説明

磁気記録媒体

【目的】 摩擦特性および耐久性に優れた磁気記録媒体とする。
【構成】 磁性層である強磁性薄膜表面あるいはさらに磁性層上にプラズマ重合膜を成膜したときはプラズマ重合膜表面をプラズマ処理して、表面を活性化し、これに、末端に二重結合を有するフッ素系モノマーをグラフト重合させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性薄膜を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】強磁性薄膜を磁性層とする連続薄膜型の磁気記録媒体が種々実用化されている。
【0003】このうち、計算機等に用いられるハードタイプの磁気ディスクでは、剛性基板上に強磁性薄膜を設層している。ハードタイプの磁気ディスクに記録再生を行なう磁気ヘッドとしては、各種浮上型磁気ヘッドが用いられている。
【0004】このような場合には、コンタクト・スタート・ストップ(CSS)時に、磁気ディスクは磁気ヘッドにより損傷を受ける。また、記録密度を高めるためには、磁気ヘッドの浮上量をできるだけ小さくしようという要請が強いが、このときCSS時のディスクの損傷はより一層大きくなる。
【0005】このような耐久性を高めるためには、ディスク表面に各種固体潤滑剤を用いたトップコート膜を設ける必要がある。例えば、特開平2−161612号では、磁性層上に、Ar圧を調節して、2層のカーボンスパッタトップコート膜を設ける旨が提案されている。しかし、スパッタ時のAr圧を下げて、成膜しても、潤滑性が十分でない。
【0006】一方、磁気記録媒体用の固体トップコート膜としては、各種プラズマ重合膜が知られている。例えば、米国特許第348,883号明細書では、磁性層上に、炭化水素を用いたプラズマ重合膜上にフッ素を含む有機材料を用いたプラズマ重合膜を積層したトップコート膜を形成している。しかし、従来のプラズマ重合膜トップコートは、いずれもハードディスク用としては耐久性や摩擦特性の点で十分でない。
【0007】また、強磁性薄膜を磁性層とする磁気記録媒体の1つとして磁気テープがある。近年磁気テープはますます高密度化しており、中でもCoを主体としNi等を添加した強磁性金属薄膜を用いた磁気テープは、飽和磁束密度が大きくしかも保磁力が高いので、盛んに研究されている。
【0008】この型の磁気テープは種々の方法で製造されるが、特に優れた方法としては、非磁性基体上に斜め蒸着法により強磁性金属薄膜を単層膜として形成したり、2層以上積層して多層構造としたりすることが提案されている。
【0009】磁気テープの非磁性基体としては、通常、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムが用いられている。
【0010】このような樹脂フィルム上に蒸着により磁性層を形成すると、樹脂フィルムを通して水分や空気が侵入し、磁性層が腐食して記録・再生時の電磁変換特性等が劣化する。また、耐久性の点でも不十分である。
【0011】このようなことから、樹脂フィルムと磁性層との間に下地膜を、また磁性層上にトップコート膜を設ける旨の提案が種々なされている。この場合の下地膜には各種金属膜やプラズマ重合膜、またトップコート膜にはプラズマ重合膜が用いられている。しかし、このような下地膜やトップコート膜では、水や酸素等を遮断する効果は、ある程度、得られるものの、潤滑性が十分でない。
【0012】また、磁気記録媒体の潤滑保護膜に、両親媒性の物質を用いて形成した累積膜(LB膜)を用いる旨の提案もなされている。(特開平1−103681号等)。しかし、このものでは、両親媒性の物質をフッ素系化合物等とすることによって、ある程度の潤滑性は得られるものの、耐久性に乏しく、応力や摺動により剥離してしまう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、摩擦特性に優れ、かつ耐久性が高い磁気記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0015】(1)基体上に強磁性薄膜を有する磁気記録媒体において、強磁性薄膜表面をプラズマ処理して活性化し、この活性化した強磁性薄膜表面に、末端に二重結合を有するフッ素系モノマーをグラフト重合したことを特徴とする磁気記録媒体。
【0016】(2)前記プラズマ処理後における前記強磁性薄膜表面の活性点の数が1013〜1018個/cm3 である上記(1)に記載の磁気記録媒体。
【0017】(3)基体上に強磁性薄膜を有し、この強磁性薄膜上にプラズマ重合膜を有する磁気記録媒体において、プラズマ重合膜表面をプラズマ処理して活性化し、この活性化したプラズマ重合膜表面に、末端に二重結合を有するフッ素系モノマーをグラフト重合したことを特徴とする磁気記録媒体。
【0018】(4)前記プラズマ処理後における前記プラズマ重合膜表面の活性点の数が1013〜1018個/cm3 である上記(3)に記載の磁気記録媒体。
