説明

磁気記録再生装置及びマイクロ波アシスト磁気記録方法

【課題】マイクロ波アシスト磁気記録において、スピントルク発振器の不安定な発振による記録エラーを修正して、信頼性を高める。
【解決手段】スピントルク発振器の抵抗値を測定する抵抗測定部を有し、監視することで、記録時に発振が不安定になったことを検出する。測定した抵抗値が予め定めた正常範囲を外れたとき、当該記録動作を行った情報を記録しなおす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドからの記録磁界に高周波磁界を併用するマイクロ波アシスト記録方法及び磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(Hard disk drive)の記録密度向上に伴い、記録媒体のビットサイズは微細化が進んでいる。しかし、ビットサイズの微細化が進むにつれ、熱揺らぎによる記録状態の消失が懸念される。このような問題を解決し、将来の高密度記録での記録ビットを安定に維持するためには保磁力の大きな(すなわち磁気異方性の大きな)記録媒体を使用する必要があるが、保磁力の大きな記録媒体に記録を行うためには強い記録磁界が必要である。しかし実際には、記録ヘッドの狭小化及び、利用可能な磁性材料の制限により、記録磁界強度にも上限がある。このような理由により、記録媒体の保磁力は、記録ヘッドで発生可能な記録磁界の大きさによって制約される。このように、媒体の高い熱安定性と、記録しやすい保磁力という、相反する要求に応えるため、各種の補助手段を使って記録媒体の保磁力を記録時にのみ実効的に低くする記録手法が考案されており、磁気ヘッドとレーザなどの加熱手段を併用して記録を行う熱アシスト記録などがその代表である。
【0003】
一方、記録ヘッドからの記録磁界に高周波磁界を併用することにより記録媒体の保磁力を局所的に低減させて記録を行う手法も存在する。例えば、特許文献1には、高周波磁界により磁気記録媒体をジュール加熱あるいは磁気共鳴加熱し、媒体保磁力を局所的に低減することにより情報を記録する技術が開示されている。このような高周波磁界と磁気ヘッド磁界との磁気共鳴を利用する記録手法(以降、マイクロ波アシスト記録という)では、磁気共鳴を利用するため、反転磁界の低減効果を得るためには、媒体の異方性磁界に比例する、大きな高周波磁界を印加することが必要である。
【0004】
近年になり、スピントルク発振器のように、スピントルクを用いた高周波磁界の発生原理が提案され、マイクロ波アシスト記録の可能性が現実的なものとなってきた。たとえば、非特許文献1には、外部からのバイアス磁界なしに発振するスピントルク発振器に関する計算結果が開示されている。また、非特許文献2には、垂直磁気ヘッドの主磁極に隣接した磁気記録媒体近傍に、スピントルクによって磁化が高速回転する磁界発振層(Field Generation Layer:FGL)を配置してマイクロ波(高周波磁界)を発生させ、磁気異方性の大きな磁気記録媒体に情報を記録する技術が開示されている。さらに、非特許文献3には、FGLに近接する主磁極の磁界を利用してFGLの回転方向を制御するスピントルク発振器が提示され、これにより、効率的に、媒体のマイクロ波アシスト磁化反転が実現できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−243527号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】X. Zhu and J. G. Zhu, “Bias-Field-Free Microwave Oscillator Driven by Perpendicularly Polarized Spin Current,” IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, P2670 VOL.42, NO.10 (2006)
【非特許文献2】J. G. Zhu and X. Zhu, “Microwave Assisted Magnetic Recording,” The Magnetic Recording Conference (TMRC) 2007 Paper B6 (2007)
【非特許文献3】J. Zhu and Y. Wang, “Microwave Assisted Magnetic Recording with Circular AC Field Generated by Spin Torque Transfer,” MMM Conference 2008 Paper GA-02 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロ波アシスト磁気記録において、スピントルク発振器から発生する高周波磁界は、記録時に、記録媒体に対して一定の大きさが印加され続けることが望ましい。すなわち、スピントルク発振器の磁界発振層の磁化は、一定速度及び一定角度で回転している定常的な発振状態であることが望ましい。しかし、磁気記録再生装置内では、例えば、ヘッドが媒体に接触してスピントルク発振器が発熱したり、外乱の磁界がスピントルク発振器に印加されてしまったりして、一時的に発振状態が一定でなくなってしまう場合が発生する。発振状態が不安定になった部分では記録を十分にアシストすることができず、記録エラーが発生してしまうという問題が発生する。記録媒体に書かれた記録パターンを再生した信号からは、記録エラーが発生しているか否かを判別することはできない。