説明

磁気共鳴システムを駆動制御する方法および制御装置、磁気共鳴システムならびにコンピュータプログラム

【課題】磁気共鳴システムを駆動制御するための改善された方法および相応する制御装置を提供すること。
【解決手段】磁気共鳴測定の前のテストフェーズにおいて送信アンテナ装置により、種々異なる高周波送信チャネルを介して、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルスを送出し、ただしテスト高周波パルスは、後続の磁気共鳴測定中に送出される励起高周波パルスと実質的に等しい場分布を比較的小さい送信出力で形成し、ローカルコイル装置の少なくとも1つの領域において、テスト高周波パルスによって形成される高周波場を測定し、測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定中にローカルコイル装置において予想される高周波場値を求め、後の磁気共鳴測定中に高周波場値を考慮して、磁気共鳴システムを駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴システムを駆動制御する方法に関しており、ここでこの磁気共鳴システムは、独立した高周波送信チャネル、すなわち独立して駆動制御可能な複数の高周波送信チャネルを有する送信アンテナ装置を含んでおり、またこの磁気共鳴システムは、磁気共鳴システムに、すなわち磁気共鳴システムのスキャナに配置されたローカルコイル装置を有する。さらに本発明は、このような磁気共鳴システムを駆動制御する制御装置と、このような制御装置を有する磁気共鳴システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴トモグラフィは今日、身体内部の画像を取得するための広まっている方法である。この方法では、検査すべき身体は、比較的大きな基本磁場に曝される。つぎに送信アンテナ装置によって高周波励起信号(B1場)が送信され、これにより、この高周波場によって共振的に励起された所定の原子の核スピンを、上記の基本磁場の磁場力線に対して所定のフリップ角だけ傾斜させるのである。つぎに核スピンが緩和される際に放射される高周波信号(「磁気共鳴信号」)は、適切な受信アンテナ装置によって捉えられる。このようにして取得された生データが最終的に利用されて画像データが再構成される。空間コーディングを行うため、高周波信号の送信ないしは受信および読み出し中に上記の基本磁場にそれぞれ所定の磁場傾斜を重ね合わせる。
【0003】
1場を送出するため、ふつういわゆるスキャナに「ボディコイル」(「ボディアンテナ」または「Body-Coil」とも称される)が固定に組み込まれ、上記のスキャナには、多くの場合に患者トンネルの形態で実現される磁気共鳴測定チャンバが設けられる。磁気共鳴信号を受信するために基本的には、B1フィールドを送信するために使用される複数のアンテナ装置も使用することができる。
【0004】
信号対雑音比(SNR)の画像を得るため、今日ではふつう複数のいわゆるローカルコイルにより、ないしは1つまたは複数のローカルコイルからなるローカルコイル装置により、複数の磁気共鳴信号を記録する。ここでこのローカルコイル装置は、患者の上または下に直ぐ近くに取り付けられるアンテナシステムである。上記のローカルコイルの個々の磁気共鳴アンテナ素子によって誘導電圧の形で受信される信号は、ノイズの少ないプリアンプによって増幅され、最終的には、ふつうケーブル接続で上記の磁気共鳴システムの受信装置に転送される。ここで上記の信号対雑音比は、上記の複数のローカルコイルのアンテナ素子の詳細な構造に大きく左右されて決定され、殊にこれらのアンテナ素子それ自体における損失に決定される。極めて小さいアンテナ素子によれば、ローカルコイルの近くにおいて比較的良好なSNRを達成することができる。このような理由から、また(SENSEまたはGRAPPAなどの)並列画像形成法においていわゆるk空間サブサンプリングを用いて測定を高速化することができることに起因して、多数の個別のチャネルを有する極めて密な受信アンテナ装置に大きな関心が寄せられており、ここで個々のアンテナ素子は、送出されるB1場に対して完全に異なる配向を有し得る。また殊に信号/雑音比を改善するため、解像度の高い画像の場合においても1.5テスラないし12テスラおよびそれ以上の強磁場装置が使用される。
【0005】
1つの問題は、核スピンを励起する際にも高い高周波送信出力によってローカルコイルのアンテナ素子に複数の電流が誘導され、これらの電流は、ローカルコイルそれ自体の望ましくない加熱に結び付き得るのである。したがって受信時に正確に磁気共鳴周波数に共振するように同調されひいては送信される励起パルスの(いわゆるラーモア周波数の)周波数にも共振するように同調されるアンテナ素子において、送信時に電流を低減するため、アンテナ素子の共振回路を、同様に共振離調ループによって開放されるのである。このことは図1の例において略示されており、この例ではローカルコイルにおける磁気共鳴アンテナ素子が示されている。アンテナ素子50は、導体ループ51から構成されており、この導体ループは、複数の個所において短縮コンデンサ52によって中断されている。複数の短縮コンデンサ52のうちの1つの両端で上記の誘導電圧が取り出される。このためにこの短縮コンデンサ52は、インダンクタンス54に直列接続された高周波スイッチ55により、並列にブリッジされている。ここでこの高周波スイッチは、多くの場合にPINダイオード5の形態をしている。高周波スイッチ55が開放される場合、短縮コンデンサ52およびインダクタンス54により、離調回路(離調ループ)53が構成される。この場合、磁気共鳴アンテナ素子50全体は、ラーモア周波数に対して離調される。この場合に高周波スイッチ55により、2つのフィルタインダクタンス56および高周波スイッチ55に並列接続されたフィルタキャパシタンス57を介して、コイルコネクタ58に対しタップが行われ、つぎにこのコイルコネクタを介して信号が磁気共鳴システムの受信装置に転送される。ここでコイルコネクタ58にはすでに、例えば、磁気共鳴信号の前処理部も、例えば適当なプリアンプなども組み込まれている。ローカルコイルが複数のこのようなアンテナ素子50を有する場合、これらのアンテナ素子は、例えば1つのコイルコネクタ58にまとめて導くことができ、このコイルコネクタではつぎに個々の信号がそれぞれ前置増幅され、コイルコネクタの相応する個々の接続ピンを適当なケーブルによって延ばすことができる。このような接続ケーブルを介し、直流を印加することによってPINダイオード55を開状態に切り換えてアンテナ素子50を離調させることも可能である。上記の高周波信号を直流電流からブロックするため、フィルタキャパシタンス57が使用される。
【0006】
離調回路53を技術的に最適に設計した場合であっても、高周波電流は、送信アンテナシステムによって励起信号を送出する際に離調回路53においてその加熱を生じさせる。これらの熱は、熱伝導により、または対流により、ローカルコイルの表面、すなわちローカルコイルケーシングも加熱することがある。所定のIEC規則は、患者と接触し得る構成部分の41℃の最大表面温度を許容している。この規格は、比較的要求度が高い。それは、電子装置の直流損失は、すなわちコイルコネクタに組み込まれるプリアンプ、周波数ミキサ、アナログ/デジタル変換器などの直流損失は廃熱になり、また上記の離調回路における高周波誘導損失も廃熱になってしまうからである。この規格を遵守できるようにするため、すなわち核スピンを励起するために高周波信号を送出する場合、患者の最大高周波負荷(いわゆるSAR,非吸収率)だけに注意するのではなく、ローカルコイルが過度に加熱されないように注意する必要であるのである。このために高周波パルスを送出するための相応の境界値をあらかじめ定めて、これらの条件が満たされるようにすべきである。さらにこれらにローカルコイルを新設する際には、ローカルコイルを検査して、ふつうに許容される高周波パルス列を送出する際にこれらの温度に達し得ないようにするのである。
