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磁気記録媒体およびその製造方法
説明

磁気記録媒体およびその製造方法

【課題】微細な磁性ドットを形成し、さらにその位置をビットサイズのレベルで制御してスキュー角に応じた規則的な格子を組んで配列し、かつ記録材料の配列の乱れおよび欠陥の発生のないパターン磁気記録媒体、およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】磁性ドットからなるパターン磁気記録媒体において、データ記録領域の各トラックごとまたは隣接する複数のトラック群ごとに磁性ドットは所定の配列がなされ、その配列は、各記録ビットごとに磁性ドットが1個配置され、トラック方向で隣接する3または4磁性ドットが多角形を形成しており、1辺は前記トラック方向に平行で、1辺は磁気記録ヘッドのスキュー角に対応する方向に平行であることを特徴とする。
前記多角形は、平行四辺形であり、1対の平行な2辺が前記トラック方向に平行であり、他の1対の2辺が前記スキュー角に対応する方向に平行であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法に関し、より詳しくは磁気記録用のパターンが形成された垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高度情報化社会を支える情報の記録装置の一つとして固定磁気記憶装置(ハードディスクドライブ)が用いられているが、情報の大量化に伴って、磁気記憶装置に用いられる磁気記録媒体には記録密度の向上が要求されている。高記録密度を実現するためには、磁化反転が生じる単位を小さくしなければならない。そのためには、磁性粒子のサイズの微細化と同時に、磁化反転する単位を明確に分離して区切ることで、隣接する記録単位間の磁気的な相互作用を低減することが重要である。
【0003】
磁気記録の高密度化を実現する技術として、長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が近年用いられている。垂直磁気記録媒体用の磁気記録層用材料としては、現在では主として、六方最密充填構造(hcp構造)をもつCoCr系合金結晶質膜が検討されており、そのc軸が膜面に垂直(すなわちc面が膜面に平行)になるように結晶配向を制御して垂直磁気記録させている。
【0004】
また、磁気記録媒体の今後の更なる高密度化に対応するために、このCoCr系合金結晶質膜を構成する結晶粒の微細化、粒径分布の低減、粒間の磁気的な相互作用の低減等に対する取り組みがなされている。
【0005】
更に、高密度化のための磁性層構造制御の一方式として、一般にグラニュラー磁性層と呼ばれる、磁性結晶粒の周囲を酸化物や窒化物のような非磁性非金属物質で囲んだ構造をもつ磁性層を用いる方法がある。グラニュラー磁性膜は、非磁性非金属の粒界相が磁性粒子を物理的に分離するため、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低下し、記録ビットの遷移領域に生じるジグザグ磁壁の形成を抑制するので、低ノイズ特性が得られる。
【0006】
一般的には、Ruを下地層とし、グラニュラー構造をもつCoPtCrO合金を磁性層とした垂直磁気記録媒体が提案されており、グラニュラー磁性層の下地層であるRu層の膜厚を増加させるにしたがってc軸配向性が向上し、それに伴い、優れた磁気特性と電磁変換特性とが得られる。
【0007】
また、SiO2等の酸化物が添加されたCoNiPtターゲットを用いてRFスパッタリング成膜を行うことで、各々の磁性結晶粒が非磁性の酸化物で囲まれて個々に分離した構造を持つグラニュラー記録膜が形成でき、低ノイズ化が実現されることが報告されている(例えば、特許文献1等参照。)。このようなグラニュラー磁性膜は、非磁性非金属の粒界相が磁性粒子を物理的に分離するため、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低下し、記録ビットの遷移領域に生じるジグザグ磁壁の形成を抑制することにより、低ノイズ特性が得られると考えられている。
【0008】
