説明

磁気書込・読取装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、券に予め設けられた磁気ストライプの読み書きを行い、乗り物の乗車券や指定券等の券類を発行するために使用される磁気書込・読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】航空機等の搭乗券を購入する場合、航空会社の営業所や旅行代理店では、その予約券を購入し、空港でその予約券と搭乗券とを引き換える。又、搭乗券を直接発行できるような装置も提供されている。
【0003】図2に、そのような従来の券類発行装置断面図を示す。図2において、本体ケース1の内部には、その左上部分に券受入れ部2及び券排出部3が設けられている。又、左下部分に券収納部4、右側部分に上から順にジャーナル印字部7、券印字部5および磁気リードライト部6が設けられている。
【0004】このような装置において、券収納部4には、未発行の搭乗券等を収納する。この券は、繰り出しローラ17によって、券収納部4から繰り出され、フィードローラ18によって、磁気リードライト部6へ向け搬送される。磁気リードライト部6には、読取ヘッド15と、書込ヘッド16が設けられている。この読取ヘッド15と書込ヘッド16には券を挟んでローラ19がそれぞれ設置され、これら読取ヘッド15と書込ヘッド16が券に対して圧接状態となるよう構成されている。
【0005】券の磁気ストライプには、この書込ヘッド16によって、券発行に必要な所定の券情報が磁気的に記録される。読取ヘッド15は、その券情報が正しく書込まれているか否かをチェックする。その後、券は券印字部5に向け搬送される。券印字部5には、インクリボン20と、印字ヘッド21及びプラテン22が設けられている。ここで、インクリボン20は、券面に重ね合わされ、プラテン22上で印字ヘッド21により所定の券情報が記録される。この印字用の券情報は、例えば、読取ヘッド15により読取られた内容の一部が使用される。
【0006】印字終了後の券は、排出ローラ23によって券排出部3に排出される。一方、係員が予め用意した券を使用する場合、この券は、券受入れ部2から挿入される。券挿入部2に券が挿入されると、図示しないセンサによってその挿入が検知され、ストッパ12がオープンし、給入ローラ11が駆動される。ストッパ12は、矢印■方向に退避して、券の給入を許容する。こうして、給入された券は、バーコードリーダ13によって、券面に付されたバーコードが読取られる。この、バーコードは、券種を識別するために設けられている。バーコードの読取りが終了すると、券は、ブレード14に向かって、搬送される。
【0007】また、券類の搬送路には、搬送を円滑に行うための走行ガイドが設けられている。図3に磁気リードライト部6の走行ガイドの説明図を示す。走行ガイド8は、搬送路に沿って設けられ、券9の走行時にその片端面を支持している。これにより、券9の走行時の位置決めが行われ、券9に予め設けられた磁気ストライプ9aの磁気情報のリードライトが読取ヘッド15および書込ヘッド16によって行われる。
【0008】図4にブレード14の作用説明図を示す。ブレード14は、同図(a)に示すように、矢印■の方向に搬送された場合、その券により、押し除けられる。ブレード14を通過した券は磁気リードライト部6に送り込まれ、予め、その磁気ストライプ9aに書込まれた情報の読取りが行われる。そして、券全体が磁気リードライト部6を通過したところで、その搬送が停止され、今度は、券が逆向きに搬送され、書込ヘッド16により所定の券情報が記録される。さらに読取ヘッド15によりその内容がチェックされる。そして、先に説明したと同様に、券が券印字部5に搬送され、所定の印字が行われる。この場合、図4(b)に示すように、ブレード14が券を矢印■方向に案内する向きに復帰しているため、始めの侵入路とは別方向に搬送されることになる。
【0009】以上のようにして券の発行が行われるが、このような発行履歴は、本体ケース1の右上部に設けられたジャーナル印字部7において、記録される。ジャーナル印字部7には、記録用紙24と印字ヘッド25及びプラテン26が設けられている。記録用紙24は、熱転写紙からなり、印字ヘッド25により直接券発行のデータが記録される。
