説明

磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法

【課題】気体冷媒に比較して高粘性である液体冷媒を用いる際に、冷媒流の流れを最適化し、熱交換効率を向上させる磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法を提供する。
【解決手段】磁気熱量効果を有する磁性体粒子が充填された熱交換容器10と、磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にする磁場印加除去機構と、熱交換容器10の一端側に設けられる低温側熱交換部14と、熱交換容器10の他端側に設けられる高温側熱交換部16と、磁場の印加および除去に同期して、熱交換容器10内を一端側から他端側またはその逆方向に流れる熱輸送冷媒流を形成する液体冷媒と、熱交換容器10内を流れる前記熱輸送冷媒流を乱流状態とする乱流発生機構と、を備えることを特徴とする磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよびこれを用いた磁気冷凍方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気熱量効果を有する磁性体粒子を用いる磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人間の日常生活に密接に関係する室温域の冷凍技術、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、室内冷暖房などの大半は、気体の圧縮膨張サイクルが使用されている。しかし、気体の圧縮膨張サイクルに基づく冷凍技術に関しては、特定フロンガスの環境排出に伴う環境破壊が大きな問題となっている。更に、代替フロンガスについてもその環境への影響が懸念されている。そこで、最近では、自然冷媒(CO等)やイソブタンを用いた改良を行っている。このような背景から、作業ガスの廃棄に伴う環境破壊の問題がない、クリーンでかつ効率の高い冷凍技術の実用化が求められている。
【0003】
近年、このような環境配慮型でかつ効率の高い冷凍技術の一つとして、磁気冷凍への期待が高まり、室温域を対象とした磁気冷凍技術の研究開発が活発化して来ている。1881年、Warburgによって鉄(Fe)における磁気熱量効果が見出された。磁気熱量効果とは、断熱状態で磁性物質に対して外部印加磁場を変化させると、その磁性物質の温度が変化する現象である。
【0004】
磁気冷凍では、磁気熱量効果を利用して以下のように低温を生成している。磁性物質では、磁場印加時の状態と磁場除去時の状態の間で、電子磁気スピン系の自由度の相違に起因してエントロピーが変化する。このようなエントロピー変化に伴い、電子磁気スピン系と格子系との間で、エントロピーの移動が起こる。磁気冷凍では大きな電子磁気スピンを持った磁性物質を使用する。そして、磁場印加時と磁場除去時の間での大きなエントロピーの変化を利用し、電子磁気スピン系と格子系との間でエントロピーの授受を行わせ低温を生成している。
【0005】
磁気冷凍システムは、1900年代前半に磁気熱量効果を有する磁気冷凍作業物質としてGd(SO・8HOなどの常磁性塩やGdGa12(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット;GGG)に代表される常磁性化合物を用いた冷凍デバイスが開発された。常磁性物質を使用した磁気冷凍を実現する冷凍デバイスでは、20K以下の極低温領域に適用されるものが中心であり、超伝導磁石を用いて得ることができる10テスラ程度の磁場が用いられている。
【0006】
これに対して、より高温での磁気冷凍を実現すべく1970年代以降、強磁性物質における常磁性状態と強磁性状態との間の磁気相転移を利用した磁気冷凍の研究が盛んに行なわれた。そして、Pr、Nd、Dy、Er、Tm、Gdなどのランタン系列の希土類元素単体やGd−Y、Gd−Dyのような2種以上の希土類合金系材料、RAl(Rは希土類元素を表す、以下において同じ)、RNi、GdPdなどの希土類金属間化合物など、単位体積当たりの電子磁気スピンが大きな希土類を含む磁性物質が数多く提案されている。
【0007】
1974年に米国のBrownは、強磁性相転移温度(Tc)が約294Kの強磁性物質Gdを用いて、室温域における磁気冷凍を初めて実現した。しかしながら、Brownの実験では、冷凍サイクルを連続的に運転したものの定常状態には至らなかった。1982年、米国のBarclayは、これまで室温域における磁気冷凍にとって阻害要因と位置付けられていた格子エントロピーを、むしろ積極的に利用することを考案し、磁気物質に、磁気熱量効果による磁気冷凍作業に加えて、この磁気冷凍作業により生成された冷熱を蓄える蓄熱効果を同時に担わせる冷凍方式を提案した(特許文献1参照)。この磁気冷凍方式は、AMR方式(”Active Magnetic Refrigeration”)と呼ばれている。これらの冷凍デバイスは、両者共に超伝導磁石を用いた強磁場下での動作である。
