説明

磁気検出器用のコイル機構

試料画室(1)と、コイル(2)と、試料画室(1)に置かれた試料入りの試料容器を機械的に操作するためのアーム(3)とを備える装置が記載される。コイル(2)は試料画室(1)を取り囲み、試料画室(1)は、試料容器を挿入したり、取り出したりするための開口(4)を有する。本発明に係る装置を用いて、透磁率、比透磁率又は比磁化率を検出するための方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透磁率(μ)か、或いは比透磁率(μr)を測定するために使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫測定法に基づく診断機器の年間の世界市場は、この数十年間で大きく成長している。免疫測定法が成功している主な理由は、この方法が普遍的で、且つ化学分析の様々な課題に容易に対応できることである。種々のタイプの検出技術を免疫測定法と組み合わせて用いることにより、数多くの重要な化学物質を同定し、定量化することが可能となっている。物理的な測定原理に応じて、各タイプの検出器が適する分析課題のタイプは異なる。免疫測定法の導入後、いくつかの検出器が提案され、優れた性能データを示している。あるタイプの検出器は、検出の基礎として透磁率を用いる。かかる検出器は、特許文献1及び特許文献2に記載されており、免疫測定法技術を用いた物質の迅速且つ容易な同定を可能とする。この測定は、試料を特別な測定用コイル内に置くことによって実施され、このコイルのインダクタンスが測定されたうえ、それとは別個の、空気で満たされた基準コイルと比較される。このタイプの装置は試料の透磁率を測定することが可能だが、しかしながら、温度に依存するドリフトによって検出器の感度が制限されるという欠点を有する。温度ドリフトは、試料温度の変化と、測定用コイル及び基準コイルの温度が実際の測定プロセスによって異なる影響を受けることとによって引き起こされる。
【0003】
本発明は、透磁率か、或いは比透磁率の測定における温度依存性ドリフトの問題を、新規の効果的な方法で解決する。さらに、本発明は、いくつかの連続した自動測定の平均値に基づく測定データを得ることが可能であり、先行技術の手法と比較して性能が向上する。
【0004】
他の先行技術の手法としては、特許文献3に係る一体化した二重コイルを有する試料画室に基づく装置が含まれる。しかしながら、この装置は、自動化された方法で試料容器を機械的に操作して性能を向上させることのできるアームは備えていない。加えて、この装置は2つのコイルの使用に基づき、それらの温度は同じように変化するため、従ってそれらの特性を一致(調和)させなければならない。本発明は、試料容器を挿入したり、取り出したりするときに特性が変化するコイルに基づくため、コイルの温度は一定に保たれる。
【0005】
磁気免疫測定法(Magnetoimmunoassay)は、1種又は複数の磁性試薬と液体とを含む試料容器に試料が提供され、その容器が、分析物の濃度を読み取る計器に置かれるという原理に基づく。(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。
【0006】
上述の文献、すなわち、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び非特許文献3には、先行技術の装置及び方法が記載され、それらは、測定用コイル内に置かれた試料について、透磁率の検出を用いて定量的な化学分析を行うものである。しかしながら、前記装置及び方法は、試料容器の測定用装置に基づく可動式のコイル機構は備えていない。
【0007】
他の先行技術の手法はまた、液体クロマトグラフィー用のフロー検出器も含み、これは、NMR、すなわち核磁気共鳴の測定に基づく(非特許文献4)。しかしながら、この検出器は透磁率を測定しない。透磁率は、NMRとは逆に、物質における原子核の外側に由来する巨視的特性である。加えて、この装置は、本発明に係る可動式のコイル機構を備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】スウェーデン国特許第9502902−1号明細書
【特許文献2】米国特許第6 110 660号明細書
【特許文献3】スウェーデン国特許第524168号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Krizら、Analytical Chemistry 68、1966頁(1996年)