【0010】一方、顧客が旅行日程等の変更により、搭乗券の内容の変更等を要求した場合には、新たな券を発行すると共に、発行済の券を券受入れ部2から挿入し、券の無効処理を行う。この場合、券は、券受入れ部2からブレード14を通り、磁気リードライト部6に送り込まれ、その内容確認等が行われた後、券印字部5において、券面に廃券印字等の処理が行われる。その後、その券は券排出部3に排出され、係員によって処分される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の券類発行装置は、図3に示したように、券9の走行時の安定を走行ガイド8によって行っている。しかしながら、走行ガイド8は券9の片側のみを支持しているだけであるため、ある程度の走行安定の効果はあるが、券9の搬送中に、券9が横方向(搬送方向と直角方向)に移動し易い。一方、磁気ストライプ9aには、複数のトラックが設けられているが、これらのトラックのリードライトには、非常に高い精度が要求される。従って、券9の磁気ストライプ9aのリードライトに高い精度が要求されるにもかかわらず、券9が位置が一定しないため、読取、書込ヘッド15、16と磁気ストライプ9aの位置がずれてしまい、正確なリードライトが行えないという問題点があった。本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、券の磁気ストライプの正確なリードライトを行える磁気書込・読取装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉券に予め磁気ストライプが付与され、かつ、該券の搬送路に磁気情報の書き込み、読み取りを行う磁気ヘッドを設け、上記磁気ヘッドを上記券に圧接して該券の磁気ストライプの読み書きを行う磁気書込・読取装置において、上記券への上記磁気ヘッドの圧接状態を開放する磁気ヘッド開放機構と、上記磁気ヘッド開放機構により磁気ヘッドへの圧接状態を開放し、ドラムの外周面に巻き付けられた券を、ドラムの軸方向一端側に設けられたフランジ部を基準面として、基準面方向に押圧して整列させる整列手段と、上記整列手段を動作させ、上記整列動作を繰り返し、この券が所定の位置となるまで上記券の位置を監視する監視手段を備えたことを特徴とする磁気書込・読取装置。
【0013】〈構成2〉構成1において、整列手段は、上記券が基準面方向に押圧されるとき、上記ドラムを複数回回動させて整列動作を行うことを特徴とする磁気書込・読取装置。
【0014】〈構成3〉構成2において、整列手段は、券を基準面方向に押圧するテーパ状のアライナローラから成ることを特徴とする磁気書込・読取装置。
【0015】
【作用】本発明の磁気書込・読取装置においては、券には予め磁気ストライプが設けられており、この券の搬送路にはその磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドが設けられている。このような装置において、券が搬送路を走行すると、磁気ヘッド開放機構により磁気ヘッドの券への圧接状態を開放する。この状態で整列手段は券を所定の基準位置に対して整列させ、磁気ヘッドと磁気ストライプの位置決めを行い、その後、磁気ヘッドの券への圧接状態に戻す。従って、磁気ストライプの磁気情報の書込、読取処理を高精度で行うことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。図5は本発明の装置の第1の実施例を示すブロック図である。図の装置は、磁気リードライト部6に整列手段101と磁気ヘッド開放機構102を設けたことを特徴とするもので、これ以外の構成は図2の装置と同様であるため、対応する部分に同一符号を付して、その説明を省略する。図1に、整列手段101と磁気ヘッド開放機構102を含む磁気書込・読取装置の具体的構成を示す。整列手段101は、券9の表裏を挟持する一対となったテーパ状のアライナローラ101a、101bからなり、磁気ヘッド開放機構102は、ソレノイドから構成されている。尚、アライナローラ101a、101bは読取、書込ヘッド15、16の前後に設けられているが、ここでは、図面上の煩雑さを避けるため、一対のアライナローラのみを示している。アライナローラ101a、101bはウレタン等の弾性を有する部材で形成され、券9の走行によって券9を走行ガイド8方向に駆動する。
【0017】図6は、アライナローラによる券9の駆動原理を説明する図である。即ち、アライナローラ101a、101bは券9を押圧状態で挟持しているため、アライナローラ101a、101bの券9との接触部Aは、その弾性によって走行ガイド8方向に変形した形となっている。そして、この状態で券9が走行すると、アライナローラ101a、101bの接触部は、常に変形しながら回転することになる。その結果、アライナローラ101a、101bの変形力によって券9は走行ガイド8方向へ駆動されることになる。
