説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】MRI装置において、1個の撮像位置で異なるスラブを設定する場合や、複数の撮像位置でそれぞれスラブを設定する場合に、操作者がより簡易な操作で、スラブ毎に異なるスライス条件を設定できること。
【解決手段】MRI装置10Aは、被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する元画像生成部63と、複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関するパラメータの推奨値を記憶する記憶装置に記憶された、所要の撮像位置に対応する推奨値に基づいてスラブ領域及びスライス領域を設定し、位置決め画像上に表示させる領域設定部65eと、スライス領域に基づいてスライス条件を確定させるスライス条件確定部65fと、確定されたスライス条件に従って、スラブ領域の撮像を実行する本撮像実行部66Aと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様としての本実施形態は、被検体に対してスラブ領域を設定して撮像を行なう磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば腰椎の椎間板ヘルニアを磁気共鳴イメージング(MRI:magnetic resonance imaging)装置を用いて診断する場合、椎間板に沿って、その断面を撮像することが知られている。椎間板に沿った断面撮像は、通常、マルチアングル・マルチスキャン法と呼ばれる手法が用いられる。この手法を用いて撮像を行なう場合、その準備段階として、被検体の椎のサジタル像を位置決め画像として予め撮像しておき、サジタル像上に多数のスライス(スライス領域)を設定する。設定されたスライスのスキャンを、マルチアングル・マルチスキャン法を用いて実行することにより、設定したスライスの断層画像が一度に撮像される。
【0003】
また、椎間板ヘルニアの臨床撮影では椎間板ヘルニアの上下への発達を観察するため、さらに椎間板に沿って略平行に隣接する複数のスライス領域を設定している。なお、以下、略平行に隣接した複数のスライス領域の集合をスラブ領域と呼ぶものとする。操作者は、予めスラブ領域内のスライス領域のスライス厚、スライス間隔(gap)、及びスライス数等のスライス条件を設定し、位置決め画像を用いてスラブ領域の位置を設定する。
【0004】
撮像条件編集画面では、複数のスラブ領域を設定する場合、原則として、1個のスライス条件を設定すれば、複数のスラブ領域に対して、設定された1個のスライス条件が適用される。
【0005】
位置決め画像上に操作者によって指定された2点に基づいて、予め指定されたスライス条件に相当するスライス領域をそれぞれ隣接して略並行に配置するスラブ領域を設定してスラブ領域を設定するMRI装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−290171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、1個の撮像位置(部位)で複数のスラブ領域を設定する場合、すなわち、第1のスラブ領域の設定後に、第2のスラブ領域を追加設定する場合がある。その場合、第2のスラブ領域内のスライス条件を、第1のスラブ領域の設定で予め設定されたスライス条件から変更させたい場合、操作者の操作が煩雑になる。つまり、第2のスラブ領域内のスライス条件を、第1のスラブ領域の設定で予め設定されたスライス条件から変更させたい場合、操作者は、第1のスラブ領域の設定後に、撮像条件編集画面にまで戻ってスライス条件の変更操作を行なわなければならない。
【0008】
また、撮像位置毎にスラブ領域を設定する場合、すなわち、第1の撮像位置のスラブ領域の設定後に、第2の撮像位置のスラブ領域を追加設定する場合がある。その場合も同様に、操作者の操作が煩雑になる。つまり、第2の撮像位置のスラブ領域内のスライス条件を、第1の撮像位置のスラブ領域の設定で予め設定されたスライス条件から変更させたい場合、撮像位置毎に異なるスライス条件を設定できないので、操作者は、第1の撮像位置のスラブ領域の設定後に、撮像条件編集画面にまで戻ってスライス条件の変更操作を行なわなければならない。
【0009】
また、従来技術では、位置決め画像上で設定されたスラブ領域内にスライス条件に応じた複数のスライス領域が収まらない場合、操作者は、設定されたスラブ領域を変更する等の操作を行なう必要があり、操作者に負担がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の磁気共鳴イメージング装置は、上述した課題を解決するために、被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する画像生成手段と、複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関するパラメータの推奨値を記憶する記憶装置に記憶された、前記所要の撮像位置に対応する推奨値に基づいてスラブ領域及びスライス領域を設定し、前記位置決め画像上に表示させる領域設定手段と、前記スライス領域に基づいてスライス条件を確定させるスライス条件確定手段と、前記確定されたスライス条件に従って、前記スラブ領域の撮像を実行する撮像実行手段と、を有する。
【0011】
本実施形態の磁気共鳴イメージング装置は、上述した課題を解決するために、被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する画像生成手段と、複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関する複数のパラメータの値をそれぞれ仮設定する仮設定手段と、前記位置決め画像上でスラブ領域を設定するスラブ設定手段と、前記複数のパラメータに従った複数のスライス領域を配置する場合、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まらないとき、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まるように、前記撮像位置毎に変更優先パラメータを記憶する記憶装置に記憶された、前記所要の撮像位置に対応する変更優先パラメータの仮設定値を優先的に変更することで一部変更後のスライス条件を本設定する本設定手段と、前記本設定されたスライス条件に従って、前記スラブ領域の撮像を実行する撮像実行手段と、を有する。