また、結晶構造が磁性層の強磁性結晶粒のそれと同じhcp構造を有する結晶配向制御層を設けると、この上に成長する磁性層中のCo粒子が、結晶配向制御層の結晶質(結晶粒子)に対応して成長し、結晶配向制御層の結晶粒子粒界多孔質領域あるいは非晶質領域に対応して磁性層中に酸化物が析出・成長する。換言すれば、結晶配向制御層の結晶粒子の上に磁性層結晶粒子をエピタキシャルに成長させ、その結果、結晶配向制御層の結晶配向性を磁性層に引き継がせることで磁性層の結晶配向性を制御でき、かつ、磁性層を構成する結晶粒子の周囲に介在する非晶質相の結晶粒界を形成せしめ、グラニュラー構造の磁性層の結晶状態を制御することが可能となるとの提案がされている(例えば、特許文献2、3等参照。)。
【0009】
また、垂直磁気記録媒体の磁性層を、グラニュラー構造の第1の磁性層と非グラニュラー構造の第2の磁性層で構成することにより、良好な電磁気変換特性と共に、高い耐久性を担保することが可能になるとしている。(例えば、特許文献4等参照。)
あるいは熱安定性を損ねることなく記録容易性を向上するために、結合層を挟んで、強磁性結合する第1の磁気記録層と、第2の磁気記録層とからなる層構成が提案されている。また、第1の磁気記録層と第2の磁気記録層の少なくともいずれか一つがグラニュラー構造であることが好ましいとされている。(例えば、特許文献5等参照。)
このようなグラニュラー垂直磁気記録媒体においては、比較的良好な磁気特性と電磁変換特性とが得られている。しかしながら、これまでのグラニュラー垂直磁気記録媒体は、平面方向に見れば連続膜、いわゆるベタ膜であった。さらなる高記録密度化のためには、隣接トラックへの書きにじみの防止、ランダム配置の粒子によるジグザグ磁壁の形成の低減、結晶粒を小さくしていくことによる熱揺らぎによる影響、更に、磁性粒子間の磁気的な相互作用を極力低減してゆく必要がある。
【0010】
そこで、提案されているのが、ディスクリートトラック媒体である。磁化反転する単位を明確に区切ること、ここでは、トラックとトラックの区間を磁気的に完全に切断した磁性体列を作り、隣接トラックの境界を人工的に得るものである。上記の隣接トラックへの書きにじみやジグザグ磁壁の形成をなくすことができる。
【0011】
さらに、パターン媒体が注目されている。このパターン媒体は、形状や大きさを人工的にそろえた単一磁区に分離したドットをアレイ状に並べ、単一の磁性材料ドットを単一の記録ビットとして記録再生を行うパターン媒体が提案されている。(例えば、特許文献6等参照。)
パターン媒体の磁性材料を分離した構造を形成する方法として、従来から知られている各種の技術が使用可能であるが、いずれも一長一短があることから改善が求められている。例えば、光リソグラフィーは一括露光であるためスループットの面で有利なものの、十数nmの微細なパターンを、磁気記録媒体のような大面積に一括露光することは困難が伴う。電子線リソグラフィー方法や集束イオンビーム方法は、パターンに沿ってなぞりながら電子線や収束イオンビームを照射していくため、十数nmの微細なパターンを形成することができるが、磁気記録媒体のような大面積をすべて加工するには、数日を要し、加工時間による加工コストから現実的ではない。
【0012】
この欠点を解決する方法として、自己組織化を利用した方法がいくつか提案されている。例えば、基板上に直径数ナノメートルから数マイクロメートルの微粒子を2次元的に配列させ、微粒子をマスクとしてパターニングを行うことによって、基板上に孤立した磁性微粒子が形成された磁気記録媒体を作製する方法が開示されている。(例えば、特許文献7等参照。)。
【0013】
また、ブロックコポリマーの自己組織的な相分離構造を利用したパターン形成方法が提案されている(例えば、非特許文献1、2等参照。)。ブロックコポリマーを利用する方法は、適当な溶媒に溶かして被加工体上に塗布するだけの非常に簡便なプロセスにより規則配列したパターンを形成することが可能である。通常、ブロックコポリマーの相分離構造は、ハニカム型の六方最密格子状に自己組織化的に発生する。
【0014】
また、陽極酸化アルミナポアの自己組織的な配列構造を利用してアルミナポア中に磁性金属を充填してなる磁気記録媒体も提案されている(例えば、特許文献8等参照。)。該磁気記録媒体は、基板上に、下地電極層と陽極酸化アルミナポアとをこの順に有してなり、陽極酸化アルミナポアには、多数のアルミナポアが秩序配列して形成されており、該アルミナポア中に強磁性金属が充填されて強磁性層が形成されている。なお、通常、前記陽極酸化アルミナポアがハニカム型の六方最密格子状に自己組織化的に発生する
