説明

磁気転写シート及び磁気記録媒体

【課題】偽造防止効果が高く、且つ装飾性も併せ持つと共に、静電気のスパークを防止することができる磁気記録媒体と、その製造に使用する磁気転写シートを提供すること。
【解決手段】支持体1上に、転写層2として、剥離保護層21、回折格子形成層221、導電性材料からなる光反射層222、磁気記録層23及び接着層24を設けて磁気転写シートとする。この磁気転写シートを使用して被転写基材に転写して、磁気記録媒体を製造できる。光反射層222は、周囲を電気絶縁性材料で包囲された独立パターン状に設けられており、このため、静電気によるスパークを防止して、このスパークによる各種事故を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気転写シートに関する。本発明の磁気転写シートを使用してプラスチックや紙からなるカードやチケット等に転写する事により磁気カードや磁気券等の磁気記録媒体を製造する事ができる。この磁気記録媒体には磁気情報を記録する事ができ、例えば、クレジットカードや有価証券、証明書、入場券などに利用する事ができる。
本発明は、磁気記録媒体の製造と同時に、偽造や改竄が困難でその磁気記録媒体の真贋を目視にて確認する事ができる機能を付与した磁気転写シートに関するものである。また、本発明は、この磁気転写シートを使用して製造された磁気記録媒体にも関連する。
【0002】
秘密情報を磁気的に記録する磁気記録媒体としては、例えば、クレジットカードやキャッシュカード等が広く知られている。これらクレジットカードやキャッシュカード等にはそのカードが真正のカードである事を目視にて判別出来るようにするためにホログラム等が貼付されている。ホログラムは光学的変化を持つ媒体であるOVDの一つで、観察する角度によって色彩や画像パターンが変化する特徴を持つ事から美麗で装飾性が高く、また、その製造が複雑で特殊な設備が必要である事から偽造防止効果にも優れている。
【0003】
このようなホログラム付き磁気カードは、カード基材上に磁気部を設けて磁気カードとしたものに、カード上の磁気部とは別の部位に、ホログラムを有する転写シートのホログラムを転写して作製される。すなわち、転写シートの支持体上に、剥離保護層、ホログラム層、接着層をこの順に積層してなる転写シートを使用して製造される。また、磁気記録層を備えていないカードに、ホログラムを有する磁気転写シートを使用して、ホログラムと磁気部とが一体となったホログラム付き磁気記録媒体としたものもある。これは支持体上に、剥離保護層、ホログラム層、磁気記録層及び接着層をこの順に積層してホログラムと磁気テープを一体化した転写シートを用いて磁気記録媒体としたものである(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−167920号公報。
【0004】
しかしながら、例えば乾燥した冬場にあっては、摩擦によって磁気カードに静電気が蓄積され、この電気が前記金属反射層を通じてスパークを生じる事があった。そして、このスパークによって、磁気記録層に記録された情報が破壊されたり、或いは、磁気データの読み取りや書き換えを行うリーダライタが故障したりするという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、このような問題点を解決する事ができる磁気転写シートと、この磁気転写シートを使用して製造した磁気記録媒体を提供する事である。すなわち、本発明が目的とする磁気記録媒体は、従来の磁気記録媒体より偽造防止効果が高く、且つ、装飾性も併せ持つと共に、静電気のスパークを防止する事ができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、支持体の片面に、観察する角度に応じて異なる色彩や画像が観察されるOVD層と磁気記録層とを転写層に有しており、この転写層を被転写基材に転写すると共に支持体を剥離除去する事によって磁気記録媒体を製造する磁気転写シートであり、この磁気転写シートは、OVD形成層と光反射層からなるOVD層と磁気記録層とを有し、且つ、光反射層が画像パターン状に設けられており、この画像パターンが各々独立した状態で設けられ、且つ、電気絶縁材料に包囲されている事を特徴とし、支持体側か
ら見て、剥離保護層、OVD形成層、光反射層、磁気記録層、接着層の順に積層されている事も特徴とする磁気転写シートである。
【0007】
次に、請求項2に記載の発明は、前記光反射層が金属薄膜から構成されており、光反射層と磁気記録層の間であって、光反射層に重ねて、耐薬品保護層を備える事を特徴とする請求項1に記載の磁気転写シートである。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、磁気記録層とOVD形成層との間であって前記光反射層の存在しない部位を覆う領域に、光の透過を遮断する隠蔽層を備えている事を特徴とする請求項1又は2に記載の磁気転写シートである。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、転写後に観察可能な位置に印刷層を備える事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気転写シートである。
【0010】
