説明

磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体

【課題】高密度記録領域における電磁変換特性が良好で、且つ生産性の高い磁気記録媒体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、支持体2の上に放射線硬化性樹脂を含む非磁性層10を形成する工程と、非磁性層10の上に磁性粉末と樹脂とを含む磁性層11を形成する工程と、磁性層11に表面加工ロール5を押圧して当接させる工程と、磁性層11に表面加工ロール5を当接させた状態で、非磁性層10及び磁性層11に放射線を照射させて、少なくとも非磁性層10を硬化させる工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に高密度記録分野における電磁変換特性が良好で、生産性に優れた磁気記録媒体の製造方法及びその製造方法で製造された磁気記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体のひとつである磁気テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータテープ等の種々の用途があるが、特にデータバックアップ用のコンピュータテープの分野では、バックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数100GB以上の記憶容量のものが実用化されており、今後ハードディスクのさらなる高容量化に対応するため、バックアップテープの高容量化は不可欠である。また、バックアップテープは、高容量化のみならず、電磁変換特性の向上、特にC/N比の向上も重要な課題である。
【0003】
一般に磁気テープのC/N比等の電磁変換特性を向上させるためには、磁気ヘッドと磁気テープとの間隔をできる限り近づけることが重要となる。しかし、磁気テープの支持体として使用されるベースフィルムは、巻き取りを容易にするために、ベースフィルム中に数種類のフィラーを添加して突起を形成することで、その表面を粗く設定している。従って、ベースフィルムの上に非磁性層を介して磁性層を形成すると、ベースフィルムの凹凸の影響が磁性層にまで及び、磁性層の表面にも凹凸が発生する。磁性層の表面に発生した凹凸は、磁気ヘッドと磁気テープとの近接を阻害し、電磁変換特性も低下することになる。特に、磁気テープの高密度記録化のために、磁性層の薄層化が進む中で、磁性層の表面に発生した凹凸は、電磁変換特性に大きく影響する。
【0004】
このため従来は、磁性層の表面に発生した凹凸を除去するため、ベースフィルムの上に非磁性層と磁性層とを形成した後にカレンダ処理を行い、磁性層の表面を平滑化していた。このカレンダ処理では、鏡面のカレンダロールで磁性層の表面に熱と圧力をかけて、磁性層の表面を平滑にする方法である。しかし、磁性層に与えられる圧力、熱の上限は機械的な制約を受けたり、条件を上げ過ぎるとカレンダロールに磁性層が付着してカレンダ処理が継続できなくなる問題があった。
【0005】
この問題を解決する方法として、ベースフィルム自体の表面を平滑化する方法が検討されている。例えば、ベースフィルムの少なくとも一方の主面上に、平滑化塗布層を設けた後、巻き取ることなく該平滑化塗布層上に少なくとも1層の磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また、非磁性支持体上にカーボンブラックを放射線硬化型結合剤樹脂中に分散させた下層非磁性層用塗料を塗布、乾燥、平滑化処理及び放射線照射を施した後、この下層非磁性層上に上層磁性層用塗料を塗布、乾燥及び平滑化処理を施す磁気記録媒体の製造方法が提案されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−334988号公報
【特許文献2】特開2001-84553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に示す磁気記録媒体の製造方法は、平滑化塗布層の厚さが薄い場合においては、結果としてベースフィルムの平滑化が不充分となるため、一定の厚さ以上の平滑化塗布層が必要となる。このため、磁気テープの厚さが増加し、1巻当たりの記録容量が低下する問題がある。また、上記方法では、通常の磁性層を形成する前に平滑化工程が必要となり、ベースフィルムの平滑化のみに使用するコーティング装置や乾燥設備が必要となり、製造工程が複雑化する問題がある。さらに、平滑化後のベースフィルムは摩擦が高くなっており、ガイドロール上で走行させるのが難しいという問題もある。
【0009】
また、特許文献1の方法では、ベースフィルム上に平滑化塗布層を塗布した後、そのまま硬化させているために、塗膜の硬化までの平滑化塗布層のレベリングによってベースフィルムの平滑性が決定されることになる。レベリングに寄与する要因として塗料の表面張力、塗料粘度、塗料の降伏値、塗布から硬化までにかかる時間、塗布方式等があり、これらにより塗膜の平滑性が大きく左右され、レベリングだけで充分な平滑面を得るのが難しい。
【0010】
さらに、特許文献1には、平滑化塗布層を放射線硬化性樹脂を用いて形成することが記載されているが、その放射線硬化性樹脂を安価で扱いやすい紫外線で硬化させる場合においては、酸素濃度が充分低い環境下でないと、酸素により硬化反応が阻害を受け、反応性が低下してモノマーが低分子のまま残留したり、硬化が不十分になりやすい。そのため、通常の空気中で充分に硬化させるためには強い紫外線照射を長い時間にわたってベースフィルムに照射する必要であり、ベースフィルムにダメージを与えたり、生産速度が低下する問題がある。また、紫外線照射部において酸素を除去する場合には、そのための特別な装置が必要になり製造装置が複雑になるという問題がある。
【0011】
一方、特許文献2は、非磁性支持体上にカーボンブラックと放射線硬化型結合剤樹脂とを含む下層非磁性層を設け、その層を平滑化処理した後、放射線照射処理してから上層磁性層を設けているが、下層非磁性層を設け、一旦、乾燥、平滑化処理をするために塗布・乾燥工程及び平滑化工程がそれぞれ一工程増えるので生産効率が悪いという問題がある。
【0012】
本発明は上記従来の問題を解決したもので、高密度記録領域における電磁変換特性が良好で、且つ生産性の高い磁気記録媒体の製造方法及びその製造方法で製造された磁気記録媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、支持体と、前記支持体の上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層の上に設けられた磁性層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、支持体の上に放射線硬化性樹脂を含む非磁性層を形成する工程と、前記非磁性層の上に磁性粉末と樹脂とを含む磁性層を形成する工程と、前記磁性層に表面加工ロールを押圧して当接させる工程と、前記磁性層に前記表面加工ロールを当接させた状態で、前記非磁性層及び前記磁性層に放射線を照射させて、少なくとも前記非磁性層を硬化させる工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の磁気記録媒体は、上記本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、高密度記録領域における電磁変換特性が良好で、且つ生産性の高い磁気記録媒体及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、支持体と、支持体の上に設けられた非磁性層と、非磁性層の上に設けられた磁性層とを含む磁気記録媒体の製造方法であり、支持体の上に放射線硬化性樹脂を含む非磁性層を形成する工程と、非磁性層の上に磁性粉末と樹脂とを含む磁性層を形成する工程と、磁性層に表面加工ロールを押圧して当接させる工程と、磁性層に表面加工ロールを当接させた状態で、非磁性層及び磁性層に放射線を照射させて、少なくとも非磁性層を硬化させる工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、支持体上に放射線硬化性樹脂を含む非磁性層と、磁性粉末と樹脂とを含む磁性層とをこの順に設けた後、磁性層及び非磁性層を表面加工ロールにて押圧するので、極めて平滑な表面の磁気記録媒体が得られる。