磁気記録媒体
【課題】所望する磁性体を効果的に加熱して高い信頼性で書き込みを行うことができると共に、記録時における他の磁性体の熱的安定性を確保して記録消失や誤記録などを抑制することができる磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】基板2に記録層4が形成ており、記録層4を構成する複数の記録ビット領域11それぞれの内側には、記録層4よりも熱伝導率が高い高熱伝導体14が配設されている。また、記録層4には、記録層4を複数の記録ビット領域11に区分する分断部12が形成されており、分断部12には、記録層4よりも熱伝導率が低い低熱伝導体13が充填されている。
【解決手段】基板2に記録層4が形成ており、記録層4を構成する複数の記録ビット領域11それぞれの内側には、記録層4よりも熱伝導率が高い高熱伝導体14が配設されている。また、記録層4には、記録層4を複数の記録ビット領域11に区分する分断部12が形成されており、分断部12には、記録層4よりも熱伝導率が低い低熱伝導体13が充填されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録方式によって情報を記録するのに好適な磁気記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、ディスクという)は、より大量かつ高密度な情報の記録再生を行いたいなどのニーズを受けて、さらなる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保磁力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になりつつある。
【0003】
そこで、上記不具合を解消するために、光を集光したスポット光、または近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保磁力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行う熱アシスト磁気記録方式(ハイブリッド磁気記録方式)による書き込み方法が採用されている。
特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域で光学情報を扱うことが可能となり、従来ではなし得ない記録ビットの高密度化を図ることが可能とされている。
【0004】
ところで、上述した熱アシスト磁気記録方式に対応したディスクは現在数多く提供されているが、これらのディスクには、熱アシスト磁気記録を確実に行うための要件の1つとして、記録層を構成する磁性体(1つまたは複数の磁性粒子からなる磁気クラスター)の効果的な加熱が求められている。
これは、所望の磁性体を速やかに加熱してその保磁力を低下させることが、記録不良を抑制して書き込みの信頼性に繋がるためである。
【0005】
そこで、記録層を構成する記録トラック(磁性体)の上部及び側部に記録層より熱伝導率が高い高熱伝導薄膜を配設した磁気記録媒体が知られている(例えば特許文献1参照)。この磁気記録媒体によれば、高熱伝導薄膜によって記録トラックの外側から熱を伝えることができ、記録トラックの全体を速やかに加熱することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−165404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の磁気記録媒体では、高熱伝導薄膜が記録トラックの上部及び側部に接した状態で配設されているので、加熱時に高熱伝導薄膜に伝わった熱の一部が記録トラック側とは異なる方向に逃げてしまいやすかった。そのため、高熱伝導薄膜側から記録トラック側に無駄なく熱を伝えることが難しく、記録トラックを効果的に加熱するには至っていない。
また、記録トラックの加熱に寄与せず、記録トラック側とは異なる方向に逃げてしまった熱が、隣の高熱伝導薄膜を介して他の記録トラックに伝わってしまう恐れもあった。そのため、他の記録トラックの熱的安定性を低下させてしまい、該記録トラックに既に記録されていた情報の消失や、誤記録をしてしまうなどの不具合が生じる可能性もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、所望する磁性体を効果的に加熱して高い信頼性で書き込みを行うことができると共に、記録時における他の磁性体の熱的安定性を確保して記録消失や誤記録などを抑制することができる磁気記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用した。
(1)本発明に係る磁気記録媒体は、基板に記録層が形成された磁気記録媒体であって、前記記録層を構成する複数の記録ビット領域それぞれの内側には、前記記録層よりも熱伝導率が高い高熱伝導体が配設されていることを特徴とする。
【0010】
この発明では、1以上の磁性粒子で構成される記録ビット領域の内側に配設された高熱伝導体から周囲を囲む記録ビット領域に向けて伝熱するため、情報を記録する記録ビット領域を効果的に加熱できる。すなわち、高熱伝導体を加熱すると、高熱伝導体を囲む記録ビット領域は内側から加熱され、記録しない他の記録ビット領域に熱が逃げずに記録する記録ビット領域に熱が無駄なく伝わるので、この記録ビット領域の加熱効率が向上する。
また、記録しない他の記録ビット領域に熱が逃げにくいので、記録しない他の記録ビット領域を加熱して熱的安定性を低下させることを抑制でき、他の記録ビット領域にすでに記録されている情報を消失したり誤った情報を記録したりすることを防止できる。
さらに、記録ビット領域の外側を囲むように高熱伝導体を配設する場合と比較して、記録する記録ビット領域に対する加熱効率を維持しつつ高熱伝導体の占有面積を減少させることができる。これにより、磁気記録媒体の記録密度をさらに向上させることができる。
【0011】
(2)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通して配設されていることが好ましい。
【0012】
この場合では、高熱伝導体が記録層の下層や基板と接触することで、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介して記録層から磁気記録媒体の外側に放出されやすくなり、冷却効率がより向上する。
【0013】
(3)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記基板と前記記録層との間には、下地層が形成されており、前記高熱伝導体が、前記記録層及び前記下地層を貫通して配設されていることが好ましい。
【0014】
この場合では、高熱伝導体と下地層との接触面積を十分に確保することで、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介して下地層から磁気記録媒体の外側に放出されやすくなるので、冷却効率を高めることができる。
【0015】
(4)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通し、前記高熱伝導体において積層方向に直交する方向の断面積が、前記積層方向で前記基板に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。
【0016】
この場合では、記録層の下面に設けられている層との接触面積が増大するので、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介してこの層から磁気記録媒体の外側に放出されやすくなり、冷却効率がさらに向上する。