【0008】
1997年、米国のZimm、Gschneidner、Pecharskyらは、細かい球形状のGdが充填された充填筒を用いてAMR方式の磁気冷凍デバイスを試作し、室温域における磁気冷凍サイクルの連続定常運転に成功した。これによると、室温域で、超伝導磁石を使用して磁場を0テスラから5テスラへ変化させることによって、約30℃の冷凍に成功し、冷凍温度差(ΔT)が13℃の場合に、非常に高い冷凍効率(COP=15;但し、磁場発生手段への投入パワーを除く)を得たことが報告されている。因みに、従来のフロンを用いた圧縮サイクルにおける家庭用冷蔵庫などの冷凍効率(COP)は1〜3程度である。
【0009】
2000年にはスペインのBohigasらにて永久磁石を用いた報告例もある。これは、固定された対向する永久磁石の空隙中に回転駆動系を伴う磁気冷凍作業物質を挿入した構造である。磁気冷凍作業物質にGdを用いて磁界強度:0.3T、冷媒:オリーブ油、回転数:4−50rpmの条件で室温域環境にて1.5Kの冷却を実証している。しかし、回転駆動系に冷媒循環を内蔵させる複雑な構造と冷却能力不足が課題となっている。
【0010】
以降、永久磁石を用いた室温磁気冷凍技術が活発に行われている。そして、極低温域での磁気冷凍では気体冷媒が使われるのに対し、室温磁気冷凍では主に高粘性な液体冷媒が用いられことが一つの特徴である。
【特許文献1】米国特許第4332135号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、気体冷媒に比較して高粘性である液体冷媒を用いる際に、冷媒流の流れを最適化し、熱交換効率を向上させる磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様の磁気冷凍デバイスは、磁気熱量効果を有する磁性体粒子が充填された熱交換容器と、前記磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にする磁場印加除去機構と、前記熱交換容器の一端側に設けられる低温側熱交換部と、前記熱交換容器の他端側に設けられる高温側熱交換部と、前記磁場の印加および除去に同期して、前記熱交換容器内を前記一端側から前記他端側またはその逆方向に流れる熱輸送冷媒流を形成する液体冷媒と、前記熱交換容器内を流れる前記熱輸送冷媒流を乱流状態とする乱流発生機構と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記、磁気冷凍デバイスにおいて、前記乱流発生機構が前記熱輸送冷媒流の流速を第1の流速から第2の流速へとステップ状に変化可能とする流速変更装置を含み、前記流速変更装置が前記熱交換容器外に設けられることが望ましい。
【0014】
上記、磁気冷凍デバイスにおいて、前記乱流発生機構が、前記熱交換容器内に設けられた流路変更板を含むことが望ましい。
【0015】
上記、磁気冷凍デバイスにおいて、前記乱流発生機構が、前記熱交換容器端部に設けられた流路変更板を含むことが望ましい。
【0016】
上記、磁気冷凍デバイスにおいて、前記磁性体粒子が100μmΦ以上2000μmΦ以下の略球状であり、前記熱交換容器に対する前記磁性体粒子の体積充填率が40%以上70%以下であることが望ましい。
【0017】
本発明の一態様の磁気冷凍システムは、上記の磁気冷凍デバイスと、前記低温側熱交換部に熱的に接続される冷却部と、前記高温側熱交換部に熱的に接続される排熱部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記、磁気冷凍システムにおいて、前記磁気冷凍システムが、家庭用冷蔵庫、家庭用空調機、産業用冷凍冷蔵庫または液化ガス貯蔵・運搬用冷凍庫であることが望ましい。
【0019】
上記、前記磁気冷凍システムにおいて、家庭用冷蔵庫であって、前記冷却部が−21℃以下に冷却可能な急速冷凍室であることが望ましい。
【0020】
本発明の一態様の磁気冷凍方法は、磁気熱量効果を有する磁性体粒子が充填された熱交換容器と、前記熱交換容器に対して相対的に移動し、前記磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にする磁場印加除去機構と、前記熱交換容器の一端側に設けられる低温側熱交換部と、前記熱交換容器の他端側に設けられる高温側熱交換部と、前記磁場の印加および除去に同期して、前記熱交換容器内を前記一端側から前記他端側またはその逆方向に流れる液体の熱輸送冷媒流を生成する冷媒移動機構とを備える磁気冷凍デバイスを用いた磁気冷凍方法であって、前記熱交換容器内の前記熱輸送冷媒流を、少なくとも一定時間の間、乱流状態とすることを特徴とする。
【0021】
