説明

磁気記録再生装置および磁気記録再生装置付き伝票プリンタと磁気記録再生方法

【課題】 磁気ヘッドの先端が不用意に用紙や磁気記録媒体に引っ掛かることがなく、また、磁気記録媒体の貼着位置が異なる様々な用紙に対処して磁気情報の読み取りや書き込みを行うことができ、用紙挿入時の位置ずれによる影響も受けにくい磁気記録再生装置を提供すること。
【解決手段】 通帳100を下面側から支えるガイドプレート5よりも下方に磁気ヘッド13を退避させた状態で磁気ヘッド13を通帳100の挿入方向と直交する方向に移動させて磁気ヘッド13の位置決めを行ってから、磁気ヘッド13をスリット15から突出させて通帳100の磁気ストライプ101に当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録再生装置および磁気記録再生装置付き伝票プリンタと磁気記録再生方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に貼着された磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行うための磁気ヘッドを備えた磁気記録再生装置あるいは磁気記録再生装置付き伝票プリンタとしては、例えば、特許文献1に開示されるような磁気記録再生装置,特許文献2に開示されるような磁気ストライプ読取書込機構,特許文献3に開示されるような通帳・証書の発行装置等が既に公知である。
【0003】
特許文献1に開示された磁気記録再生装置は、通帳等の用紙を下面側から支えるガイドプレートに開口部を設け、このガイドプレートの下方に磁気ヘッドを設けて前記開口部から上方に突出する方向に付勢し、磁気ヘッドの先端を通帳の下面に押し当てて磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行う構造のものであり、その構造上、通帳の搬送方向あるいは磁気ヘッドの移動方向によっては、通帳の端部が磁気ヘッドに引っ掛かるといった不都合が生じる可能性があった。
【0004】
また、通帳等の用紙に磁気記録媒体として貼着して利用する磁気ストライプの貼着パターンには、図13(a)〜図13(b)に示されるような横方向型のものと、図13(c)〜図13(f)に示されるような縦方向型のものとの2種があり、同じ横方向型のもの、あるいは、同じ縦方向型のものでも、通帳100上における磁気ストライプ101の貼着位置は、通帳の発行元等の違いによって様々な規格が存在している。
【0005】
特許文献1に開示された磁気記録再生装置は、このうち、通帳100の搬送方向に直交する磁気ストライプ101を備えたもの、例えば、図13(a)〜図13(b)に示されるような通帳100を取り扱うことを前提として構成されたもので、ガイドプレート102と其の開口部103および通帳100の搬送方向と磁気ヘッド104の移動方向の関係は図12に示されるようなものとなっている。
つまり、図12中で通帳100の搬送方向は右から左、また、磁気ヘッド104の移動方向は紙面垂直方向である。
磁気ヘッド104の先端部には、磁気ヘッド104の先端を全幅に亘って磁気ストライプ101に確実に接触させるためのテーパ面が形成されているが、このテーパ面は磁気情報の読み書きを行う際の通帳100に対する磁気ヘッド104の移動方向に沿って上に凸の状態、つまり、図12の紙面および図12中のガイドプレート102と直交する平面内で上に凸の状態となるように形成されているので、磁気ヘッド104の移動方向すなわち図12の紙面と直交する方向から見た場合、磁気ヘッド104の先端は図12に示されるような平面形状となり、その左右両側部に角部が形成されるので、通帳100の搬送時に通帳100の先端が磁気ヘッド104に引っ掛かる可能性がある。
磁気ヘッド104のホームポジションは、通常、通帳100の搬送方向と直交してガイドプレート100上の幅方向の何れかの一端部に決められているので、通帳100の端が磁気ヘッド104に引っ掛かると、通帳100の姿勢が不用意に変化してしまい、例えば、図13(a)中のαの方向に傾くといった可能性があり、このような状態で磁気ヘッド104を通帳100の搬送方向に直交させて移動させても、磁気ストライプ101の中心に沿って磁気ヘッド104を適正に移動させることはできず、磁気情報の読み取りや書き込みを正常に行うことはできない。
【0006】
一方、図13(c)〜図13(f)に示されるような通帳100を取り扱うことを前提としたものとしては、ガイドプレート102と開口部103および通帳100の搬送方向の関係を図11のようにした磁気記録再生装置が知られている。
このような構成では、通常、磁気ヘッド104は移動せず、通帳100の搬送で生じる通帳100と磁気ヘッド104との間の相対移動を利用して磁気ストライプ101から磁気情報の読み取りや書き込みを行うようになっている。
図11中で通帳100の搬送方向は右から左であり、従って、通帳100に対する磁気ヘッド104の相対的な移動方向は左から右である。
図11に示されるように磁気ヘッド104を通帳100の搬送方向に相対移動させることを前提とした構成では、磁気ヘッド104の先端部のテーパ面は図11に示される通り通帳100の搬送方向に沿って上に凸の状態となるので、通帳100の先端が磁気ヘッド104に引っ掛かるといった可能性は低い。
しかし、既に述べた通り、磁気ヘッド104は図11の紙面垂直方向には移動しないので、磁気ヘッド104が常に通帳100の幅方向の特定位置にのみ摺接することになり、この位置に磁気ストライプ101を貼着しない限り、磁気情報の読み取りや書き込みを行うことはできない。
つまり、磁気記録再生装置の仕様を特定することによって図13(c)〜図13(f)の何れかの仕様の通帳100に対処することができるが、他の仕様の通帳100に対処することはできないといった問題がある。
また、取り扱いの対象とする通帳100を特定したとしても、必ず、その通帳100の磁気ストライプ101の位置が磁気ヘッド104と摺接するように通帳100を位置決めして用紙挿入口に差し込まなければならないといった煩わしさがある。
通常、ガイドプレート102の横幅は、通帳100の挿入を容易にする必要上、通帳100の幅に比べて大きめに作られているので、例えば、ガイドプレート102の幅方向の端部に設けられたサイドプレートに通帳100の幅方向の端部を押し当てながら通帳100を挿入するといった操作が必要となり、これが煩わしい。
このような問題を解消するため、図11に示されるような構成において磁気ヘッド104を紙面垂直方向に移動させることも考えられる。しかしながら、そうした場合、単純に磁気ヘッド104を紙面垂直方向に移動させるようにすると、通帳100に対する磁気ヘッド104の相対的な移動方向は図12のものと同様となり、前記と同様、磁気ヘッド104の角部が通帳100の端部に引っ掛かってしまうといった不都合を生じる。
【0007】
また、特許文献2に開示された磁気ストライプ読取書込機構では、磁気ヘッド104の取り付け位置を、通帳100の搬送方向と直交する方向、つまり、図11中の紙面垂直方向の何箇所かの位置に変更することで、図13(c)〜図13(f)に示されるような様々な仕様の通帳100に対処する構成を提案している。
しかし、磁気ヘッド104の取り付け位置の変更には、磁気ストライプ読取書込機構のケーシングの分解や磁気ヘッド104の脱着といった複雑な作業が必要であり、当然、このような作業を銀行の預金者等のユーザが其の都度に行えるわけではない。
つまり、特許文献2で開示された磁気ストライプ読取書込機構は、銀行等に装置を納入する際に銀行毎の仕様に応じて磁気ストライプ読取書込機構の調整を可能として装置に汎用性を持たせたものに過ぎず、単一の磁気ストライプ読取書込機構によって、様々なユーザが次々と挿入する仕様の異なる通帳100に対処できるといったものではない。
また、磁気ヘッド104は、予め決められた何箇所かの取り付け位置から一つの位置を選択して取り付けるようになっており、その取り付け位置は完全に自由なものではない。
結果的に、前述した特許文献2のものと同様、一つの装置で様々な仕様の通帳100に対処することはできず、また、通帳100の挿入時に生じる位置ずれにも対処できないといった不都合がある。
【0008】
これに対し、特許文献3に開示された通帳・証書の発行装置は、ガイドプレート102の幅方向の端部に設けられた位置決め用のサイドプレートを移動可能とした構成を有するもので、このサイドプレートで通帳100の側端部を押して通帳100を搬送方向と直交する方向に移動させることが可能である。
しかし、このようにして通帳100を強制的に幅方向に移動させると、通帳100それ自体に皺や汚れ等の損傷が生じる可能性が高い。
また、サイドプレートを移動させて通帳100の端部を押すことはできても通帳100の端部を引くことはできないので、前述した特許文献1のものと同様、本質的に、通帳100の幅方向の端部をサイドプレートに押し当てて位置決めする必要がある。特に、通帳100の幅方向の端部がサイドプレートから用紙搬送路の中央寄りの位置に大きくずれているような場合では、磁気情報の読み取りや書き込みが全く行えなくなる不都合がある。
【0009】
【特許文献1】特開2002−288591号公報(段落番号0032,0033)
【特許文献2】特開平9−245416号公報(段落番号0027)
【特許文献3】特開平2−106373号公報(第2頁左下欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、前記従来技術の不都合を改善し、磁気ヘッドの先端が不用意に用紙や磁気記録媒体に引っ掛かることがなく、また、磁気記録媒体の貼着位置が異なる様々な用紙に対処して磁気情報の読み取りや書き込みを行うことができ、用紙挿入時の位置ずれによる影響も受けにくい磁気記録再生装置および磁気記録再生装置付き伝票プリンタと磁気記録再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の磁気記録再生装置は、用紙に貼着された磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行うための磁気ヘッドを備えた磁気記録再生装置であり、前記課題を達成するため、特に、
磁気ヘッドの先端部の突出を許容するスリットを用紙の挿入方向と直交する方向に有して用紙を下面側から支えるガイドプレートと、