これらの微粒子の配列や、ブロックコポリマーの自己組織化、陽極酸化アルミナの自己組織化によれば、大面積に微細な配列を低コストで形成可能となる。しかしながら、この方法による配列は、十数の微粒子にわたる比較的近距離では2次元的な配列が秩序化されているが、遠距離間では配列の秩序性がなく、多結晶体の様相を呈すものであり、磁気記録媒体全体から見ると多数の欠陥箇所が発生するものである。
【0015】
この点を解決し、磁気記録媒体全体の秩序性を確保するために、いくつかの方法が提案されている。例えば、基材上に凹凸ラインを形成し、該凹凸ライン上に微粒子をパターン状に単層配列させた後、該微粒子の配列パターンをスタンパ形成材料に転写してスタンパを作製し、該スタンパを用いて金属基材上にナノホール形成用起点を形成した後、該金属基材にナノホール形成処理を行う方法が提案されている。(例えば、特許文献9等参照。)。あるいは、ブロックコポリマーの自己組織化を利用した方法としては、ディスク基板上に、トラック方向に沿うほぼ平行な直線と、これらの直線に対して60°または120°の角度をなして交わるほぼ平行な直線を含む分離領域によって囲まれた複数の平行四辺形をなすセルが形成され、複数のセル内において粒子状の記録材料が規則的な格子を組んで配列した構造を有する記録媒体が提案されている。(例えば、特許文献10等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,679,473号明細書
【特許文献2】特開2003−123239号公報
【特許文献3】特開2003−242623号公報
【特許文献4】特開2007−103008号公報
【特許文献5】特開2006−48900号公報
【特許文献6】特開平10−233015号公報
【特許文献7】特開平10−320772号公報
【特許文献8】特開2002−175621号公報
【特許文献9】特開2006−346820号公報
【特許文献10】特開2002−334414号公報
【特許文献11】特開2006−73137号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】P.Mansky他、Appl.Phys.Lett.、vol.68、p.2586
【非特許文献2】M.Park他、Science、vol.276、p.1401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、磁気記録を行う記録の単位を微細なパターンから構成して記録密度を向上する方法が各種提案されている。しかしながら、ハードディスクドライブにおいて用いられる実際の読み書きの動作を効果的に行うためには、単に記録する単位を微細化するだけでは不十分である。
【0019】
図1は、磁気記録ヘッド(以下、単にヘッドと呼ぶ場合も有る。)により磁気記録媒体に情報を記録しあるいは読み出しを行う際に磁気記録ヘッドが移動する軌跡を模式的に示したものである。中心部に内周20の孔を有する外周24の円板状の磁気記録媒体10の記録部を走査するために、ヘッドアーム14に固定された磁気記録ヘッド11は、ヘッドの回転中心12を軸にしてドーナッツ形状の磁気記録媒体の内周側と外周側の間をシーク動作し、ヘッドの軌跡15を形成する。ハードディスクドライブにおいては、磁気記録は磁気記録媒体のトラック方向である円周方向に沿って行われる。従って、トラック方向とヘッドの軌跡が交差する角度でヘッドの記録・読出し素子(以下、ヘッドRW素子と略す。)とトラックが交差することになる。磁気記録媒体と磁気記録ヘッドのそれぞれのトラック幅方向のなす角度はスキュー角と呼ばれている。
【0020】
図2はスキュー角αがトラックの半径方向の位置により変化する様子を模式的に示したもので、磁気記録媒体の上半分を拡大して示している。例えば、磁気記録媒体の半径方向の中周22においては、磁気記録媒体の半径方向(トラック幅方向)とヘッドRW素子のトラック幅方向は一致しており、スキュー角は0°である。しかしながら他の点では、磁気記録媒体の半径方向とヘッドの方向は一致しない。磁気記録媒体半径方向の内周21ではスキュー角α度となる。磁気記録媒体半径方向の外周23においても同様である。一般的に、ハードディスクドライブにおいては、±15°程度までのスキュー角を持つ。
【0021】