【非特許文献2】Krizら、Biosensors & Bioelectronics 13、817頁(1998年)
【非特許文献3】Larsson K.らAnalusis 27、78頁、1999年
【非特許文献4】Spraul M.ら NMR Biomed 7、295−303頁、1994年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は装置に関し、この装置は、コイル(2)によって取り囲まれた試料画室(1)を備え、コイル(2)は、コイルのインダクタンスを測定する電気測定回路に接続されることを特徴とし、及びこの装置はさらに、前記試料画室(1)に置かれた試料入りの試料容器を機械的に操作するためのアーム(3)を備え、前記試料画室(1)は、前記試料容器を挿入したり、取り出したりするための開口(4)を有することを特徴とする。
【0011】
試料容器は、機械的操作によってコイルに出し入れされ、これはつまり、コイルのインダクタンスが直ちに影響を受けることを意味する。試料容器及び計器ドリフトによって引き起こされるコイルの温度変化は、時定数が10〜100秒の緩慢な過程であるため、コイルのインダクタンスの測定に対する温度ドリフトの影響は、試料容器の挿入前及び挿入後に測定されたインダクタンスの値を減算することによって取り除かれ得る。本装置は、有利には、機械的操作を制御し、且つ得られたインダクタンスの差を計算するソフトウェアを有するマイクロプロセッサを導入することにより自動化され得る。前記マイクロプロセッサは、同一の試料容器に対する複数回の測定の平均値を計算することができ、これにより測定の精度が向上する。本装置は、前記試料画室に置かれた試料容器中の化学物質の内容を定性的及び定量的に分析することができる。
【0012】
本発明はまた、様々なタイプの工業プロセス制御、品質管理、研究及び実験室作業において、本発明に係る装置を用いて、グルコース、C反応性タンパク質(CRP及びhsCRP)、アルブミン、シスタチンC、ヘモグロビン(Hb及びHbA1C)、ミオグロビン、トロポニン(I及びT)、CK−MB、クレアチンキナーゼ(CK)、D−ダイマー、BNP、proBNP、NT−proBNP、プロトロンビン、APTT、HCG、LH、FSH、PSA、TSH、T3、T4、AFP、CEA、リポタンパク質(LDL及びHDL)、トリグリセリド、コレステロール、抗体、A群レンサ球菌(Streptococcus A)、ヘリコバクター・ピロリ(Heliobacter Pylori)、サルモネラ(Salmonella)、クラミジア(Chlamydia)、ジアルジア(Giardia)、コレラ、肝炎(A型、B型及びC型)アデノウイルス、ロタウイルス、タンパク質、ホルモン、補足因子、血液凝固因子、細胞−リガンド相互作用、細胞間相互作用、血小板凝集能、細菌、細胞、ウイルス、真菌、酵母、芽胞、ファージ、細胞、細胞小器官、DNA、RNAの定性分析及びそれぞれの定量分析を行う方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る装置を(試料画室(1)の中心に沿った断面で)示し、これは、試料画室(1)と、コイル(2)と、試料画室(1)に置かれた試料入りの試料容器を機械的に操作するためのアーム(3)とを有し、前記コイル(2)は前記試料画室(1)を取り囲み、及び前記試料画室(1)は、前記試料容器を挿入したり、取り出したりするための開口(4)を有する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一態様によれば、本装置は、前記試料画室(1)が、前記アーム(3)を挿入するための第2の開口(5)を有し、及び挿入されたアーム(3)がプランジャの形態を有して前記試料画室(1)内を前進したり、後退したりすることができ、従って前記試料容器が試料画室(1)に置かれたときに、前記試料容器を機械的に動かすことができることを特徴とする。
【0015】
さらなる態様によれば、本装置は、アーム(3)が0.999<μr<1.001の範囲の比透磁率を有する材料で作製されることを特徴とし、それにより、アームがコイル測定を磁気的に妨害しないという利点が得られる。かかる材料の例は、Delrin、POM、ポリ塩化ビニル、Teflon(登録商標)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリマー、木材、ガラス又は金属である。
【0016】