【0017】
(5)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体の内側には、該高熱伝導体を囲む前記記録層と同一の前記記録ビット領域を構成する記録層が配設されていることが好ましい。
【0018】
この場合では、高熱伝導体と記録層との接触面積が増大すると共に、高熱伝導体から外側及び内側の双方に配設された記録層を加熱するため、記録ビット領域の加熱効率がさらに向上する。
【0019】
(6)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体の外周面には、該外周面に沿って内側に向けて陥没する複数の凹部が形成されていることが好ましい。
【0020】
この場合では、高熱伝導体と記録層との接触面積が増大するため、記録ビット領域の過熱効率がさらに向上する。
【0021】
(7)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記記録層には、該記録層を複数の区画に区分する分断部が形成されており、前記分断部には、前記記録層よりも熱伝導率が低い低熱伝導体が充填されていることが好ましい。
【0022】
この場合では、記録層を低熱伝導体によって複数の区画に区分することで、加熱に寄与している区画から加熱に寄与していない他の区画に熱が伝わることを抑制でき、熱を加熱に寄与している区画内に閉じ込めることで、記録する記録ビット領域の加熱効率がさらに向上する。
【0023】
(8)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記記録ビット領域及び前記高熱伝導体は、同心状に配置されていることが好ましい。
【0024】
この場合では、高熱伝導体から記録ビット領域に向けて熱が均一に伝わるので、記録ビット領域をさらに効果的に加熱することができる。
【0025】
(9)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体は、金属材料または誘電体材料で形成されていることが好ましい。
【0026】
この場合では、特別な加工を必要とすることなく、例えばエッチングなど既存の加工方法で容易に加工できる。なお、高熱伝導体を形成する材料は、単一の材料であってもよく、混合したものであってもよい。
【0027】
(10)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記基板と前記記録層との間には、前記記録ビット領域を構成する磁性粒子の磁化方向を該基板の基板面に対して一定方向に配向するための配向層が形成され、前記高熱伝導体が、前記配向層をさらに貫通して配設されていることが好ましい。
【0028】
この場合では、基板と記録層との間に下地層に加え、配向層が形成されているので、より安定した記録を行い易い。特に、配向層によって、記録層の磁性粒子の磁化容易軸が基板面に対して一定方向、例えば水平方向又は垂直方向に配向するため、安定した水平又は垂直磁気記録媒体が提供される。
また、高熱伝導体は配向層についても貫通しているので、該高熱伝導体に対する接触面積を十分に確保することができ、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介して磁気記録媒体の外側に放出されやすくなるので、冷却効率を高めることができる。
【0029】
(11)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記配向層は、前記下地層よりも前記記録層側に形成されていることが好ましい。
【0030】
この場合には、配向層が記録層側に形成されているので、記録層における上記磁化容易軸をさらに精度良く配向させることができ、さらに安定した記録を行い易い。
【発明の効果】
【0031】
この発明にかかる磁気記録媒体によれば、高熱伝導体を記録ビット領域が囲んでいるため、高熱伝導体から周囲を囲む記録ビット領域に熱が無駄なく伝わり、この記録ビット領域を効果的に加熱できる。また、他の記録ビット領域にすでに記録されている情報を消失したり誤った情報を記録したりすることを防止できると共に、記録する記録ビット領域に対する加熱効率を維持しつつ高熱伝導体の占有面積を減少させることができる。これにより、磁気記録媒体の記録密度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態における磁気記録媒体を示す上面図及び部分拡大図である。
【図2】図1の磁気記録媒体を示す拡大断面図である。
【図3】図1の磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【図4】図1の磁気記録媒体の製造方法を示す拡大断面図である。
【図5】同じく、図1の磁気記録媒体の製造方法を示す拡大断面図である。
【図6】同じく、図1の磁気記録媒体の製造方法を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における磁気記録媒体を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態における磁気記録媒体を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態における磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【図10】本発明の第5実施形態における磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【図11】本発明の第6実施形態における磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明における磁気記録媒体の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0034】
本実施形態における磁気記録媒体1は、図1に示すように、上面視円板状をなしており、図2及び図3に示すように、基板2と、基板2上に形成された下地層3と、下地層3上に形成された記録層4と、記録層4上に形成された保護層5と、を備えている。なお、図1の部分拡大図及び図3では、保護層5を除去している。また、本実施形態では、上面視円板状をなす磁気記録媒体1の中心軸に直交する方向を径方向、中心軸回りの方向を周方向とする。
【0035】
基板2は、例えばガラス、アルミニウムまたはアルミニウム合金、AlTiCで形成されており、磁気記録媒体1の剛性を確保する。
下地層3は、例えばNiFe、FeTaC、CoTaZrのような鉄合金、ニッケル合金またはコバルト合金のような軟磁性材料で形成されており、記録層4を通過する磁気ヘッド(図示略)からの磁束をこの磁気ヘッドに還流させることによって記録層4に垂直方向成分の磁界を発生させる。
【0036】
記録層4は、例えばCoCrPt、CoCrPt−SiO2のような、磁性合金、磁性合金と酸化物膜などとのグラニュラー膜またはこれらに添加元素を加えた材料で形成されており、上記磁気ヘッドから印加する磁束によって磁化方向が適宜反転される。
また、記録層4は、複数の記録ビット領域11によって構成されており、複数の記録ビット領域11は、記録層4を貫通する分断部12によって区分されている。これら記録ビット領域11は、1以上の磁性粒子で構成されており、図1及び図3に示すように、円柱状をなしている。そして、記録ビット領域11は、図1に示すように、周方向等間隔に配列されることによって記録トラックを構成し、この記録トラックは、径方向に間隔をあけて同心円状に配列されている。なお、記録ビット領域11は、円柱状に限らず、他の形状をなしていてもよい。
