ及びシミュレーションフラグなどを受け付けると(ステップS301)、シミュレーションフラグが「ON」であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0058】
シミュレーションフラグが「OFF」の場合(ステップS302否定)、編集画面表示制御部26cは、編集画面情報記憶部23a及びパラメータ値記憶部23bを参照し、通常のパラメータ値変更を伴う編集処理として、変更後のパラメータ値に応じた編集画面を表示する(ステップS303)。
【0059】
一方、シミュレーションフラグが「ON」の場合(ステップS302肯定)、編集画面表示制御部26cは、影響を受けた連動パラメータが存在するか否かを判定する(ステップS304)。
【0060】
例えば、編集画面表示制御部26cは、パラメータ値計算部26bから計算結果である各パラメータのパラメータ値を受け付けていない場合は、そもそも計算処理が行われていない場合であるので、影響を受けた連動パラメータは存在しないと判定する。また、例えば、編集画面表示制御部26cは、パラメータ値計算部26bから計算結果である各パラメータのパラメータ値を受け付けた場合は、計算結果として示されたパラメータ値と、現在設定されているパラメータ値としてパラメータ値記憶部23bに記憶されているパラメータ値とを比較し、変更が生じていれば、影響を受けた連動パラメータとして特定する。
【0061】
影響を受けた連動パラメータが存在しない場合(ステップS304否定)、編集画面表示制御部26cは、現在表示している編集画面を特に変更することなく表示する(ステップS305)。
【0062】
一方、影響を受けた連動パラメータが存在する場合(ステップS304肯定)、編集画面表示制御部26cは、次に、影響を受けた連動パラメータが、シミュレーション指示を受け付けたパラメータが属する編集画面と同一のタブが付された編集画面に属するパラメータであるか否かを判定する(ステップS306)。ここで、上述したように、第1の実施形態において、編集画面は、各編集画面に付されたタブが選択されると、選択されたタブが付された編集画面に切り替えて表示される編集画面群である。
【0063】
同一のタブが付された編集画面に属するパラメータである場合(ステップS306肯定)、編集画面表示制御部26cは、影響を受けた連動パラメータのパラメータ値を、他のパラメータ値と異なる色で表示する(ステップS307)。例えば、編集画面表示制御部26cは、図3の符号bに示すように、パラメータ「TR」のパラメータ値「266.0」の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。なお、パラメータ値そのものは、シミュレーション結果を反映せず、シミュレーション指示の前の値を維持する。
【0064】
同一のタブが付された編集画面に属するパラメータでない場合(ステップS306否定)、編集画面表示制御部26cは、影響を受けたパラメータが属する編集画面を特定し(ステップS308)、特定した編集画面に付されたタブを、他の編集画面に付されたタブと異なる色で表示する(ステップS309)。例えば、編集画面表示制御部26cは、図5に示すように、タブ「SAR」の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のタブは白色)で表示する。なお、編集画面表示制御部26cは、操作者によってそのタブが選択された場合には、該当するパラメータのパラメータ値を、例えば赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。
【0065】
(第1の実施形態の効果)
上述したように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、シミュレーション指示を受け付けたパラメータにシミュレーション値を設定し、設定したシミュレーション値を用いて他のパラメータのパラメータ値を計算する。次に、MRI装置100は、計算結果に基づいて、シミュレーション指示を受け付けたパラメータと連動して値が変更し得るパラメータを特定し、特定したパラメータを、編集画面上で他のパラメータと区別して表示するように制御する。
【0066】
このようなことから、第1の実施形態によれば、MRI装置100の操作者は、撮像条件の編集を簡易にする行うことができる。すなわち、第1の実施形態によれば、パラメータ値が変更される前に、変更の影響が及び得る他のパラメータが操作者に通知されるので、操作者にとって意図しないパラメータのパラメータ値が変更されてしまう結果とはならない。すると、従来、パラメータ値を変更した後にしか判断できなかった、変更の影響を受けるパラメータを予め知ることができるので、誤操作を防ぎ、操作性を上げることができる。
【0067】
ここで、第1の実施形態においては、スライス数を示すパラメータ(『No Slice』)と、繰り返し時間を示すパラメータ(『TR』)と、SARを示すパラメータ(『SAR』)との間に影響関係が存在した。また、スライス数の増減に応じた影響関係は対称ではなく、スライス数を減らした場合には繰り返し時間にのみ影響が及ぶが、スライス数を増やした場合には繰り返し時間及びSARの双方に影響が及ぶ、といった非対称な影響関係が存在した。
【0068】