【0007】
ボディコイルアンテナは、これまでふつう「均一モード」、例えば「CPモード」で作動され、このモードでは、送信場は、円偏光されておりかつ患者トンネル内で可能な限りに均一に配置されている。ここでこの場構造は大部分が、送信アンテナによって、また送信器からの給電によって設定され、ここでこれは、ただ1つの高周波信号が、所定の固定の位相および振幅比で、送信アンテナのすべてのコンポーネントに与えられることによって行われる。比較的新しいシステムでは、例えば、腹部における影形成作用を回避するため、相異なる2つの偏光状態、すなわち円偏光および楕円偏光を設定することもできる。しかしながらこの場合にも高周波分布は、広範囲にわたって均一である。この場合には比較的容易であるのは、ローカルコイルをテストし、また最大限に可能な平均送信場に対し、ローカルコイルの表面における41℃の許容最高温度を上回らないことを保証することである。ここで送信場の重要なパラメタには、空間的な場構造の他にいわゆる「mean(B12)」がある。これはすなわちB1高周波場の振幅の2乗の時間についての平均である。この値は、B1送信場によってローカルコイルに入力可能なパワーの尺度である。
【0008】
最新の磁気共鳴システムは、今日では、独立した複数の高周波送信チャネルを備えた冒頭に述べた送信アンテナ装置を有する。ここでは個々の送信チャネルには、互いに独立して個別にHF信号を割り当てることができる。この場合、励起のための高周波パルスは、複数の個別の高周波パルスからなり、これらの高周波パルスは、独立した種々異なる高周波送信チャネルを介し、並行して送出され、つぎに共通の1つの場に重ね合わされる。個々のパルスが並行して送信されることに起因して「pTXパルス」とも称されるこのような「マルチチャネルパルス」は、例えば励起パルス、再焦点パルスおよび/または反転パルスとして使用することができる。独立して駆動制御可能な複数のアンテナコンポーネントないしは送信チャネルを有するアンテナシステムは、これがボディアンテナであるか身体部近くのアンテナ装置であるかにかかわらず、「トランスミットアレイ」と称されることも多い。
【0009】
すなわち、このような装置では高周波場の構造ないしは空間分布は、ハードウェアによって固定に設定されるのではなく、ソフトウェアによって任意に設定可能であるかまたは少なくとも広い領域において設定可能なのである。したがってこのような磁気共鳴システムにおいて、認可のためのローカルコイルの系統的な事前テストはもはや実行できないのである。考えられ得るすべての送信場状態に対するテストは、実践的には実現することができない。このことが意味するのは、ローカルコイルにおける温度についての、高周波場を送信するための境界値を、上記のような旧来の境界値によって制限して、どのような場合であっても、許容最大温度を上回ってしまうことがないようにしなければならないことである。この場合、状況によっては比較的新しいシステムにおいて、これまで設けられていたローカルコイルをもはや使用できないか、ないしは一層高価な後発製品および後発設備を使用しなければならないことになり得るのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、冒頭に述べたタイプの磁気共鳴システムを駆動制御するための改善された方法および相応する制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の方法についての課題は、本発明の請求項1により、磁気共鳴システムを駆動制御する方法であって、この磁気共鳴システムは、独立した複数の高周波送信チャネルを含む送信アンテナ装置と、この磁気共鳴システムに配置されたローカルコイル装置とを備えている、磁気共鳴システムを駆動制御する方法において、磁気共鳴測定の前のテストフェーズにおいて上記送信アンテナ装置により、種々異なる高周波送信チャネルを介して、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルスを送出し、ただしこのテスト高周波パルスは、後続の磁気共鳴測定中に送出される励起高周波パルスと実質的に等しい場分布を比較的小さい送信パワーで形成し、上記のローカルコイル装置の少なくとも1つの領域において、上記のテスト高周波パルスによって形成される高周波場を測定し、この測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定中に上記ローカルコイル装置において予想される高周波場値を求め、後の磁気共鳴測定中、この高周波場値を考慮して、前記磁気共鳴システムを駆動制御する、ことを特徴とする方法によって解決される。
【0012】
上記の制御装置についての課題は、本発明の請求項13により、独立した複数の高周波送信チャネルと、ローカルコイル装置とを有する磁気共鳴システムを駆動制御するための制御装置であって、上記制御装置は、あらかじめ定めた駆動制御シーケンスに基づいて所望の磁気共鳴測定を実行するため、種々異なる前記高周波送信チャネルを介して、複数の並列な個別高周波パルスを有する励起パルスを送信するように構成されており、上記制御装置はテストユニットを有しており、このテストユニットは、磁気共鳴測定の前のテストフェーズにおいて、種々異なる高周波送信チャネルを介して、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルスの送出を開始するテスト信号送信インタフェースを有しており、ただし上記テスト高周波パルスは、後続の磁気共鳴測定中に送出される励起高周波パルスと実質的に等しい場分布を比較的小さい送信出力で形成し、さらに、上記テストフェーズにおいて、前記テスト高周波パルスによって形成される高周波場の測定を、上記ローカルコイル装置の少なくとも1つの領域において開始するテスト値測定インタフェースを有しており、さらにこの測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定中に上記ローカルコイル装置において予想される高周波場値を求める解析ユニットを有しており、さらに後の磁気共鳴測定中に上記高周波場値を考慮して上記磁気共鳴システムを駆動制御させるコントロールユニットとを有することを特徴とする、磁気共鳴システムを駆動制御するための制御装置によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術によるローカルコイルの磁気共鳴アンテナ素子の実施例を示す図である。
【図2】本発明の方法の流れ図である。
【図3】本発明による磁気共鳴システムの実施例を示す図である。
【図4】本発明の方法を実行するための付加的なテストアンテナ素子を有する、図1に示したローカルコイルの磁気共鳴アンテナ素子の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記のような磁気共鳴システムを駆動制御するための本発明による方法では、磁気共鳴測定の前のテストフェーズにおいて、送信アンテナ装置により、種々異なる高周波送信チャネルを介し、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルスを送出する。ここでこの高周波パルスは、後続の磁気共鳴測定中に送出される励起高周波パルスと実質的に同じB場分布を有するが、後の磁気共鳴測定中の実際の励起高周波パルスよりも送信パワーが小さい。つぎにローカルコイル装置の少なくとも1つの領域において、例えば、ローカルコイル装置の1つまたは複数の位置において、上記のテスト高周波パルスによって形成される高周波場を測定する。つぎにこの測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定中にローカルコイル装置において予想される高周波場値を求める。つぎに、後の磁気共鳴測定(MR)中、この高周波場値を考慮して磁気共鳴システムを駆動制御することができる。ここで「実質的同じ」場分布を形成するとはつぎのようなことである。すなわち、これらの場分布は、(少なくとも小さな許容差を無視すれば)、これらがローカルコイルへの電流の誘導の実質をなしているという点では同じとういうことである。ここでは励起高周波パルスとは、つぎのことに使用されるすべてのパルスのことである。すなわち、これが、狭い意味で実際の励起パルスであるか、または再焦点パルスおよび/または反転パルス等々であるかとは無関係に、核スピンのフリップ角を操作するのに使用されるすべてのパルスのことである。
