説明

磁気回路およびこれを用いたスピーカー

【課題】 分割振動が発生しにくくて平坦な周波数特性が得られる全面駆動の平面薄型のスピーカーを実現するとともに、動作不良が発生しにくく、かつ、製造上の作業効率が良く、製造コストを安価に抑制した磁気回路およびこれを用いたスピーカーを製造する。
【解決手段】 磁気回路が、底部を有するヨークと、略直方体状のプレートをそれぞれ冠してヨークの底部に載置される複数の第1マグネットと、第2マグネットをそれぞれ冠してヨークの底部に第1マグネットと隣り合うように載置される略直方体状の複数のポールと、を備え、それぞれの第2マグネットが、複数の第1マグネットと同一方向に揃えられた磁極性を有し、隣接するプレートの側端面とポールの側端面との間に、ボイスコイルが配置される磁気空隙を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨークの底部上に配置される複数のマグネットを含むスピーカー用磁気回路、ならびに、この磁気回路と、複数のコイルを含むスピーカー振動部材と、を備えるスピーカーに関し、特に、全面駆動の平面薄型スピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号を音声に変換する動電型スピーカーに於いて、磁気回路を含むその全高を低く抑えるために、スピーカー振動板に平面型振動板を採用するスピーカーがある。平面型振動板は、コーン型振動板に比較してその全高が低くなるものの、分割振動せずに一体に振動するには剛性が不足しやすい。そこで、平面型振動板に固着するボビンが複数のボイスコイルを備え、複数のボイスコイルで平面型振動板を駆動することで、分割振動を抑制しようとするスピーカーがある。従来には、全高が薄い平面薄型スピーカーとして、複数のコイルを備えた平面振動板と、各コイルに対応した複数のマグネットを使用した磁気回路とを備えるスピーカーが使用されることがある。
【0003】
例えば、薄型の構造を持ち、駆動点を多くして全面駆動に近づけ、低域から高域にわたってピストン運動する駆動方式のスピーカーがある(特許文献1)。このスピーカーは、二本の平行な磁気ギャップを少なくとも一対有する複数個の磁気回路単体をそのギャップの方向を全て一方向に平行に合わせて碁盤状に配置してなる磁気回路群を有し、その磁気回路単体に各々一個の矩形のボイスコイルを挿入して平面振動板を駆動させるものである。
【0004】
また、互いに平行な複数の山形突条を並設し、突条の谷部に導線を直列に装着した薄膜体の振動板と、前記一つおきの突条の形成する凹部内に位置すべく底板上に配置される複数の永久磁石のそれぞれに、永久磁石の位置する突条の両隣の突条の凹部内に、永久磁石の磁石に対向位置すべく先端を侵入位置させたコ字形磁極板を取り付けるとともに、枠剤を固定する周壁と、複数の透孔を設けた底板を有する枠体と、振動板の外周縁を周壁に連結する中央部に膨出部を設けた枠体とからなる電気音響変換器がある(特許文献2)。
【0005】
一方で、複数のマグネットの磁極性が隣同士で異なるように配置されているものとしては、磁性体板上に四角平板のトップヨークを具備した複数の永久磁石を並列に配設して磁石群をなし、該磁石群の外周部に所定の間隙を有してサイドヨークを配備してなる平面駆動型スピーカーの磁気基体において、前記磁性体板略箱形状に形成するとともに、該磁性体板の少なくとも一端をサイドヨークとすることを特徴とする平面駆動型スピーカーがある(特許文献3)。また、同様の全面駆動型スピーカーにおいて、磁気回路の両外側に位置する永久磁石の幅を隣接する永久磁石の略半分に狭めて構成するとともに、振動板におけるボイスコイルを各振動素子の外壁部に構成される溝内に一列に配備したことを特徴とする構造がある(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−99898号公報
【特許文献2】特開昭58−207794号公報
【特許文献3】実開昭60−150891号公報
【特許文献4】実開昭61−111292号公報
【0007】
しかし、特許文献1の磁気回路群は、複数個の磁気回路単体を行列状に配置しているに過ぎず、各々一個の矩形のボイスコイルがそれぞれの磁気回路単体に挿入されているのみであり、多数のマグネットを使用しているにも関わらず、全体として磁気効率が良くないという問題がある。また、特許文献2の磁気回路も、同様の構成になっている。なお、特許文献1および2の磁気回路は、平面上に配置される複数のマグネットを含むスピーカー用磁気回路であっても、複数のマグネットの磁極性が隣同士で異なるように配置されているものではない。
【0008】
