説明

磁気的に分離した超伝導導体を含む電流を送信するシステム

電流を送信するシステムが開示されている。該システムは、発電機、超伝導ケーブル、及び少なくとも1つの負荷を含む。該システムはさらに、終端、冷蔵システム、及び終端及び冷蔵システムの内の1つを含む。低温保持装置は、少なくとも一つのマンドレル、及び、例えば超伝導導体を編み込むことにより完成し得る磁気的に分離された超伝導導体を含む少なくとも1つの電気相をもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に電流を送信するシステムと、そのシステムの少なくとも1つの電気相を運ぶ磁気的に分離した超伝導導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過去30年間、米国では、電気は最終エネルギー消費の電気消費量が、25%から40%に上昇した。この電力に対する高まる要求は、高信頼性で高品質の電力への要求に対する増大する臨界的な要求となってきた。この電力要求が増大し続ける時、特に古い都会の電力システムは、性能の限界に押しやられ、新しい解決を必要とした。
【0003】
銅やアルミニウムのような金属製の導体は、発電機、送電及び配電システム、変圧器、モータなどを含む世界の電力システムの基礎を形成する。高温度超伝導(HTS)化合物の発見は、電力産業をして金属導体に置き換わる、これらの化合物を組み入れてなる導体を開発する努力へと導いた。HTS導体は、1世紀以上において電力システムの技術におけるもっとも基礎的な前進の内のひとつである
【0004】
HTS導体は、同じ物理的規模で、大きさの従来の金属導体が運ぶことのできる電流の100倍以上の電流を運ぶことが出来る。HTS導体の優れた電力密度は、電力産業の次世代技術を可能にする。HTS導体は大きなサイズ、重さ、効率、及び環境上の利点を提供する。
【0005】
HTSテクノロジーは、様々な方法で、電力システムのコストを削減し、容量及び信頼性を増大する。例えばHTS導体からなる電気ケーブルは、現在存在する線絡を通して、2〜5倍のより大きい電力を送電することができ、これにより電力供給網の性能を改善する一方で、環境への足跡を縮小する。
【0006】
HTS導体を特徴づける一つの方法は、1mあたりのコストによるものである。HTS導体を特徴づけるもうひとつの側面は、キロアンペアメータ当たりのコストによるものである。例えば、HTS導体のメータ当たりのコストに対する電流運搬容量を増大させることにより、キロアンペアメータあたりのコストは削減される。最大電流運搬容量は、臨界電流と呼ばれる。
【0007】
電力送信において、HTS導体を有効に使用されるために解決されるべきであるいくつかの問題の中に、AC損失がある。HTS導体を組み込んだケーブルにおいて、AC損失を減少させる典型的なアプローチは、HTS導体のモノリシックな合金を作製することに頼ってきた。例えば、HTS導体合金を作製するよう支持する表面は、ほとんど完全にHTS導体で覆われてきた。しかしながら、HTS導体はその電流運搬容量が向上すると、しばしばその電流運搬に必要である以上の導体がその表面をカバーするのに使用された。しかしながら、これらのタイプの設計においては、しばしばHTS導体の量を減らすことは、AC損失を増大させるだけであった。
【0008】
それゆえ、超伝導導体においてなされている改善の利点を取りいれる、同時にAC損失に関して受け入れ可能で、さらには改善された特性を含むことにより電流を送信するシステムにおいて利用することができる、新しい、かつ改善されたケーブルの巻き線構造に対する必要性が残っている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/010527号明細書
【特許文献2】国際公開第98/13859A号パンフレット
【特許文献3】英国特許第1387860号明細書
【発明の開示】
【0009】
本発明は、電流を送信するシステムに向けられている。該システムは、発電機、超伝導ケーブル、及び少なくとも1つの負荷を含む。さらに該システムは、終端、冷蔵システム、及び終端及び冷蔵システムの内の1つを含む。該ケーブルは、すくなくとも、マンドレル及び少なくともひとつの磁気的に分離された超伝導導体を含む少なくともひとつの電気相を持っている。
【0010】
マンドレルは、フレキシブルな材料よりなる。例えば、アルミニウム合金及び銅合金の内のひとつのような、単一フィラメントあるいは多数フィラメント(複数のフィラメント)合金をマンドレルとして使用することが出来る。構造や材料を問わなければ、マンドレルは、低温に耐えられるものであることが有効である。
【0011】
磁気的に分離された超伝導導体の目的のひとつは、AC損失を減少することである。
【0012】
少なくともひとつのマンドレル、及び編まれた磁気的に分離された超伝導導体を含む少なくともひとつの電気相に加えて、該ケーブルは、1つ又はそれ以上の熱絶縁、1つの保護ジャケット、電気的絶縁材料(誘電体)、静電シールド、地絡巻き線、及び冷却材通路を含む。
【0013】
確かに、該ケーブルは、少なくともひとつの電気相を含み、また複数の電気相を含んでもよい。複数とは3であり、かつ複数の電気相の内の少なくとも2つは、マンドレル、及び編まれた磁気的に分離された超伝導導体を含む。
【0014】
さらに、本発明の一つの側面は、電力を送信するシステムの準備を与えることである。該システムは、少なくとも1つの発電機、少なくとも1つの低温保持装置、及び少なくとも一つの負荷を含む。前記少なくとも1つの発電機は、少なくとも1相の電力を発生する。前記少なくとも1つの低温保持装置は、少なくとも一つのマンドレル及び磁気的に分離された超伝導導体を含む少なくとも1つの電気相を持つ。その発電機と負荷は、電気的グリッドの等価回路を表現するものとみなすことができ、かつ電気的に交換することが出来る。
【0015】
本発明のもう1つの側面は、上記で述べたもののような、電力を送信するシステムで利用可能な超伝導ケーブルを与えることである。該ケーブルは、マンドレルと編まれた磁気的に分離された超伝導導体とを含む少なくともひとつの電気相を含む少なくとも1つの低温保持装置を持つ。
【0016】
さらに、本発明のさらにもうひとつの側面は、電力を送信するシステムを提供することである。該システムは、少なくとも1つの発電機、少なくとも1つの超伝導ケーブル、少なくとも1つの負荷、および終端の内の1つ、少なくとも1つの冷蔵システム、及び終端及び少なくとも1つの冷蔵システムを含む。少なくとも1つの発電機は、少なくとも1相の電力を発生する。前記少なくとも1つのケーブルは、少なくとも1つのマンドレル及び編まれた磁気的に分離された超伝導導体を含む少なくとも1つの電気相を含む少なくとも1つの低温保持装置をもつ。
【0017】
これらおよび他の側面は本発明は、図面とともに考慮して以下の好ましい実施形態の説明を読んだ後に、当業者にとって明らかになるでしょう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の説明では、特性の同様の参照符号は、図に示されるいくつかの実施形態を通して、同様のまたは対応する部分を示す。また“上”“下”“外側”“内側”等の用語は、便宜上の語であり、限定的に解釈されるべきものではない。