このため、第1の実施形態に係るMRI装置100は、パラメータ値の上限方向への変更のシミュレーション指示、又は、パラメータ値の下限方向への変更のシミュレーション指示のいずれかを区別して受け付け、受け付けた方向に応じたシミュレーション値をパラメータに設定した。このようなことから、第1の実施形態によれば、パラメータ間の影響関係が非対称の場合にも、変更の影響が及び得るパラメータが正確に操作者に通知されることになる。
【0069】
なお、MRI装置100は、パラメータ値の変更の方向を指定しないシミュレーション指示を受け付けるものであってもよい。この場合には、例えば、MRI装置100は、上限方向及び下限方向の変更に共通するパラメータを抽出して操作者に通知してもよいし、あるいは、上限方向又は下限方向の変更のいずれかの影響を受けるパラメータを全て操作者に通知してもよい。
【0070】
(第1の実施形態の変形例)
ところで、第1の実施形態において説明したパラメータの影響関係は一例に過ぎず、影響関係が存在する他のパラメータ間にも同様に適用することができる。
【0071】
(変形例1)
例えば、脂肪抑制パルスの印加有無を示すパラメータ(『Fatsat Pulse』)と、収集方式の種別を示すパラメータ(『Segment Type』)との間にも、影響関係が存在する。例えば、収集方式としてSwirl法を選択した場合には、脂肪抑制パルスを印加することができない、といった影響関係が存在する。このため、パラメータ値計算部26bは、パラメータ『Segment Type』として『Swirl』が選択される場合は、パラメータ『Fatsat Pulse』のパラメータ値として『OFF』を出力する計算式を、既存のアルゴリズムとして予め記憶している。
【0072】
この場合、例えば、パラメータ『Fatsat Pulse』が『ON』の状態で、パラメータ値設定部26aが、パラメータ『Segment Type』として『Swirl』を選択するシミュレーション指示を受け付けたとする。すると、パラメータ値計算部26bは、既存のアルゴリズムを用いた計算により、パラメータ『Fatsat Pulse』のパラメータ値は『OFF』であると計算する。この結果、編集画面表示制御部26cは、パラメータ『Fatsat Pulse』に現在設定されているパラメータ値『ON』と、計算結果であるパラメータ値『OFF』とを比較し、変更が生じているので、パラメータ『Fatsat Pulse』を、影響を受けた連動パラメータとして特定する。そして、編集画面表示制御部26cは、パラメータ『Fatsat Pulse』が、パラメータ『Fatsat Pulse』と同一のタブが付された編集画面に属するパラメータであるか否かに応じて、パラメータ値を異なる色で表示するか、又は、タブを異なる色で表示する。
【0073】
(変形例2)
また、例えば、傾斜磁場強度の時間変化率(dB/dt)を示すパラメータと、SARとの間にも、影響関係が存在する。例えば、時間変化率を緩やかにした場合にはSARに影響が及ばないが、時間変化率を急峻にした場合にはSARに影響が及ぶ、といった非対称な影響関係が存在する。このため、パラメータ値計算部26bは、時間変化率とSARとのこのような影響関係を示す計算式を、既存のアルゴリズムとして予め記憶している。
【0074】
この場合、例えば、パラメータ値設定部26aが、時間変化率のパラメータの横に配置された下向きの三角ボタンにおいてシミュレーション指示を受け付けたとする。すると、パラメータ値計算部26bは、時間変化率のパラメータに最小値を代入し、既存のアルゴリズムを用いた計算を行うが、この場合に計算されたSARのパラメータ値は、既に設定されているSARのパラメータ値と異ならないパラメータ値となる。このため、編集画面表示制御部26cは、現在表示している編集画面を特に変更することなく表示する。
【0075】
一方、例えば、パラメータ値設定部26aが、時間変化率のパラメータの横に配置された上向きの三角ボタンにおいてシミュレーション指示を受け付けたとする。すると、パラメータ値計算部26bは、時間変化率のパラメータに最大値を代入し、既存のアルゴリズムを用いた計算を行うが、この場合に計算されたSARのパラメータ値は、既に設定されているSARのパラメータ値より高いパラメータ値となる。このため、編集画面表示制御部26cは、SARが、時間変化率のパラメータと同一のタブが付された編集画面に属するパラメータであるか否かに応じて、パラメータ値を異なる色で表示するか、又は、タブを異なる色で表示する。
【0076】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態に係るMRI装置100を説明する。第1の実施形態においては、撮像条件に含まれるパラメータのパラメータ値が変更される前に、変更の影響が及び得る他のパラメータを操作者に通知する例を説明した。ここで、上述したように、パラメータ間の影響関係は複雑である。このため、例えば、変更の影響が及び得るパラメータのパラメータ値を強制的に「固定」することで、異なる影響関係を生じさせることも考えられる。第2の実施形態に係るMRI装置100は、変更の影響が及び得るあるパラメータのパラメータ値を強制的に「固定」した上で、新たに変更の影響が及び得ることとなった他のパラメータを操作者に通知する例を説明する。
【0077】
図12は、第2の実施形態に係るMRI装置100の構成を示すブロック図である。図12に示すように、第2の実施形態に係るMRI装置100は、制御部26に、更に、パラメータ値固定設定部26dを備える。