ガイドプレートの下方に位置し、ガイドプレートと平行な平面内で、前記磁気ヘッドの水平移動をスリットの長手方向に沿ってガイドするガイド手段と、
前記ガイド手段によって規制される直線移動方向に沿って磁気ヘッドに送りを掛けるための送り手段と、
前記スリットから突出する方向とスリットから下方に退避する方向に磁気ヘッドを上下移動させるための磁気ヘッド昇降手段とを備えたことを特徴とする構成を有する。
【0012】
以上の構成により、用紙を下面側から支えるガイドプレートよりも下方に磁気ヘッドを退避させた状態で磁気ヘッドをスリットの長手方向、つまり、用紙の挿入方向と直交する方向に移動させて磁気ヘッドの位置決めを行ってから、磁気ヘッドをスリットから突出させて用紙の磁気記録媒体に当接させることができるようになった。
従って、用紙の搬送時に用紙の端部が磁気ヘッドに引っ掛かる不都合が解消される。また、磁気記録媒体の貼着位置が異なる様々な種類の用紙に対処することが可能であり、同様に、用紙の挿入時の位置ずれで生じる磁気記録媒体の位置のバラツキにも対応が可能となる。
【0013】
更に、磁気ヘッドがスリットから突出する方向に上昇した状態で磁気ヘッドを上昇方向に付勢する蓄勢手段を併設してもよい。
【0014】
磁気ヘッドの先端を確実に磁気記録媒体に押し当てることができるので、磁気情報の読み取りや書き込みを的確に行うことができる。磁気ヘッドの位置決めに際しては磁気ヘッドを下方に退避させた状態で磁気ヘッドに送りが掛けられるので、磁気ヘッドの先端を付勢して磁気記録媒体に押し当てる構造であっても、用紙の搬送時に用紙の端部が磁気ヘッドに引っ掛かる不都合は生じない。
【0015】
具体的な構成として、前記ガイド手段が、磁気記録再生装置のフレームに両端を支持されたガイドロッドによって構成されると共に、
前記磁気ヘッドが、前記ガイドロッドに摺嵌されたキャリアに対して昇降自在に取り付けられ、
前記磁気ヘッド昇降手段が、
前記キャリア内で磁気ヘッドを上昇方向に向けて定常的に付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗して磁気ヘッドを下降位置に移動させる強制復帰手段とによって構成され、
前記付勢手段が前記蓄勢手段を兼ねている磁気記録再生装置を提案する。
【0016】
ガイド手段となるガイドロッドにキャリアを介して磁気ヘッドを取り付け、この磁気ヘッドのみを上下移動させる構成とすることで、ガイドロッドを含む構成要素全体を上下移動させる場合と比べ、磁気ヘッドの上下移動に必要とされる磁気ヘッド昇降手段の構造の小型化と磁気ヘッドの上下動に必要とされるエネルギーの軽減が実現される。
また、磁気ヘッドを上昇方向に向けて定常的に付勢する付勢手段を用いて磁気ヘッドを上昇させる構成とすることで、この付勢手段を其のまま蓄勢手段として転用することが可能となり、磁気ヘッドの先端を磁気記録媒体に押し当てるための蓄勢手段を付勢手段と独立して配備する場合と比べて構造が簡略化され得る。
【0017】
より具体的には、前記付勢手段は、
前記ガイドロッドに対して略平行となるように前記キャリア内に固設された軸によって中央部を回転自在に軸支されて其の一端部を前記磁気ヘッドの下端部に枢着された揺動部材と、
前記軸を中心として、前記磁気ヘッドが上昇する方向に、前記揺動部材を回転付勢するスプリングとによって構成することができ、
また、前記強制復帰手段は、
前記揺動部材の他端部に摺接する摺接部を有して、前記ガイドロッドに対して平行となるように前記フレームに配備され、少なくとも前記摺接部の上下移動が可能な昇降プレートと、
少なくとも前記昇降プレートの前記摺接部を上下移動させる昇降プレート駆動手段とによって構成することができる。
【0018】
このような構成を適用した場合、キャリア内の軸によって中央部を回転自在に軸支された揺動部材がスプリングによって回転付勢され、揺動部材の一端部に枢着された磁気ヘッドが上昇方向に向けて定常的に付勢されることになる。また、揺動部材の他端部には昇降プレートの摺接部が摺接しているので、昇降プレート駆動手段によって昇降プレートの摺接部を上昇させることで揺動部材の他端部が上方に持ち上げられ、揺動部材の一端部が下降して、この一端部に枢着された磁気ヘッドが下降する。
昇降プレートはガイドロッドに対して平行となるように配備されているので、キャリアおよび磁気ヘッドがガイドロッド上のどのような位置にあっても、昇降プレートの摺接部の上下動によって確実に磁気ヘッドの上下移動を実現することができる。
このように、磁気ヘッド昇降手段のうち付勢手段に相当する部分をキャリア上に設け、強制復帰手段に相当する部分、つまり、モータ,ソレノイド等を始めとする駆動源を必要とする部分をフレーム側に配備することにより、強制復帰手段およびその駆動源をキャリアに実装した場合と比べ、移動部材であるキャリアの小型化と質量の軽減化の面で有利である。
また、強制復帰手段の駆動源自体がキャリアと共に移動する必要もなくなるので、リード線の断線等といった故障因子が減少し、装置の耐久性が向上する。
【0019】
あるいは、前記付勢手段を、
前記キァリアと前記磁気ヘッドとの間に設けられた平行リンク機構と、前記磁気ヘッドが上昇する方向に前記平行リンク機構を姿勢変化させるスプリングとによって構成し、
前記強制復帰手段を、
前記ガイドロッドに対して略平行となるように前記キャリア内に固設された軸によって中央部を回転自在に軸支されて其の一端部を前記平行リンク機構の上面に摺接させた揺動部材と、
前記揺動部材の他端部に摺接する摺接部を有して、前記ガイドロッドに対して平行となるように前記フレームに配備され、少なくとも前記摺接部の上下移動が可能な昇降プレートと、
少なくとも前記昇降プレートの前記摺接部を上下移動させる昇降プレート駆動手段とによって構成するようにしてもよい。
【0020】
このような構成を適用した場合では、キァリアと磁気ヘッドとの間に設けられた平行リンク機構が、平行リンク機構を姿勢変化させるスプリングの力を受けて、磁気ヘッドを上昇方向に向けて定常的に付勢することになる。また、キャリア内の軸によって中央部を回転自在に軸支された揺動部材の一端部が平行リンク機構の上面に摺接し、更に、揺動部材の他端部には昇降プレートの摺接部が摺接しているので、昇降プレート駆動手段によって昇降プレートの摺接部を上昇させることで揺動部材の他端部が上方に持ち上げられ、揺動部材の一端部が下降して、この一端部で平行リンク機構の上面が押されて磁気ヘッドが下降する。
前記と同様、昇降プレートはガイドロッドに対して平行となるように配備されているので、キャリアおよび磁気ヘッドがガイドロッド上のどのような位置にあっても、確実に磁気ヘッドの上下移動を実現することができ、また、移動部材であるキャリアの小型化と質量の軽減化が可能であり、リード線の断線等といった故障因子もなくなって装置の耐久性が向上する。
【0021】
また、前述の昇降プレートは、前記ガイドロッドに匹敵する長さを有する長尺の板状体から成り、その一側に前記揺動部材の他端部と摺接する摺接部を有して他側を中心として前記フレームに揺動自在に取り付けられ、
前記昇降プレート駆動手段は、
前記昇降プレートの前記他側を中心として前記昇降プレートの前記摺接部を揺動させる揺動駆動手段によって構成されていることが望ましい。
【0022】
昇降プレートのうち実際に昇降動作が必要となるのは揺動部材の他端部と摺接する摺接部のみであるから、長尺の板状体から成る昇降プレートの一側に摺接部を設けて他側を軸支し、昇降プレートの揺動による姿勢変化で摺接部を上下動させるといった簡便な構成が適用でき、複雑な直動機構を採用した場合と比べ、構造の簡素化と製造コストの低減化が可能である。
【0023】
また、揺動部材の他端部には、昇降プレートの摺接部と当接するベアリングを設けることが望ましい。
【0024】
キャリア側に設けられた揺動部材とフレーム側に設けられた昇降プレートとの間の摺接抵抗が軽減されるので、ガイドロッドによって規制される直線移動方向に沿って磁気ヘッドに滑らかに送りを掛けることができる。
【0025】
更に、ガイドプレートのスリットから下方に退避した磁気ヘッドの先端とスリットとの間の空間に出没してスリットを塞ぐシャッタを併設することが望ましい。
【0026】
磁気記録媒体の貼着位置が異なる様々な種類の用紙に対処し、更には、用紙挿入時の位置ずれで生じる磁気記録媒体の位置のバラツキにも対処するため、用紙の挿入方向と直交する方向に対する磁気ヘッドの移動ストロークを大きく取る必要があり、このため、スリットの長さも必然的に長くなるが、磁気ヘッドが退避した状態でスリットを塞ぐシャッタを併設することで、用紙の端部がスリットに引っ掛かる不都合を未然に防止することができる。
【0027】
このシャッタは、具体的には、スリット側の面を上に凸とした部分円弧状の断面を有する長尺の板状体と、スリットよりも下方位置を揺動中心として此の板状体を揺動自在に保持すべく設けられた長手方向両端部のアームとによって構成することができる。
また、このアームを揺動する揺動駆動手段は、磁気ヘッドがスリットから下方に退避した状態で長尺の板状体が磁気ヘッドの先端とスリットとの間の空間に位置し、また、磁気ヘッドがスリットから突出した状態で長尺の板状体が前記空間から離脱するように前記揺動中心を中心としてアームを揺動させるように構成する。
【0028】
シャッタの揺動による姿勢変化でスリットを開閉するといった簡便な構成を適用することにより、構造の簡素化と製造コストの低減化が可能となる。
また、スリットを塞ぐ部分として機能する長尺の板状体を上に凸の状態に形成することで、この円弧状部分を、アームの揺動動作によってスリットに突入させることが可能となる。円弧状断面の板状体によって実質的にガイドプレートと同一平面上でスリットを塞ぐことが可能となるので、スリットおよびシャッタに対する用紙の引っ掛かりをより確実に防止することができる。
【0029】
更に、シャッタのアームを揺動させる揺動駆動手段と前記昇降プレートを揺動させる揺動駆動手段とを単一の駆動源によって協調動作するように構成することが可能である。
【0030】
昇降プレートの摺接部の上下動に必要とされる動きとシャッタの開閉に必要とされる動きを共に揺動動作とすることで、単一の駆動源を利用して昇降プレートとシャッタの協調動作を実現することが可能となる。
