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磁気記録媒体、その製造方法、インプリント用スタンパ、及びその原盤
説明

磁気記録媒体、その製造方法、インプリント用スタンパ、及びその原盤

【課題】 インプリント法を用いて製造したディスクリートトラックを有する磁気記録媒体の歩留まり及び品質の管理を改善する。
【解決手段】 磁気記録層が、溝によって分離された記録トラックパターンと、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズ等の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとを有し、管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクリートトラックを有する磁気記録媒体、このような磁気記録媒体を形成するためのインプリント用スタンパ及びこれを形成するための原盤、及びこれらを用いた磁気記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録媒体のさらなる高密度化に対応するために、隣接する記録トラックを溝または非磁性材料からなるガードバンドで分離し、隣接トラック間の磁気的干渉を低減するようにしたディスクリートトラック媒体が注目を集めている。
【0003】
このようなディスクリートトラック媒体を製造する際には、スタンパを用いてインプリント法により磁気記録層のパターンを形成することが出来る。
【0004】
このスタンパは、磁気記録層のパターンに対応したパターンを例えば電子線描画して得られたレジスト原盤を用いて容易に複製することができる。これにより、磁気記録媒体を低コストで大量に生産できる。
【0005】
しかしながら、このように原盤及びスタンパを用いる技術では、製造された磁気記録媒体に、万一、欠陥が見つかった場合、原因となった原盤及びスタンパを追跡する必要性が生じる。このためには、各磁気記録媒体に、例えば製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズ等の管理情報を記録しておくことが望まれていた。
【0006】
磁気記録媒体に管理情報を記録する方法として、磁気転写マスター担体から管理情報を磁気的に転写する方法があり、この方法では、磁気転写マスター担体の一部に凹凸パターンが設けられ、この凹凸パターンに応じた情報を磁気記録媒体に磁気的に転写記録していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−230750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、インプリント法を用いて製造したディスクリートトラックを有する磁気記録媒体に、欠陥が生じた際の原因の追跡に好適な管理情報を、低コストで容易に記録し、歩留まり及び品質の管理を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の垂直磁気記録媒体は、非磁性基板、及び該非磁性基板上に形成された磁気記録層を含み、
該磁気記録層は、少なくとも溝によって分離された記録トラックパターンと、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとを有し、
前記記録トラックパターン及び前記管理情報パターンは、
前記磁気記録層表面と、該磁気記録層表面上に設けられた、該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを有するレジストとをエッチングに供することにより形成され、
該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを有するレジストは、
電子ビーム描画により原盤に形成された該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを、インプリント用スタンパに転写して、該記録トラックパターンとは逆の凹凸パターンを形成した後、
該スタンパに設けられたレジストに、レーザー描画を用いて該管理情報パターンとは逆の凹凸パターンを形成し、更にエッチングするとこによりスタンパに該管理情報パターンを形成させた後、該磁気記録媒体上に設けられたレジストに該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを転写するか、あるいは該磁気記録媒体上に設けられ、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンが転写されたレジストに、レーザー描画を用いて該管理情報パターンと同様の凹凸パターンをレーザー描画により形成することにより得られ、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法の1つは、少なくとも溝によって分離された、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを電子ビーム描画により原盤上に形成し、
該原盤を用い、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンをインプリント用スタンパに転写した後、
前記インプリント用スタンパを用いて、磁気記録層上に設けられたレジストに、該記録トラックパターンを形成した後、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンと同様の凹凸パターンをレーザー描画により形成し、該レジストと共に磁気記録層表面をエッチングすることにより、該磁気記録層表面に該記録トラックパターンと該管理情報パターンを形成する磁気記録媒体の製造方法において、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする。
【0011】
あるいは、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法の他の1つは、少なくとも溝によって分離された、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを電子ビーム描画により原盤上に形成し、
該原盤を用い、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンをインプリント用スタンパに転写した後、
