説明

磁気制御デバイスを備えたバルブ

本発明はチャンバー(12)内に配されたシャッター(20)を備えるバルブ(110)に関し、チャンバー(20)はバルブ本体部内に配置されており、しかもその端部にシート(116)が備わり、バルブ閉鎖ポジションでは、このシートに対してシャッターのフラップ形成端部が圧着すると共に、バルブ開放ポジションでは、フラップ形成端部はシートから離間する。本バルブはまた、チャンバーの外部に配置されかつシャッターをその閉鎖ポジションまたは開放ポジションへと変位させるシャッター磁気駆動手段(130)を備えた磁気制御デバイスを具備する。本バルブにおいては、磁気制御デバイスが、チャンバー内に配置されかつ外部磁気駆動手段(130)に結合された、磁性材料からなる少なくとも一つのボール(123)をさらに具備し、このボールは、それが磁気駆動手段(130)によって移動させられるとき、チャンバー(12)内のシャッターが駆動されるよう、このシャッターと関係付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバー内で動作するシャッターを具備してなるバルブの改良に関し、このチャンバーの一端には、バルブの閉鎖ポジションではシャッターがそれに対して着座し、またバルブの開放ポジションではシャッターがそこから離間するシートが設けられており、しかもシャッターの動作は、チャンバーの外部に配置されかつこのシャッターと磁気的に結合された磁気制御デバイスによって実現される。
【0002】
そうしたバルブは、特に液体用の食品充填装置における使用を目的とする。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、シャッターおよびバルブの筒状本体部の外側の制御部材を備えた磁気バルブが開示されている。当該シャッターおよび制御部材は磁化された部分を有し、しかも制御部材は上記本体部に沿って移動可能であり、これによって上記制御部材が動いているときに加えられる磁気的引力が、バルブの出口オリフィスが開放または閉鎖されるようシャッターを動作させる。このバルブにおいては、外部制御部材は、バルブ本体部と一体化された空気圧システムによって駆動される。
【0004】
だが、そうしたデバイスは、シャッターとチャンバーの内壁との間の摩擦力が大きいという欠点がある。なぜなら、シャッター(これは外部に設置された磁石によって引き付けられる)は、上記内壁に多かれ少なかれ強く張り付くからである。この結果、壁および/またはシャッターの早期損耗に関するリスクが生じ、かつ/またはチャンバー内での粒子の堆積および配分される液体へのその混入に関するリスクが生じる。さらに、この種のバルブは、特に摩擦領域を掃除するのが困難であり、すなわち摩擦領域においてクリーニング液を循環させることはできず、あるいは循環させるのには困難を伴う。
【特許文献1】欧州特許第0 436 214号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記欠点を克服するために、バルブ本体部とシャッターとの間の摩擦面積が低減される、あるいはそれどころか排除されるバルブ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、バルブは、バルブ本体部内に設けられたチャンバー内に配置されたシャッターと磁気制御デバイスとを具備してなり、このチャンバーの一端にはシートが設けられており、バルブが閉鎖ポジションにあるときには上記シャッターのフラップ形成部分が上記シートに対して着座すると共に、バルブが開放ポジションにあるときには上記フラップ形成部分が上記シートから離間するようになっており、かつ上記磁気制御デバイスは、その閉鎖ポジションまたはその開放ポジションのいずれかへと上記シャッターを動作させるために上記チャンバーの外側に配置されたシャッター磁気駆動手段を備えており、上記磁気制御デバイスは、上記チャンバー内に配置されかつ上記外部磁気駆動手段に結合された、磁性材料からなる少なくとも一つのボールをさらに具備してなり、このボールは、それ自体が上記磁気駆動手段によって動作させられるとき、上記チャンバー内で上記シャッターが駆動されるよう、上記シャッターと関係付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の、その他の特徴によれば、
・上記ボールは上記シャッターに対して自由に回転し、
・上記シャッターは、その中に少なくとも一つのボールが配置される、少なくとも一つのハウジングを具備し、
・本バルブは、上記バルブ本体部内での上記シャッターのセンタリングを可能とするよう構成され、
・上記シャッターは、上記外部磁気駆動手段によるセンタリングが実現されるよう、上記シャッターおよび上記バルブ本体部と協働する少なくとも二つのボールと関係付けられ、
・上記センタリング手段は、上記チャンバー内で、その側壁上に、上記シャッターと協働するよう配置され、
・上記センタリング手段は、上記チャンバーの内部側壁と協働するよう上記シャッター上に配置され、
・上記センタリング手段はフィンであり、
・上記シャッターは、当該シャッターの軸線に関して軸方向にオフセットした、少なくとも二つのボールと関係付けられ、