磁気記録媒体の全面に磁気記録層が均一に形成されている従来の磁気記録媒体においては、スキュー角が存在したとしてもヘッドRW素子の位置には磁気記録層が存在する。しかしながら、磁気記録層がパターン化され磁性ドットから形成されている場合にはヘッドRW素子の位置に磁気記録層が存在しない場合が生じることがある。
【0022】
図3、4は、ヘッドRW素子とパターン化された磁性ドットの位置関係がスキュー角によって変化する様子を説明するための模式図で、磁気記録媒体の磁気記録層の上面の一部を拡大して示している。磁気記録層は、非磁性体31内に所定のパターンを有して磁性ドット30を配置したもので、トラック幅34とビット幅35の形成する矩形内に磁性ドット30を1個づつ配置している。また、陽極酸化アルミナでポアがハニカム型の六方最密格子状に自己組織化的に発生した場合を想定して、ある磁性ドットに隣接する6個の磁性ドットはほぼ6角形36となっている場合を図示している。図中の矢印は、それぞれ磁気記録媒体のトラック方向32および半径方向33をあらわしている。また、ヘッドRW素子を磁気記録媒体上に投影した位置をヘッドRW素子の投影37として示している。
【0023】
図3と4は、いずれも磁性ドット30が磁気記録媒体の半径方向に沿って整列され、規則正しく配列されている場合を示している。図3は、スキュー角が0°の場合を示し、図4は、スキュー角が大きくなった場合を示している。図3の場合には、ヘッドRW素子の投影37内には磁性ドット30が1個づつ対応することから他のビットの影響なく情報の読み書きが可能である。しかしながら、スキュー角が大きくなった場合には、図4に示すように、ヘッドRW素子の投影37はトラック幅34とビット幅35の形成する矩形から外れることになる。この結果、隣接するビットの磁性ドットにヘッドRW素子が干渉し、正確な情報の読み書きができなくなることがわかる。
【0024】
スキュー角が変化した場合でも隣接するビットの干渉を回避するために、スキュー角に応じて磁性ドットの配置を変える方法が提案されている(例えば、特許文献11参照。)。これは、磁性ドットを磁性材料が充填されたナノホールで構成したもので、ナノホールを形成するためにライン溝を形成し、そのライン溝内に一列にナノホールを形成することで、磁性ドットの配列を行っている。ライン溝の方向を磁気記録媒体の半径位置によって変化させることにより、磁性ドットの配列方向を磁気記録ヘッドのRW素子のトラック幅方向とほぼ同じ方向に配列された構成としたものである。この方法によれば、パターン加工の最小幅は隣接するビット幅と同等の微細加工レベルが必要とされる。しかしながら、ビット幅は極めて微細であることから、ビット幅と同等の微細加工は相当の困難が伴うことになる。
【0025】
また、磁性ドット間の磁気的相互作用を軽減するためには、1記録ビットを1磁性ドットで形成することが好ましいが、記録密度を高めようとすれば、情報記録の最小単位であるビットサイズを小さくすることが必要となり、磁性ドットもこれに伴って小さくする必要がある。従って、小さな磁性ドットを所望の位置に配置するためには、さらに高度な微細加工技術が要求されることとなる。
【0026】
本発明の目的は、微細な磁性ドットを形成し、さらにその位置をビットサイズのレベルで制御してスキュー角に応じた規則的な格子を組んで配列し、かつ記録材料の配列の乱れおよび欠陥の発生のない記録媒体を提供すること、および磁性ドットの所望の配置を行いながら微細加工に過度な負担をもたらさない製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、あらかじめ微小窪みからなるセルを基体に形成し、その微小窪みセル内で、適正な電圧の元で陽極酸化によるナノホール形成を行うことにより、ナノホールがセルの隅に規則的に形成されることを見出したことに基づくものである。
【0028】
上述の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体は、 非磁性材料により磁性材料が仕切られてなる磁性ドットからなるパターン磁気記録媒体において、該磁気記録媒体のデータ記録領域のトラックごとに前記磁性ドットは所定の配列がなされ、前記配列は、各記録ビットごとに前記磁性ドットが1個配置され、前記トラック方向で隣接する前記磁性ドットの3または4個が多角形を形成しており、前記多角形の1辺は前記トラック方向に平行であり、少なくとも他の1辺は前記トラック位置の磁気記録ヘッドのスキュー角に対応する方向に平行であることを特徴とする。