上記、磁気冷凍方法において、前記熱輸送冷媒流の流速を、ステップ状に変化させることにより、前記熱輸送冷媒流を乱流状態とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、気体冷媒に比較して高粘性である液体冷媒を用いる際に、冷媒流の流れを最適化し、熱交換効率を向上させる磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明者らは、高粘性である液体冷媒を用いる磁気冷凍デバイスの熱交換効率を向上する上で、熱交換容器内の磁性体粒子間に生じる死水領域の活用に着目した。そして、熱交換容器内の冷媒流を一定の状態で安定して流れる層流ではなく乱流状態にすることにより、磁気冷凍デバイスの熱交換効率が飛躍的に向上することを見出した。本発明は、発明者らの見出したかかる知見に基づき完成されたものである。以下、本発明の実施の形態につき図面を参照しつつ説明する。
【0024】
なお、本明細書中「乱流」とは、液体が規則正しく流れる層流に対峙する概念で、液体が不規則に流れる状態を表すものとする。具体的には、例えば、渦流や旋回流などが乱流に相当する。
【0025】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の磁気冷凍デバイスは、磁気熱量効果を有する磁性体粒子が充填された熱交換容器と、磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にする磁場印加除去機構を備えている。さらに、この熱交換容器の一端側に設けられる低温側熱交換部と、熱交換容器の他端側に設けられる高温側熱交換部を有している。また、磁場の印加および除去に同期して、熱交換容器内を一端側から他端側またはその逆方向に流れる熱輸送冷媒流を形成する液体冷媒を有している。加えて、熱交換容器内を流れる熱輸送冷媒流を乱流状態とする乱流発生機構とを備えることを特徴とする。
【0026】
図1は、本実施の形態の磁気冷凍デバイスの模式的構造断面図である。磁気熱量効果を有する磁性体粒子(図示せず)が、たとえばメッシュ状の仕切り板を用いて熱交換容器10内に充填されている。そして、永久磁石12a、12bと、この永久磁石12a、12bを図中点線矢印の方向に駆動させる駆動装置(図示せず)を磁場印加除去機構として備えることによって、熱交換容器10中の磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にしている。
【0027】
そして、この磁気冷凍デバイスは、熱交換容器10内の一端側に配管に接続されて設けられる低温側熱交換部14と、熱交換容器10の他端側に、配管に接続されて設けられる高温側熱交換部16を備えている。ここで、低温側熱交換部14は、デバイス外部と冷熱を交換する機能をもたせることが可能である。高温側熱交換部16は、デバイス外部と高熱を交換する機能をもたせることが可能である。
【0028】
そして、この磁気冷凍デバイスは、図中実線矢印で示すように、低温側熱交換部14から熱交換容器10内を径由して高温側熱交換部16の方向またはその逆方向に流れる熱輸送冷媒流を形成する液体冷媒(図示せず)を有している。この双方向の熱輸送冷媒流は、磁場印加除去機構による磁性体粒子への磁場の印加および除去に同期している。
【0029】
熱交換容器10、低温側熱交換部14、高温側熱交換部16は、その内部に液体冷媒、例えばエチレングリコール水溶液を通す配管18によって接続され、冷媒が循環する冷媒回路を形成している。そして、この液体冷媒を移動・循環させるための冷媒移動機構としてポンプ20が配管18の途中に設けられている。
【0030】
本実施の形態の磁気冷凍デバイスでは、熱交換容器10内部には、磁気熱量効果を有する、例えばGd(ガドリニウム)のような磁性体粒子が充填されている。そして、永久磁石12a、12bを、この磁性体粒子に対峙させることにより、磁性体粒子が発熱する。この熱エネルギーを、ポンプ20で生じる熱輸送冷媒流により、高温側熱交換部16側へと移動させる。
【0031】
その後、永久磁石12a、12bを図示しない駆動装置を用いて、磁性体粒子から遠ざけることで、磁性体粒子が吸熱する。この熱エネルギーを、ポンプ20で生じる熱輸送冷媒流により、逆方向の低温側熱交換部14側へと移動させる。この動作(以後、磁気冷凍サイクルと称する)を繰り返すことにより、熱交換容器10内で、磁性体粒子の蓄熱効果に伴い、温度勾配が生じ、低温側熱交換部14側では冷熱が、高温側熱交換部16側では高熱が得られるようになる。
【0032】
図2は、熱交換容器内の高温端の温度(HT)および低温端側の温度(LT)と、磁気冷凍デバイス動作時間、すなわち磁気冷凍サイクルのサイクル数との関係を示す図である。図2のように、磁気冷凍サイクルを繰り返すことによりHTとLTの温度差が開いていくことが分かる。HTとLTが飽和する領域における温度差を冷凍温度差(ΔTspan)と定義する。
【0033】
そして、本実施の形態においては、熱交換容器外に設けられたポンプ20が単なる冷媒移動機構としての機能のみならず、熱交換容器10内を流れる熱輸送冷媒流を乱流状態とする乱流発生機構としての機能を有している。すなわち、ポンプ20は、熱輸送冷媒流の流速を、第1の流速から第2の流速へとステップ状に急峻に変化可能とする流速変更装置として動作する。