【0078】
パラメータ値固定設定部26dは、編集画面上に表示されたパラメータについて、値を固定する指示を受け付け、指示を受け付けたパラメータに固定値を設定する。また、パラメータ値固定設定部26dは、値を固定する指示を受け付けたパラメータ、このパラメータに設定された固定値を、パラメータ値計算部26bに送る。
【0079】
パラメータ値計算部26bは、パラメータ値設定部26aからシミュレーション指示を受け付けた場合であって、パラメータ値固定設定部26dからパラメータに設定された固定値を受け付けた場合には、シミュレーション値とともに、この固定値を用いて、撮像条件に含まれる他のパラメータのパラメータ値を計算する。
【0080】
図13及び図14は、第2の実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。なお、図13及び図14は、説明の便宜上、編集画面の一部を切り出して示す一例に過ぎず、編集画面の全体像、編集画面のデザイン、パラメータの名称、パラメータの配置、パラメータ値などは、運用の形態に応じて任意に変更し得るものである。
【0081】
例えば、上述したように、パラメータ値計算部26bは、SAR=f(パラメータ『TR』、パラメータ『FA』、パラメータ『スライス数』)という計算式を、既知のアルゴリズムとして予め記憶する。例えば、図13の(A)に示すように、操作者が、パラメータ『TR』の横に配置された下向きの三角ボタンを右クリックしたとする。すると、パラメータ『TR』の許容設定範囲に含まれる最大値がパラメータ『TR』に設定され、パラメータ値計算部26bは、この最大値をパラメータ『TR』に代入するとともに、パラメータ『FA』及びパラメータ『スライス数』には現在設定されているパラメータ値を代入することで計算を行う。すると、例えば、編集画面表示制御部26cは、図13の(A)に示すように、パラメータ『SAR』のパラメータ値「2」の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。
【0082】
ここで、例えば、図13の(B)に示すように、操作者が、パラメータ『SAR』を右クリックすることで編集画面上にプルダウンメニューを表示させ、メニュー「パラメータ値を固定」を左クリックにより選択したとする。すると、パラメータ値固定設定部26dは、パラメータ『SAR』について値を固定する指示を受け付け、パラメータ値記憶部23bを参照し、指示を受け付けたパラメータ『SAR』に、現在設定されている固定値『2』を設定する。
【0083】
すると、パラメータ値計算部26bは、最大値をパラメータ『TR』に代入するとともに、パラメータ『SAR』に固定値『2』を代入し、パラメータ『FA』及びパラメータ『スライス数』にパラメータ値を代入せずに計算を行う。この場合、既存アルゴリズムにもよるが、例えば、パラメータ『FA』及びパラメータ『スライス数』のパラメータ値が双方とも変化し、編集画面表示制御部26cは、図13の(B)に示すように、パラメータ『スライス数』のパラメータ値「20」の文字及びパラメータ『FA』のパラメータ値「30」の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。
【0084】
次の例を説明する。例えば、パラメータ値計算部26bは、撮像時間=f(パラメータ『スライス数』、パラメータ『撮像回数』)という計算式を、既知のアルゴリズムとして予め記憶する。例えば、図14の(A)に示すように、操作者が、パラメータ『スライス数』の横に配置された上向きの三角ボタンを右クリックしたとする。すると、パラメータ『スライス数』の許容設定範囲に含まれる最大値がパラメータ『スライス数』に設定され、パラメータ値計算部26bは、この最大値をパラメータ『スライス数』に代入するとともに、パラメータ『撮像回数』には現在設定されているパラメータ値を代入することで計算を行う。すると、例えば、編集画面表示制御部26cは、図14の(A)に示すように、パラメータ『撮像時間』のパラメータ値「270.0」の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。
【0085】
ここで、例えば、図14の(B)に示すように、操作者が、パラメータ『撮像時間』を右クリックすることで編集画面上にプルダウンメニューを表示させ、メニュー「パラメータ値を固定」を左クリックにより選択したとする。例えば、息止め撮像において、患者が高齢者の場合には息止めの時間に限界があるため、このようにパラメータ『撮像時間』を固定しなければならない場合がある。すると、パラメータ値固定設定部26dは、パラメータ『撮像時間』について値を固定する指示を受け付け、パラメータ値記憶部23bを参照し、指示を受け付けたパラメータ『撮像時間』に、現在設定されている固定値『270.0』を設定する。
【0086】
すると、パラメータ値計算部26bは、最大値をパラメータ『スライス数』に代入するとともに、パラメータ『撮像時間』に固定値『270.0』を代入し、パラメータ『撮像回数』にパラメータ値を代入せずに計算を行う。この場合、既存アルゴリズムにもよるが、例えば、パラメータ『撮像回数』のパラメータ値が多くなる方向で変化し、編集画面表示制御部26cは、図14の(B)に示すように、パラメータ『撮像回数』のパラメータ値「1」の文字を赤色(編集画面の背景は黒色、他のパラメータは白色)で表示する。