【0037】
分断部12には、図1から図3に示すように、記録層4よりも熱伝導率が低い低熱伝導体13が配設されている。
低熱伝導体13は、例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムなどで形成されており、隣り合う記録ビット領域11間で熱を伝わりにくくする。なお、低熱伝導体13として空気を採用してもよい。
各記録ビット領域11を構成する記録層4の中央には、記録層4を貫通して下地層3に達する円柱状の高熱伝導体14が記録ビット領域11と同心状に配設されている。高熱伝導体14は、記録層4よりも熱伝導率が高く、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブなど、金属材料または誘電体材料で形成されており、接触する記録層4との間で伝熱しやすくする。
保護層5は、例えばダイヤモンドライクカーボン、酸化珪素、窒化珪素、酸化銅、酸化アルミニウムなどで形成されており、記録層4を磁気記録媒体1の外界から物理的及び化学的に保護する。
【0038】
次に、以上のような構成の磁気記録媒体1の製造方法について説明する。
まず、例えばスパッタ法やCVD法などにより、基板2上に下地層3を形成する(図4(a)及び図4(b))。そして、同様に例えばスパッタ法やCVD法などにより、下地層3上に低熱伝導体13を形成する(図4(c))。その後、低熱伝導体13上にパターニング用の第1レジスト層21を塗布し、フォトリソグラフィ及び現像によって第1レジスト層21のうち記録ビット領域11の形成位置に対応する部分を除去して開口パターンを形成する(図4(d))。
【0039】
続いて、例えばエッチング処理によって第1レジスト層21の開口パターンから露出している低熱伝導体13を除去する(図5(a))。そして、例えばスパッタ法やCVD法などにより、除去していない第1レジスト層21及び露出している下地層3上に記録層4を形成し(図5(b)、アセトンなどの溶剤により第1レジスト層21を除去し、CMP法などによって表面を平坦化する(図5(c))。これにより、残存する低熱伝導体13で構成される分断部12によって区分される記録ビット領域11が形成される。その後、低熱伝導体13及び記録層4上にパターニング用の第2レジスト層22を塗布し、フォトリソグラフィ及び現像によって第2レジスト層22のうち高熱伝導体14の形成位置に対応する部分を除去して開口パターンを形成する(図5(d))。
【0040】
次に、例えばエッチング処理によって第2レジスト層22の開口パターンから露出している記録層4を除去する(図6(a))。そして、例えばスパッタ法やCVD法などにより、第2レジスト層22及び露出している下地層3上に高熱伝導体14を形成し(図6(b))、アセトンなどの溶剤により第2レジスト層22を除去し、CMP法などによって表面を平坦化する(図6(c))。その後、例えばスパッタ法やCVD法などにより、保護層5を形成する(図6(d))。
以上のようにして、磁気記録媒体1を製造する。
【0041】
次に、以上のような構成の磁気記録媒体1における情報の記録方法を説明する。
まず、記録層4のうち情報を記録する記録ビット領域11の中央に配設されている高熱伝導体14にスポット光または近接場光を照射して高熱伝導体14を加熱する。加熱された高熱伝導体14は、高熱伝導体14を囲む記録ビット領域11に向けて伝熱する。これにより、記録する記録ビット領域11が局所的に加熱され、一時的に保磁力が低下する。そして、保磁力が低下している間に、記録ビット領域11に磁界を印加して情報を記録する。
【0042】
このとき、加熱される高熱伝導体14の周囲を記録する記録ビット領域11が囲んでいるので、高熱伝導体14は、記録しない他の記録ビット領域11に熱を逃がさずに記録する記録ビット領域11を加熱する。また、上記他の記録ビット領域11が加熱された高熱伝導体14から離間していると共に、記録ビット領域11の外側を低熱伝導体13で囲んでいるので、記録しない他の記録ビット領域11を加熱することが抑制される。
【0043】
その後、この間に記録ビット領域11に情報を記録した後、記録ビット領域11に蓄積されている熱は、自然に排熱されるか、加熱が停止された高熱伝導体14を介して下地層3に伝導して下地層3及び基板2を介して磁気記録媒体1の外界に排熱される。このとき、高熱伝導体14が記録層4を貫通して下地層3と接触しているので、加熱された記録ビット領域11の熱は、高熱伝導体14を通って下地層3に伝導されやすくなる。
以上のようにして、磁気記録媒体1に情報を記録する。
【0044】
以上のような構成の磁気記録媒体1によれば、記録する記録ビット領域11が加熱する高熱伝導体14を囲んでいるので、高熱伝導体14から記録ビット領域11に熱が無駄なく伝わり、この記録ビット領域11を効果的に加熱できる。このとき、記録ビット領域11と高熱伝導体14とが同心状に配置されており、高熱伝導体14から記録ビット領域11に向けて熱が均一に伝わるので、記録ビット領域11をさらに効果的に加熱することができる。
また、記録しない他の記録ビット領域11に熱が逃げにくく、かつ記録ビット領域11を低熱伝導体13で区分しているので、記録しない記録ビット領域11が加熱されることを抑制する。そのため、他の記録ビット領域11にすでに記録されている情報を消失したり誤った情報を記録したりすることを防止できると共に、記録する記録ビット領域11に対する加熱効率を維持しつつ高熱伝導体の占有面積を減少させることができる。これにより、磁気記録媒体1の記録密度をさらに向上させることができる。
さらに、記録層4を貫通する高熱伝導体14を介して加熱された記録ビット領域11の熱が下地層3に伝導されやすくなるので、記録ビット領域11の熱を磁気記録媒体1の外界に排熱しやすくなる。
【0045】
(第2実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図7においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体50では、図7に示すように、高熱伝導体51が記録層4及び下地層3を貫通して基板2と接触している。
【0046】
以上のような構成の磁気記録媒体50によれば、高熱伝導体51と下地層3との接触面積を十分に確保できるので、高熱伝導体51を介して加熱した記録層4から下地層3に熱が伝導しやすくなり、加熱した記録ビット領域11の排熱効率を向上させることができる。
【0047】
(第3実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第2実施形態と同様であり、上述の第2実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図8においては、図7と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体60では、図8に示すように、高熱伝導体61が円錐台状をなしている。すなわち、高熱伝導体61において磁気記録媒体60の積層方向に直交する方向の断面積は、この積層方向で基板2に向かうにしたがって大きくなっている。
【0048】
以上のような構成の磁気記録媒体60によれば、高熱伝導体61と下地層3との間の接触面積が増大するので、加熱した記録ビット領域11の排熱効率をさらに向上させることができる。
【0049】