また、その後、磁性層に表面加工ロールを当接した状態で、非磁性層及び磁性層に放射線を照射するので、硬化した平滑な表面の磁気記録媒体が得られる。さらに、このようにして得られた本発明の磁気記録媒体は、磁性層の表面が極めて平滑であるために電磁変換特性が良好で、特に磁性層を薄膜化した高密度記録領域のC/N比が格段に向上する。
【0018】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性層と磁性層とを設けた後に、磁性層及び非磁性層を平滑化するので、非磁性層の平滑化と磁性層の平滑化とを別々に行う方法に比べて生産性が向上する。さらに、磁性層に表面加工ロールを当接した状態で、非磁性層及び磁性層に放射線を照射するので、放射線として紫外線を使用した場合に照射部において酸素を除去でき、充分に硬化した平滑な磁気記録媒体が得られる。
【0019】
以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。以下の実施形態では、磁気記録媒体のひとつである磁気テープの製造方法について説明する。
【0020】
図1は、本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる磁気テープの製造装置の一例を示す模式側面図である。図1の磁気テープの製造装置は、支持体2を送り出すための送り出しロール1と、放射線硬化性樹脂を含む非磁性層用塗料と、磁性粉末と樹脂とを含む磁性層用塗料とを支持体2上に塗布するためのコータ3と、磁性層用塗料及び非磁性層用塗料に含まれる溶剤を除去するためのドライア4と、塗布後の磁性層を押圧して平滑化するための表面が鏡面仕上げされた表面加工ロール5と、放射線硬化性樹脂を含む非磁性層に放射線を照射して硬化させるための放射線照射装置6と、表面加工ロール5と協働して磁性層及び非磁性層を押圧するバックアップロール7と、支持体2を巻き取るための巻き取りロール9とを備えている。
【0021】
図1の製造装置を用いた磁気テープの製造方法では、先ず、支持体2が送り出しロール1より繰り出され、位置Aに達する。位置Aにおける支持体2のイメージ断面図を図4に示す。図4において、支持体2の表面2aには凹凸が形成され粗面化している。
【0022】
次に、支持体2は、コータ3によって、支持体2の上に放射線硬化性樹脂を含む非磁性層用塗料が塗布され、その非磁性層用塗料が乾燥しない間に、さらに磁性層用塗料が塗布(ウェット・オン・ウェット塗布)される。その後、不図示の磁場配向装置により磁性粉末の磁場配向が行われる。
【0023】
次に、支持体2の上に塗布された非磁性層用塗料及び磁性層用塗料は、ドライア4によって乾燥され、余分な溶剤が除去され、支持体2は位置Bに達する。位置Bにおける支持体2のイメージ断面図を図5に示す。図5において、支持体2の表面2aには、非磁性層10と磁性層11とがこの順に形成されている。この時点では、支持体2の表面2aの凹凸の影響が磁性層11の表面にまで達し、磁性層11の表面には凹凸が形成され粗面化している。
【0024】
次に、支持体2は、バックアップロール7により、各層を設けた支持体2の背面側から表面加工ロール5に押圧されて当接され、非磁性層10及び磁性層11は平滑化されるとともに、この当接された状態で放射線照射装置6によって支持体2を介して非磁性層10及び磁性層11に放射線照射が行われる。これにより、磁性層11の平滑化と、非磁性層10の硬化が行われ、支持体2の上に非磁性層10と磁性層11とがこの順に形成された磁気テープが得られる。但し、遮蔽板8により、平滑化前の各層には放射線が照射されないようになっている。
【0025】
得られた磁気テープは、さらにバックアップロール7と表面加工ロール5との間を通って位置Cに達する。位置Cにおける支持体2のイメージ断面図を図6に示す。図6において、上記磁気テープは、支持体2と、支持体2の表面2aに形成され硬化した非磁性層10と、非磁性層10の上に形成され表面が平滑化された磁性層11を備えている。その後、磁気テープは、巻き取りロール9に巻き取られる。巻き取られた磁気テープは、最終的には、不図示のカレンダ装置によりカレンダ処理されて磁気テープが完成する。
【0026】
非磁性層10は、放射線照射を行うまでは硬化していないので柔軟な状態にあるため、表面加工ロール5に圧接した際に平滑化しやすく、表面加工ロール5に当接した状態で放射線照射によって硬化するために、非磁性層10は表面加工ロール5から離型が可能となる。磁性層11は、後述するように非磁性層10に比較して厚さが薄いので、放射線硬化性樹脂が含まれていない場合であっても、表面加工ロール5と非磁性層10との間で良好に平滑化される。
【0027】
放射線照射によって発生する熱が支持体2に対してダメージを及ぼす場合には、必要に応じて表面加工ロール5及びバックアップロール7に冷却機能を持たせてもよい。また、バックアップロール7は必ずしも必要ではなく、支持体2の走行テンションを制御して押圧力を制御してもよい。また、これらの一連の工程は必ずしも塗布工程と平滑化工程が一括である必要はなく、放射線硬化性樹脂の分子量が比較的大きく粘度が高い場合や、放射線硬化性樹脂の量が少ない場合は、塗布工程後の塗膜表面に粘性が残っていないので、支持体を一旦巻き取った後、次工程で平滑化処理を行ってもよい。
【0028】
図2は、本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる磁気テープの製造装置の他の例を示す模式側面図である。図2では、図1と同一部分には同一の符号を付けて各部の詳細な説明は省略する。図2において、表面加工ロール5は表面が鏡面仕上げされた放射線透過性を有する材質からなり、表面加工ロール5の内部に放射線照射装置6が設置されている。図2の製造装置を用いた磁気テープの製造方法では、支持体2を介さずに塗膜に放射線照射できるため、支持体2が放射線透過性を有さない場合において適した製造方法である。
【0029】