【0012】
本実施形態の磁気共鳴イメージング装置は、上述した課題を解決するために、被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する画像生成手段と、複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関する複数のパラメータの値をそれぞれ仮設定する仮設定手段と、前記位置決め画像上でスラブ領域を設定するスラブ設定手段と、前記複数のパラメータに従った複数のスライス領域を配置する場合、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まらないとき、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まるように、前記複数のパラメータの1であるスライス数の仮設定値を変更することでスライス条件を本設定する本設定手段と、前記本設定されたスライス条件に従って、前記スラブ領域の撮像を実行する撮像実行手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1及び第2実施形態のMRI装置のハードウェア構成を示す概略図。
【図2】第1実施形態のMRI装置の機能を示すブロック図。
【図3】受信コイルのうち、NMR信号を受信するコイルエレメントを説明するための図。
【図4】サジタル画像上におけるスラブ領域の設定方法の一例を説明するための図。
【図5】全てのスライス領域がスラブ領域内に収まる場合において、サジタル画像上のスラブ領域内のスライス領域の本設定を説明するための図。
【図6】スライス条件を設定するためのスライス条件設定用情報を表として示す図。
【図7】(a),(b)は、少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらない場合において、サジタル画像上のスラブ領域内のスライス領域の本設定を説明するための図。
【図8】スライス条件を設定するためのスライス条件設定用情報を表として示す図。
【図9】第1実施形態のMRI装置の動作を示すフローチャート。
【図10】第1実施形態のMRI装置の動作を示すフローチャート。
【図11】第2実施形態のMRI装置の機能を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の磁気共鳴イメージング(MRI:magnetic resonance imaging)装置について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のMRI装置のハードウェア構成を示す概略図である。
【0016】
図1は、被検体(患者)Pの撮像を行なう第1実施形態のMRI装置10を示す。このMRI装置10は、大きくは、撮像システム11と制御システム12とから構成される。
【0017】
撮像システム11は、静磁場磁石21、傾斜磁場コイル22、傾斜磁場電源23、寝台24、寝台制御部25、送信コイル26、送信部27、受信コイル28a〜28e、及び受信部29を備える。
【0018】
静磁場磁石21は、架台(図示しない)の最外部に中空の円筒形状に形成されており、内部空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石21としては、例えば永久磁石及び超伝導磁石等が使用される。
【0019】
傾斜磁場コイル22は、中空の円筒形状に形成されており、静磁場磁石21の内側に配置される。傾斜磁場コイル22は、互いに直交するx,y,zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源23から個別に電流供給を受けて、x,y,zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0020】
ここで、傾斜磁場コイル22によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、リードアウト用傾斜磁場Gr、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびスライス選択用傾斜磁場Gsにそれぞれ対応している。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてNMR(nuclear magnetic resonance)信号の周波数を変化させるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてNMR信号の位相を変化させるために利用される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。
【0021】
傾斜磁場電源23は、制御システム12から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル22に電流を供給する。
【0022】
寝台24は、被検体Pが載置される天板24aを備えている。寝台24は、後述する寝台制御部25による制御のもと、天板24aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル22の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台24は、長手方向が静磁場磁石21の中心軸と平行になるように設置される。
【0023】
寝台制御部25は、寝台24を駆動して、天板24aを長手方向および上下方向へ移動する。
【0024】
送信コイル26は、傾斜磁場コイル22の内側に配置されており、送信部27から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0025】