【0018】次に、このように構成された磁気書込・読取装置の整列動作について説明する。先ず、券9が券収納部4から繰り出され、磁気リードライト部6に搬送されると、図示しない制御部は、これを検知すると、磁気ヘッド開放機構102を動作させ、読取ヘッド15および書込ヘッド16の券9への押圧状態を解除する。これにより、券9の負荷が軽減される。また、券9の走行により、アライナローラ101a、101bは上述したように券9の整列動作を行う。そして、この動作を券9の往復搬送される間に行うと、券9の端面は走行ガイド8に当接し、従って、券9の磁気ストライプ9aの位置と、読取、書込ヘッド15、16の位置とが正確に一致するようになる。
【0019】図7に、券9の整列状態を監視する監視手段を設けた他の実施例を示す。この実施例では、監視手段103として券9の走行ガイド8側と逆側の端面位置を検出する位置検出センサを設けたものであり、この位置検出センサの検出出力は制御部200の監視制御部202に入力されるよう構成されている。位置検出センサは、光センサからなり、券9による光の遮蔽、透過によって券9の端面が所定の位置になったか否かを検出する。整列手段101によって、券9の往復搬送を行う間に整列が行われた場合、監視手段は、券9の位置を監視し、所定の位置となるまで整列制御部201を動作させてその整列動作を繰り返し行う。従って、券9の磁気ストライプ9aと読取、書込ヘッド15、16との位置決めは一層正確に行うことができる。
【0020】次に、券9の搬送路が円環上に形成された第2の実施例を説明する。図8は、その装置のブロック図である。図において、制御部50は、主制御部51、入力装置52、及び表示装置53から構成される。主制御部51は、通信回線を介してホストコンピュータ30に接続されている。また、本体部60には、電源装置61、上位インタフェース部62、制御部63、操作パネル64、表示ランプ群65、表示部66、及びジャーナルプリンタ部67が設けられている。また、機構部70には、例えばここでは、3つの券収納部71,72,73と、磁気リードライト部74、券印字部75、券排出部76、券受入れ部77、バーコードリード部78が設けられている。図において、ホストコンピュータ30は、座席予約等の集中管理を行う計算センタに設けられたコンピュータ等からなる。
【0021】図9に、本発明の装置外観斜視図を示す。図8に示した制御部50は、例えば、図9に示すように、ブラウン管ディスプレイ等からなる表示装置53と、キーボード等からなる入力装置52を備えている。この制御部50は、一般に使用されているパーソナルコンピュータ等から構成される。本体部60の図8に示す上位インタフェース部62は、制御部50との通信を制御するための回路である。また、本体部60の制御部63は、本体部全体の動作を制御するための回路で、電源装置61から所定の動作用電力を供給される。
【0022】操作パネル64は、図9に示すように本体部60の前面に設けられ、表示ランプ群65や表示部66を備えている。表示ランプ群65には、例えば、電源のオンオフやオンライン状態とオフライン状態を識別するランプ、その他のアラーム表示を行うランプが配置されている。また、表示部66は、液晶ディスプレイ等からなり、券が搬送中にジャムした場合や、券収納部に券がなくなったような場合等に、その状態を言葉で表示するために設けられている。
【0023】また、図9に示す本体部60の前面には、未発行の券や発行済の券を受入れるための券受入れ部77と、印刷等の行われた券を排出する券排出部76が設けられている。そして、図9に示す本体部60の上部には、着脱式の券収納部71,72,73が収容されている。即ち、この、実施例では3つのカセット式券収納部が設けられ、それぞれに、任意の種類の券が収納できるように構成されている。尚、本体部60の内部には、その上方に、ジャーナル印字部67が設けられ、その下側に機構部70が設けられる。ジャーナル印字結果は取出し口79から取出される。
【0024】また、図9に示す本体部60の前面には、券収納部71,72,73を出し入れするために、図示しない鍵によって開閉される扉が設けられる。また、本体部60の側面には、ジャーナル印字用紙を補充するための扉や、券面に印字を行うためのインクリボン交換のための扉、或は、ジャムした券を取り出すための扉等が設けられている。
【0025】図10に、本発明の装置断面図を示す。この断面は、図9に示す本体部60の右側の外壁を取り除いたもので、本体部60の左側の外壁内側には、図8に示す制御部63等の回路が組み込まれる。図10において、券収納部71,72,73は、例えばそれぞれA航空会社の搭乗券、B航空会社の搭乗券、及びC航空会社の搭乗券の未発行のものを収納するために設けられている。