また、特許文献3および4の磁気回路の構造では、トップヨークの間に規定される複数箇所の磁気空隙の幅を精度良く規定しなければならないが、複数のマグネットの磁極性が隣同士で異なるように配置するには、一枚の磁性体板上に、予め着磁しておいた磁極性の異なる磁石が引き合ったり反発し合ったりするのを抑制しながら配置していく必要があるので、製造上の作業効率が悪いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、分割振動が発生しにくくて平坦な周波数特性が得られる全面駆動の平面薄型のスピーカーを実現するとともに、動作不良が発生しにくく、かつ、製造上の作業効率が良く、製造コストを安価に抑制した磁気回路およびこれを用いたスピーカーを製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の磁気回路は、底部を有するヨークと、プレートをそれぞれ冠してヨークの底部に載置される複数の第1マグネットと、第2マグネットをそれぞれ冠してヨークの底部に第1マグネットと隣り合うように載置される複数のポールと、を備え、それぞれの第2マグネットが、複数の第1マグネットと同一方向に揃えられた磁極性を有し、隣接するプレートの側端面とポールの側端面との間に、ボイスコイルが配置される磁気空隙を形成する。
【0011】
好ましくは、本発明の磁気回路は、複数のプレートおよび複数のポールが、略直方体状で同一寸法の磁路形成部品で共通化され、磁路形成部品の高さHaが、第1マグネットの高さHbよりも高くされて、隣接する磁路形成部品の側端面の間に、高さ(Ha−Hb)の磁気空隙を形成する。
【0012】
さらに好ましくは、本発明の磁気回路は、第1マグネットおよび第2マグネットが、略直方体状で同一寸法のマグネットで共通化されている。
【0013】
さらに好ましくは、本発明の磁気回路は、ヨークが、底部から延設される側壁部をさらに備え、プレートの側端面と隣接するヨークの側壁部との間、あるいは、ポールの側端面と隣接するヨークの側壁部との間に、ボイスコイルが配置される磁気空隙を形成する。
【0014】
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、上記の磁気回路と、磁気回路の磁気空隙に配置されるボイスコイルと、ボイスコイルを磁気空隙に配置してスピーカー振動板に連結するボイスコイル組立体と、スピーカー振動板を振動可能に支持し、かつ、磁気回路を連結するフレームと、を備える。
【0015】
また、本発明の磁気回路は、複数の第2マグネットが、略直方体状の上端プレートをそれぞれさらに冠し、ヨークの側壁部が、上端プレートに隣接する延長部をさらに備え、上端プレートの側端面と隣接する延長部との間に、補助磁気空隙を形成する。
【0016】
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、上記の磁気回路と、磁気回路の磁気空隙に配置されるボイスコイルと、ボイスコイルを磁気空隙に配置してスピーカー振動板に連結するボイスコイル組立体と、スピーカー振動板を振動可能に支持し、かつ、磁気回路を連結するフレームと、を備え、ボイスコイル組立体が、磁気回路の補助磁気空隙に配置される補助コイルを有するボイスコイル組立体と、を含む。
【0017】
以下、本発明の作用について説明する。
【0018】
本発明の磁気回路は、底部を有するヨークと、プレートをそれぞれ冠してヨークの底部に載置される複数の第1マグネットと、第2マグネットをそれぞれ冠してヨークの底部に第1マグネットと隣り合うように載置される複数のポールと、を備える。つまり、ヨークの底部には、第1マグネットとポールとが隣り合うように配置されて、第1マグネットの天面側にプレートが連結され、ポールの天面側に第2マグネットが連結される。なお、ヨークは、底部から延設される側壁部をさらに備えていてもよい。したがって、ポールの側端面とプレートの側端面との間、あるいは、プレートの側端面と隣接するヨークの側壁部との間、あるいは、ポールの側端面と隣接するヨークの側壁部との間には、ボイスコイルが配置される磁気空隙が形成される。
【0019】
また、動電型スピーカーは、上記の磁気回路と、磁気回路の磁気空隙に配置されるボイスコイルと、ボイスコイルを磁気空隙に配置してスピーカー振動板に連結するボイスコイル組立体と、スピーカー振動板を振動可能に支持し、かつ、磁気回路を連結するフレームと、を備える。その結果、複数のボイスコイルで駆動することで、分割振動が発生しにくくて平坦な周波数特性が得られる全面駆動の平面薄型のスピーカーを、実現することができる。
【0020】
ここで、それぞれの第2マグネットは、複数の第1マグネットと同一方向に揃えられた磁極性を有し、隣接するプレートの側端面とポールの側端面との間に、ボイスコイルが配置される磁気空隙を形成する。つまり、本発明の磁気回路では、磁気空隙の下側に第1マグネットが配置され、一方で、磁気空隙の上側に第2マグネットが配置されることになるので、予め異なる方向に着磁した磁極性が異なる第1および第2のマグネットを用意する必要がなく、一度の着磁工程で磁気回路の着磁が可能になり、製造上の作業効率を改善できる。
【0021】
好ましくは、これらの複数のプレートおよび複数のポールは、略直方体状であり、磁気回路は、略矩形の磁気空隙を形成する。また、好ましくは、複数のプレートおよび複数のポールは、略直方体状で同一寸法の磁路形成部品で共通化され、また、第1マグネットおよび第2マグネットが、略直方体状で同一寸法のマグネットで共通化される。プレートまたはポールとして共通部品化される磁路形成部品の高さHaが、第1マグネットの高さHbよりも高くされている場合には、隣接する磁路形成部品の側端面の間に、高さ(Ha−Hb)の磁気空隙を形成するので、第1マグネットおよび第2マグネットの共通化を含めて、部品の共通化によって製造コストを安価に抑制することができる。