【0015】
ここで上記のテスト高周波パルスは、例えば、後の磁気共鳴測定中に比較的長い高周波パルス列内で送出される高周波パルスのちょうど1つまたは複数の高周波パルスに相応し得る。ここでの「相応する」とは、ここでも実質的に同じ場分布が形成されるが、一層小さい送信パワーで形成されることである。
【0016】
ダウンスケーリングした振幅を無視して後の実際の励起高周波パルスと同様に形成されているため、以下では「小信号」とも称されることがある上記のようなテスト高周波パルスの形成は、例えばつぎのようにして行うことできる。すなわち、後の磁気共鳴測定時と同様に、高周波送信装置により、まずデジタル的にパルスないしはパルス列を形成し、つぎにこれをさらに増幅して通常の経路で送信することによって行うことができるのである。しかしながらここでは、上記の送信装置の出力アンプが、例えば約−60ないし20dBmだけの出口出力で動作するようにする。
【0017】
実際の磁気共鳴測定はつぎに、例えばこの「小信号テスト測定」の直後に行うことができる。このテスト測定には数ミリ秒しか必要としないため、これは全測定時間で見ればとるに足らない。この測定は、正確に同じ条件で行うことでき、有利には患者が測定チャンバにいて、後の磁気共鳴測定時と正確に同じ位置に位置決めされたローカルコイルにおいて行うことできるため、患者およびローカルコイルは、送信アンテナ装置に対し、例えば送信を行うボディコイルに対し、実際の検査時と同じポジションに配置される。ここでは固有の磁気共鳴測定毎に個別に、前もってこのようなテストフェーズを実行することができる。しかしながら複数の磁気共鳴測定による検査中に、送出すべき高周波パルス列が互いにさほど相違しない場合、状況によっては、全体検査の前に共通の1つのテストフェーズを実行し、つぎに後続の別のすべての磁気共鳴測定をここで求めた高周波場値に基づいて制御するのであっても十分である。殊に本発明による方法により、後続の測定時に実際にローカルコイルにおいてあたかも発生したもののように各測定の前にmean(B12)を動的に求めることも可能である。これにより、TXアレイによって形成することの可能な任意の送信場において、患者にとって安全な動作を可能にすることができる。その際には、例えば、状況によって良好でない画質に結び付き得る旧来の境界値を使用する必要がないか、または個別の状況において所定の測定がまったく実行できなくなってしまう事態に陥ることがないのである。したがって磁気共鳴測定時のパルス列は、これらのパルス列により、ハードウェア特性がつねにフルに利用されるように形成することができるのである。このため、殊に従来形の既設のローカルコイルを比較的新しい装置に使用することもでき、ひいては多大なコストおよび開発コストを低減することができるのである。
【0018】
多数の独立した高周波送信チャネルおよびローカルコイル装置を有する磁気共鳴システムを駆動制御するための本発明の制御装置は、まずつぎのように構成しなければならない。すなわち、この制御装置は、あらかじめ与えられた駆動制御シーケンスに基づいて所望の磁気共鳴測定を実行するため、種々異なる高周波送信チャネルを介して、複数の並列な個別高周波パルスを有する励起パルス(マルチチャネルパルス)を送信するか、ないしはこのようなマルチチャネルパルスの送出を開始するように構成しなければならないのである。さらに本発明の制御装置には、本発明によるテストユニットが必要である。このテストユニットは、磁気共鳴測定の前のテストフェーズにおいて、種々異なる高周波送信チャネルを介して、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルスの送出を開始するテスト信号送信インタフェースを有しており、ここでこのテスト高周波パルスにより、後続の磁気共鳴測定中に送出される励起高周波パルスと同じB1場分布が比較的小さい送信出力で形成される。さらに上記のテストユニットは、テスト値測定インタフェースを有しており、このインタフェースは、テストフェーズにおいて、このテスト高周波パルスによって形成した高周波場の測定をローカルコイル装置の少なくとも1つの領域において開始し、つぎに例えば上記のテスト値も受け取る。さらに上記のテストユニットは、解析ユニットおよびコントロールユニットを有しており、この解析ユニットにより、測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定中にローカルコイル装置において予想される高周波場値が求められ、また上記のコントロールユニットは、磁気共鳴測定中に、例えば、相応する制御値を転送または送出することにより、ないしはオンラインコントロールにより、後の磁気共鳴測定中に、上記の高周波場値を考慮して磁気共鳴システムの駆動制御が行われるようにする。
【0019】
本発明による磁気共鳴システムないしはこのような磁気共鳴装置は、患者測定チャンバにおいてふつう基本磁場を印加する基本場磁気システムの他に、独立した複数の高周波送信チャネルを有する上記の送信アンテナシステムと、複数の傾斜コイルを含む傾斜システムと、ローカルコイル装置とを有する。さらに、ここでは前で説明した本発明の制御装置が必要である。
【0020】
殊に上記のテストユニットは、相応に複数の記憶装置選択肢を有する適当なプログラマブル制御装置上のソフトウェアの形態で実現することも可能である。上記の高周波送信装置、傾斜システムインタフェースおよび高周波受信装置も少なくとも部分的にソフトウェアユニットの形態で実現することができる。ここでもこれらのコンポーネントの別の複数のユニットは、純粋なハードウェアユニットであり、例えば上記の高周波アンプ、高周波送信装置、上記の傾斜システムインタフェースの傾斜パルス形成装置、および/または高周波受信装置のアナログ/デジタル変換器などは純粋なハードウェアユニットである。
【0021】
例えばテストユニットを十分にソフトウェアで実現することは有利であり、既存の磁気共鳴装置制御装置も、ソフトウェアアップデートによって簡単にエンハンスして、本発明の仕方で動作させることができる。ここまでの点において上記の課題は、コンピュータプログラム製品によっても解決される。このコンピュータプログラム製品は、例えば可搬式の記憶装置に格納されるか、および/または伝送のためのネットワークを介して提供されるため、プログラミング可能な磁気共鳴装置制御装置の記憶装置にロード可能である。またこのプログラム製品は、プログラム部分を有しており、これにより、プログラムが制御装置で実行される場合、本発明の方法のすべてのステップが実行される。
【0022】
従属請求項ならびに以下の説明にはそれぞれ、本発明の殊に有利な実施形態および発展形態が含まれている。ここでは殊に、ある請求のカテゴリの請求項は、別の請求のカテゴリの従属請求項と類似に構成することも可能である。さらに本発明の枠内では、種々異なる実施例および請求項の種々異なる特徴的構成と、新たな実施例とを組み合わせることも可能である。
【0023】