別の態様によれば、本装置は、前記アーム(3)が、前記試料画室(1)の外側を取り囲む円筒の形態を有し、及び前記アーム(3)が前記試料画室(1)に沿って前進したり、後退したりすることができ、従って前記試料容器が試料画室(1)に置かれたときに、試料容器から突出するカラー又は凹部を介して前記試料容器を機械的に動かすことができることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様によれば、本装置は、前記アーム(3)が、円筒、又は管、又はロッド、又はワイヤ、又はバーの形態を有して前記試料容器のキャップを上から把持し、前記試料容器を前進させたり、後退させたりすることができ、従って前記試料画室(1)にある前記試料容器を機械的に動かすことができることを特徴とする。前記キャップは、プラグ又は試料容器の突出しているカラー若しくは凹部であってもよい。
【0018】
さらなる態様によれば、本装置は、前記アーム(3)が前記試料容器を前記試料画室(1)から押し出すことのみ行い、前記試料容器の復帰は重力によって起こるか、或いは前記復帰はばねの及ぼす力によって起こることを特徴とする。ばねは、圧縮ばね又は引張ばねのタイプであってよい。ばねはまた、アーム(3)又はジョイント(7)の動きに作用するよう、それと接続されてもよい。
【0019】
さらに別の態様によれば、本装置は、前記アーム(3)の動きが可逆モータ(6)によって制御され、その可逆モータ(6)にアームは、直接、又はジョイント(7)を介して取り付けられ、可逆モータ(6)は、マイクロプロセッサのソフトウェアによるか、又は独立したデジタル式若しくはアナログ式の制御電子回路によって制御可能であることを特徴とする。代替的実施形態では、モータが非可逆モータに置き換えられ、及び復帰の動きは(アーム若しくは試料容器の重量による)重力運動によるか、圧縮ばね若しくは引張ばねに蓄積されたエネルギーによって生じる。さらなる代替的実施形態では、モータが電磁石に置き換えられる。
【0020】
本発明の一態様によれば、本装置は、マイクロプロセッサ制御の電子測定回路を備え、これが、前記試料画室(1)にある前記試料容器の前記機械的な動きにおいて生じる前記コイル(2)のインダクタンスの変化を自動的に測定することを特徴とする。電子測定回路の設計は当業者により様々な方法で行われてよく、本願の範囲外である。そうした設計のあるものは交流ブリッジに基づき、本願に挙げられている参考文献に記載されている。既に確立されている標準的なマイクロプロセッサの接続(PIC 16F876など)が利用可能であり、そこでは、マイクロプロセッサの内蔵アナログ・デジタル(AD)変換器が、マイクロプロセッサの出力ピンの1つ又は複数(例えば、製造業者の米国Microchipによって定められたPIC 16F876のデータシートによれば、出力B0及びB1)によって、測定されたインダクタンス値を収集するための電子測定回路に接続され得る。
【0021】
様々な製造業者の幅広くそろったマイクロプロセッサが市販されている。
本発明の一態様によれば、本装置は、光学式バーコードリーダ(8)を備え、それにより、試料容器に配置されたバーコードを、前記機械的な動きを通じて自動的に読み取ることができることを特徴とする。バーコードリーダとしては、市販されている一次元及び二次元タイプの光学式リーダを利用することができる。試料容器は直線的に動かされるため、固定的な非走査型の光学素子の検出器を用いることにより、バーコード又は他の何らかのタイプの光と相互作用するマークを読み取ってもよい。試料容器上にバーコード又は他の何らかのタイプの光と相互作用するマークを用いることにより、看護及び工業における測定の品質が確保及び保証される。
【0022】
本発明の一態様によれば、本装置は、前記コイル(2)が、そこに空気が充満しているとき、0.01μH〜10mHの範囲のインダクタンスを有し、前記試料画室(1)が0.1〜5000μlの範囲の画室容積を有し、及び試料画室(1)を作製する材料が、0.999<μr<1.001の、Delrin、POM、ポリ塩化ビニル、Teflon(登録商標)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリマー、木材、ガラス又は金属であることを特徴とする。
【0023】
さらに別の態様によれば、本装置は、電子回路を備え、その出力信号が、コイル(2)のインダクタンスと、0.9<μr<10の範囲の、試料画室に提供された試料(溶液若しくは懸濁液又は沈殿層)の比透磁率(μr)とに比例することを特徴とする。