(第4実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図9においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体70では、高熱伝導体71が円筒状をなしている。また、高熱伝導体71の内側には、磁性体72が配設されており、磁性体72は、高熱伝導体71を囲む磁性体73と共に同一の記録ビット領域74を構成する。
【0050】
以上のような構成の磁気記録媒体70によれば、高熱伝導体71から外側及び内側双方に向けて伝わる熱が磁性体72、73を加熱するため、記録ビット領域74の加熱効率がさらに向上する。また、高熱伝導体71と記録ビット領域74との間の接触面積が増大するので、加熱した記録ビット領域74の排熱効率をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態では、高熱伝導体71が円筒状をなしているが、円筒状などの筒状に限らず、上面視C字状などであってもよい。
【0051】
(第5実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図10においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体80では、高熱伝導体81の外周面に内側に向けて陥没する凹部82が外周面に沿って複数形成されている。
【0052】
以上のような構成の磁気記録媒体80によれば、高熱伝導体81の外周面に凹凸を形成して高熱伝導体81の断面形状を複雑化することで、高熱伝導体81と記録ビット領域11との間の接触面積が増大し、記録ビット領域11と高熱伝導体81との間の熱抵抗が低下する。これにより、加熱した記録ビット領域11の排熱効率をさらに向上させることができる。
【0053】
(第6実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図11においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
本実施形態の磁気記録媒体90では、基板2と記録層4の間に、下地層3及び配向層91が形成されている。
配向層91は、下地層3よりも記録層4側に位置しており、記録層4の磁性粒子の磁化容易軸(結晶磁気異方性を有する磁性体において、磁化され易い結晶方位)を基板2の基板面に対して一定方向(水平方向又は垂直方向)に配向させる層とされている。
具体的には、磁化容易軸を水平方向に配向させる場合には、Cr、W、Mo等を含み、水平磁気記録に適した体心立方構造を有する材料を利用して配向層91を形成すれば良い。また、磁化容易軸を垂直方向に配向させる場合には、Ru、Os、Re等を含み、垂直磁気記録に適した六方最密構造を有する材料を利用して配向層91を形成すれば良い。
【0055】
更に、本実施形態の磁気記録媒体90では、高熱伝導体14が記録層4、下地層3及び配向層91を貫通して基板2と接触している。
【0056】
以上のような構成の磁気記録媒体90によれば、記録層4の磁性粒子の磁化容易軸が基板2の基板面に対して水平方向又は垂直方向に配向するため、安定した水平又は垂直磁気記録媒体が提供される。
また、高熱伝導体14と、下地層3及び配向層91と、の接触面積を十分に確保できるので、加熱した記録層4から基板2側に熱が伝導しやすくなり、加熱した記録ビット領域11の排熱効率を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態において、配向層91を下地層3よりも記録層4側に形成したが、基板2側に形成しても構わない。但し、記録層4側に形成する方が、磁化容易軸の方向をより効果的に配向させ易いので好ましい。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0059】
例えば、記録ビット領域は、1以上の磁性粒子によって構成されていればよく、1つの磁性粒子に凹部を形成し、その凹部に高熱伝導体を充填する構成であってもよい。
高熱伝導体は、記録層を貫通していなくてもよく、また、記録層及び下地層を貫通して基板内に配置されてもよい。
記録ビット領域及び高熱伝導体の形状は、各実施形態における形態を適宜組み合わせてもよく、他の形状であってもよい。
高熱伝導体は、記録ビット領域の中央において記録ビット領域と同心状に配設されているが、1つの記録ビット領域によって囲まれていれば、記録ビット領域の中央に配設されてなくてもよい。
分断部は、記録ビット領域ごとに区画しているが、同心円状に配置されたトラックごとに区画してもよい。また、分断部を形成しなくてもよい。
【0060】
記録層と基板との間に下地層が形成されているが、下地層を形成しなくてもよい。また、保護膜を形成しなくてもよい。さらに、下地層や保護膜以外に、他の層を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明によれば、所望する磁性体を効果的に加熱して高い信頼性で書き込みを行うことができると共に、記録時における他の磁性体の熱的安定性を確保して記録消失や誤記録などを抑制することができる磁気記録媒体に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0062】
1,50,60,70,80,90 磁気記録媒体、2 基板、3 下地層、4 記録層、11,74 記録ビット領域、12 分断部、13 低熱伝導体、14,51,61,71,81 高熱伝導体、91 配向層
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録方式によって情報を記録するのに好適な磁気記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、ディスクという)は、より大量かつ高密度な情報の記録再生を行いたいなどのニーズを受けて、さらなる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保磁力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になりつつある。
【0003】
そこで、上記不具合を解消するために、光を集光したスポット光、または近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保磁力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行う熱アシスト磁気記録方式(ハイブリッド磁気記録方式)による書き込み方法が採用されている。
特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域で光学情報を扱うことが可能となり、従来ではなし得ない記録ビットの高密度化を図ることが可能とされている。
【0004】
ところで、上述した熱アシスト磁気記録方式に対応したディスクは現在数多く提供されているが、これらのディスクには、熱アシスト磁気記録を確実に行うための要件の1つとして、記録層を構成する磁性体(1つまたは複数の磁性粒子からなる磁気クラスター)の効果的な加熱が求められている。
これは、所望の磁性体を速やかに加熱してその保磁力を低下させることが、記録不良を抑制して書き込みの信頼性に繋がるためである。
【0005】
そこで、記録層を構成する記録トラック(磁性体)の上部及び側部に記録層より熱伝導率が高い高熱伝導薄膜を配設した磁気記録媒体が知られている(例えば特許文献1参照)。この磁気記録媒体によれば、高熱伝導薄膜によって記録トラックの外側から熱を伝えることができ、記録トラックの全体を速やかに加熱することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−165404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の磁気記録媒体では、高熱伝導薄膜が記録トラックの上部及び側部に接した状態で配設されているので、加熱時に高熱伝導薄膜に伝わった熱の一部が記録トラック側とは異なる方向に逃げてしまいやすかった。そのため、高熱伝導薄膜側から記録トラック側に無駄なく熱を伝えることが難しく、記録トラックを効果的に加熱するには至っていない。