殊にローカルコイルにおける条件を殊に良好に評価できるようにするため、有利には上記のテスト高周波パルスによって形成される高周波場を、所定数の、すなわち1つまたは複数の、ローカルコイル装置それ自体に配置されるアンテナ素子および/またはローカルコイル装置に組み込まれたアンテナ素子によって測定する。これに対しては種々異なる変形実施形態が考えられる。
【0024】
極めて有利な変形実施形態では、テスト高周波パルスによって形成される高周波場は、ローカルコイル装置の所定数の磁気共鳴アンテナ素子によって直接測定される。すなわち、これらのローカルコイルは、テスト高周波パルスの送出中には意図的に受信に切り換えられ、後の励起高周波パルス(ないしは励起高周波パルス列)の送出の時点とは異なり、離調されない。これは、送信振幅が高い場合にハードウェアおよび患者の安全性のために必要なものである。この際の受信される信号振幅により、すなわち磁気共鳴アンテナ素子に誘導される電圧により、各ローカルコイルにおいて、ローカルコイルのまさに各磁気共鳴アンテナ素子の個所において発生するB1場についての直接的な情報が得られる。この際には、測定した電圧信号UをスケーリングファクタKによってスケーリングして、実際に発生するB1場を
1 = K・U (1)
にしたがって得ることだけが必要である。本発明のこの変形実施形態の利点は、この方法が、従来形の任意のローカルコイルによって実行できることである。
【0025】
択一的な変形実施形態では、所定数の較正したテストアンテナ素子(ピックアッププローブ)により、上記のテスト高周波パルスによって形成される高周波場を測定することができる。このテストアンテナ素子は、上記の磁気共鳴周波数に共振させて調整する必要はない。このようなテストアンテナ素子によって受信した電圧信号の換算は、式(1)に類似して行うことができ、ここでは共振の偏差は簡単に、適合させた較正ファクタKにおいて一緒に考慮することができる。ラーモア共振の外にあるこのようなテストアンテナ素子の利点は、基本的にはこれによって後の測定中にも付加的な信号を得ることができ、またこれらの信号は、オンラインコントロール用の送出の際に利用することができ、これによって付加的に冗長な確実性が得られることである。
【0026】
個々の高周波パルスを測定することにより、例えば、上で説明した式(1)により、パルス中に発生するローカルの最大高周波場振幅を求めることができる。この最大高周波場振幅は、後に真のパルス列において予想される、本発明の意味での高周波場値として、ローカルの最大高周波振幅に容易に換算することができる。ただしこれができるのは、後の出力とテスト高周波パルス中の送信出力とが既知の場合である。また繰り返し時間、パルス持続時間、パルス形状などの別の列パラメタと共に、完全な測定中に最大限に予想される高周波振幅を求めることができ、またはローカルに予想される、時間についての2乗平均高周波場振幅、すなわちパルス列または完全な測定に対する所望のmean(B12)を求めることができる。
【0027】
ローカルコイルの構成データが既知である場合には、上記の高周波場によってローカルコイル装置に接しておよび/またはローカルコイル装置において予想される温度値を求めることもできる。付加的または択一的には、高周波場によってローカルコイル装置に接しておよび/またはローカルコイル装置において予想される最大電圧値、例えばローカルコイルの個々の構成部分において最大限に誘導される電圧を求めることができ、これによって構成部分において、許容されない高電圧も回避され、また構成部材がフラッシュオーバから保護されるのである。
【0028】
有利には上記の高周波場値を考慮して、送信場によって発生する、検査対象体の物理的な高周波負荷値の計算、殊にSAR値の計算を行うことができる。上記の送信出力によるローカルコイルそれ自体の加熱の他に患者は、送信場によって患者に誘導されるうず電流によって加熱され、これは、物理的な高周波負荷ないしは付加的に熱負荷に結び付いてしまう。すでに上で述べた比吸収率(SAR)は、患者において例えばグローバルまたはローカルに遊離される熱出力をW/kgで表す。様々な規定(規則)により、種々異なる身体領域において、許容されるSARについての境界値が設定されている。実際に患者に適用されるSAR値を正確に計算するためには、実際に発生している場についての正確な知識が必要である。これは送信アンテナだけによってではなく、患者を通してないしは患者内に誘導されるうず電流によっても定められるため、予想される高周波送信負荷、また場合によっては実際の物理的な高周波送信負荷についての一層確かな値ないしは一層正確な値を得るためにも、殊に所望のSAR値を得るためにも、本発明の方法が有利に使用される。ここでは複数の相異なるSAR値、例えば種々異なるローカル値およびグローバル値を求めて監視することができる。
【0029】
ここでは有利にはテストフェーズにおいて、複数のテスト高周波パルスを含みかつ後の磁気共鳴測定において送信されるパルス列の少なくとも一部分に相応するテストパルス列を送信する。すなわち出力較正を無視すれば実質的にこれと一致するテストパルス列を送信するのである。言い換えると、殊に後の測定用のパルス列が、その到達時間にわたって種々異なる高周波パルスを有する場合には、完全な列またはこの列の複数の部分を、それが終わる前にまず小さな信号でシミュレーションすることができるのである。これも同様に極めて高速に行うことができる。それは、これが、緩和時間または傾斜切換時間のない純粋な高周波技術的な測定だからである。したがってこのような包括的な測定も、数ミリ秒以上を要しないのである。
【0030】
上記の高周波場値、例えば予想されるローカルな最大高周波場振幅、または予想される平均2乗高周波振幅、ならびに場合によってこれから求められかつ予想される電圧値および/または温度値はそれぞれ、境界値と比較することができ、つぎにこの比較結果に依存して後の磁気共鳴測定を制限することができる。このような境界値は、例えばコイルファイルに、すなわち磁気共鳴システムの制御部において複数のローカルコイルのうちの1つに割り当てられたファイルに格納するか、またはコイルそれ自体に取り付けられた記憶装置に格納することができる。後の磁気共鳴測定の制限は、例えば、パルスの低減によって行うことができ、および/または所定のパルス列の送信を阻止することによって行うこともできる。これは、例えば個々の列パラメタを適合化するか、または相応する情報を操作者に出力することによっても可能であり、この場合、操作者はパルス列の送出を阻止するかパルス列を変更するのである。
【0031】
殊に高周波場値および/または電圧値および/または温度値ならびに場合によって境界値に依存して、後の磁気共鳴測定用のパルス列を求めるかまたは変更することができる。すなわち、パルス列は、送出の前にオフラインで適合するように変更されるか、ないしはこれらの値は、パルス列の計算および最適化に直接組み入れられるのである。ここでは、mean(B12)の測定または他の値から、後のパルス計算にも組み入れられる情報を導きだして、pTX-パルスを計算する際にすでにこれを設計して、ローカルコイルの境界値を上回らず、同時にmean(B12)境界の近傍で動作できるようにすることができ、またその際に不必要に大きな安全ファクタを実装する必要はないのである。
【0032】
所定のローカルコイルに対し、上のようにした得られた信号と、実際に印加されるB1場との間の正確な換算ファクタを得るため、有利にはテストフェーズの前の較正フェーズにおいて、アンテナ素子に対して既知の高周波場分布ならびに既知の出力を有する較正高周波パルスを送出することによってそれぞれ較正値を求め、つぎにこれらの較正値を後に信号のスケーリングに使用することができる。この較正測定は、都度の磁気共鳴測定の前に行う必要はない。この較正測定は、例えば、基本的に磁気共鳴システムにおいてローカルコイルを最初に使用する前に人体模型などを使用して実行することも可能である。ここではまた上記の測定を一人の患者で行う必要もない。ここで重要であるのは単に、上記の高周波場がローカルコイルの各個所において十分に既知であり、較正値が十分に正確に求められることである。したがって有利にはこのような較正フェーズにおいて、可能な限りに均一な場が送出される。