協調動作の実現のためにはリンク機構やカム等を利用することができ、これらの機械要素を適切に組み合わせることで、昇降プレートの揺動動作とシャッタの開閉動作を協調させること、つまり、磁気ヘッドがスリットから下方に退避した状態(昇降プレートの摺接部が上昇した状態)でシャッタの板状体が磁気ヘッドの先端とスリットとの間の空間に位置してスリットを塞ぎ、また、磁気ヘッドがスリットから突出した状態(昇降プレートの摺接部が下降した状態)でシャッタの板状体が前記空間から離脱してスリットを開放するように構成することができる。
【0031】
本発明の磁気記録再生装置付き伝票プリンタは、前述した何れかの構成を備えた磁気記録再生装置を有し、更に、
前記ガイドプレート上に搬入された前記用紙の挿入方向と直交する方向の用紙の端部位置を検知するセンサと、
前記用紙の端部位置から前記磁気記録媒体の貼着位置までの離間距離を記憶した記憶手段と、
前記センサで検知された端部位置から前記離間距離相当分の距離だけ前記用紙の挿入方向と直交する方向に移動した位置を移動目標位置として前記送り手段を駆動制御し、スリットから下方に退避した状態にある磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の貼着位置に位置決めし、更に、前記磁気ヘッド昇降手段により磁気ヘッドをスリットから突出する方向に移動させて前記磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行って、前記磁気ヘッド昇降手段により磁気ヘッドをスリットから下方に退避させてから、磁気ヘッドのホームポジションを移動目標位置として前記送り手段を駆動制御する制御部とを備えたことを特徴とする構成を有する。
【0032】
以上の構成により、ガイドプレート上に搬入された用紙の挿入方向と直交する方向の用紙の端部位置がセンサで検知され、この端部位置が制御部に一時記憶される。この際、例えば、座標系としては用紙の搬送方向と直交する数直線を利用し、ガイドプレートの幅方向の端部に設けられたサイドプレートの位置等を座標原点として用紙の端部位置を検出するようにする。また、センサは磁気記録再生装置付き伝票プリンタの印字ヘッド等に設けることが可能であり、その場合は、用紙の挿入時に印字ヘッドに送りを掛けて用紙の挿入方向と直交する方向にセンサを移動させ、センサが用紙の端部を検知した時のホームポジションからの印字ヘッドの移動量、具体的には、印字ヘッドに送りを掛けるステッピングモータの駆動指令パルスの積算値に基づいて、座標原点から用紙の端部までの距離を求めることができる。
そして、この用紙の仕様に基づいて記憶手段を検索し、この用紙の端部位置から磁気記録媒体の貼着位置までの離間距離(用紙に対応した仕様)を求める。
磁気ヘッドを移動させるべき目標位置は、座標原点から用紙の端部までの距離に用紙の端部位置から磁気記録媒体の貼着位置までの離間距離を加算した値である。
そして、この位置を移動目標位置として送り手段を駆動制御し、スリットから下方に退避した状態にある磁気ヘッドを用紙上の磁気記録媒体の貼着位置に位置決めする。
特に、シャッタを有する磁気記録再生装置を備えた伝票プリンタの場合では、磁気ヘッドがスリットから下方に退避して用紙の挿入方向と直交する方向に移動する状態で、必然的にシャッタがスリットを閉鎖した状態となるので、ガイドプレート上に搬入される用紙の端部が磁気ヘッド更にはスリットに引っ掛かるといった問題を確実に解消できる。
そして、磁気記録媒体の貼着位置に磁気ヘッドの位置決めが完了した時点で、磁気ヘッド昇降手段を作動させて磁気ヘッドをスリットから突出する方向に移動させ、磁気ヘッドの先端を磁気記録媒体に当接させて磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行う。
この際、シャッタを有する磁気記録再生装置を備えた伝票プリンタの場合では、磁気ヘッドの上昇にあわせてシャッタが揺動してスリットを開放する。
磁気情報の読み取りや書き込みは、横方向型の磁気記録媒体を有する用紙に対応した磁気記録再生装置を備えた伝票プリンタの場合では、送り手段で磁気ヘッドを用紙の挿入方向と直交する方向に移動させることで行われ、また、縦方向型の磁気記録媒体を有する用紙に対応した磁気記録再生装置を備えた伝票プリンタの場合では、用紙搬送方向に沿って用紙に送りを掛けて磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動させることで行われる。
磁気情報の読み取りや書き込みが完了した時点で、磁気ヘッド昇降手段を再び作動させて磁気ヘッドをスリットから下方に退避させ、更に、磁気ヘッドのホームポジションを移動目標位置として送り手段を駆動制御することで磁気ヘッドをホームポジションに戻す。シャッタを有する磁気記録再生装置を備えた伝票プリンタの場合、磁気ヘッドの下降にあわせてシャッタが揺動してスリットを閉鎖する。
磁気ヘッドは下降した状態でホームポジションに復帰し、スリットはシャッタで閉鎖された状態となって、磁気記録再生装置付き伝票プリンタの状態が初期の待機状態に戻る。
【0033】
本発明の磁気記録再生方法は、用紙を下面側から支えるガイドプレートよりも下方に磁気ヘッドを退避させた状態で前記ガイドプレート上に用紙を搬入し、
前記用紙の挿入方向と直交する方向で前記ガイドプレートに形成されたスリットに沿って前記磁気ヘッドを直線移動させて用紙の磁気記録媒体の貼着位置に前記磁気ヘッドを位置決めし、
前記磁気ヘッドを前記スリットから突出させて用紙の磁気記録媒体に当接させて磁気情報の読み取りや書き込みを行ってから、
前記磁気ヘッドを前記スリットから下方に退避させた状態で前記スリットに沿って直線移動させてホームポジションに復帰させることを特徴とする構成を有する。
【0034】
用紙を下面側から支えるガイドプレートよりも下方に磁気ヘッドを退避させた状態で磁気ヘッドをスリットの長手方向、つまり、用紙の挿入方向と直交する方向に移動させて磁気ヘッドの位置決めを行ってから、磁気ヘッドをスリットから突出させて用紙の磁気記録媒体に当接させるようにしているので、用紙の搬送時に用紙の端部が磁気ヘッドに引っ掛かる不都合が解消され、また、磁気記録媒体の貼着位置が異なる様々な種類の用紙に対処すること、および、用紙の挿入時の位置ずれで生じる磁気記録媒体の位置のバラツキに対応することが可能となった。
【0035】
更に、磁気ヘッドがガイドプレートよりも下方に退避した状態ではガイドプレートのスリットをシャッタで塞ぎ、磁気ヘッドがスリットから突出する際にシャッタを開くようにすることが望ましい。
【0036】
磁気ヘッドの移動ストロークを大きく取るためにスリットの長さを長くした場合であっても、用紙の端部がスリットに引っ掛かる不都合を防止することができる。
【0037】
ガイドプレートのスリットをシャッタで塞ぐ際には、シャッタをスリットに突入させることでシャッタの上面をガイドプレートと同一平面上に位置させるとよい。
【0038】
ガイドプレートと同一平面上でスリットを塞ぐことで、スリットおよびシャッタに対する用紙の引っ掛かりをより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の磁気記録再生装置および磁気記録再生装置付き伝票プリンタと磁気記録再生方法は、用紙を下面側から支えるガイドプレートよりも下方に磁気ヘッドを退避させた状態で磁気ヘッドを用紙の挿入方向と直交する方向に移動させて磁気ヘッドの位置決めを行ってから、磁気ヘッドをスリットから突出させて用紙の磁気記録媒体に当接させるようにしているので、用紙の搬送時に用紙の端部が磁気ヘッドに引っ掛かる不都合を解消することができ、また、磁気記録媒体の貼着位置が異なる様々な種類の用紙に対処して磁気情報の読み取りや書き込みを行ったり、更には、用紙の挿入時の位置ずれによる影響を受けることなく磁気情報の読み取りや書き込みを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明を適用した一実施形態の磁気記録再生装置付き伝票プリンタ1(以下、単に伝票プリンタ1という)の構成を示した斜視図、図2は伝票プリンタ1のパーツの一部を取り外して磁気記録再生装置2の組み込み状態を示した斜視図、また、図3は図1の矢視V1−V1で伝票プリンタ1を割って主要部を示した側断面図、図4(a)は伝票プリンタ1から磁気記録再生装置2の主要部を取り外して示した斜視図である。
【0041】
この実施形態の伝票プリンタ1は、磁気記録媒体の一種である磁気ストライプを貼着した通帳に各種の取引情報を印字したり、その磁気ストライプに対して磁気情報の読み取りや書き込みを行うためのもので、その主要部は、概略において、用紙搬送部3と印字部4および磁気記録再生装置2によって構成される。
【0042】
用紙搬送部3の主要部は、図3に示されるように、用紙の一種である通帳100を下面側から支えるガイドプレート5と、ガイドプレート5の幅方向の端部に立設されたサイドプレート6、および、ガイドプレート5と協同して通帳100の搬送を用紙の挿入方向(図1中のB方向)に沿ってガイドするアッパープレート7、ならびに、ガイドプレート5とアッパープレート7の間に挿入された通帳100に送りを掛けるための駆動ローラ8とピンチローラ9等によって構成され、図13(a)〜図13(b)に示されるような横方向型の通帳100に対応した伝票プリンタ1の場合、つまり、磁気ヘッド13を通帳100の挿入方向と直交する方向(図1中のA方向)に移動させる必要がある伝票プリンタ1の場合においては、更に、磁気ヘッド13と対向する位置にゴムローラ14を備える。
【0043】
一方、印字部4の主要部は、図1に示されるように、通帳100に各種の取引情報を印字するためのドットインパクト型印字ヘッド10と、この印字ヘッド10を保持するためのキャリッジ11等によって構成される。印字ヘッド10が使用するインクリボンや、キャリッジ11の移動方向を通帳100の挿入方向と直交する方向に規制するキャリッジガイド、および、キャリッジガイドに沿ってキャリッジ11に送りを掛けるためのキャリッジ駆動機構(キャリッジ駆動モータ)や、駆動ローラ8を回転駆動して通帳100を搬送するための搬送モータ等に関しては記載を省略している。
【0044】
