説明

磁気分離膜および磁気分離装置

【課題】簡単な構成で原水に含まれる物質の分離効率を向上することができる。
【解決手段】磁気を利用して原水に含まれる異物を分離する磁気分離装置10に収納され、磁性体金属で形成された複数の金網101〜103により、供給される原水の上流から下流に向けて磁場が強くなるように配置されて磁場勾配が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に含まれる物質を分離する磁気分離膜および磁気分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上水、廃水又は汚水等の原水に含まれる物質を分離する方法として、磁気を利用する磁気分離がある。磁気分離には、金属等の磁気に反応する物質を分離する方法や、磁気に反応しない物質を磁性活性炭等に吸着させて分離する方法がある。
【0003】
例えば、磁気に反応する物質を分離する場合、磁石や超伝導磁石で発生させる磁場を利用して対象物質を回収することで、原水から対象物質を分離する。また、磁性活性炭を利用して物質を分離する場合、水に溶解している染料、揮発性有機化合物(VOC)又はビスフェノールA等の対象物質を磁性活性炭に吸着させ、磁場を利用して対象物質を吸着している磁性活性炭を回収することで、原水から対象物質を分離する。
【0004】
磁気分離の一例に、超伝導磁石の高い磁場勾配によって作用する強い磁気力により、磁性フロック円筒体表面に高速で磁気吸引して分離する「高勾配磁気分離」がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
非特許文献1に記載去れる高勾配磁気分離を利用する「水浄化用磁気分離装置」は、「ろ過分離」と「磁気分離」を組み合わせて行い、具体的には、原水(被処理水)中の対照物質を磁性化する「前処理部」、生成した磁性フロックをろ過して浄化水を得る「ろ過分離部」及び、フィルター面に蓄積した磁性フロックを磁気力で捕集し、磁性フロックを高濃度汚泥として原水から分離する「磁気分離部」の3つの構成を有している。
【0006】
「前処理部」では、原水に磁性粉(マグネタイト)、凝集剤(ポリ鉄)及び高分子ポリマーを添加して攪拌及び混合し、対象物質である汚濁粒子と磁性体とを含有する磁性フロックを生成する。続く「ろ過部」では、回転フィルターを利用してろ過する。ろ過により、磁性フロックは回転フィルター面上に蓄積され、原水は浄化されてドラムの内側より浄化水として取り出される。一方、回転フィルター面上に蓄積した磁性フロックは、前処理水の水面近傍に配置したバルク超伝導磁石が発生する高磁界の空間を通過し、フィルター内側から放出されるシャワー状の洗浄水と磁気力によりフィルターから剥離される。その後の「磁気分離部」では、真空断熱容器内で冷却され、予め着磁されたバルク超伝導磁石を回転円筒体の内部に固定する。水面下に落下した磁気フロックは、強い磁気吸引力により磁石側に高速移動し、円筒体外表面に磁気力で吸引されて付着し、円筒体の回転に伴って汚泥として放出される。
【0007】
また、磁気分離の他の例に、磁性体を利用して物質をフロックとして集め、処理液によって処理して再利用する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に記載される方法では、原水に磁性体と凝集剤を連続的に供給して攪拌することにより、対象物質を含む磁性フロックを形成し、磁場を発生して磁性フロックが通過できない目開きを有する網と磁性フロックを磁気吸引し、磁性フロックをカキ取り板で回収して塩酸を加えて攪拌し、分解された磁性フロックを含む処理液を比重分離し、磁性粉及び凝集剤を含む処理液を再利用している。
【非特許文献1】佐保典英、水守隆司、西嶋規世、村上雅人著、「バルク超伝導磁石を応用した水浄化用磁気分離装置の開発」、用水と配水 Vol.44 No.12、株式会社産業用水質調査会、2002年12月1日、26-30頁
【特許文献1】特開2005−111424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したような構成で磁場を発生させて網を利用して原水から対象物質を分離する場合、対象物質は上流に集中する。また、上述した構成の他にも例えば複数の網を多段に設ける磁気分離装置も考えられるが、このように複数の網を多段に設ける磁気分離装置でも、対象物質は上流に集中することが考えられる。
【0010】