表面加工ロール5の材質としては、用いる放射線が紫外線の場合、各種の無機系ガラスのほか、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等からなる有機系ガラスを用いることができる。また、表面加工ロール5の表面の鏡面仕上げのレベルを制御することにより、所望のレベルの平滑な磁性層11を得ることができる。また、必要に応じて磁気的又は光学的に識別可能なエンボス加工を磁性層11に施し、磁気ヘッドを記録再生トラックに正確に誘導するためのサーボトラックとすることができる。磁気テープ等の磁気記録媒体が使われる記録システムの記録単位面積内が平滑であればよく、このような機能的なエンボス加工を行うときには、表面加工ロール5の表面の一部にそのような加工を行うことができる。
【0030】
表面加工ロール5の表面粗さは、磁気テープの目標とする表面粗さにより異なるが、中心線平均粗さRaの値で、0.5〜3nmの範囲が好ましく、0.5〜2nmの範囲がより好ましい。この範囲内であれば、磁性層11の表面の中心線平均粗さRaを3.5nm以下にすることができ、電磁変換特性を向上できる。本発明で使用する表面加工ロール5は比較的大型で、表面が円筒形状であるため、正確な表面粗さを求めるのが困難である。本発明者らは、以下の方法で表面加工ロール5の表面粗さを求めた。即ち、適宜な放射線硬化性樹脂を一定量鏡面ロール(表面加工ロール5)の表面に流下し、その上に使用する放射線硬化性樹脂と接着性のよい透明フィルムを配置し、フィルムを鏡面ロールに押し当てたまま、フィルム上方から紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、フィルムを鏡面ロールから剥ぎ取り鏡面ロールと当接していた放射線硬化性樹脂面の表面粗さを、後述する本発明の磁気テープの表面粗さの評価方法と同じ方法で測定し、表面加工ロール5の表面粗さとする。
【0031】
押圧条件は、塗膜の圧力、熱による塑性変形のしやすさによって決まり、温度及び圧力は、平滑化工程前の乾燥後の塗膜の硬さや押圧方法の種類に応じて適宜決定すればよい。温度としては、5〜100℃の範囲が好ましく、25〜100℃の範囲がより好ましい。この範囲内であれば、支持体2を変形することなく平滑化処理を実施できる。また、圧力は0.001〜200kPaの範囲が好ましく、10〜150kPaの範囲がより好ましい。この範囲内であれば、各層を損傷することなく平滑化処理を実施できる。
【0032】
また、表面加工ロール5には、その表面に離型剤をコーティングしてもよい。離型剤としては特に限定されず、例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体等、又はこれらが官能基含有化合物で酸変性されているもの等)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイル等)、パラフィンワックス、蜜蝋等が使用できる。
【0033】
支持体2としては特に限定されないが、一般的には各種合成樹脂からなる可撓性のフィルムが使用できる。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。なかでも機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格等の点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、特に2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0034】
支持体2の厚さとしては特に制限はないが、用途に合わせて、通常3〜150μmのものが用いられる。
【0035】
本発明において放射線とは、電子線、紫外線、可視光等の樹脂硬化能を有する粒子線及び電磁波をいい、なかでもエネルギーの高い紫外線、電子線を使用するのが好ましい。特に、紫外線照射機は放射線硬化性樹脂を硬化させるエネルギー源としては安価であり、扱いやすい。一般的には紫外線光源としては高圧水銀やメタルハライドランプが用いられる。硬化に必要なエネルギー量は、ランプの種類、開始剤の種類、塗膜に含まれるフィラー、支持体の紫外線領域の透過率等によっても異なるが、一般的には10〜1000mJ/cm2で使用される。一般的に、紫外線照射及び電子線照射は酸素濃度300ppm以下の環境下で行う必要がある。
【0036】
図1で示したように、放射線硬化性樹脂を含む塗膜への紫外線照射を支持体2を介して行う場合には、支持体2の紫外線透過性を考慮する必要がある。また、前述したように、紫外線照射を行う場合には、酸素による硬化阻害を考慮する必要があるが、本発明では表面加工ロール5が塗膜と密着している状態で紫外線照射が行われるので、酸素による硬化阻害は発生しない。
【0037】
電子線照射は装置が高価でランニングコストも高いが、支持体2や塗膜(非磁性層10、磁性層11)が紫外線を透過しない場合でも硬化可能であるので有効である。一般的な電子線照射の条件としては、加速電圧が50〜500kVであり、被照射側の吸収線量としては50〜300kGyで使用される。
【0038】
次に、非磁性層10及び磁性層11について説明する。
【0039】
<非磁性層>
非磁性層10は放射線硬化性樹脂を含有している。これにより、非磁性層10は放射線照射を行うまでは比較的柔軟であるので、良好に表面加工ロール5により平滑化され、平滑な表面を得ることができる。放射線硬化性樹脂の含有量は、非磁性層10に含まれる全樹脂の重量に対して、10重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましい。放射線硬化性樹脂の含有量の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。この範囲が好ましいのは、放射線硬化性樹脂の含有量を10重量%以上にすることにより、平滑化がより確実に充分に行われるからである。本発明において放射線硬化性樹脂とは、放射線照射によって反応し、重合あるいは架橋して高分子量化する樹脂をいう。
【0040】
放射線硬化性樹脂としては特に限定されないが、硬化性が良好な2官能以上の放射線硬化性樹脂が好ましい。具体的には例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル類等を使用できる。これらの樹脂は、単独でも使用できるが、複数を組み合わせて使用することもできる。
【0041】
上記放射線硬化性樹脂を特に紫外線、可視光をエネルギー源として硬化させる場合には、非磁性層用塗料には光ラジカル重合剤を添加する必要がある。光ラジカル重合剤としては特に限定されず、例えば、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α’−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が使用できる。また、各種光イオン重合剤等も用いることができる。紫外線照射をベースフィルムである支持体2側から行う場合には、透過する波長に応じた開始剤を選ぶことが好ましく、例えば支持体2の材質がポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの場合には、支持体2の吸収波長と重ならないような波長領域で吸収をもつ光ラジカル重合剤を選択することが好ましい。
【0042】
また、非磁性層10には、通常、上記放射線硬化性樹脂以外の樹脂としてバインダ樹脂が含まれる。バインダ樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、その他の反応性樹脂を用いることができる。具体的には、後述する磁性層11に用いるバインダ樹脂と同様の樹脂が使用できる。また、非磁性層用塗料には、後述する磁性層用塗料で用いる架橋剤と同様の架橋剤を添加することもできる。