不安定な発振による記録エラーは、マイクロ波アシスト磁気記録方式を用いた磁気記録再生装置において、信頼性を低下させる要因となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、スピントルク発振器の抵抗値を監視することで、記録時に発振が不安定になったことを検出する。スピントルク発振器では磁界発振層の磁化が定常的な発振をしている場合、スピントルク発振器の抵抗値は一定の値を示し、不安定な発振になると定常状態で発振している場合に対して抵抗値が変化する。理由は次の通りである。スピントルク発振器の磁界発振層とスピン注入層は非磁性層を隔てて設置されており、巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果を発生する。すなわち、磁界発振層の磁化とスピン注入層の磁化の相対角度が変化すると、スピントルク発振器の抵抗値が変化する。
【0009】
スピントルク発振器が定常発振をしている場合、スピントルク発振器の磁界発振層の磁化はスピン注入層の磁化と一定の角度を保って回転している。つまり、定常的な発振をしている場合には、スピントルク発振器の抵抗値も一定になっている。逆に、不安定な発振状態の場合には、磁界発振層の磁化とスピン注入層の磁化の相対角度は定常状態の場合と異なり、スピントルク発振器の抵抗値も定常発振時と異なった値を示す。よって、記録時に、スピントルク発振器の抵抗値の異常を検知すれば、不安定な発振でアシスト効果が不十分になって記録エラーが発生していることがわかるのである。
【0010】
記録エラーが発生したことが判別できれば、記録エラーが発生した場所を再度書き直す、あるいは記録エラーが発生した信号を記録媒体上の別の場所に書き直すなどして修正することができ、磁気記録再生装置の信頼性を高めることが可能になる。
【0011】
本発明による磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と、磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部と、磁気記録媒体に対して記録動作を行う記録ヘッド及び磁気記録媒体に記録された情報を読み取る再生ヘッドを備える磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所望トラック上に移動させるヘッド駆動部とを有する。記録ヘッドは、記録磁界を発生する磁極と、高周波磁界を発生するスピントルク発振器を備える。また、記録ヘッドによる磁気記録媒体への記録動作中に、スピントルク発振器の抵抗を測定する抵抗測定部を有する。そして、測定した抵抗値が予め定めた正常範囲を外れたとき、そのとき記録動作を行った情報を記録しなおす。
【0012】
本発明によるマイクロ波アシスト磁気記録方法は、磁極から記録磁界を印加すると共に、スピントルク発振器から高周波磁界を印加して記録動作を行う工程と、記録動作中にスピントルク発振器の抵抗値を測定する工程と、測定した抵抗値が予め定めた正常範囲にあるか否か判定する工程と、判定の結果、測定した抵抗値が予め定めた正常範囲から外れていたとき、記録動作を行っていた情報を再記録する工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スピントルク発振器の不安定な発振による記録エラーを修正することができ、信頼性が高い磁気記録再生装置を提供することができる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の動作例を示すフローチャート。
【図2】本発明による磁気記録再生装置の構成例を示す模式図。
【図3】一般的なスピントルク発振器の構成例を示す図。
【図4】一般的なスピントルク発振器の構成例を示す図。
【図5】記録信号に合わせてスピン注入層の磁化を反転させる方式のスピントルク発振器における理想的な抵抗変化を示した模式図。
【図6】記録信号に合わせてスピン注入層の磁化を反転させる方式のスピントルク発振器における抵抗変化を示した模式図。
【図7】記録信号に合わせてスピン注入層の磁化を反転させない方式のスピントルク発振器における抵抗変化を示した模式図。
【図8】定電流駆動型のスピントルク発振器を搭載した磁気ヘッドの一例を示す模式図。
【図9】定電圧駆動型のスピントルク発振器を用いた磁気ヘッドの一例を示す模式図。
【図10】スピントルク発振器における正常な抵抗範囲の第一の規定方法を示した図。
【図11】スピントルク発振器における正常な抵抗範囲の第一の規定方法による効果を示した図。
【図12】スピントルク発振器における正常な抵抗範囲の第二の規定方法を示した図。
【図13】スピントルク発振器における正常な抵抗範囲の第二の規定方法による効果を示した図。
【図14】スピントルク発振器における正常な抵抗範囲の第三の規定方法を示した図。
【図15】スピントルク発振器における正常な抵抗範囲の第三の規定方法による効果を示した図。
【図16】記録信号に合わせてスピン注入層の磁化を反転させない方式のスピントルク発振器における正常な抵抗範囲の規定方法を示した図。
【図17】記録信号に合わせてスピン注入層を反転させない方式のスピントルク発振器における正常な抵抗範囲の規定方法による効果を示した図。
【図18】本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の動作例を示すフローチャート。