送信部27は、制御システム12から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信コイル26に送信する。
【0026】
受信コイル28a〜28eは、傾斜磁場コイル22の内側に配置されており、高周波磁場の影響によって被検体Pから放射されるNMR信号を受信する。ここで、受信コイル28a〜28eは、それぞれ、被検体Pから発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルを有するアレイコイルであり、各要素コイルによってNMR信号が受信されると、受信されたNMR信号を受信部29へ出力する。
【0027】
受信コイル28aは、被検体Pの頭部に装着される頭部用のコイルである。また、受信コイル28b,28cは、それぞれ、被検体Pの背中と天板24aとの間に配置される脊椎用のコイルである。また、受信コイル28d,28eは、それぞれ、被検体Pの腹側に装着される腹部用のコイルである。
【0028】
受信部29は、制御システム12から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、受信コイル28a〜28eから出力されるNMR信号に基づいてNMR信号データを生成する。また、受信部29は、NMR信号データを生成すると、そのNMR信号データを制御システム12に送信する。
【0029】
なお、受信部29は、受信コイル28a〜28eが有する複数の要素コイルから出力されるNMR信号を受信するための複数の受信チャンネルを有している。そして、受信部29は、撮像に用いる要素コイルが制御システム12から通知された場合には、通知された要素コイルから出力されたNMR信号が受信されるように、通知された要素コイルに対して受信チャンネルを割り当てる。
【0030】
制御システム12は、MRI装置10の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行なう。制御システム12は、インターフェース部31、データ収集部32、データ処理部33、記憶部34、表示部35、入力部36、及び制御部37を有する。
【0031】
インターフェース部31は、傾斜磁場電源23、寝台制御部25、送信部27、及び受信部29に接続されており、これらの接続された各部と制御システム12との間で授受される信号の入出力を制御する。
【0032】
データ収集部32は、インターフェース部31を介して、受信部29から送信されるNMR信号データを収集する。データ収集部32は、NMR信号データを収集すると、収集したNMR信号データを記憶部34に記憶させる。
【0033】
データ処理部33は、記憶部34に記憶されているNMR信号データに対して、後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する。また、データ処理部33は、位置決め画像の撮像が行なわれる場合には、受信コイル28a〜28eが有する複数の要素コイルそれぞれによって受信されたNMR信号に基づいて、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成する。そして、データ処理部33は、生成した各種データを記憶部34に格納する。
【0034】
記憶部34は、データ収集部32によって収集されたNMR信号データと、データ処理部33によって生成された画像データ等を、被検体P毎に記憶する。また、記憶部34は、図2に示すように、スライス条件設定用情報を記憶する。
【0035】
表示部35は、データ処理部33によって生成されたスペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する。表示部35としては、液晶表示器等の表示デバイスを利用可能である。
【0036】
入力部36は、操作者から各種操作や情報入力を受け付ける。入力部36としては、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0037】
制御部37は、図示していないCPU(central processing unit)やメモリ等を有し、上述した各機能部を制御することによってMRI装置10を総括的に制御する。
【0038】
図2は、第1実施形態のMRI装置10の機能を示すブロック図である。
【0039】
制御部37のCPUがプログラムを実行することによって、図2に示すように、MRI装置10は、インターフェース部61、撮像位置設定部62、元画像生成部63、直交画像生成部64、撮像条件設定部65、及び本撮像実行部66として機能する。なお、MRI装置10の構成要素61乃至66をソフトウェアとして機能させる場合として説明するが、構成要素61乃至66の一部又は全部をMRI装置10に回路として設ける場合であってもよい。
【0040】
インターフェース部61は、構成要素62乃至66と、表示部35及び入力部36とを媒介するGUI(graphical user interface)等のインターフェースである。
【0041】
撮像位置設定部62は、被検体Pに関する1又は複数の撮像位置(部位)を設定する機能を有する。例えば、撮像位置設定部62は、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づいて撮像位置を設定する。複数の撮像位置の中から所望の撮像位置が設定されると、後述する撮像条件設定部65で、設定された撮像位置に対応する撮像条件(シーケンス及びスキャン条件等)が設定される。すなわち、後述する撮像条件設定部65が撮像条件を設定する場合は、撮像条件の設定に先立って撮像位置が設定されている。また、例えば、撮像位置設定部62は、後述する元画像生成部63がボリュームスキャンすることで得られたボリュームデータを構造認識することによって撮像位置を設定する。また、例えば、撮像位置設定部62は、受信コイル28a〜28eのうち、操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づいて設定された、NMR信号を受信するコイルエレメントと、被検体の架台への進入向き(head first又はfeet first)とに基づいて撮像位置を設定する。以下、撮像位置設定部62が、被検体Pに関する複数の撮像位置を設定する場合について説明する。