また、記録トラックの加熱に寄与せず、記録トラック側とは異なる方向に逃げてしまった熱が、隣の高熱伝導薄膜を介して他の記録トラックに伝わってしまう恐れもあった。そのため、他の記録トラックの熱的安定性を低下させてしまい、該記録トラックに既に記録されていた情報の消失や、誤記録をしてしまうなどの不具合が生じる可能性もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、所望する磁性体を効果的に加熱して高い信頼性で書き込みを行うことができると共に、記録時における他の磁性体の熱的安定性を確保して記録消失や誤記録などを抑制することができる磁気記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用した。
(1)本発明に係る磁気記録媒体は、基板に記録層が形成された磁気記録媒体であって、前記記録層を構成する複数の記録ビット領域それぞれの内側には、前記記録層よりも熱伝導率が高い高熱伝導体が配設されていることを特徴とする。
【0010】
この発明では、1以上の磁性粒子で構成される記録ビット領域の内側に配設された高熱伝導体から周囲を囲む記録ビット領域に向けて伝熱するため、情報を記録する記録ビット領域を効果的に加熱できる。すなわち、高熱伝導体を加熱すると、高熱伝導体を囲む記録ビット領域は内側から加熱され、記録しない他の記録ビット領域に熱が逃げずに記録する記録ビット領域に熱が無駄なく伝わるので、この記録ビット領域の加熱効率が向上する。
また、記録しない他の記録ビット領域に熱が逃げにくいので、記録しない他の記録ビット領域を加熱して熱的安定性を低下させることを抑制でき、他の記録ビット領域にすでに記録されている情報を消失したり誤った情報を記録したりすることを防止できる。
さらに、記録ビット領域の外側を囲むように高熱伝導体を配設する場合と比較して、記録する記録ビット領域に対する加熱効率を維持しつつ高熱伝導体の占有面積を減少させることができる。これにより、磁気記録媒体の記録密度をさらに向上させることができる。
【0011】
(2)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通して配設されていることが好ましい。
【0012】
この場合では、高熱伝導体が記録層の下層や基板と接触することで、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介して記録層から磁気記録媒体の外側に放出されやすくなり、冷却効率がより向上する。
【0013】
(3)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記基板と前記記録層との間には、下地層が形成されており、前記高熱伝導体が、前記記録層及び前記下地層を貫通して配設されていることが好ましい。
【0014】
この場合では、高熱伝導体と下地層との接触面積を十分に確保することで、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介して下地層から磁気記録媒体の外側に放出されやすくなるので、冷却効率を高めることができる。
【0015】
(4)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通し、前記高熱伝導体において積層方向に直交する方向の断面積が、前記積層方向で前記基板に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。
【0016】
この場合では、記録層の下面に設けられている層との接触面積が増大するので、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介してこの層から磁気記録媒体の外側に放出されやすくなり、冷却効率がさらに向上する。
【0017】
(5)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体の内側には、該高熱伝導体を囲む前記記録層と同一の前記記録ビット領域を構成する記録層が配設されていることが好ましい。
【0018】
この場合では、高熱伝導体と記録層との接触面積が増大すると共に、高熱伝導体から外側及び内側の双方に配設された記録層を加熱するため、記録ビット領域の加熱効率がさらに向上する。
【0019】
(6)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体の外周面には、該外周面に沿って内側に向けて陥没する複数の凹部が形成されていることが好ましい。
【0020】
この場合では、高熱伝導体と記録層との接触面積が増大するため、記録ビット領域の過熱効率がさらに向上する。
【0021】
(7)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記記録層には、該記録層を複数の区画に区分する分断部が形成されており、前記分断部には、前記記録層よりも熱伝導率が低い低熱伝導体が充填されていることが好ましい。
【0022】
この場合では、記録層を低熱伝導体によって複数の区画に区分することで、加熱に寄与している区画から加熱に寄与していない他の区画に熱が伝わることを抑制でき、熱を加熱に寄与している区画内に閉じ込めることで、記録する記録ビット領域の加熱効率がさらに向上する。
【0023】
(8)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記記録ビット領域及び前記高熱伝導体は、同心状に配置されていることが好ましい。
【0024】
この場合では、高熱伝導体から記録ビット領域に向けて熱が均一に伝わるので、記録ビット領域をさらに効果的に加熱することができる。
【0025】
(9)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記高熱伝導体は、金属材料または誘電体材料で形成されていることが好ましい。
【0026】
この場合では、特別な加工を必要とすることなく、例えばエッチングなど既存の加工方法で容易に加工できる。なお、高熱伝導体を形成する材料は、単一の材料であってもよく、混合したものであってもよい。
【0027】
(10)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記基板と前記記録層との間には、前記記録ビット領域を構成する磁性粒子の磁化方向を該基板の基板面に対して一定方向に配向するための配向層が形成され、前記高熱伝導体が、前記配向層をさらに貫通して配設されていることが好ましい。
【0028】
この場合では、基板と記録層との間に下地層に加え、配向層が形成されているので、より安定した記録を行い易い。特に、配向層によって、記録層の磁性粒子の磁化容易軸が基板面に対して一定方向、例えば水平方向又は垂直方向に配向するため、安定した水平又は垂直磁気記録媒体が提供される。
また、高熱伝導体は配向層についても貫通しているので、該高熱伝導体に対する接触面積を十分に確保することができ、記録ビット領域から排熱する際に、加熱した記録ビット領域から高熱伝導体を介して磁気記録媒体の外側に放出されやすくなるので、冷却効率を高めることができる。
【0029】