このうち、ガイドプレート5,サイドプレート6,アッパープレート7,駆動ローラ8,ピンチローラ9,印字ヘッド10,キャリッジ11,キャリッジガイドおよびキャリッジ駆動機構等については何れも公知要素であるが、この実施形態の印字ヘッド10は、ガイドプレート5上に搬入された通帳100から挿入方向と直交する方向の用紙端を検出するためのセンサ12(以下、側端部検出センサ12という)を備える点で従来のものと相違する。
【0045】
また、この実施形態のガイドプレート5は、磁気ヘッド13の先端部の突出を許容するスリット15を通帳100の挿入方向と直交する方向の全幅に亘って備える点で従来のものと相違する。
【0046】
ここで、伝票プリンタ1の主要部を構成する磁気記録再生装置2の構成について、更に、図4〜図6を加えて詳細に説明する。
【0047】
前述した通り、図4(a)は磁気記録再生装置2の主要部を伝票プリンタ1から取り外して示した斜視図であり、また、図5および図6は磁気記録再生装置2の構成要素の1つであるキャリア16の構成について示した断面図であって、このうち図5では図13(a)〜図13(b)に示されるような横方向型の通帳100に対応するキャリア16の構成の一例について、また、図6では図13(c)〜図13(f)に示されるような縦方向型の通帳100に対応するキャリア16の構成の一例について具体的に示している。
前述したゴムローラ14を必要とするのは図6に示されるような縦方向型の通帳100に対応するキャリア16を装着した磁気記録再生装置2を備えた伝票プリンタ1である。
【0048】
磁気記録再生装置2の主要部は、図3に示す通り、概略において、磁気ヘッド13とキャリア16、および、キャリア16の移動方向を規制するガイド手段17と、ガイド手段17に沿ってキャリア16に送りを掛けるための送り手段20、ならびに、キャリア16に取り付けられた磁気ヘッド13を上下方向に移動させるための磁気ヘッド昇降手段21によって構成される。
【0049】
ガイド手段17は、磁気記録再生装置2の一部を構成するガイドプレート5の下方に位置し、ガイドプレート5と平行な平面内で、磁気ヘッド13の水平移動をスリット15の長手方向に沿ってガイドするためのものである。
【0050】
このガイド手段17は、磁気記録再生装置2のフレーム22に両端を支持された2本のガイドロッド18,19によって構成される。
【0051】
そして、ガイドロッド18,19には、磁気ヘッド13を取り付けたキャリア16が移動自在に摺嵌されている。
【0052】
また、送り手段20は、ガイドロッド18,19によって規制される直線移動方向に沿って磁気ヘッド13(キャリア16)に送りを掛けるためのもので、具体的には、図4(a)に示されるように、フレーム22の一端側に設けられた駆動プーリ23と、フレーム22の他端側に回動自在に設けられた従動プーリ24、および、駆動プーリ23と従動プーリ24との間に掛け渡されて駆動対象となるキャリア16に接続されたタイミングベルト25と、駆動プーリ23を回転駆動するためのキャリア駆動モータ26によって構成される。
【0053】
磁気ヘッド昇降手段21は、ガイドプレート5のスリット15から上方に突出する方向と当該スリット15から下方に退避する方向に磁気ヘッド13を上下移動させるためのもので、その主要部は、概略において、キャリア16内で磁気ヘッド13を上昇方向に向けて定常的に付勢する付勢手段27と、この付勢手段27の付勢力に抗して磁気ヘッド13を下降位置(図3に示す磁気ヘッド13の位置)に移動させる強制復帰手段28とによって構成される。
【0054】
ここで、図5〜図6を参照して磁気ヘッド昇降手段21を構成する付勢手段27と強制復帰手段28の構造について詳細に説明する。
【0055】
まず、図5に示される横方向型の通帳100に対応したキャリア16の構成について説明する。
【0056】
横方向型の通帳100に対応したキャリア16の付勢手段27は、ガイドロッド18,19に対して平行となるようにキャリア16内に固設された軸29によって中央部を回転自在に軸支されて其の一端部を磁気ヘッド13の下端部に枢着された揺動部材30と、軸29を中心として磁気ヘッド13が上昇する方向つまり図5において反時計方向に揺動部材30を回転付勢するスプリング31とによって構成される。
【0057】
また、強制復帰手段28は、ガイドロッド18,19に対して平行となるようにフレーム22に配備され、少なくとも、揺動部材30の他端部に設けられたベアリング32と摺接する摺接部33aの上下移動が可能な昇降プレート33と、この昇降プレート33の摺接部33aを上下移動させるための昇降プレート駆動手段37(図3参照)と、その駆動源として機能するインサータモータ34(図2参照)、および、インサータモータ34の回転を反復的な揺動動作に変換して昇降プレート33に伝達するための揺動駆動手段35(図4(a)参照)によって構成される。揺動駆動手段35とインサータモータ34は昇降プレート駆動手段37の一部である。
【0058】
昇降プレート33は、ガイドロッド18,19に匹敵する長さを有する長尺の板状体から成り、その一側つまり図5中で右側の部分に、揺動部材30の他端部に設けられたベアリング32と摺接する摺接部33aを有する。
そして、昇降プレート33の他側は略L字型に屈曲されてシャフト36に固着され、このシャフト36を中心としてフレーム22に揺動自在に取り付けられている。
【0059】
昇降プレート駆動手段37の駆動源として機能するインサータモータ34の回転は、図示しない歯車列を介して図3に示すカム軸38に伝達され、カム軸38に固着されたカム39が回転する。
そして、揺動駆動手段35(図4(a)参照)を構成する3つのリンク40,41,42のうち、リンク42には、カム39の外周に当接するカムフォロアー43が設けられ、カム39の回転に伴うカムフォロアー43とカム39との当接状態の変化により、その下端部を支点としてスプリング44によって時計方向に定常的に揺動付勢されているリンク42の姿勢が変化し、この姿勢変化がリンク41を介してリンク40に伝達され、更に、リンク40に固着された図5のシャフト36が回転し、該シャフト36に固着された昇降プレート33が其の他側つまり図5中で左側の部分を中心として揺動することにより、右側に位置する昇降プレート33の摺接部33aが上下動するようになっている。
【0060】
更に、この実施形態における磁気記録再生装置2は、ガイドプレート5におけるスリット15から下方に退避した磁気ヘッド13の先端とスリット15との間の空間に出没してスリット15を開鎖するシャッタ45を備える。
【0061】
シャッタ45は、図5に示すように、スリット15側の面を上に凸の状態とした部分円弧状の断面を有する長尺の板状体45aと、スリット15よりも下方位置を揺動中心として板状体45aを揺動自在に保持すべく板状体45aの長手方向の両端部に設けられたアーム45b,45bによって構成される。
【0062】
これらのアーム45b,45bを揺動させる揺動駆動手段47(図4(a)参照)は、前述のカム軸38上にカム39と並列して固着されたシャッタカム48(図2参照)と、シャッタ45の長手方向手前側の端部に設けられたアーム45bに係合するシャッタリンク機構46(図4(a)参照)、および、シャッタリンク機構46の端部に取り付けられてシャッタカム48の外周に当接するカムフォロアー62によって構成される。
【0063】
シャッタリンク機構46の構成を図4(b)に示す。シャッタリンク機構46は、図4(b)に示されるように、フレーム22の底板上に固設された舌片64に回転軸65を介して其の中央部を揺動自在に軸支された揺動桿66と、揺動桿66の一端部に取り付けられてシャッタカム48の外周に当接するカムフォロアー62、および、揺動桿66の他端部とアーム45b上のピン67に両端部を枢着されたリンク部材68と、カムフォロアー62をシャッタカム48の外周に当接させる方向、すなわち、回転軸65を中心として図4(b)中で揺動桿66を時計方向に揺動付勢するためのスプリング69によって構成される。
以上の構成において、シャッタカム48の回転によりカムフォロアー62とシャッタカム48の当接状態が変化し、カムフォロアー62がスプリング69の付勢力に抗してシャッタカム48の外周部によって図4(b)中で上方に持ち上げられて揺動桿66が図4(b)中の反時計方向に揺動すると、アーム45bの揺動中心よりも図4(b)中で右側に取り付けられたピン67が揺動桿66の他端部に枢着されたリンク部材68を介して下方に引かれ、シャッタ45が図4(b)中で時計方向に揺動して前述のスリット15が開放される。
また、これとは逆に、シャッタカム48の回転によってカムフォロアー62とシャッタカム48の当接状態が変化し、カムフォロアー62がスプリング69の付勢力によって図4(b)中で下方に押し下げられて揺動桿66が図4(b)中の時計方向に揺動すると、アーム45bの揺動中心よりも図4(b)中で右側に取り付けられたピン67が揺動桿66の他端部に枢着されたリンク部材68を介して上方に押し上げられ、シャッタ45が図4(b)中の反時計方向に揺動することによって図4(b)に示される初期位置に復帰して、前述のスリット15が閉鎖されるようになっている。
アーム45bの揺動によって揺動桿66の回転軸65とアーム45b上のピン67との離間距離が変化するが、この離間距離の変化は、ピン67と揺動桿66の他端部に枢着されたリンク部材68の姿勢変化によって吸収される。
【0064】
更に、この実施形態においては、昇降プレート33の揺動駆動手段35を作動させる駆動源として機能するインサータモータ34が、シャッタ45の揺動駆動手段47を作動させるための駆動源としても機能する。
【0065】
シャッタ45を駆動する揺動駆動手段47の駆動源として機能するインサータモータ34の回転は、前述した通り、図示しない歯車列を介して図3に示すカム軸38に伝達される。
そして、カム軸38に固着されたシャッタカム48が回転すると、前述した通り、シャッタカム48の回転に伴うカムフォロアー62とシャッタカム48との当接状態の変化によってシャッタリンク機構46の姿勢が変化し、この姿勢変化がシャッタリンク機構46と係合したアーム45bに伝達されてシャッタ45が揺動し、シャッタ45における板状体45aの部分が、図5に示されるようなスリット15を閉鎖する位置から図2に示されるようなスリット15を開放する位置へと退避し、あるいは、図2のスリット開放位置から図5のスリット閉鎖位置へと移動する。
【0066】