【0043】
非磁性層10は、高密度記録化のために薄膜化された磁性層11を安定して得るために設けられる。非磁性層10の厚さは、0.2〜2μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましく、0.2〜1μmが特に好ましい。非磁性層10の厚さが0.2μm未満では、磁性層11の厚さむら低減効果及び耐久性向上効果が小さくなり、また、2μmを越えると、磁気テープの全厚が厚くなり過ぎてテープ1巻当たりの記録容量が小さくなるからである。
【0044】
非磁性層10には必要に応じて、非磁性粉末を添加してもよい。この場合の非磁性粉末としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等が使用できるが、酸化鉄又は酸化チタンの単独あるいは酸化鉄と酸化アルミニウムとの混合系が好ましく使用される。非磁性粉末の粒子形状は球状、板状、針状、紡錘状のいずれでもよいが、針状、紡錘状の場合は、通常、長軸長20〜200nm、短軸長5〜200nmのものが好ましい。非磁性粉末を添加する場合、必要に応じて粒子径0.01〜0.1μmのカーボンブラックを補助的に含有させることもできる。非磁性層10を平滑にし、且つ厚さムラを少なく塗布するためには、上記非磁性粉末及び上記カーボンブラックは、特に粒度分布がシャープなものを用いることが好ましい。
【0045】
非磁性層10には、平均粒子径が10〜100nmの非磁性板状粉末を添加してもよい。非磁性板状粉末の成分としては、セリウム等の希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物又は複合酸化物を使用できる。さらに、導電性改良の目的で、平均粒子径10〜100nmのグラファイトのような板状炭素性粉末や平均粒子径10〜100nmの板状ITO(インジウム−スズ複合酸化物)粉末等を非磁性板状粉末として添加してもよい。上記非磁性板状粉末を添加することで、膜厚の均一性、表面平滑性、剛性、寸法安定性が改善される。
【0046】
<磁性層>
磁性層11の厚さは、10〜300nm以下が好ましい。磁性層11の厚さが10nm未満では得られる出力が小さく、また均一な磁性層を塗布するのが困難となり、300nmを超えると短波長信号の解像度が悪くなる場合や、所望の平滑性が得られなくなる場合があるからである。短波長記録特性をさらに向上させるためには、磁性層の厚さは10〜150nmであることがより好ましく、20〜100nmが最も好ましい。
【0047】
磁性層11の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、100〜300kA/mがより好ましく、120〜280kA/mがさらに好ましい。磁性層11の保磁力が80kA/m未満では記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるからである。
【0048】
磁性層11はバインダ樹脂を含有している。バインダ樹脂としては、一般的な熱硬化性樹脂、又は塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を組み合わせたものなどが使用できる。
【0049】
上記バインダ樹脂は、官能基として、−COOH、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)3、−O−P=O(OM)2〔これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す。〕、−OH、−NR12、−N+345〔これらの式中、R1、R2、R3、R4、R5は水素又は炭化水素基を示す。〕、エポキシ基等を有しているものが好ましく用いられる。このようなバインダ樹脂を使用すると、磁性粉末等の分散性が向上するからある。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも、−SO3M基同士の組み合わせが好ましい。
【0050】
磁性層11への放射線硬化性樹脂の添加は必ずしも必要ではないが、磁場配向後の磁性粉末の配向を乱さない範囲で放射線硬化性樹脂を添加してもよい。磁性層11にも放射線硬化性樹脂を添加することにより、より平滑な磁性層を得ることができる。
【0051】
磁性層11における樹脂の含有量は、磁性粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲である。
【0052】
磁性層用塗料中には、上記樹脂中に含まれる官能基等と結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を添加することが好ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等や、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパン等の水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物等の各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部の割合で用いられる。より好ましくは5〜20重量部である。
【0053】
磁性層11の中に含ませる磁性粉末の平均粒子径は、5nm以上150nm未満の範囲にあるのが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が5nm未満では、粒子の表面エネルギーが大きくなって分散が困難になり、平均粒子径が150nm以上になるとノイズが大きくなるためである。
【0054】
磁性粉末としては、強磁性鉄系金属磁性粉末、窒化鉄磁性粉末、板状の六方晶Ba−フェライト磁性粉末等が好ましい。
【0055】
上記強磁性鉄系金属磁性粉末としては特に限定されないが、Mn、Zn、Ni、Cu、Co等の遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co、Niが好ましく、特にCoは飽和磁化を最も向上できるので好ましい。上記遷移金属元素の含有量としては、鉄に対して、5〜50原子%とするのが好ましく、10〜30原子%とするのがより好ましい。また、磁性粉末の分散性を高めるための焼結防止剤として、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、セシウム(Cs)、プラセオジウム(Pr)、サマリウム(Sm)、ランタン(La)、ユウロピウム(Eu)、ネオジム(Nd)、テルビウム(Tb)等から選ばれる少なくとも1種の希土類元素を磁性粉末に混合してもよい。その中でも、セリウム、ネオジムとサマリウム、テルビウム、イットリウムを用いたときに、形状が良好に保持され、磁性粉末表面に均一なセラミック層が形成されるので好ましい。希土類元素の添加量は、鉄に対して、0.2〜25原子%、好ましくは0.3〜20原子%、より好ましくは0.5〜15原子%である。
【0056】
