説明

磁気流体継手装置と方法

流体継手装置と方法について論じる。流体継手装置は、第一継手部材と、第一継手部材に磁気的に係合可能な第二継手部材と、第一継手部材の一部分と第二継手部材の一部分の間に配置された密封部材とを含む。第一継手部材と第二継手部材の磁気的係合は、その間に流体流路を開く。特定の実施例では、第一継手部材は弁部材によって密封され、第二継手部材は駆動部材を含む。係合すると、弁部材は駆動部材によって閉位置から開位置へ移動され、その結果流体流路を開く。第一継手部材と第二継手部材の間の磁力は、所定の流体流路圧力に達した時にそれらの部材が分離するように選ぶことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本明細書では、2006年11月7日出願の米国仮特許出願No. 60/864,749、および2006年12月27日出願の米国仮特許出願No. 60/882,045の優先権の利益を主張し、両出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本特許文献は、概して流体移送用途のための流体継手装置に関連する。より具体的には、本特許文献は磁気流体継手装置と方法に関連するが、限定はされない。
【背景技術】
【0003】
流体移送用途のための流体継手は、一般的に、流体流路を持つソケットと、同様に流体流路を持つプラグとを含む。ソケットは例えば第一流体ラインに取り付けられ、プラグは例えば第二流体ラインに取り付けられる。二つのラインをつなぐためにプラグがソケットに押し込まれ、その後しばらく経って、一つ以上の弁が開かれ、二つのライン間に流体流路を確立する。継手は独立してもよいし、あるいは、プラグもしくはソケットがマニホルドや壁に取り付けられてもよく、あるいは別の方法で装置に固定されてもよい。
【0004】
流体が第一流体ラインと第二流体ラインの間を行き来すると、流体に伴って流体圧力が生じる。流体圧力はプラグとソケットを互いに離れさせようとする傾向がある。このため、通常はロック可能な機械的接続がソケットとプラグの間に作られる。一例として、ソケットとプラグを接続するためにバヨネットマウント(bayonet mount)を使用できる。別の例として、ソケットに接続されたネジスリーブが、プラグ上の嵌合ネジを受ける。そうした構造はしっかりした流体接続を提供するが、スリーブのネジをとめたり外したりするのに充分なトルクを供給するために、相当な接続時間と工具(例えばレンチなど)を必要とする可能性がある。加えて、そのような機械的結合はかさばる傾向があり、かなりの容積を消費したり、あるいは故障したりしやすい。
【発明の概要】
【0005】
本願発明者らはとりわけ、第一の継手部材と第二の継手部材の間で流体接続を完成させるために、組立工具の必要性を省くような、迅速着脱流体継手装置が必要であると認識している。加えて、本願発明者らは、そのような装置は小型で、構造上リークタイト(leak tight)で、頑丈で、使いやすいものであるべきだと認識している。
【0006】
これを目的として、本明細書では、第一と第二の磁気的に係合可能な継手部材を含む流体継手装置と方法について論じる。流体継手装置は、第一継手部材、第二継手部材、およびそれらの間の密封部材を含む。第一継手部材と第二継手部材は、引き付けられる極性を持つ第一磁気部材と第二磁気部材を用いるなど、磁気的に係合可能である。第一継手部材と第二継手部材の係合は、それらの間に流体流路を開く。継手部材が分離されると、この流体流路は密封される。
【0007】
実施例1では、流体継手装置は、第一継手部材と、第一継手部材に磁気的に係合可能な第二継手部材と、第一継手部材の一部分と第二継手部材の一部分の間に配置された密封部材とを含み、第一継手部材と第二継手部材の磁気的係合は、各継手部材の一部分を横断する流体流路を開くために機械力を供給し保持する。
【0008】
実施例2では、磁気的係合は、密封部材に、第一継手部材と第二継手部材の間で流体漏出を防止もしくは削減させるために充分な、第一継手部材と第二継手部材の間の磁力を含むように、実施例の流体継手装置が随意に構成される。
【0009】
実施例3では、磁力は、磁力が打ち消される時に第一継手部材と第二継手部材が分離するように構成されるように、実施例2の流体継手装置が随意に構成される。
【0010】
実施例4では、第一継手部材と第二継手部材の分離は流体流路を密封するように、実施例3の流体継手部材が随意に構成される。
【0011】
実施例5では、第一継手部材は、自身を通る穴を持つ筐体と、穴の中に配置された弁部材および弾性部材(弁部材は弾性部材と可動式に係合する)と、筐体の係合部分に接して、もしくはその付近に配置された磁石もしくは磁気面と、を含むように、実施例1から4のうちの少なくとも一つの流体継手装置が構成される。