【0034】
本実施の形態によれば、熱輸送冷媒流の流速を第1の流速から第2の流速へとステップ状に変化させて乱流状態を発生可能とすることで、熱交換容器10内の磁性体粒子間に生じうる死水領域を減少させる。これにより、従来、死水領域が存在することで移動できなかった熱エネルギーが有効に活用され、結果として磁気冷凍デバイスの熱交換効率が飛躍的に向上する。具体的には、冷凍温度差(ΔTspan)を拡大することが可能となる。
【0035】
本実施の形態の磁気熱量効果を有する磁性体粒子は特に限定されるものではない。上述のGdに限らず、磁気熱量効果を発現する磁性体粒子であれば、例えばGd(ガドリニウム)に各種元素を混合したGd化合物、各種希土類元素と遷移金属元素からなる金属間化合物、NiMnGa合金、GdGeSi化合物、LaFe13系化合物、LaFe13Hなどの磁性体粒子を用いることが可能である。
【0036】
磁性体粒子は、略球状で、平均粒子径は100μmΦ以上2000μmΦ以下であることが望ましい。この磁性体粒子の平均粒径の測長は、目視下でのノギス等、あるいは、顕微鏡下での直接観察や顕微鏡写真での測定によることで評価可能である。
【0037】
圧力損失を低下させ、表面積を大きくして熱交換効率を高くするには、略球状の形状が適している。また、平均粒子径が、この範囲より小さくなると、圧力損失が著しく増大して熱輸送冷媒の移動が妨げられ、磁気冷凍デバイスの冷凍効率が低下するおそれがあるからである。また、この範囲を上回ると、表面積が小さくなり死水領域がきわめて少なくなることから、本実施の形態の熱交換効率向上効果が発現されにくくなるからである。冷凍温度差(ΔTspan)を大きくする観点から、平均粒子径は300μmΦ以上1000μmΦ以下であることがより望ましい。
【0038】
熱交換容器に対する磁性体粒子の体積充填率は、40%以上70%以下であることが望ましい。上記範囲を下回ると、熱交換面積の低下により、冷凍温度差(ΔTspan)が大幅に低減するからである。また、上記範囲を上回ると、圧力損失の増大により、冷凍温度差(ΔTspan)が減少するからである。体積充填率は、50%以上65%以下であることがより望ましい。
【0039】
なお、冷媒としては、水が最も比熱が高く安価であるので適しているが、0℃以下の温度域では、鉱油やシリコン等のオイル系冷媒、エチレングリコール等のアルコール類などの溶剤系冷媒も使用することができる。
【0040】
冷凍サイクルの運転温度域に合わせて上記した、オイル系冷媒、溶剤系冷媒、水やこれらの混合液などを適宜選択することができる。磁性体粒子の平均粒子径も、使用される冷媒の粘性(表面張力)や熱交換容器のサイズに応じて、上記の範囲内で最適な粒子径を選ぶことが望ましい。
【0041】
次に、図1の磁気冷凍デバイスを用いた本実施の形態の磁気冷凍方法について説明する。図3は本実施の形態の磁気冷凍方法における磁気冷凍サイクルのタイムチャートである。図3の上段が磁場の印加(ON)と除去(OFF)のタイミングを示している。また、図3の下段は流速の時間変化を示している。図3の下段の縦軸では、図1中の実線矢印に付随して示すように、熱輸送冷媒流が高温側熱交換部16側(高温端側)に流れる方向を(+)、低温側熱交換部14側(低温端側)に流れる方向を(−)として表示している。
【0042】
図3に示すように、磁場OFF状態のtから磁場ONになった時点tの時点で、図1のポンプ20を駆動させ、高流速条件である第1の流速で液体冷媒を(+)方向、すなわち高温側熱交換部16側に移動する。その後、ポンプ20により、高流速条件である第1の流速から、低流速条件である第2の流速へとステップ状に変化させ、tの時点まで熱輸送冷媒流を流し続ける。
【0043】
その後、磁場ONから磁場OFFに移行するtからtの間は、ポンプ20の動作を停止することにより、熱輸送冷媒流を停止する。磁場OFFになったtの時点で、ポンプ20を駆動させ、高流速条件である第1の流速で液体冷媒を(−)方向、すなわち低温側熱交換部14側に移動する。その後、ポンプ20により、高流速条件である第1の流速から、低流速条件である第2の流速へとステップ状に変化させ、tの時点まで熱輸送冷媒流を流し続ける。
【0044】
以上の磁気冷凍サイクルを繰り返すことにより、熱交換容器10内の高温端の温度(HT)と低温温端側の温度(LT)が開いていき、それぞれが飽和する領域に達することになる。
【0045】
本実施の形態によれば、高流速条件から、低流速条件へと液体冷媒の流速を急峻にステップ状に変化させることによって、熱輸送冷媒流を、規則正しい層琉状態から、磁気冷凍サイクル内の少なくとも一定時間の間不規則な乱流状態にする。そして、乱流状態にすることによって、層流状態では熱交換容器内の磁性体粒子間で流れず死水となっていた領域の液体冷媒を、流動させることを可能にする。したがって、熱交換効率が向上し、冷凍温度差(ΔTspan=HT−LT)を大きくすることが可能となる。