【図19】本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の動作例を示すフローチャート。
【図20】本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。理解を容易にするため、以下の図において同じ機能部分には同一の符号を付して説明する。
【0016】
図1は、本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の動作例を示すフローチャートである。記録過程では、スピントルク発振器は一定の高周波磁界を発生していることが望ましい。発振が正常であるときは、スピントルク発振器の抵抗は一定値を保つ。記録時に、スピントルク発振器の抵抗を測定し続け、抵抗が変動して正常範囲から外れたことを検知した場合、その範囲の情報を書き直すことで記録エラーを修正することができる。
【0017】
図2は、本発明のマイクロ波アシスト記録方式を実現する磁気記録再生装置の構成例を示す模式図である。
磁気的に情報を記録する磁気記録媒体21を保持するディスク22をスピンドルモーター23にて回転させ、アクチュエーター24によってヘッドスライダー25をディスク22の所望のトラック上に誘導する。即ち、ヘッドスライダー25上に形成した再生ヘッド、記録ヘッド、及びスピントルク発振器が、これらの機構によってディスク22上の所定の記録位置に近接して相対運動し、信号を順次書き込み、及び読み取る。アクチュエーター24はロータリーアクチュエーターであることが望ましい。
【0018】
SOC(System on chip)30内のHDC(Hard disk controller)31から発せられる記録信号は、チャネル32でエンコードされプリアンプ33を経由して記録ヘッドにて磁気記録媒体上に記録される。マイクロ波アシスト記録方式を用いた磁気記録再生装置では、スピントルク発振器への通電も記録と同時に行われ、HDC31からプリアンプ33を経由してスピントルク発振器に通電される。再生ヘッドの出力は、プリアンプ33で増幅されチャネル32でデコードされてHDC31に入力される。図中、34は記録・再生系の入出力経路、35はスピントルク発振器の入出力経路を示す。
【0019】
さらに再生ヘッドを所望の記録トラック上へ移動せしめるに際して、再生ヘッドからの高感度な出力を用いてトラック上の位置を検出し、アクチュエーターを制御して、ヘッドスライダーの位置決めを行うことができる。本図ではヘッドスライダー25、ディスク22を各1個示したが、これらは複数であっても構わない。また、ディスク22は両面に磁気記録媒体21を有して情報を記録してもよい。情報の記録がディスク両面の場合、ヘッドスライダー25はディスクの両面に配置する。
【0020】
磁気記録再生装置は、記録動作中、スピントルク発振器の抵抗をプリアンプ33で測定し続ける。測定されたスピントルク発振器の抵抗値は、SOC30内のHDC31に送られる。HDC31内で、抵抗が変動して正常範囲から外れたことを示すフラグが立つと、HDC31から再記録命令が発せられ、記録に失敗した信号は、通常の記録の場合と同様に、チャネル32でエンコードされてプリアンプ33を経由して磁気ディスクに記録される。抵抗が正常範囲から外れたことを示すフラグを立てるのは、HDC31内でなくプリアンプ33内で行っても良い。この場合、HDC31へは抵抗値の情報ではなく、抵抗が正常範囲から外れたか否かの信号が送られることになる。
【0021】
再記録は、抵抗異常が発生した直後に行ってもよいし、最小情報記録単位ブロック(例えば、512バイトや4キロバイトなどドライブにより異なる)の記録が終わった直後に行ってもよい。
【0022】
以下に、スピントルク発振器の正常な抵抗の範囲の規定の仕方、ならびに抵抗値の測定方法の詳細を述べる。
【0023】
マイクロ波アシスト記録に用いられるスピントルク発振器の一般的な構成例を図3に示す。スピントルク発振器1は、回転ガイド層5/磁界発振層2/非磁性中間層3/スピン注入層4からなる積層膜がヘッド走行方向に形成されており、主磁極7とトレーリング側のシールド6に挟まれた構造である。図3では、スピン注入層4が主磁極7に、回転ガイド層5がトレーリングシールド6に隣接しているが、スピン注入層がトレーリングシールドに、回転ガイド層が主磁極に隣接する構造でもよい。回転ガイド層5及びスピン注入層4の磁気異方性は、膜面に対して垂直方向にする。なお、スピントルク発振器1の膜面垂直方向に外部磁界を印加する構成の場合、回転ガイド層5はなくてもよい。主磁極7から発生する記録磁界の一部を、外部磁界として利用する方法が一般的である。スピントルク発振器1には膜面に垂直方向に電子が流れるように電流を流し続ける。スピントルク発振器の発振、すなわち磁界発振層磁化8の高速回転は、電子のスピントルクと回転ガイド層との交換結合磁界もしくは外部磁界のバランスによって起こしている。
【0024】
図3に示すように、スピントルク発振器1の磁界発振層2とスピン注入層4は非磁性中間層3で隔てられて設置されており、巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果を発生する。すなわち、磁界発振層2の磁化8とスピン注入層4の磁化9の相対角度が変化すると、スピントルク発振器1の抵抗値が変化する。スピントルク発振器が定常発振をしている場合、スピントルク発振器の磁界発振層2の磁化8は、スピン注入層4の磁化9と一定の角度を保って回転している。したがって、定常的な発振をしている場合には、スピントルク発振器1の抵抗値も一定になる。逆に不安定な発振状態の場合には、磁界発振層2の磁化8とスピン注入層4の磁化9の相対角度は定常状態の場合と異なり、スピントルク発振器1の抵抗値も定常発振時と異なった値を示す。