また、上記窒化鉄磁性粉末としても特に限定されず、形状は針状の他に球状や立方体形状等の不定形のものを用いることができる。粒子径や比表面積については磁気記録用の磁性粉末としての要求特性をクリアするためには、限定した磁性粉末の製造条件とすることが必要である(例えば、特開2000−277311号公報参照。)。
【0057】
上記強磁性鉄系金属磁性粉末及び上記窒化鉄磁性粉末の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、80〜200A・m2/kg(80〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2/kg(100〜180emu/g)がより好ましい。
【0058】
上記強磁性鉄系金属磁性粉末及び上記窒化鉄磁性粉末の平均粒子径としては、5nm以上60nm未満が好ましく、8〜40nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が5nm未満となると、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中での分散が困難になり、平均粒子径が60nm以上であると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるためである。また、これらの磁性粉末のBET比表面積は、35m2/g以上が好ましく、40m2/g以上がより好ましく、50m2/g以上が最も好ましい。上記磁性粉末のBET比表面積の上限は、通常100m2 /g以下である。
【0059】
また、上記強磁性鉄系金属磁性粉末、窒化鉄磁性粉末をAl、Si、P、Y、Zr又はこれらの酸化物で表面処理して使用してもかまわない。
【0060】
上記板状の六方晶Ba−フェライト磁性粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、40〜70A・m2/kg(40〜70emu/g)が好ましい。また、平均粒子径(板面方向の大きさ)は10〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。平均粒子径が10nm未満となると、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中への分散が困難になり、50nmを越えると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。また、板状比(板径/板厚)は2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、上記六方晶Ba−フェライト磁性粉末のBET比表面積は、1〜100m2/gが好ましく用いられる。
【0061】
本発明における平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径)を実測し、100個の平均値により求めたものである。また、本発明における磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1273.3kA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
【0062】
磁性層11には、必要に応じて研磨剤を添加することができる。この研磨剤としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素等を主体としてモース硬度6以上のものが単独又は複数組み合わせて使用される。研磨剤の粒子サイズとしては、通常、平均粒子径で10〜200nmとすればよい。
【0063】
さらに、磁性層11には、必要に応じて、導電性向上と表面潤滑性向上のためにカーボンブラックを添加してもよい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。カーボンブラックの平均粒子径は、10〜100nmが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nmを超えるとカーボンブラックの導電性が低下するため、多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、電磁変換特性の低下の原因になるためである。また、必要に応じて、異なる平均粒子径のカーボンブラックを2種類以上用いてもかまわない。
【0064】
続いて、本実施形態の磁気テープの他の構成要素について説明する。
【0065】
<潤滑剤>
磁性層11及び非磁性層10には、潤滑剤として、磁性層11、非磁性層にそれぞれ含まれる全粉体に対して、0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.5〜5.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させることが好ましい。この範囲の脂肪酸アミドの添加が好ましいのは、0.5重量%未満では磁気ヘッド/磁性層界面での直接接触が起こりやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えると脂肪酸アミドが経時により凝集し、表面に粉化(ブリードアウト)してしまい脱落(ドロップアウト)等の欠陥が発生するおそれがあるからである。また、この範囲の高級脂肪酸の添加が好ましいのは、0.5重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、5.0重量%を越えると非磁性層10が可塑化してしまい強靭性が失われるおそれがあるからである。さらに、この範囲の高級脂肪酸のエステルの添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層11への移入量が多すぎるため、磁気テープと磁気ヘッドとが貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。高級脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましく、高級脂肪酸のエステルは上記高級脂肪酸のエステルを用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランス等の異性体のいずれでもよいが、潤滑性能が高い直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等を用いることが好ましい。なお、磁性層11の潤滑剤と非磁性層10の潤滑剤との相互移動を排除するものではなく、上記潤滑剤が非磁性層10に含まれる場合には、潤滑剤が非磁性層10から磁性層11に移動するため、磁性層11に潤滑剤を含ませなくてもよい。また、逆に磁性層11に潤滑剤を含ませるだけで効果が発現する場合には、非磁性層10には潤滑剤を含ませなくてもよい。
【0066】
<分散剤>