【0042】
図3は、受信コイル28のうち、NMR信号を受信するコイルエレメントを説明するための図である。
【0043】
表示部35には、天板24aに設けられる複数のポート(図示しない)に接続される複数のコイルエレメントが表示される。操作者は、複数のポートに接続される複数のコイルエレメントの中からNMR信号を受信するコイルエレメントを選択すると、図3に示す状態となる。図3に示す例では、複数のポートに、受信コイル28としての頭部用のコイル28aのコイルエレメントNKA2〜NKA6と、脊椎用のコイル28b,28cのコイルエレメントSPN1〜SPN8と、腹部用のコイル28d,28eのコイルエレメントBDY1〜BDY4とが接続されている。そして、操作者は、複数のポートに接続される複数のコイルエレメントNKA2〜NKA6,SPN1〜SPN8,BDY1〜BDY4の中からNMR信号を受信するコイルエレメントSPN2〜SPN4,BDY2〜BDY4を選択する。
【0044】
撮像位置設定部62は、図3に示す、NMR信号を受信するコイルエレメントSPN2〜SPN4,BDY2〜BDY4と、被検体Pの架台への進入向きとに基づいて被検体Pの撮像位置を設定する機能を有する。
【0045】
図2に示す元画像生成部63は、本撮像に先立った事前撮像(本撮像のための撮像条件のパラメータを設定するための撮像)のための撮像条件に従って撮像システム11の動作を制御することによって、撮像位置設定部62によって設定された複数の撮像位置に対して撮像を行なって、断面画像である元画像をそれぞれ生成する機能を有する。具体的には、元画像生成部63は、アキシャル(AX)画像、サジタル(SG)画像、及びコロナル(CO)画像の直交3断面画像のうち1個の断面画像を元画像として生成する。ここでは、元画像生成部63は、サジタル画像を元画像として生成するものとして説明する。サジタル画像は、インターフェース部61を介して表示部35に表示される。
【0046】
直交画像生成部64は、元画像生成部63によって生成された撮像位置毎の元画像を基に、元画像に直交する2断面の断面画像である直交断面をそれぞれ生成する機能を有する。例えば、直交画像生成部64は、元画像生成部63によって生成されたサジタル画像を基に、他の直交3断面画像であるアキシャル画像及びコロナル画像を再構成する。コロナル画像及びアキシャル画像は、インターフェース部61を介して表示部35にそれぞれ表示される。
【0047】
撮像条件設定部65は、シーケンス設定部65a、スライス条件仮設定部65b、スラブ設定部65c、及びスライス条件本設定部65dを有する。撮像条件設定部65は、撮像条件編集画面上で撮像条件を編集する。
【0048】
シーケンス設定部65aは、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、各種撮像条件のうち、本撮像のシーケンスを設定する機能を有する。
【0049】
スライス条件仮設定部65bは、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、各種撮像条件のうち、スライス領域(ROI:region of interest)のスライス条件に関するパラメータであるスライス厚、スライス間隔(gap)、及びスライス数等の値を仮設定する機能を有する。スライス条件仮設定部65bは、インターフェース部61を介して、入力部36からの入力信号を撮像条件編集画面上に表示する。
【0050】
スラブ設定部65cは、記憶部34に記憶されたスライス条件設定用情報(図6に図示)と撮像位置設定部62によって設定された撮像位置とに基づき、スライス領域のスライス条件に関するパラメータである、スライス領域のスライス長方向の角度情報(オブリーク角度情報)を設定する機能を有する。また、スラブ設定部65cは、操作者が入力部36を用いて入力した入力信号と設定された角度情報とに基づき、位置決め画像上で、スラブ領域を設定する機能を有する。スラブ領域は、矩形、平行四辺形、及びひし型によって形成されるが、矩形によって形成される場合を以下で説明する。スラブ設定部65cは、インターフェース部61を介して、入力部36からの入力信号を撮像条件編集画面上に表示する。なお、位置決め画像は、直交3断面画像に基づくMPR(multi−planar reconstruction)画像であってもよい。
【0051】
図4は、サジタル画像上におけるスラブ領域の設定方法の一例を説明するための図である。
【0052】
図4は、位置決め画像としてのサジタル画像Iと、インターフェース部61を介して入力部36から入力されるマーカMと、マーカMによって形成され、スライス領域の角度情報に基づく矩形のスラブ領域Sと、スラブ領域Sのスライス厚方向の中心線Lとを示す。スラブ領域Sは、矩形の対向する2頂点のマーカMの指定によって設定される。
【0053】
図2の説明に戻って、スライス条件本設定部65dは、スライス条件仮設定部65bによるパラメータの仮設定値と、スラブ設定部65cによって設定された角度情報とに基づき、スラブ設定部65cによって設定されたスラブ領域内に、矩形のスライス領域を設定する機能を有する。スライス条件本設定部65cは、スライス条件仮設定部65bによるパラメータの仮設定値に従って全てのスライス領域がスラブ領域内に収まると判断する場合、パラメータの仮設定値をそのまま本設定する。
【0054】
図5は、全てのスライス領域がスラブ領域内に収まる場合において、サジタル画像上のスラブ領域内のスライス領域の本設定を説明するための図である。
【0055】
図5は、位置決め画像としてのサジタル画像Iと、スラブ領域Sと、中心線Lと、スライス領域の角度情報に基づく矩形の3個のスライス領域Cとを示す。3個のスライス領域Cは、スライス条件仮設定部65bによるパラメータの仮設定値に従うものであり、例えば、中心線Lに平行に、かつ、中心線Lを軸とした軸対称に配置される。図5に示す例では、3個のスライス領域の全てがスラブ領域S内に収まる。なお、図5に示す3個のスライス領域Cは、スラブ領域S内でスライス厚方向に均等配置される場合に限定されるものではなく、スラブ領域S内でスライス厚方向に不均等配置されるものであってもよい。