【0029】
前記所定の配列は、該磁気記録媒体のデータ記録領域の隣接する複数のトラック群ごとに設定しても良い。
また、前記多角形は、平行四辺形であり、1対の平行な2辺が前記トラック方向に平行であり、他の1対の2辺が前記スキュー角に対応する方向に平行であることが好ましい。
【0030】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性材料により磁性材料が仕切られてなる磁性ドットからなるパターン磁気記録媒体に製造方法おいて、非磁性基板上に少なくともアルミニウム層を形成する工程、前記アルミニウム層に、多角形の凹み部を形成する工程、陽極酸化法を用いて前記凹み部の各角部だけに各1個のナノホールを形成する工程、前記ナノホールに磁性材料を堆積する工程、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、凹み部に複数の磁性ドットを形成することができることから、1つの凹みに対して1磁性ドットを作製する場合に比べて、微細加工を容易に行うことが可能である。特にナノインプリントで使用するマスターの形成時には、電子線描画の時間を大幅に短縮することができ、低コストで作製できる。
【0032】
さらに、本発明によれば、1ビットを1磁性ドットで記録することができ、1ビットを複数の磁性ドットで得る場合に比べて記録密度の大幅な向上を達成できることから、より高密度記録に対応可能な磁気記録媒体を得ることができる。また、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、簡便な方法で製造でき、生産性、特性とも優れた垂直磁気記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ハードディスクドライブにおいて、磁気記録ヘッドにより磁気記録媒体に情報を記録しあるいは読み出しを行う際に磁気記録ヘッドが移動する軌跡を示す模式図である。
【図2】スキュー角がトラックの半径方向の位置により変化する様子を示す模式図である。
【図3】ヘッドRW素子とパターン化された磁性ドットの位置関係がスキュー角によって変化する様子を説明するための模式図で、スキュー角0°の場合を示す。
【図4】ヘッドRW素子とパターン化された磁性ドットの位置関係がスキュー角によって変化する様子を説明するための模式図で、スキュー角を考慮しない磁性ドット配置でスキュー角が大きい場合を示す。
【図5】本発明の実施形態の1例を説明するための模式図で、磁性ドット位置決め用の凹み部を平行四辺形として、その4隅に磁性ドットを配置した例である。
【図6】本発明の実施形態の1例を説明するための模式図で、スキュー角が変化した場合に磁性ドット位置決め用の凹み部の平行四辺形を変化させた例である。
【図7】本発明の製造方法の例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の磁気記録媒体を図面に基づいて詳しく説明する。
図5、6は本発明に基づく磁気記録媒体の磁性ドットのパターンを説明するもので、磁気記録媒体の上面の一部を拡大して示した模式図である。図5は、スキュー角が0°の場合、図6は、スキュー角が15°の場合を例にとって示している。非磁性体131中に磁性ドット130を所望の規則に従って離散的に形成している。図中の矢印はそれぞれ磁気記録媒体のトラック方向132、磁気記録媒体の半径方向133を示している。トラック幅134とビット幅135で区画される領域が1ビットを形成する領域で、各ビットは1磁性ドットで記録することができる。
【0035】
磁性ドット位置決め用の凹み部140は、各磁性ドット130を所望の位置に配置するために設けるものである。磁気記録媒体上に形成した非磁性体131の一部を周辺部よりも低くなるように形成する。凹み部140の形成方法としては、非磁性体131の厚み自体を凹み部140で薄く形成する方法、あるいは非磁性体131を形成する基体にあらかじめ凹みを設けておき、この上に非磁性体131を形成することで凹み部140を設ける方法等を用いることができる。非磁性体131に設けられた段差により、磁性ドット130を所望の位置に配置することが可能となる。
【0036】