非磁性層10及び磁性層11に含まれる各種粉末成分を良好に分散させるために分散剤を使用することができる。このような分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素数11〜17のアルキル基又はアルケニル基)、上記脂肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属からなる金属石けん、上記脂肪酸のエステルのフッ素を含有した化合物、上記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5、オレフィンはエチレン、プロピレン等)、硫酸塩、スルホン酸塩、りん酸塩及び銅フタロシアニン等を使用することができる。また、前述の放射線硬化性樹脂を分散剤として用いることもできる。このような分散剤に適した放射線硬化性樹脂としては、前述の放射線硬化性樹脂のうち、特に分子量が小さく、フィラーの吸着サイトに吸着する官能基を有するものがよく、カルボキシル基を有するアクリルモノマー等が好ましい。分散剤の使用形態としては、分散剤で上記粉末成分を表面処理したり、分散剤とともに上記粉末成分を混合・分散して所要の非磁性層用塗料や磁性層用塗料を製造したりしてもよい。分散剤は、単独でも使用でき、複数組み合わせて使用してもよい。分散剤は、いずれの層においても樹脂100重量部に対して、通常0.5〜20重量部の範囲で添加される。
【0067】
<バックコート層>
本実施形態の磁気テープには、走行性向上等を目的に、支持体2の磁性層側とは反対の主面にバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層の厚さは、0.05〜0.8μmが好ましい。この範囲が好ましいのは、0.05μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えると磁気テープの全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。バックコート層には、通常、非磁性粉末とバインダ樹脂とカーボンブラックとが含まれるが、走行性向上の効果を有するものであれば、他の構成成分を用いてもよい。
【0068】
上記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラックとを使用する。小粒子径カーボンブラックには、平均粒子径が5〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、平均粒子径が10nmより小さいとカーボンブラックの分散が難しく、平均粒子径が100nmより大きいと多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)の原因になるためである。大粒子径カーボンブラックの含有量としては、カーボンブラックの全重量に対して、5〜15重量%が好ましく、その平均粒子径は200〜400nmが好ましい。この範囲内であれば、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなるからである。小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラックとの添加量は、バックコート層中の無機粉体の全重量に対して、60〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。バックコート層の表面の中心線平均表面粗さRaは、3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。バックコート層に磁性があると磁気記録層の磁気信号が乱れる場合があるので、通常、バックコート層は非磁性である。
【0069】
バックコート層には、強度、温度・湿度寸法安定性向上等を目的に、平均粒子径が10〜100nmの非磁性板状粉末を添加することができる。この場合の非磁性板状粉末は、酸化アルミニウムに限らず、セリウム等の希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物又は複合酸化物を成分として含むものが用いられる。導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmの板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO粉末等を添加してもよい。また、必要に応じて、平均粒子径が0.1〜0.6μmの粒状酸化鉄粉末を添加してもよい。非磁性板状粉末の添加量は、バックコート層中の無機粉体の全重量に対して、2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0070】
また、バックコート層に含まれるバインダ樹脂としては、前述した磁性層11や非磁性層10に用いる樹脂と同様のものを使用できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用することが好ましい。バインダ樹脂の含有量は、通常、上記カーボンブラックと上記非磁性粉末との合計重量100重量部に対して、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。上記範囲が好ましいのは、50重量部未満ではバックコート層の強度が不十分であり、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、バックコート層用塗料には、バインダ樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物等の架橋剤を添加することが好ましい。
【0071】
バックコート層用塗料には、前述した磁性層用塗料や非磁性層用塗料に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用できる。架橋剤の添加量は、樹脂100重量部に対して、通常、10〜50重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。上記範囲が好ましいのは、10重量部未満ではバックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えると巻き取りロールの材質であるステンレス鋼(SUS)に対する動摩擦係数(測定条件は、磁気メディア技術マニュアルNo.6−社団法人;日本磁気メディア工業会、1993年3月発行−に記載の方法に準拠)が大きくなるためである。
【0072】
<有機溶剤>
磁性層用塗料、非磁性層用塗料、バックコート層用塗料及び中間層用塗料に使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤等が使用できる。これらの溶剤は、単独で又は混合して使用され、さらにトルエン等と混合して使用される。
【0073】
上記塗料の塗布方法としては特に限定されず、エクストルージョンダイコート、スライドコート、カーテンコート等の塗布方法を用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
(実施例1)
<非磁性層用塗料の作製>
非磁性層用塗料の原料として下記成分(1)〜(3)を準備し、第1成分を回分式ニーダで混練した後、第2成分を加えて攪拌し、その後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに第3成分を加えて攪拌・濾過した後、非磁性層用塗料とした。
【0076】
(1)第1成分
・非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:100nm):70重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm):20重量部
・ステアリン酸:2.0重量部