【0019】
一般に図面を、特に図1を参照すれば、図解は、本発明の好ましい実施形態を説明することを目的としており、本発明をそれに限定することを意図してはいない。図1は送電システム10を表している。該システム10は、少なくとも次のものの内1つを含む:ジェネレータ(発電機)22、少なくとも1つのクライオスタット(低温保持装置)12を含むケーブル8、ロード(負荷)24、ターミネーション(終端)26、及び冷蔵システム28。該システム10は、少なくとも1つのスプライス(接合部)18を含む。少なくとも1つのジェネレータ22は、1相、または好ましくは3相の電力を発生させる。図2に見られるように、少なくとも1つのケーブル8は、少なくとも1つの電気相14を含む少なくとも1つのクライオスタット12を持つ。図3は、少なくとも1つのマンドレル16と、編まれた磁気的に分離された超伝導導体20を含む電気相14を示す。
【0020】
ジェネレータ22、ロード24、およびシステム10は、技術上知られた任意のものでよい。ジェネレータ22およびロード24は、おのおの、技術上知られた導体、ケーブル、バス、ロード、トランスフォーマ、ジェネレータ、等の全体のグリッドを表すものと見ることができる。
【0021】
冷蔵システム28は、ケーブル8内の任意の超伝導導体を臨界温度以下の温度に維持するような大きさとされている。該冷蔵システム28はまた、熱をケーブル8から冷蔵システム28に転送する方法を提供しなければならない。該冷蔵システム28は冷蔵庫であってよく、低温体をケーブル8を通して循環させる機構を含む。1つの例は、低温液体をケーブル8を通して循環させて熱を集め、冷蔵システム28を通して循環させて熱を除くことである。冷蔵システム28の例は、技術において知られているものなど、任意のものでよい。
【0022】
ターミネーション(終端)26の例は、以下のいずれかに開示されたものの任意のものであってよい:米国特許No.6,525,265“High Voltage Power Cable Termination,”、2003年2月25日発行、Leijon et al.; PCT No.PCT/US02/31382,“Superconducting Cable Termination,”2002年10月2日出願、Southwire Company et al.;ヨーロッパ特許No.EP1151442“Electrical Power Transmission System Using Superconductous,” 1999,12月22日Pirelli Cavi E Sistemi S.P.A et al.;世界特許No.WO03103094, “Current Lead for Superconducting Apparatus,”2002年5月31日出願、Pirelli &C.S.P.A et al.;日本特許No.11073824“Superconducting Cable Terminating Part,”公報1999年3月16日発行、東京電力et al.;米国特許公開No.US2003/0040439 A1, “Termination of a Superconducting Cable,”2003年2月27日、Castiglioni et al.;米国特許No.6,049,036, “Terminal for Connecting A Superconducting Multiphase Cable to Room Temperature Electrical Equipment, ”2000年4月11日発行、Metra, 各出願の開示は、ここでの参照によりここに組み入れられる。
【0023】
前記スプライス(接合部)18は、種々の長さの超伝導導体の接合を許し、より長い長さのものをつくる任意のタイプのものでよい。スプライス18は、より短い長さの磁気的に分離された超伝導導体20を結合してより長い長さの磁気的に分離された超伝導導体20をつくることができる。あるいは、スプライス18は、ある長さの磁気的に分離された超伝導導体20をある長さの磁気的に結合された超伝導導体20に結合して、より長い長さの超伝導導体20をつくることができる。このような場合、ある長さの磁気的に結合された超伝導導体20は、実質的に完全に磁気的に結合されたものの任意の部分であってよい。スプライス18の1つの例は、日本の特許公開No.2000090998, “Superconducting Cable Joint,”2000年3月31日公開、住友電工など、に開示されたものであり、おのおのの全体の開示は、ここでの参照によりここに組み入れられる。
【0024】
ターミネーション(終端)26は、電気的コネクタ、熱コネクタ、およびそれらの結合のいずれであってもよい。
【0025】
好ましい実施形態においては、複数の、代表的には、3つの、電気相14は、図2に示されるように、1つのクライオスタット12内に一緒に集められて、ケーブル8を構成するようにすることができる。さらに、該ケーブル8は、以下、すなわち、熱絶縁32、保護ジャケット34、および低温材パス46、のおのおのの1つ、またはそれ以上を含んでいてもよい。確かに、ケーブル8は、少なくとも1つの電気相14を含んでおり、複数の電気相14を含んでいてもよい。該複数は、3であり、複数の電気相のうちの少なくとも2つは、マンドレル16および編まれた磁気的に分離された超伝導導体20を含んでいる。この記述の目的のために、用語“電気相”は、その一次的な機能が実質的に1つの電位で、かつ1つの周波数で電流を運ぶことである物理的な構成のことを言うのに用いられる。
【0026】
クライオスタット12は、周囲環境からケーブル8の熱領域を、周囲環境から分離して維持するように働くものである。クライオスタット12は、代表的に、内表面31、熱絶縁32、および外表面33を有する。内表面31は、好ましくは、低温材パス46の一部と接触している。クライオスタット12の外表面33は、好ましくは、周囲環境と接触している。少なくとも1つの電気相14は、クライオスタット12の中に導入されているか、あるいは、クライオスタット12は、構造体の上に構成されている。
【0027】
低温材パス46は、該クライオスタット12を通る流体の向きを変えることができる。該流体は、液体窒素、あるいは液体ヘリウム等の液体とすることができる。あるいは、該流体は、気体であってもよい。該流体は、冷蔵体28とケーブル8との間を、熱的に行き来するものであり、かつ、ケーブル8の動作を、超伝導材料がその超伝導特性を示す温度で行わしめる任意の物質、あるいは物質の配列であってよい。
【0028】
熱絶縁32は、ケーブル8の動作を、超伝導材料がその超伝導特性を示す温度で行わしめる任意の物質、あるいは物質の配列であってよく、このようなものは、技術上、よく知られている。熱絶縁の1つの例は、真空ベースの絶縁である。このような真空ベースの絶縁は、好ましくは、約0.5mTorr より大きくない、準空気圧を維持することのできる構造としてもよい。あるいは、該熱絶縁32は、相対的真空における多層絶縁であってもよい。
【0029】