【0019】(5)前記グラフト重合用フッ素系モノマーは、分子量が100〜300である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0020】(6)前記プラズマ処理は、バイアス電圧を印加しながら行なうものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0021】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0022】本発明の磁気記録媒体では、磁性層である強磁性薄膜表面を、または強磁性薄膜上にプラズマ重合膜をトップコート膜として有するときはプラズマ重合膜表面を、プラズマ処理して活性化し、この活性化した表面に、末端に二重結合を有するフッ素系モノマーをグラフト重合している。
【0023】このときのフッ素系モノマーは、化1に示されるものであることが好ましい。
【0024】
【化1】


【0025】化1において、Rは、各々、フッ素またはペルフルオロカーボン基を表し、それぞれのRは、同一でも異なっていてもよく、特に一方のRはFであることが好ましい。
【0026】Rで表されるペルフルオロカーボン基としては、具体的に、以下のものが挙げられる。
1)F−(CF2n − (n=1、2、3)
2)F−(CF=CF)n − (n=1、2)
3)F−(CF2 −CF=CF)n − (n=1)
4)上記1)と上記2)とが適当な割合で混合した基[ただし、上記3)で表される基を除く。]
5)ペルフルオロポリエン系の基[ただし、上記2)、3)、4)で表される基を除く。]
【0027】なお、Rの分子量は18〜219とすることが好ましく、本発明におけるフッ素系モノマーは、分子量は100〜300であることが好ましい。
【0028】このようなフッ素系モノマーの具体例としては、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロプロペン、ペルフルオロブテン、ペルフルオロブタジエン、ペルフルオロイソブテン、ペルフルオロペンテン等が挙げられ、常温、常圧で気体または液体であるものが好ましい。
【0029】このようなフッ素系モノマーを用いることにより、グラフト重合を有効に行なうことができる。なかでも、常温、常圧で気体であるものが、取扱い上便利であり、分子運動が活発となるため重合度も高くなる。
【0030】特に、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロプロペン等の使用が好ましい。
【0031】本発明において、グラフト重合を行なうに際し、まず基体に磁性層として強磁性薄膜を有するもの、あるいはこの強磁性薄膜上にさらにプラズマ重合膜を設けたものを基材とし、磁性層表面あるいはプラズマ重合膜表面、すなわち基材表面にプラズマガスを作用させてプラズマ処理を行ない、基材表面を活性化する。すなわち、プラズマ処理によって基材表面にラジカルを発生させる。
【0032】このラジカルは、グラフト重合を行なう上での活性点となるもので、基材表面における活性点の数は、プラズマ処理後において1013〜1018個/cm3 、好ましくは1015〜1018個/cm3 とすればよい。
【0033】すなわち、この活性点は1個以上の不対電子をもつ分子または原子であるラジカルに由来するものであり、分子または原子内の不対電子数というべきものである。
【0034】従って、活性点の数は、電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの解析によって求めることができる。
【0035】活性点の数を、このような範囲とすることによって、本発明の効果を得るに十分なグラフト重合を行なうことができる。1013個/cm3 未満では活性点が不足して十分なグラフト重合を行なうことができず、また1018個/cm3 をこえると磁性層に与えるダメージが大きくなって磁気記録媒体としたときの出力が低下してしまう。
【0036】プラズマ処理は、発生したラジカルを逃すことがないような所定の容器を用いて行なえばよく、Ar、O2 、N2 、He、H2 等の無機ガスを処理ガスとして用いる。すなわち、系内を10-5Torrにまで排気した後、処理ガスにて置換し圧力を0.1Pa〜5Paとし、プラズマ出力を50〜500W 、プラズマ周波数DC〜13.56MHz で、プラズマを発生させる。また、このときに基材にバイアス電圧を印加するこにより、ラジカル発生の効率が良化し、さらに効果が増大する。プラズマ処理時間は5〜10分程度で行なう。
【0037】グラフト重合は、上記の処理後、一旦処理ガスを排気した後、モノマーを導入する。モノマーは純ガス、または特級以上のものを用いると不純物による活性点の失活がない。モノマーはガス状態であれば、圧力1〜100Pa程度にまで導入し、所定時間重合を行なう。