【0056】
一方、スライス条件本設定部65dは、スライス条件仮設定部65bによるパラメータの仮設定値に従って少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらないと判断する場合、パラメータの仮設定値を、記憶部34に記憶されたスライス条件設定用情報に従って一部変更して本設定する。
【0057】
図6は、スライス条件を設定するためのスライス条件設定用情報を表として示す図である。
【0058】
図6は、シーケンス毎、かつ、撮像位置(部位)毎、かつ、直交3断面画像の断面毎の、スライス条件に関する複数のパラメータ、例えば、角度情報、スライス厚、スライス間隔、及びスライス数の推奨値と、複数のパラメータのうちの変更優先パラメータとを示すスライス条件設定用情報である。なお、スライス条件設定用情報は、少なくとも撮像位置毎に、パラメータの推奨値や変更優先パラメータを含めばよい。
【0059】
例えば、図6において、FE(field echo)法を用いて頭部を撮像する場合、位置決め画像としてサジタル画像を用いるときを考える。少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらない場合、すなわち、スライス領域がスラブ領域内に収めるために、スライス条件仮設定部65bによって仮設定されたスライス厚、スライス間隔、及びスライス数の値のうち1個を変更しなければならない場合、スライス条件本設定部65dは、変更優先パラメータであるスライス厚の仮設定値を優先的に推奨値「8」に変更することになる。また、例えば、図6において、SE(spin echo)法を用いて胸部を撮像する場合、位置決め画像としてサジタル画像を用いるときを考える。スライス条件仮設定部65bによって仮設定されたスライス厚、スライス間隔、及びスライス数のうち1個を変更しなければならない場合、変更優先パラメータが存在しない。この場合、スライス条件本設定部65dは、操作者に、スライス条件の再仮指定、又はスラブ領域の再設定をすべき旨を報知するか、全てのスライス領域がスラブ領域内に収まるようにスラブ領域を自動変更すればよい。
【0060】
図7(a),(b)は、少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらない場合において、サジタル画像上のスラブ領域内のスライス領域の本設定を説明するための図である。
【0061】
図7(a),(b)は、位置決め画像としてのサジタル画像Iと、スラブ領域Sと、中心線Lと、スライス領域の角度情報に基づく矩形の7個のスライス領域Cとを示す。図7(a)に示す7個のスライス領域Cは、スライス条件仮設定部65bによるパラメータの仮設定値に従うものであり、中心線Lに平行に、かつ、中心線Lを軸とする軸対称に配置される。図7(a)に示す例では、2個のスライス領域がスラブ領域内に収まらない。なお、図7(a),(b)に示す7個のスライス領域Cは、スラブ領域S内でスライス厚方向に均等配置される場合に限定されるものではなく、例えば、スラブ領域S内でスライス厚方向に不均等配置されるものであってもよい。
【0062】
図7(a)に示す場合、すなわち、少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらない場合、スライス条件仮設定部65bによるパラメータの仮設定値を、図6に示すスライス条件設定用情報に従って一部変更する。例えば、FE法を用いて頭部を撮像する場合、位置決め画像としてサジタル画像を用いるとき、スライス条件本設定部65dは、図7(b)に示すように、7個のスライス領域がスラブ領域内に収まるように、変更優先パラメータであるスライス厚の仮設定値を優先的に推奨値「8」に変更する。
【0063】
ここで、図6に示すスライス条件設定用情報に従ってスライス条件のいずれかを変更してもなお、少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらない場合、スライス条件本設定部65dは、操作者に、スライス条件の再仮設定、又はスラブ領域の再設定をすべき旨を報知するか、全てのスライス領域がスラブ領域内に収まるようにスラブ領域を自動変更すればよい。
【0064】
図2の説明に戻って、本撮像実行部66は、撮像位置設定部62によって設定された複数の撮像位置において、スライス条件本設定部65dによって設定されたスライス条件を含む撮影条件に従って撮像システム11の動作を制御することによって、スラブ領域の本撮像を実行する機能を有する。
【0065】
図8は、スライス条件を設定するためのスライス条件設定用情報を表として示す図である。図8は、図6に示すスライス条件設定用情報の変形例を表として示す図である。
【0066】
図8は、シーケンス毎、かつ、撮像位置毎、かつ、直交3断面画像の断面毎の、スライス条件に関する複数のパラメータ、例えば、角度情報、スライス厚、スライス間隔、及びスライス数の推奨値を示すスライス条件設定用情報である。なお、スライス条件設定用情報は、少なくとも撮像位置毎に、パラメータの推奨値を含めばよい。
【0067】
例えば、図8において、FE法を用いて頭部を撮像する場合、位置決め画像としてサジタル画像を用いるときを考える。スライス領域をスラブ領域内に収めるために、スライス条件仮設定部65bによるスライス厚及びスライス間隔の仮設定値を変更せずに、スライス数を、スラブ領域内に収めることができる最大値として設定することになる。この場合、スライス条件仮設定部65bによるスライス数の仮設定値は無視されることから、スライス条件仮設定部65bは、スライス数の値を仮設定する必要はない。なお、図8に示すスライス条件設定用情報は、スライス数を、スラブ領域内に収めることができる最大値として設定するものであるが、その場合に限定されるものではない。スライス条件設定用情報は、スライス厚又はスライス間隔を、スラブ領域内に収めることができる最小値又は設定値(例えば、1又は0)として設定するものであってもよい。
【0068】