【0022】
また、複数の第2マグネットが、略直方体状の上端プレートをそれぞれさらに冠し、ヨークの側壁部が、上端プレートに隣接する延長部をさらに備える場合には、本発明の磁気回路は、上端プレートの側端面と隣接する延長部との間に、補助磁気空隙を形成するので、磁束密度の異なる磁気空隙によって生じる駆動力の不均衡を改善して、スピーカー振動板を全面駆動することが可能になる。すなわち、動電型スピーカーが備えるボイスコイル組立体が、磁気回路の補助磁気空隙に配置される補助コイルを有する場合には、音声信号電流が流れるボイスコイルに対してこの補助コイルを並列または直列に接続すればよい。
【0023】
なお、上記のスピーカーのボイスコイル組立体は、スピーカー振動板の背面側に固着されるボビンと、ボビンに固着される複数の矩形コイルと、を備えている。矩形コイルは、矩形のボビンの外側壁面に固定される外巻矩形コイルであってもよく、あるいは、矩形のボビンの外側壁面に固定される内巻矩形コイルであってもよい。複数のボイスコイルでスピーカー振動板の全体を駆動することで、分割振動を抑制して平坦な周波数特性を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の磁気回路を備えたスピーカーは、分割振動が発生しにくくて平坦な周波数特性が得られる平面薄型のスピーカーを実現することができ、また、動作不良が発生しにくく、かつ、製造上の作業効率が良く、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のスピーカーを説明する断面図である。(実施例1)
【図2】本発明のスピーカーを説明する展開図である。(実施例1)
【図3】本実施例の磁気回路の磁束密度を表すグラフである。(実施例1)
【図4】本発明の他の磁気回路を説明する斜視図および断面図である。(実施例2)
【図5】本実施例の磁気回路の磁束密度を表すグラフである。(実施例2)
【図6】本発明の他のスピーカーを説明する展開図である。(実施例3)
【図7】本実施例の磁気回路の磁束密度を表すグラフである。(実施例3)
【図8】本実施例のスピーカーの振動モードを表す図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態による磁気回路、および、これを用いたスピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0027】
図1および図2は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1を説明する図である。具体的には、図1(a)は、図2におけるA−A’断面の断面図であり、図1(b)は、B−B’断面の断面図である。また、図2は、スピーカー1の構成を説明する展開図であり、説明に不要なフレーム7等の一部の部品を除いた図である。スピーカー1は、長方形の平面振動板2と、複数のマグネットを含む磁気回路10と、を備え、全面駆動の平面薄型スピーカーを実現している。
【0028】
本実施例の平面振動板2は、外形寸法が約50mm×30mmであって、発泡PP(ポリプロピレン)を材料として厚みを1.0mmに成形した平面状のスピーカー振動板であり、その外周端部をエッジ3で振動可能に自由支持されている。ロール状のエッジ3の外周端部は、磁気回路10に連結するフレーム7に固定される。フレーム7は、磁気回路10の背面側から覆うように形成された略凹字形の断面を有する部材であり、鉄等の磁性材料であっても、アルミ、樹脂、等の非磁性材料であっても良い。また、平面振動板2の背面側である磁気回路10の側には、ボイスコイル組立体4が連結する。
【0029】
本実施例のボイスコイル組立体4は、合計8個の矩形ボイスコイルが縦2列横4列で連結しており、各4個の矩形コイル5aおよび5bを磁界回路10の磁気空隙に配置する矩形筒状のボビン6aおよび6bを含んでいる。矩形コイル5aおよび5bは、矩形のボビン6aおよび6bの外側壁面に固定される外巻矩形コイルであり、これらは接着剤で連結している。隣り合う矩形コイル5aと矩形コイル5bは、後述する磁気回路10の磁気空隙での磁束の方向に対応して、図2に示すように、それぞれに流れる音声信号電流IaまたはIbが、相互に反対回転の向きになるように接続されている。矩形のボビン6aおよび6bは、いずれも外形寸法が約11.4mm×11.4mmであるので、これらを連結したボイスコイル組立体4は、平面振動板2を全面駆動することができる。
【0030】
本実施例の磁気回路10は、ヨーク11と、4つのプレート12と、4つの第1マグネット13と、4つの第2マグネット14と、4つのポール15と、から構成されている。ヨーク11、プレート12、ポール15は、軟鉄、パーマロイ、等の磁性材料で形成されている。プレート12は、厚みが約2mmの略直方体状の部材である。また、ポール15は、略直方体状の部材であり、本実施例の場合には、その側端面の第2マグネット14と連結する天面側が側方に突出したT型の断面形状を有している。また、第1マグネット13および第2マグネット14は、ネオジウム等の希土類を含む磁石材料で形成されている。第1マグネット13および第2マグネット14は、それぞれ略直方体状の磁石であって、本実施例の場合には、同一寸法の希土類磁石を共通して利用している。