【0046】
なお、流速を変化させたとしても、緩やかな変化では層流状態から乱流状態への移行が生じない。本実施の形態における流速の変化は、乱流状態を生じせしめるような急峻、あるいはステップ状の変化であることが必要である。
【0047】
なお、1回の高流速条件で流れる液体冷媒の流量(図3中の領域A)が、1回の低流速条件で流れる液体冷媒の量(図3中の領域B)よりも少ないことが望ましい。高流速条件では、低流速条件の時よりも熱交換容器内での圧力損失が大きくなるからである。すなわち、高流速条件で流れる液体冷媒の流量が多くなると、液体冷媒と磁性粒子、容器壁面等との摩擦による発熱が冷凍効率を低下させるおそれがあるからである。
【0048】
図4は、本実施の形態の変形例の磁気冷凍方法における磁気冷凍サイクルのタイムチャートである。このように、1回の磁場ON状態または磁場OFF状態の時間を多段階に分割し、高流速条件から低流速条件へのステップ状の変化を複数回繰り返すことが好ましい。死水領域をより有効に活用することが可能となるからである。
【0049】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の磁気冷凍デバイスは、流速変更装置がポンプではなくピストンであること以外は第1の実施の形態と基本的に同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0050】
図5は、本実施の形態の磁気冷凍デバイスの要部の模式的構造断面図である。磁気熱量効果を有する磁性体粒子(図示せず)が、たとえばメッシュ状の仕切り板11a、11bを用いて熱交換容器10内に充填されている。そして、永久磁石(図示せず)と、この永久磁石を駆動させる駆動装置(図示せず)を磁場印加除去機構として備えることによって、熱交換容器10中の磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にしている。
【0051】
熱交換容器10内に、液体冷媒を図中実線矢印の方向に移動させるために、熱交換容器10の両端に、冷媒移動機構かつ乱流発生機構の流速変更装置としてピストン22a、22bが設けられている。このピストン22a、22bが磁場印加除去機構に同期して、図中白矢印で示すようにピストン運動をすることで、液体冷媒を移動させる。
【0052】
このピストン22a、22bにより、例えば図3のタイムチャートに示すように、高流速条件である第1の流速から、低流速条件である第2の流速へとステップ状に流速を変化させる。この動作により、第1の実施の形態同様、熱輸送冷媒に乱流状態を発生させ、熱交換効率の向上を図ることが可能となる。
【0053】
なお、図5においては、低温側熱交換部や高温側熱交換部およびそれらにつながる配管は省略している。また、低温側熱交換部や高温側熱交換部を別途設けなくとも、ピストン22a、22bと熱交換容器10との間の液体冷媒が充填された領域24a、24bをそれぞれ、低温側熱交換部、高温側熱交換部として機能させる構造であっても構わない。
【0054】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の磁気冷凍デバイスは、乱流発生機構としてピストンの先端に設けられた冷媒流制御板を設けた以外は第2の実施の形態と基本的に同様である。したがって、第2の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0055】
図6は、本実施の形態の磁気冷凍デバイスの要部の模式図である。図6(a)は模式的構造断面図、図6(b)は、冷媒流制御板の正面図である。
【0056】
図6(a)に示すように、ピストン22a、22bの先端部に冷媒流制御板26a、26bが設けられている。この冷媒流制御板26a、26bは、図6(b)の正面図に示すように、スクリュー構造をした羽根形状を呈している。
【0057】
本実施の形態によれば、ピストン22a、22bを図中白の双方向矢印方向に一定の速度でピストン運動させるだけでも、熱輸送冷媒に図中に白矢印でしめすような渦状の乱流状態を形成することが可能となる。また、第2の実施の形態に記載したように、熱輸送冷媒流の流速を、ステップ状に変化させることにより、より効果的に乱流状態を発生させることができる。この乱流状態の発生により、磁気冷凍効率の向上が可能となる。さらに、ピストン運動にピストン22a、22bの回転運動を加える機構をそなえれば、一層効果的に液体冷媒の攪拌または渦流発生が可能となるため望ましい。
【0058】
なお、ここでは冷媒流制御板26a、26bがスクリュー構造をした羽根形状としたが、ピストンを稼働させることで乱流状態を発生させることが可能であれば、その他の形状であっても構わない。例えば、同心円状の溝形状であっても、不規則な凹凸形状等を採用することも可能である。