次に、請求項5に記載の発明は、紙やプラスチック等の基材上に、請求項1〜4のいずれかの磁気転写シートを使用してOVD付きの磁気記録媒体としたもので、偽造防止効果を高めつつ意匠性も高い事を特徴とする磁気記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、光反射層が転写シートの全体にではなく部分的に画像パターン状に設けられているため、転写して得られる磁気記録媒体の光反射層も画像パターン状となる。また、この画像パターン状に形成された光反射層のある部分だけが光を反射する事ができるため、例えば、OVD形成層が回折格子の場合には、光反射層にて反射された光とOVD形成層での反射光とがそれぞれ干渉する事により回折光となり、OVDとして角度に応じて異なる色彩を画像パターン状に観察する事ができる。
【0012】
このような画像パターン状に光反射層を形成する技術は、OVDを形成する技術とは異なる技術であるため、これら両方の技術を併用した磁気記録媒体は、その改竄や偽造が極めて困難である。また、この光反射層は導電性材料から構成されているにも拘わらず、周囲を電気絶縁性材料に包囲された独立パターン状に設けられているため、磁気記録媒体に蓄積された静電気によるスパークを防止することができる。よって、スパークによる各種事故を著しく低減することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記光反射層が金属薄膜で構成されている事からその反射光の強度が大きく、結果、明るい回折光や干渉光等を観察する事が可能となり、その真贋も容易に判別する事が可能となる。更に、光反射層に重ねて耐薬品保護層を備えている事から、この金属薄膜の腐食を防止して耐久性を向上させる事が可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、磁気記録層とOVD形成層との間であって前記光反射層の存在しない部位を覆う領域に光の透過を遮断する隠蔽層を備えている事により、磁気記録層の黒や茶色の部分を隠蔽してその装飾性を向上させる事ができる。尚、この隠蔽層として多色の印刷インキ皮膜を適用すれば、更にその意匠性を向上させる事が可能である。また、この多色の印刷インキ皮膜と画像パターン状光反射層との位置合わせとを精度良く偽造する事は非常に困難なため、磁気記録媒体の偽造も一層困難となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、転写後に観察が可能な位置に印刷層を備えている事から、光反射層の有無の部分にかかわらず、転写後の意匠性を向上させる事が可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、改竄・偽造が極めて困難で、且つ、蓄積された静電気によるスパークに起因する各種事故を著しく低減する事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る磁気転写シートは、転写シートの支持体と転写層から構成される。転写層は磁気記録層を含み、被転写基材に転写されて磁気記録媒体の一部を構成する。また、支持体は転写時まで転写層を保持し、転写の後に剥離除去されるものである。
【0018】
転写層は、磁気記録層の他にOVD層を有している。このOVD層は反射光を波長分散させる性能を有しており、観察する角度に応じて異なる色彩や画像パターンを見る事ができる。このOVD層は、転写層を転写して磁気記録媒体を製造した際に、目視で観察できる位置に配置されている事が必要である。一般に、磁気記録層は黒色や茶色に着色した不透明な層であるから、磁気記録媒体上でOVD層は磁気記録層の上に配置される必要がある。これは、転写シート上では磁気記録層より支持体側に近い位置である。
【0019】
観察する角度に応じて異なる色彩や画像パターンを見る事ができるOVDには種々のものが知られているが、本発明のOVDにおいては、OVD形成層と光反射層とで構成される。本発明に用いられるOVDとしては、磁気記録媒体上で、室内光もしくは太陽光等の外光は光反射層で反射され、この反射光がOVD形成層で回折される事により、見る角度によって異なった色彩や画像が見えるホログラムや、OVD層を屈折率の異なる材料を交互に積層した多層薄膜で構成し、外光の一部をその薄膜各層で反射し、残りの入射光を光反射層で反射させる事によって波長分散が生じ、見る角度に応じて異なる色彩が観察される多層薄膜等がある。尚、磁気記録媒体上では、基材側から光反射層、OVD形成層の順に積層されている必要がある。また、転写シート上においては、支持体側からOVD形成層、光反射層の順である。
【0020】
そして、光反射層は導電性材料から構成されており、しかも、周囲を電気絶縁性材料に各々包囲されるよう独立したパターン状に設けられている必要がある。このため、前記回折光や特定波長の反射光は、この独立した画像パターン状に発生する。また、この光反射層を通じて静電気がスパークする事がない。尚、この光反射層の上下の層を電気絶縁性材料で構成すれば、独立パターン状の光反射層の周囲をこれら電気絶縁性材料で包囲する事が可能である。この場合、光反射層の周囲では、これら光反射層の上下の層は直接接している状態となる。
【0021】
本発明の転写シートは、その転写層中にOVD形成層や光反射層、磁気記録層の他に、別の層を有しても良い。例えば、転写後の支持体の剥離を容易にしつつ、転写後には携帯時の擦れなどの外部損傷や生活物質などによる化学的な損傷等からOVD層や磁気記録層を保護するための剥離保護層や、被転写基材に転写シートを接着するための接着層等が挙げられる。
【0022】
また、転写シートは、光反射層が金属薄膜で構成されている場合、光反射層を酸やアルカリから保護するためにこの光反射層に重ねて耐薬品保護層を設け、その耐久性を向上させる事もできる。
【0023】