【0012】
実施例6では、穴の少なくとも一部分のサイズと形状は、筐体を通る一以上の所定の流速要件を用いて決定されるように、実施例5の流体継手装置が随意に構成される。
【0013】
実施例7では、筐体は弁止めを含み、弾性部材は、第一継手部材が第二継手部材から分離される時に、弁止めに対して弁部材を付勢するように、実施例5から6のうちの少なくとも一つの流体継手装置が随意に構成される。
【0014】
実施例8では、第二継手部材は、第一継手部材の係合部分と相補的なサイズと形状を持つ凹部と、凹部の表面から外側に突出する駆動部材と、凹部に接して、もしくはその付近に配置された磁石もしくは磁気面と、を含むように、実施例1から7のうちの少なくとも一つの流体継手装置が随意に構成される。
【0015】
実施例9では、凹部の深さは約1 mm以下であるように実施例8の流体継手装置が随意に構成される。
【0016】
実施例10では、密封部材は、第一継手部材もしくは第二継手部材のうちの少なくとも一方の一部分と一体であるように、実施例1から9のうちの少なくとも一つの流体継手装置が随意に構成される。
【0017】
実施例11では、第一継手部材は燃料供給源と流体連通し、第二継手部材は燃料電池駆動装置に一体化されるように、実施例1から10のうちの少なくとも一つの流体継手装置が随意に構成される。
【0018】
実施例12では、方法は、第一継手部材と第二継手部材を磁気的に係合するステップと、第一継手部材と第二継手部材の間に密封を確立するステップと、機械力を供給し保持することを含む、第一継手部材と第二継手部材の間に流体流路を開くステップと、流体流路を密封することを含む、第一継手部材と第二継手部材を分離するステップと、を含む。
【0019】
実施例13では、第一継手部材と第二継手部材を磁気的に係合するステップは、流体流路を形成するために、第一継手部材と第二継手部材を協調的に整列させるステップを含むように、実施例12の方法が随意に構成される。
【0020】
実施例14では、第一継手部材と第二継手部材を磁気的に係合するステップは、第一継手部材の一部分に接して配置された磁石と、第二継手部材の磁気面を結合するステップを含むように、実施例12から13のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0021】
実施例15では、第一継手部材と第二継手部材を磁気的に係合するステップは、第一継手部材もしくは第二継手部材のうちの少なくとも一方の極性を誘発するステップを含むように、実施例12から13のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0022】
実施例16では、第一継手部材と第二継手部材を磁気的に係合するステップは、第一継手部材の係合部分と第二継手部材の係合部分を約1 mm未満で重ね合わせるステップを含むように、実施例12から15のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0023】
実施例17では、密封を確立するステップは、第一継手部材の一部分と第二継手部材の一部分の間に配置された密封部材を圧縮するステップを含むように、実施例12から16のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0024】
実施例18では、流体流路を開くステップは、第一継手部材と第二継手部材の磁気的係合の際に、第一継手部材の弁部材を、弾性的に付勢された密封位置から非密封位置へ移動させるステップを含むように、実施例12から17のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0025】
実施例19では、流体流路を開くステップは、第二継手部材の駆動部材の一部分と、第一継手部材の弁部材の一部分とを接触させるステップを含むように、実施例12から18のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0026】
実施例20では、第一継手部材と第二継手部材を分離するステップは、第一継手部材の弁部材を弾性的に付勢された密封位置へ移動させるステップを含むように、実施例12から19のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0027】
実施例21では、第一継手部材と第二継手部材を分離するステップは、所定の流体流路圧力を実現するステップを含むように、実施例12から20のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0028】
実施例22では、第一継手部材と第二継手部材を分離するステップは方向的に独立であるように、実施例12から21のうちの少なくとも一つの方法が随意に構成される。
【0029】