【0031】
ヨーク11は、A−A’断面が略U字状であって、平面状の底部11aおよびこの底部11aから延設される側壁部11bを備える。また、ヨーク11は、その平板状の底部11aの上に4つの第1マグネット13と、4つのポール15と、を相互に隣り合うように、縦2列横4列で載置している。第1マグネット13は、その天面側に略直方体状のプレート12をそれぞれ冠しており、また、ポール15は、その天面側に第2マグネット14をそれぞれ冠している。したがって、磁気回路10は、隣接するプレート12の側端面とポール15の側端面との間に、ボイスコイル組立体4の矩形コイル5a又は矩形コイル5bが配置される磁気空隙(例えば、図示するg01、g02、g20、g21)を形成する。そして、磁気回路10は、同様に、プレート12の側端面と隣接するヨーク11の側壁部11bとの間に磁気空隙(例えば、図示するg11)、あるいは、ポール15の側端面と隣接するヨーク11の側壁部11bとの間に磁気空隙(例えば、図示するg12)、を形成する。
【0032】
ここで、それぞれの第2マグネット14は、第1マグネット13と同一方向に揃えられた磁極性を有している。すなわち、本実施例の磁気回路10では、隣接するプレート12の側端面とポール15の側端面との間に形成されて矩形コイル5a又は矩形コイル5bが配置される磁気空隙(例えば、図示するg01、g02、等)において、磁気空隙の下側に第1マグネット13が配置され、一方で、磁気空隙の上側に第2マグネット14が配置されることになる。したがって、第1マグネット13および第2マグネット14は、それぞれの磁石が同じ磁極性を示す面が磁気空隙を挟むように配置されているので、この磁気空隙に高い磁束密度を示す磁界を形成する。
【0033】
図3は、本実施例の磁気回路10において、形成される磁気空隙の磁束密度分布を表すグラフである。B−B’断面と平行に縦2列横4列の中央からヨーク11の開放端部に至る間の磁束密度分布の変化を見ると、中央の磁気空隙(g01−g02)では、絶対値が約0.4[Tesla]の磁界が形成され、磁気空隙(g01)と(g02)では、磁束の向きが反転している。また、ヨーク11の側壁部11bによって形成される磁気空隙(g11−g12)では、磁気空隙(g11)で絶対値が約0.6[Tesla]の磁界が形成される一方で、次の磁気空隙(g12)では磁束密度が著しく低くなることがわかる。
【0034】
上記のように、ボイスコイル組立体4では、各4個の矩形コイル5aおよび5bが、それぞれに流れる音声信号電流IaまたはIbが、相互に反対回転の向きになるように接続されている。ただし、隣り合う関係にある矩形コイル5aおよび5bの近接する一辺のそれぞれは、同一の磁気空隙(例えば、g01、g20、等)に配置されるので、この部分では音声信号電流IaおよびIbは、同一方向に流れる。また、ヨーク11の側壁部11bによって形成される磁気空隙(例えば、g11)にも、矩形コイル5aまたは5bの一辺が配置される。したがって、各4個の矩形コイル5aおよび5bで発生する駆動力が、図示する上方向、あるいは下方向のいずれかの同一方向に揃うので、矩形のボビン6aおよび6bを連結したボイスコイル組立体4は、連結する平面振動板2の全面を上下に駆動することができる。
【0035】
また、第1マグネット13および第2マグネット14が、このような位置関係になっているので、磁気回路10は、一度の着磁工程で着磁が可能になり、磁気空隙には高い磁束密度を有する磁界を発生させることができる。本実施例の磁気回路10は、予め異なる方向に着磁した磁極性が異なる第1および第2のマグネットを用意する必要がなく、製造上の作業効率を改善できる。ヨーク11、プレート12、第1マグネット13、第2マグネット14、および、ポール15を、接着剤で固着した後に着磁するだけでよく、着磁した磁極性が異なる第1および第2のマグネットを組み立てる際に課題となる磁力の作用を、考慮する必要が無くなるメリットがある。磁気回路10の組立作業時に、着磁した小さなマグネットのみをハンドリングする必要が無くなるので、作業効率が大きく向上する。
【0036】
なお、ヨーク11は、B−B’断面に示すように、開放されている側には側壁部11bを備えない略U字状であるが、この方向にも側壁部11bを備えてもよい。ヨーク11の開放端側で露出するプレート12の側端面あるいはポール15の側端面(例えば、図示するg22)も、ここに配置される矩形コイル5a又は矩形コイル5bが駆動力を発揮する磁気空隙とすることができる。また、本実施例の磁気回路10の場合には、2つの側壁部11bの間に第1マグネット13とポール15とが一組隣り合うように配置されている縦2列であるが、第1マグネット13とポール15とが一列に配置されていても良く、また、縦方向も横方向も3列以上であっても良い。様々な設計変更の要求に対応が可能で、磁気効率の高い磁気回路10を容易に構成することができる。