クライオスタット12は、その電気的、物理的、および機械的特性が、ドラム上で曲がる(貯蔵されるため、および/または輸送されるため)ときに、あるいは搭載プロセスの間に曲がったときに、実質的に劣化しないようなフレキシビリティーを持っている。該クライオスタット12は、好ましくは、2つの共芯状に波打ち形状とされたステンレススティール管よりなり、その間に熱絶縁32を形成するための真空空間を持つものよりなる。しかしながら、該クライオスタットは、超伝導材料がその超伝導特性を示す温度と互換性のある任意の物質、あるいは物質の配列よりなるものであってよく、そのようなものは、技術において知られている。
【0030】
あるいは、クライオスタット12の外表面は、保護ジャケット34で覆われていてもよい。該保護ジャケット34は、クライオスタット12に対して、これに、既に存在する導管内に挿入することのできる能力を与えると同時に、該クライオスタット12を、その動作を禁止する、あるいは妨げる損傷から保護することのできる能力を与える材料を使用して作られる。該保護ジャケット34は、ポリビニルクロライドのようなポリマーであってよい。
【0031】
図3において、前記少なくとも1つの電気相14は、少なくとも1つのバンドである磁気的に分離された超伝導導体20により囲まれた少なくとも1つのマンドレル16よりなり、該マンドレルは、誘電体36(ときどきは、電気絶縁材料36とも呼ばれる)によりカバーされており、これはさらに、少なくとも1つのバンドである磁気的に分離された超伝導導体20’によりカバーされている。好ましくは、地絡巻き線38、38’がそれぞれ、磁気的に分離された超伝導導体20’の上にある、あるいは下にあり、実質的に同じ電位にて、電気的に並列に接続されている。好ましい実施形態において、マンドレル16は、もっとも内側のバンドの磁気的に分離された超伝導導体20のための地絡巻き線38として作用する。さらに、静電シールド層40は、誘電体36の上、あるいは下に、任意にあってよい。
【0032】
マンドレル16はフレキシブル材料よりなるものであってよい。好ましくは、アルミニウム合金および銅合金の内の1つのような、単一フィラメントおよび多数フィラメント(例えば、複数のフィラメント)の純粋金属、あるいは合金を、マンドレル16として用いることができる。あるいは、該マンドレル16は、蛇管であってもよい。あるいは、該マンドレル16は、スパイラル溝を持ったパイプ(以下、スパイラル管と称す)であってもよい。蛇腹を持つ蛇腹チューブも、またマンドレル16として用いることができる。さらにマンドレル16はまた、スパイラルスチール片のような、らせん状に巻いた材料からつくってもよい。これらの形状の各々は、マンドレル16に充分なフレキシビリティーを与えるよう適合せられる。そのフレキシブルなマンドレル16は、フレキシビリティーを持つ発明的なケーブル8を与える。
【0033】
金属材料は、非金属材料もまた、単独で、または結合して、マンドレル16を構成するのに用いることができる。金属材料の例は、ステンレススティール、銅、アルミニウム、等であり、一方、非金属材料の例は、ポリマー、セラミック、およびそれらの結合を含む。ガラス繊維強化したポリマー等の、強化ポリマーも含まれる。その構成あるいは材料がどのようなものであっても、マンドレル16は、低温に耐えられることが有利である。また、該マンドレル16は、ケーブル8の動作温度、および絶縁温度の両方において十分な強度およびフレキシビリティーを持つものであることが有利である。
【0034】
好ましくは、該マンドレル16は、与えられた電気相について予想されるような任意の地絡電流を取り扱うような大きさの銅または銅合金のような低抵抗金属の複数のフィラメントよりなる。この実施形態においては、該マンドレルは、最も内側のバンドの磁気的に分離された超伝導導体20のための地絡巻き線38として作用する。分離した地絡巻き線38内のすべてのフィラメントは、電気的に並列に接続されている。
【0035】
任意にスパイラル溝、あるいは蛇腹管を持つパイプを、マンドレル16として使用したときには、それは、低温超伝導(LTS)導体のための液体ヘリウム、あるいはHTS導体のための液体窒素(LN2)のようなクライオスタットが、磁気的に分離された超伝導導体20のバット突合せギャップの中に流れ込み、誘電体36(ときどきは、電気絶縁材料36とも呼ばれる)の中を浸すことを許すような大きさおよびパターンの穴があけられている。この実施形態においては、該マンドレル16は、低温体を冷蔵システム28から輸送するための中央の、かつ、チューブ状の低温材パス46を与えている。
【0036】
ひとつの実施形態において、マンドレル16は、該マンドレル16上に置かれた、または巻かれたテープをさらに備える。該テープは、マンドレル16の任意の溝を、超伝導テープがバックルしないようカバーするスムーズな表面を形成することができる。該テープをおくことによりマンドレル16のフレキシビリティーを維持しながら任意の溝をカバーすることができる。該テープは、低温に耐えられるものであり、ケーブル8の動作温度および絶縁温度の両方で十分な強度およびフレキシビリティーを持つ任意の材料よりなってよい。
【0037】
もう1つの実施形態において、フレキシブルなマンドレル16は、ワイヤ編み、またはメッシュにより任意にカバーされていてもよい。
【0038】
マンドレル16は、螺旋状の溝の表面、蜘蛛の巣状の表面、マット状の表面、および編まれた形状の表面の任意のものを持っていて、磁気的に分離された超伝導導体20の表面を構成していてもよい。
【0039】
クライオスタット12において、マンドレル16は、テープ状の超伝導導体20を、所定の範囲の曲がりストレインに保持するよう適合されている。このマンドレル16は、クライオスタット12に必要とされる長さを持ち、実質的にクライオスタット12の中心に設けられている。該マンドレル16は、実質的に円筒形状または螺旋形状をしており、前記超伝導導体20はその上に横たわっており、かつ、一般にその全長にわたって実質的に一定な直径を持っている。
【0040】
本発明を実施するとき、マンドレル16上に、いくつかのテープ状の、マルチフィラメントの超伝導導体20を横たわらせる、あるいは巻きつけることが可能である。該超伝導導体20は、1つまたはそれ以上の層の形に、その表面をマンドレル16に向けながら編みこむことができる。各層は、任意の数の超伝導導体20により構成することができる。いくつかの超伝導導体20を、超伝導導体20の層をつくるためにマンドレル上で編んだとき、さらなる超伝導導体20をさらにその上に編んでもよい。充分な数の超伝導導体20が第2の層として第1の超伝導導体20の上に編まれたとき、今度は、第3の層の超伝導導体20を、その上に編んでもよい。各隣接するペアをなす層の間には、絶縁層は設けられない。説明の目的のために、隣接するペアをなす層の全体は、バンドと呼ばれる。1つの分離したバンド内のすべての超伝導導体は、電気的に並列に接続されている。
【0041】
磁気的に分離している超伝導導体20のバンドは、フレキシブルなマンドレル16上で編まれた複数の超伝導導体よりなる。その超伝導導体は、任意の超伝導導体を含む部分を有する導体の任意の構成よりなってもよい。適用可能な形状の因子は、実質的に丸い(代表的にワイヤと呼ばれる)か、実質的に平坦(代表的にテープと呼ばれる)か、その間の任意の形状でよい。該超伝導の材料は、1箇所(代表的に、モノフィラメントと呼ばれる)に配置されていても、2箇所、あるいは、複数箇所(代表的に、マルチフィラメントと呼ばれる)に配置されていてもよい。