有利なことに、本発明の流体継手装置と方法は、小型で、構造上リークタイトで、頑丈で、使いやすい流体接続を提供する。加えて、本発明の流体継手装置と方法は、容器内もしくは流体流路に沿って所定圧力に達した時、または所定の大きさの不慮の力が外部から係合に加えられた時に、流体供給源と流体受入容器の間の磁気的係合が自動的に分離するように設計することができる。本発明の流体継手装置と方法の、これらの、および他の実施例、利点、および特徴は、以降の「発明を実施するための形態」で部分的に説明され、本発明の流体継手装置と方法についての以降の記載および図面を参照することによって、もしくはそれらを実践することにより、当業者に部分的に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面では、複数の図を通して類似する数字は同様の構成要素を説明する。異なる添え字を持つ類似する数字は、同様の構成要素の異なる例をあらわす。図面は概して、限定ではなく例として、本文献で論じられる様々な実施形態を図示する。
【図1】少なくとも一つの実施形態に従って構成される、第一継手部材と第二継手部材を含む分離された流体継手装置の概略図を図示する。
【図2】少なくとも一つの実施形態に従って構成される、燃料受入容器、燃料供給源、第一継手部材、および第二継手部材を持つ燃料電池駆動装置を含むシステムの概略図を図示する。
【図3】とりわけ、少なくとも一つの実施形態に従って構成される、係合した流体継手装置の断面図を図示し、横断面はそのような装置部分の中心を通って取られている。
【図4】とりわけ、少なくとも一つの実施形態に従って構成される、分離した流体継手装置の断面図を図示し、横断面はそのような装置部分の中心を通って取られている。
【図5】少なくとも一つの実施形態に従って構成される、流体継手装置を使用する方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、第一継手部材102と、第二継手部材104と、それらの部材の間に配置された密封部材110とを含む流体継手装置100を図示する。第一継手部材102と第二継手部材104は、第一継手部材102に接して配置された第一磁気部材106と、第二継手部材104に接する第二磁気部材108によって供給される磁力を介して互いに係合される。第一磁気部材106は、第二磁気部材108の第二極性に引き付けられる第一極性を持つ。第一磁気部材106と第二磁気部材108の極性は永久的であってもよいし、もしくは誘発されてもよい。例えば、第二磁気部材108の第二極性は、永久磁石もしくは誘導磁気効果によって作ることができる。
【0032】
様々な実施例では、第一継手部材102の係合部分112は、第二継手部材104の部分のサイズと形状に相補的なサイズと形状を含むので、それらの部材の係合と整列が容易になる。図3に示し説明するように、第一継手部材102と第二継手部材104との磁気的係合は、それらの部材の間に流体流路302(図3)を開く。第一磁気部材106と第二磁気部材108はそれぞれ、それらの間の磁力が、密封部材110に流体流路302(図3)を流体的に(fluidly)密封させるために充分であるように選ぶことができる。加えて、磁気部材106、108は、流体流路302(図3)の所定圧力に達する時に、第一継手部材102と第二継手部材104が分離するように選ぶことができる。図4に示すように、第一継手部材102と第二継手部材104は、この分離が起こる時に、流体流路302(図3)が同時に密封されるか、もしくはほぼ同時に密封されるように設計することができる。
【0033】
他の流体移送用途の中でも、本発明の流体継手装置100は、燃料供給源などの流体供給源と、燃料電池駆動装置内の燃料受入容器などの流体受入容器との接続において、有用性が見られる。燃料電池は、便利な燃料中に貯蔵されたエネルギーを、燃料を燃やさずに効率的に電気に変換することができる、電気化学的装置である。他の流体の中でも、本発明の流体継手装置100は、メタノール、エタノール、ブタン、ギ酸、一種以上のホウ化水素化合物、カルバゾール、一種以上の炭化水素、一種以上のアルコール、メタン、ヒドラジン水和物、プロパン、アンモニア、水素もしくは任意の他の適切な水素運搬流体、例えば、共有のMcLeanらの米国特許出願No. 11/538,027、表題“HYDROGEN SUPPLIES AND RELATED METHODS”に記載の液体水素担体など、のうちの一つ以上を移送するために使用することができる。各燃料電池は一般的に、負電極、正電極、および適切な容器内の分離器を含む。燃料電池は、各電極で起こる化学反応を利用して動作する。いずれも一般的に正電極、負電極、および電解質を持つ点で、燃料電池はバッテリーと類似する。しかしながら、電池を動作可能に保つために、電池を分解することなく迅速に燃料電池内の燃料を補充することができるという点で、燃料電池はバッテリーと異なる。