(11)上記本発明に係る磁気記録媒体において、前記配向層は、前記下地層よりも前記記録層側に形成されていることが好ましい。
【0030】
この場合には、配向層が記録層側に形成されているので、記録層における上記磁化容易軸をさらに精度良く配向させることができ、さらに安定した記録を行い易い。
【発明の効果】
【0031】
この発明にかかる磁気記録媒体によれば、高熱伝導体を記録ビット領域が囲んでいるため、高熱伝導体から周囲を囲む記録ビット領域に熱が無駄なく伝わり、この記録ビット領域を効果的に加熱できる。また、他の記録ビット領域にすでに記録されている情報を消失したり誤った情報を記録したりすることを防止できると共に、記録する記録ビット領域に対する加熱効率を維持しつつ高熱伝導体の占有面積を減少させることができる。これにより、磁気記録媒体の記録密度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態における磁気記録媒体を示す上面図及び部分拡大図である。
【図2】図1の磁気記録媒体を示す拡大断面図である。
【図3】図1の磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【図4】図1の磁気記録媒体の製造方法を示す拡大断面図である。
【図5】同じく、図1の磁気記録媒体の製造方法を示す拡大断面図である。
【図6】同じく、図1の磁気記録媒体の製造方法を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における磁気記録媒体を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態における磁気記録媒体を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態における磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【図10】本発明の第5実施形態における磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【図11】本発明の第6実施形態における磁気記録媒体を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明における磁気記録媒体の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0034】
本実施形態における磁気記録媒体1は、図1に示すように、上面視円板状をなしており、図2及び図3に示すように、基板2と、基板2上に形成された下地層3と、下地層3上に形成された記録層4と、記録層4上に形成された保護層5と、を備えている。なお、図1の部分拡大図及び図3では、保護層5を除去している。また、本実施形態では、上面視円板状をなす磁気記録媒体1の中心軸に直交する方向を径方向、中心軸回りの方向を周方向とする。
【0035】
基板2は、例えばガラス、アルミニウムまたはアルミニウム合金、AlTiCで形成されており、磁気記録媒体1の剛性を確保する。
下地層3は、例えばNiFe、FeTaC、CoTaZrのような鉄合金、ニッケル合金またはコバルト合金のような軟磁性材料で形成されており、記録層4を通過する磁気ヘッド(図示略)からの磁束をこの磁気ヘッドに還流させることによって記録層4に垂直方向成分の磁界を発生させる。
【0036】
記録層4は、例えばCoCrPt、CoCrPt−SiO2のような、磁性合金、磁性合金と酸化物膜などとのグラニュラー膜またはこれらに添加元素を加えた材料で形成されており、上記磁気ヘッドから印加する磁束によって磁化方向が適宜反転される。
また、記録層4は、複数の記録ビット領域11によって構成されており、複数の記録ビット領域11は、記録層4を貫通する分断部12によって区分されている。これら記録ビット領域11は、1以上の磁性粒子で構成されており、図1及び図3に示すように、円柱状をなしている。そして、記録ビット領域11は、図1に示すように、周方向等間隔に配列されることによって記録トラックを構成し、この記録トラックは、径方向に間隔をあけて同心円状に配列されている。なお、記録ビット領域11は、円柱状に限らず、他の形状をなしていてもよい。
【0037】
分断部12には、図1から図3に示すように、記録層4よりも熱伝導率が低い低熱伝導体13が配設されている。
低熱伝導体13は、例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムなどで形成されており、隣り合う記録ビット領域11間で熱を伝わりにくくする。なお、低熱伝導体13として空気を採用してもよい。
各記録ビット領域11を構成する記録層4の中央には、記録層4を貫通して下地層3に達する円柱状の高熱伝導体14が記録ビット領域11と同心状に配設されている。高熱伝導体14は、記録層4よりも熱伝導率が高く、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブなど、金属材料または誘電体材料で形成されており、接触する記録層4との間で伝熱しやすくする。
保護層5は、例えばダイヤモンドライクカーボン、酸化珪素、窒化珪素、酸化銅、酸化アルミニウムなどで形成されており、記録層4を磁気記録媒体1の外界から物理的及び化学的に保護する。
【0038】
次に、以上のような構成の磁気記録媒体1の製造方法について説明する。
まず、例えばスパッタ法やCVD法などにより、基板2上に下地層3を形成する(図4(a)及び図4(b))。そして、同様に例えばスパッタ法やCVD法などにより、下地層3上に低熱伝導体13を形成する(図4(c))。その後、低熱伝導体13上にパターニング用の第1レジスト層21を塗布し、フォトリソグラフィ及び現像によって第1レジスト層21のうち記録ビット領域11の形成位置に対応する部分を除去して開口パターンを形成する(図4(d))。
【0039】
続いて、例えばエッチング処理によって第1レジスト層21の開口パターンから露出している低熱伝導体13を除去する(図5(a))。そして、例えばスパッタ法やCVD法などにより、除去していない第1レジスト層21及び露出している下地層3上に記録層4を形成し(図5(b)、アセトンなどの溶剤により第1レジスト層21を除去し、CMP法などによって表面を平坦化する(図5(c))。これにより、残存する低熱伝導体13で構成される分断部12によって区分される記録ビット領域11が形成される。その後、低熱伝導体13及び記録層4上にパターニング用の第2レジスト層22を塗布し、フォトリソグラフィ及び現像によって第2レジスト層22のうち高熱伝導体14の形成位置に対応する部分を除去して開口パターンを形成する(図5(d))。
【0040】
次に、例えばエッチング処理によって第2レジスト層22の開口パターンから露出している記録層4を除去する(図6(a))。そして、例えばスパッタ法やCVD法などにより、第2レジスト層22及び露出している下地層3上に高熱伝導体14を形成し(図6(b))、アセトンなどの溶剤により第2レジスト層22を除去し、CMP法などによって表面を平坦化する(図6(c))。その後、例えばスパッタ法やCVD法などにより、保護層5を形成する(図6(d))。
以上のようにして、磁気記録媒体1を製造する。
【0041】
次に、以上のような構成の磁気記録媒体1における情報の記録方法を説明する。
まず、記録層4のうち情報を記録する記録ビット領域11の中央に配設されている高熱伝導体14にスポット光または近接場光を照射して高熱伝導体14を加熱する。加熱された高熱伝導体14は、高熱伝導体14を囲む記録ビット領域11に向けて伝熱する。これにより、記録する記録ビット領域11が局所的に加熱され、一時的に保磁力が低下する。そして、保磁力が低下している間に、記録ビット領域11に磁界を印加して情報を記録する。