凹み部140の形状は、磁性ドット130を配置するパターンに応じて適宜選択を行う。磁性ドット130は、凹み部の段差の2辺が交差する領域に特に配列しやすい。従って、磁性ドット130を配置する位置を結ぶ多角形を用いることが好ましく、三角形、四角形等、凹み部の形成しやすさに応じて適宜選択すればよい。磁性ドット130をトラック方向に線形に配列すること、および、ひとつの凹み部140で可能な限り多数の磁性ドット130を配置する方が微細加工が容易になることを考慮すれば四角形を採用することが好ましい。
【0037】
図5、6は、磁性ドット130を結ぶ平行四辺形を採用した例を示している。トラック方向132を1辺の方向とし、トラック方向で隣接するビットの磁性ドット130間を結ぶ方向を他の辺としている。平行四辺形の2辺のなす角度(θ)160は、スキュー角、トラック幅、ビット幅に応じて設定する。図5の例示では、スキュー角が0°の時に角度θは60°としており、この場合には、図6に例示するスキュー角が0°より大きい場合には角度θは60°より小さくなる。逆に、スキュー角が0°より小さい場合では、角度θは60°より大きくなる。図6では、スキュー角が0°の場合の磁性ドット130の位置150を参考のために表示している。
【0038】
平行四辺形の2辺のなす角度(θ)160は、各トラックごとに設定することが好ましい。スキュー角は各トラックの半径位置に対応して連続的に変化するからである。角度(θ)160を変化させる方法としては、例えば、ナノインプリント法を用いて凹み部140を形成する場合には、電子線描画法等により原盤を作製すれば、各トラックごとに平行四辺形の2辺のなす角度(θ)160を変化させることが容易に可能である。
【0039】
一方、複数の原盤を用いて凹み部140を形成する場合には、微細加工の容易さを考慮すれば、凹み部140の形状数はできる限り少なくすることが好ましい。したがって、半径方向に隣接する複数のトラックを一まとめとしてトラック群を設定し、トラック群ごとに適切な凹み部140の形状を設定することが好ましい。平行四辺形の2辺のなす角度(θ)160は、トラック群の内のいずれかのトラックのスキュー角に対応して設定する。スキュー角は半径方向で連続的に変化することから、トラック群の中央になるトラックに対応するスキュー角に設定することが特に好ましい。
【0040】
このようにすることで、微細加工の容易さを確保しながら、ヘッドRW素子の投影が隣接ビットで干渉して情報の読み書きの精度が低下することが抑制される。
各記録ビットは、1個の磁性ドット130で形成することが好ましく、さらに好ましくは、隣接する磁性ドット130を離れて形成することで、各磁性ドット130間の磁気相互作用を低減することができる。このためには、図6、7に示すように、磁性ドット130を千鳥状に配置することが好ましい。より具体的には、隣接するビット間で磁性ドット130がトラック幅の両端方向で互い違いになるように配置することが好ましい。また、前述したスキュー角に応じた凹み部140を用いることで、ヘッドRW素子の投影137部には、単一の磁性ドット130だけが配置されることになり、1個の磁性ドット130で1個の記録ビットを形成することができる。
【0041】
磁性ドット130の形成方法は、磁性ドット130の形状で空孔を非磁性体131に形成し、その後、空孔部に磁性材料を形成すれば良い。図7を用いて、磁性ドット130の形成方法をより詳細に説明する。
【0042】
図7は、わかりやすさのために基板の片面側のみ加工する場合を例にとって示しているが、両面側を加工することも可能である。非磁性体131としてアルミニウム膜を用い、ナノインプリント法を用いたナノホール形成法によりアルミニウム膜に空孔を形成し、空孔に磁性材料を堆積して磁性ドット130を形成した例である
ガラス等の非磁性の基板201上に下地膜202をスパッタ法等を用いて形成する。下地膜202は、引き続くアルミニウム膜203を良好に成膜するための膜で、下地膜としては、単層としても複層としても良いが、複層とすることが好ましい。例えば、基板201との密着性を向上する層を第1層に用い、アルミニウム膜203の成膜性を向上するための層を第2層とすることが好ましい。第1層としてはチタン、クロム等を用いることができ、第2層としては貴金属、例えば白金、金、ルテニウム等を用いることができる。第2層としてこれらの材料を用いることで導電性を付与することができ、また、耐食性を向上することもできる。さらには、記録再生特性を向上するためにコバルト、鉄、ニッケルなどの合金からなる軟磁性膜を第1層と第2層の間に設けることもできる。