【0033】
以下では添付の図面を参照しながら、実施例に基づき、本発明を再度詳しく説明する。
【実施例】
【0034】
図1に示した、慣用のローカルコイルの磁気共鳴アンテナ素子50についてはすでに冒頭で説明した。本発明の枠内では有利にも簡単にこのような慣用のローカルコイルを使用することができる。しかしながらここで明確に示しておきたいのは、本発明の枠内では別の構成を有するローカルコイルも使用できることである。
【0035】
図2には、本発明による方法がどのように実行できるかを示すフローチャートが示されている。ここでこの方法は3つのフェーズに分けられる。すなわち、較正フェーズKPと、テストフェーズTPと、実際の磁気共鳴測定MRとに分けられるのである。較正フェーズKPは、場合によっては、較正データを得るためにローカルコイル毎に1回だけ実行すればよい。テストフェーズTPは、有利には「オンライン」で個々の磁気共鳴測定MRの前に実行されて、それぞれの測定の前にmean(B12)場が動的に求められる。しかしながら基本的には1つのテストフェーズTPの後、類似のタイプの複数の磁気共鳴測定MRを直後に順次に実行することもでき、その際には磁気共鳴測定MR毎にそれぞれ再度改めてテストフェーズTPを実行することはない。同様に、テストフェーズTP内で種々異なる部分磁気共鳴測定をテストし、相応するデータを格納し、後続の真の測定において、上記の個々の部分測定に対応付けられたデータを使用することも可能である。簡単にするため、図2では、磁気共鳴測定MRに対する個々のテストフェーズの直後に磁気共鳴測定MRを行う流れが示されている。
【0036】
図2においてこの方法はまずステップIにおいてはじまり、ここでは、既知の出力で均一な高周波場が放射される。この信号を較正信号KSと記す。ステップIIでは同時に複数のアンテナ素子によってこの較正信号KSを受信する。ここでこれらのアンテナ素子は、後に小信号を測定するため、すなわちテスト信号を測定するために使用するものである。ここでこれらのアンテナ素子は、すでに上で説明したように有利にはローカルコイルそのものの磁気共鳴アンテナ素子とすることができ、これらは、患者の身体部からの磁気共鳴信号を受信するために使用される。しかしながら基本的にはテストアンテナ素子とすることも可能である。
【0037】
このステップIIにおいて個々のアンテナ素子によって受信した電圧信号Uはつぎに、送信された既知の較正信号KSについての情報に基づいて利用することができ、これによって較正データK、すなわち受信した誘導電圧信号と、式(1)に示した送出された高周波振幅との間の換算ファクタを求めることができる。この較正データK、すなわちスケーリングファクタKは、つぎのステップIVにおいてコイル用の記憶装置に、例えばコイルファイルCFに格納することができる。これによって較正フェーズKPが終了する。
【0038】
つぎに後の任意の時点に上記の較正データKを利用して、磁気共鳴測定MRの前にテストフェーズTPを実行することができる。テストフェーズTPは、ステップVにおいてテスト信号TSを送出することによって、ないしは有利には完全なテスト信号列に類似するものを送信することによって開始され、ここでこの完全なテスト信号列は、出力が低減されていることを除けば有利には、後の磁気共鳴測定MR中に送出される後の高周波パルス列HFSと同様に構成されている。
【0039】
つぎにテスト信号TSは、ステップVIにおいて同時に、設けられたアンテナ素子によって、例えばローカルコイルの磁気共鳴アンテナ素子それ自体によって、またはローカルコイルにまたはローカルコイル内に配置されている適当なテストアンテナ素子によって測定される。ここでこれらのアンテナ素子に誘導される電圧Uは、ステップVIIにおいて、例えば同様にコイルファイルCFから再び読み出された較正値Kによって換算され、これによってB1場の実際の振幅が求められる。ここでは出力ファクタによる受信値のアップスケールも行うことでき、これにより、後で実際に送出する高周波信号HFSに対し、この出力ファクタだけテスト信号TSを低減させる。すなわち、送出するテスト信号TSの出力が、後に送出する高周波信号HFSの出力の10%だけしかならない場合、ファクタ10だけアップスケールを行わなければならないのである。さらに、上記のテスト信号列から既知でありかつ後に磁気共鳴測定MR中に実際のパルス列を送出する間にも必要になる、例えば繰り返し時間、パルス長、パルス形状などの列パラメタSPに基づいて、例えば平均2乗高周波場振幅(mean(B12))などの別の高周波場値HFWを求めることができ、これは、上記の送信時間にわたってアンテナによって受信される高周波出力を表す。
【0040】
つぎのステップVIIIでは、求めた高周波場値HFWと、境界値、すなわち最大高周波場値HFWmaxとを比較することできる。この最大限に許容される値HFWmaxは、例えばステップIXにおいて、このコイルに対する相応の境界値が格納されている記憶装置から読み出すことができる。例えばこの記憶装置は、ここでもコイルファイルとすることが可能である。択一的にこれらの値をローカルコイルそれ自体の記憶装置に格納することも可能である。
【0041】
択一的または付加的には、ローカルコイル表面においてまたはローカルコイル表面において予想される温度値TEに高周波場値HFWを換算することもでき、またはここでは最大限に予想される誘導電圧UEが求められる。同様に予想される物理的な高周波負荷値Sを、例えばSAR値SEを求めることもできる。これらの値TE,UE,SEと、例えば前に記憶装置から読み出したそれぞれの最大値Umax,Tmax,Smaxとを比較して、計画したパルス列が、これらの許容される境界界値Umax,Tmax,Smaxを上回ったか否かをチェックすることもできる。
【0042】
ステップVIIIにおけるこの境界値チェックに依存してつぎに適当な制御値SWを形成することができ、これにより、例えば操作者には、現在の所望の高周波パルス列により、上記の境界値を上回ることになること、および/または有利には制御値SWを直接利用して、後のパルス列の計算および/または送出に影響を及ぼすことが指示される。
【0043】
これは、例えば後続の磁気共鳴測定MRの際にステップXで行うことができ、このステップXでは所望の高周波パルス列、すなわち多数の所望の高周波信号ないしは励起高周波パルスHFSが、あらかじめ定めた順序で送出される。ここでは制御値SWに基づいて磁気共鳴システムの任意の適当な個所に介入することができ、例えばこれは、パルス出力が大きすぎる場合にパワーアンプの出力を絞るかまたはパルス形成に直接影響を及ぼすことによって行われる。つぎに送出された高周波パルスHFSに基づき、ステップXIにおいて生データRDを取得し、これらの生データをつぎのステップXIIにおいて画像データに再構成する。
【0044】
高周波パルス列および適合する傾斜パルス列を送出することによるこのような磁気共鳴測定、ならび生データRDの取得を詳細にどのように行うかは、当業者には公知であり、このことは生データから画像データを再構成するための種々異なる選択肢と同様である。したがってこの点についてはここで詳しく説明する必要はない。本発明による方法の枠内では、公知のあらゆる磁気共鳴記録方式を利用可能である。これらは単につぎの点が異なる。すなわち、ここでは上で説明したように、例えば、適当な制御値SWにより、励起高周波パルスHFSの送出および/または形成に影響を及ぼすことができ、これによって、所定の境界値が確実に守られることが保証されるのであり、殊にローカルコイルにおける所定の最大温度値Tmaxおよび/またはローカルコイルの電気構成部分における所定の最大許容電圧値Umaxが確実に守られることが保証されるのである。