前記インプリント用スタンパ上にレジストを形成し、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとは逆の凹凸パターンをレーザー描画及びエッチングにより形成し、得られたスタンパを用いて、該磁気記録層上に設けられたレジストに、該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを転写し、該レジストと共に該磁気記録層表面をエッチングすることにより、該磁気記録層表面に該記録トラックパターンと該管理情報パターンを形成する磁気記録媒体の製造方法において、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明を用いると、スタンパを用いてインプリント法により磁気記録層のパターンを形成して得られた磁気記録媒体に、万一、欠陥が見つかった場合に、磁気記録媒体に設けられた管理情報を読み取ることにより、原因となった原盤及びスタンパを、容易に追跡することができる。本発明によれば、磁気記録媒体のみならず、原盤、及びスタンパの管理を行うことにより、歩留まり及び品質の管理が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の磁気記録媒体を適用し得る磁気記録再生装置の一例を表す図である。
【図2】本発明に係る磁気記録媒体の一例を説明するための図である。
【図3】本発明に使用される磁性層パターンの一例を説明するための図である。
【図4】図3の断面構造を説明するための図である。
【図5】本発明の原盤の製造工程の一例を説明するための図である。
【図6】本発明のインプリント用スタンパの製造工程の一例を説明するための図である。
【図7】本発明のインプリント用スタンパを複製する工程を表す図である。
【図8】本発明の磁気記録媒体の製造工程の一例を説明するための図である。
【図9】本発明に係るインプリント用スタンパの他の一例を説明するための図である。
【図10】本発明の磁気記録媒体の他の一例の製造工程を表す図である。
【図11】本発明の磁気記録媒体に設けられる磁性層パターンの他の一例を表す図である。
【図12】本発明の磁気記録媒体に設けられる磁性層パターンのさらに他の一例を表す図である。
【図13】DC消磁された管理情報部を有する磁性層パターンの一例を表す図である。
【図14】AC消磁を施した管理情報部を有する磁性層パターンの一例を表す図である。
【図15】DC消磁された管理情報部を有する磁性層パターンの他の一例を表す図である。
【図16】AC消磁を施した管理情報部を有する磁性層パターンの他の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板、及び非磁性基板上に形成された磁気記録層を含み、この磁気記録層は、少なくとも溝によって分離された記録トラックパターン及び管理情報パターンを有する。
【0015】
記録トラックパターン及び管理情報パターンは、非磁性基板上に磁性層により形成される。
【0016】
また、ここで、本発明に使用される管理情報パターンは、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズから選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表したものをいう。この管理情報パターンは互いに分離された複数の磁性層により構成され得る。
【0017】
本発明によれば、製造された磁気記録媒体に、万一、欠陥が見つかった場合に、磁気記録層に設けられた管理情報パターンを読み取ることにより、原因となった原盤及びスタンパを、容易に追跡することができる。
【0018】
本発明に用いられる管理情報は、二値化されているので、通常の読み取りヘッドを使用して容易に読み取ることができる。
【0019】
管理情報パターンは、好ましくは再生可能領域に設けられる。これにより、磁気記録再生装置内の再生ヘッドを使用して容易に読みとりが可能となる。
【0020】
また、本発明に使用される管理情報パターンとして、AC消磁されたパターンを使用することが可能である。AC消磁されたパターンを使用することにより、権限を持つ者だけが管理情報を読み取るように設定できるので、秘密保持が可能となる。
【0021】
本発明の磁気記録媒体は、好ましくは、スタンパを用いてインプリント法により、その磁気記録層を形成することができる。この方法では、磁気記録層をパターニングするための部材例えばレジストに、スタンパを押圧するだけで、複雑な工程、装置を使用することなく、その凹凸形状を物理的に容易に転写することができる。
【0022】
本発明の磁気記録媒体においては、管理情報パターンは、記録トラックパターンの形成と同じ工程で、あるいは別な工程で形成することが可能である。管理情報パターンが製造される磁気記録媒体毎に異なる場合には、少なくとも記録トラックパターンをスタンパを用いてインプリント法により形成し、管理情報パターンを他の方法で形成することができる。一方、管理情報パターンが製造される磁気記録媒体に共通の情報であるとき、記録トラックパターンと管理情報パターンの両方を、スタンパを用いてインプリント法により形成することにより、他の工程でさらにパターンを形成するよりも、パターンの形成工程の数を低減でき、低コストである。
【0023】
本発明のインプリント用スタンパは、上記磁気記録媒体の磁気記録層を、パターンの形成工程の数をできるだけ低減して形成するために好適に使用されるスタンパであって、溝によって分離された記録トラックパターンと管理情報パターンの表面の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンを有する。
【0024】
本発明のインプリント用スタンパを用いると、記録トラックパターンとは逆の凹凸パターンと共に、管理情報パターンとは逆の凹凸パターンが予め形成されているので、記録トラックパターンの形成と同じ工程で管理情報パターンを形成することができる。
【0025】
また、本発明のインプリント用スタンパにおいては、管理情報パターンと逆の凹凸パターンは、記録トラックパターンと逆の凹凸パターンの形成とは別に形成することも可能であるが、このようなパターンの形成工程は少ないことが望ましい。
【0026】
本発明の原盤は、上記インプリント用スタンパを、パターンの形成工程の数をできるだけ低減して形成するために好適に使用される原盤であって、磁気記録層の管理情報パターンと同様の凹凸パターン及び記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを有する。
【0027】
本発明の原盤には、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンと共に管理情報パターンと同様の凹凸パターンが予め設けられているので、本発明の原盤を用いると、記録トラックパターンとは逆の凹凸パターンの形成と同じ工程で、上記インプリント用スタンパに管理情報パターンとは逆の凹凸パターンを形成することができる。