【0038】一方、液状のモノマーであれば、減圧下モノマーをベーキングシステム(液体供給装置)より導入するか、ディップによるか、または注入口より液体をシリンダーより供給するかすればよい。
【0039】なお、このようなグラフト重合体の生成は、X線光電子分光法(ESCA)、接触角変化により確認することができる。
【0040】本発明におけるプラズマ処理およびグラフト重合の処理方式は、反応系に基材全体を設置して処理するバッチ式としても、基材を反応系に順次通過させて処理する連続方式としてもよい。連続方式は、磁気テープ等の長尺なものを対象するときに適用される。
【0041】本発明では、このようにして磁性層あるいはプラズマ重合膜上にグラフト重合体を形成することにより、フッ素系化合物に由来する潤滑性が磁気記録媒体表面に付与される。すなわち、潤滑保護膜としての役割を果たす。すなわち、摩擦力は、接触部におけるせん断応力と真実接触面積とに比例して大きくなるが、本発明では、せん断応力を小さくすることにより摩擦力を減少しようとするものである。
【0042】また、グラフト重合を行なっているので、潤滑保護膜としての耐久性も十分である。
【0043】さらに、潤滑性のみならず、磁性層の表面を被覆することになるので、磁性層上における化学反応も防止することができ、磁気記録媒体の劣化を防止することができる。
【0044】本発明の磁気記録媒体の好適例の1つとして、ハードタイプの磁気ディスクがあり、まず、これについて説明する。
【0045】<基体>本発明の磁気ディスクで用いる基体は、非磁性の剛性材質であれば特に制限はなく、強磁性薄膜蒸着時の熱に耐える各種樹脂、金属、セラミックス等はいずれも使用可能である。この場合、剛性基板としては、特に樹脂製の剛性基板であることが好ましい。樹脂製の基板では耐久性が低下するので、本発明の効果は増大する。なお、基板が剛性であるとは、いわゆるフロッピーディスク用のフレキシブルな基板を排除する意である。このため、基板のヤング率をE、厚さをtとしたとき、E・t3 ≧1×107 dyncm、より好ましくはE・t3 ≧3×107 dyncmであることが好ましい。
【0046】用いる樹脂には特に制限がなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等何れの樹脂を使用してもよい。
【0047】この場合、基板をキャスティング法で成型する場合は、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、シリコーン樹脂、ポリエステルおよびこれらの変性体等が使用できる。
【0048】インジェクション法で成型する場合は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、、ポリアセタール、ポリエステル、ポリサルホン、ポリオキシベンジレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリケトンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルイミド、ポリエーテルイミド、ポリオレフィン、アモルファスポリオレフィンおよびこれらの変性体等が使用できる。
【0049】樹脂基板の寸法は目的に応じて選定すればよいが、通常、厚さ0.8〜1.9mm程度、直径60〜130mm程度である。
【0050】なお、剛性の基板としては、前記のとおり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属、ガラス、セラミックス等も使用可能である。また、基板上には、下地層が設けられていてもよい。下地層の材質には特に制限がなく、各種の無機材料、有機材料、金属ないし合金等を用いればよく、成膜方法や膜厚等も目的や用途等に応じて適宜選択すればよい。このような下地層のうち、金属下地層には例えばNi−Pメッキ下地層、Crスパッタ下地層等がある。
【0051】<磁性層>必要に応じて下地層を設けた基板上には、直接あるいは中間層を介して磁性層が形成される。
【0052】本発明の磁性層は、強磁性薄膜である。薄膜の材質には特に制限がなく、例えば、Fe、CoおよびNiから選ばれる1種以上を含有する強磁性金属の連続薄膜、特にCo系の連続薄膜で構成すればよい。
【0053】磁性層の組成の具体例としては、Co−Ni合金、Co−Ni−Cr合金、Co−Cr合金、Co−Cr−B合金、Co−Cr−Mn合金、Co−Cr−Mn−B合金、Co−Cr−Ta合金、Co−Cr−Si−Al合金、Co−V合金、Co−Ni−P合金、Co−P合金、Co−Zn−P合金、Co−Ni−Pt合金、Co−Pt合金、Co−Pt−Cr合金、Co−Ni−Mn−Re−P合金等が挙げられる。なお、これら合金には、必要に応じ、O、N、Si、Al、Mn、Ar等の元素が0.1重量%程度以下含有されていてもよい。この他、γ−Fe23 等の強磁性の酸化物薄膜であってもよい。磁性層の膜厚は、300〜1000A が好ましい。300A 未満では、記録再生時における出力が不十分であり、1000A をこえると出力は十分であるが、記録密度が低下するため、不利である。