【0024】
さらなる態様によれば、本装置は、2つ以上の同一の本願に係るコイル機構設計を備え、複数の試料容器を同時に検出することを特徴とする。
別の態様によれば、本発明に係る装置は、吸光度、発光、溶存ガス、イオン含有量及び導電率を測定するための補足的な先行技術の物理的測定技術を備えることを特徴とする。
【0025】
有利には、本発明に係る装置を用いて、前記試料容器に入れられた様々な化学物質の透磁率μか、或いは比透磁率μr(0.9<μr<10の範囲)か、或いは比磁化率(μr−1)を検出し得る。
【0026】
有利には、本発明に係る装置を用いて、前記機械的な動きを各試料容器について2回以上行い得る。これは、前記機械的な動きにおいて生じる前記コイルのインダクタンスの変化に関連した平均値及び/又は標準偏差を、前記マイクロプロセッサに計算させることを目的としており、前記変化は、前記試料容器中の前記試料の比透磁率に比例する。
【0027】
当業者には、本発明の趣旨を変更することなく、図1に示される寸法の指示を容易に10倍増減して変化させ得ることは明らかである。さらに、基本的な機能原理を変更することなく、図の様々な寸法の関係を変更してもよい。かかる修正は全て、本発明の範囲内にあると見なされる。
【0028】
有利には、本発明に係る装置を用いて、前記機械的な動きをユーザとの種々の形での通信に利用してもよく、これは、
前記試料容器を試料画室(1)から永久的に押し出しておくことにより、測定が完了したことをユーザに知らせ、前記試料容器が前記試料画室(1)に再び置かれると、それは、新規の測定を開始せよとのユーザからの装置に対する指示であり、
前記試料容器が前記機械的な動きにかけられているときは、計器が測定を行っている最中であることをユーザに知らせるものであり、ユーザが前記試料容器を試料画室(1)から取り出し、それを戻すまでの取り扱い時間を確認して、長く取り扱い過ぎたことで測定が妨げられているかどうかについて報知する。
【0029】
有利には、本発明に係る装置を用いて、μr>1の化学物質を検出し得る。
有利には、本発明に係る装置を用いて、磁性マーカーとの相互作用により、血液、血漿、尿、汗、涙液、リンパ、髄液及び糞便などの様々なタイプの体液中の、グルコース、C反応性タンパク質(CRP及びhsCRP)、アルブミン、シスタチンC、ヘモグロビン(Hb及びHbA1C)、ミオグロビン、トロポニン(I及びT)、CK−MB、クレアチンキナーゼ(CK)、D−ダイマー、BNP、proBNP、NT−proBNP、プロトロンビン、APTT、HCG、LH、FSH、PSA、TSH、T3、T4、AFP、CEA、リポタンパク質(LDL及びHDL)、トリグリセリド、コレステロール、抗体、A群レンサ球菌(Streptococcus A)、ヘリコバクター・ピロリ(Heliobacter Pylori)、サルモネラ(Salmonella)、クラミジア(Chlamydia)、ジアルジア(Giardia)、コレラ、肝炎(A型、B型及びC型)アデノウイルス、ロタウイルス、タンパク質、ホルモン、補足因子、血液凝固因子、細胞−リガンド相互作用、細胞間相互作用、血小板凝集能、細菌、細胞、ウイルス、真菌、酵母、芽胞、ファージ、細胞、細胞小器官、DNA、RNAについて、定性的な、及びそれぞれの定量的なニアペイシャント分析を行い得る。
【0030】
有利には、目的に関わらず、本発明に係る装置を用いて、試料容器温度が変化する状況下で、温度に起因するドリフトの影響を排除し得るか、又は大幅に小さく抑え得る。
図1は、本発明に係る装置を示す(縮尺1:1)。図1に係る装置は、Delrinプラスチック製の試料画室(1)と、直径0.2mmの50ループの巻回された銅ワイヤ(エナメル加工)からなるコイル(2)と、前記試料画室(1)に置かれた試料入りの試料容器を機械的に操作するためのDelrinプラスチック製のアーム(3)とを備え、前記コイル(2)は前記試料画室(1)を取り囲み、及び前記試料画室(1)は、前記試料容器を挿入したり、取り出したりするための開口(4)を有する。試料画室(1)は、前記アーム(3)を挿入するための第2の開口(5)を有し、及び挿入されるアーム(3)はプランジャの形態を有して試料画室(1)内を前進したり、後退したりすることができ、従って前記試料容器が試料画室(1)に置かれたときに、前記試料容器を機械的に動かすことができる。