また、磁気記録媒体の意匠性を向上させる目的で、印刷層を設ける事も可能である。この印刷層は、転写後に観察可能な位置にあれば良いが、例えば、転写後にOVD層より上に位置する部位である。すなわち、転写シート上では、OVD層より支持体に近い側に位置する。
【0024】
(磁気転写シートの構造)
次に、本発明に係る転写シートの構造について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1Aは、本発明に係る転写シートの第1の例を示す断面図である。この転写シートは、支持体1と、この支持体1の片面に積層された転写層2とで構成されている。
【0026】
転写層2は、その層構成中に磁気記録層23を有している。
【0027】
また、転写層2は、その層構成中にOVD層22を有しており、このOVD層22はOVD形成層221と光反射層222で構成される。光反射層222は、図1Bの平面図に示すように、互いに独立した多数の星で構成される画像パターン状に設けられており、これら星状パターンの光反射層222の周囲においては、電気絶縁性のOVD形成層221と磁気記録層23とが直接接触しており、このため、これら星状パターンの光反射層222は、各々電気的にも独立した状態となっている。
【0028】
転写層は、この他に転写後の支持体からの剥離を容易にすると共に、転写後にOVD層22や磁気記録層23を摩耗などから保護する剥離保護層21と、接着層24とを備えている。
【0029】
これら各層の積層順序は、支持体1側から順に、剥離保護層21、OVD形成層221、光反射層222,磁気記録層23,接着層24の順である。
【0030】
次に、図2は転写シートの第2の例を示す断面図で、光反射層222に重ねて、この光反射層222と同一形状の耐薬品保護層25を備えるものであり、その他は図1Aに示す転写シートと同様である。尚、この耐薬品保護層25は、光反射層222と磁気記録層23との間に設けられている。
【0031】
また、図3Aは転写シートの第3の例を示す断面図で、OVD形成層221と磁気記録層23との間であって、光反射層222の存在しない部位を覆う領域に隠蔽層26を備えるものであり、その他は図1Aに示す転写シートと同様である。隠蔽層26は、光反射層222の存在しない部位と同一の領域に設ける事もできるが、これより広い領域に設けても良い。図3Aにおいては、光反射層222の存在しない部位より広い領域に隠蔽層26を設けており、このため、光反射層222の端部と隠蔽層26の端部とが重なっている。そして、この両者が重なった部位において、隠蔽層26は光反射層222と磁気記録層23との間に位置している。尚、隠蔽層26は、電気絶縁性材料から構成する必要がある。
【0032】
尚、図3Aにおいて、隠蔽層26は2色のインキ皮膜261,262から構成されており、この2色のインキ皮膜261,262の両方によって光反射層222の存在しない部位を覆う領域に設けられている。この2色の印刷インキ皮膜261,262は、図3Bに示すように十字形の印刷絵柄を構成しており、画像パターン状の光反射層222との位置合わせが必要となる事で、磁気記録媒体の偽造を効果的に防止することが可能となる。
【0033】
次に、図4は転写シートの第4の例を示す断面図で、耐薬品保護層25と隠蔽層26とを備えるものであり、その他は図1Aに示す転写紙シートと同様である。
【0034】
また、図5Aは転写シートの第5の例を示す断面図で、印刷層27を備えるものであり、その他は図1Aに示す転写紙シートと同様である。この印刷層27は、剥離保護層21とOVD形成層221の間に設けられる事によって、画像パターン状の光反射層222との位置合わせが必要となり、このため、一層効果的に磁気記録媒体の偽造を防止する事が可能となる。尚、図示の例では、印刷層27は光反射層222に重ねて設けられており、図5Bの平面図からも分かるように、十字形のパターンを有している。
【0035】
次に、図6は転写シートの第6の例を示す断面図で、印刷層27と隠蔽層26とを備え
るもので、その他は図1Aに示す転写シートと同様である。尚、隠蔽層26は、1色の印刷インキ皮膜261で構成されている。
【0036】
次に、図7は転写シートの第7の例を示す断面図で、印刷層27と耐薬品保護層25とを備えるもので、その他は図1Aに示す転写シートと同様である。また、図8は転写シートの第8の例を示す断面図で、印刷層27、耐薬品保護層25及び隠蔽層26を備えるもので、その他は図1Aに示す転写シートと同様である。
【0037】
(支持体1)
この転写シートを構成する各層の材質と形成方法について説明する。
【0038】
まず、支持体1としては樹脂フィルムが使用できる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、耐熱塩化ビニルフィルム等が使用できる。これらの樹脂の中で、耐熱性が高く厚みが安定している事から、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが好ましく使用できる。
【0039】
また、これら樹脂フィルムに剥離層を設けたり、易接着処理を行ったりして剥離保護層21の剥離強度を調整したフィルムを支持体1として利用する事もできる。また、帯電防止処理、マット加工、エンボス処理等の加工を施したフィルムも使用する事ができる。
【0040】
(剥離保護層21)
剥離保護層21としては、樹脂に滑剤を添加したものが使用できる。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が使用できる。例えば、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂である。また、滑剤としてはポリエチレンパウダーや、カルナバロウ等のワックスを使用する事ができ、20重量部まで添加する事が可能である。これらは剥離保護層21として、支持体1上にグラビア印刷法やマイクログラビア法等、公知の塗布方法によって形成される。