【0054】下地層と、磁性層との間には、必要に応じて、非磁性中間層が設けられる。例えば、磁性層をCo−Ni、Co−Ni−Cr、Co−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Ni−P、Co−Zn−P、Co−Ni−Mn−Re−P等にて構成する場合、非磁性中間層を設けることにより、磁性層のエピタキシャル成長を良好に行なうことができ、磁気特性が向上する。非磁性中間層は、例えば、CrおよびWから選ばれる1種以上、特にCrおよび/またはWを含有する連続薄膜にて構成すればよい。この場合、用いる金属は単体でも合金でもよいが、合金の場合、前記金属を80重量%以上含有することが好ましい。
【0055】非磁性中間層の膜厚は、500〜5000A が好ましい。500A 未満では、コバルト合金のエピタキシャル成長が十分に行なわれないため良好な磁気特性が得られない。5000A をこえると、磁気特性が、ほぼ一定値に収束してくるため、磁気特性上意味がなく、量産上不利である。
【0056】このような非磁性中間層や前記磁性層は、それぞれ、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の各種気相成膜法にて成膜すればよく、特にスパッタリングにて成膜することが好ましい。
【0057】<トップコート膜>このような磁性層上には、トップコート膜を設けてもよく、トップコート膜は、プラズマ重合膜とすればよい。
【0058】プラズマ重合膜としては、炭素および水素を含むプラズマ重合膜が好ましい。このようなプラズマ重合膜を形成する原料ソースとしては、炭素および水素を含有する種々のものを用いることができるが、通常操作性の良いことから、常温で気体のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、アセチレン、メチルアセチレン、その他の飽和ないし不飽和の炭化水素の1種以上を、CおよびH源として用いる。また必要に応じて常温で液体の炭化水素を原料としてもよい。
【0059】このような原料を用いて形成されるプラズマ重合膜の膜厚は、50〜400A、より好ましくは100〜300A とすることが好ましい。膜厚が400A をこえると、スペーシングロスが増大し、また、この50A 未満となると耐久性が低下する。なお、膜厚の測定はエリプソメーター等を用いればよい。このような膜厚の制御は、プラズマ重合膜形成時の反応時間、原料ガス流量等を制御すればよい。
【0060】膜中のCの含有量は30at%以上、特に60〜90at%とするのが好ましい。また、膜中のHの含有量は40at%以下、特に10〜40at%とすることが好ましい。このような組成とすることにより、耐久性が向上する。これらの含有量は、オージェ分光分析(AES)、SIMSおよびCHNコーダーにて求めればよい。
【0061】プラズマ重合膜は公知の方法に従い、前述の原料ガスの放電プラズマを基体に接触させることにより重合膜を形成するものである。電極配置、印加電流、処理時間、動作圧力等は通常の条件とすればよい。
【0062】また処理条件はW/(F・M)[ここで、Wはプラズマ投入電力(Joule/sec)であり、Fは有機原料ガス流量、Mは原料ガス分子量でF・Mの単位はkg/sec]値が108Joule/kg 以上、特に5×108 〜1×1010Joule/kgで行なわれることが好ましい。この値が108Joule/kg 未満であると、プラズマ重合膜の緻密さが不十分となる。なお、キャリアガスとして、Ar、N2 、He、H2 などを使用してもよい。プラズマ発生源としては、高周波放電の他に、マイクロ波放電、直流放電、交流放電等いずれでも利用できる。
【0063】また、各種シランないしシロキサンなどの有機ケイ素化合物を原料ソースとして用いてプラズマ重合膜を形成してもよい。
【0064】<潤滑保護膜>磁性層表面あるいはプラズマ重合膜をトップコート膜として設けるときにはトップコート膜表面に前記のようにグラフト重合体を形成し、潤滑保護膜として用いる。これにより、十分な潤滑性が付与される。
【0065】なお、従来、潤滑性を増すために、トップコート膜上に液体潤滑層を設層することが行なわれていたが、本発明の潤滑保護膜を用いることによって液体潤滑層をさらに設層する必要はなくなる。
【0066】<媒体構造>本発明の磁気記録媒体においては基板には、溝を形成することが好ましい。溝の形状、パターン、寸法等には特に制限がないが、溝をディスクの周方向に形成することが好ましい。溝は、基板を回転させながら研磨テープ等を作用させ、基板表面に、同心円状等に不規則に形成したいわゆるテクスチャー加工による溝であっても、基板表面に成形時に同心円状、渦巻状等に規則的に形成した溝であっても、あるいは、両者であってもよい。規則的な溝は、トラッキング用のグルーブとして使用することができ、記録密度が向上する。