続いて、第1実施形態のMRI装置10の動作について、図9及び図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0069】
まず、MRI装置10は、被検体Pに関する1又は複数の撮像位置(部位)を設定する(ステップST1)。MRI装置10は、図3を用いて説明したように、受信コイル28a〜28eのうち、操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づいて設定された、NMR信号を受信するコイルエレメントと、被検体の架台への進入向きとに基づいて撮像位置を設定する。以下、ステップST1において、MRI装置10が、被検体Pに関する複数の撮像位置を設定する場合について説明する。
【0070】
次いで、MRI装置10は、本撮像に先立った事前撮像(本撮像のための撮像条件のパラメータを設定するための撮像)のための撮像条件に従って撮影システム11の動作を制御することによって、ステップST1によって設定された複数の撮像位置に対してスライス領域をそれぞれ設定するための撮像を行なって、断面画像である元画像をそれぞれ生成する(ステップST2)。MRI装置10は、ステップST2によって生成された撮像位置毎の元画像を基に、元画像に直交する2断面である直交断面の直交画像をそれぞれ生成する(ステップST3)。MRI装置10は、ステップST2,ST3によって生成された複数の撮像位置のうち第1の撮像位置に関する位置決め画像としてのサジタル画像、コロナル画像、及びアキシャル画像を含む撮像条件編集画面を表示部35に表示させる(ステップST4)。
【0071】
MRI装置10は、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、各種撮像条件のうち、第1の撮像位置に関する本撮像のシーケンスを設定する(ステップST5)。MRI装置10は、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、各種撮像条件のうち、第1の撮像位置に関するスライス条件に関するパラメータの値を仮設定する(ステップST6)。MRI装置10は、入力部36からの入力信号を撮像条件編集画面上に表示する。
【0072】
MRI装置10は、記憶部34に記憶されたスライス条件設定用情報(図6に図示)とステップST1によって設定された撮像位置とに基づき、スライス領域のスライス条件に関するパラメータである、スライス領域のスライス長方向の角度情報を設定する。そして、MRI装置10は、操作者が入力部36を用いて入力した入力信号と設定された角度情報とに基づき、位置決め画像上で、矩形のスラブ領域を設定し、撮像条件編集画面上に表示させる(ステップST7)。ステップST7によるスラブ領域の設定は、図4を用いて説明した。
【0073】
MRI装置10は、ステップST6によるパラメータの仮設定値と、設定された角度情報とに基づき、ステップST7によって設定されたスラブ領域内に、矩形のスライス領域を設定する(ステップST8)。MRI装置10は、ステップST6によるパラメータの仮設定値に従った全てのスライス領域がスラブ領域内に収まるか否かを判断する(ステップST8a)。ステップST8aの判断でYES、すなわち、図5に示すように、全てのスライス領域がスラブ領域内に収まると判断される場合、MRI装置10は、ステップST6によるパラメータの仮設定値を本設定し、パラメータの仮設定値に従ってスライス領域を設定する(ステップST8b)。
【0074】
一方、ステップST8aの判断でNO、すなわち、図7(a)に示すように、少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらないと判断される場合、MRI装置10は、ステップST6によるパラメータの仮設定値を、図6を用いて説明した、記憶部34に記憶されたスライス条件設定用情報に従って一部変更する(ステップST8c)。ステップST8cによるスライス条件の変更は、図7(a),(b)を用いて説明した。
【0075】
次いで、MRI装置10は、ステップST8cによって仮設定値が一部変更されたスライス条件に従った全てのスライス領域がスラブ領域内に収まるか否かを判断する(ステップST8d)。ステップST8dの判断でYES、すなわち、図7(b)に示すように、全てのスライス領域がスラブ領域内に収まると判断される場合、MRI装置10は、ステップST8cによって仮設定値が一部変更されたスライス条件を本設定し、仮設定値が一部変更されたスライス条件に従ってスライス領域を設定する(ステップST8e)。
【0076】
ステップST8dの判断でNO、すなわち、少なくとも1個のスライス領域がスラブ領域内に収まらないと判断される場合、ステップST8cによって仮設定値が一部変更されたスライス条件に従った全てのスライス領域と、ステップST7によって設定されたスラブ領域とを撮像条件編集画面上に表示させる(ステップST8f)。次いで、MRI装置10は、操作者に、スライス条件の再仮設定(ステップST6)、又はスラブ領域の再設定(ステップST7)をすべき旨を報知する(ステップST8g)。又は、ステップST8f,ST8gの代わりに、全てのスライス領域がスラブ領域内に収まるようにスラブ領域を自動変更して、ステップST9に進んでもよい。ステップST8gによってスライス条件の再仮設定、又はスラブ領域の再設定をすべき旨を報知する場合、ステップST8fによって表示されたスライス領域の表示形態(色彩等)を視認し易いものに変更することで行なわれてもよいし、音声を発することで行なわれてもよい。
【0077】
ステップST8fによる表示によって、操作者は、設定したスラブ領域と、パラメータの仮設定値に従ったスライス領域とのマッチングを視認することができる。
【0078】