【0041】
(OVD層22)
OVD層22は、OVD形成層221と光反射層222の少なくとも2層を含んで構成されるものである。後述するように、OVD層22には、更にこの他の層を含む事もできる。
【0042】
(OVD形成層221)
OVD形成層221は、レリーフ型回折格子や体積型回折格子等の他、屈折率がおよそ2.0以上の高屈折率の薄膜と屈折率がおよそ1.5程度の低屈折率材料の薄膜とをそれぞれ光学的に適当な膜厚で適宜積層した多層薄膜等が利用できる。
【0043】
前記レリーフ型回折格子は、その表面に微細な凹凸パターンの形態で回折格子を記録したものである。
【0044】
このような凹凸パターンは、例えば、二光束干渉法を使用して感光性樹脂の表面に互いに可干渉の2本の光線を照射してこの感光性樹脂表面に干渉縞を生成させ、この干渉縞を凹凸の形態で感光性樹脂に記録する事で形成する事ができる。尚、この二光束性干渉法によって形成された干渉縞をホログラムと呼び、前記2本の光線の選択によって任意の立体画像を記録する事が可能である。また、観察する角度に応じて異なる画像(以下チェンジング画像と言う)を見る事ができるように記録する事も可能である。
【0045】
また、レリーフ型回折格子の凹凸パターンは、電子線硬化型樹脂の表面に電子線を照射
して、回折格子を構成する縞状に露光する事によって形成する事も可能である。この場合には、その干渉縞を1本ごとに制御する事ができるため、ホログラムと同様に任意の立体画像やチェンジング画像を記録する事ができる。また、画像をドット状の画素領域に分割し、この画素領域ごとに異なる回折格子を記録し、これら画祖の集合で全体の画像を表現する事も可能である。画素は円形のドットの他、星形のドットでも良い。
【0046】
また、誘起表面レリーフ形成法によって、前記凹凸パターンを形成する事も可能である。すなわち、アゾベンゼンを鎖側に持つポリマーのアモルファス薄膜に対して、青色〜緑色に渡る範囲の或る波長を有した数十mW/cm2程度の比較的弱い光を照射する事によって、数μmスケールでポリマー分子の移動を起こし、結果、薄膜表面に凹凸によるレリーフを形成する事ができる。
【0047】
そして、このように形成された凹凸パターンを有するレリーフ型のマスター版の表面に電気メッキ法で金属膜を形成する事によって、レリーフ型マスター版の凹凸パターンを複製し、これをプレス版とする。そして、前記剥離保護層21上に塗布された樹脂層にこのプレス版を熱圧着し、この樹脂層の表面に微細な凹凸パターンを転写することにより、OVD形成層221とすることができる。
【0048】
前記レリーフ型回折格子によるOVD形成層221に適用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂等が使用できる。例えば、熱可塑性樹脂では、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。また、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等が使用できる。また、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂としては、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0049】
また、OVD形成221として、多層薄膜である光学多層干渉膜、コレステリック液晶の層、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末を含有するインキ等が利用可能である。
【0050】
前記光学多層干渉膜は、金属薄膜、セラミックス薄膜、又は、それらを併設してなる複合薄膜として、各層の光学特性と層の組み合わせの関係による適当な数の層が積層されていれば良い。例えば、屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜とを組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしても、いずれでもよい。それらの層による光学的条件を満たす適当な組み合わせにより、所望の光学的効果(ここでは構造色)を発現する光学多層干渉薄膜を得ることができる。
【0051】
このような光学多層干渉膜に用いられる材料の例を以下に挙げる。尚、化学式の後ろに続くカッコ内の数値は、それぞれの屈折率nを示す。
【0052】
まず、セラミックスとしては、Sb23(3.0)、Fe23(2.7)、TiO2(2.6)、CdS(2.6)、CeO2(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2(2.3)、CdO(2.2)、Sb23(2.0)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si23(2.5)、In23(2.0)、PbO(2.6)、Ta23(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、Si22(1.5)、MgF2(1.4)、CeF3(1.6)、CaF2(1.3〜1.4)、AlF3(1.6)、Al23(1.6)、GaO(1.7)、等があり、また、金属系の材料としては、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si、等の金属単体もしくは合金が挙げられる。