【0043】
下地膜202上にアルミニウム膜203を成膜する。引き続き、図7(a)に示すように、アルミニウム膜203上にUVインプリント用レジスト204をスピンコート等の方法で塗布する。引き続き、図7(b)に示すように、レジスト204をナノインプリント法でパターニングして、磁性ドット位置決め用の凹み部140に対応する位置、形状にてレジストに凹凸を設ける。
【0044】
引き続き、図7(c)に示すように、反応性イオンエッチング等の方法で、レジスト底部の残膜を除去する。引き続き、図7(d)に示すように、レジストマスクを利用したイオンビームエッチング等でアルミニウム膜203に段差を作製し、同時にレジストマスクを除去する。
【0045】
引き続き、図7(e)に示すように、陽極酸化法を用いてナノホールを形成する。この工程で、磁性ドット位置決め用の凹み部140であるアルミニウム膜の凹みの角部付近に、自己組織的にナノホールが形成される。ナノホールは引き続きエッチングなどにより孔径を拡大しても良い。
【0046】
引き続き、図7(f)に示すように、電気めっき法等でナノホール内に磁性材料205を形成する。引き続き、図7(g)に示すように、表面を研磨することで、個別のナノホールに分離された磁性ドット130のパターンを得た。
【0047】
ここで形成された磁性層の上部には、磁性層を保護するための膜を形成しても良い。
以下、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0048】
基板として、内径φ20mm、外径φ65mm、厚さ0.635mmのガラス基板201を準備した。ガラス基板を良く洗浄した後に、2層の下地膜202をスパッタリング法にて基板上に形成した。まず、チタン膜を厚さ10nmにて形成し、引き続き,金膜を厚さ12nmにて形成した。引き続き,スパッタリング法にてアルミニウム膜203を厚さ20nmにて形成した。
【0049】
引き続き、図7(a)に示すように、アルミニウム膜上にUVインプリント用レジスト膜204をスピンコート法を用いて60nmの厚みで塗布した。UVインプリント用レジストは、東洋合成工業製PAK−01−60を用いた。
【0050】
次に、図7(b)に示すように、ナノインプリント法を用いてレジストに凹凸形状のパターニングを行った。ナノインプリントに用いた原盤の作製は次のように行った。まず、石英ガラス上にCr膜を形成し、その上に電子線描画用のレジストを塗布した。引き続き、電子線描画法を用いて磁性ドット位置決め用の凹み部の形状のパターンをレジストに露光、現像することで、レジストパターンを形成し、引き続きCr膜をパターニングし、引き続き、Cr膜をマスクにして、ドライエッチングにより石英ガラスに平行四辺形からなる所定のパターンを加工して石英スタンパを得た。引き続き、石英スタンパの表面にフッ素系の離型処理剤(ダイキン化成製 デュラサーフHD1100)をコーティングした。引き続き、石英スタンパを基板のレジスト膜204に3kNの力で均一に60秒間押し付けた後、石英スタンパを基板から剥がして、石英スタンパの凹凸形状をレジスト204に転写した。なお、凹み部140は、半径方向では幅65nmでピッチ80nm、パターン深さ40nmで作製した。
【0051】
次に、図7(c)に示すように、CF4ガスによる反応性イオンエッチングを行うことで、ナノインプリント法で作製したレジスト底部の残膜を除去した。
次に、図7(d)に示すように、レジストマスクを利用したイオンビームエッチングでアルミニウム膜に3nmの段差を作製した後、CF4ガスによってレジストマスクを除去した。
【0052】
次に、図7(e)のように、ナノホールの形成を行った。ナノホールは、陽極酸化電圧3Vで0.3モル%の濃度のシュウ酸溶液中での陽極酸化で形成した。ナノホールの底が、金膜に到達したところで陽極酸化を止めた。こうすることで、アルミニウムの凹みの4隅近傍に、自己組織的にナノホールが形成された。さらに、5wt%のリン酸溶液中でエッチングを行ってナノホールの直径を拡大し、磁性ドット位置決め用の凹み部140の略平行四辺形の四隅に直径φ12nmのナノホールを得た。
【0053】