【0028】
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【0029】
図1に本発明の磁気記録媒体を適用し得る磁気記録再生装置の一例を表す図を示す。
【0030】
この磁気記録再生装置は、筐体70の内部に、ディスク状の磁気記録媒体71と、磁気ヘッドを含むヘッドスライダ76と、ヘッドスライダ76を支持するヘッドサスペンションアッセンブリ(サスペンション75とアクチュエータアーム74)と、ボイスコイルモータ(VCM)77と、回路基板とを備える。
【0031】
磁気記録媒体71はスピンドルモータ72に取り付けられて回転され、垂直磁気記録方式により各種のディジタルデータが記録される。ヘッドスライダ76に組み込まれている磁気ヘッドはいわゆる複合型ヘッドであり、単磁極構造のライトヘッドと、シールド型MR再生素子(GMR膜、TMR膜など)を用いたリードヘッドとを含む。アクチュエータアーム74の一端にサスペンション75が保持され、サスペンション75によってヘッドスライダ76を磁気記録媒体71の記録面に対向するように支持する。アクチュエータアーム74はピボット73に取り付けられる。アクチュエータアーム74の他端にはボイスコイルモータ(VCM)77が設けられている。ボイスコイルモータ(VCM)77によってヘッドサスペンションアッセンブリを駆動して、磁気ヘッドを磁気記録媒体71の任意の半径位置に位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、ボイスコイルモータ(VCM)の駆動信号、および磁気ヘッドによる読み書きを制御するための制御信号などを生成する。
【0032】
図2に、本発明に係る磁気記録媒体の一例を説明するための図を示す。
【0033】
磁気記録媒体71はいわゆるディスクリートトラック媒体であり、基板上に形成された磁気記録層が所定のパターンを有する磁性層を含み、磁性層の面内において、記録トラックをなす磁性層のパターンを含むデータ領域61、アドレスビットとして利用される磁性層パターンを含みトラック長さ方向に沿ってデータ領域の間に形成されたサーボ領域62、及び例えばこの記録トラック内周側に設けられた管理情報領域63を含む。これらの磁性層パターンは溝によって分離されている。
【0034】
また、基板と磁気記録層の間には、必要に応じて、下地層を設けることができる。
【0035】
磁気記録層としては、垂直磁気記録層を好ましく用いることができる。
【0036】
図3は、本発明に使用される磁性層パターンの一例を説明するための図、及び図4はその断面構造を説明するための図を示す。
【0037】
図3に示すように、円周方向に沿ってサーボ領域20とデータ領域30とが交互に形成されている。サーボ領域20は、それぞれ磁性層のパターンで形成された、プリアンブル部21、アドレス部22、位置決めバースト部23などの領域を含む。なお、これらの領域に加えてギャップ部を含んでいてもよいし、各領域の順序や配置が異なっていてもよい。データ領域30には、磁性層のパターンからなる記録トラック31と、溝または非磁性層からなるガードバンド32とが、半径方向に沿って交互に形成され、さらに、例えば比較的内周側の記録トラック31間に管理情報部33が形成されている。なお、便宜上、図3に示すようなミクロな範囲では、半径方向と円周方向とは概ね直交しているように図示しているが、磁気ディスク全体で見ればサーボ領域がヘッドスライダのアクチュエータアームの軌跡に対応して、図2に示すサーボ領域62のように弧の形状をなし得る。また、半径位置に応じて、磁性層のパターンが異なっていてもよい。
【0038】
図5ないし図8に、本発明の磁気記録媒体の製造工程の一例を説明するための図を示す。
【0039】
まず、図5(A)〜図5(C)を用いて、本発明の原盤の一例を形成する方法を説明する。
【0040】
図5(A)に示すように、例えば8インチ径のSiウエハー1を用意し、その表面を例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)で処理し得る。一方、例えば日本ゼオン社製のレジストZEP−520をアニソールで2倍に希釈し、0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、レジスト溶液が得られる。Siウエハー1上にレジスト溶液をスピンコートした後、例えば200℃で3分間プリベークして、例えば厚さ約0.1μmのレジスト2を形成することができる。
【0041】
図5(B)に示すように、ZrO/W熱電界放射型の電子銃エミッターを有する電子ビーム描画装置を用い、例えば加速電圧50kVの条件で、Siウエハー1上のレジスト2に所望のパターンを直接描画することができる。描画時にはサーボパターン、バーストパターン、アドレスパターン、トラックパターン、及び管理情報パターンを形成するための信号と、描画装置のステージ駆動系へ送る信号と、電子ビームの偏向制御信号とを同期させて発生する信号源を用いることができる。描画中は例えば線速度700mm/sのCLV(Constant Linear Velocity)でステージを回転させるとともに、半径方向にもステージを移動させることができる。また、1回転毎に電子ビームに偏向をかけて、同心円をなすトラック領域を描画することができる。磁気信号パターンは半径4mmから10.3mmの範囲に露光し、その内外にアライメントマークおよび認識用のマーク及び文字パターンを露光することができる。露光後、Siウエハー基板を、スピンコーターで500rpmで回転させながら、現像剤例えばZED−N50(日本ゼオン社製)に例えば90秒間浸漬してレジスト2を現像し、その後、有機溶媒例えばZMD−B(日本ゼオン社製)に例えば90秒間浸漬してリンスを行い、続いて、エアーブローにより乾燥させることにより、図5(C)に示すような凹凸パターンを有するレジスト原盤5が得られる。この凹凸パターンは、形成すべき磁気記録媒体の磁性層パターンと同様の凹凸パターンを有する。
【0042】
次に、図6(A)〜図6(C)を用いて、本発明のインプリント用スタンパの一例を形成する方法を説明する。
【0043】
図6(A)に示すように、レジスト原盤5上にスパッタリングによって例えばNiからなる導電膜6を形成することができる。具体的には、ターゲットに純ニッケルを使用し、8×10-3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを導入して圧力を1Paに調整したチャンバー内で400WのDCパワーを印加して40秒間スパッタリングを行い、厚さ約30nmの導電膜6を成膜することができる。
【0044】