【0026】これらは、カセット式の構成とされ、いずれも互換性があって、任意の位置に挿入が可能である。そして、これらの挿入状態を検出するために、検出器D1,D2,D3が設けられている。この検出器D1,D2,D3によって、券の種類が識別され、要求に応じた券が搬送路に繰り出されるよう構成されている。
【0027】図11にこの券選択機構概略図を示す。図のように、券収納部71,72,73には、それぞれ、異なる位置に突起711,721,731が取付けられている。検出器D1,D2,D3は、フォトカプラから成り、それぞれ、各突起711,721,731の位置を光学的に検出する。そして、その情報がカセット識別回路110に入力する。カセット識別回路110には、どのタイプのカセットにどの種類の券が収納されているかを示すテーブル等が用意されている。選択回路112が、所定の券を選択して発行処理を行おうとする場合、搬送制御回路111は、その選択回路112の命令とカセット識別回路110の出力を受け入れて、必要な搬送機構を駆動し搬送路に送り出す。尚、券収納部71,72,73の中に収納された券は、検出器D4,D5,D6によりその有無が検知される。
【0028】図12に、券の有無検出器構概略図を示す。図は、図10の検出器D4をより具体的に示したものである。図において、例えば、券収納部71の底板710には、突起712が設けられ、図11に示した突起と同様の原理でニアエンド検出部717に検出される。即ち、ニアエンド検出部717は、図11に示した検出器D1,D2,D3と同様のフォトカプラ等から構成される。この突起712は、券9を載せた底板710に固定されており、その底板は、スプリング713によって常に上方に押し上げられるよう力を受けている。従って、券9の残量が少なくなると、突起712が上方に押し上げられ、ニアエンド検出部717は、突起712が一定以上上昇した場合にこれを検出する。
【0029】一方、エンド検出部718は、券9と底板710を挟むようにセンサが配置されており、券9がなくなると、底板710に設けられた図示しない貫通孔を通じて、券の無くなったことを検出する。検出器D4は、このようにして、ニアエンド検出部717及びエンド検出部718を動作させ券の管理を行う。
【0030】以上の構成の、券類収納部71,72,73に、オペレータが、予め使用頻度の高い券をセットしておけば、従来のようなカセットの入替えや多種の券の管理を行うといった煩雑な業務が解消される。これらの券の繰り出しには、図10の繰り出しローラ81,82,83及びソレノイドMG1,MG2,MG3が使用される。
【0031】図13に、券繰り出し機構の動作説明図を示す。まず、繰り出しローラ83は、券繰り出しの際矢印■方向に回転を開始する。又、ソレノイドMG3は、矢印■方向に押し下げられ、券9の上面に繰り出しローラ83を押し付ける。これによって、券9は、矢印■方向に繰り出される。繰り出された券9は、図10の破線に示すような搬送路上を搬送される。フィードローラ84,85,86は、それぞれ、一対のローラから構成され、モータM4によって、駆動される。尚、フィードローラ84,85,86は、それぞれ、一方が順方向、他方が逆方向に回転するローラからなり、券9を1枚ずつ切り離して搬送路に繰り出すように構成されている。
【0032】この券9の繰り出し検知のために、検出器D7,D8,D9,D10が設けられる。これらも、フォトカプラから構成される。これらの検出器の出力により、どの券収納部から券9が繰り出されたかを識別することができる。
【0033】図14に、繰り出された券の判別法説明図を示す。図に示すように、検出器D7,D8がオンした場合には、上段カセットから券が繰り出されたことが確認され、検出器D7,D8,D9,D10の全てがオンした場合、中段カセットから券が繰り出されたことが確認される。又、検出器D9,D10がオンした場合には、下段カセットから券が繰り出されたことが確認される。このようにして、誤った券が繰り出されたか否かが確認される。
【0034】尚、このうちの検出器D8,D10は、券の繰り出しが完了したか否かの検知をするために設けられている。又、券収納部71,72,73は、それぞれ、繰り出しローラや81,82,83やソレノイドMG1,MG2,MG3及びフィードローラ84,85,86等の周辺機構と共にユニット化されている。従って、この実施例では、例えば、顧客の要求によって、1台から3台まで、容易に増減が可能である。又、使用後の増設も可能である。従って、装置のユーザーの要求に応じ、適切な価格構造の装置が提供できる。