【0053】
また、低屈折率の材料としては、例えば有機ポリマーのうち、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等がある。但し、ここでカッコ内の数値はそれぞれの屈折率nを示す。
【0054】
これらの高屈折率材料もしくは20〜70%の光透過率とした金属薄膜より少なくとも一種、低屈折率材料より少なくとも一種をそれぞれ選択し、所定の厚さで交互に積層させる事により、可視光における特定の波長だけを吸収あるいは反射するようになる。
【0055】
前記の各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層される事によって光学的な波長干渉を発生させる多層薄膜を形成する。形成方法は、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚等の制御が可能な公知の方法が使用できる。例えば真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法等である。尚、前記光学膜厚とはn・dで与えられる量であり、nは屈折率、またdは膜厚である。
【0056】
また、コレステリック液晶の層は、その構成分子が光学活性を有し、薄層内ではネマッティック一軸配向しているが、隣接層間では相互に一定方向に一定角のねじれを起こしている螺旋構造を有している。そのピッチは数百nmから無限大まで分布する。この螺旋構造のため、コレステリック液晶は螺旋ピッチに相応した波長の光を選択的に反射し、青から赤まで煌びやかな色彩を持つ。
【0057】
次に、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができる粉末としては、例えば、雲母などの層状物質が挙げられる。この雲母を還元二酸化チタンや酸化鉄で被覆した粉末を利用する事ができる。これらは、いわゆるフリップフロップ効果によって、波長分散性能を発揮する。これら粉末をインキ化して公知の印刷法または塗布法に事により、波長分散性能を有する層を形成する事ができる。
【0058】
(光反射層222)
光反射層222は、OVD形成層221に直接接触して設ける必要はないが、OVD形成層221がレリーフ型回折格子の場合には、その凹凸パターンに光反射層222を直接接触して設けられる必要がある。この場合には、この光反射層222によって反射した光がそのまま回折光となる。
【0059】
光反射層222としては、反射輝度が高い点で金属薄膜が好ましく利用できる。この金属としては、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、真鍮等が挙げられる。そして、真空製膜法を利用してこの金属薄膜を形成する事ができる。真空製膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が適用でき、厚みは5〜1000nm程度に制御できれば良い。
【0060】
また、光反射層222として高屈折率の透明薄膜を利用する事もできる。この透明薄膜は、OVD形成層221の屈折率より0.2以上大きい屈折率を有するものが望ましく、例えば、屈折率2.0以上の透明材料から構成される薄膜である。
【0061】
このような透明材料としては、例えば、Sb2O3(屈折率n=3.0)、Fe23(n=2.7)、TiO2(n=2.6)、Cds(n=2.6)、CeO2(n=2.3)、ZnS(n=2.3)、PbCl2(n=2.3)、CdO(n=2.2)、Sb23(n=2.0)、WO3(n=2.0)、SiO(n=2.0)、Si23(n=2.5)、In2O3(n=2.0)、PbO(n=2.6)、Ta23(n=2.4)、ZnO(n=2.1)、ZrO2(n=2.0)、等が挙げられる。そして、真空製膜法を利用して
その薄膜を形成する事ができる。薄膜の厚みは5〜1000nm程度で良い。
【0062】
また、金属粉末や透明材料の粉末を含むインキを印刷して薄膜としても良い。この場合、粉末としては粒子径500nm以下のものが好ましい。薄膜の厚みは0.1〜20μmが好ましく、印刷方式として、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等、公知の印刷方法が利用できる。
【0063】
そして、この光反射層222は、次のような方法で画像パターンに加工する事ができる。
【0064】
すなわち、その第1の方法は、前述の印刷方式を利用する方法である。また、第2の方法は、OVD形成層221に画像パターン状の開口部を有するマスクを重ねて光反射層222を真空製膜することにより、画像パターン状に光反射層222を製膜する方法である。
【0065】
また、その第3の方法は、まず、溶剤溶解性の樹脂層をネガパターン状に設け、この溶剤溶解性樹脂層を被覆して全面一様に光反射層222を形成した後、溶剤で前記の溶剤溶解性樹脂層を溶解して除去すると同時に、この溶剤溶解性樹脂層上に重ねられた光反射層222を除去する事によって、残存する光反射層222が画像パターン状に形成される方法である。
【0066】
また、その第4の方法は、まず、OVD形成層221上に、このOVD形成層221から剥離しやすい樹脂層をネガパターン状に設け、この樹脂層を被覆して全面一様に光反射層222を形成した後、粘着ロールや粘着紙等に押し当てる事によって粘着ロールや粘着紙等にネガパターン状に転写させて除去し、結果、光反射層222が画像パターン状に残存される方法である。
【0067】