【0067】このような場合の溝の寸法や溝配置間隔は、溝の幅が0.1〜10μm 、特に0.5〜2μm 程度、溝間間隙が0.1〜10μm 、特に0.5〜2μm 程度、溝の深さが100〜5000A 、特に500〜1000A 程度が好ましい。
【0068】なお、グルーブには情報が記録されないため、グルーブは磁気ヘッドの位置に関係なくガードバンドとなる。このため、基板に、グルーブを設ければ、トラッキングサーボの精度が比較的低くて済み、サーボ信号に使用される記録面の面積を少なくできる。また、隣接トラックからのクロストークが著しく減少する。
【0069】また、連続薄膜型の磁性層の場合、ディスク周方向に、前記寸法の溝を特に規則的に形成するときには、磁性層のクラック発生がより一層防止され、ディスク周方向の配向性が向上し、ディスク周方向の保磁力が向上する。
【0070】また、以上では、主に片面記録型磁気ディスクを説明してきたが、本発明は、両面記録型の磁気ディスクであってもよい。
【0071】<記録再生>このような磁気ディスク媒体と組合わせて用いられる磁気ヘッドは、浮上型磁気ヘッドである。浮上型磁気ヘッドとしては、メタル・イン・ギャップ(MIG)型の磁気ヘッドまたは薄膜型の磁気ヘッドが好適である。
【0072】MIG型磁気ヘッドは、一対のコアの少なくとも一方のギャップ部対向面に、これらのコアよりも飽和磁束密度の高い軟磁性薄膜を有する磁気ヘッドである。MIG型磁気ヘッドでは、軟磁性薄膜から強力な磁束を磁性層に印加できるため、高い保磁力を有する磁性層に有効な記録を行なうことができる。また、本発明では、MIG型の磁気ヘッドの1種であるいわゆるエンハンスト・デュアルギャップ・レングス(EDG)型の磁気ヘッドを用いてもよい。
【0073】MIG型ヘッドは、スライダ本体とコアが一体となっているモノリシックヘッドであっても、非極性のスライダ本体の一部にフェライトコアを埋め込んだコンポジットヘッドであってもよい。モノリシックヘッドにあっては、エアベアリング面はコア材質であるMn−Znフェライト等のフェライトから構成される。また、コンポジットヘッドのスライダは、一般にCaTiO3 等から構成される。
【0074】さらに、薄膜ヘッドのスライダ本体は、一般にAl23 ・TiC等から形成される。
【0075】このような浮上型ヘッドの浮上量は、スライダの形状変更、ジンバル、サスペンション等の荷重変更、磁気ディスクの回転数の変更などにより種々の値に設定することができる。本発明では通常、デジタル信号を記録するので、飽和記録を行なう。また、飽和記録を行なうので、オーバーライト記録が可能である。
【0076】また、本発明の磁気記録媒体の他の好適例としては、磁気テープがあり、次に、これについて説明する。
【0077】<非磁性基体>本発明の磁気テープで用いる非磁性基体の材質に特に制限はなく、強磁性金属薄膜蒸着時の熱に耐える各種フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。また特開昭63−10315号公報に記載の各材料が使用可能である。
【0078】<下地膜>下地膜はプラズマ重合膜または酸化物蒸着膜から形成されることが好ましい。プラズマ重合膜は、炭素、あるいは炭素および水素を含むものが好ましい。このようなプラズマ重合膜を形成する原料ソースとしては、炭素または炭素および水素を含有する種々のものを用いることができるが、通常操作性の良いことから、常温で気体のメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、アセチレン、メチルアセチレン、その他の飽和ないし不飽和の炭化水素の1種以上を、CおよびH源として用いる。また必要に応じて常温で液体の炭化水素を原料としてもよい。さらに、各種シランないしシロキサンなど有機系化合物を用いて、炭素と、ケイ素と、水素や酸素を含むプラズマ重合膜としてもよい。
【0079】このような原料を用いて形成されるプラズマ重合膜の膜厚は、50〜1000A 、より好ましくは500〜800A 程度とする。膜厚が厚すぎると量産上不利であり、またこの50A 未満となると下地膜としての実効が低下する。なお、膜厚の測定はエリプソメーター等を用いればよい。このような膜厚の制御は、プラズマ重合膜形成時の反応時間、原料ガス流量等を制限すればよい。
【0080】膜中のCの含有量は30〜100at%とするのが好ましい。また、膜中のHの含有量は40at%以下とすることが好ましい。さらにSi含有量は、70at%以下とすることが好ましい。
【0081】なお、プラズマ重合膜は、前記と同様にして形成すればよい。
【0082】このようなプラズマ重合膜は、基体上、特にプラズマ処理された基体上に形成されることが好ましい。基体表面をプラズマ処理することによって、基体との接着力が向上し、ひいてはこの基体とプラズマ重合膜との接着力が向上する。基体表面のプラズマ処理は、原則として、無機ガスを処理ガスとして用いる点を除いて、プラズマ重合膜を形成するときと同様に行なえばよい。