図6(B)に示すように、導電膜6をつけたレジスト原盤5を、例えばスルファミン酸ニッケルメッキ液(昭和化学(株)製、NS−160)に浸漬し、例えば75分間Ni電鋳して、厚さ約300μmの電鋳膜7を形成することができる。電鋳浴条件の一例は、次の通りである。
【0045】
スルファミン酸ニッケル:600g/L
ホウ酸:40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム):0.15g/L
液の温度:55℃
pH:4.0
電流密度:20A/dm2。
【0046】
図6(C)に示すように、レジスト原盤5から、電鋳膜7および導電膜6をレジスト残渣がついた状態で剥離することができる。例えば酸素プラズマアッシングによりレジスト残渣を除去することができる。具体的には、例えば酸素ガスを100ml/minで導入して圧力を4Paに調整したチャンバー内で100Wのパワーを印加して20分間プラズマアッシングを行なうことができる。このようにして、レジスト原盤5の凹凸パターンを反転した凹凸パターンを有し、導電膜6および電鋳膜7を含むファザースタンパが得られる。その後、ファザースタンパの不要部を金属刃で打ち抜くことによりインプリント用スタンパ8が得られる。このスタンパ8は、例えば上記図3及び図4に示すパターンとその凹凸形状が反転したパターンを有する。
【0047】
こうして得られたファザースタンパ自体をインプリントスタンパとして使用する事は当然可能であるが、このファザースタンパに以下のようにして電鋳処理を繰り返し、スタンパを大量複製することができる。
【0048】
図7(A)ないし図7(G)に、上記ファザースタンパを用いて、インプリント用スタンパを複製する工程を表す図を示す。
【0049】
まず、図7(A)に示すようなファザースタンパ41を用意する。
【0050】
ファザースタンパ41の凹凸状のパターン表面に、図7(B)に示すように、例えば200Wのパワーを3分間印加すること以外は上記図6(C)に示すレジスト残渣を除去する工程と同様にして酸素プラズマアッシング法によるパッシベーションで酸化膜42を形成することができる。なお、酸素プラズマアッシング法によるパッシベーションの代わりにウエット処理で行なう陽極酸化法を代用することができる。
【0051】
この後、図7(C)に示すように、図6(B)に示す電鋳膜の形成工程と同様にして、同様の電鋳浴条件で、酸化膜42を介してファザースタンパ41の上にニッケル電鋳膜43を形成することができる。電鋳膜の厚さはファザースタンパ同様300μmでも良いが、ファザースタンパと区別するために100μm程度厚く或いは薄くすることができる。
【0052】
この後、図7(D)に示すように、ファザースタンパ41から電鋳膜43を剥離してファザースタンパの反転型であるマザースタンパを得ることができる。
【0053】
ファザースタンパからマザースタンパを得る工程を繰り返す事により、例えば10枚以上の同じ形状のマザースタンパを得ることができる。
【0054】
この後、ファザースタンパ41からマザースタンパ43を得る手順と同様にして、図7(E)に示すように、マザースタンパ43表面に酸化膜44をパッシベーションし、さらに、図7(F)に示すように、電鋳膜44を形成して剥離することにより、図7(G)に示すように、ファザースタンパ41と凹凸のパターン形状が同じサンスタンパ45を得ることができる。上記10枚以上の同じ形状のマザースタンパを用いてサンスタンパを例えば100枚以上作成することができる。このようにして、1枚の原盤から多数のスタンパを複製し、磁気記録媒体を大量生産することができる。レジスト原盤のパターンを描画する際には多大な時間を必要とする場合があるため、スタンパを大量に複製することにより、歩留まりよく磁気記録媒体を製造することができる。
【0055】
図8(A)〜図8(F)に、上記インプリント用スタンパを用いて、本発明の磁気記録媒体の一例を製造する工程を表す図を示す。
【0056】
図8(A)に示すように、スタンパ8を例えばアセトンを用いて15分間、超音波洗浄する。インプリント時の離型性を高めるために、スタンパ8に次のような処理を施すことができる。例えばフルオロアルキルシラン CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3(GE東芝シリコーン株式会社製、TSL8233)をエタノールで5%に希釈した溶液を調製し得る。得られた溶液にスタンパ8を30分間浸し、ブロアーで溶液をとばした後に、120℃で1時間アニールすることができる。
【0057】
一方、例えば0.85インチ径のドーナツ型ガラスからなるディスク基板11上にスパッタリングにより磁気記録層12を形成することができる。この磁気記録層12上にレジスト15(ローム・アンド・ハース製、S1801)を回転数4000rpmでスピンコートすることができる。
【0058】
図8(B)に示すように、スタンパ8をディスク基板11表面のレジスト15に押し付け、例えば1800barで1分間プレスすることによって、レジスト15にスタンパ8のパターンを転写することができる。パターンが転写されたレジスト15を5分間UV照射した後、160℃で30分間ベークすることができる。このようなインプリントによる凹凸形成プロセスでは、パターン凹部の底にレジスト残渣が残り得る。
【0059】
図8(C)に示すように、例えば酸素ガスを用いたRIEにより、パターン凹部の底にあるレジスト残渣を除去することができる。図8(D)に示すように、レジスト15のパターンをマスクとして、例えばArイオンミリングにより磁気記録層12をエッチングする。図8(E)に示すように、酸素RIEによりレジスト15のパターンを剥離することができる。
【0060】
その後、エッチングされた磁気記録層12を含む基板表面全体にカーボン保護層13を成膜することができる。その後、作製した磁気ディスクに図示しない潤滑剤を塗布することにより、図8(F)に示すような磁気記録媒体を得ることができる。ここで、図8(A)で示したスタンパ8の凹部が図8(F)に示された媒体では凸部の磁性部に対応している。
【0061】
また、磁気記録層の凹部は、必要に応じて、非磁性層を用いて平坦化することができる。
【0062】
上記図6(A)〜図6(C)に示すインプリント用スタンパの一例の形成方法では、磁気記録媒体の磁性層のパターンと同様の凹凸パターンが形成された原盤を使用した例を示したが、本発明のプリント用スタンパは、原盤に管理情報パターンに相当するパターンが形成されていなくても、別の工程を用いて形成することができる。
【0063】
図9(A)ないし図9(E)に、本発明に係るインプリント用スタンパの他の一例を説明するための図を示す。
【0064】
図9(A)に示すように、記録トラックパターンを反転した凹凸パターンを有するスタンパ本体51を用意する。