また、その第5の方法は、全面一様に光反射層222を形成し、この光反射層222上に耐薬品性の樹脂層を画像パターン状に設け、アルカリ性または酸性のエッチング液を適用して露出している光反射層222を溶解して除去する方法である。この場合、光反射層222を画像パターン状に加工したした後、前記耐薬品性樹脂層を除去しても良いが、そのまま残存させて、耐薬品保護層25として利用する事もできる。
【0068】
また、その第6の方法は、全面一様に形成された光反射層222上に感光性樹脂層を形成し、画像パターン状に露光・現像した後、アルカリ性または酸性のエッチング液を適用して露出した光反射層222を溶解して除去する方法である。この場合も、残存する感光性樹脂層をそのまま残存させて、耐薬品保護層25として利用する事ができる。
【0069】
また、その第7の方法は、全面一様に形成された光反射層222にレーザー光を照射して除去する事により、残存する光反射層222が画像パターン状となる方法である。
【0070】
この画像パターンとしては、明確な意味を持たないランダムなパターンでも良いが、絵柄、図形、模様、文字、数字、記号等のパターンとして、この画像パターンに認知可能な情報を付与させる事も可能である。但し、画像パターンは各々独立した状態で存在し、且つ、画像パターン同士が電気的に絶縁された状態を保持している必要がある。
【0071】
(磁気記録層23)
磁気記録層23としては、通常の磁気カードや磁気テープ等に使用されている磁気記録層と同じものが使用できる。例えば、γ−Fe23、コバルト被着γ−Fe23、バリウムフェライト等の磁性粉をバインダー中に分散して製造した磁性塗料を、公知の方法で均
一に塗布して形成する事ができる。
【0072】
(接着層24)
接着層24としては、熱及び圧力によって被転写基材に接着するものであれば良く、公知の感熱性接着材料を使用する事ができる。
【0073】
(耐薬品保護層25)
耐薬品保護層25としては、40〜50℃の1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液中に60秒間浸漬して、塗膜に変化の生じないものが望ましい。この場合には、全面均一に形成した光反射層222上に耐薬品保護層25を形成し、前記水酸化ナトリウム水溶液をエッチング液として使用し、このエッチング液中に5〜30秒間浸漬する事により、光反射層222を画像パターン状に加工する事ができる。
また、耐薬品保護層25は、ガラス転移温度150℃以上の樹脂を使用する事が望ましい。この場合には、酸やアルカリから保護するだけでなく、高温から光反射層222の変形を守る事も可能となる。このような、耐薬品・耐熱性の樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(Tg.140〜150℃)、ポリアリレート樹脂(Tg.193℃)、ポリスルホン樹脂(Tg.190℃)、ポリエーテルスルホン樹脂(Tg.225℃)、ポリエーテルイミド樹脂(Tg.200℃以上)、環状ポリオレフィン共重合体(Tg.171℃)、変性ノルボルネン系樹脂(Tg.171℃)、ポリアミドイミド樹脂(Tg.200℃以上)、ポリイミド樹脂(Tg.250℃以上)等が挙げられる。この他、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、紫外線硬化性または電子線硬化性の樹脂を使用しても良い。
尚、これら樹脂の比重を1とした場合の40重量%を上限として、フィラーや充填剤、着色剤等を添加する事ができる。40重量%を超えて添加した場合には、分散性が悪くなって塗膜強度が低下して耐熱性が劣る事がある。また、塗液の流動性が低くなって版上で乾燥してしまって印刷適性が悪化する事や、塗液中のそれら添加剤が、保存中または塗工中に沈降または凝集してしまう事等がある。
【0074】
(その他の層)
隠蔽層26としては、電気絶縁性で、光透過を防止する不透明な印刷インキを使用する事ができる。このような印刷インキは周知である。
【0075】
また、印刷層27も周知の印刷インキが使用できるが、この場合、不透明インキに限らず透明インキを使用しても良い。
【0076】
(磁気記録媒体)
本発明に係る磁気転写シートを被転写基材に重ね、熱圧着により接着した後、支持体1を剥離除去する事により、転写層を転写して磁気記録媒体を製造する事ができる。被転写基材としては、任意のものが利用できるが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂やポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂を材質とするプラスチックカード基材等が挙げられる。また、紙や合成紙等も基材として使用できる。
【0077】
こうして製造された磁気記録媒体は、基材上に磁気記録層を備えるものである。また、この磁気記録媒体は、観察する角度に応じて異なる色彩を見る事ができるOVD層と磁気記録層を有しており、このOVD層はOVD形成層と光反射層からなり、基材側から見て、光反射層、OVD形成層の順に積層されたものである。
【0078】
図9は、本発明に係る磁気転写シートの第1の例(図1参照)を使用して製造した磁気記録媒体の断面図である。すなわち、基材3上に、接着層24、磁気記録層23,光反射層222、OVD形成層221,剥離保護層21の順に積層されており、光反射層222は画像パターン状に構成されている。
【0079】
また、図10は、本発明に係る磁気転写シートの第2の例(図2参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、光反射層222と磁気記録層23との間に、光反射層に重ねて、この光反射層222と同大同形状の耐薬品保護層25を備えており、その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。