【0042】
超伝導導体を作製するために使用可能な超伝導材料の1つのタイプは、高温超伝導(HTS)材料である。ひとつのHTS材料は、銅ベースのHTS材料である。銅ベースHTS材料の例は、La2-xMxCuO4、Ln2-xCexCuO4,ReBa2Cu3O7-d、超伝導導体のビスマス−ストロンチウム−カルシウム−銅−酸化物ファミリー、例えば、Bi2Sr2CaCu2Ox、(Bi,Pb)2Sr2CaCu2Ox、およびBi2Sr2CaCu3Ox、(Bi,Pb)2Sr2CaCu3Ox(ここで、Bi2Sr2CaCu2Ox、(Bi,Pb)2Sr2CaCu2Oxは、しばしばBSCCO2212と言われ、Bi2Sr2CaCu3Ox、(Bi,Pb)2Sr2CaCu3Oxは、しばしばBSCCO2223と言われ、まとめてしばしば、BSCCOといわれる。)を含む。Ln2-xM xCuO4において、MはCa、Sr、Ba、及びそれらの組み合わせのうちの1つである。Ln2-xCexuO4において、LnはPr、Nd、Sm、Eu、Gd、およびそれらの組み合わせのうちの1つである。ReBa2CuO7-dにおいて、ReはY、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、および、それらの組み合わせのうちの1つである。特別のReBa2CuO7-dは、しばしば、YBCOと言われる、YBa2Cu3O7-dである。
【0043】
使用できる超伝導の材料の例は、以下のいずれか1つに開示されたものような、任意のものでよい:米国特許No.6,601,289,“Manufacturing process of superconducting wire and retainer for heat treatment,”特許発行、2003年8月5日、 Kobayashi:米国特許No.6,495,765,“Superconductors,”特許発行、2002年12月17日、Riley、Jr:米国特許No.6,311,386,“Processing of (Bi,Pb)SCCO superconductors in wires and tapes,”特許発行、2001年11月6日、Li, et.al.;米国特許No.6,295,716,“Production and Processing of (Bi,Pb)SCCO superconductors,”特許発行, 2001年10月2日, Rupich et.al.:米国特許No.5,942,466,“Processing of (Bi,Pb)SCCO superconductors in wires and tape”特許発行, 1999年8月24日, Li et.al.:米国特許No.5,968,877,“High Tc YBCO superconductor deposited on biaxially textured Ni substrate,”特許発行, 1999年10月19日, Budai et.al.;米国特許No.5,846,912,“Method for preparation of textured YBa2Cu3Ox superconductor”特許発行, 1998年12月8日Selvamanickam et.al.:米国特許No.6,638,894,“Devices and systems based on novel superconducting material”特許発行, 2003年10月28日, Batlogg et.al.:米国発行No.6,251,530, “Thin−film of a high-temperature superconductor,”特許発行, 2001年6月26日, Bozovic et.al.:米国特許No.4,994,433,“Preparation of thin film superconducting oxide,”特許発行日, 1991年2月19日, Chiang et.al.:米国特許No.6,194,352,“Multifilament composite BSCCO oxide superconductor”特許発行, 2001年2月27日, Rilley et.al.:米国特許No.6,069,116,“Method of forming BSCCO superconducting articles,”特許発行, 2000年5月30日, Li et.al.:米国特許No.5,661,114,“Process of annealing BSCCO-2223 superconductors,”特許発行, 1997年8月26日, Otto et.al.:米国特許No.5,661,114,“Process of annealing BSCCO-2223 Superconductors”特許発行, 1997年8月26日, Otto et.al.:米国特許No.5,635,456,“Processing for Bi/Sr/Ca/Cu/O-2223 superconductors”特許発行, 5,635,456, Riley et.al.:各々の全体の開示は、ここでの参照によりここに組み入れられる。
【0044】
超伝導導体の1つの例は、酸化物超伝導導体と、これを覆う安定化金属とを有するタイプであり、第一世代超伝導導体としても知られている。実際、該第一世代超伝導導体内には、テープ状多数フィラメント酸化物超伝導ワイヤであって、本質的に酸化物超伝導体よりなる多数のフィラメントが、銀、銀合金、ニッケル、およびニッケル合金の安定化材料の中に含まれているような構造を持つものがある。
【0045】
超伝導導体のもう1つの例は、金属テープ基板の上に、酸化超伝導体のコーティングを持ち、該酸化物超伝導体は次に安定化金属により被覆されているタイプである。この構成は、第2世代超伝導導体としても知られている。好ましくは、本発明で用いられる安定化金属および基板は、それぞれバッファ層を必要とする、銀、銀合金、およびニッケルおよびニッケル合金のグループから、個々に選択される。
【0046】
超伝導導体を作るために使用可能な超伝導材料のもう1つの例は、低温超伝導(LTS)材料である。1つのLTS材料は、ニオブベース合金である。ニオブベース合金の例は、チタン、スズ、アルミニウム、及びそれらの組み合わせをも持つものを含む。これらのニオブベース合金は、さらに、タンタル、ジルコニウム、スズ、及びそれらの組み合わせをも含んでもよい。LTSニオブベース合金の1つのグループは、約45から約50重量パーセントのチタンを含むニオブーチタンベース合金である。もう1つのLTSニオブベース合金のグループは、A15超伝導相を含む。このようなニオブベース合金は、スズ、アルミニウム、及びそれらの組み合わせの内の1つを含んでもよい。LTSニオビウムベース合金の特定の例は、Nb3SnやNb3Alを含む。
【0047】