【0045】
図3には本発明による磁気共鳴システム1が大まかに略示されている。
【0046】
この磁気共鳴システムにはまず実際の磁気共鳴スキャナユニット2が含まれており、このユニットにおいて磁気共鳴測定チャンバ4ないしは患者トンネルの(図示しない)患者台上に検査対象体ないしは患者または(図示しない)被験者が検査中に寝かせられる。磁気共鳴スキャナユニット4には多数のコンポーネントが存在する。これらのコンポーネントにはまず基本磁場形成ユニットが含まれており、このユニットにより、患者トンネル4内に可能な限りに均一な基本磁場が形成される。さらに磁気共鳴スキャナユニット2にはいわゆる傾斜コイルと、ボディアンテナ3とが含まれており、上記の傾斜コイルにより、患者トンネル4内に所定のように磁場傾斜を印加することができ、また上記のボディアンテナ3を介して高周波場を患者トンネル4に送出することができる。ボディアンテナ3には、互いに依存せずに駆動制御可能な別個の複数の高周波送信チャネルS1,…,SNが含まれている。
【0047】
見易くするために図1ではボディアンテナ3しか略示していないがすでに説明したコンポーネントの他に、磁気共鳴スキャナユニット2はふつう、さらに別の複数のコンポーネントを有しており、例えば、基本磁場の均一性を改善するShimシステムと、一般的な監視作業用の監視システムなどを有している。
【0048】
スキャナユニット2は制御装置10によって駆動制御され、図1では同様にこの制御装置のうち、本発明の説明に重要なコンポーネントだけが示されている。基本的にこのような磁気共鳴システム1および対応する制御装置10は当業者には公知であるため、詳細に説明する必要はない。
【0049】
図1に示した制御装置10の大部分は、制御装置10のケーシング内の1つまたは複数のプロセッサ上で動作するソフトウェアモジュールの形態で実現される。しかしながらこの制御装置は基本的に、空間的に分散して配置されかつ適当に互いにネットワーク接続されたコンポーネントないしはモジュールから構成することも可能である。
【0050】
ここで制御装置10は、種々異なるインタフェース、例えば端末インタフェース17を有しており、この端末インタフェースにより、制御装置10と、操作者用の端末30とが接続される。端末30はふつうユーザインタフェースを有しており、例えばキーボード31と、ディスプレイ32と、場合によっては(マウスまたはこれに類似するもの。図示せず)ポインティングデバイスを有しているため、ユーザはグラフィックなユーザインタフェースも利用可能である。
【0051】
他の重要なインタフェースは、磁気共鳴システム1の全高周波送信分岐路を表す高周波送信装置13(HF送信装置)と、受信装置14とである。
【0052】
HF送信装置13を介して例えばスキャナユニット2のボディコイル3が駆動制御されるか、ないしは適切な高周波パルス列が形成されて所望のように核スピンが励起される。このためにHF送信装置13は、まずパルス形状用のデジタル信号を形成するため、1つまたは複数のデジタルパルス形成ユニットと、適当なデジタル/アナログ変換器とを有しており、またミキサおよび高周波アンプなどを有しており、これによって上記のデジタル信号に基づいて最終的に高周波送信チャネルS1,…,SN(図3ではシンボリックに1つの線路で示されている)毎に、適当な強度、形状および周波数の高周波信号が形成されて、全体として上記のようにマルチチャネルパルス(pTXパルス)ないしはこのようなパルスの列が形成される。
【0053】
別のインタフェースとして制御装置10は、スキャナユニット2のその他のコンポーネント用に駆動制御インタフェース12を有しており、このインタフェースを介して例えば上で説明した傾斜コイルなどが駆動制御される。ここでもこのインタフェースは複数のインタフェースとすることができ、これらのインタフェースは、図1において分かり易くするため、1つのインタフェースブロックにまとめられている。駆動制御インタフェース12および高周波送信インタフェース13は、測定制御ユニット11によって駆動制御され、この測定制御ユニット11は、測定プロトコルにおいて正確に設定された駆動制御シーケンスASにしたがって、所定の磁気共鳴測定に必要な傾斜パルス列および高周波パルス列を送出する。この測定プロトコルは、例えば記憶装置16に格納することができ、および/またはユーザにより、端末30を介して設定するかないしは変更することができる。
【0054】
HF受信装置14はここではローカルコイル装置5に接続されており、このローカルコイル装置5は、複数の磁気共鳴アンテナ素子50を有している。このようなローカルコイル装置5は、例えば複数の個別のローカルコイルから構成することも可能であり、これらの複数のローカルコイルにはそれぞれ複数の磁気共鳴アンテナ素子50が含まれており、またこれらの複数のローカルコイルは、患者トンネル14に位置決めされた患者または被験者に配置される。
【0055】
個々の磁気共鳴アンテナ素子50と接続するため、HF受信装置14は(図1に個別に図示していない)複数の受信チャネルを有しており、有利には磁気共鳴アンテナ素子5毎に1つずつの受信チャネルを有する。これらの受信チャネルはふつう、例えば(磁気共鳴信号がローカルコイル1からHF受信装置14にアナログで送信される場合)磁気共鳴信号から、周波数にしたがってフィルタで所望の情報を選択する種々異なる復調器と、生データを最終的にデジタル化するためアナログ/デジタル変換器とによって構成することができる。比較的新しいローカルコイルでは択一的に、MRアンテナ素子50毎にアナログ/デジタル変換器をローカルコイルそれ自体にすでに配置することも可能である。
【0056】
HF受信装置14の個々の受信チャネルによって受信した磁気共鳴信号ないしは生データRDは、つぎに画像再構成ユニット15に転送され、この画像再構成ユニットにより、デジタル化された生データからふつう磁気共鳴画像が再構成される。つぎにこの再構成された画像は例えば端末インタフェース17を介して端末30のディスプレイ32に出力するかまたは記憶装置16に格納することができる。択一的には制御装置30はさらに、ネットワークへ至るインタフェースまたは類似のもの(図示せず)を有することができるため、外部の大容量記憶装置上に生データまたは画像データを記憶することができるか、ないしは画像および生データを別の計算機に伝送することができ、殊に画像を観察するための診断ワークステーション、プリンタなどに伝送することができる。HF受信装置14も同様に測定制御ユニット11によって駆動制御されるため、これに加えて空間コーディングに必要な傾斜パルスの切換と同期して生データRDが読み出される。これにより、磁気共鳴測定MR中に励起高周波パルスHFSを送信する間には、磁気共鳴アンテナ素子50が離調されるようにすることもできる。これはHF受信装置14の切換ユニットによって行うことができる。それは、ここではローカルコイル装置5がケーブルを介してHF受信装置14に接続されており、このケーブルは、ローカルコイル装置5への相応の制御信号を伝送するのにも使用できるからである。
【0057】