【0035】図10において、券収納部71,72,73から搬送路に繰り出された券は、ドラム96に達するよう構成されている。このドラム96は、モータM1により駆動され、それぞれ、いわゆるロータリエンコーダ98,97によってその回転が制御される。両者は図示しないベルト等により連結されている。ドラム96には、その外周面に券が巻き付けられて搬送される構成とされている。従って、券をドラム外周面に密着させるために、図示しない複数のプレッシャローラがこのドラム96に外接している。ドラム96の外周には、バーコードリーダ78と、磁気読取ヘッド742、磁気書込ヘッド741が配置されている。そして、それぞれ、その近傍に、検出機D11,D12,D13が設けられている。検出器D11は、バーコード読取りタイミングを検出するセンサで、検出器D12は磁気読取りタイミングを検出するセンサ、検出器D13は、磁気書込みタイミングを検出するセンサである。
【0036】また、ドラム96の外周には、整列手段104としてアライナローラが複数個設置され、磁気読取ヘッド742および磁気書込ヘッド741には、これら磁気ヘッドの券への圧接状態を開放する磁気ヘッド開放機構としてソレノイドMG8が設けられている。図15は、ドラム96を上面から見た図である。即ち、ドラム96の軸方向一端側には、上述した第1実施例の走行ガイド8としての機能を有するフランジ部96aが設けられ、整列手段104による整列動作の基準面となっている。また、フランジ部96aの反対側には、監視手段105として券9の位置を検出するための位置検出センサが設けられている。そして、この位置検出センサの出力は、制御部63内に設けられた監視制御部204に入力され、整列制御部203は監視制御部204からの信号に基づき基準面への整列動作を行うよう構成されている。
【0037】図16に、上記ドラム96の動作説明図を示す。同図(a)において、まず、ドラム96は、矢印■方向に搬送されてきた券を外周面に巻き付け、順方向(反時計方向)に回転して、バーコードの読取り、磁気書込み、磁気読み取り等を行い、その後、逆転して、矢印■方向に券を搬送し、矢印■方向に搬送して、図6に示す印字部90に送り込む。又、図10に示す券受入れ部77から受け入れられた券は、図16(b)に示すように矢印■方向に送り込まれ、矢印■方向に順方向回転するドラム96に巻き付けられる。その後は、同図(a)に示したと同様に、ドラム96が逆転し、矢印■方向に券が搬送される。
【0038】また、発行済の券を収納する場合には、図10に示す券受入れ部77から送り込まれた券が、ドラム96に、図16(c)に示すように巻き付けられ、廃券のための印刷を行い、その無効処理が完了すると、矢印■方向に搬送される。これは、図10に示す券収納部73に送り込まれる。このような券の搬送を制御するために、図10に示すブレードB1,B2,B3,B4が、それぞれ券の走行方向に揺動する。
【0039】尚、図10に示したように、ドラム96の外周面にバーコードリーダ78や、磁気ヘッド742,741等を設けたことにより、印字部90を、ドラム96に十分近付けて配置することが出来、装置の小型化を図ることが出来る。
【0040】図10の印字部90には、インクリボン91と、印字ヘッド94、及びプラテン93が設けられている。インクリボン91は、モータM2により巻取られる。又、印字部90自体はカセット化されており、その装着の有無を検出機D14が検出する構成とされている。印字ヘッド94は、印字部90の着脱の際や印字を行わない場合には、ソレノイドMG4により、プラテン93より離れるように操作される。尚、この印字部90へ券が侵入する際、これを検知するために、検出機D15が設けられている。更に、印字を終了した券は、フィードローラ95により排出部76に向け排出されるが、その排出開始と完了を検出するために、検出機D16が設けられている。
【0041】また、外部より券を挿入するための券受入れ部77には、フィードローラ99と、検出機D7及びストッパ89が設けられている。挿入される券の先端が検出機D17により検出され、ストッパ89に突き当たると、ソレノイドMG5が、動作し、ストッパ89を矢印■方向に退避させて、券の挿入を許可する。その時、フィードローラ99が動作して、券が内部に送り込まれる構成とされている。尚、このために、フィードローラ99は当初開放状態とされ、搬送開始時に券をクランプする構成とされている。図10の右上に示したジャーナル印字部67には、熱転写紙等からなる記録紙671と、これに印字をするためのプラテン673及び印字ヘッド674が設けられる。記録紙671はガイドローラ672を介して印字部へ搬送され、券発行の記録が行われる。