上流で対象物質が堆積すると、網の目開き部分に徐々につまりが発生し、最終的に目詰まりが生じて上流で閉塞する可能性があり、原水からの対象物質の分離が困難になる問題がある。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、簡単な構成で原水に含まれる物質の分離効率を向上する磁気分離膜およびこの磁気分離膜を用いた磁気分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴に係る磁気分離膜は、磁気分離装置内に収納され、供給される原水に含まれる異物を磁気を利用して分離する磁気分離膜であって、磁性体金属で形成された複数の金網を備え、複数の金網が供給される原水の上流から下流に向けて磁性が強くなるように配置されて磁場勾配が形成される。
【0013】
また、本発明の特徴に係る磁気分離装置は、原水に含まれる異物を分離する磁気分離装置であって、磁気分離膜のメンテナンス時期の判定に利用する原水の流れの状態を検出するセンサを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構成で原水に含まれる物質の分離効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を用いて、本発明に係る磁気分離膜および磁気分離装置について説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0016】
本発明に係る磁気分離装置10は、流入管12を介して原水貯水槽11で貯水される分離対象の物質(異物)を含む原水が供給される。この磁気分離装置10では、超伝導磁石等を利用する磁場発生装置(図示せず)によって磁場を発生させ、流入管12から供給された原水から異物を分離する。また、磁気分離装置10は、原水から異物を分離して得られた処理水を、排出管13を介して処理水貯水槽14に排出する。
【0017】
磁気分離装置10は、図2に示すように、複数の分離膜101〜103で形成される磁気分離膜104を備えている。各分離膜101〜103は、それぞれ金網(図3を用いて後述)である点で同様であるが、それぞれ材料が異なり、磁性が異なっている。具体的には、第1分離膜101の材料は弱磁性金属(例えば、ステンレス系の金属に疎水加工を施した材料)、第2分離膜102の材料は常磁性金属(例えば、フェライト系の金属材料)、第3分離膜103の材料は強磁性金属(例えば、鉄やフェライト系の金属材料)である。すなわち、磁気分離膜104は、複数の分離膜101〜103によって磁場勾配が形成されている。
【0018】
流入管12から磁気分離装置10に供給された原水は、図4に示すように、第1分離膜101、第2分離膜102、第3分離膜103の順に通過する。したがって、原水は、磁性の弱い分離膜から徐々に磁性の強い分離膜を通過することになる。磁気分離装置10に供給された原水に含まれる異物が磁気に反応する性質を有している物質(例えば、金属)であるとき、磁気分離膜104に磁場を発生させるると、磁気分離装置10を通過する原水に含まれる異物は、分離膜101〜103によって捕捉され、原水から取り除くことができる。また、各分離膜101〜103は磁性が異なるから、磁気に対する反応の度合いの強い異物から順に、第1分離膜101、第2分離膜102、第3分離膜103で取り除かれる。
【0019】
第1分離膜101は、図3に示すように、目開きの粗い金属性の網(粗金網)101aと目開きの細かい金属製の網(細金網)101bとが接合される層構造である。図3に示す例では、2枚の粗金網101aの間に細金網101bが接合される例である。ここで、粗金網101aと細金網101bの接合方法には、焼結接合等が利用される。
【0020】
また、第2分離膜102および第3分離膜103の構造も、第1分離膜101と同様に、粗金網と細金網が積層した構成である。
【0021】
目開きの細かい金網(例えば、100メッシュ)は、異物を原水から回収しやすいが、目開きが細かい場合には原水の流れで生ずる抵抗によって変形しやすい特性がある。また、目開きの粗い金網(例えば、20メッシュ)は、原水の流れによる影響は受けにくいが、異物を十分に回収することは困難な特性がある。そのため、分離膜101〜103を目開きの粗い粗金網101aと、目開きの細かい細金網101bとによる多層構造とすることで、粗金網101aで変形を防ぎ、細金網101bで異物を回収することが可能となり、水流による分離膜の変形を防ぎつつ、異物を回収することができる。
【0022】
上述した本発明の実施形態に係る磁気分離装置10では、分離膜101〜103によって磁場勾配を設けた磁気分離膜104を利用することで、各分離膜101〜103で分散して異物を原水から分離することができるため、目詰まりを防止し、異物の分離効率を向上することができる。