超伝導導体を作るために利用可能な超伝導材料のさらにもう1つのタイプは、例えばMgB2のような、ホウ化マグネシウムである。利用可能なホウ化マグネシウム超伝導材料の例は、以下のいずれかに開示されたもののようないずれでもよい:米国特許No.6,511,943,“Synthesis of magnesium diboride by magnesium vapor infiltration process(MVIP),”特許発行2003年1月28日、Serquis, et al.;米国特許公開No.US2002/0127437A1, “MgB2 superconductors,”公開、2002年9 月12日、Sang−Wook Cheong, et al.;米国特許公開No. US 2002/0198111 Al,“Method for manufacturing MgB2 intermetallic superconductor wires,”公開、2002年12月26日、Michael J. Tomsic; 米国特許公開No.2004/0009879 Al,“Method for the production of superconductive wires based on hollow filament made of MgB2,”公開、2004年1月15日、Giovanni Giunchi, et al.;ここで、各々の全体の開示は、ここでの参照によりここに組み込まれる。
【0048】
本発明で利用可能な超伝導導体は、その使用を実行可能とする長さを持つ超伝導材料の製作を可能とし、かつ同時に、該超伝導体のマンドレル16の回りでの編みこみを可能とする基板を含む。例えば、該基板は、約25と約127μmの間の厚みを持つもののような(25.4μmは、1Milに等しい)、金属基板であってよい。もし、例えば、超伝導材料がYBCOであれば、そのときその厚みは、1から5μmである。
【0049】
その合金基板上のYBCOは、BSCCOより強く、かつ厚みが薄いので、それは、多くの新しい巻き方を可能とする。そのようなものの1つは、導体をマンドレル16の表面上に編むことである。超伝導導体20は、ワイヤの形態においても(あるいは、電力ケーブルの場合に個々のテープにおいても)、超伝導導体の任意のペアの間に総合の磁界が実質的に閉じ込められていない場合には、分離されている、と言われる。この状態は、超伝導導体20を、マンドレル16の上にそのまま交互に配置することによって達成される。この交互配置は、すべての超伝導導体20が、ある時間比で、可能な磁界の各々内にある時、達成される。Wilson は、Semiconductor magnets (Clarendon Press, Oxford, 1983年出版)の197ページで、“内側ワイヤが常に内側にあり、外側ワイヤが常に外側にある単純にねじられたケーブルは、まさに大きくねじられた組成物のように行動し、大きな自磁界損失を蒙る”、と教えている。十分な相互配置は、ストランドの間に総合の自磁界磁束が含まれないことを確実にすることによって、これを避けることができる。
【0050】
編まれた磁気的に分離された超伝導導体20の目的は、AC損失を減らすことである。その目的のために、編まれた磁気的に分離された超伝導導体20は、マンドレル16の周りの第1の方向に第1の数の超伝導導体を含み、該マンドレル16の周りの第2の方向に、実質的に第1の数と同じ数の第2の超伝導導体を含む。編まれた磁気的に分離された超伝導導体20は、1つ以上の、または1つ以下の波状パターンに形成することができる。同様に、編まれた磁気的に分離された超伝導導体20は、2つ以上の、あるいは2つ以下の波状パターンに形成してもよい。すなわち、磁気的に分離された配置を生成する超伝導導体20からある構造を構築する任意の波状のパターンは、適切な波状パターンである。例えば、波状パターンは、編みこみの軸に関して編み角α(ここで、αは縦軸に対して測定される鋭角である)を形成する2軸編みであってもよい。最良のケースでは、テープの数の平方根の因子だけ、AC損失を減らすことが出来る。ひとつの例においては、個々のテープは、それらが、偶発的な相互の電気的接触をするのを妨げるよう、絶縁される。
【0051】
有利には、超伝導導体20は、磁気的に分離された配置を作製するよう、マンドレル16上に編まれる。超伝導導体20は、約90度までの配置(lay)角で、有利には、約10度から約60度の、好ましくは、約20度から約40度の配置角で編まれる。このような編みこみは、特に低温材転送ホースの外側では代表的であり、そこでは、それらは、多くの平行な薄いワイヤから巻きつけられる。それゆえ、そのような編みこみを作製する技術は、すでに存在している。
【0052】
最終構築物の安定状態を含む、編みこみプロセスの間に超伝導導体にかかる緊張力は、超伝導導体の25%より大きい臨界電流の減少を生じないように制限される。この緊張力の制限は、特定の超伝導誘導体のタイプ、厚み、および構成に依存する。
【0053】
本発明によれば、おのおのの超伝導導体20は、曲げ時の緊張力、あるいは、所定の範囲の曲率および所定の範囲のピッチ、および、所定の直径を持つマンドレル16上に編まれる。比較的緩い屈曲が、超伝導導体20に対してその軸方向に沿って印加される。マンドレル16の上で編まれた超伝導導体20は、超伝導導体の臨界温度の、約25%より大きい減少を生じることのないよう限定された曲げ緊張力で曲げられる。この曲げ緊張力限界は、特定の超伝導導体のタイプ、厚み、及び構成に依存する。
【0054】
YBCOは、BSCCOよりもより高い電流密度を持ち、これは、ケーブルの動作電流を運ぶのにより少ないテープが必要であることを意味する。現在のケーブル設計は、よりロスの少ないケーブルのまき方をつくるために、コアの表面の全てを覆うものに依拠している。これは、結果的に電流を運ぶために必要でない表面を覆うために余分なYBCOを使用する結果を生じ得る。これは、ケーブルのコストを増加することとなる。編みこみのコンセプトは、表面全てを覆うことに依拠するものではなく、いくらかの場合には、特により大きい巻き直径の場合には、実質的により少ないテープを使用することを可能とするものである。
【0055】
図3において、本発明の1つの実施態様は、少なくとも2つの別々のグループの超伝導導体20,20’を持つ電気相14を含む。有利には、誘電体36の層(ときどきは、電気絶縁体36とも言う)は、前記少なくとも2つの別々の超伝導導体20、20’のおのおのを分離する。本発明の1つの実施形態において、前記2つの別々のグループの超伝導導体20,20’は、ケーブルを通って流れるほぼ等しい量の電流を運ぶ。
【0056】
更に有利なのは、マンドレル16から最も遠い磁気的に分離された超伝導導体20のバンドが、同軸構成をつくる他のバンドを通って流れる電流のシールドを与える場合である。この同軸構成は、磁界が、実質的に内側の磁気的に分離された超伝導導体20のバンドと外側の磁気的に分離された超伝導導体20’のバンドとの間にあることを強制する。磁気的に分離された超伝導導体20’のバンドの外には、実質的に磁界は存在せず、それゆえ、マンドレル、あるいは光学的地絡巻き線38内には渦電流ロスは存在しない。また、磁気的に分離された超伝導導体20、20’の内側にも実質的に磁界はなく、マンドレル、あるいは任意の光学的地絡巻き線38内には渦電流ロスは存在しない。
【0057】