【0025】
磁気記録再生装置の情報記録過程では、記録ヘッドの主磁極からの磁界の極性を反転させながら、記録媒体に磁界を印加して情報を記録していく。高周波アシスト記録方式では、スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を、主磁極からの磁束の極性に合わせて変化させる方式と、主磁極からの磁束の極性によらず一定にする方式がある。
【0026】
スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を主磁極からの磁界の極性に合わせて変化させる方式の場合、スピン注入層及び回転ガイド層の磁化を主磁極の磁界の極性の変化に合わせて反転させて、高周波磁界の回転方向を反転させる。主磁極から発生する磁界は記録媒体へ印加されるとともにスピントルク発振器にも印加されるため、スピン注入層磁化の極性反転には、この主磁極からの磁界を使う方法が一般的である。
【0027】
図4に、図3に示したスピントルク発振器について、スピン注入層と回転ガイド層の磁化方向が反転したときの模式図を示す。スピン注入層4及び回転ガイド層5の磁化方向9,10が反転しても、磁界発振層2の磁化8とスピン注入層4の磁化9の相対角度は、反転前と変わらない。主磁極7からの磁界に合わせてスピン注入層磁化9を反転させる場合、スピン注入層磁化9が反転する過程で、一時的にスピン注入層磁化9と磁界発振層磁化8の相対角度は変化する。スピン注入層磁化9は膜面内方向に歳差運動を行いながら反転するが、その周波数は磁界発振層2の磁化8の周波数と異なる。なぜなら、通常、スピン注入層4と磁界発振層2には異なる材料が用いられており、ダンピング定数が異なるからである。したがって、スピン注入層磁化9と磁界発振層磁化8の相対角度が一時的に平行/反平行となる状態を経ながらスピン注入層磁化9が反転する。スピン注入層磁化9と発振層磁化8が平行になると、巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果によって、スピントルク発振器1の抵抗値は最も低くなり、反平行になると最も高くなる。
【0028】
図5に、主磁極を励磁するコイルに印加する記録電流、主磁極から発生する記録磁界、スピントルク発振器の抵抗値の時間に対する理想的な挙動を示す。スピントルク発振器の定常発振状態での抵抗値をRoとする。図に示すように、記録電流に対応して主磁極からの記録磁界が変化し、その記録磁界の極性反転に合わせて、スピントルク発振器の抵抗は一時的に大きく/小さくなる。記録電流反転時に現れる最大抵抗値はRmax、最小抵抗値はRminである。
【0029】
しかし、実際には時間方向に磁化反転の遅れが生じるため、図6のようになる。一般的に、記録電流の変化に対して記録磁界は100ps程度遅れ、スピントルク発振器のスピン注入層の磁化反転にも100〜200ps程度の時間がかかる。なお、スピン注入層磁化反転の過程での、スピントルク発振器の抵抗増減の過程は、スピン注入層磁化反転開始時の発振層磁化とスピン注入層磁化の相対角度によるため、抵抗が高くなってから低くなるのか、あるいは低くなってから高くなるのか、どちらの経緯となるかはランダムである。また、スピントルク発振器の構成の違いによって、発振層とスピン注入層の周波数の差は変化し、その周波数の差分の違いによって抵抗の増減が1周期で終わるか、複数周期起きるかは変わる。
【0030】
いずれにしても、スピントルク発振器1の抵抗は、非磁性中間層3が導電層であるか絶縁層であるかによって、巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果の原理で変化し、スピントルク発振器1が正常に動作していれば、その抵抗は、スピン注入層磁化9と発振層磁化8が平行のときの最小値Rminと反平行のときの最大値Rmaxの間の値をとる。
【0031】
一方、スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を、主磁極からの磁束の極性によらず一定にする方式の場合、図7に示すように、スピントルク発振器の抵抗値は常に定常発振状態のRoとなる。
【0032】
スピントルク発振器への通電の方法として、一定の直流電流を印加し続ける定電流駆動方式と、一定の直流電圧を印加し続ける定電圧駆動方式がある。定電流駆動方式の場合、継続的に電圧を測定することでスピントルク発振器の抵抗値を測定することが可能であり、定電圧駆動方式の場合、継続的に電流を測定することでスピントルク発振器の抵抗値を測定することが可能である。
【0033】
図8は、定電流駆動型のスピントルク発振器を搭載した磁気ヘッドの一例を示す模式図である。