【0023】
なお、図2に示す例では、磁気分離膜104は、磁性の異なる分離膜101〜103の三段で磁場勾配を形成しているが、複数の膜で磁場勾配を形成していれば、分離膜の数は限定されない。
【0024】
〈第1変形例〉
図5を用いて、第1変形例に係る磁気分離装置10について説明する。第1変形例に係る磁気分離装置10も、図2で上述した磁気分離装置10と同様に、複数の分離膜で磁気勾配が形成された磁気分離膜104を有している。
【0025】
第1変形例に係る磁気分離装置10は、流入管12を介して微粒子供給装置15と接続されている。微粒子供給装置15は、異物を吸着する性質を有する金属酸化物の微粒子(金属酸化物微粒子)を原水に供給する。金属酸化物微粒子は、磁気に反応する性質を有するため、磁気分離装置10を通過する際に、分離膜101〜103によって捕捉される。
【0026】
したがって、第1変形例に係る磁気分離装置10では、異物が磁気に反応しない異物(例えば、油等)であっても、原水に供給された金属酸化微粒子に異物を吸着させることができる。これにより、原水から異物を分離することができる。また、金属酸化物微粒子の若干のサイズの違いや異物の吸着量の違いによって磁気に反応する程度も異なるため、複数の膜で磁場勾配が形成されている磁気分離膜104では、目詰まりを防止することができる。
【0027】
〈第2変形例〉
次に、第2変形例に係る磁気分離装置について説明する。第2変形例に係る磁気分離装置でも、図2で上述した磁気分離装置10と同様に、複数の分離膜で磁場勾配が形成された磁気分離膜104を有している。したがって、図2の磁気分離装置10を参照して説明する。
【0028】
図6は、第2変形例に係る磁気分離装置10で利用される第1分離膜101の一例を示している。図6に示す第1分離膜101では、金網に予め金属酸化物微粒子を付着させた微粒子保持網101cを使用している。この微粒子保持網101cは、上述した細金網101bの内部に金属酸化物微粒子を付着させて焼結した網である。
【0029】
金属酸化物微粒子を原水に添加した場合、金属以外の磁気に反応しない異物も磁気分離装置10で分離することがでる。一方、金属酸化物微粒子は微少であり、取扱いが困難である。例えば、微粒子供給装置15によって金属酸化物微粒子を供給する際、大気中や原水中で、金属酸化物微粒子が浮遊しないように取り扱う必要があり、磁気分離装置10や微粒子供給装置15の構成が複雑になることもある。
【0030】
図6に示すように、粗金網101aと、金属酸化物微粒子を保持する微粒子保持網101cと、粗金網101aとが積層された第1分離膜101を使用することにより、金属酸化物微粒子を添加するために磁気分離装置10や微粒子供給装置15の構成が複雑になる問題を解決することができる。
【0031】
ここで、金属酸化物微粒子を金網の内部に保持して粗金網101aと細金網101b(微粒子保持網101c)を接合するために真空中で焼結接合を行なった場合、粗金網101aと細金網101bとの接合面は溶けて一旦接合されるが、細金網101bの表面で金属酸化物微粒子が保持されていたとき、焼結終了後に接合部分が剥離するおそれがある。したがって、細金網101bでは、焼結面に金属酸化物微粒子が付着しないようにする必要がある。
【0032】
また、第2変形例に係る磁気分離装置10では、第2分離膜及び第3分離膜も、第1分離膜101と同様に、粗金網101aと微粒子保持網101cとによって構成されており、第1分離膜の材料は弱磁性金属、第2分離膜の材料は常磁性金属、第3分離膜の材料は強磁性金属である。したがって、第2変形例に係る磁気分離装置10で利用する磁気分離膜104も分離膜によって磁場勾配が形成されており、磁気に対する反応の度合いの強い異物又は金属酸化物微粒子から順に、第1分離膜101、第2分離膜102、第3分離膜103によって分離される。
【0033】
上述した本発明の第3変形例に係る磁気分離装置10では、微粒子保持網101cが保持する金属酸化物微粒子によって磁気に反応しない異物を容易に原水から分離することができる。また、磁場勾配が設けられる磁気分離膜104を利用することで、分離膜101〜103における目詰まりを防止することができる。
【0034】
〈第3変形例〉
続いて、第3変形例に係る磁気分離装置について説明する。第3変形例に係る磁気分離装置も、図2で上述した磁気分離装置10と同様に、複数の分離膜で磁場勾配が形成された磁気分離膜104を有している。したがって、図2の磁気分離装置10を参照して説明する。
【0035】