・上記シャッターの少なくとも一つのセクションは、互いに角度的にオフセットした、少なくとも二つのボールと関係付けられ、
・上記シャッターの二つの別個のセクションは、それぞれ、同一セクションの二つの連続したボール間の周方向オフセットが180°以下であるよう配置された、少なくとも二つのボールと関係付けられ、
・一つのセクションの上記(n)ボールは、360°/nに等しい角度だけ角度的にオフセットしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の他の特徴および利点は、図面に関連付けられた以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0009】
図1には、たとえば、コンテナ充填設備に組み込まれることを目的としたバルブ110を示す。
【0010】
バルブ110は筒状の全体構造を有する。バルブ110は、その中央に、ここでは円筒形断面のチャンバー12を有しており、このチャンバー12は軸線A1を有する中央チューブによって画定されている。
【0011】
以下の説明では、理解を一層容易なものとするために、下側、上側、上端、底などの用語を図面に関連して使用する。これは、特にバルブの向きに関して、本発明の範囲を限定するものであると考えてはならない。バルブの軸線A1の鉛直配置は、本発明の、ある好ましい実施形態に適しているに過ぎない。
【0012】
この例では、本バルブの上側部分はオリフィス115を含み、このオリフィス115は、供給タンク(図示せず)に接続されるよう構成されており、かつチャンバー12内に開放されている。このオリフィス115の断面は、チャンバー12の横断面よりも小さなものである。チャンバー12の下側部分は、シャッター20の対応する部分を受け容れるよう構成された閉塞シート116で終端をなしている。シート116は円錐台状の全体形状を有し、しかもそれは下方に延在されて、バルブの出口オリフィスを形成する、チャンバー12よりも小径の円筒形部分をなしている。
【0013】
シャッター20は以下の二つの主要部を有する。
・反磁性材料製のフラップ121からなる第1の部分であって、このフラップ121は円錐台形セクションを有し、しかもバルブが閉鎖ポジションにあるときには、このバルブのシート116と協働するよう構成されている第1の部分。水密性はフラップ121の周囲のシール124によって強化されている。
・ステム122の形態の第2の部分であって、このステム122は上記フラップと軸方向に整列し、しかもステンレススチールのような反磁性材料からなる第2の部分。ステム122の外断面はチャンバー12の内断面よりも至る所で小さく、この結果、シャッター20はチャンバー12内で軸線A1に沿って両方向に自由に移動できる。
【0014】
本発明によれば、上記制御デバイスは、ここでは、バルブの本体部の(したがってチャンバー12の)外側に配置されたコイルすなわち磁石132を基礎とする駆動手段130と、チャンバー12内に配置された磁性材料製のボール123とを具備してなる。
【0015】
上記ボールは、たとえば、軟鉄、純鉄、あるいはこれら材料の一つまたは両方からなる合金から形成される。
【0016】
本発明によれば、ボール123は、このボール自身がコイルすなわち磁石132によって駆動された際に、バルブの本体部内でシャッター20を並進駆動するために、このシャッター20と関係付けられている。この目的のため、横方向ハウジング124が、たとえば上記ステムの上端部近傍においてシャッター20の本体部内に形成されており、しかも上記ボールはこのハウジング内に配置されている。上記ハウジングの寸法は、上記ボールが、その内部で自由に回転できるようなものである。
【0017】
その上、ボール123の直径は、チャンバー12の内部断面よりも、かなり小さなものであり、この結果、ボールはチャンバー12内で自由に転がることができ、その一方で、シャッター20のハウジング124内で保持される(ここでもボールはやはり自由に回転する)。
【0018】
それ自体公知の方式で、コイルすなわち磁石132を含む駆動手段130は、上記バルブ本体部の外側に配置され、しかも軸線A1と平行な方向(双頭矢印133)に、下方(バルブ閉鎖方向)あるいは上方(バルブ開放方向)のいずれかに、上記ボールを同時に駆動するような様式で移動させることができ、今度はこれがシャッター20を動作させる。駆動手段130は、たとえばピストン・シリンダーのような適当な駆動デバイス(図示せず)によって動作させることができる。
【0019】
図2は、図1の線AAに沿って取った横断面での、図1の制御デバイスの概略図である。同図は、その中でシャッター20が動くチャンバー12を画定している筒状バルブ本体部の全体を示している。駆動手段130はバルブの本体部の外側に存在する。この実施例では、駆動手段130は、可能な限り最良の結合を実現するべく磁束線が実質的にボール123の中心に向って集束するよう磁束線を方向付けるために、筒状本体部(筒状体)の外側壁のそれぞれの対向する側面上に、直径に沿って対向する二つの磁石132を備えている。
【0020】