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体:7重量部
(−SO3Na基含有:0.7×10-4当量/g)
・放射線硬化性樹脂“TMPTA”(商品名):20重量部(74重量%対全樹脂)
(アクリレートモノマー、日本化薬社製)
・シクロヘキサノン:25重量部
・メチルエチルケトン:40重量部
・トルエン:10重量部
【0077】
(2)第2成分
・ステアリン酸:1重量部
・ステアリン酸ブチル:1重量部
・シクロヘキサノン:70重量部
・メチルエチルケトン:50重量部
・トルエン:20重量部
【0078】
(3)第3成分
・光ラジカル重合剤“イルガキュア907”(商品名):5重量部
(チバガイギー社製)
・シクロヘキサノン:10重量部
・メチルエチルケトン 15重量部
・トルエン:10重量部
【0079】
<磁性層用塗料の作製>
磁性層用塗料の原料として下記成分(1)〜(3)を準備し、第1成分を予め高速混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練した後、第2成分を加えて連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに第3成分を加えて攪拌・ろ過した後、磁性層用塗料とした。
【0080】
(1)第1成分
・磁性粉末(組成:Co−Fe−Al−Y):100重量部
〔Co/Fe:24原子%、Al/(Fe+Co):4.7重量%、Y/(Fe+Co):7.9原子%、σs:131A・m2/kg(131emu/g)、Hc:197.4kA/m(2480Oe)、平均粒子径:60nm、軸比:5〕
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体:13重量部
(−SO3Na基含有:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂:4.5重量部
(−SO3Na基含有:1.0×10-4当量/g)
・粒状アルミナ粉末(平均粒子径:40nm):10重量部
・メチルアシッドホスフェート:2重量部
・カーボンブラック:3重量部
(平均粒子径:75nm、吸油量:72ml/100g)
・テトラヒドロフラン:20重量部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン:9重量部
【0081】
(2)第2成分
・パルミチン酸アミド:1.5重量部
・ステアリン酸n−ブチル:1重量部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン:350重量部
【0082】
(3)第3成分
・ポリイソシアネート:1.5重量部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン:29重量部
【0083】
<バックコート層用塗料の作製>
バックコート層用塗料の原料として下記成分を準備し、各成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15重量部を加えて、バックコート層用塗料とした。
【0084】
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm):80重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:350nm):10重量部
・非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:50nm):10重量部
・ニトロセルロース:45重量部
・ポリウレタン樹脂(−SO3Na基含有):30重量部
・シクロヘキサノン:260重量部
・トルエン:260重量部
・メチルエチルケトン:525重量部
【0085】
<磁気テープの作製>
図1に示した装置を用いて支持体上に上記非磁性層用塗料及び上記磁性層用塗料をエクストルージョン型コータにて塗布し、磁場配向処理を行い、乾燥させた後、平滑化処理及び硬化処理を行って磁気シートを作製した。
【0086】
支持体としては東レ社製のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム“ルミラー”(商品名、厚さ:6μm)を使用し、このPETフィルムの上に上記非磁性層用塗料を乾燥、平滑化処理及び後述するカレンダ処理の後の非磁性層の厚さが1.0μmとなるように塗布し、この非磁性層用塗料が乾燥する前に、その上にさらに上記磁性層用塗料を磁場配向処理、乾燥、平滑化処理及びカレンダ処理後の磁性層の厚さが100nmとなるように塗布(ウェット・オン・ウェット塗布)した。平滑化処理に用いる表面加工ロールの表面の中心線平均粗さRaは0.7nmとし、バックアップロールによる押圧は、常温にて96kPaの圧力にて行った。放射線の照射は、240Wのメタルハライドランプを2列備えたフュージョン社製の紫外線照射機を用いて行った。
【0087】
次に、上記磁気シートの磁性層側とは反対面に、上記バックコート層用塗料を乾燥及びカレンダ処理後のバックコート層の厚さが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。
【0088】
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度90℃、線圧196kPaの条件でカレンダ処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で60℃にて48時間エージングして、磁気シートを得た。この磁気シートをスリットマシンにより1/2インチ幅に裁断し、評価用の磁気テープを作製した。
【0089】
(実施例2)
非磁性層用塗料として、塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体の添加量を13.5重量部及び放射線硬化性樹脂“TMPTA”の添加量を13.5重量部(50重量%対全樹脂)とそれぞれ変更したものを用いた以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0090】
(実施例3)
非磁性層用塗料として、塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体の添加量を24.3重量部及び放射線硬化性樹脂“TMPTA”の添加量を2.7重量部(10重量%対全樹脂)とそれぞれ変更したものを用いた以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0091】
(実施例4)
非磁性層用塗料として、塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体の添加量を25.6重量部及び放射線硬化性樹脂“TMPTA”の添加量を1.4重量部(5重量%対全樹脂)とそれぞれ変更したものを用いた以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0092】
(実施例5)
磁性層用塗料として、塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体の添加量を12.4重量部、ポリエステルポリウレタン樹脂の添加量を4.5重量部とそれぞれ変更し、さらに放射線硬化性樹脂“TMPTA”を1.9重量部加えたものを用いた以外は、実施例2と同様にして磁気テープを作製した。