さらに、前記同軸構成は、磁界を実質的に周状にする;これにより、局所磁界は、実質的に超伝導導体20の表面と平行になる。ある超伝導導体においては、この平行な電界の向きは、与えられた磁界の振幅に対してよりよい性能を持つ。この構成により、非常に大量の電流を、磁気的に分離された超伝導導体20の数および臨界電流に依存して運ぶことができる。
【0058】
地絡巻き線38は、マンドレル16と磁気的に分離された超伝導体20との間にあることができる。さらに、地絡巻き線38’は、磁気的に分離された超伝導体20’の上に横たわることができる。該任意の地絡巻き線38’は、磁気的に分離された超伝導導体20と同じ電気的電位にある;かつ、該任意の地絡巻き線38’は、超伝導導体20’と同じ電気的電位にある。該地絡巻き線38は、与えられた電気相に予測され得る任意の地絡電流を処理するのに適した大きさの銅または銅合金のような低抵抗金属の複数のフィラメントまたはテープを含む。分離した地絡巻き線38内のすべてのフィラメントは、電気的に並列に接続されている。
【0059】
さらに、静電シールド層40は、任意に誘電体36の下にあっても、上にあってもよい。有利には、最も外側のバンドの磁気的に分離された超伝導体20、あるいは、地絡巻き線38は、バインダーテープにより囲まれていてよい。該バインダーテープは、巻き線を一般的に同心状に保持するように働く。バインダーテープは、その物理的、機械的、熱的要件が満たすことのできる任意の材料、あるいは、材料の組み合わせであってよい。好ましくは、それは、誘電体36と同じ材料とすることができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、磁気的に分離した超伝導導体の最も外側のバンドは、電気相14のための電気的な、かつ磁気的なシールドとして働くよう、実質的にグランドの電位に維持することができる。本発明は、シールドされた、およびシールドされていない、両方の電気相14を持っている。
【0061】
ある実施形態において、誘電体36(ときどきは、電気的絶縁材料36とも呼ばれる)は、極低温にあってもその状態を保持するものであり、極低温の温度に、何らの物理的な、かつ機械的な劣化を生じることなく、耐えることのできる任意の材料は、これに適切であろう。本発明の一つの側面のポリマー誘導体材料は、液体窒素、およびより低い温度で、良い物理的、および機械的特性を有する。それは、高い絶縁耐力、および高い絶縁破壊電圧を持つ。また、電気絶縁材料36は、低温に耐えられる材料であることが望ましい。
【0062】
前記少なくとも1つの誘電体36(ときどきは、電気な絶縁材料36とも呼ばれる)は、技術において知られているように、与えられた動作電圧における、代表的なレートのBasic Impulse insulation level (BIL)の電圧レベルに耐えることができる。
【0063】
誘電体36(ときどきは、電気的絶縁材料36とも呼ばれる)は、ポリプロピレン、クラフトペーパー、ポリプロピレンラミネートペーパ(代表的には、PPLPと呼ばれる)、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、交差結合ポリエチレン(代表的には、XLPEと呼ばれる)、もしくはERPの内の1つ;あるいは、その物理的、機械的、電気的および熱的要件を満たすことのできる任意の材料または材料の組み合わせ、であってよい。
【0064】
該誘電体は、複数のテープから押し出され、あるいは巻きだされてもよく、あるいは、直接、あるいは、技術上知られている方法で押しだされてもよい。
【0065】
有利には、静電シールド層40は、誘電体36の下に横たわり、かつ上に横たわる。静電シールド層40は、ケーブルの金属要素(磁気的に分離された超伝導導体20の層のような)の電界プロファイルをスムーズにするのに役立つ。前記少なくとも1つの静電シールド層40に適した材料に関して、単独で用いられても、他の材料と組み合わせて用いられても、電界を成形することができる材料が好ましい。その目的のために、前記少なくとも1つの静電シールド層40は、伝導材料、半導体材料、及びそれらの組み合わせの任意の1つでよい。静電シールドの複数は、電界を成形するのに適切な構造を与える数である。そのような数は、誘電体36の層ごとに約2であるようである。
【0066】
以下は、好ましい実施態様の構成における34.5kVケーブルの計算された損失の、約2mil基板上の、約4mm幅、約2μm厚のYBCOとの、臨界電流密度を1.5×1010A/m2としての比較である。テーブル1に示されるように、編みこみは、より高い動作電流において、損失をより劇的に減少させる。この比較は、マンドレルが、地絡電流を運ぶよう銅からなるフィラメントマンドレル型の設計の標準ケーブルを仮定している。より大きいレベルの地絡電流は、より大きいマンドレルの直径に対応している。該直径は、三相ケーブルの外径であり、インチで示される。これらの数はおおよその参照のために与えられるものである、なぜなら、直径に対する実際の制限は、ここではカバーされない電圧絶縁であるからである。損失の低減は、すべての代表的な地絡電流レベルに対して、それゆえ、マンドレルの直径の大きな範囲に対して、相対的に一定である。編まれた構成の超伝導導体の超伝導導体における損失は、すべての電圧に対して有効に一定である。
【0067】
【表1】

【0068】
説明の目的のために、代表的な実施形態が、設定されたが、前述の説明は、発明の範囲に対する制限とみなされるべきではない。したがって、本発明の精神と範囲から離れること無く、種々の修飾、適合、変形が当業者に起こり得るであろう。例として、
【0069】
複数のクライオスタット12は、おのおのは好ましくは1つの電気相14を持ち、ケーブル8を形成するように一緒にまとめることができる。該電気相14は、少なくとも1つのバンドの編まれた磁気的に分離された超伝導体20を含む。誘電体36(ときどきは、電気的絶縁材料36ともいわれる)は、この構成では、クライオスタット12の外にあることができる。代表的に、この構成は、シールドとして動作するバンドの超伝導体20’は持たない。この実施形態はまた、以下のもの:地絡巻き線38、静電シールド層40、熱絶縁32、保護ジャケット34および低温材パス46の1つまたはそれ以上を含むことができ、代表的に暖かい誘電超伝導ケーブルと呼ばれる。
【0070】
あるいは、図4は、少なくとも3つの、好ましくは4つの、区別されるバンドの編まれた磁気的に分離された超伝導導体20、20’、20’’、20’’’が、1つのマンドレル16(代表的には、3軸構成と呼ばれる)上に同心に巻かれたものと含むもう1つの実施形態を図示する。有利には、誘電体36(ときどきは、電気的絶縁材料とも呼ばれる)の層は、別々のバンドの超伝導導体20のおのおのを分離する。磁気的に分離された超伝導導体のおのおののバンドは、分離された電気相またはシールドであってよい。この実施形態はまた、次のものの内の1つもしくは複数よりなる;地絡巻き線38、38’、38’’、38’’’、静電シールド層40、クライオスタット12、熱絶縁32、保護ジャケット34、及び低温材パス46。
【0071】