アーム(3)はDelrinプラスチック製のジョイント(7)に接続され、ジョイント(7)は、6ボルトのシフトダウンされた(43:1、52rpm)可逆直流モータに取り付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料画室(1)と、コイル(2)と、前記試料画室(1)に置かれた試料入りの試料容器を機械的に操作するためのアーム(3)とを備え、前記コイル(2)が前記試料画室(1)を取り囲み、前記試料画室(1)が、前記試料容器を挿入したり、取り出したりするための開口(4)を有することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記アーム(3)が、0.999<μr<1.001の範囲の比透磁率を有する材料で作製されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試料画室(1)が、前記アーム(3)を挿入するための第2の開口(5)を有し、前記挿入されるアーム(3)がプランジャの形態を有して前記試料画室(1)内で前進したり、後退したりすることができ、従って前記試料容器が前記試料画室(1)に置かれたときに、前記試料容器を機械的に動かすことができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記アーム(3)が、前記試料画室(1)の外側を取り囲む円筒の形態を有し、及び前記アーム(3)が前記試料画室(1)に沿って前進したり、後退したりすることができ、従って前記試料容器が前記試料画室(1)に置かれたときに、前記試料容器から突出するカラー又は凹部を介して前記試料容器を機械的に動かすことができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記アーム(3)が、円筒、又は管、又はロッド、又はワイヤ、又はバーの形態を有して前記試料容器のキャップを上から把持し、前記試料容器を前進させたり、後退させたりすることができ、従って前記試料画室(1)にある前記試料容器を機械的に動かすことができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記アーム(3)が前記試料容器を前記試料画室(1)から押し出すことのみ行い、前記試料容器の復帰は重力によって起こるか、或いは前記復帰はばねの及ぼす力によって起こることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記アーム(3)の動きが可逆モータ(6)によって制御され、前記可逆モータ(6)に前記アームは、直接、又はジョイント(7)を介して取り付けられ、前記可逆モータ(6)は、マイクロプロセッサのソフトウェアによるか、又は独立したデジタル式又はアナログ式制御電子回路によって制御可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
マイクロプロセッサ制御の電子測定回路を備え、これが、前記試料画室(1)にある前記試料容器の前記機械的操作において生じる前記コイル(2)のインダクタンスの変化を自動的に測定することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
さらに、光学式バーコードリーダ(8)を備え、それにより、前記試料容器に配置されたバーコードを、前記機械的操作を通じて自動的に読み取ることができることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記コイル(2)が、そこに空気が充満しているとき、0.01μH〜10mHの範囲のインダクタンスを有し、前記試料画室(1)が0.1〜5000μlの範囲の画室容積を有し、及び前記試料画室(1)を作製する材料が、0.999<μr<1.001の、Delrin、POM、ポリ塩化ビニル、Teflon(登録商標)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリマー、木材、ガラス又は金属であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置を用いて、前記試料容器に入れられた様々な化学物質の透磁率μか、或いは比透磁率μr(0.9<μr<10の範囲)か、或いは比磁化率(μr−1)を検出する、方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記機械的操作を各試料容器について2回以上行う方法であって、それにより、前記マイクロプロセッサは、前記機械的操作において生じる前記コイルのインダクタンスの変化に関連した平均値及び/又は標準偏差を計算することができ、前記変化は、前記試料容器中の前記試料の比透磁率に比例する、方法。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記機械的操作を用いて、前記ユーザと種々の形で通信する方法であって、