磁気ヘッドは、磁気記録媒体に対して記録を行う記録ヘッドと磁気記録媒体に記録された情報を読み取る再生ヘッドを備える。記録ヘッドは、高周波磁界を発生するためのスピントルク発振器1、記録磁界を発生するための主磁極7、主磁極を励磁するためのコイル50を有する。主磁極7とトレーリングシールド6とは、媒体対向面から離れた浮上高さ方向の上方位置に設けられた絶縁領域14によって、電気的に絶縁されている。再生ヘッドは、下部磁気シールド15と上部磁気シールド16に挟まれて配置された、TMR素子やGMR素子などの再生素子17を有する。スピントルク発振器1は、記録ヘッドの主磁極7とトレーリングシールド6に挟まれるように設置される。コイル50に記録電流を印加すると主磁極7から記録磁界が発生する。スピントルク発振器1にも記録磁界の一部が印加されるため、記録磁界の極性が反転するとスピントルク発振器1に印加される磁界の極性も反転する。高周波磁界の回転方向を主磁極7からの磁界の極性に合わせて変化させる方式の場合、この記録磁界を使ってスピン注入層4の磁化の極性を反転させる。スピントルク発振器1への通電は、記録ヘッドの主磁極7とトレーリングシールド6を電極として行う。経路上の電圧を測定すると、スピントルク発振器1の抵抗を測定することができる。
【0034】
図9は、定電圧駆動型のスピントルク発振器を用いた磁気ヘッドの一例を示す模式図である。この場合、経路上の電流を測定するとスピントルク発振器の抵抗を測定することができる。
【0035】
スピントルク発振器の定常発振状態での抵抗値Roは、次のように求めることができる。
定電流駆動方式の場合に、Roを求める方法は次の通りである。まず、ヘッドを記録媒体上にロードする。このとき、通常の信号を記録するときと同じ条件で、ヘッドスライダーに搭載したヒーターによる浮上量制御を行うことが望ましい。なぜなら、ヒーターのオンオフによって、ヘッドスライダーの温度が変化し、スピントルク発振器の抵抗も変化してしまうからである。次に、スピントルク発振器に、通常の信号を記録する場合と同様に、直流電流Ioを印加する。スピントルク発振器に直流電流Ioを印加しながら、コイルに記録電流Iwを印加して、主磁極からスピントルク発振器の膜面に垂直方向に直流磁界を印加する。このとき直流磁界の極性は変化させない。すると、スピントルク発振器は一定の発振を行う状態を保つ。定電流駆動方式では、この状態での電圧をある期間、例えば1秒間、にわたってプリアンプで計測し、HDCで平均値Voを求める。VoをIoで割った値をRoとする。計測したRoは、磁気ディスク上の管理エリアに記録しておくか、メモリに記憶しておく。
【0036】
一方、定電圧駆動方式の場合にRoを求める方法は、スピントルク発振器に直流電圧を印加することと、抵抗の計測のために電流値を測定する他は定電流駆動方式と同様である。
【0037】
次に、定電流駆動方式の場合のRmax及びRminを計測する方法について説明する。まず、ヘッドを記録媒体上にロードする。このとき、通常の信号を記録するときと同じ条件で、ヘッドスライダーに搭載したヒーターによる浮上量制御を行うことが望ましい。次に、スピントルク発振器に、通常の信号を記録する場合と同様に、直流電流Ioを印加する。スピントルク発振器に直流電流Ioを印加しながら、コイルに交流の記録電流Iwを印加し、主磁極からスピントルク発振器の膜面に垂直方向に交流磁界を印加する。すると、スピントルク発振器は一定の間隔でスピン注入層の磁化を反転させながら発振を行う。定電流駆動方式では、この状態での電圧のピーク値をある期間、例えば1秒間、にわたってプリアンプで計測し、HDCで正の電圧ピーク値及び負の電圧ピーク値のそれぞれの平均値Vmax及びVminを求める。Vmax及びVminを、Ioで割った値を、Rmax及びRminとする。計測したRmax及びRminは、磁気ディスク上の管理エリアに記録しておくか、メモリに記憶しておく。
【0038】
また、交流の記録電流Iwとスピントルク発振器の電圧の変動の位相差を計測し、記録電流に対するスピントルク発振器の遅延量を求め、RmaxやRminと同様に管理エリアに記録しておくか、メモリに記憶しておく。
【0039】
一方、定電圧駆動方式の場合にRmaxとRminを求める方法は、スピントルク発振器に直流電圧を印加することと、抵抗の計測のために電流値を測定する他は定電流駆動方式と同様である。
【0040】
次に、定電流駆動方式の場合のRmax及びRminを計測する別の方法について説明する。
この方法では、ヘッドはアンロード状態で行う。アンロード状態のまま、スピントルク発振器に、通常の信号を記録する場合と同様に、直流電流Ioを印加する。スピントルク発振器に直流電流Ioを印加しながら、コイルに直流の記録電流Iwを印加して主磁極からスピントルク発振器の膜面に垂直方向に直流磁界を印加する。
【0041】
この状態はスピントルク発振器が一定発振した状態であり、このときの電圧をある期間、例えば1秒間、にわたってプリアンプで計測してHDCで平均値Vo_unloadを求める。このVo_unloadをIoで割った値をRo_unloadとする。次に、アンロード状態のまま、スピントルク発振器に直流電流Ioを印加しながら、コイルに交流の記録電流Iwを印加して、主磁極からスピントルク発振器の膜面に垂直方向に交流磁界を印加する。この状態での電圧のピーク値をある期間、例えば1秒間、にわたってプリアンプで計測し、HDCで正の電圧ピーク値及び負の電圧ピーク値のそれぞれの平均値Vmax_unload及びVmin_unloadを求める。Vmax_unload及びVmin_unloadをそれぞれIoで割る。これらの値をRmax_unload、Rmin_unloadとする。実際に記録する場合にはヒーターによる浮上量制御を行うため、スライダーの温度が上昇し、スピントルク発振器の抵抗は増加する。したがって、次にヘッドをロードした状態でのRoを先に述べた方法で求める。
maxは、Rmax=Ro+(Rmax_unload−Ro_unload)となり、RminはRmin=Ro−(Ro_unload−Rmax_unload)となる。