あるいは、複数の3軸構造は、一つのクライオスタットの中に収容することができる。この実施形態はまた、以下のものの1つ、あるいはそれ以上を含む:地絡巻き線38、静電シールド層40、クライオスタット12、熱絶縁32、保護ジャケット34、及び低温材パス46。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明に従って構築された送電システムの概略図である。
【図2】図2は、図1の送電システムにおいて使用可能な超伝導ケーブルの概略図である。
【図3】図3は、図1の送電システムと、図2のケーブルにおいて使用可能な電気相の概略図である。
【図4】図4は、図1の送電システムにおいて使用可能な代替の超伝導ケーブルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電システムであって、以下のものよりなる:
a.少なくとも1つの相を持つ少なくとも1つの発電機;
b.少なくとも1つのマンドレルと磁気的に分離した超伝導導体とを含む少なくとも1つの電気相を含む少なくとも1つの低温保持装置をもつ少なくとも1つの超伝導ケーブル;および、
c.少なくとも1つの負荷。
【請求項2】
請求項1の送電システムにおいて、さらに終端を含む。
【請求項3】
請求項2の送電システムにおいて、前記終端は、電気的コネクタを含む。
【請求項4】
請求項2の送電システムにおいて、前記終端は、熱コネクタを含む。
【請求項5】
請求項1の送電システムにおいて、さらに冷蔵システムを含む。
【請求項6】
請求項5の送電システムにおいて、前記冷蔵システムは、冷蔵室である。
【請求項7】
請求項5の送電システムにおいて、前記冷蔵システムは、低温保持装置を通した循環冷却構造を含む。
【請求項8】
少なくとも1つの電気相と少なくとも1つの負荷とを有する少なくとも1つの発電機を含む送電システムにおいて使用可能なケーブルであって、該ケーブルは、以下のものを含む少なくとも1つの電気相を収容する少なくとも1つの低温保持装置からなる:
a.マンドレル;及び
b.編みこまれた磁気的に分離された超伝導導体。
【請求項9】
請求項8のケーブルにおいて、前記マンドレルはフレキシブルな材料よりなる。
【請求項10】
請求項9のケーブルにおいて、前記フレキシブルな材料はアルミニウム合金及び銅合金の内の1つよりなる。
【請求項11】
請求項10のケーブルにおいて、前記アルミニウム合金及び銅合金の内の1つは、単一フィラメントよりなる。
【請求項12】
請求項10のケーブルにおいて、前記アルミニウム合金及び銅合金の内の1つは、複数のフィラメントよりなる。
【請求項13】
請求項8のケーブルにおいて、前記マンドレルはコルゲート管よりなる。
【請求項14】
請求項13のケーブルにおいて、前記コルゲート管は金属材料よりなる。
【請求項15】
請求項14の低温保持装置において、前記金属材料はステンレススティールよりなる。
【請求項16】
請求項13のケーブルにおいて、前記コルゲート管は非金属材料よりなる。
【請求項17】
請求項16の低温保持装置において、前記非金属材料はポリマーよりなる。
【請求項18】
請求項17の低温保持装置において、前記ポリマーは強化ポリマーである。
【請求項19】
請求項18の低温保持装置において、前記強化ポリマーはガラス繊維強化したポリマーである。
【請求項20】
請求項8の低温保持装置において、前記マンドレルは、低温的に互換性がある。
【請求項21】
請求項8のケーブルにおいて、前記編まれた磁気的に分離される超伝導導体はACの損失をへらす。
【請求項22】
請求項8のケーブルにおいて、前記マンドレルの回りの第1の方向における超伝導導体の第1の数は、実質的にマンドレルの回りの第2の方向における超伝導導体の第2の数と同じである。
【請求項23】
請求項8のケーブルにおいて、前記編み込みは1以上、1以下の織りパターンよりなる。
【請求項24】
請求項8のケーブルにおいて、前記編み込みは2以上、2以下の織りパターンよりなる。
【請求項25】
請求項8のケーブルにおいて、前記編み込みは、2軸の編み込みよりなる(編み込み角度αは、縦軸に対して測定される鋭角である)。
【請求項26】
請求項8のケーブルにおいて、前記超伝導導体は低温超伝導(LTS)導体よりなる。
【請求項27】
請求項26の低温保持装置において、前記LTS導体は、ニオブベース合金よりなる。
【請求項28】
請求項27の低温保持装置において、ニオブベース合金は、A15超伝導相よりなる。
【請求項29】
請求項27の低温保持装置において、前記ニオブベース合金は、チタン、スズ、アルミニウム、またはそれらの組み合わせの内の1つよりなる。
【請求項30】
請求項29の低温保持装置において、前記ニオブベース合金は、ニオブ-チタンベース合金よりなる。
【請求項31】
請求項30の低温保持装置において、前記ニオブ-チタンベース合金は、約45〜約50の重量パーセントチタンよりなる。
【請求項32】
請求項27の低温保持装置において、前記ニオブベース合金はチタン、スズ、アルミニウム、及びそれらの組み合わせの内の1つと、タンタル、ジルコニウム、スズ及びそれらの組み合わせの内の1つを含む。
【請求項33】
請求項29の低温保持装置において、前記ニオブベース合金は、A15超伝導相よりなる。
【請求項34】
請求項32の低温保持装置において、前記ニオブベース合金は、A15超伝導相よりなる。
【請求項35】
請求項34の低温保持装置において、前記ニオブベース合金は、Nb3Sn、Nb3Alの内の1つよりなる。
【請求項36】
請求項35の低温保持装置において、前記Nb3Snは、約18〜約25の重量パーセントスズよりなる。
【請求項37】
請求項8のケーブルにおいて、前記超伝導は高温超伝導(HTS)導体よりなる。
【請求項38】
請求項8のケーブルにおいて、前記HTS導体は、銅ベースHTS導体よりなる。
【請求項39】
請求項8のケーブルにおいて、前記銅ベースHTS導体は、La2-xMxCuO4,Ln2-xCexCuO4,ReBa2Cu3O7-d,Bi2Sr2CalCu2Ox,(Bi,Pb)2Sr2CalCu2Ox,Bi2Sr2CaCu3Ox,(Bi,Pb)2Sr2CaCu3Ox、及びそれらの組み合わせのうちの1つよりなる。
【請求項40】
請求項8の低温保持装置において、前記銅ベースHTS導体は、La2-xMxCuO4よりなり、MはCa,Sr,Ba及びそれらの組み合わせの内の1つよりなる。
【請求項41】
請求子8の低温保持装置において、前記銅ベースHTS導体は、Ln2-xCexCuO4よりなり、LnはPr,Nd,Sm,Eu,Gd,およびそれらの組み合わせの内の1つよりなる。
【請求項42】
請求項8の低温保持装置において、前記銅ベースHTS導体はReBa2Cu3O7-dよりなり、ReはY、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yd、およびそれらの組み合わせの内の1つよりなる。
【請求項43】
請求項39のケーブルにおいて、前記銅ベースHTS導体はYBa2Cu3O7-d(YBCO)よりなる。
【請求項44】
請求項8の低温保持装置において、前記超伝導導体は、金属基板よりなる。
【請求項45】
請求項44の低温保持装置において、前記金属基板は、約25〜約127μmの厚みを持つ。