【0042】
このとき、加熱される高熱伝導体14の周囲を記録する記録ビット領域11が囲んでいるので、高熱伝導体14は、記録しない他の記録ビット領域11に熱を逃がさずに記録する記録ビット領域11を加熱する。また、上記他の記録ビット領域11が加熱された高熱伝導体14から離間していると共に、記録ビット領域11の外側を低熱伝導体13で囲んでいるので、記録しない他の記録ビット領域11を加熱することが抑制される。
【0043】
その後、この間に記録ビット領域11に情報を記録した後、記録ビット領域11に蓄積されている熱は、自然に排熱されるか、加熱が停止された高熱伝導体14を介して下地層3に伝導して下地層3及び基板2を介して磁気記録媒体1の外界に排熱される。このとき、高熱伝導体14が記録層4を貫通して下地層3と接触しているので、加熱された記録ビット領域11の熱は、高熱伝導体14を通って下地層3に伝導されやすくなる。
以上のようにして、磁気記録媒体1に情報を記録する。
【0044】
以上のような構成の磁気記録媒体1によれば、記録する記録ビット領域11が加熱する高熱伝導体14を囲んでいるので、高熱伝導体14から記録ビット領域11に熱が無駄なく伝わり、この記録ビット領域11を効果的に加熱できる。このとき、記録ビット領域11と高熱伝導体14とが同心状に配置されており、高熱伝導体14から記録ビット領域11に向けて熱が均一に伝わるので、記録ビット領域11をさらに効果的に加熱することができる。
また、記録しない他の記録ビット領域11に熱が逃げにくく、かつ記録ビット領域11を低熱伝導体13で区分しているので、記録しない記録ビット領域11が加熱されることを抑制する。そのため、他の記録ビット領域11にすでに記録されている情報を消失したり誤った情報を記録したりすることを防止できると共に、記録する記録ビット領域11に対する加熱効率を維持しつつ高熱伝導体の占有面積を減少させることができる。これにより、磁気記録媒体1の記録密度をさらに向上させることができる。
さらに、記録層4を貫通する高熱伝導体14を介して加熱された記録ビット領域11の熱が下地層3に伝導されやすくなるので、記録ビット領域11の熱を磁気記録媒体1の外界に排熱しやすくなる。
【0045】
(第2実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図7においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体50では、図7に示すように、高熱伝導体51が記録層4及び下地層3を貫通して基板2と接触している。
【0046】
以上のような構成の磁気記録媒体50によれば、高熱伝導体51と下地層3との接触面積を十分に確保できるので、高熱伝導体51を介して加熱した記録層4から下地層3に熱が伝導しやすくなり、加熱した記録ビット領域11の排熱効率を向上させることができる。
【0047】
(第3実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第2実施形態と同様であり、上述の第2実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図8においては、図7と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体60では、図8に示すように、高熱伝導体61が円錐台状をなしている。すなわち、高熱伝導体61において磁気記録媒体60の積層方向に直交する方向の断面積は、この積層方向で基板2に向かうにしたがって大きくなっている。
【0048】
以上のような構成の磁気記録媒体60によれば、高熱伝導体61と下地層3との間の接触面積が増大するので、加熱した記録ビット領域11の排熱効率をさらに向上させることができる。
【0049】
(第4実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図9においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体70では、高熱伝導体71が円筒状をなしている。また、高熱伝導体71の内側には、磁性体72が配設されており、磁性体72は、高熱伝導体71を囲む磁性体73と共に同一の記録ビット領域74を構成する。
【0050】
以上のような構成の磁気記録媒体70によれば、高熱伝導体71から外側及び内側双方に向けて伝わる熱が磁性体72、73を加熱するため、記録ビット領域74の加熱効率がさらに向上する。また、高熱伝導体71と記録ビット領域74との間の接触面積が増大するので、加熱した記録ビット領域74の排熱効率をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態では、高熱伝導体71が円筒状をなしているが、円筒状などの筒状に限らず、上面視C字状などであってもよい。
【0051】
(第5実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図10においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の磁気記録媒体80では、高熱伝導体81の外周面に内側に向けて陥没する凹部82が外周面に沿って複数形成されている。
【0052】
以上のような構成の磁気記録媒体80によれば、高熱伝導体81の外周面に凹凸を形成して高熱伝導体81の断面形状を複雑化することで、高熱伝導体81と記録ビット領域11との間の接触面積が増大し、記録ビット領域11と高熱伝導体81との間の熱抵抗が低下する。これにより、加熱した記録ビット領域11の排熱効率をさらに向上させることができる。
【0053】
(第6実施形態)
続いて、本発明における磁気記録媒体の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図11においては、図1から図6と同一構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
本実施形態の磁気記録媒体90では、基板2と記録層4の間に、下地層3及び配向層91が形成されている。
配向層91は、下地層3よりも記録層4側に位置しており、記録層4の磁性粒子の磁化容易軸(結晶磁気異方性を有する磁性体において、磁化され易い結晶方位)を基板2の基板面に対して一定方向(水平方向又は垂直方向)に配向させる層とされている。
具体的には、磁化容易軸を水平方向に配向させる場合には、Cr、W、Mo等を含み、水平磁気記録に適した体心立方構造を有する材料を利用して配向層91を形成すれば良い。また、磁化容易軸を垂直方向に配向させる場合には、Ru、Os、Re等を含み、垂直磁気記録に適した六方最密構造を有する材料を利用して配向層91を形成すれば良い。
【0055】
更に、本実施形態の磁気記録媒体90では、高熱伝導体14が記録層4、下地層3及び配向層91を貫通して基板2と接触している。
【0056】
以上のような構成の磁気記録媒体90によれば、記録層4の磁性粒子の磁化容易軸が基板2の基板面に対して水平方向又は垂直方向に配向するため、安定した水平又は垂直磁気記録媒体が提供される。
また、高熱伝導体14と、下地層3及び配向層91と、の接触面積を十分に確保できるので、加熱した記録層4から基板2側に熱が伝導しやすくなり、加熱した記録ビット領域11の排熱効率を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態において、配向層91を下地層3よりも記録層4側に形成したが、基板2側に形成しても構わない。但し、記録層4側に形成する方が、磁化容易軸の方向をより効果的に配向させ易いので好ましい。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0059】