【0037】
また、本実施例の磁気回路10は、略直方体状の第1マグネット13および第2マグネット14を含むが、第1マグネット13または第2マグネット14は、略円筒形状の丸型のマグネットを使用してもよい。また、本実施例の磁気回路10は、上記のヨーク11と、略直方体状のプレート12と、略直方体状のポール15と、を含み、矩形コイル5aないし5bが配置される矩形状の磁気空隙を形成する磁気回路であるが、プレート12およびポール15が円形の磁気空隙を形成する部材であってもよい。この場合には、矩形コイルに代えて円筒状のボビンに巻き回される円筒状のボイスコイルを使用することができる。
【0038】
本実施例のボイスコイル組立体4では、矩形コイル5aおよび5bは、矩形のボビン6aまたは6bの外側壁面に固定される外巻矩形コイルであるが、スピーカー振動板の背面側に固着されるボイスコイル組立体4は、他の構成によるものであっても良い。例えば、ボイスコイル組立体4は、矩形コイルが、矩形のボビンの内側壁面に固定される内巻矩形コイルの場合には、複数の矩形のボビン同士を強固に連結するもの、あるいは、樹脂等で断面形状が格子状に形成されて内部に複数の矩形空間を有する格子状ボビンを用いるものであってもよい。内巻矩形コイルの場合には、ボイスコイル組立体4の強度が増して、分割振動を抑制し、より平坦な周波数特性を実現することができる。
【0039】
なお、ボイスコイル組立体4は、複数の矩形コイル5aおよび5bが、磁気回路10に接触しないように振動可能に支持するダンパーを備えていても良い。ダンパーは、その内周端側がボイスコイル組立体4に連結し、外周端側がフレーム7または磁気回路10に連結する。スピーカー1は、さらにダンパーを備えることにより、平面振動板2およびボイスコイル組立体4を含む振動系の動作を安定させて、良好な音声再生を実現することができる。
【実施例2】
【0040】
図4は、本発明の他の好ましい実施形態による磁気回路20を説明する図である。図4(a)は、磁気回路20の斜視図であり、図4(b)は、C−C’断面図である。磁気回路20は、後述するように、ヨーク21の底部21aに縦2列横6列となるようにマグネットおよび磁路形成部品を配置する磁気回路であり、平面振動板2、ボイスコイル組立体4、等を備える(図示しない)スピーカー1aに使用される。なお、先の実施例と同一部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
本実施例の磁気回路20は、ヨーク21と、6つの略直方体状のプレート22と、6つの第1マグネット23と、6つの第2マグネット24と、6つのポール25と、から構成されている。ヨーク21は、先の実施例のように断面が略U字状であって、平面状の底部21aおよびこの底部21aから延設される側壁部21bを備える。また、ヨーク21は、その平板状の底部21aの上に6つの第1マグネット23と、6つのポール25と、を相互に隣り合うように、縦2列横6列で載置している。第1マグネット23は、その天面側に略直方体状のプレート22をそれぞれ冠しており、また、略直方体状のポール25は、その天面側に第2マグネット24をそれぞれ冠している。
【0042】
ここで、それぞれの第2マグネット24は、第1マグネット23と同一方向に揃えられた磁極性を有している。すなわち、本実施例の磁気回路20では、隣接するプレート22の側端面とポール25の側端面との間に形成されて矩形コイル5a又は矩形コイル5bが配置される磁気空隙(例えば、図示するg01、g02、等)において、磁気空隙の下側に第1マグネット23が配置され、一方で、磁気空隙の上側に第2マグネット24が配置されることになる。したがって、第1マグネット23および第2マグネット24は、それぞれの磁石が同じ磁極性を示す面が磁気空隙を挟むように配置されているので、この磁気空隙に高い磁束密度を示す磁界を形成する。本実施例の磁気回路20を用いる(図示しない)スピーカー1aでは、これらの磁気空隙には、ボイスコイル組立体4の矩形コイル5a又は矩形コイル5bが配置される。
【0043】
ただし、本実施例の磁気回路20では、プレート22およびポール25は、軟鉄、パーマロイ、等の磁性材料で形成されていて、略直方体状で同一寸法の磁路形成部品で共通化されており、その寸法は約8.0mm×8.0mm×6.0(高さHa)mmである。また、第1マグネット23および第2マグネット24は、ネオジウム等の希土類を含む磁石材料で形成されおり、こちらも略直方体状で同一寸法のマグネットで共通化されており、その寸法は約7.4mm×7.4mm×4.0(高さHb)mmである。磁路形成部品は、その高さHaが、第1マグネット23ないし第2マグネット24の高さHbよりも高くされているので、本実施例の磁気回路20は、図4(b)に図示するように、隣接する磁路形成部品の側端面の間に、高さが約2.0mm(Ha−Hb)の磁気空隙を形成し、ボイスコイル組立体4の矩形コイル5a又は矩形コイル5bが配置される。
【0044】