【0065】
次に、図9(B)に示すように、スタンパ本体51上に、フォトレジストを塗布することができるフォトレジスト層52を形成し得る。その後、レーザー描画を用いてフォトレジスト層52に管理情報を書き込むことができる。
【0066】
その後、現像処理を行うことにより、図9(C)に示すように、管理情報パターンの表面の凹凸パターンを反転した凹凸情報をレジスト層52に形成し得る。
【0067】
さらに、図9(D)に示すように、現像処理されたスタンパ本体をミリング処理に供することより、露光、現像処理された部分のスタンパ本体表面の凸部と、レジスト層52の一部とをエッチングし得る。これにより、管理情報がスタンパの凹凸形状として転写される。
【0068】
さらに、例えば酸素RIEによりレジスト層52のパターンを剥離することができる。得られたスタンパには、図9(E)に示すように、記録トラック部53と管理情報部54が形成され得る。
【0069】
また、上記図8(A)〜図8(F)に示す磁気記録媒体の一例の製造方法では、磁気記録媒体の磁性層パターンの凹凸パターンを反転した凹凸パターンが形成されたスタンパを用いた例を示したが、本発明の磁気記録媒体は、スタンパに管理情報パターンに相当するパターンが形成されていなくても、管理情報パターンを別の工程を用いて形成することができる。
【0070】
図10(A)ないし図10(D)に、本発明の磁気記録媒体の他の一例の製造工程を表す図を示す。
【0071】
まず、図8(A)及び図8(B)に示す工程と同様にして、基板84上に設けられた磁気記録層83表面に例えばノボラック系のフォトレジストを塗布し、得られたレジスト82上にスタンパ81をプレスすることにより、図10(A)に示すように、スタンパ81の凹凸パターンをレジスト82に転写することができる。
【0072】
次に、スタンパのパターンが転写されたレジスト82上に、レーザー描画を用いて管理情報を書き込むことができる。レーザ露光後現像することにより、図10(B)に示すように、レジスト82に凹凸状の管理情報パターンを形成することができる。
【0073】
その後、図8(C)及び図8(D)に示す工程と同様にして、例えば酸素ガスを用いたRIEによりレジスト82の残渣を除去した後、例えばArイオンミリングを行うことにより、図10(C)に示すように、磁気記録層83をエッチングすることができる。
【0074】
さらに、必要に応じて凹部にSOG(スピン・オン・グラス)を塗布後、ガラス化させる等の方法を用いて、非磁性層85を形成し、保護膜86、及び図示しない潤滑層を形成して、図10(D)に示すような磁気記録媒体が得られる。
【0075】
このように、管理情報パターンを、原盤に形成することなく、記録トラックのためのパターンが転写されたスタンパあるいは磁気記録媒体に、フォトレジストとレーザー描画を用いて後から形成すると、レーザー描画幅は、通常約300nm以下の記録トラック幅より広い為、最終的に磁気記録媒体に設けられる管理情報パターンは、記録トラックよりも幅が広くなるか、あるいは複数の記録トラックにまたがった構成となる。
【0076】
本発明の磁気記録媒体に設けられる磁性層パターンの他の一例を図11に示す。
【0077】
この磁性層パターンは、データ領域87と、データ領域87の内周側に設けられた管理情報領域88とを含み、さらに円周方向に沿ってデータ領域87と交互に形成された図示しないサーボ領域を有する。この磁性パターンでは、管理情報パターン89の幅が各記録トラック90の幅よりも大きくなっている。
【0078】
このようにトラック幅が広い場合、ヘッドの位置決めが容易になり、管理情報にアクセスしやすくなるという利点がある。 本発明の磁気記録媒体に設けられる磁性層パターンのさらに他の一例を図12に示す。
【0079】
この磁性層パターンは、データ領域57と、データ領域57の内周側に設けられた管理情報領域58とを含み、さらに円周方向に沿ってデータ領域57と交互に形成された図示しないサーボ領域を有する。この磁性パターンでは、管理情報パターン56が複数の記録トラックパターン55にまたがって形成されている。このような場合、1トラックの管理情報が、磁性体の欠陥などにより読取不可能になっていても、他のトラックの管理情報を読取可能になる為、エラーに強くなるという利点がある。
【0080】
また、本発明の磁気記録媒体では、管理情報部をAC消磁して、一般ユーザからアクセスできないようにすることも可能である。
【0081】
DC消磁された管理情報部を有する磁性層パターンの一例を図13に示す。
【0082】
図13は、管理情報98が1トラック分に記載されており、そこにアクセスするためのサーボ情報97も一部図示してある。図13の場合は、情報は非磁性体92によって記録されている。91は、磁性体である。図13はDC消磁された状態である。すなわち、磁性体91の部分は全て一方向を向いている。従って非磁性体92の位置で磁束が変化し、ヘッドから磁気情報として読み取ることができる。
【0083】
AC消磁を施した管理情報部を有する磁性層パターンの一例を図14に示す。
【0084】
図14に示す状態は、図13に示す状態に、記録した情報の最小ビット長以下のAC信号を書き込んだものである。93は、書き込まれたAC信号による反転磁区である。こうすることで、再生ヘッドにはAC信号分と非磁性体部分との両方からの信号が再生されるために、情報をよみとることができない。それ以前に、サーボ信号が適切に読み取れないのでトラッキングすらできない。このように、管理情報が一般ユーザにとって不必要な情報である場合には、それを読めないようにすることができる。これを読みたい場合には、管理権限のある人たとえば製造元といったファームウェアにアクセスできる人が管理情報の部分をDC消磁すればよい。
【0085】
なお、図14では、便宜上、明確なAC状態が記録されているが、読めないようにすることが目的であるので、実際には図示するような明確なAC信号である必要はない。いわゆる迷路状磁区にすることができる。
【0086】
図15には、DC消磁された管理情報部を有する磁性層パターンの他の例を示す。図15では、管理情報が磁性体部分によって記録されている以外は、図13と同様である。94,95は、各々非磁性体及び磁性体を表す。
【0087】
図16に示す状態は、図15に示す状態に、記録した情報の最小ビット長以下のAC信号を書き込んだものである。この状態は、磁性体部分がAC消磁されているために、そこから充分な磁束が出ることができない。あるいは、あるビットは磁束が出るが、あるビットは全く磁束がでない。したがって、上記と同様に、情報が読めないばかりか、トラッキングもできなくなるのである。なお、図16ではAC消磁状態の磁区がほぼ整然と並んでいるが、これは一例であって、乱雑に形成することができる。