【0087】
(第2の実施形態の効果)
上述したように、第2の実施形態に係るMRI装置100は、パラメータ値固定設定部26dを更に備える。パラメータ値固定設定部26dは、あるパラメータと連動して値が変更し得る複数のパラメータのうち、いずれかのパラメータについて値を固定する指示を受け付け、指示を受け付けたパラメータに固定値を設定する。また、パラメータ値計算部26bは、シミュレーション値及び固定値を用いて、撮像条件に含まれる他のパラメータの値を計算する。
【0088】
このようなことから、第2の実施形態によれば、あるパラメータのパラメータ値については固定したいという個別の要求にも対応した上で、適切なシミュレーションを行い、新たに変更の影響が及び得ることとなった他のパラメータを操作者に通知することができる。
【0089】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態1や実施形態2においては、パラメータ値の文字の色を異なる色で表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、パラメータ値の文字を点滅させるなどして強調表示してもよい。また、パラメータの項目自体の縁取りを異なる色で表示したり、強調表示してもよい。また、上述の実施形態1や実施形態2においては、タブの文字の色を異なる色で表示する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、タブの背景色自体を異なる色で表示してもよい。すなわち、パラメータやタブを区別するための表示手法は、操作者が区別することが可能な表示手法であれば、上述の例に限らず、任意に変更することができる。
【0090】
また、第1の実施形態においては、パラメータ値計算部26bは、既存のアルゴリズムを用いた計算処理を行うものとして説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、あるパラメータのパラメータ値が変更された場合に他のパラメータ値がどのように変化するかを対応付けたテーブルを予め記憶し、パラメータ値計算部26bは、このテーブルを参照して、他のパラメータのパラメータ値を導出してもよい。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
20 計算機システム
26 制御部
26a パラメータ値設定部
26b パラメータ値計算部
26c 編集画面制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像条件に含まれる所定のパラメータについて値の変更をシミュレーションする指示を受け付け、前記指示を受け付けたパラメータにシミュレーション値を設定する設定部と、
前記所定のパラメータに設定されたシミュレーション値を用いて、前記撮像条件に含まれる他のパラメータの値を計算する計算部と、
前記計算の結果に基づいて、前記所定のパラメータと連動して値が変更し得るパラメータを特定し、特定したパラメータを、前記撮像条件を編集するための編集画面上で他のパラメータと区別して表示するように制御する表示制御部と
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記設定部は、値の上限方向への変更をシミュレーションする指示、又は、下限方向への変更をシミュレーションする指示のいずれかを受け付け、受け付けた方向に応じたシミュレーション値を前記パラメータに設定することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記所定のパラメータと連動して値が変更し得る複数のパラメータのうち、いずれかのパラメータについて値を固定する指示を受け付け、前記指示を受け付けたパラメータに固定値を設定する固定値設定部を更に備え、
前記計算部は、前記所定のパラメータに設定されたシミュレーション値、及び、前記所定のパラメータと連動して値が変更し得るパラメータに設定された固定値を用いて、前記撮像条件に含まれる他のパラメータの値を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記編集画面は、各編集画面に付されたタブが選択されると、選択されたタブが付された編集画面に切り替えて表示される編集画面群であり、
前記表示制御部は、前記特定したパラメータが、前記所定のパラメータが属する編集画面と同一のタブが付された編集画面に属するパラメータである場合は、前記特定したパラメータを前記他のパラメータと異なる色で表示し、前記特定したパラメータが、前記所定のパラメータが属する編集画面と同一のタブが付された編集画面に属するパラメータでない場合は、前記特定したパラメータが属する編集画面に付されたタブを、他の編集画面に付されたタブと異なる色で表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記値の変更をシミュレーションする指示の受け付けを、前記所定のパラメータに対して値の変更を指示する変更指示を受け付けるボタンと同一のボタンにおいて、前記変更指示の操作と異なる操作によって受け付けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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