【0042】
また、交流の記録電流Iwとスピントルク発振器の電圧の変動の位相差を計測し、記録電流に対するスピントルク発振器の遅延量を求め、RmaxやRminと同様に管理エリアに記録しておくか、メモリに記憶しておく。
【0043】
一方、定電圧駆動方式の場合にRmaxとRminを求める別の方法は、スピントルク発振器に直流電圧を印加することと、抵抗の計測のために電流値を測定する他は定電流駆動方式と同様である。
【0044】
図10は、スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を主磁極からの磁界の極性に合わせて変化させる方式において、スピントルク発振器の正常抵抗範囲の第一の規定方法を説明する図である。この方法では、図10に示すように、スピントルク発振器の抵抗値の正常範囲を、スピントルク発振器の巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等の範囲であるRminからRmaxの範囲と規定する。図5及び図6で説明したように、RminからRmaxの範囲は、スピントルク発振器に含まれるスピン注入層の磁化と発振層の磁化による巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等である。抵抗値Ro,Rmax,Rminはスピントルク発振器の大きさや構成材料などによって大きく異なるが、例えば、トラック幅40nm、素子高さ40nmで非磁性中間層に酸化層を用いたスピントルク発振器では、一例として、Roは500Ω、Rmaxは600Ω、Rminは400Ω程度になる。
【0045】
この規定方法の場合、図11に示すように、主にヘッドが媒体と接触して発熱し、抵抗値が大きく変動したことを検知することができる。その結果、ヘッドと媒体の接触によってマイクロ波アシスト効果が低下して発生する記録エラーを修正することができ、従来に比べて磁気記録再生装置の信頼性を高めることが可能である。
【0046】
図12は、スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を主磁極からの磁界の極性に合わせて変化させる方式において、スピントルク発振器の正常抵抗範囲の第二の規定方法を説明する図である。この方法では、図12に示すように、スピントルク発振器の抵抗値の正常範囲を、記録磁界反転時にはスピントルク発振器の巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等の範囲であるRminからRmaxと規定し、それ以外の期間では定常発振状態のRoの±10%以内と規定する。スピントルク発振器の抵抗値がこの範囲から外れた場合には記録をやり直す。スピントルク発振器の構成にも依存するが、Roが±10%を超えて変化すると、記録へのアシスト効果は通常の6割以下になってしまう。そのため、記録磁界反転時以外の期間のスピントルク発振器の抵抗値の正常範囲をRo±10%とした。
【0047】
記録電流Iwの極性反転に対するスピントルク発振器のスピン注入層の磁化反転の遅延量は予め求めてあるので、スピン注入層の磁化反転タイミングは既知である。その磁化反転タイミングの前後±100〜200psの間では、RminからRmaxまでの抵抗変化を許容する。±100〜200psは、スピン注入層の磁化反転に要する時間に相当する。
【0048】
この場合、図13に示すように、主にヘッドが媒体と接触して発熱し、抵抗値が大きく変動したことを検知することに加えて、外乱磁界がスピントルク発振器に印加されることによって磁界発振層の磁化配列が乱れ発振が不安定になることや、スピン注入層の磁化反転が遅れて高周波アシストが不十分になることなどを検知することができる。その結果、様々な理由でマイクロ波アシスト効果が低下して発生する記録エラーを修正することができ、従来に比べて磁気記録再生装置の信頼性を高めることが可能である。
【0049】
スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を主磁極からの磁界の極性に合わせて変化させる方式において、スピントルク発振器の正常抵抗範囲の第三の規定方法として、図14に示すように、記録磁界反転時以外の期間においてスピントルク発振器の抵抗値の判定を行い、記録磁界反転時にはスピントルク発振器の抵抗値の判定を行わない方法がある。スピントルク発振器の抵抗値の正常範囲を定常発振状態のRoの±10%以内と規定し、この範囲から外れた場合には記録をやり直す。記録電流Iwの極性反転に対するスピントルク発振器のスピン注入層の磁化反転の遅延量は予め求めてあるので、スピン注入層の磁化反転タイミングは既知である。その磁化反転タイミングの前後±100〜200psの間では、スピントルク発振器の抵抗は測定しない。あるいは、スピントルク発振器の抵抗を測定してもその値は無視する。±100〜200psは、磁化反転に要する時間に相当する。
【0050】
この場合、図15に示すように、主にヘッドが媒体と接触して発熱し、抵抗値が大きく変動したことを検知することに加えて、外乱磁界がスピントルク発振器に印加されることによって磁界発振層の磁化配列が乱れ発振が不安定になることや、スピン注入層の磁化反転が遅れて高周波アシストが不十分になることなどを検知することができる。その結果、様々な理由でマイクロ波アシスト効果が低下して発生する記録エラーを修正することができ、従来に比べて磁気記録再生装置の信頼性を高めることが可能である。