【0088】
以下、本発明に実施形態に係る磁気記録媒体の各層に用いられる材料や、各層の積層構造について説明する。
【0089】
<基板>
基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、化合物半導体基板、Si単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板には、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスを用いることができる。アモルファスガラスとしては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどがある。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどがある。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの焼結体を繊維強化したものなどを用いることができる。化合物半導体基板としては、GaAs,AlGaAsなどがある。Si単結晶基板、いわゆるシリコンウエハーは表面に酸化膜を有していても構わない。
【0090】
<軟磁性下地層>
垂直磁気記録媒体を作製する場合には、軟磁性下地層(SUL)上に垂直磁気記録層を有するいわゆる垂直二層媒体とする。垂直二層媒体の軟磁性下地層は、記録磁極からの記録磁界を通過させ、記録磁極の近傍に配置されたリターンヨークへ記録磁界を還流させるために設けられている。すなわち、軟磁性下地層は記録ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻な垂直磁界を印加して、記録効率を向上させる役目を果たす。
【0091】
軟磁性下地層には、Fe、NiおよびCoのうち少なくとも1種を含む高透磁率材料が用いられる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系およびFeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどが挙げられる。
【0092】
軟磁性下地層に、Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造、または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。
【0093】
軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Coは、好ましくは80at%以上含まれる。このようなCo合金をスパッタリングにより成膜した場合にはアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示す。また、アモルファス軟磁性材料を用いることにより、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTa系合金などを挙げることができる。
【0094】
軟磁性下地層の下に、軟磁性下地層の結晶性の向上あるいは基板との密着性の向上のためにさらに下地層を設けてもよい。下地層材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
【0095】
軟磁性下地層と垂直磁気記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けてもよい。中間層の役割は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断すること、および記録層の結晶性を制御することである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
【0096】
スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、厚さ0.5〜1.5nmのRuを挟んで反強磁性結合させてもよい。また、軟磁性層と、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持った硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピニング層とを交換結合させてもよい。この場合、交換結合力を制御するために、Ru層の上下に、磁性層たとえばCo、または非磁性層たとえばPtを積層してもよい。
【0097】
<垂直磁気記録層>
垂直磁気記録層には、たとえば、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、必要に応じてCrを含み、さらに酸化物(たとえば酸化シリコン、酸化チタン)を含む材料が用いられる。垂直磁気記録層中では、磁性結晶粒子が柱状構造をなしていることが好ましい。このような構造を有する垂直磁気記録層では、磁性結晶粒子の配向性および結晶性が良好であり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。上記のような構造を得るためには、酸化物の量が重要になる。酸化物の含有量は、Co、Pt、Crの総量に対して、3mol%以上12mol%以下が好ましく、5mol%以上10mol%以下がより好ましい。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量が上記の範囲であれば、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を孤立化および微細化させることができる。酸化物の含有量が上記範囲を超える場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなる。一方、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の孤立化および微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなる。
【0098】
垂直磁気記録層のPtの含有量は、10at%以上25at%以下であることが好ましい。Pt含有量が上記範囲であると、垂直磁気記録層に必要な一軸磁気異方性定数Kuが得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好になり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られる。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがある。一方、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適したKuしたがって熱揺らぎ特性が得られなくなる。