【0083】このように、より好ましい態様としてプラズマ処理された基体上には、前述のプラズマ重合膜が形成され、さらにこのプラズマ重合膜上には直接あるいは下地膜を介して磁性層が形成される。
【0084】本発明の磁気記録媒体で用いる下地膜の他の例は酸化物の連続薄膜である。
【0085】酸化物の連続薄膜の組成には、特に制限はなく、公知のいずれのものも使用できるが、磁性層のクラック防止能や耐久性がより一層向上する点で、SiOx (1≦x≦2)、ZrO2 、Al23 、TiO2 、Ta25 、Si−Al−O−N系化合物、La−Si−O−N系化合物等が好適である。
【0086】酸化物の膜厚は50〜1000A 、特に500〜800A程度が好ましい。50A 未満では磁性層のクラックを防止できず、1000A をこえると基体の損傷をもたらすことがあり量産上も不利である。
【0087】酸化物蒸着膜は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の各種気相成膜法にて成膜すればよいが、特に蒸着にて成膜することが好ましい。
【0088】<磁性層>Coを主成分とし、斜め蒸着法により形成される1層または2層以上の強磁性金属薄膜から構成されることが好ましい。
【0089】斜め蒸着法は、例えば、供給ロールから繰り出された長尺フィルム状の非磁性基体を回転する冷却ドラムの表面に添わせて送りながら、一個以上の定置金属源から斜め蒸着をし、巻き取りロールに巻き取るものである。
【0090】この際、成膜時の強磁性金属成分の入射角と基体法線との角度をθとしたとき、θは変化し、初期のθmax から、最終のθmin の範囲で蒸着が行なわれる。そして、強磁性薄膜蒸着時のθmax は80〜90度であることが好ましく、θminは10〜60度であることが好ましい。
【0091】磁性層を構成する各強磁性金属薄膜は、Niを含有するCo−Ni合金であることが好ましく、特にモル比でCoを約80%、Niを約20%含有する合金が好適である。
【0092】また、必要に応じてCrを10%以下含有していてもよく、特開昭63−10315号公報等に記載されている各種金属やその他の金属成分を含有していてもよい。
【0093】さらに、必要に応じて少量の酸素を各層の表面層に含有させたり、この他非磁性層を介在させたりして、耐食性等を向上させることができる。
【0094】磁性層全体の厚さは、1200〜3000A 程度であることが好ましい。このとき出力を十分に大きくすることができる。
【0095】蒸着金属粒子の入射角は蒸着初期のθmax から最終のθmin まで連続的に変化し、非磁性基体表面にCoを主成分とする強磁性金属の柱状結晶粒子を弧状一方向に成長させ、整列させるものである。磁性層を多層構成とする場合は、この工程を繰り返し行なう。
【0096】<トップコート膜>このような磁性層上には、必要に応じトップコート膜が設けられる。トップコート膜はプラズマ重合膜であることが好ましく、その成膜法、膜材質等は下地層の場合に準ずればよい。
【0097】このようなトップコート膜の膜厚は10〜50A 、特に20〜30A とするのが好ましい。膜厚が50A をこえるとスペーシングスロスが増大する。10A 未満ではトップコート膜としての実効が少なくなる。膜厚の測定法、制御方法は前述の方法に準拠すればよい。
【0098】<潤滑保護膜>磁性層表面あるいはプラズマ重合膜をトップコート膜として設けるときにはトップコート膜表面に前記のようにグラフト重合体を形成、潤滑保護膜として用いる。これにより十分な潤滑性が付与される。
【0099】なお、磁気テープでは、スペーシングロスの点でトップコート膜を設けないほうが有利なことが多い。このようなとき、磁性層上に直接グラフト重合体を形成する方法を採用することは、磁性層を保護する上でも好ましい。
【0100】磁気テープでは、このほか、バックコート層や中間層など種々の構成層を付加することもできる。
【0101】本発明の磁気記録媒体は、上記例に限らず、強磁性薄膜を磁性層とし、トップコート膜を設けるときにはプラズマ重合膜とするような構成のものであれば、いずれであってもよい。
【0102】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0103】実施例1外径φ3.5インチ、厚さ1.27mmのポリカーボネート製のディスク状剛性基板を射出成形により製造した。この基板表面にはグルーブを形成した。
【0104】グルーブは、ディスクの周方向に形成し、断面はほぼ矩形とし、その寸法は幅0.8μm 、ランド部幅0.8μm 、深さ400〜700A とした。この基板上に、CH4 を原料ガスとして用いて、膜厚200A のプラズマ重合膜の下地層を形成した。この下地層上に膜厚500A のCo−Ni−Cr磁性層を成膜した。磁性層の成膜は、DC−マグネトロンスパッタにて行った。スパッタ条件は動作圧力を1Paとし、Ar雰囲気中で行なった。なお、ターゲットは、Co70Ni20Cr10を用いた。これを磁気ディスクサンプルNo. 1とする。