【0042】以下、上記の構成の本発明の装置の動作を動作フローチャートを用いて説明する。図17は券の繰り出し動作フローチャートである。図において、まずステップS1で券を発行する発券命令が出されると、図10のメインモータであるM1がオンし、順方向に回転すると共に、フィードローラ84,85,86を回転させるためのモータM4がオンして搬送動作を開始する(ステップS2)。
【0043】ここで、例えば、中段の券収納部72から券が繰り出されるとすると、ソレノイドMG2がオンし(ステップS3)、その後検出機D9,D7がオンして、該当する券の繰り出しを検知する。券の繰り出しが終わると、検出機D10,D8がオンからオフに切替わる。以上のステップS4からS7の動作は、タイマアラームによって監視され、一定時間以上検出機が検出動作をしない場合、ジャム等の警告がなされる(ステップS9)。券の繰り出しが完了すると、ソレノイドMG2がオフされ、モータM4もオフされて繰り出しを終了する(ステップS8)。
【0044】図18に、券の整列動作フローチャートを示す。券が図10のブレードB1,B2を通ってブレードB3に案内され、ドラム96外周に巻込まれると、検出機D11がオンしドラム巻込みを検出する(ステップS1)。これにより、整列制御部203は、ソレノイドMG8をオンし、書込ヘッド741および読取ヘッド742を開放する(ステップS2)。次いで検出機D12およびD13がオンすると(ステップS3,S4)、券9の走行が確認されるため、上述したように所定の整列動作が行われる。また、この整列動作は1回またはドラム96を回動させることにより複数回行う。その後、監視制御部204は、位置検出センサの出力から、券9の位置が基準範囲内にあるか否かを判定し(ステップS5)、基準範囲内になかった場合は、ステップS2に戻り、再度整列動作を繰り返す。ステップS5において、券9が基準範囲内にあった場合は、検出機D11のオンするのを待って(ステップS6)、これがオンになると、整列制御部203はソレノイドMG8をオフとし、書込ヘッド741および読取ヘッド742を通常状態(券への圧接状態)に戻す。また、上記ステップS3,S4,S6のいずれにおいても、ジャム検出のためのタイマアラームが動作する(ステップS8)。
【0045】図19に、券への磁気記録動作フローチャートを示す。券が図10のブレードB1,B2を通ってブレードB3に案内され、ドラム96外周に巻込まれると、検出機D11がオンしドラム巻込みを検出する(ステップS1)。その後は、上述した整列動作を行い(ステップS2)、次いで、バーコードリーダ78が券面のバーコードの読取りを開始する(ステップS3)。このバーコードから、券種が正しいと判断されると(ステップS4)、券は検出機D12をオンし(ステップS5)、その後券面に磁気的に券情報が記録される(ステップS7)。これは、磁気書込ヘッド741による。
【0046】更に、検出機D13がオンすると(ステップS8)、今度は書込まれた磁気情報が読取ヘッド742により読取られる(ステップS10)。ここで、磁気データが正常か否かが判断される(ステップS11)。検出機D11がオンからオフに切替わると、モータM1がオフし搬送を停止する。尚、上記ステップS5,S8,S12のいずれにおいても、先に図17において説明したジャム検出のためのタイムアラームが動作する(ステップS6,S9,S13)。又、上記ステップS4において、券種が異なると判断された場合、及びステップS11において磁気データが異常と判断された場合は、いずれも券が排出され処理を終了する(ステップS15)。
【0047】図20は、券面印字動作フローチャートである。券面印字を行う場合、まずソレノイドMG7が動作し、ブレードB4により券の搬送方向を切り替える(ステップS1)。そして、モータM1が、オンし、今度は逆方向(時計方向)の回転を開始する。こうして、券の印字部90への搬送を開始する(ステップS2)。券が印字部90に向かうと検出機D15がオンし、印字部90への進入を検出する。
【0048】次に、一定時間後、券面への印字開始のために、いったん、モータM1がオフし一時停止する(ステップS4)。そして、ソレノイドMG4が動作し印字ヘッド94をプラテン93上の券に押し付ける(ステップS5)。その後、再びモータM1がオンし、搬送が再開され(ステップS6)、券面への印字が開始される(ステップS7)。この場合、プラテン93が回転し、又インクリボン91の巻取りモータM2等も回転する。
【0049】検出機D15がオンからオフに切替わると(ステップS8)、印字終了を検知し、ソレノイドMG7がブレードB4を切換、印字ヘッド94を押し付けていたソレノイドMG4がオフする(ステップS9)。印字を終了した券は、排出ローラ95により排出され、検出機D16がオンからオフに切替わると排出が完了する。このようにして、上記券収納部72から繰り出された券面に磁気的な記録及び印字を行い、券排出部76に排出する。一方、オペレータが券受入れ部77から券を挿入した場合には、次のような動作が行われる。