【0099】
垂直磁気記録層のCrの含有量は、0at%以上16at%以下が好ましく、10at%以上14at%以下がより好ましい。Cr含有量が上記範囲であると、磁性粒子の一軸磁気異方性定数Kuを下げることなく高い磁化を維持でき、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られる。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、かつ磁性粒子の結晶性、配向性が悪化し、結果として記録再生特性が悪くなる。
【0100】
垂直磁気記録層は、Co、Pt、Cr、酸化物に加えて、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の添加元素を含んでいてもよい。これらの添加元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進するか、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。これらの添加元素の合計含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られなくなる。
【0101】
垂直磁気記録層の他の材料としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSiが挙げられる。垂直磁気記録層に、Pt、Pd、RhおよびRuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする合金と、Coとの多層膜を用いることもできる。また、これらの多層膜の各層に、Cr、BまたはOを添加した、CoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどの多層膜を用いることもできる。
【0102】
垂直磁気記録層の厚さは、5〜60nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。この範囲の厚さを有する垂直磁気記録層は高記録密度に適している。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。一方、垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上であることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
【0103】
<保護層>
保護層は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ作用を有する。保護層の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含む材料が挙げられる。保護層の厚さは、1〜10nmとすることが好ましい。保護層の厚さを上記の範囲にすると、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。
【0104】
<潤滑層>
潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
【0105】
本発明の原盤によれば、その製造時に、管理情報パターンに相応する原盤のパターンを、記録トラックパターンに相応する原盤のパターンと同じ工程で形成できるので、さらなる工程の追加をしなくても良く、低コストである。
【0106】
本発明のインプリント用スタンパによれば、その製造時に、管理情報パターンに相応するスタンパの凹凸パターンを、記録トラックパターンに相当するスタンパの凹凸パターンと同じ工程で形成できるので、さらなる工程の追加をしなくても良く、低コストである。
【0107】
さらに、本発明の磁気記録媒体によれば、その磁気記録層の製造時に、スタンパを用いてインプリント法により物理的転写を行う際に、少なくとも管理情報パターン相当するスタンパの凹凸パターンと、記録トラックパターンの両方に相当するスタンパの凹凸パターンとを、1つのスタンパで同時に転写できるので、さらなる工程の追加をしなくても良く、低コストである。
【0108】
[付記1.]
非磁性基板、及び該非磁性基板上に形成された磁気記録層を含み、
該磁気記録層は、少なくとも溝によって分離された記録トラックパターンと、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとを有し、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【0109】
[付記2.]
前記管理情報パターンは、AC消磁されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【0110】
[付記3.]
前記管理情報パターンは、再生可能領域に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【0111】
[付記4.]
前記記録トラックパターン及び前記管理情報パターンは、
前記磁気記録層表面と、該磁気記録層表面上に設けられた、該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを有するレジストとをエッチングに供することにより形成され、
該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを有するレジストは、
電子ビーム描画により原盤に形成された該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを、インプリント用スタンパに転写して、該記録トラックパターンとは逆の凹凸パターンを形成した後、
該スタンパに設けられたレジストに、レーザー描画を用いて該管理情報パターンとは逆の凹凸パターンを形成し、更にエッチングするとこによりスタンパに該管理情報パターンを形成させた後、該磁気記録媒体上に設けられたレジストに該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを転写するか、あるいは該磁気記録媒体上に設けられ、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンが転写されたレジストに、レーザー描画を用いて該管理情報パターンと同様の凹凸パターンをレーザー描画により形成することにより得られることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【0112】
[付記5.]