また、この動作と並行してカム軸38に固着されたカム39も回転する。カム39の回転によってカム39に対するカムフォロアー43の当接状態が変化すると、リンク42が揺動し、この姿勢変化がリンク41を介してリンク40に伝達され、リンク40に固着された図5のシャフト36が回転する。
【0067】
シャフト36が図5中で時計方向に回転した場合には、シャフト36に固着された昇降プレート33が時計方向に揺動し、昇降プレート33の摺接部33aが下降して、この結果、キャリア16内に固設された軸29によって軸支された揺動部材30がスプリング31の付勢力に従って図5中で反時計方向に揺動し、揺動部材30の一端部に枢着された磁気ヘッド13の上昇が始まる。
この時点では既にシャッタ45が図5のスリット閉鎖位置から図2のスリット開放位置に退避しており、磁気ヘッド13はスリット15を超えて上昇することになる。
【0068】
上昇した磁気ヘッド13の先端はガイドプレート5とアッパープレート7との間に挟まれた通帳100の磁気ストライプ101に当接することになるが、この状態でもスプリング31は或る程度の蓄勢状態を維持しており、このスプリング31の蓄勢力によって、磁気ヘッド13の先端が磁気ストライプ101に確実に押し付けられる。
つまり、この実施形態においては、付勢手段27の主要部を構成するスプリング31が、スリット15から突出した状態で磁気ヘッド13を上昇方向に付勢する蓄勢手段として機能していることになる。
【0069】
また、これとは逆に、シャフト36が図5中で反時計方向に回転した場合には、シャフト36に固着された昇降プレート33が反時計方向に揺動し、昇降プレート33の摺接部33aが上昇して揺動部材30のベアリング32を強制的に押し上げる。
この結果、キャリア16内に固設された軸29によって軸支された揺動部材30がスプリング31の付勢力に抗して図5中で時計方向に揺動し、揺動部材30の一端部に枢着された磁気ヘッド13が下方に移動して図5に示されるような退避位置へと復帰する。
この際、シャッタ45における板状体45aの部分が、図2に示すようなスリット開放位置から図5に示されるようなスリット閉鎖位置へと移動する。
図5に示す状態が、磁気ヘッド13およびシャッタ45の初期位置である。
【0070】
つまり、昇降プレート33を揺動させて磁気ヘッド13を上下動させるための揺動駆動手段35とシャッタ45を揺動するための揺動駆動手段47との関係は、共通のカム軸38に取り付けられたカム39とシャッタカム48の形状を調整することによって、図5に示されるように磁気ヘッド13がスリット15から下方に退避した状態でシャッタ45における長尺の板状体45aを磁気ヘッド13の先端とスリット15との間の空間つまりスリット閉鎖位置に保持し、また、磁気ヘッド13がスリット15から突出した状態ではシャッタ45における長尺の板状体45aが図2に示すようなスリット解放位置に移動するようになっている。
具体的には、図3に示されるようにカムフォロアー43がカム39の大径部に接して磁気ヘッド13が下方の退避位置へと復帰した状態で、図4(b)に示されるようにカムフォロアー62がシャッタカム48の小径部に接してシャッタ45が閉鎖位置に復帰した状態となるようにカム軸38に対するカム39とシャッタカム48の取り付け角が決められ、また、磁気ヘッド13の上昇が始まる時点でシャッタ45のスリット開放位置への退避が完了し、かつ、磁気ヘッド13の退避位置への移動が完了してからシャッタ45が閉鎖されるようにカム39とシャッタカム48の外周形状が設計されている。
【0071】
次に、縦方向型の通帳100に対応したキャリア16の構成について図6を参照して説明する。
このうち図6(a)は縦方向型の通帳100に対応したキャリア16の構成の一例について示した断面図、また、図6(b)は其の平面図であり、更に、図6(c)では、磁気ヘッド13を上下移動させるための平行リンク機構の構成のみを取り出して、図6(a)を基準とする左側面図の方向性で示している。
【0072】
縦方向型の通帳100に対応したキャリア16の場合、磁気ヘッド13を上昇させるための付勢手段27は、図6(a)に示されるように、キァリア16と磁気ヘッド13との間に設けられた平行リンク機構49と、磁気ヘッド13が上昇する方向に当該平行リンク機構49を姿勢変化させるスプリング50によって構成される。
【0073】
また、縦方向型の通帳100に対応したキャリア16の場合、磁気ヘッド13を下降させるための強制復帰手段28は、ガイドロッド18,19に対して平行となるようにキャリア16内に固設された軸29によって中央部を回転自在に軸支されて其の一端部を平行リンク機構49の上面49aに摺接させる揺動部材30と、ガイドロッド18,19に対して平行となるようにフレーム22に配備され、少なくとも、揺動部材30の他端部に設けられたベアリング32と摺接する摺接部33aの上下移動が可能な昇降プレート33と、この昇降プレート33の摺接部33aを上下移動させるための昇降プレート駆動手段37(図3参照)、および、その駆動源として機能するインサータモータ34(図2参照)と、インサータモータ34の回転を反復的な揺動動作に変換して昇降プレート33に伝達するための揺動駆動手段35(図4(a)参照)によって構成される。
【0074】
前記と同様、揺動部材30は、スプリング31により軸29を中心として図6(a)中で反時計方向、つまり、磁気ヘッド13を上昇させようとする平行リンク機構49の姿勢変化を妨げない方向に回転付勢されている。また、揺動部材30において平行リンク機構49の上面49aと当接する一端部には、摩擦軽減のためのベアリング51が図6(b)に示されるようにして取り付けられている。
【0075】
平行リンク機構49は、具体的には、図6(b)および図6(c)に示されるように、図6(b)の方向性を基準とする磁気ヘッド13の左右両側に一端部を揺動自在に枢着された内側リンク部材70,70と、該内側リンク部材70,70を一体的に接合する連絡部71、および、内側リンク部材70,70の他端部に一端を枢着された外側リンク部材72,72と、該外側リンク部材72,72を一体的に接合する連絡部75によって構成される。
内側リンク部材70,70と外側リンク部材72,72は、図6(c)に示されるように、軸73を介して枢着され、外側リンク部材72,72の他端部が軸74を介してキャリッジ16の基部に枢着されている。
また、軸73には前述のスプリング50が遊嵌して取り付けられ、スプリング50の両端部に形成された直線部により、軸73を中心として内側リンク部材70と外側リンク部材72が相互に離間する方向、要するに、キャリッジ16に固設された軸74を基準として磁気ヘッド13を上方に移動させる方向に、平行リンク機構49が付勢されている。
【0076】
以上の構成において、昇降プレート33の摺接部33aが下降すると、キャリア16内に固設された軸29によって軸支された揺動部材30がスプリング31の付勢力に従って図6(a)中で反時計方向に揺動し、揺動部材30の一端部に枢着されたベアリング51が上昇して、この結果、スプリング50の付勢力に従って平行リンク機構49が姿勢を変化させて磁気ヘッド13を上昇させる。
この時点では既にシャッタ45が図6(a)のスリット閉鎖位置から図2のスリット開放位置に退避しており、磁気ヘッド13はスリット15を超えて上昇することになる。
【0077】
上昇した磁気ヘッド13の先端はガイドプレート5とアッパープレート7との間に挟まれた通帳100の磁気ストライプ101に当接することになるが、この状態でもスプリング50は或る程度の蓄勢状態を維持しており、結果的に、このスプリング50の蓄勢力によって、磁気ヘッド13の先端が磁気ストライプ101に押し付けられる。
つまり、この例においては、付勢手段27の主要部を構成するスプリング50が、スリット15から突出した状態で磁気ヘッド13を上昇方向に付勢する蓄勢手段として機能することになる。
【0078】
また、これとは逆に昇降プレート33の摺接部33aが上昇すると、キャリア16内に固設された軸29によって軸支された揺動部材30のベアリング32が摺接部33aによって持ち上げられ、揺動部材30がスプリング31の付勢力に抗して図6(a)中で時計方向に揺動し、揺動部材30の一端部に枢着されたベアリング51が内側リンク部材70,70の連絡部71の上面49aを押圧する。
この結果、スプリング50の付勢力に抗して平行リンク機構49の姿勢が磁気ヘッド13を下降させる方向に変化し、磁気ヘッド13が図6(a)に示される初期位置へと復帰する。
この際、シャッタ45における板状体45aの部分が、図2に示すようなスリット開放位置から図6(a)に示されるようなスリット閉鎖位置へと移動する。
【0079】
つまり、図6に示される縦方向型のキャリア16は、付勢手段27の主要部を構成する平行リンク機構49およびスプリング50と、揺動部材30を原位置復帰させるための手段として機能するスプリング31(磁気ヘッド13を上昇方向に付勢する機能はない)と、平行リンク機構49の動作を規制するための手段として機能する揺動部材30、ならびに、平行リンク機構49を押圧するためのベアリング51の構造を除けば、その基本構造が、図5に示した横方向型のキャリア16と同様であり、また、昇降プレート33,昇降プレート駆動手段37,インサータモータ34,揺動駆動手段35,シャッタ45等に関しては、其の機能をも含めて図1〜図5に示したものと全く同様である。
【0080】
従って、図6に示される縦方向型の通帳100に対応したキャリア16を図4(a)に示される磁気記録再生装置2のキャリア16(横方向型のもの)に代えて取り付けることが可能である。
【0081】
即ち、図6に示されるキャリア16を装着した磁気記録再生装置2は縦方向型の通帳100に対応した磁気記録再生装置2となり、図5に示されるキャリア16を装着した磁気記録再生装置2は、横方向型の通帳100に対応した磁気記録再生装置2となる。
【0082】
このように、磁気記録再生装置2の主要部を構成するキャリア16の周辺構造を縦方向型および横方向型で共通化し、必要とされるパーツに単一性を持たせることにより、縦方向型の通帳100に対応する磁気記録再生装置2や伝票プリンタ1および横方向型の通帳100に対応する磁気記録再生装置2や伝票プリンタ1の量産コストを低減化することが可能となる。