【0050】図21は券吸入動作フローチャートである。図において発券命令が出されると(ステップS1)、図9に示す操作パネル64に券挿入案内表示がなされる(ステップS2)。オペレータがこれに従って券を挿入すると検出機D17がオンし(ステップS3)、ソレノイドMG5がオンして、ストッパ89が退避する(ステップS4)。フィードローラ99は、券の吸入を開始し、モータM1がオンして搬送動作を開始する。又、ソレノイドMG6がオンし、ブレードの方向を切換え、券をドラム96外周に導く。その後、図19に示した券への磁気記録と図20に示した券面印字が続いて行われる。
【0051】一方、発行済の券が券受入れ部77から挿入された場合、その当初の動作は、図21に示したフローチャートの通りとなる。図22はその後の無効処理動作フローチャートである。その券がドラム96に巻込まれると、上述した整列動作を行い(ステップS1)、次いで読取ヘッド742を用いて磁気データの読取り照合が行われる。この場合ヘッドセンサD13がオンするまで券が搬送される(ステップS2)。そして、ステップS3において、ドラム96が更にそのまま順方向に回転を続けて、書込ヘッド741による磁気データの取消処理と読取ヘッド742による読取り確認が行われる。その後検出機D11がオンからオフに切替わると(ステップS4)、モータM1が券の搬送を停止する(ステップS5)。
【0052】このようにして、ドラム96上に巻込まれた発行済の券は磁気的に無効処理が行われ、再びモータM1が逆転してその券は印字部90に送り込まれる。この送り込み動作は、図20に示したものと同様である。券の無効処理にあたっては、図20のステップS7において、券面に廃券であることを表わす所定の文字が印字される。図23に廃券収納動作フローチャートを示す。印字部90での廃券印字が終了すると(ステップS1)、今度は排出ローラ95が逆転し、券を再び装置内に送り込み、ドラム96の外周に巻付ける(ステップS2)。
【0053】そして、券の終端が検出機D11を通過したことを検出すると、ドラム96が逆転し(ステップS3)、今度は券を券収納部の一つ、例えば券収納部73方向に搬送する。ブレードB3はその場合に券を券収納部方向に案内する。これは図16(c)で既に説明したとおりである。この場合、フィードローラ86がモータM4により逆転し、廃券は券収納部73に収納される。これにより、オペレータは、券排出部76から誤って廃券を取り出す心配がなくなる。
【0054】尚、上記実施例では、整列手段として、テーパ状のアライナローラを用いたが、これに限定されるものではなく、券の走行によって、券を基準面方向に整列させる機構であれば、他の構成であってもよい。図24は、その整列手段の他の例を示す図である。この例は、券9の端面を、該券9への接触部が断面U字形となった弾性部材からなるアライナローラ106で基準面方向に押圧するようにしたものである。
【0055】また、上記第2実施例では監視手段105を設けたものを示したが、第1実施例の場合と同様、監視手段105を省き、磁気ヘッド開放機構MG8と整列手段104のみを備えたものであってもよい。更に、券類収納手段の数はいくつあってもさしつかえなく、また、そのどれを廃券収納に使用してもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気書込・読取装置によれば、磁気ヘッドの券への圧接状態を一旦開放し、ドラムの外周面に巻き付けられた券を、ドラムの軸方向一端側に設けられたフランジ部を基準面として、基準位置に対して整列させ、券に設けられた磁気ストライプと磁気ヘッドとの位置決めを行うようにしたので、磁気ストライプの磁気情報の書込・読取処理を高い精度で行うことができる。また、監視手段を備えて、所定の基準位置に整列されたかを監視するため、更に磁気書込・読取処理を高精度で行うことができる。また、上記構成の磁気書込・読取装置は、券種が異なる等、券の外形寸法にばらつきのある場合でも正確に磁気情報の書込・読取が行えるため、動作の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気書込・読取装置の斜視図である。
【図2】従来装置の断面図である。
【図3】従来装置の要部斜視図である。
【図4】図2のブレード作用説明図である。
【図5】本発明の装置の断面図である。
【図6】整列手段の動作説明図である。
【図7】他の実施例の構成図である。
【図8】本発明の装置の第2実施例ブロック図である。