【0080】
また、図11は、本発明に係る磁気転写シートの第3の例(図3参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、OVD形成層221と磁気記録層23との間で光反射層222が存在しない部位を覆う領域に隠蔽層26を備えており、その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。尚、この例では、隠蔽層26は2色のインキ被膜261、262から構成されており、この2種類のインキ被膜261、262の両方によって、光反射層222が存在しない部位が覆われている。
【0081】
また、図12は、本発明に係る磁気転写シートの第4の例(図4参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、耐薬品保護層25と隠蔽層とを備えている。その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。
【0082】
また、図13は、本発明に係る磁気転写シートの第5の例(図5参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、剥離保護層21とOVD形成層221との間に印刷層27を備えるものである。その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。
【0083】
また、図14は、本発明に係る磁気転写シートの第6の例(図6参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、印刷層27と隠蔽層26を備えるもので、その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。
【0084】
また、図15は、本発明に係る磁気転写シートの第7の例(図7参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、印刷層27と耐薬品保護層25とを備えるもので、その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。
【0085】
また、図16は、本発明に係る磁気転写シートの第8の例(図8参照)を使用して製造された磁気記録媒体の断面図である。この例では、印刷層27と耐薬品保護層25及び隠蔽層26を備えるもので、その他は図9に示す磁気記録媒体と同様である。
【実施例】
【0086】
次に、実施例によって本発明を説明する。本実施例の磁気転写シートは、前述第4の例である
まず、支持体1として、厚さ25μmの透明なポリエチレンテレフタレート(通称PET)フィルムを使用した。
【0087】
この支持体1の片面に、下記組成物からなるインキを塗布・乾燥し、膜厚2μmの剥離保護層21を形成した。
【0088】
次に、下記組成物からなるインキを塗布・乾燥して膜厚1μmの層を形成した後、ロールエンボス法により回折格子形成用のプレス版を熱圧してその表面に回折格子を発生させるための凹凸を形成し、OVD形成層221とした。
【0089】
次に、このOVD形成層221の全面に、真空蒸着法にてアルミニウム蒸着膜を膜厚50nmにて均一に形成し、更に、以下の組成物からなるインキを画像パターン状に印刷して、アルミニウム蒸着膜上に厚さ1μmの耐薬品保護層25を形成した。そして、50℃
に保温された1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液が入った浴槽に10秒間浸し、前記耐薬品保護層25がマスクとなり、耐薬品保護層25が存在せずにアルミニウム蒸着膜が露出している部位をエッチングで除去した。更に、0.1Nの塩酸水溶液に浸して中和処理を行い、その後、水洗、乾燥した。こうして、独立した画像パターン状にアルミニウム蒸着膜から構成される光反射層222と、この光反射層222に重ねられ、且つ、この光反射層と同一形状を有する耐薬品保護層25を形成した。
【0090】
次に、前記光反射層222が存在しない部位に、スクリーン印刷法により厚さ1.5μmにて星型を印刷して隠蔽層262とし、続いて、光反射層222が存在しない部位の全体を覆う領域をスクリーン印刷法にて厚さ1.5μmにて印刷し、隠蔽層261とした。
【0091】
次に、その全面に下記組成物からなる磁性インキを塗布・乾燥して厚さ8μmの磁気記録層23を形成し、最後に下記組成物からなるインキを塗布・乾燥させて厚さ3μmの接着層24を形成して所望の磁気転写シートを製造した。
【0092】
「剥離保護層インキ組成物」
ポリアミドイミド樹脂(Tg.250℃) 19.2重量部
ポリエチレンパウダー 0.8重量部
ジメチルアセトアミド 45.0重量部
トルエン 35.0重量部
「OVD形成層インキ組成物」
ウレタン樹脂 20.0重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
「耐薬品保護層インキ組成物」
変性ノルボルネン樹脂(Tg.171℃) 20.0重量部
沈降性硫酸バリウム(比重5.5) 10.0重量部
メチルエチルケトン 40.0重量部
トルエン 30.0重量部
「磁気記録層インキ組成物」
γFe2 O3磁性粉 30.0重量部
塩酢ビ共重合体 3.0重量部
ポリウレタンエラストマー 20.0重量部
メチルエチルケトン 15.0重量部
トルエン 15.0重量部
「接着層インキ組成物」