図7は、第3変形例に係る磁気分離装置で利用される第1分離膜101の一例を示している。図7に示す第1分離膜101では、金網に予め金属酸化物微粒子を付着させた微粒子電着網101dを使用している。この微粒子電着網101dは、上述した粗金網101aに金属酸化物微粒子が電着によって付着された網である。
【0036】
上述したように、微粒子供給装置15によって金属酸化微粒子を供給する場合には取扱が困難であって装置構成も複雑になる問題があるため、図7に示すように、微粒子電着網101dと、細金網101bと、粗金網101aとが積層された第1分離膜101を使用することにより、金属酸化物微粒子を添加するために磁気分離装置10や微粒子供給装置15の構成が複雑になる問題を解決することができる。
【0037】
また、第3変形例に係る磁気分離装置10では、第2分離膜及び第3分離膜も、第1分離膜101と同様に、微粒子電着網101dと細金網101bと粗金網101aとによって構成されており、第1分離膜の材料は弱磁性金属、第2分離膜の材料は常磁性金属、第3分離膜の材料は強磁性金属である。したがって、第3変形例に係る磁気分離装置10で利用する磁気分離膜104も分離膜によって磁場勾配が形成されており、磁気に対する反応の度合いの強い異物から順に、第1分離膜101、第2分離膜102、第3分離膜103によって分離される。
【0038】
上述した本発明の第3変形例に係る磁気分離装置10では、微粒子電着網101dに電着されている金属酸化物微粒子によって磁気に反応しない異物を容易に原水から分離することができる。また、磁場勾配が設けられる磁気分離膜104を利用することで、分離膜101〜103における目詰まりを防止することができる。
【0039】
〈第4変形例〉
図8及び図9を用いて、第4変形例に係る磁気分離装置10について説明する。第4変形例に係る磁気分離装置10も、図2で上述した磁気分離装置10と同様に、複数の分離膜で磁場勾配が形成された磁気分離膜104を有している。
【0040】
第4変形例に係る磁気分離装置10は、図8に示すように、磁気分離装置10における原水の流れを検出する第1センサ105aおよび第2センサ105bを備えている。また、この磁気分離装置10は、センサ105a,105bにおける測定結果に応じてメンテナンス時期を判定する判定装置16と接続されている。
【0041】
センサ105a,105bは、磁気分離装置10において原水の流れの状態を音波として検出するセンサである。第1センサ105aは、磁気分離装置10において原水が流入する入口に設けられ、第2センサ105bは、磁気分離装置10から処理水が排出される出口に設けられている。
【0042】
判定装置16では、例えば、センサ105a,105bによって予め測定された清浄な液体の流れの音波形や、異物や金属酸化物微粒子を多く含む液体の流れの音波形等が基準波形として記憶されており、センサ105a,105bによって新たに検出された音の波形と、記憶されている基準波形を比較することで、磁気分離装置10内における磁気分離膜104による異物の回収状態を把握し、メンテナンス時期を決定することができる。
【0043】
上述した本発明の第4変形例に係る磁気分離装置10では、原水の流れの音波形を検出するセンサ105a,105bで音波形を検出して物質の回収状態に応じて磁気分離装置10の適切なメンテナンス時期を決定することができる。
【0044】
なお、図8では、磁気分離装置10の入口と出口にセンサが設けられるものとして示されているが、センサが設けられる位置はこれに限定されず、磁気分離装置10内の状態を把握してメンテナンス時期の判断に利用することができる音波形を検出することができる位置であれば良い。
【0045】
〈第5変形例〉
続いて、第5変形例に係る磁気分離装置について説明する。変形例5に係る磁気分離装置も、図2で上述した磁気分離装置10と同様に、複数の分離膜で磁場勾配が形成された磁気分離膜104を有している。したがって、図2の磁気分離装置10を参照して説明する。
【0046】
第5変形例に係る磁気分離装置10の磁気分離膜104では、分離膜101〜103の材料が鉄系の金属であるとき、この分離膜101〜103に水蒸気と550℃以下の熱処理により、表面に磁鉄鉱の酸化反応を生じさせている。
【0047】
3Fe + 4H2O → Fe34 + 4H2
上記の反応により、金属網の表面Fe34の酸化被膜を形成させ、通常の鉄の耐食性と硬さが向上し、磁性も向上させることができる。
【0048】
なお、熱処理温度が550℃以上になると、下記の反応が生じる。
【0049】
Fe + H2O → FeO +H2
この場合、耐食性が損なわれるおそれがあるので、熱処理温度を550℃以下にする点が重要になる。