図5は、本実施例の磁気回路20において、形成される磁気空隙の磁束密度分布を表すグラフである。具体的には、Case20が本実施例の磁気回路20の場合であり、Case10が(図示しない)比較例として、先の実施例のようにプレート12およびポール15が共通化されていない磁気回路の場合である。縦2列横6列の中央からヨーク11の開放端部に至る間の磁束密度分布の変化を見ると、中央の磁気空隙(g01−g02−g03)では、磁気空隙(g01)と(g02)と(g03)では、磁束の向きが反転しており、構成部品の共通化を進めた磁気回路20においても、絶対値が約0.57[Tesla]の高い磁束密度の磁界が形成されている。一方で、比較例の場合には、同様の結果となっていても、磁気空隙(g03)で他の磁気空隙(g01、g02)よりも高い磁束密度となり、3つの磁気空隙の磁束密度のバラツキが大きくなっている。
【0045】
磁気回路20は、先の実施例の磁気回路10と同様に、一度の着磁工程で着磁が可能なので、予め異なる方向に着磁した磁極性が異なる第1および第2のマグネットを用意する必要がなく、製造上の作業効率を改善でき、製造コストをさらに安価にすることができる。さらに、本実施例の磁気回路20では、磁路形成部品およびマグネットの共通化によって、先の実施例の場合に比べて、製造コストを安価に抑制することができる。磁路形成部品を共通化することで、別部品のプレートならびにポールを設計し、製造して管理する工程を半減できる。第1および第2のマグネットの共通化も同様である。したがって、スピーカーの製造上の作業効率も改善でき、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0046】
なお、本実施例の磁気回路20では、磁路形成部品およびマグネットを共通化するので、プレート22および第1マグネット23の合計体積と、第2マグネット24およびポール25の合計体積と、がほぼ一致する。これらは、(図示しない)スピーカー1aとして組み立てられる際には、ボイスコイル組立体4を構成する矩形筒状のボビン6aまたは6bの内部空間に配置される。平面振動板2で上部側を塞がれるこれらの内部空間に囲われる空気は、スピーカー振動系を支持するスティフネスとして作用するので、これらの内部空間の空気の体積は、それぞれ同じであることが好ましい。磁気回路20では、先の実施例の磁気回路10の場合に比べて、磁路形成部品およびマグネットを共通化することにより、平面振動板2の背後の矩形ボビンの内部空間内の空気体積がそれぞれ一様になるので、安定した動作が可能になる。
【実施例3】
【0047】
図6は、本発明の他の好ましい実施形態によるスピーカー1bの構成を説明する展開図であり、説明に不要なフレーム7等の一部の部品を除いた図である。スピーカー1bは、長方形の平面振動板2と、複数のマグネットを含む磁気回路30と、ボイスコイル組立体40と、を備え、全面駆動の平面薄型スピーカーを実現している。なお、磁気回路30は、最初の実施例で説明した磁気回路10と同様に、4つの第1マグネット13と、4つのポール15と、が相互に隣り合うように縦2列横4列とした磁気回路であるので、先の実施例と同一部分には、同一の符号を付し、重複する部分、並びに、説明に不要な一部の内部構造等については、説明ならびに図示を省略する。
【0048】
本実施例の磁気回路30は、ヨーク31と、4つの略直方体状のプレート12と、4つの第1マグネット13と、4つの第2マグネット14と、4つのポール15と、4つの上端プレート36と、から構成されている。ヨーク31および上端プレート36は、軟鉄、パーマロイ、等の磁性材料で形成されている。また、上端プレート36は、厚みが約2mmの略直方体状の部材であって、本実施例の場合には、プレート12と共通部品化されている。
【0049】
ヨーク31は、先の実施例のように断面が略U字状であって、平面状の底部31aおよびこの底部31aから延設される側壁部31bを備え、加えて、ヨーク31の側壁部31bは、4カ所の延長部31cをさらに備える。また、ヨーク31は、その平板状の底部31aの上に4つの第1マグネット13と、4つのポール15と、を相互に隣り合うように、縦2列横4列で載置している。第1マグネット13は、その天面側に略直方体状のプレート12をそれぞれ冠しており、また、略直方体状のポール15は、その天面側に第2マグネット14をそれぞれ冠している。そして、第2マグネット14は、その天面側に上端プレート36をそれぞれ冠している。
【0050】
その結果、磁気回路30では、上端プレート36は、ヨーク31の側壁部31bの延長部31cに隣接するように配置され、上端プレート36の側端面と隣接するヨーク31の側壁部31bの延長部31cとの間に、4カ所の補助磁気空隙(例えば、g32)が形成される。先の実施例の通り、それぞれの第2マグネット14は、第1マグネット13と同一方向に揃えられた磁極性を有していて、それぞれの磁石が同じ磁極性を示す面が磁気空隙を挟むように配置されているので、これらの磁気空隙に高い磁束密度を示す磁界を形成する。一方で、補助磁気空隙にも、高い磁束密度を示す磁界が形成される。
【0051】