【0105】磁気ディスクサンプルNo. 1において、特開平2−161612号公報に記載の方法に準じて、カーボンスパッタ膜を磁性層上に形成するほかは、同様にして磁気ディスクサンプルNo. 2を作製した。
【0106】また、磁気ディスクサンプルNo. 1において、特開昭1−103681号実施例に記載のサンプルNo. 1に準じて、C49 (CH216COOHのLB膜(累積数:3)を磁性層上に形成するほかは、同様にして磁気ディスクサンプルNo.3を作製した。
【0107】また、磁気ディスクサンプルNo. 1において、CH4 を原料ガスとして下記の条件でプラズマ重合膜を磁性層上に形成するほかは、同様にして磁気ディスクサンプルNo. 4を作製した。
【0108】プラズマ重合条件W/(FM) : 1.05×109 Joule/kgCH4 の流量: 40 SCCM動作圧力: 0.1 Torrプラズマ出力: 500 Wプラズマ周波数: 13.56 MHz
【0109】このときのプラズマ重合膜の膜厚は200A とした。
【0110】さらに、磁気ディスクサンプルNo. 1において、磁性層表面に、表1に示すように、プラズマ処理を行ない、磁性層表面を活性化し、フッ素系モノマーをグラフト重合するほかは、同様にして磁気ディスクサンプルNo. 5〜No. 9を作製した。
【0111】また、磁気ディスクサンプルNo. 4において、プラズマ重合膜表面に、表1に示すように、プラズマ処理を行ない、プラズマ重合膜表面を活性化し、フッ素系モノマーをグラフト重合するほかは、同様にして磁気ディスクサンプルNo. 10〜No. 12を作製した。なお、磁気ディスクサンプルNo. 6、No. 11では、プラズマ処理の際に、バイアス電圧を印加したものである。また、プラズマ処理時間は、5〜10分程度の範囲内の時間とし、適宜選択して行なった。
【0112】このような磁気ディスクサンプルNo. 1〜No. 12について、Mn−ZnフェライトモノリシックMIGヘッドを用いて以下の評価を行なった。
【0113】(1)摩擦係数μ5mm/secの速度でディスクを回転し、ひずみ計でヘッドにかかる応力を測定し、これからμを算出した。荷重は10g とした。
【0114】(2)摩擦係数μ’100rpm (50cm/secの相対速度)でディスクを回転し、ヘッドにかかる応力を測定し、これからμ’を算出した。荷重は10g とした。
【0115】(3)Δμ’(%)
時間0のときの摩擦係数μ’を基準とし、30分摺動後の摩擦係数の変化率Δμ’(%)を求めた。
【0116】(4)CSS特性プラス社製3.5”磁気ディスクドライブを用い、CSSの1パスを、静止時間10秒→立ち上がり時間5秒→定常回転の時間10秒→立ち下がり時間30秒と定義し、定常状態のディスクの回転数を3600rpm とし、ディスク中心から22mmの位置で、ディスクの摩擦係数が1.0以上になったとき、または、磁性層に傷が発生したときのパス回数を求めた。
【0117】結果を表1に示す。なお、表1にはESRスペクトルより求めた活性点の数等も併記している。
【0118】
【表1】


【0119】表1から、本発明の効果は明らかである。活性点の数が少なくなると、グラフト重合体の生成量が十分でないためか本発明の効果は小さくなる(サンプルNo.9、No. 12)。
【0120】なお、サンプルNo. 5およびNo. 10において、それぞれ、RFを大きくするなどして、活性点の数を1018個/cm3 をこえるものとするほかは、同様にしてサンプルNo. 13およびNo. 14を作製した。これらのものについて、前記と同様に特性を評価したところ、潤滑性や耐久性の点では十分なものの、高エネルギーのプラズマを照射するため磁性層に与えるダメージが大となり出力が低下してしまうことがわかった。
【0121】実施例2供給ロールから厚さ7μm のポリエチレンテレフタレートフィルムを繰り出して、回転する円筒状冷却ドラムの周囲に添わせて移動させ、、10-4Paの真空に引いた後、CH4 を原料ガスとして下記の条件にてプラズマ重合を行ない、下地膜として、プラズマ重合膜を形成した。
【0122】プラズマ重合条件W/(FM) : 1.05×109 Joule/kgCH4 の流量: 40 SCCM動作圧力: 0.1 Torrプラズマ出力: 500 Wプラズマ周波数: 13.56 MHz
【0123】得られた下地膜の膜厚は600A であった。なお、プラズマ重合膜はエリプソメータにて測定した。
【0124】この下地膜を成膜したポリエチレンテレフタレートフィルムを、10-4PaのAr雰囲気で、供給ロールから繰り出して、回転する円筒状冷却ドラムの周囲に添わせて移動させ20at%Ni−Co合金を斜め蒸着して強磁性金属薄膜を形成し、巻き取りロールに巻き取った。