【0051】
スピントルク発振器からの高周波磁界の回転方向を、主磁極からの磁束の極性によらず一定にする方式における、スピントルク発振器の正常抵抗範囲の規定の方法として、図16に示すように、スピントルク発振器の抵抗値の正常範囲を定常発振状態のRoの±10%以内と規定し、この範囲から外れた場合には記録をやり直す方式がある。
【0052】
この場合、図17に示すように、主にヘッドが媒体と接触して発熱し、抵抗値が大きく変動したことを検知することに加えて、外乱磁界がスピントルク発振器に印加されることによって磁界発振層の磁化配列が乱れ発振が不安定になることなどを検知することができる。その結果、様々な理由でマイクロ波アシスト効果が低下して発生する記録エラーを修正することができ、従来に比べて磁気記録再生装置の信頼性を高めることが可能である。
【0053】
図18は、本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の別の動作例を示すフローチャートである。
記録時にスピントルク発振器の抵抗を測定し続け、スピントルク発振器の抵抗が変動して正常範囲から外れたことを検知した場合、その範囲の記録パターンを記録媒体上の同じ場所に書き直すことで記録エラーを修正する。
【0054】
図19は、本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の別の動作例を示すフローチャートである。
記録時にスピントルク発振器の抵抗を測定し続け、スピントルク発振器の抵抗が変動して正常範囲から外れたことを検知した場合、その範囲の記録パターンを記録媒体上の別の場所に書き直すことで記録エラーを修正する。
【0055】
なお、記録エラーが発生した媒体上の場所を管理エリアに記録するかメモリに記憶しておき、以降の記録時には、一度記録エラーが発生した場所を避けて記録することで、記録エラーが発生する回数を低減することができる。
【0056】
図20は、本発明によるマイクロ波アシスト記録方式の別の動作例を示すフローチャートである。
記録時にスピントルク発振器の抵抗を測定し続け、スピントルク発振器の抵抗が変動して正常範囲から外れたことを検知した場合、その範囲の記録パターンを記録媒体上の同じ場所に書き直す動作を行うが、記録媒体上の同一箇所でのスピントルク発振器の抵抗変動が予め定めた規定回数起きた場合、記録媒体上の別の場所に書き直す動作を行うことで記録エラーを修正する。記録媒体上の同一箇所で複数回にわたってスピントルク発振器の抵抗値の異常が発生するということは、記録媒体側に凹凸等の欠陥が存在する可能性が高い。従って、複数回にわたって異常が発生した場所には、それ以降記録しないようにすることで、記録エラーを修正するとともに記録エラーの発生を効率よく防止することができる。この場合も、記録エラーが規定回数発生した媒体上の場所を管理エリアに記録するかメモリに記憶しておき、以降の記録時には、記録エラーが発生した場所を避けて記録する。
【0057】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、高周波磁界アシスト記録方式による磁気記録再生装置に利用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 スピントルク発振器
2 発振層
3 非磁性中間層
4 スピン注入層
5 回転ガイド層
6 トレーリングシールド
7 主磁極
8 発振層磁化
9 スピン注入層磁化
10 回転ガイド層磁化
14 絶縁領域
15 下部磁気シールド
16 上部磁気シールド
17 再生素子
21 磁気記録媒体
22 磁気ディスク
23 スピンドルモーター
24 アクチュエーター
25 ヘッドスライダー
30 SOC
31 HDC
32 チャネル
33 プリアンプ
50 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部と、
前記磁気記録媒体に対して記録動作を行う記録ヘッド及び前記磁気記録媒体に記録された情報を読み取る再生ヘッドを備える磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の所望トラック上に移動させるヘッド駆動部とを有する磁気記録再生装置において、
前記記録ヘッドは、記録磁界を発生する磁極と、高周波磁界を発生するスピントルク発振器とを備え、
前記記録ヘッドによる前記磁気記録媒体への記録動作中に、前記スピントルク発振器の抵抗を測定する抵抗測定部を有することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気記録再生装置において、
前記抵抗測定部は、前記記録磁界の反転時以外の期間に、前記スピントルク発振器の抵抗を測定することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気記録再生装置において、前記測定した抵抗値が予め定めた正常範囲を外れたとき、当該記録動作を行った情報を記録しなおすことを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気記録再生装置において、前記記録動作を行った情報を、前記測定した抵抗値が前記正常範囲を外れたときに記録動作を行っていた前記磁気記録媒体上の場所と同じ場所に記録しなおすことを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項5】