図7は、本実施例の磁気回路30において、形成される磁気空隙の磁束密度分布を表すグラフである。縦2列横4列の中央からヨーク31の開放端部に至る間の磁束密度分布の変化を見ると、中央の磁気空隙(g01−g02)では、絶対値が約0.4[Tesla]の磁界が形成され、磁気空隙(g01)と(g02)では、磁束の向きが反転する。また、ヨーク31の側壁部31bによって形成される磁気空隙(g11−g12)では、磁気空隙(g11)で絶対値が約0.6[Tesla]の磁界が形成される一方で、次の磁気空隙(g12)では磁束密度が著しく低くなる。さらに、補助磁気空隙(g32)では、磁気空隙(g12)とは磁束の向きが反対であって、絶対値が約0.8[Tesla]の磁界が形成され、磁気空隙として機能しない(g31)の位置では、磁束密度が著しく低くなる。
【0052】
本実施例の磁気回路30を用いるスピーカー1bでは、先の実施例の場合と同様に、下側の磁気空隙には、ボイスコイル組立体40の矩形コイル5a又は矩形コイル5bが配置される。ボイスコイル組立体40は、これを構成する矩形のボビン6aと6bのうち、4つのボビン6bの矩形コイル5bの上部側に、補助磁気空隙に対応する位置にさらに補助コイル5cを有する。補助コイル5cは、これに流れる音声信号電流Icが、矩形コイル5bに流れる音声信号電流Ibとは、相互に反対回転の向きになるように接続されている。したがって、各4個の補助コイル5cで発生する駆動力が、他の矩形コイル5aおよび5bで発生する駆動力と、図示する上方向、あるいは下方向のいずれかの同一方向に揃うので、ボイスコイル組立体40は、連結する平面振動板2の全面を上下に駆動することができる。
【0053】
また、本実施例のスピーカー1bは、補助磁気空隙に配置される補助コイル5cを有しているので、それぞれの磁気空隙での磁束密度の差異を原因とする矩形コイル5a又は矩形コイル5bに作用する駆動力の差を、調整することができる。すなわち、補助コイル5cは、矩形コイル5bが巻回されているボビン6bに巻回されているので、ボビン6aに巻回されている矩形コイル5aに発生する駆動力と、矩形コイル5bおよび補助コイル5cに発生する駆動力と、がほぼ一致するようにすれば、ボイスコイル組立体40が連結する平面振動板2を、バランスよく全面駆動することができる。
【0054】
例えば、図7に示すように、本実施例の磁気回路30の中央の磁気空隙(g02)での磁束密度(約0.4[Tesla])に比較して、ヨーク31の側壁部31bでの磁気空隙の場合には、矩形コイル5aが配置される一方の磁気空隙(g11)は十分高い(約0.56[Tesla])ものの、矩形コイル5bが配置される他方の磁気空隙(g12)での磁束密度は、著しく低い。その結果、矩形コイル5aに流れる音声信号電流Iaと、矩形コイル5bに流れる音声信号電流Ibと同じ絶対値とする場合には、矩形コイル5bに作用する駆動力は、矩形コイル5aに作用する駆動力よりも相対的に低くなる。したがって、本実施例のスピーカー1bでは、補助コイル5cに音声信号電流Icを流すことで、補助コイル5cに補助的な駆動力を発生させることができる。
【0055】
図8は、本実施例のスピーカー1または1bが備える平面振動板2の約588Hzでの振動モードを表す図である。具体的には、図8(a)が先の実施例のスピーカー1の場合であり、図8(b)が本実施例のスピーカー1bの場合である。ボイスコイル組立体4を備えるスピーカー1の場合には、矩形コイル5aおよび5bで発生する駆動力が異なっているので、長軸に対して非対称な振動モードが発生している。これに対して、ボイスコイル組立体40が補助コイル5cを備える本実施例のスピーカー1bの場合には、補助コイル5cで発生する補助的な駆動力を、矩形コイル5bでの駆動力の約65%に調整すると、長軸に対して非対称な振動モードが消えて、より全面駆動に近い動作にすることができる。
【0056】
補助コイル5cで発生させる駆動力を調整するには、幾つかの方法が取り得る。例えば、本実施例のスピーカー1bでは、補助コイル5cは、矩形コイル5aおよび矩形コイル5bと共通化した矩形コイルであるので、(図示しない)分圧回路を用いて補助コイル5cに音声信号電流Icを、音声信号電流IaあるいはIbに対して一定の割合で流すようにすればよい。また、補助コイル5cの線長(又は線径、巻き回数)を調整することで、補助コイル5cに発生させる補助的な駆動力を調整してもよい。
【0057】
矩形の補助コイル5cで発生する補助的な駆動力は、高い磁束密度の磁界が発生する補助磁気空隙(g32)に配置される矩形の一辺の部分のみで実質的に発生するので、調整は容易である。例えば、図2におけるヨーク31の側壁部31bでの磁気空隙(g12)では、隣の磁気空隙(g11)に対して著しく磁束密度が低い。したがって、磁気空隙(g11)に位置するボビン6aに巻回される矩形コイル5aに発生する駆動力と、ボビン6bの上側で補助磁気空隙(g32)に位置する補助コイル5cに発生する補助駆動力と、がほぼ等しくなるように、すればよい。つまり、磁気空隙(g11)と補助磁気空隙(g32)の磁束密度をそれぞれ(d11)、(d32)とすると、磁束密度d11と音声信号電流Iaとの積が、磁束密度d32と音声信号電流Icとの積と、等しくなるように、音声信号電流Icを調整すればよい。
【0058】