【0093】
(実施例6)
磁性層の厚さを300nmに変更した以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0094】
(実施例7)
磁性層の厚さを400nmに変更した以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0095】
(比較例1)
非磁性層用塗料として、放射線硬化性樹脂“TMPTA”に代えてポリエステルポリウレタン樹脂20重量部を用い、光ラジカル重合剤“イルガキュア907”に代えてポリイソシアネート(架橋剤)5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0096】
(比較例2)
図3に示した磁気テープの製造装置を用い、紫外線照射のみを行い、表面加工ロールを用いた平滑化処理を行わなかった以外は、比較例1と同様に磁気テープを作製した。
【0097】
図3の磁気テープの製造装置は、表面加圧ロール及び遮蔽板を備えていない以外は、図1の磁気テープの製造装置とほぼ同様の構造であるため、図3では、図1と同一部分には同一の符号を付けて各部の詳細な説明は省略する。
【0098】
(比較例3)
図3に示した磁気テープの製造装置を用い、紫外線照射のみ行い、表面加工ロールを用いた平滑化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。
【0099】
<表面粗さの評価>
実施例1〜7及び比較例1〜3で作製した磁気テープの磁性層側の表面の平均中心線粗さRaを原子間力顕微鏡“Dimension3000”(商品名、Digital Instruments社製)を用いて測定した。測定条件はタッピングモードで行い、視野は5μm×5μm角で10箇所の測定を行い、測定データから最大値と最小値とを除いたものを算術平均して測定値とした。その結果を表1に示す。
【0100】
<C/N比の測定>
実施例1〜7及び比較例1〜3で作製した磁気テープの電磁変換特性の測定をドラムテスターを用いて行った。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅:25μm、ギャップ:0.2μm)とMRヘッド(トラック幅:8μm)とを装着し、電磁誘導型ヘッドで記録を行い、MRヘッドで再生を行った。これら電磁誘導型ヘッドとMRヘッドとは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができるようにした。磁気テープは60cmを切り出し、さらに4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けて測定した。
【0101】
出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより矩形波を記録電流発生器に入力制御し、波長0.2μmの信号を書き込み、MRヘッドの出力をプリアンプで増幅後、スペクトラムアナライザーに読み込んだ。ここで、0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また、0.2μmの矩形波を書き込んだときに、記録波長0.2μm以上に相当するスペクトルの成分から、出力及びシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。さらに、両者の比をとってC/N比とし、比較例1のC/N比を0として各C/N比をその相対値として求めた。その結果を表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
表1において、塗膜構成欄の磁/非は最表層より順に磁性層/非磁性層の2層構造を示し、放射線硬化性樹脂含有量欄の非は非磁性層、磁は磁性層をそれぞれ示す。
【0104】
表1から明らかなように、平滑化処理を行った実施例1〜7では、平滑化処理を行わなかった比較例2及び3と比べ、磁性層の表面が極めて平滑であり、C/N比が高い磁気テープを作製することができた。また、比較例1では平滑化処理が行われているが、放射線硬化性樹脂が含まれていないため、磁性層の平滑化効果が見られない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる磁気テープの製造装置の一例を示す模式側面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる磁気テープの製造装置の他の例を示す模式側面図である。
【図3】従来の磁気記録媒体の製造方法に用いる磁気テープの製造装置の一例を示す模式側面図である。
【図4】図1の位置Aにおける支持体のイメージ断面図である。
【図5】図1の位置Bにおける支持体のイメージ断面図である。
【図6】図1の位置Cにおける支持体のイメージ断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1 送り出しロール
2 支持体
2a 支持体の表面
3 コータ
4 ドライア
5 表面加工ロール
6 放射線照射装置
7 バックアップロール
8 遮蔽板
9 巻き取りロール
10 非磁性層
11 磁性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層の上に設けられた磁性層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
支持体の上に放射線硬化性樹脂を含む非磁性層を形成する工程と、
前記非磁性層の上に磁性粉末と樹脂とを含む磁性層を形成する工程と、
前記磁性層に表面加工ロールを押圧して当接させる工程と、
前記磁性層に前記表面加工ロールを当接させた状態で、前記非磁性層及び前記磁性層に放射線を照射させて、少なくとも前記非磁性層を硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項2】
前記非磁性層の厚さが、0.2〜2μmである請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項3】
前記磁性層の厚さが、10〜300nmである請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項4】
前記表面加工ロールの表面の中心線平均粗さRaが、0.5〜3nmである請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記押圧は、0.001〜200kPaの圧力で行う請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項6】
前記磁性層は、放射線硬化性樹脂をさらに含む請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする磁気記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−135143(P2008−135143A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322214(P2006−322214)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】