少なくとも一つの軸方向溝113が上記チャンバーの内壁に機械加工されており、これによって流体がボール123のいずれかの側を通過することを可能としている。好ましくは本実施例のように、上記チャンバーの周囲には、等間隔で割り当てられた状態で、少なくとも二つの溝113が設けられる。ここでは、二つの、直径に沿って対向する溝を示している。これらの溝は、チャンバー12の軸方向セクションの全体にわたって機械加工により形成されている。上記ボールは、溝113によって互いに分離された二つの円弧形状部位114間に捕らえられており、この二つの部位間の距離は上記ボールの直径よりも僅かに大きなものであり、しかも好ましくは、磁石はこれらの部位に面するよう配置される。したがって上記ボールは、上記コイルすなわち磁石によって生成される磁界の向きに応じて、この部位(これは転動領域を形成する)の一方の上で選択的に「回転」する。他の部位はボールと接触していないが、バルブを組み立てる際にその心出しを容易にし、その上、重要なことには、たとえばメンテナンス作業に続いて磁石をその向きを変えて取り付ければ、上記他の部位は支持部位となり得ることに留意されたい。上記シャッターが開放ポジションへと動作させられるとき、流体は、この目的のために設けられた二つの溝113内で流動できる。
【0021】
本バルブは、磁気制御デバイスを適当な方向に動かすことにより、閉鎖ポジションまたは開放ポジションへと動作させられる。バルブが図に示すように配置された場合に、すなわちバルブが閉じられたとき、上記駆動手段が上記ボールよりも低い高さに配置された状態で、液体入口を上に、出口を下にして配置された場合に動作が最適化される。この類の構造によって、フラップは、磁気的吸引力だけでなく上記ボールに加えられる静圧によっても上記シートに対して押し付けられるようになる。
【0022】
いま説明した動作様式は、制御デバイス、すなわち駆動手段130、およびボール数ならびにシャッター20内でのその配置が変更されていることを除いて、本発明に係るバルブの他の実施形態と全く同じである。
【0023】
図3の実施形態に関して、バルブ110は筒状の全体構造を有し、反磁性材料からなり、しかもチャンバー12を画定する。流体は、シャッター20とチャンバー12との間の間隙を流動する。
【0024】
この実施形態では、図1および図2に示したものと同じ様式で、本バルブのその上側部分はオリフィス115を具備してなり、このオリフィス115は供給タンク(図示せず)に接続されるよう構成されており、しかもチャンバー12内に開口している。このオリフィス115はチャンバー12の横断面よりも小さな断面を有する。チャンバー12の下側部分は、シャッター20の対応する部分を収容するよう構成された閉塞シート116が終端をなしている。このシートは円錐台形の全体形状を有し、しかも下方に延在して、バルブの出口オリフィスを形成するチャンバー12よりも小さな直径の円筒形部分を形成している。シート116は、向き合っているフラップ121によって閉塞された際にバルブをシールする。
【0025】
図3に見ることができるように、上記シャッターのステム122の上側部分の直径はチャンバー12のそれよりも小さく、しかも上側部分から下側部分(ここにフラップ121が配置される)へと円錐台状に増大するようになっている。
【0026】
この実施形態において、シャッター20の制御デバイスの第1の部分は、軸方向ならびに直径方向にオフセットした二つのボール123を具備してなる。シャッター20を安定させるための反磁性材料製のラグすなわちフィンの形態の二つのセンタリング部材324が、シャッター20のステム122に、あるいはこれに代えてチャンバー12の内壁に配設されており、しかもシャッター20の自由な動きを可能にすると同時に、チャンバー12内でシャッター20を心出しする。言い換えれば、間隙が、センタリング部材324と、チャンバー12の内壁あるいはシャッター20の上記ステムとの間に残される。
【0027】
この実施形態では、ステムは、デバイスが含むボールと同数のハウジング124を備える。各ハウジング124は、シャッター20がぴったりと嵌まったとき、すなわちセンタリング部材324によって心出しされたとき、各ハウジングがボール(これは当該ハウジング内であってかつチャンバー12の内側壁上で自由に回転できる)を受け容れるような寸法を有している。
【0028】
ここで、駆動手段130は、ボールのそれぞれが、それ自身の少なくとも一つのコイルすなわち一つの磁石132と関係付けられるようなものである。その上、コイルすなわち磁石132は一つに固定されており、この結果、それらは同時に動くようになっている。
【0029】
いま説明した実施形態は本発明の一つの非限定的実例に過ぎない。他の構造的配置も可能であり、この場合、シャッター20上のボールの配置状態が、またはシャッター20の本体部上の、あるいはチャンバー12内の支持部材324の配置状態が変更される。
【0030】
使用時、本バルブは、通常、上記磁気制御デバイスによって閉鎖状態に維持されるが、このデバイスは、コイルすなわち磁石132がその吸引力がボールの直径平面の下にあるような高さに配置された場合、およびバルブが図3に示すように(フラップを下にして)垂直に配置された場合に、シャッター2の重量および上記ボールに加えられる静圧と協働で、上記フラップを上記シートに着座させようとする。使用時、駆動手段130、したがってコイルすなわち磁石132が動かされ、磁気的引力が、シャッター20を駆動するボールを動かそうとする。