【0059】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の磁気冷凍デバイスは、乱流発生機構として熱交換容器端部に流路変更板を設けた以外は第1の実施の形態と基本的に同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0060】
図7は、本実施の形態の磁気冷凍デバイスの要部の模式的構造断面図である。磁気熱量効果を有する磁性体粒子(図示せず)が、たとえばメッシュ状の仕切り板11a、11bを用いて熱交換容器10内に充填されている。そして、永久磁石(図示せず)と、この永久磁石を駆動させる駆動装置(図示せず)を磁場印加除去機構として備えることによって、熱交換容器10中の磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にしている。
【0061】
熱交換容器10端部、ここでは熱交換容器10に接して外側の領域に乱流発生機構として流路変更板28が設けられている。この流路変更板28は、熱交換容器10外側の内壁面に設けられ、熱交換容器10に向けて傾斜するリング状の板状を呈している。
【0062】
流路変更板28によって、例えば、ポンプ(図示せず)等で液体冷媒が流れてくる際に、液体冷媒の流れが、例えば、図中白矢印で示されるような渦上の乱流状態となる。そして、この乱流状態の液体冷媒が熱交換容器内に流入する。この乱流状態の発生により、磁気冷凍効率の向上が可能となる。
【0063】
なお、流路変更板28の形状は、必ずしもリング状の板状でなくとも、流れてくる液体冷媒に乱流状態を発生することができる形状であれば、いずれの形状をも採用することが可能である。
【0064】
また、第1の実施の形態のように、ポンプ等の流速変更装置により、ステップ状に液体冷媒の流速を変更させることが、より効果的に乱流状態を発生することができ好ましい。しかし、必ずしも流速変更装置を別途設けなくても構わない。
【0065】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態の磁気冷凍デバイスは、乱流発生機構として、熱交換容器内端部ではなく、熱交換容器内に流路変更板を設けた以外は第4の実施の形態と基本的に同様である。したがって、第4の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0066】
図8は、本実施の形態の磁気冷凍デバイスの熱交換容器の写真である。図8は熱交換容器内に、磁性体粒子が充填されていない状態である。図に示すように、熱交換容器内に流路変更板30が設けられている。この流路変更板30は、螺旋状を呈している。
【0067】
この流路変更板30によって、例えば、ポンプ(図示せず)等で液体冷媒が流れてくる際に、熱交換容器内で液体冷媒の流れが、例えば渦状の乱流状態となる。この乱流状態の発生により、磁気冷凍効率の向上が可能となる。
【0068】
図9は、本実施の形態の変形例の磁気冷凍デバイスの熱交換容器の模式的構造断面図である。図に示すように、流路変更板30は、熱交換容器10の内壁面に設けられる螺旋状の突起である。このように、流路変更板30の形状は、必ずしも図8のような螺旋状の板でなくとも、流れてくる液体冷媒に熱交換容器内で乱流状態を発生することができる形状であれば、いずれの形状をも採用することが可能である。例えば、螺旋階段状の板であっても、内壁面に取り付けられるリング状の板、あるいは、羽根を有する板であっても構わない。
【0069】
そして、流路変更板30の材質は、熱伝導率の低い樹脂系材料であることが望ましい。熱伝導率が高いと、熱交換容器10両端間に生ずる冷凍温度差が、流路変更板30自身の熱伝導により低下する恐れがあるからである。
【0070】
また、第1の実施の形態に記載したようなポンプ等の流速変更装置を組み合わせて、ステップ状に液体冷媒の流速を変更させることが、より効果的に乱流状態を発生することができ好ましい。しかし、必ずしも乱流状態を形成する流速変更装置を別途設けなくても構わない。
【0071】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態の磁気冷凍システムは、第1ないし第5の実施の形態に記載の磁気冷凍デバイスと、低温側熱交換部に熱的に接続される冷却部と、高温側熱交換部に熱的に接続される排熱部とを備えることを特徴とする。以下、第1ないし第5の実施の形態に記載した内容と重複する内容については、記述を省略する。
【0072】
図10は、本実施の形態の磁気冷凍システムの模式的構造断面図である。この磁気冷凍システムは、図1の磁気冷凍デバイスに加え、低温側熱交換部14に熱的に接続される冷却部40と、高温側熱交換部16に熱的に接続される排熱部50とを備えている。
【0073】
低温側熱交換部14は、低温の冷媒を貯留する低温側貯留層32と、その内部に冷媒に接するよう設けられた低温側熱交換器34とで構成される。同様に、高温側熱交換部16は、高温の冷媒を貯留する高温側貯留層36と、その内部に冷媒に接するよう設けられた高温側熱交換器38とで構成される。そして、低温側熱交換器34に熱的に冷却部40が接続され、高温側熱交換器38に熱的に排熱部50が接続されている。