【0034】
燃料電池が、可搬式もしくは据え置きの燃料供給源に適合すると便利である。これにより、燃料電池と、ひいては関連する燃料電池駆動装置を動作可能に維持するために、燃料電池駆動装置の、空の、もしくは部分的に空の燃料受入容器を補充することができる。一般的に、可搬式およびその他の燃料電池駆動装置での使用に適した燃料供給源は、中に適切な燃料を貯蔵した貯蔵構造を含む。加えて、これらの燃料供給源は通常、燃料供給源から燃料受入容器への作動可能(actuatable)な流路を提供する継手機構を介して、燃料受入容器に接続可能である。従って、一旦燃料供給源と燃料受入容器が流体的に接続されると、適切な弁が開き、燃料供給貯蔵構造から、燃料電池駆動装置内の燃料受入容器へと、燃料を移送することができる。
【0035】
図2は燃料電池駆動装置の一例を図示し、より具体的には燃料電池を含む携帯電話200を図示する。携帯電話の燃料受入容器202内の燃料供給が枯渇すると、補充もしくは交換のいずれかが必要となる。燃料供給を補充するために、第一継手部材102と第二継手部材104を含む本発明の流体継手装置100を用いて、燃料受入容器202と外部燃料供給源204の間に流体接続を作ることができる。
【0036】
図2の実施例では、第一継手部材102は、共有のMcLeanらの米国特許出願No. 11/538,027、表題“HYDROGEN SUPPLIES AND RELATED METHODS”に記載の水素供給源、共有のZimmermannの米国特許出願No. 11/535,050、表題“METHOD AND APPARATUS FOR REFUELING REVERSIBLE HYDROGEN-STORAGE SYSTEMS”に記載の燃料補給装置、もしくは共有のIaconisらの米国特許出願No. 11/535,052、表題“REFUELING STATION”に記載の燃料補給所などの外部燃料供給源204と流体連通し、第二継手部材104は、共有のZimmermannの米国特許出願No. 11/473,591、表題“FLUID ENCLOSURE AND METHODS RELATED THERETO”に記載の燃料容器などの燃料受入容器202と流体連通する。共有のZimmermannの米国特許出願No. 11/379,970、表題“COMPOSITE HYDROGEN STORAGE MATERIAL AND METHODS RELATED THERETO”に記載の複合水素貯蔵材料などの燃料貯蔵材料を、供給燃料の閉塞と脱着のために燃料受入容器202内に配置することができる。
【0037】
一つ以上の燃料電池によって駆動される携帯電話200が図2に図示されるが、本発明の流体継手装置100は、他の流体移送用途に加えて他の燃料電池駆動装置で使用することもできる。例えば、本発明の流体継手装置100は、衛星電話、ラップトップコンピュータ、コンピュータアクセサリ、ウルトラモバイル計算装置、ディスプレイ、パーソナルオーディオプレーヤーもしくはビデオプレーヤー、医療機器、テレビ、送信機、受信機、照明装置(屋外照明もしくは懐中電灯を含む)、電子玩具、動力工具、または、従来バッテリーもしくは燃料燃焼と共に使用される任意の他の電子装置と使用することができる。
【0038】
図3は係合した流体継手装置100の部分を断面図で図示し、ここで第一継手部材102は第二継手部材104と解放可能なように磁気的に係合する。示すように、第一継手部材102は外部燃料供給源204に流体接続し、第二継手部材104は燃料電池駆動装置200の燃料受入容器202と流体接続する。特定の実施例では、第一継手部材102と第二継手部材104の係合は、外部燃料供給源204と燃料受入容器202の間にのびる流体流路302を、同時にもしくはほぼ同時に開く。同様に、図4に示すように、第一継手部材102と第二継手部材104の分離はそれぞれ、同時にもしくはほぼ同時に流体流路302を密封することができる。
【0039】
この実施例では、第一継手部材102と第二継手部材104の間の磁気的係合は、一つ以上の磁石などの一つ以上の第一磁気部材106と、一つ以上の磁気面などの一つ以上の第二磁気部材108を用いて確立される。一つ以上の第一磁気部材106と一つ以上の第二磁気部材108の間の磁気引力は、継手部材102および104の間に配置された任意の(複数の)密封部材110を圧縮するために流体継手装置100が充分強くなるように、さらに、燃料受入容器202の内圧もしくは流体流路302の圧力が所定の圧力に達する時に分離するように、設計することができる。例えば、磁気引力は、燃料受入容器202の圧力が例えば55℃で約300 psig(2.07 MPa)から725 psig(5 MPa)に達する時に、第一継手部材102と第二継手部材104がそれぞれ分離するように設計することができる。加えて、一つ以上の第一磁気部材106と一つ以上の第二磁気部材108の間の磁気引力は、例えば燃料補給動作中に起こる偶発的事象の発生によって分離するように設計することができる。例えば、誰かが燃料供給源204に付随する燃料補給ホースにつまずいたり転んだりする場合に、燃料電池駆動装置200が支持面から外れる前に磁気継手100が分離するように、磁気引力を設計することができる。