例えば、記録ビット領域は、1以上の磁性粒子によって構成されていればよく、1つの磁性粒子に凹部を形成し、その凹部に高熱伝導体を充填する構成であってもよい。
高熱伝導体は、記録層を貫通していなくてもよく、また、記録層及び下地層を貫通して基板内に配置されてもよい。
記録ビット領域及び高熱伝導体の形状は、各実施形態における形態を適宜組み合わせてもよく、他の形状であってもよい。
高熱伝導体は、記録ビット領域の中央において記録ビット領域と同心状に配設されているが、1つの記録ビット領域によって囲まれていれば、記録ビット領域の中央に配設されてなくてもよい。
分断部は、記録ビット領域ごとに区画しているが、同心円状に配置されたトラックごとに区画してもよい。また、分断部を形成しなくてもよい。
【0060】
記録層と基板との間に下地層が形成されているが、下地層を形成しなくてもよい。また、保護膜を形成しなくてもよい。さらに、下地層や保護膜以外に、他の層を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明によれば、所望する磁性体を効果的に加熱して高い信頼性で書き込みを行うことができると共に、記録時における他の磁性体の熱的安定性を確保して記録消失や誤記録などを抑制することができる磁気記録媒体に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0062】
1,50,60,70,80,90 磁気記録媒体、2 基板、3 下地層、4 記録層、11,74 記録ビット領域、12 分断部、13 低熱伝導体、14,51,61,71,81 高熱伝導体、91 配向層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に記録層が形成された磁気記録媒体であって、
前記記録層を構成する複数の記録ビット領域それぞれの内側には、前記記録層よりも熱伝導率が高い高熱伝導体が配設されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通して配設されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記基板と前記記録層との間には、下地層が形成されており、
前記高熱伝導体が、前記記録層及び前記下地層を貫通して配設されていることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通し、
前記高熱伝導体において積層方向に直交する方向の断面積が、前記積層方向で前記基板に向かうにしたがって大きくなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記高熱伝導体の内側には、該高熱伝導体を囲む前記記録層と同一の前記記録ビット領域を構成する記録層が配設されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
前記高熱伝導体の外周面には、該外周面に沿って内側に向けて陥没する複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記記録層には、該記録層を複数の区画に区分する分断部が形成されており、
前記分断部には、前記記録層よりも熱伝導率が低い低熱伝導体が充填されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項8】
前記記録ビット領域及び前記高熱伝導体は、同心状に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項9】
前記高熱伝導体は、金属材料または誘電体材料で形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項10】
前記基板と前記記録層との間には、前記記録ビット領域を構成する磁性粒子の磁化方向を該基板の基板面に対して一定方向に配向するための配向層が形成され、
前記高熱伝導体が、前記配向層をさらに貫通して配設されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
【請求項11】
前記配向層は、前記下地層よりも前記記録層側に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
【請求項1】
基板に記録層が形成された磁気記録媒体であって、
前記記録層を構成する複数の記録ビット領域それぞれの内側には、前記記録層よりも熱伝導率が高い高熱伝導体が配設されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通して配設されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記基板と前記記録層との間には、下地層が形成されており、
前記高熱伝導体が、前記記録層及び前記下地層を貫通して配設されていることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記高熱伝導体が、前記記録層を貫通し、
前記高熱伝導体において積層方向に直交する方向の断面積が、前記積層方向で前記基板に向かうにしたがって大きくなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記高熱伝導体の内側には、該高熱伝導体を囲む前記記録層と同一の前記記録ビット領域を構成する記録層が配設されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
前記高熱伝導体の外周面には、該外周面に沿って内側に向けて陥没する複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記記録層には、該記録層を複数の区画に区分する分断部が形成されており、
前記分断部には、前記記録層よりも熱伝導率が低い低熱伝導体が充填されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項8】
前記記録ビット領域及び前記高熱伝導体は、同心状に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項9】
前記高熱伝導体は、金属材料または誘電体材料で形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
【請求項10】
前記基板と前記記録層との間には、前記記録ビット領域を構成する磁性粒子の磁化方向を該基板の基板面に対して一定方向に配向するための配向層が形成され、
前記高熱伝導体が、前記配向層をさらに貫通して配設されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
【請求項11】
前記配向層は、前記下地層よりも前記記録層側に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−212496(P2012−212496A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4074(P2012−4074)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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