なお、図6(a)に示されるキャリア16に対して磁気ヘッド13を90°ずらせて取り付けた場合、キャリア16の横幅(図6(b)における上下方向の高さ)が多少増大する問題があるが、これを横向型のキャリア16として利用することができ、また、図5に示されるキャリア16に磁気ヘッド13を90°ずらせて取り付ければ、これを問題なく縦方向型のキャリア16として利用することができる。
【0083】
次に、伝票プリンタ1が備える制御部53の構成について簡単に説明する。制御部53の主要部は、図7に示される通り、演算手段としてのCPU54と、CPU54の制御プログラムを格納したROM55、および、演算データの一時記憶等に利用されるRAM56によって構成される。
【0084】
前述したキャリア駆動モータ26とインサータモータ34および印字ヘッド10と磁気ヘッド13ならびに他の図面では記載を省略したキャリッジ駆動モータ57と搬送モータ58が、入出力回路59と各々のドライバを介してCPU54によって駆動制御され、また、前述した側端部検出センサ12と他の図面では記載を省略した用紙挿入センサ60と搬送位置検出センサ61からの検出信号が、入出力回路59を介してCPU54に読み込まれるようになっている。また、ガイドロッド18,19に沿って移動するキャリア16のホームポジション復帰を検出するためにフレーム22側に固設されたキャリアセンサ52(図4(a)参照)からの検出信号も、入出力回路59を介してCPU54に読み込まれる。
【0085】
なお、用紙挿入センサ60は用紙挿入口63に対する通帳100の挿入を検知するためのセンサであり、また、搬送位置検出センサ61は、ガイドプレート5,アッパープレート7間に形成された用紙搬送路中を移動する通帳100の先端を検知して搬送動作を制御するためのセンサである。
搬送位置検出センサ61は、用紙搬送路中において通帳100に対する機械送りが開始される位置よりも下流側の任意位置、つまり、図3において左側に位置する駆動ローラ8よりも右側(下流側)に設けられている。
【0086】
また、記憶手段として機能するROM55には、通帳100の端部位置から磁気ストライプ101の貼着位置までの離間距離(以下、オフセット値という)を通帳100の種別(発行元等)に対応させて記憶したルックアップテーブルが予め登録されているものとする。ここでいう離間距離とは、例えば、図13(c)〜図13(f)に示される10.3mm,15.7mm,40mm,100mm等の値である。
【0087】
次に、磁気記録再生装置2を備えた伝票プリンタ1の全体的な動作について、図8〜図10のフローチャートを参照して説明する。但し、初期状態における磁気ヘッド13およびシャッタ45の位置は、横方向型の場合は図5、また、縦方向型の場合は図6(a)に示されるような位置にあるものとする。
【0088】
利用者が伝票プリンタ1の通帳100を挿入すると、まず、用紙挿入センサ60が用紙の先端を検知してCPU54に挿入検出信号を出力する(ステップS1)。
【0089】
そして、この挿入検出信号を検知したCPU54が搬送モータ58を駆動制御し、駆動ローラ8を回転させて通帳100の搬送を開始する(ステップS2)。通帳100の搬送方向は図3中で左から右に向かう方向である。
【0090】
この段階では磁気ヘッド13がスリット15よりも下方に退避し、シャッタ45が図5あるいは図6(a)に示されるスリット閉鎖位置にあって、部分円弧状断面の板状体45aが図3に示すようにしてスリット15に突入するかたちで実質的にガイドプレート5と同一平面上でスリット15を塞いでいるので、通帳100の先端がスリット15の縁部やシャッタ15等に引っ掛かる心配はない。
【0091】
通常、通帳100の挿入に際しては、その側端部をサイドプレート6に押し当てて位置決めを行う必要があるが、本実施形態では必ずしも通帳100の側端部をサイドプレート6に正確に位置決めする必要はなく、単に、通帳100の側端部がサイドプレート6に対して平行となっていればよい。
【0092】
そして、駆動ローラ8の回転により通帳100の搬送が進み、通帳100の先端部が搬送位置検出センサ61によって検出されると、搬送位置検出センサ61からCPU54に先端検出信号が出力される(ステップS3)。
【0093】
この先端検出信号を検知したCPU54は、搬送モータ58に対して出力している駆動指令パルスのカウントを開始し(ステップS4)、このカウント値が設定値に達した時点で(ステップS5)、搬送モータ58の駆動を停止して、通帳100の送りを停止させる(ステップS6)。
図13(a)〜図13(b)に示されるような横型の通帳100の場合においては、通帳100の挿入端から磁気ストライプ101の中心位置に至る距離に多少の違いがある場合があるので、通帳100の種別に応じた設定値を予めROM55に記憶させておき、通帳100の種別に応じた設定値を読み出して、この設定値とカウント値を比較して搬送モータ58を停止させることでガイドプレート5上のスリット15の位置に磁気ストライプ101の中心を位置決めする必要があるが、図13(c)〜図13(f)に示される縦型の通帳100の場合では、通帳100の挿入端から磁気ストライプ101の先端位置に至る距離が共通であるから、この設定値は固定的な値で構わない。
【0094】
このようにして通帳100の送りを停止させ、ガイドプレート5上のスリット15の位置に磁気ストライプ101の幅方向の中心(横方向型の場合)もしくは先端部(縦方向型の場合)を位置決めした後、CPU54はキャリッジ駆動モータ57に対して出力する駆動指令パルスの数をカウントしつつキャリッジ駆動モータ57を駆動し、印字ヘッド10のキャリッジ11をホームポジションを起点として用紙搬送方向と直交する方向に移動させ(ステップS7)、印字ヘッド10に備えられた側端部検出センサ12からの端部検出信号の入力の有無を見張る。
【0095】
そして、キャリッジ11と一体的に移動する側端部検出センサ12が通帳100の側端部を検出すると、側端部検出センサ12からCPU54に端部検出信号が出力される(ステップS8)。
【0096】
端部検出信号の入力を検知したCPU54は、この時点における駆動指令パルスのカウント値に基づいて、キャリッジ11のホームポジションから通帳100の側端部に至る距離、即ち、サイドプレート6から通帳100の側端部に至る距離(以下、位置ずれ量という)を求めて一時記憶した後(ステップS9)、キャリッジ駆動モータ57を反転駆動して印字ヘッド10のキャリッジ11をホームポジションへと復帰させる(ステップS10)。
【0097】
次いで、CPU54は、ROM55のルックアップテーブルを検索し、現時点で挿入されている通帳100の種別に応じたオフセット値を求め(ステップS11)、このオフセット値を前述の位置ずれ量に加算して、磁気ヘッド13を位置決めすべき用紙搬送経路直交方向の移動目標位置を磁気ヘッド13のホームポジションを座標原点として求める。但し、実際に求められる値は、磁気ヘッド13をホームポジション(座標原点)から移動目標位置にまで移動させるのに必要となる駆動指令パルスの数である(ステップS12)。
なお、通帳100の種別を判定するために他のバーコードリーダ等のデバイスを設ける場合もある。
【0098】
次いで、CPU54はキャリア駆動モータ26に対して出力する駆動指令パルスの数をカウントしつつキャリア駆動モータ26を駆動制御し、送り手段20を構成する駆動プーリ23およびタイミングベルト25を作動させて、下降状態にある磁気ヘッド13を保持したキャリア16に用紙搬送経路直交方向の送りを掛けながら(ステップS13)、このカウント値が移動目標位置に相当するパルス数に達するのを待機する。
【0099】
磁気ヘッド13を下降させたままの状態でキャリア16を移動させるようにしているので、磁気ヘッド13の先端部が通帳100や磁気ストライプ101に引っ掛かることはなく、従って、通帳100に不用意な姿勢変化が生じる心配もない。
【0100】
キャリア16の送りに際しては、キャリア16側の揺動部材30をフレーム22側の昇降プレート33に摺接させたままキャリア16が移動することになるが、揺動部材30はベアリング32を介して昇降プレート33の摺接部33aに当接しているので、過大な摺接抵抗が作用することはない。
【0101】
そして、このカウント値が移動目標位置に相当する値に達し、磁気ヘッド13が通帳100における磁気ストライプ101の先端部の真下(横方向型の場合)もしくは幅方向の中心の真下(縦方向型の場合)に達したことが確認されると(ステップS14)、CPU54は、キャリア駆動モータ26の作動を止めてキャリア16の送りを停止させる(ステップS15)。
【0102】
キャリア16の移動量は、通帳100に固有のオフセット値と位置ずれ量に基づいて算出されるので、磁気ストライプ101の貼着位置が異なる様々な種類の通帳100に対処することが可能であり、同様に、通帳100の挿入時の位置ずれで生じる磁気ストライプ101の位置のバラツキにも対応することができる。
【0103】
次いで、CPU54は、昇降プレート33における揺動駆動手段35の駆動源およびシャッタ45における揺動駆動手段47の駆動源として機能するインサータモータ34を作動させ、シャッタ45を図5あるいは図6(a)に示されるスリット閉鎖位置から図2に示されるスリット開放位置に退避させると共に磁気ヘッド13を上昇させて其の先端部を通帳100の磁気ストライプ101に当接させる(ステップS16)。
【0104】
前述した通り、磁気ヘッド13の上昇が完了した段階においても、蓄勢手段として機能するスプリング31(図5のキャリア16の場合)あるいはスプリング50(図6のキャリア16の場合)には、或る程度の蓄勢状態が維持されているので、磁気ヘッド13の先端を確実に磁気ストライプ101に押し当てることができる。
【0105】
また、通帳100の仕様や挿入時における位置ずれ量の相違等によってキャリア16がガイドロッド18,19上の様々な位置で位置決めされることになるが、磁気ヘッド13を上下方向に駆動する昇降プレート33は此れらのガイドロッド18,19に対して平行となるように配備されているので、キャリア16の位置決め位置に何ら関わりなく、昇降プレート33の揺動動作で確実に磁気ヘッド13を昇降させることができる。
【0106】
次いで、CPU54は、この伝票プリンタ1に横方向型のキャリア16が実装されているのか縦方向型のキャリア16が実装されているのかを判定する(ステップS17)。