【0040】
図4は分離した流体継手装置100の部分を断面図で図示し、ここで第一継手部材102は第二継手部材104から離れているが、磁気的に係合可能である。この実施例では、第一継手部材102は筐体406と、弁部材408と、密封部材110と、一つ以上の第一磁気部材106とを含む。筐体406は自身を通る穴410を持ち、流体継手装置100が係合する時(図3参照)、流体流路302(図3)が、第一筐体部分に接する燃料供給源204から、第二筐体部分に接する係合部分112(係合ノズルなど)へのびるようになっている。穴410のサイズもしくは形状は、所望の流速要件および特定の継手装置の対象用途によって導くことができる。例えば穴410は、様々なサイズの円形断面、楕円形断面、矩形断面などを持つことができる。
【0041】
流体継手装置100が係合する時、第一継手部材102の係合部分112と第二継手部材104の凹部404の間を密封するために、Oリングもしくは他の密封部材110を筐体406の第二部分に接して、もしくはその付近に配置することができる。その代わりに、もしくはそれに加えて、密封部材110を第二継手部材104の部分に接して配置することができ、例えば凹部404の壁に接して、または、中空の、もしくはその他の方法で構成された、凹部404の表面から突出する駆動部材420の部分に接して配置することができる。係合を密封することによって、密封部材110は燃料供給源204から燃料受入容器202へ移送される燃料の漏出を防ぐ。燃料漏出の防止は、有害物質への暴露、大気中での引火性混合物の生成、もしくは環境汚染の原因といった、起こり得る安全上の問題を防ぐために重要である。一つ以上の第一磁気部材106は、第二継手部材104と係合するために、筐体406の係合部分112の付近に配置することもでき、またいくつかの実施例では、トロイダル形を持つ磁石を含む。
【0042】
弁部材408と弾性部材414(例えばコイルバネ)が穴410の中に配置され、概して、第一継手部材102を通る流体の流れを制御するために機能する。特定の実施例では、弁部材408は、密封位置(図示)と開放もしくは非密封位置(図3参照)の間で、穴410の軸にほぼ沿って移動する。密封位置では、弁部材408の部分は筐体406の弁止め412に支えられ、内側末端付近の弁内腔は筐体によって囲まれ得る。弁部材408を弁止め412に対して隣接したままにするために、弾性部材414が付勢される。このようにして、第一継手部材102を通る流体の流れは、弾性部材414の力に反作用する別の力が加わらない限り妨げられる。非密封位置では、弁部材の周囲からのびる弁内腔が露出され、流体が弁を通って第二継手部材104へと入ることが可能になる。弁部材408が非密封位置にある時に、第一継手部材102を通って第二継手部材104へと流体が流れるようにするために、他の流体バイパス(by-passing)配置を代わりに使用することができる。
【0043】
この実施例では、第二継手部材104は一つ以上の第二磁気部材108と、密封部材110に対して隣接するように設計された密封表面418と、中空の駆動部材420と、装置の燃料受入容器202への燃料接続450と、凹部404とを含む。加えて、圧縮された燃料が内部の燃料受入容器202へ流れることはできても、燃料接続450を介して燃料受入容器202から漏れないことを確実にするために、圧力駆動一方向弁を第二継手部材104に含めることができる。特定の実施例では、変更してもよいが、凹部404は約1 mm以下の深さを含み、それによって、燃料電池駆動装置200内で大きな空間を必要としない継手様式が提供される。
【0044】
示すように、駆動部材420は凹部404の表面から外側に突出し、第一継手部材102が第二継手部材104に係合する時、その部分が弁部材408の部分に接触するようになっている。特定の実施例では、駆動部材420はいかなる隙間もなく弁部材408と密に接触するように構成されたサイズと形状を含み、第一継手部材102が第二継手部材104と磁気的に係合する時、それらの構成部品が互いに整列するようになっている。示すように、駆動部材420と弁部材408は平らな合わせ面を含むことができる。他の実施例では、駆動部材420は球状の凸面を含むことができ、一方弁部材408は凸面に相補的な凹面を含む。
【0045】