【0031】
図4には他の実施形態を示すが、当該実施形態では、制御デバイスは、同一の横断面に配置された、直径に沿って対向する二つのボールを含む。この構造様式はシャッター20の働きをさらに改善する。
【0032】
本制御デバイスはさらに、同一断面上の二つのボール123の配置を考慮して構成された駆動手段130を具備してなる。この目的のために駆動手段130は円筒形の磁力体を具備しており、この磁力体は、チャンバー12を画定している筒状体の外壁のそれぞれの対向する側面に配置された、直径に沿って対向する二つの磁石132を担持し、これによって磁石および二つのボール間の最良の結合が得られるようになっている。
【0033】
ボールからなる制御デバイスの下方であってかつバルブの筒状体の上またはシャッター20の本体部の上に支持部材324を設けることによってセンタリングが改善され、可能な限り最良のセンタリングが実現される。図示の実施形態では、こうした部材は、シャッター20によって支持されたフィンである。
【0034】
図5には、センタリングが別の手法で実現されていること以外は、先に説明したものと類似の他のバルブの実施形態を示す。実際、当該バルブは二つの同一の制御デバイスを具備してなり、そのそれぞれはシャッター20の同一横断面上に配された二つのボール123を備える。この二つのデバイスはバルブの軸線A1上で心出しされているが、距離「h」だけ当該軸線上で軸方向にオフセットしており、しかも揚力のより良好な分配ならびにシャッター20のより良好なセンタリングのために、好ましくは90°で、互いに周方向にオフセットしている。言い換えれば、第1のデバイスの二つの上記ボールは、本バルブの軸線A1を通る第1の平面で支持されており、かつ第2のデバイスの二つの上記ボールは、本バルブの軸線A1を通りかつ第1の平面と直交する第2の平面で支持されている。また、同一デバイスの二つの上記ボールは、軸線A1に対して直交する同一断面上に配置されており、他のデバイスの二つの上記ボールは、軸線A1と直交するが、距離「h」だけ第1の断面からオフセットした第2の断面で支持されている。図示するように、案内は、好ましくは、交互に配置されかつ制御デバイスに対して軸方向にオフセットした二つの垂直フィン524(ここでは流体の流動方向に関して上記デバイスの下流側に配置され、かつシャッター20のステムによって支持されている)によって、従来公知の様式で完全なものとされている。シャッター20のステム122の終端部は円錐台形状となっており、その下方にフラップ121が配置されている。
【0035】
バルブの本実施形態は、コイルすなわち磁石132の二つの対を備えた駆動手段130を具備してなり、この二つの対は同時に動けるよう互いに機械的に連結されており、しかも、あるものが一方のセクションの二つのボールとの結合をもたらし、かつ他のものが距離「h」だけオフセットした他方のセクションの二つのボールとの結合をもたらすよう配置されている。
【0036】
図6は、図5の線BBに沿って取った横断面での、制御デバイスの一つの概略図である。同図は、チャンバー12を画定するバルブの筒状体の全体を示しており、チャンバー12内では、シャッター20がボール(そのそれぞれはシャッター20の個々のハウジング内に配置されている)によってスライドする。バルブ本体部の外側には駆動手段130が存在し、この駆動手段130は二つの磁石132(その磁極は好ましくは互いに逆向きとなっている)を担持する円筒形の磁力体を具備してなる。それらは筒状体の外壁のそれぞれの対向する側面に配置されており、最良の結合を得るために二つのボール123に向って磁束を集束させる。
【0037】
図7は、図6の線BBに沿って取った軸方向断面にて、バルブのチャンバー12内のボール123およびシャッター20の配置構造を示す図である。シャッター20の同一横断面には孔733が存在し、その直径は、同じセクションの二つのボール123が磁気的引力によって一つにくっ付き得ないようなものである。この配置構造はバルブのチャンバー12に導入され、この結果、それは自由に並行にスライドする。制御デバイスの他の部分、つまりコイルすなわち磁石132を備えた駆動手段130は、同一横断面上であって、バルブ本体部の外側に存在する。
【0038】
この型のバルブの機能は、先に図面を参照して説明したものと同じである。
【0039】
図8および図9(後者は図8の線CCに沿って取った断面図)を参照して説明される実施形態に関して、バルブは、その本体部の外側であって軸線A1上で軸方向にオフセットして配置されたコイルすなわち磁石132の二つの対を備えた駆動手段130を具備してなり、この結果、それぞれがシャッターの同一横断面上に配置された二つのボール123を磁化する。コイルすなわち磁石132の二つの対はまた、両者が同時に動くよう一つに固定されている。各対は図5の対と類似のものであり、つまりそれは本体部を備え、この筒状体の外壁の個々の対向する側面には、二つのコイルすなわち磁石132が設けられており、上記ボールとの最良の結合を得るために磁束線を配向するようになっている。
【0040】