本発明では、制御装置10はさらにテストユニット20を有する。テストユニット20にはまずテスト信号送信インタフェース21が含まれている。上で図2に基づいて説明したようにテストフェーズにおいて、テスト信号送信インタフェースにより、テスト信号ないしはテスト高周波信号TSの送出が開始される。ここでこれは、相応する制御信号が測定制御ユニット11に渡されることによって行われる。つぎにこの測定制御装置は、HF送信装置13から、相応するテスト高周波パルスTSが、低減された出力で送出されるようにする。テストユニット20はさらにテスト値測定インタフェース22を有する。このテスト値測定インタフェースは、テストフェーズにおいて、テスト高周波パルスTSによって形成される高周波場が、ローカルコイル装置5の少なくとも1つの領域において測定されるようにする。これは例えばつぎのようにして行うことができる。すなわち、テスト値測定インタフェース22から制御命令がHF受信装置14の切換ユニットに発せられ、これにより、テスト高周波パルスTSの送出に並行して、ローカルコイル装置5の個々の磁気共鳴アンテナ素子50を離調させるのではなく、受信に切り換えられたままにすることによって行うことができるのである。さらにここで求めた誘導電圧は、このテスト値測定インタフェース22を介し、測定値として受け渡すことができる。つぎにこの測定値は、解析ユニット23に渡される。この解析ユニットにより、上で図2に基づいて説明したように測定した高周波場ないし電圧値に基づいて、高周波値HEWが求められまたは場合によって相応する予想される温度値TEおよび/または電圧UEも求められる。つぎにこれらは、適当な境界値と比較することができる。
【0058】
つぎのこの比較の結果は、コントロールユニット24に渡される。このコントロールユニットは、例えば、オンラインコントロールの枠内で適当な制御値SWを送出するおよび渡すことによって、例えば測定制御ユニット11と通信し、これにより、後の磁気共鳴測定MR中の励起高周波パルスHFSの送出を相応に監視するのである。テストユニット20は、インタフェース25を介して、例えば端末インタフェース17に接続されているため、ユーザも端末30から直接、このようなテストフェーズTPを開始することができる。コントロールユニット24は、場合によって発生し得る制御またはコントロール値を、インタフェース25および端末インタフェース17を介して端末30または別の計算機に渡すこともできる。この計算機は、例えば、駆動制御シーケンス算出ユニット33を有しており、このユニットではオフラインで、すなわち測定の前に、後続の磁気共鳴測定用に適当に最適化した駆動制御シーケンスが求められる。ローカルコイル装置5において境界値が維持されることを保証するためにテストユニット20によって求めた上記の制御ないしコントロール値は、つぎにこの制御シーケンス算出ユニット33により、駆動制御シーケンスASに対するパルス計算の際に同様に考慮することができる。
【0059】
有利にはテストユニット20を使用して、較正フェーズKPにおいて較正高周波パルスKSを送出することもできる。この場合に較正値Kの計算は、解析ユニット23において行うことができる。種々異なるコンポーネントおよびインタフェースを有するテストユニット20は、例えば制御装置10の適当なプロセッサ上で動作するソフトウェアの形態で実現することができる。しかしながら、このようなテストユニット20を、例えばFPGA等によるハードウェアコンポーネントの形態で構成することも可能である。
【0060】
図4には、ローカルコイルにおける磁気共鳴アンテナ素子50の変形実施形態が示されており、このアンテナ素子は付加的に、小さい導体ループの形態のテストアンテナ素子60を備えて構成されており、この導体ループは、線路61を介してコイルコネクタ58に接続されている。このようなテストアンテナ素子を用いれば、上で説明したように現場およびローカルコイルに発生している高周波場の測定も可能であり、これによって本発明による方法を実施することができる。付加的にはこのようなテストアンテナ素子を使用して、後の測定中にオンラインで高周波場値をローカルにコントロールし、境界値を上回らないように付加的な確実性を得ることも可能である。
【0061】
上記の磁気共鳴アンテナ素子により、テスト高周波パルスを実際に送出する際の実際の送信場を、この送信場それ自体に反作用を発生させることなしに可能にするため、プリアンプを使用することができる。ここでこのプリアンプは、その入力インピーダンスにより、磁気共鳴アンテナ素子における電流が可能な限りに強く抑制されるように磁気共鳴アンテナ素子に接続されている。この技術は、プリアンプデカップリング(preamp decoupling)とも称される。ここでは上記のプリアンプの入力インピーダンスをそれぞれ接続して、この入力インピーダンスが、ローカルコイルの磁気共鳴アンテナ素子に接続した際に、アンテナ導体の面において高抵抗の点が形成されるようにする。これにより、このアンテナにおける電流が大幅に抑制されるため、外部の場によって確かにプリアンプにおいて電圧が誘導されるが、アンテナでは極めて小さな電流だけしか誘導されないようになる。したがってアンテナ素子それ自体は、上記の送信場の誘導に起因してせいぜいのところ場の強さが極めて弱い場しか形成されず、したがって送信場の歪みには寄与しないのである。
【0062】
最後にもう一度指摘しておきたいのは、上で説明した構造は単に実施例であり、請求項によって記載されている限りにおいて、本発明の範囲を逸脱することなく広い範囲において当業者が変更できることである。殊に明に示しておきたいのは、上記の方法および装置の、上で説明した変形実施形態、殊に磁気共鳴アンテナ素子およびテストアンテナ素子の構成は、ローカルコイルにおいてまたはローカルコイルの近傍において任意の組み合わせで互いに使用できることである。上で説明した実施例において前提としたのは、上記の高周波場がつねに磁気共鳴システムのボディコイルから送出されることである。しかしながら基本的には、核スピンを励起するための送信場をローカルコイルによって形成することも可能である。この場合には当然のことながら、本発明による方法により、上記の高周波場が、例えば目下送信していない別のローカルコイルに与える影響を求めることも可能である。完全を期すために、不定冠詞の「ein, eine」(1つ)の使用は、該当する特徴が複数存在しうることを除外するものではないことも述べておく。同様に、「ユニット」という語は、この「ユニット」が複数のコンポーネントから構成されることを除外するものではなく、これらの複数のコンポーネントは場合によって空間的に分散していることもあり得る。
【符号の説明】
【0063】
1 磁気共鳴システム、 2 磁気共鳴スキャンユニット、 3 ボディアンテナ、 4 磁気共鳴測定チャンバ 患者トンネル、 5 ローカルコイル装置、 10 制御装置、 11 測定制御ユニット、 12 駆動制御インタフェース、 13 高周波送信装置、 14 受信装置、 15 画像再構成ユニット、 16 記憶装置、 17 端末インタフェース、 20 テストユニット、 21 テスト信号送信インタフェース、 22 テスト値測定インタフェース、 23 解析ユニット、 24 コントロールユニット、 25 インタフェース、 30 端末、 31 キーボード、 32 ディスプレイ、 33 駆動制御シーケンス算出ユニット、 50 磁気共鳴アンテナ素子、 51 導体ループ、 52 短縮コンデンサ、 53 離調回路/離調ループ、 54 インダクタンス、 55 高周波切換スイッチ/PINダイオード、 56 フィルタインダクタンス、 57 フィルタキャパシタンス、 58 コイルコネクタ、 60 テストアンテナ素子、 61 線路、 KP 較正フェーズ、 TP テストフェーズ、 MR 磁気共鳴測定、 KS 較正信号、 TS テスト信号/テスト高周波パルス、 U 電圧信号、 K 較正データ/換算ファクタ、 CF コイルファイル、 HFS 励起高周波パルス、 SP 列パラメタ、 HFW 高周波場値、 境界値/最大高周波場値、 TE 予想される温度値、 UE 予想される誘導電圧、 SE 予想される物理的な高周波負荷値/SAR値、 Umax 境界値/最大値、 Tmax 境界値/最大値、 Smax 境界値/最大値、 SW 制御値、 RD 生データ、 AS 駆動制御シーケンス、 S1,…,SN 高周波送信チャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴システム(1)を駆動制御する方法であって
該磁気共鳴システム(1)は、
独立した複数の高周波送信チャネル(S1,…,SN)を有する送信アンテナ装置(3)と、