図3に関連して上述したように、第一継手部材102と第二継手部材104はそれぞれ、一つ以上の第一磁気部材106と一つ以上の第二磁気部材108の引き付けられる極性を用いて互いに係合することができる。その結果、第一継手部材102が第二継手部材104の付近に位置するとき、(複数の)第一磁気部材106は(複数の)第二磁気部材108に引き付けられるので、第一継手部材102の係合部分112が第二継手部材104の凹部404内に係合される。そしてこれは、第一継手部材102に接するOリングもしくは他の密封部材110を、第二継手部材104に接する密封表面418に対して圧縮し、駆動部材420が、弁部材408を弁座412から離れた位置へ作動させるようにする。弁部材408が開放位置にある時、燃料供給源204からの燃料を、燃料電池駆動装置200の内部燃料受入容器202へ流すことができる。
【0046】
一般的に、筐体406、弁部材408、駆動部材420、および第一継手部材102と第二継手部材104の他の構成部品は、金属、ポリマー、もしくはその組み合わせなどの、流体移送用途での使用に適した任意の材料を含むことができる。密封部材110は、天然ゴムもしくは合成ゴム、または弾性ポリマーなどの材料を含むことができる。弾性部材414は任意の適切なデザインの弾性バネ、弾性材料などを含むことができる。
【0047】
図5は、流体継手装置を使用する方法500を図示する。502では、第一継手部材と第二継手部材が磁気的に係合される。この係合は例えば、第一継手部材に接して配置された磁石と、第二継手部材の磁気面の間の磁気的係合を含むことができる。特定の実施例では、この係合は、第一継手部材の係合部分を第二継手部材の凹部内に挿入する(約1 mm以下で挿入するなど)ことを含む。
【0048】
504では、第一継手部材と第二継手部材の間に密封が確立される。特定の実施例では、この密封は、第一継手部材の係合部分と第二継手部材の密封表面の間の密封部材の圧縮を含む。他の実施例では、この密封は、第一継手部材の係合部分と第二継手部材の駆動部材の間の密封部材の圧縮を含む。506では、弁部材を弾性的に付勢された密封位置から非密封位置へ移動することによって、第一継手部材と第二継手部材の間の流体流路が開かれる。異なる実施例では、凹部の表面から突出する駆動部材との接触によって弁部材が移動される。508では、第一継手部材と第二継手部材が分離され、流体流路が密封される。
【0049】
第二継手部材に磁気的に係合する第一継手部材を利用する流体継手装置と方法について論じてきた。第一継手部材と第二継手部材を係合するために磁力を用いることは、例えば流体受入容器の補充を極めて容易にし、流体受入容器が充満した時、もしくは補充システム(例えば燃料補給ホース)の一部分に不慮の力がかかった時に、分離することができる。図示の通り、本発明の流体継手装置は、特定の実施例では、第一継手部材と第二継手部材が係合した時に流体流路の開放を同時に可能にし、継手部材が分離した時に流体流路の密封を同時に可能にする。
【0050】
上記の「発明を実施するための形態」は、その一部をなす添付の図面への参照を含む。図面は例示を目的として、本発明が実践され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は本明細書では“実施例”とも称される。本明細書で引用された全ての出版物、特許、および特許文献は、引用により個別に組み込まれるかのように、引用によりその全容が本明細書に組み込まれる。そのように引用により組み込まれたこれらの文献と本明細書との間で用法の不一致がある場合は、組み込まれた(複数の)引用文献での用法は、本明細書の用法の補助的なものとみなされるべきである。つまり、相容れない不一致がある場合は、本明細書での用法を採用する。
【0051】
本明細書で使用される、もしくは組み込まれる“a”もしくは“an”という用語は、特許文献でよく見られるように、“少なくとも一つ”もしくは“一つ以上”といういかなる他の事例もしくは用法とは独立して、一つもしくは一つよりも多くを含むように使用される。本明細書に組み込まれて使用されるように、“or”という用語は、他に指定のない限り、“AもしくはB”は、“AだがBではない”、“BだがAではない”、ならびに“AおよびB”を含むように、非排他的なorをあらわすように使用される。本明細書で使用される、もしくは組み込まれるように、“流体”という用語は、第一継手部材と第二継手部材を通って流れる能力を持つ、気体、液化ガス、液体、加圧液体、もしくはそれらの任意の組み合わせをあらわす。流体の例としては、メタノール、エタノール、ブタン、ギ酸、一種以上のホウ化水素化合物、カルバゾール、一種以上の炭化水素、一種以上のアルコール、メタン、ヒドラジン水和物、プロパン、アンモニア、水素もしくは任意の他の適切な水素運搬流体を含む。本明細書で使用される、もしくは組み込まれるように、“係合”(“engage”、“engaging”、もしくは“engagement”)という用語は、物理的に接触すること、もしくは充分近くに接近していることをあらわす。第一継手部材と第二継手部材は互いに係合することができ、それによって、漏れることなく流体がそこを通って流れることができる。