他の方法で補助コイル5cにおいて発生する補助的な駆動力を調整する場合には、矩形コイル5b、ないし、補助コイル5cに作用する全ての磁界を考慮してもよい。例えば、矩形コイル5aが配置されるプレート12が形成する磁気空隙(例えば、図2におけるg01、g11、g20、g21。)の磁束密度分布と、矩形コイル5bが配置されるポール15が形成する磁気空隙(例えば、図2におけるg02、g12、g21、g22。)の磁束密度分布と、補助コイル5cが配置される補助磁気空隙(g32)を含む上端プレート36の周囲4辺の磁束密度分布と、の差異を基に、補助的な駆動力を調整してもよい。
【0059】
もちろん、4つの補助コイル5cの間でも、ボイスコイル組立体40が良好に全面駆動できるように、それぞれで発生する補助的な駆動力を調整してもよい。補助コイル5cで発生する補助的な駆動力は、矩形コイル5aでの駆動力に対して、例えば、約55%〜約80%の値で変化してもよい。また、補助コイル5cは、音声信号電流が流れる矩形コイル5aまたは5bに対して、並列接続または直列接続を問わない。本実施例のスピーカー1bでは、補助的な駆動力が加わるので、再生能率を高くすることができ、平面振動板およびボイスコイル組立体を含む振動系の動作を安定させて、良好な音声再生を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の磁気回路およびこれを用いたスピーカーは、平面振動板を備えるスピーカーのみならず、ヘッドホンにも適用が可能である。もちろん、本発明のスピーカーは、平面振動板に限らず、コーン形振動板等の非平面形状のスピーカー振動板を備えていても良い。
【符号の説明】
【0061】
1、1b スピーカー
2 平面振動板
3 エッジ
4 ボイスコイル組立体
5 コイル
6 ボビン
7 フレーム
10、20、30 磁気回路
11、21、31 ヨーク
12、22、 プレート
13、23 第1マグネット
14、24 第2マグネット
15、25 ポール
36 上端プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を有するヨークと、略直方体状のプレートをそれぞれ冠して該ヨークの該底部に載置される複数の第1マグネットと、第2マグネットをそれぞれ冠して該ヨークの該底部に該第1マグネットと隣り合うように載置される略直方体状の複数のポールと、を備え、
それぞれの該第2マグネットが、該複数の第1マグネットと同一方向に揃えられた磁極性を有し、隣接する該プレートの側端面と該ポールの側端面との間に、ボイスコイルが配置される磁気空隙を形成する磁気回路。
【請求項2】
前記複数のプレートおよび前記複数のポールが、略直方体状で同一寸法の磁路形成部品で共通化され、該磁路形成部品の高さHaが、前記第1マグネットの高さHbよりも高くされて、隣接する磁路形成部品の側端面の間に、高さ(Ha−Hb)の磁気空隙を形成する、
請求項1に記載の磁気回路。
【請求項3】
前記第1マグネットおよび前記第2マグネットが、略直方体状で同一寸法のマグネットで共通化されている、
請求項2に記載の磁気回路。
【請求項4】
前記ヨークが、前記底部から延設される側壁部をさらに備え、該プレートの側端面と隣接する該ヨークの側壁部との間、あるいは、該ポールの側端面と隣接する該ヨークの側壁部との間に、ボイスコイルが配置される磁気空隙を形成する、
請求項1から3のいずれかに記載の磁気回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の前記磁気回路と、該磁気回路の前記磁気空隙に配置されるボイスコイルと、該ボイスコイルを該磁気空隙に配置してスピーカー振動板に連結するボイスコイル組立体と、該スピーカー振動板を振動可能に支持し、かつ、該磁気回路を連結するフレームと、
を備える、動電型スピーカー。
【請求項6】
前記複数の第2マグネットが、略直方体状の上端プレートをそれぞれさらに冠し、前記ヨークの前記側壁部が、該上端プレートに隣接する延長部をさらに備え、該上端プレートの側端面と隣接する該延長部との間に、補助磁気空隙を形成する、
請求項1から4のいずれかに記載の磁気回路。
【請求項7】
請求項6に記載の前記磁気回路と、該磁気回路の前記磁気空隙に配置されるボイスコイルと、該ボイスコイルを該磁気空隙に配置してスピーカー振動板に連結するボイスコイル組立体と、該スピーカー振動板を振動可能に支持し、かつ、該磁気回路を連結するフレームと、を備え、
該ボイスコイル組立体が、磁気回路の前記補助磁気空隙に配置される補助コイルを有するボイスコイル組立体と、を含む、
動電型スピーカー。


【図1】
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【図3】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−193125(P2010−193125A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34814(P2009−34814)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】