【図9】本発明の装置の外観斜視図である。
【図10】本発明の装置の第2実施例の断面図である。
【図11】券選択機構概略図である。
【図12】券の有無検出機構説明図である。
【図13】券繰り出し機構説明図である。
【図14】繰り出された券の判別法説明図である。
【図15】本発明の装置の第2実施例の要部平面図である。
【図16】ドラムの動作説明図である。
【図17】券繰り出し動作フローチャートである。
【図18】券の整列動作フローチャートである。
【図19】券への磁気記録動作フローチャートである。
【図20】券面印字動作フローチャートである。
【図21】券吸入動作フローチャートである。
【図22】無効処理動作フローチャートである。
【図23】廃券収納動作フローチャートである。
【図24】他の整列手段の説明図である。
【符号の説明】
2、77 券受入れ部
3、76 券排出部
4、71、72、73 券収納部
5、75 券印字部
8 走行ガイド
9 券
15、742 読取ヘッド
16、741 書込ヘッド
96a フランジ部
101、104 整列手段
102 磁気ヘッド開放機構
103、105 監視手段
MG8 ソレノイド(磁気ヘッド開放機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 券に予め磁気ストライプが付与され、かつ、該券の搬送路に磁気情報の書き込み、読み取りを行う磁気ヘッドを設け、前記磁気ヘッドを前記券に圧接して該券の磁気ストライプの読み書きを行う磁気書込・読取装置において、前記券への前記磁気ヘッドの圧接状態を開放する磁気ヘッド開放機構と、前記磁気ヘッド開放機構により磁気ヘッドへの圧接状態を開放し、ドラムの外周面に巻き付けられた券を、ドラムの軸方向一端側に設けられたフランジ部を基準面として、基準面方向に押圧して整列させる整列手段と、前記整列手段を動作させ、前記整列動作を繰り返し、この券が所定の位置となるまで前記券の位置を監視する監視手段を備えたことを特徴とする磁気書込・読取装置。

【請求項2】 請求項1において、
整列手段は、前記券が基準面方向に押圧されるとき、前記ドラムを複数回回動させて整列動作を行うことを特徴とする磁気書込・読取装置。
【請求項3】 請求項2において、
整列手段は、券を基準面方向に押圧するテーパ状のアライナローラから成ることを特徴とする磁気書込・読取装置。

【図1】
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【図4】
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【図13】
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【図3】
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【図2】
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【図6】
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【図12】
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【図23】
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【図7】
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【図14】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図24】
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【図22】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【特許番号】第2787518号
【登録日】平成10年(1998)6月5日
【発行日】平成10年(1998)8月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−242760
【出願日】平成3年(1991)8月28日
【公開番号】特開平5−58514
【公開日】平成5年(1993)3月9日
【審査請求日】平成7年(1995)2月28日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【参考文献】
【文献】特開 平1−247354(JP,A)
【文献】特開 昭61−18652(JP,A)