少なくとも溝によって分離された、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを電子ビーム描画により原盤上に形成し、
該原盤を用い、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンをインプリント用スタンパに転写した後、
前記インプリント用スタンパを用いて、磁気記録層上に設けられたレジストに、該記録トラックパターンを形成した後、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンと同様の凹凸パターンをレーザー描画により形成し、該レジストと共に磁気記録層表面をエッチングすることにより、該磁気記録層表面に該記録トラックパターンと該管理情報パターンを形成する磁気記録媒体の製造方法において、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0113】
[付記6.]
少なくとも溝によって分離された、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを電子ビーム描画により原盤上に形成し、
該原盤を用い、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンをインプリント用スタンパに転写した後、
前記インプリント用スタンパ上にレジストを形成し、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとは逆の凹凸パターンをレーザー描画及びエッチングにより形成し、得られたスタンパを用いて、該磁気記録層上に設けられたレジストに、該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを転写し、該レジストと共に該磁気記録層表面をエッチングすることにより、該磁気記録層表面に該記録トラックパターンと該管理情報パターンを形成する磁気記録媒体の製造方法において、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0114】
[付記7.]
前記管理情報パターンは、AC消磁されていることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【0115】
[付記8.]
前記管理情報パターンは、再生可能領域に設けられることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【符号の説明】
【0116】
5…レジスト原盤、8…インプリント用スタンパ、11…ディスク基板、12…磁気記録層、15…レジスト、20,62…サーボ領域、21…プリアンブル部、22…アドレス部、23,33…位置決めバースト部、30,61…データ領域、31…記録トラック、32…ガードバンド、41…ファザースタンパ、52…フォトレジスト層、43…マザースタンパ、45…サンスタンパ、53,57…記録トラック部、54,58…管理情報部、70…筐体、71…磁気記録媒体、76…ヘッドスライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性基板、及び該非磁性基板上に形成された磁気記録層を含み、
該磁気記録層は、少なくとも溝によって分離された記録トラックパターンと、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとを有し、
前記記録トラックパターン及び前記管理情報パターンは、
前記磁気記録層表面と、該磁気記録層表面上に設けられた、該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを有するレジストとをエッチングに供することにより形成され、
該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを有するレジストは、
電子ビーム描画により原盤に形成された該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを、インプリント用スタンパに転写して、該記録トラックパターンとは逆の凹凸パターンを形成した後、
該スタンパに設けられたレジストに、レーザー描画を用いて該管理情報パターンとは逆の凹凸パターンを形成し、更にエッチングするとこによりスタンパに該管理情報パターンを形成させた後、該磁気記録媒体上に設けられたレジストに該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを転写するか、あるいは該磁気記録媒体上に設けられ、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンが転写されたレジストに、レーザー描画を用いて該管理情報パターンと同様の凹凸パターンをレーザー描画により形成することにより得られ、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
前記管理情報パターンは、AC消磁されていることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
少なくとも溝によって分離された、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを電子ビーム描画により原盤上に形成し、
該原盤を用い、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンをインプリント用スタンパに転写した後、
前記インプリント用スタンパを用いて、磁気記録層上に設けられたレジストに、該記録トラックパターンを形成した後、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンと同様の凹凸パターンをレーザー描画により形成し、該レジストと共に磁気記録層表面をエッチングすることにより、該磁気記録層表面に該記録トラックパターンと該管理情報パターンを形成する磁気記録媒体の製造方法において、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項4】
少なくとも溝によって分離された、記録トラックパターンと同様の凹凸パターンを電子ビーム描画により原盤上に形成し、
該原盤を用い、該記録トラックパターンと同様の凹凸パターンとは逆の凹凸パターンをインプリント用スタンパに転写した後、
前記インプリント用スタンパ上にレジストを形成し、製造番号、管理番号、製造日、製造場所、製造メーカー、販売ルート、記憶容量、及びサイズからなる群から選択される少なくとも1種の管理情報を二値化して表した管理情報パターンとは逆の凹凸パターンをレーザー描画及びエッチングにより形成し、得られたスタンパを用いて、該磁気記録層上に設けられたレジストに、該記録トラックパターン及び該管理情報パターンと同様の凹凸パターンを転写し、該レジストと共に該磁気記録層表面をエッチングすることにより、該磁気記録層表面に該記録トラックパターンと該管理情報パターンを形成する磁気記録媒体の製造方法において、
前記管理情報パターンは、隣接する記録トラックにまたがって記録されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記管理情報パターンは、AC消磁されていることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−141949(P2011−141949A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94363(P2011−94363)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【分割の表示】特願2009−218126(P2009−218126)の分割
【原出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】