シャッター20は、ステムを延長している、その下側部分において、フラップ121が終端をなしている。ここに示すように、シール829が上記フラップを取り囲むことが好ましい。
【0041】
上記フラップは円錐台形セクションを有し、このセクションは、閉鎖ポジションにおいて水密性を付与するために、バルブのシート116と協働するよう構成されている。
【0042】
シャッター20は好ましくは単一のブランクから機械加工され、この結果、その仕上げには、溶接されているとき接合部の高さに変化を引き起こすリスクを誘発し得る溶接を必要としない。この種の処理は、それゆえ、上記チャンバー内でのシャッター20のセンタリング精度を低減する作用を及ぼすであろう。
【0043】
図8から分かるように、上記フラップは他の円錐台形セクション821によって取り囲まれ、この円錐台形セクション821は、950においてフィン825間で液体が循環するのを可能にすると同時に、バルブのチャンバー12内でシャッター20を心出しする、一方が他方の中に交互に配置された、二つの直交フィン825によって取り囲まれている(図9)。
【0044】
上記フィンの上には、その直径がチャンバー12の直径よりも小さな円筒形部分826が設けられており、しかもそれ自体の上に、間隔「h」だけ軸方向にオフセットすると共に、そのそれぞれが同一横断面上に配置された上記二つのボール123を含んでいる二つの他の部分827,828が設けられている。これら二つの部分827,828は、円筒形中間セクション830によって互いに分離されている。先と同様、同一断面中のボールは好ましくは直径に沿って対向する。ボールは一方のセクションから他方まで周方向に90°だけオフセットしている。
【0045】
上記チャンバーの内径は、好ましくは、二つのボールの直径の総和と実質的に等しい。
【0046】
同一セクションのボールは、ここでは、このボールの直径よりもかなり大きな直径を有する上記ステムに形成された横方向孔からなるハウジング824内に配置されており、この結果、ボールはその内部を自由に動くことができるようになっている。フィン825は、上記ステムと同一のブランクから機械加工によって形成されていることに留意されたい。
【0047】
図9は、図8の線CCに沿って取った断面図であって、ハウジング824(この中に上記セクションの二つのボール123が収容される)を備えたシャッターを示しており、上記ボールとフィン825と流路850との相対的配置は、流体のために固定されていない。
【0048】
もちろん、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、しかも請求項によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、それに対して設計変更を施すことが可能である。特に、制御デバイスは異なる数のボールを備えることができる(セクション当り二つ以上のボール;ボールを備えた二つ以上のセクション)。
【0049】
図示の実施形態はオン/オフバルブであるが、可変流量バルブを製造することも考えられる。この目的のためには、チャンバー12とシャッター20との間の間隙の寸法を変更することで足りる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るバルブの一実施形態の概略軸方向断面図であり、当該バルブの磁気制御デバイスは単一のボールを具備してなる。
【図2】図1の線AAに沿って取った概略横断面図である。
【図3】本発明に係るバルブの第1実施形態の概略軸方向断面図であり、当該バルブの磁気制御デバイスは同一断面上に配されていない二つのボールを具備してなる。
【図4】本発明のバルブに係る第2実施形態の概略軸方向断面図であり、当該バルブの磁気制御デバイスは同一断面上に配された二つのボールを具備してなる。
【図5】二つの磁気制御デバイスを備えたバルブの第3実施形態の概略軸方向断面図であり、磁気制御デバイスのそれぞれは同一横断面上に配された二つのボールを具備してなる。
【図6】図5の制御デバイスの一つの概略断面図である。
【図7】図6に示すものの概略軸方向断面図であり、図5の切断線BBの直上および直下部位をさらに詳細に示している。
【図8】二つ以上のボールを有する他の実施形態の軸方向概略断面図である。
【図9】ボールおよび駆動手段によって画定される平面内の線CCに沿って取った横断面での図8のバルブの概略図である。
【符号の説明】
【0051】
12 チャンバー
20 シャッター
110 バルブ
113 溝
114 円弧形状部位
115 オリフィス
116 閉塞シート
121 フラップ
122 ステム
123 ボール
124 ハウジング
130 駆動手段
132 磁石(コイル)
324 センタリング部材
524 垂直フィン
733 孔
821 円錐台形セクション
824 ハウジング
825 フィン
826 円筒形部分
829 シール
830 円筒形中間セクション
850 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体部内に設けられたチャンバー(12)内に配置されたシャッター(20)と、磁気制御デバイスと、を具備してなるバルブ(110)であって、