次に、図7(f)に示すように、ナノホールに電気めっき法を用いて磁性材料であるコバルトを堆積した。
次に、図7(g)に示すように、化学機械研磨法(CMP)を用いて、表面を研磨することで、各ナノホールのコバルトが相互に分離されたパターンを得た。即ち、各ビットに相当する位置に磁性ドットがあり、それぞれの磁性ドット同士が非磁性体で分離された構造を有するパターンを得た。
【0054】
最後に、図示していないが、カーボン保護膜をCVD法で形成し、潤滑剤をディッピング法で塗布して、パターン化した磁気記録媒体を得た。
このようにして作製したパターン媒体について、磁気記録ヘッドによる信号評価を行ったところ、媒体の内周から外周にわたる全領域で、形成した磁性ドットに相当する周期の信号を得ることができた。
【符号の説明】
【0055】
10 磁気記録媒体
11 磁気記録ヘッド
12 ヘッドの回転中心
14 ヘッドアーム
15 ヘッドの軌跡
20 磁気記録媒体の内周
21 データ記録領域の半径方向内周
22 データ記録領域の半径方向中周
23 データ記録領域の半径方向外周
24 磁気記録媒体の外周
30、130 磁性ドット
31、131 非磁性体
32、132 磁気記録媒体のトラック方向
33、133 磁気記録媒体の半径方向
34、134 トラック幅
35、135 ビット幅
36 ひとつの磁性ドットに隣接する6個の磁性ドットが形成する6角形
37、137 ヘッドRW素子の投影
140 磁性ドット位置決め用の凹み部
150 スキュー角が0°の場合の磁性ドット位置
160 平行四辺形の2辺のなす角度(θ)
201 基板
202 下地膜
203 アルミニウム膜
204 レジスト膜
205 磁性材料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材料により磁性材料が仕切られてなる磁性ドットからなるパターン磁気記録媒体において、
該磁気記録媒体のデータ記録領域のトラックごとに前記磁性ドットは所定の配列がなされ、
前記配列は、各記録ビットごとに前記磁性ドットが1個配置され、前記トラック方向で隣接する前記磁性ドットの3または4個が多角形を形成しており、
前記多角形の1辺は前記トラック方向に平行であり、少なくとも他の1辺は前記トラック位置の磁気記録ヘッドのスキュー角に対応する方向に平行であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
非磁性材料により磁性材料が仕切られてなる磁性ドットからなるパターン磁気記録媒体において、
該磁気記録媒体のデータ記録領域の隣接する複数のトラック群ごとに前記磁性ドットは所定の配列がなされ、
前記配列は、各記録ビットごとに前記磁性ドットが1個配置され、前記トラック方向で隣接する前記磁性ドットの3または4個が多角形を形成しており、
前記多角形の1辺は前記トラック方向に平行であり、少なくとも他の1辺は前記トラック群の内のいずれかのトラック位置の磁気記録ヘッドのスキュー角に対応する方向に平行であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】
前記多角形は、平行四辺形であり、1対の平行な2辺が前記トラック方向に平行であり、他の1対の2辺が前記スキュー角に対応する方向に平行であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
非磁性材料により磁性材料が仕切られてなる磁性ドットからなるパターン磁気記録媒体の製造方法おいて、
非磁性基板上に少なくともアルミニウム層を形成する工程、
前記アルミニウム層に、多角形の凹み部を形成する工程、
陽極酸化法を用いて前記凹み部の各角部だけに各1個のナノホールを形成する工程、
前記ナノホールに磁性材料を堆積する工程、
を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記多角形が平行四辺形であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−108323(P2011−108323A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262537(P2009−262537)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】