【0052】
添付の請求項では、“including”および“in which”という用語は、“comprising”および“wherein”という各用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以降の請求項では、“including”と“comprising”という用語はオープンエンドであり、つまり、ある請求項においてそのような用語の後に列挙された要素に加えてさらに要素を含むシステム、装置、項目、もしくはプロセスは、やはりその請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、以降の請求項では、“第一”、“第二”、“第三”などの用語は、単に標識として使用され、それらの対象に対して数値的な要件を課す意図はない。
【0053】
上記の記載は限定ではなく例示を意図する。例えば、継手係合ノズルと継手凹部は、燃料電池装置と燃料供給源への接続について反対にすることができる。加えて、本発明の流体継手装置と方法は、それぞれ開放と密封と同時に迅速な結合と分離が望まれるような、非燃料ベースの流体用途など、他の流体移送用途での使用を見出すことができる。さらに、流体受入容器は、関連装置から取り外し可能なだけでなく、装置に取り外し不可能なように一体化させることができる。上記の記載を読むことで、当業者などによって他の実施形態が使用されてもよい。また、上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡略化するために様々な特徴が一緒にまとめられてもよい。これは、開示されているが請求されていない特徴がいかなる請求項にも必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は開示された特定の実施形態の全特徴よりも少なくてもよい。従って、以降の請求項は本明細書において「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は別々の実施形態として独立する。本発明の範囲は、添付の請求項と、それらの請求項が権利化されるところの均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【0054】
要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に確認することができるよう、37 C.F.R.§1.72(b)に適合するように提供される。要約は請求項の範囲もしくは意味を解釈したりあるいは限定するために使用されないという理解の下に提出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一継手部材と、
前記第一継手部材に磁気的に係合可能な第二継手部材と、
前記第一継手部材の一部分と前記第二継手部材の一部分の間に配置された密封部材と、
を含み、
前記第一継手部材と前記第二継手部材の磁気的係合は、各継手部材の一部分を横断する流体流路を開くために機械力を供給し保持する、
ことを特徴とする、流体継手装置。
【請求項2】
前記磁気的係合は、前記密封部材に、前記第一継手部材と前記第二継手部材の間で流体漏出を防止もしくは削減させるために充分な、前記第一継手部材と前記第二継手部材の間の磁力を含む、請求項1記載の流体継手装置。
【請求項3】
前記磁力は、前記磁力が打ち消される時に前記第一継手部材と前記第二継手部材が分離するように構成される、請求項2記載の流体継手装置。
【請求項4】
前記第一継手部材と前記第二継手部材の前記分離は、前記流体流路を密封する、請求項3記載の流体継手装置。
【請求項5】
前記第一継手部材は、
自身を通る穴を持つ筐体と、
前記穴の中に配置された弁部材および弾性部材であって、前記弁部材は前記弾性部材と可動式に係合する、弁部材および弾性部材と、
前記筐体の係合部分に接して、もしくはその付近に配置された磁石もしくは磁気面と、
を含む、請求項1から4のうちの少なくとも一つに記載の流体継手装置。
【請求項6】
前記穴の少なくとも一部分のサイズと形状は、前記筐体を通る一以上の所定の流速要件を用いて決定される、請求項5記載の流体継手装置。
【請求項7】
前記筐体は弁止めを含み、前記弾性部材は、前記第一継手部材が前記第二継手部材から分離される時に、前記弁止めに対して前記弁部材を付勢する、ことを特徴とする、請求項5もしくは6のうちの少なくとも一つに記載の流体継手装置。
【請求項8】