次いで、MRI装置10は、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、スラブ領域を追加するか否かを判断する(ステップST9)。ステップST9の判断でYES、すなわち、スラブ領域を追加すると判断される場合、MRI装置10は、操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、第1の撮像位置を、ステップST1によって設定された複数の撮像位置に含まれる第2の撮像位置に変更するか否かを判断する(ステップST10)。ステップST10の判断でYES、すなわち、撮像位置を変更すると判断される場合、MRI装置10は、撮像条件編集画面上の位置決め画像の表示を第2の撮像位置に関する位置決め画像に切り替え、切り替え後の位置決め画像に係る第2の撮像位置を設定し(ステップST11)、ステップST5に戻る。
【0079】
一方、ステップST10の判断でNO、すなわち、撮像位置を変更しないと判断される場合、すなわち、同一の第1の撮像位置の中で新たにスラブ領域を追加する場合、MRI装置10は、撮像条件編集画面上で操作者が入力部36を用いて入力した入力信号に基づき、スライス条件を再仮設定する(ステップST6)。
【0080】
ステップST9の判断でNO、すなわち、スラブ領域を追加しないと判断される場合、MRI装置10は、ステップST1によって設定された複数の撮像位置において、ステップST8b,ST8eによって本設定されたスライス領域を含む撮像条件に従って撮像システム11の動作を制御することによって、スラブ領域の本撮像を実行する(ステップST12)。
【0081】
第1実施形態のMRI装置10によると、スライス条件に変更優先パラメータを設定することで、1個の撮像位置で異なるスラブ領域を設定する場合や、複数の撮像位置でそれぞれスラブ領域を設定する場合に、操作者がより簡易な操作で、スラブ領域毎に異なるスライス条件を設定できる。また、第1実施形態のMRI装置10によると、スライス条件に従ったスライス領域とスラブ領域とのマッチングをスラブ領域毎に表示するので、操作者は、スライス条件に従ったスライス領域とスラブ領域とのマッチングをスラブ領域毎に視認することができる。
【0082】
また、第1実施形態のMRI装置10によると、位置決め画像上で設定されたスラブ領域内にスライス条件に応じた複数のスライス領域が収まらない場合、優先度に応じて自動的にスライス条件に関するパラメータの仮設定値を一部変更するので、操作者の負担を軽減することができる。優先度は、撮像位置毎に設定されることが好適である。
【0083】
(第2実施形態)
第2実施形態のMRI装置10Aのハードウェア構成の概略図は図1に示す第1実施形態のMRI装置10Aのハードウェア構成の概略図と同一であるので説明を省略する。
【0084】
図11は、第2実施形態のMRI装置10Aの機能を示すブロック図である。
【0085】
制御部37のCPUがプログラムを実行することによって、図11に示すように、MRI装置10Aは、インターフェース部61、元画像生成部63、直交画像生成部64、撮像条件設定部65A、及び本撮像実行部66Aとして機能する。なお、MRI装置10Aの構成要素61乃至66Aをソフトウェアとして機能させる場合として説明するが、構成要素61乃至66Aの一部又は全部をMRI装置10Aに回路として設ける場合であってもよい。
【0086】
なお、図11に示す第2実施形態のMRI装置10Aにおいて、図2に示す第1実施形態のMRI装置10と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
撮像条件設定部65Aは、領域設定部65e、スライス条件確定部65f、及びスラブ変更部65gを有する。撮像条件設定部65Aは、撮像条件編集画面上で撮像条件を編集する。
【0088】
領域設定部65eは、記憶部34に記憶されたスライス条件設定用情報(図6に図示)の中の、撮像位置設定部62によって設定された撮像位置に対応する推奨値に基づいてスラブ領域及びスライス領域を設定する機能を有する。領域設定部65eによって設定されたスラブ領域及びスライス領域は、インターフェース部61を介して位置決め画像上に表示される。
【0089】
スライス条件確定部65fは、領域設定部65eによって設定されたスライス領域に基づいてスライス条件を確定させる機能を有する。
【0090】
本撮像実行部66Aは、撮像位置設定部62によって設定された複数の撮像位置において、撮像条件設定部65Aによって確定されたスライス条件を含む撮影条件に従って撮像システム11の動作を制御することによって、スラブ領域の本撮像を実行する機能を有する。
【0091】
スラブ変更部65gは、位置決め画像上でスラブ領域を変更する機能を有する。その場合、本撮像実行部66Aは、スライス条件確定部65fによって確定されたスライス条件に従って、変更後のスラブ領域の撮像を実行する。
【0092】
また、領域設定部65eは、スラブ変更部65gによって位置決め画像上でスラブ領域が変更されると、記憶部34に記憶されたスライス条件設定用情報(図6に図示)の中の、撮像位置設定部62によって設定された撮像位置に対応する変更優先パラメータを優先的に推奨値から他の値に変更することでスライス領域を変更する。その場合、スライス条件確定部65fは、変更後のスライス領域に基づいてスライス条件を確定させる。
【0093】
例えば、図6において、FE法を用いて頭部を撮像する場合、位置決め画像としてサジタル画像を用いるときを考える。スラブ変更部65gによって位置決め画像上でスラブ領域が拡大されると、領域設定部65eは、変更優先パラメータであるスライス厚を優先的に推奨値「8」からそれより大きな値に変更することになる。また、例えば、図6において、SE法を用いて胸部を撮像する場合、位置決め画像としてサジタル画像を用いるときを考える。領域設定部65eは、変更優先パラメータが存在しない。この場合、スラブ変更部65gによって位置決め画像上でスラブ領域が拡大されても、領域設定部65eは、いずれのパラメータも推奨値を維持すればよい。
【0094】
第2実施形態のMRI装置10Aによると、スライス条件に変更優先パラメータを設定することで、1個の撮像位置で異なるスラブ領域を設定する場合や、複数の撮像位置でそれぞれスラブ領域を設定する場合に、操作者がより簡易な操作で、スラブ領域毎に異なるスライス条件を設定できる。また、第2実施形態のMRI装置10Aによると、スライス条件に従ったスライス領域とスラブ領域とのマッチングをスラブ領域毎に表示するので、操作者は、スライス条件に従ったスライス領域とスラブ領域とのマッチングをスラブ領域毎に視認することができる。