【0074】
ここで、この磁気冷凍システムを、例えば家庭用冷蔵庫に適用することができる。この場合、冷却部40は、冷却される対象物である冷凍・冷蔵室であり、排熱部50は、例えば、放熱板である。
【0075】
そして、磁気冷凍システムが、家庭用冷蔵庫であって、冷却部40が−21℃以下の急速冷凍室であることが望ましい。−21℃以下の急速冷凍室に、本実施の形態の磁気冷凍システムを用いると、特にCOP(Coefficient of Performance:COP=冷凍出力÷入力エネルギー)が向上するためである。
【0076】
なお、この磁気冷凍システムは特に限定されるものではない。上述の家庭用冷凍冷蔵庫の他に、例えば、家庭用冷凍冷蔵庫、家庭用空調機、産業用冷凍冷蔵庫、大型冷凍冷蔵倉庫、液化ガス貯蔵・運搬用冷凍庫等の冷凍システムに適用することが可能である。それぞれ、適用場所によって必要な冷凍能力と制御温度域が異なる。しかし、磁性体粒子の使用量により冷凍能力を可変させることが出来る。さらに、制御温度域については、磁性体粒子の材質を制御することで磁気転移温度を可変させることが出来るため、特定の温度域に合わせることが可能である。さらに、磁気冷凍デバイスの排熱を暖房として利用した家庭用空調機、産業用空調機などの空調システムにも適用することが出来る。冷却と発熱の両方を利用したプラントに適用しても良い。
【0077】
本実施の形態の磁気冷凍システムにより、磁気冷凍効率を向上させる磁気冷凍システムの実現が可能となる。
【0078】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0079】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムおよび磁気冷凍方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施例について詳述する。
【0081】
(実施例1)
図1に示すような磁気冷凍デバイスで、図3に示す磁気冷凍サイクル、すなわち、液体冷媒の流速を高流速条件である第1の流速から低流速条件である第2の流速へとステップ状に変化させる磁気冷凍サイクルで磁気冷凍を行った。磁性体粒子としては、直径が500μmΦ〜600μmΦのGdの球状粒子を用いた。Gdの球状粒子の熱交換容器に対する体積充填率は60%とした。液体冷媒としては、エチレングリコロールの水溶液を用いた。そして、冷凍温度差(ΔTspan)を測定した。評価結果は表1に示す。
【0082】
(実施例2)
図4に示す磁気冷凍サイクル、すなわち、1回の磁場ONまたは磁場OFFの間を3段階に分割する以外は、実施例1と同様に磁気冷凍を行った。結果は表1に示す。
【0083】
(比較例1)
熱輸送冷媒の流速を実施例1の低流速条件で一定とし、1回の磁場ONまたは磁場OFFの間では流速変化をつけない以外は実施例1と同様の方法で磁気冷凍を行った。結果は表1に示す。
【0084】
(比較例2)
熱輸送冷媒の流速を実施例1の高流速条件で一定とし、1回の磁場ONまたは磁場OFFの間では流速変化をつけない以外は実施例1と同様の方法で磁気冷凍を行った。結果は表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例1では、液体冷媒の流速を変化させない比較例1、2に対して冷凍温度差(ΔTspan)が大きくなることが明らかになった、さらに、実施例2では実施例1よりも冷凍温度差(ΔTspan)が向上することが明らかになった。
【0087】
(実施例3)
図8に示すような、熱交換容器内に流路変更板を有する磁気冷凍デバイスで、磁気冷凍を行った。磁性体粒子としては、直径が850μmΦ〜1000μmΦのGdY合金の球状粒子を用いた。GdYの球状粒子の熱交換容器に対する体積充填率は62%とした。液体冷媒としては、エチレングリコールの水溶液を用いた。冷媒移動機構としてはピストンを用い、熱交換容器内に一様な流れの液体冷媒流を導入した。そして、冷凍温度差(ΔTspan)を測定した。
【0088】
(比較例3)
熱交換容器内に流路変更板を設けない以外は、実施例3と同様の方法で、磁気冷凍を行った。そして、冷凍温度差(ΔTspan)を測定した。
【0089】
実施例3では、比較例3に比べ、冷凍温度差(ΔTspan)が約15%向上した。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1の実施の形態の磁気冷凍デバイスの模式的構造断面図である。
【図2】熱交換容器内の高温端の温度(HT)および低温温端側の温度(LT)と、磁気冷凍デバイス動作時間との関係を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の磁気冷凍方法における磁気冷凍サイクルのタイムチャートである。
【図4】第1の実施の形態の変形例の磁気冷凍方法における磁気冷凍サイクルのタイムチャートである。