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂 15.0重量部
アクリル樹脂(Tg.20℃) 10.0重量部
シリカ 1.0重量部
メチルエチルケトン 44.0重量部
トルエン 30.0重量部
次に、この磁気転写シートを磁気テープの形状に切断してプラスチックカード基材に重ね、版面温度120℃の熱ロール転写機にて転写してから支持体1を剥離除去し、磁気カードを製造した。
【0093】
得られた磁気カードの磁気テープを見ると、光反射層222は独立した星型状や文字等の複雑な形状に形成されており、これによって、全面に光反射層を持つ従来の磁気記録媒体よりも偽造が難しい事が分かった。
【0094】
また、光反射層222が存在しない部位には隠蔽層262の印刷画像が施されており、
美麗であるばかりでなく、光反射層222と隠蔽層262の位置が精度良く組み合わされている事から、更に偽造を困難なものとしていた。
【0095】
更に、耐薬品保護層25を有する事から、耐性試験において20%酢酸水溶液や5%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬しても外観に著しい変化は現れず、耐性に優れている事が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1Aは本発明に係る磁気転写シートの第1の例を示す断面図。図1Bはその平面図。
【図2】本発明に係る磁気転写シートの第2の例を示す断面図。
【図3】図3Aは本発明に係る磁気転写シートの第3の例を示す断面図。図3Bはその平面図。
【図4】本発明に係る磁気転写シートの第4の例を示す断面図。
【図5】図5Aは本発明に係る磁気転写シートの第5の例を示す断面図。図5Bはその平面図。
【図6】本発明に係る磁気転写シートの第6の例を示す断面図。
【図7】本発明に係る磁気転写シートの第7の例を示す断面図。
【図8】本発明に係る磁気転写シートの第8の例を示す断面図。
【図9】磁気転写シートの第1の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図10】磁気転写シートの第2の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図11】磁気転写シートの第3の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図12】磁気転写シートの第4の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図13】磁気転写シートの第5の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図14】磁気転写シートの第6の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図15】磁気転写シートの第7の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【図16】磁気転写シートの第8の例を使用して製造した磁気記録媒体の断面図。
【符号の説明】
【0097】
1 ・・・・転写シートの支持体
2 ・・・・転写層
21 ・・・・剥離保護層
221 ・・・・OVD形成層
222 ・・・・光反射層
23 ・・・・磁気記録層
24 ・・・・接着層
25 ・・・・耐薬品保護層
26 ・・・・隠蔽層
261 ・・・・隠蔽層
262 ・・・・隠蔽層
27 ・・・・印刷層
3 ・・・・基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上の片面に磁気記録層を含む転写層を有し、この転写層を被転写基材に転写すると共に支持体を剥離除去してなる磁気記録媒体を製造する磁気転写シートであり、この転写層には観察する角度に応じて異なる色彩や画像パターンを見る事ができるホログラム等の回折格子や多層薄膜である光学多層干渉膜、またはコレステリック液晶の層等が形成されてなるOVD形成層、及び、前記OVD形成層への入射光を反射する光反射層からなるOVD層を有し、支持体側から見て、剥離保護層、OVD形成層、光反射層、磁気記録層、接着層の順に積層してなる磁気転写シートで、光反射層が画像パターン状に設けられ、且つ、その画像パターンが周囲を電気絶縁性材料に包囲された独立したパターンである事を特徴とする磁気転写シート。
【請求項2】
前記光反射層が金属薄膜から構成されており、更には光反射層と磁気記録層との間にあって光反射層に重ねて、耐薬品保護層を備える事を特徴とする請求項1記載の磁気転写シート。
【請求項3】
磁気記録層とOVD形成層との間であって、前記光反射層の存在しない部位を覆う領域に、光の透過を遮断する隠蔽層を備える事を特徴とする請求項1又は2に記載の磁気転写シート。
【請求項4】
転写後に観察可能な位置に印刷層を備える事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気転写シート。
【請求項5】
請求項1〜4記載のいずれかに記載の磁気転写シートを、紙やフィルム、カード等に転写した事を特徴とする磁気記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−108829(P2007−108829A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296061(P2005−296061)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】