具体的には、例えば、伝票プリンタ1にディップスイッチ等を設け、工場出荷時に、取り付けたキャリア16のタイプに応じた値を手動設定するようにし、ステップS17の処理でディップスイッチ等の値を読み込んで判定処理を行うようにすればよい。
【0107】
ここで、此の伝票プリンタ1が横方向型のものであると判定された場合、CPU54は、キャリア駆動モータ26を駆動制御して送り手段20を構成する駆動プーリ23およびタイミングベルト25を作動させ、磁気ヘッド13の先端を磁気ストライプ101に当接させたままキャリア16に用紙搬送方向と直交する方向の送りを掛け、磁気ヘッド13を駆動制御して磁気ストライプ101から磁気情報を読み込み、もしくは、書き込む(ステップS18)。
【0108】
磁気ヘッド13の先端は確実に磁気ストライプ101に押し当てられているので、磁気情報の読み取りや書き込みを的確に行うことができる。
【0109】
このようにして磁気情報の読み込みや書き込みが終了すると、CPU54は、昇降プレート33における揺動駆動手段35の駆動源およびシャッタ45における揺動駆動手段47の駆動源として機能するインサータモータ34を逆方向に作動させ、磁気ヘッド13を下降させて其の先端部をスリット15よりも下方に退避させると共に、シャッタ45を図2に示されるスリット開放位置から図5あるいは図6(a)に示されるスリット閉鎖位置に復帰させる(ステップS25)。
【0110】
そして、CPU54は、用紙挿入センサ60が通帳100を検出しなくなるまで搬送モータ58を逆転方向に駆動制御し、駆動ローラ8を逆転させて通帳100を図3中で右から左に向かう方向に移動させて用紙挿入口63に排出した後(ステップS26〜ステップS27)、搬送モータ58の作動を停止させる(ステップS28)。
【0111】
排出段階では磁気ヘッド13がスリット15よりも下方に退避し、シャッタ45が図5あるいは図6(a)に示されるスリット閉鎖位置にあって、部分円弧状断面の板状体45aの部分が、図3に示されるようにしてスリット15に突入するかたちで実質的にガイドプレート5と同一平面上でスリット15を塞いでいるので、通帳100がスリット15の縁部やシャッタ15等に引っ掛かるといった心配はない。
【0112】
次いで、CPU54は、キャリア駆動モータ26を駆動制御して送り手段20を構成する駆動プーリ23およびタイミングベルト25を作動させ、下降状態にある磁気ヘッド13を保持したキャリア16にホームポジションに復帰する方向の送りを掛け、キャリアセンサ52からの検出信号の入力が確認された時点でキャリア駆動モータ26の作動を停止させ、伝票プリンタ1の各部を完全な初期状態に復帰させる(ステップS29)。
【0113】
このように、磁気ヘッド13のホームポジション復帰を待つことなく、磁気情報の読み書き終了後、直ちに磁気ヘッド13を下降させシャッタ45を閉鎖して通帳100の返送を開始することで(ステップS18,ステップS25〜ステップS26参照)、全体的な通帳処理の所要時間を短縮することができる。
【0114】
一方、ステップS17の判定処理によって此の伝票プリンタ1が縦方向型のものであると判定された場合には、CPU54は、リトライカウンタCの値を0に初期化してから(ステップS19)、搬送モータ58を駆動制御し、駆動ローラ8を回転させて通帳100を用紙搬送方向に移動させ、磁気ヘッド13の先端を磁気ストライプ101に当接させたまま磁気ヘッド13に対して磁気ストライプ101を相対移動させ、磁気ヘッド13を駆動制御して磁気ストライプ101から磁気情報を読み込み、もしくは、書き込む(ステップS20)。
【0115】
次いで、CPU54は、磁気情報の読み書きに際してのエラーの発生の有無を判定し(ステップS21)、エラーがなければ、前記と同様にしてステップS25〜ステップS29の処理を実行して通帳100を利用者に返却する。
【0116】
また、ステップS21の判定処理でエラーの発生が検出された場合には、CPU54は、更に、リトライカウンタCの現在値がリトライ許容回数N(設定値)に達しているか否かを判定する(ステップS22)。
【0117】
そして、リトライカウンタCの現在値がリトライ許容回数Nに達していなければ、CPU54は、搬送モータ58を駆動制御し、駆動ローラ8を逆転させて通帳100を磁気ストライプ101の長さ相当分だけ用紙搬送方向上流側に逆送し(ステップS23)、更に、キャリア駆動モータ26を駆動制御して送り手段20を構成する駆動プーリ23およびタイミングベルト25を作動させ、キャリア16に用紙搬送方向と直交する方向に送りを掛け、磁気ヘッド13を磁気ストライプ101の幅方向の中心から僅かにオフセットした位置にまで移動させてリトライカウンタCの値を1インクリメントし(ステップS24)、前記と同様にして、磁気ヘッド13の先端を磁気ストライプ101に当接させた状態で通帳100に送りを掛けることにより磁気ヘッド13に対して磁気ストライプ101を相対移動させ、磁気ヘッド13を駆動制御して磁気ストライプ101からの磁気情報の読み込み、もしくは、書き込みを試みる(ステップS20)。
【0118】
このリトライ処理は、最大でN回まで繰り返すことが可能であり、この間に、磁気情報の読み書きが適正に行われたことがステップS21の判定処理で検出された場合には、前記と同様にしてステップS25〜ステップS29の処理を実行して通帳100を利用者に返却する。
【0119】
また、N回のリトライ処理を繰り返しても適正な読み書きが行われず、リトライカウンタCの値がリトライ許容回数Nに達してしまった場合には、CPU54は、磁気ストライプ101に重大な損傷があるものと見做してリトライ処理を中止し、前記と同様にして、ステップS25〜ステップS29の処理を実行して通帳100を利用者に返却することになる。
銀行等で利用される伝票プリンタ1の場合には、磁気ストライプ101の損傷を知らせるアラートメッセージを表示することが望ましい。
【0120】
このように、縦方向型の伝票プリンタ1においては、磁気ストライプ101の幅方向の中心から僅かに磁気ヘッド13をずらせた状態で磁気情報の読み書きに関わる処理を繰り返すことで、磁気ストライプ101に消磁(減磁)等の問題があった場合でも、磁気情報の読み書きが可能となる場合があり、通帳100の再発行の煩わしさやランニングコストの低減化が可能となる。
【0121】
なお、ステップS24における1回分の磁気ヘッド13のオフセット移動量は、磁気ストライプ101の幅や磁気ヘッド13の大きさ等に応じて適当に決めるものとする。
【0122】
また、横方向型の伝票プリンタ1の場合においては、磁気情報の読み書きに際してエラーが生じた場合に、磁気ヘッド13を一旦ホームポジションに復帰させ、駆動ローラ8の作動で通帳100に送りを掛けて磁気ストライプ101の幅方向の中心から僅かに磁気ヘッド13をずらせた後、改めて磁気ヘッド13を搬送経路直交方向に移動させることでリトライ処理を行わせるといったことも考えられる。
【0123】
以上の処理操作に加え、実際には、通帳100に各種の取引情報を印字するための印字ヘッド10の駆動制御、および、その際に必要とされるキャリッジ駆動モータ57や搬送モータ58の駆動制御も行われるが、これらの点に関しては公知であるので説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、磁気ストライプを始めとする磁気記録媒体に磁気情報を記録し再生する磁気記録再生装置、及びこの磁気記録再生装置を有し、前記記録媒体を備えた通帳に印字する伝票プリンタに関する。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明を適用した一実施形態の磁気記録再生装置付き伝票プリンタの構成を示した斜視図である。
【図2】磁気記録再生装置付き伝票プリンタのパーツの一部を取り外して磁気記録再生装置の組み込み状態を示した斜視図である。
【図3】磁気記録再生装置付き伝票プリンタの主要部を示した側断面図である。
【図4】図4(a)は磁気記録再生装置付き伝票プリンタから磁気記録再生装置の主要部を取り外して示した斜視図、図4(b)はシャッタリンク機構の構成を示した図である。
【図5】横方向型の通帳に対応したキャリアの構成の一例について示した断面図である。
【図6】図6(a)は縦方向型の通帳に対応したキャリアの構成の一例について示した断面図、また、図6(b)は其の平面図であり、図6(c)では、磁気ヘッドを上下移動させるための平行リンク機構の構成のみを取り出して示している。
【図7】磁気記録再生装置付き伝票プリンタの制御部の構成の概略を示したブロック図である。
【図8】磁気記録再生装置付き伝票プリンタが備える制御部によって実行される全体的な処理の概略について示したフローチャートである。
【図9】磁気記録再生装置付き伝票プリンタが備える制御部によって実行される全体的な処理の概略について示したフローチャートの続きである。
【図10】磁気記録再生装置付き伝票プリンタが備える制御部によって実行される全体的な処理の概略について示したフローチャートの続きである。
【図11】縦方向型の磁気ストライプを備えた用紙を取り扱う磁気記録再生装置の一般的な構成例を示した概念図である。
【図12】横方向型の磁気ストライプを備えた用紙を取り扱う磁気記録再生装置の一般的な構成例を示した概念図である。
【図13】通帳等の用紙に対する磁気ストライプの貼着パターンを例示した概念図で、図13(a)〜図13(b)は用紙の搬送方向に直交する磁気ストライプを備えた横方向型の例、また、図13(c)〜図13(f)は用紙の搬送方向に沿って磁気ストライプを備えた縦方向型の例である。
【符号の説明】
【0126】
1 磁気記録再生装置付き伝票プリンタ
2 磁気記録再生装置
3 用紙搬送部
4 印字部
5 ガイドプレート
6 サイドプレート
7 アッパープレート
8 駆動ローラ
9 ピンチローラ
10 印字ヘッド
11 キャリッジ
12 センサ(側端部検出センサ)
13 磁気ヘッド
14 ゴムローラ
15 スリット
16 キャリア
17 ガイド手段
18,19 ガイドロッド
20 送り手段
21 磁気ヘッド昇降手段
22 フレーム
23 駆動プーリ
24 従動プーリ
25 タイミングベルト
26 キャリア駆動モータ
27 付勢手段
28 強制復帰手段
29 軸
30 揺動部材
31 スプリング(蓄勢手段)
32 ベアリング