請求項3に記載の磁気記録再生装置において、前記記録動作を行った情報を、前記測定した抵抗値が前記正常範囲を外れたときに記録動作を行っていた前記磁気記録媒体上の場所とは別の場所に記録しなおすことを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項6】
請求項3に記載の磁気記録再生装置において、
前記磁気記録媒体上の同一箇所で、前記測定した抵抗値が繰り返し前記正常範囲を外れたとき、当該箇所で記録動作を行った情報を、
規定の回数までは、前記抵抗値が前記正常範囲を外れたときに記録動作を行っていた前記磁気記録媒体上の場所と同じ場所に記録しなおし、
規定の回数を超えた場合には、前記抵抗値が前記正常範囲を外れたときに記録動作を行っていた前記磁気記録媒体上の場所とは別の場所に記録しなおすことを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の磁気記録再生装置において、
前記記録動作時に、前記スピントルク発振器には一定の大きさの直流電流が印加されており、前記抵抗測定部は、前記スピントルク発振器の電圧を測定して抵抗値を評価することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項8】
請求項1に記載の磁気記録再生装置において、
前記記録動作時に、前記スピントルク発振器には一定の大きさの直流電圧が印加されており、前記抵抗測定部は、前記スピントルク発振器の電流を測定して抵抗値を評価することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項9】
請求項3に記載の磁気記録再生装置において、
前記スピントルク発振器の抵抗値の正常範囲を、前記スピントルク発振器の巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等とすることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項10】
請求項3に記載の磁気記録再生装置において、
前記スピントルク発振器の抵抗値の正常範囲を、前記記録磁界の反転時は前記スピントルク発振器の巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等とし、前記記録磁界の反転時以外の期間は前記スピントルク発振器での定常発振状態の抵抗値の±10%以内とすることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項11】
請求項3に記載の磁気記録再生装置において、
前記スピントルク発振器の抵抗の正常範囲を、前記記録磁界の反転時には定めず、前記記録磁界の反転時以外の期間は前記スピントルク発振器の定常発振状態での抵抗値の±10%以内とすることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項12】
磁気記録媒体に磁極からの記録磁界とスピントルク発振器からの高周波磁界を印加して記録を行うマイクロ波アシスト磁気記録方法において、
前記磁極から記録磁界を印加すると共に、前記スピントルク発振器から高周波磁界を印加して記録動作を行う工程と、
前記記録動作中に前記スピントルク発振器の抵抗値を測定する工程と、
前記測定した抵抗値が予め定めた正常範囲にあるか否か判定する工程と、
前記判定の結果、前記測定した抵抗値が予め定めた正常範囲から外れていたとき、当該記録動作を行っていた情報を再記録する工程と
を有することを特徴とするマイクロ波アシスト磁気記録方法。
【請求項13】
請求項12に記載のマイクロ波アシスト磁気記録方法において、
前記抵抗値の正常範囲を、前記スピントルク発振器の巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等とすることを特徴とするマイクロ波アシスト磁気記録方法。
【請求項14】
請求項12に記載のマイクロ波アシスト磁気記録方法において、
前記抵抗値の正常範囲を、前記記録磁界の反転時は前記スピントルク発振器の巨大磁気抵抗効果あるいはトンネル磁気抵抗効果による抵抗変化の範囲と同等とし、前記記録磁界の反転時以外の期間は前記スピントルク発振器の定常発振状態での抵抗値の±10%以内とすることを特徴とするマイクロ波アシスト磁気記録方法。
【請求項15】
請求項12に記載のマイクロ波アシスト磁気記録方法において、
前記抵抗の正常範囲を、前記記録磁界の反転時には定めず、前記記録磁界の反転時以外の期間は前記スピントルク発振器の定常発振状態での抵抗値の±10%以内とすることを特徴とするマイクロ波アシスト磁気記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−48002(P2013−48002A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186450(P2011−186450)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【特許番号】特許第5106667号(P5106667)
【特許公報発行日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超高密度ナノビット磁気記録技術の開発(グリーンITプロジェクト)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】