前記試料容器を前記試料画室(1)から永久的に押し出しておくことにより、測定が完了したことを前記ユーザに知らせ、
前記試料容器が前記試料画室(1)に再び置かれると、それは、新規の測定を開始せよとの前記ユーザからの前記装置に対する指示であり、
前記試料容器が前記機械的操作にかけられているときは、前記計器が測定を行っている最中であることを前記ユーザに知らせるものであり、
前記ユーザが前記試料容器を前記試料画室(1)から取り出し、それを戻すまでの取り扱い時間を確認して、長く取り扱い過ぎたことで測定が妨げられているかどうかについて報知する、方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置を用いて、μr>1の化学物質を検出する、方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置を用いて、磁性マーカーとの相互作用により、血液、血漿、尿、汗、涙液、リンパ、髄液及び糞便などの様々なタイプの体液中の、グルコース、C反応性タンパク質(CRP及びhsCRP)、アルブミン、シスタチンC、ヘモグロビン(Hb及びHbA1C)、ミオグロビン、トロポニン(I及びT)、CK−MB、クレアチンキナーゼ(CK)、D−ダイマー、BNP、proBNP、NT−proBNP、プロトロンビン、APTT、HCG、LH、FSH、PSA、TSH、T3、T4、AFP、CEA、リポタンパク質(LDL及びHDL)、トリグリセリド、コレステロール、抗体、A群レンサ球菌(Streptococcus A)、ヘリコバクター・ピロリ(Heliobacter Pylori)、サルモネラ(Salmonella)、クラミジア(Chlamydia)、ジアルジア(Giardia)、コレラ、肝炎(A型、B型及びC型)アデノウイルス、ロタウイルス、タンパク質、ホルモン、補足因子、血液凝固因子、細胞−リガンド相互作用、細胞間相互作用、血小板凝集能、細菌、細胞、ウイルス、真菌、酵母、芽胞、ファージ、細胞、細胞小器官、DNA、RNAについて、定性的な、及びそれぞれの定量的なニアペイシャント分析を行う方法。
【請求項16】
様々なタイプの工業プロセス制御、品質管理、研究及び実験室作業において、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置を用いて、磁性マーカーとの相互作用により、グルコース、C反応性タンパク質(CRP及びhsCRP)、アルブミン、シスタチンC、ヘモグロビン(Hb及びHbA1C)、ミオグロビン、トロポニン(I及びT)、CK−MB、クレアチンキナーゼ(CK)、D−ダイマー、BNP、proBNP、NT−proBNP、プロトロンビン、APTT、HCG、LH、FSH、PSA、TSH、T3、T4、AFP、CEA、リポタンパク質(LDL及びHDL)、トリグリセリド、コレステロール、抗体、A群レンサ球菌(Streptococcus A)、ヘリコバクター・ピロリ(Heliobacter Pylori)、サルモネラ(Salmonella)、クラミジア(Chlamydia)、ジアルジア(Giardia)、コレラ、肝炎(A型、B型及びC型)アデノウイルス、ロタウイルス、タンパク質、ホルモン、補足因子、血液凝固因子、細胞−リガンド相互作用、細胞間相互作用、血小板凝集能、細菌、細胞、ウイルス、真菌、酵母、芽胞、ファージ、細胞、細胞小器官、DNA、RNAの定性分析及びそれぞれの定量分析を行う方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−503607(P2011−503607A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533992(P2010−533992)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051205
【国際公開番号】WO2009/064240
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504341346)ライフアッセイズ・エービー (ピーユービーエル) (2)
【Fターム(参考)】