説明

磁石を内蔵した畳

【課題】従来、フローリングの床の上に直接畳を敷く場合、畳を固定するための枠または粘着テープ等が必要であった。
【解決手段】複数の辺からなる型枠の各辺の両端側にそれぞれ磁石を取り付け、この型枠を畳の内部に組入れる。この構成により、畳と畳を合わせた時に、型枠に取り付けた磁石の磁力によって、畳同士の側面が吸着可能となるため、畳と畳が隙間なく密着する。また、吸着時の畳同士のズレも最小限に抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳の内部構造に係わり、特に磁石を内蔵した畳に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、フローリングの床の上に直接畳を敷いたり、フローリングの部屋の一角に畳のコーナーを設置するようなインテリアが増えてきており、このような場合に、従来の仕様の畳をそのまま利用するには様々な制約が起こることがあった。
また、従来の天然藺草を使用した畳の代わりに、人工の材料を使用した安価な畳も普及しており、この場合には、藺草による畳独特の匂いがもたらす癒しの効果が得られないという声もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、畳は使用場所に合わせて必要な枚数を並べて使用する。しかし、畳を並べたときに畳と畳の各側面を合わせた所で、隙間が開いたり、畳同士がズレたり、移動したりして、きれいに揃えて並べることが難しかった。そのため、畳の回りを固定枠で押さえたり、畳の裏に両面テープやマジックテープ(登録商標)を貼り付けて固定したり、畳同士を連結具で留めたりする必要があった。また、並べた畳をそのまま持ち運びする際にも、全体の面積が大きいためバランスをとるのが難しく、実際に持ち運びは不可能であった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
複数の辺からなる型枠の各辺の両端側にそれぞれ磁石を取り付け、この型枠を畳の内部に組入れたことを特徴とする。
また、前記磁石は、ネオジム磁石であることを特徴とする。

【発明の効果】
【0005】
畳と畳を合わせた時に、型枠に取り付けた磁石の磁力によって、畳同士の側面が吸着可能となるため、畳と畳が隙間なく密着する。また、吸着時の畳同士のズレも最小限に抑えることができる。このため、畳を配置固定するための枠を設置したり、両面テープやマジックテープ(登録商標)を貼り付けたり、連結具で固定したりする必要がなくなり、無駄な費用や労力を省き、床を傷つけたり汚すこともなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の畳に組み入れられる型枠の斜視図を示す。
【図2】本発明の畳の斜視図を示す。
【図3】本発明の畳の底面図を示す。
【図4】本発明の畳に内蔵した磁石構造を示す図であり、(A)は磁石の上面図、(B)は磁石の側面図、(C)は型枠に磁石を埋設した状態の斜視図を示す。
【図5】本発明の畳同士が内蔵した磁石により吸着する時の磁石の状態を示す図であり、(A)は磁石の上面図、(B)は磁石の側面図、(C)は型枠に磁石を埋設した状態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【実施例】
【0008】
図1において、型枠1は、軽くて成型し易いプラスチックやポリプロピレン等で四辺が形成され、底板8上に固定されている。各辺の両端側には、型枠1の上面に開口を有する角柱状の磁石組込穴2が設けられ、この磁石組込穴2の中に磁石7が埋設される。磁石7は磁石組込穴2と同サイズの角柱状である。さらに、取っ手5が、底板8の下面中央に設けられた回転軸4と取っ手5に延設された溝6により移動可能に支持されている。
図2は、磁石を取り付けた型枠1を組入れた畳3である。畳3は、型枠1の内側部に、インシュレーションボード、ポリスチレンフォーム等の断熱材、プラスチックやポリプロピレン等の発泡材や中空積層板が充填され、その上に藺草や人工的な素材により形成された畳表で型枠1を被覆し完成される。
図3は、型枠1を組入れた畳3の底面を示す。取っ手5が、取っ手5に延設された溝6により直線方向に移動できるため、畳の運搬等の際には底面部内から引き出し、畳を固定した後には底面部内に納めることができる。また、取っ手5は、どの方向からでも使用できるように、引き出した状態で回転軸4を支点として回動可能である。
【0009】
図4は、本発明の畳に内蔵した磁石構造を示す。図4(A)に示す磁石の上面図において、磁石10は板状のネオジム磁石であり、プラスチック等で形成された磁石ケース13内に、鉄等の金属板9とスポンジ等の伸縮材11との間に挟まれた状態で保持されている。なお、金属板9の片面は磁石ケース13の内面に固定されている。さらに、伸縮材11は液状の芳香剤を含浸している。また、図4(B)に示す磁石の側面図において、磁石ケース13の上面には透湿材12が形成されている。そして、図4(C)に示すように、型枠1に形成された磁石組込穴2内に磁石ケース13が埋設固定されている。
図5は、本発明の畳同士が内蔵した磁石により吸着する時の磁石の状態を示す。図4で説明した構成部材については同番号を付し、詳しい説明は省略する。図5(A)に示す磁石の上面図、図5(B)に示す磁石の側面図及び図5(C)に示す型枠に磁石を嵌挿した状態の斜視図において、畳同士を近接させると、磁石10と金属板9との吸着力より強い力で磁石同士が吸着するようにしておけば、双方の磁石10が引き合い吸着する。
【0010】
上記したように、畳と畳を隙間がなく密着させることができる。また、吸着の時の畳同士のズレも最小限に抑えることができるので、畳を配置固定するための枠を設置したり、両面テープやマジックテープ(登録商標)を貼り付けたり、連結具で固定したりする必要がなくなり、無駄な費用や労力を省き、床を傷つけたり汚すこともなくなる。
その際、磁石10の移動により伸縮材11が圧縮されるので、伸縮材11に含浸された液状の芳香剤から芳香が発生し、磁石ケース13の上面の透湿材12を通して芳香が畳3外に放散される。
これにより、人工の畳表を使用した場合でも、芳香を発生させることができ、芳香剤自体に藺草の匂いのものを使用すれば、人工の畳でありながら天然の藺草を使用した畳と同じような雰囲気を味わうことができ、癒しの効果を得ることができる。
また、藺草の匂い以外の芳香剤を使用することもできる。
【符号の説明】
【0011】
1 型枠
2 磁石組込穴
3 畳
4 回転軸
5 取っ手
6 溝
7 磁石
8 底板
9 金属板
10 磁石
11 伸縮材
12 透湿材
13 磁石ケース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の辺からなる型枠の各辺の両端側にそれぞれ磁石を取り付け、この型枠を畳の内部に組入れたことを特徴とする磁石を内蔵した畳。
【請求項2】
前記磁石は、ネオジム磁石であることを特徴とする請求項1に記載の磁石を内蔵した畳。
【請求項3】
前記磁石は、磁石板であり、金属板と芳香剤入り伸縮材との間に挟まれて磁石ケースの中に収納されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁石を内蔵した畳。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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