【0125】次いで、この巻き取りロールを供給ロールとし、PETフィルム表面の法線方向を挟んで上記斜め蒸着時の入射方向と交差する入射方向にて強磁性金属を斜め蒸着して、2層構成の磁性層を有する磁気テープサンプルNo.21を得た。
【0126】また、実施例1に準じてLB膜を磁性層上に形成した磁気テープサンプルNo.22を作製した。
【0127】また、下地膜と同条件で膜厚を25A をするほかは同様にしてプラズマ重合膜を磁性層上に形成して磁気テープサンプルNo. 23を作製した。
【0128】さらに、磁気テープサンプルNo. 21において、磁性層表面に、表2に示すように、プラズマ処理を行なってフッ素系モノマーをグラフト重合するほかは、同様にして磁気テープサンプルNo. 24〜No. 28を作製した。
【0129】また、磁気テープサンプルNo. 23において、プラズマ重合膜表面に、表2に示すように、プラズマ処理を行なってフッ素系モノマーをグラフト重合するほかは、同様にして磁気テープサンプルNo. 29〜No. 31を作製した。なお、磁気テープサンプルNo. 25、No. 30では、プラズマ処理の際に、バイアス電圧を印加したものである。また、プラズマ処理時間は、5〜10分程度の範囲内の時間とし、適宜選択して行なった。
【0130】このような磁気テープサンプルNo. 21〜No. 31について、8mmビデオデッキ(ソニー社製S900)に装填し、下記の評価を行なった。
【0131】(1)動摩擦係数μ初期の動摩擦係数と40℃、80%RHにて1週間保存後の動摩擦係数を測定した。
【0132】(2)動摩擦係数増加率Δμ(%)
100パス後の動摩擦係数μを想定し、初期のμに対する増加率Δμ(%)を求めた。
【0133】(3)摺動テスト#1000の研磨テープを貼りつけたドラムにテープを180度ひっかけていったんを固定し、他端に100g の重りをのせ、ドラムを回転して磁性層がなくなるまでの時間を測定した。
【0134】結果を表2に示す。表2には、ESRスペクトルより求めた活性点の数等も併記している。
【0135】
【表2】


【0136】表1から、本発明の効果は明らかである。活性点の数が少なくなると、グラフト重合体の生成量が十分でないためか本発明の効果は小さくなる(サンプルNo.28、No. 31)。
【0137】なお、サンプルNo. 24およびNo. 29において、それぞれ、RFを大きくするなどして、活性点の数を1018個/cm3 をこえるものとするほかは、同様にして、サンプルNo.32およびNo. 33を作製した。これらのものについて、前記と同様に特性を評価したところ、潤滑性や耐久性の点では十分なものの、高エネルギーのプラズマを照射するため磁性層に与えるダメージが大となり出力が低下してしまうことがわかった。
【0138】
【発明の効果】本発明によれば、摩擦特性および耐久性に優れたものとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基体上に強磁性薄膜を有する磁気記録媒体において、強磁性薄膜表面をプラズマ処理して活性化し、この活性化した強磁性薄膜表面に、末端に二重結合を有するフッ素系モノマーをグラフト重合したことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】 前記プラズマ処理後における前記強磁性薄膜表面の活性点の数が1013〜1018個/cm3 である請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】 基体上に強磁性薄膜を有し、この強磁性薄膜上にプラズマ重合膜を有する磁気記録媒体において、プラズマ重合膜表面をプラズマ処理して活性化し、この活性化したプラズマ重合膜表面に、末端に二重結合を有するフッ素系モノマーをグラフト重合したことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】 前記プラズマ処理後における前記プラズマ重合膜表面の活性点の数が1013〜1018個/cm3 である請求項3に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】 前記グラフト重合用フッ素系モノマーは、分子量が100〜300である請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【請求項6】 前記プラズマ処理は、バイアス電圧を印加しながら行なうものである請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気記録媒体。

【公開番号】特開平5−89451
【公開日】平成5年(1993)4月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−273238
【出願日】平成3年(1991)9月25日
【出願人】(000003067)テイーデイーケイ株式会社 (7,238)