前記第二継手部材は、
前記第一継手部材の係合部分と相補的なサイズと形状を持つ凹部と、
前記凹部の表面から外側に突出する駆動部材と、
前記凹部に接して、もしくはその付近に配置された磁石もしくは磁気面と、
を含む、請求項1から7のいずれか一つに記載の流体継手装置。
【請求項9】
凹部の深さは約1 mm以下である、請求項8記載の流体継手装置。
【請求項10】
前記密封部材は、前記第一継手部材もしくは前記第二継手部材のうちの少なくとも一方の一部分と一体である、請求項1から9のいずれか一つに記載の流体継手装置。
【請求項11】
前記第一継手部材は燃料供給源と流体連通し、前記第二継手部材は燃料電池駆動装置に一体化される、請求項1から10のいずれか一つに記載の流体継手装置。
【請求項12】
第一継手部材と第二継手部材を磁気的に係合するステップと、
前記第一継手部材と前記第二継手部材の間に密封を確立するステップと、
機械力を供給し保持することを含む、前記第一継手部材と前記第二継手部材の間に流体流路を開くステップと、
前記流体流路を密封することを含む、前記第一継手部材と前記第二継手部材を分離するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を磁気的に係合するステップは、前記流体流路を形成するために、前記第一継手部材と前記第二継手部材を協調的に整列させるステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を磁気的に係合するステップは、前記第一継手部材の一部分に接して配置された磁石と、前記第二継手部材の磁気面を結合するステップを含む、請求項12もしくは13のうちの少なくとも一つに記載の方法。
【請求項15】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を磁気的に係合するステップは、前記第一継手部材もしくは前記第二継手部材のうちの少なくとも一方の極性を誘発するステップを含む、請求項12もしくは13のうちの少なくとも一つに記載の方法。
【請求項16】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を磁気的に係合するステップは、前記第一継手部材の係合部分と、前記第二継手部材の係合部分を約1 mm未満で重ね合わせるステップを含む、請求項12から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
密封を確立するステップは、前記第一継手部材の一部分と前記第二継手部材の一部分の間に配置された密封部材を圧縮するステップを含む、請求項12から16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
前記流体流路を開くステップは、前記第一継手部材と前記第二継手部材の磁気的係合の際に、前記第一継手部材の弁部材を、弾性的に付勢された密封位置から非密封位置へ移動させるステップを含む、請求項12から17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記流体流路を開くステップは、前記第二継手部材の駆動部材の一部分と、前記第一継手部材の弁部材の一部分とを接触させるステップを含む、請求項12から18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を分離するステップは、前記第一継手部材の弁部材を弾性的に付勢された密封位置へ移動させるステップを含む、請求項12から19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を分離するステップは、所定の流体流路圧力を実現するステップを含む、請求項12から20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
前記第一継手部材と前記第二継手部材を分離するステップは方向的に独立である、請求項12から21のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−508486(P2010−508486A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535535(P2009−535535)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001995
【国際公開番号】WO2008/055346
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(507045041)オングストローム パワー インク. (14)
【氏名又は名称原語表記】ANGSTROM POWER INC.
【Fターム(参考)】