当該磁気共鳴システム(1)に配置されたローカルコイル装置(5)とを備えている、磁気共鳴システム(1)を駆動制御する方法において、
− 磁気共鳴測定(MR)の前のテストフェーズ(TP)において前記送信アンテナ装置(3)により、種々異なる高周波送信チャネル(S1,…,SN)を介して、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルス(TS)を送出し、ただし当該テスト高周波パルス(TS)は、後続の磁気共鳴測定(MR)中に送出される励起高周波パルス(HFS)と実質的に等しい場分布を比較的小さい送信出力で形成し、
− 前記ローカルコイル装置(5)の少なくとも1つの領域において、前記テスト高周波パルス(TS)によって形成される高周波場を測定し、
− 当該測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定(MR)中に前記ローカルコイル装置(5)において予想される高周波場値(HFW)を求め、
− 後の磁気共鳴測定(MR)中に、当該高周波場値(HFW)を考慮して前記磁気共鳴システム(1)を駆動制御する、
ことを特徴とする、磁気共鳴システム(1)を駆動制御する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記ローカルコイル装置(5)に配置された、および/または当該ローカルコイル装置(5)に組み込まれた所定数のアンテナ素子(50,60)により、前記テスト高周波パルス(TS)によって形成される高周波場を測定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記ローカルコイル装置(5)の所定数の磁気共鳴アンテナ素子(50)により、前記テスト高周波パルス(TS)によって形成される前記高周波場を測定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、
所定数のテストアンテナ素子(60)により、前記テスト高周波パルス(TS)によって形成される前記高周波場を測定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、
高周波場値(HFW)としてローカルの高周波場振幅を求める、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、
高周波場値(HFW)として、二乗平均高周波場振幅を求める、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、
前記ローカルコイル装置(3)に接しておよび/または前記ローカルコイル装置(3)において前記高周波場によって発生が予想される温度値(TE)および/または予想される電圧値(UE)を求める、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、
前記高周波場値(HFW)に基づいて、前記送信場によって発生しかつ予想される、検査対象体の物理的な高周波負荷値(SW)を計算する、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、
前記テストフェーズ(TP)において、複数のテスト高周波パルス(TS)を含むテストパルス列を送信し、
ただし当該テストパルス列は、後の磁気共鳴測定(MR)時に送信されるパルス列の少なくとも一部分に相応する、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、
前記高周波場値(HFW)および/または前記温度値(TE)および/または前記電圧値(UE)および/または前記物理的な高周波負荷値(SE)と、境界値(HFWmax,Tmax,Umax,Smax)とを比較し、当該比較結果に依存して、前記後の磁気共鳴測定(MR)を制限する、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法において、
前記高周波場値(HFW)および/または前記温度値(TE)および/または前記電圧値(UE)および/または前記物理的な高周波負荷値(SE)に依存して、また場合によっては境界値(HFWmax,Tmax,Umax,Smax)に依存して、後の磁気共鳴測定(MR)用のパルス列を求めるかまたは変更する、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において、
テストフェーズ(TP)の前の較正フェーズ(KP)において、既知の高周波場分布を有する較正高周波パルス(KS)を送信することにより、前記アンテナ素子(50,60)に対して較正値(K)を求める、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
独立した複数の高周波送信チャネル(S1,…,SN)と、ローカルコイル装置(5)とを有する磁気共鳴システム(1)を駆動制御するための制御装置(10)であって、
前記制御装置(10)は、あらかじめ定めた駆動制御シーケンス(AS)に基づいて所望の磁気共鳴測定(MR)を実行するため、種々異なる前記高周波送信チャネル(S1,…,SN)を介して、複数の並列な個別高周波パルスを有する励起パルス(MRS)を送信するように構成されており、
前記制御装置(10)はテストユニット(20)を有しており、当該テストユニット(20)は、
− 磁気共鳴測定(MR)の前のテストフェーズ(TP)において、種々異なる高周波送信チャネル(S1,…,SN)を介して、複数の並列な個別高周波パルスを有するテスト高周波パルス(TS)の送出を開始するテスト信号送信インタフェース(21)を有しており、
ただし前記テスト高周波パルス(TS)は、後続の磁気共鳴測定(MR)中に送出される励起高周波パルス(HFS)と実質的に等しい場分布を比較的小さい送信出力で形成し、
− さらに、前記テストフェーズ(TP)において、前記テスト高周波パルス(TS)によって形成される高周波場の測定を、前記ローカルコイル装置(5)の少なくとも1つの領域において開始するテスト値測定インタフェース(22)を有しており、
− さらに、当該測定した高周波場に基づいて、後の磁気共鳴測定(MR)中に前記ローカルコイル装置(5)において予想される高周波場値(HFW)を求める解析ユニット(23)を有しており、
− さらに後の磁気共鳴測定(MR)中に前記高周波場値(HFW)を考慮して前記磁気共鳴システム(1)を駆動制御させるコントロールユニット(24)とを有する
ことを特徴とする、磁気共鳴システム(1)を駆動制御するための制御装置。
【請求項14】
磁気共鳴システム(1)において、
独立した複数の高周波送信チャネル(S1,…,SN)と、
基本場磁気システムと、
傾斜システムと、
独立した複数の高周波送信チャネルを有する送信アンテナシステムと、
ローカルコイル装置(5)と、
請求項13に記載の制御装置(10)とを有する、
ことを特徴とする磁気共鳴システム(1)。
【請求項15】
磁気共鳴システム(1)の制御装置(10)の記憶装置に直接ロードすることの可能なコンピュータプログラムにおいて、
該コンピュータプログラムは、当該プログラムが前記制御装置(10)で実施される場合、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法のすべてのステップを実行するためのプログラムコード部分を有する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−78588(P2013−78588A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222462(P2012−222462)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】