【0050】
上述した本発明の第5変形例に係る磁気分離装置10では、分離膜101〜103に酸化被膜を形成されることで、分離膜101〜103の耐食性と硬度を向上させることができる。また、磁場勾配が設けられる磁気分離膜104を利用することで、分離膜101〜103における目詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気分離装置について説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る磁気分離装置の構成について説明する図である。
【図3】図1の磁気分離装置で利用する分離膜について説明する図である。
【図4】図1の磁気分離装置における物質の分離について説明する図である。
【図5】金属酸化物微粒子が供給される場合について説明する図である。
【図6】第1変形例に係る磁気分離装置で利用される分離膜について説明する図である。
【図7】第2変形例に係る磁気分離装置で利用される分離膜について説明する図である。
【図8】第4変形例に係る磁気分離装置について説明する図である。
【図9】第4変形例に係る磁気分離装置の構成について説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
10…磁気分離装置
11…原水貯水槽
12…流入管
13…排出管
14…処理水貯水槽
15…微粒子供給装置
16…判定装置
101〜103…分離膜(金網)
101a…粗金網
101b…細金網
101c…微粒子保持網
101d…微粒子電着網
104…磁気分離膜
105a,105b…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気分離装置内に収納され、供給される原水に含まれる異物を磁気を利用して分離する磁気分離膜であって、
磁性体金属で形成された複数の金網を備え、
前記複数の金網が供給される原水の上流から下流に向けて磁性が強くなるように配置されて磁場勾配が形成されることを特徴とする磁気分離膜。
【請求項2】
上流には強磁性体の金網が配置され、中流に常磁性体の金網が配置され、下流には弱磁性体の金網が配置されることを特徴とする請求項1に記載の磁気分離膜。
【請求項3】
前記金網は、金属材料からなる短繊維の焼結体、粉末焼結体、繊維の織布焼結体、板状の打ち抜き材焼結体、エキスパンド焼結体、又は金網焼結体の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気分離膜。
【請求項4】
前記金網は、目開きの粗い粗金網と目開きの細かい細金網との層構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の磁気分離膜。
【請求項5】
前記金網は、原水に含まれる異物を吸着する金属酸化微粒子が焼結されて保持していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の磁気分離膜。
【請求項6】
前記金網は、原水に含まれる異物を吸着する金属酸化微粒子が電着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の磁気分離膜。
【請求項7】
前記金網は、前記金属材料を水蒸気と熱処理によって酸化反応で鉄の酸化被膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気分離膜。
【請求項8】
前記金網は、水蒸気と500℃以下の熱処理によって酸化反応でFe34の酸化被膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気分離膜。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1に記載の磁気分離膜を備え、原水に含まれる異物を分離する磁気分離装置であって、
前記磁気分離膜のメンテナンス時期の判定に利用する原水の流れの状態を検出するセンサを備えることを特徴とする磁気分離装置。
【請求項10】
原水が流入する上流と原水を流出する下流とにセンサを備えることを特徴とする請求項9に記載の磁気分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−58084(P2010−58084A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228410(P2008−228410)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】