【図5】第2の実施の形態の磁気冷凍デバイスの要部の模式的構造断面図である。
【図6】第3の実施の形態の磁気冷凍デバイスの要部の模式図である。
【図7】第4の実施の形態の磁気冷凍デバイスの要部の模式的構造断面図である。
【図8】第5の実施の形態の磁気冷凍デバイスの熱交換容器の写真である。
【図9】第5の実施の形態の変形例の磁気冷凍デバイスの熱交換容器の模式的構造断面図である。
【図10】第6の実施の形態の磁気冷凍システムの模式的構造断面図である。
【符号の説明】
【0091】
10 熱交換容器
11a、11b 仕切り板
12a、12b 永久磁石
14 低温側熱交換部
16 高温側熱交換部
18 配管
20 ポンプ
22a、22b ピストン
24a、24b 液体冷媒が充填された領域
26a、26b 冷媒流制御板
28 流路変更板
30 流路変更板
32 低温側貯水槽
34 低温側熱交換器
36 高温側貯水槽
38 高温側熱交換器
40 冷熱部
50 排熱部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気熱量効果を有する磁性体粒子が充填された熱交換容器と、
前記磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にする磁場印加除去機構と、
前記熱交換容器の一端側に設けられる低温側熱交換部と、
前記熱交換容器の他端側に設けられる高温側熱交換部と、
前記磁場の印加および除去に同期して、前記熱交換容器内を前記一端側から前記他端側またはその逆方向に流れる熱輸送冷媒流を形成する液体冷媒と、
前記熱交換容器内を流れる前記熱輸送冷媒流を乱流状態とする乱流発生機構と、
を備えることを特徴とする磁気冷凍デバイス。
【請求項2】
前記乱流発生機構が前記熱輸送冷媒流の流速を第1の流速から第2の流速へとステップ状に変化可能とする流速変更装置を含み、前記流速変更装置が前記熱交換容器外に設けられることを特徴とする請求項1記載の磁気冷凍デバイス。
【請求項3】
前記乱流発生機構が前記熱交換容器内に設けられた流路変更板を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項2記載の磁気冷凍デバイス。
【請求項4】
前記乱流発生機構が、前記熱交換容器端部に設けられた流路変更板を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の磁気冷凍デバイス。
【請求項5】
前記磁性体粒子が100μmΦ以上2000μmΦ以下の略球状であり、前記熱交換容器に対する前記磁性体粒子の体積充填率が40%以上70%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の磁気冷凍デバイス。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5記載の磁気冷凍デバイスと、
前記低温側熱交換部に熱的に接続される冷却部と、
前記高温側熱交換部に熱的に接続される排熱部と、
を備えることを特徴とする磁気冷凍システム。
【請求項7】
前記磁気冷凍システムが、家庭用冷蔵庫、家庭用空調機、産業用冷凍冷蔵庫または液化ガス貯蔵・運搬用冷凍庫であることを特徴とする請求項6記載の磁気冷凍システム。
【請求項8】
前記磁気冷凍システムが、家庭用冷蔵庫であって、前記冷却部が−21℃以下に冷却可能な急速冷凍室であることを特徴とする請求項6記載の磁気冷凍システム。
【請求項9】
磁気熱量効果を有する磁性体粒子が充填された熱交換容器と、
前記熱交換容器に対して相対的に移動し、前記磁性体粒子への磁場の印加および除去を可能にする磁場印加除去機構と、
前記熱交換容器の一端側に設けられる低温側熱交換部と、
前記熱交換容器の他端側に設けられる高温側熱交換部と、
前記磁場の印加および除去に同期して、前記熱交換容器内を前記一端側から前記他端側またはその逆方向に流れる液体の熱輸送冷媒流を生成する冷媒移動機構とを備える磁気冷凍デバイスを用いた磁気冷凍方法であって、
前記熱交換容器内の前記熱輸送冷媒流を、少なくとも一定時間の間、乱流状態とすることを特徴とする磁気冷凍方法。
【請求項10】
前記熱輸送冷媒流の流速を、ステップ状に変化させることにより、前記熱輸送冷媒流を乱流状態とすることを特徴とする請求項9記載の磁気冷凍方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−25435(P2010−25435A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187027(P2008−187027)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度 独立行政法人科学技術振興機構、革新技術開発研究事業「新材料を用いた高効率常温磁気冷凍システムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)