33 昇降プレート
33a 摺接部
34 インサータモータ(昇降プレートの揺動駆動手段とシャッタの揺動駆動手段に共通する駆動源)
35 揺動駆動手段(昇降プレート用)
36 シャフト
37 昇降プレート駆動手段
38 カム軸
39 カム
40,41,42 リンク
43 カムフォロアー
44 スプリング
45 シャッタ
45a 板状体
45b アーム
46 シャッタリンク機構
47 揺動駆動手段(シャッタ用)
48 シャッタカム
49 平行リンク機構
49a 平行リンク機構の上面
50 スプリング
51 ベアリング
52 キャリアセンサ
53 制御部
54 CPU
55 ROM(記憶手段)
56 RAM
57 キャリッジ駆動モータ
58 搬送モータ
59 入出力回路
60 用紙挿入センサ
61 搬送位置検出センサ
62 カムフォロアー
63 用紙挿入口
64 舌片
65 回転軸
66 揺動桿
67 ピン
68 リンク部材
69 スプリング
70 内側リンク部材
71 連絡部
72 外側リンク部材
73 軸
74 軸
75 連絡部
100 用紙(通帳)
101 磁気ストライプ
102 ガイドプレート
103 開口部
104 磁気ヘッド
A 用紙の挿入方向と直交する方向
B 用紙の挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に貼着された磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行うための磁気ヘッドを備えた磁気記録再生装置であって、
前記磁気ヘッドの先端部の突出を許容するスリットを前記用紙の挿入方向と直交する方向に有して前記用紙を下面側から支えるガイドプレートと、
前記ガイドプレートの下方に位置し、前記ガイドプレートと平行な平面内で、前記磁気ヘッドの水平移動を前記スリットの長手方向に沿ってガイドするガイド手段と、
前記ガイド手段によって規制される直線移動方向に沿って前記磁気ヘッドに送りを掛けるための送り手段と、
前記スリットから突出する方向と前記スリットから下方に退避する方向に前記磁気ヘッドを上下移動させるための磁気ヘッド昇降手段とを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
前記磁気ヘッドが前記スリットから突出する方向に上昇した状態で前記磁気ヘッドを上昇方向に付勢する蓄勢手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。
【請求項3】
前記ガイド手段が、磁気記録再生装置のフレームに両端を支持されたガイドロッドによって構成されると共に、
前記磁気ヘッドが、前記ガイドロッドに摺嵌されたキャリアに対して昇降自在に取り付けられ、
前記磁気ヘッド昇降手段が、
前記キャリア内で前記磁気ヘッドを上昇方向に向けて定常的に付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記磁気ヘッドを下降位置に移動させる強制復帰手段とによって構成され、
前記付勢手段が前記蓄勢手段を兼ねていることを特徴とする請求項2記載の磁気記録再生装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、
前記ガイドロッドに対して略平行となるように前記キャリア内に固設された軸によって中央部を回転自在に軸支されて其の一端部を前記磁気ヘッドの下端部に枢着された揺動部材と、
前記軸を中心として、前記磁気ヘッドが上昇する方向に、前記揺動部材を回転付勢するスプリングとによって構成され、
前記強制復帰手段は、
前記揺動部材の他端部に摺接する摺接部を有して、前記ガイドロッドに対して平行となるように前記フレームに配備され、少なくとも前記摺接部の上下移動が可能な昇降プレートと、
少なくとも前記昇降プレートの前記摺接部を上下移動させる昇降プレート駆動手段とによって構成されていることを特徴とする請求項3記載の磁気記録再生装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、
前記キァリアと前記磁気ヘッドとの間に設けられた平行リンク機構と、前記磁気ヘッドが上昇する方向に前記平行リンク機構を姿勢変化させるスプリングとによって構成され、
前記強制復帰手段は、
前記ガイドロッドに対して略平行となるように前記キャリア内に固設された軸によって中央部を回転自在に軸支されて其の一端部を前記平行リンク機構の上面に摺接させた揺動部材と、
前記揺動部材の他端部に摺接する摺接部を有して、前記ガイドロッドに対して平行となるように前記フレームに配備され、少なくとも前記摺接部の上下移動が可能な昇降プレートと、
少なくとも前記昇降プレートの前記摺接部を上下移動させる昇降プレート駆動手段とによって構成されていることを特徴とする請求項3記載の磁気記録再生装置。
【請求項6】
前記昇降プレートは、前記ガイドロッドに匹敵する長さを有する長尺の板状体から成り、その一側に前記揺動部材の他端部と摺接する摺接部を有して他側を中心として前記フレームに揺動自在に取り付けられ、
前記昇降プレート駆動手段は、
前記昇降プレートの前記他側を中心として前記昇降プレートの前記摺接部を揺動させる揺動駆動手段によって構成されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載の磁気記録再生装置。
【請求項7】
前記揺動部材の他端部に、前記摺接部と当接するベアリングが設けられていることを特徴とする請求項4,請求項5または請求項6記載の磁気記録再生装置。
【請求項8】
前記スリットから下方に退避した前記磁気ヘッドの先端と前記スリットとの間の空間に出没して前記スリットを塞ぐシャッタを備えたことを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6または請求項7記載の磁気記録再生装置。
【請求項9】
前記シャッタが、前記スリット側の面を上に凸とした部分円弧状の断面を有する長尺の板状体と、前記スリットよりも下方位置を揺動中心として該板状体を揺動自在に保持すべく設けられた長手方向両端部のアームとによって構成され、
該アームを揺動する揺動駆動手段は、前記磁気ヘッドが前記スリットから下方に退避した状態で前記長尺の板状体が前記磁気ヘッドの先端と前記スリットとの間の空間に位置し、また、前記磁気ヘッドが前記スリットから突出した状態で前記長尺の板状体が前記空間から離脱するように前記揺動中心を中心として前記アームを揺動させるように構成されていることを特徴とする請求項8記載の磁気記録再生装置。
【請求項10】
前記スリットから下方に退避した前記磁気ヘッドの先端と前記スリットとの間の空間に出没して前記スリットを塞ぐシャッタを備え、このシャッタが、前記スリット側の面を上に凸とした部分円弧状の断面を有する長尺の板状体と、前記スリットよりも下方位置を揺動中心として該板状体を揺動自在に保持すべく設けられた長手方向両端部のアームとによって構成され、
該アームを揺動する揺動駆動手段は、前記磁気ヘッドが前記スリットから下方に退避した状態で前記長尺の板状体が前記磁気ヘッドの先端と前記スリットとの間の空間に位置し、また、前記磁気ヘッドが前記スリットから突出した状態で前記長尺の板状体が前記空間から離脱するように前記揺動中心を中心として前記アームを揺動させるように構成され、
該アームを揺動させる揺動駆動手段と前記昇降プレートを揺動させる揺動駆動手段が、単一の駆動源によって協調動作するように構成されていることを特徴とする請求項6記載の磁気記録再生装置。
【請求項11】
請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6,請求項7,請求項9または請求項10記載の磁気記録再生装置を有し、更に、
前記ガイドプレート上に搬入された前記用紙の挿入方向と直交する方向の用紙の端部位置を検知するセンサと、
前記用紙の端部位置から前記磁気記録媒体の貼着位置までの離間距離を記憶した記憶手段と、
前記センサで検知された端部位置から前記離間距離相当分の距離だけ前記用紙の挿入方向と直交する方向に移動した位置を移動目標位置として前記送り手段を駆動制御し、前記スリットから下方に退避した状態にある前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の貼着位置に位置決めし、更に、前記磁気ヘッド昇降手段により前記磁気ヘッドを前記スリットから突出する方向に移動させて前記磁気記録媒体から磁気情報の読み取りや書き込みを行って、前記磁気ヘッド昇降手段により前記磁気ヘッドを前記スリットから下方に退避させてから、前記磁気ヘッドのホームポジションを移動目標位置として前記送り手段を駆動制御する制御部とを備えたことを特徴とする磁気記録再生装置付き伝票プリンタ。
【請求項12】
用紙を下面側から支えるガイドプレートよりも下方に磁気ヘッドを退避させた状態で前記ガイドプレート上に用紙を搬入し、
前記用紙の挿入方向と直交する方向で前記ガイドプレートに形成されたスリットに沿って前記磁気ヘッドを直線移動させて用紙の磁気記録媒体の貼着位置に前記磁気ヘッドを位置決めし、
前記磁気ヘッドを前記スリットから突出させて用紙の磁気記録媒体に当接させて磁気情報の読み取りや書き込みを行ってから、
前記磁気ヘッドを前記スリットから下方に退避させた状態で前記スリットに沿って直線移動させてホームポジションに復帰させることを特徴とする磁気記録再生方法。
【請求項13】
前記磁気ヘッドが前記ガイドプレートよりも下方に退避した状態で前記スリットをシャッタで塞ぐ一方、前記磁気ヘッドが前記スリットから突出する際に前記シャッタを開くようにしたことを特徴とする請求項12記載の磁気記録再生方法。
【請求項14】
前記スリットをシャッタで塞ぐ際に前記シャッタを前記スリットに突入させ、該シャッタの上面を前記ガイドプレートと同一平面上に位置させるようにしたことを特徴とする請求項13記載の磁気記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−18368(P2007−18368A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200574(P2005−200574)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】