【請求項46】
請求項45の低温保持装置において、前記超伝導導体は、約1〜約5μmの厚さを持つYBCOよりなる。
【請求項47】
請求項8のケーブルにおいて、前記超伝導導体は、ホウ化マグネシウムよりなる。
【請求項48】
請求項47の低温保持装置において、ホウ化マグネシウムは、MgB2よりなる。
【請求項49】
請求項8の低温保持装置において、さらに断絶縁を含む。
【請求項50】
請求項49の低温保持装置において、前記断絶縁は、真空ベース熱絶縁である。
【請求項51】
請求項49の低温保持装置において、前記熱絶縁は複数層絶縁よりなる。
【請求項52】
請求項51の低温保持装置において、前記複数層絶縁は、超絶縁よりなる。
【請求項53】
請求項8の低温保持装置において、さらに保護ジャケットを含む。
【請求項54】
請求項53の低温保持装置において、前記保護ジャケットは、ポリマーよりなる。
【請求項55】
請求項54の低温保持装置において、前記ポリマーは、ポリビニルクロライドよりなる。
【請求項56】
請求項8の低温保持装置において、さらに少なくとも1つの電気絶縁材料を含む。
【請求項57】
請求項56のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの電気絶縁材料は、複数の電気絶縁材料よりなる。
【請求項58】
請求項57の低温保持装置において、前記複数の電気絶縁材料は、少なくとも約4つよりなる。
【請求項59】
請求項56の低温保持装置において、前記電気絶縁材料は、低温的に互換性のある材料からなる。
【請求項60】
請求項56のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの電気絶縁材料は、押し出し成形よりなる。
【請求項61】
請求項8のケーブルにおいて、さらに少なくとも1つの静電シールドを含む。
【請求項62】
請求項61のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの静電シールドは、導電材料よりなる。
【請求項63】
請求項61のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの静電シールドは、半導体材料よりなる。
【請求項64】
請求項61のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの静電シールドは、電界を成形する能力がある。
【請求項65】
請求項61のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの静電シールドは、複数の静電シールドよりなる。
【請求項66】
請求項65のケーブルにおいて、前記複数の静電シールドは、電気的絶縁の両側面上にある。
【請求項67】
請求項65のケーブルにおいて、前記複数の静電シールドは、少なくとも1つの電気的絶縁材料層ごとに約2つからなる。
【請求項68】
請求項8の低温保持装置において、さらに1つのスペーサよりなる。
【請求項69】
請求項68の低温保持装置において、前記少なくともひとつのスペーサは、非電気的導材料よりなる。
【請求項70】
請求項68の低温保持装置において、前記少なくとも1つのスペーサは、低温に耐え得る材料よりなる。
【請求項71】
請求項8のケーブルにおいて、前記少なくとも1つの電気相は、多数の電気相よりなる。
【請求項72】
請求項71のケーブルにおいて、前記、複数の電気相のうちの少なくとも2つは、以下のものを含む:
a.マンドレル;及び
b.編み込まれた磁気的に分離された超伝導導体。
【請求項73】
請求項71のケーブルにおいて、前記多数の電気相は、少なくとも約2つの電気相よりなる。
【請求項74】
請求項8の低温保持装置において、さらに冷却材通路を含む。
【請求項75】
請求項74の低温保持装置において、前記冷却材通路は、流体の向きを変えることができる。
【請求項76】
請求項75の低温保持装置において、前記流体は、液体である。
【請求項77】
請求項76の低温保持装置において、前記液体は、液体窒素である。
【請求項78】
請求項75の低温保持装置において、前記流体は、気体である。
【請求項79】
電流を送信するシステムであって、以下のものよりなる;
a.少なくとも1つの相を持つ、少なくとも1つの発電機;
b.少なくとも1つのマンドレルと網み込まれた磁気的に分離された超伝導導体を含む、少なくとも1つの電気相を含む、少なくともひとつの低温保持装置をもつ、少なくとも1つの超伝導ケーブル;
c.終端;及び
d.少なくとも1つの負荷。
【請求項80】
電流を送信するシステムであって、以下のものよりなる;
a.少なくとも1つの相を持つ、少なくとも1つの発電機;
b.少なくとも1つのマンドレルと、編み込まれた磁気的に分離した超伝導導体を含む、少なくとも1つの電気相を含む、少なくともひとつの低温保持装置をもつ、少なくとも1つの超伝導ケーブル;
c.少なくとも1つの冷蔵システム;及び
d.少なくとも1つの負荷。
【請求項81】
電流を送信するシステムを製造する方法、前記方法は以下のステップよりなる:
a.少なくとも1つの相を持つ、少なくとも1つの発電機を準備すること;
b.少なくとも1つの負荷;及び
c.前記少なくともひとつの発電機、及び前記少なくともひとつの負荷との間の少なくとも一部にわたって電流を送信するよう少なくともひとつのマンデレルと磁気的に分離された超伝導導体とを含む、少なくとも1つの電気相を持つ、少なくとも1つの低温保持装置を持つ、少なくとも1つの超伝導ケーブルを準備すること。
【請求項82】
電流を送信するシステムで用いる低温保持装置を製造する方法であって、該方法は以下のステップよりなる:
a.マンドレルを準備すること;及び
b.超伝導導体が実質的に磁気的に分離されるように、前記マンドレル上において複数の超伝導導体を編み込むこと。
【請求項83】
電流を送信するシステムにおいて使用可能なケーブルであって、該ケーブルは以下のものよりなる。
a.少なくとも1つのマンドレル;及び
b.前記少なくともひとつのマンドレル上に配置した複数の磁気的に分離した超伝導導体
【請求項84】
電流を送信するシステムで使用可能なケーブルであって、該ケーブルは以下のものよりなる:
a.すくなくとも1つのマンドレル;及び
b.前記超伝導導体を磁気的に分離するよう前記少なくとも1つのマンドレル上に編み込まれた複数の超伝導導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−536700(P2007−536700A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510736(P2007−510736)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009563
【国際公開番号】WO2005/109451
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(505448796)スーパーパワー インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】