前記チャンバーの端部にはシート(116)が設けられており、バルブが閉鎖ポジションにあるときには前記シャッターのフラップ形成部分が前記シートに対して着座すると共に、バルブが開放ポジションにあるときには前記フラップ形成部分が前記シートから離間するようになっており、かつ前記磁気制御デバイスは、その閉鎖ポジションまたはその開放ポジションのいずれかへと前記シャッターを動作させるために前記チャンバーの外側に配置されたシャッター磁気駆動手段(130)を備えており、
前記磁気制御デバイスは、前記チャンバー内に配置されかつ前記外部磁気駆動手段(130)に結合された、磁性材料からなる少なくとも一つのボール(123)をさらに具備してなり、
前記ボールは、それ自体が前記外部磁気駆動手段によって動作させられるとき、前記チャンバー(12)内で前記シャッターが駆動されるよう、前記シャッターと関係付けられていることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記ボール(123)は前記シャッター(20)に対して自由に回転するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記シャッター(20)は、その中に少なくとも一つのボールが配置された、少なくとも一つのハウジング(124,824)を具備してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記バルブ本体部内で前記シャッターを心出しするよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記シャッターは、前記外部磁気駆動手段によるセンタリングがもたらされるように、前記シャッターおよび前記バルブ本体部と協働する少なくとも二つのボールと関係付けられていることを特徴とする請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
センタリング手段(324)が、前記シャッターと協働するように、前記チャンバーの内部で、その側壁上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のバルブ。
【請求項7】
センタリング手段(324)が、前記チャンバーの内部側壁と協働するように、前記シャッター上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のバルブ。
【請求項8】
前記センタリング手段はフィン(524;825)であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のバルブ。
【請求項9】
前記シャッターは、前記シャッターの軸線に関して軸方向にオフセットした少なくとも二つのボールと関係付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項10】
前記シャッターの少なくとも一つのセクションが、互いに角度的にオフセットした少なくとも二つのボールと関係付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項11】
前記シャッターの二つの別個のセクションは、それぞれ、同一セクションの二つの連続したボール間の角オフセットが180°以下であるように配置された、少なくとも二つのボールと関係付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項12】
一つのセクションの前記(n)ボールは、360°/nに等しい角度だけ角度的にオフセットしていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項13】
少なくとも一つの流体輸送溝(113)が前記チャンバー(12)の内壁に機械加工によって形成されており、かつ転がり領域(114)が前記溝のいずれか一方の側に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項14】
前記バルブ本体部の外側に配置された前記駆動手段(130)は、前記少なくとも一つのボール(123)を同時に駆動するよう、バルブの縦方向軸線(A1)と平行な方向(133)に沿って移動させられるよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項15】
前記駆動手段(130)は少なくとも一つの磁石を具備してなることを特徴とする請求項14に記載のバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−530891(P2007−530891A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505597(P2007−505597)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000774
【国際公開番号】WO2005/098296
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506100093)シデル・パーティシペーションズ (72)
【Fターム(参考)】