【0095】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10,10A MRI装置
11 撮像システム
12 制御システム
24 寝台
24a 天板
28a〜28e 受信コイル
35 表示部
36 入力部
37 制御部
61 インターフェース部
62 撮像位置設定部
63 元画像生成部
64 直交画像生成部
65,65A 撮像条件設定部
65a シーケンス設定部
65b スライス条件仮設定部
65c スラブ設定部
65d スライス条件本設定部
65e 領域設定部
65f スライス条件確定部
65g スラブ変更部
66,66A 本撮像実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する画像生成手段と、
複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関するパラメータの推奨値を記憶する記憶装置に記憶された、前記所要の撮像位置に対応する推奨値に基づいてスラブ領域及びスライス領域を設定し、前記位置決め画像上に表示させる領域設定手段と、
前記スライス領域に基づいてスライス条件を確定させるスライス条件確定手段と、
前記確定されたスライス条件に従って、前記スラブ領域の撮像を実行する撮像実行手段と、
を有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記位置決め画像上で前記スラブ領域を変更するスラブ変更手段をさらに有し、
前記撮像実行手段は、前記確定されたスライス条件に従って、前記変更後のスラブ領域の撮像を実行する請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記領域設定手段は、前記スラブ変更手段によって前記位置決め画像上で前記スラブ領域が変更されると、前記撮像位置毎に変更優先パラメータを記憶する記憶装置に記憶された、前記所要の撮像位置に対応する変更優先パラメータを優先的に前記推奨値から変更することで前記スライス領域を変更し、
前記スライス条件確定手段は、前記変更後のスライス領域に基づいてスライス条件を確定させる請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する画像生成手段と、
複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関する複数のパラメータの値をそれぞれ仮設定する仮設定手段と、
前記位置決め画像上でスラブ領域を設定するスラブ設定手段と、
前記複数のパラメータに従った複数のスライス領域を配置する場合、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まらないとき、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まるように、前記撮像位置毎に変更優先パラメータを記憶する記憶装置に記憶された、前記所要の撮像位置に対応する変更優先パラメータの仮設定値を優先的に変更することで一部変更後のスライス条件を本設定する本設定手段と、
前記本設定されたスライス条件に従って、前記スラブ領域の撮像を実行する撮像実行手段と、
を有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
受信コイルを構成するコイルエレメントのうち信号受信するコイルエレメントと、前記被検体の架台への進入向きとに基づいて前記所要の撮像位置を設定する撮像位置設定手段をさらに有する請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
操作者による入力に基づいて前記所要の撮像位置を設定する撮像位置設定手段をさらに有する請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記本設定手段は、前記所要の撮像位置に対応するパラメータを変更してもなお前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まらない場合、前記スライス条件又は前記スラブ領域を変更すべき旨を報知する構成とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記スラブ設定手段は、操作者による入力に基づいて前記位置決め画像上に2点を指定し、前記2点と、前記撮像位置毎に記憶されたオブリーク角度とに基づいて前記スラブ領域を設定する構成とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記複数のパラメータを、オブリーク角度、スライス厚、スライス間隔、スライス数のうち少なくも2つとする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
被検体の所要の撮像位置の撮像を行なって、位置決め画像を生成する画像生成手段と、
複数の撮像位置の撮像位置毎にスライス条件に関する複数のパラメータの値をそれぞれ仮設定する仮設定手段と、
前記位置決め画像上でスラブ領域を設定するスラブ設定手段と、
前記複数のパラメータに従った複数のスライス領域を配置する場合、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まらないとき、前記スラブ領域内に前記複数のスライス領域が収まるように、前記複数のパラメータの1であるスライス数の仮設定値を変更することでスライス条件を本設定する本設定手段と、
前記本設定されたスライス条件に従って、前記スラブ領域の撮像を実行する撮像実行手段と、
を有する磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−9955(P2013−9955A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123605(P2012−123605)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】